JP5654742B2 - 非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents

非水系リチウム型蓄電素子 Download PDF

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Description

本発明は、非水系リチウム型蓄電素子に関する。
近年、地球環境の保全および省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システムなどが注目を集めている。
これらの蓄電システムにおける第一の要求事項は、用いられる蓄電素子のエネルギー密度が高いことである。この様な要求に対応可能な高エネルギー密度電池の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、あるいは燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高出力放電特性が要求されている。
現在、高出力蓄電素子としては、電極に活性炭を用いた電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」ともいう。)が開発されており、耐久性(サイクル特性、高温保存特性)が高く、0.5〜1kW/l程度の出力特性を有する。これら電気二重層キャパシタは、上記高出力が要求される分野で最適の蓄電素子と考えられてきたが、そのエネルギー密度は、1〜5Wh/l程度に過ぎず、実用化には出力持続時間が足枷となっている。
一方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を実現し、かつ160Wh/l程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度、出力をより一層高めるとともに、高温での安定性をさらに改善し、耐久性を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(素子の放電容量の何%を放電した状態かをあらわす値)50%において3kW/lを超える高出力が得られるリチウムイオン電池が開発されているが、そのエネルギー密度は、100Wh/l以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(サイクル特性、高温保存特性)については電気二重層キャパシタに比べ劣る。そのため、実用的な耐久性を持たせるためには放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲でしか使用することができない。そのため実際に使用できる容量はさらに小さくなり、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記の様に高出力密度、高エネルギー密度、耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められているが、上述した既存の蓄電素子には一長一短がある。そのため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められており、有力な候補としてリチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子の開発が近年盛んである。
リチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を電解質として含む非水系電解液を使用する蓄電素子(非水系リチウム型蓄電素子)であって、正極においては電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって充放電を行う蓄電素子である。
上述のように、正極・負極の双方において非ファラデー反応による充放電を行う電気二重層キャパシタにおいては、出力特性に優れるがエネルギー密度が小さい。一方、正極・負極の双方においてファラデー反応による充放電を行う二次電池においては、エネルギー密度に優れるが、出力特性に劣る。リチウムイオンキャパシタは、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応による充放電を行うことによって、優れた出力特性と高いエネルギー密度の両立を狙う新たな蓄電素子である。
このようなリチウムイオンキャパシタとしては、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として、天然黒鉛または人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン小球体、黒鉛化メソフェーズカーボン繊維、黒鉛ウイスカ、または黒鉛化炭素繊維等を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献1参照)。また、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として難黒鉛化炭素または黒鉛を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献2、3参照)。
また、正極活物質として通常の活性炭と異なる水素/炭素が0.05〜0.5、BET比表面積が300〜2000m2/g、BJH法によるメソ孔容積が0.02〜0.3ml/g、MP法による全細孔容積が0.3〜1.0ml/gの細孔構造を有する炭化水素材料を用い、負極として黒鉛を除く光学的異方性炭素物質を賦活処理した材料を用いる蓄電素子が提案されている(特許文献4参照)。
また、正極活物質として活性炭または水素原子/炭素原子の原子数比率が0.05〜0.50であるポリアセン系骨格構造を有するポリアセン系有機半導体を用い、負極材料として水素原子/炭素原子の原子数比率が0以上0.05未満の難黒鉛化性炭素を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献5参照)。
また、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として易黒鉛化炭素と難黒鉛化炭素とからなる炭素材料を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献6参照)。
また、特定の負極材料と特定の正極材料を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献7参照)。前記負極材料は、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料であって、BJH法により算出した直径2nm(20Å)以上50nm(500Å)以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とする時、0.01≦Vm1<0.10かつ0.01≦Vm2<0.30である炭素材料からなる。
前記正極材料は、BJH法により算出した直径2nm(20Å)以上50nm(500Å)以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径2nm(20Å)未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とする時、0.3<V1≦0.8 かつ 0.5≦V2≦1.0であり、BET法により測定される比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である活性炭からなる。
特開平8−107048号公報 特開平9−283383号公報 特開2008−252013号公報 特開2005−93778号公報 特開2007−115721号公報 特開2008−235169号公報 国際公開2009/063966号パンフレット
上述のような高出力密度、高エネルギー密度、耐久性を兼ね備えた蓄電素子であるリチウムイオンキャパシタには、さらに必要な特性として次の2点が挙げられる。第一に、モジュール化した際の発熱量を低減するために、時定数(蓄電素子の内部抵抗とセル容量との積で表わされる値)が小さいこと、第二に、不規則な使用状況下にも対応できるよう自己放電が少ないことである。
上述の特許文献1〜6記載の蓄電素子は、自己放電は比較的少ないものの、時定数が大きいという課題を有している。また、上述の特許文献7記載の蓄電素子は、出力特性に優れ、時定数が比較的小さいものの、内部抵抗が小さいことから自己放電速度が速い(単位時間当たりの自己放電量が多い)ため、さらなる改良の余地がある。
本発明の課題は、時定数が小さいことと自己放電が少ないことを兼ね揃えた非水系リチウム型蓄電素子を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、負極集電体の一面または両面に負極活物質層が形成された負極電極体、正極集電体の一面または両面に正極活物質層が形成された正極電極体、およびセパレータが積層された電極積層体と、リチウム塩を電解質として含む非水系電解液と、前記電極積層体および非水電解液を収納する外装体と、を備えた非水系リチウム型蓄電素子であって、前記負極活物質層を構成する負極活物質の主成分が、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料であり、前記正極活物質層を構成する正極活物質の主成分が活性炭であり、前記負極活物質層の平面積S(cm)に対する、前記負極活物質層の平面視における外形線の全長L(cm)の比率であるエッジ率(L/S)が、0.30≦L/S<1.00を満たし、前記リチウム塩としてLiPF を含む
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、負極活物質の主成分が、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料であり、正極活物質の主成分が活性炭であることで、時定数が小さくなり、負極活物質層のエッジ率(L/S)が、0.30≦L/S<1.00を満たすことで、自己放電が少なくなるため、時定数が小さいことと自己放電が少ないことを兼ね揃えたものとなる。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子において、前記負極活物質の主成分は、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料であり、この複合多孔性炭素材料が下記の条件(1) 〜(4)を満たす。
(1) BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm1(cc/g)が、0.01≦Vm1<0.10である。
(2) MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm2(cc/g)が、0.01≦Vm2<0.30である。
(3) BET比表面積が10m /g以上1000m /g未満である。
(4) 平均粒径が1.5〜25μmである。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、前記正極活物質の主成分である活性炭が下記の条件(1) 〜(3) を満たすことが好ましい。
(1)BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)V1(cc/g)が、0.3<V1≦0.8である。
(2)MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)V2が、0.5≦V2<1.0である。
(3)BET法により測定された比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、前記負極電極体の単位面積あたりの容量が0.25〜0.75(F/cm2)の範囲内であることが好ましい。
本発明の蓄電モジュールは、本発明の非水系リチウム型蓄電素子を複数個含むことを特徴とする。
本発明の蓄電モジュールの製造方法は、本発明の非水系リチウム型蓄電素子であって、前記負極電極体の単位面積あたりの容量が0.25〜0.75(F/cm)の範囲内である非水系リチウム型蓄電素子を、所定空間に配置して蓄電モジュールを製造する際に、前記エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最小になるように、前記所定空間内の前記負極活物質層を平行に配置する底面と、その底面内に配置する負極活物質層の数を決めることを特徴とする。これにより、前記蓄電素子が同じ所定空間に、前記エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で他の配置で配置されたものと比較して、自己放電が最も少ない蓄電モジュールが得られる。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子の使用方法は、前記負極電極体の単位面積あたりの容量が0.25〜0.75(F/cm)の範囲内である非水系リチウム型蓄電素子を、前記負極活物質層のエッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最も小さくなる配置で、所定空間に配置して使用することを特徴とする。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、時定数が小さいことと自己放電が少ないことを兼ね揃えたものである。よって、本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、自動車において、内燃機関または燃料電池、モーター、及び蓄電素子を組み合わせたハイブリット駆動システムの分野、さらには瞬間電力ピークのアシスト用途などで好適に利用できる。
本発明の蓄電モジュールの製造方法によれば、同じ所定空間に他の方法で蓄電素子が配置されて得られた蓄電モジュールと比較して、同じ大きさで自己放電が最も少ない蓄電モジュールが得られる。
同じ直方体の空間に蓄電素子を配置して蓄電モジュールを設計する方法において、底面とほぼ同じ平面の負極活物質層を有する蓄電素子を用いた場合(a)と、底面を6分割した平面の負極活物質層を有する蓄電素子を用いた場合(b)とで、同じ底面内に配置される負極活物質層の数の違いを説明する図である。 同じ直方体の空間に蓄電素子を配置して蓄電モジュールを設計する方法において、図1(a)と(b)との違いによる、蓄電モジュールを構成する蓄電素子の配置方法の違いを例示する図である。 負極集電体に耳部を設けた負極電極体の一例を示す部分平面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[負極活物質について]
先ず、本発明の非水系リチウム型蓄電素子を構成する負極活物質について説明する。
一般的な非水系リチウム型蓄電素子では、負極活物質として、黒鉛、易黒鉛化性炭素材料、難黒鉛化性炭素材料、活性炭、活性炭の表面に炭素質材料を有する(被着させた)複合多孔性材料、ポリアセン系物質などのアモルファス炭素質材料、ケッチェンブラックやアセチレンブラックといったカーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノフォーン、繊維状炭素質材料などの炭素質材料、リチウムチタン複合酸化物、導電性高分子などリチウムイオンを吸蔵放出する材料を使用することができる。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子では、負極活物質の主成分(総質量の50%より多く存在している成分)として、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料または難黒鉛化性炭素材料を使用する。これにより、負極活物質の主成分として上述の他の材料を用いた場合と比較して、非水系リチウム型蓄電素子の時定数を小さくすることができる。
非水系リチウム型蓄電素子の時定数を小さくするという点では、負極活物質の主成分として、難黒鉛化性炭素材料よりも、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料を用いることが好ましい。自己放電を少なくするという点では、負極活物質の主成分として、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料よりも、難黒鉛化性炭素材料を用いることが好ましい。
活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料としては、溶媒に溶かした炭素質材料前駆体を、活性炭に塗布し加熱焼成したもの、または、炭素質材料前駆体を加熱することで発生した炭化水素を含むガスを、活性炭に吸着させて加熱焼成したものなどがあげられる。この時、活性炭に複合化させる炭素材料の量を制御することにより、下記の条件(1)および(2) を満たす複合多孔性炭素材料を使用することが好ましい。
(1)BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm1(cc/g)が、0.01≦Vm1<0.10である。
(2)MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm2(cc/g)が、0.01≦Vm2<0.30である。
各細孔量が前記各上限値以上の場合、リチウムに対する充放電効率が低下し、下限値未満の場合、出力特性が得られ難くなる。
前記マイクロ孔量及びメソ孔量は、以下の方法により求めた値である。すなわち、試料を500℃で一昼夜真空乾燥を行い、窒素を吸着質とし吸脱着の等温線の測定を行なう。このときの脱着側の等温線を用いて、マイクロ孔量はMP法により、メソ孔量はBJH法により算出した。
MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4319(1965))を利用して、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、およびマイクロ孔の分布を求める方法を意味し、M.Mikhail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid Interface Sci.,26,45 (1968))。
BJH法は、一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett, Joyner, Halendaらにより提唱されたものである(E. P. Barrett, L. G. Joyner and P. Halenda, J. Amer. Chem. Soc., 73, 373(1951))。
上記複合多孔性炭素材料は、例えば、活性炭と炭素質材料前駆体を共存させた状態で熱処理することにより得ることができる。
原料に用いる活性炭は、得られる複合多孔性炭素材料が所望の特性を発揮する限り、活性炭とする前の原材料などに特に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系などの各種の原材料から得られた市販品を使用することができ、平均粒径1〜50μmであるものが好ましく、1〜30μmであるものがより好ましい。ここで言う平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径を50%径とし、その50%径(Median径)のことを指すものである。
炭素質材料前駆体とは、熱処理することにより、活性炭に炭素質材料を被着させることができる有機質材料で、例えばピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークスあるいはフェノール樹脂などの合成樹脂などを挙げることができる。これらの炭素質材料前駆体の中でも、安価なピッチを用いることが製造コスト上好ましい。ピッチは、大別して石油系ピッチと石炭系ピッチとに分けられる。例えば、石油系ピッチとしては、原油の蒸留残査、流動性接触分解残査(デカントオイルなど)、サーマルクラッカーからのボトム油、ナフサクラッキングの際に得られるエチレンタールなどが例示される。
上記ピッチを用いる場合、複合多孔性炭素材料は、活性炭の表面でピッチの揮発成分あるいは熱分解成分を熱反応させることにより、活性炭に炭素質材料を被着させることにより得られる。この場合、200〜500℃程度の温度において、ピッチの揮発成分、あるいは、熱分解成分の活性炭細孔内への被着が進行し、400℃以上で該被着成分が炭素質材料となる反応が進行する。
熱処理時のピーク温度は得られる複合多孔性材料の特性、熱反応パターン、熱反応雰囲気などにより適宜決定されるものであるが、400℃以上であることが好ましく、更に好ましくは450℃〜1000℃であり、特に500〜800℃程度のピーク温度であることが好ましい。また、熱処理時のピーク温度を維持する時間は30分間から10時間であればよく、好ましくは1時間から7時間、更に好ましくは2時間から5時間である。500〜800℃程度のピーク温度で2時間から5時間熱処理する場合、活性炭表面に被着している炭素質材料は多環芳香族系炭化水素になっているものと考えられる。
上記複合多孔性炭素材料において、水素原子/炭素原子の原子数比(以下、H/Cという。)は、0.05以上0.35以下であることが好ましく、0.05以上0.15以下であることがより好ましい。H/Cが上限値を上回る場合には、活性炭表面に被着している炭素質材料多環芳香族系共役構造が十分に発達していないので、容量および効率が低くなるのに対し、下限値を下回る場合には、炭素化が過度に進行して、充分な容量が得られない場合がある。
複合多孔性炭素材料は活性炭の表面に炭素質材料を被着させたものであるが、特に、活性炭の細孔内部に炭素質材料を被着させた後の細孔分布が重要であり、活性炭に炭素質材料を被着させた後の複合多孔性材料のマイクロ孔量、メソ孔量により規定できる。類似したBET比表面積を持つ複合多孔性炭素材料であっても、上記マイクロ孔量、メソ孔量の分布が異なる場合は、該複合多孔性炭素材料を活物質とした蓄電素子の効率が大幅に異なることがある。すなわち、BET比表面積の規定による効率の最適化は困難である。それに対し、本発明で規定したマイクロ孔量・メソ孔量は、特定の範囲を選択することで、効率のよいものを選ぶことが可能である。
但し、本発明の効果である時定数が小さいことに加え、自己放電が少ないことを兼ね揃えた蓄電素子とするには、BET比表面積による最適化は重要である。その理由は定かではないが、例えば、BET比表面積が向上すると、電解液との接触面積も向上することにより、リーク電流の増大や自己放電の増大が起きやすいと考えられる。内部抵抗については、溶媒和したイオン半径と活物質の細孔サイズの最適化が重要で、これは先述したように、マイクロ孔及びメソ孔の分布によるところが大きいため一概に言えないが、BET比表面積の向上に従い、出力特性が向上し、内部抵抗は小さくなる傾向がある。
従って、本発明の複合多孔性炭素材料のBET比表面積は、好ましくは10m2/g以上1000m2/g未満であり、20〜500m2/gであるものがより好ましく、30〜400m2/gであるものが更に好ましい。
また、前述の熱処理方法により製造した複合多孔性炭素材料においては、一般の表面コーティングとは異なり、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた後にも凝集がなく、該活性炭の平均粒径にほとんど変化がないことを特徴とする。このことと、細孔が減少し比表面積が低下していることから、本発明においては、被着する炭素質材料の原料となるピッチなどの揮発成分、あるいは、熱分解成分の大部分は、活性炭細孔内に被着し、この被着成分が炭素質材料となる反応が進行したものと推測できる。
上記、細孔構造(マイクロ量、メソ孔量が満たすべき数式)を実現するためには、一般に、炭素質材料/活性炭の質量比(以下、複合比という)が0.25〜1.00程度となる。容量を重視する場合には複合比が0.25〜0.45の範囲が好ましく、効率を重視する場合には複合比が0.55〜1.00の範囲が好ましい。ただし、複合比がこの範囲内にあっても、上記細孔構造が範囲内にない場合、期待する効果が得られない。この複合比は、製造条件、例えば活性炭と被着する炭素質材料の原料となる炭素質材料前駆体、例えばピッチの仕込比率、該ピッチの軟化点などにより制御することが可能である。
複合多孔性炭素材料は活性炭に由来するアモルファス構造を有するが、同時に、主に被着した炭素質材料に由来する結晶構造を有する。X線広角回折法によると、複合多孔性材料は、(002)面の面間隔d002が3.60Å以上4.00Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが8.0Å以上20.0Å以下であるものが好ましく、d002が3.60Å以上3.75Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが11.0Å以上16.0Å以下であるものがより好ましい。
本発明で使用する複合多孔性炭素材料の平均粒径は、1〜30μmであることが好ましい。ここで言う平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径を50%径とし、その50%径(Median径)のことを指すものである。
平均粒径が1μm未満であると、活物質層の密度が低下してしまい、体積当たりの容量が低下し好ましくない。更には、平均粒径が小さいことは、時定数が小さいという特性は発現できるが、自己放電が大きくなりやすく、また耐久性が落ちるといった欠点も持つ。逆に、平均粒径が30μmより大きくなると、高速充放電には適さなくなる。従って、好ましくは1.5〜25μmであり、更に好ましくは、2〜20μmである。
これらの複合多孔性炭素材料は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
難黒鉛化性炭素材料においては、特に制限はないが、以下のものを好ましいものとして例示することができる。ナフタレン、アントラセンなどの低分子有機化合物;フェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂類;コールタールピッチ、酸素架橋石油ピッチ、石油又は石炭系ピッチなどのピッチ類などを原料とし、加熱又は焼成して得られる難黒鉛化性炭素材料などが挙げられる。ここで言う加熱又は焼成の方法は、公知の方法に従えばよい。例えば、上記原料を窒素などの不活性ガス雰囲気下中、500〜1200度程度の温度範囲で炭化することで得られる。
また、本発明で使用する難黒鉛化性炭素材料には、ポリアセン系物質も含む。ポリアセン系物質は、例えばフェノール樹脂等を炭化させることで得られるポリアセン構造を有する物質をいう。
上記のように加熱又は焼成して得られたものをそのまま用いても良いし、更に賦活などの処理で細孔容積を増加させたものを用いても構わない。また、必要に応じて、ボールミル等の既知の粉砕機を用いて粉砕させたものを用いても構わない。
これらの難黒鉛化性炭素材料は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明で使用する難黒鉛化性炭素材料の比表面積は、BET法により測定される比表面積で好ましくは1m2/g以上1000m2/g未満であり、3〜100m2/gであるものがより好ましく、4〜20m2/gであるものが更に好ましい。
BET比表面積が1m2/g以上の場合には、十分なエネルギー密度が得られる。一方、BET比表面積が1000m2/g未満の場合には、耐久性に優れることが判明した。その理由は定かではないが、例えば、BET比表面積の向上に伴い電解液との接触面積も向上することにより、リーク電流の増大や自己放電の増大が起きやすいためと考えられる。
本発明で使用する難黒鉛化性炭素材料の結晶構造は、X線広角回折法で得られる(002)面の面間隔(以下、d002とする)が0.341nm以上0.390nm以下であることが好ましい。ここでいうd002は、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して難黒鉛化性炭素材料の(002)面の回折ピークを測定し、そのピーク位置から算出したものである。
002が0.341nm未満になると、結晶性が向上し、難黒鉛化性炭素材料ではなくなってしまう。結晶性が向上すると、充放電時のリチウムイオンの出入りは遅くなり出力特性が落ちてしまう。また、0.390nmより大きくなると、結晶性の著しい低下に伴い、耐久性特性が落ちてしまう。従って、好ましくは0.350nm以上0.385nm以下であり、更に好ましくは0.360nm以上0.380nm以下である。
本発明で使用する黒鉛化性炭素材料の細孔構造は特に制限されないが、メソ孔量Vm1とマイクロ孔量Vm2が.001≦Vm1<0.01 かつ0.001≦Vm2<0.01の炭素材料であることが好ましい。ここでいうメソ孔量Vm1とマイクロ孔量Vm2は、前述の「活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料」に関する説明で行った定義と同じである。
Vm1、Vm2共に0.01以上になると、細孔の増大に伴い、出力特性は向上するが、活物質層の密度を大きく上げることができなくなり、体積当たりの容量の低下を招くことや、電解液との接触面積の向上に伴い、リーク電流の増加を招くことで耐久性の低下を引く起こしやすくなる。従って、好ましくはVm1<0.0095 かつVm2<0.0070であり、更に好ましくはVm1<0.0085 かつVm2<0.0050である。
本発明で使用する難黒鉛化性炭素材料の平均粒径は、5〜30μmであることが好ましい。ここで言う平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径を50%径とし、その50%径(Median径)のことを指すものである。
平均粒径が5μm未満であると、活物質層の密度が低下してしまい、体積当たりの容量が低下し好ましくない。更には、平均粒径が小さいことは耐久性が落ちるといった欠点も持つ。逆に、平均粒径が30μmより大きくなると、高速充放電には適さなくなる。従って、好ましくは6〜25μmであり、更に好ましくは、7〜20μmである。
尚、本発明で使用する負極活物質は、主成分(全体の50質量%以上)を「活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料または難黒鉛化性炭素材料」とするものであり、この主成分を中心材として他の材料を被覆したもの(複合物)、他の材料を中心材にして前記主成分を被覆したもの(複合物)、および前記主成分に他の材料を混合したもの(混合物)であってもよい。
他の材料とは、黒鉛、易黒鉛化性炭素材料、難黒鉛化性炭素材料、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔性材料、ポリアセン系物質などのアモルファス炭素質材料、ケッチェンブラックやアセチレンブラックといったカーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノフォーン、繊維状炭素質材料などで、上記好ましい炭素材料に入らない炭素質材料や、リチウムチタン複合酸化物、導電性高分子など、公知のリチウムイオン二次電池用負極材料のことを示す。
[正極活物質について]
次に、本発明の非水系リチウム型蓄電素子を構成する正極活物質について説明する。
一般的な非水系リチウム型蓄電素子の正極活物質には、活性炭、ポリアセン系物質などのアモルファス炭素質材料、ケッチェンブラックやアセチレンブラックといったカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンエアロゲルなどの炭素質材料を使用することができる。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子では、正極活物質の主成分として活性炭を使用する。これにより、非水系リチウム型蓄電素子の時定数を小さくでき、電子伝導性が高くなり、イオン拡散性が高くなる。
活性炭の原料として用いる炭素質材料としては、一般に、活性炭原料として用いられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、(a) 木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バカス、廃糖蜜などの植物系原料、(b) 泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタールなどの化石系原料、(c)フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの各種合成樹脂、(d)ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレンなどの合成ゴム、その他合成木材、合成パルプなど、或いは、それらの炭化物が挙げられる。これらの原料の中でも、ヤシ殻、木粉などの植物系原料、又はそれらの炭化物が好ましく、ヤシ殻炭化物が特に好ましい。
これらの原料を活性炭とするための炭化、賦活方式としては、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式などの公知の方式を採用できる。
これらの原料の炭化方法としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガスなどの不活性ガス、或いはこれらの不活性ガスを主成分とした他のガスとの混合ガスを使用して、400〜700℃(特に450〜600℃)程度で30分〜10時間程度焼成する方法が挙げられる。
上記炭化方法により得られた炭化物の賦活方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素などの賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法が用いられる。このうち、賦活ガスとして、水蒸気又は二酸化炭素を使用する方法が好ましい。
この賦活方法では、賦活ガスを0.5〜3.0kg/h(特に0.7〜2.0kg/h)の割合で供給しながら、上記炭化物を3〜12時間(好ましくは5〜11時間、さらに好ましくは6〜10時間)かけて800〜1000℃まで昇温して賦活するのが好ましい。
さらに、上記炭化物の賦活処理に先立ち、あらかじめ上記炭化物を1次賦活してもよい。この1次賦活では、通常、炭素質材料を水蒸気、二酸化炭素、酸素などの賦活ガスを用いて、900℃未満の温度で焼成してガス賦活すればよい。
上記炭化方法における焼成温度/時間と、上記賦活方法における賦活ガス供給量/昇温速度/最高賦活温度とを適宜組み合わせることにより、以下の特徴を有する活性炭を製造することができる。
<活性炭の好ましい形態>
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、前記正極活物質の主成分である活性炭が下記の条件(1) 〜(3) を満たすことが好ましい。
(1)BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)V1(cc/g)が、0.3<V1≦0.8である。
(2)MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)V2が、0.5≦V2<0.30である。
(3)BET法により測定された比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である。
蓄電素子の出力特性を大きくする点で、メソ孔量V1が0.3cc/gより大きい値であることが好ましく、また、蓄電素子の容量の低下を抑える点から、0.8cc/g以下であることが好ましい。また、より好ましくは0.35cc/g以上、0.7cc/g以下、さらに好ましくは、0.4cc/g以上、0.6cc/g以下である。
一方、マイクロ孔量V2は、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.5cc/g以上であることが好ましく、また、活性炭の嵩を抑え、電極としての密度を増加し、単位体積あたりの容量を増加させるという点から、1.0cc/g以下であることが好ましい。また、より好ましくは、0.6cc/g以上、1.0cc/g以下、さらに好ましくは、0.8cc/g以上、1.0cc/g以下である。
また、メソ孔量V1とマイクロ孔量V2は、0.3≦V1/V2≦0.9の範囲にあることが好ましい。これは、マイクロ孔量に比べてメソ孔量が多く、容量を得ながら、出力特性の低下を抑えるという点から、V1/V2が0.3以上であることが好ましく、また、メソ孔量に比べてマイクロ孔量が多く、出力特性を得ながら、容量の低下を抑えるという点から、V1/V2は0.9以下であることが好ましい。また、より好ましい範囲は、0.4≦V1/V2≦0.7、さらに好ましい範囲は、0.55≦V1/V2≦0.7である。
また、正極活物質として使用される活性炭の平均細孔径は、出力を最大にする点から、1.7nm以上であることが好ましく、1.8nm以上であることがより好ましく、2.0nm以上であることが最も好ましい。また、容量を最大にする点から、2.5nm以下であることが好ましい。前記平均細孔径とは、液体窒素温度における各相対圧力下での窒素ガスの各平衡吸着量を測定して得られる、質量あたりの全細孔容積を、BET比表面積で除して求めたものを示す。
さらに、正極活物質として使用される活性炭は、そのBET比表面積が1500m2/g以上、3000m2/g以下が好ましい。より好ましくは、1500m2/g以上、2500m2/g以下である。BET比表面積が1500m2/g未満の場合には、十分なエネルギー密度が得られず、一方、BET比表面積が3000m2/gを超える場合には、バインダーを多量に入れないと十分な電極の強度を保てないため、体積当りの性能が低下する。
尚、本発明で使用する正極活物質は、主成分(全体の50質量%以上)を活性炭とするものであるが、蓄電素子のエネルギー密度を向上させるという観点から、リチウムイオン二次電池の正極活物質として公知のリチウムイオンを吸蔵放出する金属酸化物、例えば、コバルト酸リチウムを50質量%未満の範囲で添加してもよい。
[負極活物質層のエッジ率について]
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、負極活物質層の平面積S(cm)に対する、前記負極活物質層の平面視における外形線の全長L(cm)の比率であるエッジ率(L/S)が、0.30≦<L/S<1.00を満たすものである。これにより、前述した特定の炭素材料を負極活物質とすることで得られる、時定数を小さくできる効果を保持しながら、自己放電を少なくすることができる。
負極活物質層のエッジ部は、電荷の集中が起き易く、電荷のリークが激しいと考えられる。そのため、負極活物質層の平面視におけるエッジ部の割合が少ないほど自己放電を抑制できるが、L/Sが1.00未満であれば負極活物質層のエッジ率が十分に小さく、自己放電を抑制する効果が顕著に得られるものと考えられる。また、L/Sが0.10より大きいと、負極活物質層の平面視の形状(縦長および横長の場合の最長の長さ)および面積が、蓄電素子の設計上、好ましい範囲に収まる。負極活物質層のエッジ率(L/S)は、好ましくは0.30≦L/S<0.80とし、更に好ましくは0.30≦L/S<0.75とする。
負極活物質層の平面視における外形線の全長(以下、これを「周長」と称する)Lは、例えば、負極活物質層が負極集電体の上に平面視で長方形状に塗布されている場合には、その長方形の四辺の長さの和となる。
負極活物質層が、負極集電体の両面に形成されている場合は、両負極活物質層の周長および平面積の平均値を、各負極活物質層の周長および平面積とする。また、負極集電体に負極外部リードを接続するための耳部を設ける場合は、その部分には負極活物質層が形成されない。図3の例では、長方形の負極集電体1に長方形の耳部2が形成されているため、負極活物質層3の平面形状は長方形であるが、負極活物質層3の平面形状は長方形の一部が欠けた形状となる場合もある。負極活物質層の平面形状に基づいて平面積Sと周長Lを算出する必要がある。
[時定数について]
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、以下の定義による時定数が3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。この時定数の定義は、蓄電素子を、25℃で500Cの放電電流にて放電した際の内部抵抗値R(Ω)と、25℃で1Cの放電電流にて放電した際のセル容量C(F)との積RC(Ω・F)である。
時定数が3.0より大きくなると、セルの出力特性は低くなり、特に大電流使用時に、セルのジュール発熱量がより大きくなってしまう。このことは、多数のセルを直列化したモジュールを考えたとき、モジュールシステムからの発熱が大きくなるほど冷却システムにかかる設備・コストは大きくなるので好ましくない。
内部抵抗R(Ω)は、放電レート500Cにおける放電カーブをもとに算出する。具体的には、先ず、放電レート500Cおける電圧−放電容量の関係を示す放電カーブにおいて、放電前半における直線傾向にあるカーブを一次関数にフィッティングする。次に、その直線の切片(電圧軸との交点)である電圧値Eと初期電圧E0から、電圧降下:ΔE1(V)=E0−Eを算出する。そのΔE1と放電電流値I(A)から、内部抵抗R(Ω)をR=ΔE1/Iより算出する。
セル容量C(F)は、放電レート1Cの放電電流にて放電した際のセル容量である。具体的には、上記条件における放電をした際の電圧差ΔE2(V)と放電量As(Q)から、セル容量C(F)を、C=As/ΔE2より算出する。
同じ電極体を複数積層した電極積層体においては、電極体が並列接続されているため、積層数が2倍になれば内部抵抗Rが1/2になるとともにセル容量Cが2倍になる。従って、積層数を増減させても時定数には変化はないので、時定数を用いることで積層数の差異による影響を受けずに蓄電素子の評価を行うことができる。
[その他の要素について]
次に、本発明の非水系リチウム型蓄電素子を構成するその他の要素について説明する。
集電体の材質は、蓄電素子にした際、溶出や反応などの劣化がおこらない金属箔であれば特に制限はなく、例えば、銅箔、アルミニウム箔などが挙げられる。本発明の非水系リチウム型蓄電素子においては、正極集電体をアルミニウム箔、負極集電体を銅箔とすることが好ましい。
また、集電体は貫通孔を持たない通常の金属箔でも良いし、貫通孔を有する金属箔でも構わない。集電体の厚さは、特に制限はないが、1μmより小さいと電極体の形状や強度を十分に保持できなくなり、100μmより大きいと蓄電素子として質量及び体積が大きくなりすぎ、質量及び体積当たりの性能が劣ってしまうため、1〜100μmが好ましい。
活物質層には、前述した正極活物質及び負極活物質以外に、公知のリチウムイオン電池、キャパシタ等で活物質層に含まれる公知の成分を用いることができる。例えば、バインダー、導電フィラー、および/または増粘剤を含ませることができ、その種類には特に制限はない。以下、非水系リチウム型蓄電素子における活物質層の成分について、その詳細を述べる。
活物質層には、必要に応じ導電性フィラーを添加してもよく、例えばカーボンブラックなどが挙げられる。その添加量は、活物質100質量%に対して0〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。導電性フィラーは、高出力密度の観点からは、混合したほうが好ましいが、30質量%より多いと、電極層に占める活物質量の割合が下がり、体積当たりの出力密度が低下するので好ましくない。
上記の活物質、更に必要に応じて添加された導電性フィラーを、活物質層として集電体上に固着させるために、バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、スチレンブタジエン共重合体、セルロース誘導体などを用いることができ、その添加量は活物質100質量%に対して3〜20質量%の範囲が好ましく、5〜15質量%の範囲がより好ましい。バインダーの添加量が20質量%よりも多いと、活物質の表面をバインダーが覆ってしまい、イオンの出入りが遅くなり高出力密度が得られなくなるため好ましくない。また、バインダーの添加量が3質量%未満であると、活物質層を集電体上に固着することが難しい。
尚、本発明の蓄電素子を構成する電極体(負極電極体および正極電極体)は、活物質層を集電体の上面(片面)のみに形成したものでも良いし、上下面(両面)に形成したものでも構わない。
活物質層を集電体に固着させた電極体において、活物質層の厚さは、通常、30〜200μm程度が好ましい。
活物質層の厚さが30μm未満であると、蓄電素子全体に対する活物質量の割合が少なくなり、エネルギー密度が低下する。更に、理由は定かではないが、電極内吸着イオン量が少ないことから、保存状態でのイオン放出量率が大きいため、電極電位変化も大きいことより、自己放電が大きい。
逆に、活物質層の厚さ200μmより大きくなると、上記のように自己放電は小さくなるが、電極内部の抵抗が大きくなり、出力密度が低下してしまう。
電極体は、公知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極製造技術により製造することが可能であり、例えば、活物質層を構成する各種材料を水または有機溶剤によりスラリー状にし、集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレスすることにより得られる。また、溶剤を使用せずに、活物質層を構成する各種材料を乾式で混合し、活物質をプレス成型した後、導電性の接着剤を用いて集電体に貼り付けることも可能である。
成型された正極電極体および負極電極体は、セパレータを介して積層され、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入される。セパレータはリチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜もしくはポリプロピレン製の微多孔膜または電気二重層コンデンサで用いられるセルロース製の不織紙などを用いることができる。
セパレータの厚さは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm未満の厚さでは、内部のマイクロショートによる自己放電が大きくなるため好ましくない。また、50μmより厚いと、蓄電素子のエネルギー密度が減少するだけでなく、出力特性も低下するため好ましくない。
外装体に使用されるラミネートフィルムは、金属箔と樹脂フィルムを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムからなる3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロンやポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分やガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィンが好適に使用できる。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子に用いられる非水系電解液の溶媒としては、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)に代表される環状炭酸エステル、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(MEC)に代表される鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン(γBL)などのラクトン類、ならびにこれらの混合溶媒を用いることができる。
さらに、本発明の蓄電素子の時定数を小さく、かつ自己放電を少なくするには、明確な理由は定かではないが、電解液の粘度、解離度、移動度のバランスが重要である。従って、低粘度である鎖状炭酸エステルと、高解離度である環状炭酸エステルとの混合溶媒を使用することが好ましく、その場合の鎖状炭酸エステルの溶媒全体に対する割合が50体積%〜90体積%であることが好ましい。
これら溶媒に溶解する電解質はリチウム塩である必要があり、好ましいリチウム塩を例示すれば、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO225)、LiN(SO2CF3)(SO224H)およびこれらの混合塩を挙げることができる。
さらに、本発明の蓄電素子の時定数を小さく、かつ自己放電を少なくするには、電解質としてLiPF6を用いることが好ましい。その明確な理由は、定かではないが、LiPF6のイオン伝導度が高く、アニオンサイズが比較的小さいことが挙げられる。つまり、正極活物質層に吸着・放出するアニオン種の選択が重要となる。例えば、溶媒和したアニオンサイズが小さい方が、正極活物質細孔のできるだけ内部に吸着できるため、保存状態でのイオン放出がされにくく、自己放電を小さくできると考えることができる。
また、電解液には、電解質としてのリチウム塩だけでなく、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、リーク電流をできるだけ防止し、自己放電を小さくするといった観点から、電極表面上で良質な固体電解質界面(SEI)被膜を形成できるものが好ましく、例えばビニリデンカーボネートなどが挙げられる。
非水系電解液中の電解質濃度は、0.5〜2.0mol/lの範囲が好ましい。0.5mol/l未満では陰イオンが不足して蓄電素子の容量が低下する。また、2.0mol/lを超えると未溶解の塩が該電解液中に析出したり、該電解液の粘度が高くなりすぎたりすることによって、逆にイオン伝導度が低下して出力特性が低下する。
負極電極体には、あらかじめリチウムイオンをドープしておくことができる。ドープする方法としては、公知の方法、例えば、負極集電体の負極活物質層にリチウム金属箔を積層した状態で電極体を組み立てて非水系電解液に入れる方法を使用することができる。リチウムイオンをドープしておくことにより、蓄電素子の容量および作動電圧を制御することが可能である。
本発明の蓄電素子の自己放電を少なくするためには、ドープ量を適切にすることが重要である。ドープ量を多くすることで負極の作動電位を低くすることができるが、Liが電析する恐れがあり安全性に支障が出る場合も考えられる。
負極活物質として、活性炭の表面に炭素質材料を被着させた複合多孔性材料を用いる場合は、複合多孔性材料の質量あたり700mAh/gを超える量であることが好ましく、750mAh/g以上であることがより好ましい。上限については1500mAh/g以下であり、リチウム金属の析出を考慮すると1300mAh/g以下であることが好ましい。ドープ量が700mAh/g以下の場合、高エネルギー密度かつ高出力であるが、十分な耐久性が得られない。
リチウムイオンを予めドープすることで、負極電位が低くなり、正極と組み合わせた時にセル電圧が高くなるとともに、正極の利用容量が大きくなるために高容量となり、高いエネルギー密度が得られる。また、700mAh/gを超える量の場合、一旦挿入したら脱離しにくい不可逆なサイトにもリチウムイオンがドープされるため、高出力特性を発現でき、低内部抵抗セルとなる。さらに、700mAh/gを超える量の場合には、負極電位が十分に低く、そのため、自己放電時の電位変化は小さく、結果として自己放電が少ないセルとなる。
上記は、負極活物質として、難黒鉛化性炭素材料やその他の材料を用いる場合も同様で、負極電位が十分に低く、且つLiが電析しない範囲のドープ量を適宜選択することが好ましい。
[蓄電素子の容量と電極積層体を構成する負極電極体の積層数について]
本発明の蓄電素子において、使用する電極体の単位面積当たりの容量は、高エネルギー密度の観点からは大きいほうがよく、高出力密度の観点からはある程度以下であることがよい。そのため、両者のバランスから、電極体の単位面積当たりの容量は0.25〜0.75(F/cm2)の範囲であることが好ましい。電極体の単位面積当たりの容量は、活物質の種類、及び活物質層における含有量、並びに活物質層の厚さによりコントロールできる。また、本発明の蓄電素子としての容量が50〜5000F程度であると、本発明の効果が高いため好ましい。
本発明の蓄電素子において、電極体の単位面積当たりの容量および蓄電素子としての容量を上記範囲とした時の、電極積層体の具体的な設計例を以下にのべる。計算にあたっては、単純化のために、まず電極体の単位面積当たりの容量は0.5(F/cm2)とし、電極体および活物質層の形状は同一の正方形であるとする。
蓄電素子の容量が50Fの場合は、電極積層体の総電極面積は100cm2となる。従って、電極積層体を構成する負極電極体を1層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは100cm2、周長Lは40cm、エッジ率0.40となる。同様に、電極積層体を構成する負極電極体を2層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは50cm2、周長Lは28.3cm、エッジ率0.57となる。以下同様にして、電極積層体を構成する負極電極体を3層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは33.3cm2、周長Lは23.1cm、エッジ率0.69となる。
電極積層体を構成する負極電極体を4層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは25cm2、周長Lは20cm、エッジ率0.80となる。電極積層体を構成する負極電極体を5層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは20cm2、周長Lは17.9cm、エッジ率0.89となる。電極積層体を構成する負極電極体を6層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは16.7cm2、周長Lは16.3cm、エッジ率0.98となる。電極積層体を構成する負極電極体を7層にする場合は、負極活物質層の平面積Sは14.3cm2、周長Lは15.1cm、エッジ率1.06となる。
従って、単位面積当たりの容量が0.5(F/cm2)で、平面形状が正方形の負極電極体を使用した、容量が50Fの蓄電素子の場合、負極活物質層のエッジ率0.1〜1.0に相当する、電極積層体を構成する負極電極体の積層数は1〜6である。同様に、エッジ率0.10〜0.80に相当する負極電極体の積層数は1〜4であり、エッジ率0.10〜0.75に相当する負極電極体の積層数は1〜3である。
同様に計算して、単位面積当たりの容量が0.25(F/cm2)で正方形の負極電極体を使用した、容量が50Fの蓄電素子の場合は、負極活物質層のエッジ率0.1〜1.0に相当する、電極積層体を構成する負極電極体の積層数は1〜12である。同様に、エッジ率0.10〜0.80に相当する負極電極体の積層数は1〜8であり、エッジ率0.10〜0.75に相当する負極電極体の積層数は1〜7である。
同様に計算して、単位面積当たりの容量が0.75(F/cm2)で正方形の負極電極体を使用した、容量が50Fの蓄電素子の場合は、負極活物質層のエッジ率0.1〜1.0に相当する、電極積層体を構成する負極電極体の積層数は1〜4である。同様に、エッジ率0.10〜0.80に相当する負極電極体の積層数は1〜2であり、エッジ率0.10〜0.75に相当する負極電極体の積層数は1〜2である。
電極体(負極活物質層)の形状が長方形の場合は、同面積の正方形の場合と比べてエッジ率が高くなるが、長辺と短辺の比が1:1に近ければ、正方形の場合とエッジ率の値に大きな差がないため、長辺:短辺の比を1:1〜2:1の範囲にすることが好ましい。例えば、平面積が100cm2で、平面形状が正方形である電極体のエッジ率は0.40であるのに対して、平面積が約100cm2で、平面形状が長辺11.5cm短辺8.7cm(長辺:短辺≒4:3)の長方形である電極体のエッジ率は0.404である。また、平面積が約100cm2で、平面形状が長辺14.1cm短辺7.1cm(長辺:短辺≒2:1)の長方形である場合の電極体のエッジ率は0.42である。平面積が約100cm2で、平面形状が長辺17.3cm短辺5.8cm(長辺:短辺≒3:1)の長方形である電極体のエッジ率は0.46である。
なお、蓄電素子の容量が50Fより大きい場合であっても、50Fの場合と同様にして計算することができることはいうまでもない。
上述のように、蓄電素子として必要な容量と、使用する電極体の容量密度(単位面積あたりの容量)から、電極積層体の積層数を特定の範囲に設定することで、特定のエッジ率を満たした自己放電の少ない蓄電素子を製造することができる。また、特定の容量の蓄電素子が必要である場合、より自己放電の少ない蓄電素子を選択して使用することが可能となる。
[蓄電モジュールについて]
本発明の蓄電素子は、必要な容量や電圧を得るために、複数個組み合わせて蓄電モジュールとして使用することができる。蓄電モジュールは、蓄電素子、外装体、及び電極端子を含み、必要に応じて制御回路、安全装置、冷却装置等の付加装置を含んでいてもよい。蓄電モジュールで使用される蓄電素子が複数の場合は、少なくともその1/2以上が本発明の蓄電素子であることが好ましく、すべてが本発明の蓄電素子であることがより好ましい。
また、本発明の蓄電素子を所定空間に配置して蓄電モジュールを製造する際に、前記負極活物質層のエッジ率がより小さくなる配置で蓄電素子を配置することにより、自己放電がより少ない蓄電モジュールを製造することができる。
前記所定空間が、例えば、6×12cmの長方形を底面とした直方体である場合、負極活物質層の平面形状が6×12cmの長方形である蓄電素子を用いると、図1(a)に示すように、直方体の底面内の負極活物質層の数は1である。これに対して、負極活物質層の平面形状が3×4cmの長方形である蓄電素子を用いて、同じ空間で蓄電モジュールとしてほぼ同じ容量を得るためには、図1(b)に示すように、直方体の底面内の負極活物質層の数を6(=2×3)にする必要がある。
平面形状が6×12cmの長方形である負極活物質層のエッジ率(L/S)は、0.50(=36/72)であるが、平面形状が3×4cmの長方形である負極活物質層のエッジ率(L/S)は、1.16(=14/12)である。
ここで、底面が6×12cmの長方形で、高さが6対の正・負極活物質層を有する電極積層体の厚さに相当する直方体の空間に、前述の各蓄電素子を複数個配置して得られる蓄電モジュールの例を図2に示す。図2(a)に示すように、前述のエッジ率が0.50である負極活物質層と正極活物質層が1対積層された電極積層体を有する蓄電素子10を、直方体の高さ方向に6個配置したものを、第1のモジュールとする。また、図2(b)に示すように、前述のエッジ率が1.16である負極活物質層と正極活物質層が6対積層された電極積層体を有する蓄電素子11を、直方体の底面に6個配置したものを、第2のモジュールとする。
第1のモジュールと第2のモジュールを比較すると、モジュールの大きさとしての体積および蓄電装置としての容量は、両者でほぼ同じであるが、第1のモジュールの方が第2のモジュールよりも、負極活物質層のエッジ率が小さいことで自己放電が少なくなるため、より好ましい蓄電モジュールである。
一方、前記所定空間が、例えば、6×12×3cmの直方体である場合、底面(負極活物質層が平行に配置される面)は上述の6×12cmの長方形とする以外に、3×12cmの長方形、3×6cmの長方形とすることもできる。
そして、配置する空間を直方体と仮定し、同じ空間で蓄電モジュールとしてほぼ同じ容量を得るために、底面内に目一杯に負極活物質層を配置することを前提にした場合、直方体の最も面積の大きな面を底面として負極活物質層1枚のみとする配置(以下、この配置を「最大底面1枚配置」と言う。)が「エッジ率が最小になる配置」になる。また、本発明の蓄電素子は「エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たすもの」であるため、この範囲を満たす配置にする必要もある。
よって、本発明の蓄電モジュールの製造方法は、本発明の蓄電素子を所定空間に配置して蓄電モジュールを製造する際に、前記エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最小になるように、前記所定空間内の前記負極活物質層を平行に配置する底面と、その底面内に(原則として目一杯に)配置する負極活物質層の数を決めることを特徴としている。この配置で製造された蓄電モジュールは、同じ所定空間に前記エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲でこれ以外の配置がなされた蓄電モジュールと比較して、ほぼ同じ大きさと容量を有しながら、自己放電を最も少なくすることができる。
なお、「エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最小になる配置」は、最大底面1枚配置のエッジ率が0.10よりも大きければ、最大底面1枚配置がそれに該当する。最大底面1枚配置のエッジ率が0.10以下の場合は、他の配置が、「エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最小になる配置」に該当する。他の配置の例としては、直方体の二番目に面積の大きな面を底面として負極活物質層1枚のみとする配置、または直方体の最も面積の大きな面を底面として負極活物質層2枚とする配置等が挙げられる。
また、「エッジ率が最小になる配置」は、前記底面として前記所定空間の何れの面を選択するかと、その底面内に配置する負極活物質層の数で決まるため、例えば図2(a)に示す配置が「エッジ率が最小になる配置」である場合、負極活物質層の寸法を6×12cmより少し小さくした点のみが異なるものは、この「エッジ率が最小になる配置」に含まれる。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<正極電極体の作製>
破砕されたヤシ殻炭化物を小型炭化炉に入れ、窒素中、500℃で3時間炭化処理した。炭化処理後の炭化物を賦活炉内へ入れ、この賦活炉内に、予熱炉で加温した水蒸気を1kg/hで導入し、賦活炉内を900℃まで8時間かけて昇温した。その後、賦活炉から取り出した炭化物を窒素雰囲気下で冷却することで、活性炭を得た。得られた活性炭に対して通水洗浄を10時間行った後に、水切りした。次いで、この活性炭を115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後、ボールミルで1時間粉砕した。
この粉砕された活性炭の細孔分布を、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)で測定した。その結果、BET比表面積は2360m2/g、メソ孔量(V1)は0.52cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.88cc/gであった。この活性炭を「活性炭1」とする。
活性炭1を80.8質量部、ケッチェンブラックを6.2質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部の比率で配合したものに、溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)を混合することで、スラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスした。
これにより、アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に、活性炭1を主成分とする正極活物質層が、厚さ55μmで形成された正極電極体を得た。
<負極電極体の作製>
市販の活性炭(BET法による比表面積が1955m2/g)150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、この籠を、石炭系ピッチ300gを入れたステンレス製バットの上に置いた。このバットを電気炉 (炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置し、活性炭の表面に炭素質材料を結合して複合多孔性炭素材料とするための熱処理を行った。この熱処理は、窒素雰囲気下で、670℃まで4時間で昇温し、同温度で4時間保持し、続いて自然冷却により60℃まで冷却することで行った。
その後、バットを電気炉から取り出して、得られた複合多孔性炭素材料の細孔分布を前述の測定装置で調べたところ、BET比表面積は255m2/g、メソ孔量(Vm1)が0.0580cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.0854cc/g、平均粒径は2.9μmであった。
得られた複合多孔性炭素材料を83.4質量部、アセチレンブラックを8.30質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.30質量部の比率で配合したものに、溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)を混合することで、スラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ20μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることで、エッジ率(L/S)が0.67の負極活物質層を形成した。
これにより、銅箔からなる負極集電体の両面に、前記細孔分布を有する複合多孔性炭素材料を主成分とする負極活物質層が、厚さ60μmで形成された負極電極体を得た。
<電極積層体の作製>
前記負極電極体の負極活物質層と同面積で厚さ30μmのリチウム金属箔を、負極活物質層に接触させて圧着し、前記正極電極体と前記負極電極体の間に、厚さ30μmのセルロース系セパレータを配置することで、電極積層体を作製した。
<蓄電素子の組立て>
前記電極積層体の正極電極体及び負極電極体の耳部に、アルミニウムからなる正極端子用リードタブおよびニッケルからなる負極端子用リードタブの一端を、それぞれ超音波溶接することで、タブ付き電極積層体を作製した。得られたタブ付き電極積層体を、ラミネートフィルムで形成された外装体内に挿入し、電解液を注入して外装体を密閉することで非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。電解液としては、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを1:4質量比で混合した溶媒に、1mol/lの濃度でLiPF6を溶解した溶液を使用した。
<蓄電素子の特性評価>
以下の特性評価を25℃において行った。
組立てた蓄電素子を1Cの電流量で4.0Vまで充電した後、4.0Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を行った。続いて、1Cの定電流量で2.0Vまで放電した。これを1サイクルとし、続けて充放電を繰り返すことにより、安定した容量が得られることを確認した。その後、1Cの電流量での放電容量を、この実施例の蓄電素子のセル容量として求めた。
引き続き、500Cの電流量で放電し、電圧−放電容量の関係を示す放電カーブを作成し、放電前半における直線傾向にあるカーブを一次関数にフィッティングした。その直線の切片(電圧軸との交点)である電圧値から得られた電圧降下を用いて、内部抵抗を算出した。
上記測定したセル容量と内部抵抗の積より、この蓄電素子の時定数は1.40ΩFであった。また、単位面積当たりの容量は0.25(F/cm2)であった。
この蓄電素子を4.0Vまで充電した後、4.0Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を2時間行った。次に、この蓄電素子を25℃の室内に放置し、時間の経過に伴う電圧の変化を測定し、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数を調べた。この日数が長いほど自己放電特性が良好である(自己放電が少ない)ことを意味する。この蓄電素子の場合は105日であった。
[実施例2]
正極活物質として、市販の活性炭(マックスソープMSP20:関西熱化学(株)製)を用意した。この活性炭の細孔分布を実施例1と同様の方法にて行った。その結果、BET比表面積は2305m2/g、メソ孔量(V1)は0.112cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.948cc/gであった。この活性炭を「活性炭2」とする。この活性炭2を活性炭1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして、正極電極体を作製した。
得られた正極電極体と、実施例1と同様に作製した負極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製し、これを用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.82ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.32(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、91日であった。
参考例3]
負極活物質として、難黒鉛化性炭素材料(カーボトロンP:呉羽化学工業(株)製)を用意し、そのX線広角回折測定を、X線としてCuKα線を用いて行い、高純度Siを内標に使用して(002)面の回折ピークを測定した。その結果、d002は0.372であった。また、その細孔分布を、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて測定した。その結果、BET比表面積は5.2m/g、細孔分布はメソ孔量(Vm1)が0.0085cc/g、マイクロ孔量(Vm)が0.0017cc/gであった。
この難黒鉛化性炭素材料を83.4質量部、アセチレンブラックを8.30質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.30質量部の比率で配合したものに、溶媒として、NMP(N−メチルピロリドン)を混合することで、スラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ20μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることでエッジ率(L/S)が0.67の負極活物質層を形成した。
これにより、銅箔からなる負極集電体の両面に、前記細孔分布を有する難黒鉛化性炭素材料を主成分とする負極活物質層が、厚さ60μmで形成された負極電極体を得た。
このようにして得られた負極電極体と、実施例2と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製し、これを用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.99ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.35(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、229日であった。
[実施例4]
得られたスラリーを、負極活物質層のエッジ率(L/S)が0.30となるように、厚さ20μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布したこと以外は、実施例1と同様に負極電極体を作製した。
得られた負極電極体と、実施例1と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製した。この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.30ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.50(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、202日であった。
[実施例5]
実施例2と同様に作製した正極電極体と、実施例4と同様に作製した負極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製した。この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.85ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.64(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、185日であった。
参考例6]
得られたスラリーを、負極活物質層のエッジ率(L/S)が0.30となるように、厚さ20μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布したこと以外は、参考例3と同様に負極電極体を作製した。
この負極電極体と、実施例2と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製した。この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.98ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.70(F/cm)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、461日であった。
[比較例1]
得られたスラリーを、負極活物質層のエッジ率(L/S)が2.43となるように、厚さ20μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布したこと以外は、実施例1と同様に負極電極体を作製した。
この負極電極体と、実施例1と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製した。この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.21ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.25(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、35日であった。
[比較例2]
比較例1と同様に作製した負極電極体と、実施例2と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製した。この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.72ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.32(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、30日であった。
[比較例3]
得られたスラリーを、負極活物質層のエッジ率(L/S)が2.43となるように、厚さ20μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布したこと以外は、実施例3と同様に負極電極体を作製した。
この負極電極体と、実施例2と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製し、この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.98ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.35(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、75日であった。
[比較例4]
得られたスラリーを、負極活物質層のエッジ率(L/S)が1.77となるように、厚さ20μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布したこと以外は、実施例1と同様に負極電極体を作製した。
この負極電極体と、実施例1と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製し、この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は1.31ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.25(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、45日であった。
[比較例5]
負極活物質として、黒鉛(MCMB:大阪ガス(株)製)を用意した。この黒鉛のBET比表面積は3.0m2/gである。
この黒鉛を3.0質量部、アセチレンブラックを2.0質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を5.0質量部の比率で配合したものに、溶媒としてNMP(N−メチルピロリドン)を混合することで、スラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20μmの穿孔銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることで、エッジ率(L/S)が0.67の負極活物質層を形成した。
これにより、穿孔銅箔からなる負極集電体の両面に、黒鉛を主成分とする負極活物質層が、厚さ60μmで形成された負極電極体を得た。
この負極電極体と、実施例2と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製し、この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は3.51ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.33(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、251日であった。
[比較例6]
得られたスラリーを、負極活物質層のエッジ率(L/S)が2.43となるように、厚さ20μmの穿孔銅箔(負極集電体)の両面に塗布したこと以外は、比較例5と同様に負極電極体を作製した。
この負極電極体と、実施例2と同様に作製した正極電極体を用いて、実施例1と同じ方法で電極積層体を作製し、この電極積層体を用いて実施例1と同じ方法で蓄電素子を組み立てた。この蓄電素子の特性評価を実施例1と同じ方法で行って、セル容量と内部抵抗を求めた。これらの値から算出した時定数は3.44ΩFであり、単位面積当たりの容量は0.33(F/cm2)であった。また、初期電圧4.0Vの80%の電圧(3.2V)となるまでに要する日数は、83日であった。
以上の結果を以下の表1にまとめて示す。
Figure 0005654742
表1の結果から、実施例1、2、4、5および参考例3、6の蓄電素子は、比較例1〜6の蓄電素子と比較して、時定数が小さいことと自己放電が少ない(自己放電特性が良好である)ことを兼ね揃えた性能を有することが分かる。比較例1〜4の蓄電素子は、時定数は小さいが、自己放電特性が不良であった。比較例5の蓄電素子は、自己放電特性は良好であるが、時定数が大きかった。比較例6は、時定数も大きく、自己放電特性も不良であった。
実施例1、実施例4、比較例1、および比較例4の蓄電素子は、負極活物質層のエッジ率のみが異なる構成である。これらの蓄電素子の時定数(ΩF)は、1.40、1.30、1.21、1.31とほぼ同じであるが、自己放電特性に差がある。各蓄電素子の自己放電特性は、エッジ率が0.30である実施例4が202日で最も良く、エッジ率が0.67である実施例1が105日で良好であったのに対して、エッジ率が1.77である比較例4が45日で実施例1の半分以下と悪く、エッジ率が2.43である比較例1が35日で最も悪かった。
実施例2、参考例3、比較例5の蓄電素子は、負極活物質の主成分のみが異なる構成である。これらの蓄電素子のうち、負極活物質の主成分が黒鉛である比較例5は、自己放電特性が251日と最も良いが、時定数(ΩF)が3.51と最も大きい。これに対して、実施例2と参考例3の蓄電素子は、時定数が小さく自己放電も少ない、バランスのとれた蓄電素子になっている。
実施例1と2、実施例4と5、比較例1と2は、それぞれ、正極活物質の主成分が活性炭1であるか活性炭2であるかという点のみが異なる蓄電素子である。活性炭1は、正極活物質の主成分として好ましい構成である前記条件(1)〜(3) の全てを満たすが、活性炭2は前記条件(2)を満たさない。そして、正極活物質の主成分として活性炭1を用いた蓄電素子(実施例1と4、比較例1)の方が、活性炭2を用いた蓄電素子(実施例2と5、比較例2)よりも、時定数が小さくなっている。
実施例2と参考例3、実施例5と参考例6、比較例2と3は、それぞれ、負極活物質の主成分が複合多孔性炭素材料であるか難黒鉛化炭素材料であるかという点のみが異なる蓄電素子である。そして、負極活物質の主成分として難黒鉛化炭素材料を用いた蓄電素子(参考例3と6、比較例3)の方が、複合多孔性炭素材料を用いた蓄電素子(実施例2と5、比較例2)よりも、自己放電特性が良好になっている一方で、時定数が大きくなっている。
1 負極集電体
2 耳部
3 負極活物質層
10 蓄電素子
11 蓄電素子

Claims (6)

  1. 負極集電体の一面または両面に負極活物質層が形成された負極電極体、正極集電体の一面または両面に正極活物質層が形成された正極電極体、およびセパレータが積層された電極積層体と、
    リチウム塩を電解質として含む非水系電解液と、
    前記電極積層体および非水電解液を収納する外装体と、
    を備えた非水系リチウム型蓄電素子であって、
    前記負極活物質層を構成する負極活物質の主成分が、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料であり、この複合多孔性炭素材料が下記の条件(1) 〜(4) を満たし、
    前記正極活物質層を構成する正極活物質の主成分が活性炭であり、
    前記負極活物質層の平面積S(cm)に対する、前記負極活物質層の平面視における外形線の全長L(cm)の比率であるエッジ率(L/S)が、0.30≦L/S<1.00を満たし、
    前記リチウム塩としてLiPF を含む非水系リチウム型蓄電素子。
    (1) BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)Vm1(cc/g)が、0.01≦Vm1<0.10である。
    (2) MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)Vm2(cc/g)が、0.01≦Vm2<0.30である。
    (3) BET比表面積が10m /g以上1000m /g未満である。
    (4) 平均粒径が1.5〜25μmである。
  2. 前記正極活物質の主成分である活性炭が下記の条件(1) 〜(3) を満たす、請求項1記載の非水系リチウム型蓄電素子。
    (1) BJH法で算出されたメソ孔量(直径が2nm以上50nm以下である細孔の量)V1(cc/g)が、0.3<V1≦0.8である。
    (2) MP法で算出されたマイクロ孔量(直径が2nm未満である細孔の量)V2が、0.5≦V2<1.0である。
    (3) BET法により測定された比表面積が1500m/g以上3000m/g以下である。
  3. 前記負極電極体の単位面積あたりの容量が0.25〜0.75(F/cm)の範囲内である請求項1または2記載の非水系リチウム型蓄電素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子を複数個含む蓄電モジュール。
  5. 請求項3記載の非水系リチウム型蓄電素子を所定空間に配置して蓄電モジュールを製造する際に、
    前記エッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最小になるように、前記所定空間内の前記負極活物質層を平行に配置する底面と、その底面内に配置する負極活物質層の数を決めることを特徴とする蓄電モジュールの製造方法。
  6. 請求項3記載の非水系リチウム型蓄電素子を、前記負極活物質層のエッジ率が0.30≦L/S<1.0を満たす範囲で最小になる配置で、所定空間に配置して使用する非水系リチウム型蓄電素子の使用方法。
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