JP2004060045A - 宝飾品用白色系および淡色系金合金 - Google Patents
宝飾品用白色系および淡色系金合金 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】K18(18金)の金合金であって、マンガン(Mn)を2重量%から10重量%の範囲で含有するものにおいて、パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)を1重量%から6重量%の範囲で含有させることで、合金凝固時の特性を改善することにより酸化物生成に起因する欠陥を抑制し、鋳造性および加工性を向上させ品質を著しく改善せしめた。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、指輪、ブローチ等の宝飾品に利用される金合金に関し、特に、金の含有量が75重量%のK18(18金)であり、且つマンガン(Mn)を適量含有する合金において、パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)が配合されて、白色または淡ピンク色、淡緑色、淡黄色などに調整された金合金に関する。
【0002】
【従来の技術】
金は、空気中で酸化されず、長期間にわたって光沢を失わない金属であるが、硬度および強度が低いために、他の金属と合金化されて利用されるのが一般的である。特に、宝飾品用金属材料としては、高価で比重が大きく軟質なプラチナ(Pt)に替わるものとして白色系金合金(ホワイトゴールド)などがある。これらのK18(18金)金合金は、価格および比重に関してプラチナ(Pt)と銀(Ag)との中間的位置を占める素材であり、前記の通りいろいろな色彩を得ることの出来る宝飾品材料として近年注目されている。
【0003】
K18(18金)金合金の色調をいわゆる黄金色から白色に導く合金元素として、パラジウム(Pd)やニッケル(Ni),マンガン(Mn)など、いくつか報告されている。従来、宝飾品用では、パラジウム(Pd)もしくはニッケル(Ni)、またはこれらを併用した白色系金合金(ホワイトゴールド)が一般的であったが、近年新たにマンガン(Mn)を用いた白色系金合金(ホワイトゴールド)が登場している。
【0004】
マンガン(Mn)を用いた白色系金合金(ホワイトゴールド)が試みられ始めた背景として、近年におけるパラジウム(Pd)相場の異常な高騰とニッケル(Ni)に起因する金属アレルギー問題がある。
【0005】
マンガン(Mn)を用いた金合金でも、パラジウム(Pd)とニッケル(Ni)の場合と同じく、マンガン(Mn)やパラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)などの配合量調整により白色または淡ピンク色、淡緑色、淡黄色など色調の変化を自在に得ることが可能である。
【0006】
マンガン(Mn)という元素は、とても酸化され易く酸化物を生成しやすいことは周知の事実である。このため、マンガン(Mn)を含有した合金の製作および鋳造には、高品質な真空環境および高純度な不活性ガス置換環境もしくは還元性ガス置換環境が必要不可欠であり、高度な鋳造技術と設備を要する。なおこれを満たしていない環境で鋳造した合金は、酸化物の生成が多く、それに伴う割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣、合金成分の偏析などを内在し、問題が多かった。
【0007】
還元性ガス置換環境とは、密閉容器中を真空度区分指標によるところの高真空環境、またはそれ以上の真空度環境にしたのち還元性ガスを充填した環境のことである。なお還元性ガスとは、マンガン(Mn)に対する場合では、水素を含む混合ガスが適当なものとなるが、これは周知の通り混合比率により爆発の危険性がある気体で、十分な還元が行える混合比率では、その取り扱いには細心の注意と防爆設備など安全面の配慮等が必要である。なお宝飾品製造では、その危険性を配慮して、還元性ガスすなわち水素を含む混合ガスを使用することは必要な選択といえず、避けるべきである。
【0008】
高品質な真空環境および高純度な不活性ガス置換環境とは、密閉容器中を真空度区分指標でよるところの高真空環境またはそれ以上の真空環境、もしくは、高真空以上にしたのち高純度な不活性ガスを充填した環境のことである。
【0009】
宝飾品製造の代表的な方法は、ロストワックス鋳造法である。しかしマンガン(Mn)を用いた白色系金合金(ホワイトゴールド)では、ロストワックス鋳造法を行うと酸化物生成に起因する割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣が多く、高品質なものを得るのは極めて困難であったため、プレスなどの鍛造法による加工が主体となっている。
【0010】
マンガン(Mn)を用いた金合金として、特開2001−335860号や特開2001−335861号などが報告されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
高真空環境またはそれ以上の真空度環境を得られる装置は、きわめて大がかりであり、非常に高価である。実際、高真空度到達能力を搭載している宝飾品製造用鋳造機は実在せず、そもそも真空機能自体を搭載していない機器も多く、真空機能があるものも低真空度もしくは中真空度までという機器が大半である。
【0012】
不活性ガス置換機能を搭載している宝飾品製造用鋳造機は、不活性ガス充填の前処理にあたる真空度到達能力が不足している機器が大半である。これらの機器の場合、真空引きと不活性ガス充填を交互に複数回繰り返すことで、比較的純度の高い不活性ガス置換環境を得ることが出来るが、その作業に要する時間と手間は鋳造技術においては無視できない問題である。
【0013】
マンガン(Mn)を用いた金合金を宝飾品として用いる場合、不十分な真空度到達能力しか有していない鋳造機にて、鋳造した宝飾品は酸化物生成に起因する割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣が多く、高品質なものを得るのは極めて困難である。
【0014】
鋳造品の品質が良くないということは、外観、美観を重視する宝飾品では支障があり、それを修正したり、鋳造そのものをやり直さないと良質な商品にすることは出来ない。すなわち従来方法では、低コストで良質な宝飾品を生産することは極めて困難である。
【0015】
高真空環境またはそれ以上の真空度環境、もしくは高純度な不活性ガス置換環境を得られる宝飾品製造用鋳造機を新規に用意すれば問題の多くは解消するが、そのような仕様を有するものは現在では未だ市販されていない。特注製作で用意することは可能と思われるが、非常に高額な設備投資で大きなコスト負担であり、低コストで良質な宝飾品を生産することは極めて困難である。
【0016】
本発明では、宝飾品製造の代表的な方法であるロストワックス鋳造法で、既存の装置で可能な低真空度環境または中真空度環境、もしくは低真空度化または中真空度化したのちに不活性ガスを充填した環境にて鋳造しても、酸化物生成に起因する割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣などの発生を抑制できるマンガン(Mn)を用いた白色系および淡色系金合金を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の宝飾品用白色系および淡色系金合金は、K18(18金)金合金であって、マンガン(Mn)を2重量%から10重量%の範囲で含有する合金において、パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)を1重量%から6重量%の範囲で含有することを特徴とするものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0018】
パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)を1重量%から6重量%の範囲で含有することにより、鋳造性および加工性を向上し、品質を著しく改善している。
【0019】
マンガン(Mn)を2重量%から10重量%の範囲で含有させ、且つ銀(Ag)や銅(Cu)などの配合量調整により、白色または淡ピンク色、淡緑色、淡黄色など自在に色調を調整している。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の宝飾品用金合金はK18(18金)金合金であるが、一般的には、品位確保のために、金の含有量は微量%過剰気味になっていることが多く、このような場合も特に問題はない。これにマンガン(Mn)を2重量%から10重量%の範囲で含有する合金において、パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)を1重量%から6重量%の範囲で含有させることにより、鋳造性および加工性を向上し、品質を著しく改善した白色または淡色を帯びたK18(18金)金合金を得ることが出来る。
【0021】
このパラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)の配合は、マンガン(Mn)を用いた金合金の凝固時特性を改善し、酸化物生成に起因する割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣などの発生を抑制するという重要な効果を得ることが出来る。
【0022】
【実施例】
<実施例1>
金(Au)75重量%に対して、マンガン(Mn)を6重量%、パラジウム(Pd)3重量%、銀(Ag)7重量%、銅(Cu)9重量%の割合で配合して、真空溶解を用いた金合金法によって、マンガン(Mn)を用いた白色系金合金(ホワイトゴールド)を製造した。得られた白色系金合金(ホワイトゴールド)の外観は、宝飾品として使用するのに適した白色で、マイクロビッカース硬度は、実測平均でHv140であり、融点は910℃程度であった。
【0023】
得られた白色系金合金(ホワイトゴールド)を用いて、真空吸引加圧鋳造法にて、代表的な宝飾品である指輪を製作してみた。結果、酸化物生成に起因する割れ欠陥や折れ欠陥および鋳巣が無い良好な鋳造物が得られた。宝飾品たる商品にするには、この鋳造物を切削加工、バフ研磨を経て金属光沢を有する状態まで仕上げる必要があるが、この過程でも割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣等は認められなかった。
【0024】
<実施例2>
金(Au)75重量%に対して、マンガン(Mn)を2重量%、パラジウム(Pd)3重量%、銀(Ag)2重量%、銅(Cu)18重量%の割合で配合して、真空溶解を用いた金合金法によって、マンガン(Mn)を用いたピンク色系金合金(ピンクゴールド)を製造した。得られたピンク色系金合金(ピンクゴールド)の外観は、宝飾品として使用するのに適したピンク色で、マイクロビッカース硬度は、実測平均でHv174であり、融点は900℃程度であった。
【0025】
得られたピンク色系金合金(ピンクゴールド)を用いて、真空吸引加圧鋳造法にて、代表的な宝飾品である指輪を製作してみた。結果、酸化物生成に起因する割れ欠陥や折れ欠陥および鋳巣が無い良好な鋳造物が得られた。宝飾品たる商品にするには、この鋳造物を切削加工、バフ研磨を経て金属光沢を有する状態まで仕上げる必要があるが、この過程でも割れ欠陥や折れ欠陥、鋳巣等は認められなかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の宝飾品用白色系および淡色系金合金は、このように、マンガン(Mn)を用いた金合金において、パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)を適量含有させることにより、酸化物生成に起因する欠陥を抑制し、鋳造性および加工性を向上し品質を著しく改善するという、宝飾品素材としての優れた効果を達成する。
Claims (1)
- マンガン(Mn)を2重量%から10重量%の範囲で含有する合金において、パラジウム(Pd)もしくはプラチナ(Pt)を1重量%から6重量%の範囲で含有させることにより鋳造性および加工性を向上させ、品質を著しく改善した白色または淡色を帯びたK18(18金)金合金。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002258271A JP2004060045A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 宝飾品用白色系および淡色系金合金 |
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Publications (1)
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JP2004060045A true JP2004060045A (ja) | 2004-02-26 |
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Family Applications (1)
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JP2002258271A Pending JP2004060045A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | 宝飾品用白色系および淡色系金合金 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004060045A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007186749A (ja) * | 2006-01-13 | 2007-07-26 | Ishifuku Metal Ind Co Ltd | 装飾品用金合金 |
US7959855B2 (en) | 2006-10-19 | 2011-06-14 | Heru Budihartono | White precious metal alloy |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002258271A patent/JP2004060045A/ja active Pending
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