JP2016000504A - 液体消費装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】タンクの注入口をキャップにより塞がれない状態のまま液体消費装置が使用されることを防止する手段を提供する。
【解決手段】プリンタ部は、インクタンク100と、インクタンク100の注入口112を塞いだ状態でインクタンク100に取り付け可能なキャップ113と、筐体の開口22に対して閉位置及び開位置に移動可能なカバー70と、カバー70の内面70Cに配置されてた保持部75と、を具備する。カバー70は、保持部75にキャップ113が保持された状態のときに、キャップ113がカバー70の開位置から閉位置への移動領域に位置することによって、閉位置への移動が阻害されるものである。
【選択図】図17

Description

本発明は、キャップにより注入口が塞がれるタンクがカバーにより被覆及び露出される液体消費装置に関する。
従来より、インクを補充可能な大容量のタンクと、当該タンクから供給されたインクをノズルから吐出して記録用紙に画像を記録する記録ヘッドとを有するプリンタ(液体消費装置の一例)が知られている(例えば、特許文献1参照)。タンクはキャップによって注入口が開閉可能であり、キャップを取り除いた状態で注入口からタンク内へインクが補充可能である。
特表平11−504874号公報
しかしながら、ユーザがタンクへインクを補充するときに、注入口から取り外したキャップを机などの載置面に置くと、載置面にインクが付着して汚れるおそれがある。また、取り外されたキャップをユーザが紛失するおそれもある。さらには、ユーザがキャップによって注入口を塞ぐことを忘れてインクの補充を終了すると、タンクの注入口が開放された状態のままでプリンタが使用され、注入口からタンク内のインクの水分が蒸発してインクの粘度などが変わったり、塵埃などが注入口からタンク内へ進入したり、注入口からインクが漏れ出したりするおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクの注入口をキャップにより塞がれない状態のまま液体消費装置が使用されることを防止する手段を提供することにある。
本発明に係る液体消費装置は、液体が貯留される液体貯留室、上記液体貯留室に液体を注入するための注入口、及び上記液体貯留室から液体を流出させる液体流出路が形成されたタンクと、上記注入口を塞いだ状態で上記タンクに取り付け可能なキャップと、上記タンクの上記注入口が形成された面を覆う閉位置、及び上記タンクの上記注入口が形成された面を露出させる開位置との間で上記タンクに対して移動可能なカバーと、上記タンクから取り外された上記キャップを保持可能な保持部と、を具備する。上記カバーは、上記保持部に上記キャップが保持された状態のときに、当該キャップが上記カバーの上記開位置から上記閉位置への移動領域に位置することによって、上記閉位置への移動が阻害されるものである。
カバーが開位置にされることにより、タンクの注入口へアクセスできる。タンクの注入口からキャップを取り外すことにより、タンク内へ液体を補充することができる。注入口から取り外されたキャップは、保持部に保持される。これにより、キャップが載置面に置かれて載置面が汚れたり、キャップが紛失したりすることが防止される。ユーザがキャップを保持部から取り外すことなく、注入口を開放した状態で、閉位置から開位置へ向けてカバーを移動させると、カバーの移動領域に位置するキャップがカバーの移動を阻害する。これにより、ユーザは、キャップを注入口へ取り付け忘れていることを認識できる。
本発明によれば、保持部にキャップが保持されることによって、キャップが載置面に置かれて載置面が汚れたり、キャップが紛失したりすることが防止される。また、保持部に保持されたキャップがカバーの移動領域に位置することによりカバーの移動が阻害されるので、タンクの注入口がキャップにより塞がれない状態のままで液体消費装置が使用されることが抑制される。
図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー70が閉位置である状態、(B)はカバー70が開位置である状態を示す。 図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、キャリッジ23及びインクタンク100の配置を示す平面図である。 図4は、インクタンク100の前方斜視図である。 図5は、インクタンク100の後方斜視図である。 図6は、図4のVI−VIにおける断面図である。 図7は、図4のVII−VIIにおける断面斜視図である。 図8は、インクタンク100の右側面図である。 図9は、(A)が図8のIX(A)−IX(A)における断面図、(B)が図8のIX(B)−IX(B)における断面図である。 図10は、(A)がインクタンク100の平面図、(B)が(A)のB−Bにおける断面斜視図である。 図11は、図10(A)のXI−XIにおける断面図である。 図12は、図11のXII−XIIにおける断面図である。 図13(A)は、キャップ113の外観斜視図であり、図13(B)は、キャップ113の断面図である。 図14は、カバー70が開位置である状態の複合機10の外観斜視図である。 図15は、制御部90を示すブロック図である。 図16は、インクタンク100の注入口112にキャップ113が取り付けられており、カバー70が閉位置の複合機10の拡大断面図である。 図17は、保持部75にキャップ113が保持されており、カバー70が開位置の複合機10の拡大断面図である。 図18は、保持部75にキャップ113が保持されており、カバー70の閉位置への移動が阻害された状態の複合機10の拡大断面図である。 図19(A)は、複合機10の変形例を示す外観斜視図であり、図19(B)は、タンクが収容された状態のB−B断面図であり、図19(C)は、タンクが引き出されてキャップ113が注入口112を閉じた状態のB−B断面図であり、図19(D)は、タンクが引き出されてキャップ113が保持部75に保持された状態のB−B断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態であって、「使用状態」と表記することがある。)若しくは姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。上向き及び下向きは、各々が上下方向7の一成分であって、互いに逆向きである。左向き及び右向きは、各々が左右方向9の一成分であって、互いに逆向きである。前向き及び後ろ向きは、各々が前後方向8の一成分であって、互いに逆向きである。また、本実施形態では、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
[複合機10の全体構成]
複合機10は、図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。プリンタ部11は、図2に示されるように、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、インクタンク100(タンクの一例)とを備えている。また、複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、液体消費装置の一例である。
プリンタ部11の筐体14の前壁14Aにおける開口13の上方には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、その表面に入力ボタン17A及び液晶ディスプレイ17B(報知部の一例)が設けられている。操作パネル17は、左右方向9に横長に構成されており、その表面が斜め上方を向いている。操作パネル17は後述されるインクタンク100よりも上方に配置されている。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
給送トレイ20は、図1に示されるように、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に形成された開口13を通じて前後方向8にユーザによって複合機10に対して挿抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。給送部15は、図2に示されるように、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端側に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20側へ回動付勢されている。
[搬送経路65]
搬送経路65は、図2に示されるように、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部からプリンタ部11の後方側に延びる経路である。また、搬送経路65は、プリンタ部11の後方側において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、図2及び図3に示されるように、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。なお、搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、図2に示されるように、記録部24より搬送向き16の上流側に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、図2に示されるように、記録部24より搬送向き16の下流側に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
[記録部24]
記録部24は、図2に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。また、記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。すなわち、記録部24は、搬送経路65より上下方向7の上方で、且つ搬送経路65に対面する配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
キャリッジ23は、図3に示されるように、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。このベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動される。すなわち、ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より左右方向9の右方及び左方にまで及ぶ。
また、キャリッジ23からは、インクタンク100及び記録ヘッド39を接続するインクチューブ32と、制御部(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。インクチューブ32は、インクタンク100に貯留されたインクを記録ヘッド39に供給する。より詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32M、32C、32Y(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)がインクタンク100から延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23に接続されている。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
記録ヘッド39は、図2に示されるように、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39及び記録ヘッド39を搭載するキャリッジ23の下面から露出されている。以下、ノズル40の先端が露出された面を「ノズル面」と表記することがある。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
[プラテン42]
プラテン42は、図2及び図3に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向するようにして配置されており、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下側から支持する。
[インクタンク100]
インクタンク100は、図1に示されるように、筐体14の内部に収容されている。インクタンク100は、複合機10から容易に取り外すことができないように、複合機10に固定されている。
インクタンク100の前面は、筐体14の前壁14Aに形成された開口22を通じて、複合機10の外部に露出される。開口22は、左右方向9において、開口13と隣接している。また、筐体14には、開口22を覆う閉位置(図1(A)参照)と、開口22を露出させる開位置(図1(B)参照)との間を回動可能なカバー70が設けられている。カバー70は、上下方向7の下端側において左右方向9に延びる回動軸70A周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。回動軸70Aは、カバー70が開口22を閉じているときに(図1(A)に示されている状態)、カバー70の上端71よりも下端72に近い位置に設けられている(図16参照)。
インクタンク100は、図4及び図5に示されるように、概ね直方体の外形を呈する。インクタンク100は、前壁101と、右壁102と、左壁103と、上壁104と、下壁105とを有する。前壁101は、下壁105から概ね上下方向7に延びる立壁101Aと、立壁101Aの上端に接続され且つ上下方向7及び前後方向8に対して傾斜された傾斜壁101Bとで構成されている。また、後述するインク室111の底面を構成する下壁105の上面は、右方に下り傾斜している。一方、インクタンク100の後面は開放されている。そして、右壁102、左壁103、上壁104、下壁105の後端面にフィルム106が溶着されることによって、インクタンク100の後面が封止される。すなわち、フィルム106は、インクタンク100の後壁を構成する。
[インク室111]
インクタンク100の内部には、図5に示されるように、内部空間を区画する複数の隔壁107、108、109が設けられている。隔壁107、108、109は、各々が上下方向7及び前後方向8に延設されており、前壁101、上壁104、下壁105、及びフィルム106に接続されている。また、隔壁107〜109は、左右方向9に離間して設けられている。その結果、インクタンク100の内部空間は、左右方向9に隣接する4つのインク室111B、111M、111C、111Yに区画される。インク室111は、ノズル40から吐出されるインクを貯留する液体貯留室の一例である。
インク室111Bは、前壁101、右壁102、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁107によって画定される空間である。インク室111Mは、前壁101、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁107、108によって画定される空間である。インク室111Cは、前壁101、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁108、109によって画定される空間である。インク室111Yは、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁109によって画定される空間である。
以下、インク室111B、111M、111C、111Yを総称して、「インク室111」と表記することがある。また、各インク室111に対応して4つ設けられた構成要素には、末尾のアルファベット(B、M、C、Y)のみが異なる参照番号を付し、これらを総称する場合に当該アルファベットを省略して表記することがある。
各インク室111には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、インク室111Bにはブラックインクが貯留され、インク室111Cにはシアンインクが貯留され、インク室111Mにはマゼンタインクが貯留され、インク室111Yにはイエローインクが貯留される。各色インクは、液体の一例である。但し、インク室111の数及びインクの色は上記の例に限定されない。インク室111は、左右方向9に沿って配置されている。また、4つのインク室111B、111M、111C、111Yの中で、インク室111Bが最も右側に配置され、インク室111Yが最も左側に配置されている。さらに、インク室111Bは、他のインク室111M、111C、111Yより容積が大きい。
[注入口112]
インクタンク100の傾斜壁101Bには、各インク室111にインクを注入するための注入口112B、112M、112C、112Yが左右方向9に一列に並んで設けられている。注入口112は、傾斜壁101Bを厚み方向に貫通して、対応するインク室111をインクタンク100の外部に連通させる。傾斜壁101Bは、その内面がインク室111に面し、外面がインクタンク100の外部に面している。したがって、注入口112は、インク室111とインクタンク100の外部とを直接連通させる。すなわち、注入口112とインク室111との間には、注入口よりも断面積が小さく、且つ屈曲しているような流路は存在しない。
傾斜壁101B及び傾斜壁101Bに設けられた注入口112は、図1(B)に示されるように、カバー70を開位置に位置させることによって、開口22を通じて複合機10の外部に露出される。本実施形態において、注入口112を通じてインク室111にインクが注入される際のインクタンク100の姿勢(注入姿勢)は、複合機10が使用姿勢にあるときのインクタンク100の姿勢と一致する。すなわち、複合機10が使用姿勢にあるときに、注入口112を通じてインク室111にインクが注入される。
注入口112は、インクタンク100の傾斜壁101Bに形成されているので、筐体14の外側且つ斜め上方を向いている。換言すると、注入口112を含む仮想平面は傾斜壁101Bに沿っており、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜しており、且つ、仮想平面に直交して注入口112からインクタンク100の外方へ向く向きは斜め上方である。
インクタンク100は、注入口112に対して着脱可能なキャップ113B、113M、113C、113Yを有する。図1(A)に示されるように、注入口112に取り付けられたキャップ113は、注入口112の周縁に密着して注入口112を閉塞させる。一方、図1(B)に示されるように、注入口112から取り外されたキャップ113は、注入口112を開放する。キャップ113は、カバー70を開位置に位置させた状態で、注入口112に対して着脱される。また、キャップ113を注入口112から取り外すことによって、インク室111にインクが注入可能となる。
[インク流出路114]
各インク室111には、図6〜図9に示されるように、インク流出路114B、114M、114C、114Y(液体流出路の一例)が接続されている。インク流出路114は、対応するインク室111に貯留されたインクをインクタンク100の外部に流出させる流路である。本実施形態におけるインク流出路114は、対応するインク室111からインクタンク100の右側面(すなわち、右壁102の外面)に至る流路である。
インク流出路114Yは、図7に示されるように、インク室111Yの右面を画定する隔壁109の下端付近に設けられた開口115Yを通じてインク室111Yに連通されている。また、インク流出路114Yは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Yを通じてインクタンク100の右側面に至る。より詳細には、インク流出路114Yは、図9(A)に示されるように、インク室111B、111M、111Cの前方側において開口115Yから左右方向9に沿って右方に延設され、右壁102を貫通して開口116Y(すなわち、インクタンク100の右側面)に至る。
インク流出路114Cは、図7に示されるように、インク室111Cの右面を画定する隔壁108の下端付近に設けられた開口115Cを通じてインク室111Cに連通されている。また、インク流出路114Cは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Cを通じてインクタンク100の右側面に至る。より詳細には、インク流出路114Cは、図9(A)に示されるように、インク室111B、111Mの前方側において開口115Cから左右方向9に沿って右方に延設され、右壁102を貫通して開口116Cに至る。
インク流出路114Mは、図7に示されるように、インク室111Mの右面を画定する隔壁107の下端付近に設けられた開口115Mを通じてインク室111Mに連通されている。また、インク流出路114Mは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Mを通じてインクタンク100の右側面に至る。より詳細には、インク流出路114Mは、図9(A)に示されるように、インク室111Bの前方側において開口115Mから左右方向9に沿って右方に延設され、右壁102を貫通して開口116Mに至る。
インク流出路114Bは、図7に示されるように、インク室111Bの右面及び底面を画定する右壁102及び下壁105の境界付近に設けられた開口115Bを通じてインク室111Bに連通されている。開口115Bの上方には、開口115Bへのインクの流入向き(すなわち、上下方向7の下向き)に交差する隔壁110が設けられている。また、インク流出路114Bは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Bを通じてインクタンク100の右側面に至る。
インク流出路114Bは、図6に示されるように、開口115Mから前後方向8に沿って前方に延設され、インク流出路114M、114C、114Yより前方で右壁102を貫通して開口116Bに至る。また、前後方向8に延びるインク流出路114Bは、左右方向9に延びるインク流出路114M、114C、114Yと交差している。より詳細には、インク流出路114Bは、左右方向9に延びるインク流出路114M、114C、114Yの下方を前方に向かって延びている。
すなわち、対応するインク室111B、111M、111C、111Yとインク流出路114B、114M、114C、114Yとを接続する開口115B、115M、115C、115Yは、図7に示されるように、それぞれ、インク室111B、111M、111C、111Yの上下方向7の中央より下寄りで、前後方向8の中央より前寄りで、且つ左右方向9の中央より右寄りに設けられている。また、開口116B、116M、116C、116Yは、図8に示されるように、インクタンク100の右側面におけるインクタンク100の上下方向7の中央より下寄りで、且つ前後方向8の中央より前寄りの位置に設けられている。より詳細には、開口116は、インクタンク100の右側面の前方側から後方側へ向かって、開口116B、116Y、116C、116Mの順に前後方向8に隣接して設けられている。
なお、インク室111の上下方向7の中央とは、インク室111の上下方向7に沿った最大寸法(本実施形態では、上壁104と下壁105との間の上下方向7に沿った最大寸法)の中央である。インク室111の前後方向8の中央とは、インク室111の前後方向8に沿った最大寸法(本実施形態では、前壁101とフィルム106との間の前後方向8に沿った最大寸法)の中央である。インク室111の左右方向9の中央とは、インク室111の左右方向9に沿った最大寸法(本実施形態では、互いに隣接する隔壁107〜109の間、または、右壁102もしくは左壁103と隣接する隔壁107〜109との間の左右方向9に沿った最大寸法)の中央である。同様に、インクタンク100の上下方向7の中央とは、インクタンク100の上下方向7に沿った最大寸法の中央である。インクタンク100の前後方向8の中央とは、インクタンク100の前後方向8に沿った最大寸法の中央である。
また、開口115から開口116までの各インク流出路114の容積は、互いに異なる。本実施形態では、開口115Y、116Yの間のインク流出路114Yの容積が最も大きく、開口115C、116Cの間のインク流出路114Cの容積が2番目に大きく、開口115M、116Mの間のインク流出路114Mの容積が3番目に大きく、開口115B、116Bの間のインク流出路114Bの容積が最も小さい。インク流出路114の容積が異なる原因は様々であるが、例えば、左右方向9におけるインク流出路114の長さ、或いは左右方向9に直交するインク流出路114の断面積の違い等に起因する。
さらに、インク流出路114から流出されるインクの単位時間当たりの最大流出量は、記録ヘッド39のノズル40から吐出されるインクの単位時間当たりの最大吐出量より大きく設定される。最大流出量は、例えば、左右方向9に直交するインク流出路114の断面積によって決定される。
[インク導出路117、戻り流路119]
インクタンク100の右側面には、図8に示されるように、インク導出路117B、117M、117C、117Y(液体導出路の一例)が設けられている。インク導出路117B、117M、117C、117Yは、一端が開口116B、116M、116C、116Yの位置で対応するインク流出路114B、114M、114C、114Yに接続され、他端が連結部118B、118M、118C、118Yに接続されている。インクタンク100の上壁104に突設された連結部118には、各色のインクに対応した4本のインクチューブ32B、32M、32C、32Y(図3参照)が連結される。すなわち、インク導出路117は、対応するインク流出路114を通じてインク室111から流出されたインクを、対応する連結部118に連結されたインクチューブ32を通じて記録ヘッド39に導く流路である。なお、各インク導出路117及び各インクチューブ32の容積は、概ね同一である。
また、インクタンク100の右側面には、図8及び図9(B)に示されるように、戻り流路119B、119M、119C、119Yが設けられている。戻り流路119B、119M、119C、119Yは、一端が開口116B、116M、116C、116Yの位置でインク流出路114B、114M、114C、114Yに接続され、他端が開口120B、120M、120C、120Yを通じて、対応するインク室111に連通されている。なお、開口116、120は、上下方向7において異なる位置に設けられている。より詳細には、開口120は、対応する開口116より上下方向7の上方に設けられている。
また、開口120は、対応するインク室111の上下方向7の中央より上寄りに設けられている(但し、開口120Bを除く)。より好ましくは、開口120は、対応するインク室111内のインクの液面よりも上方となる位置に設けられている(但し、開口120Bを除く)。また、開口120は、対応する開口116より前後方向8の後方(第3向きの一例)に設けられている(但し、開口120Bを除く)。また、開口120は、対応する開口116より左右方向9の左方(第4向きの一例)に設けられている。すなわち、戻り流路119は、開口116から上下方向7の上方及び前後方向8の後方に延び、さらに、左右方向9の左方に延びて開口120に至る(但し、戻り流路119Bを除く)。
インクタンク100の右壁102には、図8に示されるように、複数の突壁121A〜121I(これらを総称して、「突壁121」と表記することがある。)が設けられている。突壁121は、右壁102の外面(右側面)から右方に突出し、且つ右壁102の外面に沿って延設されている。また、各突壁121の右側先端には、フィルム122が溶着されている。本実施形態における突壁121A〜121Iには、単一(共通)のフィルム122が溶着されている。インク導出路117及び戻り流路119は、隣接する突壁121A〜121Hとフィルム122とで区画される空間を指す。
インク導出路117Bを区画する突壁121A、121Bは、開口116Bを挟む位置から後方に延び、さらに上方に延びてインクタンク100の上端部に至る。インク導出路117Yを区画する突壁121C、121D、インク導出路117Cを区画する突壁121E、121F、及びインク導出路117Mを区画する突壁121G、121Hは、対応する開口116Y、116C、116Mを挟む位置から下方に延び、さらに開口116Y、116C、116Mの後方側を上方に延びてインクタンク100の上端部に至る。すなわち、インク導出路117Y、117C、117Mは、開口116Y、116C、116Mの下部(「上下方向7の中央より下方」を指す。)において対応するインク流出路114Y、114C、114Mに接続されている。さらに、各インク導出路117は、インクタンク100の内部において上下方向7及び左右方向9に延びる空間(図示省略)を通じて対応する連結部118に接続される。
戻り流路119Bを区画する突壁121A、121B、戻り流路119Yを区画する突壁121B、121C、戻り流路119Cを区画する突壁121D、121E、及び戻り流路119Mを区画する突壁121F、121Gは、対応する開口116を挟む位置から上方に延びる。すなわち、戻り流路119は、開口116の上部(「上下方向7の中央より上方」を指す。)において対応するインク流出路114に接続されている。そして、各戻り流路119Bは、図9(B)に示されるように、インクタンク100の内部を左右方向9の左方に延びて、開口120を通じて対応するインク室111に連通される。
なお、本実施形態では、戻り流路119Y、119C、119Mの流路抵抗は、対応するインク流出路114Y、114C、114Mの流路抵抗より大きく設定される。流路抵抗を変化させる方法は様々であるが、例えば、流路長を長くする、流路の断面積を小さくする、或いはこれらを組み合わせることによって、流路抵抗を大きくすることができる。
[付加インク室123]
さらに、インクタンク100の右側面には、図8に示されるように、付加インク室123(付加貯留室)が設けられている。付加インク室123は、周方向に連続する突壁121H、121Iとフィルム122とで区画された空間である。付加インク室123は、右壁102を貫通する貫通孔123A、123Bによってインク室111Bに連通されている。貫通孔123Bは、貫通孔123Aより上下方向7の上方に設けられている。付加インク室123には、付加インク室123の下端を画定する突壁121Iの一部が貫通孔123Aの前方、後方、及び下方を囲むことによって被検出部124が形成されている。
[光学センサ125]
複合機10は、図4及び図8に示されるように、被検出部124を挟んで前後方向8に対面する発光部125A及び受光部125Bを有する光学センサ125を備える。発光部125Aは、突壁121Iを透過し且つブラックインクを透過しない光(例えば、可視光や赤外光)を、受光部125Bへ向けて出力する。受光部125Bは、発光部125Aから出力された光を受光したことに応じて、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値以上の信号」を指す。)を、制御部へ出力する。一方、受光部125Bは、光を受光しないことに応じて、ローレベル信号(「信号レベルが閾値未満の信号」を指す。)を、制御部へ出力する。
[大気連通路126]
各インク室111には、図10に示されるように、大気連通路126B、126M、126C、126Yが接続されている。大気連通路126は、対応するインク室111を大気に連通させる。より詳細には、大気連通路126は、切欠き127を通じて対応するインク室111に連通され、開口132を通じてインクタンク100の外部に連通されている。そして、大気連通路126は、切欠き127、第1貫通孔128、ラビリンス129、第2貫通孔130、気体通路131、及び開口132を通じて、インク室111とインクタンク100の外部との間で空気を流出入させる。
切欠き127は、対応するインク室111の上下方向7の中央より上寄りで、前後方向8の中央より後寄りで、且つ左右方向9の中央より左寄りに設けられている。より詳細には、切欠き127Bは、上壁104、フィルム106、及び隔壁107によって画定されている。切欠き127Mは、上壁104、フィルム106、及び隔壁108によって画定されている。切欠き127Cは、上壁104、フィルム106、及び隔壁109によって画定されている。切欠き127Yは、上壁104、フィルム106、及び左壁103によって画定されている。すなわち、本実施形態における切欠き127は、対応するインク室111の上端、後端、及び左端に設けられている。
また、第1貫通孔128には、半透膜133が貼付される。半透膜133は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる。さらに、第1貫通孔128、ラビリンス129、及び第2貫通孔130の上方は、フィルム134によって覆われる。
[隔壁135]
インク室111の内部には、図7及び図9に示されるように、前後方向8及び左右方向9に広がる隔壁135B、135M、135C、135Yが設けられている。本実施形態の隔壁135は、概ね水平方向に延設されているが、隔壁135の向きはこれに限定されない。例えば、隔壁135は、前後方向8の後ろ向きに下り傾斜していてもよい。
隔壁135Bは、立壁101A、右壁102、フィルム106、及び隔壁107に接続されている。隔壁135Mは、立壁101A、フィルム106、及び隔壁107、108に接続されている。隔壁135Cは、立壁101A、フィルム106、及び隔壁108、109に接続されている。隔壁135Yは、立壁101A、左壁103、フィルム106、及び隔壁109に接続されている。すなわち、隔壁135は、インク室111の内部において注入口112より下方に設けられている。そして、隔壁135は、対応するインク室111の一部を上下方向7に隔てている。すなわち、隔壁135は、上壁104及び下壁105から離間しており、隔壁135の上下方向7の上方及び下方には空間が存在する。隔壁135B、135M、135C、135Yの形状は概ね共通するので、以下、図11及び図12を参照して、隔壁135Mについて詳しく説明する。
隔壁135Mは、図11に示されるように、交差領域に少なくとも設けられている。一例として、交差領域とは、注入口112Mを通り且つ傾斜壁101Bに直交する仮想線(図11の破線)と交差する領域と定義できる。他の例として、交差領域とは、注入口112Mを通り且つ注入口112Mの貫通方向に延びる仮想線と交差する領域と定義できる。さらに他の例として、交差領域とは、注入口112Mを通じてインク室111Mに進入して位置決めされたインクボトル136の供給口137から流出されるインクの流出方向と交差する領域と定義できる。すなわち、隔壁135Mは、注入口112Mを通じてインク室111Mに流入するインクが通過する領域に設けられる。換言すれば、注入口112Mを通じてインク室111Mに注入されたインクの大部分は、隔壁135Mにぶつかる。
また、隔壁135Mは、図12に示されるように、交差領域より前後方向8の前方側(すなわち、水平方向における注入口112Mに近い側)の全域に設けられている。換言すれば、隔壁135は、交差領域より前方側において立壁101A及び隔壁107、108に隙間なく接続するように連続的に延びている。すなわち、隔壁135Mは、交差領域より前方側の全域においてインク室111Mを上下方向7に隔てている。また、隔壁135Mは、交差領域より前後方向8の後方側(すなわち、水平方向における注入口112から遠い側)にも延びている。しかしながら、交差領域より後方側の隔壁135Mは、その一部が開口されている。隔壁135Mに設けられた開口の面積(図12の例では、左右方向9の開口幅)は、注入口112Mから遠ざかるほど大きくなっている。また、開口の形状は、隔壁135Mに沿って注入口112Mから遠ざかる向き(すなわち、前後方向8の後向き)に対して対称である。本実施形態における開口の形状は、頂点を前方に向けた二等辺三角形である。
[キャップ113]
図1に示されるように、キャップ113は、インクタンク100の注入口112に着脱可能である。キャップ113は、インクタンク100の4つの注入口112B,112M,112C,112Yに対応して4つのキャップ113B、113M、113C、113Yがあるが、各キャップ113B、113M、113C、113Yの形状は同一なので、以下、キャップ113と総じて詳細な構成が説明される。
図13に示されるように、キャップ113は、概ね円盤形状の円盤部141の中央から摘み部142及び凸部143が相反する向きにそれぞれ突出された外形である。キャップ113は、ゴムやエラストマーのように弾性変形可能な素材から成形されている。円盤部141は、表面141Aにおいて中央付近が窪んでおり、表面141Aの中央から摘み部142が表面141Aと直交する方向に沿って突出されている。表面141Aにおける窪みは、摘み部142の長手方向の長さを長くして持ちやすくするために形成されている。裏面141Bは平面である。裏面141Bは、注入口112の周縁部分に当接可能である。
摘み部142は概ね円柱形状であり、その先端部の外径が基端部(表面141A側の部分)の外径より大きい。先端部の外径が大きくされているのは、摘み部142を持ってキャップ113を注入口112から引き抜くときに指が引っ掛かりやすくするためである。
凸部143は概ね円筒形状であり、円盤部141の裏面141Bの中央から裏面141Bと直交する方向に沿って突出されている。凸部143の外径は、注入口112の内径より若干大きい。したがって、凸部143は、外径が縮径するように弾性変形しつつ注入口112へ挿入される。凸部143が注入口112へ挿入された状態において、凸部143の外面143Aは、注入口112の内面と圧接して、注入口112を液密に封止する。凸部143の先端の中央には裏面141Bへ向かって凹部144が形成されている。凹部144によって、凸部143の外面143Aが径方向内側へ倒れ込みやすくなり、凸部143が注入口112へ挿入しやすくなる。
[カバー70]
図1,14に示されるように、カバー70は、筐体14の前壁14Aに形成された開口22を開閉可能に設けられている。カバー70は、複合機10が載置される載置面6に沿った方向、具体的には、左右方向9に沿って延びる回動軸70A周りに回動する。カバー70は、開口22に対応した大きさの外形であり、開口22側が開口する箱形状である。カバー70は、閉位置において、インクタンク100の前壁101の立壁101A及び傾斜壁101Bを覆う。カバー70は、開位置において、インクタンク100の前壁101の立壁101A及び傾斜壁101Bを筐体14の外部へ露出させる。図16〜18に示されるように、カバー70は、閉位置において筐体14の前壁14Aの一部をなす外面70Bと、インクタンク100と対向する内面70Cと、を有する。カバー70の上端71側には、内面70Cから筐体14側へ突出する係合部73が設けられている。係合部73は、筐体14の開口22の上端付近と係合することにより、カバー70を閉位置に保持する。
閉位置のカバー70において上下方向7及び左右方向9の中央には、窓74が形成されている。窓74は、カバー70の外面70B側と内面70C側との間において光が透過可能なものであり、例えば、開口に可視光が透過可能な透明な素材が嵌め込まれることによって構成されている。窓74は、上下方向7においてインクタンク100の前壁101の立壁101Aの下端より上側と傾斜壁101Bの上端より下側とを、筐体14の前壁14A側から視認可能な大きさであり、かつ左右方向9において前壁101の左端及び右端以外を視認可能な大きさである。
なお、窓74は開口のみから構成されてもよいが、その場合は、窓74の大きさは、カバー70が閉位置にあるときに、窓74を介してインクタンク100の注入口112を塞ぐキャップ113へアクセスが不可能な大きさであることが好ましい。例えば、窓74が開口のみから構成されている場合には、窓74は、上下方向7においてインクタンク100の前壁101の立壁101Aの下端より上側と立壁101Aの上端より下側とを、筐体14の前壁14A側から視認可能な大きさであることが好ましい。
カバー70の内面70Cにおいて、カバー70が閉位置にあるときに窓74より下端72側、すなわち上端71より下端72に近い位置には、保持部75が設けられている。保持部75は、4つのキャップ113B、113M、113C、113Yに対応して、4つの保持部75B,75M,75C,75Yが、左右方向9に沿って一例に設けられている。開位置のカバー70において、4つの保持部75B,75M,75C,75Yは、4つの注入口112B,112M,112C,112Yに対して左右方向9の右側へ若干ずれて配置されている。しかしながら、保持部75B,75M,75C,75Yの位置は、これに限らず、左右方向9において、注入口112B,112M,112C,112Yと対応する位置であってもよい。
4つの保持部75B,75M,75C,75Yは左右方向9の配置が異なる他は同じ構成なので、以下、保持部75と総じて詳細な構成が説明される。保持部75は、図14〜17に示されるように、カバー70の内面70Cから突出する円柱形状である。保持部75の外径は、キャップ113の凸部143の外径より大きい。保持部75には、突出端側に開口した円形の凹部76(液体貯留部の一例)が形成されている。凹部76の底面の中心からは、保持部75の突出端側へ延びる凸部79が設けられている。凹部76には、キャップ113の凸部143が挿入可能である。キャップ113の凸部143はが保持部75の凹部76に挿入されると、保持部75の凸部79がキャップ113の凹部144に挿入される。凹部76の内径は凸部143の外径と同等であり、凸部79の外径は凹部114の内径と同等である。凹部76にキャップ113の凸部143が挿入された状態において、凸部143の外面143Aは凹部76の内面と、キャップ113が自重により保持部75から抜け落ちない程度の摩擦力が生ずるように当接する。したがって、キャップ113は、カバー70が開位置から閉位置へ回動されたときにも、凹部76に挿入された状態に保持される。また、凹部76に進入したインクは、表面張力によって、カバー70が閉位置となったときにも、凹部76内、具体的には、凹部76の内面と凸部79の外面との間に貯留される。
カバー70の内面70Cであって保持部75の周囲には、インクパッド77(液体保持部材の一例)が設けられている。インクパッド77は、インクを吸収して保持可能な3次元網目構造をした不織布などである。なお、インクパッド77は、保持部75の凹部76内に配置されていてもよい。また、インクパッド77には、各保持部75が、各インク色のいずれに対応したものであるかを示す表示が記載されていてもよい。
[センサ80]
図14に示されるように、筐体14の開口22の上右隅には、センサ80が設けられている。センサ80はメカニカルスイッチである。センサ80は、閉位置のカバー70と当接することによってON状態となり、カバー70が閉位置から回動されて離れることによってOFF状態となる。図15に示されるように、センサ80は、ON状態のときにプリンタ部11の制御部90(判定部の一例、不図示)にON状態を示す信号を出力する。制御部90は、制御基板に実装されたCPU、ROM、RAM、ASICなどからなる演算装置であり、センサ80の出力信号に応じてカバー70が閉位置にないことを判定する。つまり、センサ80がON状態でないとき、換言すればセンサ80がOFF状態であるときに、カバー70が閉位置にないと判定する。制御部90は、カバー70が閉位置に無いと判定したことに応じて、操作パネル17の液晶ディスプレイ17Bにカバー70が閉位置にないことを示す表示を表示させる。なお、制御部90は、液晶ディスプレイ17Bの表示に代えて或いは加えて、スピーカ(不図示)にブザー音を発生させたり、警告を示すLEDランプを点灯させたりしてもよい。
[保持部75へのキャップ113の取り付け]
複合機10が使用可能な状態(使用状態)にあるときには、図1(A)及び図16に示されるように、インクタンク100の注入口112はキャップ113により封止されており、筐体14の前壁14Aの開口22は、閉位置のカバー70により閉じられている。なお、複合機10が使用状態にあるとき、前壁14Aは複合機10が載置されている載置面6と交わる方向へ延びている。
インクタンク100の各インク室111においてインクが消費されると、図14に示されるように、ユーザは、カバー70を閉位置から開位置へ回動して、筐体14の前壁14Aの開口22を通じてインクタンク100の注入口112へアクセスが可能な状態にする。カバー70が閉位置から回動されることによって、センサ80がON状態からOFF状態となり、センサ80の出力信号に応じて、制御部90はカバー70が閉位置にないと判定する。そして、制御部90は、操作パネル17の液晶ディスプレイ17Bにカバー70が閉位置にないことを表示させる。
カバー70を開位置まで回動した後、ユーザは、インクを補充すべきインク室111に対応するキャップ113を注入口112から引き抜く。そして、図17に示されるように、ユーザは、引き抜いたキャップ113を、インクを補充すべきインク室111に対応する保持部75の凹部76に挿入する。これにより、注入口112から取り外されたキャップ113が保持部75に保持される。
ユーザは、図11に示されるように、注入口112にインクボトル136の供給口137を挿入して、インク室111へインクを補充する。インクの補充を終えた後、ユーザは、保持部75からキャップ113を取り外し、注入口112にキャップ113を挿入して注入口112を封止する。その後、カバー70を開位置から閉位置へ回動する。カバー70が閉位置となると、センサ80がOFF状態からON状態となり、センサ80の出力信号に応じて、制御部90はカバー70が閉位置にあると判定する。そして、制御部90は、操作パネル17の液晶ディスプレイ17Bに、カバー70が閉位置にない旨の表示を消失させる。
仮に、ユーザが、インク室111へインクを補充した後、注入口112をキャップ113にて封止せずに、保持部75にキャップ113を保持させた状態で、カバー70を開位置から閉位置へ回動しようとしたとする。保持部75に保持されたキャップ113は、カバー70の移動領域に位置しているので、図18に示されるように、カバー70が開位置から閉位置へ到達する前に、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aと接触する。すなわち、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aとカバー70の内面70Cとの間に介在することになる。これにより、カバー70が閉位置へ回動することが阻害される。
図18に示されるように、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aと接触したときに、カバー70の回動軸70Aと上端71とを最短距離で結ぶ仮想直線78と、複合機10が載置されている載置面6とがなす開位置側の角度A、すなわち筐体14の前壁14Aの表面側の角度Aは、90度未満である。これにより、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aと接触した状態から、ユーザがカバー70から手を離すと、重力の作用によって、カバー70が開位置へ回動する。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態に係る複合機10によれば、保持部75にキャップ113が保持されることによって、キャップ113が載置面6に置かれて載置面6が汚れたり、キャップ113を紛失したりすることが防止される。また、保持部75に保持されたキャップ113がカバー70の移動領域に位置して、カバー70が開位置から閉位置へ到達する前に、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aとカバー70の内面70Cとの間に介在するので、インクタンク100の注入口112がキャップ113により塞がれない状態のままで複合機10が使用されることが抑制される。
また、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aと接触したときに、仮想直線78と載置面6とがなす開位置側の角度Aが90度未満なので、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aと接触した状態から、ユーザがカバー70から手を離すと、重力の作用によって、カバー70が開位置へ回動する。これにより、ユーザにキャップ113の付け忘れを認識させることができる。
また、保持部75は、カバー70の内面70Cにおいて上端71よりも下端72に近い位置に配置されているので、保持部75に保持されたキャップ113がインクタンク100の前壁101の立壁101Aと接触するときの、仮想直線78と載置面6とがなす開位置側の角度を小さくすることができる。これにより、ユーザは、カバー70を閉位置から開位置へ動かしてから早い段階で、カバー70が回動しないことによりキャップ113の付け忘れを認識することができる。また、カバー70の回動過程において、保持部75からキャップ113が脱落し難くなる。
また、保持部75は、窓74より回動軸70Aに近い位置にあるので、仮に保持部75からインクが内面70Cに沿って垂れ落ちたとしても、窓74がインクで汚れることがない。
また、保持部75に凹部76が設けられているので、キャップ113から凹部76へ進入したインクが保持部75から垂れ落ちにくい。
また、保持部75の周囲にインクパッド77が設けられているので、仮に保持部75からインクが垂れ落ちたとしても、そのインクがインクパッド77以外の部材まで流れることが防止される。
また、保持部75はインク色に対応して複数が設けられているので、保持部75にて複数のキャップ113にそれぞれ付着した複数色のインクが混合することがない。
また、カバー70が閉位置にあることをセンサ80の出力信号に応じて制御部90が判定するので、例えば、操作パネル17の液晶ディスプレイ17Bにおいて、ユーザにカバー70を閉めるように警告を表示したり、カバー70が閉位置でない状態のままでプリンタ部11が動作することを制限したりすることができる。
[変形例]
前述された実施形態では、カバー70の内面70Cに保持部75が設けられているが、内面70Cに代えて、インクタンク100の前壁101に保持部75が設けられてもよい。また、キャップ113が保持部75に保持されているときに、キャップ113がカバー70の移動領域に位置するのであれば、保持部75は筐体14に設けられてもよい。また、回動軸70A周りに回動するカバー70に代えて、図19に示されるように、インクタンク100が筐体14の開口22から突出(図19(C))及び退避(図19(B))するように移動可能に構成されてもよい。このような構成において、注入口112及び保持部75は、インクタンク100の上壁104に設けられる。つまり、この例では、インクタンク100の上壁104と対向する筐体14の一部がカバーとなる。インクタンク100が退避状態のとき、カバーとしての筐体14の一部は、注入口112が形成された上壁104を覆う閉位置にある。インクタンク100が突出状態のとき、カバーとしての筐体14の一部は、注入口112が形成された上壁104を露出させる開位置にある。インクタンク100が突出状態から退避状態に移動すると、カバーとしての筐体14の一部は、開位置から閉位置へ移動することとなる。すなわち、カバーがインクタンク100に対して移動するとは、カバー及びインクタンク100の少なくとも一方が他方に対して相対移動することを含む。
図19(C)に示されるように、インクタンク100が筐体14の開口22から突出した状態において、すなわち、カバーとしての筐体14の一部が開位置にあるときに、注入口112に対してキャップ113を取り付け又は取り外し可能となる。また、図19(D)に示されるように、保持部75にキャップ113を保持させることができる。保持部75にキャップ113を保持させた状態において、インクタンク100を突出状態から退避状態へ移動させると、キャップ113が筐体14の開口22の周縁に当接して、インクタンク100が退避状態となることが阻害される。すなわち、保持部75に保持されたキャップ113が、カバーとしての筐体14の一部の移動領域に位置するので、カバーとしての筐体14の一部が閉位置に移動することが阻害される。
また、保持部75の形状は適宜変更されてもよい。例えば、カバー70の内面70Cかた突出する凸部79のみで保持部が構成されており、キャップ113の凹部144に凸部79が挿入されることにより、キャップ113を保持可能であってもよい。また、保持部75は、キャップ113の凸部143を囲う連続した環状(円形状、楕円形状、矩形状)の壁であってもよいし、キャップ113の凸部143を囲う互いに離隔した複数の壁であってもよい。
また、保持部75の配置は適宜変更されてもよい。例えば、カバー70の左右方向9に沿った寸法が十分に長ければ、窓74の左右方向9の右側又は左側の窓74とは重複しない位置に保持部75が配置されてもよい。
また、キャップ113の形状は適宜変更されてもよい。例えば、インクタンク100の注入口112に挿入されるものではなく、注入口112の周囲に形成された円筒状の突起に外嵌される形状であってもよいし、注入口112の周囲に形成された雄ネジと、キャップ113に形成された雌ネジが螺合されることにより、注入口112を封止する構成であってもよい。
また、前述された実施形態では、筐体14の前壁14Aの右側に開口22が形成され、開口22の後方にインクタンク100が配置されているが、前壁14Aの左側に開口22が形成され、その開口22の後方にインクタンク100が配置されてもよい。また、筐体14の前壁14Aに代えて、右側壁又は左側壁に開口22が形成され、インクタンク100の注入口112に右方又は左方からアクセス可能であってもよい。
さらに、前述された実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等を液体としてもよい。
11 プリンタ部(液体消費装置)
14 筐体
14A 前壁(側壁)
17B 液晶ディスプレイ(報知部)
22 開口
70 カバー
70A 回動軸
70C 内面
71 上端(第1端)
72 下端(第2端)
74 窓
75 保持部
76 凹部(液体貯留部)
77 インクパッド(液体保持部材)
80 センサ
100 インクタンク
101 前壁
111 インク室(液体貯留室)
112 注入口
113 キャップ
114 インク流出路(液体流出路)
143 凸部

Claims (13)

  1. 液体が貯留される液体貯留室、上記液体貯留室に液体を注入するための注入口、及び上記液体貯留室から液体を流出させる液体流出路が形成されたタンクと、
    上記注入口を塞いだ状態で上記タンクに取り付け可能なキャップと、
    上記タンクの上記注入口が形成された面を覆う閉位置、及び上記タンクの上記注入口が形成された面を露出させる開位置との間で上記タンクに対して移動可能なカバーと、
    上記タンクから取り外された上記キャップを保持可能な保持部と、を具備しており、
    上記カバーは、上記保持部に上記キャップが保持された状態のときに、当該キャップが上記カバーの上記開位置から上記閉位置への移動領域に位置することによって、上記閉位置への移動が阻害されるものである液体消費装置。
  2. 上記保持部は、上記閉位置の上記カバーと対向する面、又は上記閉位置の上記カバーにおいて上記タンクと対向する内面に配置されている請求項1に記載の液体消費装置。
  3. 上記保持部は、上記タンクにおいて上記閉位置の上記カバーと対向する外面、又は上記閉位置の上記カバーにおいて上記タンクと対向する内面に配置されており、
    上記カバーは、上記保持部に上記キャップが保持された状態のときに、当該キャップが上記タンクの外面と上記カバーの内面との間に介在することによって、上記閉位置に移動できないものである請求項2に記載の液体消費装置。
  4. 開口を有する筐体を更に具備しており、
    上記タンクは、上記注入口が形成された面が上記開口からアクセス可能に上記筐体内に配置されている請求項1から3のいずれかに記載の液体消費装置。
  5. 上記筐体は、上記筐体が載置される載置面と交わる方向へ延びる側壁を有しており、
    上記開口は、上記側壁に形成されており、
    上記カバーは、上記閉位置にあるときに上端となる第1端と下端となる第2端とを有し、上記載置面に沿った回動軸が上記第1端よりも上記第2端に近い位置に設けられて当該回動軸周りに回動するものであり、
    上記保持部に保持された上記キャップが、対向する上記タンクの外面又は上記カバーの内面と接触したときに、上記回動軸と上記第1端とを最短距離で結ぶ仮想直線と上記載置面とがなす上記開位置側の角度は、90度未満である請求項4に記載の液体消費装置。
  6. 上記保持部は、上記カバーの内面において上記第1端よりも上記第2端に近い位置に配置されている請求項5に記載の液体消費装置。
  7. 上記カバーは、可視光が透過可能な窓を有するものであり、
    上記保持部は、上記窓より上記回動軸に近い位置、又は上記回動軸に沿った方向における位置が上記窓の位置とは重複しない位置に配置されている請求項6に記載の液体消費装置。
  8. 上記筐体は、上記筐体が載置される載置面と交わる方向へ延びる側壁を有しており、
    上記開口は、上記側壁に形成されており、
    上記カバーは、上記閉位置にあるときに上端となる第1端と下端となる第2端とを有し、上記載置面に沿った回動軸が上記第1端よりも上記第2端に近い位置に設けられ、当該回動軸周りに回動するものであり、且つ可視光が透過可能な窓を有するものであり、
    上記保持部は、上記カバーの内面に設けられており、上記窓よりは上記回動軸に近い位置、又は上記回動軸に沿った方向における位置が上記窓の位置とは重複しない位置に配置されている請求項4に記載の液体消費装置。
  9. 上記保持部に、上記カバーが閉位置であるときに液体を貯留可能な液体貯留部が設けられている請求項1から8のいずれかに記載の液体消費装置。
  10. 上記保持部又は上記保持部の周囲に、液体を保持可能な液体保持部材が配置されている請求項1から9のいずれかに記載の液体消費装置。
  11. 上記キャップは、上記注入口に挿入される凸部を有するものであり、
    上記保持部は、上記凸部を内側に受容する凹部を有するものである請求項1から10のいずれかに記載の液体消費装置。
  12. 上記タンクは、複数の上記液体貯留室と、複数の上記液体貯留室それぞれから液体を流出させる複数の上記液体流出路と、複数の上記液体貯留室それぞれへ液体を注入するための複数の上記注入口と、を有するものであり、
    上記キャップは、上記複数の注入口をそれぞれ塞ぐ複数のものであり、
    上記保持部は、上記複数のキャップにそれぞれ対応した複数のものである請求項1から11のいずれかに記載の液体消費装置。
  13. 上記カバーが上記閉位置にあるか否かを検出し、上記カバーが閉位置にあるか否かに応じた信号を出力するセンサと、
    上記センサの出力信号に基づいて、上記カバーが閉位置にないことを判定する判定部と、
    上記判定部の判定結果に基づいて報知を行う報知部と、を更に具備する請求項1から12のいずれかに記載の液体消費装置。
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