JP6965031B2 - 合成繊維用処理剤及びその用途 - Google Patents
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Description
しかしながら従来の合成繊維用処理剤の水性液濃度を高くすると、得られた糸の品質が低下していた。
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の透過率が98%以上100%以下であると好ましい。
下記成分(C)、下記成分(D)及び下記成分(E)をさらに含むと好ましい。
成分(C):脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C2)、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C3)、分子内に芳香環を有する芳香族エステル化合物(C4)、含硫黄エステル化合物(C5)、鉱物油(C6)及びポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)から選ばれる少なくとも1種
成分(D):重量平均分子量100〜3000のアルキレンオキサイド付加物
成分(E):芳香族アルコール、脂肪酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族スルホン酸塩及び脂肪族アミド化合物から選ばれる少なくとも1種
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%及び90重量%の各水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm2/sを示すと好ましい。
本発明の合成繊維フィラメント糸条の製造方法は、上記合成繊維処理剤の水性液を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付与する工程を含む。
本発明の合成繊維用処理剤は、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm2/sを示す。
ここで、処理剤の不揮発分の濃度が40重量%の水性液とは、処理剤の不揮発分40重量部に対して、水60重量部からなる水性液を意味する。また、本明細書中不揮発分とは、処理剤を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%の水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm2/sを示すと好ましく、処理剤の不揮発分の濃度が90重量%の水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm2/sを示すとさらに好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50mm2/s未満では、集束性が不足するために糸品質が低下し、100mm2/sを超えると、濡れ性が不足するために糸品質が低下する。
本発明の合成繊維用処理剤は、処理剤の不揮発分の濃度が70〜90重量%の水性液及び不揮発分の30℃における動粘度が、50〜100mm2/sを示すと好ましく、50〜90mm2/sを示すとより好ましく、50〜80mm2/sを示すと特に好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が80重量%の水性液が、50℃における動粘度が15〜45mm2/sを示すと好ましく、処理剤の不揮発分の濃度が90重量%の水性液が、50℃における動粘度が15〜45mm2/sを示すとさらに好ましい。
処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の50℃における動粘度が15mm2/s未満では、集束性が不足するために糸品質が低下することがあり、45mm2/sを超えると、濡れ性が不足するために糸品質が低下することがある。
ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)(以下、ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)を成分(A)ということがある。)は、脂肪族一価アルコールに対し、アルキレンオキシドを付加した構造を有する成分である。
ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)は、本発明の合成繊維用処理剤に必須に含有され、透過率を向上させる役割を担っている。
糸品質を向上させる観点から、成分(A)を構成する脂肪族アルキル基の炭素数は、1〜22が好ましく、4〜20がより好ましく、6〜18がさらに好ましい。
成分(A)を構成する脂肪族アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、透過率を向上させることで処理剤の糸への付着の均一性が向上し、糸品質を向上させる観点から、分岐鎖が好ましい。
脂肪族一価アルコールに対し、アルキレンオキシドを付加した構造としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム付加物又はブロック付加物が挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数としては、本願発明の効果を発揮する観点から、1モル〜20モルが好ましく、2モル〜17モルがより好ましく、3モル〜14モルがさらに好ましい。アルキレンオキシドの付加モル数が3未満であると水性液が懸濁することで均一付着性が低下し糸品質が低下する可能性があり、14モルを越えると水性液が懸濁するだけでなく、摩擦が高くなり毛羽、断糸が多く発生する可能性がある。
なお、上記EO(8)は、ポリオキシエチレン(8モル)を意味し、上記PO(3)は、ポリオキシプロピレン(3モル)を意味し、上記PO(3)/EO(8)は、ポリオキシプロピレン(3モル)及びポリオキシエチレン(8モル)のランダム付加を意味する。
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)は、ポリアルキレングリコールと、脂肪酸とがエステル結合した構造からなる成分である。ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)は、本発明の合成繊維処理剤において、毛羽発生の抑制の役割を担っている。
本発明の合成繊維用処理剤は、成分(C)を含むと、平滑性向上により糸品質が向上するため、好ましい。
成分(C)は、脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C2)、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C3)、分子内に芳香環を有する芳香族エステル化合物(C4)、含硫黄エステル化合物(C5)、鉱物油(C6)及びポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)は、炭素数4〜24の一価脂肪酸と炭素数4〜24の一価脂肪族アルコールとのエステルである。
炭素数4〜24までの脂肪酸としては、酪酸、クロトン酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソセチル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、イソエイコサ酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、ドコサン酸、イソドコサン酸、エルカ酸、テトラコサン酸、イソテトラコサン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
これらの中でも、本願効果が発揮され易い観点から、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸などの炭素数C16以下の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸などの不飽和脂肪酸、イソセチル酸、イソステアリン酸、イソエイコサ酸、イソドコサン酸、イソテトラコサン酸などの分岐鎖脂肪酸が好ましい。
化合物(C2)は、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物である。
化合物(C2)は、炭素数2〜6の脂肪族2価アルコール又は、炭素数3又は4の脂肪族3価アルコール又は、炭素数5の脂肪族4価アルコールと、炭素数4〜24の脂肪酸とのエステルである。また分子内にポリオキシアルキレン基を有しない化合物である。
炭素数3又は4の脂肪族3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
炭素数5の脂肪族4価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
化合物(C3)は、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有する化合物である。
脂肪族多価カルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらの中でも、アコニット酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が好ましく、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸がより好ましい。
化合物(C4)は、分子内に少なくとも1つの芳香環を有するエステル化合物である。詳細には、芳香族カルボン酸とアルコールとがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C4−1)、芳香族アルコールとカルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C4−2)を挙げることができる。また、化合物(C4)は、分子内にポリオキシアルキレン基を有しない化合物である。化合物(C4)は、1種又は2種以上を使用できる。
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、トリメリット、ピロメリット酸等が挙げられる。これらの中でも、トリメリット酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、トリメリット酸がさらに好ましい。
多価アルコールとしては、化合物(C2)で説明した脂肪族多価アルコールやエステル化合物(C4−2)で説明する芳香族多価アルコール等を挙げることができる。
芳香族アルコールとしては、アルキルベンゼンアルコール等の芳香族1価アルコール、ジアルキルベンゼンアルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族多価アルコール等を挙げることができる。これらの中でもビスフェノールA、ビスフェノールZ、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが好ましく、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンがより好ましい。
多価のカルボン酸としては、エステル化合物(C3)で説明した脂肪族多価カルボン酸や、エステル化合物(C4−1)で説明した芳香族多価カルボン酸等を挙げることができる。
化合物(C5)は、含硫黄エステル化合物であり、チオジプロピオン酸と脂肪族アルコールとのジエステル化合物及びチオジプロピオン酸と脂肪族アルコールとのモノエステル化合物から選ばれる少なくとも1種である。
含硫黄エステル化合物は、抗酸化能を有する成分である。該含硫黄エステル化合物を使用することで、処理剤の耐熱性を高めることができる。含硫黄エステル化合物は、1種又は2種以上を使用できる。該含硫黄エステル化合物を構成するチオジプロピオン酸の分子量は、400〜1000が好ましく、500〜900がより好ましく、600〜800がさらに好ましい。該含硫黄エステル化合物を構成する脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。また、脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分岐構造を有していてもよいが、分岐構造を有するものが好ましい。脂肪族アルコールの炭素数は8〜24が好ましく、12〜24がより好ましく、16〜24がさらに好ましい。脂肪族アルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、オレイルアルコールおよびイソステアリルアルコールなどが挙げられ、これらの中でもオレイルアルコール、イソステアリルアルコールが好ましい。
また、本発明の合成繊維用処理剤は、上記以外の平滑成分として、鉱物油を含有してもよい。ここでいう鉱物油は処理剤を希釈するために用いる低粘度希釈剤ではなく、不揮発分に含まれる。鉱物油としては、特に限定はないが、マシン油、スピンドル油、流動パラフィン等を挙げることができる。鉱物油は、1種又は2種以上を使用してもよい。鉱物油の30℃における粘度は、100〜500秒が好ましい。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)は、ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとがエステル結合した構造を有するエステル化合物である。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸は、脂肪酸の炭化水素基に酸素原子を介してポリオキシアルキレン基が結合した構造を有し、ポリオキシアルキレン基の脂肪酸の炭化水素基と結合していない片末端が水酸基となっている。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)としては、例えば、炭素数6〜22(好ましくは16〜20)のヒドロキシ脂肪酸と多価アルコールとのエステル化物のアルキレンオキシド付加物を挙げることができる。
2種類以上のアルキレンオキシドを付加する場合、それらの付加順序は特に限定されるものでなく、付加形態はブロック状、ランダム状のいずれでもよい。アルキレンオキシドの付加は公知の方法により行うことができるが、塩基性触媒の存在下にて行うことが一般的である。
ポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)としては、例えば、硬化ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ヒマシ油エチレンオキシド付加物等が挙げられる。
本発明の合成繊維用処理剤は、成分(D)を含むと、油膜強度が向上することで糸の損傷を防ぎ、糸品質向上するために、好ましい。
成分(D)は、重量平均分子量100〜3000のアルキレンオキサイド付加物である。成分(D)は、アルキル基を含まない。アルキレンオキシド付加物の分子量としては、本願発明の効果を発揮する観点から、100〜3000が好ましく、500〜2500がより好ましく、1000〜2000がさらに好ましい。アルキレンオキシドの分子量が1000未満であると油膜強度が不足することにより製糸性が悪化する可能性があり、2000を越えると摩擦が高くなりすぎることにより製糸性が悪化する可能性がある。
成分(D)としては、ポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイドのブロック付加物及びランダム付加物のいずれでもよいが、本願効果を発揮する観点から、ポリプロピレンオキサイド比率よりポリエチレンオキサイド比率の高い付加物の方が好ましい。
本発明の合成繊維用処理剤は、成分(E)を含むと、制電性が向上するため、好ましい。成分(E)は、芳香族アルコール、脂肪酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族スルホン酸塩及び脂肪族アマイド化合物から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪族リン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルホスフェートカリウム、ポリオキシエチレンオレイルホスフェートカリウム等の脂肪族リン酸塩が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、ポリオキシエチレンイソドデシルホスフェートカリウム塩、イソトリデシルホスフェートカリウム塩が好ましい。
脂肪族アミド化合物としては、オクタンアミド、ノナンアミド、デカンアミド、ウンデカンアミド、ドデカンアミド、トリデカンアミド、テトラデカンアミド、ヘキサデカンアミド、オクタデカンアミド、N−メチロールステアリルアミド等が挙げられ、本願効果を発揮する観点から、ポリオキシエチレンラウリルアミドが好ましい。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(B)の重量割合は5〜25重量%であり、7〜20重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。5重量%未満では、断糸の発生を低減できず製糸性が悪化する。25重量%を超えると処理剤の水性液の透過率が低下または懸濁することで均一付着が低下するため、糸品質が低下する。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(D)の重量割合が5〜30重量%が好ましく、10〜25重量%がより好ましく、10〜15重量%がさらに好ましい。5重量%未満では、油膜強度が不足することにより製糸性が悪化することがあり、30重量%超では水性液が懸濁することで均一付着が低下するためことがある。
処理剤の不揮発分に占める前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、10〜15重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、制電性不足することにより製糸性が悪化することがあり、20重量%超では水性液が懸濁することで均一付着が低下するため、糸品質が低下することがある。
本発明の合成繊維フィラメント糸条は、本発明の合成繊維用処理剤を(原料)合成繊維フィラメント糸状に付着させたものであり、本発明の合成繊維フィラメント糸条の製造方法は、原料合成繊維フィラメント糸条に、本発明の合成繊維用処理剤を付与する工程を含むものである。処理剤が付与された後、熱ローラーにより延伸、熱セットが行われ、巻き取られる。合成繊維用処理剤の不揮発分の付着量は、(原料)合成繊維フィラメントに対して、0.3〜1.5重量%が好ましく、0.5〜1.2重量%がより好ましく、0.7〜1.0重量%がさらに好ましい。
本発明の合成繊維フィラメント糸条の製造方法は、上記合成繊維用処理剤の水性液を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付与する工程を含む。
(原料)合成繊維フィラメントに本発明の合成繊維用処理剤を付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用することできる。通常、合成繊維フィラメントの紡糸工程または延伸工程で付与され、(原料)合成繊維フィラメントに対して、水中に不揮発分を乳化した水系水性液の処理剤をローラーオイリング、ガイドオイリング等で給油する方法等が挙げられる。
表1に記載の合成繊維処理剤の不揮発分50部とイオン交換水50部を均一混合して、濃度50%の合成繊維用処理剤水性液を調製した。
(実施例2〜10、比較例1〜7)
実施例1と同様にして、表1に記載の濃度となるように、合成繊維用処理剤水性液を調製した。
固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後、走行糸条に前記の合成繊維用処理剤水性液を計量ポンプを用いたガイド給油法にて、走行糸条に対し合成繊維用処理剤として1.0%となるよう付着させた後、ガイドで集束させて、90℃に加熱した引取りローラーにより3000m/分の速度で引き取り、ついで引き取りローラーと6000m/分の速度で回転する120℃に加熱した延伸ローラーとの間で2倍に延伸し、83.3デシテックス(75デニール)36フィラメントのポリエステル繊維を製造した。
キャノンフェンスケ法により30℃及び50℃の動粘度(単位:mm2/s)を測定した。
実施例及び比較例で調製された合成繊維用処理剤の透過率は、(株)日立製作所製分光光度計U−1900Spectrophotometerにて測定した。測定条件は、波長670nm、測定温度25℃に規定した。透過率95%以上であれば、合成繊維用処理剤としての均一性及び安定性が発揮され易い。最も好ましい透過率は100%である。
製造したポリエステル繊維を2g精秤し、n−ヘキサン/エタノール=7/3(容量比)の混合溶液10mlで抽出処理し、抽出液を精秤したアルミトレイ上にて100℃で5分間乾燥した後、質量を測定し、下記の数1にて油剤付着量を求めた。
油剤の付着量(%)=((B−A)/S)×100
A:アルミトレイの重さ
B:抽出された油剤を含むアルミトレイの重さ
S:抽出に用いた繊維の重さ
ポリエステル繊維の製造時の糸1トン当たりの糸切れ回数を10回測定し、その平均値を次の基準で評価した。◎及び○を合格とした。
◎:糸切れ回数が0.5回未満
○:糸切れ回数が0.5回〜1.0回未満
△:糸切れ回数が1.0回〜2.0回未満
×:糸切れ回数が2.0回以上
製造したポリエステル繊維のウースター斑U%を、ウースター(USTER)社製のウースターテスター(USTER TESTER)UT−5を使用して、糸速度200m/分で評価した。同様の評価を5回行ない、各回の結果から、次の基準で評価した。◎及び○を合格とした。
◎:5回全てにおいてウースター斑U%が1.0以下である
○:5回のうちで1回、ウースター斑U%が1.0以上である
△:5回のうちで2回、ウースター斑U%が1.0以上である
×:5回のうちで3回以上、ウースター斑U%が1.0以上である
製造したポリエステル繊維から、筒編み機で直径70mm、長さ1.2mの編地を作製した。この編地を分散染料(日本化薬社製の商品名カヤロンポリエステルブルーEBL−E)を用いて高圧染色法により染色した。染色した編地を常法に従い水洗し、還元洗浄し、乾燥した後、直径70mm、長さ1.0mの鉄製の筒に装着して、編地表面の濃染部分を肉眼で観察し、その点数を数えて評価した。同様の評価を5回行ない、各回で数えた濃染部分の点数の平均値を次の基準で評価した。◎及び○を合格とした。
◎:濃染部分がない
○:濃染部分が1〜2点ある
△:濃染部分が3〜6点ある
×:濃染部分が7点以上ある
A−1 セカンダリーアルキルアルコール(C12−14)にEO7モルランダム付加した化合物
A−2 アルキルアルコール(C12、13)にPO3モルEO8モルランダム付加した化合物
A−3 ステアリルアルコールにPO8モルEO8モルランダム付加した化合物
A−4 アルキルアルコール(C12−14)にPO18モル付加した後にEO8モル付加した化合物
A−5 セカンダリーアルキルアルコール(C12−14)にEO9モルランダム付加した化合物
A−6 2−エチルヘキシルアルコールにPO1モルEO2モルランダム付加した化合物
B−1 ポリエチレングリコール(分子量400)とラウリン酸1モルとのエステル化合物
B−2 ポリエチレングリコール(分子量400)とオレイン酸1モルとのエステル化合物
B−3 ポリエチレングリコール(分子量600)とオレイン酸1モルとのエステル化合物
C1−1 2−エチルヘキシルステアレート
C6−1 鉱物油150秒
C7−1 硬化ひまし油1モルにEO18モル付加した化合物
C7−2 硬化ひまし油1モルにEO20モル付加した化合物
D−1 PO8モルEO24モルランダム付加した化合物
D−2 PO11モルEO32モルランダム付加した化合物
E−1 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩
E−2 アルカンスルホネートナトリウム塩
E−3 POE(5)ラウリルアミド
E−4 POE(3)セカンダリーアルキル(C12−14)ホスフェートカリウム塩
E−5 ベンジルアルコール
E−6 オレイン酸カリウム塩
E−7 エチレングリコール
(POE(7)は、ポリオキシエチレン(7)モルを示す。POは、オキシプロピレンを示し、EOはオキシエチレンを示す。C12,13は、1価脂肪酸の炭素数が12及び13の混合を示す。)
一方、比較例1〜7に係る合成繊維用処理剤は、成分(A)がない(比較例4)、成分(A)の重量割合が35〜70重量%の範囲にない(比較例3、5)、成分(B)がない(比較例6)、成分(B)の重量割合が5〜25重量%の範囲にない(比較例4、7)、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の各水性液のいずれかの濃度で、30℃における動粘度が50〜100mm2/sを超える(比較例1〜7)ため、本願の課題を解決できていない。
Claims (8)
- ポリオキシアルキレン脂肪族アルキルエーテル成分(A)及びポリアルキレングリコール脂肪酸エステル成分(B)を含む合成繊維用処理剤であって、
前記成分(B)を構成するポリアルキレングリコールの分子量が200〜2000であり、
処理剤の不揮発分に占める前記成分(A)の重量割合が35〜70重量%、前記成分(B)の重量割合が5〜25重量%であり、処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の30℃における動粘度が50〜100mm2/sを示す、合成繊維用処理剤。 - 50℃における処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の動粘度が15〜45mm2/sを示す、請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
- 処理剤の不揮発分の濃度が40〜70重量%の水性液の透過率が98%以上100%以下である、請求項1又は2に記載の合成繊維用処理剤。
- 下記成分(C)、下記成分(D)及び下記成分(E)をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の合成繊維用処理剤。
成分(C):脂肪族一価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C1)、脂肪族多価アルコールと脂肪酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C2)、脂肪族一価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とがエステル結合した構造を有するエステル化合物(C3)、分子内に芳香環を有する芳香族エステル化合物(C4)、含硫黄エステル化合物(C5)、鉱物油(C6)及びポリオキシアルキレン基含有ヒドロキシ脂肪酸多価アルコールエステル(C7)から選ばれる少なくとも1種
成分(D):重量平均分子量100〜3000のアルキレンオキサイド付加物
成分(E):芳香族アルコール、脂肪酸塩、脂肪族リン酸塩、脂肪族スルホン酸塩及び脂肪族アミド化合物から選ばれる少なくとも1種 - 処理剤の不揮発分に占める前記成分(C)の重量割合が5〜20重量%、前記成分(D)の重量割合が5〜30重量%、前記成分(E)の重量割合が1〜20重量%である、請求項4に記載の合成繊維用処理剤。
- 処理剤の不揮発分の濃度が80重量%及び90重量%の各水性液が、30℃における動粘度が50〜100mm2/sを示す、請求項1〜5のいずれかに記載の合成繊維用処理剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の合成繊維用処理剤を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付着させてなる、合成繊維フィラメント糸条。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の合成繊維処理剤の水性液を(原料)合成繊維フィラメント糸条に付与する工程を含む、合成繊維フィラメント糸条の製造方法。
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