JP2019159218A - 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】最表面に無機粒子を含有させた場合でも、ドットの広がりを抑えることができ、ドット再現性に優れる電子写真感光体の提供。【解決手段】導電性支持体と、導電性支持体上に、感光層を設けた電子写真感光体1であって、感光層の最表面にカルコパイライトを含有する電子写真感光体である。【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
近年、オフィスの省スペース化、ビジネスオポチュニティの拡大等の観点から、電子写真装置に対して、高速化、小型化、カラー化、さらには、高画質化、易メンテナンス性が望まれている。これらは、電子写真感光体の特性の向上、耐久性の向上等が関係していることから、電子写真感光体の開発により解決すべき問題と位置付けられている。
易メンテナンス性の向上の観点からは、電子写真感光体の交換頻度の低減が挙げられる。これは、電子写真感光体由来の画像欠陥を、長期に亘って可能な限り少なくすることであり、電子写真感光体の長寿命化に他ならない。また、長期に亘る出力画像の高画質化にも関連するため、近年、電子写真感光体の長寿命化に関する開発が多く報告されている。
電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、画像形成プロセスから電子写真感光体が受ける種々のハザードに対する耐久性の向上が重要な課題となる。
そこで、長期に亘って画像品質を維持することを目的に、表面層中に導電性微粒子を分散させ、電界強度によって膜抵抗を変動させる技術が公開されている(例えば、特許文献1参照)。また、表面層中に分散させる微粒子として、CuMO(ただし、式中Mは周期律表第13属の元素を表す。)などのP型半導体粒子を用いた電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、表面層に無機粒子を含有させた感光体は、ドットが拡がりやすく、ドット再現性が低いという問題がある。
本発明は、最表面に無機粒子を含有させた場合でも、ドットの広がりを抑えることができ、ドット再現性に優れる電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に、感光層を設けた電子写真感光体であって、
前記感光層の最表面にカルコパイライトを含有することを特徴とする。
本発明によると、最表面に無機粒子を含有させた場合でも、ドットの広がりを抑えることができ、ドット再現性に優れる電子写真感光体を提供することができる。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を説明するための断面図である。 図2は、本発明の電子写真感光体の別の例を説明するための断面図である。 図3は、本発明の電子写真感光体の別の例を説明するための断面図である。 図4は、本発明の電子写真感光体の別の例を説明するための断面図である。 図5は、本発明の画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 図6は、本発明のプロセスカートリッジの一例を説明するための概略図である。
(電子写真感光体)
<長寿命電子写真感光体の必要要件>
電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、作像における各プロセスから受ける種々のハザードに対して耐久性を付与することが重要となる。特に電子写真感光体表面に残留したトナーを除去するためのクリーニングプロセスや現像部での摺擦等で負荷される機械的ハザード、及び帯電プロセスや転写プロセスから受ける化学的ハザードの二つのハザードが、感光体に大きなストレスを与え、感光体の特性変化を引き起こし、感光体の長寿命化に対する阻害要因であると考えられている。このうち、本発明の一態様においては化学的ハザードに対する耐久性向上に関するものであり、より具体的には、長期に亘る使用によっても電子写真感光体表面近傍の構成成分の変質・劣化を抑制し、電子写真感光体特性の低下が生じにくい技術に関する。
<<高耐久性発現手段>>
−化学的耐久性−
繰り返し使用による電子写真感光体の特性低下は、電子写真プロセス内での電気的・化学的ハザードによる構成成分の劣化が主要因と考えられる。特に、電子写真感光体の帯電性・電荷輸送性に大きな寄与を有する構成成分の劣化が生じた場合に、著しい電子写真感光体の特性低下が生じることが予想されることから、これらの特性に寄与の大きな構成成分が静電的・化学的に安定であることが、電子写真感光体の特性低下抑制には重要となる。
一般に電子写真感光体の帯電性・電荷輸送性に大きな寄与を有する材料としては電荷輸送材料が挙げられる。多くの電子写真感光体の特性は当該材料の機能によって決定されるといっても過言ではなく、そのため比較的多くの電荷輸送材料が含有される。当該材料は電荷輸送性を有する反面、酸性ガス・アルカリ性ガス雰囲気においては劣化しやすいといった特徴を有しており、長期の使用においては電子写真プロセスや、使用環境上負荷される酸性ガス・アルカリ性ガスによって容易に変質し、結果として電子写真感光体の特性低下を引き起こす。この材料劣化を抑制しつつ、優れた電子写真感光体特性を発現させるために酸化防止剤・光安定剤等を電子写真感光体の感光層または表面層に添加するなどの手段が多く検討されており、処方設計を重ねることによって長期間の使用によっても特性低下の少ない電子写真感光体が実用化されるなど、比較的高い効果を示す。しかしながら、酸性ガス・アルカリ性ガスによって劣化する材料は電子写真感光体中に含有されており、長期間の使用によって徐々に特性低下が生じることは自明であり、この改善手段によって生じる副作用が別の問題を引き起こすなど、本質的な改善には至らないのが現状である。
−摩耗耐久性−
電子写真感光体を摩耗させる主要因として、電子写真感光体表面に供給されるトナーおよびトナーの外添成分を物理的に除去するために用いられるクリーニング部材と電子写真感光体間の摺動によるストレスが挙げられる。また、トナー及びトナーの外添成分(例えば、シリカ微粒子)が、クリーニング部材と電子写真感光体間を擦り抜けることや、クリーニング部材と電子写真感光体との当接部での電子写真感光体とトナー・トナー外添成分との相互作用にも要因として挙げられる。
このような要因による繰り返し使用による摩耗や傷の発生を抑えるためには感光体表面の硬度、弾性仕事率等に代表される機械的強度が大きいことが有効であり、これら特性を大きくするために種々の手法、材料が開発されている。機械的強度を上げるためには、感光体最表面に使用する材料として、剛直な構造を有する高分子材料を用いることや、分子が相互に結合する架橋性材料を用いることが一般的に知られている。架橋性材料は官能基構造、分子構造、官能基数等を選択することにより様々な特性を発現させることが可能であり、所望の機械的強度だけでなく、電子写真感光体として必要とされる電気的特性も考慮した分子設計が可能であることから、摩耗耐久性が求められる電子写真感光体向け材料として用いられている。また、電子写真感光体の最表面層に無機粒子を分散させる手段も耐摩耗性を向上させる手段として有効であり、無機粒子分散技術も多く開発されている。しかし、表面層に無機粒子を含有させた感光体は、ドットが拡がりやすく、ドット再現性が低いという問題がある。
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、最表面に含有させる無機粒子としてカルコパイライトを用いると、ドットの広がりを抑えることができ、ドット再現性に優れる電子写真感光体を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
また、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、感光体最表面層に含有する酸性ガス・アルカリ性ガスによって劣化しやすい有機材料からなる電荷輸送性材料を極力少なくし、当該材料の機能を無機粒子分散によって代替することが最も改善効果が高いことを発見した。加えて、該無機粒子には正孔輸送性を有するカルコパイライトを主成分とするものを用いることによって低電界での表面抵抗率を高く設定することが可能であることを見出した。
さらに、最表面層を無機粒子分散膜とすることで、高い摩耗耐久性を具有することができ、これらの効果によって高い化学的耐久性と摩耗耐久性を両立することが可能であり、長期に亘る使用によっても劣化する構成成分がほとんどない電子写真感光体であることから、優れた出力画像を長期亘って得ることが可能となる。
<表面層構成成分等について(1)>
本発明において、感光層は、その最表面に、無機粒子であるカルコパイライトを含有する。
前記感光層の最表面の1×10V/cmにおける表面抵抗率は、優れた潜像維持性を示す点から、1014Ω/cm以上であることが好ましい。前記表面抵抗率の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記表面抵抗率としては、例えば、1017Ω/cm以下が挙げられる。
また、感光層は、ドット再現性・耐摩耗性の点から、最表面に前記カルコパイライトを含有する最表面層を有し、前記最表面層が、更に少なくとも電荷輸送性構造を有しない樹脂成分を含有することが好ましい。
また、前記電荷輸送性構造を有しない樹脂成分は、耐摩耗性の点から、ラジカル重合性官能基を有する化合物を光照射によって架橋重合させてなる架橋重合体であることが好ましい。
<<無機粒子について>>
本発明の一態様においては、表面層中の電荷輸送性材料含有量を低減した場合であっても、電子写真感光体表面層に無機粒子を分散させることによって、所望の表面抵抗率を制御し、電荷輸送性、潜像維持性を有する電子写真感光体を得ることができることを突き止めた。
ここで電荷輸送性、潜像維持性を有する電子写真感光体を得るための無機粒子としては、p型半導体特性を有するカルコパイライト粒子が最適である。カルコパイライトとはZnSに代表される閃亜鉛鉱構造を二段重ねにしてZnを2つの遷移金属で秩序正しく置き換えた正方晶の結晶構造をとる半導体の総称である。カルコパイライトは一般に多くの化合物が知られており、正孔輸送性を有するものであれば特段限定されないが、優れた正孔輸送性の観点から遷移金属として銅(Cu)およびガリウム(Ga)を含有するカルコパイライト(CuGaS)が好ましい。
カルコパイライトを電子写真感光体の最表面層に均一に分散し、所望の電子写真感光体特性を得ることができれば、カルコパイライト粒子をそのまま使用しても良いし、電子写真感光体の機能増強や分散性向上等を目的として反応性有機基を有する化合物を用いて表面修飾を行っても良い。
前記反応性有機基としては、カルコパイライト粒子表面の水酸基等と反応性を有せば良く、有機金属カップリング剤が一般的に用いられる。
有機金属カップリング剤としてはヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタネートカップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウムカップリング剤などが挙げられる。有機金属カップリング剤は、1種類を単独で使用してもよいし、異なる2種以上のカップリング剤を併用してもよい。
有機金属カップリング剤の被覆量は増強したい機能や母体粒子の分散性にもよるが、カルコパイライト粒子に対して好ましくは0.01質量%〜30質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜15質量%である。
カルコパイライト粒子表面に有機金属カップリング剤を被覆する方法としては、例えばカルコパイライト粒子をヘンシェルミキサーなどの高速攪拌機にいれて攪拌しながら、前記の有機金属カップリング剤、またはこれらの水あるいはアルコール溶液を添加し、均一になるように攪拌した後に、乾燥する乾式法や、カルコパイライト粒子をみずまたはアルコール中に分散させたスラリーを準備し、攪拌しながら前記有機金属カップリング剤または有機金属カップリング剤水溶液、アルコール溶液添加し、十分に攪拌した後に濾過、洗浄、乾燥する湿式法などがあり、いずれを用いても良い。
カルコパイライトは、最表面層の光透過率や耐摩耗性の点から、個数平均粒径が、10nm以上500nm以下の粒子であることが好ましく、30nm以上200nm以下の粒子であることがより好ましく、30nm以上100nm以下の粒子であることが特に好ましい。
カルコパイライト粒子の個数平均粒径は、感光体の断面について、走査型電子顕微鏡により3000倍乃至10000倍の観察像を得、ランダムに選択した200個の粒子を画像解析ソフトにより算出した粒子経とした。
表面抵抗率の制御の容易性、最表面層の製膜性、及び最表面層の耐摩耗性の点から、前記最表面層は、前記カルコパイライトを、7vol%以上40vol%以下含有することが好ましく、10vol%以上35vol%以下含有することがより好ましく、15vol%以上35vol%以下含有することが特に好ましい。
最表面層に占めるカルコパイライトの割合を定量する方法としては、元素分析およびそのマッピングを用いて行うことができる。ここで、元素分析/マッピング方法としては、例えばエネルギー分散型X線検出器/走査型電子顕微鏡(EDS−SEM)などを用いることができる。該EDS−SEMは被観察体を細く絞られた電子線で走査し、放出される二次電子量を検出することによって被観察体表面像を詳細(一般に50倍〜30万倍)に観察すると同時に、電子線照射により発生する特性X線を検出することにより、表面の微小領域の元素比率の分析や、特定元素のマッピングなどを行う装置である。
カルコパイライト粒子含有量は、前記手法による電子写真感光体の断面の元素分析/マッピングによって定量することが可能である。まず電子写真感光体の断面構造をミクロトーム、FIB等の一般に用いられる方法で露出させた後に、前記記載の方法で電子写真感光体断面のカルコパイライト粒子の構成元素のマッピングを行い、カルコパイライト粒子の構成元素検出面積を観察面積で除することによって、観察断面におけるカルコパイライト粒子の占める面積割合を得る。次いで、その面積比率を体積比率に換算(面積比率の3/2乗)することにより、該カルコパイライト粒子の表面層に占める割合を得ることができる。
カルコパイライト粒子の表面層中への分散方法としては、後述する表面層用塗工液中で一般に用いられる分散方法で分散すると良い。分散方法としては、例えばボールミル、サンドミル、KDミル、3本ロールミル、圧力式ホモジナイザー、超音波分散等が例示される。
カルコパイライト粒子を表面層中に良好に分散させる場合、分散剤や界面活性剤を用いることが可能である。分散剤、界面活性剤としては、一般に用いられている分散剤、界面活性剤を使用することができる。分散剤、界面活性剤の配合量としては、カルコパイライト粒子の粒径によって異なるが、カルコパイライト粒子の質量に対して0.5質量%〜30質量%が適しており、1質量%〜15質量%がより好ましい。
<<電荷輸送性構造を有しない樹脂について>>
本発明に用いうる電荷輸送性構造を有しない樹脂としては一般に用いられる電荷輸送性構造を有しない熱可塑性樹脂を用いても良いし、架橋性官能基を有する架橋重合性化合物を用いても良い。
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく目的に応じて公知の材料を適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好適に用いられる。
−架橋重合性化合物−
架橋重合性化合物としては、一般に用いられているものであれば特に制限はなく、目的に応じて材料を適宜選択して使用することができる。例えば、アクリル系架橋重合性化合物、フェノール系架橋重合性化合物、ウレタン系架橋重合性化合物、有機珪素系架橋重合性化合物、エポキシ系架橋重合性化合物などの架橋重合性化合物があげられる。これらの架橋重合性化合物のうち、本発明に記載の表面層においては電荷輸送性、潜像維持性の観点からアクリル系架橋重合性化合物が好適に用いられる。
−−アクリル系架橋重合性化合物−−
アクリル系架橋重合性化合物とは、一般に知られるアクリル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを混合し、加熱または光照射等のエネルギーを付与することによって架橋するものを指す。アクリル重合性化合物としては一般に用いられる化合物を使用して良いが、重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が架橋反応性の観点から好適である。単位構造あたりの重合性官能基数についても適宜選択して使用して良いが、表面層強度・製膜性の観点から単位構造中に複数個の重合性官能基を有することが好ましく、具体的には2個以上の架橋重合性官能基を有することが好ましい。例えば、2個以上の架橋重合性官能基を有する化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが例示される。また、3個以上の架橋重合性官能基を有する化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが例示される。これらのアクリル系架橋重合性化合物は1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらのアクリル系架橋重合性化合物と組み合わせて使用するラジカル重合開始剤としては、一般に用いられる化合物を使用することができる。熱重合開始剤としては、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等が例示される。光重合開始剤としては、アセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が例示される。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、アクリル系架橋重合性化合物100質量部に対し、例えば、0.5質量部〜40質量部であり、好ましくは1質量部〜20質量部である。
−−フェノール系架橋重合性化合物−−
フェノール系架橋重合性化合物としては、一般に知られるノボラック樹脂、レゾール樹脂のいずれも使用して良いが、酸触媒等の開始剤を必須とするノボラック樹脂と比較して開始剤を用いることなく架橋反応させることが可能なレゾール樹脂を用いることが本発明における表面層においては潜像維持性の観点から好ましい。レゾール樹脂としてはメチロール基を単位構造中に1個乃至複数個有するものを加熱することで架橋するものが好ましく、表面層強度・製膜性の観点からメチロール基を単位構造中に2個以上含有するフェノール誘導体を用いることが好ましい。例えば、フェノール類モノマーのジメチロール化合物としては、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール、2,4−ジヒドロキシメチル−6−メチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−3,4−ジメチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2,3−ジメチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、4−シクロヘキシル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2−シクロヘキシル−4,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−4−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−イソプロピルフェノール、6−シクロヘキシル−2,4−ジヒドロキシメチル−3−メチルフェノール等が挙げられ、フェノール類モノマーのトリメチロール化合物としては、2,4,6−トリヒドロキシメチルフェノールが例示される。また、これ以外に一般に知られるフェノール類ダイマー等の高分子体を用いても良い。これらのメチロール基を有するフェノール誘導体は1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
−−ウレタン系架橋重合性化合物−−
ウレタン系架橋重合性化合物とは、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを混合し、加熱または光照射等のエネルギーを付与することによって架橋するものを指す。ここで用いられるポリオール化合物、イソシアネート化合物としては一般に知られる化合物を使用して良いが、表面層強度・製膜性の観点から2官能以上のポリオール化合物を用いることが好ましい。2官能のポリオール化合物であるジオールとしては、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が例示される。3価以上のポリオールとしては、多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが例示される。また、イソシアネート化合物としては、表面層強度・製膜性の観点から2官能以上のイソシアネート化合物を用いることが好ましい。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、HDIイソシアネート体、HDIビウレット体、XDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIイソシアヌレート体等が例示される。ポリオール化合物、イソシアネート化合物はそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
イソシアネート化合物の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、例えば、0.5質量部〜40質量部であり、好ましくは1質量部〜20質量部であり、OH価およびNCO価に基づいて適量を配合すると良い。
−−エポキシ系架橋重合性化合物−−
エポキシ系架橋重合性化合物とは、1分子中に2個以上のエポキシ環を有するエポキシ環含有化合物と熱酸発生剤や光酸発生剤などの硬化剤と混合し、加熱または光照射等のエネルギーを付与することによって架橋する化合物を指す。前述のエポキシ環含有化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が例示される。また硬化剤としては、脂肪族アミン化合物、脂環族アミン化合物、芳香族アミン化合物、変性アミン化合物や、ポリアミドアミン、イミダゾール、ポリメルカプタン、酸無水物などが例示される。エポキシ環含有化合物は単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
硬化剤の含有量は、エポキシ環含有化合物100質量部に対し、例えば、0.5質量部〜20質量部であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。
−−有機珪素系架橋重合性化合物−−
有機珪素系架橋重合性化合物とは、珪素原子に1つ以上の加水分解性基が結合している構造を有する反応性有機珪素化合物を単独、または縮合触媒と混合したものを熱等のエネルギーを付与することによって架橋する化合物を指す。前述の反応性有機珪素化合物としては一般に知られているものを使用して良いが、表面層強度等の観点から珪素原子に2つい上の加水分解性基が結合している構造を有する反応性有機珪素化合物を用いることが好ましい。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が例示される。また、縮合触媒としては縮合反応に接触的に作用する触媒、及び縮合反応の反応平衡を生成系に移動させる働きをするものの少なくともいずれか一方の作用をもつものであれば良く、有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)等が例示される。
縮合触媒の含有量は、反応性有機珪素化合物100質量部に対し、例えば、0.5質量部〜20質量部であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。
−電荷輸送性化合物について−
電荷輸送性化合物(「電荷輸送物質」と称する場合がある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造を有する公知の正孔輸送物質、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有する公知の電子輸送物質が挙げられる。また、電荷輸送性構造を有しない樹脂として架橋重合性化合物を用いる場合には、架橋重合性化合物に対して反応性を有する官能基、例えば水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を有する電荷輸送材料を用いても良い。前記正孔輸送物質または電子輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷輸送性化合物の含有量としては、前記電荷輸送性構造を有さない樹脂成分100質量部に対して20質量部以下であれば、電荷輸送性化合物の劣化による電子写真感光体特性の低下の影響が小さくなるため好ましい。
<<表面層構成成分について(2)添加剤等>>
また、必要に応じて後述する可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
表面層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0質量部〜30質量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0質量部〜1質量部程度が適当である。
ここで、前記バインダー樹脂としては、例えば、前記電荷輸送性構造を有しない樹脂が挙げられる。
<表面層電気特性について>
本発明の一態様においては表面層の有機化合物からなる電荷輸送材料を極力低減した場合であっても、優れた電子写真感光体特性を具有させるためには、一般の電子写真感光体と同様に『帯電性』、『電荷輸送性』、『潜像維持性』を持たせることが重要である。『帯電性』に関しては感光層に代替機能として持たせることが可能であるため、特に前記構成の表面層に必要とされる機能としては『電荷輸送性』、『潜像維持性』が重要な要件と考えられる。
『電荷輸送性』に関しては、前述のカルコパイライトを所定量含有させることで、所望の電荷輸送性を表面層に具有させることができる。一方で、表面層にカルコパイライト粒子を分散させた場合、膜の抵抗率が低下する傾向を有する。膜の抵抗率が低下すると、『潜像維持性』が低下し、鮮明な画像を得ることができなくなる。そのため、『電荷輸送性』および『潜像維持性』を両立させるためには、表面層にカルコパイライト粒子を分散し、且つ表面層の表面抵抗率が一定以上を示すことが重要であることを本発明者らは突き止めた。
具体的には1×10V/cmにおける電子写真感光体の表面固有抵抗率が1014Ω/cm以上、好ましくは1015Ω/cm以上であれば優れた潜像維持性を示すことが種々の実験から判明した。これは本発明に記載の表面層においては、潜像維持に対して寄与の大きな電界が前記電界強度近傍であることに由来すると考えられ、この電界強度範囲において比較的高抵抗とすることによって、電荷の移動を阻害し潜像維持性が高くすることが可能と思われる。
−測定方法について−
次に電子写真感光体の表面抵抗率の測定方法について記載する。
本発明の電子写真感光体の表面抵抗率は、一般に知られる方法で測定してよく、例えばJIS−C2139:2008(文献:固体電気絶縁材料−体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法)などに準拠して測定する方法などがあげられる。一般に電子写真感光体はシリンダー形状を示すものが多く、前記文献の方法では測定が困難な場合は下記に示す方法で測定しても良い。
−−電極形状および作製方法−−
電極形状としては既知長さを有し、既知間隙を有する対抗電極とし、電極長さとしては10mm以上30mm以下であることが好ましく、電極間隙としては25μm以上100μm以下であることが好ましい。電極長さ、電極間隙は測定に使用する直流電圧源の容量および電流計の精度に基づいて決定すると良い。電極を構成する金属としては電子写真感光体表面に電極形成可能であれば適宜選択してよく、一般に用いられる金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、プラチナ、クロム、亜鉛、炭素等があげられる。対抗電極は互いに同種金属であることが好ましい。電極作成方法としては、電子写真感光体の構成成分が変質しない方法であれば特に限定はされないが、真空蒸着法が電子写真感光体の変質が生じにくく、好ましい。
−−測定方法−−
電界印可電源としては十分安定な直流電圧源であれば特に限定されない。また電圧印可時の試料通過電流の測定には微少電流計を使用し、本発明に記載の1×10V/cmの測定が可能な測定精度が得られれば特に限定されない。
電圧印可極性は負帯電用電子写真感光体を評価する場合には負電圧印可とし、正帯電用電子写真感光体を評価する場合には正電圧印可とすることが好ましい。60秒以上の測定を実施し、60秒における電流値に基づいて表面抵抗率を算出することが好ましい。
本発明においては上記記載の方法を用いて下記条件で測定を行った。
・電流−電圧計:Keithley社製 ソースメジャーユニット タイプ2410
・電極金属:金
・電極長さ:10mm
・電極間隙:25μm
・測定雰囲気:25℃/50%Rh
・測定時間:70秒(電圧印可後60秒後の電流値から表面抵抗を算出)
<<表面層形成方法について>>
−膜作成方法−
本発明の一態様では、表面層の構成成分の多くは常温で固体または比較的高粘性液体であることから、表面層用の塗工液については、良溶媒に溶解して作製すると良い。溶剤としては、前記電荷輸送性構造を有しない樹脂、電荷輸送材料等の構成成分を溶解するとともに、カルコパイライト粒子が均質に分散することができれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。
表面層形成の際に用いる塗工方法としては、一般に用いられている塗工方法であれば特に限定されない。塗工液の粘性、所望とする表面層の膜厚などによって適宜塗工方法を選択すると良い。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
表面層の平均膜厚は解像度・応答性の点から、10μm以下とすることが好ましく、8μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、帯電性、摩耗耐久性の観点から3μm以上が好ましい。
−後加熱方法−
表面層中に残留する溶媒を除去するために、前記方法で表面層を形成した後に加熱乾燥処理を行うことが好ましい。本処理に用いる熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を説明するための断面図である。図1に示される電子写真感光体は、導電性支持体21上に、電荷発生層23、電荷輸送層24及び表面層25がこの順で積層されている。また、図2に示すように、導電性支持体21上に、電荷輸送層24、電荷発生層23及び表面層25がこの順で積層されていてもよい。また、図3に示すように導電性支持体21上に層間の接着性を改善する中間層22を設け、その上に電荷発生層23、電荷輸送層24及び表面層25をこの順で設けてもよい。これとは別に、図4に示すように本発明の電子写真感光体は、導電性支持体21上に、単層感光層26及び表面層25がこの順で積層されていてもよい。
<感光層の説明>
次に感光層について説明する。
〔積層構成の場合〕
積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、感光層の層構成としては、少なくとも導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層が積層された構成を取る。積層順については特に限定されないが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層することが好ましい。
<<電荷発生層について>>
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリアリールアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し、例えば、0質量部〜500質量部、好ましくは10質量部〜300質量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の平均膜厚は、0.01μm〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05μm〜2μmである。
<<電荷輸送層について>>
前記電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層であり、電荷輸送物質又は高分子電荷輸送物質とバインダー樹脂を主成分とする層である。
−バインダー樹脂の説明−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の材料を適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
−一般的な電荷輸送物質の説明−
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造を有する公知の正孔輸送物質、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有する公知の電子輸送物質が挙げられる。前記正孔輸送物質または電子輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量としては、電荷輸送層全質量に対して20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られるとともに、使用によっても磨耗量が少ない電子写真感光体を得ることができる点で有利である。
−高分子電荷輸送物質の説明−
電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を適用しても良い。高分子電荷輸送物質とは、後述するバインダー樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持材料である。特に、本発明に記載している非晶質酸化物を中間層に適用した場合には、電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を適用することにより、帯電性低下や地汚れの発生が抑制されることが本発明者らの検討からわかっており、好適である。
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、公知の材料が使用できるが、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテルの中から選ばれる少なくともいずれかの重合体であることが好ましい。特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネートが、磨耗耐久性・電荷輸送性の観点から好ましい。
前記高分子電荷輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種類以上のを併用してもよい。また、磨耗耐久性や製膜性等の観点から後述するバインダー樹脂と併用しても良い。電荷輸送性の両立の観点から、前記高分子電荷輸送物質とバインダーを併用する場合、高分子電荷輸送物質の含有量としては電荷輸送層全質量に対して40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
−電荷輸送層形成方法の説明−
前記電荷輸送層は、前記電荷輸送物質及び前記バインダー樹脂、又は、前記高分子電荷輸送物質及び無機微粒子を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布し、乾燥することによって形成できる。
前記電荷輸送層の構成成分はいずれも常温常圧下で固体であるものが多いため、塗工液作製においては各構成成分と親和性の高い溶媒を用いる。ここで用いられる溶剤としては、一般に塗装・塗工に用いられる公知の溶剤であれば特に限定されない。用いる溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電荷輸送層形成の際に用いる塗工方法としては、特に制限はなく、一般に用いられている塗工方法を用いることができ、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚みなどによって適宜塗工方法を選択するとよい。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
また、電荷輸送層には、必要により後述する可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
前記電荷輸送層の平均厚みとしては、解像度・応答性の点から、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
前記の手段によって形成した電荷輸送層は、電子写真特性や膜粘性の観点から、何らかの手段を用いて加熱を行い、上述のような溶媒を膜中から取り除く必要がある。熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満の場合は、膜中の有機溶媒を十分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることが確認されている。
<<感光層が単層の場合>>
単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。感光層は電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂および無機微粒子を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
バインダー樹脂としては先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。なお、高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は5質量部〜40質量部が好ましく、電荷輸送物質の量は190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層型感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。
前記単層型感光層の平均厚みは、5μm〜25μmが好ましい。
<添加材料について>
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記感光層、前記表面層の各層に一般に市販されている酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤及びレベリング剤を添加しても良い。これら添加剤の添加量は、目的に応じて適宜選択すると良く、添加する層の総質量に対し0.01質量%〜10質量%が好ましい。
<導電性支持体について>
前記導電性支持体としては、例えば、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、前記導電性支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明において導電性支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
本発明で用いられる画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、定着工程、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明で用いられる画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−帯電工程及び帯電手段−
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段は、前記電子写真感光体の表面を帯電させる手段である。
前記帯電手段としては、例えば、前記電子写真感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段が用いられる。
前記非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;電子写真感光体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。これらの中でも、コロナ放電が特に好ましい。
前記コロナ放電は、空気中のコロナ放電によって発生した正又は負のイオンを電子写真感光体の表面に与える非接触な帯電方法であり、電子写真感光体に一定の電荷量を与える特性を持つコロトン帯電器と、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器とがある。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は電子写真感光体表面から1.0mm〜2.0mm離れた位置に設けられている。
−露光工程及び露光手段−
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段は、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する手段である。
前記露光手段としては、例えば、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する手段である。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして2色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段である。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−その他の工程及びその他の手段−
−−定着工程及び定着手段−−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
−−クリーニング工程及びクリーニング手段−−
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
−−除電工程及び除電手段−−
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
−−リサイクル工程及びリサイクル手段−−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
−−制御工程及び制御手段−−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、図面に基づいて本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジについて詳しく説明する。
本発明の画像形成装置とは、本発明の前記電子写真感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなるものである。
なお、場合により、静電潜像を直接記録媒体に転写し現像する画像形成装置では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図5は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を記録媒体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
記録媒体9は、一対のローラ8により、感光体1と転写チャージャ10との間に送られる。
次に、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
更に必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明は、このような画像形成手段に本発明に係る電子写真感光体を用いる画像形成方法及び画像形成装置である。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱可能としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図6に示す。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段と、を有し、画像形成装置本体に着脱可能としたものである。更にクリーニング手段、および除電手段等を有していても良い。
前記プロセスカートリッジとは、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(不図示)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図6のプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
(実施例1)
直径30mmのアルミニウムシリンダー(導電性支持体)上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、及び電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、前記導電性支持体上に、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、及び20μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 12部
(ベッコゾール1307−60−EL,大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂 8部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン 80部
(CR−EL,石原産業社製)
・メチルエチルケトン 250部
〔電荷発生層用塗工液〕
・下記構造式(1)のビスアゾ顔料 2.5部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
・構造式(1)
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(2)の電荷輸送性化合物 7部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
・構造式(2)
次いで、前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に下記表面層用塗工液を用いてスプレー塗工法にて4.5μmの表面層を成膜し、その後、得られた電子写真感光体を回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度:900mW/cm、照射時間:120秒の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130℃30分の乾燥を実施することによって本発明の電子写真感光体を得た。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 51.2部
・個数平均粒径50nmのカルコパイライト粒子(組成CuGaS)45.0部
・界面活性剤 1.1部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.7部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900部
(実施例2)
実施例1の表面層用塗工液に使用したカルコパイライト粒子を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・個数平均粒径50nmのカルコパイライト粒子(組成CuGaTe) 45.0部
(実施例3)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 36.6部
・個数平均粒径50nmのカルコパイライト粒子(組成CuGaS) 60.0部
・界面活性剤 1.9部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 1.9部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900部
(実施例4)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 51.6部
・個数平均粒径150nmのカルコパイライト粒子(組成 CuGaS)45.0部
・界面活性剤 0.7部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.7部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900部
(実施例5)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 51.2部
・個数平均粒径50nmのカルコパイライト粒子(組成CuGaS) 45.0部
・界面活性剤 1.1部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.7部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・シクロヘキサノン 472部
・テトラヒドロフラン 1651部
(実施例6)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・下記2化合物のOH価/NCO価=1.0となる混合物 53.9部
(A)下記構造式(3)のポリオール化合物
・構造式(3)
(B)イソシアネート化合物
(タケネートD140N、三井武田ケミカル社製)
・個数平均粒径50nmのカルコパイライト粒子(組成CuGaS)45.0部
・界面活性剤 1.1部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・メチルエチルケトン 900部
(比較例1)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 58.8部
・前記構造式(2)の電荷輸送性化合物 41.2部
・シクロヘキサノン 472部
・テトラヒドロフラン 1651部
(比較例2)
実施例1で作製した導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体を電子写真感光体として用いた。
(比較例3)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 47.5部
・前記構造式(2)の電荷輸送性化合物 50.0部
・光重合開始剤 2.5部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900部
(比較例4)
実施例1の表面層用塗工液を下記に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・電荷輸送性構造を有しない樹脂 95部
トリメチロールプロパントリアクリレート (TMPTA,東京化成社製)
・光重合開始剤 5.0部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・Alドープ酸化亜鉛微粒子 100部
(Pazet CK(平均粒径 35nm)、ハクスイテック社製)
・界面活性剤 5.0部
(BYK−P105、ビックケミー社製)
・テトラヒドロフラン 1067部
・シクロヘキサノン 267部
<<表面抵抗率の測定方法>>
作製した電子写真感光体の1×10V/cmにおける表面抵抗率を以下の方法で測定した。結果を表1に示した。
・電流−電圧計:Keithley社製 ソースメジャーユニット タイプ2410
・電極金属:金
・電極長さ:10mm
・電極間隙:25μm
・測定雰囲気:25℃/50%Rh
・測定時間:70秒(電圧印可後60秒後の電流値から表面抵抗を算出)
<<長期使用前後における電子写真感光体特性評価・画像評価及び摩耗評価>>
リコー製RICOH MPC5503の感光体ユニットから帯電ユニットを除く部材(クリーニングブレード等)を取り除いた改造感光体ユニットを用いてランニング試験を行った。
実施例、比較例で作製した感光体を取り付けた改造感光体ユニットをRICOH MPC5503改造機にセットし、通紙を行わず帯電、現像のみを繰り返し実施できるようにした。
帯電条件としては、帯電ローラーを用い、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは約2.2[kV]、周波数fは約1800[Hz]、直流電圧は−700[V]、電子写真感光体の回転速度は256mm/secに設定した。
現像条件としては、655nmのLDを用い、書き込みパターンを100%書き込みパターン(全ベタ)とした。
本条件で10万枚の通紙(5%テストパターン/帯電−露光電位差550V/電子写真感光体静電容量110pF/cm)と同等の静電疲労を電子写真感光体に負荷するためには、約2.1時間の連続通紙によって達成できることが通過電荷量計算から示される。本評価では通紙枚数10万枚相当の静電疲労試験を上述の改造機を用いて実施し、以下に示す評価機を用いて画像評価を実施した。
画像評価には、画像出力時の初期空転プロセスをなくすように改造したRICOH MPC5503改造機を用いた。トナーとしてはRICOH トナータイプ MPC6003を用い、用紙としてはNBSリコー社製MyPaper(A4サイズ)を用いた。スタート時の感光体表面電位は−700Vとし、前記静電疲労前後における機内電位(帯電後電位および露光部電位)の評価を行った。出力画像としては、ハーフトーン出力を3枚連続で行い、出力画像のドット再現状態を目視および顕微鏡で確認した。機内電位の測定結果および、画像評価結果を表1に示す。
〔画像評価(解像度)〕
・ランク5:所望のドット形成がされている
・ランク4:ドットが僅かに小さくなっている
・ランク3:ドットが小さくなっている
・ランク2:一部ドットが消失
・ランク1:全面ドットが消失
実施例1〜6・比較例1〜4については、初期および通紙後の露光部電位はいずれも良好であり、通常の使用に対して問題ないレベルであった。また、画質に関しては比較例1および3に関しては通紙後に若干の濃度低下が生じていたものの、実用上の問題は見られなかった。
一方で、画像解像度は実施例・比較例で明確な違いが顕れた。即ち、実施例においては実機ラン後の画像解像度として、所望のドット形成がなされているのに対して、比較例はいずれも濃度低下が見られている。比較例のうち、比較例1〜4に示される一般に用いられる有機化合物からなる表面層を有する電子写真感光体を用いた場合には、若干の解像度の低下が見られる。比較例4に示される無機微粒子を含有した表面層を有する電子写真感光体を用いた場合には、解像度の低下が大きくなる傾向を示す。これら比較例の結果と比較して実施例1〜6の評価結果はいずれも解像度低下のない、優れた画質が維持されていることがわかる。特に実施例1〜6と同様の思想に基づいて作製された比較例4との結果の差は明確に顕れており、本発明に明示された無機材料を適用することによって優れた解像度を有する画質を維持可能であることが示された。
次に、感光体の摩耗特性の評価について説明する。
リコー製RICOH MPC5503の感光体ユニットとして、潤滑剤塗布機構を取り除いた改造ユニットを準備し、実施例、比較例で作製した感光体を取り付け、試験に供した。
試験は5%濃度のテストチャートを出力し、トータル10万枚の実機通紙試験を行った。用紙としてはNBS MyPaper(A4サイズ、株式会社リコー製)を用いた。ランニング条件としてはスタート時に感光体表面電位を−700Vとなるように帯電条件を調整し、5%テストチャートを用いた。
摩耗評価は、Fisherscope渦電流式膜厚計MMSで測定し、初期からの膜厚減少量を測定した。感光体摩耗量の評価結果を表2に示す。
実施例1〜6の電子写真感光体はいずれも摩耗量が非常に少なく、高い摩耗耐久性を示すのに対して、比較例1〜3については、摩耗量が多く、いずれも実施例で得られた電子写真感光体と比較して2倍〜10倍の摩耗量を示し、摩耗耐久性が低いことがわかる。一方で、比較例4は無機微粒子の特性は違うが、無機微粒子を非常に多く含有した表面層であるといった構成は同様であるため、摩耗耐久性も実施例同様に高い特性を示すことがわかる。
以上の結果から、本発明の電子写真感光体は電子写真プロセスにおいて長期に亘るランニングを実施した場合であっても極めて画質安定性を示し、長期に亘って画像品質に関わる欠陥の少ない電子写真感光体であることが判明した。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 導電性支持体と、前記導電性支持体上に、感光層を設けた電子写真感光体であって、
前記感光層の最表面にカルコパイライトを含有することを特徴とする電子写真感光体である。
<2> 前記感光層の最表面の1×10V/cmにおける表面抵抗率が、1014Ω/cm以上である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<3> 前記カルコパイライトが、個数平均粒径が30nm以上200nm以下の粒子である前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<4> 前記感光層が、最表面に前記カルコパイライトを含有する最表面層を有し、前記最表面層が、更に電荷輸送性構造を有しない樹脂成分を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<5> 前記電荷輸送性構造を有しない樹脂成分が、ラジカル重合性官能基を有する化合物を光照射によって架橋重合させてなる架橋重合体である前記<4>に記載の電子写真感光体である。
<6> 電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、を少なくとも有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体が、前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
<7> 電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段と、
を有するプロセスカートリッジであって、
前記電子写真感光体が、前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
前記<1>から<5>に記載の電子写真感光体、前記<6>に記載の画像形成装置、及び前記<7>に記載のプロセスカートリッジは、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 ローラ
9 記録媒体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
21 導電性支持体
22 中間層
23 電荷発生層
24 電荷輸送層
25 表面層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
106 転写手段
107 クリーニング手段
特許第2795566号公報 特開2015−141269号公報

Claims (7)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に、感光層を設けた電子写真感光体であって、
    前記感光層の最表面にカルコパイライトを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記感光層の最表面の1×10V/cmにおける表面抵抗率が、1014Ω/cm以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記カルコパイライトが、個数平均粒径が30nm以上200nm以下の粒子である請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層が、最表面に前記カルコパイライトを含有する最表面層を有し、前記最表面層が、更に電荷輸送性構造を有しない樹脂成分を含有する請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送性構造を有しない樹脂成分が、ラジカル重合性官能基を有する化合物を光照射によって架橋重合させてなる架橋重合体である請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、を少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から5のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段と、
    を有するプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から5のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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