JP2001142356A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2001142356A
JP2001142356A JP32675299A JP32675299A JP2001142356A JP 2001142356 A JP2001142356 A JP 2001142356A JP 32675299 A JP32675299 A JP 32675299A JP 32675299 A JP32675299 A JP 32675299A JP 2001142356 A JP2001142356 A JP 2001142356A
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JP32675299A
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Katsumi Adachi
克己 足立
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Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリア拡散による潜像劣化を抑制し高コン
トラストかつ高画質な画像を形成する。 【解決手段】 感光層5の層厚d〔μm〕、潜像形成時
の感光体1の表面電荷密度の絶対値σs〔C/m2〕、
画像形成装置の最小の解像度R〔dpi〕の関係を、1
/R>[1/(25.4×103)]×[(0.0212×
ln(σs)+0.1285)×d2+(−1.101
×ln(σs)−6.532)×d]とする。また、σ
sを2.0×10-3未満とする。さらに、d<(1/
R)×(25.4×103)×(0.7)を満たすよう
にする。解像度Rが1200dpi以上のとき、特に効
果的である。感光層5は有機系材料を含有する。また感
光層5は、a−Si系材料層さらにはa−Si(1-x)
x系材料層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性基材上に感
光層を有する像担持体の表面を一様に帯電した後、形成
すべき画像情報に応じた光で露光して静電潜像を形成
し、該静電潜像を現像して可視化する画像形成装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】レーザプリンタ、LED(Light Emitti
ng Diode)プリンタおよびデジタル複写機などの、電子
写真方式を用いた画像形成装置は像担持体である感光
体、帯電部材、露光部材および現像装置を備え、画像形
成プロセスでは、感光体表面を一様に帯電し、該感光体
表面を画像情報に応じたレーザビームやLEDなどの光
で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像剤(ト
ナー)によって現像して可視化する。その後、現像剤が
所定の記録材に転写され、定着されて固定化され、この
ようにして画像が形成される。
【0003】近年の高画質化の要求に伴って、画像形成
装置の高解像度化が進んでおり、このために高解像度な
潜像の形成が必要とされている。潜像を高解像度に形成
する技術として特開平8−262790号公報には、感
光体上の孤立最小ドットの潜像形成時の電荷密度分布
と、トナー重量平均粒径と、トナーのQ/M(M:トナ
ー重量、Q:トナー帯電量)分布との関係を最適する技
術、あるいは感光体上の孤立最小ドットの潜像形成時の
電荷密度分布と、トナー重量平均粒径と、トナーのQ/
M分布と、現像バイアスのAC(交流)成分との関係を
最適化する技術が開示されており、これによって露光ス
ポット径をそれほど絞ることなく、1ドットを現像し、
かつグレースケールの高濃度領域の階調性を良好に再現
するようにしている。
【0004】また、特開平8−272197号公報に
は、露光光のスポット面積と感光層厚との積を2000
0μm3以下として、優れた解像度および階調性の画像
を形成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】感光体表面を露光する
と、感光層内ではフォトキャリアが発生する。このキャ
リアが感光体の表面に到達し、感光体表面に帯電した電
荷を打消すことによって、静電潜像が形成される。しか
し、発生したキャリアは感光体表面に到達するまでに拡
散する。このため、潜像が劣化してしまい、潜像の解像
度は低いものとなる。上述の特開平8−262790号
および特開平8−272197号の公報では、いずれも
潜像劣化は考慮されていない。したがって、潜像の解像
度は低く、このような潜像を現像して形成された画像は
コントラストの低いものとなる。
【0006】本発明の目的は、画像形成装置の最小の解
像度Rと、潜像形成時の感光体の表面電荷密度の絶対値
σsと、感光層厚dと、を最適化して、キャリア拡散に
よる潜像劣化を抑制し、コントラストの高い画像を形成
することができる画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性基材上
に感光層を有する像担持体の表面を一様に帯電した後、
形成すべき画像情報に応じた光で露光して静電潜像を形
成し、該静電潜像を現像して可視化する画像形成装置に
おいて、感光層厚をd〔μm〕とし、潜像形成時の像担
持体の表面電荷密度の絶対値をσs〔C/m2〕とし、
画像形成装置の最小の解像度をR〔dpi:dot perinc
h〕としたとき、
【0008】
【数3】
【0009】を満たすことを特徴とする画像形成装置で
ある。
【0010】本発明に従えば、画像形成装置の最小の解
像度Rに対して、感光層厚dと潜像形成時の感光体の表
面電荷密度の絶対値σsとの関係を式(I)を満たすよ
うに最適化した。式(I)から、所望の解像度Rを得る
のに必要な感光層厚dと表面電荷密度の絶対値σsとが
判る。この式(I)は、キャリアの拡散を考慮したもの
であり、高解像度においてもキャリア拡散による潜像劣
化を抑制してコントラストの高い画像を形成することが
できる。
【0011】なお、像担持体の走査方向は、通常、主走
査方向と副走査方向とであり、各方向毎の解像度が考え
られる。本発明における最小の解像度Rとは各方向の解
像度のうちの低い方の解像度を指す。この低い方の解像
度に対しては、露光条件の調整によるキャリア拡散の抑
制はできない。したがって、本発明のように像担持体に
おける条件、すなわち感光層厚dと、潜像形成時の像担
持体の表面電荷密度の絶対値σsとを最適化することが
必要となる。
【0012】また、電荷発生層と電荷輸送層とを積層し
た積層型の感光体を像担持体として用いる場合、本発明
の感光層厚dは電荷輸送層の厚さに相当する。
【0013】また本発明は、前記表面電荷密度の絶対値
σs〔C/m2〕が、0(零)を越えて2.0×10-3
未満であることを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、表面電荷密度の絶対値σ
sが2.0×10-3〔C/m2〕未満としたので、解像
度の高い潜像が形成できてコントラストが高く、かつ欠
陥の無い高品質な画像を安定的に形成することができ
る。このため、画像形成装置の信頼性を向上することが
できる。
【0015】なお、基本的に前記式(I)から表面電荷
密度の絶対値σs〔C/m2〕は、σs>0となる。ま
た、表面電荷密度の絶対値σsが0(零)では感光体の
帯電ができないので、潜像形成が不可となる。したがっ
て、表面電荷密度の絶対値の下限値は、0(零)を越え
る範囲となる。
【0016】また本発明は、前記感光層厚d〔μm〕と
解像度R〔dpi〕とが、
【0017】
【数4】
【0018】を満たすことを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、解像度Rと感光層厚dと
の関係を式(II)を満たすように、すなわち解像度R
が高くなると感光層厚dが薄くなるように、最適化した
ので、解像度の高い潜像が形成できてコントラストが高
く、かつより高品質な画像を形成することができる。
【0020】また本発明は、前記解像度R〔dpi〕
が、1200以上9600以下の範囲であることを特徴
とする。
【0021】本発明に従えば、上述の比較的高い解像度
Rにおいて、高コントラストで高品質な画像を形成する
ことができる。
【0022】なお、解像度R〔dpi〕が9600以下
とされる理由は、次のようである。すなわち、種々の画
像を用いて評価を行った結果、人の視覚感度から粒状感
がほとんど認識されない解像度は600dpi程度で、
また識別可能な階調数は250階調程度であることが判
明している。したがって、600dpiの画素サイズで
250階調を表現するには9600dpi相当であれば
達成可能である。
【0023】また本発明は、前記像担持体の感光層が、
有機系材料を含有することを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、有機系材料を用いて感光
層を構成したので、安価に感光体および画像形成装置を
実現することができる。また、感光体の比誘電率εrを
小さくできて感光体の内部電界を大きく取ることができ
るので、キャリア拡散をさらに抑制することができる。
【0025】また本発明は、前記像担持体の感光層が、
アモルファスシリコン系材料層を有することを特徴とす
る。
【0026】本発明に従えば、高解像度化に伴って感光
層を薄膜化した場合、長期使用によって感光層が削れる
おそれがあるが、アモルファスシリコン系材料層を有す
る感光層は耐摩耗性が高く、したがって感光層の削れを
防止してランニングコストを低減することができる。
【0027】また本発明は、前記感光層が、さらにアモ
ルファスシリコンゲルマニウム層を有することを特徴と
する。
【0028】本発明に従えば、さらに感光層がアモルフ
ァスシリコンゲルマニウム層を有することによって、長
波長域の光感度特性が向上し、半導体レーザなどの光書
込み光源のパワーを低減することができ、低コスト化を
図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は、潜像形成プロセスを説明
するための斜視図である。ここでは積層型の感光体1を
例に説明する。また説明に当たって、互いに直交するX
YZ座標軸を、XY軸が感光体1の表面と平行となり、
Z軸が厚み方向に平行となるようにして設定している。
【0030】感光体1は、導電性基材2の上に感光層5
を有する。感光層5は、基材2の上に電荷発生層3を積
層し、該電荷発生層3の上に電荷輸送層4を積層して構
成される。電荷発生層3の層厚は電荷輸送層4の層厚に
比べて薄く、積層型の感光体1では本発明の感光層厚d
を、ほぼ電荷輸送層4の層厚と考えることができる。ま
た、感光体1の表面とは感光層5の表面、ここでは電荷
輸送層4の表面を指す。
【0031】画像形成プロセスの露光に先立つ帯電工程
では、感光体1の表面に電荷が与えられて表面が均一に
帯電される。このときの感光体1の表面の表面電荷密度
の絶対値をσoとする。
【0032】露光工程では、感光体1の表面に画像情報
に応じた露光光6が照射される。感光体1の表面電荷は
帯電直後から生じる暗減衰によって減少しており、露光
時の感光体1の表面の表面電荷密度の絶対値をσsとす
る。
【0033】露光光6が照射されると、電荷発生層3で
光エネルギが吸収されてフォトキャリアが発生する。該
キャリアは電荷輸送層4の内部を感光体1の表面に向け
て移動し、感光体1の表面電荷を打消し、このようにし
て静電潜像が形成される。
【0034】移動するキャリアに対して作用する力とし
ては、感光体1の表面電荷による内部電界と、キャリア
間の反発力とが考えられる。すなわちキャリアは、内部
電界によって図1中のZ軸に沿った厚み方向の力Fzを
受け、また反発力によって図1中のXY軸に沿った厚み
方向に直交する方向の力Fx・Fyを受ける。したがっ
て、発生したキャリアは露光領域から厚み方向に対して
やや斜め方向に拡散しながら移動する。
【0035】露光スポットの径をφ1とし、キャリアに
よって感光体1の表面電荷が打消された領域の幅をφ2
として、φ2−φ1で表わされるキャリアの拡散量(拡
散幅)Δφは、感光層厚dや表面電荷密度の絶対値σs
によって可変であるが、数μm〜数十μmになることが
判明しており、高解像度化するに当たってはφ1に対す
るΔφの比率を考慮する必要が有る。
【0036】解像度が300dpi(dot per inch)の
場合、画素径は25.4×103/300≒85〔μ
m〕であり、これを露光スポット径φ1とすると、拡散
量Δφが20μmのとき、φ1に対するΔφの比率は約
20%となる。一方、解像度が1200dpiの場合、
画素径は25.4×103/1200≒21〔μm〕で
あり、φ1に対するΔφの比率は約100%となる。こ
の場合、露光によって1ドットおきに潜像を形成する
と、ドット内の電荷だけでなくドット間の電荷をも打消
されてしまい、解像度の低い潜像形成状態となる。
【0037】拡散量Δφは、ある程度の感光層厚dの範
囲内において、層厚dが厚いほど大きいと考えられる。
これは、層厚dが厚いとキャリアの移動距離が長くな
り、この移動の間に反発力Fx・Fyを受けて図1中の
X・Y軸方向にフォトキャリアが移動するためである。
また、拡散量Δφは、表面電荷密度の絶対値σsが小さ
いほど大きいと考えられる。これは、表面電荷密度の絶
対値σsが小さいと感光体1の内部電界Fzも小さく、
キャリアの移動速度が低下する。これによってキャリア
の移動時間が長くなり、この移動の間に反発力Fx・F
yを受けて図1中のX・Y軸方向にフォトキャリアが移
動するためである。
【0038】本発明は第1に、画像形成装置の最小の解
像度R、すなわち最小の画素径に対して、感光層厚dと
潜像形成時の感光体1の表面電荷密度の絶対値σsとの
関係を最適化して、キャリア拡散による潜像劣化を抑制
し、高解像度でコントラストの高い画像を形成するよう
にしたことを特徴とする。
【0039】まず、感光層厚dと表面電荷密度の絶対値
σsとの関係について説明する。導電性基材2の上に同
一材料を用いて感光層5を形成し、さらに表面電荷密度
の絶対値σsを調整した。作製した感光体1の直径を3
0mmとし、半減露光量を0.15μJ/cm2とし、
電荷輸送層4の比誘電率εrを3.0とし、電荷輸送層
4の層厚dを5・10・15・20・25・30μmと
した。層厚dは渦電流式の膜厚測定計を用いて測定可能
である。また感光体1に照射した光の反射光の干渉スペ
クトルから求めることも可能である。表面電荷密度の絶
対値σsの調整は、スコロトロンを用いてグリッドバイ
アスを変化させて行い、露光位置での表面電位Vsp
〔V〕を測定し、感光層厚d〔m〕と比誘電率εrとか
ら、σs=εo・εr・Vsp/dに従って求めた。な
お、εoは真空の誘電率(8.854×10-12〔F/
m〕)である。
【0040】次に、感光体1の表面を780nmの半導
体レーザビームを用いて露光し潜像を形成した。図2
は、露光したドット11のパターンを示す図である。露
光光のスポット径を50μmとし、露光量を1μJ/c
2とした。スポット径は露光光の分布のピーク値に対
して1/e2となる幅で表され、たとえばCCD(電荷
結合素子)カメラによって測定可能である。このスポッ
ト径がφ1である。なお、ドット11は複数個形成し、
各々のドット11の間の距離tを互いに影響し合わない
ような距離、たとえば200μm〜300μm程度とし
た。
【0041】さらに、形成された潜像を現像して可視化
した。現像は暗所中で液体現像剤に感光体1を浸けるこ
とによって行った。また、可視像は拡大して観察し、画
素径(直径)を測定した。可視像の観察および画素径の
測定には、キーエンス社製の画像処理装置VH−700
0を使用した。測定された画素径がφ2であり、φ2−
φ1がキャリアの拡散量Δφである。液体現像剤として
は、東洋インキ製のE−print用現像剤を使用し
た。
【0042】表1に感光層厚dと表面電荷密度の絶対値
σsとの関係を示す。また図3は、感光層厚dとキャリ
アの拡散量Δφとの関係を、表面電荷密度の絶対値σs
毎に示すグラフである。
【0043】
【表1】
【0044】図3から、 △φ = A・d2 + B・d …(III) の近似式が得られる。なお、係数AおよびBは表面電荷
密度の絶対値σsによって異なる。
【0045】この式(III)は感光層厚dが30μm
以下の場合に適用される。感光層厚dが30μmを越え
る場合、層厚dの増加に伴って拡散量Δφはほぼ一定か
またはわずかに増加する傾向を示す。したがって、式
(III)を適用することはできない。しかし、一般的
なプリンタや複写機などに用いられる感光体1の感光層
厚dは30μm以下であり、この膜厚範囲において式
(III)を適用することは非現実的ではない。
【0046】また、キャリアにはキャリア同士の反発力
が作用し続けるため水平方向の移動は加速運動となって
式(III)で表わされるような放物線運動とはならな
いと予想されるが、それに反し式(III)で近似され
るということは、実際には、キャリア間の距離が短い電
荷発生層3の近傍での反発力が支配的であり、キャリア
がある程度拡散した状態では反発力が小さく移動の加速
度合いが減少し、キャリアは電荷発生層3の近傍で得た
速度で等速運動するためと考えられる。
【0047】表2には、表面電荷密度の絶対値σs毎の
係数A・Bを示す。
【0048】
【表2】
【0049】図4は、表面電荷密度の絶対値σsと係数
A・Bとの関係を示すグラフである。図4から、 A = 0.0212 × ln(σs)+ 0.1285 …(IV) B = −1.101 × ln(σs)− 6.532 …(V) の関係が得られる。これらの式(IV)および(V)を前
記式(III)に代入すると、 Δφ =(0.0212 × ln(σs)+ 0.1285) × d2 +(−1.101 × ln(σs)−6.532)× d …(VI) が得られる。
【0050】一方、画像形成装置の最小の解像度をR
〔dpi〕とすると、最小の画素径は25.4×103
/R〔μm〕となる。ある解像度で潜像を解像させるに
は、1ドットおきに潜像を形成した場合、各ドットが分
離される必要がある。すなわち、潜像形成状態として
は、あるドットの周辺にドット径の1/2ずつキャリア
が拡散した状態が最低限許される状態である。したがっ
て、キャリアの拡散量Δφと解像度Rとの間の関係は、 Δφ < 25.4 × 103/R …(VII) となる。
【0051】式(VII)を式(VI)に代入すると、
上述の式(I)が得られる。この式(I)から、所望の
解像度Rを得るのに必要な感光層厚dと表面電荷密度の
絶対値σsとが判る。
【0052】なお、感光体1の走査方向は、通常、主走
査方向と副走査方向とであり、各方向毎の解像度が考え
られるが、上述の解像度Rとは、各方向の解像度のうち
の低い方の解像度を指す。レーザスキャン型では副走査
方向(感光体移動方向)側であり、LEDアレイ型では
主走査方向(感光体長手方向)側である。
【0053】高い方の解像度に対しては、パルス幅変調
などの露光条件を制御することによってキャリア拡散を
抑制し、解像度の低下を防止することができるが、低い
方の解像度に対しては、画像形成装置の設定解像度によ
って決まる露光スポット径によって露光条件がほぼ決定
するので、露光条件の調整によるキャリア拡散の抑制は
できない。したがって、本発明のように感光体における
条件、すなわち感光層厚dと、潜像形成時の感光体の表
面電荷密度の絶対値σsとを最適化することが必要とな
る。
【0054】また本発明は第2に、表面電荷密度の絶対
値σsを最適化して、さらに高画質な画像を安定的に形
成するようにしたことを特徴とする。表面電荷密度の絶
対値σsが大きく、感光体1の内部の電界強度も大きい
とき、感光層5の塗布ムラや基材2などの下地層の不均
一性の影響によって、局所的に電界強度が高くなってそ
の領域にて絶縁破壊が生じると、反転現像の場合では、
図5に示されるような絶縁破壊部分が黒い斑点状(黒ポ
チ)12となって現れる。表3には、一定の感光層厚d
における表面電荷密度の絶対値σs毎の黒ポチ12の発
生状態を示す。
【0055】
【表3】
【0056】表3から、表面電荷密度の絶対値σsが約
2.0×10-3〔C/m2〕を越えると、局所的な絶縁
破壊による黒ポチ12が認められた。この傾向は感光層
厚dを変更した場合でも略同様であったが、特に感光層
厚dを薄くした場合、塗布ムラや下地層の不均一性によ
る影響を顕著に受けて、σsが約2.2×10-3〔C/
2〕での黒ポチ12の発生率が高かった。したがっ
て、画像形成装置の信頼性や安定性などを考慮すると、
表面電荷密度の絶対値σsを2.0×10-3〔C/
2〕未満に設定することが好ましい。
【0057】また本発明は第3に、感光層厚dと解像度
Rとの関を最適化して、より高品質な画像を形成するよ
うにしたことを特徴とする。実際の画像形成において
は、図6(A)に示されるような各ドット11が空間的
に粗な配置、すなわちドット11の間の距離tが長い配
置である孤立ドットパターンや、図6(B)に示される
ような各ドット11が密集した配置、すなわちドット1
1の間の距離tが短い配置である密集ドットパターンな
ど、様々なパターンを形成しなければならない。そこ
で、これらのパターンを形成するための、感光層厚dと
解像度Rとの関係について検討した。
【0058】なお、表面電荷密度の絶対値σsを約1.
8×10-3〔C/m2〕とし、最も小さい露光スポット
径φ1やドット間の距離tを変化させて解像度Rを60
0・900・1200・1800・2400dpiと
し、感光層厚dを5・10・15・20・25・30μ
mとした。このときの画像形成状態の観察評価結果を表
4に示す。表4において、「○」は孤立ドットパターン
の画素形成状態が充分であり、かつ密集ドットパターン
の分離(解像)状態が充分であることを示し、「△」は
いずれか一方のみが充分であることを示し、「×」は両
方が不充分であることを示す。また図7は、表4にて
「○」と判定された条件のうちの、最小の露光スポット
径φ1と解像し得る最大の層厚dとの関係を示すグラフ
である。
【0059】
【表4】
【0060】図7から、感光層厚dと解像度Rとが、前
記式(II)を満たすことによって、より良好な画像が
形成できることが判る。以下にこの理由を説明する。
【0061】図8および図9は、画像部と非画像部との
矩形波状の、感光体1の表面電位分布を示す図である。
図8(A)は膜厚dが厚くて解像度Rが低い場合を、図
8(B)は膜厚dが薄くて解像度Rが低い場合を、図9
(A)は膜厚dが厚くて解像度Rが高い場合を、図9
(B)は膜厚dが薄くて解像度Rが高い場合をそれぞれ
示す。表面電位分布は、電子写真 第II部 電子写真
プロセスの理論 III静電像の性質(共立出版、R・
M・シャファート著、井上英一 監訳)に従って計算に
より求めた。計算に用いた数値は正規化し、図8および
図9中の表面電位(縦軸)および位置(横軸)は任意単
位としている。図10(A)〜図10(D)は、ライン
状の各種潜像形成パターンをそれぞれ示す図である。
【0062】まず図8を参照して解像度Rが低い場合を
考える。図8(A)に示される膜厚dが厚い場合、実線
L1で示される表面電位分布は図10(A)に示される
孤立した潜像形成パターンに相当し、一点鎖線L2で示
される表面電位分布は図10(B)に示される密集した
潜像形成パターンに相当する。図8(B)に示される膜
厚dが薄い場合、実線L3で示される表面電位分布は図
10(A)に示される孤立した潜像形成パターンに相当
し、一点鎖線L4で示される表面電位分布は図10
(B)に示される密集した潜像形成パターンに相当す
る。
【0063】L1〜L4において、画像部に相当する領
域の表面電位が現像電位Vを下回る状態がともに存在す
る。また、L1とL2との現像電位Vを下回る量の差
と、L3とL4との現像電位Vを下回る量の差とを比較
すると、後者、すなわち膜厚dが薄い方が小さい。つま
り、膜厚dを薄くすることで、孤立した潜像形成パター
ンと密集した潜像形成パターンとで、画像部に相当する
領域の表面電位の重なりが大きくなる。
【0064】次に図9を参照して解像度Rが高い場合を
考える。図9(A)に示される膜厚dが厚い場合、実線
L5で示される表面電位分布は図10(C)に示される
孤立した潜像形成パターンに相当し、一点鎖線L6で示
される表面電位分布は図10(D)に示される密集した
潜像形成パターンに相当する。図9(B)に示される膜
厚dが薄い場合、実線L7で示される表面電位分布は図
10(C)に示される孤立した潜像形成パターンに相当
し、一点鎖線L8で示される表面電位分布は図10
(D)に示される密集した潜像形成パターンに相当す
る。
【0065】L6〜L8では画像部に相当する領域の表
面電位が現像電位Vを下回る状態が存在するが、L5で
は画像部に相当する領域の表面電位が現像電位Vを上回
っている。L5とL6とでは画像部に相当する領域の表
面電位の重なりは非常に小さく、現像電位Vが低い場合
では、L5の孤立した潜像形成パターンはほとんど現像
されない。現像電位Vを高くすれば孤立した潜像形成パ
ターンは現像されるが、密集した潜像形成パターンの非
画像部(白部)も現像されてしまい、密集した潜像形成
パターンのコントラストが低下する。L7とL8とでは
画像部に相当する領域の表面電位の重なりが大きく、孤
立した潜像形成パターンと密集した潜像形成パターンと
をともに現像することができる。
【0066】したがって、解像度Rが高い場合には感光
層厚dを薄い方が好ましく、解像度Rと感光層厚dとが
上述の式(II)の関係を満たすようにすることが好ま
しい。なお、図10に示される潜像形成パターンにおい
て、解像度Rが低い場合の図10(A)および図10
(B)に示されるパターンの画像部の幅aと、解像度R
が高い場合の図10(C)および図10(D)に示され
るパターンの画像部の幅bとの関係は、a>bである。
【0067】また本発明は第4に、解像度Rが1200
dpi以上において効果的である。本発明は、キャリア
拡散による潜像劣化を抑制して、高コントラストで、高
画質な画像を形成するものである。電子写真方式を用い
たプリンタやデジタル複写機などの画像形成装置におい
て、一般的な感光層厚d(20〜30μm)および表面
電荷密度の絶対値σs(1.0×10-3〔C/m2〕程
度)では、キャリア拡散量Δφは20μm以下である。
解像度Rが1200dpi以上、すなわち最小画素径が
21μm以下の場合、拡散量Δφと最小画素径とが非常
に近い値となり、キャリアの拡散が画像形成に大きく影
響する。また、本発明での解像度Rとは、露光条件の調
整によるキャリア拡散の抑制ができない、主走査方向お
よび副走査方向の各方向の解像度のうちの低い方の解像
度であり、感光体1における条件の最適化が必要とな
る。したがって、解像度Rが1200dpi以上の場合
に本発明は非常に有効である。
【0068】また本発明は第5に、感光層5が有機系材
料を含有することを特徴とする。感光層材料として有機
系材料を用いた場合、その他の材料と比べて安価に感光
体1を製造することができるである。近年、有機感光体
の開発が飛躍的に進み、種々の画像形成装置に有機感光
体が搭載されている。したがって、安価な有機感光体の
使用は画像形成装置の製造コストの低減にも有効であ
る。また、感光層材料として有機系材料を用いた場合、
感光体1の比誘電率εrが約3程度と比較的小さくで
き、感光体1の内部電界(σs/(εo・εr))を大
きく取ることができて、キャリア拡散の抑制に有効に作
用する。
【0069】また本発明は第6に、感光層5がアモルフ
ァスシリコン系材料層を有することを特徴とする。高解
像度化に伴って上述したように感光層5を薄膜化する必
要性が生じるが、その場合、長期使用によって感光層5
が削れるおそれがある。感光層5がアモルファスシリコ
ン系材料層を有すると、有機感光体に比べて耐摩耗性が
高くなる。したがって、感光層5の削れを防止して、ラ
ンニングコストを低減することができる。
【0070】また本発明は第7に、感光層5が、アモル
ファスシリコン系材料層を有するとともに、さらにアモ
ルファスシリコンゲルマニウム層を有することを特徴と
する。これによって、長波長域の光感度特性が向上す
る。したがって、半導体レーザなどの光書込み光源のパ
ワーを低減することができ、低コスト化に有効である。
【0071】
【実施例】以下、本発明の構成について、具体的に実施
例に基づいて説明する。図11は、本発明の一実施形態
である画像形成装置21の構成を示す図である。像担持
体である感光体22は、アルミニウムなどから成る金属
ドラムを導電性基材23とし、その外周面上にアモルフ
ァスシリコン(a−Si)や有機光半導体(OPC)な
どの感光層24を薄膜状に形成して構成される。感光体
22の周囲には、帯電部材25、露光部材26、現像装
置27、転写部材28、クリーニング部材29および除
電部材30が、この順番に配置されている。
【0072】帯電部材25は、タングステンワイヤなど
の帯電線と金属製のシールド板とグリット板とから成る
コロナ帯電器、帯電ローラおよび帯電ブラシなどで実現
される。露光部材26は、たとえばレーザおよびLED
で実現される。転写部材28は、コロナ帯電器、帯電ロ
ーラおよび帯電ブラシなどで実現される。除電部材30
は除電ランプなどで実現される。
【0073】画像形成プロセスにおいて、感光体22の
表面は、まず、帯電部材25によって一様に帯電され
る。次に、露光部材26によって画像情報に応じた光が
感光体22の表面に照射されて静電潜像が形成される。
このとき、感光体22の周速度は、たとえば100mm
/sである。
【0074】感光体22の上に形成された静電潜像に
は、感光体22と現像装置27との間に形成される現像
電界によって、現像装置27の内の現像剤(トナー)が
付着して、トナー像として可視化される。なお、図11
には現像装置27が備える現像電界を形成するためのバ
イアス電源は図示していない。トナー像は、転写部材2
8によって紙などの記録材31の上に転写され、定着部
材32によって定着される。トナー像が転写された後の
感光体22の上に残留するトナーは、クリーニング部材
29が備えるクリーニングブレードなどによって除去さ
れる。また、感光体22の上の電荷は、除電部材30に
よって除電される。
【0075】(実施例1)本実施例では、画像形成装置
21から現像装置27を取外し、感光体22の表面を帯
電部材25によって帯電し、該表面に露光部材26から
の光を照射して所望の潜像パターンを形成し、暗所中で
該感光体22を取出し液体現像剤中に浸して潜像パター
ンを可視化し、このようにして形成された画素の状態を
顕微鏡で拡大して観察した。
【0076】ここで、感光体22の直径を30mmと
し、半減露光量を0.15μJ/cm2とし、比誘電率
εrを3.0とし、感光層厚dを15μmとした。ま
た、表面電荷密度の絶対値σs〔C/m2〕を3×10
-4、4.5×10-4(以上は不可の条件)、7×1
-4、1×10-3、1.5×10-3、1.8×10
-3(以上は良好な条件)とした。所望の表面電荷密度の
絶対値σsを得るために帯電部材25としてスコロトロ
ンを用い、グリッドバイアスを変化させた。また、表面
電荷密度の絶対値σsは露光位置での表面電位Vsp
(V)を測定し、感光層厚d(m)と比誘電率εrか
ら、σs=εo・εr・Vsp/ ( εo:真空の誘電
率8.854×10-12〔F/m〕)に従って計算によ
って求めた。露光は、780nm半導体レーザビームを
用い、スポット径を20〜22μmとし、露光量を約1
μJ/cm2とした。潜像パターンは、図6(A)およ
び図6(B)に示されるように、1200dpi(最小
画素径21μm)相当のドットパターンを、互いに充分
孤立した状態(縦・横5ドット毎)と、密集した状態
(縦・横1ドット毎)との2種類形成した。現像には、
東洋インキ製E−print用液体現像剤を使用した。
【0077】画素の観察結果を表5に示す。なお、
「◎」は解像度が優れていることを、「○」は良好であ
ることを、「×」は不可であることをそれぞれ表してい
る。
【0078】
【表5】
【0079】表5から、解像度R(dpi)、感光層厚
d(μm)、表面電荷密度の絶対値σs〔C/m〕が
前記式(I)を満たす本発明の請求範囲内の設定条件で
は、ドットの太りが小さく、密集したドットでも良好な
解像性が得られた。しかし、請求範囲外の設定条件で
は、キャリア拡散によるドットの太りが大きく、また密
集パターンでは充分な解像度が得られなかった。
【0080】(実施例2)実施例1の画像形成装置21
において、感光層厚dと表面電荷密度の絶対値σsとを
変化させて、ハーフトーンパターンの印字を行い、感光
体22の局所絶縁破壊による黒ポチ12の発生状況を確
認した。
【0081】なお、本実施例では現像装置27として、
非磁性1成分接触現像装置を用いた。現像装置27の現
像ローラの周速を感光体22の周速の1.3倍に設定し
た。また、現像ローラへの印加電圧として、表面電荷密
度の絶対値σsによって決まる表面電位の約1/2の値
を印加した。トナーとしては、一般に高抵抗トナーと呼
ばれるもので、ペレット状での抵抗率が約1010Ωcm
程度で、ポリエステル樹脂やステレン−アクリル共重合
体などの主樹脂にカーボンブラックを混合混練し、さら
に帯電制御剤や微小量の加硫制御剤を適量配合し、粉砕
・分級工程にて所望の体積平均粒径に調整した後、外添
剤としてシリカやチタニアなどを添加したものが使用で
きる。本実施例では体積平均粒径が約4μmのポリエス
テルトナーを用いた。
【0082】黒ポチ12の発生状況を表6に示す。
【0083】
【表6】
【0084】表6から、表面電荷密度の絶対値σsが約
2.0×10-3〔C/m2〕以上では局所的な絶縁破壊
による黒ポチ12が認められた。この傾向は感光層厚d
を変更した場合でも概略同様であったが、特に感光層厚
dを薄くした場合に塗布ムラや下地層の不均一性による
影響を受けやすく、σsが約2.2×10-3〔C/
2〕での黒ポチ12の発生率が高かった。表面電荷密
度の絶対値σsが2.0×10-3〔C/m2〕未満で
は、黒ポチ12の発生はなく、画像形成装置21の信頼
性や安定性などを考慮してσsを2.0×10-3〔C/
2〕未満に設定することが好ましい。
【0085】(実施例3)感光体22の表面電荷密度の
絶対値σsを約1.8×10-3〔C/m2〕とし、図6
に示される最小スポット径φ1と画素間ピッチtとを調
整して解像度Rを600・900・1200・1800
・2400dpiとし、感光層厚dを5・10・15・
20・25・30μmとしたときの画像形成状態を観察
した。その結果を表7に示す。
【0086】表7において、「○」は孤立ドットパター
ンの画素形成状態が充分であり、かつ密集ドットパター
ンの分離(解像)状態が充分であることを示し、「△」
はいずれか一方のみが充分であることを示し、「×」は
両方が不充分であることを示す。また、表7にて「○」
と判定された条件のうちの、最小の露光スポット径φ1
と解像し得る最大の層厚dとの関係をプロットすると図
7のグラフが得られる。
【0087】
【表7】
【0088】表7から、解像度Rと感光層厚dが式(I
I)を満たすように設定することによって、より高画質
な画像を形成することができた。
【0089】(実施例4)実施例3の結果から判るよう
に、解像度Rが高くなるにつれて、高画質な画像を得る
ための条件の設定範囲が狭くなってくる。現在市場に出
回っている電子写真方式を用いたプリンタやデジタル複
写機などの一般的な画像形成装置の構成条件(感光層厚
d:20〜30μm程度、解像度R:600dpi)に
て、そのまま高解像度化を行った場合、充分な画像品質
を得るのは難しい。特に、解像度Rが1200dpi以
上では、感光層厚dの適正な設定などを行う本発明の適
用が有効である。
【0090】(実施例5)感光体22として、有機感光
体を用いた。有機感光体が有する導電性基材は、たとえ
ばアルミニウム・銅・亜鉛・ステンレス・ニッケル・導
電性樹脂から成る。導電性基材上には、通常、公知のバ
リヤ層(下引き層)が形成される。バリヤ層は、たとえ
ばアルミニウム陽極酸化皮膜・酸化アルミニウム・水酸
化アルミニウムから成る。なお、バリア層は無くてもか
まわない。
【0091】導電性基材またはバリア層上には、電荷発
生層が形成される。電荷発生層に使用される電荷発生材
料としては、クロルダイアンブル等のビスアゾ系化合
物、ジブロモアンサンスロン等の多環キノン系化合物、
ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシア
ニン系化合物、およびアズレニュウム塩系化合物等が知
られており、これらを1種もしくは2種以上併用して使
用することが可能である。電荷発生層には化学増感剤と
して電子受容性材料、たとえばテトラシアノエチレン・
7,7,8,8−テトラシアノキノジメンタ等のシアノ
化合物、アントラキノン・p−ベンゾキノン等のキノン
類、および2,4,7−トリニトロフルオレノン等のニ
トロ化合物を、または光学増感剤としてキサンテン系色
素、チアジン色素、およびトリフェニルメタ系色素等の
色素を添加してもかまわない。電荷発生層の膜厚は、
0.05〜5μm、好ましくは0.1〜1μmである。
【0092】電荷発生層の形成には、上述の材料をバイ
ンダ樹脂とともに溶剤に溶解した塗液が使用される。バ
インダ樹脂としては、たとえばポリビニルブチラール、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、フ
ェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、およびシリコーン
樹脂等を用いることができる。溶剤としては、アセトン
・メチルエチルケトン・シクロヘキサノン等のケトン
類、酢酸エチル・酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒ
ドロフラン・ジオキサン等のエステル類、ベンゼン・ト
ルエン・キシレン等の芳香族炭化水素類、およびN,N
−ジメチルホルムアミド・ジメチルスルホキシド等の非
プロトン性極性溶媒等を用いることができる。
【0093】電荷発生層上には、電荷輸送層が形成され
る。電荷輸送層に使用される電荷輸送材料としては、ポ
リビニルカルバゾール・ポリシラン等の高分子化合物、
ヒドランゾン化合物、オキサジアゾール化合物、スチル
ベン化合物、およびトリフェニルメタン化合物等の低分
子化合物等を用いることができる。
【0094】電荷輸送層の形成は、電荷発生層と同様
に、上述の材料をバインダ樹脂とともに溶剤に溶解また
は分散した塗液が使用される。バインダ樹脂としては、
たとえばポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ
樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタク
リレート、ポリ塩化ビニル、およびシリコーン樹脂を用
いることができる。溶剤としては、ジクロロメタン・
1,2ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、アセトン等
のエステル類、テトラヒドロフラン・ジオキサン等のエ
ーテル類、ベンゼン・トルエン・キシレン等の芳香族炭
化水素類、およびN,N−ジメチルホルムアミド・ジメ
チルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を用いる
ことができる。
【0095】電荷発生層と電荷輸送層とで感光層24が
構成される。有機感光体を用いた場合、他の材料を用い
た場合に比べて安価に感光体22および画像形成装置2
1を実現することができた。また、比較的広く使われて
いるポリカーボネートを用いて電荷輸送層を形成するこ
とによって、感光体22の比誘電率εrが約3程度と小
さくなり、感光体22の内部電界(σs/(εo・ε
r))を大きく取とることができた。これによって、キ
ャリアの拡散を効果的に抑制することができた。
【0096】(実施例6)感光体22の感光層24をア
モルファスシリコン系材料層で構成した。この場合、高
解像度化に伴って感光層厚dを薄膜化した場合に懸念さ
れる長期使用による感光層24の削れを、アルモファス
シリコン系材料の優れた耐摩耗性によって防止すること
ができた。
【0097】アモルファスシリコン系材料を用いた感光
体22としては、たとえばシンポジウム「アモルファス
シリコンデバイスはどこまできたか」論文集(主催:電
子写真学会)p.67〜p.70およびp.71〜p.
74に記載されている構成のものを使用することがで
き、一般的なプラズマCVD(Chemical VaporDepositi
on)装置を用いて作製することができる。
【0098】図12は、アモルファスシリコン系材料層
を用いた感光体22aを示す断面図である。感光体22
aは、アルミニウムなどの導体性基材41の上に、B
(ホウ素)を数10ppm(parts per million)〜数
100ppm添加した水素化アモルファスシリコン膜
(a−Si:H、膜厚は2〜3μm)から成るブロッキ
ング層42を積層し、ブロッキング層42の上に、Bを
数100ppb(partsper billion)〜数ppm添加し
た、弱いp型伝導あるいは真性の水素化アモルファスシ
リコン膜(膜厚は成膜時間によって調整)から成る感光
層43を積層し、該感光層43の上に、アモルファスシ
リコンカーボン膜(a−SiC:H、膜厚は数1000
オングストローム)から成る表面層44を積層して、構
成される。なお、水素化アモルファスシリコン膜の特性
は成膜条件によって異なるので、ブロッキング層42や
感光層43中に含まれるBの量は一意的に決まらず、上
述の範囲内で変動する。このような感光体22aは、正
帯電で用いられる。
【0099】上述したブロッキング層42にP(リン)
を添加した水素化アモルファスシリコン膜やアモルファ
スシリコンカーボン膜、またはアモルファスシリコンナ
イトライド膜(a−Si(1-x)x:H、xは組成比を表
す)を用い、感光層43に真性の水素化アルモファスシ
リコン膜を用い、負帯電で使用してもかまわない。
【0100】また、感光体22の感光層24を、前記ア
モルファスシリコン系材料層と、アモルファスシリコン
ゲルマニウム層とで構成した。この場合、感光層24の
削れが防止できるとともに、780nm付近の長波長側
の光感度が向上して半導体レーザなどの書込み光源のパ
ワーを低減して低コスト化が可能となった。
【0101】図13は、アモルファスシリコン系材料層
と、アモルファスシリコンゲルマニウム層とを用いた感
光体22bを示す断面図である。感光体22bは、導体
性基材41の上にブロッキング層42を積層し、該ブロ
ッキング層42の上に電荷輸送層45を積層し、該電荷
輸送層45の上に電荷発生層46を積層し、該電荷発生
層46の上に表面層44を積層して構成される。電荷輸
送層45は、真性の水素化アモルファスシリコン膜から
成る。電荷発生層46は、アモルファスシリコンゲルマ
ニウム膜(a−Si(1-x)Gex:H、xは組成比を表わ
す)47と、真性の水素化アモルファスシリコン膜(a
−Si:H)48とから成る。電荷発生層46の各層厚
はともに1〜数μmである。感光層はこのような電荷輸
送層45と電荷発生層46とから構成される。表面層4
4とブロッキング層42とは、図12の感光体22aの
場合と同様である。
【0102】電荷発生層46の水素化アモルファスシリ
コン膜48は、短波長域の感度を保持し、アモルファス
シリコンゲルマニウム膜47は、半導体レーザの発信波
長である780nm付近の感度を保持する。Ge(ゲル
マニウム)の組成比xは、成膜条件によって異なり、
0.4〜0.7程度の範囲に設定される。上述の構成は
正帯電用であるが、電荷発生層46のアモルファスシリ
コンゲルマニウム膜47をブロッキング層42の上に積
層し、ブロッキング層42として、上述したP(リン)
を添加した水素化アモルファスシリコン膜やアルモファ
スシリコンカーボン膜、またはアモルファスシリコンナ
イトライド膜を用いて、負帯電用としてもかまわない。
【0103】実施例5で作製した有機感光体および実施
例6で作製したアモルファスシリコン系材料層を用いた
感光体22a,22bで耐刷性の評価を行ったところ、
有機感光体では約20000枚の印字後において、感光
層厚dの減少は平均値で3μm程度であり、部分的に下
地層(導電性基材)が露出して、ほとんど使用不可能な
状態であった。一方、アモルファスシリコン系材料層を
用いた感光体22a,22bでは、60000枚の印字
後においても、感光層厚dの減少はほとんど観測され
ず、まだ充分使用に耐え得る状態であった。
【0104】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、画像形成
装置の最小の解像度R、感光層厚d、潜像形成時の像担
持体の表面電荷密度の絶対値σsの関係を、式(I)を
満たすようにしたので、高い解像度においてコントラス
トの高い画像を形成することが可能となる。
【0105】また本発明によれば、さらに表面電荷密度
の絶対値σsを最適化したので、局所的な絶縁破壊によ
る黒ポチの無い信頼性の高い画像を安定的に形成するこ
とが可能となる。
【0106】また本発明によれば、さらに感光層厚dと
解像度Rとの関係を、式(II)を満たすようにしたの
で、高画質な画像を形成することができる。
【0107】また本発明によれば、解像度Rが1200
dpi以上において本発明を有効に適用することができ
る。
【0108】また本発明によれば、感光層材料として有
機系材料を用いたので、感光体および画像形成装置の製
造コストを低減することができる。
【0109】また本発明によれば、アモルファスシリコ
ン系材料層を有する感光層によって、感光層の削れを防
止してランニングコストを低減することができる。
【0110】また本発明によれば、アモルファスシリコ
ン系材料層と、アモルファスシリコンゲルマニウム層
と、を有する感光層によって、感光層の削れを防止して
ランニングコストが低減するとともに、長波長域の光感
度特性が向上して光書込み光源のパワーを低減して低コ
スト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】潜像形成プロセスを説明するための斜視図であ
る。
【図2】ドット11のパターンを示す図である。
【図3】感光層厚dとフォトキャリアの拡散量Δφとの
関係を示すグラフである。
【図4】表面電荷密度の絶対値σsと係数A・Bとの関
係を示すグラフである。
【図5】絶縁破壊部分が黒い斑点状(黒ポチ)12とな
って生じる状態を示す図である。
【図6】図6(A)は空間的に粗なドット11の配置を
示す図であり、図6(B)は密集したドット11の配置
を示す図である。
【図7】最小露光スポット径φ1と感光層厚dとの関係
を示すグラフである。
【図8】画像部と非画像部との矩形波状の、感光体1の
表面電位分布を示す図である。
【図9】画像部と非画像部との矩形波状の、感光体1の
表面電位分布を示す図である。
【図10】潜像形成パターンを示す図である。
【図11】本発明の一実施形態である画像形成装置21
の構成を示す図である。
【図12】アモルファスシリコン系材料層を用いた感光
体22aを示す断面図である。
【図13】アモルファスシリコン系材料層とアモルファ
スシリコンゲルマニウム系材料層とを用いた感光体22
bを示す断面図である。
【符号の説明】
1,22,22a,22b 感光体 2,23,41 導電性基材 3,46 電荷発生層 4,45 電荷輸送層 5,24,43 感光層 6 露光光 21 画像形成装置 25 帯電部材 26 露光部材 27 現像装置 28 転写部材 29 クリーニング部材 30 除電部材 31 記録材 32 定着部材 42 ブロッキング層 44 表面層 47 アモルファスシリコン膜 48 アモルファスシリコンゲルマニウム膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基材上に感光層を有する像担持体
    の表面を一様に帯電した後、形成すべき画像情報に応じ
    た光で露光して静電潜像を形成し、該静電潜像を現像し
    て可視化する画像形成装置において、 感光層厚をd〔μm〕とし、潜像形成時の像担持体の表
    面電荷密度の絶対値をσs〔C/m2〕とし、画像形成
    装置の最小の解像度をR〔dpi〕としたとき、 【数1】 を満たすことを特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記表面電荷密度の絶対値σs〔C/m
    2〕が、0(零)を越えて2.0×10-3未満であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記感光層厚d〔μm〕と解像度R〔d
    pi〕とが、 【数2】 を満たすことを特徴とする請求項1記載の画像形成装
    置。
  4. 【請求項4】 前記解像度R〔dpi〕が、1200以
    上9600以下の範囲であることを特徴とする請求項1
    記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記像担持体の感光層が、有機系材料を
    含有することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれ
    かに記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記像担持体の感光層が、アモルファス
    シリコン系材料層を有することを特徴とする請求項1〜
    4のうちのいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記感光層が、さらにアモルファスシリ
    コンゲルマニウム層を有することを特徴とする請求項6
    に記載の画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003195535A (ja) * 2001-12-27 2003-07-09 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2005331567A (ja) * 2004-05-18 2005-12-02 Oki Data Corp 画像形成装置
JP2006178070A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置

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