JP7185558B2 - 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
基材と、
表面層としての離型層と、を有する電子写真用の定着部材であって、
該離型層は、
第1のフッ素樹脂及び第2のフッ素樹脂を含み、
該第1のフッ素樹脂は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)であり、
該第2のフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、及び、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一方であり、
PFPE単体の、温度200℃で測定される19F-NMRから求めた、PFPE単体の縦緩和時間をT1-1とし、
該離型層の、温度200℃で測定される19F-NMRから求めた、該離型層中のPFPEの縦緩和時間をT1-2としたとき、T1-1及びT1-2が下記式(1)で示す関係を満たすことを特徴とする定着部材:
式(1)
[(T1-1)-(T1-2)]/(T1-1)≧0.1
が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記の定着部材を備える電子写真用の定着装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記の定着装置を備える電子写真画像形成装置が提供される。
その結果、最外層としての離型層中に、PFPEを、分子運動性を抑制した状態で含有させることによって、上記の目的を達成し得ることを見出した。
該第1のフッ素樹脂は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)である。また、該第2のフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及び、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一方である。
そして、PFPE単体の、温度200℃で測定される19F-NMRから求めた、PFPE単体の縦緩和時間をT1-1とし、
該離型層の、温度200℃で測定される19F-NMRから求めた、該離型層中に含まれるPFPEの縦緩和時間をT1-2としたとき、T1-1及びT1-2が、下記式(1)で示す関係を満たす:
計算式(1)
[(T1-1)-(T1-2)]/(T1-1)≧0.1
。
測定条件
・測定項目:19F
・観測周波数:376.81MHz
・プローブ:直径4.0mm
・回転速度:0kHz
・化学シフトの標準物質:六フッ化ベンゼン(-163ppm)
・(1)19F-NMRスペクトル測定
測定法:シングルパルス法
測定温度:28℃
・(2)19F-NMR縦緩和時間T1測定
測定法:インバージョンリカバリー法(180°-τ-90°)、
測定温度:200℃。
上記(1)の測定では、上記NMR装置の内部処理により、単体のPFPEの19F-NMRスペクトルが得られる。得られた19F-NMRスペクトルから、PFPEに由来するピークを帰属できる。例として単体のPFPE(ポリパーフルオロイソプロピルエーテル)の19F-NMRスペクトルと帰属した結果を図5に示す。
計算式(1)
A(τ)=A0(1-2exp(-τ/T1))
ここで、A0は、PFPEに由来する各々のピークの強度の飽和値である。T1は、各ピークの縦緩和時間である。
そして、上記(2)の測定は、待ち時間τを、すべてのピークが飽和値に達するのに十分な時間(縦緩和時間T1の5倍以上、例えば、20~100秒)以下で少なくとも4回以上、好ましくは8回以上変化させて測定する。その結果、少なくとも4個のFID信号が得られ、当該FID信号から、少なくとも4個の19F-NMRスペクトルが得られることになる。
次いで、各スペクトルにおけるPFPEに帰属されるピークの各々について、待ち時間τを横軸とし、シグナル強度を縦軸とするグラフ上にプロットする。該グラフ上の少なくとも4個のプロットに基づいて、NMR装置の内部処理により、最小2乗法によって式(1)に基づいて曲線フィッティングを行って、A0及びT1を求める。
測定条件
・測定項目:19F
・観測周波数:376.81MHz
・プローブ:直径4.0mm
・回転速度:10kHz
・化学シフトの標準物質:六フッ化ベンゼン(-163ppm)
・(3)19F-NMRスペクトル測定
測定法:シングルパルス法
測定温度:28℃
・(4)19F-NMR縦緩和時間T1測定
測定法:インバージョンリカバリー法(180°-τ-90°)、
測定温度:200℃。
上記(3)の測定では、上記NMR装置の内部処理により、測定用サンプルの19F-NMRスペクトルが得られる。得られた19F-NMRスペクトルから、PFPEに由来するピークを帰属する。帰属する方法としては、前記した単体のPFPEについて求めた19F-NMRスペクトルから帰属されるピークに基づいて決めればよい。また、以下に示すPFPEの繰り返し単位に応じて予測されるピーク位置を参考に帰属してもよい。例として、PFPE(ポリパーフルオロイソプロピルエーテル)及びPFAを含む離型層の19F-NMRスペクトル及び帰属した結果を図6に示す。
・パーフルオロメチルエーテル:-50~-55ppm;
・パーフルオロエチルエーテル:-86~-91ppm;
・パーフルオロプロピルエーテル:
酸素に隣接するCF2由来のピーク:-80~-85ppm、
酸素と隣接しないCF2由来のピーク:-125ppm~-130ppm;
・パーフルオロイソプロピルエーテル:
-CF3、CF2O-由来のピーク:-77~-82ppm、
トリフルオロメチル基の結合した炭素に結合したフッ素由来のピーク:-141~-146ppm。
そして、上記(4)の測定は、待ち時間τを、すべてのピークが飽和値に達するのに十分な時間(例えば、20~100秒)以下で少なくとも4回、好ましくは8回以上変化させて測定する。その結果、少なくとも4個のFID信号が得られ、当該FID信号から、少なくとも4個の19F-NMRスペクトルが得られることになる。
そして、少なくとも4個の19F-NMRスペクトルから求まる少なくとも4つのT1のうち、最も大きい値を、T1-2とする。
(工程1)第2のフッ素樹脂のペレットを、PFPEと撹拌混合して、混合物を得る。
(工程2)該混合物を、二軸押し出し機を用いて、第2のフッ素樹脂の融点(280~320℃)以上、450℃以下の温度で溶融混練しつつ押し出して、第2のフッ素樹脂及びPFPEの溶融混練物(以降、「第2のフッ素樹脂/PFPE溶融混練物」)を得る。
(工程3)該第2のフッ素樹脂/PFPE該溶融混練物をペレット化し、該ペレットを押し出し成形機にてチューブ状に押し出し成形し、離型層用チューブを得る。
(工程4)基材上に形成してなる弾性層の外表面を、離型層用チューブで被覆する。
本発明の一態様に係る定着部材を、図1を用いて説明する。図1(A)は、エンドレスベルト形状の定着部材(以降、「定着ベルト」ともいう)11の周方向に平行に切断したときの断面図である。また、図1(B)は、ローラ形状の定着部材(以降、「定着ローラ」ともいう)12の周方向に平行に切断したときの断面図である。
定着部材11、12は、基材13と、基材の表面を被覆する弾性層14と、弾性層の表面を被覆する離型層15とを有する。
離型層15は、弾性層14の表面に不図示の接着層で固定されていてもよい。なお、弾性層14は、必須の構成要素ではなく、基材13と、その表面に直接または接着層を介して離型層が設けられている構成であってもよい。
基材13の材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケルの如き金属及び合金、並びに、ポリイミドの如き耐熱性樹脂が用いられる。
弾性層を構成する材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴムの如き耐熱性ゴムを用いることが好ましく、中でも付加硬化型のシリコーンゴムであることが好ましい。
離型層は、第1のフッ素樹脂及び第2のフッ素樹脂を含む。
該第1のフッ素樹脂は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)であり、該第2のフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及び、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一方である。
PFAの例としては、例えば、パーフルオロメチルビニルエーテル[CF2=C(F)-O-CF3]、パーフルオロエチルビニルエーテル[CF2=C(F)-O-CF2CF3]及びパーフルオロプロピルビニルエーテル[CF2=C(F)-O-CF2CF2CF3]から選択される少なくとも一つと、テトラフルオロエチレンとの共重合体が挙げられる。
・「451HP-J」「959HP-Plus」「350-J」「950HP-Plus」(いずれも商品名;三井・デュポンフロロケミカル社製);
・「P-66P」、「P-66PT」、「P-802UP」(いずれも商品名;AGC社製);
・「AP-230」「AP-231SH」等(いずれも商品名;ダイキン社製)、
・「6502N」(商品名;スリーエム社製)。
FEPは、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体であり、溶融混練時の粘度を下げてPFPEとの相互作用を高める観点から、ヘキサフルオロプロピレンを分子鎖中に1mol%から15mol%程度とすることが好ましい。
・「100-J」「130-J」「140-J」等(いずれも商品名;三井・デュポンフロロケミカル社製);
・「NP-20」「NP-30」等(いずれも商品名;ダイキン社製)、
・「6301N」等(商品名;スリーエム社製)。
パーフルオロポリエーテル(PFPE)は、パーフルオロアルキレンエーテルを繰り返し単位として有するポリマーである。パーフルオロアルキレンエーテルの具体例としては、パーフルオロメチルエーテル、パーフルオロエチルエーテル、パーフルオロプロピルエーテル及び、パーフルオロイソプロピルエーテルが挙げられる。
・構造式(3)で示される構造を有するPFPE(例えば、「Demnum S200」、「Demnum S100」(いずれも商品名;ダイキン社製)):
・構造式(4)で表される構造を有するPFPE(例えば、「Krytox GPL107」、「Krytox GPL106」、「Krytox 143AD」、「Krytox VPF16256」、「Krytox XHT-750」、「Krytox XHT-1000」(いずれも商品名;ケマーズ社製)):
・構造式(5)で表される構造を有するPFPE(例えば、「Fomblin M60」、「Fomblin M30」(いずれも商品名;ソルベイ社製)):
離型層の厚みは3μm以上100μm以下、さらには10μm以上50μm以下が好ましい。3μm以上の厚みを有する離型層は形成が容易であり、かつ、離型層の厚みが100μm以下であれば定着部材から紙への伝熱性が良好であるためである。
本態様に係る定着ベルトの製造方法について以下に述べる。
<<離型層用のフッ素樹脂チューブの調製>>
まず、下記工程1~工程3に記載の方法によって離型層用のフッ素樹脂チューブを作製する。
(工程1)第1のフッ素樹脂、すなわち、PFPEを、第2のフッ素樹脂のペレットと撹拌混合して、混合物を得る。
(工程2)該混合物を、二軸押し出し機を用いて、第2のフッ素樹脂の融点以上の温度で溶融混練しつつ押し出して、第2のフッ素樹脂及びPFPEの溶融混練物を得る。
(工程3)該溶融混練物をペレット化し、該ペレットを押し出し成形機にてチューブ状に押し出し成形し、離型層用チューブを得る。
第2のフッ素樹脂のペレット及びPFPEを所定の量比にて攪拌機中で撹拌、混合して第2のフッ素樹脂及びPFPEの混合物を得る。ここでの撹拌条件は特に限定されるものではない。例えば、第2のフッ素樹脂のペレットに対してあらかじめ粉砕処理などを行った後、PFPEと撹拌、混合することができる。これにより、第2のフッ素樹脂とPFPEの接触面積が増大するため、溶融混練時にPFPEとの相互作用をさらに高めやすくなるので好ましい。
工程1で得られた混合物のペレットを二軸押出機に投入し、第2のフッ素樹脂の融点以上の温度に加熱して、第2のフッ素樹脂を溶融させつつ、所定の条件で混練し、第2のフッ素樹脂とPFPEとの溶融混練物を得る。
例えば、第2のフッ素樹脂としてPFAを用いる場合、例えば、温度350~420℃に加熱することでPFAを溶融させることができる。また、第2のフッ素樹脂としてFEPを用いる場合、例えば、300~370℃に加熱することでFEPを溶融させることができる。
混練条件としては、例えば、二軸押出機のスクリューの直径が46mmである場合においては、スクリュー回転数を100~600rpmとして混練する。
工程2で得た溶融混練物をペレット化し、該ペレットを、押し出し成形機を用いてチューブ形状に押し出して、離型層形成用のフッ素樹脂チューブを成形する。
溶融状態のPFAにPFPEが混合された状態は、PFAのみが溶融している状態と比較して、溶融粘度が低いため、PFA単独の溶融物を押し出すよりも加熱温度を低く設定することが可能である。
そのため本工程における溶融混練物の加熱温度としては、PFAとの溶融混練物であれば、好ましくは、340~400℃である。
またFEPとの溶融混練物であれば、好ましくは、300~360℃である。
(工程4)は、エンドレスベルト形状の基体の外周面を被覆してなる弾性層の外周面を、(工程3)で得たフッ素樹脂チューブで被覆する工程を含む。ここで、弾性層の外周面には、あらかじめ接着層を設けておいてもよい。
定着装置は、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が圧接されており、電子写真画像形成装置全体としてのプロセス速度、大きさ等の条件を勘案して適宜選択される。ここでは、定着装置の具体例を示して、その構成を説明する。
図2には、本発明の一態様に係る定着ベルトと、加熱手段とを備えた、本発明の一態様に係る電子写真用の定着装置の一例における横方向断面模式図を示す。
この定着装置において、定着ベルト11は、本発明の一態様に係る定着部材としてのシームレス形状の定着ベルトである。この定着ベルト11を保持するために、耐熱性・断熱性を有する樹脂によって成形されたベルトガイド部材16が配設されている。
セラミックヒータ17はベルトガイド部材16の長手方向に沿って成形された溝部に嵌入して固定支持されている。セラミックヒータ17は、不図示の手段によって通電され発熱する。
加圧部材としての弾性加圧ローラ19はステンレス芯金19aにシリコーンゴムの弾性層19bを設けて表面硬度を低下させたものである。
弾性加圧ローラ19は、表面性及び離型性を向上させるために表層19cとして、厚さ50μmのフッ素樹脂チューブが被覆されている。
図3には本発明の一態様に係る定着ローラを用いた、定着装置の一例における横方向断面模式図を示す。
この定着装置において、定着ローラ12は、本発明の一態様に係る定着部材である。この定着ローラ12は基材13の外周面に弾性層14が形成され、さらにその外側に離型層15が形成されている。
画像形成装置としては、電子写真方式を用いた複合機、コピー、ファックス、プリンタなどがある。ここではカラーレーザープリンタを例に用い、画像形成装置の全体構成について概略説明する。
感光体ドラム39(39Y、39M、39C、39K)は、駆動手段(不図示)によって、図4に示すように反時計回りに回転駆動される。
・感光体ドラム39表面を均一に帯電する帯電装置21(21Y、21M、21C、21K)
・画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム39上に静電潜像を形成するスキャナユニット22(22Y、22M、22C、22K)
・静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像ユニット23(23Y、23M、23C、23K)
・感光体ドラム39上のトナー像を一次転写部Tで中間転写体38に転写させる一次転写ローラ24(24Y、24M、24C、24K)
・転写後の感光体ドラム39表面に残った転写残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニット25(25Y、25M、25C、25K)
離型層の表面自由エネルギは、非特許文献1に記載されている「北崎・畑の方法」で算出することができる。まず、水、n-ヘキサデカン、ジヨードメタンを標準液体として、定着ベルトの離型層の接触角を測定した(測定環境:温度23℃、相対湿度55%)。次いで、各接触角の測定結果を用いて、非特許文献1の第131ページの「2.Forks式の拡張」~「3.高分子固体の表面張力とその成分」の記載に従って、「拡張Fowkesの式」から表面自由エネルギを求めた。
まず、定着部材から離型層を弾性層と共に切り出したのち、弾性層を「eソルブシリーズ」(カネコ化学社製)の如き樹脂溶解剤で溶解除去して、離型層のみを取り出した。次いで、採取した離型層をNOVEC7300(商品名;3M社製)中に浸漬し、温度25℃で24時間置いた。
次に、PFPEが溶出した溶剤と離型層とを濾別し、得られた濾液から、エバポレーターを用いて、PFPEが溶出した溶剤から溶剤を除去してPFPEを得た。
得られたサンプルを用いて前記の方法によってT1-1を求めた。
定着部材ベルトから離型層の部分だけ削りとり、得られたサンプルを用いて前記の方法によってT1-2を求めた。
離型層形成用のフッ素樹脂チューブの作製に用いるPFA及びPTFEとして表1及び2に記載のPFA種及びPFPE種を用意した。
(離型層の作製)
PFA-1とPFPE-1とを、PFA及びPFPEの合計質量に対するPFPEの質量の比(以下、「PFPE/(PFA+PFPE)」と称する)が0.10となるように撹拌機中で混合・撹拌して、PFA及びPTFEの混合物を得た。
該混合物を二軸押出機に投入し、スクリュー直径:46mm、スクリュー回転数:180rpm、シリンダー温度:350℃~420℃の条件で混練押出を行った。押出した組成物を冷却、切断することにより、PFA/PFPEペレットを作製した。
基材として、内径30mm、幅400mm、厚さ40μmのニッケル電鋳製のエンドレス形状を有する基材を用意した。この基材の外周面にプライマー処理を施した。
・球状フィラーとして、球状アルミナ(商品名:「アルナビーズCB-A30S」、昭和電工株式会社製)を38体積部
・異形フィラーとして、気相法炭素繊維(商品名:「VGCF-S」;昭和電工株式会社製、アスペクト比=100、平均繊維長=10μm)を1体積部
こうして、弾性層形成用の付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。これらを上記基材の外周面上にリングコート法を用いて塗布した後、温度200℃で4時間加熱して、付加硬化型シリコーンゴム組成物の層を架橋させて、厚さ300μmの弾性層を形成した。
次いで、弾性層の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。
次に、離型層として、上記で作製したフッ素樹脂チューブを被せ、該フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層とフッ素樹脂チューブの間から扱き出した。
そして、温度200℃に設定した電気炉に、弾性層及び該弾性層の周面にフッ素樹脂チューブを被覆してなる基材を入れ、1時間加熱した。これにより、接着剤を硬化させてフッ素樹脂チューブを弾性層上に接着し、両端を切断して、幅が343mmの定着ベルトNo.1を得た。得られた定着ベルトNo.1を下記の評価に供した。
定着ベルトNo.1を電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER-ADVANCE C5051;キヤノン社製)の定着ベルトとして装着した。また、定着ベルトの表面温度が、通常の設定温度よりも20℃高くなるように定着条件を変更した。この電子写真画像形成装置を用いて、ハンマーミル紙(International paper社製、サイズ:A4、坪量75g/m2)を通紙した。そして、1000枚目及び10000枚目の紙を通過させたのちの定着ベルトの離型層表面の表面自由エネルギを測定した。
フッ素樹脂チューブの作製に用いるPFA種、PFPE種及びPFAとPFPEの混合比率(PFPE/(PFA+PFPE))の少なくとも1つを表3に示すように変更した。それ以外は、実施例1に係るフッ素樹脂チューブと同様にしてフッ素樹脂チューブを作製した。各フッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様にしてPFPEの縦緩和時間T1-2を測定した。
また、実施例1に係るフッ素樹脂チューブに代えて実施例2~12に係るフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1に係る定着ベルトと同様にして実施例2~12に係る定着ベルトを作製し、評価1に供した。
実施例1と同様の方法で、基材、弾性層の作製を行い、該弾性層の表面をエキシマUVで処理した後、プライマー(商品名:EK-1909S21L、ダイキン工業株式会社製)を厚み2μmとなるように均一にスプレーコートし、乾燥させた。
また、比較例1に係る定着ベルトについて、評価1に供した。
また、実施例1~12及び比較例1に係る定着ベルトの各々について、評価1の結果を表5に示す。
12 定着ローラ
15 離型層
35 定着部
40 カラーレーザープリンタ
Claims (10)
- 基材と、
表面層としての離型層と、を有する電子写真用の定着部材であって、
該離型層は、
第1のフッ素樹脂及び第2のフッ素樹脂を含み、
該第1のフッ素樹脂は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)であり、
該第2のフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、及び、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれる少なくとも一方であり、
PFPE単体の、温度200℃で測定される19F-NMRから求めた、PFPE単体の縦緩和時間をT1-1とし、
該離型層の、温度200℃で測定される19F-NMRから求めた、該離型層中に含まれるPFPEの縦緩和時間をT1-2としたとき、T1-1及びT1-2が下記式(1)で示す関係を満たすことを特徴とする定着部材:
式(1)
[(T1-1)-(T1-2)]/(T1-1)≧0.1
。 - 前記縦緩和時間T1-2が、0.5秒以上3.5秒以下である請求項1に記載の定着部材。
- 前記縦緩和時間T1-2が、0.5秒以上2.0秒以下である請求項1または2に記載の定着部材。
- 該離型層が、前記第1のフッ素樹脂及び前記第2のフッ素樹脂の合計量に対し、該第1のフッ素樹脂を1質量%以上30質量%以下の割合で含む請求項1~3のいずれか一項に記載の定着部材。
- 該離型層が、前記第1のフッ素樹脂及び前記第2のフッ素樹脂の合計量に対し、該第1のフッ素樹脂を3質量%以上20質量%以下の割合で含む請求項1~3のいずれか一項に記載の定着部材。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の定着部材と、該定着部材の加熱手段と、を備える電子写真用の定着装置。
- 前記定着部材が、エンドレスベルト形状を有する定着ベルトであり、前記加熱手段が、該定着ベルトの内周面に接して配置されているヒータを具備する請求項8に記載の定着装置。
- 請求項8に記載の定着装置を備える電子写真画像形成装置。
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