JP2015206149A - ポリウレタン弾性繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
又、ステアリン酸金属塩とアミド系溶剤からなる分散液は、固形分濃度が10%以上の場合に分散直後でも粘度が高くなり、更に、保管中に分散液の流動性が低下し、粘度が上昇する等の粘度安定性が乏しい問題もあった。
このような粘度が上昇した脂肪酸金属塩組成物を使用したポリウレタン弾性繊維は、紙管に巻かれて保管されている状態で、経時的に紙管内層部の糸が、擬接着により、解除が困難となり、内層部の糸は使用できず破棄される問題があった。
また、ステアリン酸金属塩とポリカルボン酸系共重合化合物の組み合わせに関しても、細糸の高速紡糸時では糸キレが発生する問題があった。
(2)12−ヒドロキシステアリン酸金属塩とステアリン酸金属塩の重量部比(12−ヒドロキシステアリン酸金属塩/ステアリン酸金属塩)が98/2〜2/98であることを特徴とする上記1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(3)金属石鹸を構成する金属がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛およびバリウムからなる群から選ばれることを特徴とする上記1または2項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(4)ポリウレタン重合体100重量部に対し、ポリエーテル変性シリコーンを0.0001〜2重量部有していることを特徴とする上記1〜3項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(5)ポリウレタン重合体100重量部に対し、ポリカルボン酸系共重合化合物を0.0001〜2重量部有していることを特徴とする上記1〜4項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(6)ポリカルボン酸系共重合化合物が、ポリオキシアルキレン誘導体及び不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物で、主鎖にポリカルボン酸基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有する化合物であることを特徴とする上記5項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(7)アミド系溶剤、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩とステアリン酸金属塩とからなる金属石鹸、ポリエーテル変性シリコーン及びポリカルボン酸系共重合化合物を含むことを特徴とする上記1〜6項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維製造用金属石鹸組成物。
(8)アミド系溶剤がジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれた少なくとも1つのアミド系溶剤であって、金属石鹸100重量部に対するアミド系溶剤の含有量が100〜1000重量部であることを特徴とする上記8項に記載の金属石鹸組成物。
(9)乾式紡糸法によって紡糸されることを特徴とする上記1〜6項のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
(10)紡糸後に得られた糸を巻き取る際に、25℃における動粘度が5〜50センチストークスであるポリアルキルシロキサンと25℃における動粘度が30〜70センチストークスである鉱物油との比が100:0〜50:50であるオイル成分と、オイル成分100重量部に対して12−ヒドロキシステアリン酸金属塩及びステアリン酸金属塩からなる金属石鹸0.1〜10重量部、ポリカルボン酸系共重合物0.001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部とを含む繊維処理剤を糸に付着することを特徴とする上記9項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、ポリウレタン重合体100重量部に対し、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩及びステアリン酸金属塩からなる金属石鹸を0.001〜5重量部有していることを特徴とする。
従来からポリウレタン弾性繊維に多用されているステアリン酸マグネシウムは、そのステアリル基の極性が低い為、ポリウレタン重合体やそのアミド系溶剤との親和性が低い。
一方、本発明に用いる12−ヒドロキシステアリン金属塩は、その化学構造中に存在する水酸基によって、ステアリル基の極性が向上すると同時に、ステアリル残基に由来する低極性の基を併せ持つところに特徴がある。すなわち、12−ヒドロキシステアリル金属塩は、水酸基の存在により、ポリウレタン重合体及びアミド系溶剤のいずれに対しても親和性が良好になり、更に、ステアリル基の側鎖に水酸基を有する為これが立体障害となりステアリン酸金属塩の凝集を抑制する効果があると考える。すなわち、本発明に用いる12−ヒドロキシステアリン酸金属塩は、ポリウレタン、アミド系溶剤、ステアリン酸金属塩のいずれに対しても、親和性を有する為、ポリウレタン重合体のアミド系溶液中でのステアリン酸金属塩の凝集をも抑制する分散剤的役割を果たすと考えられる。
12−ヒドロキシステアリン酸金属塩とステアリン酸金属塩の重量部比が2/98より小さくても、98/2より大きくても、アミド系溶剤中の金属石鹸組成物の粘度安定性は低下する。さらにステアリン酸金属塩よりも12−ヒドロキシステアリン酸金属塩の方が高価である為、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩の配合比を少なく用いる方が、経済的な面でのメリットがある。12−ヒドロキシステアリン酸金属塩とステアリン酸金属塩の好ましい重量部比は70/30〜2/98である。さらに好ましくは、50/50〜5/95である。
本発明で用いうるポリエーテル変性シリコーンは、側鎖型ポリエーテル変性シリコーン及び/又は両末端型ポリエーテル変性シリコーンであり、これらの内から単独または数種類を組み合わせて使用してもよい。ポリエーテル変性シリコーンの好ましいHLB特性値は0〜17である。さらに好ましいHLB特性値は0〜15、特に好ましいHLB値は0〜8である。ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル基に由来する極性基とシリコーン基に由来する極性の低い基を合わせ持っている。分子中に極性基と非極性基を併せ持つ物質であるという点で、ポリエーテル変性シリコーンは12−ヒドロキシステアリン酸金属塩と共通しており、ポリエーテル変性シリコーンと12−ヒドロキシステアリン酸金属塩は相互に親和性を有し、併用することで、ステアリン酸金属塩に対して分散剤の役割を相乗的に発揮すると考えられる。
ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、ポリウレタン重合体100重量部に対し、0.0001〜2重量部が好ましく、さらに好ましくは0.0002〜1重量部である。0.0001重量部未満では本発明によって得られる上記効果が不十分であり、2重量部を超えると、繊維が滑りやすくなり、紙管に巻き取られた糸巻の巻姿形状が型崩れしやすくなる。
本発明で用いるポリカルボン酸系共重合化合物は、その構造中に、ポリエーテル基とカルボン酸基の両方を有していることが好ましく、親水性のあるポリエーテル基は、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩やアミド系溶剤との親和性が良好である。また、カルボン酸基は本発明に用いる金属石鹸のカルボニル基に対して親和性があり、ポリカルボン酸系共重合化合物も、ステアリン酸金属塩や12−ヒドロキシステアリン酸金属塩に対して、アミド系溶剤中で、分散剤的な効果を発揮すると考えられる。更にまた、上記のエーテル変性シリコーンを用いた場合の真空脱泡する際、気泡が消えにくい問題があるが、ポリカルボン酸系共重合化合物を併用することで大幅に改善できることが分かった。
上記のポリカルボン酸系共重合化合物は、本出願人による特開2012−193259号公報に詳細に記載されている。好ましいポリカルボン酸系共重合化合物の具体的な一例としては、日油株式会社製の商品名マリアリムAKM−0531、AFB−0561、AFB−1521、AAB−0851、AEM−3511、AWS−0851等があげられる。さらに好ましい化合物はAKM−0531、AAB−0851である。
ポリウレタン重合体100重量部に対し、ポリカルボン酸系共重合化合物の好ましい配合量は、ポリウレタン重合体100重量部に対し、0.0001〜2重量部であり、更に好ましくは0.0002〜1重量部である。0.0001重量部より少ない場合は効果が小さいし、2重量部より多く入れても効果は変わらず、経済的でない。
12−ヒドロキシステアリン酸金属塩とステアリン酸金属塩とからなる金属石鹸にポリエーテル変性シリコーンとポリカルボン酸系共重合化合物を併用する事により、金属石鹸をアミド系溶剤に均一分散した場合、分散溶液の低粘度化や貯蔵時の粘度経時変化の少ない分散溶液の製造が可能になり、ポリウレタン弾性繊維の製造工程でのフィルター通液安定性や細糸の高速紡糸の一層の紡糸安定化を可能にすることが分かった。
平均粒子径が1μm以下の小さな粒子の物は、再凝集し、大きな粒子になりやすく、フィルターや紡口で詰まりを起こしやすい。20μm以上の大きな粒子の物は、細糸の高速紡糸を行う際に、工程でのフィルター詰まりや糸キレを起こしやすい。更に好ましい平均粒子径は2〜10μmである。
更に、通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス安定剤、着色剤、艶消し剤、充填剤等も併用してもよい。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、紙管に巻きとられた糸巻形状が型崩れせずに良好である。本発明のポリウレタン弾性繊維は加工特性が良好であるため、得られる生地の品位は均一で商品価値も高い。
(1)<粘度の測定法>
東機産業株式会社製TVE−20H型 E型粘度計を用いて25℃の雰囲気下で測定した。
あらかじめジメチルアセトアミド溶剤中でスラリー状に均一分散した金属石鹸の溶液を用いて、ジメチルアセトアミド溶媒を用いたベックマン・コールター株式会社製LS13―320型粒度分布測定装置にて、サンプル液を数滴滴下し、この装置の適正な測定可能濃度に調整した後、体積統計値基準での測定値から平均粒径を求めた。
ポリウレタン弾性繊維用紡糸原液を減圧脱泡した後、紡口フィルターとして400メッシュの金網フィルターを用いて、紡糸ノズル(口金は4個又は2個の細孔を有す)の細孔から熱風中210℃に押しだして溶剤を蒸発させた。乾燥された糸条をリング仮撚り機に通過する過程で仮撚りし、ゴッデトローラを経てオイリングローラ上でポリアルキルシロキサン、鉱物油を主成分とする油剤成分をポリウレタン弾性繊維に対して5重量%付着させて、毎分1020m/分の速度で、22デシテックス/2フィラメント及び44デシテックス/4フィラメント(単糸繊度11デシテックス)のポリウレタン弾性繊維500gを各々紙管に巻き取った。製造した糸の強伸度物性及び残留溶剤はポリウレタン弾性繊維として適性の範囲内であった。この弾性繊維を用いて各種評価を行った。
22デシテックス/2フィラメントの弾性繊維を、引張試験機オリエンテック(株)製UTM−III−100型を用いて測定した。引張試験機にサンプルを掴み間隔50mmでセットし、引張速度500mm/min、温度20℃、湿度65%RHの条件下で測定した。
22デシテックス/2フィラメント紡糸時の24時間の紡糸中に起こった糸切れ回数で評価した。また濾材として400メッシュの金網フィルターを用いた時の、24時間後の吐出圧の上昇(kgf/cm2)を吐出圧上昇率として求めた。
毎分1020m/分の速度で、22デシテックス/2フィラメント(単糸繊度11デシテックス)のポリウレタン弾性繊維500gを紙管に巻き取った。この紙管に巻きとられた糸の巻姿の状態を、以下の評価基準に従って5人の目視判定で総合評価した。
○:紙管上の糸の巻姿が整っていて美しい。
△:紙管上の糸の巻姿がやや崩れ始めている。
×:紙管上の糸の巻姿が大いに崩れて美しくない。
44デシテックス/4フィラメントポリウレタン弾性繊維を45℃、65%RHの雰囲気にて30日間放置後、紙管を梨地ローラー上に置き、ローラーを回転させながら、ローラー表面速度40m/分で、弾性繊維を送り出す。送り出された弾性繊維を50cm離れた所に設置された同じ径の梨地ローラー上に巻き取る。巻き取るローラー上の表面速度を80m/分から徐々に低下させて、送り出すローラー上の紙管に弾性繊維が紙管にからみついて逆巻きし、弾性繊維が切断されて送り出されなくなった時点の速度Sm/分を測定する。Sm/分の値が小さいほど紙管から弾性糸の糸離れが良いことを示し、これを解除性が良好と判断する。
しかし、逆にあまりに糸離れが良すぎると、紙管に巻かれたポリウレタン弾性繊維を運搬する時に、紙管に巻かれた弾性繊維の外層が糸落ちし易く、取り扱い上の問題となるので、適正な範囲が存在する。本測定において、好ましい紙管外層の弾性繊維のS(以下SOと表す)は、SO=45〜55m/分、紙管内層の弾性繊維のS(以下SIと表す)は、SI=50〜65m/分である。SIおよびSOがこの範囲に入っているか否かで判断する。SI、SOのいずれかの値がこの範囲をはずれ、値が小さいと運搬時や整経工程で、糸落ちし易く、逆に値が大きいと紙管への逆巻きや糸切れが頻発する場合があり、問題となる。
引張試験機オリエンテック(株)製UTM−III−100型を用いた。温度20℃、湿度65%RHの条件下で以下の方法で測定した。22デシテックス/2フィラメントのフィラメントを2つの単糸に手で引き裂いて分ける。その各々のフィラメントを、上下のチャックに別々に股を引き裂くようにセットした後に、強伸度測定と同じ方法で応力測定を開始する。
単糸を引き裂くように測定すると強く合着している部分は応力が高く、合着が弱い部分は低い値を示す。変動幅が小さく、かつ、平均値応力が大きい値を示すポリウレタン弾性繊維は、フィラメントの合着性が強く良好であると判断できる。
図2に測定結果の一例を示す。図2に示したように、測定チャートより応力の平均値と変動幅を求める。測定スタート時をベースラインとして平均値応力(a)が大きく、変動幅(b)が小さければ、ポリウレタン弾性繊維は、フィラメントの合着性が強く良好であると判断できる。図2において、(1)は合着性が良好な例であり、(2)は合着性が不良な例である。
44デシテックス/4フィラメントの弾性繊維を、25℃、65%RHの雰囲気で30日間放置後、図1の装置を用いて評価した。図1において、1は試験糸、2は送り出しローラー、3はテンションメーター、4は編み針、5は巻き取り部、6は巻き取りローラー、7は試験糸走行糸状であり、8は編み針にかかる糸状がなす角度で29°である。試験糸を、送り速度100m/分、巻き取り速度200m/分の延伸倍率2倍で走行させ、編み針通過前後の試験糸の糸条の走行応力とその応力変動を測定した。図3は測定結果の一例であり、T1、T2は、それぞれ、編み針通過後の走行応力の中心値(g)、編み針通過前の走行応力の中心値(g)である。摩擦係数μdは下記式(1)で与えられる。
μd=Ln(T1/T2)/2.6376・・・式(1)
摩擦係数μdは、値が小さい程、摩擦が小さく良好である。
44デシテックス/4フィラメントの弾性繊維588本をリバー社製の弾性糸用整経機に取り付け、弾性繊維送り出し速度150m/分、ビーム巻き取り速度300m/分にて整経し、1ビームあたり弾性繊維重量で14.7kgを16ビーム整経した。このように整経したポリウレタン弾性繊維をバックの試験糸とし、ナイロン66加工糸44デシテックス/34フィラメントをフロントとしドラフト率80%で整経し、下記条件のハーフ生地編成条件で編成した。
<編成条件>
編機:36ゲージ/インチ カールマイヤー社製 トリコット編機
組織:フロント 10/23、バック 12/10
ランナー長:フロント120cm/480コース
バック77.6cm/480コース
機上コース:100コース/インチ
この編成工程で15kg/1反の条件で20反編んだ。
得られた経編生機を、90℃で1分間精錬し、プレセットとしてテンター仕上げ機を用いて熱処理条件として温度190℃、時間60秒で処理した。次いで、液流染色機を用いて100℃×60分の条件で染色した。ファイナルセットとして、テンター仕上げ機を用いて、熱処理条件180℃×45秒で処理して、経編地の染上げ反を得た。試験糸とナイロン糸を交編させて得られた経編地の生地品位を、以下の評価基準に従って5人の目視判定で総合評価した。
◎:経筋がほとんどなく大変美しい。
○:経筋が目立たず美しい。
△:経筋が僅かに目視される。
×:経筋が多く、美しくない。
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール166.6重量部および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート31.2重量部を、窒素ガス気流中95℃において80分間攪拌しつつ反応させて、両末端がイソシアネート基残有のプレポリマーを得た。ついで、これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミド270重量部を加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
一方、エチレンジアミン2.34重量部およびジエチルアミン0.37重量部をジメチルアセトアミド157重量部に溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温で添加して、粘度2050ポイズ(30℃)のポリウレタン重合体溶液を得た。こうして得られた粘調なポリマー溶液に、ポリウレタン重合体のポリマー固形物換算として、1,3,5−トリス(4−ターシャルブチル−3−ヒドロキシ−2、6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(商品名CYANOX1790)1.5重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール0.5重量%を加えて紡糸用原液(A)を作成した。
ステアリン酸マグネシウム(26.25Kg)と12―ヒドロキシステアリン酸マグネシウム(11.25Kg)をジメチルアセトアミド溶剤(212.5Kg)に加えた溶液を10分間撹拌混合して15重量%溶液とした。この溶液を、0.5mmのジルコニアビーズの入った湿式ビーズミル(アシザワ・ファインテク株式会社製 商品名スターミル LME−20型)を用いて、2パス相当の循環時間の処理を行い、分散液を作成した。この分散液を粒度分布計で測定した結果、平均粒子径は、1.3μmであった。
ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製 T.K.ROBO MICS)をセットした2L分散用ビーカーにステアリン酸マグネシウム245.0g、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム105.0g、ジメチルアセトアミド650.0gを投入し、固形分濃度が35重量%の金属石鹸のジメチルアセトアミド溶液とした。更に信越化学工業株式会社製商品名X−22−4952を30.0g、日油株式会社 商品名マリアリムAKM−0531を10.0g添加した。この液を、ホモミキサーで高速撹拌しながら、室温から90℃に加熱昇温後、撹拌しながら室温までゆっくり冷却し分散液を製造した。この分散液を粒度分布計にて測定した結果、平均粒子径は1.8μmであった。製造直後の分散液の粘度は90mPa・sであった。50℃で10日間静置した後の粘度は100mPa・sで流動性もあり且つ粘度の変化も小さく安定であった。その粒度分布は同一組成を湿式ビーズミルを用いて分散したものと比較して、粒子の小さいものが少なく、狭い分布を示していた。
参考例2と同様の方法で、表1に記載した分散液組成物を、金属石鹸が15重量%の分散溶液になるようにして、更に、組成によっては、同時に変性シリコーン及び又はポリカルボン酸系共重合化合物を表1記載の所定量加えて、湿式ビーズミル処理し分散液を作成した。得られた分散液の作製直後の粘度及び50℃10日間放置後の粘度を測定した結果を表1に記載した。
次いで、得られた各分散液を参考例1で作成した紡糸用原液(A)に添加し、均一に混合し、各紡糸原液を作成した。但し、添加量はポリウレタン重合体100重量部に対する表1記載の組成になるように調整した。
得られた各紡糸原液を用いて、上記の<ポリウレタン弾性繊維の紡糸方法>に従って、ポリウレタン弾性繊維を製造し、得られた糸を用いて各種評価を行った結果を表2に記載した。
参考例1で作成した紡糸用原液(A)を用いて、上記の<ポリウレタン弾性繊維の紡糸方法>に従って、22デシテックス/2フィラメント及び44デシテックス/4フィラメントのポリウレタン弾性繊維を製造し、各々紙管に巻きとる前に、ポリウレタン弾性繊維100重量部に対し、表3記載の各繊維処理剤組成物5重量部をノズルオイリング装置で均一に付着させた後に、ポリウレタン弾性繊維を各500g巻き取った。得られた糸を用いて各種評価を行った結果を表4に記載した。
2 送り出しローラー
3 テンションメーター
4 編み針
5 巻き取り部
6 巻き取りローラー
7 試験糸走行糸条
8 編み針にかかる糸条がなす角度=29°
Claims (10)
- ポリウレタン重合体100重量部に対し、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩及びステアリン酸金属塩からなる金属石鹸を0.001〜5重量部有していることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
- 12−ヒドロキシステアリン酸金属塩とステアリン酸金属塩の重量部比(12−ヒドロキシステアリン酸金属塩/ステアリン酸金属塩)が98/2〜2/98であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 金属石鹸を構成する金属がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛およびバリウムからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリウレタン重合体100重量部に対し、ポリエーテル変性シリコーンを0.0001〜2重量部有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリウレタン重合体100重量部に対し、ポリカルボン酸系共重合化合物を0.0001〜2重量部有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリカルボン酸系共重合化合物が、ポリオキシアルキレン誘導体と不飽和カルボン酸化合物との共重合化合物で、主鎖にポリカルボン酸基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン基を有する化合物であることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタン弾性繊維。
- アミド系溶剤、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩及びステアリン酸金属塩とからなる金属石鹸、ポリエーテル変性シリコーン及びポリカルボン酸系共重合化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維製造用金属石鹸組成物。
- アミド系溶剤がジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれた少なくとも1つのアミド系溶剤であって、金属石鹸100重量部に対するアミド系溶剤の含有量が100〜1000重量部であることを特徴とする請求項7に記載の金属石鹸組成物。
- 乾式紡糸法によって紡糸されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
- 紡糸後に得られた糸を巻き取る際に、25℃における動粘度が5〜50センチストークスであるポリアルキルシロキサンと25℃における動粘度が30〜70センチストークスである鉱物油との比が100:0〜50:50であるオイル成分と、該オイル成分100重量部に対して12−ヒドロキシステアリン酸金属塩及びステアリン酸金属塩からなる金属石鹸0.1〜10重量部、ポリカルボン酸系共重合物0.001〜5重量部及びポリエーテル変性シリコーン0.00001〜5重量部とを含む繊維処理剤を糸に付着することを特徴とする請求項9に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
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