JP2004117541A - クリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベルト状部材1に残留したトナーTを清掃するクリーニング装置4であって、残留トナーTが静電的に吸着せしめられるクリーニングロール5と、このクリーニングロール5の上流側に設けられて前記残留トナーT層を基準厚以下に引き伸ばし調整する層厚調整部材6と、前記クリーニングロール5の上流側に設けられ、ベルト状部材1に残留したトナーTの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材7と、層厚調整部材6がベルト状部材1に対して当接、離間するリトラクト機構8とを備える。また、このクリーニング装置4を用いた画像形成装置をも対象とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられるクリーニング装置に係り、特に、ベルト状部材上に残留するトナーを清掃するクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を利用したカラープリンタ、カラー複写機等の画像形成装置として、中間転写方式を採用するタイプのものが増えつつある。
かかる中間転写方式を採用したカラー画像形成装置は、例えば感光体ドラムの周囲に、帯電、露光、現像及びクリーニングの各電子写真デバイスを配設する一方、前記感光体ドラムの一次転写位置に対し例えば中間転写ベルトを対向配置し、感光体ドラム上に各色成分(例えばイエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K))トナー像を形成し、この各色成分トナー像を一次転写位置にて一次転写装置の静電的作用により中間転写ベルトに順次一次転写した後、中間転写ベルト上に重ね合わされた合成一次転写像を、二次転写位置にて二次転写装置の静電的作用により用紙やOHPシート等の記録材へ二次転写して、所望のカラー画像を記録材上に形成するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、中間転写ベルトから記録材にトナー像を転写する際には、中間転写ベルト上のトナーが全て記録材に転写されるわけではなく、その一部が中間転写ベルトに残留する。そこで、二次転写位置よりも中間転写ベルト走行方向下流側に、中間転写ベルトに残留したトナーを取り除くためのクリーニング装置(ベルトクリーナ)が設けられている。このクリーニング装置には、中間転写ベルト上の残留トナーを掻き取るために、クリーニングのタイミングに合わせてクリーニング部材を接離するようにしたものが用いられる。
ここで、クリーニング部材としては、弾性ブレードやファーブラシ又は導電性ロール等が知られている。
【0004】
この種のクリーニング装置において、例えばクリーニング部材として弾性ブレードを使用する態様にあっては、弾性ブレードが離間した時に弾性ブレード先端部分に堆積したトナーが中間転写ベルト上に残留し、次プロセスで画像上にブレード跡を発生させるという問題がある。また、長期使用により弾性ブレードと中間転写ベルトとが摩耗し、クリーニング不良・転写効率低下が起こるという問題がある。
また、クリーニング部材としてファーブラシ(ブラシロール)を使用する態様にあっては、装置が大型化・複雑化し、コスト高になるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消するという観点からすれば、クリーニング部材として導電性ロール(クリーニングロール)を使用する方式が採用される場合がある。
【0005】
この種のクリーニングロールを使用したクリーニング方式には、中間転写ベルト上の残留トナーを静電的にクリーニングロールに吸着させるようにして回収する方式(例えば特許文献2,特許文献3参照)と、帯電制御ロールにより中間転写ベルト上の残留トナーの極性を揃えた後に回収用のクリーニングロール(感光体ドラムをも含む)で回収する方式(例えば特許文献4,特許文献5,特許文献6,特許文献7,特許文献8,特許文献9参照)とがある。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−323704号公報(第3−5頁,図1)
【特許文献2】
特開平10−333447号公報(第2−3頁,図1−2)
【特許文献3】
特開平11−7226号公報(第1−6頁,図1,7)
【特許文献4】
特開平1−105980号公報(第2−3頁,第1図)
【特許文献5】
特開平4−81785号公報(第2−5頁,第1−5図)
【特許文献6】
特開平9−44007号公報(第2−5頁,図1−2)
【特許文献7】
特開2000−34131号公報(発明の実施の形態の欄,図1−3)
【特許文献8】
特開2001−42655号公報(発明の実施の形態の欄,図1)
【特許文献9】
特開2000−284606号公報(発明の実施の形態の欄,図1)
【特許文献10】
特開平4−69682号公報(第1−18頁,第1−4図)
【特許文献11】
特開平8−262879号公報(第4−6頁,図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、クリーニングロールを使用したクリーニング装置のうち、前者の方式にあっては、トナーと逆極性のバイアス電圧(直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳)を印加してクリーニングロールに吸着させた後、クリーニングロール用ブレードやブラシ等で吸着した残留トナーを掻き落し回収する。
このとき、静電的に吸着することができるトナーは同一極性のトナーとなるが、二次転写残留トナーの帯電分布は必ずしも均一でなく、異なる極性のトナーが混在しているため、回収できないトナーが中間転写ベルト上にとどまり、次の画像形成時に混入するという技術的課題が生ずる。
このため、二次転写残留トナーを充分に回収するために、後者の方式を採用する場合がある。
【0008】
確かに、後者の方式(極性を揃えた後にトナー回収する方式)では、あらかじめ、帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えた後クリーニングロールに吸着させるようにするため、異なる極性のトナーが残留するという技術的課題は小さい。
しかしながら、カラー画像のように、中間転写ベルト上に多くの二次転写残留トナーが残留した場合には、あらかじめ帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えようとしても、重層したトナー層のために下層のトナー層まで極性を揃えるということが難しくなる。
【0009】
また、用紙搬送不良により二次転写されなかったトナーの場合は、さらにトナーが重層しているために、極性を揃え回収するということが難しく、高画質が求められるカラー画像形成装置では画像欠陥につながるという技術的課題がある。更に、カラープリンタ、カラー複写機等の画像形成装置で用いられることがある二成分現像方式の場合は、一成分現像方式に比べて、トナーがキャリアとの摩擦帯電により高い電荷を帯びるため、帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えようとしても、帯電分布が幅広くなっていることがあり、十分均一に揃えることが難しく、また、本来の極性と異なる極性に揃えようとするとさらに難しくなり、十分なクリーニングが行われないという技術的課題がある。
【0010】
また、従来における他のクリーニング方式として、例えばクリーニング部材としてのブラシロールに先立ってトナー回収ロールを配設し、このトナー回収ロールにより物理的にトナーを回収し、一定量のトナーを残留させる方式(二段階トナー回収方式)が提案されている(例えば特許文献10参照)。
ところが、この態様にあっては、二箇所でトナー回収を行う必要があるため、トナーの回収スペースを二箇所に亘って広く確保しなければならないばかりか、回収したトナーの搬送系を共通化する場合にはレイアウト上の制約も生じてしまう点で好ましいとは言えない。
【0011】
更に、従来の別のクリーニング方式として、中間転写体に摺擦するブラシを備え、このブラシには中間転写体上のトナーと同極性の電圧を印加することで、ブラシで中間転写体上のトナーを移動させた後、トナーと同極性の電圧を中間転写体に印加することで、中間転写体と感光体とのニップ部で移動したトナーを感光体側に戻す、又は、ブレードにてクリーニングするクリーニング方式も知られている(例えば特許文献11参照)。
ところが、この種のクリーニング方式にあっては、同極性の電圧が印加されたブラシでトナーを移動させるにしても、中間転写体に対するトナーの静電的付着力を減少させていないために、感光体に戻したり、ブレードクリーニングしようとしても、残留トナーが多い場合には充分に取り除くことが難しい。特に、中間転写体に弾性体のような摩擦係数の高い材料を使用した場合には、ブラシによる中間転写体への回転負荷が大きくなる点で好ましいとは言えない。
【0012】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、クリーニングロールを備えた態様において、残留トナーの状況(残留トナー量あるいは残留トナーの種類)に影響されることなく、残留トナーのクリーニング性能を常時良好に保つことができ、しかも、ベルト状部材(例えば中間転写体等)への負荷を軽減することを可能とするクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、図1に示すように、ベルト状部材1に残留したトナーTを清掃するクリーニング装置4であって、残留トナーTが静電的に吸着せしめられるクリーニングロール5と、このクリーニングロール5の上流側に設けられて前記残留トナーT層を基準厚以下に引き伸ばし調整する層厚調整部材6と、前記クリーニングロール5の上流側に設けられ、ベルト状部材1に残留したトナーTの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材7と、層厚調整部材6がベルト状部材1に対して当接、離間するリトラクト機構8とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
このような技術的手段において、ベルト状部材1には、ベルト状感光体、ベルト状中間転写体など広く含む。
また、本件は、クリーニングロール5を備えたものを対象とするため、クリーニング部材としてブレード、ブラシを単独で使用するものは除外される。
ここで、クリーニングロール5は独立の機能部材であってもよいし、他の機能部材(例えば感光体ドラムなど)と兼用してもよい。
尚、クリーニングロール5には通常クリーニング用バイアスが印加され、ベルト状部材1上の残留トナーTを静電吸着するようになっている。
【0015】
また、層厚調整部材6としては、残留トナーT層を引き伸ばし調整するものであれば、ブレード状、ロール状など任意の形態でよく、通常はベルト状部材1に所定の押圧力で接触配置されるが、ベルト状部材1に非接触でも、残留トナーT層が基準厚を超えた時点で当該残留トナーT層に接触する態様や、あるいは、ベルト状部材1裏面に常時接触で、電界カーテンの作用で層厚調整する態様をも含む。
更に、層厚調整部材6としては、図1に示すように、残留トナーT層の厚みd0を基準厚以下の所定厚d1に調整するものであればよい。
ここでいう「基準厚」とは、トナーの種類(粒径、帯電量など)や帯電制御部材7の帯電能力に応じて適宜選定されるものであり、残留トナーT層全体について、帯電制御部材7による帯電極性及び帯電量を所望の状態に制御することが保証可能な厚みを意味する。
【0016】
また、ベルト状部材1に層厚調整部材6が接触配置される態様にあっては、層厚調整部材6がベルト状部材1に強く押し当てられていると、層厚調整部材6から受ける荷重により残留トナーTがベルト状部材1に強く押し付けられてしまい、残留トナーTとベルト状部材1との機械的な吸着力が強くなる。
一方、層厚調整部材6がベルト状部材1に非常に弱く押し当てられていると、層厚調整部材6から受ける荷重により残留トナーTを移動させる力が働かず、残留トナーT層を均一に引き伸ばすことが難しくなり、薄層にすることができない。また、薄層にできた場合にも部分的な斑ができやすくなる。
このため、ベルト状部材1に対する層厚調整部材6の押圧力については、ベルト状部材1及び層厚調整部材6の材質により適切な荷重に設定することが必要である。
【0017】
また、帯電制御部材7は、残留トナーTの帯電極性、帯電量を制御するものであれば適宜選定してよく、層厚調整部材6と通常別体であるが、両機能を実現可能であれば、一体的に構成してもよい。
この帯電制御部材7の形態についてはロール状を始め適宜選定して差し支えなく、通常帯電制御部材7には帯電用バイアスが印加される。
【0018】
更に、層厚調整部材6がベルト状部材1に対して当接、離間するリトラクト機構8を備えるようにすればよい。
ここで、リトラクト機構8は、層厚調整部材6がベルト状部材1に対して当接、離間するものであればよく、例えば機械的又は電気的に層厚調整部材6をリトラクトさせる等適宜設計変更して差し支えない。
このリトラクト機構8によれば、残留トナーTの層厚調整時にのみ、ベルト状部材1に対して層厚調整部材6を当接させるようにすることができるため、ベルト状部材1に対する負荷が軽減され、ベルト状部材1の劣化や、トナーの変形によるトナー付着を防止することができる。
【0019】
また、リトラクト機構8は、ベルト状部材1に残留したトナーTがベルト状部材1に対する層厚調整部材6当接位置X通過前に、層厚調整部材6がベルト状部材1に当接し、前記残留トナーTがベルト状部材1に対する層厚調整部材当接位置X通過後であって、ベルト状部材1上の未転写トナーがベルト状部材1に対する層厚調整部材当接位置X通過前に、層厚調整部材6がベルト状部材1から離間するように設けることが好ましい。このように、残留トナーTの通過時には層厚調整部材6がベルト状部材1に当接して残留トナーTの層厚を調整し、未転写トナー像通過時には層厚調整部材6がベルト状部材1から離間するように設定すれば、作成した画像への影響を抑えると共に、ベルト状部材1に対する層厚調整部材6による負荷を必要最小限にすることができるため、ベルト状部材1の劣化を防止することができる。
尚、ベルト状部材1の劣化防止の観点からは、リトラクト機構8は、層厚調整部材6に限らず、帯電制御部材7やクリーニングロール5にも適用することが好ましい。
【0020】
また、このような技術的手段において、ベルト状部材1に残留したトナーT量を検知する検知手段9と、検知手段9による検知結果に基づいて層厚調整部材6を制御する制御手段10とを備えることが好ましい。このように、検知手段9により、例えば残留トナーTの層厚が薄く、残留トナーTの薄層化を行わなくても、帯電制御部材7により残留トナーTの帯電量及び帯電分布を制御することが可能であると判断された場合には、制御手段10により層厚調整部材6のベルト状部材1への当接を行わないように制御することができる。すなわち、層厚調整部材6のベルト状部材1への当接を必要なときにのみ、選択的に行うことができ、ベルト状部材1への負荷を軽減することができる。
ここで、検知手段9による検知方法としては、例えばベルト状部材(感光体や中間転写体等)上の画像濃度を検知する方法、環境やシート等各種条件から求められる転写率によりベルト状部材に残留するトナーT量を推定する方法、スキャン情報やコンピュータ等からの出力情報から画像濃度を推定する方法、転写ミスを判別するためのシートジャムを検知する方法、シート面積よりも大きい画像形成が行われたか否かを判断するためのシートサイズや、画像形成装置の各種設定条件に基づいて検知する方法等が挙げられる。
また、制御手段10は、検知手段9により検知された残留トナーT量に基づいて、層厚調整部材6をベルト状部材1に対して当接、離間させるものであれば適宜選定して差し支えないが、例えばコンピュータによる制御等が挙げられる。
【0021】
更に、例えば残留トナーT量が層厚調整部材6による薄層化可能範囲を超える量であると検知手段9が検知した場合には、制御手段10が層厚調整部材6を制御することにより、ベルト状部材1の画像領域外に残留トナーTを滞留させることが好ましい。
ここで、残留トナーTが多量である場合には、層厚調整部材6先端に残留トナーTが堆積し、トナー溜まりが生じる。このとき、ベルト状部材1に残留トナーTの薄層化を行うための領域が十分にある場合には、層厚調整部材6先端の残留トナーTも徐々に減少し、トナー溜まりが解消されるが、連続して画像形成を行う際に、次画像への影響を抑えつつ、限られた領域でトナー溜まりを解消することは困難である。
そこで、残留トナーT量が多く、層厚調整部材6による薄層化可能範囲を超えるような場合には、画像形成に影響を及ぼさない画像領域外に一時的に残留トナーTを滞留させるようにすればよい。
【0022】
また、その後、ベルト状部材1の画像領域外に滞留させた残留トナーTを回収することが好ましい。
画像領域外に滞留させた残留トナーT(以下滞留トナーという。)は、画像形成に影響を及ぼすことはないが、まとまった状態で放置しておくと、静電的に回収することが困難となり、また、トナー汚れや固着の原因となることもあるため、回収することが好ましい。
ここで、滞留トナーの回収は、前記層厚の厚い残留トナーTの回収方法と同様に、層厚調整部材6により薄層化した後、帯電制御部材7により極性及び帯電量を制御してクリーニングロール5により回収すればよい。
更に、滞留トナーの回収は、例えば一連の画像形成が終了した後に行う、一連の画像形成前に行う、画像形成装置の電源を入れたときに行う、一定の回数画像形成を行った後に行う等、回収のタイミングは適宜選定して差し支えない。 また、このようなタイミングで回収を行えば、画像出力速度が低下する等の不都合を回避することもできる。
【0023】
更に、本発明は、クリーニング装置4に限られるものではなく、これを用いた画像形成装置をも対象とする。
この場合、本発明は、図1に示すように、トナー像TZが担持されるベルト状部材1と、このベルト状部材1上のトナー像TZを転写媒体2に転写する転写装置3と、ベルト状部材1に残留するトナーTを清掃するクリーニング装置4とを備えた画像形成装置において、クリーニング装置4として、上述したクリーニング装置を用いるようにしたものである。
この種の画像形成装置において、中間転写型の画像形成装置にあっては、ベルト状部材1を中間転写体として使用する態様が代表的である。
【0024】
次に、上述したクリーニング装置4の作用について説明する。
例えばベルト状部材1上に形成されたトナー像TZを転写媒体2に転写した後に、ベルト状部材1上には未転写トナーTが残留するが、この残留トナーTがクリーニング装置4にて清掃される。
一般に、残留トナーTを清掃するに当たり、ベルト状部材1にクリーニング用バイアスが印加されたクリーニングロール5を接触しただけでは、残留するトナーTの帯電分布が幅広く、また、環境が異なれば帯電分布も異なるため、ベルト状部材1からクリーニングロール5への電気的な吸着(トナーの移動)が不安定で十分には行われない。
【0025】
このため、クリーニングロール5により安定して電気的な吸着(トナーの移動)を行うには、残留トナーTの極性を揃えるために別途帯電制御部材7を用い、帯電用バイアスを印加し、吸着前の残留トナーTの帯電極性及び帯電量を制御する。
このとき、単色の場合には、例えば図3(a)に示すように、転写後、ベルト状部材1に残留するトナーT量も少なく、帯電制御部材7でほとんどの残留トナーTを静電的に吸着可能な帯電とすることが可能である。
【0026】
しかしながら、単色のトナー量を100%とした時に、二色重ねた画像のようにトナー量が200%となったり、特に三色重ねた画像のようにトナー量が300%となった場合、言い換えれば、残留トナーTが厚層の場合には、図3(b)に示すように、転写後、ベルト状部材1に残留するトナーT量も増え、帯電制御部材7により残留トナーTの帯電量を制御しようとしても、下層の残留トナーTまで静電的に吸着可能な帯電とすることが難しい。
この場合、ベルト状部材1上にある残留トナーTのうち下層の残留トナーTはクリーニングロール5側に回収されず、ベルト状部材1側に残存してしまう懸念がある。
【0027】
そこで、例えば帯電制御部材7の前に層厚調整部材6を設け、この層厚調整部材6にて、帯電制御部材7で静電的に吸着可能な帯電とし得る程度のトナー量(基準厚d以下のトナー量に相当)に残留トナーT層を調整することにより、例えば図2(b)に示すように、二色重ねた画像のようにトナー量が200%となったり、特に三色重ねた画像のようにトナー量が300%となった場合にも、図2(a)に示すように、例えば単色のトナー量と同程度の残留トナーTの重なり状態となる。
このため、層厚調整部材6を通過した残留トナーTについては、帯電制御部材7でほとんどの残留トナーTを静電的に吸着可能な帯電とし得るため、クリーニングロール5により安定して電気的な吸着(トナーの移動)を行うことが可能となる。
【0028】
また、像形成担持体(例えば感光体)上に形成されたトナー像TZがベルト状部材1(例えば中間転写ベルト)に転写されるとき、層厚調整部材6が中間転写ベルトに接触したままでは、転写画像に触れてしまい、転写画像が乱れてしまう。
このとき、感光体上に形成されたトナー像TZが中間転写ベルトに転写され、層厚調整部材6が中間転写ベルトに接触する位置に来るまでに、リトラクト機構8により、層厚調整部材6が中間転写ベルトから離間させられるため、転写画像の乱れを防止することができる。
更に、検知手段9により、中間転写ベルト上の残留トナーTの層厚が厚いと判断された場合には、電気的に吸着、回収するためには、層厚調整部材6による薄層化を行うことが必要であるが、例えば、検知手段9により残留トナーTの層厚が薄いと判断され、そのままでも帯電制御部材7による残留トナーTの帯電量及び帯電分布を制御可能である場合には、層厚調整部材6による簿層化は不要となる。従って、残留トナーTの層厚が薄い場合には、検知手段9の検知結果に基づいて制御手段10がリトラクト機構8にて層厚調整部材6を中間転写ベルトから離間させる。
このように、層厚調整部材6を中間転写ベルトから離間させることにより、層厚調整部材6による中間転写ベルトへの負荷が軽減され、中間転写ベルトの劣化やトナーの変形によるトナー付着を抑えることができる。
【0029】
更に、層厚の厚い残留トナーTを簿層化する場合、層厚調整部材6先端部には一時的にトナー溜まりができる。このとき、簿層化のために十分な領域がある場合には、層厚調整部材6先端部の残留トナーTも徐々に減少し、ついには層厚調整部材6先端のトナー溜まりは解消される。
しかしながら、連続して画像形成を行なう場合の限られた領域で、また連続して画像形成を行う次画像への影響を小さくするために、層厚調整部材6先端に堆積するトナー溜りを処理する必要がある。
そこで、検知手段9により中間転写ベルト上に転写後も残留するトナーT量を検知し、層厚調整部材6により残留トナーTを電気的に吸着し回収可能な量に薄層化した後に、層厚調整部材6先端部に滞留トナーが滞留するトナー量であると判断した場合には、層厚調整部材6先端部の滞留トナーを、画像領域外、すなわち残留トナーTが層厚調整部材6の中間転写ベルト当接位置を通過した後、中間転写ベルトの転写前のトナー画像が層厚調整部材6の中間転写ベルト当接位置通過前の領域で層厚調整部材6を離間させることにより、滞留トナーを中間転写ベルト上に、まとまった状態で残すようにすればよい。
このとき、中間転写ベルト上に滞留トナーはあるが、画像領域外であるために直に転写画像に影響が及ぶことはない。
しかし、上記のように画像領域外に滞留トナーを残したままにしておくと、まとまった状態となっているためそのままでは静電的に吸着し回収することが難しく、またトナー汚れや固着の原因となることがあるため、回収することが望ましい。
従って、このまとめられた状態の残留トナー(以下、滞留トナー)は、層厚の厚いトナー画像と同様に、そのままでは極性および帯電量を望ましい状態に制御することが難しいため、層厚調整部材6により帯電制御部材7で静電的に吸着可能な帯電とすることが可能なトナー量にトナー層の厚さを簿層化し、クリーニングロール5により吸着し回収することができるようにすることが必要となる。
【0030】
また、滞留トナーの回収は、残留トナーT層を引き伸ばすスペースを確保することができれば回収処理をすることができるので、検知手段9の検知結果に基づいて、一連の画像形成工程の中で、中間転写ベルト一周分画像形成を遅らすことにより簿層化領域を確保する、中間転写ベルト二周分画像形成を遅らすことにより簿層化領域を確保する、更に、任意の位置から画像形成を行えるような方式で中間転写ベルトを用いる場合は、任意の領域分だけ画像形成を遅らすことにより簿層化領域を確保する等、堆積した滞留トナー量の情報に応じて変えることにより、使用者が受ける不利益を小さく抑えながら、滞留トナーの回収処理をすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す概略構成図である。
同図において、画像形成装置は、装置本体16内に、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム11に接触配置される中間転写ベルト20とを有する。
本実施の形態において、感光体ドラム11は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11上に各色成分(本例ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の静電潜像を書込む露光装置13と、感光体ドラム11上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置14と、前記中間転写ベルト20と、感光体ドラム11上の残留トナーを清掃するクリーニング装置15とが配設されている。
【0032】
ここで、帯電装置12としては、例えば帯電ロールが用いられるが、コロトロンなどの帯電器を用いてもよい。
また、露光装置13は感光体ドラム11上に光によって像を書き込めるものであればよく、本例では、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられるが、これに限られるものではなく、ELを用いたプリントヘッドでも、レーザビームをポリゴンミラーでスキャンするスキャナなど適宜選定して差し支えない。
更に、ロータリ型現像装置14は各色成分トナーが収容された現像器14a〜14dを回転可能に搭載したものであり、例えば感光体ドラム11上で露光によって電位が低下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒径など特に制限はなく、感光体ドラム11上の静電潜像上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロータリ型現像装置14が用いられているが、4台の現像装置を順に並べた配置として用いるようにしてもよい。
更にまた、クリーニング装置15については、感光体ドラム11上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等適宜選定して差し支えない。
但し、転写率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置15を使用しない態様もあり得る。このとき、中間転写ベルト20上の残留トナーを感光体ドラム11で回収する方式とした場合には、感光体ドラム11で回収した感光体ドラム11上の残留トナーを回収する機構(例えば現像剤を回収可能な現像装置など)が必要となる。
【0033】
また、中間転写ベルト20は、図4に示すように、3つの張架ロール21〜23に掛け渡されるものであって、ロータリ型現像装置14とクリーニング装置15との間に位置する感光体ドラム11に対応する部位に対向配置されている。
ここで、この中間転写ベルト20と感光体ドラム11とは夫々別駆動系で駆動されており、張架ロール21〜23のうち、例えば張架ロール21が駆動ロールとして機能するようになっている。
そして、中間転写ベルト20が感光体ドラム11にニップする部位には中間転写ベルト20の裏側から一次転写装置としての一次転写ロール25が接触配置されており、所定の一次転写バイアスが印加されている。
更に、中間転写ベルト20の張架ロール22に対向した部位には、二次転写装置としての二次転写ロール26が張架ロール22をバックアップロールとして対向配置されており、例えば二次転写ロール26に所定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロールを兼用する張架ロール22が接地されている。
更にまた、中間転写ベルト20の二次転写部位の下流側で且つ一次転写部位の上流側にはクリーニング装置(ベルトクリーナ)30が配設されている。
また、用紙などの記録材40は、供給トレイ41に収容されており、ピックアップロール42にて供給された後、レジストロール43を経て二次転写部位に導かれ、搬送ベルト44を通じて定着装置50へ搬送され、更に、搬送ロール45、排出ロール46を経て排出トレイ48へと搬送されるようになっている。
【0034】
本実施の形態において、中間転写ベルト20としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるものが使われている。
ここで、弾性を有する中間転写ベルト(以下必要に応じて弾性中間転写ベルトという)20としては、導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられ、導電性保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVdFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルションや有機溶剤に、溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより、上記の塗料を塗布することにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性を改善することができる。
本例では、例えば弾性中間転写ベルト20が用いられるものとする。
【0035】
また、本実施の形態において、二次転写ロール26及びクリーニング装置(ベルトクリーナ)30は、中間転写ベルト20と接離可能に配設されており、カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像が中間転写ベルト20上に一次転写されるまで、少なくともクリーニング装置30は中間転写ベルト20から離間している。
ここで、二次転写ロール26は、カーボンを分散したウレタンゴムのチューブからなる表面層と、カーボンを分散した発泡ウレタンゴムからなる内部層とを備えており、当該二次転写ロール26の表面には、フッ素コートが施されている。
この二次転写ロール26は、その体積抵抗率が103〜1010Ω・cmに設定され、ロール径が例えばφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカC)に設定される。
一方、バックアップロール(張架ロール)22は、カーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブからなる表面層と、EPDMのゴムからなる内部層とを備えており、その表面抵抗率が107〜1010Ω/□、ロール径が例えばφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカC)に設定される。
【0036】
更に、本実施の形態において、クリーニング装置30は、図4及び図5に示すように、張架ロール21に対向する位置にて中間転写ベルト20に接離自在に接触し且つ中間転写ベルト20上の残留トナーを静電的に吸着するクリーニングロール31と、このクリーニングロール31の上流側に位置する張架ロール23に対向する位置にて中間転写ベルト20に接離自在に接触し且つ中間転写ベルト20上の残留トナーの層厚を調整する層厚調整部材32と、この層厚調整部材32の下流側で張架ロール23に対向する位置にて中間転写ベルト20に接離自在に接触し且つ中間転写ベルト20上の残留トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材33とを備えている。
【0037】
本実施の形態において、クリーニングロール31には、図5に示すように、クリーニング用バイアスVBCを印加するためのバイアス電源35が接続されている。
ここで、クリーニングロール31としては、ロールの軸としての導電性支持体は鉄・ニッケルメッキ処理鉄・銅・ステンレスなどを用い、導電性弾性体層としてはエピクロロヒドリンゴム・ポリエーテルウレタン・ポリエステルウレタンゴム・クロロプレンゴム・NBR・EPDMブレンドNBRゴム・SBRゴム・ブチルゴム等にアルカリ金属・4級アンモニウム塩構造を有する各種アルキルアンモニウム塩を0.01〜10%混合させ、表面層に使用されるバインダー樹脂としてはポリエステル・ポリアミド・ポリウレタン・メラミン樹脂・PMMAまたはPMBAのようなアクリル樹脂・ポリビニルブチラール・ポリビニルアセタール・ポリアリレート・ポリカーボネート・フェノキシ樹脂・ポリ尿素・ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
更に、クリーニングロール31としては、抵抗値として、体積抵抗率で105〜1011Ω・cm(1kV印加時)が望ましいが、これに限定されるものではなく、以下に述べるように金属ロールを使用することも可能である。
例えば弾性中間転写ベルト20を使用する場合は、中間転写ベルト20が弾性部材であるため、中間転写ベルト20とクリーニングロール31との密着性が上がるため、クリーニングロール31として鉄・ニッケルメッキ処理鉄・銅・ステンレスなどでできた金属ロールのように硬度の高い部材を使用することもできる。
尚、クリーニングロール31上には図示外のトナー回収部材が設けられ、クリーニングロール31に吸着された残留トナーを掻き取り除去するようになっている。また、クリーニングロール31を使用せず、一次転写部にて中間転写ベルト20上の残留トナーを静電的に感光体ドラム11(クリーニングロールとして実質的に機能)に吸着させ、感光体ドラム11のクリーニング装置15により回収することも可能である。
【0038】
また、本実施の形態において、層厚調整部材32としては層厚調整ブレードが用いられ、この層厚調整ブレード32には薄層用バイアスVBHを印加するためのバイアス電源36が接続されている。
ここで、層厚調整ブレード32としては、ブレード状のものであれば、導電性部材だけ、絶縁性部材だけ、あるいは、両者を用いて適宜製造して差し支えないが、本実施の形態では、図5に示すように、導電性板材51の先端側片面を絶縁性被覆材52で被覆したものが用いられる。
ここで、導電性板材51としては例えばSUS板が用いられ、また、絶縁性被覆材52としては例えばウレタンゴムが用いられ、具体例としては、0.2mm厚で幅20mm(自由長15mm)のSUS板に、0.5mm厚のウレタンゴムを先端から10mmの位置まで被覆したものが挙げられる。
【0039】
そして、この層厚調整ブレード32の押圧方式としては、ドクター方式でもワイパー方式でも可能であるが、例えば弾性中間転写ベルト20に対して負荷を小さくするにはワイパー方式が望ましい。
更に、層厚調整ブレード32の食い込み量、設定角度(中間転写ベルト20に対して傾斜姿勢角度)、接触面粗さなどについては中間転写ベルト20の画像形成に問題とならない負荷荷重の範囲で適宜設定するようにすればよい。
具体例としては、弾性中間転写ベルト20に対して、層厚調整ブレード32の先端の食い込み量を0.6mm、設定角度を10°、接触面粗さを20Raに設定した態様が挙げられる。
【0040】
更に、薄層用バイアスVBHとしては、直流成分のみ、交流成分のみ、あるいは両成分を含むものなどいずれでも差し支えないが、残留トナー層の薄層効果を良好に保つという観点からすれば、少なくとも直流成分を含むバイアス、好ましくは直流成分を重畳した交流成分を含むバイアスがよい。
【0041】
また、本実施の形態において、図6(a)(b)に示すように、クリーニング装置30は、残留トナーT量を検知する検知装置38及び、この検知装置38の検知結果に基づいて層厚調整ブレード32を制御する制御装置39を備えている。そして、この制御装置39に制御されることにより、層厚調整ブレード32は、リトラクト機構60にて、中間転写ベルトに対して当接、離間するようになっている。
すなわち、リトラクト機構60は、図6(a)(b)に示すように、張架ロール23に対向配置された略V字状のリンクアーム61をその屈曲部を回転中心として支持軸61cで支持すると共に、リンクアーム61の一端61aには層厚調整ブレード32を設け、支持軸61cを回転中心として、リンクアーム61が回転することにより、層厚調整ブレード32が中間転写ベルト20に当接する位置に常時復帰するように、他端61bを付勢スプリング62にて付勢したものである。
また、リンクアーム61の他端61bの付勢スプリング62と対向する部位にはカム63が回転自在に設けられ、装置本体16からの制御信号により動作する図示外のソレノイドによる駆動力により回転し、カム63の突出片63aが他端61bに接触可能となるように設けられている。
更に、カム63の回転は、検知装置38の検知結果に基づいて、制御装置39により制御されるようになっている。
尚、本例ではカム63を回転させるための駆動手段として、ソレノイドを用いたが、モーター等適宜選定して差し支えない。
【0042】
また、本実施の形態において、図5に示すように、帯電制御部材33としては例えば帯電制御ロールが用いられ、この帯電制御ロール33には帯電用バイアスVBTを印加するためのバイアス電源37が接続されている。
ここで、帯電制御ロール33としては、クリーニングロール31と同様に構成して差し支えないが、体積抵抗率がクリーニングロール31より低い、102〜108Ω・cm(1kV印加時)となるものが望ましい。但し、この範囲に限定されるものではなく、前記クリーニングロール31と同様に、金属ロールを使用することも可能である。
尚、本実施の形態では、層厚調整ブレード32、帯電制御ロール33はクリーニングロール31に対向する張架ロール21とは異なる張架ロール23に対向配置されているが、レイアウト上可能であれば、同一の張架ロールに対向させるようにしてもよい。これらのことは、以下の実施の形態においても同様である。
【0043】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動についてクリーニング装置を中心に説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置において、感光体ドラム11上に各色成分トナー像が順次形成され、一次転写位置にて中間転写ベルト20に順次転写した後、二次転写位置にて記録材40に一括転写される。
このような作像過程において、中間転写ベルト20上に残留したトナーTは、図5に示すように、クリーニング装置(ベルトクリーナ)30にて回収される。
【0044】
すなわち、図7に示すように、クリーニング処理が開始されると、まず、中間転写ベルト20上の残留トナーT量が図5に示す検知装置38により検知される。そして、残留トナーTの層厚が基準厚d以上か否かが判別され、中間転写ベルト20上の残留トナーTが薄層(残留トナーTの層厚が基準厚d以下)の場合には、図6(a)に示すように、層厚調整ブレード32は中間転写ベルト20に対して離間した状態を保持し、また、図8(a)に示すように、残留トナーTは層厚調整ブレード32をそのまま通過した後に、帯電制御ロール33部位に到達するが、もともと残留トナーT層が薄層であるため、帯電制御ロール33による帯電極性及び帯電量の制御が確実に行われる。
このため、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達した残留トナーTは略完全にクリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0045】
一方、中間転写ベルト20上の残留トナーTが厚層(残留トナーTの層厚が基準厚d以上)の場合には、図8(b)に示すように、中間転写ベルト20上の残留トナーTは、層厚調整ブレード32を通過する段階で、基準厚d(本例では、例えば単色モード時に残留するトナー層厚程度)以下に層厚が調整される。
ここで、層厚の調整は、図9(a)に示すように、中間転写ベルト20上に画像Gが転写される際には、層厚調整ブレード32は中間転写ベルト20から離間しているが、中間転写ベルト20上に転写された画像Gの終端が層厚調整ブレード32の当接位置を通過した後であって(同図(b))、残留トナーTが層厚調整ブレード32の当接位置を通過する直前までの間に(同図(c))、層厚調整ブレード32が中間転写ベルト20に当接し、残留トナーTを薄く引き延ばす(同図(d))。
また、このとき、制御装置39による層厚調整ブレード32の制御は、図6(b)に示すように、リトラクト機構60にて、図示外のソレノイドからの駆動力により、カム63が回転すると、その突出片63aがリンクアーム61の他端61bから離れる。そして、付勢スプリング62の付勢力に沿って、リンクアーム61が支持軸61cを回転中心として時計回りに回転し、層厚調整ブレード32が中間転写ベルト20に当接する。
その後、図9(e)に示すように、中間転写ベルト20上に転写された画像Gの先端が層厚調整ブレード32の当接位置を通過する直前に、層厚調整ブレード32は中間転写ベルト20から離間する。
このため、この層厚調整ブレード32の下流側に位置する帯電制御ロール33に、層厚調整された残留トナーTが到達すると、当該残留トナーT層は基準厚d以下であるから、この残留トナーTは帯電制御ロール33にて所定の帯電極性及び帯電量に制御される。
よって、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達した残留トナーTは略完全にクリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0046】
◎実施の形態2
次に、本発明に係るクリーニング装置の実施の形態2について説明する。
本実施の形態に係るクリーニング装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、検知装置38が層厚調整ブレード32による薄層化可能範囲を超える多量の残留トナーTが存在すると検知した場合に、制御装置39が層厚調整ブレード32を制御することにより中間転写ベルト20上の画像領域外に残留トナーTを一時的に滞留させ、その後に回収するようになっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0047】
図10(a)(b)は、夫々シートサイズがA4サイズ又はA3サイズである場合における画像領域と残留トナーTを滞留させるための画像領域外とを示す説明図である。
例えばA4サイズ機を採用する場合には、円筒形の中間転写ベルト20を展開すると図10(a)に示すように、A4縦の領域に画像が転写されるが、中間転写ベルト20はA4縦サイズよりも長く設けられており、通常、次の画像も略同一の位置から転写される。従って、A4サイズの縦の画像終端から次の画像の先端までの領域(図10(a)に示す画像領域外)を残留トナーTの滞留領域として使用することができる。
尚、毎回転写位置が異なる方式を採用した画像形成装置においては、例えば画像領域外を記憶させる記憶手段を具備させ、この記憶手段からの情報に基づいて画像領域外を特定するようにすればよい。
【0048】
また、例えばA3サイズ機を採用する場合において、A4横の画像を作成するときには、図10(b)に示すように、画像領域A,Bの2箇所の領域を使用することができるため、画像領域A,B間の画像領域外A’,B’を残留トナーを滞留させる滞留領域とすることができるが、サイズの異なる画像を転写するような場合には、事前に滞留トナーの回収を行っておくことが必要となる。
また、画像領域外A’を画像領域外B’より進行方向において短く設けることにより、画像領域外B’のみを滞留領域とすることができ、この場合には画像領域外B’に重なる画像サイズの転写を行うまで、滞留トナーの回収を遅延させることができる。
更に、画像を均等配置しない場合には、薄層化を画像領域A,Bの引き伸ばしを画像領域外B’の領域より長い領域で行うことができる。
更にまた、奇数の画像を転写する場合には、画像領域Bも薄層化の領域として使用することができる。
【0049】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動についてクリーニング装置を中心に説明する。
図11に示すように、クリーニング処理が開始されると、まず、中間転写ベルト20上の残留トナーT量が図5に示す検知装置38により検知される。そして、残留トナーTの層厚が基準厚d以上か否かが判別され、中間転写ベルト20上の残留トナーTが薄層(残留トナーTの層厚が基準厚d以下)の場合には、図6(a)に示すように、層厚調整ブレード32は中間転写ベルト20に対して離間した状態を保持し、残留トナーTは層厚調整ブレード32をそのまま通過した後に、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達した残留トナーTはクリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0050】
一方、中間転写ベルト20上の残留トナーTが厚層(残留トナーTの層厚が基準厚d以上)の場合には、図11に示すように、更に、その層厚が層厚調整ブレード32による層厚調整許容範囲か否かが判断される。
また、残留トナーTの層厚が層厚調整許容範囲内である場合には、図6(b)に示すように、層厚調整ブレード32がリトラクト機構60にて中間転写ベルト20に当接し、中間転写ベルト20上の残留トナーTは、層厚調整ブレード32を通過する段階で、基準厚d(本例では、例えば単色モード時に残留するトナー層厚程度)以下に層厚が調整される。
そして、薄層化された残留トナーTは、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達、クリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0051】
これに対して、残留トナーTの層厚が層厚調整許容範囲を超える場合には、残留トナーTの層厚調整ブレード32による薄層化が行われた後、更に、図12(a)に示すように、層厚調整ブレード32先端に溜まった残留トナーT(以下滞留トナーT’という)は、同図(b)に示すように、層厚調整ブレード32がリトラクト機構(図6(b)参照)にて離間することにより、中間転写ベルト20上の画像領域外(図10(a)(b)参照)に滞留させられる。
そして、同図(c)に示すように、薄層化された残留トナーTについては、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達、クリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収され、画像領域外の滞留トナーT’は、静電的な回収が十分に行われず、一部滞留したままの状態となる。
【0052】
また、図13(a)に示すように、静電的な回収が十分に行われなかった滞留トナーT’を放置したままにしておくと、トナー汚れやトナー固着が発生する。このため、例えば一連の画像形成の後に、同図(b)に示すように、リトラクト機構60(図6(b)参照)にて層厚調整ブレード32を中間転写ベルト20に当接し、同図(c)に示すように、滞留トナーT’を薄層化させ、更に、同図(d)に示すように、リトラクト機構60(図6(a)参照)にて層厚調整ブレード32を中間転写ベルト20から離間させた後、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31に静電吸着されるようにすればよい。
【0053】
本実施の形態によれば、中間転写ベルト20上に残留したトナーT量が多く、層厚調整ブレード32により簿層化する際に、層厚調整ブレード32先端にトナー溜まりができる場合でも、中間転写ベルト20の画像領域外に一時的に残留トナーTを滞留させ、その後、回収するようにしたので、大量の残留トナーTが発生した場合にも、残留トナーTのクリーニング性能を良好に保ちつつ、円滑な次画像形成を行うことができる。
【0054】
◎実施の形態3
図14は本発明に係る画像形成装置の実施の形態3を示す概略構成図である。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、弾性中間転写ベルト20は、感光体ドラム11からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム11に所定の接触領域xにて感光体ドラム11形状に沿うように接触するものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
特に、本例では、中間転写ベルト20は、4つの張架ロール21〜24に掛け渡されるものであって、ロータリ型現像装置14とクリーニング装置15との間に位置する感光体ドラム11面に沿う形で所定の接触領域xだけ密着配置されている。
また、本例では、中間転写ベルト20には独立した駆動系が設けられておらず、この中間転写ベルト20は、感光体ドラム11を駆動源とし、感光体ドラム11との接触領域xを介して従動回転するようになっている。
【0055】
従って、本実施の形態によれば、感光体ドラム11と弾性中間転写ベルト20とは比較的広い接触領域xにて接触配置されており、しかも、弾性中間転写ベルト20により弾性押圧されているため、感光体ドラム11と弾性中間転写ベルト20との間のタック面圧はそれほど高くなく、しかも、弾性中間転写ベルト20によるトナー像の包み込み動作が行われ、感光体ドラム11上のトナー像が弾性中間転写ベルト20側に一次転写される。
このとき、弾性中間転写ベルト20への転写画像には、大きなタック面圧によるホロキャラクターなどの画質欠陥はなく、高い転写効率で転写されるため、記録材上のカラー画像品質は極めて良好に保たれる。
【0056】
また、本実施の形態にあっては、その分、装置構成が簡略化されるほか、クリーニング装置30を構成する各クリーニング部材(クリーニングロール31、層厚調整ブレード32、帯電制御ロール33)は中間転写ベルト20に対して過剰な負荷を与えなくて済むため、中間転写ベルト20に独立の駆動系を設けなくても、中間転写ベルト20は感光体ドラム11からの駆動を受けて安定的に従動回転する。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るクリーニング装置によれば、ベルト状部材上に残留するトナーが静電的に回収されるクリーニングロールを有し、このクリーニングロールの上流側に、残留トナーの層厚が基準厚以下に調整せしめられる層厚調整部材、及び、残留トナーの帯電極性、帯電量が制御せしめられる帯電制御部材を設け、また層厚調整部材がベルト状部材に対して当接、離間可能なリトラクト機構を備えるようにしたので、残留トナーの状況(残留トナー量あるいは残留トナーの種類)に影響されることなく、ベルト状部材に対する残留トナーのクリーニング性能を常時良好に保つと共に、ベルト状部材に対する負荷を軽減することができる。
更に、このクリーニング装置を用いた画像形成装置にあっては、ベルト状部材を常時清浄に保つことができるため、クリーニング不良に伴う画質欠陥のない、常時良好な画質の画像を容易に得ることができ、また、ベルト状部材に対する負荷に起因する画像乱れ、ベルト状部材の劣化をも防止することができる。
【0058】
また、ベルト状部材上に残留するトナー量が多い場合には、ベルト状部材の画像領域外に残留トナーを滞留させ、その後に回収するようにすれば、次画像形成への影響を抑えることができ、画像出力速度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】(a)は層厚調整部材を通過した後の残留トナーの状態を示す説明図、(b)は層厚調整部材を設けない場合の残留トナーの状態を示す説明図である。
【図3】(a)は残留トナーが薄層の場合並びに層厚調整部材通過後における残留トナーの回収状態を示す説明図、(b)は残留トナーが厚層の場合(層厚調整部材なし)における残留トナーの回収状態を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図5】実施の形態1で用いられるクリーニング装置の詳細を示す説明図である。
【図6】(a)は実施の形態1で用いられる層厚調整ブレードの中間転写ベルト離間時の状態を示す説明図、(b)は同層厚調整ブレードの中間転写ベルト当接時の状態を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられるクリーニング装置の作動を示すフローチャートである。
【図8】(a)は残留トナーが薄層の場合における残留トナーの回収過程を示す説明図、(b)は残留トナーが厚層の場合における残留トナーの回収過程を示す説明図である。
【図9】(a)〜(e)は実施の形態1で用いられる層厚調整ブレードの層厚調整過程を模式的に示す説明図である。
【図10】(a)は実施の形態1で用いられる中間転写ベルトのA4サイズ機の場合における画像領域と画像領域外について示す説明図、(b)は同中間転写ベルトのA3サイズ機の場合における画像領域と画像領域外について示す説明図である。
【図11】実施の形態2で用いられるクリーニング装置の作動を示すフローチャートである。
【図12】(a)〜(c)は実施の形態2で用いられる層厚調整ブレードの層厚調整過程及び中間転写ベルトの画像領域外への滞留過程を模式的に示す説明図である。
【図13】(a)〜(d)は実施の形態2で用いられる層厚調整ブレードの層厚調整過程及び滞留トナーの回収過程を模式的に示す説明図である。
【図14】実施の形態3に係る画像形成装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ベルト状部材,2…転写媒体,3…転写装置,4…クリーニング装置,5…クリーニングロール,6…層厚調整部材,7…帯電制御部材,8…リトラクト機構,9…検知手段,10…制御手段,T…残留トナー,TZ…トナー像,X…層厚調整部材当接位置
Claims (6)
- ベルト状部材に残留したトナーを清掃するクリーニング装置であって、
残留トナーが静電的に吸着せしめられるクリーニングロールと、
このクリーニングロールの上流側に設けられて前記残留トナー層を基準厚以下に引き伸ばし調整する層厚調整部材と、
前記クリーニングロールの上流側に設けられ、ベルト状部材に残留したトナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材と、
層厚調整部材がベルト状部材に対して当接、離間するリトラクト機構とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1記載のクリーニング装置において、
リトラクト機構は、ベルト状部材に残留したトナーがベルト状部材に対する層厚調整部材当接位置通過前に層厚調整部材がベルト状部材に当接し、前記残留トナーがベルト状部材に対する層厚調整部材当接位置通過後であって、ベルト状部材上の未転写トナーがベルト状部材に対する層厚調整部材当接位置通過前に層厚調整部材がベルト状部材から離間することを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項1又は2記載のクリーニング装置において、
ベルト状部材に残留したトナー量を検知する検知手段と、
検知手段による検知結果に基づいて層厚調整部材を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項3記載のクリーニング装置において、
制御手段が層厚調整部材を制御することにより、ベルト状部材の画像領域外に残留トナーを滞留させることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項4記載のクリーニング装置において、
ベルト状部材の画像領域外に滞留させた残留トナーを回収することを特徴とするクリーニング装置。 - トナー像が担持されるベルト状部材と、このベルト状部材上にトナー像を形成するトナー像形成装置と、このベルト状部材上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、ベルト状部材に残留するトナーを清掃するクリーニング装置とを備えた画像形成装置において、
クリーニング装置として、請求項1ないし請求項5いずれかに記載のクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
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