JP2013100573A - 白色系Au合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、眼鏡用材料及び装身具用材料としての加工性及びバネ性を備えた白色系Au合金を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る白色系Au合金は、Pdを10〜15mass%、Cuを7.5〜11.5mass%、Siを0.1〜3mass%、Irを0.1〜1.5mass%、Ruを0.1〜1.5mass%及び残部Au及び不可避不純物よりなる。得られたAu合金は、眼鏡用材料及び装身具用材料として必要な加工性及びバネ性を備えている。
【選択図】なし

Description

本発明は、眼鏡用材料及び装身具材料として用いられる白色系Au合金に関する。
眼鏡用材料及び装身具材料として従来よりAu(金)の純度の高いAu合金が使用されてきており、代表的なものとして純度75mass%であるK18のAu合金が挙げられる。K18のAu合金には、色調の違いによりイエローゴールド、グリーンゴールド、ピンクゴールド、レッドゴールド、ホワイトゴールドといった種類があり、それぞれAuとは異なる別の金属(割金)を配合している。
イエローゴールドでは、割金としてAg(銀)及びCu(銅)を配合しており、一般的に知られている金色を呈する。グリーンゴールドでは、割金としてAgを配合しており、Agの含有量が増加すると緑色系の色調となる。レッドゴールドでは、割金としてCuを配合しており、Cuの含有量が増加すると赤色系の色調となる。ピンクゴールドでは、割金としてAg及びCu以外にPd(パラジウム)を添加して色合いを表出するようにしている。
ホワイトゴールドでは、割金としてPd又はNi(ニッケル)を配合したものがあり、Niを配合する場合には、Cu、Zn(亜鉛)が添加され、Pdを配合する場合には、Ag及びCuを添加して白色を表出するようにしている。
このように様々な色調のAu合金が開発されてきているが、眼鏡用材料及び装身具材料として使用する場合、色調以外に用途に合わせた特性が求められる。例えば、眼鏡フレームに使用する場合には、色調以外に、加工性がよく、使用する際に傷つきにくく変形しにくい強度を有し、良好な装着感が得られるバネ性を備えるといった特性が必要となる。眼鏡用材料としては、例えば、特許文献1では、Auを主成分とし、Cuを20〜23重量%、Agを0.5〜2重量%、Pdを1〜3重量%、In(インジウム)を0.1〜1重量%含む、淡いピンク色を有するメガネ用金合金が記載されている。また、特許文献2では、Auを主成分として、Agを0〜7mass%、Cuを2〜12mass%、Pdを10〜18mass%、およびGe(ゲルマニウム)を0.05〜3mass%含有するAu合金が記載されている。
特開平11−335755号公報 特開2006−233233号公報
上述した特許文献に記載されたAu合金は、眼鏡用材料としてピンク色系及びグレー色系のAu合金が記載されているが、眼鏡用材料として白色系のAu合金が求められている。白色系Au合金としては、上述したようにNi系及びPd系のものが開発されているが、Ni系のAu合金は高硬度で加工性もよい材料であるが、Niが金属アレルギーを引き起こすため、直接肌に触れる眼鏡用材料としては不向きである。また、Pd系のAu合金は、眼鏡用材料としては加工性やバネ性の点で十分な特性を有していないため、使用されていないのが現状である。
そこで、本発明は、眼鏡用材料及び装身具用材料としての加工性及びバネ性を備えた白色系Au合金を提供することを目的とする。
本発明に係る白色系Au合金は、Pdを10〜15mass%、Cuを7.5〜11.5mass%、Siを0.1〜3mass%、Irを0.1〜1.5mass%、Ruを0.1〜1.5mass%及び残部Au及び不可避不純物よりなる。
本発明は、上記のような構成を有することで、眼鏡用材料及び装身具用材料としての加工性及びバネ性を備えた白色系Au合金を得ることができる。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
本発明では、Auに配合する割金として、Pd、Cu、Si(ケイ素)、Ir(イリジウム)及びRu(ルテニウム)を用いた。Pdを10mass%〜15mass%配合することで、Au合金の色調を適度な白色を呈するようにすることができる。Pdが10mass%未満では、Au合金が白色化せず、15mass%を超えると、白色が強くなりすぎ、また他の金属とのバランスが悪くなって加工性及びバネ性に関して十分な特性を得られにくい。
また、Cuを7.5mass%〜11.5mass%配合することで、適度の白色の輝きを得ることができ、また割金の他の金属とのバランスがよくなり、加熱及び冷却による時効硬化の効果が発揮されるようになる。
また、Siを0.1mass%〜3mass%配合することで、合金の硬度を向上させて傷つきにくく変形しにくいものが得られるとともに眼鏡用材料及び装身具用材料としての加工性を有するようになる。特に、眼鏡用材料を加工する場合に、板材又は線材に加工してろう付け等の処理が行われるため、加工時に高い硬度が要求されるが、Siを上記のように配合することで、こうした加工時において必要となる高い硬度を有するようになる。
また、Irを0.1〜1.5mass%及びRuを0.1〜1.5mass%を配合することで、Pdと同じ白金族元素であるIr及びRuが添加されて、耐食性の向上、金属結晶粒の微細化による機械的強度の向上といった作用効果を奏するようになる。特に、スウェージング加工等の金属加工を行う場合に、金属割れといった不具合が生じるのを防止することができる。
Au75mass%、Pd12.5mass%、Cu9.875mass%、Si2.375mass%、Ir0.125mass%、Ru0.125mass%の組成のAu合金(K18)を真空溶解後鋳造し、インゴットとした。得られたインゴットを、溝ロール加工、焼鈍(650℃で15分加熱後常温で冷却)、伸線加工を施し、径1mmの丸線に加工した。
得られた丸線について表出される色を、L***表色系(JIS Z 8729)に基づいて測定した。測定には市販の色差計を用いた。測定した結果、5回の測定結果の平均値は以下の通りであった。
明度L*=79.05
色度a*=2.81
色度b*=8.66
色差ΔE*ab=2.41
社団法人日本ジュエリー協会では、ホワイトゴールドの色相の範囲をL***表色系に基づいて定めており、ロジウムめっきの色相を基準値(0点)とし、ΔE*abの値が14以下のものをホワイトゴールドの色相の範囲と定義している。したがって、得られたAu合金は、ホワイトゴールドの色相を備えていることが確認できた。
次に、比較例として、特許文献2に記載されたグレーゴールドとして、Au75mass%、Pd10mass%、Cu8mass%、Ag5mass%、Ge2mass%の組成のAu合金(K18)を真空溶解後鋳造し、インゴットを準備した。インゴットを実施例と同様に加工して、径1mmの丸線を得た。
実施例及び比較例のAu合金からなる丸線を20mmの長さで切断し、一方の端部から5mm分だけ支持台上に水平となるように固定し、他方の端部側を自由端となるようにセットした。他方の端部を指先で下方に押し下げて、15mmの長さの部分のバネ性を確認した。確認した結果、実施例のAu合金からなる丸線は、比較例に比べて反発力が明らかに強いことが確認できた。
また、実施例のAu合金の加工性を比較例と比べた場合、ほぼ同じように加工することができ、金属割れ等の不具合も発生することなく、加工時の硬度及び機械的強度について従来のものとほぼ同じ特性を備えていることが確認できた。

Claims (1)

  1. Pdを10〜15mass%、Cuを7.5〜11.5mass%、Siを0.1〜3mass%、Irを0.1〜1.5mass%、Ruを0.1〜1.5mass%及び残部Au及び不可避不純物よりなる白色系Au合金。
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