JP2005309361A - 中間転写体、及び該中間転写体を用いた画像形成装置 - Google Patents

中間転写体、及び該中間転写体を用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 転写の際中間転写体の体積抵抗率が高い状態でトナー飛散を抑制し、中間転写体の帯電電荷の除電が容易に行え、色点の発生が抑制可能な中間転写体、及び、トナー飛散による画質欠陥が少なく、色点の発生も少ない、高品質の転写画質を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 引張り弾性率が2000MPa以上である基材と、該基材上に設けられ、硬度がJIS−Aにて30〜60°である弾性層と、該弾性層上に設けられる光導電層と、を有することを特徴とする中間転写体、及び、該中間転写体と、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材ヘ転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えた画像形成装置。

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に用いられる中間転写体、及び該中間転写体を用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、先ず、無機又は有機材料からなる光導電性感光体からなる像担持体表面に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像が形成される。そして、該トナー像を中間転写体を介して、或いは、直接、記録紙等の記録材に静電的に転写し、そして、転写されたトナー像を記録材に定着することにより所要の再生画像が得られる。
特に、前記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に、中間転写体上のトナー像を記録材に二次転写する方式を採用した画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前記中間転写体方式を採用した画像形成装置において、中間転写体に用いられる材料としては、高分子材料中にカーボンや金属化合物等のフィラーを導電剤として分散させたものが用いられている。ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレート、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料等の熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトを用いる提案がなされている(例えば、特許文献2〜7参照。)。また、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド系樹脂に導電性フィラーを分散してなる中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献8及び9参照。)
このような中間転写体の体積抵抗率とトナー像の画質との間には、下記に示すような密接な関係があることが知られている。
中間転写体の体積抵抗率ρvが低すぎる(ρv<108Ωcm)場合、1次転写ロールによる転写電界と転写電流の作用で、トナー層のない領域に転写電界が印加され易くなるために転写領域が広がり、その作用によって転写時のトナーの飛び散りが著しく発生し画質が低下することが知られている(例えば、特許文献10参照。)。
また、中間転写体の体積抵抗率ρvが高い(ρv>1014Ωcm)場合には、トナー画像領域における中間転写体の電荷保持性が増加し、転写に必要な電界を適切にトナーへ印加することができる。一方、隣接する非画像部の中間転写体表面及び内部の電荷移動は減少するため、1次及び2次転写においてこの領域へのトナー転写が起こり難くなる。このことにより、中間転写体の体積抵抗率が高い場合には、トナーの飛び散りが少なく良好な画質のトナー形成像が得られる。しかし、この場合はトナー転写後に中間転写体に蓄積した電荷を除電する工程が必要となり、除電工程で中間転写体を均一に除電することが困難なため、現在、実用化されていない。
現在実用化されている画像形成装置の中間転写体は、体積抵抗率が中間値(108Ωcm≦ρv≦1014Ωcm)のものである。このような画像形成装置は、中間転写体の半導電性により、帯電電荷が適当に減衰する。すなわち、中間転写体の体積抵抗率の平均値は、帯電電荷が適当に減衰する範囲(体積抵抗率が適切な範囲)に有るので、除電部材を使用せずに連続して画像形成を行うことができる。
ところが、前記中間転写体の体積抵抗率の平均値が前記適切な範囲(帯電電荷が適当に減衰する範囲)にあったとしても、このような中間転写体においては、前記した、1次転写ロールによる転写電界と転写電流の作用で、トナー層のない領域に転写電界が印加され易くなるために転写領域が広がり、その作用によってトナーが飛び散って転写されてしまう問題が発生する場合がある。また、近年の高品質の転写画質を得るために、トナーは、小径の球形トナーを用いる傾向にあり、トナーが、小径化、球形化されることで、転写電界によって、容易にトナーが移動し易いためにトナーが飛び散ってしまう問題が起き易い。更に、上記のような中間転写体においては以下の問題がある。
すなわち、カーボンや金属化合物などのフィラーを高分子樹脂に分散した場合には、フィラーの分散状態に起因する中間転写体内の抵抗バラツキが約1桁以上と大きいこと、フィラーとフィラー間の微少な高分子樹脂部の絶縁破壊や通電によるフィラーの再配列などによる中間転写体の低抵抗化が経時で起こることなどである。このように、印刷を繰り返すと、経時的に中間転写体の体積抵抗率が、部分的に或いは全体的に良好な体積抵抗率の幅から外れ、画像品質を低下させるという問題があった。
また、中間転写体の体積抵抗率が中間値以上(ρv≧108Ω・cm)である場合、一次転写領域にカーボンファイバー等の微小な導電性異物が混入すると、一次転写のニップ域での電界と圧力とによりその導電性異物が像担持体に埋り込むことがある。更に、かかる導電性異物が像担持体の基材まで到達した場合には、その導電性異物により電流リークを引き起こし、画質ディフェクトが生じて、得られた画像に色点が形成されるという問題が発生した。
特開昭62−206567号公報 特開平6−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特開平6−149083号公報 特開平6−149079号公報 特開平5−77252号公報 特開平10−63115号公報 特開平8−248779号公報
そこで、本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は、転写電界を用いて1次転写及び2次転写を行う際には中間転写体の体積抵抗率が高い状態でトナーの飛散を抑制すると共に、前記転写電界により発生する中間転写体の帯電電荷の除電を容易に行うことができ、更に、1次転写のニップ域への導電性異物の混入によって発生する色点の発生を抑制可能な中間転写体を提供することを目的とする。
また、このような中間転写体と該中間転写体の帯電電荷を除電する除電手段とを備えることで、従来の中間転写体では困難であったトナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥が著しく少なく、また、色点の発生も少ない、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することを他の目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは以下の本発明を見出した。
すなわち、本発明における中間転写体は、
<1> 引張り弾性率が2000MPa以上である基材と、該基材上に設けられ、硬度がJIS−Aにて30〜60°である弾性層と、該弾性層上に設けられる光導電層と、を有することを特徴とする中間転写体である。
<2> 前記光導電層中に含有する結着樹脂として、重量平均分子量が70,000以上の物質を主に用いることを特徴とする<1>に記載の中間転写体である。
<3> 前記基材と前記弾性層との間に、接着層を有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の中間転写体である。
<4> 前記光導電層が、電荷生成層と、該電荷生成層上に設けられる電荷輸送層と、を含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の中間転写体である。
<5> 前記基材がポリイミド樹脂から構成されることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の中間転写体である。
<6> 表面抵抗率が1×1013Ω/□以上であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の中間転写体である。
また、本発明における画像形成装置は、
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の中間転写体と、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材ヘ転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
<8> 前記トナーの下記式(1)で規定される形状係数(SF)が、140〜100である球形トナーを用いることを特徴とする<7>に記載の画像形成装置である。
式(1)
(SF)=[(トナー粒子の絶対最大長)2×π×100]/[(トナー粒子の投影面積)×4]
本発明によれば、転写電界を用いて1次転写及び2次転写を行う際には中間転写体の体積抵抗率が高い状態でトナーの飛散を抑制すると共に、前記転写電界により発生する中間転写体の帯電電荷の除電を容易に行うことができ、更に、1次転写のニップ域への導電性異物の混入によって発生する色点の発生を抑制可能な中間転写体を提供することができる。
また、このような中間転写体と該中間転写体の帯電電荷を除電する除電手段とを備えることで、トナーの飛び散り(ブラー)による画質欠陥が著しく少なく、また、色点の発生も少ない、高品質の転写画質を安定して得ることができる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を、詳細に説明する。
<中間転写体>
本発明の中間転写体は、引張り弾性率が2000MPa以上である基材上に、弾性層と光導電層とをこの順に有する中間転写体であって、前記弾性層の硬度がJIS−Aにて30〜60°であることを特徴とする。
また、本発明の中間転写体は、ドラム状又はベルト状に構成することが可能である。
以下、本発明の中間転写体を構成する各部材について説明する。
[表面層]
本発明の中間転写体における光導電層は、光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射されると導電性を示す層である。つまり、かかる光導電層は、光未照射時には誘電体の体積抵抗率を有し、光照射時には導電性を示すことになり、光の照射により抵抗率が変化する層である。
このような中間転写体は、1次転写及び2次転写時は光未照射状態で行う。この時、中間転写体は、誘電体並の高体積抵抗率である。そのため、このような高い体積抵抗率を有する中間転写体を使用し、転写電圧を印加した場合、転写電界の広がりがなく、トナーの飛散を抑制することができ、良好な転写像を得ることができる。
ここで、本発明における「体積抵抗率が高く(高い)」とは、表面層である光導電層に対し、光が照射されていない状態での体積抵抗率が1×1013Ωcm以上であることを指し、好ましくは、体積抵抗率が1×1014Ωcm以上である。
本発明における光導電層としては、中間転写体の表面層を構成する樹脂材料(結着樹脂)に、光導電物質を添加したものであってもよいし、電子写真用感光体に用いられる感光層であってもよい。
尚、本発明においては、光導電層中に含有する上記結着樹脂として、重量平均分子量(以下、単に「平均分子量」ということがある。)が70,000以上の物質を主に用いることが好ましい。
ここで、上記「主に」とは、前記光導電層が単層からなる態様にあっては、該光導電層中に含有する結着樹脂の50質量%以上であることをさし、前記光導電層が電荷生成層と電荷輸送層とを含む多層からなる態様にあっては、該電荷輸送層中に含有する結着樹脂の50質量%以上であることをさす。
光導電層が単層構造である場合、該光導電層に含有する樹脂材料は、平均分子量70,000以上の物質が50質量%以上用いられることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
また、電荷生成層と、該電荷生成層上に設けられる電荷輸送層と、を含む多層構造の光導電層である場合は、該電荷輸送層に含有する樹脂材料は、平均分子量70,000以上の物質が50質量%以上用いられることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
尚、より好ましくは、電荷生成層においても平均分子量70,000以上の樹脂材料を含有することが好ましく、電荷生成層に含有される樹脂材料の全てが平均分子量70,000以上であることが特に好ましい。
以下、電荷生成層及び電荷輸送層を含む多層構造の光導電層について説明する。ここで、電荷生成層は光が照射された状態で電荷を発生する機能を有し、電荷輸送層は光が照射されない状態では誘電体層であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射された状態では負極性の電子又は正極性のホールのいずれかのキャリアにより電荷を輸送する機能を有する。
このような多層構造の光導電層は、電荷生成層上に電荷輸送層が設けられている必須の構成であれば、他の任意の層、例えば、表面保護層を含んでいてもよい。
下記に、図1を用いて、この多層構造を構成する各層について順に説明する。
ここで、図1は、本発明の中間転写体の構成例を示す概略断面図であり、(A)〜(D)は本発明の中間転写体100a〜100dの構成を示す概略断面図である。
図1(A)に示されるように、本発明の中間転写体100aの構成としては、基材110と、弾性層120と、光導電層130と、からなり、かかる光導電層130は、電荷生成層132と、電荷輸送層134と、を含む。
図1(B)に示されるように、本発明の中間転写体100bの構成としては、基材110と、弾性層120と、光導電層130と、からなり、かかる光導電層130は、電荷生成層132と、電荷輸送層134と、表面保護層136と、を含む。
図1(C)に示されるように、本発明の中間転写体100cの構成としては、基材110と、弾性層120と、光導電層130と、接着層140と、からなり、かかる光導電層130は、電荷生成層132と、電荷輸送層134と、を含む。
図1(D)に示されるように、本発明の中間転写体100dの構成としては、基材110と、弾性層120と、光導電層130と、接着層140と、からなり、かかる光導電層130は、電荷生成層132と、電荷輸送層134と、表面保護層136と、を含む。
(電荷生成層)
図1(A)〜(D)に示されるように、電荷生成層132は、弾性層120又は接着層140と電荷輸送層134との間に設けられる層であって、光が照射された状態で電荷を発生する機能を有する。
かかる電荷生成層は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹脂と共に分散し、塗布することにより形成される。
電荷生成層に用いられる電荷発生物質としては、非晶質セレン,結晶性セレン,セレン−テルル合金,セレン−ヒ素合金,その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体及びこれらを色素増感したもの;無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特に、フタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
本発明において、優れた性能が得られる電荷発生物質として以下の化合物が特に好適である。すなわち、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニン、などを挙げることができる。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度が位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
また、これらの電荷発生物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷生成層において用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができるが、前述の通り、平均分子量が70,000以上の結着樹脂を用いることがより好ましい。ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂及びその共重合体;ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独或いは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生物質と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。
電荷発生物質を結着樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどを用いた方法を挙げることができる。
また、電荷生成層の厚みは、一般には、0.01〜5μm、好ましくは、0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
(電荷輸送層)
図1(A)〜(D)に示されるように、電荷輸送層134は、上述した電荷生成層132上に設けられる層であって、光が照射されない状態では誘電体層であり体積抵抗率が高く、かつ、光が照射された状態では負極性の電子又は正極性のホールのいずれかのキャリアにより電荷を輸送する機能を有する。
かかる電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解し、それを塗布することにより形成される。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、下記に示すものが例示できる。
すなわち、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、芳香族第3級アミノ化合物、芳香族第3級ジアミノ化合物、1,2,4−トリアジン誘導体、ヒドラゾン誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、α−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質。キノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合物、オキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物などの電子輸送物質。或いは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送物質は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送物質の電荷輸送極性により光導電層の帯電極性が異なるため、中間転写体の帯電極性は、電荷輸送物質の電荷輸送極性により決定される。電荷輸送物質として正孔輸送物質を用いた場合には、中間転写体は負帯電で用いられ、また、電子輸送物質を用いた場合には、中間転写体は正帯電で用いられる。また、電荷輸送物質として両者を混合した場合には、中間転写体は両帯電極性となる。
電荷輸送層に含有される結着樹脂としては、前述の通り、平均分子量が70,000以上の物質を少なくとも50質量%以上用いることが好ましく、また、特に電荷輸送物質と相溶性を有し、適当な強度を有することが望ましい。
結着樹脂の例としては、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられ、これらの内、平均分子量が70,000以上のものを主に用いる。また、併用される、平均分子量70,000未満の結着樹脂の例も、上記と同様であるが、平均分子量が70,000に近い物質を併用することがより好ましい。
これらの結着樹脂は単独或いは2種以上の混合物として使用することができる。
本発明で用いられる結着樹脂の平均分子量は、光導電層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択され、重量平均分子量で70,000〜300,000であることが好ましく、70,000〜200,000の範囲がより好ましく、80,000〜200,000の範囲が特に好ましい。
重量平均分子量が70,000未満の結着樹脂の含有量が50質量%以上となると、低温低湿度環境下でのランニング時に光導電層にクラックが生じることがある。一方、全ての結着樹脂の重量平均分子量が300,000以下であることにより、塗布液を適度な粘度に保つことができる。
尚、上記平均分子量の好ましい範囲は、本発明の中間転写体が単層構造及び多層構造の何れの場合であっても同様である。
また、上記重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(東ソー社製、HLC8020/溶剤テトラヒドロフラン/ポリスチレン換算)にて測定を行った。
電荷輸送層は、上に示した電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
電荷輸送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル;或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
また、塗布液には、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤として、シリコーンオイルを微量添加することもできる。
塗布方法としては、中間転写体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことができる。また、乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。
電荷輸送物質と結着樹脂との配合比は10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
電荷輸送層には、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは、光・熱による劣化を防止する目的で、酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
また、電荷輸送層には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有することができる。
本発明における電荷輸送層に用いられる電子受容性物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
更に、電荷輸送層には、分散液の分散安定性を向上させるため、及び塗膜形成時の凝集を防止するために分散助剤を少量添加することも有効である。分散助剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。
中でもフッ素系ポリマー、更にはフッ素系クシ型グラフトポリマーが分散助剤として有効であり、フッ素系クシ型グラフトポリマーとしては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、スチレン化合物等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチルメタクリレートよりグラフト重合された樹脂が好ましい。
(表面保護層)
図1(B)及び(D)に示されるように、表面保護層136は、上述した電荷輸送層134上に設けられる任意の層であって、中間転写体の耐磨耗性を向上させ寿命を延ばしたり、電荷輸送層の化学的変化を防止するなどの目的で形成される。
表面保護層の例としては、絶縁性樹脂からなる絶縁性表面保護層、金属酸化物などの抵抗制御剤を分散した抵抗制御型表面保護層、電荷輸送性を付与した高分子化合物などによる電荷輸送性表面保護層などが挙げられ、前記と同様の理由から結着樹脂の平均分子量を70,000以上にすることが好ましい。
表面保護層の形成は、上述した各表面保護層において用いられる成分を含む塗布液を用意し、それを塗布、乾燥することにより行う。なお、抵抗制御剤や電荷輸送性高分子化合物の分散配合の方法は、上述した電荷輸送層の形成の方法と同様の方法で行う。
表面保護層の厚みは0.1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは1〜10μmに設定される。この表面保護層を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、リングコーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
また、表面保護層を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン、アルコール等の通常の有機溶剤を単独或いは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される光導電層を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
[弾性層]
続いて、本発明の中間転写体を構成する弾性層について説明する。
図1(A)〜(D)に示されるように、弾性層120は、基材110上に設けられる層であって、中間転写体自体の弾性を制御する機能を有する。
本発明における弾性層は、その硬度がJIS−Aにて30〜60°であることを要する。このような硬度の弾性層を有することにより、中間転写体自体の硬度がJIS−Aにて40〜60°になるように調整することができる。
ここで、本発明におけるJIS−A硬度とは、JIS K 6253(1997)に準拠した硬度を指す。本発明においては、弾性層のJIS−A硬度は、JIS K 6253(1997)に準拠して、島津製作所製デュロメータ タイプAを用いて測定することができる。また、測定には、シート状のサンプルを用いた。なお、中間転写体自体のJIS−A硬度を測定する際も同様である。
また、本発明における弾性層の厚さは0.01〜5mmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.05〜2mmの範囲である。
本発明における弾性層を構成する材料としては、JIS−A硬度が上記範囲を満たし、かつ、後述する基材と同等の体積抵抗率を有していれば、特に制限されるものではなく、これらの硬度や体積抵抗率は、下記ゴム材料の選択、及び導電剤や低分子量成分等の添加量により調整することができる。具体的には、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、導電剤を分散したものが挙げられる。
導電剤としては、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加することができる。
電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニュウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。また、イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤等が用いられる。
これらのゴム材料、導電剤は、それぞれ、単独或いは2種以上を混合して使用することができる。
なお、これらのゴム材料としては、液状ゴム材料を用いることが好ましい。液状ゴム材料を用いることで、上層である電荷生成層との濡れ性が良好になり、後述する接着層140を介在させる必要がなくなる。このように、層構成を単純化することが可能となり、本発明の中間転写体を製造する上で非常に有利である。また、コスト面でも同様に有利である。
このような液状ゴム材料を用いた弾性層の形成は、通常、カーボンブラック等の導電剤を分散した液状ゴム材料を、そのまま、又は適当な溶媒により粘度を調整して、前述した弾性層上に塗布、焼付け・加硫を行うことができる。
また、液状ゴム材料以外のゴム材料を用いた場合、弾性層は下記のようにして形成される。
まず、上記の原料ゴム材料にカーボンブラック等の導電剤を添加したものをバンバリー等の練り機を用いて、混練をする。混練した材料を、プレス加工してゴムシートを成形する。そのゴムシートを前述した弾性層上に巻きつけた状態で、加硫・接着することで弾性層が形成される。
[接着層]
本発明の中間転写体を構成する接着層について説明する。
図1(C)及び(D)に示されるように、接着層140は、上述した弾性層120と電荷生成層132との間に設けられる任意の層であって、上層である電荷生成層132との濡れ性改善の役割を果たす。また、接着層140は、電気的なブロッキング層の役割を果たすこともできる。
かかる接着層は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物の他に、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などの材料から形成される。これらの化合物は単独に或いは複数の化合物の混合物或いは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウム原子若しくはシリコン原子を含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。有機金属化合物は単独・混合で、或いは上述の樹脂と混合して用いることが可能である。
本発明における接着層は、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、上述の構成の接着層を形成する場合には、0.1〜3μmの膜厚範囲に設定される。
[基材]
次に、本発明の中間転写体を構成する基材について説明する。
本発明における基材は、その形状に特に制限はなく、ベルト状やドラム状に構成することができる。
本発明における基材は、引張り弾性率が2000MPa以上であれば、それを構成する樹脂材料に特に限定はない。好ましくは、基材の引張り弾性率は3000MPa以上である。基材の引張り弾性率が2000MPa未満であると、画像形成装置内に組み込み、高温高湿環境下で使用した時に表面層にクラックが生じるという問題がある。
なお、本発明における基材の引張り弾性率は、JIS K 7127に準拠し、AIKOH ENGINEERING CO., LTD. 製FA1015Aを用いて測定することができる。また、測定には、基材を短冊状(5mm×40mm)に切断したものをサンプルとして用い、試験スピード20mm/minの条件により行った。
また、本発明における基材は、体積抵抗率が1×108〜1×1013Ωcmの半導電性であることが好ましく、より好ましい体積抵抗率は、1×109〜1×1012Ωcmである。前記基材の体積抵抗率が1×108Ωcm未満の場合には、後述するタンデム式画像形成装置にこの中間転写体を適用すると、1次転写の各色間での抵抗が低いために転写部で必要な転写電圧が印加できなくなる場合がある。また、1×1013Ωcmを超える場合には、電荷の除去が十分にできないなどの問題が発生する場合がある。
本発明における基材は上述の引張り弾性率及び抵抗率を有していれば、その材料には特に制限はないが、これらの硬度や体積抵抗率は、下記の樹脂材料の選択、及び、導電剤や無機フィラー等の添加剤の量により調整することができる。
基材に用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアミド(PA)等が挙げられる。これらは単独で若しくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、上述した、電荷輸送層、電荷生成層、弾性層、接着層を被覆乾燥する時の乾燥温度による影響がなく、構成強度と屈曲疲労性の両面に優れている点で、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン成分と、を有機極性溶媒中で反応させて得られるものである。芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルポキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルポキシフェニル)ヘキサフオロプロパン等があり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でもよい。また、芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、m−フェニルジアミン、p−フェニルジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4’−ジアミノナフタレビフェニル、ベンジジン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(オキシ−p,p’−ジアニリン;ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミンフェニル)プロパン等が挙げられる。また、上記有機極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を挙げることができる。
これらの有機極性溶媒には、必要に応じて、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類を混合することができ、これらの溶剤も、単独で、又は2種類以上の混合物として用いられる。
(導電剤)
本発明における基材は、上記の電気抵抗を得るために、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。
電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニュウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。また、イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤がある。
更には、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニユム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、更には、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。上記、導電剤又は導電性ポリマー、又は、界面活性剤を1種又は2種以上を組み合わせ用いることによって、前記した電気抵抗を安定して得ることができる。
本発明における導電剤としては、樹脂組成物中への分散性がよく、良好な分散安定性が得られ、抵抗バラツキを小さくすることができると共に、電界依存性も小さくなり、更に、転写電圧による電界集中がおきずらくなることにより電気抵抗の経時での安定性が向上することから、pH5以下の酸性カーボンブラックが好ましい。
pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分の含有量が1〜25%であることが好ましく、3〜20%であることがより好ましく、3.5〜15%含まれていることが更に好ましい。前記揮発成分の含有量が1%未満である場合には、外に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下する場合がある。一方、前記揮発成分の含有量が25%より高い場合には、樹脂組成物に分散させる際に分解してしまう場合や、外の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、本発明における基材の外観が悪くなる場合がある。
これに対し前記揮発成分の含有量を1〜25%とすることで、前記樹脂組成物中への分散をより良好とすることができる。尚、前記揮発成分の含有は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
本発明の中間転写体における基材には、カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば、酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば、高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して電気抵抗を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類にpH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、基材中のカーボンブラックの量が多くなるため、前記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
本発明における基材に対する前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックの含有量としては、上記の好ましい電気抵抗を満たすことができればよいが、具体的には、10〜30質量%であると、中間転写体の表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果が発揮できるため、好ましい。前記pH5.0以下の酸性カーボンブラックが10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる場合がある。一方、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックの含有量が30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる場合がある。更に、前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを18〜30質量%含有させることがより好ましい。前記pH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを18〜30質量%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、抵抗の面内ムラや電界依存性を少なくさせることができる。
[中間転写体の体積抵抗率]
本発明の中間転写体における光導電層は、光が照射されない状態では誘電体であることから、上述したように、体積抵抗率は1×1013Ωcm以上、好ましくは1×1014Ωcm以上である。また、光が照射された状態では、抵抗率が変化して、導電性を示す。
一方、光導電層が電荷輸送層及び電荷生成層からなる場合には、光が照射されない状態では、電荷輸送層が誘電体として機能することから、上述したように、体積抵抗率は1×1013.5Ωcm以上、好ましくは1×1014Ωcm以上である。また、光が照射された状態では、電荷生成層が電荷を発生することから、抵抗率が変化して、導電性を示す。
なお、本発明の中間転写体の体積抵抗率は、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント社製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図を用いて説明する。図2は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に中間転写体1を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(3)により、中間転写体1の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(3)中、tは、中間転写体1の厚さを示す。
式(3) ρv=19.6×(V/I)×t
[中間転写体の表面抵抗率]
また、本発明の中間転写体は、体積抵抗率と同様にブラー発生の観点から、表面抵抗率が1×1013Ω/□以上であることが好ましく、1×1014Ω/□以上であることがより好ましい。
また、本発明の中間転写体の表面抵抗率も、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント社製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定することができる。ここで用いられる円形電極は、上記図2に示されるものと同様のものを用いることができる。
表面抵抗率の測定は、第一電圧印加電極A’の円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と、板状絶縁体B’と、の間に中間転写体1を挟持した状態で、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’とリング状電極部D’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(4)により、中間転写体1の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。
なお、中間転写体の外周面(或いは内周面)の表面抵抗率を測定する場合には、外周面(或いは内周面)が円柱状電極部C’及びリング状電極部D’に接するように中間転写体1を配置する。
式(4) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
ここで、上記式(4)中、d(mm)は円柱状電極部C’の外径を示し、D(mm)はリング状電極部D’の内径を示す。
なお、上記体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法は、上述した基材の体積抵抗率及び表面抵抗率を測定する際にも適用することができる。
[中間転写体の厚み]
本発明の中間転写体を中間転写ベルトとして使用する場合、その厚みは、総厚みで0.03〜1.0mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.8mmの範囲内であることがより好ましく、0.1〜0.5mmの範囲内であることが更に好ましい。
総厚みが0.03mm未満の場合には、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮みが大きくなり、良好な画質を安定して得ることができない場合がある。また、総厚みが1.0mmを超える場合には、駆動系ロール等のベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られない場合がある。また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断する等の問題が生じる場合がある。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、中間転写体方式の画像形成装置であり、当該中間転写体として上述の本発明の中間転写体を用い、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材ヘ転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えていれば、他の構成は特に限定されるものではない。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラーの画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等のいずれでもよい。
また、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体を備える構成であってもよい。その際、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体のうち少なくとも1つが、上述の本発明の中間転写体であればよく、全てが本発明の中間転写体であることが好ましい。
本発明における「転写材」とは、中間転写体の表面のトナー像を、記録用紙やOHPシート等の記録材に間接的に転写する際に用いる中間転写体、或いは、直接的に転写する場合に用いる前記記録材の両方を意味する。従って、本発明の画像形成装置は、例えば、本発明の中間転写体の表面に形成されたトナー像を、更に別の中間転写体(転写材)に転写するというような、複数の中間転写体を備える構成であってもよい。この際も、本発明の画像形成装置は、複数の中間転写体のうち少なくとも1つが、上述の本発明の中間転写体であればよく、全てが本発明の中間転写体であることが好ましい。
なお、後述する、図3及び4を参照して説明する画像形成装置においては、「転写材」は記録材である。
一例として、表面層が光導電層により構成される本発明の中間転写体を中間転写ベルトとして用いた、順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。
図3は本発明を適用する画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。該画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム21、中間転写体としての中間転写ベルト22、中間転写ベルト22を除電する除電ランプ91(光除電手段)、転写電極であるバイアスローラ23(第二転写手段)、転写媒体である記録紙を供給する用紙トレー24、Bk(ブラック)トナーによる現像器25、Y(イエロー)トナーによる現像器26、M(マゼンタ)トナーによる現像器27、C(シアン)トナーによる現像器28、中間転写体クリーナ29、剥離爪33、ベルトローラ41、43及び44、バックアップローラ42、導電性ローラ45(第一転写手段)、電極ローラ46、クリーニングブレード51、記録紙61、ピックアップローラ62、並びにフィードローラ63を有してなる。なお、図3に示される中間転写ベルト22が上述した本発明の中間転写体である。
次に、図3に示す画像形成装置の構成について説明する。感光体ドラム21の周囲には、これに近接し矢印A方向に沿って、ブラック現像器25、イエロー現像器26、マゼンタ現像器27、シアン現像器28が順次配置されている。また、感光体ドラム21に対して、これら4色の現像器が配置された側と反対側に、中間転写ベルト22を挟んで導電性ローラ45が、感光体ドラム21と圧接するように配置されている。
中間転写ベルト22は、その内周面に接して矢印B方向に順次配置された導電性ロール45、ベルトローラ41、ベルトローラ43、バックアップローラ42、ベルトローラ44により張架されており、中間転写ベルト22を挟んで、ベルトローラ44の反対側には中間転写体クリーナ29が配置されている。また、中間転写ベルト22の、バックアップローラ42とベルトローラ44とにより張架された部分の外周面に接触するように剥離爪33が配置されている。
加えて、ベルトローラ44と導電性ロール45との間の中間転写ベルト22の外周面側には除電ランプ91が設置されており、また、その内周部に当接するように、アースされた(不図示)除電用導電部材90が設置されている。
バックアップローラ42は、中間転写ベルト22を介して、バイアスローラ23と圧接しており、用紙61が、バックアップローラ42(に押圧された中間転写ベルト22)とバイアスローラ23との間を挿通可能である。バイアスローラ23の周囲には、この表面に接触するようにクリーニングブレード51が設けられている。また、バックアップローラ42のバイアスローラ23が配置された側のほぼ反対側に、バックアップローラ42と接して電極ローラ46が配置されている。
バックアップローラ42とバイアスローラ23との間を用紙61が通過する方向には、一対のお互いに接触したフィードローラ63が配置され、2つのフィードローラ63の間を用紙61が挿通可能である。また、一対のフィードローラ63の、バックアップローラ42及びバイアスローラ23が設けられた側の反対側には、用紙61をストックした用紙トレイ24と、用紙トレイ24から用紙61を一対のフィードローラ63の接触部に供給するピックアップローラ62が配置されている。
次に、図3に示す画像形成装置を用いた画像形成について説明する。まず、感光体ドラム21は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム21にレーザー書込み装置等の画像書き込み手段により第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像はブラック現像器25によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム21の回転で導電性ローラ45(第一転写手段)が配置された一次転写部に到り、導電性ローラ45からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより、前記トナー像Tは、静電的に中間転写ベルト22に吸着されつつ中間転写ベルト22の矢印B方向の回転で一次転写される。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、中間転写ベルト22において重ね合わされ、多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト22に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト22の回転でバイアスローラ23(第二転写手段)が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、中間転写ベルト22のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスローラ23と該中間転写ベルト22の裏側からバイアスローラ23に対向するように配置されたバックアップローラ42及びこのバックアップローラ42に圧接して回転する電極ローラ46から構成される。
記録紙61は、用紙トレー24に収容された記録紙束からピックアップローラ62で一枚ずつ取り出され、フィードローラ63で二次転写部の中間転写ベルト22とバイアスローラ23との間に所定のタイミングで給送される。給送された記録紙61は、バイアスローラ23及びバックアップローラ42による圧接搬送と中間転写ベルト22の回転により、該中間転写ベルト22に担持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録紙61は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪33を作動せることにより中間転写ベルト22から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。尚、多重トナー像の記録紙61への転写の終了した中間転写ベルト22は、二次転写部の下流に設けた中間転写体クリーナ29で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスローラ23は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード51が常時当接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト22と感光体ドラム21との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。前記二次転写部では、バイアスローラ23と中間転写ベルト22を介して対向配置したバックアップローラ42に圧接した電極ローラ46に、トナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、該トナー像を記録紙61に静電力で転写する。2次転写後の中間転写ベルト22上の電荷は、除電ランプ91により光導電層(表面層)に光を照射して導電性を発現させることで、光除電される。
以下、本発明の中間転写体である中間転写ベルト22を用いた転写機構と、中間転写ベルト22の除電機構について、再び、図3を参照して、より詳細に説明する。
図3に示される中間転写ベルト22は、画像形成装置の感光体ドラム21表面に接触する1次転写領域Q1、記録紙61に接触する2次転写領域Q2、及び、除電ランプ91による除電領域Q3を順次通過するように矢印B方向に回転移動する。ここで、1次転写領域Q1及び2次転写領域Q2を通過時の中間転写ベルト22は光照射されず、誘電体の状態である。中間転写ベルト22は、1次転写領域Q1の通過時に、感光体ドラム21表面のトナー像が1次転写され、1次転写されたトナー像が2次転写領域Q2の通過時に記録紙61に2次転写される。
このように、本発明の中間転写体である中間転写ベルト22は、その表面層が、光が照射されない状態では誘電体であり体積抵抗率が高いので、1次転写及び2次転写する際には誘電体(絶縁体)の状態で転写を行うことができる。この際、中間転写ベルト22の表面層(光導電層)の表面に沿った電荷の移動が少ないので、1次転写領域Q1及び2次転写領域Q2において、トナー像の飛散の少ない良好な転写を行うことができる。
二次転写領域Q2を通過後、中間転写ベルト22の表面電位が残っている状態で次の画像の1次転写工程を行うと、蓄積した電荷の不均一さによる1次転写ムラの発生により画像のにじみ、飛び散り、太り等の乱れが発生してしまう。更には、中間転写ベルト22の表面の除電機構が無く、2次転写後も電荷が蓄積していった場合、1次転写、2次転写を繰り返す毎に電荷が蓄積され中間転写ベルト22の表面電位が過剰に高い値となり、そのために、次の画像での必要な1次転写電圧も非常に高くなってしまう。
このため2次転写後には、中間転写ベルト22に蓄積した電荷を均一にある一定レベル以下とすることが必要となる。ここで、ある一定レベルとは、感光体ドラム21の表面電位、トナー帯電量、前転写領域の形態等に応じて定まるレベルである。
本発明において、光導電層を表面層として備えた中間転写体を中間転写ベルト22として用いたことから、中間転写ベルト22の表面電荷は、2次転写後に除電ランプ91により光照射することで、蓄積した電荷を容易に光除去することができる。これは、中間転写ベルト22内の光導電性物質が光を吸収して発生した自由キャリアが、表面に存在する対向する電荷を中和させることによるものである。除電ランプ91については、光導電層に添加されている光導電性物質の光感度領域波長の光源を有しているものであればよく、その強度、光除電位置は随時決めていけばよい。除電ランプ91としては、例えば、赤色光LEDを用いることができる。除電用導電部材90としては、体積抵抗率が1×103Ω以下であればロール状、ブレード状、ブラシ状の形態及び材質は問うものではない(例えば、金属ロール等)。
以上のことから、上述の構成の本発明の画像形成装置は、中間転写ベルト22として本発明の中間転写体を用いていており、更に、中間転写ベルト22の残電荷を容易に除去可能な除電ランプ91(光除電手段)をも有するため、トナーの飛び散りによる画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
次に、本発明の中間転写体からなる中間転写ベルトを備え、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体をこの中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置について図面を用いて説明する。
図4は本発明の画像形成装置の他の例を示す概略模試図である。図4に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、バックアップロール73、テンションロール74、2次転写ロール75、用紙経路76、用紙トレイ77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの1次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナ82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナ84、現像器85、中間転写ベルト86、中間転写ベルト86を除電する除電ランプ91(光除電手段)等を主用な構成部材として含んでなる。なお、図4に示す画像形成装置において、本発明の中間転写体は中間転写ベルト86として用いられる。
次に、図4に示す画像形成装置の構成について順次説明する。まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体クリーナ84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置78が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と1次転写ロール80とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、バックアップロール73、テンションロール74、及び駆動ロール81により張架されている。なお、4つの1次転写ロール80はテンションロール74と駆動ロール81との間に位置する。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナ82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト86を介してバックアップロール73の反対側には用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール75が、バックアップロール73に対して圧接するように設けられている。バックアップロール73と駆動ロール81との間の中間転写ベルト86の外周面側には除電ランプ91が設置されており、内周面に当接するように、アースされた除電用導電部材90が設置されている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする用紙トレイ77が設けられ、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して2次転写部を構成するバックアップロール73と2次転写ロール75との圧接部を通過するように供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙は更に1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
次に、図4の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印C方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナ84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写体86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール75により、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録用紙表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
2次転写部を通過した中間転写ベルト86は、矢印C方向に更に進み、除電ランプ91と除電用導電部材90とにより蓄積した電荷が、除電される。その後、更に、転写クリーナ82により外周面がクリーニングされた後に次のトナー像の転写に備える。
なお、中間転写ベルト86に蓄積した電荷は、上述した中間転写ベルト22の電荷の除電機構と同様に、除電ランプ91による光除電に加え、除電用導電部材90による中間転写ベルト86の外への電荷の排出により、除電されることが好ましい。ここで用いられる除電ランプ91及び除電用導電部材90は、上記図3に示される画像形成装置における除電ランプ91及び除電用導電部材90と同様である。
更に、図4に示される画像形成装置においても、除電ランプ91としては、例えば、赤色光LEDを用いることができる。また、除電用導電部材90は、体積抵抗率が1×103Ω以下であればロール状、ブレード状、ブラシ状の形態及び材質は問うものではない(例えば、金属ロール等)。
以上のことから、構成のタンデム式の画像形成装置においても、中間転写ベルト86として本発明の中間転写体を用いていており、更に、中間転写ベルト86の電荷を容易に除去可能な除電ランプ91(光除電手段)をも用いているため、トナーの飛び散りによる画質欠陥が著しく少なく、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
更に、本発明の中間転写体を、画像形成装置内の中間転写ベルトとして組み込んで利用する場合には、トナーとして球形トナーを用いることが好ましい。トナーとして球形トナーを用いることにより、転写面を構成する材料が、表面硬度が低く、かつ高体積抵抗であることによって、画質欠陥(ホロキャラクター、ブラー、カラーレジ)のない高品質の転写画質を得ることができる。
ただし、当該球形トナーとは、その形状係数(SF)が、140〜100であることを意味する。該形状係数としては、130〜100以下であることが好ましく、120〜100以下であることがより好ましい。この平均形状係数(SF)が140より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
ここで、前記形状係数(SF)は、下記の式(1)で規定される係数である。
式(1)
(SF)=[(トナー粒子の絶対最大長)2×π×100]/[(トナー粒子の投影面積)×4]
なお、トナー粒子の絶対最大長、及び、トナー粒子の投影面積の測定は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いてスライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、画像処理することにより実施した。
球形トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球形トナーの体積平均粒子径は、2〜12μmの粒子であり、好ましくは2.5〜9μmの粒子であり、更に好ましくは3〜6μmを用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして挙げられる。
球形トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒子径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機或いは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、メタチタン酸、酸化亜鉛、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなるため有効である。
球形トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、球形トナーを得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球形トナーをコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球形トナー及び外添剤をヘンシェルミキサー或いはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球形トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
<実施例1>
[ベルト状基材の作製]
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとをN−メチル−2−ピロリドン中で合成した20%濃度のポリイミド前駆体溶液を用意し、その中にカーボンブラック(SPECIAL BLACK 4(Degussa社製)を23部添加し、衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、分散液を得た。かかる分散液に界面活性剤(楠本化成(株)社製ディスパロン LS−009)を15,000ppm添加して基材用カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(A)を得た。
次いで、基材用カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(A)を、外径168mmの円筒状金型へ塗布後、乾燥、イミド化を行い、厚みが80μmの無端ベルト状の基材を得た。
得られた基材の引張り弾性率は3,800MPaであり、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1012Ω/□であった。
なお、基材の引張り弾性率は、JIS K 7127に準拠し、AIKOH ENGINEERING CO., LTD. 製FA1015Aを用いて測定した。また、測定には、基材を短冊状(5mm×40mm)に切断したものを用い、試験スピード20mm/minの条件により行った。
[弾性層の形成]
カーボンブラックを分散した液状ポリウレタン(日本合成化工社製)を、円筒状金型の外周を覆うように被覆した前記無端ベルト状の基材上へ塗布し、焼付け・加硫を行い、弾性層を作製した。
得られた弾性層の厚みは1mm、JIS−A硬度は45°であった。また、弾性層付き基材の体積抵抗率は109.5Ωcmであった。
なお、弾性層のJIS−A硬度は、JIS K 6253(1997)に準拠して、島津製作所製デュロメータ タイプAを用いて測定した。また、測定には、弾性層をシート状にしたものを用いた。
[電荷生成層の形成]
次に、電荷発生物質として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)10部、n−ブチルアルコール300部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液を電荷生成層用塗布液として、上記弾性層表面に浸漬塗布し、乾燥し膜厚0.2μmの電荷生成層を形成した。
[電荷輸送層の形成]
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2部とN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2部とビスフェノールZポリカーボネート(重量平均分子量79,000)6部とに、テトラヒドロフラン80部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2部を加えて溶解した。
得られた液を電荷輸送層用塗布液として、上記電荷生成層表面に浸漬塗布し、120℃40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
これにより、図1(A)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体1を得た。
<実施例2>
実施例1において、電荷輸送層で用いる結着樹脂の重量平均分子量を40,000に変更にした以外は、実施例1と同様にして実施例2の中間転写体2を得た。
<実施例3>
実施例1において、無端ベルト状の基材と電荷生成層との間に、下記に示す弾性層と、接着層と、をこの順に設けた他は、実施例1と同様にして、実施例3の中間転写体3を作製した。
[弾性層の形成]
カーボンブラックを分散した未加硫クロロプレン(興国インテック社製)からなるシートをプレス加工により作製した。そして、未加硫クロロプレンシートを、円筒状金型の外周を覆うように被覆した前記無端ベルト状の基材(実施例1と同じもの)上へ巻きつけた状態で加熱して、加硫・接着して、弾性層を作製した。
得られた弾性層の厚みは1.0mm、JIS−A硬度(実施例1と同様の方法で測定)は55°であった。また、弾性層付き基材の体積抵抗率は109.5Ωcmであった。
[接着層の形成]
Luckamide 5003(大日本インキ化学工業(株)社製)をMeOH/n−BuOH/H2O混合溶媒(MeOH:n−BuOH:H2O=1:2.5:4(質量比))に対して10部添加し、加熱攪拌を行い、塗布液とした。
上記弾性層表面に、浸漬塗布法により塗布し、100℃10分の乾燥硬化を行い、膜厚1〜1.5μmの接着層を形成した。
これにより、図1(C)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体3を得た。
<実施例4>
実施例3において、電荷輸送層で用いる結着樹脂の重量平均分子量を40,000に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例4の中間転写体4を作製した。
<実施例5>
[ベルト状基材の作製]
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとをN−メチル−2−ピロリドン中で合成した20%濃度のポリイミド前駆体溶液を用意し、その中にカーボンブラック(SPECIAL BLACK 4(Degussa社製)を23部添加し、衝突型分散機(ジーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、分散液を得た。かかる分散液に界面活性剤(楠本化成(株)社製ディスパロン LS−009)を15,000ppm添加して基材用カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(B)を得た。
次いで、基材用カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(B)を、外径168mmの円筒状金型へ塗布後、乾燥、イミド化を行い、厚みが80μmの無端ベルト状の基材を得た。
得られた基材の引張り弾性率(実施例1と同様の方法で測定)は2,450MPaであり、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1012Ω/□であった。
[弾性層の形成]
カーボンブラックを分散した液状ポリウレタン(日本合成化工社製)を、円筒状金型の外周を覆うように被覆した前記無端ベルト状の基材上へ塗布し、焼付け・加硫を行い、弾性層を作製した。
得られた弾性層の厚みは1mm、JIS-A硬度(実施例1と同様の方法で測定)は45°であった。また、弾性層付き基材の体積抵抗率は109.5Ωcmであった。
[電荷生成層の形成]
次に、電荷発生物質として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に明瞭な回折ピークが得られるヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としてのブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)10部、n−ブチルアルコール300部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液を電荷生成層用塗布液として、上記弾性層表面に浸漬塗布し、乾燥し膜厚0.2μmの電荷生成層を形成した。
[電荷輸送層の形成]
次に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2部とN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン2部とビスフェノールZポリカーボネート(重量平均分子量79,000)6部とに、テトラヒドロフラン80部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2部を加えて溶解した。
得られた液を電荷輸送層用塗布液として、上記電荷生成層表面に浸漬塗布し、120℃40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
これにより、図1(A)に記載の層構成を有する本発明の中間転写体5を得た。
<実施例6>
実施例5において、電荷輸送層で用いる結着樹脂の重量平均分子量を40,000に変更した以外は、実施例5と同様にして実施例6の中間転写体6を作製した。
<比較例1>
実施例1の基材のみの構成で中間転写体7を得た。
上記実施例1〜6、及び比較例1の評価結果を表1に示す。
Figure 2005309361
<転写画質の評価>
得られた中間転写体1〜7のそれぞれを、図3に示す画像形成装置とほぼ同様な構成の富士ゼロックス(株)DocuColor1255CPに、中間転写ベルト22として装着し、更に、中間転写ベルト22の除電手段として、除電ランプ91及び除電用導電部材90も図3に示すように装着した。ここで、除電ランプ91としては、赤色光LEDを用いた。除電用導電部材90としては、体積抵抗を106Ωに調整してなる導電剤を分散してカーボンブラック分散のエピクロルヒドリンゴムロールを用いた。
このような画像形成装置を用い、22℃55%RH環境下において2次転写による転写画質について評価した。
トナーとしては、形状係数(SF)125、体積平均粒子径5.5μmの球形トナーを用いた。
また、プリントサンプルは、画像パターンとして、1枚の中には、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各単色、2次色、3次色の2cm角大のソリッド、及びライン画像で構成されている。
(評価結果)
実施例1〜6の中間転写体1〜6を用いた場合は、1枚目のプリントサンプルにおいて、濃度ムラやブラー(トナーの飛び散り)の無い均一な画像が得られた。
ここで、2次転写直後では、中間転写ベルト22の表面電位は、−300V〜−400V程度の画像パターンに応じていると思われる表面電位ムラがあったが、除電ランプ91の点灯照射後に、除電用導電部材90による除電が行なわれると、中間転写ベルト22の表面電位は−10V〜−30Vの間で、ほぼ均一となった。
続いて、2枚目のプリントサンプルにおいても、濃度ムラやブラー(トナーの飛び散り)の無い均一な画像が得られた。また、同様に、連続して、10000枚出力したが、濃度ムラ、ブラー(トナーの飛び散り)の無い良好な画像が得られた。
比較例1の中間転写体7を用いた場合は、1枚目のプリントサンプルにおいては、濃度ムラやブラー(トナーの飛び散り)の無い均一な画像が得られた。しかし、2次転写直後では中間転写ベルト22の表面電位は−300V〜−400V程度の画像パターンに応じていると思われる表面電位ムラがあり、2枚目のプリントサンプルにおいては、濃度ムラが発生し、連続で画質評価はできなかった。
<色点の評価>
色点の評価には、上記転写画質の評価と同じ画像形成装置であって、そのK色トナーボトルに、カーボンファイバー(東レ製トレカMDL300/φ6μm)を質量比1/1000(=カーボンファイバー/トナー)で混入させたものを用いた。そして、この画像形成装置において、22℃55%RH環境下において感光体ドラム周長と同じ画像長さの50%ハーフトーンと、白紙(画像なし)と、を交互に単色モードで合計30枚プリントした。30枚目(最後)の白紙において、感光体ドラム一周分の領域でのカーボンファイバーが1次転写のニップ域へ混入することによって発生する、色点発生数を測定した。
(評価結果)
実施例1〜6の中間転写体1〜6を用いた場合は、色点は未発生であったが、比較例1の中間転写体7を用いた場合は、一面に色点が発生し、実用上問題があるレベルであった。
<クラックの評価>
転写画質の評価における環境を、低温低湿度環境下(10℃、15%RH)にした以外は転写画質の評価と同条件でクラックの評価を行った。
(評価結果)
実施例1、3、5の中間転写体1、3、5を用いた場合は、連続20000枚の画質サンプル出力に対してクラックの発生も無く、良好な画質サンプルが得られた。また、実施例2、4、6の中間転写体2、4、6を用いた場合は、連続10000枚の画質サンプル出力に対して、クラックがわずかに発生していた。
尚、比較例1の中間転写体7を用いた場合は、クラックの発生はなかったが、中間転写ベルト上での表面電位ムラに起因する濃度ムラが2枚目のサンプル出力後に発生したため、評価ができなかった。
本発明の中間転写体の構成例を示す概略断面図であり、(A)〜(D)は本発明の中間転写体100a〜100dの構成を示す概略断面図である。 円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。 本発明を適用する画像形成装置の要部部分を説明する模試図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す概略模試図である。
符号の説明
1 …中間転写体、
21 …感光体ドラム(像担持体)、
22 …中間転写ベルト(中間転写体)、
23 …バイアスローラ(第二転写手段)、
24 …用紙トレー、
25 …ブラック現像器、
26 …イエロー現像器、
27 …マゼンタ現像器、
28 …シアン現像器、
29 …中間転写体クリーナ、
33 …剥離爪、
41 …ベルトローラ、
42 …バックアップローラ、
43 …ベルトローラ、
44 …ベルトローラ、
45 …導電性ローラ(第一転写手段)、
46 …電極ローラ、
51 …クリーニングブレード、
61 …記録紙、
62 …ピックアップローラ、
63 …フィードローラ、
71 …トナーカートリッジ、
72 …定着ロール、
73 …バックアップロール、
74 …テンションロール、
75 …2次転写ロール、
76 …用紙経路、
77 …用紙トレイ、
78 …レーザー発生装置、
79 …感光体、
80 …1次転写ロール、
81 …駆動ロール、
82 …転写クリーナ、
83 …帯電ロール、
84 …感光体クリーナ、
85 …現像器、
86 …中間転写ベルト(中間転写体)、
90 …除電用導電部材、
91 …除電ランプ、
100a〜100d …中間転写体、
110 …基材、
120 …弾性層、
130 …光導電層、
132 …電荷生成層、
134 …電荷輸送層、
136 …表面保護層、
140 …接着層、
T …トナー、
Q1 …1次転写領域、
Q2 …2次転写領域、
Q3 …除電領域

Claims (8)

  1. 引張り弾性率が2000MPa以上である基材と、該基材上に設けられ、硬度がJIS−Aにて30〜60°である弾性層と、該弾性層上に設けられる光導電層と、を有することを特徴とする中間転写体。
  2. 前記光導電層中に含有する結着樹脂として、重量平均分子量が70,000以上の物質を主に用いることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記基材と前記弾性層との間に、接着層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写体。
  4. 前記光導電層が、電荷生成層と、該電荷生成層上に設けられる電荷輸送層と、を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記基材がポリイミド樹脂から構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 表面抵抗率が1×1013Ω/□以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の中間転写体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の中間転写体と、該中間転写体の表面に形成されたトナー像を転写材ヘ転写した後に、当該中間転写体の表面を光照射により除電する光除電手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記トナーの下記式(1)で規定される形状係数(SF)が、140〜100である球形トナーを用いることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
    式(1)
    (SF)=[(トナー粒子の絶対最大長)2×π×100]/[(トナー粒子の投影面積)×4]
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