JP7185559B2 - 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着部材及びこれを用いた定着装置並びにこれらを備える電子写真画像形成装置に関する。
一般に、複写機やレーザープリンタといった電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置」とも称する。)に用いられる定着装置では、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が圧接されている。そして、この回転体間に形成された圧接部位(以下、「定着ニップ部」と称する。)に、未定着トナーによって形成された画像を保持した紙の如き記録媒体を導入し、未定着トナーを加熱し、溶融させることにより、記録媒体に画像を定着させる。記録媒体上の未定着トナー画像が接する回転体は定着部材と称され、その形態に応じて定着ローラ、定着フィルム、定着ベルトと呼称される。
定着部材の外表面を構成する離型層(以下、「離型層」と称する。)には、トナーの付着を抑制するために、フッ素樹脂、具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」とも称する。)を含む離型層が用いられることがある。
特許文献1には、加熱定着ローラに用いられるフッ素樹脂を含む離型層の耐摩耗性の低さが、カーボンブラックの如き充填剤をフッ素樹脂と共に含む離型層により改善できることが記載されている。しかしながら、かかる充填剤は、フッ素樹脂よりも離型性が悪いため、充填剤を含まない離型層と比較して離型性が劣ることも記載されている。
特開2000-19879号公報
「日本接着協会誌」、日本接着学会、1972年、第8巻、第3号、p.131-141
特許文献1が開示しているように、フッ素樹脂を含む離型層の表面の高いトナー離型性を確保するためには、充填剤を含有させないことが好ましい。その一方で、フッ素樹脂のみで構成されてなる離型層は、耐傷付き性が低い。
本発明の一態様は、トナー離型性と、耐傷付き性とを高いレベルで両立させ得る定着部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する定着装置の提供に向けたものである。さらに、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することができる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、基材と、弾性層と、離型層と、をこの順に有する定着部材であって、該離型層は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、該離型層の周波数10Hz、180℃における損失正接が5.0×10-2以上3.0×10-1以下である定着部材が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、該定着部材を備える定着装置及び該定着装置を備える電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の一態様によれば、優れたトナー離型性と優れた耐傷付き性とを備えた外表面を有する定着部材を得ることができる。また、本発明の別の態様によれば、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する定着装置及び電子写真画像形成装置を得ることができる。
本発明の一例である定着ベルト(A)及び定着ローラ(B)の断面模式図 本発明に係る定着ベルトを用いた定着装置の断面模式図 本発明に係る定着ローラを用いた定着装置の断面模式図 本発明の電子写真画像形成装置の一態様を示す概略断面模式図
本発明者らは、PFAを含み、かつ、周波数10Hz、温度180℃における損失正接が、5.0×10-2以上3.0×10-1以下である離型層を備えた定着部材によれば、トナー離型性と、耐傷付き性とを高いレベルで両立させ得ることを見出した。
このような損失正接の値を示す離型層は、外部から受けた力を散逸させ、一旦変形しても、容易に元の形状に復元する力が強いと考えられる。そのため、高い耐傷付き性を達成し得るものと考えられる。
そして、このような物性は、例えば、離型層中のPFAのポリマー鎖の分子運動性を増加させることによって達成することができることを見出した。すなわち、カーボンブラックの如き充填剤を離型層に含有させなくとも、上記の物性を備えた離型層とすることができる。そのため、上記の物性を示す離型層においては、フッ素樹脂本来の高いトナー離型性を維持し得るものとなる。
上記物性を達成するためのPFAのポリマー鎖の分子運動性の増加は、例えば、離型層中に、PFAとは異なる含フッ素高分子化合物(以下、単に「含フッ素高分子化合物」と称す。)を、PFAのポリマー鎖と相互作用し得るように含有させることにより実現することができる。
PFAは表面自由エネルギーが小さいため、他の含フッ素高分子化合物とは相溶しにくい。そのため、PFAと含フッ素高分子化合物とを相分離させることなく混合することは困難かとも思われた。しかしながら、本発明者らの検討の結果、溶融状態のPFAと、オイル状の含フッ素高分子化合物とが混合した状態において、強いせん断を加えて混練することによって、PFAと含フッ素高分子化合物とを相分離させることなしに化学的に安定な混合物とすることができることを見出した。
溶融状態のPFAは、結晶領域も含めて鎖状にほどけていると考えられる。その状態では、PFAと分子構造に類似性を有する含フッ素高分子化合物は、相溶状態又は含フッ素高分子化合物がPFAに微分散した状態で存在する。そのため、室温(例えば、25℃)~定着部材の実使用温度域(例えば、100~250℃)において、離型層中のPFAと含フッ素高分子化合物とは相分離することなく、含フッ素高分子化合物とPFAとが化学的に安定に混合されている状態を実現できているものと考えられる。
そして、この状態において、含フッ素高分子化合物が、PFAの結晶性を低下させると共に、非晶領域とも相互作用している場合、離型層の、周波数10Hz、温度180℃における損失正接が、5.0×10-2以上3.0×10-1以下という高い値を有し得るものと考えられる。
なお、PFAの柔軟性を向上させるために共重合成分であるパーフルオロアルキルビニルエーテル(以下、「PAVE」とも称する。)の割合を増やす方法が知られているが、本発明者らの検討では、この方法で作製されるPFAを用いても、周波数10Hz、温度180℃における損失正接を、5.0×10-2以上3.0×10-1以下の範囲内にある離型層を得ることはできなかった。
以下に、本発明の定着部材及び定着装置について、具体的な構成に基づき詳細に説明する。
1.定着部材
図1(A)及び図1(B)は、各々本発明に係る定着部材の異なる態様を示す断面図である。図1(A)は、エンドレスベルト形状を有する定着部材(以下、「定着ベルト11」とも称する。)であり、図1(B)は、ローラ形状の定着部材(以下、「定着ローラ12」とも称する。)を示す。
図1(A)及び図1(B)に係る定着部材は、基材13と、その周囲を被覆してなる弾性層14と、その表面を被覆してなる離型層15とを有する。なお、離型層15は、弾性層14の周面に不図示の接着層で接着されていてもよい。
(1)基材
基材13の材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケルの如き金属及び合金、並びに、ポリイミドの如き耐熱性樹脂が用いられる。
定着ベルト11においては、基材13としては、エンドレスベルト形状を有する基材が用いられる。基材13材質としては、例えば、ニッケル、ステンレス、ポリイミドの如き耐熱性に優れるものが挙げられる。かかる基材13の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、強度、柔軟性、熱容量の観点から、20~100μmとすることが好ましい。
定着ローラ12においては、基材13としては、例えば、中実又は中空の芯金が用いられる。芯金の材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレスの如き金属又は合金が挙げられる。中空の芯金を用いる場合においては、内部に熱源を設けることが可能となる。
基材13の外面には、弾性層14との接着性を付与するために表面処理を施してもよい。表面処理には、ブラスト、ラップ、研磨の如き物理的処理、酸化処理、カップリング剤処理、プライマー処理の如き化学的処理を、一つ又は複数種類組み合わせて用いることが可能である。
基材13の表面に、シリコーンゴムを含む弾性層14を設ける場合には、基材13と弾性層14との接着性を向上させるために、基材13の表面に対してプライマー処理を施すことが好ましい。プライマー処理に用いるプライマーとしては、例えば、有機溶剤中に、シランカップリング剤、シリコーンポリマー、水素化メチルシロキサン、アルコキシシラン、反応促進触媒、ベンガラの如き着色剤が、適宜配合分散された塗料が挙げられる。
プライマーは、基材13の材質、弾性層14の種類又は架橋反応の形態によって適宜選択可能である。特に、弾性層14が不飽和脂肪族基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基との反応により接着性を付与するために、ヒドロシリル基を含有するプライマーが好適に用いられる。弾性層14がヒドロシリル基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基を含有するプライマーが好適に用いられる。プライマーとしてはそのほかにも、アルコキシ基を含有するものも挙げられる。プライマーは市販品を用いることができる。また、プライマー処理は、このプライマーを基材13の表面(弾性層14との接着面)に塗布し、乾燥又は焼成させる工程を含む。
(2)弾性層
弾性層14を構成する材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴムの如き耐熱性ゴムを用いることが好ましく、中でも付加硬化型のシリコーンゴムであることが好ましい。
弾性層14の厚さは、定着部材の表面硬度、及び、形成する定着ニップ部の幅を考慮して、適宜設計可能である。定着部材が定着ベルト11である場合には、弾性層14の厚みは、100μm以上500μm以下が好ましく、さらに好ましくは200μm以上400μm以下である。
また、定着部材が定着ローラ12である場合には、弾性層14の厚みは、100μm以上3mm以下が好ましく、さらに好ましくは300μm以上2mm以下である。弾性層14の厚みをこの範囲にすることで、定着部材を定着装置に組み込んだときに、基材13の変形により十分な定着ニップ部の幅が確保できる。
弾性層14はフィラーを含んでいてもよい。フィラーは、熱伝導性、耐熱性及び弾性率を制御するために添加するものである。具体的には、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、シリカ(SiO)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、酸化鉄(Fe)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、カーボンブラック(C)、炭素繊維(C)、カーボンナノチューブ(C)などが挙げられる。
また、弾性層14を構成する材料は反応開始時間を制御するためのインヒビターと呼ばれる反応制御剤(阻害剤)を配合してもよい。反応制御剤としては、メチルビニルテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイドの如き公知の物質が用いられる。
(3)離型層
離型層15は、PFAを含み、かつ、周波数10Hz、温度180℃における損失正接が、5.0×10-2以上3.0×10-1以下である。当該損失正接は、特には、7.0×10-2以上2.0×10-1以下であることが好ましい。前記したように、このような損失正接の値を示す離型層15は、外部から受けた力を散逸させ、一旦変形しても、容易に元の形状に復元する力が強いと考えられる。そのため、高い耐傷付き性を達成し得るものと考えられる。
そして、このような物性を備えた離型層15は、離型層15中のPFAのポリマー鎖の分子運動性を増加させることで達成することができる。すなわち、カーボンブラックの如き充填剤を離型層15に含有させなくとも、上記の物性を備えた離型層15とすることができる。そのため、上記の物性を示す離型層15においては、フッ素樹脂本来の高いトナー離型性を維持し得るものとなる。
<離型層の厚み>
離型層15の厚みとしては、定着部材の使用時の表面の摩耗の抑制の観点から、3μm以上、特には、10μm以上が好ましい。また、定着部材としての厚み方向の熱伝導性の低下の抑制の観点から、50μm以下、特には、30μm以下が好ましい。
上記物性を達成するためのPFAのポリマー鎖の分子運動性の増加は、PFAのポリマー鎖の分子運動性を増加させ得る限り、いかなる方法も用いることができる。例えば、離型層中に、含フッ素高分子化合物を、PFAのポリマー鎖と相互作用し得るように含有させることにより実現することができる。そして、このような離型層を備えた定着部材は、例えば、下記(工程1)~(工程4)を経て得ることができる。
(工程1)ペレット状のPFAを、含フッ素高分子化合物と撹拌混合して、混合物を得る。
(工程2)該混合物を、二軸押し出し機を用いて、PFAの融点(280℃)以上450℃以下の温度で溶融混練しつつ押し出して、PFA及び含フッ素高分子化合物の溶融混練物(以降、「溶融混練物」と称する。)を得る。
(工程3)溶融混練物をペレット化し、ペレットを押し出し成型機にてチューブ状に押し出し成型し、離型層用チューブを得る。
(工程4)基材上に形成してなる弾性層の外表面を、離型層用チューブで被覆する。
離型層の作製に係る(工程1)~(工程4)について、含フッ素高分子化合物としてPFPEを用いた方法を以下に詳細に述べる。
(工程1)
PFAのペレット及びPFPEを所定の量比にて、攪拌機中で撹拌、混合してPFA及びPFPEの混合物を得る。ここでの撹拌条件は特に限定されるものではないが、例えば加熱、特にPFAのガラス転移点(100℃)以上のPFA及びPFPEのポリマー鎖の運動性を高めた状態で撹拌、混合することが好ましい。また、PFAペレットをパウダー状に粉砕し、比表面積を高め、PFPEとの接触面積を高めた状態で混合することがより好ましい。
(工程2)
工程1で得られた混合物のペレットを二軸押出機に投入し、PFAの融点以上の温度、例えば、280℃以上450℃以下に加熱して、PFAを溶融させつつ、所定の条件で混練する。特に、PFAのポリマー鎖の運動性を高め、PFPEとの相互作用を高めるために330℃以上、さらに350℃以上で加熱することがより好ましい。また、熱分解を抑制するため、420℃以下で加熱することが好ましい。
また、効果的にせん断を加えるため、L/D(L:スクリュ長さ、D:スクリュ直径)は10以上100以下であることが好ましい。また、スクリュ回転数は100~1000rpmが好ましく、混練エレメント中に溝や切り欠きを設けたスクリュを用いることがより好ましい。
なお、工程2において、溶融状態のPFAにPFPEが混合された状態は、PFAのみが溶融している状態と比較して、溶融粘度が低い。そのため、押出の際の温度を、PFA単独の溶融物を押し出すよりも低く設定することが可能である。
また、得られた溶融混練物を二軸押出機で再度溶融混練することにより、PFAとPFPEの相互作用をさらに高めることもできる。
(工程3)
工程2で得られた溶融混練物を切断することでペレット化し、得られたペレットを押し出し成型機にてチューブ状に成型し、離型層用チューブを得る。
なお、弾性層と離型層は接着層によって接着されることがある。接着層としては、熱硬化型のシリコーンゴム接着剤が好適に用いられる。
また、離型層の周波数10Hz、測定温度180℃における貯蔵弾性率E’は5.0MPa以上60MPa以下であることが好ましく、10MPa以上30MPa以下であることがさらに好ましい。貯蔵弾性率E’を、上記数値範囲内とすることにより、離型層に十分な柔軟性を担持させることができる。その結果、紙の凹凸への追随性が良好となり、定着ムラのより一層の改善を図ることができる。そして、このような物性は、PFAのポリマー鎖と相互作用させる含フッ素高分子化合物としてPFPEを用いることによって達成可能である。
離型層の損失正接、及び貯蔵弾性率E’は、例えば、動的粘弾性測定装置(商品名:Rheogel E4000、株式会社ユービーエム製)を用いて測定することができる。
測定は、例えば以下の方法で行うことができる。
離型層と同じ組成の測定試料(厚み30~200μm、幅5mm、長さ20mm)を用意する。引張用治具に測定試料を装着し、チャック間距離10mm、周波数10Hz、振幅0.03mmの正弦波を用い、測定温度を30℃から250℃まで昇温速度5.0℃/分で昇温させ、温度180℃における値を算出する。
なお、測定試料は、離型層用のチューブから切り出して調製してもよく、また、定着部材から、離型層を弾性層と共に切り出し、弾性層を除去して調製してもよい。弾性層が、架橋シリコーンゴムを含む場合には、例えば、樹脂溶解剤(商品名:eソルブシリーズ、カネコ化学社製)を用いて、弾性層を除去することができる。
(工程4)
作製した離型層用チューブの内面を予めナトリウム処理、エキシマレーザ処理、アンモニア処理等することにより、表面を活性化し、接着性を向上させる。弾性層上に接着剤を塗布し、接着剤の外面に離型層用チューブを被覆し、積層する。被覆方法は特に限定されないが、接着材を潤滑剤として被覆する方法や、離型層用チューブを拡張し、被覆する方法を用いることができる。被覆後、余剰の接着剤を扱き出し、除去する。さらに、電気炉などの加熱手段によって接着剤を硬化、接着させ、必要に応じて端部を加工することで、本発明における定着部材を作製することができる。
<PFA>
PFAの例としては、例えば、パーフルオロメチルビニルエーテル(CF=CF-O-CF)、パーフルオロエチルビニルエーテル(CF=CF-O-CFCF)及びパーフルオロプロピルビニルエーテル(CF=CF-O-CFCFCF)から選択される少なくとも一つと、テトラフルオロエチレンとの共重合体が挙げられる。
PFA中におけるPAVEの含有割合としては、分子鎖中に1モル%以上5モル%以下が好ましく、特には、3モル%以上5モル%以下が好ましい。PFA中におけるPAVEの含有割合を、このような範囲とすることで、含フッ素高分子化合物との溶融混練時の樹脂粘度を下げることができ、含フッ素高分子化合物との相互作用を、より一層高めることができる。
PFAのメルトフローレート(MFR)は、離型層中における含フッ素高分子化合物の 分子運動の制御性の観点と、溶融混練時における含フッ素高分子化合物との相互作用を高める観点から、1.0g/10分以上10.0g/10分以下、特には、1.5g/10分以上3.0g/10分以下が好ましい。なお、PFAのMFRは、JIS K 7210-1:2014のA法に準じ、温度372℃で、5kgf荷重の条件下において、標準ダイを使用して測定した値である。
PFAとしては、市販のものを用いることができ、以下に具体例を挙げる。
・「451HP-J」「959HP-Plus」「350-J」「950HP-Plus」(いずれも商品名、三井・デュポンフロロケミカル社製)
・「P-66P」、「P-66PT」、「P-802UP」(いずれも商品名、AGC社製)
・「AP-230」「AP-231SH」等(いずれも商品名、ダイキン社製)
・「6502N」(商品名、スリーエム社製)
<PFPE>
含フッ素高分子化合物としては、例えば、パーフルオロポリエーテル(PFPE)を挙げることができる。
具体的には、例えば、下記構造式(1)で示される構造を有するPFPEが挙げられる。かかるPFPEの中でも、PFAの融点でオイル状となるPFPEが、特に好適に用いられる。
Figure 0007185559000001
構造式(1)中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ独立に0又は正の整数であり、1≦a+b+c+d+e+f≦600を満たし、a、b、c、及びdの少なくとも1つは正の整数である。
また、構造式(1)中の各繰り返し単位の存在順序は、構造式(1)における記載の順序に限定されるものではない。さらに、各繰り返し単位は、構造式(1)で表されるPFPE中の複数個所に存在しても良い。すなわち、構造式(1)で表されるPFPEはブロックコポリマーであってもよく、ランダムコポリマーであってもよい。
PFPEの分子量としては、PFAのポリマー鎖と、より良く相互作用させて、PFAのポリマー鎖の分子運動性を増加させる観点から、数平均分子量として、5,000以上、特には、7,000以上とすることが好ましく、100,000以下、特には、30,000以下とすることが好ましい。また、上記分子量のPFPEは耐熱性が高く、空気中、350℃で30分加熱しても重量減少は1%未満であり、溶融混練時における熱分解は極めて少ない。
含フッ素高分子化合物として、PFPEを用いる場合において、離型層中のPFPEの含有量は、PFA及びPFPEの合計量に対して、1質量%以上40質量%以下、特には、5質量%以上30質量%以下が好ましい。PFPEの含有量を上記の範囲内とすることにより、離型層の損失正接を、前記した数値範囲内に容易に調整することができる。
一般式(1)で示される構造に包含される構造を有するPFPEの具体例を以下に挙げる。
・構造式(2)で示される構造を有するPFPE(例えば、「Demnum S200」、「Demnum S100」(いずれも商品名;ダイキン社製)):
Figure 0007185559000002
構造式(2)中、nは、1以上の整数を表す。
・構造式(3)で表される構造を有するPFPE(例えば、「Krytox GPL107」、「Krytox GPL106」(いずれも商品名;ケマーズ社製)):
Figure 0007185559000003
構造式(3)中、nは、1以上の整数を表す。
・構造式(4)で表されるPFA(例えば、「Fomblin M60」、「Fomblin M30」(いずれも商品名、ソルベイ社製)):
Figure 0007185559000004
構造式(4)中、n及びmはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す。
2.熱定着装置
本発明の一態様に係る熱定着装置は、加熱用の回転体と、該加熱用の回転体と定着ニップ部を形成するように配置されてなる加圧用の回転体とを具備する。加熱用の回転体と加圧用の回転体との組み合わせの例としては、例えば、加熱ローラと該加熱ローラに対向配置されてなる弾性加圧ローラ、加熱フィルムと該加熱フィルムに当接配置された弾性加圧ローラ、加熱ベルトと該加熱ベルトに当接配置された弾性加圧ローラ、加熱ベルトと該加熱ベルトと当接配置された加圧ベルト、が挙げられる。
(1)定着ベルトを用いた定着装置
図2は、加熱用の定着ベルト11及び弾性加圧ローラ19を具備する熱定着装置の長手方向に直交する方向の断面図である。
定着ベルト11は、本発明の一態様に係る定着ベルトである。定着ベルト11はベルトガイド部材16にルーズに外嵌させてある。加圧用剛性ステイ18はベルトガイド部材16の内側に挿通してある。ベルトガイド部材16は、例えば、耐熱性・断熱性を有する樹脂によって形成されている。
ベルトガイド部材16と定着ベルト11の内面とが接触する位置に熱源としてのセラミックヒータ17を具備する。セラミックヒータ17はベルトガイド部材16の長手方向に沿って設けられている溝部に嵌入され、固定されている。セラミックヒータ17は、不図示の手段によって通電され発熱する。
弾性加圧ローラ19は、例えば、ステンレス製の芯金19aの周面に、硬化シリコーンゴムを含む弾性層19bが設けられている。また、弾性層19bの周面上に、フッ素樹脂を含む表層19cが設けられている。表層19cの厚さは、例えば、50μmである。
加圧用剛性ステイ18の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用剛性ステイ18に押し下げ力を付与している。これによってベルトガイド部材16の下面に配設したセラミックヒータ17の下面と弾性加圧ローラ19の上面とが定着ベルト11を挟んで圧接して所定の定着ニップ部Nが形成される。すなわち、セラミックヒータ17の下面は、定着ベルト11の内周面に接して配置されている。
この定着ニップ部Nに未定着トナーGによって画像が形成された、被加熱体となる記録媒体Pを搬送速度Vで挟持搬送させる。これにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色、その後、冷却されることによって記録媒体P上にトナー像が定着される。
(2)定着ローラを用いた熱定着装置
図3は、加熱用の定着ローラ12と、該定着ローラ12に対向配置された弾性加圧ローラ19と、定着ローラ12の加熱手段であるヒータ20と、を具備する熱定着装置の長手方向に直交する方向の断面図である。
定着ローラ12は、本発明の一態様に係る定着ローラである。定着ローラ12は基材13の外周面に弾性層14が形成され、さらにその外側に離型層15が形成されている。
定着ローラ12及び弾性加圧ローラ19は、不図示の加圧手段により、互いに回転可能に押圧されて、定着ニップ部Nが形成されている。
定着ローラ12及び弾性加圧ローラ19の内部には、未定着トナーGを溶融するために必要な熱を供給する、熱源としてのヒータ20が設置されている。ヒータ20としてはハロゲンヒータが一般に用いられる。搬送されてくる記録媒体Pのサイズに合わせて、複数のハロゲンヒータを内部に設置する場合もある。
定着ローラ12及び弾性加圧ローラ19は不図示の手段により基材13及び芯金19aの端部を通じて回転力が加えられ、定着ローラ12表面の移動速度が記録媒体Pの搬送速度Vと略等速となるように回転が制御されている。この際、回転力は、定着ローラ12及び弾性を有する弾性加圧ローラ19のどちらかに付与され、もう一方が従動により回転していても良いし、両方に回転力が付与されていても良い。
このように形成された定着装置の定着ニップ部Nに、未定着トナーGによって画像が形成された被加熱体となる記録媒体Pを挟持搬送させる。これにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色、その後、冷却されることによって記録媒体P上にトナー像が定着される。
3.画像形成装置
画像形成装置としては、電子写真方式を用いた複合機、コピー、ファックス、プリンタなどがある。ここではカラーレーザープリンタを例に用い、画像形成装置の全体構成について概略説明する。
図4は、本発明の一様態に係るレーザープリンタ40の概略断面図である。図4に示したレーザープリンタ40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に一定速度で回転する電子写真感光体ドラム39(以下、「感光体ドラム39」と称する。)を有する画像形成部を有する。また、画像形成部で現像され多重転写されたカラー画像を保持し、給送部から給送された記録媒体Pにさらに転写する中間転写体38を有する。
感光体ドラム39(39Y、39M、39C、39K)は、駆動手段(不図示)によって、図4に示すように反時計回りに回転駆動される。
感光体ドラム39の周囲には、その回転方向にしたがって、順に、感光体ドラム39表面を均一に帯電する帯電装置21(21Y、21M、21C、21K)、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム39上に静電潜像を形成するスキャナユニット22(22Y、22M、22C、22K)、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像ユニット23(23Y、23M、23C、23K)、感光体ドラム39上のトナー像を一次転写部T1で中間転写体38に転写させる一次転写ローラ24(24Y、24M、24C、24K)、転写後の感光体ドラム39表面に残った転写残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニット25(25Y、25M、25C、25K)が配置されている。
画像形成に際しては、ローラ26、27及び28に張架されたベルト状の中間転写体38が回転すると共に各感光体ドラム39に形成された各色トナー像が前記中間転写体38に重畳して一次転写されることでカラー画像が形成される。
前記中間転写体38への一次転写と同期するように搬送手段によって記録媒体Pが二次転写部T2へ搬送される。搬送手段は複数枚の記録媒体Pを収納した給送カセット29、給送ローラ30、分離パッド31、レジストローラ対32を有する。画像形成時には給送ローラ30が画像形成動作に応じて駆動回転し、給送カセット29内の記録媒体Pを一枚ずつ分離し、該レジストローラ対32によって画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部T2へ搬送する。
二次転写部T2には移動可能な二次転写ローラ33が配置されている。二次転写ローラ33は、略上下方向に移動可能である。そして、像転写に際して、二次転写ローラ33は記録媒体Pを介して中間転写体38に所定の圧で押しつけられる。この時同時に二次転写ローラ33にはバイアスが印加され中間転写体38上のトナー像は記録媒体Pに転写される。
中間転写体38と二次転写ローラ33とはそれぞれ駆動されているため、両者に挟まれた状態の記録媒体Pは、図4に示す左矢印方向に所定の搬送速度Vで搬送され、さらに搬送ベルト34により次工程である定着部35に搬送される。定着部35では熱及び圧力が印加されて転写トナー像が記録媒体Pに定着される。その記録媒体Pは排出ローラ対36によって装置上面の排出トレイ37上へ排出される。
そして、図2及び図3に例示した本発明の定着装置を、それぞれ図4に例示した電子写真画像形成装置の定着部35及び二次転写ローラ33に適用することにより、画像の均一性に優れた高品位な画像を提供可能な画像形成装置を得ることができる。
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<PFAの用意>
実施例に係る定着ベルトの離型層用のフッ素樹脂チューブ形成用の原料として、表1に記載のPFA及び表2に記載のPFPEを用いた。
Figure 0007185559000005
Figure 0007185559000006
(実施例1)
(離型層の作製)
分子鎖中にPAVEを1.2モル%含有するPFA-1及びPFPE-1を、PFA及びPFPEの合計質量に対するPFPEの質量の比(以下、「PFPE/(PFA+PFPE)」と称する。)が0.10となるように撹拌機中で混合・撹拌して、PFA及びPFPEの混合物を得た。
該混合物を二軸押出機に投入し、スクリュ直径:46mm、スクリュ回転数:180rpm、シリンダー温度:350℃~420℃の条件で混練を行った。押出した組成物を冷却、切断することにより、PFA/PFPEペレットを作製した。
作製したPFA/PFPEペレットを、スクリュ直径が40mmの単軸押出機に投入し、押出し速度:50g/分、シリンダー温度:320℃~370℃にて、PFA/PFPEペレットを溶融させつつ鉛直下方に向かってチューブ状に押し出しつつ、引張速度:3.0m/分にてチューブを引っ張ることにより、厚さ50μmの離型層用のフッ素樹脂チューブを作製した。なお、フッ素樹脂チューブの内径が30mmになるよう、マンドレルを調整した。
得られたフッ素樹脂チューブから測定サンプル1を採取し、前記した方法に従って、周波数10Hz、温度180℃における動的粘弾性(以下、「tanδ1」と称する。)を測定した。また、貯蔵弾性率E’についても、前記した方法に従って測定した。
さらに、得られたフッ素樹脂チューブから別途測定サンプル2を採取し、オーブン中で、温度180℃、200時間加熱した。加熱後の測定サンプル2について、前記した方法に従って、周波数10Hz、温度180℃における動的粘弾性(以下、「tanδ2」と称する。)を測定した。
(基材、弾性層の作製)
基材として、内径30mm、幅400mm、厚さ40μmのニッケル電鋳製のエンドレスベルト形状を有する基材を用意した。この基材の外周面にプライマー処理を施した。
弾性層形成のための原料として、フィラーを含まない付加硬化型の液状シリコーンゴム(商品名:SE1886、東レ・ダウコーニング株式会社製)を用意した。この液状シリコーンゴム61体積部に対して、球状フィラーとして、球状アルミナ(商品名:アルナビーズCB-A30S、昭和電工株式会社製)を38体積部、異形フィラーとして、気相法炭素繊維(商品名:VGCF-S、昭和電工株式会社製、アスペクト比=100、平均繊維長=10μm)を1体積部加えた。こうして、弾性層形成用の付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。これらを上記基材の外周面上にリングコート法を用いて塗布した後、温度200℃で4時間加熱して、付加硬化型シリコーンゴム組成物の層を架橋させて、厚さ300μmの弾性層を形成した。
該弾性層が形成された基材を、周方向に20mm/秒の移動速度で回転させながら、弾性層の表面からの離間距離が10mmの位置に配置した紫外線ランプを用いて、弾性層表面に大気雰囲気下で紫外線を照射した。紫外線ランプには、低圧水銀紫外線ランプ(商品名:GLQ500US/11、東芝ライテック社製)を用い、照射面における、185nmの波長の積算光量が800mJ/cmとなるように照射した。
(定着部材の作製)
次いで、弾性層の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV、東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。
次に、離型層として、上記で作製したフッ素樹脂チューブを被せ、該フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層とフッ素樹脂チューブの間から扱き出した。
そして、温度200℃に設定した電気炉に、弾性層及び該弾性層の周面にフッ素樹脂チューブを被覆してなる基材を入れ、1時間加熱して、接着剤を硬化させてフッ素樹脂チューブを弾性層上に接着し、両端を切断して、幅が343mmの定着ベルトを得た。この定着ベルトについて、後述のように耐傷付き性の評価(評価1)、離型層の表面自由エネルギーの測定(評価2)、及び電子写真画像における光沢ムラの評価(評価3)を行った。
(実施例2~9)
フッ素樹脂チューブの作製に用いるPFA種及びPFPE種を表3に示すように変えた以外は、実施例1に係るフッ素樹脂チューブと同様に各実施例に係るフッ素樹脂チューブを作製した(なお、PFA-2は分子鎖中にPAVEを4.3モル%含有する)。各フッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様に、tanδ1、貯蔵弾性率E’、及びtanδ2を測定した。
また、各実施例に係るフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1と同様に各実施例に係る定着ベルトを作製した。これらの定着ベルトを、後述の評価1、評価2及び評価3に供した。
(実施例10~13)
フッ素樹脂チューブの作製に用いたPFAとPFPEとの混合比率(PFPE/(PFA+PFPE))を表3に示すように変えた以外は、実施例4に係るフッ素樹脂チューブと同様に各実施例に係るフッ素樹脂チューブを作製した。各フッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様に、tanδ1、貯蔵弾性率E’、及びtanδ2を測定した。
また、各実施例に係るフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1と同様に各実施例に係る定着ベルトを作製した。これらの定着ベルトを、後述の評価1、評価2及び評価3に供した。
Figure 0007185559000007
続いて、作製した定着部材の評価を行った。
<評価1:耐傷付き性の評価>
搬送される紙が定着部材と接する際、紙端部のバリに起因する傷(紙コバ傷)が発生しやすく、紙コバ傷発生位置より幅の広い紙を使用した場合に画像不良が発生する。
このため、連続通紙耐久後の定着画像を観察することにより、耐傷性の評価を行った。実施例及び比較例で作製した定着部材を電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER-ADVANCE C5051、キヤノン株式会社製)に搭載し、ハンマーミル紙(International paper社製、坪量75g/m)を1000枚連続通紙した。その後、高グロス紙であるOKトップコート紙(王子製紙社製、157g/m)を用いてBkトナーの定着画像を、紙のほぼ全面に100%濃度で形成した。この定着画像を評価用画像とし、レターサイズ紙幅の画像レベルを目視で観察して、下記の基準に基づき画像影響を評価した。
ランクA:定着部材の離型層の傷に起因する画像欠陥が見られない。
ランクB:定着部材の離型層の傷に起因する光沢差が認められる。
ランクC:定着部材の離型層の傷に起因する、部分的にトナーの未定着部もしくは顕著な光沢差が認められる。
(評価2:離型層の表面自由エネルギーの測定)
離型層の表面自由エネルギーは、非特許文献1に記載されている「北崎・畑の方法」で算出することができる。すなわち、まず、水、n-ヘキサデカン、ジヨードメタンを標準液体として、定着ベルトの離型層の接触角を測定した(測定環境:温度23℃、相対湿度55%)。次いで、各接触角の測定結果を用いて、非特許文献1の第131ページの「2.Forks式の拡張」~「3.高分子固体の表面張力とその成分」の記載に従って、「拡張Fowkesの式」から表面自由エネルギーを求めた。
測定には接触角計(商品名:DM-501、協和界面科学製)を使用し、表面自由エネルギー解析には解析ソフトウェア(商品名:FAMAS、協和界面科学製)を使用した。
(評価3:電子写真画像における光沢ムラの評価)
ラフ紙上に存在する凹凸に対する定着部材の追従性を、ラフ紙上に形成された定着ベタ画像において、光沢ムラが見られるか否かによって評価した。
作製した定着部材を電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER-ADVANCE C5051、キヤノン株式会社製)に搭載し、A4サイズのラフ紙(商品名:Business4200、Xerox社製、厚さ102μm、坪量75g/m)に、シアントナーとマゼンタトナーの二次色からなる定着画像を、紙のほぼ全面に100%濃度で形成した。この定着画像を評価用画像とし、5名の被験者によって目視観察を行い、下記の基準に基づき評価した。
ランクA:光沢ムラが少ないと判断した者が4名以上。
ランクB:光沢ムラが少ないと判断した者が3名。
ランクC:光沢ムラが少ないと判断した者が2名以下。
実施例1~13に係るフッ素樹脂チューブの「tanδ1」、「tanδ2」、及び貯蔵弾性率E’並びに実施例1~13に係る定着ベルトの「評価1」、「評価2」、及び「評価3」の結果を表4に示す。
(比較例1)
PFPE-1を用いない以外は、実施例1と同様にフッ素樹脂チューブを作製した。このフッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様に、tanδ1、貯蔵弾性率E’、及びtanδ2を測定した。
また、このフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1と同様に定着ベルトを作製した。この定着ベルトを、評価1、評価2及び評価3に供した。
(比較例2)
PFPE-1を用いない以外は、実施例4と同様にフッ素樹脂チューブを作製した。このフッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様に、tanδ1、貯蔵弾性率E’、及びtanδ2を測定した。
また、このフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1と同様に定着ベルトを作製した。この定着ベルトを、評価1、評価2及び評価3に供した。
(比較例3)
分子鎖中のPAVEの含有量を高め9.8モル%としたPFA-3のペレットを特開2004-161921号公報に記載された方法で調製した。このペレットを用いた以外は、実施例1に係るフッ素樹脂チューブと同様にフッ素樹脂チューブを作製した。このフッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様に、tanδ1、貯蔵弾性率E’、及びtanδ2を測定した。
また、このフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1と同様に定着ベルトを作製した。この定着ベルトを、評価1、評価2及び評価3に供した。
(比較例4)
特開2003-82187号公報に記載された方法に従って、PFA-1にカーボンブラックを5.0重量%分散させたフッ素樹脂のペレットを調製した。このペレットを用いた以外は、実施例1に係るフッ素樹脂チューブと同様にフッ素樹脂チューブを作製した。このフッ素樹脂チューブについて、実施例1と同様に、tanδ1、貯蔵弾性率E’、及びtanδ2を測定した。
また、このフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例1と同様に定着ベルトを作製した。この定着ベルトを、評価1、評価2及び評価3に供した。
比較例1~4に係るフッ素樹脂チューブの「tanδ1」、「tanδ2」、及び貯蔵弾性率E’並びに比較例1~4に係る定着ベルトの「評価1」、「評価2」、及び「評価3」の結果を表4に示す。
Figure 0007185559000008
表4から、本態様に係る定着部材が、優れたトナー離型性と優れた耐傷付き性とを備え、その結果、高品位な電子写真画像を形成できることが分かった。
11 定着ベルト
12 定着ローラ
13 基材
14 弾性層
15 離型層
16 ベルトガイド部材
17 セラミックヒータ
18 加圧用剛性ステイ
19 弾性加圧ローラ
19a 芯金
19b 弾性層
19c 表層
20 ヒータ
21 帯電装置
22 スキャナユニット
23 現像ユニット
24 一次転写ローラ
25 クリーニングユニット
26 ローラ
27 ローラ
28 ローラ
29 給送カセット
30 給送ローラ
31 分離パッド
32 レジストローラ対
33 二次転写ローラ
34 搬送ベルト
35 定着部
36 排出ローラ対
37 排出トレイ
38 中間転写体
39 電子写真感光体ドラム(感光体ドラム)
40 レーザープリンタ
G 未定着トナー
N 定着ニップ部
P 記録媒体
V 搬送速度
T1 一次転写部
T2 二次転写部
Y イエロー
M マゼンタ
C シアン
K ブラック

Claims (12)

  1. 基材と、弾性層と、離型層と、をこの順に有する定着部材であって、
    該離型層は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含み、
    該離型層の周波数10Hz、180℃における損失正接が5.0×10-2以上3.0×10-1以下であることを特徴とする定着部材。
  2. 前記離型層がさらにパーフルオロポリエーテルを含む請求項1記載の定着部材。
  3. 前記パーフルオロポリエーテルが構造式(1)で示される構造を有する請求項2に記載の定着部材。
    Figure 0007185559000009
    [構造式(1)中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ独立に0又は正の整数であり、1≦a+b+c+d+e+f≦600を満たし、a、b、c、及びdの少なくとも1つは正の整数であり、
    構造式(1)中の各繰り返し単位の存在順序は、構造式(1)における記載の順序に限定されるものではなく、各繰り返し単位は、構造式(1)で表されるPFPE中の複数個所に存在しても良い。]
  4. 前記パーフルオロポリエーテルが、構造式(2)~(4)のいずれかの構造を有する請求項3に記載の定着部材。
    Figure 0007185559000010
    [構造式(2)中、nは、1以上の整数を表す。]
    Figure 0007185559000011
    [構造式(3)中、nは、1以上の整数を表す。]
    Figure 0007185559000012
    [構造式(4)中、n及びmはそれぞれ独立に、1以上の整数を表す。]
  5. 前記パーフルオロポリエーテルの含有量が前記テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及び前記パーフルオロポリエーテルの合計量に対して1質量%以上40質量%以下である請求項2~4のいずれか一項に記載の定着部材。
  6. 前記離型層の周波数10Hz、180℃における貯蔵弾性率E’が5.0MPa以上60MPa以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の定着部材。
  7. 前記離型層の周波数10Hz、180℃における損失正接が7.0×10-2以上3.0×10-1以下である請求項1~6のいずれか一項に記載の定着部材。
  8. 前記離型層の周波数10Hz、180℃における貯蔵弾性率E’が10MPa以上30MPa以下である請求項1~7のいずれか一項に記載の定着部材。
  9. 前記定着部材が、エンドレスベルト形状を有する定着ベルトである請求項1~8のいずれか一項に記載の定着部材。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の定着部材と、該定着部材の加熱手段と、を備えている定着装置。
  11. 前記定着部材が、エンドレスベルト形状を有する定着ベルトであり、前記加熱手段が、該定着ベルトの内周面に接して配置されているヒータである請求項10に記載の定着装置。
  12. 請求項10又は11に記載の定着装置を備えている電子写真画像形成装置。
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