JP2007178471A - 円筒状部材及びその製造方法、並びに画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が高くかつ抵抗均一性及び耐折れ性の良好な円筒状部材を提供する。
【解決手段】ポリアミドイミド樹脂と、pH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックとを含有し、該酸化処理カーボンブラックの含有量が、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であり、10Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が100回以上であることを特徴とする円筒状部材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の静電複写方式を用いた画像形成装置に用いるポリアミドイミド製円筒状部材及びその製造方法、並びに画像形成装置に関する。
静電複写方式を用いた画像形成装置は、光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
例えば、上記トナー像を中間転写体を介して静電的に転写することにより所要の再生画像を得る場合の画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
前記の中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる中間転写体材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリアルキレンフタレートなどの熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトやポリイミド樹脂や全芳香族ポリアミド樹脂を用いる提案がなされている。
中でも、全芳香族ポリイミド樹脂は強度が強いため転写部材に好んで用いられているがコストが高いという問題がある。コストを下げるためにアミド基を導入したポリアミドイミド樹脂を用いることが知られており、下記の特許文献2では、ポリアミドイミドを使ったベルトは耐クリープ性が良いことと、ポリイミド樹脂に比して加熱収縮が無いことが利点として挙げられているが抵抗均一性を得るためには最低3時間以上の加熱時間が必要であり、生産性に問題があった。同様に、下記特許文献3に記載のポリアミドイミド樹脂にpH4で揮発分率3.5%のカーボンブラックを18質量%(22phr)混合したものでは9時間を要している。
また、下記特許文献4のpH3で揮発分率が14%のカーボンブラックを18phrポリアミドイミド樹脂にホモジナイザー及び超音波で混合したものでは、2時間と工程時間が短くなっているが抵抗ばらつきが大きいこと、またこの混合方法では30phr以上分散した場合にはバインダー樹脂本来の機械特性が失われることが記載されている。
また、下記特許文献5にポリアミドイミド樹脂にph8で揮発分率が0.5のカーボンブラックを20phr混合し100MPaの圧力でスタティックミキサを通過させたものが例示されているが本発明者らのテストでは抵抗均一性が悪くかつ表面性も悪いため静電複写用円筒部材として使用できなかった。
一方、ポリアミドイミド樹脂はポリイミド樹脂に比べると耐折れ性が悪く使用しているうちに破断するという問題がある。下記特許文献6においては引っ張り弾性率が15000Kgf/cm以上の熱可塑性樹脂(ポリアミドイミド樹脂も含まれる)にポリアルキレンテレフタレートを添加することで耐折れ性に優れたベルトが得られることが記載されているが、この組み合わせで円筒状部材を作製するためには形状精度や膜厚精度の劣った押出し成形が必要であり、静電複写用円筒状部材として用いるのは困難である。
特開昭62−206567号公報 特許第3218199号 特開2000−338789号公報 特開2000−309712号公報 特開2001−265130号公報 特開平2001−34083号公報
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、生産性が高くかつ抵抗均一性及び耐折れ性の良好な円筒状部材及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、高画質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは前記従来の問題点に対し鋭意検討した結果、ポリアミドイミド樹脂へpH5以下かつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックを30phr以上50phr以下添加することで抵抗均一性が改善されることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
<1> ポリアミドイミド樹脂と、pH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックとを含有し、該酸化処理カーボンブラックの含有量が、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であり、10Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が100回以上であることを特徴とする円筒状部材である。
<2> 前記ポリアミドイミド樹脂が溶剤可溶型ポリアミドイミドである前記<1>に記載の円筒状部材である。
<3> 表面抵抗率常用対数値の面内バラツキ幅が0.3以下である前記<1>または<2>に記載の円筒状部材である。
<4> さらに弾性材料を含有する前記<1>または<2>に記載の円筒状部材である。
<5> 前記弾性材料が溶剤可溶型の熱可塑性エラストマーである前記<4>に記載の円筒状部材である。
<6> 前記<1>〜<5>のいずれかに記載の円筒状部材を備える画像形成装置である。
<7> 溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂とpH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックを混合する際に、150MPa以上の圧力でオリフィスを通過させるとともに、衝突させる工程を有することを特徴とする円筒状部材の製造方法である。
本発明によれば、生産性が高くかつ抵抗均一性及び耐折れ性の良好な円筒状部材及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、高画質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の円筒状部材は、ポリアミドイミド樹脂と、pH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックとを含有し、該酸化処理カーボンブラックの含有量が、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であり、10Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が100回以上であることを特徴としている。
以下、まず本発明の円筒状部材及びその製造方法について説明する。
<円筒状部材及びその製造方法>
本発明の円筒状部材は、ポリアミドイミド樹脂を主体として構成されおり、pH5以下でかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックの含有量が、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であり、10Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が100回以上であることを特徴としている。本発明においては、pH5以下かつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラック使用するのは、表面の官能基により分散しやすいためであり、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下と多量に添加し酸化処理カーボンブラックの偏在をなくすことで抵抗均一性が良くかつ生産性の良い円筒状部材が得られる。また、ポリアミドイミド樹脂は低コストであるだけでなく、アミド基があるためにカーボンの分散性がよく、ポリイミド製円筒状部材よりもカーボン充填量を増やすことができ、より一層抵抗バラツキの小さな円筒状部材を得ることができる。
−ポリアミドイミド樹脂−
ポリアミドイミド樹脂としては、種々の公知のものを用いることができるが、溶剤可溶型のポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。当該ポリアミドイミドの溶剤としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。なお、ポリアミドイミド樹脂の溶液の濃度、粘度等は、適宜選択されるが、固形分濃度は10〜40質量%、粘度は1〜1000Pa・sであることが好ましい。
−酸化処理カーボンブラック−
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、密閉式のファーネス法によって製造されたものに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、本発明に含まれるとみなす。
本発明において、酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5以下であるが、好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下である。pH5以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が、あるので、樹脂中への分散性が良く良好な分散安定性が得られ、半導電性ポリイミド無端ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起きづらくなる
ここで、pHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
本発明において、酸化処理カーボンブラックは、その揮発分率が5%以上15%以下(好ましくは7%以上15%以下である。)である。揮発分率が5%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下することがある。一方、15%より高い場合には、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるなどの問題が生じることがある。従って、揮発分を上記範囲とすることで、結着樹脂中への分散をより良好とすることができる。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることが出来る。
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
本発明において、以上の酸化処理カーボンブラックの配合量は、既述のように、30質量部以上50質量部以下としているが、50質量部を超えて配合すると樹脂の柔軟性が失われるため伸びや引き裂き等の物性値が悪くなり、円筒状部材として使用すると割れが発生してしまう。30質量部未満では、表面抵抗のばらつきが大きくなってしまったり、半導電領域に表面抵抗率を制御できなくなったりする場合がある。当該酸化処理カーボンブラックの配合量は、30質量部以上40質量部以下であることが好ましく、30質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。
本発明の円筒状部材は、中間転写体として用いる場合には、表面抵抗率で1×10Ω/□〜1×1013Ω/□の抵抗率を持つ必要がある。抵抗率がこれらの値より低いと転写電流が多くなり、トナーに電荷注入による転写不良が生じ、高い場合には転写電流が小さくなりすぎトナーを転写できなくなるためである。
また、転写部材搬送用円筒部材として用いるときには転写材を電気的引力により搬送する必要があるため、1×10Ω/□〜1×1014Ω/□である必要がある。
このように静電複写装置用円筒状部材として使用する場合には、電界をかけてトナーの移動を行なうため抵抗の均一性が必要であり、ばらつきが大きくなると濃度ムラを生じる。抵抗のバラツキ幅はベルト内の表面抵抗率最大値を最小値で割った値の対数値をとったときに0.3以内であることが望ましい。
本発明の円筒状部材においは、上記抵抗制御に寄与するカーボンブラックを上記特定量含有するために、当該カーボンブラックの平均粒子径が、500nm以下であることが好ましい。このカーボンブラックの粒子径が大きすぎると皮膜がもろくなり機械的強度が落ちることがある。
ここで、カーボンブラックの平均粒子径は、大塚電子製の動的光散乱式測定器PAR−IIIを用いて測定を行った。測定条件はclock rate:100μs、accumulate time:10回、correlate ch:128、温度:20℃、溶媒:NMPである。
本発明の円筒状部材は、MIT試験による耐折回数は100回以上である。本発明において、該MIT試験法による耐折回数の測定は、JIS P8115(2001)に準拠(JIS P8115(2001)における「紙及び板紙」を「ポリアミドイミドフィルム」に読みかえる)する方法である。該耐折回数を100回以上とするためには、ポリアミドイミドに含有させる酸化処理カーボンブラックのpHを5以下、揮発分率を5%以上15%以下、含有量をポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下の範囲に制御し、部材の作製時に150MPaの圧力でポリアミドイミド樹脂溶液と酸化処理カーボンブラック溶液とを衝突させればよい。衝突の圧力を大きくするほど、耐折回数を大きくすることができる。
本発明において、前記耐折回数は好ましくは200回以上であり、より好ましくは1000回以上である。
本発明においては、さらに、耐折回数をさらに向上させるには、弾性材料を含有することが好ましい。柔軟な弾性材料を添加することによりポリアミドイミド樹脂に加わるストレスを低減することができるとともに、屈曲性を向上させることができ、形状精度の優れた耐折れ性の良い円筒状部材を得られる。このような弾性材料としては、溶剤可溶型の熱可塑性エラストマーであることが好ましい。アミド系溶剤可溶型の弾性体としては100%モジュラスが40Mpa以下のものであることが望ましく、ウレタン系、アミド系やスチレン系の熱可塑性エラストマーを用いることができるが、ウレタン系もしくはポリアミド系の熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。これは、ウレタン系、ポリアミド系エラストマーはポリアミドイミド樹脂と組成が近いため膜中に均一に分布するためと推察される。また、添加量が多すぎるとヤング率が低下し、低すぎると屈曲性の向上が見られないため、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、5〜50質量部の範囲にあることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましい。
以上のような弾性材料を含有させることにより、耐折回数を大幅に向上させることができるが、3000回以上とすることも可能である。
本発明の円筒状部材において、上記各特性を満たすためには、ポリアミドイミド樹脂に酸化処理カーボンブラックを均一かつ微細に分散することが必要であり、以下、上記各特性を満たすことが可能な本発明の円筒状部材の製造方法について説明する。
本発明の円筒状部材の製造方法は、溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂とpH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックを混合する際に、150MPa以上の圧力でオリフィスを通過させるとともに、衝突させる工程を有することを特徴としている。
本発明の製造方法はより具体的には、2つ以上に分割した酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を、150MPa以上の圧力でオリフィスを通過させるとともに互いに衝突させて混合する工程(以下、「混合工程」と称する。)と、混合した酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を用いて、ポリアミドイミド樹脂を主体として構成される転写部材を成形する工程(以下、「成形工程」と称する。)と、を有する。
混合工程では、まず、ポリアミドイミド樹脂溶液に酸化処理カーボンブラックを混合し、この混合溶液を2つ以上に分割する。そして2つ以上分割した酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を、150MPa以上の圧力で互いに衝突させて混合する。このように、150MPa以上でオリフィスを通過させるとともに互いに衝突させて混合させることで、ポリアミドイミド樹脂溶液中に酸化処理カーボンブラックを微細に分散することができる。
この2つ以上に分割した酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液は、150MPa以上の圧力で互いに衝突させて混合するが、好ましくは180MPa以上、より好ましくは200MPa以上の圧力で互いに衝突させる。この互いに衝突させる圧力が、150MPa未満であると、ポリアミドイミド樹脂溶液中に酸化処理カーボンブラックを微細に分散することができなく、上述した転写部材の各特性を満たすことができなくなる。なお、実用上、衝突させる圧力は300MPa程度が上限であり、250MPa程度あれば十分である。
また、衝突させた混合溶液を更に2つ以上に分割し、この分割溶液を150MPa以上の圧力で互いに衝突させて混合してもよい。この操作を2回以上繰り返して行なうことで、さらに、効率良くポリアミドイミド樹脂溶液中に酸化処理カーボンブラックを微細に分散することができる。
このような、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液をオリフィスを通過させるとともに互いに衝突させて混合し、さらにこの混合液を2以上に分割する分割・混合機構を、図を参照しつつ説明する。図1は、本発明の円筒状部材の製造方法における、カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液の分割・混合機構を説明するための説明図である。
図1に示す分割・混合機構は、上流から下流に向かって一点に連結された2つの第1流路管50と、連結部を構成する連結管52、この連結管52の一端から2つ以上に分岐した第2流路管54と、から構成された流路に、酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を流すことにより、分割・混合を行なうものである。
まず、2つの第1流路管50にそれぞれ酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を流すことで2つに分割し、この流圧を、150MPa以上とすることで、連結部を構成する連結管52の一端52a近傍で150MPa以上の圧力で互いの溶液を衝突させる。そして、衝突した混合液は、連結管52を通過し、2つ以上に分岐した第2流路管54にそれぞれ流れ、2つ以上に分割される。この2つ以上に分割された混合溶液を、さらに第1流路管50に流し、混合・分割を複数繰り返すこともできる。
このような図1に示す分割・混合機構においては、上流から下流に向かって一点に連結された2つ第1流路管50に、それぞれ150MPa以上もの圧力で酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を流すことで、当該溶液にせん断力と共に、150MPa以上もの圧力での衝突力を付加することが可能となり、効率良く均一かつ微細に酸化処理カーボンブラックを高濃度で分散せしめることができる。
また、衝突した混合液は、連結管52の一端52a近傍のオリフィスを通過することとなるが、この2つの第1流路管50の連結部(図中では、連結管52の一端52a近傍)、即ち2つの溶液が衝突する衝突部の最小断面積が、0.07mm2以下(好ましくは0.007〜0.05mm2以下、より好ましくは0.015〜0.04mm2)とすることで、ポリアミドイミド樹脂溶液中に酸化処理カーボンブラックを微細に分散できる。この理由は定かではないが、150MPa以上もの圧力で互いの溶液を衝突させる際、その領域を小さくすることで、効率良く溶液にせん断力及び衝突時の圧力を付加させることができ、ポリアミドイミド樹脂溶液中に酸化処理カーボンブラックを微細に分散できると考えられる。ここで、2つの溶液が衝突する衝突部の最小断面積は、図中では連結管52入り口近傍での流路管50の断面積に相当する。
このような分散・混合機構を持つ衝突型分散機としては、例えば、ジーナス製「Geanus PY」が好適に挙げられる。また、その他、衝突型分散機として、スギノマシン製アルティマイザ、ナノマイザ製ナノマイザ等が使用可能である。
混合工程では、上述のように酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を分割・混合するが、衝突型分散機で分散した酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液には、衝突の衝撃によると思われる数十μmのカーボンブラック凝集体が生じることがある。これが存在した場合でも大きな問題はないが、分割・混合したカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を、例えば、目開き25μm以下のフィルタを通すことで、カーボンブラック凝集体を除去し、より微細に分散状態よくカーボンブラックを含有する転写部材を得ることが可能となる。
次に、成形工程では、上記混合工程を経て混合した酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液を、例えば円筒状金型外周面或いは内周面に塗布し、塗膜を形成する。この塗布方法としては、浸漬塗布法、遠心成形やディッピング法など公知の塗布法により行なうことができる。塗布後、溶剤の乾燥をし、ポリアミドイミド樹脂の皮膜を得る。
最後に、金型(或いは他の金型)の外周面に形成されたポリアミドイミド樹脂皮膜を、金型から取り外し、適当な幅に切断することでポリアミドイミド樹脂製の転写部材を得ることができる。
以上、説明した本発明の円筒状部材(その製造方法)は、複写機やプリンタ等の静電複写方式の画像形成装置に用いる、中間転写体などに使用することができる。
<画像形成装置>
本発明の円筒状部材は、静電複写方式の画像形成装置に用いる円筒状部材であれば、特に限定されるものではなく、被転写体を搬送する円筒状部材、トナーを第一の担持体から第2の担持体へ転写する中間転写用円筒状部材等に用いることができる。その1例として、中間転写体を用いたカラー画像形成装置の概要を以下に示す。
図2は本発明を適用した円筒状部材を中間転写体として用いた画像形成装置の主要部分を説明する模試図であって、1は、像担持体としての感光体ドラム、2は中間転写体としての転写ベルト、3は転写電極であるバイアスロール、4は転写媒体である記録紙を供給するトレー、5はB(ブラック)トナーによる現像装置、6はY(イエロー)トナーによる現像装置、7はM(マジェンタ)トナーによる現像装置、8はC(シアン)トナーによる現像装置、9はベルトクリーナー、13は剥離爪、21、23、24はベルトローラ、22はバックアップロール、25は導電性ロール、26は電極ロール、31はクリーニングブレード、41は記録紙束、42はピックアップローラ、43はフィードローラである。
同図において、感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書き込み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えば、B)の静電潜像が形成される。
この静電潜像は現像装置5によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム1の回転で導電性ロール25が配置された一次転写部に到り、導電性ロール25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に転写ベルト2に吸着されつつ転写ベルト2の矢印B方向の回転で一次転写される。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され転写ベルト2において重ね合わせ、多重トナー像が形成される。
転写ベルト2に転写された多重トナー像は転写ベルト2の回転でバイアスロール3が設置された二次転写部に到る。
二次転写部は転写ベルト2のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスロール3と当該転写ベルト2の裏側からバイアスロールに対向するごとく配置されたバックアップロール22およびこのバックアップロール22に圧接して回転する電極ロール26から構成される。
記録紙41は記録紙トレー4に収容された記録紙束からピックアップローラ42で一枚ずつ取り出され、フィードロール43で二次転写部の転写ベルト2とバイアスロール3との間に所定のタイミングで給送される。
給送された記録紙41はバイアスロール3バックアップロール22による圧接搬送と転写ベルト2の回転で当該転写ベルト2に担持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録紙41は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。
なお、多重トナー像の記録紙41への転写の終了した転写ベルト2は二次転写部の下流に設けたベルトクリーナ9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール3にはポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接するごとくとりつけられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
上記二次転写部では、バイアスロール3と転写ベルト2を介して対向配置したバックアップロール22に圧接した電極ロール26にトナー像の極性と同極性の電圧(転写電圧)を印加することで当該トナー像を記録紙41に静電反発で転写する。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において、「phr」とは樹脂100質量部に対する添加する成分の質量部数を意味する。
[実施例1]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)に、カーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3 揮発分率14%)を30phr添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い150Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることを5回行い分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、150℃で30分回転乾燥後250℃のオーブンに1時間入れた後取り出し、フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は82μmで、表面抵抗率は1.4×1012Ω/□〜2.3×1012Ω/□であり、抵抗バラツキ幅0.22と非常に抵抗均一性の良いベルトであった。
また、このものの物性値を測定したところ、表1のように無添加のものに比べ破断伸びが1/4になっていたが円筒状部材として充分使用可能な物性値であった。
[実施例2]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)へカーボンブラック(Printex V Degussa製 pH:4.5,揮発分5wt%)を32phr添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることを5回行い分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、150℃で30分回転乾燥後250℃のオーブンに1時間入れた後取り出し、フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は79μmで、表面抵抗率は0.95×1012Ω/□〜1.4×1012Ω/□であり、抵抗バラツキ幅0.16と非常に抵抗均一性の良いベルトであった。
[実施例3]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3,揮発分14質量%)を35phr添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることで分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、250℃で乾燥後フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は82μmで、表面抵抗率は1.4×1012Ω/□であった。このベルトより所定サイズのサンプルを切り出しMIT評価を行ったところ耐折れ回数は110回であった。
[実施例4]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)に、弾性材料として熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASF製エラストラン1154D)を10phr添加し十分に攪拌することで溶解したものへカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3,揮発分14質量%)を35phr(HR16NNと1154Dの固形分を100とする)添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることで分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、250℃で乾燥後フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は79μmで、表面抵抗率は0.95×1012Ω/□であった。このベルトより所定サイズのサンプルを切り出しMIT評価を行ったところ耐折れ回数は7200回であった。
[実施例5]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)に熱可塑性ポリアミド系エラストマー(ダイセルデグサ製ダイアミド12エラストマー E40)を10phr添加し十分に攪拌することで溶解したものへカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3,揮発分14質量%)を35phr(HR16NNと1154Dの固形分を100とする)添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることで分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、250℃で乾燥後フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は81μmで、表面抵抗率は2.95×1012Ω/□であった。このベルトより所定サイズのサンプルを切り出しMIT評価を行ったところ耐折れ回数は5400回であった。
[実施例6]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)に熱可塑性スチレン系エラストマー(JSR製DYNARON 6200P)を10phr添加し十分に攪拌することで溶解したものへカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH 3,揮発分14質量%)を35phr(HR16NNと1154Dの固形分を100とする)添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることで分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、250℃で乾燥後フィルムを抜き取ることでφ168mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は79μmで表面抵抗率は、1.56×1012Ω/□であった。このベルトより所定サイズのサンプルを切り出しMIT評価を行ったところ耐折れ回数は1540回であった。
[比較例1]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN)にカーボンブラック(Special Black 250 Degussa製 pH:3.1 揮発分2.2質量%)を39phr添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることを5回行い分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、250℃で乾燥後フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は81μmで、表面抵抗率は8.2×1012Ω/□〜3.4×1013Ω/□であり、抵抗バラツキ幅0.62と抵抗均一性の悪いベルトであった。
[比較例2]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3 揮発分14質量%)を20phr添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い100Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることを5回行い分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、150℃で30分乾燥後250℃のオーブンに1時間入れた後取り出し、フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は82μmで、表面抵抗率は5.4×1011Ω/□〜1.4×1011Ω/□であり、抵抗バラツキ幅0.43と非常に抵抗均一性の悪いベルトであった。また、このベルト表面にはカーボンブラックの凝集塊による凹凸があった。
[比較例3]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(東洋紡製バイロマックスHR16NN 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3 揮発分14質量%)を35phr添加し、横型サンドミル(Dyno製Dynomill KDL)にφ2mmのジルコニア製球を内容積の約60vol%充填し、φ90mmの攪拌羽を回転数1592rpmで回転させたところへ通すことで分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、150℃で30分乾燥後250℃のオーブンに1時間入れた後取り出し、フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は82μmで表面抵抗率は、7.8×10Ω/□〜5.4×10Ω/□であり、抵抗バラツキ幅0.84と非常に抵抗均一性の悪いベルトであった。
また、カーボンブラック凝集塊による表面の凹凸が激しいだけでなく、表1に示したように物性値も著しく劣るものであり、円筒状部材として使用できなかった。
[比較例4]
ポリイミド樹脂(宇部興産製UワニスS 固形分率18質量% 溶剤はN−メチル−2−ピロリドン)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 pH:3 揮発分14質量%)を30phr添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることを5回行い分散を行った。この分散液をディップコートにてφ168mmのアルミ製パイプ外面に塗布し、150℃で30分乾燥後340℃のオーブンに3時間入れた後取り出し、フィルムを抜き取ることでφ168mm、幅238mmの円筒状部材を得た。
得られた円筒状部材の膜厚は82μmであったが、表面抵抗率は7.8×10Ω/□となり静電複写用円筒状部材として使用できないベルトであった。
<評価>
以上のようにして作製した実施例1〜6、及び比較例1〜4の円筒状部材に対し、以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。
(機械的強度試験)
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、円筒状部材から5mm×50mmの大きさに切り出したサンプルをチャック間距離40mmになるように保持し、常温にて引張速度を20mm/minとして、ヤング率、引張強度、破断伸びを測定した。
ヤング率は、1%伸長時の伸び量とテンションより求めた。
(表面抵抗率)
内円筒φ16mm,外円筒φ30mm×φ40mmの二重円筒式プローブを用い、下面を絶縁体にした測定装置を用いた。この装置の内円筒に100Vをかけたときに外円筒に流れる電流量(電圧印加後10秒値)を測定し、フィルムの表面抵抗率を計算により求めた。
また、表面抵抗率のバラツキ幅は各円筒状部材の表面抵抗率の最大値を最小値で割った値の常用対数値とした。静電複写システムの高速化、高画質化ともないバラツキ幅の小さいベルトが望まれてくるが、0.3以下であれば実用上差し支えのないレベルと言える。
(耐折回数)
該MIT試験法による耐折回数測定は、図3に示すMIT試験機を用いて測定した。図3はMIT試験機を説明するための概略構成図である。図3に示すMIT試験機は折曲げ装置取り付け面64に取り付けられた、試験片62を挟み折曲げるための0.38mmの曲率半径をもつ折曲げ装置66、プランジャー68に取り付けられた荷重を掛けるためのつかみ具70からなる。
前記MIT試験法による耐折回数測定の手順は以下の通りである。20mm×250mmの大きさに切り出した試験片62の一方を折曲げ装置66で挟む。更に試験片62の他の一方をつかみ具70で挟み、試験片62に10Nの荷重をかける。次に折曲げ装置66を135±2°の角度で、毎分175±10回となる速度で回転させて、荷重がかけられた試験片62を折曲げ装置66の曲率面で繰り返し折り曲げ、ストレスを与えて破断させる。破断までの折り曲げ回数N(5回測定の平均値)を、耐折回数とした。
(転写画質の評価)
得られた円筒状部材を、図2に示す画像形成装置と同様な構成の画像形成装置に中間転写ベルト2として装着した。このような画像形成装置を用いて、1次転写及び2次転写による転写画質について下記のように評価した。なお、ここで用いた記録紙41は、富士ゼロックスオフィスサプライ(株)フルカラー複写機用紙J紙である。トナーとしては、形状係数(SF)125、体積平均粒子径5.5μmの球状トナーを用いた。
また、プリントサンプルは、画像パターンとしてマゼンタ、シアンの20%になるハーフトーン画像にて濃度の均一性を評価した。
−連続10000枚印刷後の転写画質−
転写画質の評価基準は以下の通りである。また、評価結果を下記表1に示す。
○:濃度むらなく、画質上での問題なし。
×:濃度むらがあり、画質上での問題あり。
Figure 2007178471
表1より、実施例1〜6に示したようにpH5以下かつ揮発分率が5%以上15%以下のカーボンブラックを30phr以上と多量に添加することでカーボンブラックの偏在をなくすことができ抵抗均一性が良くかつ生産性の良い円筒状部材が得られた。このことにより表面抵抗率のバラツキ幅も0.3以下と非常に良好な円筒状部材を得ることができた。
また、比較例3の結果から、30phr以上の配合比を得る為には、150MPa以上の圧力で微小オリフィスを通過させ衝突させる高圧衝突型の分散装置の使用が必要であることが分かる。
さらに、ポリアミドイミド樹脂をポリイミド樹脂に変更したこと以外は実施例と同様にして円筒状部材を作製した比較例4では、表面抵抗率の数値上使用できないものであったことから、ポリアミドイミド樹脂がポリイミド樹脂と比較して、カーボンブラックに対する分散性が良く、カーボンブラックを十分に充填することができたからと推察される。
さらに、実施例4〜6は、弾性材料を含有させた例であるが、弾性材料を含有させた場合、3000回以上の耐折れ回数を達成することができることが分かる。
本発明の円筒状部材の製造方法における、酸化処理カーボンブラック含有ポリアミドイミド樹脂溶液の分割・混合機構を説明するための説明図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 MIT試験機を説明するための概略構成図である。
符号の説明
1 感光体ドラム(像担持体)
2 中間転写ベルト(中間転写体)
3 バイアスロール
4 用紙トレー
5 ブラック現像器
6 イエロー現像器
7 マゼンタ現像器
8 シアン現像器
9 中間転写体クリーニング装置
13 剥離爪
21 ベルトロール
22 バックアップロール
23 ベルトロール
24 ベルトロール
25 導電性ロール
26 電極ロール
31 クリーニングブレード
41 記録紙
42 ピックアップロール
43 フィードロール

Claims (3)

  1. ポリアミドイミド樹脂と、pH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックとを含有し、該酸化処理カーボンブラックの含有量が、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であり、10Nの荷重をかけて行うMIT試験法による耐折回数が100回以上であることを特徴とする円筒状部材。
  2. 請求項1に記載の円筒状部材を備える画像形成装置。
  3. 溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂とpH5以下でありかつ揮発分率が5%以上15%以下の酸化処理カーボンブラックを混合する際に、150MPa以上の圧力でオリフィスを通過させるとともに、衝突させる工程を有することを特徴とする円筒状部材の製造方法。
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