JP2015212810A - 電子写真用の転写部材及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真用の転写部材及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トナーを担持する表層を有する多層構造の電子写真用の転写部材を提供する。
【解決手段】表層は、式(1)で示される構造を有するポリマーを主鎖とし、主鎖に対して側鎖として式(2)のポリシロキサン鎖と、式(3)のパーフルオロポリエーテル鎖の2つの側鎖がグラフト型に結合した共重合体を含有する。そして、共重合体は、前記表層の表面にミクロ相分離構造を形成している。
Figure 2015212810

【選択図】図1

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において用いられる低付着性の表層を有する電子写真用の転写部材に関する。
近年、カラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を感光体から一旦中間転写部材上に順次転写(一次転写)し、その後、中間転写部材上に形成されたカラー画像を転写材(例えば紙)に一括転写(二次転写)する中間転写方式が用いられている。ここで用いられる中間転写部材としては、例えば、ポリイミド樹脂中にカーボンブラックが分散された半導電性のベルトが知られている。
しかしながら、高画質および高耐久が求められる画像形成装置においては、そのような半導電性のベルトそのものでは十分でない場合がある。ここでいう高画質とは、ベルトから転写材(例えば紙)へ高い転写率でトナー画像が二次転写されることを指す。この転写率が低いと、転写材へ転写されたトナー画像に抜けが生じ、この状態で出力された画像には濃度ムラが発生し、4色カラー画像の転写においては色ムラが発生する場合がある。また、高耐久とは、二次転写プロセスにおいて高い転写率を維持し、繰り返しの画像出力においても濃度ムラ及び色ムラの発生が少ない状態を指す。
特許文献1および特許文献2は、高画質を実現するために、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの低付着性材料を転写部材の表面にコーティングし、トナーの離型性を向上させることで、優れた二次転写性を付与する手法が効果的であることを開示している。具体的には、特許文献1においては、表層に直鎖状パーフルオロポリエーテルゴムを含有させることで残トナーなどの付着を低減させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、重合性フッ素樹脂を主鎖として、側鎖にポリシロキサンを有するグラフト型共重合体を転写部材の表面に塗布し、紫外線照射などの硬化手段によってその塗膜を硬化させて、ハードコート層を形成する技術が開示されている。この技術は、主鎖と化学的に結合されたポリシロキサン側鎖により、耐傷性や耐摩耗性などの物理的耐性に優れ、且つ主鎖由来の良好な二次転写性を、転写部材に付与するものである。
特開平9−138594号公報 特開2012−78801号公報
本発明は、電子写真方式の転写プロセスにおいて、優れた二次転写性により、印刷画像に濃度ムラや色ムラが発生せず、且つ物理的劣化に対し耐性を有する電子写真用の転写部材の提供に向けたものである。
また、本発明は、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、トナーを担持する表層を有する多層構造の電子写真用の転写部材であって、該表層は、下記式(1)で示される構造を有するポリマーを主鎖とし、該主鎖に対して、下記式(2)で示される構造を含む基と、下記式(3)で示される構造を含む基とが側鎖として結合しているグラフト型の共重合体を含有し、該表層の表面は、下記式(2)で示される構造を含む基で形成されてなるマトリックス相と、下記式(3)で示される構造を含む基で形成されてなるドメイン相と、を有する転写部材が提供される。
Figure 2015212810
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、n0は、2以上の整数を示す。
Figure 2015212810
式(2)中、R、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、mは、2以上の整数を示す。
Figure 2015212810
式(3)中、Xは、フッ素原子またはトリフルオロカーボンを示し、pおよびqは、各々独立に0以上の整数を示し、「p+q」は、2以上の整数を示す。
また本発明の他の態様によれば、第1の画像担持体と、中間転写体と、該第1の画像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体に1次転写する手段と、該中間転写体に1次転写されたトナー画像を第2の画像担持体上に2次転写する手段と、を有する電子写真画像形成装置であって、該中間転写体が、前記転写部材である電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一実施態様によれば、電子写真方式の画像形成プロセスにおいて、優れた二次転写性を有し、印刷画像に濃度ムラや色ムラなどの転写不良の発生が少ない転写部材が提供される。また、本発明の他の実施態様によれば、繰り返しの画像出力における転写部材の表面の物理的劣化に対しても耐性を有し、優れた二次転写性を維持することが可能な転写部材が提供される。
本発明の一実施形態に係る中間転写部材の表層の表面の概略図である。 本発明の一実施形態に係る中間転写部の部分断面概略図である。 本発明に係る電子写真画像形成装置の概略図断面図である。
本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載の転写部材は、パーフルオロポリエーテルを含むことにより、優れた二次転写性を有することを認識した。しかし、その表層が、可撓性を有するゴムで構成されているため、相対的に低硬度であり、当該表層は、繰り返しの画像出力に対する耐摩耗性や耐傷性において、未だ十分でないことを認識した。その理由は、特に、転写部材上の残トナーなどを除去するために行われる、画像形成装置に搭載された摺動部材(例えば、クリーニングブレード)との摺動、さらにこれらの部材と転写部材の表層との間に介在するトナーやトナー外添剤による表層の表面の摺擦によって、パーフルオロポリエーテル成分の摩耗や滑落といった物理的劣化が発生するためであると考えられる。
また、特許文献2に係る技術は、本発明者らの検討によれば、重合性フッ素樹脂を主鎖として、側鎖にポリシロキサンを有するグラフト型共重合体であるが、その二次転写性は純粋なフッ素樹脂に比べ劣る傾向にある。これは、グラフト鎖であるポリシロキサンの物性を反映するものであり、フッ素樹脂のベルトの表面への寄与が相対的に小さくなるためであると考えられる。そのため、純粋なフッ素樹脂に比べ十分な二次転写性を得ることが難しい。
本発明者らは、上記の検討を踏まえて鋭意検討を重ね、本発明を為すに至った。以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る電子写真用の転写部材は、トナーを担持する表面をなす層(以下、「表層」ともいう。)を有する。具体的な層構成としては、例えば、基層と表層の2層構造、基層とゴム層などの中間層と表層の3層構造等が挙げられる。
図1は、2層構造の転写部材の表層を上から見たときの概略図を示す。また、図2は、その転写部材の断面概略図を示す。符号1は、表層のマトリックス相であり、符号2は、ドメイン相であり、符号3は、基層である。
<転写部材の基層>
基層としては、代表的には、樹脂に導電剤を含有させた半導電性のフィルム、円筒状のシームレスベルト、金属シャフトを芯金とする半導電性のローラが用いられる。樹脂としては熱硬化性、熱可塑性いずれの樹脂を使用することも可能であるが、代表的には高強度かつ高耐久の要求特性から、以下の樹脂が挙げられる。ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、及び、延伸された結晶性ポリエステル。樹脂は、単一の樹脂でもよく、ブレンド、アロイされた混合体でもよい。樹脂中には、目的とする機械強度などの特性に応じて、熱可塑性エラストマーなどを含有させることができる。
導電剤としては、電子電導性物質およびイオン電導性物質のいずれか、または双方を用いることが可能である。電子電導性物質としては、カーボンブラック、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、ポリアニリンなどの導電性高分子などが使用可能である。イオン電導性物質としては、過塩素酸ナトリウム、リチウム、カチオン性あるいはアニオン性のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、オキシアルキレン繰り返しユニットを持つオリゴマー、ポリマー化合物なども使用可能である。
<転写部材の表層>
〔共重合体〕
表層は、下記式(1)で示される構造を有するポリマーを主鎖とし、該主鎖に対して2種類の基が側鎖として結合している共重合体(以下、「グラフト型の共重合体」という場合がある。)を含有している。このようなポリマーの具体例としては、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが挙げられる。そして、上記2種類の基の一方は、下記式(2)で示される構造(以下、「ポリシロキサン鎖」ともいう。)を含む基であり、他方は、下記式(3)で示される構造(以下、「パーフルオロポリエーテル鎖」ともいう。)を含む基である。
Figure 2015212810
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、n0は、2以上の整数を示す。
Figure 2015212810
式(2)中、R、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、mは、2以上の整数を示す。
Figure 2015212810
式(3)中、Xは、フッ素原子またはトリフルオロカーボンを示し、pおよびqは、各々独立に0以上の整数を示し、「p+q」は、2以上の整数を示す。
グラフト型の共重合体とは、主鎖ポリマーに対して、側鎖として他のポリマーを結合させた、所謂、櫛型構造を有するポリマーをいい、単一ポリマーにはない高機能性を有し得る。
〔表層のミクロ相分離構造〕
表層の表面は、本発明に係るグラフト型の共重合体に由来するマトリックス・ドメイン構造(以下、「相分離構造」と称する場合がある。)を有する。当該マトリックス・ドメイン構造は、上記式(2)で示されるポリシロキサン鎖を含む基で形成されてなるマトリックス相と、上記式(3)で示されるパーフルオロポリエーテル鎖を含む基で形成されてなるドメイン相とで構成されている。
このような相分離構造は、転写部材の表面および断面を走査型電子顕微鏡(SEM、FEI製XL−300−SFEG)で観察することにより確認できる。断面作成においては、例えばクロスセクションポリッシャー(日本電子製SM−09010)を使用し、表面に対して垂直な断面を作成することができる。
観察の結果、表層の表面においては、図1に示すようにパーフルオロポリエーテル鎖を含む基によって円形ドメイン相が均一に分布している様子が観察される。そのドメイン相の円の直径はSEMの画像のスケールより計算でき、概略、0.8〜1.5μmである。ここで、ドメイン相の直径とは、SEMの画像において観察されるドメインの面積相当径をいう。すなわち、ドメイン相の直径とは、SEMの画像において観察されるドメインの面積と等しい面積を持つ円の直径をいう。
また、断面観察においては、図2に示すように、表層の表面近傍にのみパーフルオロポリエーテル鎖を含む基で形成されたドメイン相が存在し、表層の他の領域中にはドメイン相は存在しない。ドメイン相の深さ、すなわち、ドメイン相の表層の表面から最も離れた位置から表層の表面までの最短距離(図2中の距離d)をSEM画像のスケールより計算して求めることができる。ドメイン相は、表層の膜厚に対しておよそ10〜15%程度の深さを有している。
上記した相分離構造を有する表層の主要な作用効果は、ポリシロキサン鎖を含む基で形成されたマトリックス相と、パーフルオロポリエーテル鎖を含む基で形成されたドメイン相とで構成されてなる相分離構造を表面に担持させることで、繰り返しの画像出力においても二次転写性に優れる転写部材を与えることである。かかる表層は、フッ素系樹脂に比べて、高硬度であり物理的耐性に優れるポリシロキサンと、フッ素系樹脂に比べて、優れた二次転写性を表面に付与し得るパーフルオロポリエーテル鎖とを表面に有している。またこの表層は、2種類の基が、側鎖として主鎖に化学的に結合されているために、滑落や摩耗による物理的劣化に対する耐性を有している。
一般に表面エネルギーの低い化合物と表面エネルギーの高い化合物を同時に表面に混在させることは難しく、例えばフッ素系の樹脂は特に低い表面エネルギーを有するために優先的に表面へ偏在することが一般に知られている。本発明の特徴は、ポリシロキサンとパーフルオロポリエーテルという表面エネルギー差を有する2種の成分を、ミクロ相分離させることで同時に表面に存在させることができることである。このような相分離構造の形成は、異種高分子鎖であるポリシロキサン側鎖とパーフルオロポリエーテル側鎖との間に斥力相互作用が働く性質、及び、同種の高分鎖同士が凝集する性質を利用している。グラフト型の共重合体中において、二つのグラフト側鎖は、それぞれ主鎖と化学的に結合しているために、樹脂中での挙動が制限されている。このため片方の側鎖のみ(界面の表面エネルギーを安定化させるのに最も効果のあるパーフルオロポリエーテルのみ)が表面に偏析することを抑制し、二種類の側鎖が同時に表面に偏析している。さらに異種高分子鎖間の斥力相互作用と同種高分鎖同士間の凝集作用によりミクロ相分離構造が形成されているものと考えられる。
〔主鎖と側鎖の質量比〕
上記のミクロ相分離構造を得るには、グラフト型の共重合体中における、ポリシロキサン鎖を含む基の主鎖100質量%に対する質量比は5〜40質量%であり、パーフルオロポリエーテル鎖を含む基の主鎖100質量%に対する質量比は10〜25質量%であることが好ましい。
ポリシロキサン鎖を含む基及びパーフルオロポリエーテル鎖を含む基の各々の主鎖に対する質量比を上記の範囲内とすることで、ポリシロキサン鎖を含む基からなるマトリックス相と、パーフルオロポリエーテル鎖を含む基からなるドメイン相とからなるミクロ相分離構造を、表層の表面に安定して存在させることができる。
本発明に係る転写部材の表層におけるドメイン相のサイズとドメイン相の表面に占める割合は、ほぼ一義的に与えられ、パーフルオロポリエーテルのドメイン相のサイズはトナーの二次転写性に十分優れるものである。また上述のように側鎖が主鎖に化学的に結合されているため物理的耐性が向上している。さらに、パーフルオロポリエーテルより高硬度であるポリシロキサンが表層の表面にマトリックス相を形成するため、表面硬度をより向上させることができる。このためパーフルオロポリエーテル側鎖を単独で用いる場合より、優れた物理的耐性を付与することができる。
また、一般にフッ素樹脂は撥水撥油性、耐熱性に優れた化学的に安定な樹脂であるが、放電に対して耐性が低い。すなわち、電子写真画像形成装置内では、繰り返しの画像出力時の転写電圧印加で発生する放電によってフッ素成分が分解されていく。そのため、先に挙げた特許文献1および先に挙げた特許文献2に記載の技術では、二次転写プロセスにおける高い転写率を長期に亘って維持することが困難であった。
一方、本発明に係る転写部材の他の効果として、繰り返しの画像出力による放電によって、ドメイン中のパーフルオロポリエーテル鎖が分解された場合にも、優れた二次転写性を維持できることが挙げられる。その作用機構は表層の表面のドメイン相が摺動部材や転写材との摺動によって削られることによって、微細凹形状が形成されていくことによるものと考えられる。すなわち、パーフルオロポリエーテル鎖を含む基で構成されたドメイン相は、上述のように放電環境下においては、ドメイン相中のパーフロオロポリエーテル鎖が徐々に分解される。しかし最表面のドメイン相は、画像形成装置に搭載された摺動部材(例えば、クリーニングブレード)や紙などの転写材との摺動により削り取られていく。ここで、パーフルオロポリエーテル鎖を含む基で構成されているドメイン相は、ポリシロキサン鎖を含む基で形成されてなるマトリックス相よりも相対的に硬度が低いため、マトリックス相よりも優先的に削られていく。その結果、表面には、ドメイン相の痕跡としての微細な凹形状が形成されることとなる。この微細な凹形状が形成された表層の表面は、トナーの接触面積を低減させる上で有効であり、失活したパーフルオロポリエーテル鎖の代替となって優れた二次転写性に寄与する物理的形状となる。
<転写部材の製造>
上記した表層の形成には、まず下記の原料[1]、原料[2]及び原料[3]を適宜希釈・混合し、中間転写部材の表層形成用組成物を得たのち、この組成物を基層上に塗布し、種々の硬化手段を用いて重合反応を開始させることで得ることができる。
原料[1]:グラフト反応点を有するポリアクリレートまたはポリメタクリレートのプレポリマーやポリアクリレート・ポリメタクリレート共重合型のプレポリマー、
原料[2]:主鎖と重合可能な官能基を有するポリシロキサン、
原料[3]:主鎖と重合可能な官能基を有するパーフルオロポリエーテル。
上記表層形成用組成物を塗布する方法としては、例えばディップコート、リングコート、スリットコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートなどの方法が使用できる。塗布後は、温度60℃から90℃程度で溶媒を乾燥除去したのち、塗膜に対して電子線または紫外線などを照射して組成物を重合反応させて、塗膜を硬化させて、表層を形成する。その際、イルガキュア(チバガイギ社製)などの重合開始剤を適宜使用することが出来る。また、前記組成物中には、先述した導電剤、酸化防止剤、レベリング剤、架橋剤、重合禁止剤、粘度調整剤、及び難燃剤などの公知の機能付与添加剤を適宜配合することもできる。
表層の膜厚は、成膜条件、例えば固形分濃度、成膜速度などを調整することにより適宜所望の値に調整することが可能である。表層の膜厚は、実機耐久条件での摩耗、損耗を考慮すると1μm以上が好ましく、ベルトを張架したときの耐屈曲性などを考慮すると20μm以下が好ましい。また、更なる耐屈曲性が必要となる場合には10μm以下であることが好ましい。
また、基層上に表層を形成して得られる転写部材は、基層と同様に半導電性であることが求められる。このため、表層中にも導電剤を含むことが好ましく、導電剤は基層に用いる際に挙げたものを使用することができる。基層上に表層を形成した後の転写部材の電気抵抗としては、通常、体積抵抗率は1.0×10Ω・cm以上、1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましい。また、表層側から測定した表面抵抗率として1.0×10Ω/□以上、1.0×1013Ω/□以下であることが好ましい。転写部材の電気抵抗を上記のような半導電領域の範囲内に設定することによって、低湿環境下や連続駆動時のチャージアップに伴う転写バイアス不足による、あるいは、高湿環境下においての転写バイアスのリークによる、転写画像の不良を抑制することができる。
本発明に係る転写部材の表層は、上述の原料[1]、原料[2]及び原料[3]を重合させることで得られるグラフト型の共重合体を含有するが、次に該グラフト型の共重合体の製造に使用される原料[1]、原料[2]及び原料[3]について説明する。
〔主鎖用の原料[1]〕
主鎖を構成する式(1)で示される構造を有するポリマー鎖の製造に使用される原料[1]は、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートのプレポリマーやポリアクリレート・ポリメタクリレート共重合型のプレポリマーとしてのマクロモノマーである。ここでいうマクロモノマーとは、重合可能な反応性基を持つ高分子量モノマーのことで、他のモノマーと共重合することにより、グラフトポリマーを容易に合成することができるものである。特にアクリル系マクロモノマーの利用により、ラジカル重合が可能であり、物性の異なる樹脂を側鎖に純度良く、簡便に組み込むことができるため、塗料分野などでは汎用されている。
これらマクロモノマーと側鎖とのグラフト反応点としては、例えばアクリル基やメタクリル基などのラジカル重合性不飽和結合基が挙げられる。主鎖にグラフト反応点となる反応性基を連結する手段は特に限定されないが、例えば、水酸基を有する主鎖とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体を無触媒下あるいは触媒存在下、室温から80℃で反応させてウレタン結合を形成させる方法が挙げられる。
また、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートのプレポリマーやポリアクリレート・ポリメタクリレート共重合型のプレポリマーに対しては、グラフト反応点の導入のため以外にも、溶媒や各種添加剤との相溶性の向上のために、アルキル基などの官能基を適宜導入することができる。これによって、グラフト型の共重合体における物性の制御や機能性の付与も可能である。代表的なマクロモノマーとしては、東亞合成(株)製の「マクロモノマー45%−AA6」(メチルメタクリレート)や「マクロモノマー−AB6」(ブチルアクリレート)などがある。
〔側鎖用の原料[2]〕
側鎖を構成する式(2)で示される構造を含むポリシロキサン鎖の製造に使用される原料[2]は、主鎖と重合可能な官能基を有する片末端変性のポリシロキサン化合物であり、主鎖とのグラフト反応点となる反応性基を有する化合物である。このような反応性基としては、例えばアクリル基やメタクリル基などのラジカル重合性不飽和結合基などが挙げられる。グラフト骨格を形成するためには、上述のラジカル重合性不飽和結合基等の反応性基はポリシロキサンの片末端に導入される必要がある。ポリシロキサン化合物と反応性基との連結は、シランカップリングなどにより実行が可能であり、ポリシロキサン化合物と反応性基の間の連結は炭化水素を介してもよい。あるいは直接ビニル基やアクリル基等のラジカル重合性不飽和結合をポリシロキサンの片末端に連結することができる。式(2)中のR〜Rは、各々独立に、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素である。
本発明の一実施態様に係るミクロ相分離構造を形成するためには、グラフト側鎖を構成している基においてポリシロキサン鎖の分子量は、式(2)における重合度mで2以上の整数であり、好ましくは10以上の整数、より好ましくは30以上の整数である。これは、ポリシロキサン鎖の重合度mが2未満であるとグラフト型の共重合体中に占めるポリシロキサン鎖の成分量が少な過ぎるためパーフルオロポリエーテル鎖とのミクロ相分離構造を形成するには至らないためである。ポリシロキサン鎖の分子量の上限については特に限定されないが、成膜性や塗膜硬度等を考慮すると、重合度mは50以下であることが好ましい。このような範疇にあるポリシロキサン鎖の製造に使用される原料[2]は、公知の方法で調製することもできるが、市販品を用いることもできる。市販品例としては、チッソ(株)製の「サイラプレーンFM−0711」(数平均分子量1,000)、「サイラプレーンFM−0721」(数平均分子量5,000)、「サイラプレーンFM−0725」(数平均分子量10,000)、信越化学工業(株)製の「X−22−174DX」(数平均分子量4,600)などが挙げられる。これら片末端変性のポリシロキサンは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
また、グラフト型の共重合体が、表層の表面にミクロ相分離構造を形成するために必要な原料[1]に対する原料[2]の質量比は、原料[1]100質量%に対して、原料[2]5〜40質量%が好ましい。5質量%未満であると、表層の表面に占めるポリシロキサン鎖のマトリックス相の領域が小さくなり、逆にパーフルオロポリエーテル鎖のドメイン相のサイズが大きくなる。そのため、パーフルオロポリエーテル鎖のドメイン相が表面全体に偏在するためミクロ相分離構造を得ることが難しい。また、40質量%を超えると表層の表面に占めるマトリックス相の領域が大きくなり、パーフルオロポリエーテル鎖のドメインサイズ相が小さくなり過ぎるため、低付着性に有効なミクロ相分離構造を得ることが難しくなる。
〔側鎖用の原料[3]〕
もう一方の側鎖を構成する式(3)で示される構造を含むパーフルオロポリエーテル鎖の製造に使用される原料[3]は、主鎖と重合可能な反応性基を有する片末端変性のパーフルオロポリエーテル化合物である。この原料[3]は、原料[2]のポリシロキサン化合物と同様に主鎖とのグラフト反応点となる反応性基を有する化合物である。このような反応性基としては、例えばアクリル基やメタクリル基などのラジカル重合性不飽和結合基などが挙げられる。パーフルオロポリエーテル化合物に対して反応性基を連結する手段は、特に限定されないが、例えば水酸基を有するパーフルオロポリエーテルとイソシアネート基を有するアクリル酸をウレタン結合により連結することで、グラフト反応点を連結することができる。式(3)中のXは、フッ素原子またはトリフルオロカーボンのいずれかである。pおよびqは、各々独立に、0以上の整数であり、「p+q」は、2以上の整数である。「p+q」は、10以上、15以下であることが好ましい。このような範疇にあるパーフルオロポリエーテル鎖の製造に使用される原料[3]としては、ソルベイソレクシス社のウレタンアクリル基含有の「Fluorolink AD1700」などを好適に用いることができる。
またグラフト型の共重合体が、表層の表面にミクロ相分離構造を形成するために必要な原料[1]に対する原料[3]の質量比は、原料[1]100質量%に対して、10〜25質量%が好ましい。原料[3]の質量比が10質量%未満では、グラフト型の共重合体中におけるパーフルオロポリエーテル鎖のドメイン相のサイズが小さすぎてミクロ相分離構造を形成することができない。一方、原料[3]の質量比が25質量%を超えると、表面全体にパーフルオロポリエーテル鎖が均一に偏析するためミクロ相分離構造を形成することができない。またグラフト型の共重合体の原料[1]と原料[3]の質量比が前記範囲外では、表層の強度が消失する場合がある。
上述の原料[1]と原料[2]をグラフト重合により連結したポリマーの結合形式の一例を下記式(4)に示す。このようなグラフト型の共重合体を与えるものとして、例えば、株式会社 T&K TOKA製の「ZX212」や「ZX201」が挙げられる。尚、式(4)中、n1およびmは、各々独立して2以上の整数を示す。また、n2、n3およびn4は、各々独立して、1以上の整数を示す。
Figure 2015212810
上述の原料[1]と原料[3]をグラフト重合により連結した、結合形式の一例を下記式(5)に示す。尚、式(5)中、n5は、2以上の整数を示す。n6、n7、n8およびn9は、各々独立して、1以上の整数を示す。また、pおよびqは各々独立して1以上の整数を示す。但し、「p+q」は、2以上の整数である。
Figure 2015212810
本発明に用いられるグラフト型の共重合体は、例えば式(4)および式(5)を含むユニットの繰り返し構造を有する樹脂として得ることができる。
このようにして形成される電子写真用の中間転写部材は、トナーの転写性に理想的な低付着性を発現することができ、その際のトナー転写性は、実際の画像形成装置により評価することにより確認できる。
図3の本発明に係る電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」ともいう。)100について説明する。電子写真装置100は、電子写真方式のカラー電子写真装置(カラーレーザープリンタ)である。図3に示す電子写真装置100には、中間転写体である中間転写ベルト7の平面部に沿って、その移動方向に順に、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分の画像形成部である画像形成ユニットPy、Pm、Pc、Pkが配設されている。ここで、1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ電子写真感光体、2Y、2M、2C、2Kはそれぞれ帯電ローラ、3Y、3M、3C、3Kはそれぞれレーザー露光装置、4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ現像器、5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ1次転写する手段としての1次転写ローラを示す。各画像形成ユニットの基本的な構成は同一であるので、画像形成ユニットの詳細については、イエロー画像形成ユニットPyについてのみ説明する。
イエロー画像形成ユニットPyは、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」又は「第1の画像担持体」とも称する。)1Yを有する。感光ドラム1Yは、アルミニウム製のシリンダを基体として、その上に電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順に積層して形成したものである。
また、イエロー画像形成ユニットPyは、帯電手段としての帯電ローラ2Yを備えている。帯電ローラ2Yに帯電バイアスを印加することで、感光ドラム1Yの表面は一様に帯電される。
感光ドラム1Yの上方には、画像露光手段としてのレーザー露光装置3Yが配設されている。レーザー露光装置3Yは、一様に帯電された感光ドラム1Yの表面を画像情報に応じて走査露光して、イエロー色成分の静電潜像をその感光ドラム1Yの表面に形成する。
感光ドラム1Yに形成された静電潜像は、現像手段としての現像器4Yから供給される現像剤であるトナーによって現像される。つまり、現像器4Yは、現像剤担持体である現像ローラ4Ya、現像剤量規制部材である規制ブレード4Ybを備えており、また現像剤であるイエロートナーを収容している。イエロートナーが供給された現像ローラ4Yaは、現像部において感光ドラム1Yと軽圧接されており、感光ドラム1Yと順方向に速度差を持って回転される。現像ローラ4Yaによって現像部に搬送されたイエロートナーは、現像ローラ4Yaに現像バイアスを印加することで、感光ドラム1Yに形成された静電潜像に付着する。これにより、感光ドラム1Yに可視像(イエロートナー画像)が形成される。
中間転写ベルト7は、駆動ローラ71、テンションローラ72、従動ローラ73に張架されており、感光ドラム1Yと接触して図中矢印の方向に移動(回転駆動)される。そして、1次転写部Tyに到達した感光ドラム上(第1の画像担持体上)に形成されたイエロートナー画像は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1Yに対向して圧接されている1次転写手段である1次転写ローラ5Yによって、中間転写ベルト7上(中間転写体上)に1次転写される。
同様に、以上の作像動作を、中間転写ベルト7の移動に伴ってマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各ユニットPm、Pc、Pkにおいて行い、中間転写ベルト7上にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー画像を積層する。4色のトナー層は中間転写ベルト7の移動に従って搬送され、2次転写部T’において、2次転写手段としての2次転写ローラ8により、所定のタイミングで搬送されてくる転写材S(以下、「第2の画像担持体」とも称する。)上に一括転写される。このような2次転写においては通常十分な転写率を確保するために数kVの転写電圧を印加するが、その際に転写ニップ近傍において放電が発生することがある。なお、この放電が転写部材の化学劣化の一因となっている。
転写材Sは、転写材の収納部であるカセット12に収納されており、ピックアップローラ13によって機内に分離供給され、搬送ローラ対14、レジストローラ対15によって中間転写ベルト7に転写された4色のトナー画像と同期をとられて2次転写部T’まで搬送される。
転写材Sに転写されたトナー画像は、定着器9によって定着されて、例えばフルカラーの画像となる。定着器9は、加熱手段を備えた定着ローラ91と加圧ローラ92とを有し、転写材S上の未定着トナー画像を加熱、加圧することで定着する。その後、転写材Sは搬送ローラ対16、排出ローラ対17などによって機外に排出される。
中間転写ベルト7のクリーニング手段でありクリーニングブレード11が、中間転写ベルト7の駆動方向の2次転写部T’の下流に配設されており、2次転写部T’において転写材Sに転写されずに中間転写ベルト7に残った転写残トナーを除去する。
以上説明したように感光体から中間転写ベルト、中間転写ベルトから転写材へトナー画像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の転写材へ記録を繰り返すことで電気的転写プロセスが更に繰り返し行われることになる。
そして、上記電子写真装置における中間転写ベルトとして、前記した本発明に係る電子写真用部材を用いることにより、中間転写ベルトから紙などの転写材へのトナー画像の転写(二次転写)の効率の経時的な変化が抑制される。その結果として、高品位な電子写真画像を長期間に亘って形成することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。以下に示す実施例では、市販の画像形成装置に本発明を適用したベルト状の中間転写体を組み込んで、画像評価を行った結果を記載するが、それのみに限定されるものではない。また、実施例において使用される材料には、溶剤により希釈・分散されているものがあるが、材料の使用量は、特に示さない限り不揮発分に関するものであり、溶剤(揮発分)を除いた量である。
〈実施例1〉
1.中間転写ベルトの製造
主鎖となるマクロモノマーの原料として東亞合成(株)製のマクロモノマー45%−AA6(メチルメタクリレート)を用いた。ポリシロキサン鎖の原料としてチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711(数分子量1,000)、及び、パーフルオロポリエーテル鎖の原料として、ソルベイソレクシス社製のFluorolink AD1700(数平均分子量1,000)を用いた。表1に示す配合量(質量部)のこれらの材料と、メチルイソブチルケトンを用いて、樹脂固形分濃度が25質量%の混合分散液を調製した。さらに添加剤としてはCIKナノテック製の導電性金属酸化物(ガリウムドープ酸化亜鉛)25質量部および重合開始剤としてチバガイキ社のイルガキュアー184(光重合開始剤)3質量部を混合攪拌し、混合分散液を得た。
ベルト状の中間転写体の基層として、キヤノン(株)製Image RUNNER ADVANCE C5051に備え付けられているポリイミド製中間転写ベルトを準備した。この中間転写ベルト上に前記混合分散液を、コートして塗膜を形成し、温度70℃で3分間、加熱乾燥処理した。次いで、この塗膜に対して紫外線照射装置(UE06/81−3、アイグラフィック(株))を用いて、積算光量が1200mJ/cmになるまで紫外線を照射した。このようにして塗膜を硬化させて、表層(硬化塗膜)の膜厚が2μmの中間転写ベルト1を得た。
アクリル系あるいはメタクリル系のラジカル重合性マクロモノマーは重合性に優れ、物性の異なる樹脂を純度良く側鎖として組み込むことができる。そのため光重合開始剤の存在下で紫外線照射や電子線照射を行うことで、側鎖用の原料は基本的にほぼ100%主鎖にグラフト重合される。側鎖用の原料のうち主鎖にグラフトされることなく重合体となった樹脂(反応残渣)が、硬化塗膜中に存在する場合、この樹脂は経時的に表層の表面にブリードされるものと考えられる。しかしながら、表面の元素分析により経時的に観察を行ったところ、そのような反応残渣は確認されなかった。
2.中間転写ベルトのSEM観察
中間転写ベルト1の表面および断面を走査型電子顕微鏡(SEM、FEI製XL−300−SFEG)で観察した。表面においては図1に示すように、パーフルオロポリエーテルのドメイン相が均一に分布している様子が観察され、その円形ドメイン相の直径は0.8μmであった。また断面観察においては図2に示すように、表面近傍にのみパーフルオロポリエーテルのドメイン相が存在し、ドメイン相の深さは0.2μmであることが確認できた。
なお中間転写ベルト1の断面作成においてはクロスセクションポリッシャー(日本電子製SM−09010)を使用し、表面に対して垂直な断面を作成した。マトリックス相とドメイン相を構成する成分の同定には、エネルギー分散型X線分析装置により元素マッピング行った。マトリックス相の成分には主としてポリシロキサンを構成する成分(ケイ素、酸素、炭素)を確認し、ドメイン相の成分には主としてパーフルオロポリエーテルを構成する成分(フッ素、酸素、炭素)を検出した。
3.中間転写ベルトのトナー転写性の評価
フルカラー電子写真画像形成装置(商品名:Image RUNNER ADVANCE C5051;キヤノン(株)製)から、ポリイミド製中間転写ベルトを取り外して、その代わりに前記中間転写ベルト1を取り付けた。そして、初期の出力画像と、通紙耐久試験を実施した3万枚印刷後の出力画像の評価を行った。このとき、被記録媒体である紙は、ゼロックス社の普通紙4024を使用した。なお、評価はシアンとマゼンタの二次色青画像を出力し、目視評価で、以下の基準で表示した。その評価結果を表3に示す。
A:全く色ムラが見られず良好である。
B:色ムラがほとんどなく良い。
C:それに準じて良い。
D:ところどころ転写が十分でなく色ムラが確認できる。
〈実施例2〜6〉
実施例1において、側鎖用の原料の配合量を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルト2〜6を得た。各中間転写ベルトについて実施例1と同様の方法で表面および断面について観察を行ったところ、いずれの表面においても、均一なパーフルオロポリエーテルのドメイン相が存在し、またいずれの断面においても表面近傍にのみパーフルオロポリエーテルのドメイン相が存在していた。円形ドメイン相の直径及び深さを表3に示す。また、実施例1と同様にして行った画像評価の結果を表3に示す。
〈比較例1〜6〉
実施例1において、側鎖用の原料の配合量を表2に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間転写ベルト7〜12を得た。各中間転写ベルトについて実施例1と同様の方法で表面および断面について観察を行ったところ、いずれの表面においても、パーフルオロポリエーテルのドメイン相の存在が確認できず、またいずれの断面においてもパーフルオロポリエーテルのドメイン相の存在は確認できなかった。実施例1と同様にして行った画像評価の結果を表3に示す。
Figure 2015212810
Figure 2015212810
Figure 2015212810
1 マトリックス相
2 ドメイン相
3 基層

Claims (9)

  1. トナーを担持する表面を有する表層を有する電子写真用の転写部材であって、
    該表層は、下記式(1)で示される構造を有するポリマーを主鎖とし、該主鎖に対して、下記式(2)で示される構造を含む基と、下記式(3)で示される構造を含む基とが側鎖として結合しているグラフト型の共重合体を含有し、
    該表層の表面は、下記式(2)で示される構造を含む基で形成されてなるマトリックス相と、下記式(3)で示される構造を含む基で形成されてなるドメイン相と、を有することを特徴とする転写部材:
    Figure 2015212810
    [[式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、n0は、2以上の整数を示す。]、
    Figure 2015212810
    [式(2)中、R、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、mは、2以上の整数を示す。]、
    Figure 2015212810
    [式(3)中、Xは、フッ素原子またはトリフルオロカーボンを示し、pおよびqは、各々独立に0以上の整数を示し、「p+q」は、2以上の整数を示す。]]。
  2. 前記共重合体において、前記式(2)で示される構造を含む基の前記主鎖に対する質量比が5〜40質量%であり、前記式(3)で示される構造を含む基の前記主鎖に対する質量比が10〜25質量%である請求項1に記載の転写部材。
  3. 前記ドメイン相の深さが、前記表層の膜厚に対して10〜15%である請求項1または2に記載の転写部材。
  4. 前記表層の膜厚が、1μm以上、20μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写部材。
  5. 前記ドメイン相の直径が、0.8〜1.5μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写部材。
  6. 前記転写部材が、さらに基層を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の転写部材。
  7. 前記転写部材の体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×1014Ω・cm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の転写部材。
  8. 前記転写部材の表面抵抗率が、1.0×10Ω/□以上、1.0×1013Ω/□以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の転写部材。
  9. 第1の画像担持体と、中間転写体と、該第1の画像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体に1次転写する手段と、該中間転写体に1次転写されたトナー画像を第2の画像担持体上に2次転写する手段と、を有する電子写真画像形成装置であって、
    該中間転写体が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の転写部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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