JP4999887B2 - 高純度パラジウム製品、及びその鋳造方法 - Google Patents

高純度パラジウム製品、及びその鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パラジウム(Pd)の純度が90質量%以上で、その表面及び内部にマクロ、ミクロのガス欠陥が無く、製品の色合い及び硬さが白金(Pt)製品と同等である高純度パラジウム製品、及びその鋳造方法に関する。
白金属元素の一つであるパラジウムが貴金属市場で取引される場合、純パラジウムは純度が99.9質量%である。この純パラジウム或いは純度90質量%以上の高純度パラジウムは、高温並びに溶融状態になると水素、酸素等、その周囲からのガス吸収が激しくなり、特に水素の吸収は大きく、その吸収量はパラジウム自体の体積の350〜820倍にも達する。したがって、純度が90質量%以上の高純度パラジウム鋳造品を得ようとすると、溶解時に吸収した多量のガスが鋳造後のパラジウム鋳造品の表面や内部にマクロやミクロのポロキシティ欠陥となって現れたり、鋳造品表面のガス欠陥として表面精度と輝きを悪化させるため、品質を著しく低下させるものであり、ガス欠陥のない高純度パラジウム鋳造品を得ることは極めて難しかった。
貴金属元素には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの8元素があり、これらの中で貴金属品市場で主流をなすのは、金、銀、白金、パラジウムを主成分としたものである。
とりわけ白金は、それが放つ深みのあるプラチナホワイトが日本人の感性にマッチし、銀が放つ煌めきのある銀白色の光沢を呈するのに対し、白金のプラチナホワイトは控えめな金属色を呈するため多くの日本人に好まれ、白金とそれらの合金による宝飾品は多くの日本人に愛されて多種多様の製品が流通されている。
しかし、白金とその合金による製品の難点は、白金の地金コストが高いことであって、金の地金コストよりも高い現状であり、当然のことながらそれらの製品も極めて高価となっている。
これに比較して白金のプラチナホワイトと同等の金属光沢があり、且つコスト面から白金よりもはるかに優位な高純度パラジウム製品は、従来から白金の代替品として注目されてきた。
しかし、前述のように高純度パラジウムは、鋳造の段階でガス欠陥が多く発生することが製品化における大きな問題点であった。
このような欠陥の防止法として、これまでは溶解時のパラジウム溶湯へ主に脱ガス剤としてマンガンを添加していた。このマンガン添加による脱ガス処理で確かにガス欠陥の発生量は減少する。
しかしながら、マンガン添加の影響で鋳造後に得られるパラジウム製品は、その光沢面が黒っぽくなってしまい、パラジウム製品としての商品価値を著しく損なうものであり、宝飾品市場では低い評価しか得られなかった。
そこで、本発明は、その表面及び内部にマクロ、ミクロのガス欠陥が無く、しかも製品の色合いを損なうことのない高純度パラジウム製品、及びその鋳造方法を提案することを目的とする。
本発明者らは、前記問題点に鑑み、ベリリウム銅をパラジウム溶湯へ添加することにより、溶湯中の溶存ガスの除去を強力に行ってガス欠陥の発生を完全に防止できることを見いだして本発明に至った。また、金属コバルト、燐化コバルト、燐化ガリウム、燐化インジウムのうちの一種以上をベリリウム銅と同時添加することにより脱ガスの一層の促進と高硬度化が図れることも見いだした。
すなわち本発明は、純パラジウムへベリリウム銅0.2〜10質量%を添加することにより脱ガス処理を行い、添加後のベリリウム含有量が総量に対して0.0015〜0.43質量%であることを特徴とする高純度パラジウム製品を提案するものである。
また、本発明は、前記高純度パラジウム製品において、金属コバルト、燐化コバルト、燐化ガリウム、燐化インジウムのうちの何れか一種以上を0.05〜3.0質量%添加してなることを特徴とする高純度パラジウム製品をも提案するものである。
さらに、本発明は、純パラジウムの溶湯へベリリウム銅0.2〜10質量%を添加することにより脱ガス処理を行ってベリリウム含有量が総量に対して0.0015〜0.43質量%とした溶湯を鋳型へ注湯することを特徴とする高純度パラジウム製品の鋳造方法をも提案するものである。
本発明の高純度パラジウム製品及びその鋳造方法は、溶湯中の溶存ガスが除去されるために製品の表面及び内部にガス欠陥が全くなく、しかも白金製品と同質のホワイト系金属色の美しい色調を持ち、且つ高硬度化したものを白金製品の価格よりも安く提供できる。
そのため、白金製品の美的価値を好む日本人の感性に調和した貴金属製品として本発明の高純度パラジウム製品は、白金製品の代替品として宝飾品市場で高い評価が得られることが期待されるものである。
さらに、本発明の高純度パラジウム製品及びその鋳造方法は、パラジウムが白金に対して軽量であるという特性、さらにはコストが低いという利点を有するので、宝飾品の形状や大きさに大きな変化を及ぼすことができ、さらには宝飾品市場に限らず、広範な業界への適用が期待されるものである。
また、ベリリウム銅を添加する際に金属コバルト、燐化コバルト、燐化ガリウム、燐化インジウムのうちの何れか一種以上を同時に添加することにより、脱ガスの一層の促進と高硬度化を図ることができる。具体的には、純パラジウムの2〜3倍の硬さを持つ高純度パラジウム製品が得られ、ビッカース硬度がHv=100を越える硬さを持つ高純度パラジウム製品を得ることもできる。すなわち高硬度化した高純度パラジウム製品を提供することができる。
本発明にて用いられる純パラジウムは、貴金属市場で取引され、純度が99.9質量%である。また、その地金コストは、金や白金の約4分の1〜5分の1程度であり、比重は銀よりも僅かに大きい程度であって、白金よりも明らかに軽いという特性を有している。
本発明にて使用されるベリリウム銅は、市販されている合金としてベリリウム地金1種(Be=3.8〜4.3質量%)、ベリリウム銅地金2種(Be=3.2〜3.8質量%)が、鋳造用合金として275C合金(Be=2.60〜2.85質量%)、245C合金(Be=2.33〜2.55質量%)、20C合金(Be=2.00〜2.25質量%)、165C合金(Be=1.60〜1.85質量%)、10C合金(Be=0.55〜0.75質量%)、5C(Be=0.4〜0.65質量%)合金があるが、これらの中から適宜に選択して使用すればよい。
前記ベリリウム銅のベリリウムが、溶湯中の溶存ガスを完全に除去する役割を果たし、前述のように各種のベリリウム銅を用いることができるが、総量に対して0.0015〜0.43質量%であればよい。0.0015質量%よりも少ない場合には、ガス欠陥の発生を完全には防止できず、ポロシティ欠陥を発生させてしまい、表面精度や輝きを悪化させて品質を低下させてしまう。
また、前記ベリリウム銅の銅は、製造される高純度パラジウム製品の硬さ(硬度)を向上する役張を果たす。
そして、本発明では、パラジウムが白金に対して軽量であるという特性、さらにはコストが低いという利点を有するので、例えば白金製の各種宝飾品よりも大きな形状の宝飾品を、ほぼ同質量で、ほぼ同コストで作製することができる。このように、本発明は、宝飾品業界においては、白金製の製品に比べて軽量で低コストであるため、その形状や大きさに大きな変化を及ぼすことができる。
さらには、このような効果は、宝飾品市場に限定されるものではなく、広範な業界への適用が期待されるものである。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲に準ずる限り、どのように実施してもよい。
〔実施例1〕
純パラジウム(99.9質量%) 49.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.5〜4.3質量%) 1.0g
鋳造にはるつぼで溶解した溶湯を注湯後、アルゴンガスで加圧するタイプの加圧鋳造機を用いた。その手順は、まず純パラジウム49.0gを溶融シリカるつぼに入れ、鋳造機内を真空にする。その後、高周波加熱により溶解して1620℃に保持する。次に、迅速にベリリウム銅1.0gをるつぼ内に添加して溶湯の脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯はるつぼを傾斜させて溶融シリカ粉末と希釈シリカゾルバインダーで成形した溶融シリカ製鋳型内へ注湯した。この鋳型は厚さ2mmの平板状の指輪製作用のものである。鋳型内の溶湯が凝固後、この鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪をリング周りの5ヶ所で切断し、それぞれの面を鏡面に研磨して各研磨面につき目視及び顕微鏡観察を行って指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べ、その結果から銅ベリリウムの添加による脱ガス効果の良否を評価した結果、この実施例1で得られたパラジウム製品には溶湯中の溶存ガスに起因するマクロ、ミクロのポロシティは全く見られなかった。また、得られた指輪の表面及び断面の色合いについても純白金製品(Pt1000と呼ばれる)と並列に置いて目視観察により比較したところ、Pt1000のホワイト色の光沢に比べて遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=82であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム鋳造品は、Pt1000の品質と同等価値を有する商品として宝飾品市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例2〕
純パラジウム(99.9質量%) 49.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.8〜4.3質量%) 0.5g
まず、純パラジウム49.5gを溶融シリカるつぼに入れ、鋳造機内にセットしてから内部を真空にする。その後、高周波加熱により溶解して1620℃に保持する。この温度での溶湯へベリリウム銅0.5gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は前記実施例1と同様に2.5mm厚の平板状の指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯した。注湯と同時にアルゴンガスで鋳型機内を加圧した。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面に研磨して各研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつき純白金の製品と目視観察によって比較したところ、Pt1000のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、硬さはHv=72であった。
これらの結果より、得られた高純度パラジウム鋳造品は、Pt1000の品質と同等価値を持つ高純度パラジウム鋳造品として宝飾品市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例3〕
純パラジウム(99.9質量%) 49.75g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.2〜3.8質量%) 0.25g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム49.75gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1630℃に保持する。これにベリリウム銅0.25gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は2.5mm厚の平板状の指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型機内を加圧し、鋳造内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt1000製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt1000のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、硬さはHv=72であった。
これらの結果より、得られた高純度パラジウム鋳造品は、Pt1000製品と同等の価値を持つ商品と判定し、この製品がPt1000製品に匹敵するホワイト系宝飾品として安価に市場へ提供できると評定した。
〔実施例4〕
純パラジウム(99.9質量%) 49.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.2〜3.9質量%) 1.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム49.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1630℃に保持する。これにベリリウム銅1.0gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は溶融シリカ主体の2mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型機内を加圧し、鋳造内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、指輪の表面と内部ともに溶湯のガス吸収に起因するミクロポロシティ欠陥はなかった。また、その色合いもPt1000製品と同等であり、硬さはHv=82であった。
これらの結果より、本実施例による製品は、宝飾品市場へ提供できる価値のあるものと評定した。
〔実施例5〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.60〜2.85質量%) 3.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これにベリリウム銅3.0gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は溶融シリカ主体の2.7mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型機内を加圧し、鋳造内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt950製品と並列にして目視観察により比較した結果、純白金のホワイトの金属光沢に比べ遜色のない色合いであり、硬さも製品中の銅含有量が多くなったため硬さはHv=110であった。
これらの結果、ここで得られた高純度パラジウム鋳造品は、Pt950(白金純度=95質量%)の白金製品の同等価値の持つ商品と判定し、この製品がPt950製品と対等な安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例6〕
純パラジウム(99.9質量%) 45.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.00〜2.25質量%) 5.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム45.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これにベリリウム銅5.0gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は溶融シリカ主体の2.5mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型機内を加圧し、鋳造内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつき純白金の完成品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt900(白金純度=90質量%)製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、製品中の銅含有量が多くなったため本実施例による製品の硬さもHv=120であった。
これらの結果より、この添加量では製品の硬さがより高くなり、色合いもPt900製品と同等の商品価値を持つものと判定され、本実施例による製品は安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定された。
〔実施例7〕
純パラジウム(99.9質量%) 45.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量0.55〜0.75質量%) 5.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム45.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1630℃に保持する。これにベリリウム銅5.0gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は溶融シリカ主体の2.7mm厚の平板状丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型機内を加圧し、鋳造内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べた結果、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつき純白金の完成品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt1000のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。本実施例による製品は銅の含有量が多くなったので製品の硬さも上昇してHv=120であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム鋳造品は、Pt1000製品と同等価値を持つ商品と判定し、この製品が白金製品に相当する安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例8〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量1.60〜1.85質量%) 3.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これにベリリウム銅3.0gを添加して脱ガス処理を行った。脱ガス処理後の溶湯は溶融シリカ主体の2.7mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型機内を加圧し、鋳造内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt1000製品と並列にして目視観察により比較したところ、純白金のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=115であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム製品は、Pt1000の白金製品と同等の商品価値を持つものと判定され、本実施例による製品が安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例9〕
純パラジウム(99.9質量%) 48.7g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.8〜4.3質量%) 1.0g
燐化コバルト 0.3g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム48.7gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これにベリリウム銅1.0g、燐化コバルト0.3gを添加した。ベリリウム銅は脱ガス処理剤として、燐化コバルトは主に硬さ向上を目的とし双方を同時に添加した。添加処理後の溶湯は厚さ3mmの甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧して鋳型キャビティへの溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt1000製品と並列にして目視観察により比較したところ、純白金のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、切断したサンプルのビッカース硬さを測定したところ、Hv=130であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム製品は、Pt1000と対等な商品と判定し、この製品はPt1000製品に匹敵する安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例10〕
純パラジウム(99.9質量%) 49.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.8〜4.3質量%) 0.5g
燐化ガリウム粒 0.5g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム49.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これに脱ガス剤としてベリリウム銅0.5g、燐化ガリウム0.5gを同時に添加した。添加処理後の溶湯は2.5mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt1000製品と並べ目視観察により比較したところ、Pt1000製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、切断したサンプルのビッカース硬さを測定したところ、Hv=135であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム製品は、Pt1000製品の品質と同等価値の持つ商品と判定し、この製品はPt1000製品に匹敵する安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例11〕
純パラジウム(99.9質量%) 48.9g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.8〜4.3質量%) 1.0g
燐化インジウム 0.1g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム48.9gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これにベリリウム銅1.0g、燐化インジウム0.1gを同時に添加して脱ガスと硬さ向上の処理を行った。処理後の溶湯は2mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt1000製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt1000製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。ここで得られたサンプルのビッカース硬さを測定したところ、Hv=120であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム製品は、Pt1000製品の品質と同等価値の持つ商品と判定し、Pt1000相当の安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例12〕
純パラジウム(99.9質量%) 45.2g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.6〜1.85質量%) 4.5g
燐化コバルト 0.3g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム45.2gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1620℃に保持する。これにベリリウム銅4.5g、燐化コバルト0.3gを添加して脱ガス及び硬さ向上の処理を行った。処理後の溶湯は3mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt1000製品と並列にして目視観察により比較したところ、純白金のホワイトの金属光沢に比べ遜色のない色合いであった。本実施例による製品の硬さはHv=130であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム製品はPt1000製品に相当する安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例13〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.00〜2.25質量%) 2.0g
燐化コバルト 0.5g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.5gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1630℃に保持する。これにベリリウム銅2.0g、燐化コバルト0.5gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は2.7mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt950製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt950製品と比較してもホワイト色の光沢は遜色のないもので、この実施例による硬さはHv=130であった。
これらの結果より、ここで得られた高純度パラジウム製品は、Pt950製品と同等価値を持つ商品と判定し、この製品がPt950相当の安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例14〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.00〜2.25質量%) 2.0g
燐化インジウム粒 0.5g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.5gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1640℃に保持する。これにベリリウム銅2.0g、燐化インジウム0.5gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は2.7mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt900製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt900製品と比較してもホワイト色の光沢は遜色のないもので、この実施例による硬さはHv=130であった。
これらの結果より、本実施例で得られた高純度パラジウム製品は、Pt900製品相当の商品と判定され、ホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例15〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.00〜2.25質量%) 2.0g
金属コバルト粒 0.5g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.5gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1640℃に保持する。これにベリリウム銅2.0g、金属コバルト0.5gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は3mm厚の平板状指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べたところ、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつき純白金と並列にして目視観察により比較したところ、Pt950製品と比較してもホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=130であった。
これらの結果より、本実施例で得られた高純度パラジウム製品は、Pt950相当の商品と判定され、安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例16〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.60〜2.85質量%) 1.0g
金属コバルト粒 1.5g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.5gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1640℃に保持する。これにベリリウム銅1.0g、金属コバルト1.5gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は3mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べた結果、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られず、また指輪の表面及び断面の色合いにつきPt950製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt950の白金製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=130であった。
これらの結果より、本実施例で得られた高純度パラジウム製品は、Pt950相当の商品と判定され、安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例17〕
純パラジウム(99.9質量%) 47.0g
ベリリウム銅粒(Be含有量2.60〜2.85質量%) 1.0g
金属コバルト粒 2.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム47.0gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1640℃に保持する。これにベリリウム銅1.0g、金属コバルト2.0gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は3mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べた結果、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt950製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt950の白金製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=130であった。
これらの結果より、本実施例で得られた高純度パラジウム製品は、Pt950相当の商品と判定され、安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例18〕
純パラジウム(99.9質量%) 46.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.8〜4.3質量%) 1.0g
金属コバルト粒 2.5g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム46.5gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1660℃に保持する。これにベリリウム銅1.0g、金属コバルト2.5gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は3mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べた結果、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt950製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt950の白金製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=135であった。
これらの結果より、本実施例で得られた高純度パラジウム製品は、Pt950相当の商品と判定され、安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。
〔実施例19〕
純パラジウム(99.9質量%) 44.5g
ベリリウム銅粒(Be含有量3.8〜4.3質量%) 0.5g
金属コバルト粒 5.0g
前記実施例1と同様にまずは溶融シリカるつぼ内へ純パラジウム44.5gを装入して鋳造機内を真空にする。次に、高周波加熱によりパラジウムを溶解して1660℃に保持する。これにベリリウム銅0.5g、金属コバルト5.0gを同時添加して脱ガス及び硬さ向上のための処理を行った。処理後の溶湯は3mm厚の甲丸指輪製作用の溶融シリカ製鋳型中へ注湯し、直ちにアルゴンガスで鋳型内を加圧し、鋳型内への溶湯の湯まわりを促進させた。溶湯が凝固後、鋳型を崩壊し、高純度パラジウム鋳造品を得た。
得られた高純度パラジウム鋳造品の表面さらには指輪のリング周りの5ヶ所で切断してそれぞれ断面を鏡面研磨してそれらの研磨面につき目視及び顕微鏡観察して指輪の表面と内部のポロシティ欠陥の有無につき調べた結果、溶湯のガス吸収に起因するマクロ、ミクロのポロシティが全く見られなかった。また、指輪の表面及び断面の色合いにつきPt950製品と並列にして目視観察により比較したところ、Pt950の白金製品のホワイト色の光沢に比べ遜色のない色合いであった。また、本実施例による製品の硬さはHv=140であった。
これらの結果から、本実施例で得られた高純度パラジウム製品は、Pt950相当の商品と判定され、安価なホワイト系宝飾品として市場へ提供可能なものと評定した。

Claims (3)

  1. 純パラジウムへベリリウム銅0.2〜10質量%を添加することにより脱ガス処理を行い、添加後のベリリウム含有量が総量に対して0.0015〜0.43質量%であることを特徴とする高純度パラジウム製品。
  2. 金属コバルト、燐化コバルト、燐化ガリウム、燐化インジウムのうちの何れか一種以上を0.05〜3.0質量%添加してなることを特徴とする請求項1に記載の高純度パラジウム製品。
  3. 純パラジウムの溶湯へベリリウム銅0.2〜10質量%を添加することにより脱ガス処理を行ってベリリウム含有量が総量に対して0.0015〜0.43質量%とした溶湯を鋳型へ注湯することを特徴とする高純度パラジウム製品の鋳造方法。
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