JP2013191391A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解液が含浸した場合でも低融点材料の膨潤を抑制することができる隔離材を設けてなる、高温での安全性を確保し得る二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極と、前記正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成された多孔性の隔離材と、を有する二次電池であって、
前記隔離材は低融点材料と、電解液で膨潤しない高融点材料と補強材と、を含んでおり、前記低融点材料は補強材と架橋していることを特徴とする二次電池。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子とイオンが電気化学的に作用することで外部に対して仕事を行う電気デバイスの1種である二次電池に関する。詳しくは、車載用電源などに求められる高い出力特性及び高いエネルギーを有するリチウムイオン二次電池などとして好適に用いられる二次電池に関するものである。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池外装材に収納される構成を有している。このうち、前記電解質層には、一般に、電解液(液体電解質)やゲル電解質を含浸させた多孔質セパレータが用いられている。さらに多孔質セパレータには、一般に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの汎用樹脂を用いた微多孔膜(例えば、PE/PPの積層微多孔膜)等が広く使用されている。しかしながら、こうした汎用樹脂を用いた微多孔膜のセパレータは、充放電時の高温環境下で熱収縮するおそれがある。セパレータが熱収縮した場合、セパレータの収縮した部分では対向する電極同士が接触することで電池の安全性が低下するという問題がある。
そこで、高温での安全性を確保し得る非水電池、特にリチウムイオン二次電池として、例えば、特許文献1には、正極及び負極の少なくとも一方の電極表面に形成された多孔性の隔離材を有する非水電池が記載されている。当該非水電池では、前記隔離材は、融点が80〜150℃の有機粒子と耐熱温度が160℃以上の耐熱粒子がバインダ樹脂により結着して構成していることを特徴とするものである。これにより有機粒子が溶融して、いわゆるシャットダウン現象を生じさせることができる。また耐熱粒子は、有機粒子が溶融しも形状を維持して、対向する正極と負極が接触して内部短絡するのを防止することができるというものである。
特開2006−139978号公報
しかしながら、特許文献1の電池で用いられている隔離材では、低融点材料である有機粒子(ポリマー)に電解液が含浸され、低融点材料である有機粒子(ポリマー)が膨潤するおそれがある。その結果、低融点材料である有機粒子(ポリマー)と高融点材料である耐熱粒子が剥離し、空間が形成されるおそれがある。また、高融点材料である耐熱粒子同士も離れるおそれがある。これらの現象は、電解液に対する膨潤率が、低融点材料である有機粒子(ポリマー;高い膨潤率)と高融点材料である耐熱粒子(アルミナ等の無機材料;膨潤せず=膨潤率0%)が大きく異なるために生じるものといえる。
こうして、空間が形成されることで、当該空間部には電解液が存在しないため拡散抵抗が増加するという問題がある。更に高融点材料である耐熱粒子同士も離れることで、耐熱粒子間に隙間が出来る。当該隙間には、空間や強度の低い低融点材料である有機粒子(ポリマー)だけになるため、振動や衝撃などの外部からの負荷が加わる(外部荷重が印加される)ことで、当該隙間部分で正負極が接触するおそれが高まるという問題もあることがわかった。
そこで、本発明の目的は、電解液が含浸した場合でも低融点材料の膨潤を抑制することができる隔離材を設けてなる、高温での安全性を確保し得る二次電池を提供することにある。
本発明は、正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極と、前記正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成された多孔性の隔離材と、を有する二次電池である。そして、前記隔離材は、低融点材料と高融点材料と電解液で膨潤しない補強材とを含んでおり、前記低融点材料は前記補強材と架橋していることを特徴とするものである。
本発明によれば、低融点材料を電解液で膨潤しない補強材と架橋させることで、電解液(ゲル電解質中の電解液を含む)が含浸した場合でも低融点材料の膨潤を抑制することができる。その結果、低融点材料と高融点材料との剥離を抑制、防止し、空間が形成されるのを防止することができる。そのため、空間形成により生じていた当該空間部に電解液が存在しないことで拡散抵抗が増加するという問題を解消できる。また高融点材料(例えば、無機粒子)同士が離れることもないので、高融点材料(無機粒子)間に隙間が出来ることもなく、当該隙間が外部荷重(外力)で押し潰されて正負極が接触するおそれが高まるという問題も解消できる。その結果、高温での安全性を確保し得る電池を提供することができる。
二次電池の代表的な一実施形態である、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の基本構成を示す断面概略図である。 図2Aは、図1の単電池層(単セル)において、電解質層に補強材を有する隔離材を用いた本実施形態の構成を模式的に表した概略断面図である。図2Bは、単電池層(単セル)において、電解質層に既存の隔離材を用いた従来構成を模式的に表した概略断面図である。 図3Aは、電極表面にストライプ状の接着部を設けた様子を表す平面図である。図3B、3Cは、電極表面にドット状の接着部を設けた様子を表す平面図である。 二次電池の代表的な実施形態である扁平なリチウムイオン二次電池外観を表した斜視図である。 実施例1の低融点材料と補強材との架橋方法の手順を表した工程図である 実施例1の低融点材料と補強材とを架橋して得られた積層シートの補強材の効果確認試験方法の手順を表した図面である。 参考例1の高沸点材料が含まれている低融点材料を膨潤させた際の剥がれを確認する方法の手順を表した図面である。
本発明の二次電池の代表的な実施形態としては、正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極と、前記正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成された多孔性の隔離材と、を有する電池である。そして、前記隔離材が、低融点材料と高融点材料と電解液で膨潤しない補強材とを含んでおり、前記低融点材料が前記補強材と架橋していることを特徴とするものである。かかる構成とすることで、上記した発明の効果を奏することができる。
二次電池の好ましい実施態様として、積層型の非水電解質リチウムイオン二次電池について説明するが、以下の実施形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
リチウムイオン二次電池の構造・形態で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など特に制限されず、従来公知のいずれの構造にも適用されうる。
同様に、電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液(単に電解液ともいう)を用いた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池のいずれにも適用されうる。本実施形態では、これら電解液やゲル電解質を電極や多孔性の隔離材(必要に応じて用いられるセパレータ)等の空孔内や隔離材の低融点材料等に含浸、保持させたものを使用することができる。
また、リチウムイオン二次電は、双極型でない(内部並列接続タイプ)の電極構造を有する電池であってもよいし、双極型(内部直列接続タイプ)の電極構造を有する電池であってもよい。
以下の説明では、双極型でない(内部並列接続タイプの)積層型(扁平型)の非水電解質を用いたリチウムイオン二次電池につき図面を用いて説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、双極型でない積層型(扁平型)の非水電解質を用いたリチウムイオン二次電池(以下、単に「積層型電池」ともいう)の一実施形態の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の積層型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体である電池外装材29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された構造を有する。負極は、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層(単セル)19を構成する。したがって、本実施形態の積層構造電池10は、単電池層(単セル)19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、双極型(内部直列接続タイプ)の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池では、単電池層(単セル)が複数積層されることで、電気的に直列接続されてなる構成を有するともいえる。
なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
また、本実施形態では、電極(正極ないし負極)には、自立電極を含むものである。自立電極とは金属箔(集電体)がなくても形状を担保するものである。即ち、自立電極(自立構造)は、構造的(ないし強度的)には、金属箔(集電体)がなくても活物質層だけで形状を担保できるものである。但し、自立電極(自立構造)といえども、電極要素としては、集電体(但し、金属箔以外にも金属箔より機械的強度が低く、形状を担保し得ない金属の蒸着膜やメッキ薄膜、更には金属配線などでもよい)と活物質層とが必要である。上記に定義した自立電極は、活物質層(正極活物質層、負極活物質層)と、前記活物質層の片面に直接形成されてなる集電体(正極集電体、負極集電体)とを有する。そして、前記活物質層が、多孔質骨格体と、前記多孔質骨格体の空孔内に保持される活物質(正極活物質,負極活物質)とを含むものである。
本明細書中、「集電体」と記載する場合、正極集電体、負極集電体の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もあるし、双極型電池の双極型電極用集電体を指す場合もある。同様に、「活物質層」と記載する場合、正極活物質層、負極活物質層の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。同様に、「活物質」と記載する場合、正極活物質,負極活物質の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。
正極集電体11および負極集電体12には、各電極(正極および負極)と導通される正極集電タブ(正極集電板)25および負極集電タブ(負極集電板)27の一方の先端部がそれぞれ取り付けられている。また正極集電タブ25および負極集電タブ27のもう一方の先端部は、電池外装材29の端部に挟まれるようにして電池外装材29の外部に導出される構造を有している。正極集電タブ25および負極集電タブ27はそれぞれ、必要に応じて電極リード(正極リードおよび負極リード)(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
上記した本実施形態の積層型電池10の特徴的な構成としては、正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成された多孔性の隔離材を有し、隔離材が低融点材料と高融点材料と補強材とを含んでおり、低融点材料が補強材と架橋していることを特徴とする。
図2Aは、図1の単電池層(単セル)において、電解質層に補強材を有する隔離材を用いた本実施形態の構成を模式的に表した概略断面図である。図2Bは、単電池層(単セル)において、電解質層に既存の隔離材を用いた従来構成を模式的に表した概略断面図である。
本実施形態では、図2Aに示すように、単電池層19の電解質層17は、負極(活物質層15)の表面に形成された多孔性の隔離材18と、該隔離材18と正極(活物質層13)の間に設けられたセパレータ16とを有している。また多孔性の隔離材18及びセパレータ16には電解質(液体電解質やゲル電解質)が含浸、保持されている。さらに、セパレータ16と正極(活物質層13)との間に、セパレータ16の熱収縮を防止する目的で接着層(図示せず)がさらに形成されていてもよい。図2Aとは反対に、負極(活物質層15)の表面にセパレータ16を設ける場合には、セパレータ16と負極(活物質層15)との間に、同様の目的で接着層(図示せず)がさらに配置されていてもよい。
上記隔離材18は、低融点材料(ポリマー等)18aと高融点材料(無機粒子等)18bと電解液(ゲル電解質中の電解液を含む。以下同様とする)で膨潤しない補強材(ガラス繊維布等)18cと結着材18dとを有している。また、高融点材料(無機粒子等)18bと低融点材料18aとが(直接的に、必要に応じて結着材18dにより)結着されている。
本実施形態では、低融点材料18aが補強材18cと架橋していることを最大の特徴とする。かように低融点材料18aを、電解液で膨潤しない補強材18cと架橋させることで、電解液が低融点材料(ポリマー)18aに含浸した場合(図2A中の矢印の方向に膨潤しようとする力が働く場合)でも低融点材料18aの膨潤を抑制することができる。その結果、低融点材料(ポリマー)18aと高融点材料(無機粒子等)18bとの剥離を抑制、防止し、空間が形成されるのを防止することができる。そのため、空間形成により生じていた当該空間部に電解液(ゲル電解質中の電解液を含む)が存在しないことで拡散抵抗が増加するという問題を解消できる。また高融点材料(無機粒子等)18b同士が離れることもないので、高融点材料(無機粒子等)18b間に、膨潤した低融点材料18aが入り込んで隙間ができることもない。そのため高温下で当該隙間にある低融点材料18aやセパレータ16が軟化(溶融)し、(例えば、車両走行中の振動や衝撃等による)外部荷重(外力)が印加された際に押し潰されて正負極が接触するおそれが高まるという問題も解消できる。その結果、高温での安全性を確保し得る電池を提供することができる。
一方、図2Bに示すように、既存の隔離材18’では、本実施形態のように、低融点材料18aに架橋されてなる、電解液に膨潤しない補強材18cを持たない。即ち、図2B(i)に示すように、単電池層19’の電解質層17’は、負極(活物質層15)の表面に形成された多孔性の隔離材18’と、該隔離材18’と正極(活物質層13)の間に設けられたセパレータ16とを有している。また多孔性の隔離材18’及びセパレータ16には電解質が含浸、保持されている。
かかる構成の既存の隔離材18’では、図2B(ii)に示すように、電解液が低融点材料(ポリマー)18aに含浸した場合、図2B(ii)中の矢印の方向に膨潤しようとする力が働く。
その結果、図2B(iii)に示すように、低融点材料18aが膨潤(=体積膨張)してしまう。これにより、低融点材料(ポリマー)18aと高融点材料(無機粒子等)18bとが剥離し、空間20が形成される。この空間20部分には電解液が存在しないため、拡散抵抗が増加するという問題が生じる。
また図2B(iii)に矢印(⇔)で示したように、高融点材料(無機粒子等)18b同士も離れる。離れた高融点材料(無機粒子等)18bの間に、膨潤した低融点材料18aが入り込んで隙間(矢印参照)ができる。そのため高温下で当該隙間にある低融点材料18aやセパレータ16が溶融し、例えば、車両走行中の振動や衝撃等による外部荷重(外力)が印加された際に押し潰されて正負極が接触するおそれが高まるという問題も生じる。これらの結果、電池の安全性を十分に確保し得ないという問題があった。
よって、本実施形態では、上記した既存の隔離材18’での諸問題を解消してなる隔離材18を有する電池を提供することにある。
以下、本実施形態の特徴的な構成である隔離材18全般及び各構成部材ごとに詳しく説明する。
(1)隔離材18全般
多孔性の隔離材18は、低融点材料18a、高融点材料18b、補強材18c、結着材18d(任意成分)を含み、低融点材料18aは補強材18cと架橋してなる。
多孔性の隔離材18の空孔率としては、多孔性のセパレータ16の空孔率と同程度であればよく、20〜80%、好ましくは40〜60%の範囲である。隔離材18の空孔率が20%以上の場合にはLiイオンの拡散を阻害することなく、電解質層17の一部として有効に機能し得るものである。一方、隔離材18の空孔率が80%以下であれば、隔離材18としての形状保持(厚さ保持を含む)及び機械的強度を保つことができる。空孔率は、体積と比重から算出することができる。あるいは、電池を解体して、電極を取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。あるいは、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から空孔部分(電解液保持部分)をマッピングにより体積割合(空孔率)を算出することができる。以下に説明するセパレータ16の空孔率も同様にして測定できる。
隔離材18の平均空孔径としては、セパレータ16の平均空孔径と同程度であればよく、0.1〜0.6μmの範囲である。隔離材18の平均空孔径が0.1μm以上であれば、Liイオンの拡散を阻害することなく、電解質層17の一部として有効に機能し得るものである。一方、隔離材18の平均空孔径が0.6μm以下であれば、隔離材18としての形状保持(厚さ保持を含む)及び機械的強度を保つことができる。隔離材18の平均空孔径は、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から空孔部分(電解液保持部分)をマッピングにより平均空孔径を算出することができる。以下に説明するセパレータ16の平均空孔径も同様にして測定できる。
また、隔離材18の厚みは、電極の表面粗さに鑑みて決定することが望ましく、好ましくは電極の表面粗さ(凹部と凸部の差)の2倍以上の厚みとすることが望ましい。具体的には、隔離材18の厚み(隔離材18が正極と負極の両表面に形成されている場合には、その合計厚み)が、20μm以上、より好ましくは25μm以上であって、90μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下とすることが望ましい。隔離材18の厚さが20μm以上であれば、電池温度上昇時に素早くシャットダウン現象を発現することができ、尚且つ高温下で外部荷重が印加された際にも、対向する正極と負極の接触を効果的に防止することができる。また、電極の凸部を十分に覆うこともできる。隔離材18の厚さが90μm以下であれば、Liイオンの拡散を阻害することなく、優れたイオン導電性を発現することができ、電池の高エネルギー密度化に寄与することができる。なお、隔離材18の厚みは、隔離材18を形成した電極ごと、隔離材18の厚み方向に切片を切り出し、Auなどを蒸着して得られた試料について、SEM(走査型電子顕微鏡)で(例えば、倍率5000〜10000倍で)観察して測定することができる。あるいは、電池を解体して、断面だしをして、SEMで観察して厚さを測定することができる。また、電極と電解質層との境界は抵抗を図ることで確認できる。以下に説明するセパレータ16の厚みも同様にして測定できる。
次に、本実施形態の隔離材18の製造方法の1例を説明するが、かかる製造例に何ら制限されるものではない。まず、隔離材18の構成部材のうち、低融点材料18a、高融点材料18b、および必要に応じて用いられる結着材18dを含む液状組成物を調製する。この液状組成物を離形シート上にキャスト、スプレー等して所定の厚さに塗布し、液状組成物中の溶媒(分散媒)を乾燥、除去することにより、隔離材18の厚さの約半分の厚さの隔離材シートを2枚形成する。この2枚の隔離材シートの間に、隔離材18の構成部材である補強材18c(例えば、ガラス繊維やセラミックス系繊維からなる格子状の補強材=布状の補強材)を挟み込んむ。必要があれば、架橋剤に対して安定で耐熱性のあるクリップなどで固定してもよい。この補強材18cを挟示した隔離材シートを低融点材料18aと補強材18cとを架橋し得る架橋剤(所定濃度に調整したシランカップリング剤)の入った容器に1分程度(概ね、数十秒〜数分間)浸漬する。ここで、シランカップリング剤の濃度は、例えば、25℃温度下で市販のシランカップリング原液の濃度を水で3倍程度(通常、1〜10倍程度)に希釈したシランカップリング剤溶液などを利用可能である。具体的には、シランカップリング剤溶液の濃度は0.1〜8質量%の範囲で用いるのが好ましい。その後、容器から補強材18cを挟示した隔離材シートを取り出し、100℃程度(通常80〜120℃の範囲)で30分程度(通常、10〜50分の範囲)加熱することで、所望の隔離材18を得ることができる。更に必要があれば、得られた所望の隔離材18の一方の表面に適用な溶剤を塗布して溶解し接着性を発現させた状態で、電極表面に張り付けてもよい。あるいは、必要があれば、セパレータを電極に接着するのに用いる接着層を隔離材18と電極との間に形成してもよい。
隔離材18を形成するための液状組成物は、低融点材料18a、高融点材料18b、および必要に応じて用いられる結着材18dを含むものであり、通常、高融点材料18b(更には低融点材料18a)を粒子形態のまま含むため、分散体(スラリー)である。この液状組成物に用いる溶媒(分散媒)としては、結着材18d(更にはゲル電解質としても用いられる低融点材料18a)を均一に溶解または分散し得るものが好ましく、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが好適である。
(2)補強材18c
補強材18c(低融点材料18aとの架橋部分を含む。以下同様とする)の融点は、低融点材料18aの融点よりも高いことが望ましい。これにより、電池内部温度の上昇の際に、低融点材料18aよりも後に補強材18cが溶融する為、低融点材料18aが溶融してしまうまで補強材18cとの架橋を維持でき、低融点材料18cの膨潤を抑えることができる点で優れている。そのため補強材18cの融点が低融点材料18aの融点よりも1℃でも高ければ、低融点材料18aが溶融してしまうまで架橋を維持できている点で優れている。なお、補強材18cの融点の上限は特に制限されるものではなく、高融点材料18bの融点より高くてもよいし、低くてもよい。また高融点材料(無機粒子等)18bの融点も、低融点材料18aの融点よりも高いため、低融点材料18aが溶融しても高融点材料(無機粒子等)がその形状を維持でき、厚さ保持機能を維持することができる。そのため、高温での電池の安全性を確保することができる。補強材18cの融点は、JIS−K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。他の材料の融点についても同様に測定することができる。
補強材18cとしては、電解液で膨潤することがなく、電解液に対して不活性で、Liイオンの拡散を阻害しない材料であって、上記融点を満足する材料が望ましく、例えば、ガラス系繊維、セラミック系繊維などの繊維材料が挙げられる。これらの繊維材料は、耐熱性があり、電解液にも耐えら、電位内の温度が上昇した際に低融点材料18aが溶融しても残っていられる点でも優れている。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。但し、本実施形態は、これらに何ら制限されるものではない。これらガラス系繊維やセラミック系繊維では、低融点材料18aが電解液を含浸して膨潤しようとする力に抗して、その形状(形態)を保持し得るだけの十分な強度を有する点で優れている。また、架橋剤の中でも、特にシランカップリング剤との反応性に優れており、低融点材料18aと架橋させやすい点でも優れている。
上記繊維材料において、繊維の平均直径は1〜20μm、平均長さは20μm〜3mmが好ましい。繊維の平均直径が1μm以上であれば、低融点材料18との架橋により、低融点材料18が電解液を含浸して膨潤しようとするのを十分に抑制することができ、上記した図2Bのような諸問題が生じるのを防止することができる。繊維の平均直径が20μm以下であれば、Liイオンの拡散を阻害しない形状に加工することができ、隔離材の薄膜化を図ることもできる。繊維の平均長さが20μm以上であれば、該繊維を用いて、不織布などの形態に加工することで、隔離材18全体をカバーする補強材18cを提供することができる。また、不織布などの形態に加工しなくとも、隔離材18全体に均一分散して配置することで、隔離材18全体をカバーする補強材18cとして十分に機能し得るものである。平均長さが3mm以下であれば、該繊維を用いて、上記した各種形態に加工することができ、隔離材18全体をカバーする補強材18cを提供することができる。なお、繊維の平均直径、平均長さは上記範囲に何ら制限されるものではなく、かかる範囲を超えても、本発明の作用効果を発現することができるものであれば、十分に利用することができる。なお、上記繊維材料の繊維の平均直径、平均長さは、SEM(走査型電子顕微鏡)で測定後、算出することができる。
電解液で膨潤しない補強材18cの形状としては、Liイオンの拡散を阻害しない形状であればよく、例えば、上記繊維材料を用いた繊維状物の形態、もしくは上記繊維材料を格子状物の形態のほか、空孔率の大きなシート状物、布状物(織布状物、編布状物)及び不織布状の形態としたものなどが挙げられる。好ましくは、布状物(織布状物、編布状物)及び不織布状の形態としたものが、補強材18cとして強くできる点で優れている。但し、本実施形態は、これらに何ら制限されるものではない。また、上記形状の補強材18cは、隔離材18の表面全体(全面)をカバーする大きさを有しているのが望ましい。これにより、隔離材18中の低融点材料18aが局所的に膨潤することもなく、隔離材18全体での融点材料18aの膨潤を効果的に抑制することができる点で優れている。
上記形状の補強材18cは、上記した繊維が重なり合っていることから、その厚さは単純に上記繊維の平均直径と一致するものではない。補強材18cの厚さは、10〜80μm、好ましくは20〜40μmの範囲である。補強材18cの厚さが10μm以上であれば、上記した空孔率の大きなシート状物、布状物(織布状物、編布状物)及び不織布状の形態の補強材18cを形成することができる。また、低融点材料18aと架橋した際に、低融点材料18aが電解液を含浸して膨潤するのを防止するのに十分な強度(形状保持機能)を保つことができる。補強材18cの厚さが80μm以下であれば、Liイオンの拡散を阻害することがない点で優れている。
補強材18cの配置としては、図2Aでは、負極(活物質層15)の表面と接するように補強材18cを設けているが、正極(活物質層13)の表面と接するように補強材18cを設けてもよい。好ましくは、実施例に示すように、隔離材18の内部(厚さ方向の中心部)に補強材18cを設けるのが隔離材18全体での融点材料18aの膨潤を効果的に抑制することができる点で望ましい。
補強材18cの空隙率(体積空孔率)としては、35〜65%、好ましくは50〜65%の範囲が望ましい。上記範囲内であれば、Liイオンの拡散を阻害せず、補強材の形態を維持できる点で優れている。補強材18cの空隙率が35%以上であれば、Liイオンの拡散を阻害しない点で優れている。補強材18cの空隙率が65%以下であれば、補強材18cを構成する繊維等がばられてしまうことなく、所望の強度を保持することができる点で優れている。補強材18cの空隙率は、補強材18cの体積と比重から測定することができる。あるいは、電池を解体して、電極を取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。あるいは、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から補強材18cの空隙部分(電解液保持部分)をマッピングにより体積割合(空孔率)を算出することができる。
電解液を含浸しない補強材18cの含有量(含有割合)としては、隔離材18全量(電解液は含まず。)に対して、10質量%以下、好ましくは5〜8質量%の範囲である。補強材18cの含有量(含有割合)が10質量%以下であれば、LIイオンの拡散を阻害しない点で望ましい。補強材18cの含有量は、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から補強材18cのマッピングにより体積割合から質量%(質量比)を算出することができる。
(2a)補強材18cと低融点材料18aとの架橋部分
補強材18cと低融点材料18aとの架橋部分についても、電解液で膨潤することがなく、Liイオンの拡散を阻害しない材料であって、上記融点を満足する材料が望ましい。上記融点とは、低融点材料18aの融点よりも高ければよい。そのため架橋部分の融点が低融点材料18aの融点よりも1℃でも高ければ、低融点材料18aが溶融してしまうまで架橋を維持できている点で優れている。架橋部分の融点(架橋剤であるシランカップリング剤等の融点)は、熱分析(DSC)を行い吸熱反応がでたところからガラス転移温度(TG)を特定して融点を算出することができる。また、JIS−K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することもできる。
上記架橋部分の形成には、架橋剤として各種のシランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤などが利用可能であり、すでに市販されているものを適宜利用することができる。こうしたシランカップリング剤等が補強材18c及び低融点材料18aと反応して架橋部分が形成されるものである。架橋していることの確認は、動的粘弾性測定で見ることができる。架橋密度、架橋点間距離(架橋点間分子量)も同様に動的粘弾性測定して算出することができる。
このうちシランカップリング剤は分子内に、低融点材料18aである有機材料(ポリマー)と反応結合する官能基、および補強材18cである無機材料と反応結合する官能基を同時に有する有機ケイ素化合物で、一般的にその構造は次のように示される。
ここで、Yは、低融点材料18aである有機材料(ポリマー)と反応結合する官能基で、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、塩素原子などがその代表例として挙げられる。Xは、補強材18cである無機材料と反応する官能基で、水、あるいは湿気により加水分解を受けてシラノールを生成する。このシラノールが補強材18cである無機材料と反応結合する。Xの代表例としてアルコキシ基(メトキシ基(OCH)、エトキシ基(OC))、アセトキシ基(OCOCH)、塩素原子などが挙げられる。Rは任意成分で、二価の炭化水素基(アルキレン基など)などが挙げられる。即ち、シランカップリング剤は、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、塩素原子等から選ばれる反応性官能基と共に、アルコキシル基、アセトキシ基、塩素原子に代表される加水分解性基を有するオルガノシランである。こうしたシランカップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロルシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のほか、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などを挙げることができる。但し、本実施形態では、これらに何ら制限されるものではない。好ましくは、低融点材料18aと補強材18cとの反応しやすいなどの観点から、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
また、アルミニウムカップリング剤としては、例えばアセチルアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等を例示することができる。但し、本実施形態では、これらに何ら制限されるものではない。
チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等を例示することができる。但し、本実施形態では、これらに何ら制限されるものではない。
これらのカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましくは、上記カップリング剤に中でもシランカップリング剤が、反応が簡単で、架橋部分の強度が強く、融点も高く、尚且つ多くのメーカーから数多くの製品が市販されており、使用目的に応じた製品を任意に選択することができる点で望ましい。
但し、本実施形態の架橋剤としては、補強材18cと低融点材料18aとを架橋し得るものであればよく、上記シランカップリング剤等に何ら制限されるものではない。かかる架橋部分も、低融点材料18aが電解液を含浸して膨潤しようとする力に抗して、その架橋構造を保持し得るだけの十分な強度を有する点で優れている。
これらカップリング剤は、低融点材料18a(有機材料;例えば、オレフィン系樹脂材料)100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部、さらに好ましくは0.5〜1重量部で使用される。この範囲であれば、低融点材料18a及び補強材18cへの結合力が十分に保たれ、耐久性が増加する。
補強材18cと低融点材料18aとの架橋点間分子量(架橋点間距離)は、200〜5000の範囲、好ましくは1000〜3000の範囲が望ましい。上記範囲内であれば、低分子材料18aに電解液が含浸した際の膨潤を効果的に防止することができ、尚且つ電池温度上昇の際に素早く溶けて隔離材18の空孔を塞いでシャットダウン現象を生じさせることができる。上記架橋点間分子量(架橋点間距離)が200以上であれば、低分子材料18a全体と強固に架橋することができ、低分子材料18aに電解液が含浸した際の膨潤を効果的に防止することができる点で優れている。上記架橋点間分子量(架橋点間距離)が5000以下であれば、電池温度上昇の際に素早く溶けて隔離材18の空孔を塞ぐ目的で用いられている低融点材料18aが溶けにくくなる(融点が高温化する)ことなく、素早くシャットダウン現象を生じさせることができる。なお、補強材18cと低融点材料18aとの架橋点間分子量(架橋点間距離)は、動的粘弾性測定により求めることができる。
前記補強材18cの架橋構造が、通孔を有することが望ましい。即ち、上記した補強材18cと低融点材料18aとの架橋点間分子量(架橋点間距離)を有することで、隣接する架橋部分(カップリング剤が反応してできた補強材18cと低融点材料18aとの間の分子構造)の間に生じる隙間(空隙)のことを通孔という。即ち、カップリング剤が反応してできた補強材18cと低融点材料18aとの間の個々の分子構造そのものが通孔を有するわけではない。この通孔部分には、製造法穂にもよるが、液体電解質(電解液)やゲル電解質が保持されているか、あるいは、低融点材料18bが存在しており、該低融点材料18bに電解液が含浸、保持されていてもよい。これにより、補強材18cと低融点材料18aと架橋面側も、当該通孔を通じてLiイオンの拡散パスを形成することができ、良好なイオン透過性を発現することができるものである。
(3)低融点材料18a
低融点材料18aは、電解液を含浸できる材料(保液機能を有する材料;微多孔質材料)であって、電池内温度が上昇した際に溶融して隔離材の空孔を閉塞し、電池の内部抵抗を増大させるといったシャットダウン現象を生じさせることができるものが望ましい。
かかる観点から低融点材料18aの融点としては、120〜160℃、好ましくは130〜140℃の範囲である。なお、低融点材料18aの融点が120℃以上であれば、通常の充放電反応による電池内温度では、溶融することなく、その形態(形状)及び電解液の保液機能を保持することができ、電池内温度が上昇した際に素早く溶融しシャットダウン現象を生じることができるものである。低融点材料18aの融点が160℃以下であれば、電池内温度が上昇した際に溶融してシャットダウン現象により電池反応を停止させることができる。また、低融点材料18aの融点はセパレータ16の融点よりも低いのが好ましい。これは、セパレータ16よりも、低融点材料18aが早く溶融することで、セパレータ16の熱収縮や溶融を起こすことなく、形態(形状)を維持しつつ、低融点材料18aがシャットダウン現象を生じるため、対向する正極と負極が接触するのをより一層効果的に抑えることができる点で優れている。なお、低融点材料18aの融点も、JIS−K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。熱分析(DSC)を行い吸熱反応がでたところからガラス転移温度(TG)を特定して融点を算出することもできる。
低融点材料18aとしては、電解液の保液機能と上記した融点の範囲内にあり、且つ電気化学的に安定で、電解液(ゲル電解質中の電解液成分を含む)に用いる溶媒に対して安定なものであればよく、特に制限されるものではない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンな、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が15モル%未満)、あるいはこれらの誘導体などのポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂が望ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンな、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が15モル%未満)、あるいはこれらの誘導体などのポリオレフィン系樹脂である。これらを用いることで、通常に充放電時には優れた電解液の含浸、保液機能により高いイオン導電性を発現することができ、電池温度が上昇した際には、素早くシャットダウン現象を発現させることができる点で優れている。
低融点材料18aの形態としては、特に制限されるものではなく、隔離材18の形態、例えば、所望の厚さのシート状物等に応じて、低融点材料18aと高融点材料18bを用いて形成可能なように任意の形態(不定形状やシート形状)を取り得るものである。例えば、粒状の高融点材料18bを含有するシート状の形態(=隔離材18の形態)であって、電解液を含浸した際にゲル状となり得る多孔性のシート状の形態を取り得るものが好ましい。これにより、当該隔離材18をゲル電解質層17として機能させることができるためである。かかるシート状物の場合の厚さは、概ね上記した隔離材18の厚さと略同等(補強材18cの厚さ分だけ異なる)といえる。
また低融点材料18aの他の形態としては、粒状物の形態も取り得るものであってもよい。粒状物の形態の場合には、低融点材料18a同士が結着した際に生じる隙間を電解液保持のための空孔として利用することができる。粒状物の場合に、その大きさとしては、粒子径が隔離材18の厚みよりも小さいければよいが、隔離材18の厚みの3/4〜1/100の平均粒子径を有していることが好ましく、より具体的には、平均粒子径で0.1〜20μmであることが望ましい。当該粒状物の平均粒子径が隔離材18の厚みの1/100以上であれば、粒子同士の隙間が小さくなりすぎることもなく、Liイオンの拡散を阻害することもない点で優れる。その結果、優れたイオン伝導度を有する電解質層17を提供することができ、電池特性の向上に寄与することができる。また、当該粒状物の平均粒子径が隔離材18の厚みの3/4以下であれば、隔離材18の薄膜化が可能となる。その結果、電池の小型軽量化、また電池特性(単位体積当たりの電池容量)を高めることができる点でも優れている。
低融点材料18aが粒状物の場合、その粒子径は、できる限り揃っていることが好ましい。粒径が不揃いであると、大粒径の粒子同士の間に小粒径の粒子が入り込んでしまって空孔率が低下しやすいからである。具体的には、粒子径が0.1〜20μmの範囲にあり、平均粒子径が0.3〜15μmであることが好ましい。なお、粒子の平均粒子径および粒度分布は、レーザー散乱粒度分布計を用い、粒子をトルエンに分散させて測定することができる。あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出することもできる。後述する他の粒子の平均粒子径も同様に測定することができる。なお、SEM等の粒子径は、SEM等の画像の粒状物の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を測定したものである。
更に低融点材料18aの他の形態としては、高融点材料18bが粒状物の形態の場合、その表面に低融点材料18aによる被覆層が形成されてなるコアシェル構造の粒子形態としてもよい。
上記コアシェル構造の粒子形態の場合は、高融点材料18bと低融点材料18aを、低融点材料18aを溶解できる溶媒中にて、低融点材料18aの融点以上で尚且つ高融点材料18bの融点より低い温度で混合する。その後、冷却した後、噴霧乾燥により前記溶媒を除去することにより得ることができる。
上記樹脂を溶解できる溶媒としては、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素系のアルカン系あるいはアルキン系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系;トルエン;キシレン;などが挙げられる。但し、本実施形態では、これらに何ら制限されるものではない。
上記コアシェル構造の粒子形態の場合、その大きさとしては、粒径が隔離材18の厚みよりも小さければよいが、例えば、隔離材18の厚みの3/4〜1/100の平均粒子径を有していることが好ましく、より具体的には、数平均粒子径で0.1〜20μmであることが望ましい。コアシェル構造の粒子が、隔離材18の厚みの1/100以上の平均粒子径であれば、粒子同士の隙間が小さくなりすぎることもなく、Liイオンの拡散を阻害することもない点で優れる。その結果、優れたイオン伝導度を有する電解質層17を提供することができ、電池特性の向上に寄与することができる。また、コアシェル構造の粒子が、隔離材18の厚みの3/4以下の平均粒子径であれば、隔離材18の薄膜化が可能となる。その結果、電池の小型軽量化、また電池特性(単位体積当たりの電池容量)を高めることができる点でも優れている。
また、コアシェル構造の粒子形態の場合、その粒径が、できる限り揃っていることが好ましい。粒径が不揃いであると、大粒径の粒子同士の間に小粒径の粒子が入り込んでしまって空孔率が低下しやすいからである。具体的には、粒径が0.1〜20μmの範囲にあり、平均粒子径が0.3〜15μmであることがより好ましい。
上記コアシェル構造の粒子形態の場合、上記コアシェル構造の粒子と共に、他の形態の低融点材料18aや高融点材料18bを併用してもよい。隔離材18の全量中における上記コアシェル構造の粒子形態の割合は、4質量%以上が好ましく、26質量%以上がより好ましく、90質量%以下とすることが望ましい。また、コアシェル構造の粒子形態の結着を強固に行う目的で、以下に説明する結着材18dを使用してもよい。
本実施形態においては、隔離材18の一成分として用いられている上記形態の低融点材料18a、および本形態のコアシェル構造の粒子形態の被覆層を構成する低融点材料18aが熱融解(溶融)する。これにより隔離材18の空孔を閉塞することができ、電池の内部抵抗が上昇するいわゆるシャットダウン現象を奏することができる。特に隔離材18は図2Aに示すように電極上に直接形成される。そのため、電極で発生した熱が直接隔離材18、特に低融点材料18aに伝導するため、低融点材料18aの熱融解(溶融)が素早く起こり、シャットダウン現象が短時間で発現する点でも優れている。
(4)高融点材料18b
高融点材料18bは、低融点材料18aが溶融しても形状を維持して、対向する正極と負極が接触して内部短絡するのを防止することができるのが望ましい。かかる観点から高融点材料18bの融点としては、160℃を超える範囲であればよく、好ましくは180以上の範囲である。高融点材料18bの融点が160℃を超える範囲であれば、高温下での高融点材料18b、更には隔離材18の形状を維持し(セパレータ16よりも長持ちし)、電池内温度が上昇した場合の内部短絡を防止する役割を担うことができる。かかる観点から高融点材料18bの融点はセパレータ16の融点よりも高いのが望ましい。また、高融点材料18bの融点の上限は特に制限されるものではないが(参考例1参照)、300℃以下、好ましくは250℃以下の範囲であるのが望ましい。300℃以下であれば、電池が熱暴走したときに、最後に溶融して空孔を塞ぎ(目詰まりし)、熱暴走反応を停止させることができる点で優れている。但し、本発明では、低融点材料18a、更にはセパレータ16を用いることで、高融点材料18bが参考例1のように非常に高い融点で、最後まで溶融せずに厚み保持機能を維持していてもよい。これは、低融点材料18a、更にはセパレータ16が溶融することで、隔離材18、更にはセパレータ16の空孔を塞ぐことができ(目詰まりさせることができ)、熱暴走反応を停止させることができるためである。なお、高融点材料18b、セパレータ16の融点も、JIS−K 7121の規定に準じて、DSCを用いて測定することができる。
高融点材料18bとしては、上記範囲の融点を有し、160℃以下の低い温度で流動せず、非電気伝導性で、且つ電気化学的に安定で、更に電解液に用いる溶媒に対して安定で、電解液で膨潤しないものであれば特に限定されない。例えば、非電気伝導性の無機材料や、160℃を超える融点を有する有機材料、架橋高分子材料などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記非電気伝導性(電気絶縁性)の無機材料としては、例えば、酸化鉄、SiO、Al、TiO、BaTiOなどの酸化物材料;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物材料;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶材料;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶材料;モンモリロナイトなどの粘土材料;などが挙げられる。また、金属材料;SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物材料;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料;などの導電性材料(例えば、導電性粒子)の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、上記の非電気伝導性の無機材料や160℃を超える融点を有する有機材料や架橋高分子材料など)で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた材料であってもよい。
また、上記160℃を超える融点を有する有機材料としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。また上記架橋高分子材料としては、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などが例示できる。また、これらの有機材料や架橋高分子材料を構成する有機樹脂(高分子)は、上記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(上記架橋高分子以外の材料について)であってもよい。
高融点材料18bとして好ましくは、Al、SiO、TiO及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種が望ましい。これらを用いることで、耐熱効果を高めることができる。そのため高温下で安定で溶融、軟化せず、形状(厚さ)保持機能を維持して内部短絡を防止することができる。また、それでもなお電池が熱暴走したときには、最後に溶融して空孔を塞ぎ(目詰まりし)、熱暴走反応を停止させることができ得るためである。
高融点材料18bとしては、上記各例示の材料を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高融点材料18bの形態(形状)としては、上記した目的を達成することができる形状であれば特に制限されるものではないが、好ましくは粒状物の形態であり、より好ましくは球状の粒状物の形態である。これは、隔離材18の構成部材のうち、低融点材料18a、高融点材料18b、および必要に応じて用いられる結着材18dを含む液状組成物を調製する。この液状組成物を離形シート上にキャスト、スプレー等して所定の厚さに塗布する際に、粒状の高融点材料18bをスムーズに均一分散させることができるためである。
高融点材料18bが粒状物の場合、その大きさは、低融点材料18aの大きさと同様に、粒子径が隔離材18の厚みよりも小さいければよいが、例えば、平均粒子径で0.001〜15μm、好ましくは1〜15μm、より好ましくは2〜13μmであることが望ましい。高融点材料18bが粒状物の場合の平均粒子径は、0.001μm以上であれば、正極と負極とが接触して内部短絡するのを防止することができる点で優れている。また、当該粒状物の平均粒子径が15μm以下であれば、Liイオンの拡散パスが長くなるのを抑制することができる点で優れる。その結果、優れたイオン伝導度を有する電解質層17を提供することができ、電池特性の向上に寄与することができる。また、隔離材18の薄膜化が可能となる。その結果、電池の小型軽量化、また電池特性(単位体積当たりの電池容量)を高めることができる点でも優れている。
また、高融点材料18bが粒状物の場合の粒子径も、低融点材料18aが粒状物の場合と同じ理由から、できる限り揃っていることが好ましい。具体的には、粒子径が0.1〜20μmの範囲にあり、平均粒子径が1〜15μmであることがより好ましい。
隔離材18を構成する低融点材料18aと高融点材料18bの体積比としては、低融点材料18a;高融点材料18b=50:50〜70:30(体積比)の範囲である。かかる範囲内にあることで、粒状の高融点材料18bの全表面を低融点材料18aで完全に覆う形態が好まし為である。即ち高融点材料18bがむき出しで存在しない方が望ましい。電極と高融点材料18bがむき出し部分が接触する部分では、電解液の供給、即ち=Liイオンの拡散パスが確保できない恐れがあるが、そうしたむき出し部分がないため場合には、隔離材18(ないし接触する電極)全面にLiイオンの拡散パスが確保することができる点で優れている。更に、上記範囲内であれば、電池内が高温となった際の内部短絡の発生を防ぐ効果が高まる点で優れている。また、シャットダウン現象がより短時間で発現しやすくなる点でも優れている。上記範囲よりも低融点材料18が多すぎると、Liイオンの拡散パスが広がるおそれがある。また、高融点材料18bが存在しない領域が存在するようになるおそれがある。上記範囲よりも低融点材料18が少なすぎると、高温下で溶融しても離型材18の空孔を完全に塞ぐことができない恐れがある(十分なシャットダウン現象を生じえないおそれがある)。低融点材料18aと高融点材料18bの体積比は、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から低融点材料18aと高融点材料18bとをそれぞれマッピングにより体積割合を算出することができる。あるいは、製造段階では、体積、比重がわかっているので、上記範囲の体積比になるように混合すればよい。
隔離材18を構成する低融点材料18aと高融点材料18bの含有量(含有比率)としては、隔離材18の全量に対して、低融点材料18aを25〜65質量%、より好ましくは35〜55質量%とすることが望ましい。隔離材18の全量に対して、高融点材料18bを35〜75質量%、より好ましくは45〜65質量%とすることが望ましい。
低融点材料18aを25質量%以上含むことにより、Liイオンの拡散パスの広がりを抑制することができる。また、高融点材料18bが存在しない領域が存在するようになるのを防止することができる。一方、低融点材料18aを65質量%以下とすることにより、高温下で溶融しても離型材18の空孔を完全に塞ぐことができ、素早くシャットダウン現象を生じさせることができる。高融点材料18bを35質量%以上含むことにより、電池内が高温となった際の内部短絡の発生を防ぐ効果が高まる。一方、高融点材料18bを75質量%以下とすることにより、シャットダウン機能がより短時間で発現しやすくなるからである。低融点材料18aと高融点材料18bの含有量は、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から低融点材料18aと高融点材料18bとのマッピングにより体積割合から質量%(質量比)を算出することができる。
(5)結着材18d
隔離材18の形態保持性の観点から、隔離材18は、上記した融点が160℃以下の低融点材料18aと上記した融点が160℃超の高融点材料18bとが結着していることが望ましい。かかる結着を強固に行う目的で、結着材料18dが、上記した融点が160℃以下の低融点材料18aと上記した融点が160℃超の高融点材料18bとを結着するのに用いられているのが望ましい。これは、上記低融点材料18a(ポリマー)と上記高融点材料18b(無機材料)の場合に有用である。ただし、低融点材料18aと高融点材料18bとが直接的に結着していてもよい。特に低融点材料18a(ポリマー)と高融点材料18b(ポリマー)の場合には、熱融着などにより直接的に結着させることができるほか、低融点材料18a(ポリマー)または高融点材料18b(ポリマー)が接着剤を兼ねることにより結着がなされていてもよい。
上記結着材18dは、電解質層17の隔離材18中の構成部材同士、特に低融点材料18aと高融点材料18bとを結着させて隔離材18(電解質層17)構造を維持する目的で添加される。結着材18dとしては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、電気化学的に安定(電解液に用いる溶媒に対しても安定)であり、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、アラミド、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることが好ましい。より好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、電解液に強く、汎用性があることから望ましい。これらの好適な結着材18dは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり隔離材18(電解質層17)に使用が可能となる。これらの結着材18dは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、結着材18dがこれらに限定されないことはいうまでもない。
結着材18dの融点は、低融点材料18aの融点と同程度以上であればよいが、150℃±15℃の範囲、好ましくは150℃±15℃の範囲である。結着材18dの融点が135℃以上であれば、低融点材料18aが溶融するまでは低融点材料18aと高融点材料18bとを結着させておくことができる点で好ましい。また結着材18dの融点が165℃以下であれば、低融点材料18aが融解した後に溶融することになり、低融点材料18aが溶融するまでは低融点材料18aと高融点材料18bとを結着させておくことができる、その結果、隔離材18の形状を強固に保持することができる。
結着材18dの含有量は、隔離材18中の構成部材同士、特に低融点材料18aと高融点材料18bとを結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは隔離材18の構成部材の総量に対して、10質量%以下、好ましくは5〜10質量%である。結着材18dの含有量が10質量%以下であれば、結着材18dだけで結着している部分ができてしまうなどして、隔離材18の空孔を塞いで電池特性を損うのを防ぐことができる点で優れている。結着材18dの含有量が5質量%以下であれば、高融点材料18bの表面を結着材18dで覆うことができ(図2A参照)、隔離材18を構成する低融点材料18aと高融点材料18bの結着効果が高まる点で優れている。結着材18dの含有量は、電池を解体して、隔離材18断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から結着材18dのマッピングにより体積割合から質量%(質量比)を算出することができる。あるいは低融点材料や結着材18d等溶媒にかような成分をすべて溶液に溶かして質量分析、ICP(誘導結合プラズマ)等を用いて重量割合を算出してもよい。
以下は、本実施形態の積層型電池10の各構成要件(構成部材)について説明する。なお、積層型電池10の各構成要件(構成部材)については、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態も同様に採用されうる。
(1)集電体
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の面または両面に活物質層が配置される。集電体を構成する材料に特に制限はなく、例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された導電性を有する樹脂が採用されうる。
金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも導電性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、および銅が好ましい。
金属を用いた集電体の形態としては金属箔の他に、金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層、金属配線を用いてもよい。金属蒸着層及び金属メッキ層は、活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属蒸着層や金属メッキ層を形成(配置)することができる。金属配線も活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属配線を形成(配置)することができる。また、金属配線にプライマ層を含浸させて、熱圧着により貼り付けることができる。さらに、金属配線としてパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートを用いる場合には、パンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートの両面に電極スラリーを塗布、乾燥することで活物質層に挟まれた金属配線(集電体)を配置することができる。金属箔を用いる場合にも、金属箔上(片面又は両面)に電極スラリーを塗布、乾燥することで、活物質層の片面に金属箔(集電体)を配置することができる。また、導電性プライマ層は、基本的にはカーボン(鎖状、繊維状)や金属フィラー(集電体材料に用いられるアルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル粉など)に樹脂を混合して作製することができる。配合は様々である。これを活物質層の片面に塗布、乾燥することで形成(配置)することができる。
上記導電性プライマ層は、導電性を有する集電樹脂層を含む。好適には、導電性プライマ層は、導電性を有する集電樹脂層からなる。導電性プライマ層が導電性を有するには、具体的な形態として、1)樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態、2)集電樹脂層が樹脂および導電性フィラー(導電材)を含む形態が挙げられる。
導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
上記2)の形態に用いられる導電性フィラー(導電材)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する集電樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
具体的には、アルミニウム材、ステンレス(SUS)材、カーボン材、銀材、金材、銅材、チタン材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくは銀材、金材、アルミニウム材、ステンレス材、カーボン材、さらに好ましくはカーボン材である。また、これらの導電性フィラー(導電材)は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電材)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
前記カーボン材としては、例えば、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。これらのカーボン材は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン材は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン材は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン材を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
導電性フィラー(導電材)の形状は、特に制限はなく、粒子状、粉末状、繊維状、板状、塊状、布状、またはメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。例えば、樹脂に対して広範囲に亘って導電性を付与したい場合は、粒子状の導電材料を使用することが好ましい。一方、樹脂において特定方向への導電性をより向上させたい場合は、繊維状等の形状に一定の方向性を有するような導電材料を使用することが好ましい。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
また、集電樹脂層が導電性フィラーを含む形態の場合、集電樹脂層を形成する樹脂は、上記導電性フィラーに加えて、当該導電性フィラーを結着させる導電性のない高分子材料を含んでいてもよい。集電樹脂層の構成材料として導電性のない高分子材料を用いることで、導電性フィラーの結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。高分子材料は、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択される。
導電性のない高分子材料の例としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
導電性フィラーの含有量も特に制限はない。特に、樹脂が導電性高分子材料を含み、十分な導電性が確保できる場合は、導電性フィラーを必ずしも添加する必要はない。しかしながら、樹脂が非導電性高分子材料のみからなる場合は、導電性を付与するために導電性フィラーの添加が必須となる。この際の導電性フィラーの含有量は、非導電性高分子材料の全質量に対して、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは30〜85質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。かような量の導電性フィラーを樹脂に添加することにより、樹脂の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料にも十分な導電性を付与することができる。
上記導電性プライマ層には、導電性フィラーおよび樹脂の他、他の添加剤を含んでいてもよいが、好ましくは、導電性フィラーおよび樹脂からなる。
また、上記集電体を構成する材料のうち、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限されないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限されないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体の厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜40μmである。後述する自立電極では、薄膜化が可能であることから、好ましくは1〜18μm、より好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜13μmである。これは、自立電極を作製する際には、従来の塗工・乾燥工程を経ることなく作製可能である。そのため、従来の塗工・乾燥工程を経る必要のない金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層若しくは金属配線を集電体を用いる場合には、塗工・乾燥工程で必要とされる引張り強度を有している必要がない。その分、必要に応じ、集電体の厚みを薄くすることができ、集電体の設計の自由度が向上し、電極、ひいては電池の軽量化にも寄与する。
集電体として複数の貫通孔を有するパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシート等を用いる場合、当該貫通孔の形状としては、四角形、菱形、亀甲形状、六角形、丸形、角型、星形、十文字形などが挙げられる。かような所定形状の多数の孔をプレス加工により、例えば、千鳥配置や、並列配置となるように形成したものが、いわゆるパンチングメタルシートなどである。また、千鳥状の切れ目を入れたシートを引き伸ばして略ひし形の貫通孔を多数形成したものが、いわゆるエキスパンドメタルシートなどである。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の開口率は、特に限定されない。ただし、集電体の開口率の下限の目安は、好ましくは10面積%以上、より好ましくは30面積%以上、さらに好ましくは50面積%以上、さらに好ましくは70面積%以上、さらに好ましくは90面積%以上である。このように、本実施形態の電極においては、90面積%以上の開口率を有する集電体も使用することができる。また、上限としては、例えば、99面積%以下、あるいは、97面積%以下などである。このように、有意に大きな開口率を有する集電体を有して形成される電極を備える積層型電池10は、その重量を有意に減少させることができ、ひいては、容量を増加させることができ、高密度化をすることができる。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の孔径(開口径)も同様に、特に制限されない。ただし、集電体の開口径の下限の目安は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは150μm以上である。上限としては、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下程度である。なお、ここでいう開口径とは、貫通孔=開口部の外接円の直径である。外接円の直径は、レーザー顕微鏡や光学顕微鏡などにより集電体の表面観察を行い、開口部に外接円をフィッティングさせ、それを平均化したものである。
(2)電極(正極および負極)及び電極活物質層
正極および負極は、リチウムイオンの授受により電気エネルギーを生み出す機能を有する。正極は、正極活物質を必須に含み、負極活は負極活物質を必須に含む。
これらの電極構造は、積層型電池の場合、図1の形態のように上記集電体の表面に活物質を含む活物質層が形成されてなる構造である。一方、双極型二次電池の場合の電極(双極型電極)は、集電体の一方の面に正極活物質を含む正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質を含む負極活物質層が形成されてなる構造を有する。すなわち、集電体を介して正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)が一体化した形態を有する。なお、活物質層には、活物質以外にも必要に応じて導電助剤、バインダ、更には電解質として電解質塩(リチウム塩)やイオン伝導性ポリマーなどの添加剤が含まれうる。
(2a)正極活物質
正極活物質としては、従来公知のものを使用することができる。
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni,Co,Mn)O、LiMnO、LiMnO−LiMO系(M=Co、Niなど)固溶体およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜25μmである。
正極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは正極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97質量%、さらに好ましくは80〜96質量%の範囲である。
(2b)負極活物質
負極活物質は、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。このうち、リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。
上記活物質のうち、炭素材料、ならびに/またはSi、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましく、炭素材料、Si、またはSnの元素を含むことがより好ましい。炭素材料のうち、リチウム対比放電電位が低い黒鉛を用いることがさらに好ましい。
上記負極活物質を負極として使用する際には、負極活物質を含む負極活物質層を板状に成形しそのまま負極としてもよいし、集電体の表面に上記負極活物質粒子を含む負極活物質層を形成して負極としてもよい。後者の形態における負極活物質粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、負極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μmであり、さらに高出力化の観点から、より好ましくは1〜25μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、負極活物質が二次粒子である場合には該二次粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本実施形態では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、負極活物質が凝集、塊状などにより二次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる負極活物質の粒径および一次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径を使用できる。なお、負極活物質粒子の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
負極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは負極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97質量%、さらに好ましくは80〜96質量%の範囲である。
(2b)導電助剤
導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、膨張黒鉛などが挙げられる。しかし、導電助剤がこれらに限定されないことはいうまでもない。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上の範囲である。また、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下の範囲である。活物質自体の電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる正極活物質層での導電助剤の配合比(含有量)を上記範囲内に規定することで以下の効果が発現される。即ち、電極反応を阻害することなく、本実施形態の効果を発現できる。加えて、電子導電性を十分に担保することができ、電極密度の低下によるエネルギー密度の低下を抑制でき、ひいては電極密度の向上によるエネルギー密度の向上を図ることができる。
負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量としては、負極活物質により異なることから一義的には規定することができない。即ち、負極活物質自体が優れた電子導電性を有する、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、金属材料を用いる場合には、負極活物質層への導電助剤の含有は特に必要がない。導電助剤を含有するとしても、負極側の電極構成材料の総量に対して、せいぜい0.1〜1質量%の範囲で十分である。一方、正極活物質と同様に電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる。リチウム合金系負極材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)などの負極活物質を用いる場合には、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量と同程度の含有量とするのが望ましい。即ち、負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量も、負極側の電極構成材料の総量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%の範囲とするのが望ましい。
(2c)バインダ
バインダは、活物質層中の構成部材同士または活物質層と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。バインダとしては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、アラミド、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。
バインダの量は、活物質等を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは電極活物質層形成用原料の総量に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
(2d)電解質塩(リチウム塩)
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2e)イオン伝導性ポリマー
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2f)自立電極に用いられる多孔質骨格体
多孔質骨格体としては、不織布、織布、金属発泡体(ないし金属多孔体)、カーボンペーパーなどが望ましい。このうち、多孔質骨格体に用いられる不織布は、繊維が異方向に重なって形成されている。不織布には、樹脂製の材料が使用されており、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ナイロン、EVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)等の繊維が適用されうる。なお、多孔質骨格体として、不織布以外の形態としては、樹脂製の織布(規則性のある樹脂多孔体)、金属発泡体ないし金属多孔体、カーボンペーパーなどが挙げられる。ここで、樹脂製の織布に用いられる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、EVA樹脂などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。金属発泡体ないし金属多孔体としては、好ましくは、Cu、Ni、Al、Tiの少なくとも1種の金属発泡体ないし金属多孔体などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。好ましくは、Cu、Alの少なくとも1種の金属多孔体、カーボンペーパー、ポリプロピレン、ポリエチレン、EVA樹脂製の不織布である。
活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、2体積%以上、好ましくは7体積%以上の範囲にである。一方、活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、28体積%以下、好ましくは12体積%以下の範囲である。活物質層に占める多孔質骨格体の割合が上記範囲内であれば、電極反応を阻害することない点で優れている。
多孔質骨格体の空孔率(空隙率)としては、好ましくは70%〜98%、より好ましくは90〜95%である。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。
多孔質骨格体の空孔径としては、世の中で使用されている活物質が十分に充填できる50〜100μm程度が望ましい。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。即ち、多孔質骨格体の空孔径が100μm以下であれば、本実施形態の効果が有効に得られ、当該空孔径が50μm以上であれば、使用する活物質の粒径の制約なく使用用途に応じて適切な活物質を適宜選択することができる点で優れている。
多孔質骨格体の厚さは、活物質層の厚さより小さければよく、通常1〜120μm程度、好ましくは1〜20μm程度であることが好ましい。
各活物質層の厚さについても特に制限はないが、電子抵抗を抑えるという観点から、各活物質層の厚さは、1〜120μm程度であることが好ましい。
(3)電解質層
本実施形態の電解質層17は、電解質を含浸、保持した、隔離材18、更には必要に応じて用いられるセパレータ16を有する。電解質層17は、正極と負極との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのLiイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられうる。なお、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質のいずれの場合でも、電解質層17には、隔離材18と共にセパレータ16を併用するのが望ましい。セパレータ16を併用することで、電池をより安全にできる点で優れている。即ち、電池の内部温度が上昇した際に、隔離材18の低融点材料18aが溶融して隔離材18の空孔を塞いでシャットダウン現象を生じさせて電池反応を停止させるものである。但し、電池の温度上昇が急な場合などには、低融点材料18aに引き続いてセパレータ16も素早く溶融してセパレータ16の空孔も塞いでシャットダウン現象を生じさせて、より確実に電池反応を停止させることができるものである。セパレータ16を併用する構成により、いわば二重の安全装置が備えられているともいえる。
(3a)液体電解質
液体電解質は、溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解したものである。溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合物として使用してもよい。また、支持塩(リチウム塩)としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
(3b)ゲル電解質
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩等の電解質塩がよく溶解しうる。
(3c)高分子固体電解質
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
(3d)セパレータ
隔離材18と併用して使用されるセパレータ16としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができる。例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。隔離材18と共に、こうした既存のセパレータ16を併用することで、電池をより安全にできる点で優れている。即ち、電池の内部温度が上昇した際に、隔離材18の低融点材料18aが溶融して隔離材18の空孔を塞いでシャットダウン現象を生じさせて電池反応を停止させるものである。但し、電池の温度上昇が急な場合などには、低融点材料18aに引き続いてセパレータ16も素早く溶融してセパレータ16の空孔も塞いでシャットダウン現象を生じさせて、より確実に電池反応を停止させることができるものである。セパレータ16を併用する構成により、いわば二重の安全装置が備えられているともいえる。
前記ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で8〜60μm、好ましくは8〜30μm、より好ましくは20〜25μmの範囲である。微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚さが8μm以上であれば、製造上破れることもなく、上記したように、隔離材18との組み合わせにより、上記したように電池の安全性を高めることができる。即ち、電池の温度上昇が急な場合などにおいても、低融点材料18aに引き続いてセパレータ16も素早く溶融してセパレータ16の空孔も塞いでシャットダウン現象を生じさせて、より確実に電池反応を停止させることができるものである。また、微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚さが60μm以下であれば、Liイオンの拡散を阻害することがない点で優れている。前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、平均空孔径は0.1〜0.6μmの範囲であり、また、その気孔率(空孔率)は20〜80%であることが望ましい。
前記不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。
前記不織布セパレータの気孔率(空孔率)は45〜90%であることが好ましい。不織布セパレータのの平均空孔径としては、0.1〜0.6μmの範囲である。さらに、不織布セパレータの厚さは、8〜60μm、好ましくは8〜30μm、より好ましくは20〜25μmの範囲であることが望ましい。不織布セパレータの厚さが8μm以上であれば、製造上破れることもなく、上記したように、隔離材18との組み合わせにより、上記したように電池の安全性を高めることができる。即ち、電池の温度上昇が急な場合などにおいても、低融点材料18aに引き続いてセパレータ16も素早く溶融してセパレータ16の空孔も塞いでシャットダウン現象を生じさせて、より確実に電池反応を停止させることができるものである。また、不織布セパレータの厚さが60μm以下であれば、Liイオンの拡散を阻害することがない点で優れている。
(4)接着層
接着層は、正極ないし負極と、電解質層のセパレータのいずれにも接着して、セパレータの熱収縮による短絡を防止する目的で設けられてなるものであればよい。
接着層に用いられる材料としては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に制限されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン(カルボキシル基を一部側鎖に持つもの)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル系樹脂、アラミド、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適な接着層に用いられる材料は、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり接着層に使用が可能となる。これらの接着層に用いられる材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、接着層に用いられる材料がこれらに限定されないことはいうまでもない。これらのうち、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などは、正極側、負極側のいすれの電位にも強いことから、いずれにも適用可能である。また、SBRなどは、負極電位に強いことから負極側に用いるのが好ましい。更に、PTFEなどは、正極電位に強いことから正極側に用いるのが好ましい。
接着層の厚さは、上記目的が達成できる範囲内でできるだけ薄くするのが,Liイオンの拡散距離が長くなるのを抑制でき、電池の軽量化にも寄与する点で望ましい。かかる観点から接着層の厚さは、接着層の形態にもよるが、セパレータ及び電極表面全体(全面)に接着層が存在している場合には、5〜20μm、好ましくは10〜15μmの範囲である。接着層の厚さが5μm以上であれば、接着強度の点で望ましく、接着層の厚さが20μm以下であれば、Liイオンの拡散パスが長くなるのを抑制することができる点で望ましい。
また、セパレータ及び電極表面全体ににストライプ状またはドット状に接着部(接着層)が存在している場合には、接着層の厚さは、10〜25μm、好ましくは15〜20μmの範囲である。接着層の厚さが10μm以上であれば、接着強度の点で望ましく、接着層の厚さが25μm以下であれば、Liイオンの拡散パスが長くなるのを抑制することができる点で望ましい。
接着層の厚さは、接着層が脆くうまく剥がせない場合もあり得ることから、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から計測することができる。
接着層の気孔率(以下、空孔率ともいう)は、接着層の形態にもよるが、セパレータ及び電極表面全体(全面)に接着層が存在している場合やストライプ状またはドット状に接着部(接着層)が存在している場合には、60%以上、好ましくは60〜90%である。60%以上とすることで、Liイオンの拡散を妨げない点で優れている。
但し、ドット状に接着部を設ける場合であって、接着部の割合が非常に小さい場合に、接着部(接着層)の空孔率は、むしろ小さい方がよく、10%以下、好ましくは0%(である。これは、割合の大きい非接着部が、新たな電解液保持部として有効に機能するためである。接着部の割合が非常に小さい場合の接着部の割合は、セパレータ(ないし電極)表面全体(全面)に対して20〜60%、好ましくは30〜50%の範囲である。接着部の割合が60%以上であれば、接着強度の点で望ましく、接着部の割合が20%以下であれば、Liイオンの拡散を阻害することがない点で望ましい。
接着層の形態としては、上記目的を達成できるものであればよく、例えば、(i)セパレータ及び電極の表面全体(全面)に接着層が存在していてもよい。この場合には、当該接着部が、保液空間を有するべく、多孔質層となっている必要がある(上記空孔率参照)。あるいは、(ii)セパレータ及び電極表面に、接着層の存在する接着部と接着層の存在しない非接着部が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい。接着部は、セパレータ及び電極表面に均等性が保たれるように配置されているのが望ましい。上記(ii)の場合には、非接着部が保液空間として有効に機能することから、当該接着部(接着層)は、保液空間を有する多孔質層であってもよい。或いは、保液空間が存在しない無孔質(=気孔率(空孔率)0%)であってもよい。特にドット状に接着部を設ける場合(=接着部の割合が非常に小さい場合)に、当該接着部を保液空間が存在しない無孔質(=気孔率(空孔率)0%)とするのがよい。
図3Aは、電極表面にストライプ状の接着部を設けた様子を表す平面図である。図3B、3Cは、電極表面にドット状の接着部を設けた様子を表す平面図である。
具体的には、(iia)図3Aに示すように、セパレータ及び電極表面31に、ストライプ状の接着部33aとストライプ(33a)ストライプ(33a)の間に非接着部35が形成されるように接着層(33a)が間隔をあけて存在していてもよい。(iib)図3B、Cに示すように、セパレータ及び電極表面31に、ドット状の接着部33bとドット(33b)とドット(33b)の間に非接着部35が形成されるように接着層(33b)が間隔をあけて点在して存在していてもよい。(iib)の例としては、(b1)セパレータ及び電極表面31の四隅だけにドット状の接着部33bが存在し、四隅のドット(接着部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい(図3B)。或いは(b2)セパレータ及び電極表面31にドット状の接着部33bが均等性を保つように点在し、ドット(33b)とドット(33b)の間のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい。例えば、セパレータ及び電極表面31に、横3点×縦4点で合計12点のドット状の接着部33bが等間隔に点在し、12点のドット(接着部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい(図3C)。但し、これらの形態に何ら制限されるものではなく、格子状、菱形格子状、短冊状、連続又は不連続な円や楕円などのリング状や多角形状、波形状、半円状、不定形状など、上記目的を達成できるものであれば他のいかなる形態でもよい。
また、接着層の軟化点は、セパレータの軟化点よりも低いのが好ましい。これは、セパレータの形状を保ちながら、接着層の表面を軟化させて接着性を出すことで十分に接着させることができる点で優れている。かかる観点から、最も軟化点の低い積層方向の中央側の接着層の軟化点が、セパレータの軟化点よりも低いのが望ましい。具体的には、最も軟化点の低い積層方向の中央側の接着層の軟化点を、セパレータの軟化点より5〜10℃低くするのが好ましい。
ここで、接着層の軟化点温度およびセパレータの軟化点温度は、いずれもビカット軟化温度(ビカット軟化点、Vicat Softening Temperature、VST)とし、JIS K7206により測定することができる。JIS K7206の概要を説明すれば、加熱浴槽の中に規定された寸法の試験片を据え、中央部に一定の断面積(JIS K7206では1mm)の端面を押し当てた状態で浴槽の温度を上昇させる。試験片に端面が一定の深さまで食い込んだ時の温度をビカット軟化温度(単位:℃)とするものである。
接着層の形成は、予めセパレータ表面に、接着層を形成するための接着材料を適当な溶剤に溶解した接着スラリー(濃度変化により接着層の空孔率を調整可能)を所望の厚さ、形状(全面、ストライプ状、ドット状等)に塗布、乾燥する。これによりセパレータと接着層を一体化できる(接着セパレータという)。なお、正負極のいずれか一方に接着層を設ける場合、いずれでも本実施形態の効果は同じである。ただ、電極サイズが異なる場合には、サイズの大きい電極側(通常、負極側)に設けた方が、サイズの大きい電極と同じサイズのセパレータが熱収縮して、サイズの小さい電極よりも小さくなるまでは、対向する電極同士が接触しないため有利ともいえる。この接着セパレータを通常のセパレータと同様にして、正極、負極の間に挟み込んで、発電要素21を形成する。その後、発電要素21の上下方向から熱プレス装置でホットプレスすることで、接着セパレータの接着層(接着部)の表面部分を軟化させて接着性をださせて電極とも接着させる。これにより、電極−セパレータ間を接着してなる接着層を形成することができる。なお、予め電極(正極ないし負極)側に接着スラリーを塗布して樹脂電極(電極と接着層を一体化したもの)を作製してもよい。その後は、同様にして発電要素21を形成し、ホットプレスすることで、電極−セパレータ間を接着してなる接着層を形成することもできる。
(5)集電板(集電タブ;外部リード)
リチウムイオン二次電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電板(集電タブ)25、27を用いてもよい。集電板(集電タブ)25、27は、集電体11、12に電気的に接続され、外装材29であるラミネートフィルム等の外部に取り出されている。
集電板25、27を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板(正極タブ)25と負極集電板(負極タブ)27とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
(5a)電極(正極および負極)端子リード(内部リード)
図1に示す積層型電池10においては、負極端子リードおよび正極端子リード(図示せず)をそれぞれ介して、集電体は集電板(集電タブ)と電気的に接続されていてもよい。但し、集電体の一部を電極端子リード(内部リード)のように伸ばして、直接集電板(集電タブ)と電気的に接続することもできる。したがって、電極端子リードは、必要に応じて適宜用いればよい、任意構成部材といえるものである。
負極および正極端子リードの材料は、公知の積層型二次電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(6)電池外装材
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができる。そのほか、図1に示すようなラミネートフィルム29を外装材として用いて、発電要素21をパックしてもよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。このようなラミネートフィルムを用いることにより、外装材の開封、容量回復材の添加、外装材の再封止を容易に行うことができる。また、高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点からもラミネートフィルム外装材が望ましい。
上記した積層型のリチウムイオン二次電池(積層型電池)10は、従来公知の製造方法により製造することができる。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図4は、二次電池の代表的な実施形態である扁平な積層型のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図4に示すように、扁平な積層型のリチウムイオン二次電池30では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ38、負極タブ39が引き出されている。発電要素37は、リチウムイオン二次電池30の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素37は、正極タブ38および負極タブ39を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素37は、先に説明した図1に示す積層型のリチウムイオン二次電池(積層型電池)10の発電要素21に相当するものである。発電要素37は、正極、電解質層および負極で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
また、図4に示すタブ38、39の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ38と負極タブ39とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ38と負極タブ39をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図4に示すものに制限されるものではない。
上記リチウムイオン二次電池(積層型電池)10は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
なお、上記実施形態は、リチウムイオン二次電池として、積層型の非水電解質タイプのリチウムイオン二次電池を例示したが、これに制限されるわけではなく、他のタイプの二次電池、さらには、一次電池にも適用できる。
以上説明した本実施形態のリチウムイオン二次電池は、以下の効果を有する。
隔離材18では、電解液で膨潤しない補強材18cと低融点材料18aとが架橋しているため、電解液の含浸により低融点材料18aが膨潤(=体積膨張)するのを効果的に防止することができる。
更に低融点材料18aの膨潤を防止することで、高融点材料18bに結着した融点材料18aが膨潤剥離して空間を生じることもない。その結果、電解液の存在しない空間によるイオン伝導度のロスを防止することができる。
また電池の内部温度が上昇した場合に、低融点材料18a(上記コアシェル構造の粒子形態の被覆層を含む)が溶融して隔離材18の空孔を閉塞することで、良好なシャットダウン現象が得られる。
加えて高温状態で振動、衝撃などの外部荷重が印加された場合でも、電解液で膨潤せず、高温下でも形状(厚さ)保持機能を有する高融点材料18b、更には補強材18cが存在することで、対向する正極と負極とが接触するのを効果的に防止することができる。
更に高温下に長期間晒されても、低融点材料18aと結着した高融点材料18b、更には低融点材料18aと架橋した補強材18cが併存しているため、セパレータのように熱収縮するのを防止することができる。
また、電池を高温下に長期間保持しても、隔離材18が電極表面を覆ったままの状態を維持できる。その結果、内部短絡を充分に防止することもできる。
本発明につき、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例のみに何ら限定されるわけではない。
実施例1;架橋方法+補強材の効果確認試験
図5は、実施例1の低融点材料18aと補強材18cとの架橋方法の手順を表した工程図である。
図5(a)に示すように、低融点材料18aとしてポリエチレンシート(厚さ15μm、縦15cm×横15cmの正方形、融点130℃)2枚を用意した。また、補強材18cとしてガラス繊維(繊維の平均直径2μm、繊維の平均長さ0.5mm)を編んだ布状物(不織布)(空隙率55%、厚さ30μm、融点1000℃)1枚を用意した。これらを図5(a)に示すように、2枚のポリエチレンシート(低融点材料18a)の間にガラス繊維の布状物(補強材18c)を挟み込むようにして積層して、積層シート41を形成した。
次に、図5(b)に示すように、シランカップリング剤溶液42が入れられた容器43に、上記で得られた積層シート41を25℃の温度(液温)下で1分間浸漬した。ここで、シランカップリング剤溶液42は、市販のシランカップリング剤(東レ株式会社製)の原液(濃度3%)を25℃の温度(液温)下で濃度が1/3倍になるように水で希釈したものを用いた。使用したシランカップリング剤は、下記化学式2において、反応性官能基Yがビニル基であり、加水分解性基ORが、エトキシ基(−OC)であるものを用いた。
次に、図5(c)に示すように、積層シート41を、シランカップリング剤溶液42が入れられた容器43から取り出し、乾燥炉(図示せず)にて、大気圧下、100℃で30分間加熱乾燥した。これにより、図5(d)に示すように、低融点材料18aと補強材18cとが架橋した積層シート(隔離材)41a(空孔率35%)を完成することができた。
(補強材の効果確認試験)
図6は、実施例1の低融点材料18aと補強材18cとを架橋して得られた積層シート41aの補強材の効果確認試験方法の手順を表した図面である。
図6(a)に示すように、電解液の溶媒44に浸漬する前の積層シート41aの体積を測定した。次に、リチウムイオン二次電池用の電解液の溶媒44が入れられた容器45に、上記で得られた積層シート41aを25℃の温度(液温)下で3時間浸漬した。浸漬後、電解液の溶媒44が入れられた容器45から積層シート41aを取り出し、積層シート41aの体積を測定し、膨潤率を下式にて算出して補強材の効果を確認した。得られた結果を表1に示す。
比較実験として、実施例1で用いた低融点材料18aとしてのポリエチレンシートを用いて同様に実験した。すなわち、図6(b)に示すように、電解液の溶媒44に浸漬する前のポリエチレンシート18aの体積を測定した。次に、リチウムイオン二次電池用の電解液の溶媒44が入れられた容器45に、ポリエチレンシート18aを、25℃の温度(液温)下で3時間浸漬した。浸漬後、電解液の溶媒44が入れられた容器45からポリエチレンシート18aを取り出し、ポリエチレンシート18aの体積を測定し、膨潤率を下式にて算出して補強材の効果を確認した。得られた結果を表1に示す。
ここで、電解液の溶媒44には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶液(1:1のモル比)を使用した。
また、膨潤率は、電解液の溶媒44に浸漬する前後のサンプル(積層シート41a及びポリエチレンシート18a)の縦、横、高さ(厚さ)を計測し、体積を算出し、膨潤率(%)=(浸漬後のサンプルの体積÷浸漬前のサンプルの体積)×100として求めた。
表1中、膨潤率(%)に5〜7%と幅があるのは、サンプル数10個の最大値と最少値を示しているためである。また1%未満とあるのは、サンプル数10個の全てが1%未満と小さいため、具体的な数値範囲でなく、最大値ですら1%に満たないことを示している。
表1の結果から、補強材(ガラス繊維の布状物)と低融点材料(ポリエチレンシート)とを架橋することで、低融点材料(ポリエチレンシート)の膨潤が防止(格段に抑制)できることが確認できた。
同様にして、高沸点材料18b(シリカ粒子ないしアルミナ粒子)が含まれている低融点材料(ポリエチレンシート)を用いた場合でも、上記表1と同様の効果が得られることがわかる。
参考例1;膨潤による剥がれの影響確認試験
図7は、参考例1で用いた高融点材料18bが含まれている低融点材料18aを膨潤させた際の剥がれを確認する方法の手順を表した図面である。なお、本参考例では、膨潤による剥がれの影響確認を目的とするため、低融点材料18aとして、融点は高いが高融点材料18b(シリカ粒子)との接着性が良く、溶媒(水)に対し膨潤性のあるナフィオン膜を用いて試験を行った。また、高融点材料18bと低融点材料18aの割合も、明細書中に記載の範囲よりも高融点材料18bを少なくして、確実に高融点材料18b(シリカ粒子)の表面全体が低融点材料18aで十分に覆われた状態で試験を行った。
図7(a)に示すように、高融点材料18bとしてシリカ粒子(平均粒子径2μm、融点1650℃)が8質量%含有された低融点材料18aのナフィオン膜(デュポン社製、厚さ40μm、縦15cm×横15cm、融点250℃、空孔率20%)を用意した。このシリカ粒子18b含有のナフィオン膜18aのN(窒素)ガスの透過量(透過率)を測定した。
次に、溶媒46として水が入れられた容器47に、シリカ粒子18b含有のナフィオン膜18aを、25℃の温度(液温)下で3時間浸漬した。浸漬後、溶媒46が入れられた容器47からシリカ粒子18b含有のナフィオン膜18aを取り出し、シリカ粒子18b含有のナフィオン膜18aのN(窒素)ガスの透過量(透過率)を測定した。溶媒への浸漬前後でのN(窒素)ガスの透過量(透過率)の変化を算出して、低融点材料(ナフィオン膜)18aの膨潤による高沸点材料(シリカ粒子)18bの剥がれの影響を確認した。得られた結果を表2に示す。
比較参考実験として、高沸点材料18bのシリカ粒子を含有しない低融点材料18aのナフィオン膜(デュポン社製、厚さ40μm、縦15cm×横15cm、融点250℃、空孔率20%)を用意した。このナフィオン膜18aのN(窒素)ガスの透過量(透過率)を測定した。
次に、溶媒46として水が入れられた容器47に、ナフィオン膜18aを、25℃の温度(液温)下で3時間浸漬した。浸漬後、溶媒46が入れられた容器47からナフィオン膜18aを取り出し、ナフィオン膜18aのN(窒素)ガスの透過量(透過率)を測定した。溶媒への浸漬前後でのN(窒素)ガスの透過量(透過率)の変化を算出して、高沸点材料18bを含有しない低融点材料(ナフィオン膜)18aだけの場合の膨潤によるガス透過量の変化を確認した。得られた結果を表2に示す。
ここで、N(窒素)ガスの透過量(透過率)の測定には、株式会社池田理化 GTR−10Xを用いて行った。
表2のNガスの透過率の変化量は、サンプル数5個についての平均値である。
表2の結果から、シリカ粒子18b含有のナフィオン膜18aの方が、ナフィオン膜18a単独のものよりも、溶媒に浸漬後のNガスの透過率が高くなり、変化量が大きくなる。このことから、ナフィオン膜18aの膨潤により該ナフィオン膜18aとシリカ粒子18bとが剥がれたことによる影響が確認できた。これは、図2B(iii)に示すように、ナフィオン膜18aの膨潤により、シリカ粒子18bからナフィオン膜18aが剥がれて空間20が形成されたため、溶媒浸漬後のNガスの透過率が高くなったといえる。
同様にして、補強材(ガラス繊維)18cとナフィオン膜18aとを架橋させてなるシリカ粒子18b含有のナフィオン膜18aの場合でも、上記表2と同様の効果が得られることがわかる。
10、30 積層型のリチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
16 セパレータ、
17、17’ 電解質層、
18、18’ 隔離材、
18a 低融点材料(ポリマー)、
18b 高融点材料(無機粒子等)、
18c 補強材、
18d 結着材、
19、19’ 単電池層(単セル)、
20 空間、
21、37 発電要素、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29、32 電池外装材、
31、電極(セパレータ)表面、
33a ストライプ状の接着部、
33b ドット状の接着部
35 非接着部、
38 正極タブ、
39 負極タブ。

Claims (10)

  1. 正極と、リチウム、リチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料を負極活物質とする負極と、前記正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に形成された多孔性の隔離材とを有する二次電池であって、
    前記隔離材は、低融点材料と高融点材料と補強材とを含んでおり、前記低融点材料は、前記補強材と架橋していることを特徴とする二次電池。
  2. 前記補強材の融点は、前記低融点材料の融点よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記低融点材料と補強材との架橋点間分子量(架橋点間距離)は、200〜5000であることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記補強材の空隙率は、35%〜65%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. 前記高融点材料は、Al、SiO、TiOおよび窒化アルミニウムよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池。
  6. 前記低融点材料は、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
  7. 前記補強材は、ガラス系繊維およびセラミック系繊維よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池。
  8. 前記補強材の架橋構造は、通孔を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池。
  9. 前記隔離材が、さらに結着材を含んでいることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の二次電池。
  10. 前記隔離材と、前記正極および負極の少なくとも一方の電極の間には、さらにセパレータが配置されてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の二次電池。
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