JP6390144B2 - タンク - Google Patents

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Description

本発明は、液体消費部に接続され、液体消費部に供給するための液体を注入口を通じて補充可能なタンクに関する。
従来より、液体消費部に接続され、液体消費部に供給するための液体を注入口を通じて補充可能なタンクが知られている。例えば特許文献1には、液体容器の上面に設けられた注入口に液体補充容器の補充口を挿入し、当該補充口を通じて液体補充容器内の液体を流出させることによって、液体容器内に液体を補充する構成が開示されている。
特開2012−106363号公報
しかしながら、特許文献1に開示された構成によれば、補充口から流出された液体が液体容器の底面に衝突して気泡を生じる可能性がある。そして、液体容器に貯留された液体の液面が上昇すると、気泡が注入口からあふれ出す可能性がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体を補充する際の気泡の発生を抑制したタンクを提供することにある。
(1) 本発明の一形態に係るタンクは、液体消費部に接続され、液体消費部に液体を供給するための液体が貯留される。該タンクは、液体が貯留される液体貯留室と、内面が上記液体貯留室に面し、外面が該タンクの外部に面する外壁と、上記液体貯留室に液体を注入するために上記外壁を貫通した注入口と、上記注入口を通じて上記液体貯留室に液体が注入される際の該タンクの注入姿勢において、上記液体貯留室の内部において上記注入口より下方に設けられており、上記液体貯留室の一部を上下方向に隔てる隔壁とを備える。そして、上記隔壁は、上記注入口を通り且つ上記外壁に直交する仮想線と交差する交差領域に少なくとも設けられている。
(2) 本発明の他の形態に係るタンクは、液体消費部に接続され、液体消費部に液体を供給するための液体が貯留される。該タンクは、液体が貯留される液体貯留室と、内面が上記液体貯留室に面し、外面が該タンクの外部に面する外壁と、上記液体貯留室に液体を注入するために上記外壁を貫通した注入口と、上記注入口を通じて上記液体貯留室に液体が注入される際の該タンクの注入姿勢において、上記液体貯留室の内部において上記注入口より下方に設けられており、上記液体貯留室の一部を上下方向に隔てる隔壁とを備える。そして、上記隔壁は、上記注入口を通り且つ上記注入口の貫通方向に延びる仮想線と交差する交差領域に少なくとも設けられている。
(3) 本発明のさらに他の形態に係るタンクは、液体消費部に接続され、液体消費部に液体を供給するための液体が貯留される。該タンクは、液体が貯留される液体貯留室と、内面が上記液体貯留室に面し、外面が該タンクの外部に面する外壁と、上記液体貯留室に液体を注入するために上記外壁を貫通した注入口と、上記注入口を通じて上記液体貯留室に液体が注入される際の該タンクの注入姿勢において、上記液体貯留室の内部において上記注入口より下方に設けられており、上記液体貯留室の一部を上下方向に隔てる隔壁とを備える。そして、上記隔壁は、上記注入口を通じて上記液体貯留室に進入しで位置決めされた液体供給容器の供給口から流出される液体の流出方向と交差する交差領域に少なくとも設けられている。
上記構成によれば、注入口を通じて液体貯留室に注入された液体は、隔壁にぶつかってから液体貯留室の下部に落下する。その結果、注入された液体の勢いが隔壁によって減殺されるので、液体貯留室の底面に衝突する液体から気泡が発生することを抑制できる。
本発明によれば、注入口を通じて液体貯留室に注入された液体の勢いが隔壁によって減殺されるので、液体貯留室の底面に衝突する液体から気泡が発生することを抑制できる。
図1は、複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー70が閉じた状態、(B)はカバー70が開いた状態を示す。 図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、キャリッジ23及びインクタンク100の配置を示す平面図である。 図4は、インクタンク100の前方斜視図である。 図5は、インクタンク100の後方斜視図である。 図6は、図4のVI−VIにおける断面図である。 図7は、図4のVII−VIIにおける断面斜視図である。 図8は、インクタンク100の右側面図である。 図9は、(A)が図8のIX(A)−IX(A)における断面図、(B)が図8のIX(B)−IX(B)における断面図である。 図10は、(A)がインクタンク100の平面図、(B)が(A)のB−Bにおける断面斜視図である。 図11は、図10(A)のXI−XIにおける断面図である。 図12は、図11のXII−XIIにおける断面図である。 図13は、インク室111Bの形状の他の例を示す図であって、(A)は中央より上側の容積が下側より大きい例、(B)は中央より後側の容積が前側より大きい例、(C)は中央より左側の容積が右側より大きい例を示す。 図14は、光学センサ125を受け入れる第1受入部138及び第2受入部139を備えたインクタンク100の前方斜視図である。 図15は、複合機10内におけるインクタンク100、100A、100B、100Cの配置図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態であって、「使用状態」と表記することがある。)若しくは姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。上向き及び下向きは、各々が上下方向7の一成分であって、互いに逆向きである。左向き及び右向きは、各々が左右方向9の一成分であって、互いに逆向きである。前向き及び後ろ向きは、各々が前後方向8の一成分であって、互いに逆向きである。また、本実施形態では、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
[複合機10の全体構成]
複合機10は、図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。プリンタ部11は、図2に示されるように、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、インクタンク100(タンクの一例)とを備えている。また、複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、液体吐出装置或いは液体消費装置の一例である。また、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55は、搬送機構の一例を構成する。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
給送トレイ20は、図1に示されるように、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に形成された開口13を通じて前後方向8にユーザによって複合機10に対して挿抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ部55によって記録部24とプラテン42との間から排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。給送部15は、図2に示されるように、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端側に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ(不図示)の逆転によって、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転する。以下、給送ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62が、用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20側へ回動付勢されている。
[搬送経路65]
搬送経路65は、図2に示されるように、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送経路65は、給送トレイ20の後端部からプリンタ部11の後方側に延びる経路である。また、搬送経路65は、プリンタ部11の後方側において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間における搬送経路65は、図2及び図3に示されるように、左右方向9における複合機10の概ね中央部に設けられており、且つ前後方向8に延びている。なお、搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、図2に示されるように、記録部24より搬送向き16の上流側に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ61を有する。搬送ローラ60は、搬送モータによって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて搬送向き16に搬送される。
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、図2に示されるように、記録部24より搬送向き16の下流側に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車63を有する。排出ローラ62は、搬送モータによって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。用紙12は、搬送モータの正転によって正回転する排出ローラ62及び拍車63に挟持されて搬送向き16に搬送される。
[記録部24]
記録部24は、図2に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。また、記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。すなわち、記録部24は、搬送経路65より上下方向7の上方で、且つ搬送経路65に対面する配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39(ヘッド或いは液体消費部の一例)とを備えている。
キャリッジ23は、図3に示されるように、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、プリンタ部11のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。このベルト機構は、キャリッジモータ(不図示)によって駆動される。すなわち、ベルト機構に連結されたキャリッジ23は、キャリッジモータの駆動によって左右方向9に往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路65より左右方向9の右方及び左方にまで及ぶ。
また、キャリッジ23からは、インクタンク100及び記録ヘッド39を接続するインクチューブ32と、制御部(不図示)が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル33とが延出されている。インクチューブ32は、インクタンク100に貯留されたインクを記録ヘッド39に供給する。より詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32B、32M、32C、32Y(これらを総称して、「インクチューブ32」と表記することがある。)がインクタンク100から延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23に接続されている。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
記録ヘッド39は、図2に示されるように、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39及び記録ヘッド39を搭載するキャリッジ23の下面から露出されている。以下、ノズル40の先端が露出された面を「ノズル面」と表記することがある。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
[プラテン42]
プラテン42は、図2及び図3に示されるように、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向するようにして配置されており、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下側から支持する。
[インクタンク100]
インクタンク100は、図1に示されるように、複合機10の内部に収容されている。インクタンク100は、複合機10から容易に取り外すことができないように、当該複合機10に固定されている。インクタンク100の前面は、複合機10の前面で且つ左右方向9の右端に形成された開口22を通じて、複合機10の外部に露出される。開口22は、左右方向9において、開口13と隣接している。また、複合機10は、開口22を覆う被覆位置(図1(A)参照)と、開口22を露出させる露出位置(図1(B)参照)との間を回動可能なカバー70が設けられている。カバー70は、上下方向7の下端側において左右方向9に延びる回動軸周りに回動可能に、複合機10によって支持されている。
インクタンク100は、図4及び図5に示されるように、概ね直方体の外形を呈する。インクタンク100は、前壁101と、右壁102と、左壁103と、上壁104と、下壁105とを有する。前壁101は、下壁105から概ね上下方向7に延びる立壁101Aと、立壁101Aの上端に接続され且つ上下方向7及び前後方向8に対して傾斜された傾斜壁101B(外壁の一例)とで構成されている。傾斜壁101Bは、立壁101Aに対して後方側に傾斜している。また、後述するインク室111の底面を構成する下壁105の上面は、右方に下り傾斜している。一方、インクタンク100の後面は開放されている。そして、右壁102、左壁103、上壁104、下壁105の後端面にフィルム106が溶着されることによって、インクタンク100の後面が封止される。すなわち、フィルム106は、インクタンク100の後壁を構成する。
[インク室111]
インクタンク100の内部には、図5に示されるように、内部空間を区画する複数の隔壁107、108、109が設けられている。隔壁107、108、109は、各々が上下方向7及び前後方向8に延設されており、前壁101、上壁104、下壁105、及びフィルム106に接続されている。また、隔壁107〜109は、左右方向9に離間して設けられている。その結果、インクタンク100の内部空間は、左右方向9に隣接する4つのインク室111B、111M、111C、111Yに区画される。インク室111は、ノズル40から吐出されるインクを貯留する液体貯留室の一例である。
インク室111Bは、前壁101、右壁102、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁107によって画定される空間である。インク室111Mは、前壁101、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁107、108によって画定される空間である。インク室111Cは、前壁101、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁108、109によって画定される空間である。インク室111Yは、前壁101、左壁103、上壁104、下壁105、フィルム106、及び隔壁109によって画定される空間である。
以下、インク室111B、111M、111C、111Yを総称して、「インク室111」と表記することがある。また、各インク室111に対応して4つ設けられた構成要素には、末尾のアルファベット(B、M、C、Y)のみが異なる参照番号を付し、これらを総称する場合に当該アルファベットを省略して表記することがある。
各インク室111には、異なる色のインクが貯留される。具体的には、インク室111Bにはブラックインクが貯留され、インク室111Cにはシアンインクが貯留され、インク室111Mにはマゼンタインクが貯留され、インク室111Yにはイエローインクが貯留される。各色インクは、液体の一例である。但し、インク室111の数及びインクの色は上記の例に限定されない。インク室111は、左右方向9(第1方向の一例)に沿って配置されている。また、4つのインク室111B、111M、111C、111Yの中で、インク室111Bが最も右側に配置され、インク室111Yが最も左側に配置されている。さらに、インク室111Bは、他のインク室111M、111C、111Yより容積が大きい。
[注入口112]
インクタンク100の傾斜壁101Bには、各インク室111にインクを注入するための注入口112B、112M、112C、112Yが設けられている。注入口112は、傾斜壁101Bを厚み方向に貫通して、対応するインク室111をインクタンク100の外部に連通させる。傾斜壁101Bは、その内面がインク室111に面し、外面がインクタンク100の外部に面している。傾斜壁101Bは、外面が内面より上方に位置するように傾斜している。したがって、注入口112は、インク室111とインクタンク100の外部とを直接連通させる。すなわち、注入口112とインク室111との間には、注入口よりも断面積が小さく、且つ屈曲しているような流路は存在しない。
傾斜壁101B及び傾斜壁101Bに設けられた注入口112は、図1(B)に示されるように、カバー70を露出位置に位置させることによって、開口22を通じて複合機10の外部に露出される。本実施形態において、注入口112を通じてインク室111にインクが注入される際のインクタンク100の姿勢(注入姿勢)は、複合機10が使用姿勢にあるときのインクタンク100の姿勢と一致する。すなわち、複合機10が使用姿勢にあるときに、注入口112を通じてインク室111にインクが注入される。
インクタンク100は、注入口112に対して着脱可能なキャップ113B、113M、113C、113Yを有する。図1(A)に示されるように、注入口112に取り付けられたキャップ113は、注入口112の周縁に密着して注入口112を閉塞させる。一方、図1(B)に示されるように、注入口112から取り外されたキャップ113は、注入口112を開放する。キャップ113は、カバー70を露出位置に位置させた状態で、注入口112に対して着脱される。また、キャップ113を注入口112から取り外すことによって、インク室111にインクが注入可能となる。
[インク流出路114]
各インク室111には、図6〜図9に示されるように、インク流出路114B、114M、114C、114Y(液体流出路の一例)が接続されている。インク流出路114は、対応するインク室111に貯留されたインクをインクタンク100の外部に流出させる流路である。本実施形態におけるインク流出路114は、対応するインク室111からインクタンク100の右側面(すなわち、右壁102の外面)に至る流路である。インクタンク100の右側面(すなわち、右壁102の外面)は、左右方向9と交差する側面の一例である。
インク流出路114Yは、図7に示されるように、インク室111Yの右面を画定する隔壁109の下端付近に設けられた開口115Yを通じてインク室111Yに連通されている。また、インク流出路114Yは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Yを通じてインクタンク100の右側面に至る。より詳細には、インク流出路114Yは、図9(A)に示されるように、インク室111B、111M、111Cの前方側において開口115Yから左右方向9に沿って右方に延設され、右壁102を貫通して開口116Y(すなわち、インクタンク100の右側面)に至る。
インク流出路114Cは、図7に示されるように、インク室111Cの右面を画定する隔壁108の下端付近に設けられた開口115Cを通じてインク室111Cに連通されている。また、インク流出路114Cは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Cを通じてインクタンク100の右側面に至る。より詳細には、インク流出路114Cは、図9(A)に示されるように、インク室111B、111Mの前方側において開口115Cから左右方向9に沿って右方に延設され、右壁102を貫通して開口116Cに至る。
インク流出路114Mは、図7に示されるように、インク室111Mの右面を画定する隔壁107の下端付近に設けられた開口115Mを通じてインク室111Mに連通されている。また、インク流出路114Mは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Mを通じてインクタンク100の右側面に至る。より詳細には、インク流出路114Mは、図9(A)に示されるように、インク室111Bの前方側において開口115Mから左右方向9に沿って右方に延設され、右壁102を貫通して開口116Mに至る。
インク流出路114Bは、図7に示されるように、インク室111Bの右面及び底面を画定する右壁102及び下壁105の境界付近に設けられた開口115Bを通じてインク室111Bに連通されている。開口115Bの上方には、開口115Bへのインクの流入向き(すなわち、上下方向7の下向き)に交差する隔壁110が設けられている。また、インク流出路114Bは、図8に示されるように、右壁102に設けられた開口116Bを通じてインクタンク100の右側面に至る。
インク流出路114Bは、図6に示されるように、開口115Mから前後方向8に沿って前方に延設され、インク流出路114M、114C、114Yより前方で右壁102を貫通して開口116Bに至る。また、前後方向8に延びるインク流出路114Bは、左右方向9に延びるインク流出路114M、114C、114Yと交差している。より詳細には、インク流出路114Bは、左右方向9に延びるインク流出路114M、114C、114Yの下方を前方に向かって延びている。
すなわち、対応するインク室111B、111M、111C、111Yとインク流出路114B、114M、114C、114Yとを接続する開口115B、115M、115C、115Yは、図7に示されるように、それぞれ、インク室111B、111M、111C、111Yの上下方向7の中央より下寄りで、前後方向8の中央より前寄りで、且つ左右方向9の中央より右寄りに設けられている。また、開口116B、116M、116C、116Yは、図8に示されるように、インクタンク100の右側面におけるインクタンク100の上下方向7の中央より下寄りで、且つ前後方向8の中央より前寄りの位置に設けられている。より詳細には、開口116は、インクタンク100の右側面の前方側から後方側へ向かって、開口116B、116Y、116C、116Mの順に前後方向8に隣接して設けられている。
なお、インク室111の上下方向7の中央とは、インク室111の上下方向7に沿った最大寸法(本実施形態では、上壁104と下壁105との間の上下方向7に沿った最大寸法)の中央である。インク室111の前後方向8の中央とは、インク室111の前後方向8に沿った最大寸法(本実施形態では、前壁101とフィルム106との間の前後方向8に沿った最大寸法)の中央である。インク室111の左右方向9の中央とは、インク室111の左右方向9に沿った最大寸法(本実施形態では、互いに隣接する隔壁107〜109の間、または、右壁102もしくは左壁103と隣接する隔壁107〜109との間の左右方向9に沿った最大寸法)の中央である。同様に、インクタンク100の上下方向7の中央とは、インクタンク100の上下方向7に沿った最大寸法の中央である。インクタンク100の前後方向8の中央とは、インクタンク100の前後方向8に沿った最大寸法の中央である。
また、開口115から開口116までの各インク流出路114の容積は、互いに異なる。本実施形態では、開口115Y、116Yの間のインク流出路114Yの容積が最も大きく、開口115C、116Cの間のインク流出路114Cの容積が2番目に大きく、開口115M、116Mの間のインク流出路114Mの容積が3番目に大きく、開口115B、116Bの間のインク流出路114Bの容積が最も小さい。インク流出路114の容積が異なる原因は様々であるが、例えば、左右方向9におけるインク流出路114の長さ、或いは左右方向9に直交するインク流出路114の断面積の違い等に起因する。
さらに、インク流出路114から流出されるインクの単位時間当たりの最大流出量は、記録ヘッド39のノズル40から吐出されるインクの単位時間当たりの最大吐出量(最大消費量の一例)より大きく設定される。最大流出量は、例えば、左右方向9に直交するインク流出路114の断面積によって決定される。開口115の位置は、第1位置、第4位置、或いは接続位置の一例である。また、開口116の位置は、第2位置或いは第5位置の一例である。
[インク導出路117、戻り流路119]
インクタンク100の右側面には、図8に示されるように、インク導出路117B、117M、117C、117Y(液体導出路の一例)が設けられている。インク導出路117B、117M、117C、117Yは、一端が開口116B、116M、116C、116Yの位置で対応するインク流出路114B、114M、114C、114Yに接続され、他端が連結部118B、118M、118C、118Yに接続されている。インクタンク100の上壁104に突設された連結部118には、各色のインクに対応した4本のインクチューブ32B、32M、32C、32Y(図3参照)が連結される。すなわち、インク導出路117は、対応するインク流出路114を通じてインク室111から流出されたインクを、対応する連結部118に連結されたインクチューブ32を通じて記録ヘッド39に導く流路である。なお、各インク導出路117及び各インクチューブ32の容積は、概ね同一である。
また、インクタンク100の右側面には、図8及び図9(B)に示されるように、戻り流路119B、119M、119C、119Yが設けられている。戻り流路119B、119M、119C、119Yは、一端が開口116B、116M、116C、116Yの位置でインク流出路114B、114M、114C、114Yに接続され、他端が開口120B、120M、120C、120Yを通じて、対応するインク室111に連通されている。なお、開口116、120は、上下方向7において異なる位置に設けられている。より詳細には、開口120は、対応する開口116より上下方向7の上方に設けられている。
また、開口120は、対応するインク室111の上下方向7の中央より上寄りに設けられている(但し、開口120Bを除く)。より好ましくは、開口120は、対応するインク室111内のインクの液面よりも上方となる位置に設けられている(但し、開口120Bを除く)。また、開口120は、対応する開口116より前後方向8の後方(第3向きの一例)に設けられている(但し、開口120Bを除く)。また、開口120は、対応する開口116より左右方向9の左方(第4向きの一例)に設けられている。すなわち、戻り流路119は、開口116から上下方向7の上方及び前後方向8の後方に延び、さらに、左右方向9の左方に延びて開口120に至る(但し、戻り流路119Bを除く)。開口120の位置は、第3位置或いは第6位置の一例である。
インクタンク100の右壁102には、図8に示されるように、複数の突壁121A〜121I(これらを総称して、「突壁121」と表記することがある。)が設けられている。突壁121は、右壁102の外面(右側面)から右方(外方の一例)に突出し、且つ右壁102の外面に沿って延設されている。また、各突壁121の右側先端には、フィルム122が溶着されている。本実施形態における突壁121A〜121Iには、単一(共通)のフィルム122が溶着されている。インク導出路117及び戻り流路119は、隣接する突壁121A〜121Hとフィルム122とで区画される空間を指す。
インク導出路117Bを区画する突壁121A、121Bは、開口116Bを挟む位置から後方に延び、さらに上方に延びてインクタンク100の上端部に至る。インク導出路117Yを区画する突壁121C、121D、インク導出路117Cを区画する突壁121E、121F、及びインク導出路117Mを区画する突壁121G、121Hは、対応する開口116Y、116C、116Mを挟む位置から下方に延び、さらに開口116Y、116C、116Mの後方側を上方に延びてインクタンク100の上端部に至る。すなわち、インク導出路117Y、117C、117Mは、開口116Y、116C、116Mの下部(「上下方向7の中央より下方」を指す。)において対応するインク流出路114Y、114C、114Mに接続されている。さらに、各インク導出路117は、インクタンク100の内部において上下方向7及び左右方向9に延びる空間(図示省略)を通じて対応する連結部118に接続される。
戻り流路119Bを区画する突壁121A、121B、戻り流路119Yを区画する突壁121B、121C、戻り流路119Cを区画する突壁121D、121E、及び戻り流路119Mを区画する突壁121F、121Gは、対応する開口116を挟む位置から上方に延びる。すなわち、戻り流路119は、開口116の上部(「上下方向7の中央より上方」を指す。)において対応するインク流出路114に接続されている。そして、各戻り流路119Bは、図9(B)に示されるように、インクタンク100の内部を左右方向9の左方に延びて、開口120を通じて対応するインク室111に連通される。
なお、本実施形態では、戻り流路119Y、119C、119Mの流路抵抗は、対応するインク流出路114Y、114C、114Mの流路抵抗より大きく設定される。流路抵抗を変化させる方法は様々であるが、例えば、流路長を長くする、流路の断面積を小さくする、或いはこれらを組み合わせることによって、流路抵抗を大きくすることができる。
[付加インク室123]
さらに、インクタンク100の右側面には、図8に示されるように、付加インク室123(付加貯留室)が設けられている。付加インク室123は、周方向に連続する突壁121H、121I(周壁の一例)とフィルム122とで区画された空間である。付加インク室123は、右壁102を貫通する貫通孔123A、123Bによってインク室111Bに連通されている。貫通孔123Bは、貫通孔123Aより上下方向7の上方に設けられている。付加インク室123には、付加インク室123の下端を画定する突壁121Iの一部が貫通孔123Aの前方、後方、及び下方を囲むことによって被検出部124が形成されている。
[光学センサ125]
複合機10は、図4及び図8に示されるように、被検出部124を挟んで前後方向8に対面する発光部125A及び受光部125Bを有する光学センサ125を備える。発光部125Aは、突壁121Iを透過し且つブラックインクを透過しない光(例えば、可視光や赤外光)を、受光部125Bへ向けて出力する。受光部125Bは、発光部125Aから出力された光を受光したことに応じて、ハイレベル信号(「信号レベルが閾値以上の信号」を指す。)を、制御部へ出力する。一方、受光部125Bは、光を受光しないことに応じて、ローレベル信号(「信号レベルが閾値未満の信号」を指す。)を、制御部へ出力する。
[大気連通路126]
各インク室111には、図10に示されるように、大気連通路126B、126M、126C、126Yが接続されている。大気連通路126は、対応するインク室111を大気に連通させる。より詳細には、大気連通路126は、切欠き127を通じて対応するインク室111に連通され、開口132を通じてインクタンク100の外部に連通されている。そして、大気連通路126は、切欠き127、第1貫通孔128、ラビリンス129、第2貫通孔130、気体通路131、及び開口132を通じて、インク室111とインクタンク100の外部との間で空気を流出入させる。
切欠き127は、対応するインク室111の上下方向7の中央より上寄りで、前後方向8の中央より後寄りで、且つ左右方向9の中央より左寄りに設けられている。より詳細には、切欠き127Bは、上壁104、フィルム106、及び隔壁107によって画定されている。切欠き127Mは、上壁104、フィルム106、及び隔壁108によって画定されている。切欠き127Cは、上壁104、フィルム106、及び隔壁109によって画定されている。切欠き127Yは、上壁104、フィルム106、及び左壁103によって画定されている。すなわち、本実施形態における切欠き127は、対応するインク室111の上端、後端、及び左端に設けられている。
また、第1貫通孔128には、半透膜133が貼付される。半透膜133は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる。さらに、第1貫通孔128、ラビリンス129、及び第2貫通孔130の上方は、フィルム134によって覆われる。
[隔壁135]
インク室111の内部には、図7及び図9に示されるように、前後方向8及び左右方向9に広がる隔壁135B、135M、135C、135Yが設けられている。本実施形態の隔壁135は、概ね水平方向に延設されているが、隔壁135の向きはこれに限定されない。例えば、隔壁135は、前後方向8の後ろ向きに下り傾斜していてもよい。
隔壁135Bは、立壁101A、右壁102、フィルム106、及び隔壁107に接続されている。隔壁135Mは、立壁101A、フィルム106、及び隔壁107、108に接続されている。隔壁135Cは、立壁101A、フィルム106、及び隔壁108、109に接続されている。隔壁135Yは、立壁101A、左壁103、フィルム106、及び隔壁109に接続されている。すなわち、隔壁135は、インク室111の内部において注入口112より下方に設けられている。そして、隔壁135は、対応するインク室111の一部を上下方向7に隔てている。すなわち、隔壁135は、上壁104及び下壁105から離間しており、隔壁135の上下方向7の上方及び下方には空間が存在する。隔壁135B、135M、135C、135Yの形状は概ね共通するので、以下、図11及び図12を参照して、隔壁135Mについて詳しく説明する。
隔壁135Mは、図11に示されるように、交差領域に少なくとも設けられている。一例として、交差領域とは、注入口112Mを通り且つ傾斜壁101Bに直交する仮想線(図11の破線)と交差する領域と定義できる。他の例として、交差領域とは、注入口112Mを通り且つ注入口112Mの貫通方向に延びる仮想線と交差する領域と定義できる。さらに他の例として、交差領域とは、注入口112Mを通じてインク室111Mに進入して位置決めされたインクボトル136(液体供給容器の一例)の供給口137から流出されるインクの流出方向と交差する領域と定義できる。すなわち、隔壁135Mは、注入口112Mを通じてインク室111Mに流入するインクが通過する領域に設けられる。換言すれば、注入口112Mを通じてインク室111Mに注入されたインクの大部分は、隔壁135Mにぶつかる。
また、隔壁135Mは、図12に示されるように、交差領域より前後方向8の前方側(すなわち、水平方向における注入口112Mに近い側)の全域に設けられている。換言すれば、隔壁135は、交差領域より前方側において立壁101A及び隔壁107、108に隙間なく接続するように連続的に延びている。すなわち、隔壁135Mは、交差領域より前方側の全域においてインク室111Mを上下方向7に隔てている。また、隔壁135Mは、交差領域より前後方向8の後方側(すなわち、水平方向における注入口112から遠い側)にも延びている。しかしながら、交差領域より後方側の隔壁135Mは、その一部が開口されている。隔壁135Mに設けられた開口の面積(図12の例では、左右方向9の開口幅)は、注入口112Mから遠ざかるほど大きくなっている。また、開口の形状は、隔壁135Mに沿って注入口112Mから遠ざかる向き(すなわち、前後方向8の後向き)に対して対称である。本実施形態における開口の形状は、頂点を前方に向けた二等辺三角形である。
[インクタンク100の配置]
上記構成のインクタンク100は、図2に示されるように、キャリッジ23の下面(すなわち、ノズル面)よりも下方に配置されている。詳細には、インク室111の上面を画定する上壁104の内面(すなわち、インク室111の天面)は、ノズル面よりも下方に位置する。さらに詳細には、注入口112の下端は、ノズル面よりも下方に位置する。すなわち、使用状態におけるインク室111内の液面は、ノズル面よりも下方に位置する。また、インクタンク100は、図2及び図3に示されるように、ガイドレール44、キャリッジ23、及びノズル40より前後方向8の前方、すなわち、前向き(第1向きの一例)側に外れた位置に配置されている。より詳細には、インク室111の後面を画定するフィルム106は、ノズル40よりも前方に位置する。
また、インクタンク100は、図3に示されるように、搬送経路65より左右方向9の右方、すなわち、右向き(第2向きの一例)側に外れた位置に配置されている。より詳細には、インク室111Yの左面を画定する左壁103の内面は、搬送経路65より右方に配置されている。すなわち、全てのインク室111は、搬送経路65より右方に配置されている。さらに、インク流出路114或いはインク導出路117の少なくとも一部は、最も右側に位置するキャリッジ23(図3において、一点鎖線で示される)のノズル40よりさらに右方に位置する。すなわち、インク室111から流出されるインクは、ノズル40より右方を通過して記録ヘッド39に供給される。
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態に係るインクタンク100において、注入口112を通じてインク室111に注入されたインクは、隔壁135にぶつかってからインク室111の下部に落下する。その結果、注入されたインクの勢いが隔壁135によって減殺されるので、インク室111の底面に衝突するインクから気泡が発生することを抑制できる。なお、本実施形態では、注入口112とインク室111との間に流路が存在しない。したがって、インクボトル136の供給口137から流出したインクは、流路等の壁面に接することなく、勢いを持ったまま直接インク室111に注入される。しかしながら、上記のように隔壁135によってインクの勢いが減殺されるので、気泡の発生を抑制することができる。また、交差領域より前方側の全域においてインク室111を上下方向7に隔てたので、インク室111内に気泡が発生した状態でインク室111内の液面が上昇したとしても、当該気泡が注入口112からあふれ出すことを抑制できる。
なお、隔壁135に形成された開口の面積が小さいほど、隔壁135よりも上方に気泡が到達することを有効に抑制できる。一方、開口の面積が小さすぎると、隔壁135よりも下方の気体が逃げ難くなり、インク室111内をインクで満たすことが難しくなる。そこで、上記の実施形態のように、開口の面積を注入口112から遠ざかるほど大きくすることにより、注入口112に近い位置においては、隔壁135よりも上方に気泡が到達することを抑制できる。一方、注入口112から遠い位置においては、開口を介して隔壁135の下方と上方との間で空気をスムーズに流通させることができる。
また、図11に示されるように、注入口112に挿入されたインクボトル136の供給口137から流出したインクは、水平方向にも速度を有することになる。そのため、隔壁135にぶつかったインクは、図12の矢印で示されるように、隔壁135上を後方に移動し、前後方向8の異なる位置で開口を通じてインク室111の下部に落下する。そこで、隔壁135を図11及び図12に示される形状とすることにより、隔壁135上を移動するインクの速度を均等に減少させることができる。
また、上記の実施形態によれば、複合機10を姿勢変化させたとしても、インク室111内のインクがノズル40より下方に位置する、或いはインク室111内のインクがインク室111とインク流出路114との接続位置(すなわち、開口115の位置)より下方に位置することになる。その結果、複合機10の姿勢変化に伴ってノズル40からインクが漏洩するのを抑制することができる。
例えば、注入口112の下端をノズル40より下方に位置させたことにより、複合機10の下面が上面より下方となる使用姿勢において、インク室111内の液面がノズル40より下方に位置する。その結果、水頭差によってノズル40からインクが漏洩するのを抑制することができる。
また、複合機10の前面が後面より下方となる姿勢において、使用姿勢においてキャリッジ23より前方に位置するインク室111内の液面は、ノズル40より下方に位置する。また、複合機10の右面が左面より下方となる姿勢において、使用姿勢において搬送経路65より右方に位置するインク室111内の液面は、ノズル40より下方に位置するか、ノズル40より上方に位置したとしても、その差は僅かになる。その結果、水頭差によってノズル40からインクが漏洩するのを抑制することができる。
さらに、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢、複合機10の後面が前面より下方となる姿勢、及び複合機10の左面が右面より下方となる姿勢において、インク室111内の液面は、開口115の位置より下方に位置する。これにより、インク室111内のインクがインク流出路114に流出するのを抑制することができる。
また、上記の実施形態によれば、図8の位置に開口116を設けたことにより、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢、複合機10の後面が前面より下方となる姿勢、及び複合機10の左面が右面より下方となる姿勢において、インク室111内のインクがインク導出路117に流れ込むことを抑制できる。さらに、開口116Bを最も前方に配置したことにより、容積の大きいインク室111B内のインクがインク導出路117Bに流れ込む可能性をより低減することができる。
また、戻り流路119の他端である開口120は、複合機10の使用姿勢において、戻り流路119の一端である開口116よりも上下方向7の上方に位置している。これにより、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢となると、開口116が開口120よりも上方に位置することになり、戻り流路119内に存在していた空気が開口116に到達し得る。空気が開口116に到達すると、インク流出路114内のインクとインク導出路117内のインクとが空気によって分断される。また、開口116は、複合機10の使用姿勢において、インクタンク100の上下方向7の中央より下寄りの位置に設けられている。これにより、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢となると、インク導出路117内のインクから分断されたインク流出路114内のインクは、開口115を通じてインク室111に戻る。したがって、インク室111内のインクがインク導出路117に流れ込むことを抑制できる。
同様に、戻り流路119の他端である開口120は、複合機10の使用姿勢において、戻り流路119の一端である開口116よりも前後方向8の後方に位置している。これにより、複合機10の後面が前面より下方となる姿勢となると、開口116が開口120よりも上方に位置することになり、戻り流路119内に存在していた空気が開口116に到達し得る。空気が開口116に到達すると、インク流出路114内のインクとインク導出路117内のインクとが空気によって分断される。また、開口116は、複合機10の使用姿勢において、インクタンク100の前後方向8の中央より前寄りの位置に設けられている。これにより、複合機10の後面が前面より下方となる姿勢となると、インク導出路117内のインクから分断されたインク流出路114内のインクは、開口115を通じてインク室111に戻る。したがって、インク室111内のインクがインク導出路117に流れ込むことを抑制できる。
同様に、戻り流路119の他端である開口120は、複合機10の使用姿勢において、戻り流路119の一端である開口116よりも左右方向9の左方に位置している。これにより、複合機10の左面が右面より下方となる姿勢となると、開口116が開口120よりも上方に位置することになり、戻り流路119内に存在していた空気が開口116に到達し得る。空気が開口116に到達すると、インク流出路114内のインクとインク導出路117内のインクとが空気によって分断される。また、開口116は、複合機10の使用姿勢において、インクタンク100の右側面に設けられている。これにより、複合機10の左面が右面より下方となる姿勢となると、インク導出路117内のインクから分断されたインク流出路114内のインクは、開口115を通じてインク室111に戻る。したがって、インク室111内のインクがインク導出路117に流れ込むことを抑制できる。
また、上記の実施形態によれば、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢、複合機10の後面が前面より下方となる姿勢、及び複合機10の左面が右面より下方となる姿勢において、インク室111内のインクがインク室111と大気連通路126との接続位置(すなわち、切欠き127の位置)に容易に到達する。これにより、インク室111への大気の流入が阻害されるので、インク室111内のインクがインク流出路114に流出するのをさらに抑制することができる。一方、複合機10の使用姿勢、複合機10の前面が後面より下方となる姿勢、及び複合機10の右面が左面より下方となる姿勢において、インク室111内の液面は、切欠き127の位置より下方に位置する。これにより、インク室111が大気に連通されるので、温度変化や高度変化等によってインク室111の内圧が上昇することによって、インク室111内のインクがインク流出路114に押し出されるのを抑制することができる。
また、上記の実施形態によれば、インク室111の底面を構成する下壁105の上面を右方に下り傾斜させたので、複合機10の使用姿勢において、インク室111内のインクが開口115の位置に到達しやすくなる。一方、上記の実施形態によれば、開口115Bの上方に隔壁110を設けたので、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢において、振動等に起因する液面変動によってインク室111B内のインクが開口115Bの位置に達する可能性を低減できる。
なお、隔壁110の位置は開口115Bの上方に限定されず、開口115Bの右方或いは後方に配置されてもよい。これにより、複合機10の左面が右面より下方となる姿勢、及び複合機10の後面が前面より下方となる姿勢において、振動等に起因する液面変動によってインク室111B内のインクが開口115Bの位置に達する可能性を低減できる。すなわち、隔壁110は、開口115Bの上方、右方、及び後方の少なくとも一方において、開口115Bへのインクの流入向きに交差して設ければよい。また、隔壁110は、インク室111Bに限定されず、インク室111M、111C、111Yの開口115M、115C、115Y周辺に設けてもよい。
また、図13に示されるように、インク室111の容積を、上下方向7、前後方向8、及び左右方向9の一方に偏らせてもよい。なお、図13にはインク室111Bの形状の例のみを図示するが、図13に示される形状を他のインク室111M、111C、111Yに適用してもよいことは言うまでもない。
例えば、図13(A)に示されるように、インク室111Bの上下方向7の中央より上側の容積を下側の容積より大きくしてもよい。これにより、複合機10の上面が下面より下方となる姿勢において、インク室111B内のインクが開口115Bの位置に達する可能性を低減できる。また、図13(B)に示されるように、インク室111Bの前後方向8の中央より後側の容積を前側の容積より大きくしてもよい。これにより、複合機10の後面が前面より下方となる姿勢において、インク室111B内のインクが開口115Bの位置に達する可能性を低減できる。さらに、図13(C)に示されるように、インク室111Bの左右方向9の中央より左側の容積を右側の容積より大きくしてもよい。これにより、複合機10の左面が右面より下方となる姿勢において、インク室111B内のインクが開口115Bの位置に達する可能性を低減できる。
また、上記の実施形態に係る複合機10において、各インク室111にインクを最初に補充する際に、インク室111から記録ヘッド39に至るインクの流通経路(すなわち、インク流出路114、インク導出路117、及びインクチューブ32)の全体がインクで満たされない可能性がある。そこで、当該流通経路の全体がインクで満たされるまで記録ヘッド39にインクを吐出させる、所謂イニシャルパージを実行する場合がある。ここで、各インク導出路117及び各インクチューブ32の容積は概ね同一であるが、各インク流出路114の容積は異なる。
そこで、インクタンク100に戻り流路119を設けたことにより、注入口112を通じてインク室111にインクを注入すると、インク流出路114内にインクが進入するにつれて、インク流出路114内の空気が戻り流路119を通じてインク室111に押し出される。また、インク室111内の空気は大気連通路126を通じて大気中に排出される。これにより、インク室111に注入されたインクを、開口116の位置に到達させることができる。その結果、開口115、116の間の各インク流出路114の容積が異なっていたとしても、イニシャルパージにおけるインクの消費量に偏りが生じるのを抑制することができる。また、上記の実施形態によれば、開口116の位置をインクタンク100の同一面に位置させたので、各開口116の位置から記録ヘッド39に至るインクの流路の長さを等しくすることが容易となる。その結果、イニシャルパージにおける各インク室111内のインクの消費量をさらに平準化することができる。
また、上記の実施形態によれば、開口116の下部にインク導出路117を接続し且つ開口116の上部に戻り流路119を接続したことにより、インク流出路114を通過する気体を戻り流路119を通じてインク室111に環流させることができる。その結果、イニシャルパージ後に記録ヘッド39からインクが吐出される際に、インク導出路117を通じて記録ヘッド39に気体が供給されることを抑制できる。また、戻り流路119の流路抵抗をインク流出路114の流路抵抗より大きくすることにより、戻り流路119内の気体がインク導出路117に進入するのを抑制することができる。さらに、インク流出路114の単位時間当たりのインクの最大流出量を、記録ヘッド39の単位時間当たりのインクの最大吐出量より大きくしたので、イニシャルパージ後に記録ヘッド39からインクが吐出される際に、インク室111内の空気がインク流出路114及びインク導出路117を通じて記録ヘッド39に供給されることを抑制できる。
また、上記の実施形態によれば、インク室111B内の液面の上昇(すなわち、注入口112Bを通じたインクの補充)に伴って貫通孔123Aを通じて付加インク室123にインクが流入し、インク室111B内の液面の降下(すなわち、記録ヘッド39によるインクの吐出)に伴って貫通孔123Aを通じて付加インク室123からインクが流出する。そこで、付加インク室123に設けられた被検出部124内のインクの有無を光学センサ125で検出することにより、インク室111B内のインクの残量を把握することができる。
なお、容積の大きいインク室111Bには、複合機10における使用量が多いブラックインクが貯留される。そこで、光学センサ125を用いてインク室111B内のインクの残量を把握することにより、ブラックインクが完全になくなる前にユーザにインクの補充を促すことができる。その結果、複合機10の稼働率の低下を抑制することができる。但し、インク室111Bのみならず、インク室111M、111C、111Yそれぞれのインク残量を検出してもよい。
例えば図14に示されるように、戻り流路119M、119C、119Yを挟んで前後方向8に対向する第1受入部138M、138C、138Yと第2受入部139M、139C、139Yとを、インクタンク100の右壁102に形成してもよい。第1受入部138には、光学センサ125の発光部125Aが挿入される。第2受入部139には、光学センサ125の受光部125Bが挿入される。これにより、発光部125A及び受光部125Bが戻り流路119を挟んで対面する。また、発光部125Aから出力される光は、戻り流路119を画定する突壁121B〜121Gを透過し、マゼンタインク、シアンインク、イエローインクを透過しない。
戻り流路119M、119C、119Y内の液面は、対応するインク室111M、111C、111Yの液面と概ね一致する。そこで、各戻り流路119M、119C、119Yの液面の位置を光学センサ125で検出することにより、インク室111M、111C、111Y内のインクの残量を把握することができる。これにより、インク室111M、111C、111Y内のインクが完全になくなる前にユーザにインクの補充を促すことができるので、複合機10の稼働率の低下が抑制される。
また、上記の実施形態では、複合機10内において、ノズル40より前後方向8の前方に外れ、且つ搬送経路65より左右方向9の右方に外れた位置にインクタンク100を配置した例を説明したが、インクタンク100の位置はこれに限定されない。例えば図15に示されるように、複合機10の左前方、右後方、或いは左後方にインクタンク100A、100B、100Cを配置しても、上記の実施形態と同様の効果が期待できる。なお、上記の実施形態との共通点の説明は省略する。また、図示は省略するが、開口22及びカバー70の位置もインクタンク100A〜100Cの位置に合わせて移動される。
例えば、ノズル40より前後方向8の前方に外れ、且つ搬送経路65より左右方向9の左方に外れた位置に配置されたインクタンク100Aは、インクタンク100と比較して、インクタンク100の左右方向9の中央を通り上下方向7及び前後方向8に平行な平面に関して、各構成要素の位置関係が左右逆転している。すなわち、インクタンク100Aは、インクタンク100の左右方向9の中央を通り上下方向7及び前後方向8に平行な平面に関するインクタンク100の鏡像である。具体的には、インク室111は、インクタンク100の左側から右側に向かってインク室111B、111M、111C、111Yの順に配列されている。また、開口116、インク導出路117、及び戻り流路119等は、インクタンク100の左側面(すなわち、左壁103の外面)に形成される。
また、ノズル40より前後方向8の後方に外れ、且つ搬送経路65より左右方向9の右方に外れた位置に配置されたインクタンク100Bは、インクタンク100Aと形状が共通し、前後を反転させて(すなわち、前壁101を後方に向けて)配置される。また、ノズル40より前後方向8の後方に外れ、且つ搬送経路65より左右方向9の左方に外れた位置に配置されたインクタンク100Cは、インクタンク100と形状が共通し、前後を反転させて(すなわち、前壁101を後方に向けて)配置される。
また、上記の実施形態においては、記録部24が給送トレイ20から排出トレイ21に至る搬送経路65全体に対して上下方向7の上方に位置していたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、記録部24は、記録部24と上下方向7に対面する搬送経路65の一部に対して上下方向7の上方に位置していればよい。例えば、給送トレイ20が記録部24よりも上下方向7の上方に配置されており、搬送経路65が給送トレイ20から記録部24とプラテン42との間の空間に向かって下降するように延びていてもよい。
さらに、上記の実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等を液体としてもよい。
10・・・複合機
23・・・キャリッジ
39・・・記録ヘッド
40・・・ノズル
54・・・搬送ローラ部
55・・・排出ローラ部
65・・・搬送経路
100・・・インクタンク
101B・・・傾斜壁
102・・・右壁
110・・・隔壁
111・・・インク室
112・・・注入口
114・・・インク流出路
115・・・開口
116・・・開口
117・・・インク導出路
119・・・戻り流路
120・・・開口
121・・・突壁
122・・・フィルム
123・・・付加インク室
123A,123B・・・貫通孔
125・・・光学センサ
125A・・・発光部
125B・・・受光部
126・・・大気連通路
127・・・切欠き
135・・・隔壁

Claims (7)

  1. 液体消費装置の内部に収容されて、当該液体消費装置が有する液体消費部に接続され、液体消費部に液体を供給するための液体が貯留されるタンクであって、
    前壁及び後壁と、
    上記前壁及び上記後壁の間に位置しており、液体が貯留される液体貯留室と、
    上記前壁及び上記後壁の間に位置しており、内面が上記液体貯留室に面し、且つ外面が該タンクの外部に面する外壁と、
    上記液体貯留室に液体を注入するために上記外壁を貫通した注入口と、
    上記注入口を通じて上記液体貯留室に液体が注入される際の該タンクの注入姿勢において、上記液体貯留室の内部において上記注入口より下方に設けられており、上記液体貯留室の一部を上下方向に隔てる隔壁と、を備えており、
    上記前壁は、上記液体消費装置の外部に露出され得る前面を有しており、
    上記隔壁は、上記注入口を通り且つ上記外壁に直交する仮想線と交差する交差領域に少なくとも設けられており、且つ上記注入姿勢における水平方向に関して上記交差領域より上記前壁側の全域において、上記液体貯留室を上下方向に隔てるタンク。
  2. 液体消費装置の内部に収容されて、当該液体消費装置が有する液体消費部に接続され、液体消費部に液体を供給するための液体が貯留されるタンクであって、
    前壁及び後壁と、
    上記前壁及び上記後壁の間に位置しており、液体が貯留される液体貯留室と、
    上記前壁及び上記後壁の間に位置しており、内面が上記液体貯留室に面し、且つ外面が該タンクの外部に面する外壁と、
    上記液体貯留室に液体を注入するために上記外壁を貫通した注入口と、
    上記注入口を通じて上記液体貯留室に液体が注入される際の該タンクの注入姿勢において、上記液体貯留室の内部において上記注入口より下方に設けられており、上記液体貯留室の一部を上下方向に隔てる隔壁と、を備えており、
    上記前壁は、上記液体消費装置の外部に露出され得る前面を有しており、
    上記隔壁は、上記注入口を通り且つ上記注入口の貫通方向に延びる仮想線と交差する交差領域に少なくとも設けられており、且つ上記注入姿勢における水平方向に関して上記交差領域より上記前壁側の全域において、上記液体貯留室を上下方向に隔てるタンク。
  3. 液体消費装置の内部に収容されて、当該液体消費装置が有する液体消費部に接続され、液体消費部に液体を供給するための液体が貯留されるタンクであって、
    前壁及び後壁と、
    上記前壁及び上記後壁の間に位置しており、液体が貯留される液体貯留室と、
    上記前壁及び上記後壁の間に位置しており、内面が上記液体貯留室に面し、且つ外面が該タンクの外部に面する外壁と、
    上記液体貯留室に液体を注入するために上記外壁を貫通した注入口と、
    上記注入口を通じて上記液体貯留室に液体が注入される際の該タンクの注入姿勢において、上記液体貯留室の内部において上記注入口より下方に設けられており、上記液体貯留室の一部を上下方向に隔てる隔壁と、を備えており、
    上記前壁は、上記液体消費装置の外部に露出され得る前面を有しており、
    上記隔壁は、上記注入口を通じて上記液体貯留室に進入して位置決めされた液体供給容器の供給口から流出される液体の流出方向と交差する交差領域に少なくとも設けられており、且つ上記注入姿勢における水平方向に関して上記交差領域より上記前壁側の全域において、上記液体貯留室を上下方向に隔てるタンク。
  4. 上記隔壁は、上記注入姿勢における水平方向に関して上記交差領域より上記後壁側に延び、且つその一部が開口されており、
    上記開口の面積は、上記注入口から遠ざかるほど大きい請求項1から3のいずれかに記載のタンク。
  5. 上記外壁は、上記注入姿勢における鉛直方向及び水平方向に対して傾斜された傾斜壁である請求項4に記載のタンク。
  6. 上記開口の形状は、上記隔壁に沿って上記注入口から上記後壁へ向かう向きに対して対称である請求項4又は5に記載のタンク。
  7. 上記開口の形状は、二等辺三角形である請求項6に記載のタンク。
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