JP2016020526A - 高硬度と高圧縮強度を有する999金合金及び999銀合金、並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】純度99.9重量%以上であって、微小量のAlをAu又はAgの薄板で包んで鋳造した、Al含有量が0.1重量%以下の金合金、銀合金。各合金のビッカース硬度がおのおの75Hv、50Hv以上、10%変形圧縮強度が10kfg以上、5kfg以上であり、装身具、宝飾品に好適に用いることが出来る金合金、銀合金。
【選択図】図3
Description
ここで3ナインとは、(イ)品位検定独立法人造幣局の基準値99.9%(ロ)独立行政法人造幣局ホールマーク Pt999、又は(ハ)リング・ペンダント・ピアスなど貴金属製品品位の単位を表記している100分率 999/1000、等をいう。
従来、金又は銀の加工品を製作するには、その加工特性を考慮して、少量の他の金属を配合して鋳造・溶融することが行われている。
すなわち、3ナインの純度を維持する金又は銀のビッカーズ硬度は、金は高々70Hv、銀は45Hv程度しかないため、実用品たる宝飾品や身飾品として加工しても、加工が困難であるばかりでなく、その機能や変形を防止(恒常性を維持)することができなかった。
<請求項1> 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングのビッカーズ硬度が75Hv以上である金合金。
<請求項2> 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングの10%変形圧縮強度が10kgf以上である金合金。
<請求項3> 鋳造法により作製される請求項1又は請求項2のいずれかに記載する金合金。
<請求項4> 金合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項1〜請求項3のいずれかに記載する金合金。
<請求項5> 高純度のAuに微小量のAlを加えて鋳造する請求項3に記載する金合金の製造方法。
<請求項6> 微小量のAlをAuで被覆して鋳造する請求項5に記載する金合金の製造方法。
<請求項7> 微小量のAlをAuの薄板で包んで鋳造する請求項5又は請求項6のいずれかに記載する金合金の製造方法。
<請求項8> 金合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項5〜請求項7のいずれかに記載する金合金の製造方法。
<請求項9> 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングのビッカーズ硬度が50Hv以上である銀合金。
<請求項10> 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングの10%変形圧縮強度が5kgf以上である銀合金。
<請求項11> 鋳造法により作製される請求項9又は請求項10のいずれかに記載する銀合金。
<請求項12> 銀合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項9〜請求項11のいずれかに記載する銀合金。
<請求項13> 高純度のAgに微小量のAlを加えて鋳造する請求項11に記載する銀合金の製造方法。
<請求項14> 微小量のAlをAgで被覆して鋳造する請求項13に記載する銀合金の製造方法。
<請求項15> 微小量のAlをAgの薄板で包んで鋳造する請求項13又は請求項14のいずれかに記載する銀合金の製造方法。
<請求項16> 銀合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項13〜請求項15のいずれかに記載する銀合金の製造方法。
(a)従来、単なる地金以外に、公的に999が保証されたAu又はAg(以下貴金属ともいう)の実用品(身飾品、宝飾品等)は、硬度や強度等が不足し、その加工性、機能性、耐久性(恒常性)等を付加(維持)することが困難なため、ほとんど存在しない。
(b)貴金属は、純品に不純物(貴金属以外の元素)を含有させることによって、その加工性、機能性、恒常性(変形防止等)を付加することができるが、純度999を維持するためには不純物の総量を0.1重量部以下に抑える必要がある。したがって貴金属に配合するAlは、0.1重量%以下に制限される(100/100.1=0.99900…)。
(b)貴金属に、前記特性を付加するために配合できる不純物(貴金属以外の元素、本願ではAl)の量は、Au999又はAg999の純度を維持する必要があるため、極めて微量に制限されるので、鋳造方法及び、合金方法を工夫し、厳密に管理する必要がある。
(c)貴金属にAlを配合して鋳造する際には、その鋳造工程を真空状態(減圧下)で行うが、Alは貴金属地金に含まれる微量の酸素や溶解炉内に残留する微量の酸素と反応し、貴金属と化合する前に酸化アルミナ(Al2O3)を形成し、貴金属と規定量化合せず、貴金属の地金母体内に酸化アルミナとして残留し、叉鋳造時ルツボ内にノロとしてルツボに残ってしまい、強度が得られない。
すなわち、微量金属(Al)は、単に溶解容器(坩堝)内に投入するだけでは、その全量が貴金属と反応せず残ってしまうので、貴金属で包んで溶解容器(坩堝)内に投入し、溶解する必要がある。
(1)地金(合金)の配合
(イ)Au(純度99.99重量%以上):100重量部
(ロ)Al:0.05重量部
(2)鋳造条件
使用鋳造機:TR式高周波発振器 型式NTR−0502SHI−S 出力5Kw 周波数50KHz カーボン坩堝使用(株)日精販売 メーカー(株)日電高周波
電気炉:(株)安井インターテック
鋳型温度:780℃
鋳造温度:1100℃
鋳型へセットしてから鋳造までの時間:3分30秒
なお、鋳造に際し、Alは、圧延して板状にしたAuで上下を挟んで鋳型にセットした(図1、図2参照)。
検体の寸法:幅4.00mm、厚み1.50mm
検体数:20本
使用合金(前記製作した地金)量:100g
使用鋳造機:TR式高周波発振器 型式NTR−0502SHI−S 出力5Kw 周波数50KHz
カーボン坩堝使用(株)日精販売 メーカー(株)日電高周波
電気炉:(株)安井インターテック
ツリー形状:直径8mm、高さ120mmの円柱に、試験資材を円柱に対して、上方向へ角度25度で上から4本ずつ配置し、20mm下の段から付けて、5段のツリー形状とした。
埋没方法:(株)ノリタケカンパニー社のギフトを使用し、水との混合比38%で、(株)愛工舎製作所の混和器で2分混合し、(株)安井インターテックの脱法器で1分空気を抜き、1時間乾燥の為放置した(室温25℃、湿度60%)。
脱漏方法:(株)カトーの温風ヒーターを使用し、温度設定150℃、1時間タイマーオフで中のワックスを抜いた。
鋳造方法:鋳型温度780℃、鋳造温度1100℃、鋳型へセットしてから鋳造までの時間は、約3分30秒であった。
(a)Au9999
(c)Au9999+Al(0.09重量部)
なお、前記(a)〜(c)の平打ちリングは、999の純度を保持していた。
ビッカーズ硬度の測定(微小硬度試験)は、アカシ微小硬度試験器MVK−G3500ATを用いた(図4)。
ビッカーズ硬度は、平打ちリングにダイヤモンドの圧痕を付け(図4(A)、微小硬度測定1)、次に微小硬度距離(図4(B))を測定し、硬度表を参照して数値をだした。
測定はJIS規格の測定方法に則り、硬度測定を5回行い、その最低数値及び最高数値の2つを切り捨て、中旬値である、3つの数値の平均値を算出した。
表1に測定結果を示す。
表中(b)及び(c)は、Au9999100重量部にAlを0.05又は0.09重量部配合した合金を表す。
更に、(b)及び(c)は、ビッカーズ硬度が増大し、スリーナインの純度をクリアしているので、本願の目的を達成した実用品を製作することができる。
変形圧縮強度の測定(微小硬度試験)は、万能試験機オリエンティック RTC1310を用いた。(図5)。
検体は、ビッカーズ硬度の測定と同一の製造方法で作製したものを用いた。測定結果を表2に示す。
なお、表中(b)及び(c)は、〔0015〕に記載したものと同様に、Au9999 100重量部にAlをそれぞれ0.05又は0.09重量部配合した合金を表す。なお、これらの平打ちリングは、999の純度を保持していた。
Alの値が大きい(c)が、Alの値の小さい(b)よりも圧縮強度が小さいのは、金属間化合物の脆さの影響が出たためと思われる。Au−Al金属間化合物は、Alの0.05%前後が、母体金属であるAuに対し、圧縮強度を増すのに最も適した分量だと言える。
(1)地金(合金)の配合
(イ)Ag(純度99.99重量%以上):100重量部
(ロ)Al:0.05重量部
(2)鋳造条件
使用鋳造機:TR式高周波発振器 型式NTR−0502SHI−S 出力5Kw 周波数50KHz カーボン坩堝使用(株)日精販売 メーカー(株)日電高周波
電気炉:(株)安井インターテック
鋳型温度:600℃
鋳造温度:1060℃
鋳型へセットしてから鋳造までの時間:3分30秒
なお、鋳造に際し、Alは、圧延して板状にしたAgの上下を挟んで、金合金の場合と同様に鋳型にセットした(図1、図2参照)。
検体の寸法:幅4.00mm、厚み1.50mm
検体数:20本
使用合金(前記製作した地金)量:100g
使用鋳造機:TR式高周波発振器 型式NTR−0502SHI−S 出力5Kw 周波数50KHz
カーボン坩堝使用(株)日精販売 メーカー(株)日電高周波
電気炉:(株)安井インターテック
ツリー形状:直径8mm、高さ120mmの円柱に、試験資材を円柱に対して、上方向へ角度25度で上から4本ずつ配置し、20mm下の段から付けて、5段のツリー形状とした。
埋没方法:(株)ノリタケカンパニー社のギフトを使用し、水との混合比38%で、(株)愛工舎製作所の混和器で2分混合し、(株)安井インターテックの脱法器で1分空気を抜き、1時間乾燥の為放置した(室温25℃、湿度60%)。
脱漏方法:(株)カトーの温風ヒーターを使用し、温度設定150℃、1時間タイマーオフで中のワックスを抜いた。
鋳造方法:鋳型温度600℃、鋳造温度1060℃、鋳型へセットしてから鋳造までの時間は3分30秒であった。
(a)Ag9999
(c)Ag9999+Al(0.09重量部)
なお、前記(a)〜(c)の平打ちリングは、スリーナインの純度を保持していた。
ビッカーズ硬度の測定(微小硬度試験)は、金合金と同様に、アカシ微小硬度試験器MVK−G3500ATを用いた(図4)。
ビッカーズ硬度は、平打ちリングにダイヤモンドの圧痕を付け(微小硬度測定1)、次に微小硬度距離を測定し、硬度表を参照して数値をだした。
測定はJIS規格の測定方法に則り、硬度測定を5回行い、その最低数値及び最高数値の2つを切り捨て、中旬値である、3つの数値の平均値を算出した。
表3に測定結果を示す。
表中(b)及び(c)は、Ag9999、100重量部に、Alを0.05又は0.09重量部配合した合金を表す。
変形圧縮強度の測定(微小硬度試験)は、金合金と同様に、万能試験機オリエンティック RTC1310を用いた。(図5)。
検体は、ビッカーズ硬度の測定と同一の製造方法で作製したものを用いた。測定結果を表4に示す。
この測定は、ユーザーが本発明に係る999Agを、身飾品等として身に付けたとき、何キロの圧力に耐えるかを測定しているものである。
表中(b)及び(c)は、〔0027〕に記載したものと同様に、Ag9999、100重量部に、Alを0.05又は0.09重量部配合した合金を表す。
Alの値が大きい(c)が、Alの値の小さい(b)よりも圧縮強度が小さいのは、金属間化合物の脆さの影響が出たためと思われる。Ag−Al金属間化合物は、Alの0.05%前後が、母体金属であるAgに対し、圧縮強度を増すのに適した分量だと言える。
したがって、資産価値を維持したままの金又は銀を、実生活に利用して楽しむことができ、宝飾(ジュエリー)業界の需要を刺激し、活性化させることができるので十分な産業上の利用可能性がある。
2 Au板
Claims (16)
- 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングのビッカーズ硬度が75Hv以上である金合金。
- 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングの10%変形圧縮強度が10kgf以上である金合金。
- 鋳造法により作製される請求項1又は請求項2のいずれかに記載する金合金。
- 金合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項1〜請求項3のいずれかに記載する金合金。
- 高純度のAuに微小量のAlを加えて鋳造する請求項3に記載する金合金の製造方法。
- 微小量のAlをAuで被覆して鋳造する請求項5に記載する金合金の製造方法。
- 微小量のAlをAuの薄板で包んで鋳造する請求項5又は請求項6のいずれかに記載する金合金の製造方法。
- 金合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項5〜請求項7のいずれかに記載する金合金の製造方法。
- 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングのビッカーズ硬度が50Hv以上である銀合金。
- 999(スリーナイン)の純度を有すると共に、幅4.00mm、厚み1.50mmの平内リングの10%変形圧縮強度が5kgf以上である銀合金。
- 鋳造法により作製される請求項9又は請求項10のいずれかに記載する銀合金。
- 銀合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項9〜請求項11のいずれかに記載する銀合金。
- 高純度のAgに微小量のAlを加えて鋳造する請求項11に記載する銀合金の製造方法。
- 微小量のAlをAgで被覆して鋳造する請求項13に記載する銀合金の製造方法。
- 微小量のAlをAgの薄板で包んで鋳造する請求項13又は請求項14のいずれかに記載する銀合金の製造方法。
- 銀合金が、身飾品、又は宝飾品である請求項13〜請求項15のいずれかに記載する銀合金の製造方法。
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