JP2015230915A - 非水系リチウム型蓄電素子用負極、及びそれを用いた非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】負極集電体と、該負極集電体の片面又は両面に積層された負極活物質層と、から成る非水系リチウム型蓄電素子用負極であって、上記負極活物質層に含まれる負極活物質が、その初回リチウム充放電特性において、下記1)から3):
1)初回リチウム充電量が1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下である;
2)0〜0.5Vの負極電位における放電量が150mAh/g以上である;及び
3)0〜0.2Vの負極電位における放電量が100mAh/g以上である;
を同時に満足する、前記非水系リチウム型蓄電素子用負極。
【選択図】なし
Description
電気二重層キャパシタのうち、電極に活性炭を用いたものは、0.5〜1kW/L程度の出力特性を有する。この電気二重層キャパシタは、耐久性(サイクル特性、高温保存特性)も高く、上記高出力が要求される分野で最適のデバイスと考えられてきたが、そのエネルギー密度は、1〜5Wh/L程度に過ぎず、さらなるエネルギー密度の向上が必要である。
リチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を含む非水系電解液を使用する蓄電素子(非水系リチウム型蓄電素子)の一種であって、正極においては約3V以上で電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって、充放電を行う蓄電素子である。
特許文献1では、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として、リチウムをイオン化した状態で吸蔵及び離脱しうる炭素材料に、化学的方法又は電気化学的方法により予めリチウムを吸蔵させた炭素質材料を用いる蓄電素子が提案されている。特許文献1において、上記炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン小球体、黒鉛化メソフェーズカーボン繊維、黒鉛ウイスカ、黒鉛化炭素繊維、フルフリルアルコール樹脂又はノボラック樹脂の熱分解物、ピッチ・コークスなどの、多環炭化水素化合物の縮合高分子の熱分解物などが例示されている。
なお、充放電時に負極で発生するリチウムイオンの負極への吸蔵(ドープ)・放出(アンドープ)と区別するために、本明細書においては、電極としての炭素材料に対して予めリチウムイオンを吸蔵することを、以下、「プリドープ」ともいう。
この複合多孔性材料に代表される低結晶性炭素材料は、(002)面で示される炭素網面が発達しておらずにその面間隔は大きく、そのため比表面積が大きく、細孔量が非常に多い。従って、イオンの拡散抵抗が低いために高出力特性を得易い。しかし、極少な細孔も多いため、その低抵抗特性(特に低温時の抵抗特性)には限界があった。更に、上記のような構造に起因して、Liイオンが繰り返し充放電されると負極電位が上昇し易く、その結果、低抵抗特性と高いサイクル耐久性とを両立することは困難であった。
以上のことに鑑み、本発明が解決しようとする課題は、低温において高い出力特性を示し、かつ高いサイクル耐久性を兼ね揃えた非水系リチウム型蓄電素子用負極を提供し、更にその負極を用いた非水系リチウム型蓄電素子を提供することである。
以上の検討に基づいて、本発明者らは、低温における高い出力特性と、高いサイクル耐久性と、を兼ね揃えた非水系リチウム型蓄電素子が得られることを見出し、本発明を完成させたのである。
[1]
負極集電体と、該負極集電体の片面又は両面に積層された負極活物質層と、から成る非水系リチウム型蓄電素子用負極であって、
上記負極活物質層に含まれる負極活物質が、その初回リチウム充放電特性において、下記1)から3):
1)初回リチウム充電量が1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下である;
2)0〜0.5Vの負極電位における放電量が150mAh/g以上である;及び
3)0〜0.2Vの負極電位における放電量が100mAh/g以上である、ただし、
上記初回リチウム充放電特性は、以下の条件で測定した値である:
負極を作用極とし、対極がリチウム、参照極がリチウム、電解液がエチレンカーボネート及びメチルエチルカーボネートを体積比1:4で混合した溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解した溶液である、3極式セルについて、
電流値が負極活物質当り100mA/g、かつセル温度が45℃の条件下で、定電流にて充電を開始し、負極電位が1mVになった時点で定電圧に切り替えて更に充電を継続し、定電流定電圧充電で合計40時間の充電を行った時の充電量を上記1)初回リチウム充電量とし;
初回リチウム充電後、電流値が負極活物質当り50mA/g、かつセル温度が45℃の条件下で、定電流にて負極電位が2.5Vになるまでリチウムを放電した時の、
負極電位が0〜0.5Vの間の放電量を上記2)の放電量とし;そして
負極電位が0〜0.2Vの間の放電量を3)の放電量とする;
を同時に満足する、前記非水系リチウム型蓄電素子用負極。
前記負極活物質が、下記1)から3):
1)X線広角回折分析において、(002)面の面間隔が0.335nm以上0.340nm未満である層状構造が観測される;
2)X線広角回折法分析において、(002)面の面間隔が0.360nm以上であるアモルファス構造が観測される;及び
3)一次粒子の平均粒径が20nm以下である;
を同時に満足する、[1]に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。
[3]
BET法により測定される前記負極活物質の比表面積が250m2/g以上500m2/g未満である、[1]又は[2]に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。
前記負極活物質がピッチ炭を含み、かつ前記負極活物質が下記1)及び2):
1)QSDFT(急冷固体密度汎関数理論)によって算出した細孔量のうちの直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来する量をVm1(cc/g)とするとき、0.200≦Vm1≦0.400;及び
2)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å未満の細孔に由来する量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm2≦0.150;
を同時に満足する、[1]〜[3]いずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。
該負極活物質が、下記1)から4):
1)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来する量をV1(cc/g)とするとき、0.300≦V1≦0.500;
2)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å未満の細孔に由来する量をV2(cc/g)とするとき、0.100≦V2≦0.300;
3)X線広角回折分析において、(002)面の面間隔が0.335nm以上0.340nm未満である層状構造が観測される;及び
4)X線広角回折法分析において、(002)面の面間隔が0.360nm以上であるアモルファス構造が観測される;
を同時に満足する炭素材料を、不活性雰囲気下でピッチと熱反応させて、前記炭素材料の表面にピッチ炭を被着させて得られるものである、[1]〜[4]いずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。
[6]
[1]〜[5]いずれか1項に記載の負極、正極集電体と該正極集電体の片面又は両面に積層された正極活物質層とから成る正極、及びセパレータから成る電極体、並びに
リチウム塩を含む非水系電解液
が外装体に収納されて成る、非水系リチウム型蓄電素子。
上記非水系リチウム型蓄電素子は、例えばキャパシタとして好適に使用することができる。
本発明における非水系リチウム型蓄電素子用負極は、負極集電体上に負極活物質層を設けたものである。
本発明における負極活物質は、負極活物質層に含まれ、かつ初回リチウム充放電特性において以下の1)から3)を同時に満足することを特徴とする:
1)充電量が1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下である;
2)0〜0.5Vの負極電位における放電量が150mAh/g以上である;及び
3)0〜0.2Vの負極電位における放電量が100mAh/g以上である。
上記の初回リチウム充放電特性の評価は、以下のようにして行うことができる。
先ず、作用極が負極、対極がリチウム、参照極がリチウム、電解液がエチレンカーボネート及びメチルエチルカーボネートを体積比1:4で混合した溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解したものである、3極式セルを作製する。この3極式セルについて、電流値が負極活物質当り100mA/g、かつセル温度が45℃の条件下で、定電流にて充電を開始し、負極電位が1mVになった時点で定電圧に切り替えて更に充電を継続し、定電流定電圧充電で合計40時間の充電を行う。この時の充電量を初回リチウム充電量とする。そして、初回リチウム充電後、電流値が負極活物質当り50mA/g、かつセル温度が45℃の条件下で、定電流にて負極電位が2.5Vになるまでリチウムを放電した時の放電量を初回リチウム放電量として、上記の充電量、並びに負極電位が0〜0.5V及び0〜0.2Vの間にあるときの放電量を調べるのである。
負極電位が0〜0.5Vの間にあるときの放電量が150mAh/g以上であれば、蓄電素子とした時の充放電過程において、負極電位を低電位で作動させることが可能となり、従って高いサイクル耐久性を発現することができる。以上より、0〜0.5Vの負極電位における放電量は、好ましくは170mAh/g以上であり、更に好ましくは180mAh/g以上である。
上記3)については、負極電位が0〜0.2Vの間にあるときの放電量が100mAh/g以上であれば、特に充放電サイクルを長期間に亘って施した時に、負極電位が低い場合であってもセルを作動させることが可能となり、従って高いサイクル耐久性を発現することができる。以上より、0〜0.2Vの負極電位における放電量は、好ましくは105mAh/g以上であり、更に好ましくは110mAh/g以上である。
1)X線広角回折分析において、(002)面の面間隔が0.335nm以上0.340nm未満である層状構造が観測される;
2)X線広角回折分析において、(002)面の面間隔が0.360nm以上であるアモルファス構造が観測される;及び
3)一次粒子の平均粒径が20nm以下である;
上記1)及び2)における面間隔は、以下のようにして測定することができる。
先ず、負極活物質の試料について、X線広角回折法測定装置により、X線回折チャートを得る。次いで、該チャートにバックグラウンドを設定したうえで、Fundamental Parameter法(FP法)を用いたピーク形状計算により、ガンマ分布を適用したピーク分離を行い、層状構造であるピーク値及びその積分強度、並びにアモルファス層であるピーク値及びその積分強度を算出するのである。
負極活物質が1)の層状構造部分を持つことにより、初回リチウム充電量を増やすことができ;
2)の乱層構造部分を持つことにより、蓄電素子とした時の、充放電におけるリチウムイオンの拡散抵抗を低減させることができ、従って高出力特性を発現することができる。
なお、本明細書における一次粒子の平均粒径は、透過型顕微鏡(TEM)観察における視野から任意に選んだ100個の粒子径の算術平均値である。
負極活物質のBET比表面積が250m2/g以上であれば、初回リチウム充電量を増やすことができるため、負極内の負極活物質量を少なくすることができる。従って、負極活物質層を薄くすることが可能となるから、得られる蓄電素子が高エネルギー密度を発現することができる。また、この値が500m2/g未満であれば、負極活物質の細孔量が多くなり過ぎないから、負極活物質層の嵩密度を高めることができる。以上より、負極活物質のBET比表面積は、好ましくは280m2/g以上450m2/g未満であり、更に好ましくは300m2/g以上400m2/g未満である。
1)QSDFT(急冷固体密度汎関数理論)によって算出した細孔量のうちの直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来する量をVm1(cc/g)とするとき、0.200≦Vm1≦0.400;及び
2)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å未満の細孔に由来する量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm2≦0.150。
本発明において、Vm1及びVm2は、それぞれ以下のような方法により求めた値である。
試料を500℃で一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質とし吸脱着の等温線の測定を行なう。この時の脱着側の等温線を用いて細孔量をQSDFT法より算出する。具体的な算出法は、Ravikovitch P.I.により提唱されたものを用いる(Langmuir,22、11171(2006))。この方法は、均一な細孔表面を仮定する非局在密度汎関数理論(NLDFT)による解析(NLDFT法)を、不均一な細孔表面にも適用できるよう発展させた手法である。
直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来するVm1(cc/g)と、
直径15.4Å未満の細孔に由来するVm2(cc/g)と
を調べるのである。QSDFT法において炭素材料モデルを想定するには、計算モデルとして、“N2 at 77K on carbon(slit pore, QSDFT equilibrium model)”を選択すれば良い。
本発明における負極活物質の好ましい作製方法としては、基材炭素材料を不活性雰囲気下でピッチと熱反応させて、該基材炭素材料の表面にピッチ炭を被着させる方法が挙げられる。
上記の基材炭素材料としては、下記1)から4)を満たす材料であることが好ましい。
1)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来する量をV1(cc/g)とするとき、0.300≦V1≦0.500;
2)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å未満の細孔に由来する量をV2(cc/g)とするとき、0.100≦V2≦0.300;
3)X線広角回折法分析において、(002)面の面間隔が0.335nm以上0.340nm未満である層状構造が観測される;及び
4)X線広角回折法分析において、(002)面の面間隔が0.360nm以上であるアモルファス構造が観測される。
上記1)及び2)については、基材炭素材料の細孔内にピッチ炭を被着させることによって本発明における負極活物質を得るといった観点から、V1については、好ましくは0.330≦V1≦0.480であり、V2については、好ましくは0.100≦V2≦0.250である。
これらの基材炭素材料は、1種類のみで使用するか、又は2種以上を混合して使用してもよい。
更に、理論に拘束されるものではないが、ピッチ炭の原料であるピッチの軟化点が100℃以下であれば、基材炭素材料が有していたマイクロ孔(V2)をピッチ炭で適度に埋めることができる。このことによって、初回リチウム充放電特性における充放電効率が向上して、負極電位が0〜0.5Vの間にある時の放電量を大きくすることが可能となり、従って特にサイクル耐久性を向上することができる。以上より、ピッチの軟化点は、より好ましくは90℃以下であり、更に好ましくは50℃以下である。また、ピッチの軟化点は、約35℃以上であることが好ましい。
負極活物質層には、必要に応じて、上記の負極活物質の他に、導電性フィラー、結着剤などを添加することができる。導電性フィラーの種類は、特に制限されるものではないが、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維などが例示される。導電性フィラーの添加量は、例えば、負極活物質に対して0〜30質量%が好ましい。結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、スチレン−ブタジエン共重合体などを用いることができる。結着剤の添加量は、例えば、負極活物質に対して3〜20質量%の範囲が好ましい。
非水系リチウム型蓄電素子用負極は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタなどにおける電極成型手法により製造することが可能である。具体的には、例えば、負極活物質、導電性フィラー及び結着剤を溶媒に分散させてスラリー状にし、該スラリーを集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレスすることにより得られる。また、溶媒を使用せずに、乾式で混合し、プレス成型して活物質層を成型した後、導電性接着剤などを用いて集電体に貼り付けることも可能である。
非水系リチウム型蓄電素子用負極は、リチウムイオンがプリドープされたものであることが好ましい。負極にリチウムイオンをプリドープすることにより、負極電位が低くなり、正極と組み合わせたときのセル電圧が高くなるとともに、正極の利用容量が大きくなる。そのため、得られる蓄電素子が高容量となり、高いエネルギー密度が得られることとなる。
このプリドープ量は、負極活物質の単位質量当たり1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下であることが好ましく、より好ましくは1,200mAh/g以上1,700mAh/g以下であり、更に好ましくは1,300mAh/g以上1,600mAh/g以下である。
非水系リチウム型蓄電素子用負極にリチウムイオンをプリドープする方法は、既知の方法を用いることができる。例えば、負極活物質を電極に成型した後、該負極電極を作用極、金属リチウムを対極に使用し、非水系電解液を組み合わせた電気化学セルを作製し、電気化学的にリチウムイオンをプリドープする方法が挙げられる。また、該負極電極に金属リチウム箔を圧着し、非水系電解液に入れることで負極にリチウムイオンをプリドープすることも可能である。
本発明における非水系リチウム型蓄電素子用正極は、正極集電体上に正極活物質層を設けたものである。
正極活物質層は、正極活物質と結着剤とを含有し、必要に応じて導電性フィラーを含有する。正極活物質としては、以下の活性炭1又は活性炭2が好ましく使用される。
活性炭1の種類及びその原料には特に制限はないが、高容量(すなわち高エネルギー密度)と高出力特性(すなわち高出力密度)とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御されたものであることが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVa(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVb(cc/g)としたとき、0.3<Va≦0.8及び0.5≦Vb≦1.0を満たし、かつBET法により測定される比表面積が1,500m2/g以上3,000m2/g以下である活性炭が好ましい。
試料を500℃で一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質として吸脱着の等温線の測定を行なう。この時の脱着側の等温線を用いて、マイクロ孔量はMP法により、メソ孔量はBJH法により、それぞれ算出する。
また、BJH法は一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett, Joyner, Halendaらにより提唱されたものである(E. P. Barrett, L. G. Joyner and P. Halenda, J. Amer. Chem. Soc., 73, 373(1951))。
上記の炭化方法により得られた炭化物の賦活方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素などの賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法が好ましく用いられる。このうち、賦活ガスとして、水蒸気又は二酸化炭素を使用する方法が好ましい。
上記活性炭2は、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVa(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVb(cc/g)とする時、0.8<Va≦2.5かつ0.92<Vb≦3.0を満たす。
炭化のための加熱時の雰囲気は窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分として他のガスとの混合したガスが用いられる。炭化温度は400℃〜700℃程度で0.5時間〜10時間程度焼成する方法が一般的である。
本発明における活性炭2を得るには、上記で得られた炭化物を賦活する前に、予め粉砕・分級しておくことが重要である。このことにより、炭化物を効率的に賦活化できるとともに、賦活化後の粉砕をした場合の新生界面による特性低下を防止することが可能となるからである。
粉砕する方法は、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも構わないが、粉砕速度、連続操作性や動力消費量の点から、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕の場合、具体的には以下の条件を採用することができる。まず、金属、メノウ、セラミックなどの硬質な容器に、粉砕を施す試料と、金属、ジルコニア、セラミックなどの硬質なビーズと、溶媒と、を入れて粉砕を行う。容器は密閉できるものが好ましく、粉砕時には窒素、アルゴンなどの不活性ガスで容器内部を置換しておくことが好ましい。溶媒は水、有機溶媒などを用いることができるが、沸点の低い有機溶媒は引火の危険性があるため適さない。粉砕時間は得られる試料の粒径により適宜に調整されるべきである。過度に長い時間の粉砕によると、不純物が混入するおそれがある。粉砕によって、粒度分布が広がるので、粉砕後に篩によって分級することが好ましい。本発明では、1μmから30μmの間で分級したものを用いることが好ましい。上記の粉砕・分級工程で得られた炭化物を、次いで以下の方法で賦活することにより、活性炭2とすることができる。
水蒸気、二酸化炭素、酸素などの賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法;
アルカリ金属化合物と混合した後に加熱処理を行うアルカリ金属賦活法
などが可能であるが、高比表面積の活性炭を作製するには、アルカリ金属賦活法が好ましい。この賦活方法では、炭化物と、KOH、NaOHなどのアルカリ金属化合物とを、炭化物:アルカリ金属化合物の質量比が1:1以上(アルカリ金属化合物の量が、炭化物の量と同じかこれよりも多い量)となるように混合した後に、不活性ガス雰囲気下で600〜900℃の範囲で、0.5〜5時間加熱を行い、その後アルカリ金属化合物を酸及び水により洗浄除去し、更に乾燥を行う。
正極活物質中に、前記活性炭1及び2以外の材料(例えば、前記特定のVa及びVbを有さない活性炭、リチウムと遷移金属の複合酸化物など)を含む場合は、前記活性炭1及び2の含有量は、全正極活物質の50質量%より多いものとすることが好ましい。前記活性炭1及び2の全正極活物質における含有量は、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
本発明における正極は、上記のような活性炭を正極活物質として含有する正極活物質層を、正極集電体上に形成したものである。
正極は、正極活物質層を正極集電体の片面のみに形成したものでもよいし、両面に形成したものでもよい。該正極活物質層の厚みは、例えば、片面当り30μm以上200μm以下が好ましい。
溶媒を除去して正極活物質層を形成する溶媒除去工程、並びに
加圧によって前記正極活物質層のかさ密度を向上させる加圧工程
を、上記に記載の順序で行うことにより得られる。
正極集電体に正極活物質層を塗布した正極を巻き取った巻き出しロール(12)を巻き出しロール位置に設置する。そしてこの巻き出しロールから正極を巻き出し、加熱プレスロールを経て、巻取りロールに巻き取る。
プレスを2回以上行う場合には、ロール間距離は順次に狭く、プレス圧力は順次に高くすることが、得られる活物質層の密度向上にとって好ましい。
2回以上のプレスを行う場合、初回のプレスは室温で行っても構わない。
上記の活性炭とバインダーとを乾式で混合した後に、加熱下に加圧して板状の正極活物質層を成形する成形工程と、
上記成形工程によって整形された正極活物質層を、導電性接着剤を用いて正極集電体に貼り付ける接着工程と、
を順次に行う方法である。上記成形工程における加熱温度は、使用するバインダーの融点マイナス40℃以上、かつ融点以下の温度とすることが好ましい。
なお、バインダーの融点は、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量分析)の吸熱ピーク位置から求めた値である。
本発明の蓄電素子は、正極及び負極、並びにセパレータからなる電極体、並びに
リチウム塩を含む非水系電解液
が外装体と、に収納されてなり、ただし、
前記負極が上記のようにして成形されたものであることを特徴とする。
上記セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜、若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙などを用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm以上の厚みとすることにより、素子内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。一方で、50μm以下の厚みとすることにより、蓄電素子の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
本明細書において、「電極端子」とは、正極端子と負極端子とを総称して呼ぶ概念である。また、「電極体」は、負極、正極及びセパレータから成る。
上記蓄電素子の電極体において、正極に正極端子の一端を電気的に接続し、負極に負極端子の一端を電気的に接続する。具体的には、正極集電体の正極活物質層未塗布領域に正極端子、負極集電体の負極活物質層未塗布領域に負極端子を電気的に接続する。正極端子の材質がアルミニウムであり、負極端子の材質がニッケルメッキされた銅であることが好ましい。
上記の外装体に使用される金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。また、外装体に使用されるラミネートフィルムは、金属箔と樹脂フィルムを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは、接触などにより金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、外層樹脂フィルムとしては、ナイロン、ポリエステルなどの樹脂が好適に使用できる。金属箔は、水分又はガスの透過を防ぐためのものであり、金属箔としては、銅、アルミニウム、ステンレスなどの箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンが好適に使用できる。
本発明の蓄電素子に用いられる非水系電解液は、リチウムイオン含有電解質を含む非水系液体であれば良い。そのような非水系液体は、有機溶媒を含んでいても良い。そのような有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)に代表される環状炭酸エステル、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(MEC)に代表される鎖状炭酸エステル;γ−ブチロラクトン(γBL)などのラクトン類;及びこれらの混合溶媒を用いることができる。
本実施態様の非水系リチウム型蓄電素子においては、正極及び負極は、セパレータを介して積層又は捲廻積層された電極体として、好ましくは金属缶又はラミネートフィルムから形成された外装体に挿入される。
本発明の蓄電素子の使用にあたっては、最大定格電圧と最小定格電圧の間で使用することが好ましい。最大定格電圧は、過充電とならない範囲で高い方が高容量であるため、例えば3.8〜4.0Vの範囲内で設定される。また、最小定格電圧は、過放電とならない範囲で低い方が高容量であるため、例えば2.0〜2.3Vの範囲内で設定される。
(負極の作製)
市販の炭素材料について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用い、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。上述したように、脱着側の等温線を用いてQSDFTにより算出したV1は0.442cc/g、V2は、0.153cc/gであった。また、BET1点法により求めたBET比表面積は561m2/gであった。
上記充放電試験とは別に、上記の負極を再度3cm2になるように切り取り、負極活物質1の質量に対して合計1,579mAh/gのリチウムイオンをプリドープすることにより、実施例1における負極を作製した。
破砕されたヤシ殻炭化品を、小型炭化炉において窒素雰囲気下、500℃において炭化して炭化物を得た。その後、窒素の代えて1kg/hの水蒸気を予熱炉で加温した状態で炉内へ導入し、900℃まで8時間かけて昇温して賦活した。賦活後の炭化物を取り出し、窒素雰囲気下で冷却して、賦活された活性炭を得た。得られた活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りした。その後、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後、ボールミルで1時間粉砕を行うことにより、正極材料となる活性炭を得た。
この活性炭を正極活物質として用い、該活性炭83.4質量部、アセチレンブラック8.3質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)8.3質量部と、NMP(N−メチルピロリドン)と、を混合して、スラリーを得た。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、正極活物質層の厚さ60μmの正極を得た。
上記で得られた正極を2.5cm2になるように切り取り、この正極と、上記のリチウムイオンをプリドープした負極とを、厚み30μmのセルロース紙セパレータを挟んで対向させ、ポリプロピレン及びアルミニウムを使用したラミネートフィルムから成る外装体に中に、電解液とともに封入することにより、非水系リチウム型蓄電素子(リチウムイオンキャパシタ)を組立てた。この時、電解液としては、エチレンカーボネート及びメチルエチルカーボネートを1:4体積比で混合した溶媒にLiPF6を1mol/lの濃度になるように溶解させた溶液を使用した。
先ず、−20℃において、定電圧充電時間を3時間確保した1.5Cの定電流定電圧充電によって、3.8V(SOC=100%)まで充電した。次に、3Cの電流値I(A)で定電流放電を行い、3.72Vの充電状態に到達した時点で放電休止し、休止10秒後の電圧値を測定してE(V)とした。この時、(E−3.72)/Iで算出した値を−20℃における内部抵抗(Ω)とした。本実施例1における内部抵抗は17.7Ωであった。
更に、耐久性試験として、作製した蓄電素子を、25℃において150mAにて定電流充電−定電流放電を繰り返すサイクル試験を行った。サイクル試験の開始から1,000h経過後の容量維持率は65%であった。ここでいう容量維持率とは、{(1,000h経過後における150mAでの放電容量)/(0hにおける150mAでの放電容量)}×100で表される数値である。
(負極の作製)
上記実施例1の(負極の作製)において、石炭系ピッチ(軟化点:38℃)の使用量を60gとした他は実施例1と同様の操作により、負極活物質2を得た。
被着させたピッチ炭の基材炭素材料に対する質量比率:15.6%
BET比表面積:330m2/g
Vm1:0.338cc/g
Vm2:0.082cc/g
(002)面、層状構造の面間隔:0.337nm
(002)面、アモルファス構造の面間隔:0.362nm
AL/AA:0.68
一次粒子の平均粒径:10nm
初回リチウム充電量:1,423mAh/g
初回リチウム放電量のうち、負極電位が0〜0.5Vの間にあるときの放電量:190mAh/g
負極電位が0〜0.2Vの間にあるときの放電量:120mAh/g
上記充放電試験とは別に、上記の負極を再度3cm2になるように切り取り、負極活物質2の質量に対して合計1,323mAh/gのリチウムイオンをプリドープすることにより、実施例2における負極を作製した。
実施例2における正極は、実施例1と同様に作製した。
(蓄電素子の組立てと性能評価)
上記で得られた負極及び正極を使用して実施例1と同様に蓄電素子を作製し、電気化学特性を評価した。−20℃における内部抵抗は14.8Ωであった。サイクル試験の結果、1,000h経過後の150mAにおける容量維持率は75%であった。
<実施例3>
(負極の作製)
上記実施例1の(負極の作製)において、石炭系ピッチ(軟化点:38℃)の使用量を75gとした他は実施例1と同様の操作により、負極活物質3を得た。
被着させたピッチ炭の基材炭素材料に対する質量比率:42.3%
BET比表面積:293m2/g
Vm1:0.283cc/g
Vm2:0.055cc/gであった
(002)面、層状構造の面間隔:0.336nm
(002)面、アモルファス構造の面間隔:0.362nm
AL/AA:0.59
一次粒子の平均粒径:10nm
初回リチウム充電量:1,330mAh/g
初回リチウム放電量のうち、負極電位が0〜0.5Vの間にあるときの放電量:180mAh/g
負極電位が0〜0.2Vの間にあるときの放電量:110mAh/g
上記充放電試験とは別に、上記の負極を再度3cm2になるように切り取り、負極活物質3の質量に対して合計1,230mAh/gのリチウムイオンをプリドープすることで、実施例3における負極を作製した。
実施例3における正極は、実施例1と同様に作製した。
(蓄電素子の組立てと性能評価)
上記で得られた負極及び正極を使用して実施例1と同様に蓄電素子を作製し、電気化学特性を評価した。−20℃における内部抵抗14.6Ωであった。サイクル試験の結果、1,000h経過後の150mAにおける容量維持率は70%であった。
<実施例4>
(負極の作製)
上記実施例1の(負極の作製)において、石炭系ピッチ(軟化点:38℃)の使用量を105gとした他は実施例1と同様の操作により、負極活物質4を得た。
被着させたピッチ炭の基材炭素材料に対する質量比率:64.5%
BET比表面積:253m2/g
Vm1:0.119cc/g
Vm2:0.084cc/g
(002)面、層状構造の面間隔:0.335nm
(002)面、アモルファス構造面間隔:0.363nm
AL/AA:0.48
一次粒子の平均粒径:15nm
初回リチウム充電量:1180mAh/g
初回リチウム放電量のうち、負極電位が0〜0.5Vの間にあるときの放電量:170mAh/g
負極電位が0〜0.2Vの間にあるときの放電量:105mAh/gであった。
上記充放電試験とは別に、負極を再度3cm2になるように切り取り、負極活物質4の質量に対して合計1,080mAh/gのリチウムイオンをプリドープすることにより、実施例4における負極を作製した。
実施例4における正極は、実施例1と同様に作製した。
(蓄電素子の組立てと性能評価)
上記で得られた負極及び正極を使用して実施例1と同様に蓄電素子を作製し、電気化学特性を評価した。−20℃における内部抵抗17.4Ωであった。サイクル試験の結果、1,000h経過後の150mAにおける容量維持率は70%であった。
<比較例1>
(負極の作製)
実施例1と同じ基材炭素材料をそのまま負極活物質5として使用した。
について、実施例1と同様にして評価した特性は、以下のとおりであった。
BET比表面積:561m2/g
Vm1:0.428cc/g
Vm2:0.153cc/g
(002)面、層状構造の面間隔:0.337nm
(002)面、アモルファス構造の面間隔:0.362nm
AL/AA:0.85
一次粒子の平均粒径:9nm
初回リチウム充電量:1,690mAh/g
初回リチウム放電量のうち、負極電位が0〜0.5Vの間にあるときの放電量:200mAh/g
負極電位が0〜0.2Vの間にあるときの放電量:95mAh/gであった。
上記充放電試験とは別に、上記の負極を再度3cm2になるように切り取り、負極活物質5の質量に対して合計1,590mAh/gのリチウムイオンをプリドープすることにより、比較例1における負極を作製した。
比較例1における正極は、実施例1と同様に作製した。
(蓄電素子の組立てと性能評価)
上記で得られた負極及び正極を使用して実施例1と同様に蓄電素子を作製し、電気化学特性を評価した。−20℃における内部抵抗22.3Ωであった。サイクル試験の結果、1,000h経過後の150mAにおける容量維持率は50%であった。
<比較例2>
(負極の作製) 市販のヤシ殻活性炭150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)270gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉 (炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行い、複合多孔性材料を得た。この熱処理は窒素雰囲気下で行い、600℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持する方法によった。続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、複合多孔性材料を炉から取り出した。
被着させたピッチ炭の基材炭素材料に対する質量比率:75.0%
BET比表面積:265m2/g
Vm1:0.048cc/g
Vm2:0.080cc/g
(002)面の層状構造:未検出
(002)面、アモルファス構造の面間隔:0.367nm
一次粒子の平均粒径:2.9μm
初回リチウム充電量:1,080mAh/g
初回リチウム放電量のうち、負極電位が0〜0.5Vの間にあるときの放電量:165mAh/g
負極電位が0〜0.2Vの間にあるときの放電量:80mAh/g
上記充放電試験とは別に、上記の負極を再度3cm2になるように切り取り、複合多孔性材料の質量に対して合計980mAh/gのリチウムイオンをプリドープすることにより、比較例2における負極を作製した。
比較例2における正極は、実施例1と同様に作製した。
(蓄電素子の組立てと性能評価)
上記で得られた負極及び正極を使用して実施例1と同様に蓄電素子を作製し、電気化学特性を評価した。−20℃における内部抵抗23.1Ωであった。サイクル試験の結果、1,000h経過後の150mAにおける容量維持率は71%であった。
Claims (6)
- 負極集電体と、該負極集電体の片面又は両面に積層された負極活物質層と、から成る非水系リチウム型蓄電素子用負極であって、
上記負極活物質層に含まれる負極活物質が、その初回リチウム充放電特性において、下記1)から3):
1)初回リチウム充電量が1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下である;
2)0〜0.5Vの負極電位における放電量が150mAh/g以上である;及び
3)0〜0.2Vの負極電位における放電量が100mAh/g以上である、ただし、
上記初回リチウム充放電特性は、以下の条件で測定した値である:
負極を作用極とし、対極がリチウム、参照極がリチウム、電解液がエチレンカーボネート及びメチルエチルカーボネートを体積比1:4で混合した溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解した溶液である、3極式セルについて、
電流値が負極活物質当り100mA/g、かつセル温度が45℃の条件下で、定電流にて充電を開始し、負極電位が1mVになった時点で定電圧に切り替えて更に充電を継続し、定電流定電圧充電で合計40時間の充電を行った時の充電量を上記1)初回リチウム充電量とし;
初回リチウム充電後、電流値が負極活物質当り50mA/g、かつセル温度が45℃の条件下で、定電流にて負極電位が2.5Vになるまでリチウムを放電した時の、
負極電位が0〜0.5Vの間の放電量を上記2)の放電量とし;そして
負極電位が0〜0.2Vの間の放電量を3)の放電量とする;
を同時に満足する、前記非水系リチウム型蓄電素子用負極。 - 前記負極活物質が、下記1)から3):
1)X線広角回折分析において、(002)面の面間隔が0.335nm以上0.340nm未満である層状構造が観測される;
2)X線広角回折法分析において、(002)面の面間隔が0.360nm以上であるアモルファス構造が観測される;及び
3)一次粒子の平均粒径が20nm以下である;
を同時に満足する、請求項1に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。 - BET法により測定される前記負極活物質の比表面積が250m2/g以上500m2/g未満である、請求項1又は2に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。
- 前記負極活物質がピッチ炭を含み、かつ前記負極活物質が下記1)及び2):
1)QSDFT(急冷固体密度汎関数理論)によって算出した細孔量のうちの直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来する量をVm1(cc/g)とするとき、0.200≦Vm1≦0.400;及び
2)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å未満の細孔に由来する量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm2≦0.150;
を同時に満足する、請求項1〜3いずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。 - 該負極活物質が、下記1)から4):
1)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å以上200Å以下の細孔に由来する量をV1(cc/g)とするとき、0.300≦V1≦0.500;
2)QSDFTによって算出した細孔量のうちの直径15.4Å未満の細孔に由来する量をV2(cc/g)とするとき、0.100≦V2≦0.300;
3)X線広角回折分析において、(002)面の面間隔が0.335nm以上0.340nm未満である層状構造が観測される;及び
4)X線広角回折法分析において、(002)面の面間隔が0.360nm以上であるアモルファス構造が観測される;
を同時に満足する炭素材料を、不活性雰囲気下でピッチと熱反応させて、前記炭素材料の表面にピッチ炭を被着させて得られるものである、請求項1〜4いずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用負極。 - 請求項1〜5いずれか1項に記載の負極、正極集電体と該正極集電体の片面又は両面に積層された正極活物質層とから成る正極、及びセパレータから成る電極体、並びに
リチウム塩を含む非水系電解液
が外装体に収納されて成る、非水系リチウム型蓄電素子。
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