JP2014017286A - 非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】大電流での入出力に対して実質的に使用可能な容量の多い非水系リチウム型蓄電素子を提供する。
【解決手段】負極集電体に負極活物質層を設けた負極電極体、正極集電体に正極活物質層を設けた正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、
前記負極活物質は炭素材料であり、前記正極活物質は活性炭であり、前記蓄電素子は、充電状態が100%から3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止して算出した内部抵抗R1(Ω)と、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、50%到達時に放電休止して算出した内部抵抗R2(Ω)との比率であるR2/R1が0.95〜1.05であり、静電容量F(F)と該内部抵抗R1(Ω)との積が2.3以下である非水系リチウム型蓄電素子。
【選択図】なし
【解決手段】負極集電体に負極活物質層を設けた負極電極体、正極集電体に正極活物質層を設けた正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、
前記負極活物質は炭素材料であり、前記正極活物質は活性炭であり、前記蓄電素子は、充電状態が100%から3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止して算出した内部抵抗R1(Ω)と、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、50%到達時に放電休止して算出した内部抵抗R2(Ω)との比率であるR2/R1が0.95〜1.05であり、静電容量F(F)と該内部抵抗R1(Ω)との積が2.3以下である非水系リチウム型蓄電素子。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水系リチウム型蓄電素子に関する。
近年、地球環境の保全および省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システムなどが注目を集めている。
これらの蓄電システムにおける第一の要求事項は、用いられる蓄電素子のエネルギー密度が高いことである。この様な要求に対応可能な高エネルギー密度電池の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
これらの蓄電システムにおける第一の要求事項は、用いられる蓄電素子のエネルギー密度が高いことである。この様な要求に対応可能な高エネルギー密度電池の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、あるいは燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高出力放電特性が要求されている。
現在、高出力蓄電素子としては、電極に活性炭を用いた電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」ともいう。)が開発されており、0.5〜1kW/l程度の出力特性を有する。また、これら電気二重層キャパシタは、耐久性(サイクル特性、高温保存特性)が高く、上記高出力が要求される分野で最適の蓄電素子と考えられてきたが、そのエネルギー密度は、1〜5Wh/l程度に過ぎず、実用化には出力持続時間が足枷となっている。
現在、高出力蓄電素子としては、電極に活性炭を用いた電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」ともいう。)が開発されており、0.5〜1kW/l程度の出力特性を有する。また、これら電気二重層キャパシタは、耐久性(サイクル特性、高温保存特性)が高く、上記高出力が要求される分野で最適の蓄電素子と考えられてきたが、そのエネルギー密度は、1〜5Wh/l程度に過ぎず、実用化には出力持続時間が足枷となっている。
一方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を実現し、かつ160Wh/l程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度、出力をより一層高めるとともに、高温での安定性をさらに改善し、耐久性を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(満充電を基準として蓄電素子の放電容量の何%を放電した状態かをあらわす値)50%において3kW/lを超える高出力が得られるリチウムイオン電池が開発されているが、そのエネルギー密度は、100Wh/l以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(サイクル特性、高温保存特性)については電気二重層キャパシタに比べ劣る。そのため、実用的な耐久性を持たせるためには放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲でしか使用することができない。そのため実際に使用できる容量はさらに小さくなり、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記の様に高出力密度、高エネルギー密度、耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められているが、上述した既存の蓄電素子には一長一短がある。そのため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められており、有力な候補としてリチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子の開発が近年盛んである。
リチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を電解質として含む非水系電解液を使用する蓄電素子(非水系リチウム型蓄電素子)であって、正極においては約3V以上で電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって充放電を行う蓄電素子である。
リチウムイオンキャパシタは、リチウム塩を電解質として含む非水系電解液を使用する蓄電素子(非水系リチウム型蓄電素子)であって、正極においては約3V以上で電気二重層キャパシタと同様の陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、負極においてはリチウムイオン電池と同様のリチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応によって充放電を行う蓄電素子である。
上述のように、正極・負極の双方において非ファラデー反応による充放電を行う電気二重層キャパシタにおいては、入出力特性に優れる(短時間に大電流を充放電できることをいう)がエネルギー密度が小さい。一方、正極・負極の双方においてファラデー反応による充放電を行う二次電池においては、エネルギー密度に優れるが、入出力特性に劣る。リチウムイオンキャパシタは、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応による充放電を行うことによって、優れた入出力特性と高いエネルギー密度の両立を狙う新たな蓄電素子である。
このようなリチウムイオンキャパシタとしては、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として、天然黒鉛、もしくは人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン小球体、黒鉛化メソフェーズカーボン繊維、黒鉛ウイスカ、または黒鉛化炭素繊維等を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献1参照)。また、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として難黒鉛化炭素または黒鉛を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献2、3参照)。
また、正極活物質として通常の活性炭と異なる水素/炭素が0.05〜0.5、BET比表面積が300〜2000m2/g、BJH法によるメソ孔容積が0.02〜0.3ml/g、MP法による全細孔容積が0.3〜1.0ml/gの細孔構造を有する炭化水素材料を用い、負極として黒鉛を除く光学的異方性炭素物質を賦活処理した材料を用いる蓄電素子が提案されている(特許文献4参照)。
また、正極活物質として活性炭または水素原子/炭素原子の原子数比率が0.05〜0.50であるポリアセン系骨格構造を有するポリアセン系有機半導体を用い、負極材料として水素原子/炭素原子の原子数比率が0以上0.05未満の難黒鉛化性炭素を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献5参照)。
また、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として易黒鉛化炭素と難黒鉛化炭素とからなる炭素材料を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献6参照)。
また、正極活物質として活性炭を用い、負極活物質として易黒鉛化炭素と難黒鉛化炭素とからなる炭素材料を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献6参照)。
また、特定の負極材料と特定の正極材料を用いた蓄電素子が提案されている(特許文献7参照)。前記負極材料は、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性炭素材料であって、BJH法により算出した直径2nm(20Å)以上50nm(500Å)以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とする時、0.01≦Vm1<0.10かつ0.01≦Vm2<0.30である炭素材料からなる。前記正極材料は、BJH法により算出した直径2nm(20Å)以上50nm(500Å)以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径2nm(20Å)未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とする時、0.3<V1≦0.8 かつ 0.5≦V2≦1.0であり、BET法により測定される比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である活性炭からなる。
リチウムイオンキャパシタの使用電圧は負極材料によって異なるが、メーカー推奨値は上限3.8〜4.0V、下限2.0〜2.2V程度である。そこで、非水系リチウム型蓄電素子の電圧が2.2Vの時の充電状態を0%、3.8Vの時の充電状態を100%とすると、電圧が2.2〜3.8Vの間の任意の値E(V)であるときの充電状態を{(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100(%)で表すことができる。
蓄電素子の繰り返し耐久回数を保つために過充電及び過放電を避け、かつ該蓄電素子の容量をフルに使用するためには、理想的には、充電状態(以下「SOC」ともいう。)が0〜100%の範囲で使用すればよい。しかしながら、現実に使用する電流Iが大きい場合には該蓄電素子が有する内部抵抗Rによる電圧降下(「IRドロップ」ともいう。)の影響が無視できなくなる。すなわち、内部抵抗Rを有する蓄電素子を電流Iで充放電すると、そのときのSOCを反映した電圧EよりもIRドロップ分だけ低い電圧として観測される。このため、蓄電素子が材料によって定まる下限電圧を下回る充電状態にならないように電圧で制御するためには、IRドロップ分の余裕を含めて使用上の下限電圧を制御する必要がある。すなわち、電流Iが大きい高入出力密度の蓄電素子においては、実際には使用できるはずの物理的・化学的な下限電圧側の容量を十分に使用することができなかった。
上述のような高入出力密度、高エネルギー密度、耐久性を兼ね備えた蓄電素子であるリチウムイオンキャパシタであるが、エネルギー密度の点においては、電気二重層キャパシタには優っているものの、リチウムイオン二次電池には劣っている。電気自動車や建設機械の回生エネルギー蓄電用を考えた際、大電流での入出力に対して使用できる容量をさらに増加させることが好ましい。
そこで本発明の課題は、大電流での入出力に対して実質的に使用可能な容量の多い非水系リチウム型蓄電素子を提供することである。
そこで本発明の課題は、大電流での入出力に対して実質的に使用可能な容量の多い非水系リチウム型蓄電素子を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、リチウムイオンキャパシタの内部抵抗Rを低下させることができれば、Iを減らさずにIRドロップ分を減少させることで下限電圧側を十分に使用でき、実質的に使用可能な容量を増やすことが可能になると考えた。
先述したリチウムイオンキャパシタの各先行技術に記載の材料を評価した結果、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性材料を負極材料とした場合に内部抵抗Rの低いリチウムイオンキャパシタを作製可能であることを見出した。しかしながら、当該材料を用いて作製したリチウムイオンキャパシタを使用しても、予想ほど下限電圧の使用範囲の拡大ができなかった。
先述したリチウムイオンキャパシタの各先行技術に記載の材料を評価した結果、活性炭の表面に炭素質材料を有する複合多孔性材料を負極材料とした場合に内部抵抗Rの低いリチウムイオンキャパシタを作製可能であることを見出した。しかしながら、当該材料を用いて作製したリチウムイオンキャパシタを使用しても、予想ほど下限電圧の使用範囲の拡大ができなかった。
本発明者は、上記の原因としてSOCが100%である場合以外の内部抵抗に着目し、電流休止法による内部抵抗の測定を検討した結果、特許文献7記載の負極材料を用いたものを含む各種のリチウムイオンキャパシタにおいて、SOCが低い場合の内部抵抗はSOCが高い場合の内部抵抗に比べて高い値となっていることを見出した。そこで、SOCが低い状態であってもSOCが高い状態と同様に低い内部抵抗を発現できるリチウムイオンキャパシタであれば前記の課題を解決できるとの着想により、その実現方法を検討した結果、低SOC状態でも高SOC状態と同じく低い内部抵抗を実現可能なリチウムイオンキャパシタが得られることを見出し、当該リチウムイオンキャパシタにより予想通りに下限電圧の使用範囲の拡大ができるとの結果を得て本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の非水系リチウム型蓄電素子を提供する。
[1]負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を形成した負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を形成した正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、前記正極活物質は活性炭であり、前記蓄電素子は充電状態に応じて2.2〜3.8Vの範囲内の任意の電圧E(V)をとることが可能であり、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値をE1(V)と表した時に(E1−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗R1(Ω)と、充電状態が100%から3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、50%到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値をE2(V)と表した時に(E2−3.0)/I3Cで算出した内部抵抗R2(Ω)との比率であるR2/R1が0.95〜1.05の範囲内であり、静電容量F(F)と前記内部抵抗R1(Ω)との積R1・Fが2.3以下である非水系リチウム型蓄電素子であって、前記3Cの電流値I3C(A)は、100%の充電状態の蓄電素子を0%の充電状態まで20分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさで定義され、前記充電状態は(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100(%)により定義される、非水系リチウム型蓄電素子。
[1]負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を形成した負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を形成した正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、前記正極活物質は活性炭であり、前記蓄電素子は充電状態に応じて2.2〜3.8Vの範囲内の任意の電圧E(V)をとることが可能であり、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値をE1(V)と表した時に(E1−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗R1(Ω)と、充電状態が100%から3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、50%到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値をE2(V)と表した時に(E2−3.0)/I3Cで算出した内部抵抗R2(Ω)との比率であるR2/R1が0.95〜1.05の範囲内であり、静電容量F(F)と前記内部抵抗R1(Ω)との積R1・Fが2.3以下である非水系リチウム型蓄電素子であって、前記3Cの電流値I3C(A)は、100%の充電状態の蓄電素子を0%の充電状態まで20分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさで定義され、前記充電状態は(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100(%)により定義される、非水系リチウム型蓄電素子。
[2]負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を形成した負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を形成した正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、該正極活物質は活性炭であり、前記蓄電素子は充電状態に応じて2.2〜3.8Vの範囲内の任意の電圧E(V)をとることが可能であり、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止し、休止10秒後の電圧値をE3(V)と表した時に(E3−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗R3(Ω)と、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、10%到達時に放電休止し、休止10秒後の電圧値をE4(V)と表した時に(E4−2.36)/I3Cで算出した内部抵抗R4(Ω)との比率であるR4/R3が、1.10〜1.30の範囲内であり、静電容量F(F)と前記内部抵抗R3(Ω)との積R3・Fが2.7以下である非水系リチウム型蓄電素子であって、前記3Cの電流値I3C(A)は、100%の充電状態の蓄電素子を0%の充電状態まで20分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさで定義され、前記充電状態は(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100(%)により定義される、非水系リチウム型蓄電素子。
[3]前記負極活物質は、活性炭の表面に炭素材料を被着させた複合多孔性材料であり、かつBJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす、前記[1]または[2]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[4]前記正極活物質は、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつBET法により測定される比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である活性炭である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[5]前記電極積層体は、前記負極活物質層上にリチウム金属箔を積層した状態で、非水系電解液中で、温度40〜50℃において10〜72時間、または温度40℃未満において10時間〜2週間ドープ処理した後、エージング処理されたものであることを特徴とする、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の非水系リチウム型蓄電素子。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、高SOC状態のみならず、低SOC状態でも内部抵抗が低いという特徴を有し、過放電検出回路の電圧設定レベルを低SOC状態でより低く設定することが可能となるため、大電流での入出力に対して実質的に使用可能な容量を大きく設定することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[蓄電素子の特徴]
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を設けた負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を設けた正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成る非水系リチウム型蓄電素子であって、該負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、該正極活物質は活性炭であることを特徴とする。
[蓄電素子の特徴]
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を設けた負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を設けた正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成る非水系リチウム型蓄電素子であって、該負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、該正極活物質は活性炭であることを特徴とする。
まず、本発明の非水系リチウム型蓄電素子が満たすべき内部抵抗の値とその測定方法について説明する。
蓄電素子の使用電圧範囲の上限値をEmax(V)、下限値をEmin(V)とするとき、電圧がE(V)であるときの充電状態(SOC)を{(E−Emin)/(Emax−Emin)}×100(%)で表す。リチウムイオンキャパシタの使用電圧は主に負極材料の種類によって異なり、典型的なメーカー推奨値は上限3.8〜4.0V、下限2.0〜2.2V程度である。そこで、共通範囲を取って、リチウムイオンキャパシタの使用電圧範囲の上限値Emaxを3.8V、下限値Eminを2.2Vとすると、電圧が2.2〜3.8Vの間の任意の値E(V)であるときの充電状態SOC(%)を{(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100で表すものとする。
蓄電素子の使用電圧範囲の上限値をEmax(V)、下限値をEmin(V)とするとき、電圧がE(V)であるときの充電状態(SOC)を{(E−Emin)/(Emax−Emin)}×100(%)で表す。リチウムイオンキャパシタの使用電圧は主に負極材料の種類によって異なり、典型的なメーカー推奨値は上限3.8〜4.0V、下限2.0〜2.2V程度である。そこで、共通範囲を取って、リチウムイオンキャパシタの使用電圧範囲の上限値Emaxを3.8V、下限値Eminを2.2Vとすると、電圧が2.2〜3.8Vの間の任意の値E(V)であるときの充電状態SOC(%)を{(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100で表すものとする。
本発明におけるリチウムイオンキャパシタの内部抵抗は、電流休止法によって求めた値を使用する。電流休止法とは、横軸を時間、縦軸を電圧とする定電流放電において、電流Iを停止したことにより電圧値が過渡的にIRドロップ分に相当する量だけ上昇する現象を測定する方法である。具体的には、電流をI、電流休止直前の電圧をVt=0、電流休止時間T後の電圧をVt=Tとすると、(Vt=T−Vt=0)/Iにより電圧EがVt=0のSOCにおける内部抵抗を求めることができる。
メーカーのカタログ値で記載されるリチウムイオンキャパシタの内部抵抗は、上記の電流休止法での内部抵抗とは異なり、SOC100%からの電流値Iでの定電流放電における時間0秒での電圧降下(ΔE)から、内部抵抗=ΔE/Iで求めた値が使用されてきた。しかしながら、この方法で測定した内部抵抗値では蓄電素子の差異がわからなかったのである。
本発明における、充電状態に応じて2.2〜3.8Vの間の任意の電圧値Eをとることができるリチウムイオンキャパシタの内部抵抗の測定は以下の2つの方法で行う。図1には、電流休止前後におけるリチウムイオンキャパシタの放電曲線の例を示した。
第一の測定方法ではSOC=95%と50%における内部抵抗を評価する。
本発明における、充電状態に応じて2.2〜3.8Vの間の任意の電圧値Eをとることができるリチウムイオンキャパシタの内部抵抗の測定は以下の2つの方法で行う。図1には、電流休止前後におけるリチウムイオンキャパシタの放電曲線の例を示した。
第一の測定方法ではSOC=95%と50%における内部抵抗を評価する。
まず、定電圧充電時間を1時間確保した1.5Cの定電流定電圧充電によって、リチウムイオンキャパシタを3.8V(SOC=100%)まで充電する。次に、図1に示すように、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、3.72V(SOC=95%)の充電状態到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値を測定してE1(V)とする。さらに、該リチウムイオンキャパシタを3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、3.0V(SOC=50%)の充電状態到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値を測定してE2(V)とする。(E1−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗をR1(Ω)とし、(E2−3.0)/I3Cで算出した内部抵抗をR2(Ω)とする。比率R2/R1が0.95〜1.05の範囲内であると、低SOC領域での内部抵抗が小さく好ましい。
第二の測定方法ではSOC=95%と10%における内部抵抗を評価する。
第二の測定方法ではSOC=95%と10%における内部抵抗を評価する。
まず、定電圧充電時間を1時間確保した1.5Cの定電流定電圧充電によって、リチウムイオンキャパシタを3.8V(SOC=100%)まで充電する。次に、図1に示すように、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、3.72V(SOC=95%)の充電状態到達時に放電休止し、休止10秒後の電圧値を測定してE3(V)とする。さらに、該リチウムイオンキャパシタを3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、2.36V(SOC=10%)の充電状態到達時に放電休止し、休止10秒後の電圧値を測定してE4(V)とする。(E3−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗をR3(Ω)とし、(E4−2.36)/I3Cで算出した内部抵抗をR4(Ω)とする。比率R4/R3が小さいほど低SOC領域での内部抵抗が小さく、例えば1.10〜1.30の範囲にあるものが好ましい。
なお、上記の測定方法において、3Cの電流値I3C(A)とは、SOC=100%の充電状態の蓄電素子をSOC=0%の充電状態まで20分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさをいう。また、1.5Cの定電流定電圧充電とは、SOC=100%の充電状態の蓄電素子をSOC=0%の充電状態まで40分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさI1.5C(A)で定電流充電してSOC=100%の電圧に達した後、電流をI1.5C(A)から徐々に下げながら定電圧で充電することをいう。大電流での定電流充電は充電速度が速いが、上限電圧による過充電制御を行う場合には充電できずに残るIRドロップ分が大きい。一方、小電流での定電流充電はIRドロップ分は小さいが充電時間が遅い。そこで、大電流で定電流充電し、上限電圧に達したら電流値を下げつつ定電圧充電する定電流定電圧充電が好ましく使用されている。
次に、静電容量の測定方法と時定数の値について説明する。
定電圧充電時間を1時間確保した1.5Cの定電流定電圧充電によってSOC=100%とし、SOC=0%まで同じく1.5Cの電流値において定電流放電を施す。その際の容量(電流×時間)を電圧変化(3.8V−2.2V)で除したものを静電容量F(F)と定義する。
この時、本発明の蓄電素子は、静電容量F(F)とR1(Ω)の積(時定数)が2.3以下であるか、静電容量F(F)とR3(Ω)の積(時定数)が2.7以下であると、大電流に対して高い効率で入力および出力できるため、好ましい。
定電圧充電時間を1時間確保した1.5Cの定電流定電圧充電によってSOC=100%とし、SOC=0%まで同じく1.5Cの電流値において定電流放電を施す。その際の容量(電流×時間)を電圧変化(3.8V−2.2V)で除したものを静電容量F(F)と定義する。
この時、本発明の蓄電素子は、静電容量F(F)とR1(Ω)の積(時定数)が2.3以下であるか、静電容量F(F)とR3(Ω)の積(時定数)が2.7以下であると、大電流に対して高い効率で入力および出力できるため、好ましい。
[蓄電素子の構成部材と製造方法]
本発明のリチウムイオンキャパシタの構成部材について説明する。
[1.正極活物質]
正極活物質としては、活性炭を用いることができる。
活性炭の種類及びその原料には特に制限はないが、高容量(すなわち高エネルギー密度)と高入出力特性(すなわち高出力密度)とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつBET法により測定される比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である活性炭が好ましい。
本発明のリチウムイオンキャパシタの構成部材について説明する。
[1.正極活物質]
正極活物質としては、活性炭を用いることができる。
活性炭の種類及びその原料には特に制限はないが、高容量(すなわち高エネルギー密度)と高入出力特性(すなわち高出力密度)とを両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつBET法により測定される比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である活性炭が好ましい。
メソ孔量V1は、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの出力特性を大きくする観点から、0.3cc/gより大きい値であることが好ましく、また、蓄電素子の容量の低下を抑える観点から、0.8cc/g以下であることが好ましい。また上記V1は、より好ましくは0.35cc/g以上0.7cc/g以下、さらに好ましくは、0.4cc/g以上0.6cc/g以下である。
一方、マイクロ孔量V2は、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.5cc/g以上であることが好ましく、また、活性炭の嵩を抑え、電極としての密度を増加させ、単位体積あたりの容量を増加させるという観点から、1.0cc/g以下であることが好ましい。また上記V2は、より好ましくは、0.6cc/g以上、1.0cc/g以下、さらに好ましくは、0.8cc/g以上、1.0cc/g以下である。
また、マイクロ孔量V2に対するメソ孔量V1の比(V1/V2)は、0.3≦V1/V2≦0.9の範囲であることが好ましい。すなわち、高容量を得ながら出力特性の低下を抑えることができる程度に、マイクロ孔量に対するメソ孔量の割合を大きくするという観点から、V1/V2が0.3以上であることが好ましく、また、高出力特性を得ながら容量の低下を抑えることができる程度に、メソ孔量に対するマイクロ孔量の割合を大きくするという観点から、V1/V2は0.9以下であることが好ましい。また、より好ましいV1/V2の範囲は、0.4≦V1/V2≦0.7、さらに好ましいV1/V2の範囲は、0.55≦V1/V2≦0.7である。
本発明において、試料のマイクロ孔量及びメソ孔量は以下の方法により求められる値である。すなわち、試料を500℃で一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質として吸脱着の等温線の測定を行なう。このときの脱着側の等温線を用いて、マイクロ孔量はMP法により、メソ孔量はBJH法により算出する。 MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4319(1965))を利用して、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、及びマイクロ孔の分布を求める方法を意味し、M.Mikhail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid Interface Sci.,26,45 (1968))。また、BJH法は一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett, Joyner, Halendaらにより提唱されたものである(E. P. Barrett, L. G. Joyner and P. Halenda, J. Amer. Chem. Soc., 73, 373(1951))。
活性炭の平均細孔径は、出力を最大にするために、17Å以上であることが好ましく、18Å以上であることがより好ましく、20Å以上であることが最も好ましい。また容量を最大にするために、、25Å以下であることが好ましい。本明細書で記載する平均細孔径とは、液体窒素温度における各相対圧力下での窒素ガスの各平衡吸着量を測定して得られる重量あたりの全細孔容積をBET比表面積で除して求めたものを指す。
活性炭のBET比表面積は、1500m2/g以上3000m2/g以下であることが好ましく、1500m2/g以上2500m2/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が1500m2/g以上の場合には、良好なエネルギー密度が得られ易く、一方、BET比表面積が3000m2/g以下の場合には、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要がないので、電極体積当たりの性能が高くなる傾向がある。
上記のような特徴を有する活性炭は、例えば以下に説明するような原料及び処理方法を用いて得ることができる。
本発明の実施形態では、活性炭の原料として用いられる炭素源は、特に限定されるものではなく、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜等の植物系原料;泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他合成木材、合成パルプ等、及びそれらの炭化物が挙げられる。これらの原料の中でも、ヤシ殻、木粉等の植物系原料、及びそれらの炭化物が好ましく、ヤシ殻炭化物が特に好ましい。
本発明の実施形態では、活性炭の原料として用いられる炭素源は、特に限定されるものではなく、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜等の植物系原料;泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他合成木材、合成パルプ等、及びそれらの炭化物が挙げられる。これらの原料の中でも、ヤシ殻、木粉等の植物系原料、及びそれらの炭化物が好ましく、ヤシ殻炭化物が特に好ましい。
これらの原料を上記活性炭とするための炭化及び賦活の方式としては、例えば固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の既知の方式を採用できる。
これらの原料の炭化方法としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガス等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分とした他のガスとの混合ガスを使用して、400〜700℃(好ましくは450〜600℃)程度で30分〜10時間程度に亘って焼成する方法が挙げられる。
これらの原料の炭化方法としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガス等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分とした他のガスとの混合ガスを使用して、400〜700℃(好ましくは450〜600℃)程度で30分〜10時間程度に亘って焼成する方法が挙げられる。
上記炭化方法により得られた炭化物の賦活方法としては、水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法が好ましく用いられる。このうち、賦活ガスとして、水蒸気又は二酸化炭素を使用する方法が好ましい。
この賦活方法では、賦活ガスを0.5〜3.0kg/h(好ましくは0.7〜2.0kg/h)の割合で供給しながら、上記炭化物を3〜12時間(好ましくは5〜11時間、さらに好ましくは6〜10時間)かけて800〜1000℃まで昇温して賦活するのが好ましい。 さらに、上記炭化物の賦活処理に先立ち、あらかじめ上記炭化物を1次賦活してもよい。この1次賦活では、通常、炭素材料を水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて、900℃未満の温度で焼成してガス賦活することができる。
この賦活方法では、賦活ガスを0.5〜3.0kg/h(好ましくは0.7〜2.0kg/h)の割合で供給しながら、上記炭化物を3〜12時間(好ましくは5〜11時間、さらに好ましくは6〜10時間)かけて800〜1000℃まで昇温して賦活するのが好ましい。 さらに、上記炭化物の賦活処理に先立ち、あらかじめ上記炭化物を1次賦活してもよい。この1次賦活では、通常、炭素材料を水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて、900℃未満の温度で焼成してガス賦活することができる。
上記炭化方法における焼成温度及び焼成時間と、上記賦活方法における賦活ガス供給量及び昇温速度及び最高賦活温度とを適宜組み合わせることにより、本発明の実施形態において使用できる、上記の特徴を有する活性炭を製造することができる。
活性炭の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。本明細書で記載する平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径(すなわち50%径(Median径))を指す。
活性炭の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。本明細書で記載する平均粒径とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した際、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径(すなわち50%径(Median径))を指す。
上記平均粒径が1μm以上であると、活物質層の密度が高いために電極体積当たりの容量が高くなる傾向がある。また、平均粒径が小さいことは耐久性が低いという欠点を招来する場合がある。一方で、平均粒径が20μm以下であると、高速充放電には適合し易くなる傾向がある。さらに、上記平均粒径は、好ましくは2〜15μmであり、更に好ましくは3〜10μmである。
[2.負極活物質]
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料である。
炭素材料としては、例えば、難黒鉛性カーボン、易黒鉛性カーボン、複合多孔性材料等を挙げることができる。負極活物質は、さらに好ましくは、活性炭の表面に炭素材料を被着させて成る複合多孔性材料である。また、負極活物質層には、この炭素材料に加えて、リチウムチタン複合酸化物、導電性高分子等の、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料以外の材料を含有させることもできる。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料である。
炭素材料としては、例えば、難黒鉛性カーボン、易黒鉛性カーボン、複合多孔性材料等を挙げることができる。負極活物質は、さらに好ましくは、活性炭の表面に炭素材料を被着させて成る複合多孔性材料である。また、負極活物質層には、この炭素材料に加えて、リチウムチタン複合酸化物、導電性高分子等の、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料以外の材料を含有させることもできる。
上記負極活物質は、1種類のみで使用するか、又は2種以上を混合して使用してもよい。上記複合多孔性材料は、例えば、活性炭と炭素材料前駆体とを共存させた状態で、これらを熱処理することにより得ることができる。
上記の複合多孔性材料の原料に用いる活性炭を得るための原料は、、得られる複合多孔性材料が所望の特性を発揮する限り、特に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系等の各種の原材料から得られた市販品を使用することができる。特に、平均粒径が1μm以上10μm以下の活性炭粉末を用いることが好ましい。該平均粒径は、より好ましくは、2μm以上6μm以下である。なお上記平均粒径の測定方法は、上述の正極活物質である活性炭の平均粒径に用いる測定方法と同様である。
上記の複合多孔性材料の原料に用いる活性炭を得るための原料は、、得られる複合多孔性材料が所望の特性を発揮する限り、特に制限はなく、石油系、石炭系、植物系、高分子系等の各種の原材料から得られた市販品を使用することができる。特に、平均粒径が1μm以上10μm以下の活性炭粉末を用いることが好ましい。該平均粒径は、より好ましくは、2μm以上6μm以下である。なお上記平均粒径の測定方法は、上述の正極活物質である活性炭の平均粒径に用いる測定方法と同様である。
一方、上記の複合多孔性材料の原料に用いる炭素材料前駆体とは、熱処理することにより、活性炭に炭素材料を被着させることができる、固体、液体、又は溶剤に溶解可能な有機材料である。例えば、ピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、フェノール樹脂等の合成樹脂等を挙げることができる。これらの炭素材料前駆体の中でも、安価であるピッチを用いることが製造コスト上好ましい。ピッチは、大別して石油系ピッチと石炭系ピッチとに分けられる。例えば、石油系ピッチとしては、原油の蒸留残査、流動性接触分解残査(デカントオイル等)、サーマルクラッカーに由来するボトム油、ナフサクラッキングの際に得られるエチレンタール等が例示される。
上記ピッチを用いる場合、複合多孔性材料は、活性炭の表面でピッチの揮発成分又は熱分解成分を熱反応させることによって、該活性炭に炭素材料を被着させることにより得られる。この場合、200〜500℃程度の温度において、ピッチの揮発成分又は熱分解成分の活性炭細孔内への被着が進行し、400℃以上で該被着成分が炭素材料となる反応が進行する。熱処理時のピーク温度は得られる複合多孔性材料の特性、熱反応パターン、熱反応雰囲気等により適宜決定されるものであるが、400℃以上であることが好ましく、より好ましくは450℃〜1000℃であり、さらに好ましくは500〜800℃程度のピーク温度である。また、熱処理時のピーク温度を維持する時間は、30分間〜10時間であればよく、好ましくは1時間〜7時間、より好ましくは2時間〜5時間である。例えば、500〜800℃程度のピーク温度で2時間〜5時間に亘って熱処理する場合、活性炭表面に被着している炭素材料は多環芳香族系炭化水素になっているものと考えられる。
上記の複合多孔性材料の製造方法は、例えば、炭素材料前駆体から揮発した炭化水素ガスを含む不活性雰囲気中で活性炭を熱処理し、気相で炭素材料を被着させる方法が挙げられる。また、活性炭と炭素材料前駆体とを予め混合し熱処理する方法、又は溶媒に溶解させた炭素材料前駆体を活性炭に塗布して乾燥させた後に熱処理する方法も可能である。
複合多孔性材料は、活性炭の表面に炭素材料を被着させたものであるが、活性炭の細孔内部に炭素材料を被着させた後の細孔分布が重要であり、メソ孔量及びマイクロ孔量により規定できる。本発明においては、特に、メソ孔量及びマイクロ孔量の絶対値と共に、メソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。すなわち、本発明の一態様において、上記の複合多孔性材料におけるBJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)としたとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、かつ1.5≦Vm1/Vm2≦20.0であることが好ましい。
メソ孔量Vm1については、0.010≦Vm1≦0.225がより好ましく、0.010≦Vm1≦0.200が更に好ましい。マイクロ孔量Vm2については、0.001≦Vm2≦0.150がより好ましく、0.001≦Vm2≦0.100が更に好ましい。メソ孔量/マイクロ孔量の比率については、1.5≦Vm1/Vm2≦15.0がより好ましく、1.5≦Vm1/Vm2≦10.0が更に好ましい。メソ孔量Vm1が上限以下(Vm1≦0.250)であれば、リチウムイオンに対する高い充放電効率が維持でき、メソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2が下限以上(0.010≦Vm1、0.001≦Vm2)であれば、高出力特性が得られる。
また、孔径の大きいメソ孔内ではマイクロ孔よりもイオン伝導性が高い為、高出力特性を得るためには一定量以上のメソ孔量が必要であり、一方、孔径の小さいマイクロ孔内では、蓄電素子の耐久性に悪影響を及ぼすとされる水分等の不純物が脱着し難い為、高耐久性を得るためにはマイクロ孔量を抑制する必要があると考えられる。したがって、メソ孔量とマイクロ孔量との比率の制御が重要であり、下限以上(1.5≦Vm1/Vm2)の場合、すなわち炭素材料が活性炭のメソ孔よりもマイクロ孔に多く被着し、被着後の複合多孔性材料のメソ孔量が多く、マイクロ孔量が少ない場合に、高エネルギー密度、高出力特性かつ高耐久性(サイクル特性、フロート特性等)が得られる。メソ孔量とマイクロ孔量との比率が上限以下(Vm1/Vm2≦20.0)の場合、高出力特性が得られる。
本発明において、上記のメソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2の測定方法は、先述した正極活物質における測定方法と同様である。
本発明の一態様においては、上述のように、活性炭の表面に炭素材料を被着した後のメソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。本発明で規定する細孔分布範囲の複合多孔性材料を得る為には、原料に用いる活性炭の細孔分布が重要である。
本発明の一態様においては、上述のように、活性炭の表面に炭素材料を被着した後のメソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。本発明で規定する細孔分布範囲の複合多孔性材料を得る為には、原料に用いる活性炭の細孔分布が重要である。
負極活物質としての複合多孔性材料の形成に用いる活性炭においては、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.050≦V1≦0.500、0.005≦V2≦1.000、かつ0.2≦V1/V2≦20.0であることが好ましい。
メソ孔量V1については、0.050≦V1≦0.350がより好ましく、0.100≦V1≦0.300が更に好ましい。マイクロ孔量V2については、0.005≦V2≦0.850がより好ましく、0.100≦V2≦0.800が更に好ましい。メソ孔量/マイクロ孔量の比率については、0.22≦V1/V2≦15.0がより好ましく、0.25≦V1/V2≦10.0が更に好ましい。活性炭のメソ孔量V1が0.500以下である場合及びマイクロ孔量V2が1.000以下である場合、上記本発明の一態様の複合多孔性材料の細孔構造を得る為には適量の炭素材料を被着させれば足りるので、細孔構造を制御し易くなる傾向がある。一方、活性炭のメソ孔量V1が0.050以上である場合及びマイクロ孔量V2が0.005以上である場合、V1/V2が0.2以上である場合、及びV1/V2が20.0以下である場合は、該活性炭の細孔分布から上記本発明の一態様の複合多孔性材料の細孔構造が容易に得られる傾向がある。
本発明における複合多孔性材料の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが好ましい。下限については、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは2.5μm以上である。上限については、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは4μm以下である。平均粒径が1μm以上10μm以下であれば良好な耐久性が保たれる。上記の複合多孔性材料の平均粒径の測定方法は、上述の正極活物質の活性炭の平均粒径に用いる測定方法と同様である。
上記の複合多孔性材料において、水素原子/炭素原子の原子数比(以下、H/Cともいう。)は、0.05以上0.35以下であることが好ましく、0.05以上0.15以下であることがより好ましい。H/Cが0.35以下である場合には、活性炭表面に被着している炭素材料の構造(典型的には多環芳香族系共役構造)が十分に発達するので、容量(エネルギー密度)及び充放電効率が高くなるため好ましい。一方、H/Cが0.05以上である場合には、炭素化が過度に進行することはないため十分なエネルギー密度を得られる。なお、H/Cは元素分析装置により測定される。
また、通常、上記複合多孔性材料は、原料の活性炭に由来するアモルファス構造を有するとともに主に被着した炭素材料に由来する結晶構造を有する。X線広角回折法によると、該複合多孔性材料は、高い出力特性を発現するためには結晶性が低い構造が好ましく、充放電における可逆性を保つには結晶性が高い構造が好ましいという観点から、(002)面の面間隔d002が3.60Å以上4.00Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが8.0Å以上20.0Å以下であるものが好ましく、d002が3.60Å以上3.75Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが11.0Å以上16.0Å以下であるものがより好ましい。
[3.非水系電解液]
非水系電解液は、有機溶媒とリチウム塩とからなる。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、及びプロピレンカーボネート(PC)に代表される環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びエチルメチルカーボネート(MEC)に代表される鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン(γBL)等のラクトン類、並びにこれらの混合溶媒を用いることができる。混合溶媒としては、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の鎖状カーボネートとを含むことが高い誘電率と低い粘度とが両立した非水系電解液を得ることができるという観点から好ましい。
非水系電解液は、有機溶媒とリチウム塩とからなる。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、及びプロピレンカーボネート(PC)に代表される環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びエチルメチルカーボネート(MEC)に代表される鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン(γBL)等のラクトン類、並びにこれらの混合溶媒を用いることができる。混合溶媒としては、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる1種以上の鎖状カーボネートとを含むことが高い誘電率と低い粘度とが両立した非水系電解液を得ることができるという観点から好ましい。
これらの有機溶媒に溶解する電解質はリチウム塩である。好ましいリチウム塩を例示すれば、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C2F5)、LiN(SO2CF3)(SO2C2F4H)及びこれらの混合塩を挙げることができる。
非水系電解液中の電解質濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲が好ましい。0.5mol/L未満では陰イオンが不足して蓄電素子の容量が低くなる傾向がある。また、2.0mol/Lを超えると未溶解のリチウム塩が該電解液中に析出したり、該電解液の粘度が高くなりすぎたりすることによって、逆に伝導度が低下して出力特性が低下する傾向がある。
非水系電解液中の電解質濃度は、0.5〜2.0mol/Lの範囲が好ましい。0.5mol/L未満では陰イオンが不足して蓄電素子の容量が低くなる傾向がある。また、2.0mol/Lを超えると未溶解のリチウム塩が該電解液中に析出したり、該電解液の粘度が高くなりすぎたりすることによって、逆に伝導度が低下して出力特性が低下する傾向がある。
[4.その他の構成要素]
本発明の実施形態では、非水系リチウム型蓄電素子は、上述の電解液、正極活物質、及び負極活物質に加えて、集電体、活物質層における活物質以外の成分、電極体、セパレータ、外装体等を含む。以下、これらの構成要素について説明する。
(4.1.集電体)
集電体(正極集電体と負極集電体とを総称していう。)は、通常、蓄電素子において、溶出及び反応等の劣化がおこらない金属箔である。この金属箔としては、特に制限はなく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。本発明の蓄電素子においては、正極集電体をアルミニウム箔、負極集電体を銅箔とすることが好ましい。
本発明の実施形態では、非水系リチウム型蓄電素子は、上述の電解液、正極活物質、及び負極活物質に加えて、集電体、活物質層における活物質以外の成分、電極体、セパレータ、外装体等を含む。以下、これらの構成要素について説明する。
(4.1.集電体)
集電体(正極集電体と負極集電体とを総称していう。)は、通常、蓄電素子において、溶出及び反応等の劣化がおこらない金属箔である。この金属箔としては、特に制限はなく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。本発明の蓄電素子においては、正極集電体をアルミニウム箔、負極集電体を銅箔とすることが好ましい。
また、集電体は貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、貫通孔を有する金属箔でもよい。後述する負極へのリチウムのドープ処理工程を行いやすくするためには、貫通孔を有する金属箔であることが好ましい。集電体の厚みは、1〜100μmが好ましい。集電体の厚みが1μm以上であると、活物質層を集電体に固着させて成る正極電極体及び負極電極体の形状及び強度を保持できるため好ましい。一方で、集電体の厚みが100μm以下であると、蓄電素子としての重量及び体積が適度になり、そして重量及び体積当たりの性能が高い傾向があるため好ましい。
(4.2.活物質層における活物質以外の成分)
活物質層(正極活物質層と負極活物質層とを総称していう。)には、既知のリチウムイオン電池、キャパシタ等で活物質層に含まれる既知の成分を用いることができる。活物質層には、前述した正極活物質又は負極活物質以外に、既知の成分、例えば、バインダー、導電フィラー、増粘剤等を含ませることができ、その種類には特に制限はない。以下、非水系リチウム型蓄電素子における活物質層の成分の詳細を述べる。
活物質層(正極活物質層と負極活物質層とを総称していう。)には、既知のリチウムイオン電池、キャパシタ等で活物質層に含まれる既知の成分を用いることができる。活物質層には、前述した正極活物質又は負極活物質以外に、既知の成分、例えば、バインダー、導電フィラー、増粘剤等を含ませることができ、その種類には特に制限はない。以下、非水系リチウム型蓄電素子における活物質層の成分の詳細を述べる。
活物質層は、必要に応じ導電性フィラー、例えばカーボンブラック等を含むことができる。導電性フィラーの使用量は、活物質100質量部に対して0〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。導電性フィラーは、高出力密度の観点からは用いることが好ましいが、上記使用量が30質量部以下であると、活物質層に占める活物質の量の割合が高くなり、そして体積当たりの出力密度が多くなる傾向があるため好ましい。
上記の活物質、更に必要に応じて使用する導電性フィラーを、活物質層として集電体上に固着させるために、バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、スチレンブタジエン共重合体、セルロース誘導体等を用いることができる。バインダーの使用量は活物質100質量部に対して3〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲がより好ましい。バインダーの上記使用量が20質量部以下であるとき、活物質の表面をバインダーが完全には覆わないので、イオンの出入りが速くなり、高出力密度が得られ易い傾向があるため好ましい。一方で、バインダーの上記使用量が3質量部以上であるとき、活物質粒子間を互いに結合した活物質層として集電体上に固着し易くなる傾向があるため好ましい。
(4.3.電極体)
本発明における電極体(正極電極体と負極電極体とを総称していう。)は、活物質層を集電体の上面(片面)のみに形成したもの、又は上下面(両面)に形成したものをいう。
電極体は、活物質層を集電体に固着させて成る。電極体において、活物質層の厚みは、通常、30〜200μm程度が好ましい。活物質層の厚みが30μm以上であると、蓄電素子全体に対する活物質量の割合が多くなり、エネルギー密度も多くなる傾向があるため好ましい。一方で、活物質層の厚みが200μm以下であると、電極内部の抵抗が小さくなり、出力密度が上がる傾向があるため好ましい。
本発明における電極体(正極電極体と負極電極体とを総称していう。)は、活物質層を集電体の上面(片面)のみに形成したもの、又は上下面(両面)に形成したものをいう。
電極体は、活物質層を集電体に固着させて成る。電極体において、活物質層の厚みは、通常、30〜200μm程度が好ましい。活物質層の厚みが30μm以上であると、蓄電素子全体に対する活物質量の割合が多くなり、エネルギー密度も多くなる傾向があるため好ましい。一方で、活物質層の厚みが200μm以下であると、電極内部の抵抗が小さくなり、出力密度が上がる傾向があるため好ましい。
電極体は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極製造技術により製造することが可能である。例えば、活物質、バインダー、導電性フィラーを含む材料を水又は有機溶剤と混合してスラリー状にし、該スラリーを集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレスすることにより活物質層とすることで得られる。また、溶剤を使用せずに、活物質、バインダー、導電性フィラーを含む材料を乾式で混合してプレス成型した後、導電性接着剤を用いて集電体に貼り付けることも可能である。
後述する電極タブ取り付けのために、集電体の一部に活物質層を塗布しない(貼り付けない)領域(以下「未塗布領域」ともいう。)を設けることが好ましい。なお、全領域に塗布した後に一部領域の活物質層を除去することによって未塗布領域を設けてもよい。
(4.4.セパレータ・電極積層体)
セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜、若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm以上の厚みでは、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。一方で、50μm以下の厚みでは、蓄電素子の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜、若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm以上の厚みでは、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。一方で、50μm以下の厚みでは、蓄電素子の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
(4.5.電極端子または電極タブ)
積層型の蓄電素子とする場合は、電極体とセパレータとを蓄電素子の形状に合致したシート状に整形し、正極集電体の未塗布領域に正極端子の一端、負極集電体の未塗布領域に負極端子の一端を電気的に接続する。もちろん、電極端子(正極端子と負極端子とを総称していう。)と集電体の未塗布領域の間に別の金属部品を介して接続してもよい。
積層型の蓄電素子とする場合は、電極体とセパレータとを蓄電素子の形状に合致したシート状に整形し、正極集電体の未塗布領域に正極端子の一端、負極集電体の未塗布領域に負極端子の一端を電気的に接続する。もちろん、電極端子(正極端子と負極端子とを総称していう。)と集電体の未塗布領域の間に別の金属部品を介して接続してもよい。
正極端子の材質はアルミニウムであり、負極端子の材質がニッケルメッキされた銅であることが好ましい。電極端子は、一般的には略四辺形をしており、その一端は電極の集電体領域と電気的に接続され、他端は使用時に外部の負荷(放電の場合)又は電源(充電の場合)と電気的に接続される。
前述した電極体と電極端子との電気的な接続方法は、例えば、超音波溶接法が一般的であるが、抵抗溶接、レーザー溶接、はんだや銀ロウによる接合でもよく、特に限定されない。
捲回型の蓄電素子とする場合は、電極体とセパレータとを長尺シート状に整形し、正極集電体の未塗布領域に正極タブの一端、負極集電体の未塗布領域に負極タブの一端を電気的に接続する。
前述した電極体と電極端子との電気的な接続方法は、例えば、超音波溶接法が一般的であるが、抵抗溶接、レーザー溶接、はんだや銀ロウによる接合でもよく、特に限定されない。
捲回型の蓄電素子とする場合は、電極体とセパレータとを長尺シート状に整形し、正極集電体の未塗布領域に正極タブの一端、負極集電体の未塗布領域に負極タブの一端を電気的に接続する。
(4.6.電極積層体)
正極電極体及び負極電極体がシート状の場合は、シート状のセパレータを介して積層され電極積層体となる。また、長尺状の場合は、長尺状のセパレータを介して捲廻積層され、電極積層体となる。
正極電極体及び負極電極体がシート状の場合は、シート状のセパレータを介して積層され電極積層体となる。また、長尺状の場合は、長尺状のセパレータを介して捲廻積層され、電極積層体となる。
(4.7.外装体)
電極積層体は、非水系電解液とともに、外装体内に挿入される。
外装体としては、金属缶、ラミネートフィルムなどを使用できる。
金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。この場合は、例えば、該金属缶を負極端子とし、絶縁体をはさんで該金属缶にかしめられた金属ふたを正極端子とする。電極タブ(正極タブと負極タブとを総称していう。)によって電極体と端子(正極端子と負極端子とを総称していう。)とを電気的に接続する。
電極積層体は、非水系電解液とともに、外装体内に挿入される。
外装体としては、金属缶、ラミネートフィルムなどを使用できる。
金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。この場合は、例えば、該金属缶を負極端子とし、絶縁体をはさんで該金属缶にかしめられた金属ふたを正極端子とする。電極タブ(正極タブと負極タブとを総称していう。)によって電極体と端子(正極端子と負極端子とを総称していう。)とを電気的に接続する。
また、このラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
ラミネートフィルム外装体を使用する場合は、電極端子の端部を外装体の外部空間に引き出した状態でラミネートフィルムの周縁部をシールする。シール方法はヒートシールが好ましい。
ラミネートフィルム外装体を使用する場合は、電極端子の端部を外装体の外部空間に引き出した状態でラミネートフィルムの周縁部をシールする。シール方法はヒートシールが好ましい。
[5.製造工程]
本実施態様の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法は、リチウムイオンのドープ処理工程と、素子のエージング工程とに特徴を有する。本実施態様においては、後述の実施例で示す負極材料と以下の工程により、低SOCでの内部抵抗が小さいリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
(5.1.リチウムイオンのドープ処理工程)
負極電極体には、あらかじめリチウムイオンをドープ処理しておく。ドープ処理の方法としては、既知の方法、例えば、負極活物質層にリチウム金属箔を積層した状態で負極電極体を組み立て、これを非水系電解液に入れる方法を使用することができる。リチウムイオンをドープしておくことにより、蓄電素子の容量及び作動電圧を制御することが可能である。
本実施態様の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法は、リチウムイオンのドープ処理工程と、素子のエージング工程とに特徴を有する。本実施態様においては、後述の実施例で示す負極材料と以下の工程により、低SOCでの内部抵抗が小さいリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
(5.1.リチウムイオンのドープ処理工程)
負極電極体には、あらかじめリチウムイオンをドープ処理しておく。ドープ処理の方法としては、既知の方法、例えば、負極活物質層にリチウム金属箔を積層した状態で負極電極体を組み立て、これを非水系電解液に入れる方法を使用することができる。リチウムイオンをドープしておくことにより、蓄電素子の容量及び作動電圧を制御することが可能である。
ドープ条件としては、温度は常温以上50℃以下が好ましい。常温以上とすることでリチウムドープ時間をできるだけ短時間とすることができる。また50℃以下とすることで、電極への負荷を低減し劣化を抑制することができる。
また、時間については、ドープ処理温度が40℃未満の場合は10時間以上2週間以下が好ましく、ドープ処理温度が40℃以上の場合は10時間以上72時間以下が好ましく、15時間以上48時間以下がより好ましい。40℃未満の場合、10時間以上とすることでリチウムドープ不足を避けることができ、2週間以下とすることで、電極への負荷を低減し劣化を抑制することができる。更に40℃以上の場合、特に電極への負荷を低減し劣化を抑制するためにも、時間上限は72時間以下が好ましい。
また、時間については、ドープ処理温度が40℃未満の場合は10時間以上2週間以下が好ましく、ドープ処理温度が40℃以上の場合は10時間以上72時間以下が好ましく、15時間以上48時間以下がより好ましい。40℃未満の場合、10時間以上とすることでリチウムドープ不足を避けることができ、2週間以下とすることで、電極への負荷を低減し劣化を抑制することができる。更に40℃以上の場合、特に電極への負荷を低減し劣化を抑制するためにも、時間上限は72時間以下が好ましい。
(5.2.素子のエージング処理工程)
素子のエージング処理工程は、主に電極表面の皮膜(Solid Electrolyte Interface=SEI)を形成させ最適な充放電効率を発現できる状態で素子を完成することを目的とする。ただし、本発明の効果が発現する機構はこれに限定されない。具体的には、使用前に、特定の条件下での充電や放電を適数回繰り返すことでエージング処理工程が成り立つ。
素子のエージング処理工程は、主に電極表面の皮膜(Solid Electrolyte Interface=SEI)を形成させ最適な充放電効率を発現できる状態で素子を完成することを目的とする。ただし、本発明の効果が発現する機構はこれに限定されない。具体的には、使用前に、特定の条件下での充電や放電を適数回繰り返すことでエージング処理工程が成り立つ。
本実施態様では、0.1〜10Cの電流値で充電と放電を適数回繰り返すことが重要である。0.5〜2Cがより好ましく、1Cが最も好ましい。0.1C以上であれば、エージング処理に要する時間が短くなり、10C以下であれば被膜が充分に形成されると考えられる。以下好ましい工程条件を示す。
充電工程は、1Cの電流値で定電流定電圧でSOC=85〜130%へ充電することであり、好ましくはSOC=100〜125%である。また充電時間は、好ましくは定電圧充電時間が1時間〜2時間である。更に充電する環境は20〜85℃であり、好ましくは25〜
60℃である。
充電工程は、1Cの電流値で定電流定電圧でSOC=85〜130%へ充電することであり、好ましくはSOC=100〜125%である。また充電時間は、好ましくは定電圧充電時間が1時間〜2時間である。更に充電する環境は20〜85℃であり、好ましくは25〜
60℃である。
放電工程は、1Cの電流値で定電流でSOC=−12.5%〜20%へ放電することであり、好ましくはSOC=0〜15%である。また、放電する環境は20〜85℃であり、好ましくは25〜60℃である。
充電1回放電1回(またはその逆)を施すことを1サイクルとした際、サイクル数は、好ましくは20〜400サイクル、更に好ましくは50〜200サイクルである。20サイクル以上とすることで、SEI形成不足を避けることができ、400サイクル以下とすることで、電極への負荷を低減し劣化を抑制することができる。
充電1回放電1回(またはその逆)を施すことを1サイクルとした際、サイクル数は、好ましくは20〜400サイクル、更に好ましくは50〜200サイクルである。20サイクル以上とすることで、SEI形成不足を避けることができ、400サイクル以下とすることで、電極への負荷を低減し劣化を抑制することができる。
また、エージング処理工程では必要に応じて発生したガスを抜く工程を施した方が好ましい。エージング処理で発生するガスは蓄電素子の抵抗成分となり、特性を落とすからである。このガスは溶媒や材料に吸着されていた水分が電気化学反応により分解して生成したものと考えられる。なお、ガスを抜く工程は、シールした外装体の一部を開けて行い、再度シールすることによって行う。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
[正極活物質・正極電極体の作製]
破砕されたヤシ殻炭化物を、小型炭化炉において窒素中、500℃で3時間炭化処理した。処理後の該炭化物を賦活炉内へ入れ、1kg/hの水蒸気を予熱炉で加温した状態で該賦活炉内へ投入し、900℃まで8時間かけて昇温した後に取り出し、窒素雰囲気下で冷却して活性炭を得た。得られた活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りした。その後、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後に、ボールミルで1時間粉砕を行い、活性炭1を得た。
<実施例1>
[正極活物質・正極電極体の作製]
破砕されたヤシ殻炭化物を、小型炭化炉において窒素中、500℃で3時間炭化処理した。処理後の該炭化物を賦活炉内へ入れ、1kg/hの水蒸気を予熱炉で加温した状態で該賦活炉内へ投入し、900℃まで8時間かけて昇温した後に取り出し、窒素雰囲気下で冷却して活性炭を得た。得られた活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りした。その後、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後に、ボールミルで1時間粉砕を行い、活性炭1を得た。
島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J)を用いて活性炭1の平均粒径を測定した結果、4.2μmであった。また、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)で、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。比表面積はBET1点法により求めた。また、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法によりそれぞれ求めた。活性炭1の細孔分布を測定した結果、BET比表面積は2360m2/g、メソ孔量(V1)は0.52cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.88cc/gであった。
活性炭1を80.8質量部、ケッチェンブラック6.2質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の片面、または両面に塗布し、乾燥し、プレスして、正極活物質層の厚さが55μmの正極電極体を得た。
[負極活物質・負極電極体の作製]
市販のヤシ殻活性炭について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)で、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。比表面積はBET1点法により求めた。また、上述したように、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法によりそれぞれ求めた。その結果、BET比表面積が1,780m2/g、メソ孔量が0.198cc/g、マイクロ孔量が0.695cc/g、V1/V2=0.29、平均細孔径が21.2Åであった。
市販のヤシ殻活性炭について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)で、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。比表面積はBET1点法により求めた。また、上述したように、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法によりそれぞれ求めた。その結果、BET比表面積が1,780m2/g、メソ孔量が0.198cc/g、マイクロ孔量が0.695cc/g、V1/V2=0.29、平均細孔径が21.2Åであった。
このヤシ殻活性炭150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)270gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱反応を行った。熱処理は窒素雰囲気下で、600℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持することによって行い、続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、炉から取り出し、負極材料となる複合多孔性材料1を得た。得られた複合多孔性材料1を上記活性炭1と同様に測定したところ、BET比表面積が262m2/g、メソ孔量(Vm1)が0.1798cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.0843cc/g、Vm1/Vm2=2.13であった。
上記複合多孔性材料1を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーをエキスパンド銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスして、負極活物質層の厚さが60μmの負極電極体を得た。
この両面負極電極体の片面に、複合多孔性材料1の単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
この両面負極電極体の片面に、複合多孔性材料1の単位重量あたり760mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
[非水系電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を体積比率で1:4となる非水系溶媒に、1mol/lの濃度でLiPF6を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた電極体を100mm×100mmにカットして、最上面と最下面は片面正極体を用い、両面負極電極体18枚と両面正極電極体17枚負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ36枚を積層した後、負極電極体と正極電極体に電極端子を接続して電極積層体とした。この積層体をラミネートフィルムからなる外装体内に挿入し、上記非水系電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。蓄電素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を体積比率で1:4となる非水系溶媒に、1mol/lの濃度でLiPF6を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた電極体を100mm×100mmにカットして、最上面と最下面は片面正極体を用い、両面負極電極体18枚と両面正極電極体17枚負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ36枚を積層した後、負極電極体と正極電極体に電極端子を接続して電極積層体とした。この積層体をラミネートフィルムからなる外装体内に挿入し、上記非水系電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。蓄電素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
上記、非水系リチウム型蓄電素子を、45℃環境下で24時間保存することでリチウムイオンを負極にドープ処理した。引き続き、蓄電素子のエージング処理として、25℃環境下で、1Cの電流値で4.0Vまで定電流充電し、次いで4.0V定電圧充電を1時間行った後、1Cの電流値で2.0Vまで定電流放電を行った。これを60サイクル行い、ガス抜きすることで蓄電素子を完成させた。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
<静電容量の測定>
1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保できる定電流定電圧充電によって3.8Vまで充電し、2.2Vまで同じく1.5Cの電流値において定電流放電を施した。その際の容量と電圧変化より本蓄電素子の静電容量Fは1000Fであることがわかった。
<静電容量の測定>
1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保できる定電流定電圧充電によって3.8Vまで充電し、2.2Vまで同じく1.5Cの電流値において定電流放電を施した。その際の容量と電圧変化より本蓄電素子の静電容量Fは1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
1.5Cの電流量で3.8Vに到達するまで定電流充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を合計で2時間行った。
続いて、3Cの電流量で定電流放電を開始し、SOCが95%になった時点で放電を休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R1を、同じく10秒後までの電圧変化から内部抵抗R3を求めた。3Cの電流量での定電流放電を再開し、SOCが50%になった時点で放電を休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R2を求めた。さらに、3Cの電流量での定電流放電を再開し、SOCが10%になった時点で放電を休止し、10秒後までの電圧変化から内部抵抗R4を求めた。
時定数は、R1・F=2.05、R2・F=2.03、R3・F=2.6、R4・F=3.2であり、内部抵抗の比は、R2/R1=0.99、R4/R3=1.23であった。
1.5Cの電流量で3.8Vに到達するまで定電流充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を合計で2時間行った。
続いて、3Cの電流量で定電流放電を開始し、SOCが95%になった時点で放電を休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R1を、同じく10秒後までの電圧変化から内部抵抗R3を求めた。3Cの電流量での定電流放電を再開し、SOCが50%になった時点で放電を休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R2を求めた。さらに、3Cの電流量での定電流放電を再開し、SOCが10%になった時点で放電を休止し、10秒後までの電圧変化から内部抵抗R4を求めた。
時定数は、R1・F=2.05、R2・F=2.03、R3・F=2.6、R4・F=3.2であり、内部抵抗の比は、R2/R1=0.99、R4/R3=1.23であった。
<入力特性および出力特性の測定>
本実施例では2秒間における入力および出力特性を測定した。
0.5Cから600Cにおける各電流値で入力および出力測定をしたのち、2秒間での電流値と電圧値の関係を得た。その関係から、入力特性ではSOC40%から100%での電力量を、出力特性ではSOC60%から0%での電力量を算出したところ、入力特性は0.7kW/セル(7.0kW/L)、出力特性は0.92kW/セル(9.2kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、500A以上であった。
本実施例では2秒間における入力および出力特性を測定した。
0.5Cから600Cにおける各電流値で入力および出力測定をしたのち、2秒間での電流値と電圧値の関係を得た。その関係から、入力特性ではSOC40%から100%での電力量を、出力特性ではSOC60%から0%での電力量を算出したところ、入力特性は0.7kW/セル(7.0kW/L)、出力特性は0.92kW/セル(9.2kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、500A以上であった。
<実施例2>
実施例1と同様の蓄電素子を準備した。
<入力特性および出力特性の測定>
本実施例では2秒間における入力および出力特性を測定した。
0.5Cから600Cにおける各電流値で入力および出力測定をしたのち、2秒間での電流値と電圧値の関係を得た。その関係から、入力特性ではSOC5%から100%での電力量を、出力特性ではSOC95%から0%での電力量を算出したところ、入力特性は1.5kW/セル(15kW/L)、出力特性は1.24kW/セル(12.4kW/L)であった。
た。
実施例1と同様の蓄電素子を準備した。
<入力特性および出力特性の測定>
本実施例では2秒間における入力および出力特性を測定した。
0.5Cから600Cにおける各電流値で入力および出力測定をしたのち、2秒間での電流値と電圧値の関係を得た。その関係から、入力特性ではSOC5%から100%での電力量を、出力特性ではSOC95%から0%での電力量を算出したところ、入力特性は1.5kW/セル(15kW/L)、出力特性は1.24kW/セル(12.4kW/L)であった。
た。
<比較例1>
[正極電極体の作製]
実施例1と同様。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様。
[電解液の調製]
実施例1と同様。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様。
[電解液の調製]
実施例1と同様。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
上記、非水系リチウム型蓄電素子を、25℃環境下で3週間保存することでリチウムイオンを負極にドープ処理した。引き続き、蓄電素子のエージング処理として、25℃環境下で、1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、次いで4.2V定電圧充電を1時間行った後、1Cの電流値で2.0Vまで定電流放電を行った。これを60サイクル行い、ガス抜きすることで蓄電素子を完成させた。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
<静電容量の測定>
実施例1と同様に測定したところ、本蓄電素子は1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
実施例1と同様に測定したところ、R1・F=2.20、R2・F=2.43、R3・F=2.75、R4・F=3.71、R2/R1=1.10、R4/R3=1.35であった。
<入力特性および出力特性の測定>
実施例1と同様に測定および解析したところ、入力特性は0.55kW/セル(5.5kW/L)、出力特性は0.72kW/セル(7.2kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、350A以上であった。
実施例1と同様に測定したところ、本蓄電素子は1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
実施例1と同様に測定したところ、R1・F=2.20、R2・F=2.43、R3・F=2.75、R4・F=3.71、R2/R1=1.10、R4/R3=1.35であった。
<入力特性および出力特性の測定>
実施例1と同様に測定および解析したところ、入力特性は0.55kW/セル(5.5kW/L)、出力特性は0.72kW/セル(7.2kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、350A以上であった。
<比較例2>
[正極電極体の作製]
実施例1と同様。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様。
[電解液の調製]
実施例1と同様。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
上記、非水系リチウム型蓄電素子を、45℃環境下で24時間保存することでリチウムイオンを負極にドープ処理した。引き続き、ガス抜きすることで蓄電素子を完成させた。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様。
[負極電極体の作製]
実施例1と同様。
[電解液の調製]
実施例1と同様。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
上記、非水系リチウム型蓄電素子を、45℃環境下で24時間保存することでリチウムイオンを負極にドープ処理した。引き続き、ガス抜きすることで蓄電素子を完成させた。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
<静電容量の測定>
実施例1と同様に測定したところ、本蓄電素子は1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
実施例1と同様に測定したところ、R1・F=2.40、R2・F=2.76、R3・F=2.95、R4・F=4.04、R2/R1=1.15、R4/R3=1.37であった。
実施例1と同様に測定したところ、本蓄電素子は1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
実施例1と同様に測定したところ、R1・F=2.40、R2・F=2.76、R3・F=2.95、R4・F=4.04、R2/R1=1.15、R4/R3=1.37であった。
<入力特性および出力特性の測定>
実施例1と同様に測定および解析したところ、入力特性は0.47kW/セル(4.7kW/L)、出力特性は0.65kW/セル(6.5kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、300A以上であった。
実施例1と同様に測定および解析したところ、入力特性は0.47kW/セル(4.7kW/L)、出力特性は0.65kW/セル(6.5kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、300A以上であった。
<比較例3>
[正極電極体の作製]
実施例1と同様。
[負極電極体の作製]
石炭系ピッチを空気雰囲気下250℃で約2時間酸化処理を行った後、真空下1100℃で1時間熱処理を行った。得られた材料を、ボールミル粉砕機で約4時間粉砕することにより、負極材料となる難黒鉛化性炭素材料1を得た。上記難黒鉛化性炭素材料1の物性評価を実施例1と同様な手法で行った。BET比表面積は4.1m2/g、メソ孔量(Vm1)が0.0081cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.0012cc/g、Vm1/Vm2=6.75であった。
[正極電極体の作製]
実施例1と同様。
[負極電極体の作製]
石炭系ピッチを空気雰囲気下250℃で約2時間酸化処理を行った後、真空下1100℃で1時間熱処理を行った。得られた材料を、ボールミル粉砕機で約4時間粉砕することにより、負極材料となる難黒鉛化性炭素材料1を得た。上記難黒鉛化性炭素材料1の物性評価を実施例1と同様な手法で行った。BET比表面積は4.1m2/g、メソ孔量(Vm1)が0.0081cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.0012cc/g、Vm1/Vm2=6.75であった。
上記難黒鉛化性炭素材料1を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーをエキスパンド銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスして、活物質層の厚さが60μmの負極電極体を得た。
この両面負極電極体の片面に、難黒鉛化性炭素材料1の単位重量あたり400mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
この両面負極電極体の片面に、難黒鉛化性炭素材料1の単位重量あたり400mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
[電解液の調製]
実施例1と同様。
[蓄電素子の組立と性能]得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織 布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
上記、非水系リチウム型蓄電素子を、45℃環境下で24時間保存することでリチウムイオンを負極にドープ処理した。引き続き、蓄電素子のエージング処理として、25℃環境下で、1Cの電流値で4.0Vまで定電流充電し、次いで4.0V定電圧充電を1時間行った後、1Cの電流値で2.0Vまで定電流放電を行った。これを60サイクル行い、ガス抜きすることで蓄電素子を完成させた。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
実施例1と同様。
[蓄電素子の組立と性能]得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織 布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。素子の蓄電部の体積は0.1Lであった。
上記、非水系リチウム型蓄電素子を、45℃環境下で24時間保存することでリチウムイオンを負極にドープ処理した。引き続き、蓄電素子のエージング処理として、25℃環境下で、1Cの電流値で4.0Vまで定電流充電し、次いで4.0V定電圧充電を1時間行った後、1Cの電流値で2.0Vまで定電流放電を行った。これを60サイクル行い、ガス抜きすることで蓄電素子を完成させた。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
<静電容量の測定>
実施例1と同様に測定したところ、本蓄電素子は1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
実施例1と同様に測定したところ、R1・F=2.35、R2・F=2.60、R3・F=2.85、R4・F=3.80、R2/R1=1.11、R4/R3=1.33であった。
<入力特性および出力特性の測定>
実施例1と同様に測定および解析したところ、入力特性は0.50kW/セル(5.0kW/L)、出力特性は0.68kW/セル(6.8kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、310A以上であった。
実施例1と同様に測定したところ、本蓄電素子は1000Fであることがわかった。
<内部抵抗の測定>
実施例1と同様に測定したところ、R1・F=2.35、R2・F=2.60、R3・F=2.85、R4・F=3.80、R2/R1=1.11、R4/R3=1.33であった。
<入力特性および出力特性の測定>
実施例1と同様に測定および解析したところ、入力特性は0.50kW/セル(5.0kW/L)、出力特性は0.68kW/セル(6.8kW/L)であった。
また、SOC37.5%からの大電流による出力において、スライスレベルを2.3Vとした過放電防止回路を設けて大電流を流したときに、IRドロップにより過放電防止回路が動作する電流下限値は、310A以上であった。
<比較例4>
[正極電極体の作製]
活物質として、市販の活性炭(以下「活性炭2」という。)を用い、この活性炭2の物性評価を実施例1と同様な方法にて行った。その結果、BET比表面積は1620m2/g、メソ孔量(V1)は0.18cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.67cc/gであった。
活性炭2を80.8質量部、ケッチェンブラック6.2質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面および両面に塗布し、乾燥し、プレスして、活物質層の厚さが55μmの正極電極体を得た。
[正極電極体の作製]
活物質として、市販の活性炭(以下「活性炭2」という。)を用い、この活性炭2の物性評価を実施例1と同様な方法にて行った。その結果、BET比表面積は1620m2/g、メソ孔量(V1)は0.18cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.67cc/gであった。
活性炭2を80.8質量部、ケッチェンブラック6.2質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、並びにNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。次いで、得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面および両面に塗布し、乾燥し、プレスして、活物質層の厚さが55μmの正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
正極電極体と同じものをそのまま使用した。
[電解液の調製]
プロピレンカーボネート(PC)に、1.5mol/lの濃度でトリエチルメチルアンモニウム(TEMA)・BF4を溶解して得た溶液を電解液として使用した。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、電気二重層キャパシタを組立てた。素子の蓄電部の体積は0.16Lであった。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
正極電極体と同じものをそのまま使用した。
[電解液の調製]
プロピレンカーボネート(PC)に、1.5mol/lの濃度でトリエチルメチルアンモニウム(TEMA)・BF4を溶解して得た溶液を電解液として使用した。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた負極電極体と正極電極体との間に、セルロース製不織布セパレータ(厚み35μm)を積層して、ラミネートフィルムから形成された外装体内に挿入し、上記電解液を注入して該外装体を密閉し、電気二重層キャパシタを組立てた。素子の蓄電部の体積は0.16Lであった。
作製した蓄電素子を25℃の環境下で特性評価を行った。
<静電容量の測定>
電気二重層キャパシタの電圧が0Vの時の充電状態を0%、2.5Vの時の充電状態を100%として、その間のE(V)であるときの充電状態(SOC)を、SOC(%)={(E−0)/(2.5−0)}×100と定義した。
1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保できる定電流定電圧充電によって2.5Vとし、0Vまで同じく1.5Cの電流値において定電流放電を施した。その際の容量と電圧変化より本蓄電素子の静電容量Fは1000Fであることがわかった。
電気二重層キャパシタの電圧が0Vの時の充電状態を0%、2.5Vの時の充電状態を100%として、その間のE(V)であるときの充電状態(SOC)を、SOC(%)={(E−0)/(2.5−0)}×100と定義した。
1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保できる定電流定電圧充電によって2.5Vとし、0Vまで同じく1.5Cの電流値において定電流放電を施した。その際の容量と電圧変化より本蓄電素子の静電容量Fは1000Fであることがわかった。
<内部抵抗と時定数の測定>
1.5Cの電流量で2.5Vまで充電し、その後2.5Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を2時間行った。続いて、3Cの電流量でSOC95%で電流休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R1を、同じく10秒後までの電圧変化から内部抵抗R3を、さらにSOC50%まで放電をし、そこで電流休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R2を、さらにSOC10%まで放電をし、そこで電流休止し、10秒後までの電圧変化から内部抵抗R4を求めた。R1・F=1.80、R2・F=2.55、R3・F=2.48、R4・F=3.75、R2/R1=1.42、R4/R3=1.51であった。
<入力特性および出力特性の測定>
本実施例では2秒間における入力および出力特性を測定した。
0.5Cから600Cにおける各電流値で入力および出力測定をしたのち、2秒間での電流値と電圧値の関係を得た。その関係から、入力特性ではSOC40%から100%での電力量を、出力特性ではSOC60%から0%での電力量を算出したところ、入力特性は0.52kW/セル(3.25kW/L)、出力特性は0.50kW/セル(3.13kW/L)であった。
1.5Cの電流量で2.5Vまで充電し、その後2.5Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を2時間行った。続いて、3Cの電流量でSOC95%で電流休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R1を、同じく10秒後までの電圧変化から内部抵抗R3を、さらにSOC50%まで放電をし、そこで電流休止し、1秒後までの電圧変化から内部抵抗R2を、さらにSOC10%まで放電をし、そこで電流休止し、10秒後までの電圧変化から内部抵抗R4を求めた。R1・F=1.80、R2・F=2.55、R3・F=2.48、R4・F=3.75、R2/R1=1.42、R4/R3=1.51であった。
<入力特性および出力特性の測定>
本実施例では2秒間における入力および出力特性を測定した。
0.5Cから600Cにおける各電流値で入力および出力測定をしたのち、2秒間での電流値と電圧値の関係を得た。その関係から、入力特性ではSOC40%から100%での電力量を、出力特性ではSOC60%から0%での電力量を算出したところ、入力特性は0.52kW/セル(3.25kW/L)、出力特性は0.50kW/セル(3.13kW/L)であった。
以上の実施例及び比較例の結果を表1に示す。表1に示されるように、実施例1及び実施例2では、R2/R1及びR4/R3、並びにR1・F及びR3・Fが本発明の範囲を満たしているため低SOCでの内部抵抗が低く、かつ、静電容量と高SOCでの内部の積が比較的小さいため、比較例1〜4に比べて、高い入出力エネルギー密度を達成している。また、実施例1では、大電流での出力に対して実質的に使用可能な電流下限値が500Aを得ており、比較例1の350A、比較例2の300A、比較例3の310Aより向上している。すなわち、R2/R1、R4/R3、R1・F及びR3・Fを本発明の範囲とすることによって、入出力エネルギー密度が高く、かつ、大電流での入出力に対して使用できる容量を向上させることができることがわかる。なお、比較例4は、R1・F及びR3・Fの値は本発明の範囲内であるが、R2/R1、R4/R3が大きいため、入出力エネルギー密度が低いものとなっている。
Claims (5)
- 負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を形成した負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を形成した正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、
前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、前記正極活物質は活性炭であり、
前記蓄電素子は充電状態に応じて2.2〜3.8Vの範囲内の任意の電圧E(V)をとることが可能であり、
充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値をE1(V)と表したときに(E1−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗R1(Ω)と、充電状態が100%から3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、50%到達時に放電休止し、休止1秒後の電圧値をE2(V)と表したときに(E2−3.0)/I3Cで算出した内部抵抗R2(Ω)との比率であるR2/R1が0.95〜1.05の範囲内であり、静電容量F(F)と該内部抵抗R1(Ω)との積R1・Fが2.3以下である非水系リチウム型蓄電素子であって、
前記3Cの電流値I3C(A)は、100%の充電状態の蓄電素子を0%の充電状態まで20分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさで定義され、前記充電状態は、(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100(%)により定義される、非水系リチウム型蓄電素子。 - 負極集電体に負極活物質を含む負極活物質層を形成した負極電極体、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を形成した正極電極体、及びセパレータを積層して成る電極積層体、並びにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液を外装体に収納して成り、
前記負極活物質はリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料であり、前記正極活物質は活性炭であり、
前記蓄電素子は充電状態に応じて2.2〜3.8Vの範囲内の任意の電圧E(V)をとることが可能であり、
充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、95%到達時に放電休止し、休止10秒後の電圧値をE3(V)と表したときに(E3−3.72)/I3Cで算出した内部抵抗R3(Ω)と、充電状態が100%から、3Cの電流値I3C(A)で定電流放電させ、10%到達時に放電休止し、休止10秒後の電圧値をE4(V)と表したときに(E4−2.36)/I3Cで算出した内部抵抗R4(Ω)との比率であるR4/R3が、1.10〜1.30の範囲内であり、静電容量F(F)と該内部抵抗R3(Ω)との積R3・Fが2.7以下である非水系リチウム型蓄電素子であって、
前記3Cの電流値I3C(A)は、100%の充電状態の蓄電素子を0%の充電状態まで20分間で定電流放電させるときに必要な電流の大きさで定義され、前記充電状態は、{(E−2.2)/(3.8−2.2)}×100(%)により定義される、非水系リチウム型蓄電素子。 - 前記負極活物質は、活性炭の表面に炭素材料を被着させた複合多孔性材料であり、かつBJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、
0.010≦Vm1≦0.250、
0.001≦Vm2≦0.200、及び
1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす、請求項1または2に記載の非水系リチウム型蓄電素子。 - 前記正極活物質は、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、
0.3<V1≦0.8、及び
0.5≦V2≦1.0を満たし、かつBET法により測定される比表面積が1500m2/g以上3000m2/g以下である活性炭である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。 - 前記電極積層体は、前記負極活物質層上にリチウム金属箔を積層した状態で、非水系電解液中で、温度40〜50℃において10〜72時間、または温度40℃未満において10時間〜2週間ドープ処理した後、エージング処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
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