以下、液体収容容器及びその液体収容容器から供給される液体を消費する液体消費装置の一例であるインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンター11は、車輪12が下端に取り付けられた脚部13と、脚部13上に組み付けられる略直方体状の装置本体14とを備えている。なお、本実施形態においては、重力方向に沿う方向を上下方向Zとし、この上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する装置本体14の長手方向を左右方向Xとする。また、上下方向Z及び左右方向Xの双方と交差(本実施形態では直交)する方向を前後方向Yとする。
図1に示すように、装置本体14の後部には、上方に向けて突出する給送部15が設けられている。給送部15内には、長尺の媒体としての用紙Sが円筒状に巻き重ねられたロール紙Rが装填されている。装置本体14の外装を構成する筐体部16において、給送部15の前側となる位置には給送部15から送り出される用紙Sを筐体部16内へ導入するための挿入口17が形成されている。
一方、装置本体14の前面側には、用紙Sを筐体部16外に排出するための排出口18が形成されている。なお、筐体部16内には、給送部15から給送された用紙Sを挿入口17側から排出口18側に向けて搬送する図示しない媒体搬送機構が収容されている。そして、装置本体14の前面側において排出口18よりも下方となる位置には、排出口18から排出された用紙Sを受ける媒体受けユニット19が設けられている。
また、装置本体14の上部において、左右方向Xで用紙Sの搬送経路の外側となる一端側(図1では右端側)には、設定操作や入力操作を行うための操作パネル20が設けられている。さらに、装置本体14の下部において、左右方向Xで用紙Sの搬送経路の外側となる一端側(図1では右端側)には、液体の一例であるインクを収容可能な液体収容容器21が固定されている。
液体収容容器21は、インクの種類や色に対応して、複数(本実施形態では4つ)設けられている。そして、複数の液体収容容器21が左右方向Xに並ぶように配置されることで液体収容ユニット22を構成している。言い換えると、複数の液体収容容器21が並ぶ方向をX方向ということができる。なお、液体収容ユニット22は、装置本体14に各液体収容容器21が固定された状態において、装置本体14の前方側(外方側)に露出した部分を有している。そして、液体収容ユニット22は、その露出した部分の左右方向Xの両側及び上下方向Zの下側が、装置本体14側に固定された断面略U字状をなすフレーム部材23により覆われている。
また、筐体部16内には、液体噴射ヘッド24を搭載したキャリッジ25が主走査方向となる左右方向Xに往復移動可能な状態で収容されている。なお、筐体部16内には、液体収容容器21に収容されたインクを液体噴射ヘッド24に向けて供給するための図示しない液体供給機構が収容されている。そして、媒体搬送機構によって搬送される用紙Sに対して液体噴射ヘッド24からインク滴を噴射することで記録(印刷)が行われ、こうしたインク滴の噴射を通じて液体収容容器21内のインクが消費される。
次に、液体収容容器21を装置本体14に対して固定状態に装着する装着部31および該装着部31を介して装置本体14に固定される液体収容容器21について説明する。なお、図2では、図の複雑化を回避するため、各液体収容容器21から液体噴射ヘッド24側へインクを供給する液体供給機構の一部である供給部32が一つのみ図示されているとともに、その図示された一つの供給部32に対応する液体収容容器21が、二点鎖線および白抜き矢印で示されるように装着部31に装着される前の状態で図示されている。また、図3では、液体収容容器21を構成する液体収容体33と副保持部材の一例としてのスライダー34とが分離した状態で図示されている。
図2に示すように、プリンター11には、鉛直方向(上下方向Z)において所定の間隔を空けて配設された上枠35と下枠36とを有する装着部31が設けられている。また装着部31には、液体供給機構の一部である供給部32が、各液体収容容器21に対応して取り付けられている。なお、図2では、上枠35は左右方向Xにおいて一部を破断して除去した状態で図示されている。
液体収容容器21は、この装着部31内に長手方向の一端側(図2では右端側)を位置させた状態でプリンター11に対して移動不能に固定される。そして、プリンター11に固定された状態で、液体収容容器21に収容されたインクが、装着部31における各液体収容容器21の一端側に対応して取り付けられた供給部32によって、液体噴射ヘッド24側へそれぞれ供給される。したがって、本実施形態では、液体収容容器21がプリンター11の装着部31に装着されてプリンター11に対して移動不能に固定された状態が、液体収容容器21の使用時の姿勢状態となる。なお、固定された状態とは、プリンター11から液体収容容器21をユーザーが取り外し不能である状態をいい、例えば、液体収容容器21がプリンター11にネジ止めされている状態や、液体収容容器21からプリンター11にインクが供給されてプリンター11が印字動作中である状態等をいう。
さて、図2および図3に示すように、本実施形態の液体収容容器21は、インクを収容する液体収容体33と、この液体収容体33に対して鉛直方向における反重力方向となる上側に重なって配設されたスライダー34とを備えている。
液体収容体33は、略水平方向において装置本体14の長手方向と直交する方向を長手方向(前後方向Y)とし、これと略水平方向において直交する短手方向(左右方向X)に一定幅を有する側面視略L字形状の直方体形状をしている。すなわち、液体収容体33は、その短手方向(左右方向X)から見たその側面形状が、略正方形を呈する第1収容体部37と、第1収容体部37よりも後側で前後方向Yに長い略長方形を呈し、後述する流出口52が形成された第2収容体部38とを有している。そして、液体収容体33の上面39には、長手方向(前後方向Y)に段差なく連続して延びる平坦面部41,42が短手方向の両端部において形成されている。すなわち、第1収容体部37を構成する複数の面のうちの上面(上部、又は天面とも表現できる)と、第2収容体部38を構成する複数の面のうちの上面(上部、又は天面とも表現できる)とは高さ方向(鉛直方向)の高さが等しいといえる。この平坦面部41,42に沿ってスライダー34が摺動可能とされている。一方、液体収容体33の下面40は、その長手方向(前後方向Y)において、第1収容体部37の方が第2収容体部38よりも下がった段差面を呈する形状とされている。すなわち、第1収容体部37を構成する複数の面のうちの底面(底部)は、第2収容体部38を構成する複数の面のうちの底面(底部)よりも高さ方向(鉛直方向)において低い位置にあるといえる。さらに、第1収容体部37の容積は第2収容体部38の容積よりも大きくなっている。なお、スライダー34を用いない実施形態においても、後述する理由により、第1収容体部37を構成する複数の面のうちの上面(上部、又は天面とも表現できる)と、第2収容体部38を構成する複数の面のうちの上面(上部、又は天面とも表現できる)とは高さ方向(鉛直方向)の高さは等しい、又は、等しくなくてもよいが、第1収容体部37の上面の第2収容体部38の上面からの高さが、第2収容体部38の底面の第1収容体部38の底面からの高さよりも低くすることが望ましい。
そして、本実施形態では、第1収容体部37は、少なくとも液体収容容器21の装着方向側(挿入方向側)の第1面(第1側面、又は第1側部とも表現できる)と、この第1面に対向する第2面(第2側面、又は第2側部とも表現できる)とから構成されるが、第1面に設けられた被固定部37a(図13,図14,図20参照)が装置本体14側に設けられた固定部(図示略)に対してねじ37b(図20参照)を用いてねじ止めされることにより、液体収容容器21はプリンター11に対して移動不能に固定される。そして、本実施形態では、ねじ止めにより固定された液体収容体33は、プリンター11に装着された状態において、第2収容体部38の少なくとも一部がプリンター11の装置本体14内に位置する第2部位となる(プリンター11又は装置本体14に装着又は挿入される部位とも表現できる)一方、第2収容体部38のうち第2部位以外、及び第1収容体部37がプリンター11の装置本体14外に位置することによって装置本体14の前方に露出する第1部位となる。なお、第1収容体部37の装着方向の面である第1面は、第1収容体部37を構成する面のうち、第2収容体部38側の面とも表現できる。
また、上述したとおり、第1収容体部37の底面は、第2収容体部38の底面よりも高さ方向において低い位置にあるため、第1部位の少なくとも一部の底面(底部)は、第2部位の底面(底部)よりも低い位置にある。
また、上述したとおり、第1収容体部37の容積は第2収容体部38の容積よりも大きいため、第1部位の容積は第2部位の容積よりも大きくなる。
また、上述したとおり、第2収容体部38には流出口52が形成されているため、流出口52は第2部位に形成されているともいえる。
さらに、上述したとおり、第1収容体部37を構成する複数の面のうちの上面と、第2収容体部38を構成する複数の面のうちの上面とは高さ方向(鉛直方向)の高さが等しいため、第1部位を構成する複数の面のうちの上面と、第2部位を構成する複数の面のうちの上面とは高さ方向(鉛直方向)の高さが等しくなっている。
さらには、上述したとおり、液体収容体33は、装着部31に装着される装着方向を長手方向(前後方向Y)とし、これと略水平方向において直交する短手方向(左右方向X)に略一定の幅を有する側面視略L字形状の直方体形状をしているため、第1部位の短手方向の長さと、第2部位の短手方向の長さは等しくなっている。
さらに第2収容体部38には、その長手方向において第1収容体部37側とは反対側となる後端側に、液体収容体33を構成する筐体部材(図13に示す収容体ケース130)とは別部材で形成され、第2収容体部38に対して相対移動可能に取り付けられた接続部43が備えられている。この接続部43には、装着部31側に取り付けられた供給部32が備えるインクの供給針44へ液体収容体33内に収容されたインクを導くインク流路と、同じく供給部32が備えるインクの残量検出棒45へ液体収容体33内のインクの有無状態を伝達する伝達機構が形成されている。
ここで、図4および図5を参照して、このインク流路および伝達機構が形成された接続部43の構成について説明する。なお、図4および図5では、供給部32の構成部材のうち供給針44と残量検出棒45とに係る構成部材が図示され、それ以外は適宜省略されている。
図4および図5に示すように、第2収容体部38に備えられた接続部43は、一方側が開口した有底略箱状の筐体を有しており、その底壁部が液体収容体33の第2収容体部38における供給部32側の端面46を構成している。そして、この接続部43の端面46には、供給部32の供給針44が挿入される針挿入孔47が形成されるとともに、この針挿入孔47に対して隣り合う位置には、残量検出棒45が挿入される棒挿入孔48が形成されている。また、接続部43は下面側に表面が略円柱形状の突起部位49が形成されている。
接続部43の筐体内には、針挿入孔47への供給針44が挿入される方向に所定の厚みを有する略平板状をなす被取付部材50が備えられている。この被取付部材50には、その厚み方向の供給部32側となる一方側の端面51に、針挿入孔47を介して供給針44が挿入される略円筒状の流出口52と、同じく略円筒状の液体室53とが形成されている。そして、被取付部材50には、図5において太い実線矢印で示すように、液体室53と流出口52とを連通させる流出流路55が貫通形成されている。また、この被取付部材50は液体収容体33に対し揺動可能に取り付けられている。
流出口52には、針挿入孔47を介して供給針44が挿入されるため、液体収容体33側から供給されたインクが流出することを抑制するばね56と弁部材57とパッキン58とからなる開閉弁59が内装されている。また、供給針44が挿入される前にインクが流出しないように、流出口52の開口を覆うシール60が溶着されて設けられている。
また、液体室53には、液体室53の開口を覆うように可撓性のフィルム61が溶着されている。そのため、液体室53は、内部の圧力変化に伴ってフィルム61が変形して容積が変化する。また、液体室53内には、フィルム61を液体室53の外側に向けて付勢するばね62が設けられている。なお、ばね62とフィルム61との間には、ばね62の付勢力をフィルム61に伝える受圧板63が挿入されている。
また、被取付部材50における液体室53の外表面には移動部材64が取り付けられている。移動部材64は、液体収容体33の長手方向(前後方向Y)と直交する水平方向(左右方向X)に延びる所定の回動支点を中心として回動自在に構成されており、液体室53の内面の一部を構成するフィルム61に対して液体室53の外側から接触している。
一方、被取付部材50には、その厚み方向の他方側の端面50aにおいて、略円筒状の流入口65が被取付部材50の厚み方向に突出形成されている。そして、この流入口65に対応して、液体収容体33(第2収容体部38)側には、流入口65が挿入される略円筒状の導出口(導出口部)69が設けられている。この導出口69への流入口65の挿入によって、液体収容体33(第2収容体部38)内と液体室53とが連通する構成とされている。なお、導出口69には、液体収容体33に収容されたインクが洩れて流出することを抑制するパッキン70が内装されるとともに、流入口65が液体収容体33(第2収容体部38)に挿入される前に液体収容体33からインクが流出しないように、導出口69の開口を覆うシール71が溶着されて設けられる。
また、被取付部材50は、例えば流出口52への供給針44の挿入や、移動部材64への残量検出棒45の接触が安定するように、液体収容体33(第2収容体部38)との間に挿入された圧縮ばね72によって、接続部43内において装着部31側に付勢されている。
ここで、図5を参照して伝達機構について説明する。
図5に示すように、接続部43において、液体室53のフィルム61は、ばね62によって受圧板63を介して液体室53の容積を増加させるように押し出される構成とされている。そのため、液体室53の容積の増加に伴い、液体収容体33内のインクが流入口65を通じて液体室53に流入する。一方、供給部32によってインクが流出口52から供給針44へ向かって吸引されることにより、液体室53内のインクが流出流路55を通じて液体室53から流出する。このとき、本実施形態では、流出流路55の内径が流入口65の内径よりも大きく設定されているため、液体室53からのインクの流出量が液体室53へのインクの流入量に追いつかず、液体室53内が負圧となる。そのため、フィルム61がばね62の付勢力に抗して液体室53内に引き込まれるように変形する。ちなみに、図5はフィルム61が液体室53内に引き込まれた状態を図示している。
この液体室53に発生した負圧は、液体収容体33内のインクが流入口65を通じて液体室53に流入することによって徐々に解消される。すると、ばね62の力によって、フィルム61は再び液体室53の外側に押し出されて、液体室53の容積が復元する。そのため、供給部32において液体噴射ヘッド24へのインクの供給が停止してから所定の時間が経過した後に、液体噴射ヘッド24へのインクの供給開始前の元の状態に復帰する。また、供給部32から液体噴射ヘッド24側に再びインクが供給されると、液体室53内は負圧となり、フィルム61が液体室53の内側に引き込まれた状態となる。一方、液体収容体33内のインクが消費されて無くなると、液体室53内が負圧であってもインクが液体室53に流入しない。すなわち、供給部32によるインクの供給が停止してから所定の時間が経過した後も、液体室53内の負圧は解消されず、フィルム61が液体室53の内側に引き込まれた状態が維持される。
残量検出棒45には、移動部材64に残量検出棒45を圧接させるように付勢するばね(不図示)が取り付けられている。また、残量検出棒45における移動部材64に接触する一端部45aとは反対側の他端部45bは、凹形状のセンサー68による検出対象部位となっている。センサー68は、透過型のフォトセンサーであり、図示しない受光部と発光部とが対向して設けられている。このセンサー68から出力される検出信号によって液体収容体33内のインクの有無が検出される。
すなわち、液体収容体33内のインクが無くなると、液体収容体33内から液体室53にインクが流入しないので、フィルム61は、液体室53の容積を減少させる方向に変形した状態が維持される。したがって、移動部材64は、不図示のばねから付勢された残量検出棒45の一端部45aによって押圧されることにより、移動部材64が回動支点を中心として回動し、残量検出棒45が液体収容体33側へ移動することにより、残量検出棒45の他端部45bがセンサー68の発光部と受光部との間に挿入される。そのため、センサー68は、光が遮断状態に維持されることに基づいて、液体収容体33内のインクが無くなったことを検出する。
次に図2および図3に戻り、スライダー34について説明する。
図3に示すように、液体収容体33においてプリンター11外に位置する第1部位には、液体収容体33の上面39に、液体収容体33内にインクを注入する注入口(注入口部)73が設けられている。より具体的には、注入口73は、第1部位のうち上述した第1面よりも第2面に近い位置に形成されている。本実施形態では、第1収容体部37が第1部位に相当し、注入口73は、この第1収容体部37に設けられている。そして、プリンター11外に位置する注入口73がインクの注入時以外は露出しないように、スライダー34によって覆うことが可能な構成とされている。
すなわち、スライダー34は、長手方向を有する略矩形形状であって、液体収容体33の上面39と略重なる外形形状で形成されている。そして、スライダー34は、その一端側が装着部31内に挿入されることにより液体収容体33の上面39と略重なった状態に配設された際に、液体収容体33に設けられたインクの注入口73の上方を、開閉自在な開閉カバー74によって覆う構成とされている。具体的には、スライダー34には、その長手方向の端部において、注入口73を被覆する位置と開放する位置との間で変位する開閉カバー74が備えられている。なお、以下の説明において、「挿入方向」という場合は、特にことわらない限り、装着部31に対するスライダー34の「挿入方向」を示すものとする。
本実施形態では、開閉カバー74は、注入口73を覆う状態で注入口73よりも第2収容体部38(第2部位)側となる位置において、液体収容体33の短手方向に沿って延びる軸線が回転中心となるようにスライダー34に回動自在に軸支されている。したがって、図3において二点鎖線で示すように、注入口73を開放する場合は、使用者が、スライダー34の長手方向の前端側となる開閉カバー74の手前側を持ち上げて第2収容体部38側となるプリンター11側へ約180度回動させることが可能とされている。
この結果、開閉カバー74を、図3において実線で示す注入口73の被覆状態から、図3において二点鎖線で示すように注入口73の開放状態とすることによって、注入口73に対して後側に位置させるように変位可能とされている。なお、本実施形態では、注入口73は液体収容体33の第1収容体部37における前側の端部付近に設けられ、開閉カバー74が注入口73を覆うために必要な前後方向Yの長さが、長くならない構成とされている。
また、スライダー34には、装着部31への挿入方向奥側の端部34aにおいて、注入口73から液体収容体33に注入されたインクに関する関係情報を記録したメモリーを搭載した回路基板75を載置可能な記憶部保持部材の一例としてのホルダー76が取り付けられて備えられている。そして、スライダー34が液体収容体33の上面39と重なる状態で装着部31内に挿入された際に、このホルダー76に取り付けられた回路基板75が、プリンター11の装着部31側に設けられた通信部77と係合可能とされている。この通信部77との係合によって、ホルダー76に載置された回路基板75に形成された端子が含む接触部分が通信部77に備えられた電気端子78と接触して電気的に接続される。この結果、回路基板75に搭載されたメモリーに記録された関係情報がプリンター11側に伝達される。
なお、本実施形態のプリンター11では、スライダー34は、液体収容体33の上面39と重なった状態でプリンター11の装着部31内へ挿入された際に、接続部43とともに、装着部31に取り付けられた一対の板ばね79によって、プリンター11内において位置決めされる。
すなわち、図2に示すように、鉛直方向において、上枠35と下枠36とに、それぞれ挿入方向に向かって互いの間隔が狭くなる斜め形状を有する板ばね79がねじによって固定されている。そして、上枠35の板ばね79が、スライダー34に備えられた回路基板ホルダー76に設けられた突起部位80と付勢状態で当接する一方、下枠36の板ばね79が、接続部43に設けられた突起部位49(図5参照)と付勢状態で当接する。この結果、スライダー34(回路基板ホルダー76)および接続部43は上下方向Zにおいて一対の板ばね79によって位置決めされる。
また、液体収容体33と重なった状態で挿入されたスライダー34と液体収容体33の第2収容体部38とは、ともに装着部31において位置決めされた状態とされる。すなわち、図2に示すように、装着部31の上枠35には、スライダー34の上面側に長手方向に沿って延設された凸条部82が摺接しながら挿入される案内溝(不図示)が下面に設けられている。また、装着部31の下枠36には、液体収容体33の下面側において長手方向に沿って延設された凸条部83(図5、図23参照)が係合する案内溝84が上面に設けられている。したがって、スライダー34および第2収容体部38は短手方向がそれぞれの凸条部と案内溝との係合によってそれぞれ位置決めされる。この結果、スライダー34(およびこのスライダー34に取り付けられた回路基板ホルダー76)と、第2収容体部38に備えられた接続部43とは、それぞれ短手方向において位置決めされる。すなわち、液体収容容器21がプリンター11(装着部31)に装着されている状態(液体収容容器21からプリンター11にインクを供給している状態)において、回路基板75及び回路基板ホルダー76は第2部位に位置する。
さて、本実施形態の液体収容容器21では、スライダー34に備えられる回路基板ホルダー76および開閉カバー74は、スライダー34に対して着脱自在に取り付けられる。そして、これらが取り付けられた状態で、スライダー34は液体収容体33の上面39に対して摺動可能に構成されている。換言すれば、液体収容体33がプリンター11に固定された状態で、スライダー34は装着部31に対して挿抜可能に構成されている。
さらに、図6(a),(b)を参照してスライダー34の構成について詳しく説明する。
図6(a)に示すように、スライダー34には、装着部31への挿入方向奥側の端部34aにおいて、挿入方向奥側が切り欠かれた略U字形状の開口85を備えるホルダー取付部86が形成されている。したがって、このホルダー取付部86は、スライダー34が取り付けられた液体収容容器21がプリンター11に装着されている状態において、第2部位に位置する。この開口85に対して、スライダー34の挿入方向つまり摺動方向と交差する方向において回路基板ホルダー76の挿入および抜き取りが可能とされている。本実施形態では、スライダー34に対して液体収容体33とは反対側となる上方から、回路基板ホルダー76において上側に設けられた鍔形状部87がホルダー取付部86の開口85を形成する略C字形状の上表面88に当接するように開口85内に挿入されて取り付けられる。また、回路基板ホルダー76はホルダー取付部86から上方へ抜き取られてスライダー34から取り外される。
一方、スライダー34には、装着部31への挿入方向手前側の端部34bにおいて回転軸89が形成され、この回転軸89に対して開閉カバー74に形成された軸受部90が嵌め込まれることによって、開閉カバー74はスライダー34に回動(揺動)可能に取り付けられる。
こうして回路基板ホルダー76と開閉カバー74とが取り付けられた本実施形態のスライダー34は、液体収容体33に重ねられた状態で、液体収容体33の上面39において、液体収容体33の短手方向(左右方向X)である幅方向の両端部分に当接しながら、液体収容体33の長手方向(前後方向Y)に沿って摺動可能とされている。
具体的には、図6(b)に示すように、液体収容体33の上面39と重なるスライダー34の下面側に、長手方向と交差する幅方向の両側端において長手方向に延在する直線リブ状の側壁部91,92がそれぞれ形成されている。一方、液体収容体33の上面39における長手方向と交差する幅方向の両側端には、この側壁部91,92がそれぞれ当接する当接面として、長手方向に沿って延在する直線状の平坦面部41,42が形成されている。したがって、スライダー34に形成された側壁部91,92は、液体収容体33の上面39に形成された平坦面部41,42にそれぞれ当接しながら長手方向に沿って移動(摺動)可能である。
すなわち、図2および図3に示すように、液体収容体33の上面39には、平坦面部41,42に対してその内側に隣接する凸部93が、長手方向に沿って複数形成されている。したがって、スライダー34は、幅方向(左右方向X)への移動がこの複数の凸部93によって規制されることによって、液体収容体33に対して長手方向(前後方向Y)に沿って安定して移動(摺動)する。
ところで、本実施形態のプリンター11には、装着部31内に第2収容体部38の少なくとも一部を位置させた状態でプリンター11に固定された液体収容容器21の上側に、上下方向へスライド移動が可能に設けられたスライドつまみ94が設けられている。このプリンター11に設けられたスライドつまみ94が上方から下方へ変位させられることによって、スライダー34の上面に設けられた凹部95と係合し、スライダー34は、長手方向に沿って装着部31から抜き出される方向への移動(摺動)が規制される。したがって、使用者が、スライドつまみ94を下方から上方へ移動させることで、凹部95との係合が解除され、スライダー34は装着部31から抜き取り可能な状態となる。そして、この状態において、使用者がスライダー34を液体収容体33に対して摺動させることによって、装着部31に対するスライダー34の挿抜を可能としている。そして、本実施形態では、スライダー34において、その上面側に短手方向に沿って突設する指掛部96が形成され、この指掛部96によって、使用者によるスライダー34の挿抜が容易とされている。
さらに、本実施形態では、回路基板ホルダー76に載置される回路基板75は、取替え可能に載置される。この構成について図7(a),(b)を参照して説明する。なお、図7(a),(b)では、回路基板ホルダー76は、スライダー34から取り外された状態で図示されている。
図7(a)に示すように、回路基板ホルダー76は複数の壁から構成されている。回路基板ホルダー76には、スライダー34に組み付けられた状態での装着部31に対するスライダー34の挿入方向奥側および上側の双方が開口する凹部97が設けられ、この凹部97において、挿入方向先下がりの斜面98が設けられている。この斜面98の下端側には、円柱形状のボス99が形成される一方、この斜面98の上端側には、装着部31に対する挿入方向を長手方向とする板状のリブ100が形成されている。これら、斜面98、円柱形状のボス99、及びリブ100のいずれか又は全てを支持部という。
一方、本実施形態において、回路基板ホルダー76に載置される回路基板75は略矩形形状を有し、その表面に挿入方向を長手方向として複数(ここでは9つ)の端子(接触部75b含む)75aが設けられている。そして、回路基板75には、この複数の端子(接触部75b含む)75aの挿入方向において前後となる一方の端部に丸孔101が形成され、他方の端部にスリット102が形成されている。そして、この回路基板75に形成された丸孔101に回路基板ホルダー76に設けられたボス99が挿入されるとともに、この挿入に伴って、回路基板75に設けられたスリット102に対して、回路基板ホルダー76に設けられたリブ100が挿入される。これにより、回路基板75は、回路基板ホルダー76の斜面98上に水平方向に対し傾斜した状態で載置される。また、回路基板ホルダー76がどのような姿勢(任意の姿勢)で平面上に置かれた場合であっても、壁が回路基板75よりも重力方向に突出するように回路基板75は回路基板ホルダー76に支持されている。本実施形態の回路基板ホルダー76の上表面103には、載置された回路基板75を識別する識別シール104(識別ラベル)が少なくともその一部に貼り付けられる。この識別シール104は回路基板ホルダー76に対応する液体収容容器21が収容する液体の色又は後述する液体注入源126が収容する液体と同じ色である。
図7(b)に示すように、回路基板ホルダー76において回路基板75が載置された状態では、回路基板75はリブ100によって斜面98内におけるボス99を中心とする回転が規制された状態とされる。また、丸孔101とボス99との間、およびスリット102とリブ100との間には、それぞれ僅かな隙間が設けられ、載置された回路基板75を回路基板ホルダー76から取り外すことが可能とされる。
なお、回路基板ホルダー76には、図7(a),(b)では一方のみ図示されているが、その凹部97において、装着部31に対する挿入方向と交差する左右方向Xの両側にそれぞれ形成された側壁部105に、挿入方向に延設されるとともに、挿入方向側端において面取り部106が形成された溝形状部107が設けられている。また、上枠35に設けられた板ばね79と当接する突起部位80は、この回路基板ホルダー76の上表面103に形成されている。
次に、図8(a),(b),(c)を参照して、開閉カバー74の構成について説明する。本実施形態では、開閉カバー74は、スライダー34に対して着脱可能に取り付けられるとともに、注入口73の閉蓋位置において、回転軸89を中心とする回転に負荷が与えられて回転が抑制される。
図8(a)に示すように、開閉カバー74はスライダー34に設けられた回転軸89の両側の軸端部108に対して係合する略半円筒形状の2つの軸受部90と、回転軸89の軸線方向における略中央部分に対して軸受部90とは反対方向から当接する当接部109とが形成されている。当接部109は、開閉カバー74において注入口73と対向する内面(裏面74a)側から突出形成された可撓性を有する2つの板状部位が設けられた短手方向視で略J字形状を有するフック部位110において、そのフック形状の先端に設けられている。そして、2つの軸受部90を回転軸89の軸端部108に係合させる際に、当接部109は一旦回転軸89によってフック部位110の撓み変位に伴って変位させられたのち、軸受部90が回転軸89の軸端部108に係合された状態において、撓み変位が戻ることによって回転軸89と略当接状態で係合する。これにより、開閉カバー74は回転軸89に対して回動可能に軸支される構成とされている。
また、スライダー34には、その短手方向両側の側壁部91,92において長手方向に延設された延設部位111がそれぞれ設けられている。この延設部位111には上下方向に沿って溝部112が形成されている。一方、開閉カバー74におけるスライダー34の側壁部91,92の一部を構成するカバー側壁部91a,92aにおいて、液体収容体33に取り付けられた開閉カバー74が注入口73を覆った状態で溝部112に対応する位置には、溝部112と係止可能な凸条部113が形成されている。
すなわち、図8(b),(c)に示すように、開閉カバー74は、スライダー34の回転軸89に対して軸受部90と当接部109とが係合状態とされることによってスライダー34に組み込まれる。組み込まれた開閉カバー74は、注入口73を覆う閉蓋位置にあるとき、カバー側壁部91a,92aに形成された凸条部113が、短手方向矢視で、溝部112と重なるとともに、溝部112に対して進入した係合状態とされる。したがって、図8(b)において二点鎖線で示すように、開閉カバー74が回転軸89を中心に回転して注入口73の開蓋位置に変位する際には、開閉カバー74に対して回転負荷を生じさせる。この点で、スライダー34の溝部112は、開閉カバー74と係合して閉蓋位置から開蓋位置への変位を抑制する係合部の一例として機能する。
次に、液体収容容器21における注入口73の周辺構成について説明する。
図9(a)に示すように、液体収容体33の上面39における前側部分には、上下方向Zと交差する方向に沿って延びる液受部の一例としての液受面116が形成されている。液受面116は、その平面視において略矩形形状をなし、その左右方向Xにおける幅寸法は液体収容体33の左右方向Xにおける幅寸法に対し僅かに小さくなっている。
また、液体収容体33の上面39には、液受面116の周囲を囲うようにして、液受面116と交差する上方向(反重力方向)に周壁部117が突設されている。そして、周壁部117の前側の壁部分には、その左右方向Xにおける略中央において、周壁部117の他の部分よりも下方に凹む切り欠き溝118が形成されている。すなわち、本実施形態では、凹部の一例である切り欠き溝118は、注入口73の周辺位置の一例である周壁部117に形成されている。一方で、周壁部117の後側の壁部分には、該壁部分と交差しつつ後方に延びる一対の補強リブ119が形成されている。
また、液受面116には、略円筒形状をなすとともに注入口73(図9(b)参照)を被覆したり開放したりすることができる被覆体120を備える被覆部材121が載置されている。被覆体120には、その上側面から上方向に突出する略円柱状をなす、つまみ部122が形成されている。つまみ部122は、使用者が注入口73から被覆体120を取り外したり、逆に注入口73を被覆体120で被覆させたりする際に把持される部位となっている。
また、被覆部材121は、図9(a)に示す状態において、被覆体120を備えている前側とは反対側となる後側に、被覆部材121を液受面116に固定するための固定部123を備えている。固定部123は、液受面116に開口形成される固定孔124(図10参照)に、該固定孔124の軸線を回転中心に回転可能且つ、液受面116から脱離不能に固定されている。従って、被覆部材121は、液受面116に対し固定部123を回転中心に回転可能とされる一方、液受面116から容易に取り外れないようになっている。ただし、被覆部材121は、固定部123を含めて新たな被覆部材121に交換することは可能とされている。
また、被覆部材121は、液受面116上に載置された状態で、上下方向Zと交差する方向に複数回(本実施形態では左右方向Xに3回)屈曲されつつ被覆体120及び固定部123を連結する連結部125を備えている。連結部125は、その延設方向における断面形状が矩形形状をなすとともに、その矩形断面形状において液受面116と交差する方向(上下方向Z)の長さよりも液受面116と沿う方向の長さのほうが長くなっている。このため、連結部125は液受面116に載置された際に、該液受面116との接触面積が大きくなり、液受面116上に安定して載置されている。
また、被覆部材121を構成する被覆体120、連結部125、及び固定部123はゴムや樹脂等のエラストマー等で形成され弾性変形可能とされている。従って、図9(a)に示す状態において、被覆体120は弾性変形した状態で注入口73に嵌合することで、被覆体120及び注入口73の間に隙間が生じないように注入口73を被覆している。
図9(a)に示すように、開蓋位置にある開閉カバー74の裏面74a(底面の一例)には、注入口73から取り外された被覆体120を載置することが可能とされている。また、開閉カバー74の裏面74aの面積は、被覆体120を上下方向Zと沿う方向に投影した場合の投影面積よりも大きくなっているため、被覆体120をより安定して載置することが可能とされている。
さらに、開閉カバー74の裏面74aは、該開閉カバー74が開蓋位置に位置した状態(図9(a)に示す状態)において、注入口73のある前方に向かって下り勾配の面となっている。また、開蓋位置に位置した開閉カバー74の裏面74aの両側端では、カバー側壁部91a,92aが上方向に向かった状態となっている。従って、カバー側壁部91a,92aは、開蓋位置に位置する開閉カバー74の裏面74aにインクが付着した被覆体120を載置した際に、該インクが開閉カバー74から外部に漏れ出ることを抑制する遮蔽部の一例としても機能する。
図9(b)は、被覆体120を注入口73から取り外すとともに、該被覆体120を開閉カバー74の裏面74aに載置した状態の液体収容容器21を示している。図9(b)に示すように、液受面116の一部に開口形成された注入口73が露出することで、使用者は該注入口73を介して液体収容体33の内部(第1インク室151(図14参照))にインクを注入することが可能とされている。また、注入口73の上端縁となる開口縁73aは、面取りされることで斜状に形成され、インクを注入する際に該インクが注入口73内へ流動し易くなっている。
また、図9(b)に示すように、被覆部材121の連結部125の長さは、開蓋位置に位置した状態の開閉カバー74の裏面74aに被覆体120を載置可能なだけの長さとされている。なお、図9(b)に示す状態において、連結部125は僅かに伸張された状態にある一方、被覆体120は開閉カバー74の裏面74aに載置された状態且つ開閉カバー74のフック部位110と当接した状態にある。
図10に示すように、液受面116における周壁部117の後側(図10では右側)の壁部分近傍には、被覆部材121の固定部123が挿入されて固定される固定孔124が液受面116と交差する方向に開口形成されている。固定孔124は、該固定孔124の左右方向Xにおける中心位置が、注入口73の左右方向Xにおける中心位置と略一致するように設けられている。なお、固定孔124は、注入口73と同様に液受面116上に開口形成されているが、第1インク室151には連通していない。
図11に示すように、液受面116は前後方向Yにおいて、注入口73に向かって下方(重力方向)に傾斜するように形成されている。従って、注入口73から離れた位置となる固定孔124の近傍は、液受面116において最も高い位置となっている。つまり、固定孔124に固定される被覆部材121の固定部123は、液受面116において注入口73の周囲よりも高い位置に位置しているため、注入口73にインクを注入する際等にインクが液受面116上を流動しても該インクが付着し難くなっている。
また、図12(a)に示すように、液受面116は左右方向Xにおいても、注入口73に向かって下方に傾斜するように形成されている。さらに、図12(b)に示すように、液受面116は注入口73から離れた固定孔124寄りの位置においては、左右方向Xにおける中央に向かって下方に傾斜するように形成されている。
次に、液体収容体33の内部構成について説明する。
図13に示すように、液体収容体33は左右方向Xから見て側面視略L字状をなす収容体ケース130と、収容体ケース130内に収容される弁機構の一種であるフロート弁131と、収容体ケース130のケース開口部132に接着(例えば熱溶着)されるフィルム133と、ケース開口部132をフィルム133越しに覆う樹脂製のカバー134とを備える。なお、収容体ケース130は、右側面が開口するように一体成型されていると共に、カバー134に形成された爪部134aを係止する係止部130aが環状をなすケース開口部132の外側に形成されている。
図14に示すように、収容体ケース130のケース開口部132にフィルム133が接着されると、収容体ケース130とフィルム133とにより囲われる空間域が、大気に連通する空気室136と、インクを収容する液体収容室の一例としてのインク室137と、液体流路の一例としての導出流路138として機能する。なお、導出流路138は、その一端がインク室137に連通すると共に、その他端側には、インク室137に収容されたインクを液体噴射ヘッド24(プリンター11側)へ導出する導出口69(図4,図5参照)が形成されている。
次に、空気室136、及び空気室136へ空気を取り込む構成について説明する。
図10に示すように、収容体ケース130の注入口73が形成された上面39には、大気と連通する大気連通孔140と、左右方向Xに沿って延びる位置決め凸条141とが形成されている。さらに、既述の補強リブ119と位置決め凸条141との間には、蛇行して形成された少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の蛇溝142,143と、蛇溝142,143の周囲を囲う蛇行凸部144とが形成されている。
そして、図10,図15に示すように、収容体ケース130の上面39は、蛇溝142,143を覆って空気通路145,146を形成する空気通路形成フィルム147が接着(例えば熱溶着)される。すなわち、空気通路形成フィルム147が補強リブ119と位置決め凸条141とに位置決めされた状態で蛇行凸部144に接着されると、第1蛇溝142と空気通路形成フィルム147とにより第1空気通路145が形成される。さらに、第2蛇溝143と空気通路形成フィルム147とにより第2空気通路146が形成される。
図10,図11に示すように、大気連通孔140は、第1部位のうち、注入口73と第2部位の間に形成されており、第1空気室136aと連通する。また、第1蛇溝142の一端142aは、第1空気室136aと連通するのに対し、他端142bは、第2空気室136bと連通する。さらに、第2蛇溝143の一端143aは第2空気室136bと連通するのに対し、他端143bは、第3空気室136cと連通する。
図16に示すように、第3空気室136cには空気取入口148が形成されると共に、空気取入口148を介して第3空気室136cとインク室137とが連通する。そのため、例えばインク室137に収容されたインクが導出されてインク室137内の圧力が低下すると、大気連通孔140から取り入れられた外気が第1空気室136a、第1空気通路145、第2空気室136b、第2空気通路146、第3空気室136cを介してインク室137に取り込まれる。
次に、インク室137について説明する。
図14に示すように、インク室137の形状は、液体収容体33の形状と同様に前側における上下方向Zの高さ寸法が、後側における上下方向Zの高さ寸法よりも大きい。さらに、インク室137は、インク室137における注入口73が形成された注入口形成面の一例としての天井面137bと交差する仕切り壁150により第1液体収容室の一例としての第1インク室151と第2液体収容室の一例としての第2インク室152とに仕切られている。
なお、仕切り壁150は、上下方向Zに沿って延びるように設けられると共に、天井面137bと対向する対向面(底面)153とも交差する。また、左右方向Xにおいて仕切り壁150の幅は、収容体ケース130の左側の側壁130bからケース開口部132までの幅と略等しい。また、仕切り壁150は、インク室137において上下方向Zの高さが大きな前側寄りの位置に、収容体ケース130の側壁130bと直交すると共に、該側壁130bからケース開口部132側(図14では手前側)に向かって突出するように収容体ケース130と一体成型されている。そのため、第2インク室152の第1インク室151側における上下方向Zの高さは、第1インク室151の上下方向Zの高さと略等しく、さらに第1インク室151と離れた後側における上下方向Zの高さよりも大きい。そして、第1インク室151の容積は、第2インク室152の容積よりも小さい。
具体的には、図11に示すように、仕切り壁150は、注入口73の開口の中心を通って上下方向Zに沿って延びる注入仮想線Mを中心として第1インク室151における前壁面137aと略線対称となるように形成される。すなわち、注入口73は、仕切り壁150よりも前側の第1インク室151の天井面137bに形成されている。
また、図17に示すように、第1インク室151において対向面153の仕切り壁150寄りの位置には、注入口73から離れるように重力方向に凹んだ凹部154が注入口73とは重力方向と交差する方向に位置をずらして設けられている。すなわち、凹部154は、前後方向Yに注入仮想線Mからずれた位置に左右方向Xに亘って設けられている。
図14,図17に示すように、仕切り壁150にフィルム133が接着されると、接着面150aから側壁130b側に凹み形成された部分が連通開口の一例としての壁連通開口(壁連通開口部)155として機能すると共に、通気開口の一例としての壁通気開口(壁通気開口部)156として機能する。すなわち、第1インク室151と第2インク室152は、壁連通開口155及び壁通気開口156を介して連通する。なお、壁通気開口156は、天井面137bと接するように仕切り壁150の上端に形成され、壁連通開口155よりも上側に位置している。
一方、壁連通開口155は、壁通気開口156よりも下側の対向面153側に位置すると共に、凹部154から上方に離れた位置に形成されている。さらに、壁連通開口155は、その壁連通開口155内において下側に位置する下面155aが左側の奧面155bに対して略直交して略水平に形成されるのに対し、上側(反重力方向側)に位置する上面155cは、奧面155bに対して非直交となる。すなわち、上面155cは、水平方向と交差する方向に傾斜し、奧面155bから離れるにつれて下面155aからも離れる。また、壁連通開口155は、壁連通開口155の開口の中心を通って開口断面と直交する(本実施形態では前後方向Yに沿って延びる)連通口軸線Nが注入仮想線Mと非平行であって違いに交わらない関係となる。すなわち、壁連通開口155は、注入口73に対してねじれの位置に形成される。
さらに、壁連通開口155の面積は、仕切り壁150における凹み形成された部分の面積に相当し、仕切り壁150の面積よりも小さいと共に、注入口73の面積よりも小さい。さらに、壁通気開口156の面積は、壁連通開口155の面積よりも小さい。
また、図14に示すように、第2インク室152には、天井面137bと交差して上下方向Zに沿って延びる少なくとも1つ(本実施形態では9つ)の交差リブ部157a〜157iが、前後方向Yに間隔を有して形成されている。さらに、第2インク室152には、上下方向Z及び前後方向(水平方向)Yと交差する少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の庇部の一例としての横斜リブ部158a〜158dが形成されている。なお、これらの交差リブ部157a〜157i、横斜リブ部158a〜158dは、収容体ケース130の側壁130bと直交すると共に、該側壁130bからケース開口部132側(図14では手前側)に向かって突出するように収容体ケース130と一体成型されている。
交差リブ部157a〜157iは、左右方向Xにおける幅が収容体ケース130の側壁130bからケース開口部132までの幅と略等しい。さらに、交差リブ部157a〜157iは、天井面137bと接する上端の一部が側壁130b側に向かって凹み形成されている。そのため、交差リブ部157a〜157iの接着面(右端面)にフィルム133が接着されると、凹み形成された部分が通気開口の一例としてのリブ通気開口(リブ通気開口部)160として機能する。なお、リブ通気開口160の面積は、壁通気開口156の面積よりも大きく、さらにリブ通気開口160の上下方向Zの大きさは、壁通気開口156の上下方向Zの大きさよりも大きい。すなわち、壁通気開口156の下側開口端は、リブ通気開口160の下側開口端よりも天井面137bに近い位置に位置している。したがって、壁通気開口156は、リブ通気開口160よりも天井面137b寄りに形成されている。
仕切り壁150に一番近い第1交差リブ部157a及び二番目に近い第2交差リブ部157bは、第2インク室152において上下方向Zのサイズが大きな前寄りの位置に底面152aと隙間を有して形成されている。そのため、第1交差リブ部157aと第2交差リブ部157bとの接着面にフィルム133が接着されると、第1交差リブ部157aと第2交差リブ部157bの下端は、インクが通過可能な連通開口の一例としてのリブ連通開口(リブ連通開口部)161として機能する。なお、第2インク室152の底面152aは、第2インク室152において上下方向Zの下側に位置する面であって、第2インク室152の形状に合わせて部分的に屈曲及び傾斜している。そして、第1交差リブ部157a及び第2交差リブ部157bと底面152aとの間にフロート弁131が収容される。
第3交差リブ部157c〜第9交差リブ部157iは、第2インク室152の後寄りの位置に形成されている。さらに、第3交差リブ部157c〜第9交差リブ部157iは、下端の一部が側壁130b側に向かって凹み形成されている。そのため、第3交差リブ部157c〜第9交差リブ部157iの接着面(右端面)にフィルム133が接着されると、第3交差リブ部157c〜第9交差リブ部157iの下端において側壁130b側に凹み形成された部分は、インクが通過可能な連通開口の一例としてのリブ連通開口161として機能する。すなわち、第2インク室152は、交差リブ部157a〜157iによって隔てられる空間同士がリブ連通開口161と、リブ連通開口161よりも天井面137b側に形成されたリブ通気開口160とを介して連通する。
図13,図14に示すように、一番高い位置にある第1横斜リブ部158aは、仕切り壁150と天井面137bとの交点から後方に向かって下り斜面となるように形成されている。さらに、二番目に高い位置にある第2横斜リブ部158bは、仕切り壁150において第1横斜リブ部158aよりも下方位置から後方に向かって第1横斜リブ部158aよりも緩やかな下り斜面となるように形成されている。すなわち、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bは、仕切り壁150と交差すると共に前後方向Yと交差するように形成されている。なお、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bは、左右方向Xの幅が仕切り壁150及び交差リブ部157a〜157iの幅よりも小さい。そのため、ケース開口部132にフィルム133が接着された場合には、第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bとフィルム133との間に隙間が形成される。したがって、第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bによって区分けされた空間は、隙間を介して互いに連通している。
さらに、第2横斜リブ部158bよりも底面152a側であって、フロート弁131の上側位置には、第1庇部の一例としての第3横斜リブ部158cと第2庇部の一例としての第4横斜リブ部158dとが形成されている。第3横斜リブ部158cは、仕切り壁150と第1交差リブ部157aとの間に形成されていると共に、第4横斜リブ部158dは、第2交差リブ部157bよりも後側に形成されている。そして、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dは、フロート弁131の中心を通る重力方向に沿う軸線(図示略)を基準として線対称となると共に、フロート弁131の中心から端部にかけてそれぞれ下り斜面となるように形成されている。すなわち、第3横斜リブ部158cの上端と第4横斜リブ部158dの上端の距離は、第3横斜リブ部158cの下端と第4横斜リブ部158dの下端の距離よりも短い。
なお、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dは、左右方向Xにおける幅が仕切り壁150の幅と略等しい。さらに、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dの両端は、側壁130b側に向かって凹み形成されている。そのため、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dの接着面(右端面)にフィルム133が接着されると、側壁130b側に凹み形成された部分は、インクが通過可能なリブ連通開口161として機能する。したがって、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dによって区分けされた空間は、リブ連通開口161を介して互いに連通する。
図17,図18に示すように、第2インク室152の底面152aには、導出流路138と連通する流路開口(流路開口部)162が形成されている。すなわち、横斜リブ部158a〜158dは、流路開口162及びフロート弁131よりも上側位置に位置し、流路開口162及びフロート弁131を上方から覆うように設けられる。なお、前後方向Yにおける流路開口162と仕切り壁150との距離L1は、上下方向Zにおける対向面153と壁連通開口155との距離L2よりも短い。なお、本実施形態における距離L2は、対向面153に形成された凹部154の上端と壁連通開口155の下端との距離に相当する。すなわち、流路開口162は、第2インク室152の底面152aにおいて仕切り壁150寄りの位置に形成されている。
次に、導出流路138について説明する。
図14に示すように、導出流路138は、第2インク室152の底面152aに沿うように、第2インク室152の下側に形成されている。そして、導出流路138は、液体収容体33の形状に合わせて折れ曲がるように形成されてインクの流れる方向(以下、「流動方向」という。)を変化させながらインクを流動させる屈曲流路部163を有する。さらに、導出流路138は、流路開口162と屈曲流路部163とを結ぶ連結流路部164と、屈曲流路部163と導出口69とを結ぶ傾斜流路部165とを有する。
図18,図19に示すように、連結流路部164は、下側からの底面視で略矩形状のフィルター166を備える。すなわち、連結流路部164は、フィルター166によって流路開口162側の第1連結流路部164aと、フィルター166よりもフロート弁131側の第2連結流路部164bとに区分けされる。さらに、連結流路部164は、フロート弁131よりも導出口69側であって、屈曲流路部163と連結される第3連結流路部164cを備える。
図20(a),(b)に示すように、屈曲流路部163の断面積は、第3連結流路部164cの断面積よりも大きい。なお、導出流路138は、流動方向に亘って左右方向Xの幅が略等しい。そのため、屈曲流路部163(図20(b)では第1縦流路部163a)の流動方向と直交すると共に左右方向Xとも直交する方向(第1縦流路部163aでは前後方向Y)の幅L3は、第3連結流路部164cの流動方向と直交すると共に左右方向Xとも直交する方向(上下方向Z)の幅L4よりも広い。さらに、傾斜流路部165の断面積は、屈曲流路部163の断面積と略等しい。したがって、傾斜流路部165の流動方向と直交すると共に左右方向Xとも直交する方向の幅L5(図14参照)は、第3連結流路部164cの幅L4よりも広い。
図18,図21に示すように、収容体ケース130の上下方向Zの高さが大きな前側寄りの下面40には、インク室137側となる上側に凹んだ略矩形状の段差部167が形成されている。また、段差部167には、第1〜第3流路形成凹部168a〜168cがインク室137側に向かって凹み形成されている。第1流路形成凹部168aには、第2インク室152の底面152aに貫通形成されて一端が流路開口162となる貫通孔162aの他端側が開口する。さらに、第1流路形成凹部168aは、フィルター166が接着される底面視で略矩形状の環状凸部169の内側が外側に比べて深くなるように段違いに形成されている。さらに、第1〜第3流路形成凹部168a〜168cの周縁には、流路凸部170が形成されている。すなわち、貫通孔162a及び環状凸部169は、流路凸部170に囲われている。
したがって、環状凸部169にフィルター166が接着されると共に、流路凸部170に流路形成フィルム171が接着(例えば熱溶着)されることにより、連結流路部164が形成される。すなわち、流路凸部170に流路形成フィルム171が接着されると、第1流路形成凹部168aは、第1連結流路部164a及び第2連結流路部164bとして機能する。また、第2流路形成凹部168bは、第2連結流路部164bとして機能する。さらに、第3流路形成凹部168cは、第3連結流路部164cとして機能する。そして、段差部167には、流路形成フィルム171を保護する略矩形板状の保護部材172が取り付けられる。
図14に示すように、屈曲流路部163は、上下方向Zに沿って延びる少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の縦流路部163a,163bと、縦流路部163a,163bの両端に形成される複数(本実施形態では4つ)の屈曲部173a〜173dと、前後方向Yに沿って延びる横流路部163cとを備える。
すなわち、第1屈曲部173aは、最も下側に位置して第3連結流路部164cの後端と第1縦流路部163aの下端とを結ぶ。第2屈曲部173bは、第1屈曲部173aよりも上側に位置し、第1縦流路部163aの上端と横流路部163cの前端とを結ぶ。第3屈曲部173cは、横流路部163cの後端と第2縦流路部163bの下端とを結ぶ。第4屈曲部173dは、第2縦流路部163bの上端と傾斜流路部165の前端とを結ぶ。したがって、屈曲流路部163は、傾斜流路部165とはインクを流動させる流動方向が異なり、傾斜流路部165に対して折れ曲がっている。
傾斜流路部165は、第4屈曲部173dと連続した流路開口162側となる前側の端部よりも導出口69側となる後側の端部が上方(反重力方向)に位置するように、前後方向(水平方向)Yと交差する方向に沿って延びるように形成されている。すなわち、傾斜流路部165は、流路開口162側から導出口69側に向かって連続した登り斜面となる。そして、傾斜流路部165は、後端側を上方へ屈曲させて導出口69と連通する。
なお、導出流路138は、第2インク室152の重力方向側に位置し、底面152aに沿うように延設されている。そのため、連結流路部164及び横流路部163cと対応する部分の第2インク室152の底面152aは、略水平となるのに対し、傾斜流路部165と対応する部分の第2インク室152の底面152aは、流路開口162側に向かう下り斜面となる。
次に、フロート弁131について説明する。
図22に示すように、フロート弁131は、インク室137内に配置されるフロート部材181と、フロート部材181の下方に配置される弁体182と、フロート部材181の上側に配置される規制部材の一例としての規制ケース183と、フロート部材181と規制ケース183の間に配置される付勢部材の一例としてのコイルばね184を有する。なお、図22には、インク室137内へのフロート弁131の取付構造を簡略化して示すために、インク室137が形成される収容体ケース130の一部を、フロート弁131を構成する上記の各構成部材と共に図示している。
以下、フロート弁131の各構成部材について、それぞれ説明する。
まず、フロート部材181は、内側が複数(本実施形態では4つ)の空間域に仕切られた矩形の枠体185を有している。枠体185における前後方向Yに沿った左右両側面の開口部185aには、例えば透明フィルム等からなる薄膜部材186が接着される。そのため、フロート部材181には、枠体185の開口部185aが薄膜部材186で塞がれることにより、複数(本実施形態では4つ)の密閉された気体室187が薄膜部材186の内側に形成される。したがって、これらの気体室187が生み出す浮力により、フロート部材181は、インク室137内のインクの残量変化に伴い上下方向Zにおいて浮動可能である。
その一方、枠体185における開口部185aが形成されない左右方向Xに沿う前後両側面の下部には、前後方向Yに突出する凸部188がそれぞれ形成されている。また、枠体185における下面の中央位置からは略円柱状をなす押圧部189が鉛直下方に向けて突設されている。また、枠体185における上面の中央位置からは下面の押圧部189と同軸の配置となる棒状部190が鉛直上方に向けて長く延びるように突設されている。
さらに、枠体185の上面において、棒状部190の周りには、棒状部190を中心とした上方からの平面視で十字状をなす板状部191が、枠体185の上面からの突出長さが棒状部190の突出長さの略半分程度となるように形成されている。この板状部191の断面十字形状の大きさは、コイルばね184の外径寸法よりも大きく形成されている。そして、その断面十字形状をなす板状部191の上端部における棒状部190からの放射方向の先端縁には、コイルばね184を載置して支持するためのばね座191aが矩形状に切り欠き形成されている。
次に、弁体182は、可撓性を有するエラストマー等からなる略円板状のダイアフラム弁であって、導出流路138における第2連結流路部164bと第3連結流路部164cとの境界に位置するように第2インク室152の底面152aに開口形成された弁口192(図19等参照)の上方位置に配置される。すなわち、第2インク室152の底面152aには弁口192を囲む円環状の取付座193が形成されるとともに、この取付座193に対しては同じく円環状の取付具194が上方から係止される構成とされ、弁体182はこれらの取付座193と取付具194との間に挟持された状態で弁口192の上方位置に配置される。
また、取付座193の内側には、既述したコイルばね184が第1付勢力を有する第1付勢部材であるとしたとき、第2付勢力を有する第2付勢部材として機能するコイルばね195が弁体182に下方から常に当接するように配置されている。そして、そのコイルばね195により弁体182は弁口192から上方に離れて導出流路138を開放する開弁位置(図19及び図28に示す位置)に向けて常に付勢されている。
なお、コイルばね184の第1付勢力と、コイルばね195の第2付勢力との力関係については、コイルばね184の第1付勢力の方が、コイルばね195の第2付勢力よりも大きいという前提において、次のような力関係に設定されている。
すなわち、インク室137内のインクの残量が、例えば図29に示すように、予め設定した僅少残量である閾値残量未満となった場合には、その時点の残存インク中に浮遊するフロート部材181の浮力とコイルばね195の第2付勢力との和の方がコイルばね184の第1付勢力よりも小さくなるように設定されている。その一方、インク室137内のインクの残量が、例えば図19及び図28に示すように、閾値残量以上となった場合には、その時点の残存インク中に浮遊するフロート部材181の浮力とコイルばね195の第2付勢力との和がコイルばね184の第1付勢力以上となるように設定されている。
次に、規制ケース183は、フロート部材181を上下方向Zに挿抜可能な四角環状をなす環状壁部196及びその環状壁部196の上方開口を閉塞する上壁部197を有して形成された下方が開口した箱形状をなしている。すなわち、環状壁部196は、フロート部材181における上下方向Zの浮動領域の周囲を、そのフロート部材181の側面との間に隙間を空けて囲むことが可能な環状に形成されている。
また、上壁部197の中央位置には、上方開口が閉塞された円筒部198が環状壁部196の内部空間と円筒部198の下方開口を介して連通するように形成されている。そして、円筒部198の上壁部には、フロート部材181の上面から上方に突出した棒状部190の挿通を可能とする挿通孔198aが貫通形成されている。また、円筒部198の上壁部において挿通孔198aを中心とした上方からの平面視で十字形状となる部位には、フロート部材181側の板状部191に切り欠き形成されたばね座191aと上下方向Zで対向するばね座(不図示)が、下方に向けて膨出形成されている。
また、規制ケース183の環状壁部196は、前後方向Yに沿う左右の各側壁196aがフロート弁131の各構成部材を組み付けした状態においてフロート部材181の薄膜部材186と対向する対向部位となる。そして、その左右の各側壁196aにおける前後方向Yの略中央には、フロート部材181が浮動する上下方向Zに沿って延びる矩形の切り欠き部199が各側壁196aの下端縁から上方に切り欠き形成されている。この切り欠き部199は、その前後方向Yの幅寸法が上壁部197の円筒部198の外径寸法よりも大きく、その上下方向Zの高さ寸法がフロート部材181における枠体185の上下方向Zの高さ寸法よりも大きい形状に形成されている。
さらに、規制ケース183の環状壁部196における左右方向Xに沿う前後の各側壁196bの下端部からは、前後方向Yに所定幅を有する帯状の鍔部200が、それぞれ前方及び後方に向けて水平に突出形成されている。そして、これらの鍔部200の左右方向Xの略中央であって且つ前後方向Yの略中央となる位置から各側壁196bの上下方向Zの略中央よりも少し下方となる位置まで、フロート部材181側の凸部188を挿通可能なガイド長孔201が上下方向Zに沿って形成されている。また、規制ケース183には、上壁部197の左右両長辺の各二箇所から環状壁部196の左右の各側壁196aの上端部にかけての部位と、環状壁部196の上端部の四隅となる部位に、規制ケース183の内外を連通させてインクの流通を許容する通孔202がそれぞれ形成されている。
次に、コイルばね184は、フロート部材181と規制ケース183との間に上下方向Zへの収縮可能に配置される。すなわち、コイルばね184は、その内側にフロート部材181の棒状部190を下方から挿通させることにより、その棒状部190の周りの板状部191の上端に形成されているばね座191a上に載置される。そして、その状態からフロート部材181が規制ケース183に対し、その棒状部190を円筒部198の挿通孔198aに挿通させつつ、その枠体185を環状壁部196に下方から挿入させると、コイルばね184は、その上端が規制ケース183の円筒部198の上壁から下方に膨出形成されたばね座(不図示)に当接する。
そして、その状態から更にコイルばね184が収縮するように、フロート部材181を規制ケース183内へ押し込んだ状態を維持しながら、フロート部材181を挿入させた規制ケース183がインク室137の第2インク室152の底面152aに取り付けられることで、フロート弁131は、収容体ケース130に収容される。
そこで次に、収容体ケース130におけるフロート弁131の取付構造を説明する。
図22に示すように、収容体ケース130における第2インク室152の底面152aにおいて、弁体182の取付座193を規制ケース183の前後方向Yの寸法に相当する距離を隔てて挟む前後の二位置には、規制ケース183の前後各鍔部200を左右方向Xに沿ってスライド挿入可能とする断面逆L字状の係止レール部203が形成されている。また、各係止レール部203と取付座193との間であって収容体ケース130の奥側となる前後の二位置には、係止レール部203に鍔部200を挿入した状態で収容体ケース130の奥側に向けてスライド移動した規制ケース183の前後方向Yに沿う左右両側壁196aのうち奥側の側壁196aと当接可能な位置決め部204が形成されている。
さらに、第2インク室152の底面152aにおいて、奥側の位置決め部204と左右方向Xで対応する手前側の二位置には奥側の側壁196aを位置決め部204に当接させた規制ケース183における手前側の側壁196aの下端部に収容体ケース130の開口側となる手前側から係止可能な突起部205が形成されている。この突起部205は、収容体ケース130の奥側斜め上方に向けて延びる弾性変形可能な構造体であり、規制ケース183が鍔部200を係止レール部203に挿入させて奥側にスライド移動するとき、各側壁196aの下端縁が手前側から奥側に摺動しながら乗り越え可能となるように斜め姿勢に設けられている。そして、手前側の側壁196aが乗り越えた後に、元の斜め姿勢に弾性復帰して当該側壁196aの手前側の面に係止することにより、規制ケース183が収容体ケース130の奥側から手前側へ抜け出ないようにしている。
次に、本実施形態の液体収容容器21の作用について説明する。なお、図24(a),(b),(c)では、スライダー34および液体収容体33が省略されて図示されている。
図23に示すように、第2収容体部38の部分が装着部31内に位置してプリンター11に移動不能に固定された液体収容容器21において、スライドつまみ94を上方へ変位させると、スライドつまみ94は、スライダー34の凹部95との係合が解消される。すると、使用者は、スライダー34を、その長手方向に沿って挿入方向とは反対方向へ摺動させることによって、スライダー34をプリンター11(装着部31)から抜き出すことが可能となる。
この抜き出しによって、スライダー34は、プリンター11内に位置する部位、すなわち、液体収容体33の上面39のうち接続部43を含む第2収容体部38においてプリンター11内に位置する部位(第2部位)と重なる部位が、プリンター11外へ移動する。本実施形態では、スライダー34は、図23において二点鎖線で示すように、スライダー34の挿入方向奥側の端部34aに取り付けられた回路基板ホルダー76を、プリンター11外において使用者がスライダー34のホルダー取付部86から抜き取り可能な位置まで移動する。したがって、液体収容体33の上面39のうち、接続部43を含む第2収容体部38においてプリンター11内に位置する部位(第2部位)と重なるスライダー34の部位が、プリンター11内とプリンター11外との間を移動する移動部位として機能する。
この結果、使用者は、プリンター11外へ移動した回路基板ホルダー76をスライダー34(ホルダー取付部86)から抜き取って取り外す。そして、例えば、回路基板ホルダー76に既に載置された回路基板75が存在する場合は、液体収容体33に対して注入口73から注入したインクに関係する関係情報(例えば、インクの色相、彩度、明度、およびインクの粘度、あるいはインクの溶質の種類など)を記録した回路基板75に交換する。そして使用者は、交換した回路基板75が載置された回路基板ホルダー76を再びスライダー34(ホルダー取付部86)に挿入して取り付けたのち、液体収容体33の上面39に沿ってスライダー34をプリンター11(装着部31)内へ挿入する。
このスライダー34の挿入によって、回路基板ホルダー76は挿入方向に対し傾斜して載置された回路基板75の端子75a又は接触部75bが供給部32に備えられた通信部77の電気端子78と接触して電気的に接続され、回路基板75に記録された関係情報がプリンター11側に伝達される。この接続に際して、回路基板75が電気端子78に対して位置決めされる。この回路基板75に記録された関係情報がプリンター11側に伝達されている(読み込まれている)状態において、回路基板ホルダー76はプリンター11内部に位置し、スライダー34の一部(第1部位)はプリンター11の外部に位置する。言い換えると、回路基板75に記録された関係情報がプリンター11側に読み込まれている状態において、ユーザーが手で触れることができない位置に回路基板75及び回路基板ホルダー76は位置している。
すなわち、図24(a)に示すように、供給部32に設けられた通信部77には、回路基板75に形成された複数の端子(接触部75b含む)75aに接触する電気端子78を備える端子部114と、短手方向の両側において、短手方向に突出するとともに挿入方向に延びる突形状部115が設けられている。端子部114は回路基板ホルダー76の凹部(係合部)97と係合し、突形状部115は回路基板ホルダー76の溝形状部107と係合する。この凹部97は、回路基板ホルダー76を構成する壁の面であって、回路基板75側の面に形成されている。
このとき、図24(b)に示すように、回路基板ホルダー76は、スライダー34が装着部31に挿入される際に、スライダー34から離れないように上枠35に固定された板ばね79によってその突起部位80が下方に押されながら通信部77に向かって移動する。この移動において、回路基板ホルダー76は、通信部77の突形状部115が、面取り部106に導かれて溝形状部107に挿入されて係合し、回路基板ホルダー76は通信部77に対して位置決めされる。この点で、回路基板ホルダー76の溝形状部107はプリンター11において位置決めされる位置決め形状部の一例として機能する。
この結果、図24(a),(c)に示すように、回路基板ホルダー76に載置された回路基板75は、通信部77の端子部114に対して位置決めされ、端子部114に備えられた複数の電気端子78が回路基板75の複数(ここでは9つ)の端子(接触部75b含む)75aと適切に接触する。なお、この接触に際して、回路基板75の端子(接触部75b含む)75aが挿入方向先下がりの斜め状態となっているので、電気端子78は端子(接触部75b含む)75aの表面を擦りながら接触する。
次に、液体収容容器21におけるインク注入に係る作用について説明する。
さて、液体収容体33にインクを注入する際には、図9(a)に示すように開閉カバー74を開蓋位置に変位させるとともに、図9(b)に示すように開閉カバー74の裏面74aに被覆体120を載置して注入口73を露出させる。
このとき、使用者は、被覆体120を注入口73から取り外した後に、被覆部材121を液受面116に対し固定部123を回転中心に任意の角度(本実施形態では180度)だけ回転させて、開閉カバー74の裏面74aに被覆体120を載置させる。また、図9(b)に示す状態では、開閉カバー74の裏面74aは、液受面116よりも上下方向Zにおいて高い位置に位置することから、被覆体120を開閉カバー74の裏面74aに載置した状態では、連結部125は僅かに伸張された状態にある。すると、連結部125の弾性変形(伸張)に伴う復元力が、被覆体120を開閉カバー74から前方に向かって作用する。この点、本実施形態では、被覆体120は、開閉カバー74のフック部位110と当接しているため、被覆体120が開閉カバー74から転落等することが抑制される。また、開蓋位置に位置する開閉カバー74の裏面74aは、フック部位110が形成される側が最も低くなる状態となるため、例えば、インクが付着した被覆体120を開閉カバー74の裏面74aに載置したとしても、該インクが開閉カバー74の全面に(特に後方の面域に)拡がってしまうことが抑制される。
そして、図25及び図26に示すように、重ね合わせたフィルム等の縁部128を溶着するとともに注ぎ口127を形成した液体注入源126から液体収容体33にインクが注入される。インクを注入する際には、液体注入源126の注ぎ口127近傍における縁部128を、液体収容体33の周壁部117に形成された切り欠き溝118に差し入れて当接させることで、液体注入源126を液体収容体33に対して位置決めさせる。そして、図26に示すように、液体注入源126及び液体収容体33が当接する点を傾動中心に、液体注入源126を該液体注入源126の注ぎ口127が下方を向くように傾けることで、液体注入源126内のインクが液体収容体33の注入口73を介して第1インク室151内に注入される。
このとき、使用者が勢い良く液体注入源126を傾けてしまうと、液体注入源126の注ぎ口127から流れ出るインクが注入口73から逸れ、液受面116における注入口73の周囲に注がれてしまうことがある。こうした場合にも、液受面116の周囲を囲う周壁部117が液受面116に注がれたインクを堰き止めることで、該インクが液受面116から外側に流れ出ることが抑制される。そして、液受面116は左右方向Xおよび前後方向Yにおいて、それぞれ注入口73に向かって下方に傾斜しているため、液受面116に付着したインクはその傾斜に沿って注入口73まで案内される。
インクの注入が終わると、図9(a)に示すように開閉カバー74の裏面74aに載置された被覆体120で液体収容体33の注入口73を被覆させるとともに、図2に示すように開閉カバー74を閉蓋位置に変位させて、注入作業が終了となる。
また、図27に示すように、複数の液体収容容器21を並設させて使用する状態において、一つの液体収容容器21(例えば左端)における被覆部材121の固定部123(固定孔124)から注入口73までの距離L6は、一つの液体収容容器21における固定部123から、当該一つの液体収容容器21と並設される他の液体収容容器21における注入口73までの距離L7よりも短くなっている。こうすることで、図27に示すように、左端に位置する液体収容体33に対応して設けられる被覆部材121の被覆体120を、固定部123を回転中心として、並設される液体収容体33の注入口73に向けたとしても(図27では二点鎖線で図示)、該被覆体120は該注入口73を被覆することはできない。なお、距離L6,L7とは、図27に示すように平面視における、固定部123(固定孔124)と注入口73との中心位置を結んだ距離を示している。
次に、注入口73からインクを注入する際の液体収容体33内の作用について説明する。
さて、図14に示すように、注入口73からインクが注入されると、第1インク室151の液面が上昇すると共に、壁連通開口155を介して第2インク室152にインクが流入する。なお、第1インク室151に形成された凹部154は、注入口73と前後方向Yに位置をずらして形成されるため、凹部154に異物が堆積していた場合であっても、異物の舞い上がりは抑制される。
なお、第1インク室151と第2インク室152は、壁通気開口156を介して連通している。そのため、第1インク室151と第2インク室152内の圧力が略同じとなるため、第1インク室151と第2インク室152におけるインクの液面は上下方向Zにおいて互いに略同じ高さとなるように上昇する。
第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dには、両端にリブ連通開口161が形成されているため、インクはリブ連通開口161を通過し、インクの液面は第3横斜リブ部158c及び第4横斜リブ部158dの両側で略同じ位置に位置する。さらに、インクは、第1横斜リブ部158aと第2横斜リブ部158bとフィルム133との間に形成される隙間を通過し、インクの液面が第1横斜リブ部158a及び第2横斜リブ部158bよりも上方位置まで移動する。そして、さらにインクの液面が上昇すると、傾斜した底面152aを上るようにインクが広がると共に、第4〜第9交差リブ部157d〜157iのリブ連通開口161をインクが通過して液面が上昇する。
さらに、交差リブ部157a〜157iには、それぞれリブ通気開口160が形成されている。そのため、第2インク室152において交差リブ部157a〜157iの両側の空間の圧力は略同じとなる。そのため、第2インク室152におけるインクの液面も上下方向Zにおいて互いに略同じ高さとなるように上昇する。
ところで、注入口73を有する液体収容体33は、塵や埃などの異物が注入口73から混入し、異物自体が堆積したり、気液界面でインクが乾燥するなどしてインクそのものが異物となったりすることがある。なお、第1インク室151では、異物が対向面153及び凹部154に堆積する。そして、壁連通開口155は、凹部154から離れて形成されているため、第2インク室152へのインクの流入に比べて異物の入り込みが抑制される。すなわち、注入口73から入った異物のうち、特にサイズが大きな異物や重量が大きな異物は第1インク室151に滞留しやすい。
また、第2インク室152では、時間の経過に伴って前側の領域では横斜リブ部158a〜158dに異物が堆積すると共に、後側の領域では底面152aに異物が堆積する。そして、異物が堆積する横斜リブ部158a〜158d及び底面152aは、前後方向Yと交差するように傾斜しているため、導出口69からインクが導出されてインクの液面が低下すると、液面の移動に伴って堆積した異物が一方向(下る方向)に移動する。
さらに、注入口73からインクを注入すると、インクの注入に伴って気泡が入り込むことがある。そして、気泡が第2インク室152に侵入したり、溶け込んだ気体が第2インク室152で気泡になったりすると、気泡は上方へ移動し、横斜リブ部158a〜158dに到達する。この点、本実施形態では、横斜リブ部158a〜158dは、前後方向Yに対して交差しているため、気泡は傾斜した横斜リブ部158a〜158dに沿って移動して液面へ誘導される。
また、第2インク室152のインクは、流路開口162から導出流路138を流動して導出口69から導出される。すなわち、まず流路開口162から導出されたインクは、フィルター166によって異物や気泡が捕獲される。その後、インクは、第2連結流路部164b及び第3連結流路部164cを介して屈曲流路部163へ流動する。
なお、屈曲流路部163は、インクの流動方向が変化するため、インク中に溶け込んだ気体が気泡に成長しやすい。その点、この構成によれば、第3連結流路部164cの断面積に比べて屈曲流路部163の断面積が大きいため、発生した気泡はインクの流れに伴って傾斜流路部165側へ移動する。さらに、傾斜流路部165は、断面積が第3連結流路部164cの断面積よりも大きく、且つ導出口69側に向けて登り斜面となっている。そのため、屈曲流路部163で発生した気泡は、傾斜流路部165を伝って導出口69側に移動し、導出口69からインクと共に導出される。
次に、フロート弁131の作用について説明する。
さて、図19に示す状態は、インク室137内のインクの液面ラインILが閾値残量時ラインELよりも相当上方にある状態、すなわちインク室137内のインクの残量は液体噴射ヘッド24から用紙Sに対してインクを噴射して印刷を続行するのに必要十分な状態にあることを示している。そのため、この図19に示す状態では、コイルばね195の第2付勢力とフロート部材181の浮力との和がコイルばね184の第1付勢力以上となるため、フロート部材181はコイルばね184の第1付勢力で下方に押されて弁体182を弁口192に当接させることもない。
すなわち、この場合は、図19に示すように、フロート部材181の各気体室187が生み出す浮力の和の方がコイルばね184の第1付勢力よりも勝る状態となり、フロート部材181は、弁体182から上方へ離れた位置に浮遊した状態とされる。その一方で、弁体182は、フロート部材181を介してコイルばね184から下方へ押圧されることもないので、コイルばね195からの上方への第2付勢力だけを受けて、弁口192から上方に離れて導出流路138を開放する開弁位置に位置する。
そして、この図19に示す状態から印刷が続行されることにより、インク室137内のインクの残量が次第に減少し、インクの液面ラインILが閾値残量時ラインELに近づくと、図28に示すように、フロート部材181の浮力とコイルばね195の第2付勢力との和と、コイルばね184の第1付勢力とが互いに均衡した状態になる。そのため、フロート部材181は、コイルばね184の第1付勢力で下方へ押圧され、その下面の押圧部189が開弁位置にある弁体182に上方から当接した状態になる。なお、このとき、フロート部材181は弁体182に上方から当接するが、その弁体182を下方の閉弁位置に向けて変位させるまでには未だ至らない。
そして、この図28に示す状態から印刷が更に続行されることにより、インク室137内のインクの残量が更に減少し、インクの液面ラインILが閾値残量時ラインELよりも下方になると、図29に示すように、フロート部材181の浮力とコイルばね195の第2付勢力との和の方が、コイルばね184の第1付勢力よりも小さくなる。そのため、フロート部材181は、コイルばね184の第1付勢力で下方へ更に押圧され、その下面の押圧部189で開弁位置にある弁体182を下方に向けて押圧する。その結果、弁体182は、弁口192を閉塞する閉弁位置へと変位させられる。
すると、弁口192が塞がれるので導出流路138が閉塞され、弁口192よりも下流側へはインクが流動しないようになる。そのため、導出流路138よりも下流側に配設された液体室53内にインクが流入しなくなる結果、残量検出棒45が移動してセンサー68の発光部と受光部との間の光を遮断した状態が維持されるので、インクの残量が閾値残量未満になったことがセンサー68によって検出される。そして、その検出結果を受けて、注入口73から新たにインクがインク室137内に注入されると、再びインク室137内のインクの液面ラインILが閾値残量時ラインELよりも上方になるため、フロート部材181は浮力がコイルばね184の第1付勢力に勝るようになり、弁体182から上方に離れるように浮動させられる。
このとき、コイルばね184の第1付勢力により下方へ付勢されたフロート部材181の押圧部189に下方へ押圧されて弁口192を塞ぐ閉弁位置にあった弁体182は、その閉弁位置の状態が長かった場合、フロート部材181による上方からの押圧が解消した後にも、弁口192に対して張り付いた状態になってしまうことがある。この点、本実施形態の場合は、コイルばね195の第2付勢力が閉弁位置にある弁体182を上方の開弁位置に向けて付勢するため、弁体182は、たとえ弁口192に一時的に張り付いていたとしても、弁口192から引き剥がされ、そのような張り付き状態から解消される。
また、インク室137内へ注入口73からインクを勢いよく注入すると、その注入時のインク室137内へのインクの流入圧力も強くなる可能性がある。そのため、フロート弁131において枠体185の開口部185aを塞いで気体室187を形成する薄膜部材186が、そうした強い流入圧力を直接に受けると損傷するなどダメージを被る虞がある。この点、本実施形態の場合は、注入口73が形成された第1インク室151とは仕切り壁150で仕切られた第2インク室152内にフロート弁131は配置されている。そのため、フロート弁131に対して注入口73から注入されたインクが直接的に上方から降りかかることが回避される。
また、仕切り壁150に形成された壁連通開口155を介して、第1インク室151側から第2インク室152側へインクが勢いよく流入した場合にも、その流入圧力でフロート弁131におけるフロート部材181の薄膜部材186がダメージを受ける虞がある。この点、本実施形態では、壁連通開口155を介した第2インク室152内へのインクの流入方向となる前後方向Yに対して非対向状態となるように、すなわち薄膜部材186が前後方向Yに沿った状態となるようにフロート部材181が第2インク室152内に配置される。そのため、壁連通開口155から第2インク室152内に流入するインクの流入圧力は、フロート部材181の薄膜部材186に対し、その膜面に沿って前後方向Yに流れるように作用する。
ちなみに、経年劣化によりフロート部材181における薄膜部材186が部分的に損傷するなどして、複数(本実施形態では4つ)の気体室187のうちの幾つかが密閉構造をなくしてしまうこともあり得る。そして、そのような場合には、フロート部材181全体の浮力が小さくなるため、フロート弁131の弁機能に支障が生じる可能性もある。しかし、本実施形態では、気体室187が一つだけになった場合でも、その一つの気体室187が生み出す浮力とコイルばね195の第2付勢力との和が、インクの残量が閾値残量以上となったときには、コイルばね184の第1付勢力以上となるように設定されている。そのため、気体室187が一つになった場合でも、フロート弁131は支障なく弁機能を発揮する。
また、インク室137内のインクの残量変化に伴いフロート部材181が上下方向Zに浮動するとき、フロート部材181は、棒状部190が円筒部198の挿通孔198aに挿通することで前後方向Y及び左右方向Xの位置合わせがされる。そして、枠体185の前後両側面から突出された凸部188が規制ケース183のガイド長孔201に挿入されるため、フロート部材181は、棒状部190を中心として回転することが規制される。さらに、コイルばね184を載置した状態のフロート部材181は、規制ケース183における円筒部198の上壁により、弁体182の開弁位置よりも更に上方の位置への浮動が規制される。
さらに、フロート部材181がインク室137内において前後方向Y及び左右方向Xに浮動した場合には、例えば薄膜部材186が規制ケース183の対向する側壁196aに面接触することが、十字状の板状部191と円筒部198の内側面とが水平方向において互いに当接することで規制される。すなわち、フロート部材181は、円筒部198の挿通孔198aに棒状部190が挿通された状態において、板状部191の放射方向の先端縁と円筒部198の内側面との間隔距離の方が、薄膜部材186と規制ケース183の左右の各側壁196aの内面との間隔距離よりも小さくなるように設定されている。したがって、フロート部材181は、その薄膜部材186が規制ケース183における薄膜部材186と対向する両側壁196aと面接触することが規制される。この点で、板状部191は、規制ケース183とフロート部材181との水平方向で互いに対向する対向面同士の面接触を規制する規制当接部の一例として機能する。
また、この場合において、左右方向Xで互いに対向する規制ケース183の側壁196aとフロート部材181の薄膜部材186とは、規制ケース183の側壁196aの方に矩形の切り欠き部199が形成されているため、薄膜部材186が規制ケース183の側壁196aの内面に摺動してダメージを受けることも抑制される。
また特に、フロート部材181が規制ケース183内を上方に浮動すると、規制ケース183内のインクがフロート部材181により下方から押圧されてインク圧が高くなる虞がある。この点、本実施形態では、そのようなインク圧の高まりは、規制ケース183の複数個所に形成された通孔202及び切り欠き部199からのインクの流出が許容されるため、インク圧力が不必要に高まることが抑制される。
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)液体収容容器21は、注入口73が液体収容体33におけるプリンター11外に位置する第1部位(第1収容体部37)に形成されているので、液体収容体33がプリンター11に固定された状態でのインクの注入が可能となる。したがって、インクの注入作業時に損傷したり、内部に残留する液体が零れたりすることを抑制できる。また、液体収容体33におけるプリンター11内に位置する第2部位(第2収容体部38)によって、固定された状態が解除されたときに、液体収容体33は落下せずプリンター11に保持される確率が高くなる。
(2)液体収容容器21は、移動不能に固定された液体収容体33に注入されたインクの関係情報を記録した回路基板75を、その液体収容体33に対して摺動するスライダー34を用いてプリンター11外からプリンター11内へ移動させることができる。そのため、プリンター11内へ回路基板75が移動させられたときに、その回路基板75が例えばプリンター11内に設けられた電気端子78等と接触するように設計しておけば、液体収容体33に注入されたインクの関係情報をプリンター11に正しく伝達することが可能となる。また、スライダー34の移動部位に備えられた回路基板ホルダー76に対して、チップ75をプリンター11外において載置したのち、載置した回路基板75をスライダー34の摺動によってプリンター11内に容易に挿入することが可能となる。
(3)スライダー34によって注入口73を覆うので、別途注入口73用の蓋を設けることなく注入口73への異物の進入を抑制することができる。
(4)スライダー34が注入口73を覆う状態において、そのスライダーを摺動させなくても、備えられた開閉カバー74の変位によって注入口73を覆ったり露出させたりすることができる。
(5)開閉カバー74が閉蓋位置から開蓋位置に変位した状態において、開閉カバー74は注入口73に対してプリンター11側に位置する。したがって、注入口73にインクを注入する際の作業に対して開閉カバー74が邪魔にならないようにすることが可能である。
(6)開閉カバー74を閉蓋位置に安定して維持することができるので、不用意に開閉カバー74が開蓋して注入口73が露出しないように抑制することができる。
(7)回路基板ホルダー76がプリンター11内において移動部位の移動方向と交差する方向で位置決めされるので、回路基板ホルダー76に載置される回路基板75もプリンター11内で精度よく位置決めされる。したがって、例えばプリンター11に備えられた電気端子78は回路基板75に対して位置ずれが抑制された状態で接触するので、チップ75に記録された関係情報のプリンター11への伝達が高い確率で行われる。
(8)回路基板ホルダー76は、スライダー34の摺動方向への移動が抑制されるので、プリンター11内においてスライダー34の摺動方向に対して精度よく位置決めされる。また、回路基板ホルダー76に載置される回路基板75はスライダー34の摺動方向に対して傾斜状態とされるので、例えばプリンター11に備えられた電気端子78はチップ75(端子(接触部75b含む)75a)上を擦りながら移動して電気的に接続される。従って、電気的な導通の信頼性が高くなる。
(9)使用者が注入口73を介して液体収容体33の第1インク室151(インク室137)にインクを注入する際に、該インクを注入口73の周囲に垂らしてしまっても、そのインクを液受面116で受けることができる。そして、液受面116は注入口73に向かって下方(重力方向)に傾斜しているため、液受面116で受けたインクは傾斜した液受面116上を伝って注入口73まで案内される。従って、液体収容容器21の注入口73にインクを注入する際に、注入口73の周囲にインクを垂らしてしまった場合でも、そのインクが注入口73の周囲から液体収容容器21の外面を伝って周りを汚してしまうことを抑制することができる。
(10)液受面116の周囲を囲う周壁部117によって、液体収容体33の第1インク室151にインクを注入する際に、該インクが液受面116の外側に溢れ出ることを抑制することができる。
(11)使用者は、液体注入源126から注入口73を介して第1インク室151にインクを注入する際に、液体注入源126を周壁部117の切り欠き溝118に当接させることで液体注入源126を位置決めすることができる。これによれば、使用者は、液体注入源126から第1インク室151にインクを注入する際に、該インクを安定して注入することが可能となる。
(12)注入口73を被覆する被覆体120は、連結部125及び固定部123を介して液体収容体33に固定されている。このため、注入口73から被覆体120を取り外した際に、該被覆体120を紛失してしまう虞を低減することができる。また、注入口73を被覆体120が被覆することによって、第1インク室151からインクが蒸発したり、第1インク室151に異物が混入したりすることを抑制することができる。
(13)インクを注入する際に、開蓋位置に位置した開閉カバー74の裏面74aに被覆体120を載置することが可能となる。これによれば、使用者が第1インク室151にインクを注入する際に、例えば、片手に被覆体120を持つことで、その片手がふさがった状態でインクの注入作業をすることを抑制することができる。
(14)開蓋位置に位置した開閉カバー74に被覆体120を載置した際に、該被覆体120にインクが付着していたとしても、そのインクが開閉カバー74の外部に漏れ出ることを遮蔽部によって抑制することができる。
(15)開蓋位置に位置した開閉カバー74の裏面74aの面域内に被覆体120が収まるように載置することが可能となる。さらに、載置した被覆体120にインクが付着していたとしても、開閉カバー74の裏面74aが注入口73に向かって下方(重力方向)に傾斜しているため、そのインクが裏面74aの全域に拡がることを抑制することができる。
(16)被覆部材の連結部125が屈曲しているため、液受面116上において収納性よく載置することができる。また、連結部125が直線的に形成されている場合に比して、被覆体120を注入口73から取り外した際に該被覆体120にインクが付着していた場合に、そのインクが連結部125を伝わり難くすることができる。
(17)液受面116上において注入口73よりも高い場所で固定部123が固定されているため、インクを液体収容体33に注入する際に、液受面116上を流動するインクが被覆部材121の固定部123に付着し難くすることができる。これによれば、例えば、固定部123にインクが付着して固化することによって、固定部123の固定状態に影響を与えてしまうことを抑制することができる。
(18)使用者が複数の液体収容容器21(インク室137)に複数種類のインクを注入しようとした際に、一つの液体収容容器21に対応して設けられる被覆体120が、その一つの液体収容容器21と並設される他の液体収容容器21の注入口73を被覆してしまうことを抑制することができる。これによれば、一つの液体収容容器21に対応して設けられる被覆体120で、他の液体収容容器21の注入口73を被覆してしまうことで、その他の液体収容容器21のインク室137内に被覆体120を介したインクが混入することを抑制することができる。
(19)壁連通開口155は、注入口73に対してねじれの位置であって且つ対向面153から離れた位置に位置する。そのため、注入口73から注入されたインクは、壁連通開口155を介して第2インク室152に流入するのに対し、注入口73から混入した異物はや、第1インク室151内で発生した異物は、インクに比べて壁連通開口155を通過しづらい。すなわち、異物を第1インク室151に滞留させやすくすることができるため、第2インク室152には、異物の混入が抑制されたインクが流入する。したがって、注入口73から異物が混入した場合や内部で異物が発生した場合でも、混入した異物が導出口69から導出される虞を低減しつつ良好にインクを導出することができる。
(20)対向面153が重力方向に凹んだ凹部154が形成されているため、第1インク室151において滞留した異物が時間と共に沈降した場合でも、その異物を凹部154内に堆積させることができる。すなわち、凹部154内に異物が堆積した状態で注入口73からインクが注入された場合には、凹部154内から堆積した異物が凹部154外へと舞い上がるのを抑制することができる。
(21)混入又は発生した異物を凹部154に堆積させることができる。そして、凹部154は、重力方向と交差する方向において注入口73と位置をずらして設けられているため、注入口73からインクが注入された際に凹部154に堆積した異物の舞い上がりをより抑制することができる。
(22)流路開口162と仕切り壁150との距離L1を凹部154の上端と壁連通開口155の下端との距離L2よりも小さくすることにより、流路開口162を仕切り壁150に近い位置に形成することができる。そのため、第1インク室151側から第2インク室152側へインクと共に壁連通開口155を通過した異物が流路開口162内に沈降して導出流路138へ入り込む虞を低減することができる。
(23)第2インク室152に異物が入り込んだ場合や、第2インク室152内で異物が発生した場合でも、第2インク室152内で沈降した異物を横斜リブ部158a〜158dに堆積させることができる。したがって、横斜リブ部158a〜158dよりも重力方向側に位置する流路開口162から導出流路138へ導出されるインクへの異物の混入をより抑制することができる。
(24)横斜リブ部158a〜158dは、上下方向Z及び前後方向Yに対して交差する方向に沿って延びるため、第2インク室152に収容されたインクの減少に伴って横斜リブ部158a〜158dに堆積した異物を一方向に集めることができる。
(25)インクの残量変化に伴い浮動するフロート部材181を用いて弁体182を変位させるフロート弁131は、例えばフロート部材181に異物が堆積すると堆積した異物の重みにより誤動作してしまう虞がある。その点、フロート弁131よりも反重力方向側に設けられた横斜リブ部158a〜158dに異物を堆積させることができるため、第2インク室152において沈降した異物がフロート部材181に堆積するのを抑制することができる。
(26)第2インク室152に収容されたインクの残量変化に伴って第3横斜リブ部158c及び第4横斜リブ部158dに堆積した異物が移動して第3横斜リブ部158c及び第4横斜リブ部158dから落ちた場合であっても、フロート弁131を避けるように異物を落とすことができる。
(27)流路開口162から導出されたインクをフィルター166に通した後にフロート弁131側へ流動させることができる。すなわち、例えば注入口73から第1インク室151内のインク中に混入した異物のうち、比較的サイズの大きい異物は第1インク室151において滞留すると共に、第2インク室152において横斜リブ部158a〜158dに堆積する。そのため、流路開口162から導出流路138導出されるインクに混入する異物は比較的サイズが小さいため、たとえ流路開口162から入り込んでしまった場合でも、大きな異物が入り込んでしまった場合に比べて、導出流路138の詰まりが抑制される。さらに、インクを導出流路138に設けられたフィルター166を通すことにより導出口69から導出されるインク中に混入する異物をより低減することができる。
(28)壁連通開口155の面積が注入口73の面積よりも小さいため、注入口73からサイズの大きな異物が混入した場合に、異物が壁連通開口155を越えて第2インク室152へ入り込む虞を低減することができる。
(29)インク中の気泡は導出流路138中の折れ曲がった部分に滞留しやすい。その点、屈曲流路部163に位置する気泡は傾斜流路部165を介して導出口69側へ導かれる。したがって、例えば屈曲流路部163に滞留した気泡が大きくなって導出流路138を塞ぐ虞を低減することができるため、気泡の影響を低減しつつインクを導出することができる。
(30)気泡が滞留しやすい屈曲流路部163までインクを流動させる前にフィルター166を通すことによりすでに生じている気泡を予め捕獲することができる。
(31)インク室137において生じた気泡は、重力方向の上側に移動するため、流路開口162を底面152aに開口させることにより気泡が流路開口162から導出流路138へ入り込む虞を低減することができる。
(32)横斜リブ部158a〜158dを形成することにより、インク室137を補強することができる。さらに横斜リブ部158a〜158dは、水平方向と交差する方向に沿って延びるため、インク室137に収容されたインクに気泡が生じた場合に、横斜リブ部158a〜158dに沿うように気泡を移動させることができる。すなわち、気泡が横斜リブ部158a〜158dに捕獲されてしまう虞を低減することができる。
(33)インク室137の底面152aを傾斜流路部165に沿って傾斜させることができる。すなわち、傾斜流路部165は、流路開口162側が低くなるように形成されているため、インク室137内のインクを流路開口162側に集めることができる。
(34)傾斜流路部165の断面積が大きいため、屈曲流路部163で生じた気泡により傾斜流路部165が塞がれてしまう虞を低減することができる。
(35)壁連通開口155において気泡が生じた場合でも、反重力方向側の上面155cが傾斜しているため、気泡が壁連通開口155に滞留してしまう虞を低減することができる。
(36)仕切り壁150に形成された壁通気開口156により、第1インク室151と第2インク室152の圧力の差を低減することができる。さらに、仕切り壁150に形成された壁通気開口156は、交差リブ部157a〜157iに形成されたリブ通気開口160よりも天井面137b寄りに形成されるため、第2インク室152内のインクが壁通気開口156から第1インク室151に入り込む虞を低減することができる。
(37)位置決め凸条141を形成することにより、空気通路形成フィルム147のずれを抑制して蛇溝142,143上に容易に接着することができる。
(38)フィルター166を、収容体ケース130の下面40に形成された第1流路形成凹部168aに取り付けることにより、フィルター166を容易に交換することができる。
(39)液体収容体33の第2インク室152内に配置されたフロート弁131は、気体室187の開口部185aを塞いでいる薄膜部材186が注入口73からの注入で第2インク室152内に流入するインクの流入圧力を直接受けることはない。すなわち、インクの流入圧力は、薄膜部材186に対してその膜面に沿うように作用することになる。そのため、注入口73を介して外部からインクがインク室137の第1インク室151内へ勢い良く注入された場合でも、そのインクの流入圧力が第1インク室151を経由して第2インク室152内のフロート部材181の薄膜部材186に対して当該薄膜部材186を押圧する方向へ強く作用することを抑制できる。したがって、内部に配置したフロート弁131が外部から注入されるインクの流入圧力によりダメージを受けることなく、適切な弁動作を維持することができる。
(40)注入口73が形成された第1インク室151とは仕切り壁150で仕切られた第2インク室152にフロート弁131は配置されているので、注入口73を介して外部から注入されたインクがフロート弁131に対して直接降りかかることを回避でき、この点でも、フロート弁131にダメージが発生する虞をさらに低減することができる。
(41)たとえ仮に複数(一例として4つ)あるうちの1つの気体室187が損傷などにより密閉状態を壊されても、残りの他の気体室187の体積の総和がフロート部材181において所望する浮力を生むように気体室187の体積を設計しておけば、フロート弁131の機能を良好に維持することができる。
(42)特に、長期間に亘ってインクの残量が閾値残量未満であって弁体182が閉弁位置にある状態から注入口73を介したインクの注入によりインクの残量が閾値残量以上となった場合に、弁体182が閉弁位置に張り付いた状態となることを抑制でき、その弁体182を閉弁位置から開弁位置へと速やかに変位させることができる。
(43)第2インク室152に流入するインクの流入圧力がフロート部材181に対して直接及ぶことを規制ケース183の環状壁部196により抑制しつつ、フロート部材181が上下方向Zに浮動する際に規制ケース183の環状壁部196に対して面接触状態で摺動することで移動抵抗を発生させる虞を低減することができる。
(44)フロート部材181が上下方向に浮動するときに薄膜部材186が規制ケース183の環状壁部196に摺動して傷ついたりする虞を低減することができる。
(45)フロート部材181が上下方向Zに浮動した場合にインクが通孔202を介して規制ケース183の環状壁部196の内側と外側との間を流動することを許容されるので、インクの残量変化に応じたフロート部材181の円滑な浮動状態を確保することができる。
(46)規制ケース183とフロート部材181との水平方向で互いに対向する対向面同士、すなわち、薄膜部材186と側壁196aとがインクの表面張力によって固着してしまう虞を低減できるので、フロート弁131の適切な弁動作を良好に維持することができる。
(47)フロート部材181を弁体182に対して小さなストロークで押圧させるだけで、弁体182を開弁位置と閉弁位置との間で変位動作させることができるので、フロート弁131のコンパクト化に貢献することができる。
(48)液体収容容器21がプリンター11外に位置する第1部位とプリンター11に挿入される第2部位とを有し、注入口73が形成された第1部位の底部は第2部位の底部よりも低い構成であるため、例えば、第1部位の底面と第2部位の底面とを同じ高さとして第1部位を水平方向に延ばした構成とする場合に比べ、液体収容容器21を含めたプリンター11全体の水平方向の大きさが大きくなってしまうという不都合を防止することができる。また、例えば、プリンター11外に位置する第1部位を水平方向に延ばすと、第1部位の底部を第2部位の底部よりも低くする場合(第1部位を重力方向に延ばす場合)に比べて、プリンター11に挿入される第2部位からの距離が長くなる分、第2部位に掛かる力が増大し、第2部位の破損等が生じる可能性がある。また、例えば、同様の理由によりプリンター11が第1部位側に傾いてしまう可能性がある。このことから、第1部位の底部を第2部位の底部よりも低くすることにより、第2部位の破損、プリンター11の傾き等の不都合が生じる可能性を低減しうる。
(49)第2部位に比較して容量の大きな第1部位がプリンター11外に位置しているため、第1部位に比較して容量の小さな第2部位がプリンター11外に位置している場合に比べ、液体収容容器21内のインク残量をユーザーが把握し易くなり、過度のインク注入による液体収容容器21からのインクの溢れ出しや、インク残量が少なくなっているにもかかわらず印字を続けてしまうという不都合が生じる可能性を低減しうる。
(50)第1部位の天面の高さと第2部位の天面の高さが等しいため、液体収容容器21の大容量化を図りつつ、液体収容容器21の大容量化に伴い注入口の位置が高くなることを防止することができる。注入口73の高さが高くなると、ユーザーがインクを注入する際に、注入用のインクが収容された容器を注入口73の高さまで持ち上げなければならないといった不都合を防止することができる。
(51)第1部位と第2部位の短手方向の長さが等しいため、プリンター11に挿入され、ユーザーがその内部のインク残量を把握するのが難しい第2部位内の残量を推測し易く、過度のインク注入による液体収容容器21からのインクの溢れ出しや、インク残量が少なくなっているにもかかわらず印字を続けてしまうという不都合が生じる可能性を低減しうる。
(52)プリンター11に接続される流出口52がプリンター11に挿入される第2部位に設けられているため、プリンター11外に位置する第1部位に流出口52が設けられている場合に比べ、プリンター11と流出口52との接続がとれなくなってしまうという不都合が生じる可能性を低減しうる。具体的には、第1部位はプリンター11外に位置するため、ユーザーがその上部に物を置いたり、誤って衝突する等により第1部位に直接的に衝撃が加わる場合がある。このような場合に、第1部位に流出口52が設けられていると、その衝撃によりプリンター11と流出口52との接続が取れなくなってしまうことが起こりうる。一方、第2部位に流出口52が設けられていると、第2部位にも間接的には衝撃が加わるが、第1部位に流出口52が設けられている場合に比べて受ける衝撃を弱くすることができうる。
(53)プリンター11と係合する被固定部37aは、第1部位のうち液体収容容器21の挿入方向側の第1面に設けられているので、第1面と対向する第2面に設けられている場合に比べてプリンター11の大型化を防止することができる。また、第1面は挿入方向側に位置しているため、被固定部37aが、液体収容容器21内の残量をユーザーが外部から観察することを阻害するという不都合が生じる可能性を低減しうる。
(54)注入口73は、第1部位のうち、第2部位側の第1面よりも第1面と対向する第2面に近い位置に形成されているため、ユーザーがインクを注入する際に誤ってインクを注入口73外に溢した場合でも、プリンター11にインクが付着し汚してしまうという不都合が生じる可能性を低減しうる。また、第1面は、第2面に比べ液体消費装置に近い面であるため、第2面に近い位置に注入口73を設けることで、プリンター11により、ユーザーが注入の様子を視認することができないという不都合が生じる可能性を低減しうる。
(55)大気連通孔140は、第1部位のうち注入口73と第2部位の間に形成されているので、ユーザーが、注入用インクが収容されたインク補充容器からインクを注入する際にユーザーの死角となりうるインク補充容器の一部を伝って下方に垂れるインクが大気連通孔140に入ってしまい、大気連通孔140を塞いでしまうという不都合が生じる可能性を低減しうる。
(56)液体収容容器21の第2部位とプリンター11は揺動可能に接続されているため、インクが注入された際に第1部位に力が加わった場合でも接続を維持することができ、接続がとれてしまうという不都合が生じる可能性を低減しうる。
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、第2部位(装置本体14内に位置する液体収容容器21の一部)を、液体収容容器21のうち装着部31に設けられた案内溝84と接触する部分としてもよい。したがって、第1部位(装置本体14外に位置する液体収容容器21の一部)を、液体収容容器21のうち第2部位以外の部分、又は液体収容容器21のうちの装着部31に設けられた案内溝84と接触しない部分としてもよい。
・上記実施形態において、被取付部材50が液体収容体33に対し揺動可能としたが、被取付部材に限らず、液体収容体33とプリンター11が揺動可能に接続されていれば足り、必ずしも被取付部材50に限定されるものではない。
・上記実施形態において、回路基板ホルダー76は、スライダー34に対して当該スライダー34の液体収容体33に対する摺動方向に沿う方向、すなわち長手方向に沿う方向から挿入されてスライダー34に備えられてもよい。また、回路基板ホルダー76に取り付けられる回路基板75は、必ずしもスライダー34の摺動方向に対して傾斜した状態でなく、例えば摺動方向と平行な状態、もしくは直交する状態で回路基板ホルダー76に載置されてもよい。
・上記実施形態において、必ずしもスライダー34の移動部位がプリンター11内に移動した際、プリンター11内において位置決めされる位置決め形状部の一例としての溝形状部107が回路基板ホルダー76に設けられなくてもよい。例えば、スライダー34が通信部77に対して位置決めされた状態で装着部31に挿入される場合は、位置決め形状部は不要である。
・上記実施形態において、必ずしも開閉カバー74との係合部(溝部112)がスライダー34に設けられなくてもよい。例えば、開閉カバー74の軸受部90がスライダー34の回転軸89と締まり嵌めの状態で係合する構成とされる場合は、この締まり嵌めによって回転負荷が得られるので、係合部は不要である。
・上記実施形態において、開閉カバー74は、必ずしも液体収容体33の短手方向に沿って延びる軸線を回転中心として回転する構成でなくてもよい。例えば、スライダー34に対して長手方向に平行移動して閉蓋位置から開蓋位置に変位する構成であってもよい。
・上記実施形態において、注入口73を覆う状態で備えられたスライダー34に、必ずしも開閉カバー74が備えられなくてもよい。この場合は、スライダー34をプリンター11(装着部31)から抜き取ることによって、インクの注入口73を露出させればよい。
・上記実施形態において、注入口73は必ずしも液体収容体33において反重力方向側となる上面39に設けられなくてもよい。例えば、水平方向側に位置する側面に設けられてもよい。また、スライダー34は、必ずしも注入口73を覆う状態で備えられなくてもよい。このような場合は、注入口73をスライダー34とは別部材で覆う構成としてもよい。
・上記実施形態において、必ずしも、回路基板ホルダー76は、スライダー34のホルダー取付部86に取り付けられる構成に限定されない。例えば、回路基板ホルダー76はスライダー34の一部に一体で形成される構成であってもよい。また、ホルダー76に支持される回路基板75はフレキシブルな回路基板であってもよい。さらに、回路基板75は、フレキシブルな素材と基板の組み合わせにより構成されるものでもよい。すなわち、回路基板75は、回路基板75を構成する回路、端子、メモリー等が構造的に別々のものに設けられているもの、一体として設けられているものの両方を意味する。したがって、回路基板75が傾斜しているとは、これらの構成の少なくとも一つが傾斜している状態をいう。また、上記実施形態において、回路基板75が傾斜しているとしたが、少なくとも回路基板75に設けられた端子75a又は接触部75bが通信部77に備えられた電気端子78と電気的に接続されている状態において、回路基板75が傾斜していればよい。なお、上述したとおり回路基板75は記憶部の一例であり、回路基板ホルダー76は記憶部保持部材の一例であるとしたが、回路基板75は記憶部と、回路基板ホルダー76は記憶部保持部材と同一ともいえる。
・上記実施形態において、媒体は用紙Sに限るものではなく、金属板、樹脂板、布などを材料とする板状部材であってもよい。すなわち、液体噴射ヘッド24が噴射する液体によって記録(印刷)可能な部材であれば、媒体として採用できる。
・上記実施形態において、液体消費装置は、キャリッジ25に伴って液体噴射ヘッド24が往復移動するシリアル式のプリンター11に限らず、液体噴射ヘッド24を固定したままでも用紙最大幅範囲の印字が可能なラインヘッド式のプリンターであってもよい。
・上記実施形態において、被覆部材121は、少なくとも被覆体120を備えていればよい。
・上記実施形態において、開閉カバー74の裏面74aにインクを吸収可能な吸収材を配置してもよい。
・上記実施形態において、連結部125は、液受面116上で複数回折り返したような形状としなくてもよい。例えば、連結部125は、該連結部125の一部において一度だけ屈曲させることで、平面視L字形状に形成してもよい。また、連結部125は金属製の鎖等で形成するとともに液受面116上に載置してもよい。
・上記実施形態において、開閉カバー74の裏面74aは、該開閉カバー74が開蓋位置に位置した際に、注入口73に向かって下り勾配の面となっていなくてもよい。この場合、開閉カバー74の裏面74aにおいて、被覆体120が載置される部分には上述したインク吸収材が配置されることが望ましい。
・上記実施形態において、被覆部材121の被覆体120は、開閉カバー74の裏面74aに載置しなくてもよい。
・上記実施形態において、切り欠き溝118は、周壁部117を除いた注入口73の周辺位置に設けてもよい。例えば、注入口73の開口縁73aに形成してもよい。また、凹部としての切り欠き溝118の代わりに、周壁部117から上方に突出する凸部を設けてもよい。なお、この場合には、液体注入源126を両側から位置決めできるよう凸部は2つ設けられることが望ましい。
・上記実施形態において、壁連通開口155の面積を注入口73の面積と同じ大きさとしてもよい。また、壁連通開口155の面積を注入口73の面積よりも大きくしてもよい。
・上記実施形態において、フィルター166を備えない構成としてもよい。また、フィルター166は、第2インク室152内において、流路開口162を覆うように設けてもよい。
・上記実施形態において、フロート弁131を備えない構成としてもよい。
・上記実施形態において、横斜リブ部158a〜158dを設けない構成としてもよい。また、横斜リブ部158a〜158dを個別に設ける構成としてもよく、いずれの横斜リブ部158a〜158dを設けるかは任意に選択することができる。例えば、横斜リブ部158a〜158dのうち何れか1つの横斜リブ部のみを設ける構成としてもよい。また、例えば第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dのように、いずれか2つの横斜リブ部や、第1〜第3横斜リブ部158a〜158cのように、何れか3つの横斜リブ部を設ける構成としてもよい。
・上記実施形態において、横斜リブ部158a〜158dは、一方向に沿って延びるだけではなく、部分的に屈曲もしくは湾曲していてもよい。すなわち、例えば、横斜リブ部158a〜158dは、重力方向に沿って延びる部分と、重力方向と交差する部分を合わせ持っていてもよい。
・上記実施形態において、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dは、線対称でなくてもよい。すなわち、例えば第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dを上下方向Zに一をずらして形成してもよい。また、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dの線対称の基準となる軸線は、重力方向に沿っていればフロート弁131をどの位置で通ってもよい。そして、第3横斜リブ部158cと第4横斜リブ部158dは、一部が軸線を基準として線対称であってもよい。
・上記実施形態において、横斜リブ部158a〜158dは、前後方向Yに沿って延びるように形成してもよい。また、横斜リブ部158a〜158dは、左右方向Xに対して交差する方向に延びるように形成してもよい。
・上記実施形態において、横斜リブ部158a〜158dは、流路開口162と上下方向Zに位置をずらして設けてもよい。
・上記実施形態において、流路開口162は、底面152a以外の位置に形成してもよい。例えば、側壁130bに流路開口を形成してもよい。また、流路開口162を仕切り壁150から離れた位置に形成してもよい。すなわち、距離L1は、距離L2よりも長くてもよい。
・上記実施形態において、対向面153に凹部154を設けない構成としてもよい。また、凹部154は、重力方向と交差する方向に向けて凹むように形成してもよい。さらに、凹部154は、注入仮想線Mと一致するように形成してもよい。すなわち、凹部154は、注入口73の重力方向側の位置に形成してもよい。なお、凹部154と注入口73は、上面視の形状が異なり、左右方向Xにおいて凹部154の大きさが注入口73よりも大きい。そのため、凹部154を注入口73の重力方向側の位置に形成しても、凹部154の一部は、重力方向と交差する方向において注入口73とずれた位置に位置することになる。そこで、上面視で凹部154を注入口73よりも小さく形成してもよく、また注入口73と凹部154を同じ形状に形成してもよい。
・上記実施形態において、液体収容容器21は、スライダー34を備えない構成としてもよい。すなわち、液体収容容器21を液体収容体33のみで構成してもよい。
・上記実施形態において、仕切り壁150を上下方向Zと交差するように設けてもよい。
・上記実施形態において、収容体ケース130は、交差リブ部157a〜157iを備えない構成としてもよい。
・上記実施形態において、収容体ケース130は、仕切り壁150を備えない構成としてもよい。
・上記実施形態において、壁連通開口155の上面155cを水平方向に沿うように形成してもよい。
・上記実施形態において、傾斜流路部165の断面積を、連結流路部164の断面積と同じ大きさとしてもよい。また、傾斜流路部165の断面積を、屈曲流路部163の断面積よりも大きくしてもよい。また、傾斜流路部165の断面積を、連結流路部164の断面積と、屈曲流路部163の断面積よりも小さくしてもよい。
・上記実施形態において、傾斜流路部165をインク室137の重力方向の下側位置とはずれた位置に設けてもよい。すなわち、例えば、傾斜流路部165を側壁130bを介してインク室137と隣接するように設けてもよい。
・上記実施形態において、第2インク室152の底面152aに固定される弁体182を省略し、フロート部材181の下面から鉛直下方に突出する押圧部189が下動した際に弁口192を閉塞可能な弁体としての機能を果たすようにしてもよい。
・上記実施形態において、フロート部材181における規制ケース183に対する規制当接部の一例として機能する板状部191は、その断面形状が十字形状以外でもよい。要するに、その規制当接部を構成する部位と円筒部198の内面との間隔距離の方が、薄膜部材186と環状壁部196の内面との間隔距離よりも小さくなる関係にあれば、その形状は任意に変更可能である。
・上記実施形態において、規制ケース183における通孔202の形状は、矩形形状に限らず丸形状でも三角形状でも或いは切り欠き形状でもよい。要するに、フロート部材181が浮動した場合にインクの流通を許容する形状であれば、その形状は任意に変更可能である。
・上記実施形態において、規制ケース183の前後方向Yに沿う側壁196aに形成された切り欠き部199は、省略されてもよい。あるいは、その切り欠き部199は、左右方向Xに沿う側壁196bに形成されてもよい。この場合にも、その切り欠き部199は規制ケース183の内外を連通させてインクの流動を許容する他に、フロート部材181が浮動時に摺動する虞を低減するという機能を果たすことができる。
・上記実施形態において、弁体182を上方の開弁位置に向けて付勢する第2付勢力を有するコイルばね195は省略してもよい。
・上記実施形態において、フロート部材181には気体室187が少なくとも1つあればよい。すなわち、その気体室187の数は、必ずしも4つに限らず、2つ、3つ、5つなど少なくとも1つ以上であればよい。
・上記実施形態において、インク室137を第1インク室151と第2インク室152とに仕切る仕切り壁150はなくてもよい。すなわち、液体収容体33のインク室137は1つだけで、その1つのインク室137内にフロート弁131が配置される構成であってもよい。
・上記実施形態において、規制ケース183の形状は箱形状に限定されず、第2インク室152内に流入するインクの流入圧力に対してフロート部材181を保護するように、フロート部材181を囲む環状壁部196を有するものであれば、その形状は任意に変更可能である。
・上記実施形態において、規制部材は、規制ケース183のような箱形状のものではなく、枠体形状のものであってもよい。要するに、フロート部材181がインクの液面の上昇に伴い上方に浮動した場合に、インク室137の天井よりも低い位置で上方への浮動が停止するように当接して規制する構造を有するものであれば、その形状は任意に変更可能である。
・上記実施形態において、フロート部材181の開口部185aを塞いで気体室187を形成する薄膜部材186はフィルム以外に例えば薄い樹脂製シートやプレートなどでもよい。
・上記実施形態において、液体収容容器21の使用時の姿勢状態としては、液体収容容器21がプリンター11の装着部31に装着されてプリンター11に対して移動不能に固定された状態以外に、プリンター11の側方に載置された状態でチューブにより液体を供給可能に接続される使用形態であってもよい。
・上記実施形態において、液体収容容器と液体注入源について述べたが、両者共に液体容器と表現することができる。
・上記実施形態において、液体消費装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオ回路基板製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。
上記実施形態において、記憶部は、液体に関する関係情報を記録したものとしたが、実際に記憶したものではなく、記憶可能なものであればよい。