図1はタンデム型間接転写方式を採用した画像形成装置としてのプリンタの内部構成を、図2はエンジンの詳細をそれぞれ示している。このプリンタは、装置本体1のほぼ中央に並列配置された4個のドラム状の感光体2a,2b,2c,2dを有しており、各感光体2a〜2dはそれぞれ時計回り方向に回転可能に構成されている。像担持体である感光体2a〜2dの周囲には、感光体2a〜2dの表面を除電する図示しない除電装置、感光体2a〜2dの表面を一様に帯電する帯電装置3a〜3d、レーザ光による光書き込みを行って感光体2a〜2dの帯電部分に静電潜像を形成する露光装置4、この静電潜像を現像する現像装置5a〜5d、転写後の感光体2a〜2dの表面をクリーニングするクリーニング装置7a〜7dがそれぞれ配設される。このプリンタは、感光体を4個用いたいわゆるタンデム方式を採用しており、それぞれの感光体2a〜2dの周囲に設けられる画像形成用の部品構成は、現像装置5a〜5dが扱う色材(トナー)の色(イエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ異なる以外は同じである(4セットあるPCUの構成部品については、感光体2、帯電装置3、現像装置5、クリーニング装置7をもって説明し、他色の同一構成部品については説明を省略する)。
感光体2a〜2dの上方には、中間転写ユニット10が設けられている。中間転写ユニット10は被クリーニング体である像担持体としての中間転写ベルト11を有しており、中間転写ベルト11は駆動ローラ12、支持ローラ13,14,15及び対抗ローラ16に掛け回されおり、図2において反時計回り方向に走行駆動される。中間転写ベルト11は多層構造であっても単層構造であってもよく、例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDシート、ポリイミド系樹脂によってベース層を構成し、その表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被覆してもよく、本実施形態では2層構造のポリイミド系樹脂で形成されている。
中間転写ベルト11を挟んで感光体2a〜2dと対向する位置には、感光体2a〜2d上に形成されたトナー像を中間転写ベルト11に1次転写する1次転写手段としての1次転写ローラ6a〜6dが配設されており、対抗ローラ16の左方には、後述する2次転写ローラ8による2次転写後に中間転写ベルト11上に残留した残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置20が配設されている。対抗ローラ16は、中間転写ベルト11に一定の張力を付与する働きを持つと共に、中間転写ベルトクリーニング装置20の対向部材である対向ローラも兼ねていることになる。対向ローラとしての必要条件は、必ずしも上述のように一定の張力を付与する働きを持たなければならないということはなく、像担持体の回転に伴って従動回転するローラを対向ローラとしてもよい。
中間転写ベルト11を介して駆動ローラ12と対向する位置には、2次転写手段としての2次転写ローラ8が配設されている。本実施形態では2次転写手段として2次転写ローラ8を用いているが、2次転写ローラ8に代えて数本の支持ローラと駆動ローラにより掛け渡されるベルト等を2次転写手段として用いてもよい。
装置本1の下方には、内部に記録紙を収納した給紙カセット17が配設されており、給紙ローラの回転によって給紙カセット17内の最上位の記録紙が1枚ずつ給紙路を経てレジストローラ対18に搬送される。2次転写ローラ8の上方には、記録紙上に転写された転写画像を定着する定着装置9が配設されている。2次転写ローラ8には、画像転写後の記録紙を定着装置9へと搬送するシート搬送機能も備えている。
上述した構成のプリンタにおいて、図示しないスタートキーを押下する等により画像形成動作が開始されると図示しない駆動モータの作動によって駆動ローラ12が回転駆動され、支持ローラ13,14,15及び対抗ローラ16が従動回転して中間転写ベルト11が図2の矢印方向に走行駆動される。同時に、各画像形成手段において各感光体2a〜2dが回転し、各感光体2a〜2d上にそれぞれイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの単色画像が形成される。形成された各単色画像は、中間転写ベルト11の回転に伴い中間転写ベルト11上に順次重畳転写されて合成カラー画像が形成される。一方、給紙カセット17から記録紙が1枚ずつ給送され、給送された記録紙はレジストローラ対18に突き当てられて一時停止される。そして中間転写ベルト11上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対18が回転し、記録紙が中間転写ベルト11と2次転写ローラ8との間に送り込まれる。送り込まれた記録紙には2次転写ローラ8の作用によって合成カラー画像が転写される。画像転写後の記録紙は2次転写ローラ8により定着装置9へと送られ、定着装置9において熱と圧力との作用により転写画像を定着された後、機外に排出される。画像転写後の中間転写ベルト11には多少のトナーが残留しており、中間転写ベルト11は中間転写ベルトクリーニング装置20によって残留トナーを除去されて次の画像形成に備えられる。
図3は、本発明の第1の実施形態を採用した中間転写ベルトクリーニング装置20の概略構成を示している。同図において中間転写ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト11上の転写残トナーの極性を制御するための導電性部材である極性制御ブレード21を、対抗ローラ16と対向する位置において中間転写ベルト11表面に接触する態様で有しており、極性制御ブレード21の後の工程すなわち中間転写ベルト11の走行方向下流側には、極性制御されたトナーをクリーニングするためのクリーニング部材である導電性ブラシ22、及び導電性ブラシ22に付着したトナーを回収する回収ローラ23、回収ローラ23の表面に当接して回収したトナーを掻き取ると同時に回収ローラ23の表面に電荷を付与する回収ローラクリーナとしての導電性回収ブレード24、装置本体1に備えられた図示しない廃トナータンクに回収したトナーを搬送するためのコイル部材25、中間転写ベルト11を介して導電性ブラシ22と対向する位置に配設されたブラシ対向ローラ28等を有している。
導電性ブラシ22には、その表面に電荷を付与する図示しないブラシ表面電荷付与部材を付加してもよい。このブラシ表面電荷付与部材は、ブラシにトナーが多く回収された場合にブラシ先端の電位が低下してしまうことを防止すべく電位を補うために備える導電性部材であり、例えば金属の丸棒や金属の板状部材である。また、中間転写ベルト11の表面は極性制御ブレード21によって常時摺擦されているため、中間転写ベルト11の表面保護の観点から表面にブラシによって潤滑剤塗布を行うことも有効である。この場合、後述する固形化した潤滑剤32(図12参照)を導電性ブラシ22に当接させることで塗布する構成としてもよい。また、ブラシで塗布した潤滑剤によって中間転写ベルト11の表面に薄膜を形成する塗布ブレードを設け、潤滑性が向上するように構成してもよい。
なお、導電性ブラシ22とは別に潤滑剤塗布用のブラシを用いて潤滑剤を中間転写ベルト11の表面に塗布する構成も可能である。この構成によれば、クリーニング用の導電性ブラシ22にはトナーが常時回収されているため、トナーと潤滑剤とが交じり合って潤滑剤塗布時にいったん回収したトナーが再度中間転写ベルト11上に付着してしまう不具合の発生を防止することができる。
次に、図4を参照して本発明の課題について説明する。図中、符号R1はトナー極性制御ブレード抵抗を、符号R2は中間転写ベルト抵抗をそれぞれ示している。
従来の画像形成装置では、高抵抗の中間転写ベルトを用いていた。一例を挙げると、表面抵抗率logR=10.5〜11.5、体積抵抗率logR=10〜11、厚み100μmである。この場合、極性制御ブレード21に電圧を印加してもアースされている対向部材としての対抗ローラ16(ブレード対向ローラ)が金属等の低抵抗物質であったとしても電圧印加した極性制御ブレード21から対抗ローラ16側に中間転写ベルト11の厚み方向を通って大きな電流が流れることがなく、中間転写ベルト11上の残留トナーに電荷を与えることができた。
このように、中間転写ベルト抵抗R2(体積抵抗率ではなく電圧を印加した極性制御ブレード21から中間転写ベルト11を介してアースした金属ローラに流れる電流と極性制御ブレード21の印加電圧から求められる抵抗値)が充分大きいときには中間転写ベルト11の表面電位と極性制御ブレード21との間に電位差が生じ、中間転写ベルト11上のトナーに電荷が充電されるため極性制御が可能である。一方、抵抗R2が十分に大きくないときは中間転写ベルト11及び対抗ローラ16を介してアースに電流が流れるため、トナーに電荷を充電できず極性制御を行うことができない。抵抗R2が十分に大きくない中間転写ベルト11とは擬似的には体積抵抗率が低いベルトであり、残留電荷による異常画像の発生を防止するために用いられる。ここで用いたベルトは、体積抵抗率Rが100V印加でlogR=8であった。
上述より、電流が流れすぎないようにするため、金属対向ローラとアースとの間に既知の抵抗R3を挿入してトナーの極性制御実験を行った。抵抗R3として0.5M、5M、20Mの3種類のものを用い、極性制御ブレード21に定電流制御で電圧を印加して極性制御を行ったところ、図5に示す結果となり目標の−50〜−100μC/gを得ることはできなかった。金属対向ローラとアースとの間に抵抗を繋いだだけでは電流値を低く抑えることはできるものの図6に示すような回路となり、同図において対向ローラはV3=R3×Iで算出される電位となるため、既知抵抗R3の抵抗値を大きくしても対向ローラの電位も高くなるため極性制御後におけるQ/M値が変化しないと考えられる。
上述したように、抵抗値が十分に高くない中間転写ベルトを用いる際には、単に電流を小さく抑えるように所定の抵抗値を有する導電性軸受を用いる等といった対策では極性制御を行うことができないことが判明した。そこで、低抵抗ベルトを用いた場合であっても高抵抗ベルトと同様の極性制御が行えるように対向ローラ表面に抵抗層を設けたところ、目標の極性制御後におけるQ/M値を得ることが可能な極性制御を行うことができた。
以上のことから、logR=8の比較的低抵抗のベルトを用いた場合にも対向ローラ表面に高抵抗層を設けることにより極性制御が可能となったように思われたが、さらに次のような問題点が発生した。それは、極性制御を連続して行うと図22に示すように経時でQ/M値の絶対値が低下してしまうことが判明した。以下、この現象について説明する。
図22に示すように、log=8のベルトに対しては高抵抗層を設けた対向ローラを用い、log=9以上のベルトに対しては金属対向ローラを用いてそれぞれA4サイズの転写紙2000枚に対して作像動作を行ったところ、全ての場合において極性制御後のQ/M値は−50〜−100μC/gの範囲に極性制御することができた。その後、20000枚まで極性制御を続けたところ、極性制御後のQ/M値の絶対値が低下して所望の範囲から外れてしまうことが判明した。この理由は明らかではないが、トナー極性制御を行っている物理現象は放電現象が支配的であると考えられ、この放電を安定させるためには像担持体表面が電荷を保持する能力を有することが必要であることが判ってきた。従って、像担持体の裏面側において極性制御部材に対向している対向ローラ表面に高抵抗層を設けても電流量を規制することはできるものの放電を安定化させることはできない。像担持体表面に向かって常に極性制御部材からの放電を持続させるためには、電荷を保持可能な高抵抗表面を有することが必要であり、そのために像担持体が必要な抵抗は体積抵抗率で109〜1014Ω・cmであるとの結果を得た。体積抵抗率が1×1014Ω・cmを超える場合には像担持体と同等の体積抵抗となり、像担持体が感光体である場合には経時で10万枚以上の極性制御が可能であることが確認され、対向ローラの高抵抗層は不要である。
次にトナー極性制御について、図8(a)、図8(b)、図8(c)を用いて説明する。図8(a)、(b)は、ホソカワミクロン製E−スパートアナライザで、トナー1個ずつの電荷量Qとそのトナーの粒径dを測定したデータを基に、ある条件で図2に示す作像装置で作像した時の中間転写ベルト11上の転写残トナー数百個をサンプリングしたときのQ/d(単位はfC/μm)分布を表している。
図8(a)はプラスとマイナスが50%ずつの転写残トナーAを極性制御ブレード21によって極性制御した場合、図8(b)はほとんどがプラスの転写残トナーBを極性制御ブレード21によって極性制御した場合、図8(c)はほとんどがマイナスの未転写トナーを極性制御ブレード21によって極性制御した場合のQ/d分布変化である。
中間転写ベルト11上の転写残トナーは、図8(a)の転写残トナーAや図8(b)の転写残トナーBとして示す様にプラス極性とマイナス極性とが混在した分布のトナーとなり、中間転写ベルト11の走行により極性制御ブレード21の位置まで移送される。極性制御ブレード21ではほとんどのトナーは機械的に掻き落されるが、極性制御ブレード21ではいわゆるスティックスリップが発生してその一部はすり抜けて行く。機械的に掻き落とされたトナーはブレードから自然に落下して回収部に収容され、コイル部材25によって搬送されて廃トナー回収部に回収される。
極性制御ブレード21にはトナーの帯電極性と同じ極性(マイナス極性)の電圧が印加されており、トナーが極性制御ブレード21をすり抜けて行くときにトナーを正規の帯電極性(マイナス極性)に帯電する。例えば、印加電圧を定電流制御で−80μAとしたとき、この制御電流値はベルト抵抗や厚み等の条件によって変化する可能性がある。制御されたトナーのQ/d分布を図8(a)、図8(b)に示す。入力トナーである転写残トナーのQ/d分布によって極性制御後のQ/d分布も異なる(転写残トナーAと転写残トナーBとの違い)が、どちらもほぼ単極性に制御することができる。また、図8(c)の場合の正規極性でQ/d分布している未転写トナー(プロセスコントロール時のトナー)は、ほとんど変化しないかあるいはややマイナス極性寄りになる。
次に、トナーと同極性の電圧(マイナス極性)が印加された極性制御ブレード21をすり抜けて行くトナーの帯電極性が変わるときの詳細について説明する。極性制御ブレード21の表面抵抗率はlogR=6〜9Ω・cm、中間転写ベルト11との当接圧は20〜40g/cm、カウンタ当接で構成されている。
この極性制御ブレード21は、例えばポリウレタンゴムを素材とした弾性体であり、カーボンブラックやその他イオン系の導電剤を混練することで導電性を持たせており、その表面抵抗としては、2×105〜5×109Ω・cm2程度が望ましい。ブレード条件は図10及び図11に示すとおりである。極性制御ブレード21は板金上に接着された板状部材によって構成され、厚みは2.4mmと2.8mmの2種類、自由長は7、9mm、硬度はJIS−A硬度計で60〜80、反発弾性は45%のものを用いたが、この値以外のものでも使用可能である。厚みは1〜3mmの範囲内とするのがよく、厚さが薄すぎると中間転写ベルト11の表面及び極性制御ブレード21自体のうねり等によって中間転写ベルト11への押しつけ量が確保しにくくなる。硬度はJIS−A硬度計で40〜85の範囲内であればよい。本実施形態に示すブラシクリーニング方式では、ブラシクリーニングが可能な単位面積当たりのトナー量(以下、M/Amg/cm2とする)は約0.1mg/cm2であり、未転写トナーのM/Aはこの値よりもかなり多いため、極性制御ブレード21からのすり抜け量は約0.1mg/cm2以下に低減する必要がある。
トナーが極性制御ブレード21と中間転写ベルト11との間に挟まれたとき、中間転写ベルト11と極性制御ブレード21とで形成された楔部の入り口と出口との微小ギャップ部の放電により、トナーは図8(a)、図8(b)に「ブレード通過後(電流−80μA印加)」として示すように印加電圧と同極性に帯電する。
以上示したように、極性制御されているか否かの確認においてQ/d分布という特性値を用いたが、Q/d分布を測定するにはかなりの手間がかかるため、上述したように比較的簡単に測定が可能なQ/M値で代用することとした。図7に示すように、測定対象のトナーがほぼ単一極性に極性制御されている、すなわち図8(a)、図8(b)、図8(c)中の「ブレード通過後(電流−80μA)」のトナーのQ/M値の範囲は、マイナス極性の場合でおよそ−50〜−100μC/gであった。そこで、以降の説明においてはトナー極性制御の目標値を−50〜−100μC/gとして説明する。
次に、中間転写ベルト抵抗と極性制御の関係について図4を参照して説明する。上述したように従来の画像形成装置にて用いられる中間転写ベルトとして、表面抵抗率logR=10.5〜11.5、体積抵抗率logR=10〜11、厚み100μmのものを用いており、この場合には極性制御ブレード21に電圧を印加しても、アースされている対抗ローラ16(ブレード対向ローラ)が金属等の低抵抗物質であったとしても電圧を印加した極性制御ブレード21から対抗ローラ16側に中間転写ベルト11の厚み方向を通って大きな電流が流れることがなく、中間転写ベルト11上の残留トナーに電荷を与えることができた。このように、中間転写ベルト抵抗R2が充分に大きいときは中間転写ベルト11の表面と極性制御ブレード21との間に電位差が生じ、中間転写ベルト11上のトナーに電荷が充電されるため、極性制御が可能である。一方、抵抗R2が十分に大きくない中間転写ベルト11を使用すると、極性制御ブレード21に電圧を印加した際に中間転写ベルト11及び対抗ローラ16を介してアースに電流が流れるため、トナーに電荷を与えられず極性制御を行うことができないという問題が発生した。抵抗R2が十分に大きくない中間転写ベルトというのは擬似的には体積抵抗率が低いベルトであり、残留電荷による異常画像を防ぐため等に使用される。本実施形態で用いた中間転写ベルト11は体積抵抗率Rが100V印加でlogR=8である。
この中間転写ベルト11で表面に抵抗層が無いステンレス製の対抗ローラ16を用いて−80μAを印加し、対抗ローラ16をアースしてA3サイズのマゼンタ単色のベタ画像を出力し、中間転写ベルト11上の残留トナーが極性制御ブレード21を通過したところで画像形成装置の電源を切って強制的に中間転写ベルト11を停止させ、極性制御ブレード21が中間転写ベルト11に当接している箇所の前後のQ/M値を測定すると、ブレード以前の中間転写ベルト11上のトナーのQ/M値はー30μC/g程度にしかならず、目標のQ/M値は得られなかった。極性制御ブレード21に印加する電圧を−40μA、−60μA、―100μAとさまざまに変化させても、目標のQ/M値は得られなかった。
このような中間転写ベルト抵抗R2が低い中間転写ベルト11を用いる際にも、極性制御ブレード21によるトナー極性制御を行える構成及び方法について図3、図9を用いて説明する。図9は、図3の極性制御部を拡大した図である。
図9に示すように、対抗ローラ16の表面には抵抗層26が50〜300μmの厚みで設けられている。抵抗体として対抗ローラ16の表面を被覆する抵抗層26を有する構成とすることにより、対抗ローラ16の抵抗を安価な構成で所望の値とすることができる。対抗ローラ16の軸及びローラ基体は金属製であり接地(アース)されている。抵抗層26を構成する材質の一例としては、導電剤を混合したナイロンチューブ、PVDFチューブ、ポリイミドチューブ、導電ゴムチューブ等が挙げられる。また、その表面にさらにアクリルコート、シリコーンコート(例えばシリコーン粒子を含有したPC(ポリカーボネイト)をコート)、セラミックスコート、フッ素コーティング等を施しても良い。コート層の厚みは適宜選定され、例えばUV硬化型のアクリルコートの場合には3〜20μm程度である。この構成の場合は、中間転写ベルト抵抗R2が低くても対抗ローラ16の表面に抵抗層26を有しているためトナーに電荷を充電でき、実験の結果2000枚程度までの間は極性制御を行うことができた。以下、その原理を図5に示す構成図及び図6に示す回路図を用いて説明する。
上述の構成において、極性制御ブレード21は電極の役割をするため表面抵抗あるいは体積抵抗が十分に低いことが望ましい。本実施形態ではポリウレタンゴムに導電剤としてカーボン及びイオン導電剤を添加して作成した導電性ブレードを使用しており、ゴムブレードとしての機械的強度や弾性を維持するにはlogR=5〜6以上の抵抗値となるような添加量にする必要がある。つまり、機械的強度を維持するには導電剤の添加量をあまり増加させないことが望ましい。従って、電極の役割としては低抵抗であることがよく、ブレードとしてのトナー掻き取り性能維持にはlogR=5〜6以上でなるべく高抵抗である必要があり、実験の結果、良好な抵抗範囲はlogR=約5〜9であることがわかった。しかし、前述のように使用時間の経過に伴ってブレードの抵抗が上昇するという問題があり、新品時の導電性ブレードの抵抗を高く設定すると経時でブレード抵抗が上昇し、例えば極性制御ブレード電圧を定電流制御にしていると必要な電圧値がかなり高電圧まで上昇していくため、高電圧出力可能な高コスト電源を必要とするという問題が生じる。従って、トナーの極性を制御しつつトナーを掻き取るという2つの性能を維持し続けるためには、トナー極性制御ブレードの抵抗値はlogR=5〜9が好適である。
この構成により、簡単な構成で転写残トナーの極性を揃えることができ、かつ導電性ブラシ22に入るトナーの量を低減することができる。また、金属ブレードに比して像担持体表面に傷を付けにくい構成とすることができ、良好な画像形成を行うことができる。
対抗ローラ16の表層には、中間転写ベルト11の抵抗R2と同等の抵抗となる抵抗層(抵抗:R3)を設けている。図6のモデルにおいて、極性制御ブレード21の抵抗をR1、中間転写ベルト11の抵抗をR2、対抗ローラ16の表層の抵抗をR3とすると、この回路の全抵抗RはおおまかにいってR=R1+R2+R3と見積もられる。ただし、抵抗R1,R2,R3はトナーの帯電極性を制御する装置構成においての各部材の接触幅と同じ条件及び電圧印加条件と同じ条件において測定したときの値とする。また、中間転写ベルト11、極性制御ブレード21、抵抗層の各部材はいわゆる「中抵抗」の抵抗値を有する部材となるため、環境や使用時間によって抵抗値が変動し、同じ条件で数回測定したとしてもわずかに測定値がばらつくことがある。
図6からわかるように、極性制御対象のトナーにかかる電圧は、回路の総抵抗に対する中間転写ベルト抵抗の割合に比例する。従って、本来は中間転写ベルト抵抗が高抵抗であることが望ましいのであるが、前述のような中間転写ベルト11内の残留電荷等の問題により低抵抗化が必須条件となる場合がある。このため低抵抗中間転写ベルトを採用する場合にはR2/Rをできるだけ大きくし、かつ極性制御ブレード21に流れる電流をできるだけ小さくする必要がある。そのためにはR1+R3をR2と同等若しくは少しだけ大きくするとよい。想定している中間転写ベルト抵抗及び極性制御ブレード抵抗の範囲では、(R1+R3)<R2であると電流値が大きくなり、極性制御を行うことができない。
上述のことを踏まえた上で以下の検討を行った。実験において、性能が判るように2次転写電流値を通常よりも高く設定してトナー極性制御前の中間転写ベルト11上の残留トナーのQ/M値を+30μC/gとし、極性制御ブレード21に定電流制御電源によって−80μAに制御された電圧を印加して対抗ローラ16をアースし、極性制御ブレード21当接後のトナーQ/M値を調査した。ここで、中間転写ベルト11は体積抵抗率Rが100V印加時でlogR=8であるので、それよりも大きい抵抗値を有する対向ローラ表層が望ましいと考えられるため、体積抵抗率logR=8〜14までを調査対象とした。体積抵抗率logR=8,9、厚み100μm,150μmの導電性ナイロンチューブ、体積抵抗率logR=10〜14、厚み100μmの導電性PVDFチューブを表面に巻いたものを極性制御ブレード21の対向ローラとして設置して極性制御実験を行った。結果を下表に示す。
表1から明らかなように、体積抵抗率logR=8〜12の範囲において良好な極性制御が可能であった。また、極性制御可能な対向ローラ表層の場合、極性制御電流値はー60〜―80μAであった。この極性制御電流値は大きければ大きいほど極性制御後Q/M値の絶対値が大きくなる傾向があるが、電流値が大きすぎるとQ/M値の絶対値が低下するため各条件によって適正値がある。その理由は詳細には判明していないが、電流値が大きすぎると放電が過剰に起こり、空気中のイオンを電離してそのイオンが正負共にトナーに付着するためであると考えられる。このように、対向ローラの表層に体積抵抗率logR=8〜12の抵抗層を設けることにより、低抵抗中間転写ベルトにおいても初期的には良好にトナー極性制御を行うことができた。
以上のことから、logR=8の比較的低抵抗のベルトを用いた場合にも対向ローラ表面に高抵抗層を設けることにより極性制御が可能となったように思われたが、上述したように極性制御を連続して行うと図22に示すように経時でQ/M値の絶対値が低下してしまうことが判明した。従って、像担持体の裏面側において極性制御部材に対向している対向ローラ表面に高抵抗層を設けても電流量を規制することはできるものの、極性制御部材が像担持体表面と当接していることにより導電し、電流が流れるために低抵抗である像担持体に対しては放電を安定して持続させることができない。像担持体表面に向かって常に極性制御部材からの放電を持続させるためには、電荷を保持可能な高抵抗表面を有することが必要であと考えられる。
一方、これまで対向ローラに高抵抗層を必要としないと考えてきた高い体積抵抗率を有する像担持体であっても、図22に示すように経時で極性制御後のQ/M値の絶対値が低下することが判った。これは、ブレード抵抗は多少の変動はあるものの経時で大きく変動していなかったことから、極性制御部材のへたりや摩耗等の当接条件の変化に伴い、極性制御部材と像担持体との接触面積や極性制御部材と像担持体との間の放電箇所である微小ギャップが徐々に変化し、放電が起きにくい状態へと変化していると考えられる。
以上の結果から、放電の持続をより安定化させるため、当初低抵抗ベルトの極性制御性を向上させるために用いた高抵抗対向ローラを高体積抵抗率を有するベルトにも用いることにより、極性制御部材から軸芯をアースとしている対向ローラに流れる電流をより低減し、また放電が起きている場所である放電ニップ部の誘電厚みを増やして像担持体表面に保持される電荷を増やし、放電を安定化させることを目的として実験を行った。結果を図23に示す。
図23は、logR=8〜12.5の像担持体と表面に高抵抗層を設けた対向ローラとを用いて極性制御を行い、画像形成2000枚後と20000枚後とにそれぞれ極性制御Q/M値を測定したものである。同図に示すように、logR=8の像担持体では20000枚後での極性制御後Q/M値の絶対値が低下したが、logR=9〜12.5の像担持体では20000枚後においても2000枚後とほぼ同じ極性制御後Q/M値に維持されていた。このことより、像担持体の抵抗は体積抵抗率1×109〜1×1014Ωcmの範囲が必要であることが確認された。ここで、体積抵抗率が1×1014Ωcmよりも大きい場合には感光体と同等な体積抵抗となり、像担持体がアルミドラムに感光層を塗布した体積抵抗率1×1014Ωcmの感光体で確認したところ、経時で10万枚以上極性制御が行われることが確認され、対向ローラの高抵抗層が不要であることが判った。
次に、トナー極性制御後のクリーニング動作について説明する。図3において、極性制御ブレード21により正規の帯電極性に帯電されたトナーは導電性ブラシ22と対応する位置まで中間転写ベルト11の走行により移送される。導電性ブラシ22は導電性ポリエステルによって形成されており、導電性ブラシ22に接するように回収ローラ23が設けられている。導電性ブラシ22、回収ローラ23、コイル部材25はそれぞれ図示しない駆動手段によって回転駆動される。導電性ブラシ22の芯金には電源からトナーの帯電極性とは逆極性の電圧(プラス極性)が印加され、極性制御ブレード21をすり抜けたトナーを静電的に吸着する。導電性ブラシ22上に移動したトナーは、電源から導電性ブラシ22よりさらに高いプラス極性の電圧を軸に印加された回収ローラ23へと電位勾配により移動する。回収ローラ23上のトナーは導電性回収ブレード24によって掻き落とされ、コイル部材25によって機外に排出されるか若しくは現像器に戻される。回収ローラ23の表面電位を維持するため、導電性回収ブレード24には回収ローラ23の芯金に印加されている電圧と同じかさらに高いプラス極性の電圧が印加されている。ブラシ対向ローラ28は、その表面に像担持体の体積抵抗値と同等またはそれ以上の体積抵抗値を有する抵抗層を有している。この体積抵抗値は、絶縁に近いものであると対向ローラが電極の役割を果たせないため、極端に高抵抗なものは避けなければならない。クリーニング電界が維持できかつ導電性ブラシ電流が低くなるように抵抗値を設定する必要があり、体積抵抗値としてはlogR=6〜8のものが好適である。
図13は、極性制御ブレード21の対向ローラが導電ブラシ22の対向ローラを兼ねるようにした実施形態である。両対向ローラの表層に要求される抵抗値がほぼ同じ値だった場合には、このように対向ローラを共通に使用しても問題なく機能が発揮され、かつ部品点数を削減して省スペース化にも貢献することができる。
導電性ブラシ22及び回収ローラ23の具体的な構成条件は以下のとおりである。導電性ブラシ22は、ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包して繊維表面はポリエステルであるいわゆる芯鞘構造)、ブラシ抵抗:107Ω(印加電圧100〜600V)、ブラシ軸印加電圧:1000V、ブラシ植毛密度:10万本/inch2、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の毛倒れ処理あり、ブラシ径φ16mmであるが、これに限られない。
ブラシの抵抗RがlogR=5,7,9のときのクリーニング性を図14に示す。logR=9では印加電圧が大きいため、電源コストがアップする。logR=5では中間転写ベルト11に電流を流しやすいため、logR=7のときより低い電圧でトナーがプラス極性に帯電し、中間転写ベルト11に再付着するためにクリーニング性の余裕度が小さい。従ってlogR=7の条件が最も適している。従って、導電性ブラシ22の抵抗値を106〜108Ωとすることにより、導電性ブラシ22から中間転写ベルト11へのトナーの再付着が起こりにくくなり、中間転写ベルト11のクリーニングを良好に行うことができる。
中間転写ベルト11へのブラシ繊維喰い込み量は1mmとしている。ブラシ繊維は繊維全体としては導電性であるが、繊維表面は絶縁層で覆われているものを用いる。繊維表面に絶縁層を有することで、ブラシと中間転写ベルト11とが接触する際に電流が流れにくくなり、ブラシ繊維が中間転写ベルト11からトナーを静電吸引する際に余分な電流が流れにくくなるためトナーに逆極性の電荷を与えてしまうことがなく、一度ブラシに捕捉したトナーを逆に中間転写ベルト11上に付着させる虞が少なくなる。ただし、このようなブラシを使用しても繊維表面の絶縁層を破壊して電流を流すほどの電圧をブラシ軸に印加すると、結果として中間転写ベルト11にトナーを戻してしまうことになるので、電圧値の設定には注意を要する。さらに、ブラシをロール状に形成した後に一方向に毛を倒す斜毛処理を施すと、繊維断面に露出している導電剤を中間転写ベルト11に接触させにくくなるので、さらにトナーへの電荷注入性が低減されてクリーニング性の余裕度が向上する。
回収ローラ23は、回収ローラ芯金材質:ステンレス、回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)、回収ローラへのブラシ繊維喰い込み量:1mm、回収ローラ芯金印加電圧:+1400Vであり、導電性回収ブレード24は、導電性カーボン含有ポリウレタンゴム体積抵抗:106Ω・cm(温度25℃湿度50%にて測定)、ブレード当接角度:20°、ブレード厚み:2.8mm、回収ローラへのブレード喰い込み量:0.6mm、回収ブレードへの印加電圧:2400V、ただし、ブラシ抵抗は直径10mmのステンレスローラに導電性ブラシ22を1mm食い込ませて当接させ、200mm/secで両者を回転させてブラシ芯金に電圧を印加して電流測定し抵抗を算出したものである。
回収ローラ23は、ステンレスの芯金(直径16mm)の表面にPVDFを100μmの厚みで有し、さらにその表面にアクリル系のUV硬化樹脂層を有するもの(以下高抵抗ローラと称する)を用いた。ローラ抵抗は温度10℃湿度15%環境下と温度32℃湿度80%環境下でそれぞれ電圧1000Vを印加して電流を測定して算出し、体積抵抗値logR=12〜13である。本実施形態で用いたローラのみならず、導電性芯金に数μm〜100μmの高抵抗弾性チューブを被覆したり、あるいはさらに絶縁コーティングしてローラ抵抗をlogR=12〜13にしたりしたものでも同じ性能を得られる。さらに、回収ローラ23をクリーニングする導電性回収ブレード24を導電性ポリウレタンゴムにより形成し、導電性ブラシ22、回収ローラ23、導電性回収ブレード24にそれぞれ同極性の電圧を印加する。
次に導電性回収ブレード24について説明する。回収ローラ23には芯金に電圧が印加され、その表面電位を測定すると印加電圧と同電位となるのであるが、クリーニング動作中に多くのトナーが処理されると、回収ローラ23の表面電位はトナーの処理と共に低下していく。回収ローラ23の表面電位が低下すると、ブラシ先端電位との間の電位差(以降回収電位差と呼ぶ)が確保できなくなり、導電性ブラシ22からトナーを回収する能力が低下する。このため、画像形成動作がA4サイズ1枚分であれば回収電位差は確保できるが、連続プリント動作となって導電性ブラシ22の処理トナーが増加した場合には回収電位差が確保できなくなり、導電性ブラシ22にトナーが溜まった状態となって導電性ブラシ22から中間転写ベルト11上にトナーを吐き出してしまうという問題が生じる。このため回収ブレードを導電性回収ブレードとして電圧を印加し、回収ローラ23の表面に電荷を与えて回収電位差を保つことにより回収性能を維持するようにしている。
このような回収電位差の維持のための極性制御ブレード21への電圧印加は、極性制御ブレード21が新品である場合にはすり抜けるトナーが少ないためあまり必要性がない。しかし、極性制御ブレードを長時間使用するとすり抜けトナーが多くなり、あるいは低温低湿環境下では高温高湿環境下よりも極性制御ブレード21からのすり抜けトナーが多くなるため、このような際に特に有効である。以上、クリーニングの各種条件について述べたが、使用する材料や電圧値はこれに限られず、適宜選択すべきものである。
ところで、画像形成装置における高画質化及び同じ画像のリピートで色味が再現されることが達成されるべく、画像濃度を常に一定に維持するために作像プロセス条件を必要に応じて調整する制御が従来行われている。
例えば、現像剤はトナーとキャリアとの混合により摩擦帯電されてトナー帯電量を一定にする必要があるが、前回の作像動作から数時間が経過するとトナーの帯電量が減衰しているため、攪拌動作を行わずにすぐに作像すると低トナー帯電量では像担持体への現像量が多くなってしまうという問題点がある。また、連続して作像が行われると現像器中のトナー濃度が低下するため現像器にトナー補給を行う必要があるが、過不足なくトナー補給するために現像剤(トナーとキャリアとが混合したもの)中のトナー濃度を現像剤の透磁率を検知するセンサ等で検知してトナー補給を行う方法がある。さらに、検知精度を向上するために帯電バイアス及び現像バイアスを変化させながら転写ベルト上に各色数個ずつの数cm×数cmの大きさのトナーパターンを作成した後、フォトセンサで画像濃度を読み取って画像濃度と現像ポテンシャル(現像バイアスと感光体表面電位との差)の関係を求め、制御部に格納してある画像濃度と現像ポテンシャルのデータテーブルに基づいて常に画像が目標濃度となるように帯電バイアスと現像バイアスとを決定及び補正する制御も行われている。本実施形態では、10個のそれぞれ画像濃度が異なる2cm×2cmの面積のトナーパターンを各色中間転写ベルト上に作成し、これをフォトセンサで読み取っている。
このときのトナー付着量は最小で0.1mg/cm2、最大で0.55mg/cm2程度であり、トナーQ/d分布を測定するとほぼ正規帯電極性に揃っている(図8(c)参照)。また、各色のトナー像をずれることなく重ね合わせるため、色ずれ調整が行われることがある。前述のトナーパターンと同様な色ずれ補正用パターンを中間転写ベルト上に作成し、それをセンサで読み取って画像位置を測定し、書き込み位置を補正する制御も行われている。このときもセンサが誤検知しないように、画像濃度を高くしたベタパターンが中間転写ベルト上に作成される。
このときのトナー付着量は、一定の画像濃度及び一定の大きさのトナーパターンを中間転写ベルト走行方向に決まった色の順番でイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック、イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックと作像し、中間転写ベルトに対向して非接触状態で配置されたフォトセンサにより各色のパターンの位置を読み取り、ずれ量を算出して正しい位置からのずれ量を感光体への書き込みタイミングをずらすことによって補正している。このときのトナー付着量は0.3mg/cm2程度である。
上述したように、中間転写ベルト11上には転写紙に転写されないトナー像がいろいろなタイミングで作成され、そのトナーパターンは中間転写ベルトクリーニング装置20によって回収しなければならない。しかし従来のブレードクリーニング装置では、長期間の使用によりブレード先端が劣化してくると中間転写ベルト11上の残留トナーを一度に取り去ることが困難になる場合があった。このような場合には、クリーニングしきれなかった中間転写ベルト11上の残留トナーが次のプリント動作時に転写紙上に転写され、異常画像となる。
そこで、上述のように転写紙等の転写材に転写されずに未転写のまま中間転写ベルトクリーニング装置20に処理されるトナーが存在する場合に、極性制御ブレード21と静電クリーニング装置とを組み合わせることで導電性ブラシ22に運ばれるトナー量を低減することができ、かつ未転写トナーは極性が正規帯電極性に揃っており極性制御してもしなくても単極性であることから、トナーの正規帯電極性と逆極性の電圧を導電性ブラシ22及び回収ローラ23及び導電性回収ブレード24に印加することで良好にクリーニングすることができる。
また、極性制御ブレード21が長期間の使用で劣化して極性制御ブレード21をすり抜けるトナーが多くなっても導電性ブラシ22に運ばれるトナーの極性は正規極性のままであるため、逆極性印加の導電性ブラシ22により十分なクリーニングが可能である。さらに導電性回収ブレード24に電圧を印加するので、多くのトナーが導電性ブラシ22に運ばれても回収ローラ23の表面電位を維持する機能が働き、回収性能が低下することがないので長期にわたって中間転写ベルト11の表面を正常に維持することができ、長寿命化に寄与することができる。ここで、導電性ブラシ22の長期間使用にあたっての問題はあまりなく、本実施形態で用いているブラシ繊維は長期にわたる使用においても毛倒れしにくく、導電性ブラシ22の径が細ってきて中間転写ベルト11に対する食い込み量が低下してクリーニング不良になるという不具合は発生しなかった。
次に、図12を用いて本発明に係る中間転写ベルトクリーニング装置20の第2の実施形態を説明する。図12に示す実施形態は、導電性ブラシ22に潤滑剤32を接触させ、導電性ブラシ22を介して潤滑剤32を中間転写ベルト11に塗布している点が図3に示す実施形態と異なっており、他の構成は同じであるため図12において図3と同一の部材には同一の符号を付している。
本実施形態では、中間転写ベルト11の表面を極性制御ブレード21によって常時摺擦しているため、中間転写ベルト11の表面保護及び極性制御ブレード21の摩耗量低減のために潤滑剤32を塗布している。この構成では固形化した潤滑剤32を回収ローラ23との当接後に導電性ブラシ22に対して接触する位置に配置しており、導電性ブラシ22を介した潤滑剤塗布を行っている。潤滑剤32は中間転写ベルトクリーニング装置20のケーシングに固定された支持部材34上に設けられたばね33の付勢力によって導電性ブラシ22に圧接されており、潤滑剤32が時間経過と共に小さくなっていってもばね33の付勢力により適度に導電性ブラシ22に接触するように構成されている。潤滑剤32としては脂肪酸金属塩が適しており、中でもステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸カルシウム、オイレン酸マンガン、オイレン酸鉛等が適している。潤滑剤32を中間転写ベルト11に塗布することにより、中間転写ベルト11の表面が保護されると共に極性制御ブレード21の摩耗が低減するので、良好な画像形成動作を長期間にわたって行うことができる。
ところで、中間転写ベルトクリーニング装置20内に浮遊しているトナーをクリーニング装置外部に出さないように、図12に示す出口シール35を用いて中間転写ベルト11との間を遮蔽していたが、導電性ブラシ22の回転に伴ってブラシ付着トナーが潤滑剤32にはたかれ、図12中の領域Aにおいて中間転写ベルト11に付着する問題があることがわかった。そこで、出口シール35に代えて図15に示す遮蔽部材36を設けた。遮蔽部材36は、厚み200μmのウレタンゴムシートをクリーニング装置のケーシングに貼り付け、導電性ブラシ22に対して喰い込み量1mmとなるように配置されている。ケーシングとの貼り代は3mm、突き出し量は7mmである。遮蔽部材36の材質はウレタンゴムに限らず、絶縁性・可撓性を有する材質であれば良い。厚みは、ブラシの回転によって巻き込まれず、かつブラシの回転による空気流によって跳ね飛ばされない厚みであれば200μmに限られることはない。これにより、導電性ブラシ22からの飛散トナーが中間転写ベルト11を介して感光体2に付着することを防止でき、クリーニング後の感光体2のトナー汚れを防止することができる。
図12及び図15に示す中間転写ベルトクリーニング装置20のトナー極性制御は図3に示す中間転写ベルトクリーニング装置20と同様であるが、極性制御ブレード21に印加する電圧を、例えば定電流制御で−80μAとする。
図16(a)はプラス極性とマイナス極性とが50%ずつの転写残トナーAを極性制御ブレード21によって極性制御した場合、図16(b)はほとんどがプラス極性の転写残トナーBを極性制御ブレード21によって極性制御した場合、図16(c)はほとんどがマイナス極性の未転写トナーを極性制御ブレード21によって極性制御した場合のQ/d分布変化図である。
中間転写ベルト11上の転写残トナーは、図16(a)の転写残トナーAや図16(b)の転写残トナーBとして示す様にプラス極性とマイナス極性とが混在した分布のトナーとなり、中間転写ベルト11の走行により極性制御ブレード21と対応する位置まで移送される。極性制御ブレード21ではほとんどのトナーが機械的に掻き落されるが、いわゆるスティックスリップが発生してその一部はすり抜けて行く。機械的に掻き落とされたトナーはブレードから自然に落下し回収部に収容され、コイル部材25によって搬送されて廃トナー回収部に回収される。
極性制御ブレード21にはトナーの帯電極性と同じ極性(マイナス極性)の電圧が印加されており、トナーが極性制御ブレード21をすり抜けて行くときトナーを正規の帯電極性(マイナス極性)に帯電する。印加電圧を−2000Vとしたときの制御されたトナーのQ/d分布を図16(a)、図16(b)にそれぞれ示す。入力トナーである転写残トナーのQ/d分布によって極性制御後のQ/d分布も異なる(転写残トナーAと転写残トナーBとの違い)が、どちらもほぼ単極性に制御することができる。
図17は、図2で示した4色分の画像形成部のうちの1つである、感光体2周りのユニットの詳細な構成を示す図であり、以下、感光体クリーニング装置7dについて説明する。他の感光体クリーニング装置7a〜7cも同様であるので、以下、添え字dを省略して説明する。
感光体クリーニング装置7は、感光体2上の転写残トナーの極性を制御するための極性制御ブレード71を感光体2の表面に接触する態様で有しており、極性制御ブレード71の後の工程には極性制御されたトナーをクリーニングするための導電性ブラシ72、導電性ブラシ72に付着したトナーをブラシから回収する回収ローラ73、回収ローラ73の表面に当接して回収したトナーを掻き取ると同時に回収ローラ73の表面に電荷を付与する導電性回収ブレード74、回収したトナーを画像形成装置本体に備えられた図示しない廃トナータンクに搬送するためのコイル部材75が備えられている。また、帯電工程における感光体2の表面保護のため、固形化された潤滑剤76を導電性ブラシ72に当接させ、導電性ブラシ72によって潤滑剤76を感光体2の表面に塗布するように構成されている。潤滑剤76はケーシングに固定された支持部材78上に設けられたばね77の付勢力によって導電性ブラシ72に圧接されており、潤滑剤76が時間経過と共に小さくなっていってもばね77の付勢力により適度に導電性ブラシ72に接触するように構成されている。
遮蔽部材79は厚み200μmのウレタンゴムシートをクリーニング装置7のケーシングに貼り付け、導電性ブラシ72に対して喰い込み量1mmとなるように配置されている。ケーシングとの貼り代は3mm、突き出し量は7mmである。遮蔽部材79の材質はウレタンゴムに限らず、絶縁性・可撓性を有する材質であればよい。厚みは、ブラシの回転によって巻き込まれず、かつブラシの回転による空気流によって跳ね飛ばされない厚みであれば200μmに限られない。
本発明の第3の実施形態を採用したカラープリンタを図18に示す。同図においてカラープリンタは、像担持体としての感光体ドラム101、書き込み光学ユニット107、ブラック現像装置102a、シアン現像装置102b、マゼンタ現像装置102c、イエロ現像装置102d、中間転写装置110、紙転写装置103、図示しない定着装置等で構成されている。
感光体ドラム101は反時計回り方向に回転し、その周りには、感光体クリーニング装置104、除電ランプ105、帯電器106、現像装置102a〜102dが配置され、書き込み光学ユニット107はカラースキャナからのカラー画像データを光信号に変換し、原稿の画像に対応した光書き込みを行って感光体ドラム101の表面に静電潜像を形成する。
現像装置102a〜102dは、静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体ドラム101の表面に接触させて回転する現像スリーブと、現像剤を汲み上げて撹拌するために回転する現像剤パドル等を有している。各現像装置内のトナーはフェライトキャリアとの撹拌によって本実施形態では負極性に帯電され、また、各現像スリーブには図示しない現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源によって負の直流電圧Vdcに交流電圧Vacが重畳された現像バイアス、または直流電圧のみの現像バイアスが印加され、現像スリーブが感光体ドラム101の金属基体層に対して所定電位にバイアスされている。
感光体ドラム101上には各色のトナー像が順次形成されるが、その形成順序は適宜選択できる。また中間転写装置110は、中間転写ベルト111、ベルトクリーニング装置113等を有している。中間転写ベルト111は駆動ローラ112、バイアスローラ115、クリーニング対向ローラ116、従動ローラ114及びその他の従動ローラ群に張架されており、図示しない駆動モータにより駆動制御される。
バイアスローラ115へ電圧が印加されることにより、感光体ドラム101上に形成されたトナー像が中間転写ベルト111上に1次転写される。1次転写バイアス電圧は、1色目から4色目まで1000V〜2000Vの間で適宜調整を行い印加される。
2次転写バイアス電圧は30μA、感光体電位は画像部で−80〜−130V、地肌部で−500〜−700V、トナー濃度は各色5〜10wt%、トナー帯電量(現像器内)は各色−10〜−25μC/g、転写ローラはヒドリンゴムローラにPFEチューブを被覆したもの、体積抵抗率は109Ω・cm、中間転写ベルトはカーボン分散のフッ素系樹脂ETFE(エチレンテトラフロロエチレン)、中間転写ベルトの電気抵抗は体積抵抗率で1010Ω・cm、表面抵抗率で109Ω、中間転写装置110のベルトクリーニング装置113には図3または図15に示した中間転写ベルトクリーニング装置20を用いる。
紙転写装置103には、AC電圧+DC電圧またはDC電圧を印加して、中間転写ベルト111上の重ねトナー像を記録紙に一括転写する。上述した構成のカラー複写機において画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム101が反時計回り方向に、中間転写ベルト111が時計回り方向にそれぞれ図示しない駆動モータによって回転される。中間転写ベルト111の回転に伴いブラックトナー像形成、シアントナー像形成、マゼンタトナー像形成、イエロトナー像形成が行われ、最終的にブラック、シアン、マゼンタ、イエロの順に中間転写ベルト111上に重ねてトナー像が形成される。
ブラックトナー像形成は次のように行われる。帯電器106は近接ローラ帯電によって感光体ドラム101を負電荷で約−700Vに一様帯電する。そして、書き込み光学ユニット107からの半導体レーザはブラックカラー画像信号に基づいてラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様荷電された感光体ドラム101の表面では露光された部分において露光光量に比例する電荷が消失し、ブラック静電潜像が形成される。そして、このブラック静電潜像にブラック現像スリーブ上の負帯電のブラックトナーが接触することにより、感光体ドラム101の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分、すなわち露光された部分にはブラックトナーが吸着し、静電潜像と相似なブラックトナー像が形成される。そして、感光体ドラム101上に形成されたブラックトナー像は、感光体ドラム101と接触状態で等速駆動している中間転写ベルト111の表面に、中間転写装置110の働きによって以下のようにして転写される(以下、感光体ドラム101から中間転写ベルト111へのトナー像転写をベルト転写という)。
バイアスローラ115には図示しない電源から感光体101上のトナーとは逆極性、本実施形態ではプラス極性のバイアス電圧が印加され、バイアスローラ115に巻きかけられた中間転写ベルト部分が感光体101の表面に接触し、この状態で中間転写ベルト111は図示しないモータにより駆動される駆動ローラ112の回転によって図18に矢印で示した方向に走行する。感光体101と中間転写ベルト111とは両者の接触部において同じ方向に移動し、しかも等速移動するように制御される。バイアスローラ115にはトナーと逆極性の電圧が印加されているので、感光体101上のブラックトナー像が感光体101と中間転写ベルト111との接触部である1次転写領域に至ったとき、ブラックトナー像は中間転写ベルト111の表面に静電的に吸引されて中間転写ベルト111の表面に1次転写される。
感光体ドラム101上の若干の未転写残留トナーは、感光体ドラム101の再使用に備えて感光体クリーニング装置104でクリーニングされる。ここで回収されたトナーは回収パイプを経由して図示しない廃トナータンクに蓄えられる。感光体クリーニング装置104として、図17に示すクリーニング装置7を用いると良好なクリーニング性を得ることができる。ベルト転写後の感光体ドラム101の表面は、感光体クリーニング装置104でクリーニングされた後、除電ランプ105によって均一に除電される。
中間転写ベルト111には、感光体ドラム101に順次形成されるブラック、シアン、マゼンタ、イエロのトナー像を同一面に順次位置合わせして4色重ねのトナー像が形成され、次の転写工程においてこの4色のトナー像が記録紙に紙転写装置103により一括転写される。本実施形態に示す中間転写ベルト111のクリーニング装置として、図3、図15に示した中間転写ベルトクリーニング装置20を用いると良好なクリーニング性を得ることができる。また、中間転写ベルト111として厚さ0.07〜0.3mmの弾性層を有するものを用いることにより、表面に凹凸を有する転写材に対しても良好にトナーを転写することができ、高品質の画像を得ることができる。
本実施形態に示した画像形成装置に用いられる中間転写ベルト11は、図24に示すように少なくとも基層51、弾性層52、表面のコート層53を有しており、硬度の低い弾性層52を有することで転写ニップ部においてトナー層や平滑性の低い用紙に対して変形可能となるように構成されている。この構成によれば、中間転写ベルト11が局部的な凹凸に追従して変形可能であるため、トナー層に対して過度に転写圧を高めることなく良好な密着性を得ることができるので画像の転写中抜けがなく、また平滑性の低い用紙等に対してもソリッド部等における転写ムラのない均一性に優れた転写画像を得ることができる。
弾性層52に用いられる材料としては、例えば弾性材ゴム、エラストマ等の弾性部材が挙げられ、具体的にはブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、熱可塑性エラストマ(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし上記材料に限定されるものではない。
弾性層52の厚みは、硬度及び層構成にもよるが0.07〜0.5mmが好ましい。中間転写ベルトクリーニング装置がブレード式である場合には、0.3mm以上の厚みを有するとクリーニングブレードの圧接力により撓んだりクリーニングブレードが中間転写ベルト11の中に押し込まれたりして中間転写ベルト11の滑らかな移動が妨げられるが、本発明においては極性制御ブレード21と中間転写ベルト11との接触面積が小さいほど安定した放電が行われるため極性制御ブレード21の当接圧を小さくすることができ、弾性層52の厚みが0.3mmを超えていても中間転写ベルト11の滑らかな移動が妨げられない。従って、極性制御ブレード21による、導電性ブラシ22に入力される残留トナー量を低減する機能と残留トナーのQ/M値を制御する機能とを両立することができる。
中間転写ベルト11の厚みが0.07mm以下であると、2次転写ニップ部における中間転写ベルト11上のトナーに対する圧力が高くなり転写中抜けが発生し易くなり、さらにトナーの転写率が低下する。また弾性層52の硬度は、10≦HS≦65(JIS−A)であることが好ましい。中間転写ベルト11の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°JIS−Aより低いと転写中抜けが生じ易い。これに対して硬度が65°JIS−Aより高いとローラへの張架が困難となり、また長期の張架によって延伸するために耐久性が低く、早期の交換が必要となる。
基層51は伸びの少ない樹脂で構成されており、具体的に基層51に用いられる材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし上記材料に限定されるものではない。
伸びの大きなゴム材料に帆布等の伸びを防止する材料で構成された芯体層を基層51に設け、その上に弾性層52を形成する方法等を採用してもよい。このとき芯体層に用いられる伸びを防止する材料としては、例えば綿、絹等の天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を用い、糸状あるいは織布状のものを使用することができる。ただし上記材料に限定されるものではない。これらの糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよく、糸に適度な導電処理を施して使用してもよい。織布はメリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、交織した織布でもよく導電処理を施すことも可能である。
コート層53は、弾性層52の表面を例えばフッ素樹脂等によりコーティングするためのものであり、平滑性のよい層からなる。コート層53に用いられる材料としては特に制限はないが、一般的に中間転写ベルト11表面へのトナー付着力を小さくして2次転写性を高める材料が用いられ、例えばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上が挙げられる。また表面エネルギを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、酸化チタン、シリコンカーバイド等の粒子を1種類あるいは2種類以上、または必要に応じて粒径を変化させたものを分散させて使用することも可能である。さらにフッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギを小さくさせたものを使用してもよい。
基層51、弾性層52、コート層53は、必要に応じて抵抗を調整する目的で、例えばカーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化スズ複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化スズ複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等を用いることができる。導電性金属酸化物としては、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし上記材料に限定されるものではない。
次に、本発明のカラープリンタに好適に使用されるトナーについて説明する。600dpi以上の微少ドットを再現するため、トナーの体積平均粒径は3〜6μmが好ましい。また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーではトナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また静電転写方式では転写率を高くすることができる。
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図19は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1はトナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π)/4・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
図20は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×100/(4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。形状係数の測定は、具体的には走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるため、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
また、カラープリンタに好適に使用されるトナーは、少なくとも窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマとポリエステルと着色剤と離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/または伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下で150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量は1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/または伸長されて得られるものである。多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−イソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは平均1.5〜3個、さらに好ましくは平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマ(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2や1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法等により製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下で150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)とを反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマ(A)とアミン類(B)との架橋及び/または伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性及びフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化すると共に、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステルは得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較してガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR1、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチと共に混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LR1−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えばn−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂と共に溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。中でも流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−4μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタル等が発生しない良好な画像品質が得られ、さらに転写残トナーの低減が図られる。酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわちコピーの繰り返しを行っても安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることがトナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマ100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等の有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級または2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このため、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲となるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上述した樹脂微粒子や無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の含窒素化合物、またはその複素環を有するもの等のホモポリマまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmとするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合の回転数には特に限定はないが、通常は1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間も特に限定はないが、バッチ方式の場合は通常0.1〜5分である。分散時の温度としては通常0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
(3)乳化液の作製と同時にアミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/または伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマ(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は通常0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後に水洗する等の方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
(5)上記で得られたトナー母体粒子に荷電制御剤を打ち込み、次いでシリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させてトナーを得る。荷電制御剤の打ち込み及び無機微粒子の外添は、ミキサ等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
またトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。図21(a),(b),(c)はトナーの形状を模式的に示す図である。図21(a),(b),(c)において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(ただし、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明に使用可能なトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図21(b)参照)が0.5〜1.0、厚さと短軸との比(r3/r2)(図21(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
上述した構成では、画像形成装置としてカラープリンタを用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限られず、複写装置、ファクシミリ、プロッタ、これらの複合機等の他の画像形成装置にも本発明は適用可能である。