JP2014060012A - 積層構造電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層構造電池に異物が刺さった場合でも、積層構造電池内部の電極と異物とが、電気的に絶縁を保つことができ、電流パスの形成を防止することのできる積層構造電池を提供する。
【解決手段】正極と負極とが電解質層を介して積層した単電池層を複数積層して構成される発電要素を電池外装材に密封した積層構造電池において、前記積層構造電池には、前記発電要素の積層方向の投影面を少なくとも被覆する絶縁性部材が備えられており、前記絶縁性部材は、少なくとも1つの前記単電池層の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率(絶縁性部材の伸びた表面積/絶縁性部材の元々の面積×100(%))で、内部応力が破断応力に満たないことを特徴とする積層構造電池により達成される。
【選択図】図3B

Description

本発明は、電子とイオンが電気化学的に作用することで外部に対して仕事を行う蓄電デバイスの1種である積層構造電池に関する。詳しくは、積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池などに代表される積層構造電池に関するものである。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握る蓄電デバイスとして、モータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、外装容器に収納される構成を有している。中でも、正極と負極とを電解質層を介して交互に積層した単電池層を複数積層して構成される発電要素を外装容器、特にラミネートフィルム外装材に密封した積層型(積層構造)の構成を有しているものが軽量化に優れることから実用化が進められている。
こうした蓄電デバイスとして広く実用化されつつある積層構造電池では、一般的に複数の単電池層同士が電極リードや電極集電板(集電タブ)等の導電部材でを直列または並列に接続して積層された構成の発電要素が用いられている。こうした単電池層同士を複数積層した発電要素部分に釘等の異物が刺さった場合、釘等(導電性物質)の異物と、電極と、導電部材と、で電流パスが形成され(図2B参照)、短絡電流を防止することはできない。
こうした課題を解決するために、特許文献1では、外装容器の外表面において少なくても積層構造電池の主面に対応した弾性体層を配置することで、釘等の異物が刺さっても液漏れやガス漏れを防止することのできる積層構造電池(蓄電デバイス)が提案されている。
特開2010−238687号公報
しかしながら、特許文献1のような積層構造電池の主面に対応した弾性体層を配置した構造では釘等が刺さったときの液漏れやガス漏れは防止可能であるが、釘等の異物の電池(発電要素)内侵入時には弾性体層は外装容器の外表面(電池上面)に留まってしまう。そのため、釘等に異物の侵入に伴う、釘等の異物と、電極と、導電部材と、で形成される電流パスを絶縁・遮断することはできないという問題があった。
そこで本発明の目的は、積層構造電池に釘等の異物が刺さった場合でも、積層構造電池内部の電極と釘等の異物とが、電気的に絶縁を保つことができ、電流パスの形成を防止することのできる積層構造電池を提供することにある。
本発明の積層構造電池は、少なくとも1つの単電池層の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないとする高靱性を有する絶縁性部材が、発電要素の積層方向の投影面を少なくとも被覆するように備えられた構成となっている。
本発明によれば、積層構造電池に釘等の異物が刺さった場合でも、本発明に記載されている高伸長、高靱性を有する絶縁性部材のように所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たない場合、絶縁性部材は釘等の異物により突き破られない。よって、絶縁性部材は、釘等の尖った異物でも貫通されずに延びて(釘等の尖った異物の侵入速度及び侵入量に追従して)釘等の異物を被覆できる。その結果、釘等の尖った異物の表面は絶縁性部材で被覆され、積層構造電池内部の電極と釘等の異物は電気的に絶縁が保たれる。そのため、積層構造電池に釘等の異物が刺さった場合でも、釘等の異物(導電性の異物)と、電極と、導電部材と電流パスを絶縁・遮断することのできる積層構造電池を提供することができる。
積層構造電池の代表的な一実施形態である、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の基本構成を示す断面概略図である。 図1の積層構造電池である積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。 特許文献1に示す積層構造電池の主面に対応した弾性体層を配置した構造において、釘等が刺さったときに電流パスが形成される様子を模式的に表した断面概略図である。 本実施形態の積層構造電池の主面(発電要素の積層方向の投影面)を少なくとも被覆する高靱性の絶縁性部材を配置した構造において、釘等が刺さったときに電流パスの形成が防止される様子を模式的に表した断面概略図である。 本実施形態の積層構造電池を複数用いた組電池に絶縁性部材(ゲル素材)を適用した一実施形態を模式的に表す図面である。 本実施形態の積層構造電池に設置する絶縁性部材の伸び率(強度)算出の基本思想を模式的に表した図面である。 図5Aの円柱状の異物モデルを円錐状の異物モデルに変更した際の円錐状の異物モデルを表した図面である。 本実施形態の積層構造電池に設置する絶縁性部材の1種であるナノコンポジットゲル(NCゲル)の応力ひずみ線図である。 図7Aは、電極表面にストライプ状の接着部を設けた様子を表す平面図である。図7B、7Cは、電極表面にドット状の接着部を設けた様子を表す平面図である。 図8は、積層構造電池(24V、50mAh)を2直20並に接続した組電池(42V、1Ah)の模式図である。 複合組電池の一例を示す図面であり、図1に記載の積層構造電池を用いた図8の組電池(42V、1Ah)6組を並列に接続した複合組電池(42V、6Ah)の模式図である。 実施例1の高伸長率のゲル系材料(本発明の積層構造電池に用いられる絶縁性部材の1種である)と、比較例1〜4の各種ゴム系材料の釘刺し試験による突き抜け状況を確認するための試験方法1の装置を模式的に表した図面である。 比較例1〜4の各種ゴム系材料の釘刺し試験による、供試サンプルの突き抜け状況を確認するための試験方法2を模式的に表した図面である。 試験方法1、2による釘刺し試験の結果を表す図面である。
<第1実施形態の積層構造電池>
本実施形態は、正極と負極とが電解質層を介して積層した単電池層を複数積層して構成される発電要素を電池外装材(収納容器)に密封した積層構造電池に関するものである。かかる積層構造電池には、前記発電要素の積層方向の投影面を少なくとも被覆する絶縁性部材が備えられている。さらに、前記絶縁性部材は、少なくとも1つの前記単電池層の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率(絶縁性部材の伸びた表面積/絶縁性部材の元々の面積×100(%))で、内部応力が破断応力に満たないことを特徴とするものである。ここで、前記「伸び率」は、(絶縁性部材の伸びた表面積)/(絶縁性部材の元々の面積)×100(%)で表される。また、「発電要素の積層方向の投影面」とは、発電要素21の積層方向(厚さ方向)の上方(下方)から投影した際の、該発電要素21の投影面;積層構造電池の主面;図1〜3等の符号28参照)をいう。かかる構成とすることで、上記した発明の効果を奏することができる。
積層構造電池の好ましい実施態様として、積層型(積層構造)の非水電解質リチウムイオン二次電池について説明するが、以下の実施形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池は、特に車載用電池のような大型の電池に適用するのが好ましいが、電池の大きさや用途に制限されるものではない。従来公知の任意のサイズ及び用途に用いられる積層構造のリチウムイオン二次電池に適用されうる。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池を電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。本実施形態では、高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しても、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させたものを使用することができる。
以下の説明では、双極型でない(内部並列接続タイプの)積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池につき図面を用いて説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、本実施形態の積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池(以下、単に「積層構造電池」ともいう)の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の積層構造電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装容器(特にラミネートフィルム外装体)である電池外装材29の内部に収納、密封(封止)された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された構造を有する。負極は、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層(単セル)19を構成する。したがって、本実施形態の積層構造電池10は、単電池層(単セル)19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、双極型(内部直列接続タイプ)の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池では、単電池層(単セル)が複数積層されることで、電気的に直列接続されてなる構成を有するともいえる。さらに、電解質層17のセパレータと正極および/または負極との間に接着層(図示せず)がさらに配置されているようにしてもよい。
なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
また、本実施形態では、電極(正極ないし負極)として、自立電極を含むものであってもよい。自立電極とは金属箔(集電体)がなくても形状を担保するものである。即ち、自立電極(自立構造)は、構造的(ないし強度的)には、金属箔やエキスパンドグリッド(集電体)がなくても活物質層だけで形状を担保できるものである。但し、自立電極(自立構造)といえども、電極要素としては、集電体(但し、金属箔やエキスパンドグリッド以外にも金属箔より機械的強度が低く、形状を担保し得ない金属の蒸着膜やメッキ薄膜、更には金属配線などでもよい)と活物質層とが必要である。上記に定義した自立電極は、活物質層(正極活物質層、負極活物質層)と、前記活物質層の片面に直接形成されてなる集電体(正極集電体、負極集電体)とを有する。そして、前記活物質層が、多孔質骨格体と、前記多孔質骨格体の空孔内に保持される活物質(正極活物質,負極活物質)とを含むものである。
本明細書中、「集電体」と記載する場合、正極集電体、負極集電体の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もあるし、双極型電池の双極型電極用集電体を指す場合もある。同様に、「活物質層」と記載する場合、正極活物質層、負極活物質層の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。同様に、「活物質」と記載する場合、正極活物質,負極活物質の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。
正極集電体11および負極集電体12には、各電極(正極および負極)と導通される正極集電タブ(正極集電板)25および負極集電タブ(負極集電板)26の一方の先端部がそれぞれ取り付けられている。また正極集電タブ25および負極集電タブ26のもう一方の先端部は、電池外装材29の端部に挟まれるようにして電池外装材29の外部に導出される構造を有している。正極集電タブ25および負極集電タブ26はそれぞれ、必要に応じて電極端子リード(正極端子リードおよび負極端子リード)23、24を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。これら電極集電タブ(電極集電板)と電極端子リードを総称して導電部材27ともいう。また正極集電タブ(正極集電板)25と正極端子リード23を総称して正極導電部材27aともいう。同様に、負極集電タブ(負極集電板)26と負極端子リード24を総称して負極導電部材27bともいう。
(積層構造電池の外観構成)
図2は、図1の積層構造電池である、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図2に示すように、扁平な積層型のリチウムイオン二次電池10では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電タブ(正極集電板)25、負極集電タブ(負極集電板)26が引き出されている。発電要素21は、リチウムイオン二次電池10の電池外装材29によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、正極集電タブ(正極集電板)25および負極集電タブ(負極集電板)26を外部に引き出した状態で密封されている。この発電要素21は、正極、電解質層および負極で構成される単電池層(単セル)が複数積層されたものである。
また、図2に示す正極集電タブ(正極集電板)25、負極集電タブ(負極集電板)26の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極集電タブ(正極集電板)25と負極集電タブ(負極集電板)26とを同じ辺から引き出すようにしてもよい。或いは、正極集電タブ(正極集電板)25と負極集電タブ(負極集電板)26をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図2に示す形態に何ら制限されるものではない。
更に本実施形態の積層構造電池10の特徴部分の構成としては、前記発電要素21の積層方向の投影面28を少なくとも被覆する絶縁性部材が備えられているものである。発電要素21の積層方向の投影面28とは、発電要素21の積層方向(厚さ方向)の上方ないし下方から投影した際の、該発電要素21の投影面;積層構造電池の主面)を表す(図1の矢印の領域、ないし図2の斜線部分の面参照)。
前記絶縁性部材22は、少なくとも2つの前記単電池層19の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率(絶縁性部材の伸びた表面積/絶縁性部材の元々の面積×100(%))で、内部応力が破断応力に満たないことを特徴とするものである。これにより、上記した発明の効果を奏することができる。
詳しくは、図3を用いて説明する。図3Aは、特許文献1に示す積層構造電池の主面に対応した弾性体層を配置した構造において、釘等が刺さったときに電流パスが形成される様子を模式的に表した断面概略図である。図3Bは、本実施形態の積層構造電池の主面(発電要素の積層方向の投影面)を少なくとも被覆する高靱性の絶縁性部材を配置した構造において、釘等が刺さったときに電流パスの形成が防止される様子を模式的に表した断面概略図である。
図3Aに示すように、特許文献1の既存の積層構造電池10’では、その主面(外装材29の上下両表面上)に弾性体層22’と粘着剤層22”が配置されている。こうした構造を有する既存の積層構造電池10’では、釘等(導電性物質)の異物30が刺さって孔が開いたしまった場合でも、弾性体層22’の弾性回復力により開いた孔を塞ぐように面方向に弾性収縮が生じて異物30周辺を密着(シール)することができる。そのため、釘等の異物30侵入部からの液漏れやガス漏れを防止することができるというものである。しかしながら、釘等の異物30の電池(発電要素21)10’内侵入時には弾性体層22’は外装容器29の外表面(電池上面)に留まってしまう。即ち、弾性体層22’は釘等の尖った異物30の侵入に追従できず、釘等の尖った異物30を被覆できずに突き破られてしまう(図12B〜E参照)。そのため、釘等に異物30の侵入に伴う、釘等の異物30と、2枚の電極(正極ないし負極)と、導電部材27(正極導電部材27a(符号23+25)ないし正極導電部材27b(符号24+26))と、で形成される電流パスPを絶縁・遮断することはできない。その結果、電流パスPによる短絡電流(内部放電による大電流)により電池発熱等に起因する電極の劣化が進み、電池性能が大幅かつ急速に低下することを解決し得ない構成であった。
一方、図3Bに示すように、本実施形態の積層構造電池10では、その主面(発電要素21の積層方向の投影面28;図3Bでは外装材29の上下両表面上)を少なくとも被覆する高靱性の絶縁性部材22が配置されている。こうした構造を有する積層構造電池10では、釘等(導電性物質)の異物30が刺さった場合でも、上記に規定する高靱性の絶縁性部材22では、所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たないため、絶縁性部材22は釘等の異物30により突き破られない。よって、絶縁性部材22は、釘等の異物30に貫通されずに延びて釘等の異物30を被覆できる。その結果、釘等の異物30の表面は絶縁性部材22で被覆され、積層構造電池10内部の電極(正極ないし負極)と釘等の異物30は電気的に絶縁が保たれる。そのため、積層構造電池10に釘等の異物30が刺さった場合でも、釘等の異物30と、2枚の電極(正極ないし負極)と、導電部材27(27a(23+25)ないし27b(24+26))との間で電流パスPが形成されるのを防止できる。その結果、電流パスPによる短絡電流(大電流)により電池発熱等に起因する電極の劣化を防止することができ、電池性能を大幅に向上させることができる。
即ち、本実施形態の積層構造電池10は、少なくとも2つの単電池層19(好ましくは電池10)の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないとする高靱性を有する絶縁性部材22が、発電要素21の積層方向の投影面28を少なくとも被覆するように備えられた構成となっている。即ち、図3Aに示すように、釘等の異物30が刺さったとき釘等の異物30と、2枚の電極(図3Aでは2枚の正極)と、導電部材27(図3Aでは正極導電部材27a(特に正極端子リード23)と電流パスPが形成される。そこで、本実施形態では、前記絶縁性部材22は、少なくとも2つの前記単電池層19の長さまで伸びることで、電流パスPの形成を防止できるものである。
(A)絶縁性部材の設置個所
上記絶縁性部材22の設置個所としては、図1〜3に示すように、積層構造電池10の発電要素21の積層方向の投影面28を少なくとも被覆するように配置されていればよい。具体的には、絶縁性部材22を設置する発電要素21の積層方向の投影面28として、電池外装材29の外表面上(電池外部)に設置してもよい(図1〜3参照)。あるいは、電池外装材29の内表面上(電池内部)に設置してもよい。好ましくは、製造が容易である等の観点から、電池外装材29の外表面上(電池外部)に設置するのが望ましい。電池外装材29の内表面上に設置する場合には、ゲル素材中の媒体を非水系とし、絶縁性部材であるゲル素材中の媒体の漏出(揮散)は、媒体の電池内の電解質中の電解液に対する溶解パラメータ(SP値)によると思われるので、その差が大きい材料とする。尚且つ膨潤しない絶縁性部材を選択すればよい。また、絶縁性部材22を電池外装材29の内表面上(電池内部)に設置する場合、絶縁性部材22の厚さは、電池内部では電池反応に関与しないため、電池の軽量化等の観点から薄ければ薄いほど望ましく、0.5〜10mmが望ましい。但し、絶縁性部材22の厚さが薄ければ薄いほど、高い伸び率が必要となることから、適宜最適な素材を選択する必要がある。なお、絶縁性部材22を電池外装材29の外表面上(電池外部)に設置する場合でも、電池の軽量化等の観点から薄ければ薄いほど望ましく、通常0.5〜10mmが望ましい。
また、電池外装材29の上下両面の外表面上(電池外部)ないし内表面上(電池内部)に設置するのが望ましい。走行中にタイヤが路面の釘等の異物30を跳ね上げて、積層構造電池10に刺さる場合には、概ね、電池外装材29の下面側から刺さることになる。一方、走行中に不可避的に事故に巻き込まれて車体の一部が積層構造電池10に刺さったような場合には、電池外装材29の上下、いすれの面から刺さるか特定不可能である。そのため、電池外装材29の上下、いすれの面から刺さってもよいように、電池外装材29の上下両面の外表面上(電池外部)ないし内表面上(電池内部)に設置するのが望ましいといる。図4は、本実施形態の積層構造電池を複数用いた組電池に絶縁性部材(ゲル素材)を適用した一実施形態を模式的に表す図面である。組電池の場合には、図4に示すように、例えば、最下層の電池には、電池外装材の上下両面の外表面上(ないし内表面上)に絶縁性部材22を設置し、最下層以外の電池には電池外装材の上面側の外表面上(ないし内表面上)に絶縁性部材22を設置すればよい。これにより、組電池として、電池外装材の上下、いすれの面から刺さってもよいように、電池外装材の上下両面の外表面上(ないし内表面上)に絶縁性部材22を設置することができる。ただし、組電池内部に熱がこもるのを防止する観点から、電池同士を接触しないように適当なスペーサなどを設けて配置する場合には、組電池を構成する全ての電池の外装材の上下両面の外表面上(ないし内表面上)に絶縁性部材22を設置するのが望ましい。
また、図4に示すように、発電要素21の積層方向の投影面28を被覆するように絶縁性部材22を配置すればよいが、図1〜3に示すように、電池外装材29の外表面全面に絶縁性部材22を設置してもよい。特に、電池外装材29の外表面全面に絶縁性部材22を設置する場合には、電池外装材29の外周部を封止後に、絶縁性部材22を被覆するのが、封止時の熱が加わるのを避けることができ、ゲル素材の特性を損なうことがない点で優れている。
(B)絶縁性部材の固定について
また、絶縁性部材22は、設置箇所の部材(外装材29)との間で、既存の接着剤や粘着剤を用いて接着ないし粘着させて固定してもよいが、既存の接着剤や粘着剤を用いることなく固定することもできる。ここで、接着剤や粘着剤を用いなくてもよいとしたのは、絶縁性部材(特にゲル素材)の持つ粘着力により粘着しているだけでも、組電池内において、組電池の外装材内に積層構造電池を収納後に、図4に示すように、組電池内において電池に印加される荷重Gにより(締め付けを行うことで)、絶縁性部材22を固定することができる。これは、通常、組電池(電池モジュール)の外装材内に電池10を収納した後、走行中の振動や衝撃で電池10に大きな負荷が加わらないように、例えば、適用なスプリング(バネ)などの緩衝部材を電池10間に設けて電池に荷重Gを印加することで締め付けている。これにより、熱がこもるのを防止すると共に、外部からの振動や衝撃を吸収、緩和するように、上記緩衝部材により個々の電池10に一定の荷重が印加される構成(構造)となっているためである。また、絶縁性部材22と設置箇所の部材(外装材29)との間で摩擦抵抗もあるため、特に接着剤や粘着剤を用いなくてもよいともいえる。特に、絶縁性部材22にゲル素材を用いる場合には、絶縁性部材22自身が粘着性を有するため、設置箇所の部材(外装材29)との間で高い摩擦抵抗を奏し得るため、接着剤や粘着剤を用いなくてもよいともいえる。
(C)絶縁性部材の厚さ
上記絶縁性部材22の厚さは、高い伸び率を発現させる観点からは、できるだけ厚い方が好ましいが、車両搭載用電池(電池モジュール)では、電池の軽量化を勘案して、0.5mm〜10mm、好ましくは1〜3mmの範囲とするのが望ましい。絶縁性部材22の厚さが0.5mm以上、好ましくは1mm以上であれば、所望の伸び率を発現することができ、尚且つ軽量化にも寄与するためである。絶縁性部材22の厚さが10mm以下、好ましくは3mm以下であれば、より大きな伸び率を発現でき、電池10全体を異物が貫通するような場合においても、十分な伸び率により内部応力が破断応力に満たないため、異物が、積層構造電池を厚さ方向に貫通してもなお、積層構造電池内部の電極と異物は電気的に絶縁が保たれる。そのため、積層構造電池に異物が刺さって貫通した場合でも、異物と、電極と、電池外部の導電部材との間で電流パスが形成されるのを防止することができる。即ち、絶縁性部材22の異物の投影部分の厚さが厚いもの=絶縁性部材22の異物の投影部分の体積が大きい方が、長い異物が刺さった場合でも破れる(破断する)ことなく伸長して追従できる点で優れている(図5参照)。
(D)絶縁性部材の伸び率
更に本実施形態の積層構造電池10の特徴部分の構成として、上記絶縁性部材22の伸び率は、少なくとも1つの単電池層(単セル)19の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものであればよい。好ましくは、少なくとも1つの積層構造電池10を積層方向に貫通する長さ(積層構造電池10の厚さに相当する長さ)まで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものが望ましい。より好ましくは、少なくとも積層構造電池を積層方向に貫通する長さの1.5倍まで伸ばした際の前記伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものが望ましい。特に好ましくは、少なくとも2つの積層構造電池10を積層方向に貫通する長さ(積層構造電池10の厚さに相当する長さ)まで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものが望ましい。具体的には、絶縁性部材22の伸び率(絶縁性部材17の伸びた表面積/絶縁性部材17の元々の面積×100(%))は、大きいほど好ましく、例えば、厚さ1mmのシート状の絶縁性部材22で、200%以上、好ましくは800%以上、より好ましくは1000%以上、特に好ましくは、1500%以上、中でも好ましくは1800%以上である。なお絶縁性部材22の伸び率の上限値は特に制限されるものではないく、使用する絶縁性部材の特性により決定されるものである。絶縁性部材22の伸び率が200%以上であれば、図3Bに示すように、積層構造電池10に釘等の異物30が刺さった場合でも、絶縁性部材22が所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たないため、絶縁性部材22は釘等の異物30により突き破られない。即ち、少なくとも1つの単電池層の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものであれば、電池に異物が刺さった場合でも、絶縁性部材が所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たない。そのため絶縁性部材は異物により突き破られない。よって、絶縁性部材22は、釘等の異物30に貫通されずに延びて釘等の異物30を被覆できる。その結果、釘等の異物30の表面は絶縁性部材22で被覆され、積層構造電池10内部の電極と釘等の異物30は電気的に絶縁が保たれる。そのため、積層構造電池10に釘等の異物30が刺さった場合でも、釘等の異物30と、電極と、導電部材27との間で電流パスPが形成されるのを防止することができる。また絶縁性部材22の伸び率が800%以上であれば、積層構造電池10を厚さ方向に釘等の異物30が貫通して刺さった場合でも、絶縁性部材22が所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たないため、絶縁性部材22は釘等の異物30により突き破られない。即ち、少なくとも1つの積層構造電池10の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものであれば、電池の厚さ方向に異物が貫通してが刺さった場合でも、絶縁性部材が所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たない。そのため絶縁性部材は異物により突き破られない。その結果、釘等の異物30が、積層構造電池10を厚さ方向に貫通してもなお、積層構造電池10内部の電極と釘等の異物30は電気的に絶縁が保たれる。そのため、積層構造電池10に釘等の異物30が刺さって貫通した場合でも、釘等の異物30と、電極と、導電部材27との間で電流パスPが形成されるのを防止することができる。
また、積層構造電池を複数用いて組電池とした場合、積層構造電池同士がバスバ等の導電部材で接続されている。こうした構成で釘等の異物が2つの積層構造電池を貫通して刺さった場合、釘等の異物と、各積層構造電池内の電極と、バスバ等の導電部材と、で電流パスが形成される。こうした組電池における電池外部のバスバ等の導電部材を通じて形成される組電池に固有な電流パスによる短絡電流の発生を特許文献1に記載の既存の積層構造電池を用いた組電池では防止できない。
一方、本実施形態の積層構造電池10を複数用いた組電池では、釘等の異物が2つ以上の積層構造電池を貫通して刺さった場合でも、絶縁性部材22の伸び率が200%以上(好ましくは800%以上)であれば、絶縁性部剤は釘等の異物により突き破られない。即ち、各積層構造電池10に設けられた絶縁性部材22は、釘等の異物30に貫通されずに延びて釘等の異物30を被覆できる。その結果、釘等の異物30の表面は、釘等の異物が貫通して刺さった各積層構造電池ごとに設けられた絶縁性部材22で被覆され、2つ以上の積層構造電池10内部の各電極と釘等の異物30は電気的に絶縁が保たれる。そのため、2つ以上の積層構造電池10に釘等の異物30が刺さった場合でも、釘等の異物30と、電極と、バスバ等の電池外部の導電部材との間で組電池に固有な電流パスが形成されるのを防止することもできる点で優れている。
(E)絶縁性部材の強度(伸び率)計算の基本思想
絶縁性部材22の伸び率は、絶縁性部材の伸びた表面積/絶縁性部材の元々の面積×100(%)で表される。以下、本実施形態における強度(伸び率)計算の基本思想を示す。
(E−1)伸び率:
で表現される。即ち、(異物進入部分表面積=絶縁性部材の伸びた表面積)÷(異物投影面積=絶縁性部材の元々の面積)×100(%)で表現される。
図5Aは、本実施形態の積層構造電池に設置する絶縁性部材の伸び率(強度)算出の基本思想を模式的に表した図面である。例えば、図5Aに示すように、絶縁性部材の伸びた表面積=異物侵入部分表面積=(異物の周長(φπ)×異物の進入長さ+異物投影面積((φ/2)π)で算出できる。また絶縁性部材の元々の面積=異物投影面積=(φ/2)πで算出できる。ここで、φは異物の直径(断面直径)を表す。なお、実施例で用いたように、円錐状の異物の場合には、図5Aの円柱状の異物モデルを円錐状の異物モデルに変更して、積層構造電池に設置する絶縁性部材の伸び率(強度)を算出すればよい。詳しくは、図5Bに示す円錐状の異物の場合の以下の伸び率(強度)の算出式により、算出することができる。すなわち、円錐の表面積=π×r×m=π×r×√(h+r)、異物進入部分表面積=π×r×m、異物投影面積=πrから算出できる。ここで、rは異物侵入部分の底面(=円錐の底面)の半径であり、hは異物の進入長さ(=円錐の高さ)であり、mは円錐の異物侵入部分の母線の長さである。
(E−2)強度条件:
・破断強度>変形による内部応力+異物と絶縁性部材の摩擦力・・・・・(2)
但しゲルは摩擦係数が小さく摩擦力は無視できる。
上記所定の伸び率において、上記(2)を満たすと、絶縁性部材は突き破れずに異物に共連れで伸びることができる。図6は、本実施形態の積層構造電池に設置する絶縁性部材の1種であるナノコンポジットゲル(NCゲル)の応力ひずみ線図(出典:原口和敏、高分子論文集、pp619、Vol65、#10、2008)である。例えば、図6に示すように、所定の伸び率が800%(8倍)だった場合、絶縁性部材の1種であるNCゲル(図6中のNC18のゲル素材)は内部応力が600kPaであり、破断応力より小さいため、突き破れない。好ましくは、上記異物の侵入長さが、組電池を構成する積層構造電池10の厚み(例えば、約30mm)以上の場合でも、絶縁性部材を当該積層構造電池10の厚み以上の長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないことが望ましい。この場合にも内部応力が破断応力より小さいため、異物が積層構造電池10を貫通しても絶縁性部材を突き破れないため、電流パスの形成(=短絡電流の発生)を効果的に防止することができる。なお、図6中のNC18は、上記出典より、モノマー種;ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)PNIPA、クレイは合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、直径30nm/厚さ1nm)、有効架橋密度0.0222(mol/L)のゲルで、数値は、クレイ濃度(×10−2(mol/L−HO))を示す。よって、NC18はクレイ濃度18×10−2(mol/L−HO)である。他のNC8〜NC25についても同様であり、クレイ濃度8×10−2〜25×10−2(mol/L−HO)のものである(詳しくは、上記出典のほか、文献;K.Hraguchi et.al,Adv.Mater.,14,1120(2002)、及びUSP6710104、USP6943206を参照のこと。)。
(F)絶縁性部材の内部応力と破断応力
また、絶縁性部材の所定の伸び率での内部応力と、絶縁性部材の破断応力の測定は、JIS−K7161「プラスチック−引張り特性の試験方法 第一部通則」による引張り試験による応力−ひずみ曲線から内部応力と破断応力を求めることができる(図6参照のこと)。上記した絶縁性部材の伸び率の好適な範囲は、破断応力と伸び率との差異が大きい範囲と言える(図6参照)。絶縁性部材の伸び率の最小値は、異物を覆うための必要伸び量で、伸び率の好適な範囲はゲル素材の応力−ひずみ曲線(図6参照)により求めることができる。
(G)絶縁性部材の材料・材質
少なくとも1つの単電池層19の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないとする物性値を満たす絶縁性部材22としては、当該要件を満足するものであれば特に制限されるものではないが、好ましくはゲル素材を用いて形成されているものが望ましい。上記ゲル素材としては、上記要件を満足するものであれば特に制限されるものではないが、ナノコンポジットゲル(NCゲル)が望ましい。この他にも、例えば、ダブルネットワークゲル(DNゲル)、トポロジカルゲル(TCゲル、環動高分子材料)等を用いることができる。更に、絶縁性部材として市販のゲル素材、具体的には実施例で用いた株式会社イノアックコーポレーション製スチレン系ゲル(ST)シート等を用いることもできる。これらのゲル素材、特にNCゲル、更にはDNゲルやTCゲルや株式会社イノアックコーポレーション製スチレン系ゲルでは、非常に高い伸び率を有する。そのため、1個分以上、好ましくは1、5個分以上、より好ましくは2個分以上の積層構造電池10を積層方向の長さ(積層構造電池10の厚さに相当する長さ)まで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないものを提供することができる点で優れている。(実施例1の図12A参照のこと)。但し、本実施形態に用いることのできる絶縁性部材22は、上記要件を満足するものであればよく、上記した特定のゲル素材に制限されるものではない。
(G−1)ナノコンポジットゲル(NCゲル)
NCゲルとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、無機クレイナノ粒子を超多官能架橋剤として作製したナノコンポジットゲル(NCゲル)等が挙げられる。詳しくは、層状はく離した無機クレイナノ粒子の存在下にモノマー(例えば、NIPA;N−イソプロピルアクリルアミド)を水中でin−situラジカル重合させて得られるNCゲルなどが挙げられる。
このNCゲルの合成法は、無加熱(常温)、無撹拌、高収率で行える特徴を有する。また無機ナノ粒子(クレイ)を「超多官能架橋剤」として働かせることが重要である。上記NCゲルの製造方法としては、例えば、特許第4730725号公報に記載の高分子ヒドロゲルの製造方法により作製することができる。この高分子ヒドロゲルの製造方法は、下記(A)と、下記(b)と下記(C)と、更に必要に応じて下記(D)及び/又は下記(E)を、水または水と有機溶媒との混合溶媒中に溶解または均一に分散させた後、下記(B)を重合させることを特徴とするものである。上記(A)は、フッ素変性粘土鉱物及び/またはアミド基または水酸基含有有機化合物による変性粘土鉱物(水膨潤性粘土鉱物を変性して得られる粘土鉱物)である。上記(B)は水溶性有機モノマーであり、上記(C)は重合開始剤(C)である。更に上記(D)は触媒(D)であり、上記(E)は有機架橋剤である。
ここで、上記製造方法において、前記フッ素変性粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物を処理してフッ素変性してなるものであり、且つ前記水溶性有機モノマーと三次元網目構造を形成するものが望ましい。また、前記変性粘土鉱物が、水膨潤性粘土鉱物をアミド基または水酸基含有の有機化合物で処理してなるものであり、且つ前記水溶性有機モノマーと三次元網目構造を形成するものが望ましい。更に前記水溶性有機モノマー(B)が、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート又はエトキシエチルメタクリレートであるのが望ましい。更にまた触媒(D)を添加して重合するのが望ましい。かかる製造方法により、水溶性有機モノマーの重合物と膨潤性粘土鉱物が複合化して形成された三次元網目が変化され、未変性粘土鉱物を用いた高分子ゲルと比べて延伸性がより高く制御された高分子ヒドロゲルが得られる。
上記製造方法において用いられる水膨潤性粘土鉱物は、水中で膨潤性を有するものであり、好ましくは水中で少なくとも一部が層状に剥離して分散できるものである。特に好ましくは水中で1ないし10層以内の厚みの層状に剥離して均一分散できる層状粘土鉱物である。水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
上記製造方法で用いられるフッ素変性粘土鉱物は、好ましくは水膨潤性粘土鉱物をフッ素変性したものであり、例えば合成時にフッ化アンモニウムを導入することで、水膨潤性粘土鉱物の水酸基の少なくとも一部がフッ素に置換されたものが好ましく用いられる。かかるフッ素変性粘土鉱物は、水溶性有機モノマー(B)の重合時に該モノマーと三次元網目構造を形成する必要から水膨潤性を損なわない程度にフッ素の量が置換されるべきであり、好ましくはフッ素含有率が粘土鉱物の0.5〜8質量%程度が好ましい。
上記製造方法において、アミド基または水酸基含有の有機化合物で変性された粘土鉱物としては、水膨潤性粘土鉱物にアミド基または水酸基含有の有機化合物、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどを粘土鉱物の1〜500質量%添加し含ませたものや、プロピレングリコールやエチレングリコール等の水酸基含有有機化合物を粘土鉱物の1〜500質量%添加し含ませたものが挙げられる。
上記製造方法において用いられる水溶性有機モノマー(B)は、水に溶解する性質を有し、形成するポリマーが前記変性粘土鉱物(A)と三次元網目を構成するものである。例えば、粘土鉱物と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等を形成できる官能基を有するものが好ましい。これらの官能基を有する水溶性有機モノマーとしては、具体的には、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機モノマーが挙げられる。なかでもアミド基またはエステル基を有する水溶性有機モノマーが好ましく用いられ、特に好ましくはアミド基を有する水溶性有機モノマーである。なお、本発明で言う水には、水単独以外に、水と混和する有機溶媒との混合溶媒で水を主成分とするものが含まれる。
上記製造方法において、アミド基を有する水溶性有機モノマーの具体例としては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド等のアクリルアミド類、または、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド等のメタクリルアミド類が挙げられる。なお、より好ましくは、N−アルキルアクリルアミドまたはN,N−ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミドが用いられ、特に好ましくはN−アルキルアクリルアミドまたはN,N−ジアルキルアクリルアミドが用いられる。アルキル基としては、炭素数が1〜4のものが好ましく選択される。一方、エステル基を有する水溶性有機モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルが用いられ、具体的には、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
上記製造方法において、かかる水溶性有機モノマーの重合物としては、以上のような単一水溶性有機モノマーからの重合物の他、これらから選ばれる複数の異なる水溶性有機モノマーを重合して得られる共重合物を用いることも有効である。また上記水溶性有機モノマーとそれ以外の有機溶媒可溶性有機モノマーとの共重合物も、得られた重合物が膨潤性粘土鉱物と三次元網目を形成するものであれば使用することが出来る。本発明における水溶性有機モノマーの重合物としては、水溶性または水を吸湿する性質を有する親水性又は両親媒性を有するもの、また水と親和性を有さない疎水性のいずれもが用いられる。
上記製造方法においてにおいて用いられる重合開始剤(C)および触媒(D)としては、公知のラジカル重合開始剤や触媒を適時選択して用いることができる。好ましくは水分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが好ましく用いられる。具体的には、重合開始剤(C)として、水溶性の過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えばVA−044、V−50、V−501(いずれも和光純薬工業株式会社製)の他、Fe2+と過酸化水素との混合物などが例示される。また、触媒(D)としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどは好ましく用いられる。但し、触媒は必ずしも用いなくてもよい。重合温度は、重合触媒や開始剤の種類に合わせて例えば0℃〜100℃が用いられる。重合時間も数十秒〜数十時間の間で行うことが出来る。
上記製造方法において必要に応じて用いられる有機架橋剤(E)としては、汎用の多官能有機架橋剤が用いられ、もっとも代表的にはN,N’−メチレンビスアクリルアミドが例示される。
上記製造方法においては、高分子ヒドロゲルの三次元網目形成を変性粘土鉱物で行うことが必須であり、通常の有機架橋剤を全く用いないで該粘土鉱物と水溶性有機モノマー(B)とで三次元網目を形成することが可能である。特に好ましくは、有機架橋剤を用いずに調製されるが、物性制御のためには、有機架橋剤を併用することが好ましい場合もある。例えば、有機架橋剤を変性粘土鉱物と併用して用いると、過度になった延伸性を減少させ、弾性率を増加させる制御が行える。併用して用いる有機架橋剤の量としては、物性制御に有効であれば良く必ずしも限定されないが、好ましくはモノマーに対して1モル%以下、より好ましくは0.5モル%以下、特に好ましくは0.3モル%以下である。
上記製造方法における水溶性有機モノマー(B)の重合物に対する変性粘土鉱物(A)の質量比としては、0.003〜3であることが好ましく、より好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。該質量比が0.003未満では機械的性質が不十分となりやすく、3を超えては粘土鉱物の均一微細分散が困難となりやすい。
上記製造方法において得られる高分子ゲルは、変性粘土鉱物(A)と水溶性有機モノマー(B)の重合体とが相互作用して三次元網目を形成している。相互作用は、効果的な三次元網目を形成できれば、イオン結合、水素結合、疎水結合、配位結合、共有結合などのいずれか一つまたは複数であって良い。本発明で得られる高分子ゲルは、用いる変性粘土鉱物(A)が水膨潤性粘土鉱物を変性したものであるため、引っ張り試験における破断伸びが未変性の水膨潤性粘土鉱物を用いた場合と比べて増加しているのが特徴である。具体的な破断伸びとしては、用いる水溶性有機モノマー(B)の種類によって異なるが、好ましくは、1000%以上、より好ましくは、1500%以上、特に好ましくは1800%の破断伸びを有するものである。かかる破断伸びの増加は、変性粘土鉱物(A)と水溶性モノマー(B)の重合体との相互作用の少なくとも一部が、未変性の粘土鉱物の場合と比べて、局所的または全面的に弱くなる為であると考えられる。具体的には三次元網目を形成する架橋密度が未変性の粘土鉱物を用いた高分子ゲルに比べて小さく、また粘土鉱物間を結合する高分子鎖の長さが長くなることによると推定される。この結果、多くの場合、得られた高分子ゲルの弾性率は、未変性の粘土鉱物を用いた場合と比べて低い値となる傾向を示す。
上記製造方法において、かかる三次元網目形成を妨げない限り、またはそれを促進する目的で、または得られる高分子ゲルに機能性を付与する目的で有機または無機の各種機能性分子や生体適合性高分子、または粒子などを添加してよい。
上記製造方法において、得られた高分子ゲルは、優れた柔軟性や屈曲性を有し、高い可逆的伸縮性を有する絶縁性部材として有効に用いられる。特に、上記製造方法による高分子ゲルは、フィルム状に成形でき、伸縮性、柔軟性を必要とする、絶縁性部材として用いられる。
またNCゲルとしては、ナノコンポジットゲル−その本質と多様な機能− 原口和敏,公益財団法人 高分子学会 高分子論文集,Vol.65,No10,pp.619−633(Oct.,2008)を参考にして製造したものを用いることができる。また、有機/無機ネットワーク構造の構築によるソフトナノコンポジット材料の創製と物性 財団法人川村理化学研究所・所長 原口和敏,高分子 59巻 5月号 (2010年)を参考にして製造したものを用いることができる。更に、K.Haraguchi,T.Takehisa,Advanced Materials,13,485(2001)を参考にして製造したものを用いることができる。また、K.Haraguchi,T.Takehisa,Advanced Materials,14,1120(2002)を参考にして製造したものを用いることができる。更に米国特許第6,710,104号明細書(USP6710104)、米国特許第6,943,206号明細書(USP6943206)を参考にして製造したものを用いることができる。原口和敏らが溶媒に分散した数十nmの板状無機粘土鉱物(クレイ)を架橋点とするNCゲルを作製し、当該NCゲルは高い延伸性と透明性持つことが報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。具体的には、http://shibayama.issp.u−tokyo.ac。jp/one_point/NC_miyazaki/One_Point.htmlに掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。また、川村理化学研究所 材料化学研究室(室長:原口和敏)の研究内容が報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。具体的には、http://www.kicr.or.jp/intro/material/topics_gell.htmlに掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。また、財団法人川村理化学研究所から市販されているものを用いてもよい。
(G−2)ダブルネットワークゲル(DNゲル;二重網目ゲル)
DNゲルとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、PAMPSゲル:PAAmゲル=1:15〜25、特に1:20(ポリマー分成分比;質量比)の混合物約5〜15質量%、特に10質量%を、溶媒を約85〜95質量%、特に90質量%用い、架橋剤を適量用いて作製したもの等が挙げられる。ここで、PAMPSゲルは、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)ゲルの略称である。PAAmゲルは、ポリアクリルアミドゲルの略称である。また、溶媒としては、非水系溶媒が好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、などを用いることができる、また架橋剤としては、メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)等を用いることができる。また、DNゲルとしては、高強度高分子ゲルの摩擦特性 島津英一郎他、NTN TECHNICAL REVIEW pp45−50,No.76(2008)を参考にして製造したものを用いることができる。また、J.P.Gong,Y.Katsuyama,T.Kurokawa,Y.Osada,Advanced Materials,15(14),1155(2003)を参考にして製造したものを用いることができる。更にM.Huang,H.Furukawa,Y.Tanaka,T.Nakajima,Y.Osada,J.P.Gong,Macromolecules,40(18),6685(2007)を参考にして製造したものを用いることができる。また、中島祐・古川英光・黒川孝幸・田中良巳・ジェン ピン グン:高分子論文集,2008,65,707を参考にして製造したものを用いることができる。更に、北海道大学大学院 先端生命科学研究所 先端融合科学研究部門 ソフト&ウェットマター研究室、中島祐らによってDNゲルが作製され、更に超高強度DNゲルが報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。具体的には、http://altair.sci.hokudai.ac.jp/g2/DN.htmlに掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。また、国際公開第03/093337号パンフレット、特開2009−298971号公報を参考にして製造したものを用いることができる。以下、特開2009−298971号公報に記載の製造方法につき、説明する。
(1)上記製造方法では、まず物理架橋ゲルを形成する。
[物理架橋ゲル]
上記製造方法における物理架橋ゲルは、高分子鎖同士が物理架橋して形成された網目構造(物理架橋網目構造という)を有するゲルである。物理架橋は環境の変化に可逆的である点で、化学架橋と大きく異なる。物理架橋は、水素結合による架橋、結晶化による架橋、イオン結合による架橋のいずれでもよい。
上記製造方法において、物理架橋ゲルは、成形したときの強度が良好で、その後の第一の網目構造を形成する工程、および第二の網目構造または第二の高分子鎖を形成する工程において安定であればよい。
上記製造方法において、物理架橋ゲルをなすポリマー材料としては、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリル酸、アクリル酸系共重合体、フッ化ビニリデン系重合体、アクリロニトリル系重合体などが挙げられる。特に、含水率に対する強度が高い点でポリビニルアルコールが好ましい。
上記製造方法において、ポリマー材料の、ポリスチレンを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(Mn)は2万〜20万程度が好ましく、6万〜10万がより好ましい。上記範囲より小さいと、物理架橋ゲルの強度が不足して、高分子ゲルの中間体として物理架橋ゲルを用いる効果が充分に得られない。上記範囲より大きいと粘度の増大により成型に困難を伴う。
[物理架橋ゲルの形成方法]
上記製造方法においては、ポリマー材料を物理架橋させて、所望の形状に成形された物理架橋ゲルを得る。
具体的には、上記製造方法において、(1)ポリマー材料を溶媒に溶かしたポリマー溶液を用い、所定の形状の鋳型に入れた状態で物理架橋をさせる方法、(2)該ポリマー溶液を用い、ポリマー材料を物理架橋させながら、糸状あるいはフィルム状の形状に連続的に賦形する方法、(3)該ポリマー溶液を用い、ポリマー材料を物理架橋させた後、糸状あるいはフィルム状の形状に連続的に賦形する方法等を用いることができる。
上記製造方法において、物理架橋させる方法は、用いるポリマー材料に応じて公知の手法を適宜用いることができる。例えばポリビニルアルコールは凍結解凍法により物理架橋させることができる。
上記製造方法において、ポリマー溶液における溶媒は、水、または水と有機溶媒の混合溶媒が好ましい。有機溶媒は特に限定されないが、例えばポリビニルアルコールに対してはジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましく用いられる。
上記製造方法において、上記ポリマー溶液におけるポリマー材料の固形分濃度は8〜30質量%が好ましく、10〜15質量%がより好ましい。ポリマー材料の濃度が8質量%より低いと物理架橋ゲルの強度が不足して、高分子ゲルの中間体として物理架橋ゲルを用いる効果が充分に得られない。一方、ポリマー材料の濃度が30質量%より高いと物理架橋ゲルの特性が最終的に得られる高分子ゲルに大きく反映され、第一のモノマーおよび第二のモノマーに由来する(セミ)相互侵入網目構造による好ましい機械的物性(例えば引き裂き強度、伸長性)が損なわれるおそれがある。
(2)次に、上記製造方法において、(A)物理架橋ゲル中に第一のモノマーを導入し、該第一のモノマーを重合し架橋することによって第一の網目構造(第一のポリマー)を形成した後、第二のモノマーを導入し、該第二のモノマーを重合し架橋することによって第二の網目構造(第二のポリマー)を形成する。
上記製造方法において、第一の網目構造(第一のポリマー)および第二の網目構造(第二のポリマー)は、第一および第二のモノマーをそれぞれ重合開始剤および架橋剤の存在下に重合させる方法で形成することが好ましい。重合方法は、熱開始剤によるラジカル重合(熱重合)や、光開始剤による光重合が挙げられる。光重合が好ましい。
上記製造方法において、または(B)物理架橋ゲル中に第一のモノマーを導入し、該第一のモノマーを重合し架橋することによって第一の網目構造(第一のポリマー)を形成した後、第二のモノマーを導入し、該第二のモノマーを重合することによって第二の高分子鎖(第二のポリマー)を形成する。
上記製造方法において、第一の網目構造(第一のポリマー)は、上記(A)における第一の網目構造と同様である。第二の高分子鎖(第二のポリマー)は、架橋剤を使用せず、第二のモノマーを重合開始剤の存在下に重合させて調製することが好ましい。重合方法は熱重合でもよく、光重合でもよい。光重合が好ましい。
上記製造方法において、上記(A)、(B)いずれの場合も、物理架橋ゲルまたは第一の網目構造が不透明で充分に光を透過しない場合には、熱による重合を行うことが好ましい。また、温度によって挙動が変化するモノマーを用いる場合などは光による重合を行うことが好ましい場合もある。第一のモノマーを重合させる方法と、第二のモノマーを重合させる方法は異なってもよい。
[第一のモノマー、第二のモノマー]
上記製造方法において、第一のポリマーを構成する第一のモノマー、および第二のポリマーを構成する第二のモノマーとしては、以下の化合物が例示される。即ち、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリンなどのメタクリルアミド誘導体;アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアクリル酸誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどのメタクリル酸誘導体;アクリロニトリル;2−ビニルピリジン;4−ビニルピリジン;N−ビニルピロリドン;スチレン;スチレンスルホン酸;酢酸ビニル;2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレンまたはフッ化ビニリデン等のフッ素含有モノマー;等が挙げられる。
上記製造方法において、第一のポリマーおよび第二のポリマーはいずれも、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。したがって、第一のモノマーおよび第二のモノマーはそれぞれ1種でもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また上記製造方法において、第一のポリマーが1種のポリマーからなっていてもよく、2種以上のポリマーの混合物であってもよい。同様に第二のポリマーが1種のポリマーからなっていてもよく、2種以上のポリマーの混合物であってもよい。
上記製造方法において、第一のモノマーおよび第二のモノマーのいずれか一方が、正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーを含有し、他方が電気的に中性である不飽和モノマーを含有することが好ましい。これにより、第一のポリマー内への、第二のポリマーの分子鎖の侵入が生じ易くなる。第一のモノマーが正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーを含有し、第二のモノマーが電気的に中性である不飽和モノマーを含有することがより好ましい。
上記製造方法において、正又は負に荷電し得る基を有する不飽和モノマーとしては、酸性基(例えば、カルボキシ基、リン酸基またはスルホン酸基)や塩基性基(例えば、アミノ基)を有する不飽和モノマーが好ましい。具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸又はそれらの塩を挙げることができる。
上記製造方法において、電気的に中性である不飽和モノマーとしては、例えば、ジメチルシロキサン、スチレン(St)、アクリルアミド(AAm)、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチル−アクリルアミド、ビニルピリジン、スチレン、メチルメククリレート(MMA)、フッ素含有不飽和モノマー(例えば、トリフルオロエチルアクリレート(TFE))、ヒドロキシエチルアクリレート又は酢酸ビニルを挙げることができる。
[第一のモノマーの導入方法]
上記製造方法において、物理架橋ゲル中に、第一のモノマーを「導入し」とは、物理架橋ゲル中に含まれる溶媒に、第一のモノマーを均一に拡散させることを指す。
上記製造方法において、導入方法としては、第一のモノマーを溶解した第一の溶液中に物理架橋ゲルを浸漬し、物理架橋ゲルが吸水し、膨潤していく過程で第一のモノマーを内部に取り込ませる方法が簡便である。
上記製造方法において、第一の溶液は、第一のモノマー、重合開始剤、架橋剤および媒体を含有する。媒体は特に限定されない。例えば水が好ましい。
重合開始剤は特に限定されず、モノマーの種類および重合方法に応じて公知のものを適宜用いることができる。例えば、AMPS、AAmまたはAAを光重合する場合は、α−ケトグルタル酸を好適に用いることができる。
上記製造方法において、架橋剤も特に限定されず、モノマーの種類に応じて公知のものを適宜用いることができる。例えばモノマーとしてAMPS、AAmまたはAAを用いる場合には、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)を好適に用いることができる。
上記製造方法において、第一の溶液における第一のモノマーの含有量(仕込みモル濃度)は、高すぎると最終的に得られる高分子ゲルが硬くなりすぎ、低すぎると柔らかくなりすぎる。したがって0.5〜4mol/Lが好ましく、1〜2mol/Lがより好ましい。
上記製造方法において、第一の溶液における架橋剤の含有量は、第一のモノマーの量に対して多すぎると最終的に得られる高分子ゲルが変形に対して脆く、少なすぎると荷重に対して弱くなってしまう。したがって第一の溶液中の第一のモノマーの含有量に対して1〜20mol%が好ましく、2〜10mol%がより好ましい。本明細書において、モノマーの仕込みモル濃度に対する架橋剤のモル濃度の比をパーセントで表した値を「架橋密度」ということもある。
上記製造方法において、第一の溶液における開始剤の含有量は、第一のモノマーの量に対して多すぎると分子量が小さいためゲルが弱くなり、少なすぎるとゲル化しなくなってしまう。したがって第一の溶液中の第一のモノマーの含有量に対して0.001〜5mol%が好ましく、0.01〜1mol%がより好ましい。
[第二のモノマーの導入方法]
上記製造方法において、物理架橋ゲル中に第一のモノマーを導入して重合、架橋させると、物理架橋ゲルの網目架橋構造(物理架橋網目構造)と、第一のポリマーからなる第一の網目構造とが互いに絡み合った第一の相互侵入網目構造が形成される。
上記製造方法において、第二のモノマーは、この第一の相互侵入網目構造を有するゲル中に含まれる溶媒に均一に拡散するように導入する。
上記製造方法において、導入方法としては、第二のモノマーを溶解した第二の溶液中に前記第一の相互侵入網目構造を有するゲルを浸漬し、物理架橋網目構造および第一の網目構造が吸水し、膨潤していく過程で第二のモノマーを第一の相互侵入網目構造内に取り込ませる方法が簡便である。
上記製造方法において、第二の溶液は、第二のモノマー、重合開始剤、および媒体を含有する。上記(A)の場合は、さらに架橋剤を含有する。媒体は特に限定されない。例えば水が好ましい。重合開始剤および架橋剤は第一の溶液と同様のものを用いることができる。
上記製造方法において、第二の溶液における第二のモノマーの含有量(仕込みモル濃度)は、高すぎると最終的に得られる高分子ゲルがしなやかさに欠け、低すぎると強度を発揮しない。したがって0.5〜10mol/Lが好ましく、0.5〜8mol/Lがより好ましく、1〜4mol/Lがさらに好ましく、2〜4mol/Lが特に好ましい。
上記製造方法において、第二の溶液における開始剤の含有量は、第二のモノマーの量に対して多すぎると最終的に得られる高分子ゲルが強度を欠き、少なすぎるとゲル化しないおそれがある。したがって第二の溶液中の第二のモノマーの含有量に対して0.005〜0.5mol%が好ましく、0.01〜0.1mol%がより好ましい。
上記製造方法において、第二のポリマーが架橋網目構造を有する場合(上記(A)の場合)、第二の溶液における架橋剤の含有量は、第二のモノマーの量に対して多すぎると強度を著しく欠き、少なすぎると第一のポリマーからなる粒子をつなぎとめることができない。したがって第二の溶液中の第二のモノマーの含有量に対して0.001〜5mol%が好ましく、0.001〜1mol%がより好ましく、0.005〜0.3mol%がさらに好ましく、0.01〜0.03mol%が特に好ましい。
(高分子ゲル)
上記製造方法において、上記(A)または(B)の方法により高分子ゲルが得られる。
上記製造方法において、上記(A)の場合、前記第一の相互侵入網目構造と、第二のモノマーを重合し架橋することにより形成された第二の網目構造とが絡み合った相互侵入網目構造が形成される。したがって物理架橋網目構造と、第一の網目構造と、第二の網目構造とが互いに絡み合った相互侵入網目構造を有する三重網目構造の高分子ゲルが得られる。
上記製造方法において、上記(B)の場合は、前記第一の相互侵入網目構造と、第二のモノマーを重合することにより形成された第二の高分子鎖(架橋点を持たず直鎖状)とが絡み合ったセミ相互侵入網目構造が形成される。したがって物理架橋網目構造と、第一の網目構造と、第二の高分子鎖とが互いに絡み合ったセミ相互侵入網目構造を有する高分子ゲル(ダブルネットワークゲル)が得られる。
上記製造方法において、上記(A)、(B)いずれの場合も、最終的に得られる高分子ゲルにおいて、第一のモノマーに由来する単位と、第二のモノマーに由来する単位のモル比(第一:第二)が、1:2〜1:100であると、引張時に良好な伸びと強度が得られやすい。第二のモノマー量が少なくなると、引張時に充分な伸びを発現できない可能性がある。また、第二のモノマー量が多くなると、引張時に充分な強度を発現できない可能性がある。これらのバランスを考えると、該モル比の好ましい範囲は1:5〜1:80であり、更に好ましくは1:10〜1:50である。
[機能性材料の混入]
上記製造方法による高分子ゲルには、必要に応じて、公知の着色剤、可塑剤、安定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、難燃剤、等の添加剤を含有させることができる。
上記製造方法において、これらの添加剤を高分子ゲルに含有させる方法としては、例えば、高分子量の添加剤であれば重合時の溶液に添加することが好ましく、低分子量の添加剤であれば最終的に得られた高分子ゲルに自由拡散で含有させることが好ましい。
上記製造方法による高分子ゲルは、製造工程中、初期に成形した物理架橋ゲルの形状が保持されるので、中間体の強度が向上する。したがって中間体の取り扱い性が良いため、大きい形状や複雑な形状の成形も可能であり、連続生産プロセスにも適用できる。また物理架橋ゲルを用いたことによって、最終的に得られる高分子ゲルの引き裂き強度等の機械的物性の低下も無く、良好な機械的物性を有する高分子ゲルが得られる。
上記製造方法によれば、(セミ)相互侵入網目構造を有し、中間段階での強度が良好であり、成形形状の自由度が高く、連続生産も可能である高分子ゲルが得られる。これらの高分子ゲル、特にダブルネットワークゲルは、本発明の絶縁性部材として好適に用いることができる。
(G−3)トポロジカルゲル(TPゲル;環動ゲル、ポリロタキサンゲル)
TPゲルとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリエチレングリコールやポリプリピレングリコールに、直径約0.5〜1.5nm、特に1nmの環状分子シクロデキストリンを通したもの等が挙げられる。なお、トポロジカルゲルは、TPゲル、環動ゲルないしポリロタキサンゲルとも呼ばれ、広義にはゲル素材以外の高分子材料を有する環動高分子材料までを含むものとする。ポリロタキサンゲルとしては、例えば、特開2009−270120号公報、特開2009−270119号公報、特開2008−291267号公報、特開2007−091938号公報、特開2007−063517号公報、特開2007−063413号公報、特開2007−063412号公報、特開2007−063411号公報ないし特開2007−063389号公報、特許第3475252号公報、特開平6−025307号公報などに記載されている内容などを参考にして製造したものを用いることもできる。
また環動高分子材料としては、東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 伊藤・横山研究室の研究内容紹介として、環動高分子材料の研究内容が報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。具体的には、http://www.molle.k.u−tokyo.ac.jp/research/research_2.htmlに掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。またポリロタキサンを利用してユニークな8の字架橋点を持つトポロジカルゲルが伊藤耕三らによって作製されたことが報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。加えて、その透明かつ高い延伸性が発見された、8の字架橋点が可動であるという物理ゲルや化学ゲルに分類されない新しいゲルであることも報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。具体的には、http://www.molle.k.u−tokyo.ac.jp/contents.html#01に掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。更に、長い高分子ポリエチレングリコールに、直径約1nmの環状分子デキストリンを数百個通し、抜けないように両末端を留めて高分子ネックレス(ポリロタキサン)を作る。これを溶媒に溶かして架橋剤を加える。こうして得られた環動ゲルの8の字架橋点は滑車の働きをして力を等配分するため、強くてよく伸びる。高さを20分の1に圧縮しても壊れず、引っ張れば最高20倍にも伸び、離せば元に戻ることも報告されている内容を参考にして製造したものを用いることができる。具体的には、http://www.asmi.jp.tecに掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。また、アドバンスドマテリアル社から市販されているものを用いてもよい。
更に、移動架橋を有するネットワーク高分子の合成研究 久保雅敬,2008.、平成18〜19年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書に記載されている内容などを参考にして製造したものを用いることもできる。具体的には、三重大学生命科学研究支援センター年報.2005,創刊号,p.144−152に掲載された内容などを参考にして製造したものを用いることもできる。さらにこの文献に一部加筆した、http://hdl.handle.net/10076/9308に掲載された内容を参考にして製造したものを用いることができる。詳しくは、「環状マクロモノマーを用いるトポロジカルゲルの合成」として、以下の記載内容を参考に合成することができる。
以上が本実施形態の積層構造電池10と特徴部分(絶縁性部材22)の説明であり、他の構成要件(構成部材)についても、既存の積層構造電池と同様のものを用いることができることから、以下に簡単に説明する。なお、積層構造電池10の各構成要件(構成部材)については、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態も同様に採用されうる。
(1)集電体
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の面または両面に活物質層が配置される。集電体を構成する材料に特に制限はなく、例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された導電性を有する樹脂が採用されうる。
金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも導電性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、および銅が好ましい。
金属を用いた集電体の形態としては金属箔の他に、金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層、金属配線を用いてもよい。金属蒸着層及び金属メッキ層は、活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属蒸着層や金属メッキ層を形成(配置)することができる。金属配線も活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属配線を形成(配置)することができる。また、金属配線にプライマ層を含浸させて、熱圧着により貼り付けることができる。さらに、金属配線としてパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートを用いる場合には、パンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートの両面に電極スラリーを塗布、乾燥することで活物質層に挟まれた金属配線(集電体)を配置することができる。金属箔を用いる場合にも、金属箔上(片面又は両面)に電極スラリーを塗布、乾燥することで、活物質層の片面に金属箔(集電体)を配置することができる。また、導電性プライマ層は、基本的にはカーボン(鎖状、繊維状)や金属フィラー(集電体材料に用いられるアルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル粉など)に樹脂を混合して作製することができる。配合は様々である。これを活物質層の片面に塗布、乾燥することで形成(配置)することができる。
上記導電性プライマ層は、導電性を有する樹脂層を含む。好適には、導電性プライマ層は、導電性を有する樹脂層からなる。導電性プライマ層が導電性を有するには、具体的な形態として、1)樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態、2)樹脂層が樹脂および導電性フィラー(導電材)を含む形態が挙げられる。
導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
上記2)の形態に用いられる導電性フィラー(導電材)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
具体的には、アルミニウム材、ステンレス(SUS)材、カーボン材、銀材、金材、銅材、チタン材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくは銀材、金材、アルミニウム材、ステンレス材、カーボン材、さらに好ましくはカーボン材である。また、これらの導電性フィラー(導電材)は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電材)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
前記カーボン材としては、例えば、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。これらのカーボン材は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン材は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン材は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン材を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
導電性フィラー(導電材)の形状は、特に制限はなく、粒子状、粉末状、繊維状、板状、塊状、布状、またはメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。例えば、樹脂に対して広範囲に亘って導電性を付与したい場合は、粒子状の導電材料を使用することが好ましい。一方、樹脂において特定方向への導電性をより向上させたい場合は、繊維状等の形状に一定の方向性を有するような導電材料を使用することが好ましい。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
また、樹脂層が導電性フィラーを含む形態の場合、樹脂層を形成する樹脂は、上記導電性フィラーに加えて、当該導電性フィラーを結着させる導電性のない高分子材料を含んでいてもよい。樹脂層の構成材料として導電性のない高分子材料を用いることで、導電性フィラーの結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。高分子材料は、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択される。
導電性のない高分子材料の例としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
導電性フィラーの含有量も特に制限はない。特に、樹脂が導電性高分子材料を含み、十分な導電性が確保できる場合は、導電性フィラーを必ずしも添加する必要はない。しかしながら、樹脂が非導電性高分子材料のみからなる場合は、導電性を付与するために導電性フィラーの添加が必須となる。この際の導電性フィラーの含有量は、非導電性高分子材料の全質量に対して、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは30〜85質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。かような量の導電性フィラーを樹脂に添加することにより、樹脂の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料にも十分な導電性を付与することができる。
上記導電性プライマ層には、導電性フィラーおよび樹脂の他、他の添加剤を含んでいてもよいが、好ましくは、導電性フィラーおよび樹脂からなる。
また、上記集電体を構成する材料のうち、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限されないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限されないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体の厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜40μmである。後述する自立電極では、薄膜化が可能であることから、好ましくは1〜18μm、より好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜13μmである。これは、自立電極を作製する際には、従来の塗工・乾燥工程を経ることなく作製可能である。そのため、従来の塗工・乾燥工程を経る必要のない金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層若しくは金属配線を集電体を用いる場合には、塗工・乾燥工程で必要とされる引張り強度を有している必要がない。その分、必要に応じ、集電体の厚みを薄くすることができ、集電体の設計の自由度が向上し、電極、ひいては電池の軽量化にも寄与する。
集電体として複数の貫通孔を有するパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシート等を用いる場合、当該貫通孔の形状としては、四角形、菱形、亀甲形状、六角形、丸形、角型、星形、十文字形などが挙げられる。かような所定形状の多数の孔をプレス加工により、例えば、千鳥配置や、並列配置となるように形成したものが、いわゆるパンチングメタルシートなどである。また、千鳥状の切れ目を入れたシートを引き伸ばして略ひし形の貫通孔を多数形成したものが、いわゆるエキスパンドメタルシートなどである。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の開口率は、特に限定されない。ただし、集電体の開口率の下限の目安は、好ましくは10面積%以上、より好ましくは30面積%以上、さらに好ましくは50面積%以上、さらに好ましくは70面積%以上、さらに好ましくは90面積%以上である。このように、本実施形態の電極においては、90面積%以上の開口率を有する集電体も使用することができる。また、上限としては、例えば、99面積%以下、あるいは、97面積%以下などである。このように、有意に大きな開口率を有する集電体を有して形成される電極を備える積層構造電池10は、その重量を有意に減少させることができ、ひいては、容量を増加させることができ、高密度化をすることができる。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の孔径(開口径)も同様に、特に制限されない。ただし、集電体の開口径の下限の目安は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは150μm以上である。上限としては、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下程度である。なお、ここでいう開口径とは、貫通孔=開口部の外接円の直径である。外接円の直径は、レーザー顕微鏡や工具顕微鏡などにより集電体の表面観察を行い、開口部に外接円をフィッティングさせ、それを平均化したものである。
(2)電極(正極および負極)及び電極活物質層
正極および負極は、リチウムイオンの授受により電気エネルギーを生み出す機能を有する。正極は、正極活物質を必須に含み、負極活は負極活物質を必須に含む。
これらの電極構造は、積層構造電池の場合、図1の形態のように上記集電体の表面に活物質を含む活物質層が形成されてなる構造である。一方、双極型二次電池の場合の電極(双極型電極)は、集電体の一方の面に正極活物質を含む正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質を含む負極活物質層が形成されてなる構造を有する。すなわち、集電体を介して正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)が一体化した形態を有する。なお、活物質層には、活物質以外にも必要に応じて導電助剤、バインダ、更には電解質として電解質塩(リチウム塩)やイオン伝導性ポリマーなどの添加剤が含まれうる。
(2a)正極活物質
正極活物質としては、従来公知のものを使用することができる。
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni,Co,Mn)O、LiMnO、LiMnO−LiMO系(M=Co、Niなど)固溶体およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜25μmである。
正極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは正極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97%、さらに好ましくは80〜96%の範囲である。
(2b)負極活物質
負極活物質は、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。このうち、リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。
上記活物質のうち、炭素材料、ならびに/またはSi、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましく、炭素材料、Si、またはSnの元素を含むことがより好ましい。炭素材料のうち、リチウム対比放電電位が低い黒鉛を用いることがさらに好ましい。
上記負極活物質を負極として使用する際には、負極活物質を含む負極活物質層を板状に成形しそのまま負極としてもよいし、集電体の表面に上記負極活物質粒子を含む負極活物質層を形成して負極としてもよい。後者の形態における負極活物質粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、負極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μmであり、さらに高出力化の観点から、より好ましくは1〜25μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、負極活物質が二次粒子である場合には該二次粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本実施形態では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、負極活物質が凝集、塊状などにより二次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる負極活物質の粒径および一次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径を使用できる。なお、負極活物質粒子の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
負極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは負極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97%、さらに好ましくは80〜96%の範囲である。
(2b)導電助剤
導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、膨張黒鉛などが挙げられる。しかし、導電助剤がこれらに限定されないことはいうまでもない。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上の範囲である。また、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下の範囲である。活物質自体の電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる正極活物質層での導電助剤の配合比(含有量)を上記範囲内に規定することで以下の効果が発現される。即ち、電極反応を阻害することなく、本実施形態の効果を発現できる。加えて、電子導電性を十分に担保することができ、電極密度の低下によるエネルギー密度の低下を抑制でき、ひいては電極密度の向上によるエネルギー密度の向上を図ることができる。
負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量としては、負極活物質により異なることから一義的には規定することができない。即ち、負極活物質自体が優れた電子導電性を有する、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、金属材料を用いる場合には、負極活物質層への導電助剤の含有は特に必要がない。導電助剤を含有するとしても、負極側の電極構成材料の総量に対して、せいぜい0.1〜1質量%の範囲で十分である。一方、正極活物質と同様に電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる。リチウム合金系負極材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)などの負極活物質を用いる場合には、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量と同程度の含有量とするのが望ましい。即ち、負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量も、負極側の電極構成材料の総量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%の範囲とするのが望ましい。
(2c)バインダ
バインダは、活物質層中の構成部材同士または活物質層と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。バインダとしては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。
バインダの量は、活物質等を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは電極活物質層形成用原料の総量に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
(2d)電解質塩(リチウム塩)
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2e)イオン伝導性ポリマー
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2f)自立電極に用いられる多孔質骨格体
多孔質骨格体としては、不織布、織布、金属発泡体(ないし金属多孔体)、カーボンペーパーなどが望ましい。このうち、多孔質骨格体に用いられる不織布は、繊維が異方向に重なって形成されている。不織布には、樹脂製の材料が使用されており、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ナイロン、EVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)等の繊維が適用されうる。なお、多孔質骨格体として、不織布以外の形態としては、樹脂製の織布(規則性のある樹脂多孔体)、金属発泡体ないし金属多孔体、カーボンペーパーなどが挙げられる。ここで、樹脂製の織布に用いられる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、EVA樹脂などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。金属発泡体ないし金属多孔体としては、好ましくは、Cu、Ni、Al、Tiの少なくとも1種の金属発泡体ないし金属多孔体などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。好ましくは、Cu、Alの少なくとも1種の金属多孔体、カーボンペーパー、ポリプロピレン、ポリエチレン、EVA樹脂製の不織布である。
活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、2体積%以上、好ましくは7体積%以上の範囲にである。一方、活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、28体積%以下、好ましくは12体積%以下の範囲である。活物質層に占める多孔質骨格体の割合が上記範囲内であれば、電極反応を阻害することない点で優れている。
多孔質骨格体の空孔率(空隙率)としては、好ましくは70%〜98%、より好ましくは90〜95%である。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。
多孔質骨格体の空孔径としては、世の中で使用されている活物質が十分に充填できる50〜100μm程度が望ましい。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。即ち、多孔質骨格体の空孔径が100μm以下であれば、本実施形態の効果が有効に得られ、当該空孔径が50μm以上であれば、使用する活物質の粒径の制約なく使用用途に応じて適切な活物質を適宜選択することができる点で優れている。
多孔質骨格体の厚さは、活物質層の厚さより小さければよく、通常1〜120μm程度、好ましくは1〜20μm程度であることが好ましい。
各活物質層の厚さについても特に制限はないが、電子抵抗を抑えるという観点から、各活物質層の厚さ(片面)は、1〜120μm程度であることが好ましい。
(3)電解質層
電解質層は、正極と負極との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられうる。なお、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質のいずれの場合でも、電解質層にセパレータを用いるのが望ましい。
(3a)液体電解質
液体電解質は、溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解したものである。溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合物として使用してもよい。また、支持塩(リチウム塩)としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
(3b)ゲル電解質
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩等の電解質塩がよく溶解しうる。
(3c)高分子固体電解質
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
(3d)セパレータ
セパレータとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができる。例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
前記ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その気孔率(空孔率)は20〜80%であることが望ましい。
前記不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。
前記不織布セパレータの気孔率(空孔率)は45〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
(4)接着層
接着層は、正極ないし負極と、電解質層のセパレータのいずれにも接着して、セパレータの熱収縮による短絡を防止する目的で設けられてなるものであればよい。
接着層に用いられる材料としては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に制限されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン(カルボキシル基を一部側鎖に持つもの)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アラミド等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適な接着層に用いられる材料は、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり接着層に使用が可能となる。これらの接着層に用いられる材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、接着層に用いられる材料がこれらに限定されないことはいうまでもない。これらのうち、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などは、正極側、負極側のいすれの電位にも強いことから、いずれにも適用可能である。また、SBRなどは、負極電位に強いことから負極側に用いるのが好ましい。更に、PTFEなどは、正極電位に強いことから正極側に用いるのが好ましい。
接着層の厚さは、上記目的が達成できる範囲内でできるだけ薄くするのが,Liイオンの拡散距離が長くなるのを抑制でき、電池の軽量化にも寄与する点で望ましい。かかる観点から接着層の厚さは、接着層の形態にもよるが、セパレータ及び電極表面全体(全面)に接着層が存在している場合には、0.1〜5μm、好ましくは1〜2μmの範囲である。接着層の厚さが0.1μm以上であれば、製造が容易にできるため好ましく、接着層の厚さが5μm以下であれば、電池の負荷特性に悪影響を及ぼす虞が小さいため好ましい。
また、セパレータ及び電極表面全体ににストライプ状またはドット状に接着部(接着層)が存在している場合には、接着層の厚さは、0.1〜5μm、好ましくは1〜2μmの範囲である。接着層の厚さが0.1μm以上であれば、製造が容易にできるため好ましく、接着層の厚さが5μm以下であれば、電池の負荷特性に悪影響を及ぼす虞が小さいため好ましい。
接着層の厚さは、接着層が脆くうまく剥がせない場合もあり得ることから、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から計測することができる。
接着層の気孔率(以下、空孔率ともいう)は、接着層の形態にもよるが、セパレータ及び電極表面全体(全面)に接着層が存在している場合やストライプ状またはドット状に接着部(接着層)が存在している場合には、60%以上、好ましくは60〜90%である。60%以上とすることで、Liイオンの拡散を妨げない点で優れている。
但し、ドット状に接着部を設ける場合であって、接着部の割合が非常に小さい場合に、接着部(接着層)の空孔率は、むしろ小さい方がよく、10%以下、好ましくは0%である。これは、割合の大きい非接着部が、新たな電解液保持部として有効に機能するためである。樹脂部の割合が非常に小さい場合の樹脂部の割合は、接着性と電池性能とを考慮して適宜決定すればよい。
接着層の形態としては、上記目的を達成できるものであればよく、例えば、(i)セパレータ及び電極の表面全体(全面)に接着層が存在していてもよい。この場合には、当該接着部が、保液空間を有するべく、多孔質層となっている必要がある(上記空孔率参照)。あるいは、(ii)セパレータ及び電極表面に、接着層の存在する接着部と接着層の存在しない非接着部が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい。接着部は、セパレータ及び電極表面に均等性が保たれるように配置されているのが望ましい。上記(ii)の場合には、非接着部が保液空間として有効に機能することから、当該接着部(接着層)は、保液空間を有する多孔質層であってもよい。或いは、保液空間が存在しない無孔質(=気孔率(空孔率)0%)であってもよい。特にドット状に接着部を設ける場合(=接着部の割合が非常に小さい場合)に、当該接着部を保液空間が存在しない無孔質(=気孔率(空孔率)0%)とするのがよい。
図7Aは、電極表面にストライプ状の接着部を設けた様子を表す平面図である。図7B、7Cは、電極表面にドット状の接着部を設けた様子を表す平面図である。
具体的には、(iia)図7Aに示すように、セパレータ及び電極表面31に、ストライプ状の接着部33aとストライプ(33a)ストライプ(33a)の間に非接着部35が形成されるように接着層(33a)が間隔をあけて存在していてもよい。(iib)図7B、Cに示すように、セパレータ及び電極表面31に、ドット状の接着部33bとドット(33b)とドット(33b)の間に非接着部35が形成されるように接着層(33b)が間隔をあけて点在して存在していてもよい。(iib)の例としては、(b1)セパレータ及び電極表面31の四隅だけにドット状の接着部33bが存在し、四隅のドット(接着部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい(図7B)。或いは(b2)セパレータ及び電極表面31にドット状の接着部33bが均等性を保つように点在し、ドット(33b)とドット(33b)の間のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい。例えば、セパレータ及び電極表面31に、横3点×縦4点で合計12点のドット状の接着部33bが等間隔に点在し、12点のドット(接着部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい(図7C)。但し、これらの形態に何ら制限されるものではなく、格子状、菱形格子状、短冊状、連続又は不連続な円や楕円などのリング状や多角形状、波形状、半円状、不定形状など、上記目的を達成できるものであれば他のいかなる形態でもよい。
また、接着層の軟化点は、セパレータの軟化点よりも低いのが好ましい。これは、セパレータの形状を保ちながら、接着層の表面を軟化させて接着性を出すことで十分に接着させることができる点で優れている。かかる観点から、最も軟化点の高い積層方向の外側の接着層の軟化点が、セパレータの軟化点よりも低いのが望ましい。具体的には、最も軟化点の高い積層方向の外側の接着層の軟化点を、セパレータの軟化点より5〜10℃低くするのが好ましい。
ここで、接着層の軟化点温度およびセパレータの軟化点温度は、いずれもビカット軟化温度(ビカット軟化点、Vicat Softening Temperature、VST)とし、JIS K7206により測定することができる。JIS K7206の概要を説明すれば、加熱浴槽の中に規定された寸法の試験片を据え、中央部に一定の断面積(JIS K7206では1mm)の端面を押し当てた状態で浴槽の温度を上昇させる。試験片に端面が一定の深さまで食い込んだ時の温度をビカット軟化温度(単位:℃)とするものである。
接着層の形成は、予めセパレータ表面に、接着層を形成するための接着材料を適当な溶剤に溶解した接着スラリー(濃度変化により接着層の空孔率を調整可能)を所望の厚さ、形状(全面、ストライプ状、ドット状等)に塗布、乾燥する。これによりセパレータと接着層を一体化できる(接着セパレータという)。なお、正負極のいずれか一方に接着層を設ける場合、いずれでも本実施形態の効果は同じである。ただ、電極サイズが異なる場合には、サイズの大きい電極側(通常、負極側)に設けた方が、サイズの大きい電極と同じサイズのセパレータが熱収縮して、サイズの小さい電極よりも小さくなるまでは、対向する電極同士が接触しないため有利ともいえる。この接着セパレータを通常のセパレータと同様にして、正極、負極の間に挟み込んで、発電要素21を形成する。その後、発電要素21の上下方向から熱プレス装置でホットプレスすることで、接着セパレータの接着層(接着部)の表面部分を軟化させて接着性をださせて電極とも接着させる。これにより、電極−セパレータ間を接着してなる接着層を形成することができる。なお、予め電極(正極ないし負極)側に接着スラリーを塗布して樹脂電極(電極と接着層を一体化したもの)を作製してもよい。その後は、同様にして発電要素21を形成し、ホットプレスすることで、電極−セパレータ間を接着してなる接着層を形成することもできる。
(5)集電板(集電タブ;外部リード)
リチウムイオン二次電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電板(集電タブ)25、27を用いてもよい。集電板(集電タブ)25、27は、集電体11、12に電気的に接続され、外装材29であるラミネートフィルム等の外部に取り出されている。
集電板25、27を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板(正極タブ)25と負極集電板(負極タブ)27とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
(5a)電極(正極および負極)端子リード(内部リード)
図1に示す積層構造電池10においては、負極端子リードおよび正極端子リード23、24をそれぞれ介して、集電体11、12は集電板(集電タブ)25、26と電気的に接続されていてもよい。但し、集電体11、12の一部を電極端子リード(内部リード)のように伸ばして、直接集電板(集電タブ)25、26と電気的に接続することもできる。したがって、電極端子リード23、24は、必要に応じて適宜用いればよい、任意構成部材といえるものである。
負極および正極端子リード23、24の材料は、公知の積層型二次電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(6)電池外装材
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができる。そのほか、図1に示すようなラミネートフィルム29を外装材として用いて、発電要素21をパックしてもよい。ラミネートフィルムは、軽量化および熱伝導性の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムなどのシート材からなる。接合は、熱溶着や超音波溶着、溶接を適用することができる。具体的には、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。このようなラミネートフィルムを用いることにより、外装材の開封、容量回復材の添加、外装材の再封止を容易に行うことができる。また、高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点からもラミネートフィルム外装材が望ましい。なお、ラミネートフィルム外装材29は、2枚の外装部材(ラミネートフィルム)の外周部を接合して内部を密閉する電池外装材としてもよいし、。なお外装部材(ラミネートフィルム)は別体に限らず、例えば1枚の外装部材(ラミネートフィルム)を二つ折りにしたものを用いてもよい。
上記の積層構造のリチウムイオン二次電池10は、従来公知の製造方法により製造することができる。
なお、電池の製造段階で、集電体、正極、負極、セパレータ(接着層を含む場合もある)、タブ、リード等は出来上がった時点でどうしても、重量や厚みにばらつきが生じる。そのためこれら電極などにつき、1枚づつ導通チェック(電子抵抗の違い、若しくは電極をX線で見たときのバインダの偏析等のチェックなど、より簡単に特性(抵抗の違いによる序列)がチェックの手法があれば、その手法を用いればよい)がなされる。この際に、例えば、導通性の良い(抵抗に低い)ものから順に整理したり、導通性能ごとにまとめて(2以上のグループに)区分しておくようにしておく。その後、単セルを組む際に、上記した単セル抵抗を小さくするための具体的な要件(手段)に合致するように整理ないし区分したもののの中から選択的に抜き出して組合せることで、本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することもできる。この場合にも製造段階で、わざわざ特性の異なる集電体、正極、負極、セパレータ(接着層を含む場合もある)、タブ、リードなどを別々に作製する必要がない。例えば、上記した単セル抵抗を小さくするための具体的な要件(手段)に要件に合致する原材料(セパレータや集電体等)を揃える(=部品点数の増大及び管理の煩雑さ)必要がない。また正極、負極等の製造条件(導電助剤量、バインダ量、プレス条件(=空孔率の調整)等を細かく変更する必要もない。そのため、本実施形態を実現する上で、極めて有効な手段と成り得るものである。当該手法は、組電池及び複合組電池においても適用できる、極めて有効な手段と成り得るものである。
上記リチウムイオン二次電池(積層構造電池)10は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
なお、上記実施形態は、積層構造電池として、積層型のリチウムイオン二次電池を例示したが、これに制限されるわけではなく、他のタイプの二次電池、さらには、一次電池にも適用できる。
以上説明した本実施形態の積層構造電池は、以下の効果を有する。
本実施形態の積層構造電池は、所定の伸び率で内部応力が破断応力に満たない絶縁性部材を発電要素の積層方向の投影面を被覆することで、電池に釘等の異物が刺さった場合でも、釘等の異物と、電極と、導電部材と電流パスを絶縁・遮断することができる。
また、絶縁性部材にゲル素材、とりわけ、DNゲル、NCゲルないしTCゲルを用いることで、釘等の異物が積層構造電池一個を貫通しても、異物を被覆することができ、絶縁性を保つことができる点で優れている(図3B参照)。
<第2実施形態の組電池>
本実施形態(第2実施形態)の組電池(モジュール)では、複数の積層構造電池を直列及び/又は並列に接続して積層して構成した組電池において、上記積層構造電池10が、少なくとも組電池の最も端側(両端側)に配置されていることを特徴とするものである。このように、組電池の端側(更には各電池間)に本実施形態の絶縁性部材を設置することで、組電池内に異物が侵入しても、異物を被覆し積層構造電池の短絡を防ぐことができる。
本実施形態の組電池では、異物は外部から刺さるため、複数の積層構造電池10から構成される組電池には、組電池の外表面である最も端側の電池の最外表面のみに絶縁性部材を配置することで、組電池の小型化に寄与することができる。
また、図4に示すように、組電池の外表面である最も端側の電池の最外表面以外にも、複数の積層構造電池間に絶縁性部材に設けてもよい。これは、積層構造電池を複数用いて組電池とした場合、積層構造電池同士がバスバ等の導電部材で接続されている。こうした構成で釘等の異物が2つ以上の積層構造電池を貫通して刺さった場合、釘等の異物と、各積層構造電池内の電極と、バスバ等の導電部材と、で電流パスが形成される。こうした組電池における電池外部のバスバ等の導電部材を通じて形成される組電池に固有な電流パスによる短絡電流の発生を特許文献1に記載の既存の積層構造電池を用いた組電池では防止できない。
一方、組電池の端側(更には各電池間)に絶縁性部材を設けた場合には、1個分以上の積層構造電池の厚さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たなければ、異物が組電池に刺さっても絶縁性部材は異物により突き破られない。特に組電池の端側(更には各電池間)に絶縁性部材を設けた場合に、好ましくは、1.5個分以上、より好ましくは2個分以上の積層構造電池の厚さまで伸ばした際の伸び率で、内部応力が破断応力に満たないのが望ましい。こうした絶縁性部材を設けた組電池では、異物が組電池の複数の電池を貫通して刺さっても絶縁性部材は異物により突き破られない。即ち、組電池に釘等の異物が刺さった場合でも、本実施形態の絶縁性部材のように所定の伸びをしたときの内部応力が破断応力に満たない場合、絶縁性部材は釘等の異物により突き破られない。よって、組電池に設けられた絶縁性部材は、釘等の異物に貫通されずに延びて釘等の異物を被覆できる。即ち、組電池に設けられた絶縁性部材は、釘等の尖った異物の侵入速度及び侵入量に追従して、釘等の異物を被覆できる。その結果、釘等の異物の表面は、組電池の端側(更には各電池間)に設けられた絶縁性部材で被覆され、組電池内の1つ又は2つ以上の電池に釘等の異物が刺さった場合でも、1つ乃至2つ以上の電池内部の各電極と釘等の異物とは電気的に絶縁が保たれる。そのため、1つ乃至2つ以上の電池に釘等の異物が刺さった場合でも、釘等の異物と、電極と、バスバ等の電池外部の導電部材との間で組電池に固有な電流パスが形成されるのを防止することができる点で優れている。
以下、当該組電池の実施形態につき、図面を用いて説明する。代表的な組電池には、積層構造電池を組合せた電池が挙げられる。
図8は、積層構造電池(24V、50mAh)を2直20並に接続した組電池(42V、1Ah)の模式図である。(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。ここで、2直20並に接続した組電池とは、40個の積層構造電池を用い、2個ずつ20組に分け、2個の電池を直列に接続し、かつ、直列に接続した20組の電池全部を並列に接続した電池をいう。図8において、40個の積層構造電池を準備し、2行5列で配列し、これを4段重ねる。1段目において、上下2個ずつ直列に接続し、直列に接続した5組全てを並列で接続し、さらに2〜4段目も同様に行って、最終的に直列に接続した20組の電池全部を並列に接続して素組電池を得る。ここで、素組電池の2行5列の各端側及び各積層構造電地41間の発電要素の積層方向の投影面28である電池外装材の外表面(電池外部)に絶縁性部材22を設けたものを用いる。なお、直列部分はタブ48、49同士を振動溶着して接続し、並列部分のタブは導電部材である銅のバスバ56、58で接続する。
得られた素組電池を金属製の組電池ケース55に収納する。このように、複数個の積層構造電池41を直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池51を提供することができる。
直列部分の端部を組電池ケースに取り付けられた端子62、64に接続し、正負の端子を構成する。具体的には、組電池ケース55の側面前部に形成された正極端子62、負極端子64のそれぞれは、各外部端子リード59を介して導電部材である各バスバ56に接続される。
また、該組電池51には、各単電池層、更には積層構造電池の端子間電圧などの電池電圧を監視するため、組電池ケース55の側面前部に、検知タブ端子54が設置される。そして、検知タブ端子54は、検知線53を介して積層構造電池41の電圧検知タブ60に接続される。
組電池ケース55の底部には、合成ゴムなどの外部弾性体52が取り付けられる。組電池51を複数積層して複合組電池を形成する場合に、組電池51間の距離を一定に保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
また、この組電池51には、使用用途に応じて、上記検知タブ端子54以外にも各種計測機器や制御機器類を設けることができる。
さらに、積層構造電池41の電極タブ(48、49)同士や検知タブ60と検知線53さらにバスバー56、58と外部端子リード59等を連結する方法は、特に制限されることはなく、例えば、超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接、または、リベットのようなバスバー56、58を用いる方法、カシメの手法を挙げることができる。
また、本実施形態の組電池では、双極型の積層構造電池(図示せず)と、該双極型の積層構造電池と電圧を同一にした非双極型の積層構造電池(図1参照)と、を並列に接続したものであってもよい。すなわち、組電池を形成する電池は、双極型の積層構造電池と非双極型の積層構造電池とを混在させてもよい。これにより、出力重視の双極型の積層構造電池と、エネルギー重視の非双極型の積層構造電池の組み合わせでお互いの弱点を補う組電池ができ、組電池の質量・サイズを小さくすることができる。双極型の積層構造電池と非双極型の積層構造電池をどの程度の割合で混在させるかは、組電池として要求される安全性能、出力性能に応じて決める。
例えば、双極型の積層構造電池(42V、50mAh)と非双極型の積層構造電池(4.2V、1Ah)10直(42V)を並列に連結して組電池とすることもできる。この場合、非双極型の積層構造電池10個を端から順番にバスバを介して振動溶着し、直列に接続する。さらに、双極型の積層構造電池と直列接続された両端の非双極型の積層構造電池とをそれぞれバスバーで並列に接続し、その後金属製の組電池ケースに収納する。この組電池でも、並列部分及び横方向に隣り合う非双極型の積層構造電池間を直列接続する部分のタブは銅のバスバーで接続し、縦方向に隣り合う非双極型の積層構造電池間を直列接続する部分はタブ同士を振動溶着して接続する。このような構成により、非双極型の積層構造電池と双極型の積層構造電池は電圧が等しくなり、その部分で並列接続を形成している。この組電池は、出力の分担を双極型の積層構造電池が有し、エネルギーの分担を非双極型の積層構造電池が有する構造である。これは、出力とエネルギーを両立することが困難な組電池において、非常に有効な手段である。このように、双極型の積層構造電池を任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池を提供することができる。
双極型の積層構造電池の両側には、双極型の積層構造電池の各層の電圧を検知するタブを取り出し、それらの検知線を組電池の前部に取り出す以外は、図8の組電池51と同様の構成ある。
該組電池にも、正極端子、負極端子が組電池ケースの側面前部に形成されており、各端子に、例えば、各バスバが端子リードで接続される。電極タブはそれぞれバスバと接続する。
また、該組電池には、双極型の積層構造電池の各単電池層、更には双極型の積層構造電池及び非双極型の積層構造電池の端子間電圧などの電池電圧を監視するため、検知タブ端子が組電池ケースの側面前部に設置されている。そして、各双極型の積層構造電池(更には双極型の積層構造電池)の検知タブが全て検知線を介して検知タブ端子に接続されている。
組電池ケースの低部には、合成ゴムなどの外部弾性体が取り付けられている。組電池を複数積層して複合組電池を形成する場合に、組電池間の距離を一定に保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
さらに、本実施形態の組電池では、上記の組電池を第1組電池ユニットとし、この第1組電池ユニットの端子間電圧と電圧を同一にする双極型の積層構造電池以外の積層構造電池が直並列接続されてなる第2組電池ユニットを形成し、この第1組電池ユニットと第2組電池ユニットを並列接続することによって組電池とすることもできる。
なお、組電池の他の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではなく、従来公知の組電池用の構成部材および製造技術が利用できる。
また、組電池ケース55は密閉するのが望ましい。絶縁性部材をより劣化させることなく長期間安定した状態を保持することができる点で優れている。
上記の組電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
以上説明した本実施形態の組電池は、以下の効果を有する。
本実施形態の組電池51によれば、異物は外部から刺さるため、複数の積層構造電池10から構成される組電池51には、組電池の外表面のみに絶縁性部材を配置することで、組電池の小型化に寄与することができる。
<第3実施形態の複合組電池>
本実施形態(第3実施形態)では、上記した第2実施形態の組電池を複数直列及び/又は並列に接続してなることを特徴とする複合組電池(パック)とするものである。複合組電池とすることによって、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、新たに組電池を作製することなく、比較的安価に対応することができる。すなわち、複合組電池は、第2実施形態の組電池を複数直列、並列、または直列と並列の複合接続するものである。したがって、基準の組電池を製造し、それを組み合わせて複合組電池とすることで、組電池の仕様をチューニングできる。これにより、仕様の異なる組電池種を製造しなくてよく、複合組電池コストを減少できる。
以下、当該複合組電池の実施形態につき、図面を用いて説明する。
図9は複合組電池の一例を示す図面である。例えば、図1に記載の積層構造電池を用いた図8の組電池(42V、1Ah)6組を並列に接続した複合組電池(42V、6Ah)の模式図が図9である。ここで、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。複合組電池を構成する各組電池は連結板と固定ねじにより一体化し、組電池の間に弾性体を設置して防振構造を形成する。また、組電池のタブは板状のバスバで連結している。すなわち、図9において、上記の組電池51を6組並列に接続して複合組電池70とするには、各組電池ケース55の蓋体に設けられた組電池51のタブ(正極端子62および負極端子64)を、板状のバスバーである外部正極端子部を有する組電池正極端子連結板72、外部負極端子部を有する組電池負極端子連結板74を用いてそれぞれ電気的に接続する。また、各組電池ケース55の両側面に設けられた各ネジ孔部(図示せず)に、該固定ネジ孔部に対応する開口部を有する連結板76を固定ネジ77で固定し、各組電池51同士を連結する。また、各組電池51の正極端子62および負極端子64は、それぞれ正極および負極絶縁カバーにより保護され、適当な色、例えば、赤色と青色に色分けすることで識別されている。また、組電池51の間、詳しくは組電池ケース55の底部に合成ゴムなどの外部弾性体52を設置して防振構造を形成している。
このように、基本となる積層構造のリチウムイオン二次電池(積層構造電池10)を組み合わせることにより種々の車両ごとの容量・電圧の要望を満たすことができる。その結果、種々の車両ごとに異なる電池を設計、生産する必要がなく、基本となる電池の大量生産が可能となり、量産化によるコスト削減が可能となる。
また、上記複合組電池では、これを構成する複数の組電池をそれぞれ脱着可能に接続しておくのが望ましい。このように、組電池を複数直並列接続されてなる複合組電池では、一部の電池、組電池が故障しても、その故障部分を交換するだけで修理が可能となる。
上記の複合組電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
また、上記組電池および/または上記複合組電池の用途としては、例えば、車両に搭載することができる。これにより、電池寿命を長くすることができ、1回の充電で長い距離を走行することが要望されている電気自動車やハイブリッド自動車に適用できる。
例えば、電気自動車の車体中央部の座席下に複合組電池または組電池を搭載することができる。電気自動車の座席下に複合組電池を搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができる。なお、かかる複合組電池等を搭載する場所は、座席下に限らず、車両の床下、シートバック裏、後部トランクルームの下部または、車両前方のエンジンルームでもよい。
また、複合組電池単独、組電池単独、更には複合組電池と組電池を組み合わせて車両に搭載することができる。そのため上記複合組電池等などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両用駆動電源や補助電源に好適に利用することができる。かかる車両用駆動電源や補助電源として搭載することのできる車両としては、上記の電気自動車、燃料電池自動車やこれらのハイブリッドカー(プラグインハイブリッドカーを含む)が好ましいが、これらに制限されるものではない。複合組電池や組電池等を電気自動車、燃料電池自動車やこれらのハイブリッドカーに用いることにより、高寿命で信頼性の高い車両とすることができる。なお車両には、自動車以外にも、電気二輪車(バイク)や三輪車、ハイブリッド電車や電気列車などにも十分適用できる。
以上説明した本実施形態の複合組電池でも、上記した組電池と同様の作用効果を奏することができる。
本発明につき、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例のみに何ら限定されるわけではない。
図10は、実施例1の高伸長率のゲル系材料(本発明の積層構造電池に用いられる絶縁性部材の1種であると、比較例1〜4の各種ゴム系材料の釘刺し試験による突き抜け状況を確認するための試験方法1の装置を模式的に表した図面である。図11は、比較例1〜4の各種ゴム系材料の釘刺し試験による、供試サンプルの突き抜け状況を確認するための試験方法2を模式的に表した図面である。図12は、試験方法1、2による釘刺し試験の結果を表す図面である。
(実施例の高伸長率のゲル系材料と、比較例のゴム系材料の効果比較)
(a)試験方法1
1)図10に示すように、厚さ10mmの型板(ベーク板)81に設けた直径(φ)10mmの孔82の下孔(下側)に供試サンプル(本実施例の高伸長率のゲルシート、比較例のゴムシート;共に厚さ2mmのシートを用いた)83を設置する。
2)図10に示すように、直径(φ)8mmの釘84に30mmのストロークStを与える。
3)釘84の供試サンプル83への突き抜け状況を確認する。結果を図12Aに示す。この際のゲルシートの伸び率は800%であった。
(b)試験方法2
4)試験方法1で供試サンプル83に対し釘84が突き抜けた場合は、図11の試験方法2に変更し、供試サンプル83を釘84が突き抜けた状況を確認する。ここで、図11の試験方法2とは、供試サンプル(シート)83の外周囲を固定し、供試サンプル(シート)83の中央下部より釘84に30mmのストロークStを与えて突き抜けた際の、供試サンプル(シート)83が釘84を被覆していない様子を、供試サンプル(シート)83の上側から確認したものである。結果を図12B〜12Eに示す。
供試サンプル83に、実施例1の高伸長率のゲル系材料(ゲルシート)を用いた場合には、図12Aに示すように、試験方法1で釘84が供試サンプル83を突き抜けることなく、釘84全体を覆うことができた。ここで、本実施例の高伸長率のゲル系材料(ゲルシート)には、株式会社イノアックコーポレーション製スチレン系ゲル(ST)シートを用いた。
供試サンプル83に、比較例1〜4の各種ゴム系材料(ゴムシート)を用いた場合には、図12B〜12Eに示すように、試験方法1で釘84が供試サンプル83を突き抜けたため、試験方法2により供試サンプル83を釘84が突き抜けた状況を確認した。
また供試サンプル83にフッ素ゴム(株式会社イノアックコーポレーション製、F−2600P)を用いた比較例1では、試験方法1では釘84を覆うことができず、試験方法2おいて釘84は完全に突き抜けていることを確認できた(図12B参照)。
供試サンプル83にニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製、ニポール)を用いた比較例2でも、試験方法1では釘84を覆うことができず、試験方法2おいて釘84は完全に突き抜けていることを確認できた(図12C参照)。
供試サンプル83にオレフィン系エラストマー(三井化学株式会社製、ミラストマー5030NS)を用いた比較例3でも、試験方法1では釘84を覆うことができず、試験方法2おいて釘84は完全に突き抜けていることを確認できた(図12D参照)。
供試サンプル83にオレフィン系エラストマー(東洋紡株式会社製、サーリンク3140)を用いた比較例4でも、試験方法1では釘84を覆うことができず、試験方法2おいて釘84は完全に突き抜けていることを確認できた(図12E参照)。
試験方法1の30mmのストロークStを、ゴムシート厚さ+単電池層1個分の厚さに相当する「30mmのストロークStとした以外は、上記と同様にして、実施例1及び比較例1〜4の供試サンプル83につき、試験方法1、2を行った。その結果は、上記した30mmのストロークStのときと同様の結果になることが確認できた。
10 本実施形態の積層構造のリチウムイオン二次電池、
10’ 従来の積層構造のリチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、 12 負極集電体、
13 正極活物質層、 15 負極活物質層、
17 電解質層、 19 単電池層、
21 発電要素、 22 絶縁性部材、
22’ 弾性体層、 22” 粘着剤層、
23 正極リード、 24 負極リード、
25 正極集電板、 26 負極集電板、
27 導電部材、 27a 正極導電部材、
27b 負極導電部材、
28 発電要素の積層方向の投影面(発電要素の積層方向の上方ないし下方から投影した際の、該発電要素の投影面;積層構造電池の主面)、
29 電池外装材、 30 釘等の異物、
31 電極(セパレータ)表面、 33a ストライプ状の接着部、
33b ドット状の接着部、 35 非接着部、
41 積層構造電池、 48、49 電極タブ(正極タブ、負極タブ)、
51 組電池、 52 外部弾性体、
53 検知線、 54 検知タブ端子、
55 組電池ケース、 56、58 バスバ、
59 外部端子リード、 60 電圧検知タブ、
62 正極端子、 64 負極端子、
70 複合組電池、 72 組電池正極端子連結板、
74 組電池負極端子連結板、 76 連結板、
77 固定ネジ、 81 型板(ベーク板)、
82 型板(ベーク板)に設けた孔、83 供試サンプル(ゲルシート、ゴムシート)、
84 釘、 P 電流パス、
L 異物の浸入(進入)長さ、 φ 異物の直径(断面直径)、
S 異物の刺さる方向、 r 異物侵入部分の底面の半径、
h 異物の浸入長さ、 m 異物侵入部分の母線の長さ、
St ストローク。

Claims (7)

  1. 正極と負極とが電解質層を介して積層した単電池層を複数積層して構成される発電要素を電池外装材に密封した積層構造電池において、
    前記積層構造電池には、前記発電要素の積層方向の投影面を少なくとも被覆する絶縁性部材が備えられており、
    前記絶縁性部材は、少なくとも1つの前記単電池層の厚さに相当する長さまで伸ばした際の伸び率(絶縁性部材の伸びた表面積/絶縁性部材の元々の面積×100(%))で、内部応力が破断応力に満たないことを特徴とする積層構造電池。
  2. 前記絶縁性部材は、少なくとも1つの積層構造電池を積層方向に貫通する長さまで伸ばした際の前記伸び率で、内部応力が破断応力に満たないことを特徴とする請求項1に記載の積層構造電池。
  3. 前記絶縁性部材は、少なくとも積層構造電池を積層方向に貫通する長さの1.5倍まで伸ばした際の前記伸び率で、内部応力が破断応力に満たないことを特徴とする請求項1に記載の積層構造電池。
  4. 前記絶縁性部材は、ゲル素材を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  5. 前記ゲル素材は、ナノコンポジットゲルであることを特徴とする請求項4に記載の積層構造電池。
  6. 前記絶縁性部材が、前記積層構造電池の電池外装材の外表面および/または内表面に備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  7. 複数の積層構造電池を直列及び/又は並列に接続して積層して構成した組電池において、
    請求項1〜6のいずれかに記載の積層構造電池が、少なくとも組電池の最も端側に配置されていることを特徴とする組電池。
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