JP2014026943A - 積層構造電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極−セパレータ間に樹脂層を備えた積層構造電池において、積層方向の内側(内部)と外側(外部)の樹脂層の溶融ムラを防止し、当該樹脂層ごとのイオン透過性の差を低減することのできる積層構造電池を提供することを目的とする。
【解決手段】正極と負極とセパレータを含む電解質層とを有し、正極と負極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を3層以上積層してなる積層構造電池において、正負極の少なくとも一方とセパレータの間に、正負極の少なくとも一方とセパレータの間を接着してなる樹脂層がさらに存在し、前記樹脂層は、コーティング部と非コーティング部を有していて、単一のコーティング部の面積(コーティング部が、複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする)が、積層方向において、中央側<端側であることを特徴とする積層構造電池。により達成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子とイオンが電気化学的に作用することで外部に対して仕事を行う電気デバイスの1種である積層構造電池に関する。詳しくは、積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池などに代表される積層構造電池に関するものである。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池外装材に収納される構成を有している。例えば、特許文献1には、正極と負極をセパレータを介して交互に積層した電池群(発電要素)をラミネートシートの外装ケースに収容し、電解液を注役後、ラミネートシートの外縁をある加圧の環境下で封止することを特徴とするリチウムイオン二次電池(積層構造電池)が記載されている。
特開2009−211937号公報
しかしながら、特許文献1のような既存の積層構造のリチウムイオン二次電池(積層構造電池)において、セパレータの熱収縮による短絡を防止するには、上記したような外装材であるラミネートシートの外縁をある加圧の環境下で封止するだけでは不十分であった。
本発明者らは、積層構造電池において、セパレータの熱収縮による短絡を防止するために、電極−セパレータ間に樹脂層を設け、ホットプレスにて、電極間に荷重をかけて樹脂層を熱融着(一部溶融)させて電極−セパレータ間をつなぐ工法(構成)を考案した。
しかしながら、積層構造電池では、積層構造の発電要素(電池群)の上下方向から加熱加圧する(ホットプレスする)必要がある。そのため、積層構造電池、特に車載用電池のような大型の積層構造電池では、積層構造電池の端側と中央側で受熱量に差があり、積層方向の中央部と端部で、樹脂層の溶融の速度にバラツキが発生してしまうことがわかった(図2参照)。その結果、積層方向の中央部と端部で、当該樹脂層でのイオン透過性に差が出ることから、劣化が促進してしまうという問題があることがわかった(表2の実施例と比較例参照のこと)。
そこで本発明の目的は、電極−セパレータ間に樹脂層を備えた積層構造電池において、積層方向の内側(内部)と外側(外部)の樹脂層の溶融ムラを防止し、当該樹脂層ごとのイオン透過性の差を低減することのできる積層構造電池を提供することにある。
本発明の積層構造電池は、電極−セパレータ間に、コーティング部と非コーティング部を有する樹脂層を備えた積層構造電池において、単一のコーティング部の面積が、積層方向(電池の厚さ方向)において、中央側<端側である点に特徴を有する。
本発明では、積層構造電池の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積を大きくし、積層方向中央側に向かうに従いその面積を減らすことで、ホットプレス温度が高い端側とホットプレス温度が低い中央側で、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。これにより、単電池層(単セル)ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池全体の耐久性を向上させることができる。
積層構造電池の代表的な一実施形態である、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の基本構成を示す断面概略図である。 図1の積層構造電池の発電要素の部分断面図であり、積層構造電池の発電要素の上下方向から熱プレス(ホットプレス)を行った際の、熱の伝わる様子を模式的に表した図面である。 図3Aは、電極表面にストライプ状のコーティング部を設けた様子を表す平面図である。図3B、3Cは、電極表面にドット状のコーティング部を設けた様子を表す平面図である。 二次電池の代表的な実施形態である扁平なリチウムイオン二次電池外観を表した斜視図である。 熱プレス機能を有する押さえ治具を用いて実施例で作製した積層構造電池を熱プレス(ホットプレス)する様子を模式的に表した概略断面図図である。
本実施形態の積層構造電池は、正負極の少なくとも一方とセパレータの間に、この間を接着してなる樹脂層がさらに存在し、前記樹脂層は、コーティング部と非コーティング部を有してなるものである。更に、本実施形態では、コーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(コーティング部が、複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする)が、積層方向において、中央側<端側であることを特徴とする。ここで、積層構造電池とは、少なくとも正極と負極とセパレータを含む電解質層とを有し、正極と負極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を3層以上積層してなる積層構造の電池をいう。かかる構成とすることで、上記した発明の効果を奏することができる。また、樹脂層のコーティング部の融点を端側と中央側で変えるのと違って樹脂層のコーティング部には同じ材料を用いることができるので生産工程が簡易化できる。
積層構造電池の好ましい実施態様として、積層型(積層構造)の非水電解質リチウムイオン二次電池について説明するが、以下の実施形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池は、特に車載用電池のような大型の電池に適用するのが好ましいが、電池の大きさや用途に制限されるものではない。従来公知の任意のサイズ及び用途に用いられる積層構造のリチウムイオン二次電池に適用されうる。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池を電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。本実施形態では、高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しても、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させたものを使用するものである。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池は、双極型でない(内部並列接続タイプ)の電極構造を有する電池であってもよいし、双極型(内部直列接続タイプ)の電極構造を有する電池であってもよい。
以下の説明では、双極型でない(内部並列接続タイプの)積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池につき図面を用いて説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池(以下、単に「積層構造電池」ともいう)の一実施形態の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の積層構造電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体である電池外装材29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、電解質を含有するセパレータ(電解質層)17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された構造を有する。負極は、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された構造を有する。さらに、本実施形態では、セパレータ(電解質層)17と負極(活物質層15)との間に、この間を、接着(例えば、熱融着等)してなる樹脂層18がさらに配置されている。また、図1とは樹脂層18の配置を逆にすることで、セパレータ(電解質層)17と正極(活物質層13)との間に、この間を接着してなる樹脂層18が配置されているようにしてもよい。更には、セパレータ(電解質層)17と負極(活物質層15)との間、及びセパレータ(電解質層)17と正極(活物質層13)との間の両方に、これら両方の間を接着してなる樹脂層18がそれぞれ配置されているようにしてもよい。
具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17、樹脂層18を介して対向するようにして、負極、樹脂層、電解質層および正極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、電解質層、樹脂層および負極は、1つの単電池層(単セル)19を構成する。したがって、本実施形態の積層構造電池10は、単電池層(単セル)19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、双極型(内部直列接続タイプ)の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池(図示せず)では、単電池層(単セル)が複数積層されることで、電気的に直列接続されてなる構成を有するともいえる。
なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
また、本実施形態では、電極(正極ないし負極)には、自立電極を含むものである。自立電極とは金属箔(集電体)がなくても形状を担保するものである。即ち、自立電極(自立構造)は、構造的(ないし強度的)には、金属箔(集電体)がなくても活物質層だけで形状を担保できるものである。但し、自立電極(自立構造)といえども、電極要素としては、集電体(但し、金属箔以外にも金属箔より機械的強度が低く、形状を担保し得ない金属の蒸着膜やメッキ薄膜、更には金属配線などでもよい)と活物質層とが必要である。上記に定義した自立電極は、活物質層(正極活物質層、負極活物質層)と、前記活物質層の片面に直接形成されてなる集電体(正極集電体、負極集電体)とを有する。そして、前記活物質層が、多孔質骨格体と、前記多孔質骨格体の空孔内に保持される活物質(正極活物質、負極活物質)とを含むものである。
本明細書中、「集電体」と記載する場合、正極集電体、負極集電体の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もあるし、双極型電池の双極型電極用集電体を指す場合もある。同様に、「活物質層」と記載する場合、正極活物質層、負極活物質層の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。同様に、「活物質」と記載する場合、正極活物質,負極活物質の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。同様に「電極」と記載する場合、正極,負極の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。
正極集電体11および負極集電体12には、各電極(正極および負極)と導通される正極集電タブ(正極集電板)25および負極集電タブ(負極集電板)27の一方の先端部がそれぞれ取り付けられている。また正極集電タブ25および負極集電タブ27のもう一方の先端部は、電池外装材29の端部に挟まれるようにして電池外装材29の外部に導出される構造を有している。正極集電タブ25および負極集電タブ27はそれぞれ、必要に応じて電極端子リード(正極端子リードおよび負極端子リード)(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
更に本実施形態の積層構造電池10の特徴的な構成としては、樹脂層18がコーティング部と非コーティング部を有してなるものである。更に、該コーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(コーティング部が、複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする)が、積層方向において、中央側<端側であることを特徴とするものである。
図2は、積層構造電池の発電要素の部分断面図であり、積層構造電池の発電要素の上下方向から熱プレス(ホットプレス)を行った際の、熱の伝わる様子を模式的に表した図面である。なお、図中の矢印は、熱の伝わる様子を模式的に表している。図2に示すように、発電要素21を上下から熱プレスする装置20によりホットプレスすることで、発電要素21を上下(端部)から中央部(中央側)に向かって熱が伝搬する。そのため、積層方向の端側では装置20から早く伝熱され短時間で高温となる=溶融しやすい。一方、積層方向の中央部では、装置20から伝熱されるのに時間を要し、熱プレス処理する時間内では、端側と同程度まで高温とならないまま=溶融しにくい状態で熱プレスが終了される。
そのため、樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(平均値)を積層方向において中央側=端側(全ての樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部を同じ面積(平均値))とした場合、端側と中側で受熱量に差がある。そのため、積層方向に樹脂層の溶融の速度にバラツキが発生し、積層方向の中央側では、樹脂層の溶融、接着が不十分となるおそれがある。その結果、異常発熱などの際にセパレータが熱収縮して、対向する電極同士の端部が接触し、微小短絡を起こす恐れがある。ここで、全ての樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部が同じ面積(平均値)とは、中央側に対する端側の単一のコーティング部の面積(平均値)が1±0.03倍の範囲内をいうものとする。これは、作製上の誤差や生じる課題が同程度となる範囲を考慮したものである。
また、樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(平均値)を積層方向において中央側=端側(全ての樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部を同じ面積(平均値))とした場合、以下の問題も生じる恐れがある。すなわち、積層方向の中央部の溶融、接着が十分となるまで、熱プレス処理する時間を長くした場合には、積層方向の端側に、高温状態で長時間荷重が加わる。そのため、溶融しすぎて、樹脂層のコーティング部を構成する各々の単一のコーティング部が所期の厚さを保持するのが困難となるおそれがある。その結果、中央側と端部での導電パスの大きさ(Liイオンが拡散する経路長さ)などが変化し、中央側と端部でイオン透過性が変わり、積層方向にイオン透過性(=電極間抵抗)にムラができてしまう恐れがある。
そこで、上記した本実施形態の構成、即ち、樹脂層がコーティング部と非コーティング部を有しており、コーティング部を構成する単一のコーティング部の面積が、積層方向(電池の厚さ方向)において、中央側<端側となるようにする。なお、単一のコーティング部の面積は、コーティング部が複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする。即ち、樹脂層をドット状やストライプ状のコーティング部と非コーティング部とし、積層構造電池の端側の樹脂層ほど単一のコーティング部の面積を大きくし、中央側の樹脂層ほど単一のコーティング部の面積(ドット面積やストライプ面積)を小さくする。かかる構成とすることで、積層構造電池の積層方向中央側に向かうに従い単一のコーティング部の面積(平均値)を減らすことができ、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができ、積層方向の溶融ムラを防ぐことができる。その結果、単電池層(単セル)ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池全体の耐久性を向上することができる。更に、本構成とすることで、図2に示すように、発電要素21を上下から熱プレスする装置20によりホットプレスした場合に、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。これにより、各樹脂層の材料や厚さを変えることなく、所定のホットプレス時間内に適度に(より均一に)溶融、接着させることができ、積層方向の中央部と端部で、当該樹脂層でのイオン透過性の差を低減することもできる。即ち、ホットプレスの温度が積層方向の中央側は低くても、端部と同じタイミングで接着させることができる。その結果、単電池層(単セル)19ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池10全体の耐久性を大幅に向上させることができる点で優れている(実施例の表2の容量維持率を参照のこと)。更に本実施形態では、樹脂層のコーティング部の材料や厚さを変化させることなく、樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積を積層方向において中央側<端側とするものである。そのため、融点を端側と中央側で変えるのと違って、端側と中央側で樹脂層のコーティング部には同じ材料を用い、端側と中央側で樹脂層(コーティング部)の厚さの調整を行う必要もないので生産工程が簡易化できる点でも優れている。即ち、本実施形態では、例えば、樹脂層形成用材料を所望のドットサイズに開口したマスキングシート上からスクリーニング印刷で塗工するだけで、所望の単一のコーティング部の面積(ドット面積やストライプ面積)を調整(変更)することができる点で優れている。なお、ここでいう単一のコーティング部とは、特に説明するまでもないが、例えば、図3Bの場合、4隅に形成された、各々のドット状のコーティング部の1つ1つが該当する。即ち、図3Bの場合、(ドット状の)単一のコーティング部が4つ(4隅に)存在している形態である。図3Aの場合、(ストライプ状の)単一のコーティング部が2つ(等間隔をあけて)存在している形態である。図3Cの場合、(ドット状の)単一のコーティング部が12個(等間隔をあけて)存在している形態である。
更に、本実施形態では、コーティング部の面内の総面積が、積層方向において、中央側と端側とで同じにするのが望ましい。これは、例えば、樹脂層形成用材料を所望のドットサイズ及び1cm当たり所望のドット個数を有するように開口したマスキングシート上からスクリーニング印刷で塗工することにより形成することができる。これにより、各樹脂層の接着力を揃えることができ、端側と中央側を同じ接着力(接着面積)で、より均一に接着させることができる点で優れている。ここで、コーティング部の面内の総面積が、積層方向において、中央側と端側とで同じとは、中央部に対する端側のコーティング部の面内の総面積が1±0.1倍の範囲内であればよいものとする。好ましくは1±0.05倍の範囲内である。これは、作製上の誤差や得られる効果が同等となる範囲を考慮したものである。
本実施形態では、コーティング部を構成する単一のコーティング部の面積は、コーティング部が複数の単一のコーティング部からなる場合には、(1)各々の単一のコーティング部の面積を全て同じ面積で尚且つ同一断面形状となるようにしてもよい。また(2)各々の単一のコーティング部の面積を全て同じ面積とし、各々の単一のコーティング部の断面形状が異なるようにしてもよい。この場合の断面形状(厚さ方向に垂直な方向の切断した際の断面形状)としては、特に制限されるものではない。ドット状の場合には、円形状(図3B、C)、楕円形状、涙型形状、多角形状(三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等)、リング形状、文字形状、数字形状、不定形状などが挙げられる。ストライプ状の場合には、長方形状(棒状;図3A)、波形状、凹凸形状、のこぎり歯形状、格子形状、斜格子形状(菱形形状)、連続ループ形状、不定形状などが挙げられる。断面形状が異なる場合、ドット状の形態の中から異なる任意の形態を適宜選択してもよい。また、ストライプ状の形態の中から異なる任意の形態を適宜選択してもよい。さらに、ドット状及びストライプ状の形態の中から異なる任意の形態を適宜選択してもよい(即ち、ドット状とストライプ状の形態の組み合わせでもよい)。さらに(3)各々の単一のコーティング部の面積が異なる面積で同一断面形状(相似形を含む)となるようにしてもよい。(4)各々の単一のコーティング部の面積および断面形状が異なるようにしてもよい。この場合の断面形状は、上記(2)の断面形状と同じである。また上記(3)、(4)の場合、単一のコーティング部の面積は、上記したように各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする。なお、抜取検査等で目視や簡単な寸法検査で品質管理を行い易い等の観点からは、上記(1)、(2)、特に好ましくは上記(1)の場合で、断面形状が複雑でないもの(ドット状の場合、円形、正方形など、ストライプ状の場合、長方形状など)が望ましい。また、これら(1)〜(4)のいずれの場合にも、コーティング部の面内の総面積が、積層方向において、中央側と端側とで同じであることが望ましい。これは、各樹脂層の接着力を揃えることができ、端側と中央側を同じ接着力(接着面積)で、より均一に接着させることができる点で優れているためである。
ここで、樹脂層18の積層方向の中央側(中側、内側ないし中央部)と端側(外側、外部ないし端部)の単一のコーティング部の面積差の好適な範囲としては、本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができればよい。即ち、端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)を大きくし、中央側に向かうに従いその面積を小さくして、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。これにより、単電池層(単セル)19ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池10全体の耐久性を向上することができるものである。
具体的には、電池の単セルの積層数や電極の大きさにもよるが、積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)よりも大きければよい。好ましくは積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)の1.1〜4.0倍大きいのが望ましく、より好ましくは1.2〜3.0倍大きいのが望ましい。積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面積よりも1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上大きければ、積層数にもよるが、ホットプレスにより、中央部の樹脂層も十分に接着することができる。これにより、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。一方、積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面よりも4.0倍以下、好ましくは3.0倍以下の範囲で大きければ、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。そのため、端側と中央側とが同じタイミングで均一に接着することができる。また、ホットプレスにより外側が溶融しすぎて押しつぶされることもない。これにより、樹脂層での所定の長さの導通パスを保持でき、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。
なお、樹脂層18のコーティング部では、発電要素21を上下から熱プレスする装置(治具)20の温度(通常、95℃程度;実施例参照)よりも高い融点を有する樹脂が用いられている。これは、樹脂層18のコーティング部の融点よりも軟化開始はもっと低い温度から軟化してくる。これは、樹脂層18のコーティング部に用いる樹脂(共重合体やポリマーアロイを含む)が全て分子量や分子構造や樹脂形状などが同一(均一)ではなく、一定の分布を有する。その為、JIS等の測定方法で得られる融点よりも実際にはもっと低い温度で樹脂層のコーティング部の表面は十分に軟化(熱溶融)している。そのため、より低い温度で粘着性(接着性)がでてくるため、十分に電極やセパレータと接着することができる。但し、軟化し始める温度(接着可能となる温度)は、樹脂層18のコーティング部の融点に比例している。そのため、樹脂層18のコーティング部の融点をセパレータの融点よりも低くすることで、セパレータの形状を保ちながら、樹脂層18のコーティング部の表面を軟化させて接着性を出させることで電極−セパレータ間を十分に接着させることができる。その結果、上記した目的、効果を奏し得るものである。
上記樹脂層18のコーティング部とセパレータの融点は、以下の方法により測定することができる。
融点は、示差走査熱量計(DSC)により20℃/分で昇温したときの吸熱ピークから求められる。
具体的には、例えばセイコー電子社製の示差走査熱量計を用い、次の条件で測定する。
・試料量:約5mg
・雰囲気ガス:窒素(流量20ml/分)
・温度条件:230℃に10分間保持した後、10℃/分で30℃まで降温し、続いて昇温速度10℃/分で昇温したときの融解の吸熱挙動を測定する。
以下、本実施形態の積層構造電池10の各構成要件(構成部材)について説明する。なお、積層構造電池10の各構成要件(構成部材)については、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態も同様に採用されうる。
(1)集電体
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の面または両面に活物質層が配置される。集電体を構成する材料に特に制限はなく、例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された導電性を有する樹脂が採用されうる。
金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも導電性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、および銅が好ましい。
金属を用いた集電体の形態としては金属箔の他に、金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層、金属配線を用いてもよい。金属蒸着層及び金属メッキ層は、活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属蒸着層や金属メッキ層を形成(配置)することができる。金属配線も活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属配線を形成(配置)することができる。また、金属配線にプライマ層を含浸させて、熱圧着により貼り付けることができる。さらに、金属配線としてパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートを用いる場合には、パンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートの両面に電極スラリーを塗布、乾燥することで活物質層に挟まれた金属配線(集電体)を配置することができる。金属箔を用いる場合にも、金属箔上(片面又は両面)に電極スラリーを塗布、乾燥することで、活物質層の片面に金属箔(集電体)を配置することができる。また、導電性プライマ層は、基本的にはカーボン(鎖状、繊維状)や金属フィラー(集電体材料に用いられるアルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル粉など)に樹脂を混合して作製することができる。配合は様々である。これを活物質層の片面に塗布、乾燥することで形成(配置)することができる。
上記導電性プライマ層は、導電性を有する集電樹脂層を含む。好適には、導電性プライマ層は、導電性を有する集電樹脂層からなる。導電性プライマ層が導電性を有するには、具体的な形態として、1)樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態、2)集電樹脂層が樹脂および導電性フィラー(導電材)を含む形態が挙げられる。
導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
上記2)の形態に用いられる導電性フィラー(導電材)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する集電樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
具体的には、アルミニウム材、ステンレス(SUS)材、カーボン材、銀材、金材、銅材、チタン材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくは銀材、金材、アルミニウム材、ステンレス材、カーボン材、さらに好ましくはカーボン材である。また、これらの導電性フィラー(導電材)は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電材)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
前記カーボン材としては、例えば、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。これらのカーボン材は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン材は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン材は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン材を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
導電性フィラー(導電材)の形状は、特に制限はなく、粒子状、粉末状、繊維状、板状、塊状、布状、またはメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。例えば、樹脂に対して広範囲に亘って導電性を付与したい場合は、粒子状の導電材料を使用することが好ましい。一方、樹脂において特定方向への導電性をより向上させたい場合は、繊維状等の形状に一定の方向性を有するような導電材料を使用することが好ましい。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
また、集電樹脂層が導電性フィラーを含む形態の場合、集電樹脂層を形成する樹脂は、上記導電性フィラーに加えて、当該導電性フィラーを結着させる導電性のない高分子材料を含んでいてもよい。集電樹脂層の構成材料として導電性のない高分子材料を用いることで、導電性フィラーの結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。高分子材料は、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択される。
導電性のない高分子材料の例としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
導電性フィラーの含有量も特に制限はない。特に、樹脂が導電性高分子材料を含み、十分な導電性が確保できる場合は、導電性フィラーを必ずしも添加する必要はない。しかしながら、樹脂が非導電性高分子材料のみからなる場合は、導電性を付与するために導電性フィラーの添加が必須となる。この際の導電性フィラーの含有量は、非導電性高分子材料の全質量に対して、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは30〜85質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。かような量の導電性フィラーを樹脂に添加することにより、樹脂の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料にも十分な導電性を付与することができる。
上記導電性プライマ層には、導電性フィラーおよび樹脂の他、他の添加剤を含んでいてもよいが、好ましくは、導電性フィラーおよび樹脂からなる。
また、上記集電体を構成する材料のうち、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限されないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限されないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体の厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜40μmである。後述する自立電極では、薄膜化が可能であることから、好ましくは1〜18μm、より好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜13μmである。これは、自立電極を作製する際には、従来の塗工・乾燥工程を経ることなく作製可能である。そのため、従来の塗工・乾燥工程を経る必要のない金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層若しくは金属配線を集電体を用いる場合には、塗工・乾燥工程で必要とされる引張り強度を有している必要がない。その分、必要に応じ、集電体の厚みを薄くすることができ、集電体の設計の自由度が向上し、電極、ひいては電池の軽量化にも寄与する。
集電体として複数の貫通孔を有するパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシート等を用いる場合、当該貫通孔の形状としては、四角形、菱形、亀甲形状、六角形、丸形、角型、星形、十文字形などが挙げられる。かような所定形状の多数の孔をプレス加工により、例えば、千鳥配置や、並列配置となるように形成したものが、いわゆるパンチングメタルシートなどである。また、千鳥状の切れ目を入れたシートを引き伸ばして略ひし形の貫通孔を多数形成したものが、いわゆるエキスパンドメタルシートなどである。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の開口率は、特に限定されない。ただし、集電体の開口率の下限の目安は、好ましくは10面積%以上、より好ましくは30面積%以上、さらに好ましくは50面積%以上、さらに好ましくは70面積%以上、さらに好ましくは90面積%以上である。このように、本実施形態の電極においては、90面積%以上の開口率を有する集電体も使用することができる。また、上限としては、例えば、99面積%以下、あるいは、97面積%以下などである。このように、有意に大きな開口率を有する集電体を有して形成される電極を備える積層構造電池10は、その重量を有意に減少させることができ、ひいては、容量を増加させることができ、高密度化をすることができる。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の孔径(開口径)も同様に、特に制限されない。ただし、集電体の開口径の下限の目安は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは150μm以上である。上限としては、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下程度である。なお、ここでいう開口径とは、貫通孔=開口部の外接円の直径である。外接円の直径は、レーザー顕微鏡や工具顕微鏡などにより集電体の表面観察を行い、開口部に外接円をフィッティングさせ、それを平均化したものである。
(2)電極(正極および負極)及び電極活物質層
正極および負極は、リチウムイオンの授受により電気エネルギーを生み出す機能を有する。正極は、正極活物質を必須に含み、負極活は負極活物質を必須に含む。
これらの電極構造は、積層構造電池の場合、図1の形態のように上記集電体の表面に活物質を含む活物質層が形成されてなる構造である。一方、双極型二次電池の場合の電極(双極型電極)は、集電体の一方の面に正極活物質を含む正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質を含む負極活物質層が形成されてなる構造を有する。すなわち、集電体を介して正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)が一体化した形態を有する。なお、活物質層には、活物質以外にも必要に応じて導電助剤、バインダ、更には電解質として電解質塩(リチウム塩)やイオン伝導性ポリマーなどの添加剤が含まれうる。
(2a)正極活物質
正極活物質としては、従来公知のものを使用することができる。
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni,Co,Mn)O、LiMnO、LiMnO−LiMO系(M=Co、Niなど)固溶体およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。またLiNiO、Li(Ni,Co,Mn)O、LiMnO等のエネルギー密度が高い正極活物質は、電池を高容量化しやすく、車載用電池に用いた場合、1回の充電での走行距離を延ばすことができるなどの点でも有利である。
正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜25μmである。
正極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは正極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97%、さらに好ましくは80〜96%の範囲である。
(2b)負極活物質
負極活物質は、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。このうち、リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。
上記活物質のうち、炭素材料、ならびに/またはSi、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましく、炭素材料、Si、またはSnの元素を含むことがより好ましい。炭素材料のうち、リチウム対比放電電位が低い黒鉛を用いることがさらに好ましい。
上記負極活物質を負極として使用する際には、負極活物質を含む負極活物質層を板状に成形しそのまま負極としてもよいし、集電体の表面に上記負極活物質粒子を含む負極活物質層を形成して負極としてもよい。後者の形態における負極活物質粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、負極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μmであり、さらに高出力化の観点から、より好ましくは1〜25μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、負極活物質が二次粒子である場合には該二次粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本実施形態では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、負極活物質が凝集、塊状などにより二次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる負極活物質の粒径および一次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径を使用できる。なお、負極活物質粒子の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
負極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは負極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97%、さらに好ましくは80〜96%の範囲である。
(2b)導電助剤
導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、膨張黒鉛などが挙げられる。しかし、導電助剤がこれらに限定されないことはいうまでもない。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上の範囲である。また、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下の範囲である。活物質自体の電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる正極活物質層での導電助剤の配合比(含有量)を上記範囲内に規定することで以下の効果が発現される。即ち、電極反応を阻害することなく、本実施形態の効果を発現できる。加えて、電子導電性を十分に担保することができ、電極密度の低下によるエネルギー密度の低下を抑制でき、ひいては電極密度の向上によるエネルギー密度の向上を図ることができる。
負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量としては、負極活物質により異なることから一義的には規定することができない。即ち、負極活物質自体が優れた電子導電性を有する、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、金属材料を用いる場合には、負極活物質層への導電助剤の含有は特に必要がない。導電助剤を含有するとしても、負極側の電極構成材料の総量に対して、せいぜい0.1〜1質量%の範囲で十分である。一方、正極活物質と同様に電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる。リチウム合金系負極材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)などの負極活物質を用いる場合には、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量と同程度の含有量とするのが望ましい。即ち、負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量も、負極側の電極構成材料の総量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%の範囲とするのが望ましい。
(2c)バインダ(結着剤)
バインダは、活物質層中の構成部材同士または活物質層と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。バインダとしては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。
バインダの量は、活物質等を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは電極活物質層形成用原料の総量に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
(2d)電解質塩(リチウム塩)
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2e)イオン伝導性ポリマー
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2f)自立電極に用いられる多孔質骨格体
多孔質骨格体としては、不織布、織布、金属発泡体(ないし金属多孔体)、カーボンペーパーなどが望ましい。このうち、多孔質骨格体に用いられる不織布は、繊維が異方向に重なって形成されている。不織布には、樹脂製の材料が使用されており、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ナイロン、EVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)等の繊維が適用されうる。なお、多孔質骨格体として、不織布以外の形態としては、樹脂製の織布(規則性のある樹脂多孔体)、金属発泡体ないし金属多孔体、カーボンペーパーなどが挙げられる。ここで、樹脂製の織布に用いられる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、EVA樹脂などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。金属発泡体ないし金属多孔体としては、好ましくは、Cu、Ni、Al、Tiの少なくとも1種の金属発泡体ないし金属多孔体などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。好ましくは、Cu、Alの少なくとも1種の金属多孔体、カーボンペーパー、ポリプロピレン、ポリエチレン、EVA樹脂製の不織布である。
活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、2体積%以上、好ましくは7体積%以上の範囲にである。一方、活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、28体積%以下、好ましくは12体積%以下の範囲である。活物質層に占める多孔質骨格体の割合が上記範囲内であれば、電極反応を阻害することない点で優れている。
多孔質骨格体の空孔率(空隙率)としては、好ましくは70%〜98%、より好ましくは90〜95%である。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。
多孔質骨格体の空孔径としては、世の中で使用されている活物質が十分に充填できる50〜100μm程度が望ましい。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。即ち、多孔質骨格体の空孔径が100μm以下であれば、本実施形態の効果が有効に得られ、当該空孔径が50μm以上であれば、使用する活物質の粒径の制約なく使用用途に応じて適切な活物質を適宜選択することができる点で優れている。
多孔質骨格体の厚さは、活物質層の厚さより小さければよく、通常1〜120μm程度、好ましくは1〜20μm程度であることが好ましい。
各活物質層の厚さについても特に制限はないが、電子抵抗を抑えるという観点から、各活物質層の厚さ(片面)は、1〜120μm程度であることが好ましい。
各活物質層の空孔率については、電解液の含浸、保持によるLiイオンの導電性(拡散性)を高めたり、電子抵抗を抑えるという観点から、各活物質層の空孔率は、10〜40%程度であることが好ましい。
(3)電解質層
本実施形態の電解質層は、電解質と、該電解質を空孔に含浸または保持してなるセパレータとからなる。セパレータを有する電解質層は、正極と負極との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。さらに、本実施形態では、上記したように樹脂層18を用いてセパレータと電極の間を接着することで、セパレータの熱収縮による短絡を防止することができる。
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられうる。
(3a)液体電解質
液体電解質は、溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解したものである。溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合物として使用してもよい。また、支持塩(リチウム塩)としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
(3b)ゲル電解質
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩等の電解質塩がよく溶解しうる。
(3c)高分子固体電解質
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
(3d)セパレータ
セパレータとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができる。例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
前記ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その気孔率(空孔率)は20〜80%であることが望ましい。
前記不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。
前記不織布セパレータの気孔率(空孔率)は45〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
(4)樹脂層
樹脂層は、電極(正極ないし負極)と、セパレータのいずれにも接着して、セパレータの熱収縮による短絡を防止する目的で設けられてなるものであればよい。
本実施形態の樹脂層に用いられる材料としては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に制限されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アラミド等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適な樹脂層に用いられる材料は、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり樹脂層に使用が可能となる。これらの樹脂層に用いられる材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、樹脂層に用いられる材料がこれらに限定されないことはいうまでもない。これらのうち、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などは、正極側、負極側のいすれの電位にも強いことから、いずれにも適用可能である。また、SBRなどは、負極電位に強いことから負極側に用いるのが好ましい。更に、PTFEなどは、正極電位に強いことから正極側に用いるのが好ましい。
本実施形態では、積層方向の少なくとも1つの樹脂層のコーティング部、好ましくは全ての樹脂層18のコーティング部が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことが望ましい。各単セルの樹脂層のコーティング部をPVDFないしPVDFを含む材料で構成することで接着温度(樹脂層のコーティング部の表面が軟化し始め接着性を有する温度;融点(軟化点温度))をセパレータ変形温度域;融点(軟化点温度)よりも低い温度に設定できる。それ故、電池反応を極力阻害しないので、出力特性に更なる効果がある。更に、PVDFやPVDFを含む材料は、軟化開始温度からの変性量が大きいので、すぐに接着させることができるので、ホットプレス時間を短くする、或いはホットプレス温度を低く設定することもできる。
また、PVDFを含む材料としては、PVDFの単独重合体、PVDFの一部(例えば、繰り返し単位の側鎖など)に置換基(例えば、カルボキシル基)を導入したもの、PVDFと他の1以上のポリマーとのランダム、ブロック、交互、グラフト共重合体(2元共重合体、3元共重合体、4元共重合体・・・等)、PVDFと1以上の他の(共)重合体を含むポリマーアロイなどが挙げられる。なかでも、PVDFにカルボキシル基を混入してなるもの(例えば、カルボキシル基を一部側鎖に持つ構造;−(CH(COOH)−CF−、あるいは−(CH−CF(COOH))−、あるいは−(CH−CF−)−(CH(COOH)−CF−、あるいは−(CH−CF−)−(CH−CF(COOH))−など)が望ましい。PVDFへカルボキシル基を混入することでコーティング部の融点を、1〜10℃程度下げる(調節する)ことができ、カルボキシル基の混入量を調節することで、所望の融点材料を簡単に作れる点で優れている。
また、本実施形態では、前記樹脂層18のコーティング部がスチレン・ブタジエンゴム(SBR)を含む形態も好適な形態の1つである。SBRの場合は、スチレンとブタジエンの共重合体であるため、スチレンの割合を増やすとのコーティング部の融点を1〜10℃程度上げることができるので、所望の融点材料を簡単に作れる点で優れている。
本実施形態では、前記樹脂層18は、コーティング部と非コーティング部を有してなるものである。即ち、セパレータ及び電極表面にストライプ状またはドット状にコーティング部が存在してなるものである。樹脂層18のコーティング部の厚さは、本実施形態の目的が達成できる範囲内でできるだけ薄くするのが、Liイオンの拡散距離が長くなるのを抑制でき、電池の軽量化にも寄与する点で望ましい。特に本実施形態では、積層方向の端側と中央側とで樹脂層の厚さを変えることなく(=各単電池層の樹脂層の厚さを変えることなく)、単一のコーティング部の面積を変化させることで所期の目的及び効果を実現し得るものである。これにより生産設備の変更(特に厚さ調整)などを行う必要がなく、生産効率に優れている。かかる観点から樹脂層18のコーティング部の厚さは、コーティング部の形態(ストライプ状またはドット状)にもよるが、0.1〜5μm、好ましくは1〜2μmの範囲である。樹脂層のコーティング部の厚さが0.1μm以上であれば、製造が容易にできるため好ましく、樹脂層のコーティング部の厚さが5μm以下であれば、電池の負荷特性に悪影響を及ぼす虞が小さいため好ましい。
樹脂層のコーティング部の厚さは、樹脂層のコーティング部が脆くうまく剥がせない場合もあり得ることから、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から計測することができる。
樹脂層(電極ないしセパレータ表面)の面内全体に対する非コーティング部の面積割合は、接着性と電池性能とを考慮して適宜決定すればよい。具体的には、セパレータの気孔率(空孔率)や樹脂層の形態(ストライプ状またはドット状)にもよるが、非コーティング部の面積割合は、60〜99%、好ましくは70〜99%である。言い換えれば、樹脂層の面内全体に対するコーティング部の面積割合は、1〜40%、好ましくは1〜30%の範囲である。樹脂層の面内全体に対する非コーティング部の面積割合を上記範囲内とすることで、Liイオンの拡散を妨げない点で優れている。なお、上記に挙げた樹脂層の面内全体に対する非コーティング部の面積割合は、セパレータの気孔率(空孔率)が45〜55%程度の場合の例である。セパレータの気孔率(空孔率)が増減した場合には、樹脂層の面内全体に対する非コーティング部の面積割合もこれに比例して増減させればよい。このように、セパレータの気孔率(空孔率)よりも樹脂層の面内全体に対する非コーティング部の面積割合を若干高くしているのは、電極表面に形成されるコーティング部の存在により、Liイオンの拡散を阻害しないようにするためである。特に本実施形態では、積層構造電池の端側の樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積を大きくして、積層方向の中側に向かうに従いその面積を減らすものである。かかる構成とすることで、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができ、所期の目的及び効果を実現し得るものである。
樹脂層のコーティング部内の気孔率は、より小さい方が望ましく、気孔がないのが特に望ましく、具体的には、10%以下が好ましく、特に好ましくは0%である。これは、面積割合の大きい非コーティング部が、新たな電解液(電解質)保持部として有効に機能するためである。
セパレータ及び電極表面に存在するコーティング部(または非コーティング部)の面積割合は、電池を解体し、断面だしして、SEMの断面画像からコーティング部(ストライプ状またはドット状のコーティング部)をマッピングによりカウント(計測)することで算出できる。
樹脂層のコーティング部内に存在する気孔率は、ます、電池を解体して、各樹脂層の各々の単一のコーティング部を取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。但し、樹脂層のコーティング部が脆くうまく剥がせない場合などには、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から樹脂層のコーティング部の空間部分をマッピングによりカウント(計測)することもできる。
樹脂層の形態としては、上記目的を達成できるように、コーティング部と非コーティング部を有してなるものであればよく、特に制限されるものではない。セパレータ及び電極表面に、樹脂材料からなるコーティング部と樹脂材料の存在しない非コーティング部が形成されるように、コーティング部が間隔をあけて存在していればよい。コーティング部は、セパレータ及び電極表面に均等性が保たれるように配置されているのが望ましい。非コーティング部が保液空間として有効に機能することから、当該コーティング部は、保液空間が僅かに存在(10%以下)していてもよい(多孔質)が、保液空間が存在しない無孔質(気孔率0%)とするのが望ましい。特にドット状にコーティング部を設ける場合(=コーティング部の割合が非常に小さい場合、例えば、実施例では2%程度;表1参照)に、当該コーティング部を保液空間が存在しない無孔質(気孔率0%)とするのがよい。
図3Aは、電極表面にストライプ状のコーティング部を設けた様子を表す平面図である。図3B、3Cは、電極表面にドット状のコーティング部を設けた様子を表す平面図である。
具体的には、以下に示すような形態などが挙げられる。(a)図3Aに示すように、セパレータ及び電極表面31に、樹脂層としてストライプ状のコーティング部33aとストライプ状のコーティング部33aとの間に非コーティング部35が形成されるようにコーティング部33aが間隔をあけて存在していてもよい。(b)図3B、Cに示すように、セパレータ及び電極表面31に、樹脂層としてドット状のコーティング部33bとドット状のコーティング部33bとの間に非コーティング部35が形成されるようにコーティング部33bが間隔をあけて点在して存在していてもよい。(b)の具体例としては、以下の形態が挙げられる。(b)セパレータ及び電極表面31の四隅にドット状のコーティング部33bが存在するように形成されている。そして、これら四隅のドット(コーティング部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非コーティング部35が形成されるようにコーティング部33bが間隔をあけて存在していてもよい(図3B)。(b)セパレータ及び電極表面31にドット状のコーティング部33bが均等性を保つように点在して形成されている。そして、これらドット(コーティング部33b)とドット(コーティング部33b)の間のセパレータ及び電極表面31に非コーティング部35が形成されるようにコーティング部33bが間隔をあけて存在していてもよい。例えば、セパレータ及び電極表面31に、横3点×縦4点で合計12点のドット状のコーティング部33bが等間隔に点在して形成されている。そして、これら12点のドット(コーティング部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非コーティング部35が形成されるようにコーティング部33bが間隔をあけて存在していてもよい(図3C)。但し、これらの形態に何ら制限されるものではなく、格子状、菱形格子状、短冊状、連続又は不連続な円や楕円などのリング状や多角形状、波形状、半円状、不定形状など、上記目的を達成できるものであれば他のいかなる形態でもよい。
また、本実施形態では、樹脂層18のコーティング部の融点(ないし軟化点)は、セパレータの融点(ないし軟化点)よりも低いのが好ましい。これは、セパレータの形状を保ちながら、樹脂層のコーティング部の表面を軟化させて接着性を出させることで電極−セパレータ間を十分に接着させることができる点で優れているためである。具体的には、樹脂層のコーティング部の融点(ないし軟化点)を、セパレータの融点(ないし軟化点)より5〜10℃低くするのが好ましい。なお、積層方向の各単セルのセパレータは同一のものを用いのが、生産効率や部品管理の観点から望ましい。
ここで、樹脂層のコーティング部の軟化点温度およびセパレータの軟化点温度は、いずれもビカット軟化温度(ビカット軟化点、Vicat Softening Temperature、VST)とし、JIS K7206により測定することができる。JIS K7206の概要を説明すれば、加熱浴槽の中に規定された寸法の試験片を据え、中央部に一定の断面積(JIS K7206では1mm)の端面を押し当てた状態で浴槽の温度を上昇させる。試験片に端面が一定の深さまで食い込んだ時の温度をビカット軟化温度(単位:℃)とするものである。なお、樹脂層18のコーティング部の融点とセパレータの融点の測定方法は、既に上述している通りである。
樹脂層の形成は、実施例に示すように、予めセパレータ表面に、樹脂層のコーティング部を形成するための樹脂材料を適当な溶剤に溶解した樹脂スラリーを所望の厚さ、形状(ストライプ状、ドット状)に塗布、乾燥する。これによりセパレータと樹脂層を一体化できる(樹脂セパレータという)。なお、正負極のいずれか一方に樹脂層を設ける場合、いずれでも本実施形態の効果は同じである。ただ、電極サイズが異なる場合には、サイズの大きい電極側(通常、負極側)に設けた方が、サイズの大きい電極と同じサイズのセパレータが熱収縮して、サイズの小さい電極よりも小さくなるまでは、対向する電極同士が接触しないため有利ともいえる。この樹脂セパレータを通常のセパレータと同様にして、正極、負極の間に挟み込んで、発電要素21を形成する。その後、発電要素21の上下方向から熱プレス装置(図2、5参照)20でホットプレスすることで、樹脂セパレータの樹脂層18のコーティング部の表面部分を軟化させて接着性をださせて電極とも接着させる。これにより、電極−セパレータ間を接着してなる樹脂層18を形成することができる。なお、予め電極(正極ないし負極)側に樹脂スラリーを塗布して樹脂電極(電極と樹脂層を一体化したもの)を作製してもよい。その後は、同様にして発電要素21を形成し、ホットプレスすることで、電極−セパレータ間を接着してなる樹脂層18を形成することもできる。
本実施形態では、樹脂層18がコーティング部と非コーティング部を有してなるものである。更に、該コーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(コーティング部が、複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする)が、積層方向において、中央側<端側であることを特徴とするものである。具体的には、電池の単セルの積層数や電極の大きさにもよるが、積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)よりも大きければよい。好ましくは積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面積(平均値)の1.1〜4.0倍大きいのが望ましく、より好ましくは1.2〜3.0倍大きいのが望ましい。積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面積よりも1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上大きければ、積層数にもよるが、ホットプレスにより、中央部の樹脂層も十分に接着することができる。これにより、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。一方、積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の面積が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の面よりも4.0倍以下、好ましくは3.0倍以下の範囲で大きければ、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。そのため、端側と中央側とが同じタイミングで均一に接着することができる。また、ホットプレスにより外側が溶融しすぎて押しつぶされることもない。これにより、樹脂層での所定の長さの導通パスを保持でき、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。
かかる要件を満足させるには、以下の構成(手段)が挙げられるが、必ずしも、これらの構成(手法)に制限されるものではない。
上記構成(手段)としては、樹脂層がコーティング部と非コーティング部を有しており、コーティング部を構成する単一のコーティング部の重量が、積層方向において、中央側<端側とすることを特徴とするものである。なお、単一のコーティング部の重量は、コーティング部が複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の重量の平均値とする。即ち、樹脂層をドット状やストライプ状のコーティング部と非コーティング部とし、積層構造電池の端側の樹脂層ほど単一のコーティング部の重量を大きくし、中央側の樹脂層ほど単一のコーティング部の重量(ドットの重量やストライプの重量)を小さくする。かかる構成とすることで、積層構造電池10の端側には接着樹脂材(樹脂層形成用材料)の量を多くした樹脂層18を用い、積層方向中側に従い接着樹脂材の量を減らした樹脂層18を用いることで、積層方向に溶融ムラを防ぐことができる。即ち、積層構造電池10の積層方向中央側に向かうに従い単一のコーティング部の重量(平均値)を減らすことができ、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができ、積層方向の溶融ムラを防ぐことができる。その結果、単電池層(単セル)ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池全体の耐久性を向上することができる。更に、本構成とすることで、図2に示すように、発電要素21を上下から熱プレスする装置20によりホットプレスした場合に、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。これにより、各樹脂層の材料や厚さを変えることなく、所定のホットプレス時間内に適度に(より均一に)溶融、接着させることができ、積層方向の中央部と端部で、当該樹脂層でのイオン透過性の差を低減することもできる。即ち、ホットプレスの温度が積層方向の中央側は低くても、端部と同じタイミングで接着させることができる。その結果、単電池層(単セル)19ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池10全体の耐久性を大幅に向上させることができる点で優れている(実施例の表2の容量維持率を参照のこと)。更に本実施形態では、樹脂層のコーティング部の材料や厚さを変化させることなく、樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の重量を積層方向において中央側<端側とするものである。そのため、融点を端側と中央側で変えるのと違って、端側と中央側で樹脂層のコーティング部には同じ材料を用い、端側と中央側で樹脂層(コーティング部)の厚さの調整を行う必要もないので生産工程が簡易化できる点でも優れている。即ち、本実施形態では、例えば、樹脂層形成用材料を所望のドットサイズに開口したマスキングシート上からスクリーニング印刷で塗工するだけで、所望の単一のコーティング部の重量(ドットの重量やストライプの重量)を調整(変更)することができる点で優れている。
ここで、樹脂層18の積層方向の中央側(中側:内側:中央部)と端側(外側:端部)の重量差の好適な範囲としては、本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができればよい。即ち、端側の樹脂層の重量を高くし、中央側の重量を低くして、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で、溶融後の気孔率を略同等とすることにより、ホットプレス後も電極間抵抗を均一に保つことができる。これにより、電極間抵抗を均一に保つことができる。これにより、単電池層(単セル)19ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池10全体の耐久性を向上することができるものである。
具体的には、上記構成(手段)でも、電池の単セルの積層数や電極の大きさにもよるが、積層方向の端側の樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の重量が、中央部のコーティング部を構成する単一のコーティング部の重量よりも高ければよい。好ましくは積層方向の端側の樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の重量が、中央部の樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の重量の1.1〜2.5倍高いのが望ましく、より好ましくは1.2〜2.0倍高いのが望ましい。積層方向の端側の樹脂層の単一のコーティング部の重量が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の重量よりも1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上高ければ、積層数にもよるが、以下の効果を奏する、即ち、ホットプレスの温度が中央側は低くても、端側と同じタイミング(短時間)で、中央側の樹脂層のコーティング部も十分に接着することができる。詳しくは、ホットプレスにより、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。そのため、ホットプレスの温度が積層方向の中央側は低くても、端部と同じタイミングで接着させることができ、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。一方、端側の樹脂層の単一のコーティング部の重量が、中央部の樹脂層の単一のコーティング部の重量よりも2.5倍以下、好ましくは2.0倍以下の範囲で高ければ、積層数にもよるが、以下の効果を奏する、即ち、ホットプレスの温度が中央側は低くても、端側と同じタイミング(短時間)で、中央側の樹脂層のコーティング部も十分に接着することができる。これにより、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。詳しくは、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中央側で、各樹脂層の溶融速度を均一に揃えることができる。これにより、単電池層(単セル)ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池全体の耐久性を向上させることができる。また、ホットプレスにより外側が溶融しすぎて、押しつぶされることもなく、所望の厚さ(面積)を保持した状態で接着することができる。これにより、良好なLiイオンの拡散経路が確保でき、積層方向に溶融ムラが生じるのを防止できる。その結果、上記した目的、効果を十分に達成することができる。
更に、本実施形態では、コーティング部の総重量が、積層方向において、中央側と端側とで同じにするのが望ましい。これは、例えば、樹脂層形成用材料を所望のドットサイズ及び1cm当たり所望のドット個数を有するように開口したマスキングシート上からスクリーニング印刷で塗工することにより形成することができる。これにより、各樹脂層の接着力を揃えることができ、端側と中央側を同じ接着力で、より均一に接着させることができる点で優れている。ここで、コーティング部の総重量が、積層方向において、中央側と端側とで同じとは、中央部に対する端側のコーティング部の総重量が1±0.1倍の範囲内であればよいものとする。好ましくは1±0.05倍の範囲内である。これは、作製上の誤差や得られる効果が同等となる範囲を考慮したものである。
(5)集電板(集電タブ;外部リード)
リチウムイオン二次電池(積層構造電池)10においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電板(集電タブ)25、27を用いてもよい。集電板(集電タブ)25、26は、集電体11、12に電気的に接続され、外装材であるラミネートフィルム等の外部に取り出されている。
集電板25、27を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板(正極タブ)25と負極集電板(負極タブ)27とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
(5a)電極(正極および負極)端子リード(内部リード)
図1に示す積層構造電池10においては、負極端子リードおよび正極端子リード(図示せず)をそれぞれ介して、集電体11、12は集電板(集電タブ)25、27と電気的に接続されていてもよい。但し。集電体11、12の一部を電極端子リード(内部リード)のように伸ばして、直接集電板(集電タブ)25、27と電気的に接続することもできる。したがって、電極端子リード(図示せず)は、必要に応じて適宜用いればよい、任意構成部材といえるものである。
負極および正極端子リードの材料は、公知の積層型二次電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(6)電池外装材
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができる。そのほか、図1に示すようなラミネートフィルム29を外装材として用いて、発電要素21をパックしてもよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。このようなラミネートフィルムを用いることにより、外装材の開封、容量回復材の添加、外装材の再封止を容易に行うことができる。また、高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点からもラミネートフィルム外装材が望ましい。
上記の積層構造のリチウムイオン二次電池10は、従来公知の製造方法により製造することができる。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図4は、積層構造電池の代表的な実施形態である扁平な積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図4に示すように、扁平な積層型のリチウムイオン二次電池30では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ38、負極タブ39が引き出されている。発電要素37は、リチウムイオン二次電池30の電池外装材32によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素37は、正極タブ38および負極タブ39を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素37は、先に説明した図1に示す積層型のリチウムイオン二次電池(積層構造電池)10の発電要素21に相当するものである。発電要素37は、正極、電解質層および負極で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
また、図4に示すタブ38、39の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ38と負極タブ39とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ38と負極タブ39をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図4に示すものに制限されるものではない。
上記リチウムイオン二次電池(積層構造電池)10は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
なお、上記実施形態は、積層構造電池として、積層型のリチウムイオン二次電池を例示したが、これに制限されるわけではなく、他のタイプの二次電池、さらには、一次電池にも適用できる。
以上説明した本実施形態の積層構造電池は、以下の効果を有する。
本実施形態では、樹脂層をコーティング部と非コーティング部を有する構成とし、中側ほど単一のコーティング部の面積を減らすことで、ホットプレス温度が高く時間が長い端側と、ホットプレス温度が低く時間も短い中側で溶融速度を均一に揃えることができる。即ち、ホットプレスの温度が積層方向の中央側は低くても、端部と同じタイミングで接着させることができる。
その結果、単電池層(単セル)ごとの反応分布ムラを防ぎ、積層構造電池全体の耐久性を向上できる。積層される各単セルごとに均一な出力を得ることができ、電池の耐久性が向上することができる。
また、樹脂層をコーティング部と非コーティング部を有する構成とし、中央側ほど単一のコーティング部の重量を減らすことで、ホットプレスの温度が中央側は低くても、端部と同じタイミングで接着させることができる。
また、単一のコーティング部の重量を積層方向において中央側<端側とすることで、上記効果に加え、各樹脂層のコーティング部には同じ材料を用いることができるので生産工程が簡易化できる。
樹脂層のコーティング部の融点を、前記セパレータの融点よりも低くすることで、セパレータの形状を保ちながら、樹脂層のコーティング部の表面を軟化させて接着性を出させることで電極−セパレータ間を十分に接着させることができる。それ故、電池反応を極力阻害しないので、出力特性に更なる効果を奏することができる。
本発明につき、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例のみに何ら限定されるわけではない。
1.正極の作製
正極活物質としてLiMn(平均粒子径20μm)、導電助剤としてアセチレンブラックおよびバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、正極活物質:導電助剤:バインダ=90:5:5の質量比で混合して正極スラリーを得た。
上記スラリーをNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いて粘度調整しながら、Al箔(厚さ15μm)の両面へ単位面積あたりの活物質量が片面20mg/cmとなるよう塗工した。十分乾燥の後、ロールプレス機を用いて正極の厚み(正極集電体+正極活物質層(両面)の合計厚さ)を95μmとなるよう加工した。
2.負極の作製
負極活物質として天然黒鉛(平均粒径20μm)、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、負極活物質:バインダ=95:5の質量比で混合して負極スラリーを得た。
上記スラリーをNMPを用いて粘度調整しながら、Cu箔(厚さ10μm)の両面へ単位面積あたりの活物質量が片面8mg/cmとなるよう塗工した。十分乾燥の後、ロールプレス機を用いて負極の厚み(負極集電体+負極活物質層(両面)の合計厚さ)を70μmとなるよう加工した。
3.セパレータ+樹脂層A(以下、単に樹脂セパレータAとも称する)の作製
PEとPPの積層微多孔膜(厚さ20μm、気孔率50%、融点140℃)に、PVDFとNMPを質量比1:9で混合した樹脂層形成用材料を表1内の間隔で点在させて塗工し、ドット状のコーティング部を有する樹脂層Aを形成して樹脂セパレータAを作製した。樹脂層Aのドット状のコーティング部の厚さは2μm、融点は100℃であった。
4.セパレータ+樹脂層B(以下、単に樹脂セパレータBとも称する)の作製
PEとPPの積層微多孔膜(厚さ20μm、気孔率50%、融点140℃)に、PVDFとNMPを質量比1:9で混合した樹脂層形成用材料を表1内の間隔で点在させて塗工し、ドット状のコーティング部を有する樹脂層Bを形成して樹脂セパレータBを作製した。樹脂層Bのドット状のコーティング部の厚さは2μm、融点は100℃であった。
5.セパレータ+樹脂層C(以下、単に樹脂セパレータCとも称する)の作製
PEとPPの積層微多孔膜(厚さ20μm、気孔率50%、融点140℃)に、PVDFとNMPを質量比1:9で混合した樹脂層形成用材料を表1内の間隔で点在させて塗工し、ドット状のコーティング部を有する樹脂層Cを形成して樹脂セパレータCを作製した。樹脂層Cのドット状のコーティング部の厚さは2μm、融点は100℃であった。
6.セパレータ+樹脂層D(以下、単に樹脂セパレータDとも称する)の作製
PEとPPの積層微多孔膜(厚さ20μm、気孔率50%、融点140℃)に、PVDFとNMPを質量比1:9で混合した樹脂層形成用材料を表1内の間隔で点在させて塗工し、ドット状のコーティング部を有する樹脂層Dを形成して樹脂セパレータDを作製した。樹脂層Dのドット状のコーティング部の厚さは2μm、融点は100℃であった。
なお、樹脂セパレータA〜Dの樹脂層形成用材料は表1のドットサイズ及び1cm当たりのドット個数を有するように開口したマスキングシート上からスクリーニング印刷で塗工した。
各電極(正極及び負極)を十分に乾燥させ、90°剥離試験で樹脂層(コーテイング部)の強度を測定した。また、各樹脂層のドット状のコーテイング部(PVDFバインダ)の点在量(ドット状の単一のコーテイング部(正四角柱)の断面形状(正方形)の一辺のサイズ、1cm当たりのドット個数)及び剥離強度試験結果は下記表1の通りである。
表1中、樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(重量)は、樹脂セパレータAの単一のコーティング部の面積(重量)を1(基準)とした場合の、他の樹脂セパレータB〜Dの相対的な面積(重量)比率(相対比率)を表す。
表1中の「ドットサイズ/個」は、樹脂セパレータA〜Dごとの樹脂層のコーティング部を構成するドット状の単一のコーティング部の角柱状のドット(単一のコーティング部)の表面形状=正方形(□)の一辺のサイズ(単位;mm)を表す。
7.実施例の説明
上記1〜6の単電池層(単セル)の構成部位(部材)を組み合わせて、単電池層(単セル)を5層積層した積層構造電池(セルスタック)を作製した。
全ての実施例の各単電池層(単セル)の正極、負極は上記1、2で作製した部材を使用した。
尚、単電池層(単セル)を5層積層した積層構造電池の各単セルの積層番号は下段から順に1〜5とする。
実施例1
1段目、2段目、4段目、5段目には樹脂セパレータBを用いて、3段目には樹脂セパレータAを用いた。
実施例2
1段目、5段目には樹脂セパレータCを用いて、2段目、4段目には樹脂セパレータBを用いて、3段目には樹脂セパレータAを用いた。
実施例3
1段目、5段目には樹脂セパレータDを用いて、2段目、4段目には樹脂セパレータCを用いて、3段目には樹脂セパレータBを用いた。
比較例1
全ての層(1段目〜5段目)に樹脂セパレータAを用いた。
比較例2
全ての層(1段目〜5段目)に樹脂セパレータBを用いた。
比較例3
全ての層(1段目〜5段目)に樹脂セパレータCを用いた。
比較例4
全ての層(1段目〜5段目)に樹脂セパレータDを用いた。
8.積層構造電池の作製
上記手順で正極、負極、樹脂セパレータAないしDを□20cm(縦、横20cmの正方形)となるように裁断し、単電池層(単セル)を5層を並べ、各層のタブを接続して並列型(内部並列接続タイプ)の積層構造電池の発電要素をスタックした(組み上げた)。このとき、上記樹脂セパレータA〜Dは、すべての単電池層(単セル)において、樹脂層側が負極(活物質層)の表面と接着されるように配置した。樹脂セパレータA〜Dの樹脂層のドット状のコーティング部を接着(熱融着)させるべく、図5に示す熱プレス装置(押さえ治具)20を用いて、発電要素21の上下方向から加温しながら一定圧荷重をかけた(ホットプレスした)。このときの荷重は10MPaであり、装置(治具)20の温度は95℃、プレス時間は5分とした。
各発電要素21(積層体)をアルミラミネート外装体に入れて、所望の電解液を注液後、真空封止して、積層構造電池を作製した。このときの電解液には、1MのLiPFを含有するECとDECとの混合溶液(5:5のモル比)を使用した。
9.評価方法
上記手順で作製した積層構造電池を用いて、50℃保管のもとサイクル試験(耐久試験)を行った。サイクル条件は1Cレートで4.2V−3.0V間を400サイクルおこなった。
10.結果
耐久試験前後の容量維持率(%)を以下の表2に示す。
容量維持率(%)=(400サイクル目の放電容量(Ah))÷(1サイクル目の放電容量(Ah))×100とする。
表2中のA〜Dは、各実施例及び比較例の各単電池層(1〜5段目)に用いた樹脂セパレータA〜Dを略号で表したものである。
表1、2に示す結果から、実施例1〜3のように積層する単電池層(単セル)ごとの樹脂層の単一のコーティング部の面積をグラデーション化することで、76〜79%の容量維持率を担保することができた。また、比較例1〜4のように積層する単電池層(単セル)ごとの樹脂層の単一のコーティング部の面積をグラデーション化していない積層構造電池の容量維持率(65〜68%)に比して、実施例1〜3の積層構造電池では耐久性が向上することが確認できた。尚、各実施例及び比較例では、樹脂層のコーティング部が複数の単一のコーティング部からなる場合(樹脂セパレータA〜C)には、各々の単一のコーティング部の面積(更には重量)が、表1のように全て同じ(更に同一形状)になるように作製したものを用いた。また、各実施例及び比較例の樹脂層のコーティング部は、表1に示すように、コーティング部の面内の総面積(更には総重量)が、積層方向において、中央側と端側とで同じになるように作製したものを用いている。
また、表1、2からわかるように、本発明では、中央側から端側の単セルごとの樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)をグラディエーション化させるものであればよい。幾つかの単セル数ごとに樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)が変わるように階段状にグラディエーション化されていてもよい。例えば、実施例のように単電池層(単セル)が5層積層されている場合、樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)がD>C>B>Aの順であればよい。更には樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)は端側から順に以下のように変化する形態が含まれる。単セル毎に樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)が変わるように、C>B>A<B<C、D>B>A<B<D、D>C>A<C<D、D>C>B<C<Dのようにグラディエーション化されていてもよい。更に幾つかの単セル毎に樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)が変わるように、B=B>A<B=B、C=C>A<C=C、D=D>A<D=D、C=C>B<C=C、D=D>B<D=D、D=D>C<D=D、B>A=A=A<D、C>A=A=A<C、D>A=A=A<D、C>B=B=B<C、D>B=B=B<D、D>C=C=C<Dのように階段状にグラディエーション化されていてもよい。但し、単セルの樹脂層のコーティング部を構成する単一のコーティング部の面積(更には重量)が中央側<端側を満足するものであれば、これらに制限されるものではない。
10、30 積層構造のリチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層(セパレータ)、
18 樹脂層、
19 単電池層(単セル)、
20 熱プレス装置(押さえ治具)、
21、37 発電要素、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29、32 電池外装材、
31、電極(セパレータ)表面、
33a ストライプ状のコーテイング部、
33b ドット状のコーテイング部、
35 非コーテイング部、
38 正極タブ、
39 負極タブ。

Claims (4)

  1. 正極と負極とセパレータを含む電解質層とを有し、正極と負極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を3層以上積層してなる積層構造電池において、
    正負極の少なくとも一方とセパレータの間に、正負極の少なくとも一方とセパレータの間を接着してなる樹脂層がさらに存在し、
    前記樹脂層は、コーティング部と非コーティング部を有していて、
    単一のコーティング部の面積(コーティング部が、複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の面積の平均値とする)が、積層方向において、中央側<端側であることを特徴とする積層構造電池。
  2. コーティング部の面内の総面積が、積層方向において、中央側と端側とで同じであることを特徴とする請求項1に記載の積層構造電池。
  3. 前記単一のコーティング部の重量(コーティング部が、複数の単一のコーティング部からなる場合には、各々の単一のコーティング部の重量の平均値とする)は、積層方向において、中央側<端側であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層構造電池。
  4. 前記樹脂層のコーティング部の融点は、前記セパレータの融点よりも低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層構造電池。
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