JP4269592B2 - クリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられるクリーニング装置に係り、特に、ベルト状部材上に残留するトナーを清掃するクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を利用したカラープリンタ、カラー複写機等の画像形成装置として、中間転写方式を採用するタイプのものが増えつつある。
かかる中間転写方式を採用したカラー画像形成装置は、例えば感光体ドラムの周囲に、帯電、露光、現像及びクリーニングの各電子写真デバイスを配設する一方、前記感光体ドラムの一次転写位置に対し例えば中間転写ベルトを対向配置し、感光体ドラム上に各色成分(例えばイエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K))トナー像を形成し、この各色成分トナー像を一次転写位置にて一次転写装置の静電的作用により中間転写ベルトに順次一次転写した後、中間転写ベルト上に重ね合わされた合成一次転写像を、二次転写位置にて二次転写装置の静電的作用により用紙やOHPシート等の記録材へ二次転写して、所望のカラー画像を記録材上に形成するようにしたものがある(例えば特開平5−323704号公報参照)。
【0003】
ところで、中間転写ベルトから記録材にトナー像を転写する際には、中間転写ベルト上のトナーが全て記録材に転写されるわけではなく、その一部が中間転写ベルトに残留する。そこで、二次転写位置よりも中間転写ベルト走行方向下流側に、中間転写ベルトに残留したトナーを取り除くためのクリーニング装置(ベルトクリーナ)が設けられている。このクリーニング装置には、中間転写ベルト上の残留トナーを掻き取るために、クリーニングのタイミングに合わせてクリーニング部材を接離するようにしたものが用いられる。
ここで、クリーニング部材としては、弾性ブレードやファーブラシ又は導電性ロール等が知られている。
【0004】
この種のクリーニング装置において、例えばクリーニング部材として弾性ブレードを使用する態様にあっては、弾性ブレードが離間した時に弾性ブレード先端部分に堆積したトナーが中間転写ベルト上に残留し、次プロセスで画像上にブレード跡を発生させるという問題がある。また、長期使用により弾性ブレードと中間転写ベルトとが摩耗し、クリーニング不良・転写効率低下が起こるという問題がある。
また、クリーニング部材としてファーブラシ(ブラシロール)を使用する態様にあっては、装置が大型化・複雑化し、コスト高になるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消するという観点からすれば、クリーニング部材として導電性ロール(クリーニングロール)を使用する方式が採用される場合がある。
【0005】
この種のクリーニングロールを使用したクリーニング方式には、中間転写ベルト上の残留トナーを静電的にクリーニングロールに吸着させるようにして回収する方式(例えば特開平10−333447号公報,特開平11−7226号公報参照)と、帯電制御ロールにより中間転写ベルト上の残留トナーの極性を揃えた後に回収用のクリーニングロール(感光体ドラムをも含む)で回収する方式(例えば特開平1−105980号公報,特開平4−81785号公報,特開平9−44007号公報,特開2000−34131号公報,特開2000−42655号公報,特開2000−284606号公報参照)とがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、クリーニングロールを使用したクリーニング装置のうち、前者の方式にあっては、トナーと逆極性のバイアス電圧(直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳)を印加してクリーニングロールに吸着させた後、クリーニングロール用ブレードやブラシ等で吸着した残留トナーを掻き落し回収する。
このとき、静電的に吸着することができるトナーは同一極性のトナーとなるが、二次転写残留トナーの帯電分布は必ずしも均一でなく、異なる極性のトナーが混在しているため、回収できないトナーが中間転写ベルト上にとどまり、次の画像形成時に混入するという技術的課題が生ずる。
このため、二次転写残留トナーを充分に回収するために、後者の方式を採用する場合がある。
【0007】
確かに、後者の方式(極性を揃えた後にトナー回収する方式)では、あらかじめ、帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えた後クリーニングロールに吸着させるようにするため、異なる極性のトナーが残留するという技術的課題は小さい。
しかしながら、カラー画像のように、中間転写ベルト上に多くの二次転写残留トナーが残留した場合には、あらかじめ帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えようとしても、重層したトナー層のために下層のトナー層まで極性を揃えるということが難しくなる。
【0008】
また、用紙搬送不良により二次転写されなかったトナーの場合は、さらにトナーが重層しているために、極性を揃え回収するということが難しく、高画質が求められるカラー画像形成装置では画像欠陥につながるという技術的課題がある。更に、カラープリンタ、カラー複写機等の画像形成装置で用いられることがある二成分現像方式の場合は、一成分現像方式に比べて、トナーがキャリアとの摩擦帯電により高い電荷を帯びるため、帯電制御ロールにより二次転写残留トナーの帯電分布を揃えようとしても、帯電分布が幅広くなっていることがあり、十分均一に揃えることが難しく、また、本来の極性と異なる極性に揃えようとするとさらに難しくなり、十分なクリーニングが行われないという技術的課題がある。
【0009】
また、従来における他のクリーニング方式として、例えばクリーニング部材としてのブラシロールに先立ってトナー回収ロールを配設し、このトナー回収ロールにより物理的にトナーを回収し、一定量のトナーを残留させる方式(二段階トナー回収方式)が提案されている(例えば特開平4−69682号公報参照)。ところが、この態様にあっては、二箇所でトナー回収を行う必要があるため、トナーの回収スペースを二箇所に亘って広く確保しなければならないばかりか、回収したトナーの搬送系を共通化する場合にはレイアウト上の制約も生じてしまう点で好ましいとは言えない。
【0010】
更に、従来の別のクリーニング方式として、中間転写体に摺擦するブラシを備え、このブラシには中間転写体上のトナーと同極性の電圧を印加することで、ブラシで中間転写体上のトナーを移動させた後、トナーと同極性の電圧を中間転写体に印加することで、中間転写体と感光体とのニップ部で移動したトナーを感光体側に戻す、又は、ブレードにてクリーニングするクリーニング方式も知られている(例えば特開平8−262879号公報参照)。
ところが、この種のクリーニング方式にあっては、同極性の電圧が印加されたブラシでトナーを移動させるにしても、中間転写体に対するトナーの静電的付着力を減少させていないために、感光体に戻したり、ブレードクリーニングしようとしても、残留トナーが多い場合には充分に取り除くことが難しい。特に、中間転写体に弾性体のような摩擦係数の高い材料を使用した場合には、ブラシによる中間転写体への回転負荷が大きくなる点で好ましいとは言えない。
【0011】
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、クリーニングロールを備えた態様において、残留トナーの状況(残留トナー量あるいは残留トナーの種類)に影響されることなく、残留トナーのクリーニング性能を常時良好に保つことができるクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、図1に示すように、弾性を有するベルト状部材1に残留したトナーTを清掃するクリーニング装置4であって、前記ベルト状部材1に金属表面が接触し且つベルト状部材1の残留トナーTが静電的に吸着せしめられる金属製クリーニングロール5と、このクリーニングロール5の上流側に設けられ、直流成分及び交流成分が含まれる薄層用バイアスVBHを印加して前記残留トナーT層を基準厚以下に引き伸ばし調整する層厚調整部材6と、前記クリーニングロール5の上流側で且つ前記層厚調整部材6の下流側に設けられ、ベルト状部材1に残留したトナーTの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材7とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
このような技術的手段において、ベルト状部材1には、ベルト状感光体、ベルト状中間転写体など広く含むが、本発明では弾性を有するベルト状部材1が採用されている。
また、本件は、クリーニングロール5を備えたものを対象とするため、クリーニング部材としてブレード、ブラシを単独で使用するものは除外される。
ここで、クリーニングロール5は独立の機能部材であってもよいし、他の機能部材(例えば感光体ドラムなど)と兼用してもよいが、本発明では金属製クリーニングロール5が採用されている。
尚、クリーニングロール5には通常クリーニング用バイアスVBCが印加され、ベルト状部材1上の残留トナーTを静電吸着するようになっている。
【0014】
また、層厚調整部材6としては、残留トナーT層を引き伸ばし調整するものであれば、ブレード状、ロール状など任意の形態でよく、通常はベルト状部材1に所定の押圧力で接触配置されるが、ベルト状部材1に非接触でも、残留トナーT層が基準厚を超えた時点で当該残留トナーT層に接触する態様や、あるいは、ベルト状部材1裏面に常時接触で、電界カーテンの作用で層厚調整する態様をも含む。
更に、層厚調整部材6としては、図1に示すように、残留トナーT層の厚みd0を基準厚以下の所定厚d1に調整するものであればよい。
ここでいう「基準厚」とは、トナーの種類(粒径、帯電量など)や帯電制御部材7の帯電能力に応じて適宜選定されるものであり、残留トナーT層全体について、帯電制御部材7による帯電極性及び帯電量を所望の状態に制御することが保証可能な厚みを意味する。
【0015】
また、ベルト状部材1に層厚調整部材6が接触配置される態様にあっては、層厚調整部材6がベルト状部材1に強く押し当てられていると、層厚調整部材6から受ける荷重により残留トナーTがベルト状部材1に強く押し付けられてしまい、残留トナーTとベルト状部材1との機械的な吸着力が強くなる。
一方、層厚調整部材6がベルト状部材1に非常に弱く押し当てられていると、層厚調整部材6から受ける荷重により残留トナーTを移動させる力が働かず、残留トナーT層を均一に引き伸ばすことが難しくなり、薄層にすることができない。また、薄層にできた場合にも部分的な斑ができやすくなる。
このため、ベルト状部材1に対する層厚調整部材6の押圧力については、ベルト状部材1及び層厚調整部材6の材質により適切な荷重に設定することが必要である。
【0016】
また、帯電制御部材7は、残留トナーTの帯電極性、帯電量を制御するものであれば適宜選定してよく、層厚調整部材6と通常別体であるが、両機能を実現可能であれば、一体的に構成してもよい。
この帯電制御部材7の形態についてはロール状を始め適宜選定して差し支えなく、通常帯電制御部材7には帯電用バイアスVBTが印加される。
【0017】
更に、本発明では、層厚調整部材6は、帯電制御部材7の上流側に配置されている
本態様によれば、残留トナーT層を薄層化した後に帯電制御を行うことになり、残留トナーT層の帯電状態を均一化することが可能である。
【0018】
また、残留トナーT層をソフトに薄層化するという観点からすれば、層厚調整部材6に薄層用バイアスVBHを印加することが好ましい。
ここで、薄層用バイアスVBHとしては、残留トナーTのベルト状部材1への吸着力を弱める作用を与えるものであれば、直流成分、交流成分を問わない。
従って、薄層用バイアスVBHの形態には、「直流成分のみ」、「交流成分のみ」、あるいは、「直流成分+交流成分」があるが、本件発明では、「直流成分+交流成分」が用いられる。
【0019】
例えば薄層用バイアスVBHが少なくとも直流成分を備えている場合には、直流成分としては、残留トナーTがベルト状部材1から層厚調整部材6側へ移動する向きに働く力となる極性であることが好ましく、この場合、この直流成分は、ベルト状部材1から残留トナーTを引き剥がすように作用するものと考えられる。一方、薄層用バイアスVBHが少なくとも交流成分を備えている場合には、交流成分は、交番電界による振動により、残留トナーT層のベルト状部材1との付着力を低減させるように作用するものと考えられる。
【0020】
更に、残留トナーT層の引き伸ばし効果を確保する上で有効な態様としては、層厚調整部材6はベルト状部材1との間に残留トナーT層が引き伸ばされる程度の摩擦抵抗を付与するものが好ましい。
この場合、層厚調整部材6としては、ベルト状部材1に対して連れ回りしない態様とする、あるいは、その表面を粗面化する態様などが挙げられる。
【0021】
更にまた、層厚調整部材6の好ましい態様としては、導電性部材6aと絶縁性部材6bとを備え、ベルト状部材1上の残留トナーT層に対し絶縁性部材6bを対向配置するものが挙げられる。
この種の層厚調整部材6の好ましい使用態様としては、層厚調整部材6の導電性部材6aに薄層用バイアスVBHを印加するようにすればよい。
このようにすれば、電界の吸着力が働き、絶縁性部材6bに残留トナーT層の上層部を吸着させることが可能になり、その分、残留トナーT層の引き伸ばし効果が確保される。
【0022】
また、「導電性部材6a+絶縁性部材6b」構成の層厚調整部材6の代表的態様として、例えば構成の簡略化を企図すれば、導電性部材6aと絶縁性部材6bとを一体化した部材からなり、導電性部材6aの少なくとも表面側を絶縁性部材6bで被覆するようにしたものが挙げられる。
一方、部品寿命の延長を考慮すれば、導電性部材6aと絶縁性部材6bとを分離可能な構成とし、絶縁性部材6bを交換可能とした態様が挙げられる。
【0023】
更に、本発明は、クリーニング装置4に限られるものではなく、これを用いた画像形成装置をも対象とする。
この場合、本発明は、図1に示すように、トナー像TZが担持されるベルト状部材1と、このベルト状部材1上のトナー像TZを転写媒体2に転写する転写装置3と、ベルト状部材1に残留するトナーTを清掃するクリーニング装置4とを備えた画像形成装置において、クリーニング装置4として、上述したクリーニング装置を用いるようにしたものである。
この種の画像形成装置において、中間転写型の画像形成装置にあっては、ベルト状部材1を中間転写体として使用する態様が代表的である。
【0024】
次に、上述したクリーニング装置4の作用について説明する。
例えばベルト状部材1上に形成されたトナー像TZを転写媒体2に転写した後に、ベルト状部材1上には未転写トナーTが残留するが、この残留トナーTがクリーニング装置4にて清掃される。
一般に、残留トナーTを清掃するに当たり、ベルト状部材1にクリーニング用バイアスVBCが印加されたクリーニングロール5を接触しただけでは、残留するトナーTの帯電分布が幅広く、また、環境が異なれば帯電分布も異なるため、ベルト状部材1からクリーニングロール5への電気的な吸着(トナーの移動)が不安定で充分には行われない。
【0025】
このため、クリーニングロール5により安定して電気的な吸着(トナーの移動)を行うには、残留トナーTの極性を揃えるために別途帯電制御部材7を用い、帯電用バイアスVBTを印加し、吸着前の残留トナーTの帯電極性及び帯電量を制御する。
このとき、単色の場合には、例えば図3(a)に示すように、転写後、ベルト状部材1に残留するトナー量も少なく、帯電制御部材7でほとんどの残留トナーTを静電的に吸着可能な帯電とすることが可能である。
【0026】
しかしながら、単色のトナー量を100%とした時に、二色重ねた画像のようにトナー量が200%となったり、特に三色重ねた画像のようにトナー量が300%となった場合、言い換えれば、残留トナーTが厚層の場合には、図3(b)に示すように、転写後、ベルト状部材1に残留するトナー量も増え、帯電制御部材7により残留トナーTの帯電量を制御しようとしても、下層の残留トナーTまで静電的に吸着可能な帯電とすることが難しい。
この場合、ベルト状部材1上にある残留トナーTのうち下層の残留トナーTはクリーニングロール5側に回収されず、ベルト状部材1側に残存してしまう懸念がある。
【0027】
そこで、例えば帯電制御部材7の前に層厚調整部材6を設け、この層厚調整部材6にて、帯電制御部材7で静電的に吸着可能な帯電とし得る程度のトナー量(基準厚d以下のトナー量に相当)に残留トナーT層を調整することにより、例えば図2(b)に示すように、二色重ねた画像のようにトナー量が200%となったり、特に三色重ねた画像のようにトナー量が300%となった場合にも、図2(a)に示すように、例えば単色のトナー量と同程度の残留トナーTの重なり状態となる。
このため、層厚調整部材6を通過した残留トナーTについては、帯電制御部材7でほとんどの残留トナーTを静電的に吸着可能な帯電とし得るため、クリーニングロール5により安定して電気的な吸着(トナーの移動)を行うことが可能となる。
【0028】
このとき、層厚調整部材6による層厚調整過程においては、層厚調整部材6に薄層用バイアスVBHを印加することが好ましい。
例えば残留トナーTの帯電量を低減させると、ベルト状部材1と残留トナーTとの吸着力が低下し、残留トナーT層を薄層にし易くなる点で好ましく、例えば層厚調整部材6に薄層用バイアスVBHとして交流成分を含むバイアスを印加すると効果的である。
また、層厚調整部材6に残留トナーTが吸着される向きの直流成分を含む薄層用バイアスVBH(例えば直流バイアス重畳の交流バイアス)を印加すると、残留トナーTが層厚調整部材6に引付けられるようになるため、ベルト状部材1と残留トナーTとの吸着力が更に低下し、残留トナーTがより移動し易くなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す概略構成図である。
同図において、画像形成装置は、装置本体15内に、感光体ドラム10と、この感光体ドラム10からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム10に接触配置される中間転写ベルト20とを有する。
本実施の形態において、感光体ドラム10は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10上に各色成分(本例ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の静電潜像を書込む露光装置12と、感光体ドラム10上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置13と、前記中間転写ベルト20と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するクリーニング装置14とが配設されている。
【0030】
ここで、帯電装置11としては、例えば帯電ロールが用いられるが、コロトロンなどの帯電器を用いてもよい。
また、露光装置12は感光体ドラム10上に光によって像を書き込めるものであればよく、本例では、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられるが、これに限られるものではなく、ELを用いたプリントヘッドでも、レーザビームをポリゴンミラーでスキャンするスキャナなど適宜選定して差し支えない。
更に、ロータリ型現像装置13は各色成分トナーが収容された現像器13a〜13dを回転可能に搭載したものであり、例えば感光体ドラム10上で露光によって電位が低下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒径など特に制限はなく、感光体ドラム10上の静電潜像上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロータリ型現像装置13が用いられているが、4台の現像装置を順に並べた配置として用いるようにしてもよい。
更にまた、クリーニング装置14については、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等適宜選定して差し支えない。
但し、転写率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置14を使用しない態様もあり得る。このとき、中間転写ベルト20上の残留トナーを感光体ドラム10で回収する方式とした場合には、感光体ドラム10で回収した感光体ドラム10上の残留トナーを回収する機構(例えば現像剤を回収可能な現像装置など)が必要となる。
【0031】
また、中間転写ベルト20は、図4に示すように、3つの張架ロール21〜23に掛け渡されるものであって、ロータリ型現像装置13とクリーニング装置14との間に位置する感光体ドラム10に対応する部位に対向配置されている。
ここで、この中間転写ベルト20と感光体ドラム10とは夫々別駆動系で駆動されており、張架ロール21〜23のうち、例えば張架ロール21が駆動ロールとして機能するようになっている。
そして、中間転写ベルト20が感光体ドラム10にニップする部位には中間転写ベルト20の裏側から一次転写装置としての一次転写ロール25が接触配置されており、所定の一次転写バイアスが印加されている。
更に、中間転写ベルト20の張架ロール22に対向した部位には、二次転写装置としての二次転写ロール26が張架ロール22をバックアップロールとして対向配置されており、例えば二次転写ロール26に所定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロールを兼用する張架ロール22が接地されている。
更にまた、中間転写ベルト20の二次転写部位の下流側で且つ一次転写部位の上流側にはクリーニング装置(ベルトクリーナ)30が配設されている。
また、用紙などの記録材40は、供給トレイ41に収容されており、ピックアップロール42にて供給された後、レジストロール43を経て二次転写部位に導かれ、搬送ベルト44を通じて定着装置50へ搬送され、更に、搬送ロール45、排出ロール46を経て排出トレイ48へと搬送されるようになっている。
【0032】
本実施の形態において、中間転写ベルト20としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるものが使われている。
ここで、弾性を有する中間転写ベルト(以下必要に応じて弾性中間転写ベルトという)20としては、導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられ、導電性保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVdFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルションや有機溶剤に、溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより、上記の塗料を塗布することにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性を改善することができる。
本例では、例えば弾性中間転写ベルト20が用いられるものとする。
【0033】
また、本実施の形態において、二次転写ロール26及びクリーニング装置(ベルトクリーナ)30は、中間転写ベルト20と接離可能に配設されており、カラー画像が形成される場合には、最終色の未定着トナー像が中間転写ベルト20上に一次転写されるまで、少なくともクリーニング装置30は中間転写ベルト20から離間している。
ここで、二次転写ロール26は、カーボンを分散したウレタンゴムのチューブからなる表面層と、カーボンを分散した発泡ウレタンゴムからなる内部層とを備えており、当該二次転写ロール26の表面には、フッ素コートが施されている。この二次転写ロール26は、その体積抵抗率が103〜1010Ω・cmに設定され、ロール径が例えばφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば30°(アスカC)に設定される。
一方、バックアップロール(張架ロール)22は、カーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブからなる表面層と、EPDMのゴムからなる内部層とを備えており、その表面抵抗率が107〜1010Ω/□、ロール径が例えばφ28mmとなるように形成され、硬度は例えば70°(アスカC)に設定される。
【0034】
更に、本実施の形態において、クリーニング装置30は、図4及び図5に示すように、張架ロール21に対向する位置にて中間転写ベルト20に接離自在に接触し且つ中間転写ベルト20上の残留トナーを静電的に吸着するクリーニングロール31と、このクリーニングロール31の上流側に位置する張架ロール23に対向する位置にて中間転写ベルト20に接離自在に接触し且つ中間転写ベルト20上の残留トナーの層厚を調整する層厚調整部材32と、この層厚調整部材32の下流側で張架ロール23に対向する位置にて中間転写ベルト20に接離自在に接触し且つ中間転写ベルト20上の残留トナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材33とを備えている。
【0035】
本実施の形態において、クリーニングロール31には、図5に示すように、クリーニング用バイアスVBCを印加するためのバイアス電源35が接続されている。
ここで、クリーニングロール31としては、ロールの軸としての導電性支持体は鉄・ニッケルメッキ処理鉄・銅・ステンレスなどを用い、導電性弾性体層としてはエピクロロヒドリンゴム・ポリエーテルウレタン・ポリエステルウレタンゴム・クロロプレンゴム・NBR・EPDMブレンドNBRゴム・SBRゴム・ブチルゴム等にアルカリ金属・4級アンモニウム塩構造を有する各種アルキルアンモニウム塩を0.01〜10%混合させ、表面層に使用されるバインダー樹脂としてはポリエステル・ポリアミド・ポリウレタン・メラミン樹脂・PMMAまたはPMBAのようなアクリル樹脂・ポリビニルブチラール・ポリビニルアセタール・ポリアリレート・ポリカーボネート・フェノキシ樹脂・ポリ尿素・ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
更に、クリーニングロール31としては、抵抗値として、体積抵抗率で10〜101 Ω・cm(1kV印加時)が望ましいが、これに限定されるものではなく、以下に述べるように金属ロールを使用することも可能である。
例えば弾性中間転写ベルト20を使用する場合は、中間転写ベルト20が弾性部材であるため、中間転写ベルト20とクリーニングロール31との密着性が上がる。このため、クリーニングロール31として鉄・ニッケルメッキ処理鉄・銅・ステンレスなどでできた金属ロールのように硬度の高い部材を使用することもできる。
尚、クリーニングロール31上には図示外のトナー回収部材が設けられ、クリーニングロール31に吸着された残留トナーを掻き取り除去するようになっている。また、クリーニングロール31を使用せず、一次転写部にて中間転写ベルト20上の残留トナーを静電的に感光体ドラム10(クリーニングロールとして実質的に機能)に吸着させ、感光体ドラム10のクリーニング装置14により回収することも可能である。
【0036】
また、本実施の形態において、層厚調整部材32としては層厚調整ブレードが用いられ、この層厚調整ブレード32には薄層用バイアスVBHを印加するためのバイアス電源36が接続されている。
ここで、層厚調整ブレード32としては、ブレード状のものであれば、導電性部材だけ、絶縁性部材だけ、あるいは、両者を用いて適宜製造して差し支えないが、本実施の形態では、例えば図6(a)に示すように、導電性板材51の先端側片面を絶縁性被覆材52で被覆したものが用いられる。
ここで、導電性板材51としては例えばSUS板が用いられ、また、絶縁性被覆材52としては例えばウレタンゴムが用いられ、具体例としては、0.2mm厚で幅20mm(自由長15mm)のSUS板に、0.5mm厚のウレタンゴムを先端から10mmの位置まで被覆したものが挙げられる。
【0037】
そして、この層厚調整ブレード32の押圧方式としては、ドクター方式でもワイパー方式でも可能であるが、例えば弾性中間転写ベルト20に対して負荷を小さくするにはワイパー方式が望ましい。
更に、層厚調整ブレード32の食い込み量、設定角度(中間転写ベルト20に対して傾斜姿勢角度)、接触面粗さなどについては中間転写ベルト20の画像形成に問題とならない負荷荷重の範囲で適宜設定するようにすればよい。
具体例としては、弾性中間転写ベルト20に対して、層厚調整ブレード32の先端の食い込み量を0.6mm、設定角度を10°、接触面粗さを20Raに設定した態様が挙げられる。
【0038】
更に、薄層用バイアスVBHとしては、直流成分のみ、交流成分のみ、あるいは両成分を含むものなどいずれでも差し支えないが、残留トナー層の薄層効果を良好に保つという観点からすれば、少なくとも直流成分を含むバイアス、好ましくは直流成分を重畳した交流成分を含むバイアスがよい。
【0039】
また、層厚調整ブレード32としては、図6(a)に示す態様に限られるものではなく、図6(b)〜図6(f)に示す態様のものを用いてもよい。
ここで、図6(b)は、導電性板材51の先端及び先端側両面を絶縁性被覆材52で被覆したものであり、例えば0.2mm厚で幅20mm(自由長15mm)のSUS板に、0.5mm厚のウレタンゴムを先端から10mmの位置まで被覆したものが挙げられる。
更に、図6(c)は、導電性板材51の先端及びその先端側両面を半導電性部材53で被覆し、この上に絶縁性被覆材54で被覆したものであり、例えば0.2mm厚で幅20mm(自由長15mm)のSUS板に、1.0mm厚の半導電性ゴム(例えばウレタンゴムにカーボンを混練成形し、体積抵抗率を107Ω・cm程度に調整したゴム)を設け、更に、0.2mm厚のウレタンゴムで被覆したものが挙げられる。
本態様によれば、半導電性部材53を中間層とすることにより絶縁性被覆材54の厚みを小さくしても、リークが起こり難い点で好ましい。
【0040】
更にまた、図6(d)は、導電性板材51の先端側片面に半導電性部材53を介して絶縁性被覆材54で被覆するようにしたものであり、例えば0.2mm厚で幅20mm(自由長15mm)のSUS板に、半導電性ゴム1.5mm厚とウレタンゴム0.5mm厚の二層構造の樹脂を接着した態様が挙げられる。
本態様も、図6(c)と同様に、リークが起こり難い点で好ましい。
また、層厚調整ブレード32の導電性板材51については、先端付近まで存在している必要はなく、層厚調整ブレード32の押圧力を弱く設定したいような場合には、図6(e)(f)に示すように、導電性板材51の先端位置を層厚調整ブレード32の先端から後退配置し、層厚調整ブレード32の実質的な自由長を長く設定するようにしてもよい。尚、図6(e)(f)において、図6(a)〜(d)と同様の構成要素については同様の符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0041】
また、本実施の形態において、図5に示すように、帯電制御部材33としては例えば帯電制御ロールが用いられ、この帯電制御ロール33には帯電用バイアスVBTを印加するためのバイアス電源37が接続されている。
ここで、帯電制御ロール33としては、クリーニングロール31と同様に構成して差し支えないが、体積抵抗率がクリーニングロール31より低い、102〜108Ω・cm(1kV印加時)となるものが望ましい。但し、この範囲に限定されるものではなく、前記クリーニングロール31と同様に、金属ロールを使用することも可能である。
尚、本実施の形態では、層厚調整ブレード32、帯電制御ロール33はクリーニングロール31に対向する張架ロール21とは異なる張架ロール23に対向配置されているが、レイアウト上可能であれば、同一の張架ロールに対向させるようにしてもよい。これらのことは、以下の実施の形態においても同様である。
【0042】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置において、感光体ドラム10上に各色成分トナー像が順次形成され、一次転写位置にて中間転写ベルト20に順次転写した後、二次転写位置にて記録材40に一括転写される。
このような作像過程において、中間転写ベルト20上に残留したトナーTは、図5に示すように、クリーニング装置(ベルトクリーナ)30にて回収される。
【0043】
すなわち、今、中間転写ベルト20上の残留トナーTが薄層の場合には、図7(a)に示すように、層厚調整ブレード32をそのまま通過した後に、帯電制御ロール33部位に到達するが、もともと残留トナーT層が薄層であるため、帯電制御ロール33による帯電極性及び帯電量の制御が確実に行われる。
このため、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達した残留トナーTは略完全にクリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0044】
一方、中間転写ベルト20上の残留トナーTが厚層の場合には、図7(b)に示すように、中間転写ベルト20上の残留トナーTは、層厚調整ブレード32を通過する段階で、基準厚d(本例では、例えば単色モード時に残留するトナー層厚程度)以下に層厚が調整される。
このため、この層厚調整ブレード32の下流側に位置する帯電制御ロール33に、層厚調整された残留トナーTが到達すると、当該残留トナーT層は基準厚d以下であるから、この残留トナーTは帯電制御ロール33にて所定の帯電極性及び帯電量に制御される。
よって、帯電制御ロール33を経てクリーニングロール31部位に到達した残留トナーTは略完全にクリーニングロール31に静電吸着され、図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0045】
特に、本実施の形態では、層厚調整ブレード32は、例えば図6(a)〜(f)に示すように、導電性板材51の中間転写ベルト20側に絶縁性被覆材52又は54を設け、直流成分を含む薄層用バイアスVBHを印加するようにしているため、以下のような作用を奏する。
すなわち、層厚調整ブレード32に直流成分(例えばVdc:1.8kV)を重畳した薄層用バイアスVBHを印加することで、残留トナーTをより移動させ易くし、これにより、中間転写ベルト20と残留トナーTとの静電的な吸着力を低減させ、残留トナーT層を引き伸ばすことが可能となる。
【0046】
ここで、図8に示すように、電気伝導性の高い導電性部材(図中の導電層)、例えば導体・半導体をトナー層に接触させた場合、導電性部材に電圧を印加すると、トナー層へ電流の注入や放電により、トナー帯電電荷の減少や極性の反転(中間転写ベルト20上に静電吸着しているトナーの吸着力を弱めるためには、トナー帯電極性と逆極性の電圧を印加する必要があることによる)が起こる。
しかしながら、電流の注入や放電が起こるために形成される電界は弱くなり、主に機械的な力によりトナー層が引き伸ばされるため、トナー層の引き伸ばしは可能だが、押し当て荷重や角度を最適化する必要がある。
これに対して、トナーに接触する面を絶縁性部材(絶縁性被覆材52又は54)とすることにより、導電性部材(導電性板材51に相当)に電圧を印加しても、絶縁性部材によりトナー層への電流の注入や放電が抑えられることになり、中間転写ベルト20上に静電的に吸着させられているトナー層に対して、印加した電圧による強い電界でトナー層が絶縁性部材に電気的に吸引され、トナー層が分割され易い状態となり、トナー層の引き伸ばしを容易に行うことができる。
【0047】
また、本実施の形態において、層厚調整ブレード32は導電性部材(導電性板材51)と絶縁性部材(絶縁性被覆材52又は54)とを一体的に構成したものであるが、これに限られるものではなく、図9(a)(b)に示すように、導電性部材と絶縁性部材とを別体に構成するようにしてもよい。
ここで、図9(a)に示す層厚調整ブレード32は、導電性板材51の先端側片面に半導電性部材53を設ける一方、ホルダ55にて絶縁性部材としての絶縁性フィルム56を保持し、中間転写ベルト20に対し、半導電性部材53にて絶縁性フィルム56を押圧するようにしたものである。
【0048】
また、図9(b)に示す層厚調整ブレード32は、図9(a)と略同様であるが、更に、絶縁性フィルム56の端部に係止片56aを設け、ホルダ55の係止受部55aに前記絶縁性フィルム56の係止片56aを係脱自在に係止させるようにしたものである。
特に、図9(b)に示す態様にあっては、中間転写ベルト20に接触する絶縁性部材(ここでは絶縁性フィルム56)を交換可能な部品として構成することにより、本絶縁性部材が摩耗等によって性能低下し、画像形成装置又はサブモジュールより早期に使用できなくなったとしても、絶縁性部材を交換することで層厚調整ブレード32の性能を維持することができる。
尚、図9(a)(b)に示す態様においても、導電性板材51に薄層用バイアスVBHが通常印加される。このことは、図10に示す各態様においても同様である。
【0049】
更に、本実施の形態では、層厚調整ブレード32は、例えば図10(a−1)に示すように、導電性板材51に絶縁性被覆材52を連続的に接着したものであるが、これに限られるものではなく、例えば図10(a−2)に示すように、導電性板材51に複数個の絶縁性被覆材52を所定間隔毎に接着したものであってもよい。具体例としては、例えば0.1mm厚で幅20mm(自由長10mm)のSUS板に、1mm厚で幅1mmのウレタン樹脂を複数個接着したものが挙げられる。
但し、本態様にあっては、各絶縁性被覆材52端部にトナー溜まりが出来やすいため、画像領域外の時点で中間転写ベルト20から離間させる等の対策が好ましい。
【0050】
更にまた、層厚調整ブレード32としては、図10(b−1)〜図10(b−3)に示すように、導電性板材51に複数個の絶縁性被覆材52を接着固定したものであるが、各絶縁性被覆材52の少なくとも残留トナー突入側にはトナー溜まりが生じないように傾斜部521を設けたものである。
ここで、傾斜部521には平面状、曲面状のいずれをも含む。
本態様によれば、傾斜部521の存在により、トナー溜まりが出来にくいため、層厚調整ブレード32の接離タイミングの自由度を高くすることができる。
【0051】
また、層厚調整ブレード32としては、図10(c−1)〜(c−3)に示すように、導電性板材51に複数個の絶縁性被覆材52を設けると共に、この絶縁性被覆材52間の少なくとも一箇所には導電性部材51が一部露呈する略V字又はU字状の凹部522を設けたものがある。
本態様によれば、複数個の絶縁性被覆材52にて残留トナーの引き伸ばし工程を行っている途中に、薄層用バイアスVBHが印加されるバイアス印加部が凹部522内に存在するため、残留トナーの引き伸ばし効果がより促進される。
【0052】
更に、層厚調整ブレード32としては、図10(d−1)に示すように、導電性板材51の最先端側に導電性若しくは半導電性部材からなる導電性凸部58を設けると共に、この導電性凸部58とは別に一若しくは複数個の絶縁性被覆材52を設けたものがある。
この態様によれば、一若しくは複数個の絶縁性被覆材52にて残留トナーの引き伸ばしを行い、しかも、導電性凸部58を介して残留トナーに直接帯電することが可能になる。
このため、導電性凸部58が帯電制御ロール33の一部機能を担うことが可能になり、その分、帯電制御ロール33による帯電性能をより確実に実現することができる。
尚、導電性凸部58による帯電性能を充分に確保するようにすれば、帯電制御ロール33を用いずに、導電性凸部58のみによって残留トナーを所定の帯電状態に帯電することができる。
【0053】
◎実施の形態2
図11は本発明に係る画像形成装置の実施の形態2を示す概略構成図である。同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、弾性中間転写ベルト20は、感光体ドラム10からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム10に所定の接触領域xにて感光体ドラム10形状に沿うように接触するものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
特に、本例では、中間転写ベルト20は、4つの張架ロール21〜24に掛け渡されるものであって、ロータリ型現像装置13とクリーニング装置14との間に位置する感光体ドラム10面に沿う形で所定の接触領域xだけ密着配置されている。
また、本例では、中間転写ベルト20には独立した駆動系が設けられておらず、この中間転写ベルト20は、感光体ドラム10を駆動源とし、感光体ドラム10との接触領域xを介して従動回転するようになっている。
【0054】
従って、本実施の形態によれば、感光体ドラム10と弾性中間転写ベルト20とは比較的広い接触領域xにて接触配置されており、しかも、弾性中間転写ベルト20により弾性押圧されているため、感光体ドラム10と弾性中間転写ベルト20との間のタック面圧はそれほど高くなく、しかも、弾性中間転写ベルト20によるトナー像の包み込み動作が行われ、感光体ドラム10上のトナー像が弾性中間転写ベルト20側に一次転写される。
このとき、弾性中間転写ベルト20への転写画像には、大きなタック面圧によるホロキャラクターなどの画質欠陥はなく、高い転写効率で転写されるため、記録材上のカラー画像品質は極めて良好に保たれる。
【0055】
また、本実施の形態にあっては、その分、装置構成が簡略化されるほか、
クリーニング装置30を構成する各クリーニング部材(クリーニングロール31、層厚調整ブレード32、帯電制御ロール33)は中間転写ベルト20に対して過剰な負荷を与えなくて済むため、中間転写ベルト20に独立の駆動系を設けなくても、中間転写ベルト20は感光体ドラム10からの駆動を受けて安定的に従動回転する。
【0056】
◎実施の形態3
図12は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態3における要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、クリーニング装置30の層厚調整部材32を層厚調整ロールとしたものである。
本実施の形態において、層厚調整ロール32は、導電性ロール本体61と、このロール本体61に接する内層としての半導電層62と、その外層として絶縁被覆層63とを備えたものである。
具体例としては、例えばφ8mmのSUSロール本体に接する内層として厚み2mmの半導電性ゴム、外層として厚み0.2mmのウレタンゴムを設けた態様が挙げられる。
【0057】
ここで、層厚調整ロール32は、中間転写ベルト20に対して連れ回りすると、トナーの引き伸ばし効果が低減してしまうため、軸固定機構にて回転軸を固定することにより、クリーニング動作時に回転しないようになっている。
尚、層厚調整ロール32については非回転型に限定されるものではなく、中間転写ベルト20の移動速度と速度差を設けた速度で回転駆動される構成でも差し支えない。
また、層厚調整ロール32の表面性については必要に応じて粗面化処理したり、あるいは、発泡ウレタンゴムなどある程度表面の粗い材料にて表面層を構成し、トナーの引き伸ばし効果を促進させるようにしてもよい。
【0058】
更に、層厚調整ロール32の同一部分にトナーの堆積が起らないように、層厚調整ロール32を定期的に回転させる機構を持たせたり、層厚調整ロール32に付着したトナーを清掃するために逆バイアスを印加し、中間転写ベルト20側へ付着トナーを戻すサイクルを持たせる等の機能を付加することが好ましい。
このような機能を付加すると、トナー堆積量も少なくでき、より長期間の使用が可能となる。
【0059】
◎実施の形態4
図13は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態4における要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、クリーニング装置30の層厚調整部材32を層厚調整ブラシとしたものである。
本実施の形態において、層厚調整ブラシ32は、図14(a)に示すように、導電性板材71にブラシ材72を植毛したものである。
本例で用いるブラシ材72としては、導電性ブラシ材の表面を絶縁性被覆材にて被覆するもの、絶縁性ブラシ材中にカーボン分散するものなど適宜選定して差し支えないが、トナーが堆積し難いように植毛されることが必要である。
【0060】
ここで、層厚調整ブラシ32としては、例えば図14(a)に示すように、ブラシ材72を導電性板材71に対し直立配置してもよいし、図14(b)に示すように、ブラシ材72を傾斜配置し、中間転写ベルト20に対して負荷を小さくするようにしてもよい。
また、この層厚調整ブラシ32は、残留トナーを吸着する用途ではないので、負荷を小さくするために、図14(c)(d)に示すように、1列や2列の植毛で、残留トナーの電荷を低下させることができ、残留トナーを引き伸ばすことが可能である。
【0061】
◎実施の形態5
図15は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態5における要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、クリーニング装置30の層厚調整部材32を層厚調整パッドとしたものである。
この層厚調整パッド32は、例えば湾曲形成された板バネからなる導電性支持板81を有し、この導電性支持板81上に半導電性部材82を設けると共に、この半導電性部材82表面を絶縁性被覆材83にて被覆し、絶縁性ホルダ84の係止受部84aに前記導電性支持板81の両端を係脱自在に係止させたものである。
そして、導電性支持支持板81には薄層用バイアスVBHが印加されており、この層厚調整パッド32が中間転写ベルト20上に適度な押圧力にて接触配置されるようになっている。
【0062】
本態様においても、層厚調整パッド32は、実施の形態1などと略同様に作用し、残留トナーの層厚を基準厚以下に調整するため、帯電制御ロール33による帯電作用及びクリーニングロール31によるトナー回収作用を確実に実現することができる。
更に、本態様においては、前記層厚調整パッド32は絶縁性ホルダ84に係脱自在な構成になっているため、交換作業については簡単に行われ得る。
【0063】
◎実施の形態6
図16は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態6における要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、クリーニング装置30の帯電制御部材33としての帯電制御ロールのレイアウトを変更したものである。
すなわち、本実施の形態において、帯電制御ロール33は、中間転写ベルト20のうち、張架ロール23の下流側で且つ張架ロール21の上流側に位置する部位に配設されており、これに対向する中間転写ベルト20の内側にはバックアップロール91が設けられ、この帯電制御ロール33に帯電用バイアスが印加されている。
本態様においても、実施の形態1と略同様に作用する。
【0064】
◎実施の形態7
図17(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態7における要部を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、クリーニング装置30の層厚調整部材32としての層厚調整ブレードに帯電制御部材33としての機能を兼用させるようにしたものである。
同図において、層厚調整ブレード32は、例えば図17導電性板材101の片面側の先端側から順に導電性電極材102及び絶縁性被覆材103を具備させ、前記導電性板材101には薄層用バイアスVBH(帯電用バイアスVBTを兼用)が印加されるバイアス電源105を接続したものである。
【0065】
本実施の形態によれば、層厚調整ブレード32は、主として導電性電極材102を介して残留トナーを帯電しながら、主として絶縁性被覆材103を介して残留トナーの層厚を基準厚以下に調整する。
このため、本実施の形態では、層厚調整ブレード32を通過した残留トナーは、基準厚以下に調整され、かつ、所定の帯電特性を備えたものになり、クリーニングロール31に到達した時点で確実に静電吸着された後に図示外のトナー回収部材にて回収される。
【0066】
【実施例】
◎実施例1
本実施例は、図18(a)に示すように、感光体ドラム10形状に沿うように弾性中間転写ベルト20(張架ロール21〜23にて張架)を接触配置すると共に、張架ロール21に対向した部位に層厚調整部材32としての層厚調整ロール(本例では非回転型の金属ロールを使用)を配置し、この層厚調整ロール32に印加する薄層用バイアスVBH及び層厚調整ロール32の押圧力を変化させ、残留トナーTの引き伸ばし効果を評価したものである。
ここで、押圧力としては、初期値から順次負荷を軽くした3段階条件A〜C(具体的には、A:0.15mm,B:0.1mm,C:0.05mmの食込み量)で変化させ、また、薄層用バイアスVBHとしては、「直流成分(Vdc:+2.0kV)+交流成分(Vac:2.0kHz−Vpp2.5kV)」と、交流成分のみとについて行った。
尚、図中、符号25は一次転写ロール、26は二次転写ロール、40は記録材、TZはトナー像である。
【0067】
結果を図19(a)に示す。尚、同図において、◎、○、△は残留トナーTの引き伸ばし効果を相対的に評価したものである。
同図によれば、薄層用バイアスVBHとして直流成分が含まれている条件の方が、残留トナーTの引き伸ばし効果を充分に発揮できることが理解される。
また、押圧力については、負荷をある程度軽くしても、残留トナーTの引き伸ばし効果が発揮されることが理解される。
【0068】
◎実施例2
本実施例は、図18(a)に示すモデルにおいて、薄層用バイアスVBHとして直流成分Vdcのみを与え、この直流成分Vdcを変化させながら、残留トナーTの引き伸ばし効果を評価したものである。
結果を図19(b)に示す。
同図によれば、直流成分Vdcがある基準値を超えた条件において、残留トナーTの引き伸ばし効果が急激に上昇することが理解される。
【0069】
◎実施例3
本実施例は、層厚調整部材32の方式を変化させ、残留トナーTの引き伸ばし効果を評価したものである。
本実施例では、図18(a)に示すモデルのように、層厚調整部材32として層厚調整ロールを用いた方式(金属ロール方式)と、図18(b)に示すように、層厚調整部材32としてブレード(本例では、中間転写ベルト20と押圧ロール32’(図18(a)のモデルの層厚調整ロールを利用)との間に導電性ブレードを挟み込んだ態様)を用いた方式(ブレード方式)とについて行った。
尚、各方式においては、いずれも金属ロールに薄層用バイアスVBHとして「直流成分(Vdc:+2.0kV)+交流成分(Vac:2.0kHz−Vpp2.5kV)」を用いた。
【0070】
結果を図19(c)に示す。尚、同図において、◎、○は残留トナーTの引き伸ばし効果を相対的に評価したものである。
同図に示すように、ブレード方式の方が金属ロール方式に比べて、残留トナーTを均一に薄層化できることができ、残留トナーTの引き伸ばし効果が大きいことが理解された。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るクリーニング装置によれば、弾性を有するベルト状部材上に残留するトナーが静電的に回収される金属製クリーニングロールを有し、このクリーニングロールの上流側に、残留トナーの層厚が基準厚以下に調整せしめられる層厚調整部材、及び、残留トナーの帯電極性、帯電量が制御せしめられる帯電制御部材を設けるようにしたので、弾性を有するベルト状部材を用いたとしても、残留トナーの状況(残留トナー量あるいは残留トナーの種類)に影響されることなく、ベルト状部材に対する残留トナーのクリーニング性能を常時良好に保つことができる。
特に、本件発明では、層厚調整部材には直流成分及び交流成分が含まれる薄層用バイアスを印加するため、層厚調整部材によるトナーの引き伸ばし効果を十分に発揮することができる。
更に、このクリーニング装置を用いた画像形成装置にあっては、ベルト状部材を常時清浄に保つことができるため、クリーニング不良に伴う画質欠陥のない、常時良好な画質の画像を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクリーニング装置及びこれを用いた画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】 (a)は層厚調整部材を通過した後の残留トナーの状態を示す説明図、(b)は層厚調整部材を設けない場合の残留トナーの状態を示す説明図である。
【図3】 (a)は残留トナーが薄層の場合並びに層厚調整部材通過後における残留トナーの回収状態を示す説明図、(b)は残留トナーが厚層の場合(層厚調整部材なし)における残留トナーの回収状態を示す説明図である。
【図4】 実施の形態1に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図5】 実施の形態1で用いられるクリーニング装置の詳細を示す説明図である。
【図6】 (a)〜(f)は実施の形態1で用いられる層厚調整部材の具体的態様例を示す説明図である。
【図7】 (a)は残留トナーが薄層の場合における残留トナーの回収過程を示す説明図、(b)は残留トナーが厚層の場合における残留トナーの回収過程を示す説明図である。
【図8】 実施の形態1で用いられる層厚調整部材の層厚調整過程を模式的に示す説明図である。
【図9】 (a)(b)は実施の形態1における層厚調整部材を複数の構成要素に分離した変形形態を示す説明図である。
【図10】 (a−1)〜(d−1)は実施の形態1における層厚調整部材の他の各種変形形態を示す説明図である。
【図11】 実施の形態2に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図12】 実施の形態3に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図13】 実施の形態4に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図14】 (a)〜(d)は実施の形態4で用いられる層厚調整部材の具体的態様例を示す説明図である。
【図15】 実施の形態5に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図16】 実施の形態6に係る画像形成装置を示す説明図である。
【図17】 (a)は実施の形態7に係る画像形成装置を示す説明図、(b)は層厚調整帯電制御部材の詳細を示す説明図である。
【図18】 (a)(b)は実施例で用いられる実験モデルを示す説明図である。
【図19】 (a)は層厚調整部材における薄層用バイアスの印加パターン及び負荷パターンの相違による層厚調整評価を示す説明図、(b)は層厚調整部材における残留トナー層の引き伸ばし効果と薄層用バイアスの直流成分との関係を示す説明図、(c)は図18の各実験モデルの層厚調整評価を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ベルト状部材,2…転写媒体,3…転写装置,4…クリーニング装置,5…クリーニングロール,6…層厚調整部材,6a…導電性部材,6b…絶縁性部材,7…帯電制御部材,T…残留トナー,TZ…トナー像,VBC…クリーニング用バイアス,VBH…薄層用バイアス,VBT…帯電用バイアス

Claims (7)

  1. 弾性を有するベルト状部材に残留したトナーを清掃するクリーニング装置であって、
    前記ベルト状部材に金属表面が接触し且つベルト状部材の残留トナーが静電的に吸着せしめられる金属製クリーニングロールと、
    このクリーニングロールの上流側に設けられ、直流成分及び交流成分が含まれる薄層用バイアスを印加して前記残留トナー層を基準厚以下に引き伸ばし調整する層厚調整部材と、
    前記クリーニングロールの上流側で且つ前記層厚調整部材の下流側に設けられ、ベルト
    状部材に残留したトナーの帯電極性及び帯電量を制御する帯電制御部材とを備えていることを特徴とするクリーニング装置。
  2. 請求項1記載のクリーニング装置において、
    層厚調整部材はベルト状部材との間に残留トナー層が引き伸ばされる程度の摩擦抵抗を付与するものであることを特徴とするクリーニング装置。
  3. 請求項1記載のクリーニング装置において、
    層厚調整部材は、導電性部材と絶縁性部材とを備え、ベルト状部材上の残留トナー層に対し絶縁性部材を対向配置することを特徴とするクリーニング装置。
  4. 請求項記載のクリーニング装置において、
    層厚調整部材の導電性部材に薄層用バイアスを印加することを特徴とするクリーニング装置。
  5. 請求項記載のクリーニング装置において、
    層厚調整部材は、導電性部材と絶縁性部材とを一体化した部材からなり、導電性部材の少なくとも表面側を絶縁性部材で被覆したものであることを特徴とするクリーニング装置。
  6. 請求項記載のクリーニング装置において、
    層厚調整部材は、導電性部材と絶縁性部材とを分離可能な構成とし、絶縁性部材を交換可能としたことを特徴とするクリーニング装置。
  7. トナー像が担持されるベルト状部材と、このベルト状部材上のトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、ベルト状部材に残留するトナーを清掃するクリーニング装置とを備えた画像形成装置において、
    クリーニング装置として、請求項1乃至6いずれかに記載のクリーニング装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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