JP6401229B2 - 合成繊維用処理剤及び延伸糸の製造方法 - Google Patents
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Description
X:エーテル結合している酸素原子に隣接する原子に結合する水素に帰属されるピークであって、3.5〜3.8ppmの範囲に確認されるスペクトルピーク強度の和
Y:合成繊維用処理剤の全てのスペクトルピークの強度の和
参考例である多価アルコールヒドロキシ脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物の具体例としては、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルオレート、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテルラウレート等のヒマシ油及び/又は硬化ヒマシ油にポリオキシアルキレンを付加した化合物が挙げられる。
・参考例1
いずれも表1の脚注に記載のものを用いて、平滑剤としてL−1を38部、L−7を22部及びLH−1を9部、非イオン性界面活性剤としてAP−1を13部、イオン性界面活性剤としてP−1を13部及びP−3を5部の割合で均一混合して参考例1の合成繊維用処理剤を調製した。
調製した参考例1の合成繊維用処理剤を赤外分光光度計(堀場製作所製のFT−720)に供し、エーテル結合に由来する1100cm−1の吸収を確認した。
調製した参考例1の合成繊維用処理剤約30mgを直径5mmのNMR用試験管に秤量し、重水素化溶媒として約0.5mlの重水素化クロロホルムを加えて溶解させ、1H−NMR測定装置(VARIAN 300MHz)に供して、前記した数1のX及びYを求め、(X/Y)×100の値を算出した。
調製した参考例1の合成繊維用処理剤約5gを精秤し、約70mlの50%エタノール水にて溶解し、電位差滴定装置に供して0.1mol/L水酸化カリウム水溶液で滴定した。得られた値を、合成繊維用処理剤の有効成分あたりに換算して、酸価を求めた。
調製した参考例1の合成繊維用処理剤に使用した非イオン性界面活性剤のうち、ポリオキシプロピレン基を有する化合物(AP−1)について、平滑剤、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤中の割合を算出した。
参考例1の合成繊維用処理剤と同様にして、実施例2、参考例3〜10及び比較例1〜3の合成繊維用処理剤を調製した。以上で調製した各例の合成繊維用処理剤の内容を表1にまとめて示した。また調製した各例の合成繊維用処理剤について、参考例1の合成繊維用処理剤と同様にして、赤外吸収スペクトルにエーテル結合に由来する1100cm−1の吸収を確認すると共に、(X/Y)×100の値、酸価及びポリオキシプロピレン基を有する化合物の割合を求めた。以上で求めた値を表2にまとめて示した。
L−1:鉱物油(30℃動粘度が47mm2/s)
L−2:ラウリルオレート75%、ラウリルステアレート5%、ラウリルリノレート10%、ラウリルパルミテート5%及びラウリルパルミトレート5%の混合物
L−3:オクチルパルミテート95%、デシルパルミテート4%及びラウリルパルミテート1%の混合物
L−4:ナタネ油
L−5:ポリオキシエチレン(7モル)ノニルエーテルオクテート
L−6:ポリオキシエチレン(3モル)モノラウレート
L−7:ソルビタンモノオレート
LH−1:硬化ヒマシ油1モルに対してエチレンオキサイドを20モル付加したポリオキシエチレン脂肪酸エステルと混合脂肪酸(オレイン酸85%、ステアリン酸5%、リノール酸5%、パルミチン酸5%の混合物)2モルとのエステル化物
LH−2:ヒマシ油1モルに対してエチレンオキサイドを15モル付加したポリオキシエチレン脂肪酸エステルとラウリン酸3モルとのエステル化物
LH−3:ヒマシ油1モルに対してエチレンオキサイドを7モル付加したポリオキシエチレン脂肪酸エステル
LH−4:硬化ヒマシ油1モルに対してエチレンオキサイドを8モル付加したポリオキシエチレン脂肪酸エステル
A−2:ポリオキシエチレン(10モル)オクチルエーテル90%、ポリオキシエチレン(10モル)デシルエーテル9%及びポリオキシエチレン(10モル)ドデシルエーテル1%の混合物
A−3:ジエタノールアミンモノラウロアミド
AP−1:ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(4モル)ブチルエーテル
AP−2:ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(13モル)ラウリルエーテル
AP−3:ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(6/4(質量比))ランダムポリエーテル(分子量6000)
AP−4:ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン(1/9(質量比))ブロックポリエーテル(分子量3000)
P−2:ペンタデカンスルホネートナトリウム塩
P−3:ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルリン酸エステルとポリオキシエチレン(4モル)ラウリルアミノエーテルの塩
P−4:N−オレイル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム
P−5:イソトリデシルサルフェートカリウム塩
・合成繊維用処理剤の水性液の調製
試験区分1で調製した各例の合成繊維用処理剤の所要量とイオン交換水の所要量を均一混合して、濃度30%、40%及び50%の水性液を調製した。これらの水性液について、表面張力と加水粘度を下記に示す方法で測定し、結果を表3にまとめて示した。
表面張力:吊り板式表面張力計(協和界面化学社製(感度0.1mN/m)WILHELMY式表面張力計、吊り板:白金板)を用い、20℃の表面張力を測定する方法。
加水粘度:キャノンフェンスケ法により30℃の動粘度(単位:mm2/s)を測定する方法。
試験区分1で調製した各例の合成繊維用処理剤の所要量とイオン交換水の所要量を均一混合して、濃度20%、30%、40%及び50%の水性液を調製した。各水性液100mlをとり、200ml密閉容器に入れ、蓋をして、30℃にて3日間静置し、目視観察して安定性を以下の基準で評価した。結果を表4にまとめて示した。
・水性液の安定性の評価基準
◎:分離がなく、透過性あり
○:分離があるが、透過性あり
×:分離しており、透過性なし
・延伸糸の製造
試験区分1で調製した各例の合成繊維用処理剤30部とイオン交換水70部を均一混合して、濃度30%の水性液を調製した。固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後、走行糸条に前記の水性液を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて、走行糸条に対し合成繊維用処理剤として1.0%となるよう付着させた後、ガイドで集束させて、90℃に加熱した引き取りローラーにより1400m/分の速度で引き取り、ついで引き取りローラーと4800m/分の速度で回転する延伸ローラーとの間で3.2倍に延伸し、83.3デシテックス(75デニール)36フィラメントの延伸糸を製造した。かくして延伸糸を製造したときの付着性、紡糸スカム及び紡糸毛羽を次の方法で評価し、またこれらの延伸糸を用いた後加工での加工スカムを次の方法で評価して、結果を表4にまとめて示した。
前記の合成繊維の製造において、給油ガイドの下部で認められる水性液の飛散量を目視観察し、下記の基準で評価した。結果を表4にまとめて示した。
付着性の評価基準
◎:飛散が認められない
○:ほとんど飛散が認められない
×:明らかに飛散が認められる
××:かなりの飛散が認められる
前記の延伸糸の製造において、10日間連続して製造した後の引き取りローラーの上に脱落したスカムの外観を目視観察し、下記の基準で評価した。結果を表4にまとめて示した。
紡糸スカムの評価基準
◎:スカムが認められない
○:僅かにスカムが認めるが、実用上問題ない
×:明らかにスカムが認められる
前記の延伸糸の製造において、巻き取り装置の直前に設置した毛羽計数装置(東レエンジニアリング社製のDT−105)により測定した1時間当たりの毛羽数を下記の基準で評価した。結果を表4にまとめて示した。
紡糸毛羽の評価基準
◎:毛羽数が0〜2個
○:毛羽数が3〜5個
×:毛羽数が6個以上
前記の延伸糸をウォータージェットルーム方式の織機(日産自動車製のLW−52)により製織した。14日間製織後の筬に付着したスカムの外観を目視観察し、下記の基準で評価した。結果を表4にまとめて示した。
加工スカムの評価基準
◎:スカムが認められない
○:僅かにスカムが認められるが、実用上問題ない
×:かなりのスカムが認められる
Claims (8)
- 平滑剤、非イオン性界面活性剤(前記平滑剤の場合を除く)、及び少なくともアラニン型両性界面活性剤及び有機脂肪酸塩を含むイオン性界面活性剤を含有して成る合成繊維用処理剤であって、
平滑剤、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤の各含有量の合計が100質量%とすると、非イオン性界面活性剤を5〜80質量%及びイオン性界面活性剤を1〜25質量%の割合で含有し、
平滑剤が、少なくとも多価アルコールヒドロキシ脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物と脂肪酸とのエステルである多価アルコールヒドロキシ脂肪酸エステル誘導体を含有し、
合成繊維用処理剤の赤外線吸収スペクトルチャートにエーテル結合に由来する1100cm−1の吸収があり、且つ合成繊維用処理剤の1H−NMRスペクトルチャートが下記の数1を満たすことを特徴とする合成繊維用処理剤。
X:エーテル結合している酸素原子に隣接する原子に結合する水素に帰属されるピークであって、3.5〜3.8ppmの範囲に確認されるスペクトルピーク強度の和
Y:合成繊維用処理剤の全てのスペクトルピークの強度の和) - 平滑剤、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤の各含有量の合計が100質量%とすると、平滑剤を15〜90質量%の割合で含有して成る請求項1記載の合成繊維用処理剤。
- 酸価が25mgKOH/g以下である請求項1又は2記載の合成繊維用処理剤。
- 平滑剤、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤の合計量中に前記多価アルコールヒドロキシ脂肪酸エステル誘導体を1〜20質量%の割合で含有して成る請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
- 非イオン性界面活性剤として分子中にポリオキシプロピレン基を有する化合物を含み、且つ平滑剤、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤の合計量中に該ポリオキシプロピレン基を有する化合物を1〜60質量%の割合で含有して成る請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
- 紡糸装置から紡出した合成繊維を延伸し、延伸した合成繊維を巻き取る延伸糸の製造方法であって、合成繊維の紡出から巻き取りまでの間に、請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤を20〜50質量%及び水を50〜80質量%(合計100質量%)の割合から成る水性液を付着させることを特徴とする延伸糸の製造方法。
- 合成繊維用処理剤の水性液を、合繊繊維に対し合成繊維用処理剤として0.1〜5質量%となるように付着させる請求項6記載の延伸糸の製造方法。
- 延伸糸が、繊度が10〜500デシテックス、フィラメント数が20〜150フィラメントである場合のものである請求項6又は7記載の延伸糸の製造方法。
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