JP2013219152A - 正極材料及びその製造方法並びに蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力特性に優れ耐電圧が高い非水系リチウム型蓄電素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】コアと該コアの表面を被覆するシェルとを有する非水系リチウム型蓄電素子用複合材料であって、該コアを構成するコア材料が第一の炭素質材料であり、該シェルを構成するシェル材料が該第一の炭素質材料とは異なる第二の炭素質材料であり、該第二の炭素質材料が下記(1)の要件、(1)エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4の質量比で混合してなる溶媒にLiPFを1M/Lの濃度で溶解させてなる非水系電解液、該第二の炭素質材料からなる作用極、並びにリチウム金属からなる対極及び参照極、を有する三極セルを作製したときに、該作用極における該溶媒の酸化分解電位が、25℃において4.2V(vsLi/Li)以上であること、を満たす、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系リチウム型蓄電素子用の正極材料、該正極材料の製造方法、及び蓄電素子に関する。
近年、地球環境の保全及び省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システム等が注目を集めている。
これらの蓄電システムにおいて、第一の要求事項は、用いられる蓄電素子のエネルギー密度が高いことである。この様な要求に対応可能な高エネルギー密度蓄電素子の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、あるいは燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高出力放電特性が要求されている。
現在、高出力蓄電素子としては、電極に活性炭を用いた電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」ともいう。)が開発されており、耐久性(特にサイクル特性及び高温保存特性)が高く、0.5〜1kW/L程度の出力特性を有する。これら電気二重層キャパシタは、上記高出力が要求される分野で最適な蓄電素子と考えられてきたが、そのエネルギー密度は、1〜5Wh/L程度に過ぎず、実用化には出力持続時間が足枷となっている。
一方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を実現し、かつ160Wh/L程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度及び出力をより一層高めるとともに、高温での安定性をさらに改善し、耐久性を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(すなわち素子の放電容量の何%を放電した状態かをあらわす値)50%において3kW/Lを超える高出力が得られるリチウムイオン電池が開発されているが、そのエネルギー密度は、100Wh/L以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(特にサイクル特性及び高温保存特性)については電気二重層キャパシタに比べ劣る。そのため、実用的な耐久性を持たせるためには放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲でしかリチウムイオン電池を使用できない。そのため実際に使用できる容量はさらに小さくなり、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記の様に高出力密度、高エネルギー密度、及び耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められているが、上述した既存の蓄電素子には一長一短がある。そのため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められており、有力な候補としてリチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子の開発が近年盛んである。
リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を使用する蓄電素子(すなわち非水系リチウム型蓄電素子)の一種であって、正極においては電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって充放電を行う蓄電素子である。
上述のように、正極・負極の双方において非ファラデー反応による充放電を行う電気二重層キャパシタにおいては、出力特性に優れるがエネルギー密度が小さい。一方、正極・負極の双方においてファラデー反応による充放電を行う二次電池であるリチウムイオン電池においては、エネルギー密度に優れるが、出力特性に劣る。リチウムイオンキャパシタは、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応による充放電を行うことによって、優れた出力特性と高いエネルギー密度との両立を狙う新たな蓄電素子である。
このようなリチウムイオンキャパシタとしては、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として、天然黒鉛若しくは人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン小球体、黒鉛化メソフェーズカーボン繊維、黒鉛ウイスカ、又は黒鉛化炭素繊維等を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献1参照)。また、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として難黒鉛化炭素又は黒鉛を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献2参照)。
また、正極活物質として通常の活性炭と異なる水素/炭素が0.05〜0.5、BET比表面積が300〜2000m/g、BJH法によるメソ孔容積が0.02〜0.3ml/g、MP法による全細孔容積が0.3〜1.0ml/gの細孔構造を有する炭化水素材料を用い、負極として黒鉛を除く光学的異方性炭素物質を賦活処理した材料を用いる蓄電素子が提案されている(特許文献3参照)。
また、正極活物質として活性炭又は水素原子/炭素原子の原子数比率が0.05〜0.50であるポリアセン系骨格構造を有するポリアセン系有機半導体を用い、負極材料として水素原子/炭素原子の原子数比率が0以上0.05未満の難黒鉛化性炭素を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献4参照)。
一方、リチウムイオンキャパシタの負極材料としては、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた炭素質材料で、直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とする時、0.01≦Vm1≦0.20 かつ 0.01≦Vm2≦0.40である蓄電素子用負極材料が提案されている(特許文献5参照)。
また、正極活物質として活性炭ではなく非多孔性炭を用い、負極活物質としてリチウムイオンを可逆的に吸蔵・脱離可能な炭素材料を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献6参照)。
ここで、非水系リチウム型蓄電素子の使用電圧の上限値(耐電圧以下に設定される。)を考えると、リチウムイオン電池の多くは、上限値が4.2Vである一方で、リチウムイオンキャパシタでは、上限値は3.8〜4.0Vである。
特開平8−107048号公報 特開平9−283383号公報 特開2005−93778号公報 特開2007−115721号公報 特開2003−346801号公報 特開2007−294539号公報
上述のように、従来のリチウムイオンキャパシタにおいては、使用電圧の上限値は、3.8〜4.0Vであり、そのため、得られるエネルギーが低くなるという課題がある。また、リチウムイオンキャパシタの優れた出力特性を生かしてリチウムイオン電池をアシストするために、リチウムイオンキャパシタとリチウムイオン電池とを並列に接続して使用する場合には、該リチウムイオンキャパシタの上限電圧が該リチウムイオン電池より低いために、セル数が多くなったり、コンバーターが必要であったりと、ロスが多いことが大きな課題であった。
そこで本発明は、上記課題を解決することができる、出力特性に優れ耐電圧が高い非水系リチウム型蓄電素子、並びにこれを与える非水系リチウム型蓄電素子用正極材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、リチウムイオンキャパシタの耐電圧がリチウムイオン電池より低くなる原因として正極活物質の差異に着目した。そして検討の結果、炭素質材料をコアとし、電解液を構成する有機溶媒を酸化分解させにくい物質であるシェルで該コアを被覆してなる複合材料を正極材料として使用することによって、出力特性に優れ耐電圧が高い非水系リチウム型蓄電素子が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料、及びその製法、並びに非水系リチウム型蓄電素子を提供する。
[1] コアと該コアの表面を被覆するシェルとを有する非水系リチウム型蓄電素子用複合材料であって、
該コアを構成するコア材料が第一の炭素質材料であり、
該シェルを構成するシェル材料が該第一の炭素質材料とは異なる第二の炭素質材料であり、該第二の炭素質材料が下記(1)の要件、
(1)エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4の質量比で混合してなる溶媒にLiPFを1M/Lの濃度で溶解させてなる非水系電解液、該第二の炭素質材料からなる作用極、並びにリチウム金属からなる対極及び参照極、を有する三極セルを作製したときに、該作用極における該溶媒の酸化分解電位が、25℃において4.2V(vsLi/Li)以上であること、
を満たす、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[2] 前記第一の炭素質材料が、活性炭である、[1]に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[3] 前記第二の炭素質材料は、X線広角回折法で得られる(002)面の面間隔が前記第一の炭素質材料よりも小さい炭素質材料である[1]又は[2]に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[4] 前記第二の炭素質材料は、波長532nmのレーザーを用いたラマンスペクトルにおいて測定される1360cm−1のピーク強度(I1360)の1580cm−1のピーク強度(I1580)に対する比(I1360/I1580)が前記第一の炭素質材料よりも小さい炭素質材料である[1]〜[3]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[5] 前記第二の炭素質材料が、窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を含有する化合物又は窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含有するポリマーを焼成することによって得られる炭素質材料である[1]〜[4]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[6] 前記シェルの平均厚みが、0.05nm以上20nm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[7] 前記第一の炭素質材料が活性炭であり、該活性炭が、
BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.3<V1≦2.0、及び0.5≦V2≦2.5を満たし、BET法により測定される比表面積1500m/g以上4500m/g以下を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料を製造する方法であって、
前記シェル材料又はその前駆体を溶媒に分散又は溶解させてなる媒体中に前記コアを分散させてコア分散体を得る工程、
前記コア分散体から前記溶媒の一部又は全部を除去して被覆コアを得る工程、及び
前記被覆コアを焼成する工程、
を含む、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料の製造方法。
[9] [1]〜[7]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料を正極活物質として含む正極、負極活物質を含む負極、及び有機溶媒とリチウム塩とからなる非水系電解液を有する、非水系リチウム型蓄電素子。
[10] 前記負極活物質が、活性炭の表面に炭素質材料を被着させてなる複合多孔性材料であり、該複合多孔性材料が、
BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)としたとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす、[9]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[11] 前記有機溶媒が、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の非環状カーボネートとを含む、[9]又は[10]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
本発明により、出力特性に優れ耐電圧が高い非水系リチウム型蓄電素子、並びにこれを与える非水系リチウム型蓄電素子用正極材料、及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
[正極材料]
本発明の一態様は、コアと該コアの表面を被覆するシェルとを有する非水系リチウム型蓄電素子用複合材料であって、該コアを構成するコア材料が第一の炭素質材料であり、該シェルを構成するシェル材料が該第一の炭素質材料とは異なる第二の炭素質材料であり、該第二の炭素質材料が下記(1)の要件、(1)エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4の質量比で混合してなる溶媒にLiPFを1M/Lの濃度で溶解させてなる非水系電解液、該第二の炭素質材料からなる作用極、並びにリチウム金属からなる対極及び参照極、を有する三極セルを作製したときに、該作用極における該溶媒の酸化分解電位が、25℃において4.2V(vsLi/Li)以上であること、を満たす、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料(以下、本発明の正極材料ということもある)を提供する。
<コア>
まず、本発明におけるコア材料である第一の炭素質材料について説明する。
第一の炭素質材料としては、電解質を形成するアニオンにより電気二重層を形成するような吸着・脱離ができる炭素質材料を使用できる。第一の炭素質材料の具体例としては、例えば、活性炭、黒鉛、易黒鉛化性炭素材料、難黒鉛化性炭素材料、ポリアセン系物質等のアモルファス炭素質材料、ケッチェンブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノフォーン、並びに繊維状炭素質材料等が挙げられる。中でも、電気二重層容量を大きくできるという観点から、比表面積が大きい炭素質材料が好ましく、この観点において具体的には、活性炭、及びカーボンナノチューブが好ましい。更には、製造コストが安く、より大きい比表面積をとることができる活性炭が、より好ましい。
上記活性炭においては、高容量(すなわち高エネルギー密度)と高出力特性(すなわち高出力密度)とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.3<V1≦2.0、及び0.5≦V2≦2.5を満たし、かつBET法により測定される比表面積が1500m/g以上4500m/g以下である活性炭が好ましい。
メソ孔量V1は、本発明の正極材料を蓄電素子に組み込んだときの出力特性を大きくする点で、0.3cc/gより大きい値であることが好ましく、また、蓄電素子の容量の低下を抑える点から、2.0cc/g以下であることが好ましい。また上記V1は、より好ましくは0.35cc/g以上、1.5cc/g以下、さらに好ましくは、0.4cc/g以上、1.2cc/g以下である。
一方、マイクロ孔量V2は、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.5cc/g以上であることが好ましく、また、活性炭の嵩を抑え、電極としての密度を増加させ、単位体積あたりの容量を増加させるという点から、2.5cc/g以下であることが好ましい。また上記V2は、より好ましくは、0.6cc/g以上、1.5cc/g以下、さらに好ましくは、0.8cc/g以上、1.3cc/g以下である。
また、メソ孔量V1の、マイクロ孔量V2に対する比は、0.3≦V1/V2≦0.9の範囲であることが好ましい。すなわち、高容量を得ながら出力特性の低下を抑えることができる程度に、マイクロ孔量に対するメソ孔量の割合を大きくするという点から、V1/V2が0.3以上であることが好ましく、また、高出力特性を得ながら容量の低下を抑えることができる程度に、メソ孔量に対するマイクロ孔量を大きくするという点から、V1/V2は0.9以下であることが好ましい。また、より好ましい範囲は、0.4≦V1/V2≦0.7、さらに好ましい範囲は、0.55≦V1/V2≦0.7である。
本発明において、マイクロ孔量及びメソ孔量は以下のような方法により求められる値である。すなわち、試料を500℃で一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質とし吸脱着の等温線の測定を行なう。このときの脱着側の等温線を用いて、マイクロ孔量はMP法により、メソ孔量はBJH法により算出する。
MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4319(1965))を利用して、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、及びマイクロ孔の分布を求める方法を意味し、M.Mikhail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid Interface Sci.,26,45 (1968))。また、BJH法は一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett, Joyner, Halendaらにより提唱されたものである(E. P. Barrett, L. G. Joyner and P. Halenda, J. Amer. Chem. Soc., 73, 373(1951))。
コア材料としての活性炭の平均細孔径は、出力を最大にする点から、20Å以上であることが好ましく、25Å以上であることがより好ましく、30Å以上であることが最も好ましい。また容量を最大にする点から、150Å以下であることが好ましい。本明細書で記載する平均細孔径とは、液体窒素温度における各相対圧力下での窒素ガスの各平衡吸着量を測定して得られる重量あたりの全細孔容積をBET比表面積で除して求めたものを指す。
コア材料としての活性炭のBET比表面積は、1500m/g以上、4500m/g以下であることが好ましく、より好ましくは、1500m/g以上、3000m/g以下である。BET比表面積が1500m/g未満の場合には、良好なエネルギー密度が得られにくく、一方、BET比表面積が4500m/gを超える場合には、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要があり、電極体積当りの性能が低い傾向がある。
上記のような特徴を有する活性炭は、例えば以下に説明するような原料及び処理方法を用いて得ることができる。
本発明において活性炭の原料として用いられる炭素源は、特に限定されるものではなく、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜等の植物系原料;泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他合成木材、合成パルプ等、及び、それらの炭化物が挙げられる。これらの原料の中でも、ヤシ殻、木粉等の植物系原料、及びそれらの炭化物が好ましく、ヤシ殻炭化物が特に好ましい。
これらの原料を上記活性炭とするための炭化及び賦活の方式としては、例えば固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の公知の方式を採用できる。
これらの原料の炭化方法としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガス等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分とした他のガスとの混合ガスを使用して、400〜700℃(好ましくは450〜600℃)程度で30分〜10時間程度焼成する方法が挙げられる。
上記炭化方法により得られた炭化物の賦活方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法が好ましく用いられる。このうち、賦活ガスとして、水蒸気又は二酸化炭素を使用する方法が好ましい。
この賦活方法では、賦活ガスを0.5〜3.0kg/h(好ましくは0.7〜2.0kg/h)の割合で供給しながら、上記炭化物を3〜12時間(好ましくは5〜11時間、さらに好ましくは6〜10時間)かけて800〜1000℃まで昇温して賦活するのが好ましい。
さらに、上記炭化物の賦活処理に先立ち、あらかじめ上記炭化物を1次賦活してもよい。この1次賦活では、通常、炭素質材料を水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて、900℃未満の温度で焼成してガス賦活することができる。
上記炭化方法における焼成温度及び焼成時間と、上記賦活方法における賦活ガス供給量及び昇温速度及び最高賦活温度とを適宜組み合わせることにより、本発明において使用できる、上記の特徴を有する活性炭を製造することができる。
コア材料の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。本明細書で記載する平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径(すなわち50%径(Median径))を指す。
上記平均粒径が1μm以上であれば、活物質層の密度を高くでき電極体積当たりの容量が高く、耐久性に優れる傾向がある。逆に、平均粒径が20μm以下であれば、高速充放電に適する。コア材料の平均粒径は、好ましくは2〜15μmであり、更に好ましくは、3〜10μmである。
<シェル>
次に、本発明におけるシェル材料について説明する。シェル材料は、前述の第一の炭素質材料とは異なる第二の炭素質材料であって、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4の質量比で混合してなる溶媒にLiPFを1M/Lの濃度で溶解させてなる非水系電解液、該第2の炭素質材料からなる作用極、並びにリチウム金属からなる対極及び参照極、を有する三極セルを作製したときに、該作用極における該溶媒の酸化分解電位が、25℃において4.2V(vsLi/Li)以上である材料である。第二の炭素質材料は、高出力特性と高耐電圧とを実現する観点から、炭素質材料である。第二の炭素質材料が上記の特定の酸化分解電位を与えるようにするための手段は、これらに限定するものではないが、第二の炭素質材料として、高結晶性の炭素質材料を用いること、ヘテロ原子を有する炭素質材料を用いること、酸素原子が少ない炭素質材料を用いること、及びこれらの任意の組合せである。尚、第二の炭素質材料は、単独種で用いても良いし、2種以上の炭素質材料を混合して用いても構わない。
本発明が効果を奏する原理は必ずしも明確ではないが、コア材料である第一の炭素質材料における、炭素網面のエッジ部の酸性官能基、例えばカルボキシル基が原因で発生する電解液溶媒の酸化分解を、シェル材料である第二の炭素質材料が防止しているのではないかと考えられる。具体的には、例えば第一の炭素質材料より酸性官能基が少ない第二の炭素質材料によって少なくともコアのエッジ部を被覆することにより電解液溶媒の酸化分解に対する耐久性を向できると考えられる。また、例えば第一の炭素質材料より高結晶性の第二の炭素質材料でコアを被覆することによって、シェル自体が有するエッジ部分の露出を減らすことが可能となるため、第二の炭素質材料からなるシェルで第一の炭素質材料からなるコアを被覆するに際し、全面被覆でなく部分的な被覆であっても耐電圧の向上に有用であると考えている。以下、より具体的な態様について説明する。
本発明において、シェル材料は第二の炭素質材料である。但し本発明は、本発明の効果を損なわない範囲で、シェル材料が炭素質材料以外の材料を含むことを排除しない。炭素質材料以外の材料としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機化合物、遷移金属を含む無機化合物、貴金属を含む無機化合物、各種金属を含む有機金属化合物、有機高分子化合物等が挙げられる。
第二の炭素質材料は、電気二重層容量の発現と電解液溶媒の酸化分解抑制との両立をしやすいといった観点から、ヘテロ原子を含有する炭素質材料であることが好ましい。ヘテロ原子を有する炭素質材料を得る方法の詳細は後述する。
また、第二の炭素質材料は、第一の炭素質材料よりもヘテロ原子を多く含む炭素質材料であるか、第一の炭素質材料よりも酸素原子を少なく含む炭素質材料であることが好ましく、具体的にはヘテロ原子を含む前駆体又は酸素原子を含まない前駆体、特に好ましくはヘテロ原子を含みかつ酸素原子を含まない前駆体を不活性雰囲気下で焼成して得た炭素質材料であることがより好ましい。ここで、ヘテロ原子とは、炭素、水素及び酸素以外の原子をいう。ヘテロ原子は、窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択される1種以上の原子であることが好ましく、窒素原子及びホウ素原子の少なくとも1種であることがより好ましい。
好ましいヘテロ原子含有量は、第二の炭素質材料における、ヘテロ原子の炭素原子に対するモル比率(ヘテロ原子/炭素原子)で、0.05〜0.4であり、更に好ましくは0.15〜0.35である。上記モル比率はシェル表層の酸性官能基を減らす観点から0.05以上であることが好ましく、アニオン種の吸着性を保つ観点から0.4以下であることが好ましい。
第二の炭素質材料は、コア材料である第一の炭素質材料よりも高結晶性である炭素質材料であることが好ましい。本開示で、第二の炭素質材料が第一の炭素質材料よりも高結晶性であるとは、後述のd002及び後述のピーク強度比の一方又は両方が、第二の炭素質材料において第一の炭素質材料よりも小さいことを意味する。
第二の炭素質材料は、X線広角回折法で得られる(002)面の面間隔(以下、d002とする)が第一の炭素質材料よりも小さいことが好ましい。このことは第二の炭素質材料の結晶性が第一の炭素質材料より高いことを示す指標である。第二の炭素質材料のd002は0.330nm以上0.365nm未満であることが好ましく、0.335nm以上0.345nm未満であることが更に好ましい。ここでいうd002は、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して第一及び第二の炭素質材料の(002)面の回折ピークを測定し、そのピーク位置から算出される値である。
第二の炭素質材料のd002が0.330nm以上であれば、キャパシタとしての高出力特性に優れる。また、d002が0.365nm未満であれば、電解液溶媒の分解を抑制する効果に優れる。
また、第二の炭素質材料は、波長532nmのレーザーを用いたラマンスペクトルにおいて測定される1360cm−1のピーク強度(I1360)の1580cm−1のピーク強度(I1580)に対する比(I1360/I1580、以下「ピーク強度比」ともいう。)が、第一の炭素質材料より小さいことが好ましい。このこともまた、第二の炭素質材料の結晶性が第一の炭素質材料よりも高いことの指標である。第二の炭素質材料のピーク強度比(I1360/I1580)は0.15以上0.90未満であることが好ましく、0.25以上0.70未満であることが更に好ましい。黒鉛構造に基づく9種の格子振動のうち、網面内格子振動に相当するE2g型振動に対応した1580cm−1近傍のラマンスペクトルと、主に表層での結晶欠陥、積層不整等の結晶構造の乱れを反映した1360cm−1近傍のラマンスペクトルとを、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定する。それぞれのラマンスペクトルのピーク強度からピーク強度比(I1360/I1580)を算出し、ピーク強度比が小さいものほど表面の結晶性が高いと評価する。
第二の炭素質材料のピーク強度比(I1360/I1580)が0.15以上であれば、キャパシタとしての高出力特性に優れる。また、ピーク強度比(I1360/I1580)が0.90未満であれば、電解液溶媒の分解を抑制する効果に優れる。
上記のような高結晶性の第二の炭素質材料としては、例えばバルクメソフェーズ、メソフェーズ小球体、難黒鉛化性炭素材料、易黒鉛化性炭素材料、及び黒鉛化物が挙げられる。高結晶性の第二の炭素質材料は、ナフタレン、アントラセン等の低分子有機化合物、フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂類、コールタールピッチ、酸素架橋石油ピッチ、石油ピッチ、石炭ピッチ等のピッチ類、等を原料とし、加熱又は焼成によって形成できる。
本発明におけるシェル材料の組成は、シェル材料である第二の炭素質材料で表面を被覆されたコア材料と、コア材料である第一の炭素質材料との両者について、測定深さが一般的には5nm以下であるX線光電子分光法(XPS)を用いた測定を行い、それらの測定値の差によって同定することができる。また、シェルの平均厚みが小さい場合には、近似的に該平均厚みとなる量より多いシェル材料でコアを被覆した複合材料を製造してそのシェル材料の組成を測定することによって、本発明で規定されている好ましい平均厚みを有するシェル材料でコアを被覆した複合材料のシェル組成を表すものとすることができる。
シェルの平均厚みは、0.05nm以上20nm以下であることが好ましい。該平均厚みが0.05nmより薄くなると、電解液とコア材料である炭素質材料とがダイレクトに大面積で接触し、非水系電解液を構成する溶媒との酸化分解反応を促進する場合があるため、耐電圧の上限が低くなる場合がある。逆に、該平均厚みが20nmより厚いと、電解液内アニオンとコアとで電気二重層による電荷蓄電ができにくくなり、蓄電素子としてのエネルギー密度の大幅な低下を招く場合がある。シェルの平均厚みは、更に好ましくは、0.5nm以上15nm以下である。
本発明において、シェルの平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて直接観察するか、又は、X線光電子分光法(XPS)を用いて、コアを構成する炭素質材料の特定元素(カーボン)とシェルを形成する材料(シェル材料)の特定の元素(ヘテロ元素を含む場合であればヘテロ元素)との原子数比、及び先述した方法で求めたシェルの組成から分かるシェルの比重を用いて算出することもできる。尚、この原子数比を求めるために選択される特定の元素は、分析の容易さ(例えばピークの重なりが少ないこと、ピークの強度が強いこと、及び好ましくはコア/シェルのいずれか一方のみに存在すること)によって、適宜選択される。
また、例えば飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)装置を用い、エッチングをしながら組成分布を求め、その組成の変化が顕在化するまでのエッチング厚みを用いてシェル厚みを求めることもできる。
コア材料が非多孔質材料である場合は、シェル及びコアの材料の比重とその原料の使用量、並びにコアの平均粒子径から、簡易的に算出することも可能である。
本発明において、複合材料のシェルは、コアを完全に被覆していても部分的に被覆していても構わない。シェルがコアを部分的に被覆している場合、シェルの平均厚みとは、コア表面全体においてのシェルの平均厚みを意味する。
[正極材料の製造方法]
本発明の正極材料の製造方法は、本発明の目的の組成を持つ複合材料を形成できればよく特に制限はなく、例えば、気化可能なシェル材料の前駆体を用いて該前駆体とコアとを混合して被覆コアを得た後、該被覆コアを焼成することによりシェルをコア表面に形成する方法、シェル材料そのものを溶液媒体を用いてコア表面に塗布して、シェル材料が有する官能基とコアが有する表面官能基との間の化学反応により両者を結合させる方法等が挙げられる。
特に、コア表面へのできるだけ均一なシェル形成、コア−シェル間の強固な結合、更には量産工程及びコストを考慮するといった観点からは、以下の製造方法が好ましい。
すなわち、本発明の別の態様は、上述した本発明の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料を製造する方法であって、シェル材料又はその前駆体を溶媒に分散又は溶解させてなる媒体中にコアを分散させてコア分散体を得る工程、該コア分散体から該溶媒の一部又は全部を除去して被覆コアを得る工程、及び該被覆コアを焼成する工程、を含む、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料の製造方法を提供する。以下に、上記製造方法の典型的な手順について説明する。
まず、シェル材料又はその前駆体を溶媒に分散又は溶解させてなる媒体中にコアを分散させてコア分散体を得る。溶媒はシェル材料又はその前駆体の種類に応じて適宜選択でき、例えば水とアルコール(メタノール若しくはエタノール)との混合溶媒、ジメチルホルムアミド、又はトルエン等を使用できる。溶媒由来の酸素を減らすためには、トルエン、ピリジン等の酸素原子を有さない化合物からなる溶媒を使用することが好ましい。また、コア分散体を得る際には、コア細孔内部に出来る限りシェル材料又はその前駆体を吸着させるために、減圧と常圧とを繰り返すことで、コア細孔内部のガスを脱泡し溶媒を浸透させることが好ましい。
シェル材料の前駆体とは、上記被覆コアを焼成する工程(「焼成工程」ともいう。)によって目的のシェル材料を形成できる化合物を意味し、有機ポリマー及び有機化合物が挙げられる。例えば、ヘテロ原子含有有機ポリマー、ヘテロ原子含有有機化合物(例えばヘテロ原子含有環状有機物)等がより好ましい。これらから、ヘテロ原子を有するシェル材料を形成できる。前駆体としては、窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択されるへテロ原子を含有する化合物、並びに窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択されるへテロ原子を含有するポリマーが特に好ましい。
具体的には、ヘテロ原子含有有機ポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、ポリメタアクリロニトリル等ニトリル誘導体が挙げられる。ヘテロ原子含有有機化合物としては、二トリル化合物、チオシアン酸化合物、アミン化合物等が挙げられる。ヘテロ原子含有環状有機物としては、メソ−テトラフェニルポルフィリン、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィン等のポルフィリン誘導体、例えばフタロシアニン、1,4,8,11,15,18,22,25−オクタブトキシ−29H,31H−フタロシアニン、2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(オクチルオキシ)−29H,31H−フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体、N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)1,3−プロパンジアミン等のサレン誘導体、4,4’−ジメトキシ−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジカルボキシ−2,2−ビピリジン、4,4’−ジ−tert−ブチル−2,2’−ビピリジル等のピリジン誘導体、及び5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン等のフェナントロリン誘導体が挙げられる。これらの中でもポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体、及びフェナントロリン誘導体であって、酸素原子を含まない化合物がより好ましい。
次いで、上記のコア分散体から溶媒の一部又は全部を除去して被覆コアを得る。溶媒の除去方法は限定されず、例えばロータリーエバポレーターによる減圧除去等を用いることができる。
次いで、上記の被覆コアを焼成して第二の単素質材料を形成する。焼成時の雰囲気ガス及び温度については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。但し、本発明においてはコア材料が炭素質材料であるため、高温焼成時には、第二の炭素質材料の二酸化炭素化による消失、及び酸性官能基の形成を防止するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。焼成温度について、先の工程での分散時にシェル材料の前駆体を使用する場合には、その前駆体が完全に目的のシェル材料の組成になることができる温度以上で焼成することが必要である。例示的な焼成条件としては、窒素ガス雰囲気下又はアルゴンガス雰囲気下での700℃4時間の焼成が挙げられる。例えば以上のような手順で、本発明の正極材料を製造できる。
[非水系リチウム型蓄電素子]
次に、本発明の正極材料を用いた非水系リチウム型蓄電素子について説明する。
本発明の別の態様は、上述した本発明の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料を正極活物質として含む正極、負極活物質を含む負極、及び有機溶媒とリチウム塩とからなる非水系電解液を有する非水系リチウム型蓄電素子(以下、本発明の蓄電素子ともいう)を提供する。正極及び負極は、典型的には、それぞれ、活物質(正極活物質又は負極活物質)を含む活物質層を集電体に固着させてなる電極体として形成される。
<正極活物質>
本発明の蓄電素子における正極が含む正極活物質は、前述した本発明の正極材料を少なくとも含む。
尚、上述した複合材料である本発明の正極材料を正極活物質として用いる非水系リチウム型蓄電素子においては、追加の正極活物質として、蓄電素子のエネルギー密度を向上させるという観点から、リチウムイオン二次電池の正極活物質として公知の、リチウムイオンを吸蔵放出する金属酸化物、例えば、コバルト酸リチウムを更に用いてもよい。但し、本発明の正極材料の効果を損なわないためにも、リチウムイオンを吸蔵放出する金属酸化物を併用する場合、本発明の正極材料の全正極活物質に対する比率は、50質量%以上とすることが好ましい。
<負極活物質>
先ず、本発明の蓄電素子における負極活物質について説明する。
本発明の蓄電素子の負極が含む負極活物質は、炭素質材料、リチウムチタン複合酸化物、導電性高分子等の、リチウムイオンを吸蔵放出する材料である。負極活物質は、好ましくはリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質材料であり、例えば、難黒鉛性カーボン、易黒鉛性カーボン、前述の特許文献5に開示されている複合多孔性材料等の炭素質材料を挙げることができる。
負極活物質の好ましい一例としては、活性炭の表面に炭素質材料を被着させてなる複合多孔性材料であって、該複合多孔性材料におけるBJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)としたとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす材料である。
また、負極活物質の別の好ましい一例は、上記複合多孔性材料よりも、Vm1をリッチにした多孔性炭素材料であり、21≦Vm1/Vm2≦100、かつ0.20<Vm1≦0.65を満たす材料である。
上記負極活物質は、単独でも良いし、2種以上を混合して用いても構わない。
上記複合多孔性材料は、例えば、活性炭と炭素質材料前駆体とを共存させた状態でこれらを熱処理することにより得ることができる。
上記の複合多孔性材料の原料に用いる活性炭に関し、得られる複合多孔性材料が所望の特性を発揮する限り、活性炭を得るための原材料に特に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系等の各種の原材料から得られた市販品を使用することができる。特に、平均粒径が1μm以上15μm以下の活性炭粉末を用いることが好ましい。該平均粒径は、より好ましくは、2μm以上10μm以下である。なお上記平均粒径の測定方法は、上述の正極材料のコアである炭素質材料の平均粒径に用いる測定方法と同様である。
一方、上記の複合多孔性材料の原料に用いる炭素質材料前駆体とは、熱処理することにより、活性炭に炭素質材料を被着させることができる、固体、液体、又は溶剤に溶解可能な有機質材料であり、例えば、ピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、フェノール樹脂等の合成樹脂等を挙げることができる。これらの炭素質材料前駆体の中でも、安価であるピッチを用いることが製造コスト上好ましい。ピッチは、大別して石油系ピッチと石炭系ピッチとに分けられる。例えば、石油系ピッチとしては、原油の蒸留残査、流動性接触分解残査(デカントオイル等)、サーマルクラッカーからのボトム油、ナフサクラッキングの際に得られるエチレンタール等が例示される。
上記ピッチを用いる場合、複合多孔性材料は、活性炭の表面でピッチの揮発成分又は熱分解成分を熱反応させることによって、該活性炭に炭素質材料を被着させることにより得られる。この場合、200〜500℃程度の温度において、ピッチの揮発成分又は熱分解成分の活性炭細孔内への被着が進行し、400℃以上で該被着成分が炭素質材料となる反応が進行する。熱処理時のピーク温度は得られる複合多孔性材料の特性、熱反応パターン、熱反応雰囲気等により適宜決定されるものであるが、400℃以上であることが好ましく、より好ましくは450℃〜1000℃であり、さらに好ましくは500〜800℃程度のピーク温度である。また、熱処理時のピーク温度を維持する時間は30分間〜10時間であればよく、好ましくは1時間〜7時間、より好ましくは2時間〜5時間である。例えば500〜800℃程度のピーク温度で2時間〜5時間熱処理する場合、活性炭表面に被着している炭素質材料は多環芳香族系炭化水素になっているものと考えられる。
上記の複合多孔性材料の製造方法は、例えば、炭素質材料前駆体から揮発した炭化水素ガスを含む不活性雰囲気中で活性炭を熱処理し、気相で炭素質材料を被着させる方法が挙げられる。また、活性炭と炭素質材料前駆体とを予め混合し熱処理する方法、又は溶媒に溶解させた炭素質材料前駆体を活性炭に塗布して乾燥させた後に熱処理する方法も可能である。
複合多孔性材料は、活性炭の表面に炭素質材料を被着させたものであるが、活性炭の細孔内部に炭素質材料を被着させた後の細孔分布が重要であり、メソ孔量及びマイクロ孔量により規定できる。本発明においては、特に、メソ孔量及びマイクロ孔量の絶対値と共に、メソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。すなわち、本発明の一態様において、上記の複合多孔性材料におけるBJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)としたとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、かつ1.5≦Vm1/Vm2≦20.0であることが好ましい。
メソ孔量Vm1については、0.010≦Vm1≦0.225がより好ましく、0.010≦Vm1≦0.200が更に好ましい。マイクロ孔量Vm2については、0.001≦Vm2≦0.150がより好ましく、0.001≦Vm2≦0.100が更に好ましい。メソ孔量/マイクロ孔量の比率については、1.5≦Vm1/Vm2≦15.0がより好ましく、1.5≦Vm1/Vm2≦10.0が更に好ましい。メソ孔量Vm1が上限以下(Vm1≦0.250)であれば、リチウムイオンに対する高い充放電効率が維持でき、メソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2が下限以上(0.010≦Vm1、0.001≦Vm2)であれば、高出力特性が得られる。
また、孔径の大きいメソ孔内ではマイクロ孔よりもイオン伝導性が高い為、高出力特性を得るためにはメソ孔量が必要であり、一方、孔径の小さいマイクロ孔内では、蓄電素子の耐久性に悪影響を及ぼすとされる水分等の不純物が脱着し難い為、高耐久性を得るためにはマイクロ孔量を制御する必要があると考えられる。したがって、メソ孔量とマイクロ孔量との比率の制御が重要であり、下限以上(1.5≦Vm1/Vm2)の場合、すなわち炭素質材料が活性炭のメソ孔よりもマイクロ孔に多く被着し、被着後の複合多孔性材料のメソ孔量が多く、マイクロ孔量が少ない場合に、高エネルギー密度、高出力特性かつ高耐久性(サイクル特性、フロート特性等)が得られる。メソ孔量とマイクロ孔量との比率が上限以下(Vm1/Vm2≦20.0)の場合、高出力特性が得られる。
本発明において、上記のマイクロ孔量及びメソ孔量は、先述した正極材料における測定方法と同様である。
本発明の一態様においては、上述のように、活性炭の表面に炭素質材料を被着した後のメソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。本発明で規定する細孔分布範囲の複合多孔性材料を得る為には、原料に用いる活性炭の細孔分布が重要である。
負極活物質としての複合多孔性材料の形成に用いる活性炭においては、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.050≦V1≦0.500、0.005≦V2≦1.000、かつ0.2≦V1/V2≦20.0であることが好ましい。
メソ孔量V1については、0.050≦V1≦0.350がより好ましく、0.100≦V1≦0.300が更に好ましい。マイクロ孔量V2については、0.005≦V2≦0.850がより好ましく、0.100≦V2≦0.800が更に好ましい。メソ孔量/マイクロ孔量の比率については、0.22≦V1/V2≦15.0がより好ましく、0.25≦V1/V2≦10.0が更に好ましい。上限を超える場合、すなわち活性炭のメソ孔量V1が0.500より多い場合及びマイクロ孔量V2が1.000より多い場合、上記本発明の一態様の複合多孔性材料の細孔構造を得る為には多くの炭素質材料を被着させる必要があり、細孔構造を制御しにくくなる傾向がある。一方下限を下回る場合、すなわち活性炭のメソ孔量V1が0.050より少ない場合、マイクロ孔量V2が0.005より少ない場合、V1/V2が0.2より小さい場合、及びV1/V2が20.0より大きい場合は、該活性炭の細孔分布からでは上記本発明の一態様の複合多孔性材料の細孔構造を得るのは難しい傾向がある。
本発明における複合多孔性材料の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが好ましい。下限については、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは2.5μm以上である。上限については、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは4μm以下である。平均粒径が1μm以上10μm以下であれば良好な耐久性が保たれる。上記の複合多孔性材料の平均粒径の測定方法は、上述の正極材料のコアである炭素質材料の平均粒径に用いる測定方法と同様である。
上記の複合多孔性材料において、水素原子/炭素原子の原子数比(以下、H/Cともいう。)は、0.05以上0.35以下であることが好ましく、0.05以上0.15以下であることがより好ましい。H/Cが上限値を上回る場合には、活性炭表面に被着している炭素質材料の構造(典型的には多環芳香族系共役構造)が十分に発達しない場合があり、この場合容量(エネルギー密度)及び充放電効率が低くなる。一方、H/Cが下限値を下回る場合には、炭素化が過度に進行して十分なエネルギー密度が得られない場合がある。なお、H/Cは元素分析装置により測定される。
また、通常、上記複合多孔性材料は、原料の活性炭に由来するアモルファス構造を有するとともに主に被着した炭素質材料に由来する結晶構造を有する。X線広角回折法によると、該複合多孔性材料は、高い出力特性を発現するためには結晶性が低い構造が好ましく、充放電における可逆性を保つには結晶性が高い構造が好ましいという観点から、(002)面の面間隔d002が3.60Å以上4.00Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが8.0Å以上20.0Å以下であるものが好ましく、d002が3.60Å以上3.75Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが11.0Å以上16.0Å以下であるものがより好ましい。
<その他の構成要素>
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、上述の正極活物質及び負極活物質に加えて、集電体、活物質層における活物質以外の成分、非水系電解液、セパレータ、外装体等を含む。以下、これらの構成要素について説明する。
集電体の材質は、通常、蓄電素子において、溶出及び反応等の劣化がおこらない金属箔であり、特に制限はなく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。本発明の蓄電素子においては、正極集電体をアルミニウム箔、負極集電体を銅箔とすることが好ましい。
また、集電体は貫通孔を持たない通常の金属箔でも良いし、貫通孔を有する金属箔でも構わない。集電体の厚みは、特に制限はないが、1μmより小さいと、活物質層を集電体に固着させてなる電極体(本発明における正極及び負極)の形状及び強度を十分に保持できない場合があり、100μmより大きいと蓄電素子として重量及び体積が大きくなりすぎ、重量及び体積当たりの性能が低い傾向があるため、1〜100μmが好ましい。
活物質層には、公知のリチウムイオン電池、キャパシタ等で活物質層に含まれる活物質以外の公知の成分を用いることができる。活物質層には、前述した正極活物質又は負極活物質以外に、公知の成分、例えば、バインダー、導電フィラー、増粘剤等を含ませることができ、その種類には特に制限はない。以下、非水系リチウム型蓄電素子における活物質層の成分の詳細を述べる。
活物質層は、必要に応じ導電性フィラー、例えばカーボンブラック等を含むことができる。導電性フィラーの使用量は、活物質100質量部に対して0〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。導電性フィラーは、高出力密度の観点からは用いる方が好ましいが、上記使用量が30質量部より多いと、活物質層に占める活物質の量の割合が低く、体積当たりの出力密度が小さい傾向がある。
上記の活物質、更に必要に応じて使用する導電性フィラーを、活物質層として集電体上に固着させるために、バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、スチレンブタジエン共重合体、セルロース誘導体等を用いることができる。バインダーの使用量は活物質100質量部に対して3〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲がより好ましい。バインダーの上記使用量が20質量部よりも多いと、活物質の表面をバインダーが覆ってしまい、イオンの出入りが遅くなり高出力密度が得られにくい傾向がある。また、バインダーの上記使用量が3質量部未満であると、活物質層を集電体上に固着することが難しい傾向がある。
尚、本発明における電極体は、活物質層を集電体の上面(片面)のみに形成したものでも良いし、上下面(両面)に形成したものでも構わない。
活物質層を集電体に固着させてなる電極体において、活物質層の厚みは、通常、30〜200μm程度が好ましい。活物質層の厚みが30μm未満であると、蓄電素子全体に対する活物質量の割合が少なくなり、エネルギー密度が低くなる傾向がある。また、活物質層の厚みが200μmより大きいと、電極内部の抵抗が大きくなり、出力密度が低くなる傾向がある。
電極体は、公知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極製造技術により製造することが可能であり、例えば、活物質を含む各種材料を水又は有機溶剤によりスラリー状にし、集電体上に塗布して乾燥して活物質層を形成し、必要に応じてプレスすることにより得られる。また、溶剤を使用せずに、活物質を含む各種材料を乾式で混合し、活物質をプレス成型して活物質層とした後、導電性接着剤を用いて集電体に貼り付けることも可能である。
成型された正極電極体及び負極電極体は、セパレータを介して積層又は捲廻積層され、金属缶又はラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入される。セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層コンデンサで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm以上であれば、内部のマイクロショートによる自己放電を抑制することができる。また、50μm以下であれば、蓄電素子のエネルギー密度が高いだけでなく、出力特性も高くすることができる。
外装体に使用できる金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。また、外装体に使用できるラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内層樹脂フィルムからなる3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内層樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
本発明の蓄電素子に用いられる非水系電解液は、有機溶媒とリチウム塩とからなる。有機溶媒としては、炭酸エチレン(EC)及び炭酸プロピレン(PC)に代表される環状炭酸エステル、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)及び炭酸エチルメチル(MEC)に代表される鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(γBL)等のラクトン類、並びにこれらの混合溶媒を用いることができる。混合溶媒としては、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の非環状カーボネートとを含むことが高い誘電率と低い粘度とが両立した非水系電解液を得ることができるという観点から好ましい。
本発明の一態様において、これらの有機溶媒に溶解する電解質はリチウム塩である。好ましいリチウム塩を例示すれば、LiBF、LiPF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiN(SOCF)(SOH)及びこれらの混合塩を挙げることができる。
非水系電解液中の電解質濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲が好ましい。0.5mol/L未満では陰イオンが不足して蓄電素子の容量が低くなる傾向がある。また、2.0mol/Lを超えると未溶解のリチウム塩が該電解液中に析出したり、該電解液の粘度が高くなりすぎたりすることによって、逆に伝導度が低下して出力特性が低下する傾向がある。
なお本発明の一態様において、負極活物質には、あらかじめリチウムイオンをドープしておくことができる。ドープする方法としては、公知の方法、例えば、負極活物質層にリチウム金属箔を積層した状態で負極電極体を組み立て、これを非水系電解液に入れる方法を使用することができる。リチウムイオンをドープしておくことにより、蓄電素子の容量及び作動電圧を制御することが可能である。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
[正極材料の作製]
破砕されたヤシ殻炭化物を、小型炭化炉において窒素中、500℃で3時間炭化処理した。処理後の該炭化物を賦活炉内へ入れ、1kg/hの水蒸気を予熱炉で加温した状態で該賦活炉内へ投入し、900℃まで8時間かけて昇温した後に取り出し、窒素雰囲気下で冷却して活性炭を得た。得られた活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りした。その後、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後に、ボールミルで1時間粉砕を行い、コアとなる活性炭を得た。島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J)を用いて平均粒径を測定した結果、4.2μmであった。また、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)で、細孔分布を測定した。その結果、BET比表面積は2360m/g、メソ孔量(V1)は0.52cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.88cc/gであった。また、理学電気社製粉末X線回折装置(RINT−2500)を用い、CuKα線による測定を行ったところ、(002)面間隔は0.370nmであり、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定したラマンスペクトルのピーク強度比(I1360/I1580)は、1.15であった。
次に、シェル材料1の作製及び物性測定を行った。シェル材料1の前駆体としてメソ−テトラフェニルポルフィリンを用い、窒素ガス雰囲気下、電気炉にて700℃、1時間焼成することで、シェル材料1を得た。シェル材料1については、理学電気社製粉末X線回折装置(RINT−2500)を用い、CuKα線による測定を行ったところ、(002)面間隔は0.344nmであり、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定したラマンスペクトルのピーク強度比(I1360/I1580)は、0.55であった。また、シェル材料1の酸化分解電位を測定するために、以下の作業を行った。シェル材料1を水−エタノール混合液で分散した後、グラッシーカーボン電極(ビー・エー・エス株式会社製のNo.002417)上に滴下、乾燥した。次いで、希釈PVdF溶液(溶媒はNMP)を微量滴下した後、乾燥することで、NMPを完全除去した。この電極を作用極、Li金属を対極及び参照極、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4の質量比で混合した有機溶媒にLiPFを1M/Lの濃度で溶解させたものを非水系電解液とする三極セルを作製した。この三極セルを用い、25℃環境下で酸化分解電位を測定したところ、5.05V(vsLi/Li+)であった。
次に、正極材料1を作製した。シェル材料1の前駆体としてメソ−テトラフェニルポルフィリンと、コア材料として、上記にて作製した活性炭とを、トルエン中に良く混ぜ、超音波ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、減圧/常圧を数回繰り返すことで、十分に脱泡しコア材料細孔内部までシェル材料の前駆体が浸透したコア分散体を得た。コア分散体からエバポレーターにて溶媒を除去し乾燥させ被覆コアを得た。得られた被覆コアの粉末を、窒素ガス雰囲気下、電気炉にて700℃、1時間焼成することで、正極材料1を得た。TEM観察とXPS解析の結果、シェル厚みは5nmであった。さらに、元素分析結果より、シェルの窒素原子の炭素原子に対する比率(N/C)は0.06であった。
[正極電極体の作製]
正極材料1を80.8質量部、ケッチェンブラック6.2質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスして、活物質層の厚さが55μmの正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
市販のヤシ殻活性炭について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)で、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。比表面積はBET1点法により求めた。また、上述したように、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法によりそれぞれ求めた。その結果、BET比表面積が1,780m/g、メソ孔量が0.198cc/g、マイクロ孔量が0.695cc/g、V1/V2=0.29、平均細孔径が21.2Åであった。
このヤシ殻活性炭150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)270gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱反応を行った。熱処理は窒素雰囲気下で、600℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持することによって行い、続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、炉から取り出し、負極材料となる複合多孔性材料1を得た。得られた複合多孔性材料1を上記正極コア材料と同様に測定したところ、BET比表面積が262m/g、メソ孔量(Vm1)が0.1798cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.0843cc/g、Vm1/Vm2=2.13であった。
上記複合多孔性材料1を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥し、プレスして、活物質層の厚さが60μmの負極電極体を得た。この電極体に、複合多孔性材料1の単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウムイオンを、リチウム金属箔を用いて電気化学的にドーピングした。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み30μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。電解液として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4質量比で混合した溶媒に1mol/lの濃度でLiPFを溶解して得た溶液を電解液として使用した。
作製した蓄電素子に、1.5Cの電流量で4.0Vに到達するまで定電流充電し、その後4.0Vの定電圧を印加して充電する定電流定電圧充電を2時間行った。続いて、1.5Cの電流量で2.0Vに到達するまで放電した。次に、上記同様な充電を行い、350Cの電流量で2.0Vに到達するまで放電した。1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、69.6%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後における抵抗倍率を測定した。ここでいう抵抗倍率とは、(100h経過後の0.1Hzでの抵抗値)/(0hでの0.1Hzでの抵抗値)で表される数値である。100h経過後の抵抗倍率は1.12であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.23であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.35であった。
<実施例2>
[正極材料の作製]
シェル材料の前駆体としてN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミンを用いることと、正極材料を作製する際、シェル材料前駆体と活性炭を分散させる溶媒としてエタノールを用いること以外は、実施例1と同様に作製し、正極材料2を得た。
実施例1と同様に解析することで、シェル材料2の(002)面間隔は0.350nmであり、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定したラマンスペクトルのピーク強度比(I1360/I1580)は、0.58であった。実施例1と同様に評価した結果、シェル材料2の25℃環境下での酸化分解電位は、4.99V(vsLi/Li+)であった。
また、正極材料2のシェルの平均厚みは13nmであった。さらに、元素分析結果より、シェルの窒素原子の炭素原子に対する比率(N/C)は0.17であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、71.2%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後とにおける抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.08であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.16であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.29であった。
<実施例3>
[正極材料の作製]
シェル材料の前駆体としてポリアクリロニトリルを用いることと、正極材料を作製する際、シェル材料前駆体と活性炭とを分散させる溶媒としてジメチルホルムアミドを用いること以外は、実施例1と同様に作製し、正極材料3を得た。
実施例1と同様に解析することで、シェル材料3の(002)面間隔は0.341nmであり、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定したラマンスペクトルのピーク強度比(I1360/I1580)は、0.60であった。実施例1と同様に評価した結果、シェル材料3の25℃環境下での酸化分解電位は、5.01V(vsLi/Li+)であった。
また、正極材料3のシェルの平均厚みは7nmであった。さらに、元素分析結果より、シェルの窒素原子の炭素原子に対する比率(N/C)は0.30であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、70.8%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後とにおける抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.10であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.21であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.31であった。
<実施例4>
[正極材料の作製]
シェル材料の前駆体としてフタロシアニンを用いること以外は、実施例1と同様に作製し、正極材料4を得た。
実施例1と同様に解析することで、シェル材料4の(002)面間隔は0.355nmであり、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定したラマンスペクトルのピーク強度比(I1360/I1580)は、0.46であった。実施例1と同様に評価した結果、シェル材料4の25℃環境下での酸化分解電位は、5.03V(vsLi/Li+)であった。
また、正極材料4のシェルの平均厚みは12.5nmであった。さらに、元素分析結果より、シェルの窒素原子の炭素原子に対する比率(N/C)は0.20であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、70.1%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後とにおける抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.11であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.22であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.32であった。
<実施例5>
[正極材料の作製]
フェノール樹脂硬化体をステンレス製皿に入れ、熱反応させた。熱反応は、窒素雰囲気下で行い、炉内が630℃になるまで昇温し、同温度で4時間保持した後、自然冷却した。得られた材料を遊星型ボールミルを用いて粉砕することで、コアとなる難黒鉛化性炭素材料を得た。
上記難黒鉛化性炭素材料の物性評価を実施例1と同様な手法で行った。BET比表面積は390m/g、メソ孔量(V1)は0.0251cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.121cc/g、平均粒径は4.2μmであった。また、理学電気社製粉末X線回折装置(RINT−2500)を用い、CuKα線による測定を行ったところ、(002)面間隔は0.368nmであり、波長532nmのレーザーを用いたレーザーラマン分光装置(日本分光製、NRS−3200)により測定したラマンスペクトルのピーク強度比(I1360/I1580)は、1.05であった。
コア材料が異なること以外は、実施例3と同様に作製し、正極材料5を得た。
正極材料5のシェルの平均厚みは10nmであった。元素分析結果より、シェルの窒素原子の炭素原子に対する比率(N/C)は0.30であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、68.9%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後とにおける抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.03であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.09であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.15であった。
<実施例6>
[正極材料の作製]
シェル材料を溶媒ジメチルホルムアミドに溶解させる濃度を増やした以外は、実施例3と同様に作製し、正極材料6を得た。
正極材料6のシェルの平均厚みは25nmであった。元素分析結果より、シェルの窒素原子の炭素原子に対する比率(N/C)は0.25であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、58.8%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後とにおける抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.08であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.19であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は1.28であった。
<比較例1>
[正極材料の作製]
実施例1のコアである活性炭をそのまま正極材料とした。
実施例1と同様に評価した結果、25℃環境下で酸化分解電位は、4.09V(vsLi/Li+)であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、70.7%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後における抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.50であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は2.50であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は3.50であった。
<比較例2>
[正極材料の作製]
実施例5のコアである難黒鉛化性炭素材料をそのまま正極材料とした。
実施例1と同様に評価した結果、25℃環境下で酸化分解電位は、4.12V(vsLi/Li+)であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様の作業にて、正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様のものを用いた。
[蓄電素子の組立と性能]
実施例1と同様の作業にて、蓄電素子を組み立てた。
実施例1と同様に評価した結果、1.5Cでの放電容量に対する350Cでの放電容量の比は、68.4%であった。
組立てた蓄電素子の耐久性試験を60℃下で行った。まず、4.2V印加の条件で行った。試験開始時(0hとする)と100h経過後とにおける抵抗倍率を測定した。100h経過後の抵抗倍率は1.35であった。次に、4.4V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は2.01であった。更に、4.6V印加の条件で行った。上記と同様に評価したところ、抵抗倍率は3.05であった。
Figure 2013219152
以上より、本発明に係る蓄電素子は、出力特性に優れ耐電圧が高いことが分かる。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料、及び蓄電素子は、例えば、自動車において、内燃機関又は燃料電池、モーター、及び蓄電素子を組み合わせたハイブリット駆動システムの分野、更には瞬間電力ピークのアシスト用途等で好適に利用できる。

Claims (11)

  1. コアと該コアの表面を被覆するシェルとを有する非水系リチウム型蓄電素子用複合材料であって、
    該コアを構成するコア材料が第一の炭素質材料であり、
    該シェルを構成するシェル材料が該第一の炭素質材料とは異なる第二の炭素質材料であり、該第二の炭素質材料が下記(1)の要件、
    (1)エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを1:4の質量比で混合してなる溶媒にLiPFを1M/Lの濃度で溶解させてなる非水系電解液、該第二の炭素質材料からなる作用極、並びにリチウム金属からなる対極及び参照極、を有する三極セルを作製したときに、該作用極における該溶媒の酸化分解電位が、25℃において4.2V(vsLi/Li)以上であること、
    を満たす、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  2. 前記第一の炭素質材料が、活性炭である、請求項1に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  3. 前記第二の炭素質材料が、前記第一の炭素質材料よりも、X線広角回折法で得られる(002)面の面間隔が小さい炭素質材料である、請求項1又は2に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  4. 前記第二の炭素質材料が、前記第一の炭素質材料よりも、波長532nmのレーザーを用いたラマンスペクトルにおいて測定される1360cm−1のピーク強度(I1360)の1580cm−1のピーク強度(I1580)に対する比(I1360/I1580)が小さい炭素質材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  5. 前記第二の炭素質材料が、窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含有する化合物又は窒素、ホウ素、及び硫黄からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含有するポリマーを焼成することによって得られる炭素質材料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  6. 前記シェルの平均厚みが、0.05nm以上20nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  7. 前記第一の炭素質材料が活性炭であり、該活性炭が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.3<V1≦2.0、及び0.5≦V2≦2.5を満たし、
    BET法により測定される比表面積1500m/g以上4500m/g以下を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料を製造する方法であって、
    前記シェル材料又はその前駆体を溶媒に分散又は溶解させてなる媒体中に前記コアを分散させてコア分散体を得る工程、
    前記コア分散体から前記溶媒の一部又は全部を除去して被覆コアを得る工程、及び
    前記被覆コアを焼成する工程、
    を含む、非水系リチウム型蓄電素子用正極材料の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子用正極材料を正極活物質として含む正極、負極活物質を含む負極、及び有機溶媒とリチウム塩とからなる非水系電解液を有する、非水系リチウム型蓄電素子。
  10. 前記負極活物質が、活性炭の表面に炭素質材料を被着させてなる複合多孔性材料であり、該複合多孔性材料が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)としたとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす、請求項9に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
  11. 前記有機溶媒が、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の非環状カーボネートとを含む、請求項9又は10に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
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