JPH10259577A - ポリウレタン系弾性繊維用処理剤および該処理剤を用いて処理されたポリウレタン系弾性繊維 - Google Patents

ポリウレタン系弾性繊維用処理剤および該処理剤を用いて処理されたポリウレタン系弾性繊維

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JPH10259577A
JPH10259577A JP7894497A JP7894497A JPH10259577A JP H10259577 A JPH10259577 A JP H10259577A JP 7894497 A JP7894497 A JP 7894497A JP 7894497 A JP7894497 A JP 7894497A JP H10259577 A JPH10259577 A JP H10259577A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理剤中の高級脂肪酸マグネシウム塩の凝
集、沈殿を抑制し分散安定性を長期にわたって維持でき
るポリウレタン系弾性繊維用処理剤及びこれを繊維に処
理することによりポリウレタン系弾性糸のパッケージに
優れた捲形状と解舒性を有し、更には加工工程において
処理剤のガイド類へ脱落、蓄積することを低減し、良好
な製造、加工工程通過性を有する該処理剤によって処理
されたポリウレタン系弾性繊維を提供することである。 【解決手段】 分散媒体として25℃における粘度が5
×10-6〜50×10-62 /Sのシリコーンオイルと
分散剤として特定のアミノ変性シリコーンとが該シリコ
ーンオイル/該アミノ変性シリコーン=100/3〜1
00/0.5(重量比)の割合から成るシリコーン混合
物中に高級脂肪酸マグネシウム塩が該シリコーンオイル
100重量部当たり1〜10重量部の割合でコロイド状
に分散された分散液から成ることを特徴とするポリウレ
タン系弾性繊維用処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリウレタン系弾性
繊維用処理剤および該処理剤によって処理されたポリウ
レタン系弾性繊維に関する。更に詳しくは、ポリウレタ
ン系弾性繊維の製造工程において、良好な捲形状と糸解
舒性を有するパッケージの製造を可能にし、且つ加工工
程においては、ガイド類への処理剤の脱落と蓄積を低減
させ、安定した操業性(糸通過性)を付与することので
きるような処理剤並びにかかる優れた性能を有するポリ
ウレタン系弾性繊維に関する。
【0002】
【従来技術】ポリウレタン系弾性糸を処理する従来の方
法として、ポリジメチルシロキサンまたは鉱物油に、
1)高級脂肪酸金属塩を分散した処理剤で処理する方法
(特公昭37−4586、特公昭40−5557、特公
平6−15745号公報)、2)アミノ変性シリコーン
を配合した処理剤で処理する方法(特公昭63−823
3号公報)、3)ポリエーテル変性シリコーンを配合し
た処理剤で処理する方法(特公昭61−459、特開平
2−127569、特開平6−41873号公報)、
4)シリコーン樹脂を配合した処理剤で処理する方法
(特公昭42−8438、特公昭63−12197、特
開平8−74179号公報)、5)アミノ変性シリコー
ンとシリコーン樹脂を配合した処理剤で処理する方法
(特開平3−294524、特開平3−51374、特
開平5−195442号公報)等がある。
【0003】ところが、従来のポリジメチルシロキサン
または鉱物油に高級脂肪酸金属塩を分散した処理剤でポ
リウレタン系弾性糸を処理する方法では、高級脂肪酸金
属塩の初期の分散状態が保たれず経時的に凝集、沈殿す
るなど処理剤の分散安定性が著しく劣るため、処理剤を
使用する際、十分撹拌しても高級脂肪酸金属塩が凝集し
ているため、これで処理されたポリウレタン弾性糸はパ
ッケージで重なり合う糸条同志が密着し満足する解舒性
が得られない。更に加工工程では、凝集した高級脂肪酸
金属塩がガイド類に脱落、蓄積するため、これが原因と
なって糸切れが発生するという欠点がある。また、ポリ
ジメチルシロキサンまたは鉱物油にアミノ変性シリコー
ン、ポリエーテル変性シリコーンあるいはシリコーン樹
脂等の変性シリコーンを配合した処理剤で処理した場
合、高級脂肪酸金属塩を配合した処理剤で処理する場合
よりもポリウレタン系弾性糸のパッケージでの糸条同志
の密着を防止する効果が弱く満足する解舒性が得られな
い。特に、アミノ変性シリコーンやポリエーテル変性シ
リコーンを配合した処理剤で処理した場合、繊維間摩擦
係数が著しく低くなりパッケージの捲き崩れを生じ良好
な捲形状が得られないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、処理剤中の高級脂肪酸マグネシウム塩の凝
集、沈殿を抑制し分散安定性を長期にわたって維持でき
るポリウレタン系弾性繊維用処理剤及びこれを繊維に処
理することによりポリウレタン系弾性糸のパッケージに
優れた捲形状と解舒性を有し、更には加工工程において
処理剤のガイド類へ脱落、蓄積することを低減し、良好
な製造、加工工程通過性を有する該処理剤によって処理
されたポリウレタン系弾性繊維を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、
上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、ポリウレタ
ン系弾性繊維を製造する際に、特定のシリコーンオイル
と特定のアミノ変性シリコーンとが所定割合から成るシ
リコーン混合物中に特定の高級脂肪酸マグネシウム塩を
所定割合でコロイド状に分散された分散液から成るポリ
ウレタン系弾性繊維用処理剤を用いることが正しく好適
であることを見出し本発明に至った。
【0006】すなわち、本発明は分散媒体として25℃
における粘度が5×10-6〜50×10-62 /Sのシ
リコーンオイルと分散剤として下記の化3で示されるア
ミノ変性シリコーンとが該シリコーンオイル/該アミノ
変性シリコーン=100/3〜100/0.5(重量
比)の割合から成るシリコーン混合物中に下記の化4で
示される高級脂肪酸マグネシウム塩が該シリコーンオイ
ル100重量部当たり1〜10重量部の割合でコロイド
状に分散された分散液から成ることを特徴とするポリウ
レタン系弾性繊維用処理剤に係る。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】(化3、化4において、 X1 、X2 、X3 :メチル基又は−R4 (NH−R5
d−NH2 で示されるアミノ変性基であって、少なくと
もいずれか1つが該アミノ変性基 R1 :炭素数2〜5のアルキル基またはフェニル基 R2 、R3 :炭素数11〜21のアルキル基 R4 、R5 :炭素数2〜5のアルキレン基 a、b:aが25〜400、bが0〜200の整数であ
って、且つ25≦a+b≦400を満足するもの c:0〜10の整数 d:0または1)
【0010】本発明のポリウレタン系弾性繊維用処理剤
(以下、処理剤という)において分散媒体として用いる
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が5×
10-6〜50×10-62 /Sのものであるが、10×
10-6〜30×10-62 /Sのものが好ましい。かか
る粘度は、JIS−K2283(石油製品動粘度試験方
法)に記載された方法で測定される値である。かかるシ
リコーンオイルとしては、シロキサン単位として、1)
ジメチルシロキサン単位から成るポリジメチルシロキサ
ン、2)ジメチルシロキサン単位と炭素数2〜4のアル
キル基を含むジアルキルシロキサン単位とから成るポリ
ジアルキルシロキサン類、3)ジメチルシロキサン単位
とメチルフェニルシロキサン単位とから成るポリシロキ
サン類等が包含されるが、シリコーンオイルとしてはポ
リジメチルシロキサンが好ましい。
【0011】本発明の処理剤において、分散媒体として
用いるアミノ変性シリコーンは、必須の構成単位として
ジメチルシロキサン単位とアミノ変性基を有するシロキ
サン単位とを含む線状ポリオルガノシロキサンである。
アミノ変性基を有するシロキサン単位としては、化3に
おいてポリオルガノシロキサン鎖中に存在するcで括ら
れた2価のメチル・アミノ変性シロキサン単位及び末端
基としての1価のジメチル・アミノシロキサン単位が挙
げられる。本発明はこれらのアミノ変性シロキサン単位
の種類やその結合位置を制限するものではないが、少な
くともcで括られた2価のメチル・アミノ変性シロキサ
ン単位を有するものが後記する高級脂肪酸マグネシウム
塩の分散性において好ましい。このようにアミノ変性基
を末端でなくポリオルガノシロキサン鎖中に有する場
合、これを含むシロキサン単位としては1個又は2〜5
の繰り返し単位とすることが好ましい。この場合、末端
基としてはX1 、X2 がメチル基に相当するトリメチル
シロキサン単位であっても又はX1 、X2 がアミノ変性
基であるジメチル・アミノシロキサン単位であっても特
に支障はない。
【0012】本発明に用いるアミノ変性シリコーンにお
いて、ポリオルガノシロキサン主鎖を形成することとな
るアミノ変性基を含有しないシロキサン単位としては前
記のジメチルシロキサン単位に加えてbで括られた2価
のオルガノシロキサン単位を包含することができる。か
かるシロキサン単位の繰り返し数の総和としては25〜
400とするが、ジメチルシロキサン単位のみから成
り、且つその繰り返し数が100〜200のものが特に
好ましい。
【0013】前記したアミノ変性シリコーンにおいて、
アミノ変性基としては、一般式−R4(NH−R5)d
−NHにおいて、1)d=0の場合に該当するアルキル
基の炭素数が2〜5のアミノアルキル基及び2)d=1
の場合に該当するアルキル基の炭素数が2〜5のアミノ
アルキルアミノアルキル基が包含される。前記1)の具
体例としては、2−アミノエチル基、3−アミノプロピ
ル基、4−アミノブチル基等が挙げられるが、2−アミ
ノエチル基又は3−アミノプロピル基が有利に適用でき
る。また前記2)の具体例としては、N−(2−アミノ
エチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエ
チル)−2−アミノエチル基等が挙げられるが、N−
(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピル基が有利
に適用できる。
【0014】本発明の処理剤に用いる化4で示される高
級脂肪酸マグネシウム塩は、炭素数が12〜22の脂肪
酸のマグネシウム塩の単独物又は混合物である。これに
は、1)同一の炭素数を有する高級脂肪酸から成るマグ
ネシウム塩、2)異なる炭素数の高級脂肪酸から成るマ
グネシウム塩、3)これらの混合物が包含される。これ
には例えば、ジラウリン酸マグネシウム塩、ジミリスチ
ン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸マグネシウム塩、
ジステアリン酸マグネシウム塩、ジアラキン酸マグネシ
ウム塩、ジベヘン酸マグネシウム塩等の同一の脂肪酸の
マグネシウム塩、ミリスチン酸パルミチン酸マグネシウ
ム塩、ミリスチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パル
ミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩等の異なる脂肪酸
のマグネシウム塩、これらの混合物等が挙げられるが、
中でもジミリスチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸
マグネシウム塩、ジステアリン酸マグネシウム塩及びこ
れらの混合物が好ましい。
【0015】本発明の処理剤は、前記したように分散媒
体としてのシリコーンオイルと分散剤としてのアミノ変
性シリコーンとが所定割合から成るシリコーン混合物中
に高級脂肪酸マグネシウム塩をコロイド状に分散させた
分散液から成るものである。ここでシリコーンオイルと
アミノ変性シリコーンとの割合として、シリコーンオイ
ル/アミノ変性シリコーン=100/3〜100/0.
5(重量比)とするが、100/1.6〜100/0.
5(重量比)とするのが好ましい。また高級脂肪酸マグ
ネシウム塩の用いる割合としてはシリコーンオイル10
0重量部当たり1〜10重量部とするが、2〜8重量部
とするのが好ましい。
【0016】本発明は高級脂肪酸マグネシウム塩をシリ
コーン混合物中に分散させる方法を特に制限するもので
はないが、これには例えば、1)高級脂肪酸マグネシウ
ム塩とシリコーン混合物とを所定割合で混合し、湿式粉
砕して高級脂肪酸マグネシウム塩がコロイド状に分散さ
れた分散液を調製する方法が挙げられる。ここで湿式粉
砕に用いる粉砕機としては、縦型ビーズミル、横型ビー
ズミル、サンドグラインダー、コロイドミル等の公知の
湿式粉砕機が使用できる。
【0017】本発明は高級脂肪酸マグネシウム塩がコロ
イド状に分散された分散液においてコロイド粒子の粒子
径を特に制限するものではないが、後記する方法で測定
された平均粒子径として0.1〜0.5μmとすること
が好ましい。
【0018】かくして得られた高級脂肪酸マグネシウム
塩がシリコーン混合物中にコロイド状に分散した分散液
は本発明の処理剤である。更に本発明によれば、前記し
た分散液に下記のポリオルガノシロキサンを更に含有さ
せることができる。即ち、ポリオルガノシロキサンを構
成する主たる繰返し単位として下記の式で示される無
水ケイ酸単位及びシリル末端基として下記の式で示さ
れる1価のオルガノシロキサン単位とから構成され、且
つ分子中にシラノール残基を有するものである。 (式):[SiO4/2 ] (式):[R6 7 8 SiO1/2 ] (式において、 R6 、R7 、R8 :同時に同一又は異なる、炭素数1〜
3のアルキル基又はフェニル基)
【0019】かかるポリオルガノシロキサンは、前記し
た式で示される無水ケイ酸単位を形成することとなる
シラノール形成性化合物(A)と式で示される1価の
オルガノシロキサン単位を形成することとなるシラノー
ル形成性化合物(B)を用いて、シラノール形成反応及
びシラノール形成反応により生成したシラノールの縮重
合反応という公知のポリオルガノシロキサン生成反応に
よって製造される。
【0020】本発明において用いるポリオルガノシロキ
サンには、前記したように分子中にシラノール残基を含
有する。本発明におけるポリオルガノシロキサン生成反
応においては、無水ケイ酸単位を形成することとなるシ
ラノール化合物の縮重合反応によるシロキサン鎖成長反
応とシロキサン鎖中に存在するシラノール基と1価のオ
ルガノシロキサン単位を形成することとなるシラノール
形成性化合物(B)との縮合によるシリル末端基形成反
応によって本発明のポリオルガノシロキサンが得られ
る。この場合シリル末端基形成反応に関与しないシロキ
サン鎖中のシラノール基は、そのままポリオルガノシロ
キサン分子中に残存することとなる。本発明において、
シラノール基の残存する割合を調整するには、前記した
シラノール形成性化合物(A)とシラノール形成性化合
物(B)との反応割合を適宜選択することによって達成
される。
【0021】本発明によれば、シラノール基の残存割合
を好ましい範囲とするためには、シラノール形成性化合
物(A)/シラノール形成性化合物(B)=k/{8/
5×(k+1)}〜k/{2/5×(k+1)}(モル
比)(但し、ここでkは1以上の整数である)とするこ
とが好ましい。シラノ一ル形成性化合物(A)とシラノ
ール形成性化合物(B)との割合を上記の範囲とするこ
とによって、理論上では、ポリオルガノシロキサン生成
反応において、ポリオルガノシロキサン鎖中に存在する
シラノール基の20〜80モル%がシリル末端基によっ
て封鎖されたものとなる。
【0022】前記したシロキサン単位を形成するための
原料としては、式で示される無水ケイ酸単位を形成す
ることとなるシラノール形成性化合物(A)として、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラ
アルコキシシラン及びテトラクロルシラン等のテトラハ
ロゲン化シラン、等が挙げられる。式で示される1価
のシロキサン単位を形成することと成るシラノール形成
性化合物(B)としては、トリメチルメトキシシラン、
トリエチルメトキシシラン、トリプロピルメトキシシラ
ン、ジメチルエチルメトキシシラン等のトリアルキルア
ルコキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン等の
フェニル基を含むジアルキルフェニルアルコキシシラ
ン、トリメチルクロルシラン等のトリアルキルハロゲン
化シラン、等が挙げられる。
【0023】本発明によれば、前記したポリオルガノシ
ロキサンの含有割合としては、分散媒体として用いたシ
リコーンオイル100重量部当たり0.5〜6重量部と
するのが好ましく、1〜3重量部とするのが特に好まし
い。かかるポリオルガノシロキサンを前記した高級脂肪
酸マグネシウム塩がコロイド分散した分散液に加えるこ
とによってポリウレタン系弾性繊維に対して当初の性能
を阻害することなく静電気の発生を防止する顕著な効果
を有するものとなる。
【0024】本発明は前記したように処理剤として分散
媒体としてシリコーンオイルと分散剤としてアミノ変性
シリコーンとから成るシリコーン混合物中に高級脂肪酸
マグネシウム塩をコロイド状に分散された分散液並びに
この分散液に対して前記したポリオルガノシロキサンを
溶解させたものを包含する
【0025】かかる高級脂肪酸マグネシウム塩のコロイ
ド分散系からなる本発明の処理剤において、コロイド状
に分散した高級脂肪酸マグネシウム塩の凝集や沈殿を抑
制し、安定な分散性を長期に亘って維持させ、ポリウレ
タン系弾性繊維の製造、加工工程において所望の性能を
発揮させる上で、該分散系における高級脂肪酸マグネシ
ウム塩のコロイド粒子表面の荷電特性が特に重要とな
る。それによれば、後記するような方法で測定されたゼ
ータ電位として−30〜−100mVの範囲とすること
が必要である。
【0026】本発明において処理対象となるポリウレタ
ン系弾性繊維とは、少なくとも85重量%のセグメント
化したポリウレタンを含む長鎖の重合体からのフィラメ
ントまたは繊維を意味する。
【0027】この重合体は2種類の型のセグメント:
(a)長鎖のポリエーテル、ポリエステルまたはポリエ
ーテルエステルセグメントであるソフトセグメントと
(b)イソシアネ−トとジアミンまたはジオール鎖伸長
剤との反応により誘導された比較的短鎖のセグメントで
あるハードセグメントとを含有する。通常は、ポリウレ
タン系弾性体はヒドロキシル末端ソフトセグメント前駆
体を有機ジイソシアネートでキャッピングすることによ
って得られるプレポリマ生成物をジアミンまたはジオー
ルで鎖伸長させて製造する。
【0028】典型的なポリエーテルソフトセグメントに
はテトラメチレングリコール、3一メチル−1,5−ペ
ンタンジオール、テトラヒドロフラン、3−メチルテト
ラヒドロフラン等から誘導されたもの、およびこれらの
共重合体が含まれる。その中でもテトラメチレングリコ
ールから誘導されたポリエーテルが好ましい。典型的な
ポリエステルソフトセグメントには、(a)エチレング
リコール、テトラメチレングリコール、2,2−ジメチ
ル−1,3−プロパンジオール等と(b)二酸塩基、た
とえばアジピン酸、コハク酸等との反応性物が含まれ
る。ソフトセグメントはまた、典型的なポリエーテルと
ポリエステルとから、またはポリカーボネートジオー
ル、たとえばポリ−(ペンタン−1,5−カーボネー
ト)ジオールおよびポリ−(ヘキサン−1,6−カーボ
ネート)ジオール等から形成されたポリエーテルエステ
ルのような共重合体であってもよい。
【0029】本発明記載のポリウレタン系弾性体の製造
に適した有機ジイソシアネートの典型は、ビス−(p−
イソシアナートフェニル)−メタン(MDI)、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、ビス−(4−イソシア
ナートシクロヘキシル)−メタン(PICM)、へキサ
メチレンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−
5−メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等であ
る。その中で特にMDIが好ましい。
【0030】種々のジアミン、たとえばエチレンジアミ
ン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロ
ヘキサンジアミン等がポリウレタンウレアを形成させる
ための鎖伸長剤に好適である。鎖停止剤は、ポリウレタ
ンウレアの最終的な分子量の調節を助けるために反応混
合物に含有させることができる。通常、鎖停止剤は活性
水素を有する一官能性化合物、たとえばジエチルアミン
である。
【0031】また、鎖伸長剤としては、上記アミンに限
定されることはなく、ジオールであってもよい。例え
ば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノ一ル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−
ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびパラキシリレ
ンジオール等である。ジオール鎖伸長剤は、1種のみの
ジオールに限定されるわけでなく、複数種のジオールか
らなるものであってもよい。また、イソシアネート基と
反応する1個の水酸基を含む化合物と併用していてもよ
い。この場合、このようなポリウレタンを得る方法につ
いては溶融重合法、溶液重合法など公知の方法が適用で
き、限定されるものでない。重合の処方についても、特
に限定されずに、たとえば、ポリオールとジイソシアネ
ー卜と、ジオールからなる鎖伸長剤とを同時に反応させ
ることにより、ポリウレタンを合成する方法等が挙げら
れ、いずれの方法によるものでもよい。
【0032】ポリウレタン系弾性繊維はベンゾトリアゾ
ール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の耐候
剤、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤、酸化チタ
ン、酸化鉄等の各種顔料、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸
化セシウム、銀イオン等を含有する機能性添加剤等が含
有されていてもよい。
【0033】ポリウレタン溶液に適した溶媒には、N,
N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシドおよびN−メチルピロ
リドンが含まれるが、DMAcが最も一般的に使用され
る溶媒である。30〜40%の、特に35〜38%(溶
液の全重量を基準にして)の範囲内のポリウレタン濃度
が、フィラメントへの乾式紡糸に特に好適である。
【0034】ジオールを鎖伸長剤として用いたポリウレ
タン系弾性繊維は溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法
等により紡糸され、アミンを鎖伸長剤として用いたポリ
ウレタン系弾性繊維は通常乾式紡糸される。本発明にお
いての紡糸法は特に限定されるものではないが、溶媒を
用いた乾式紡糸が望ましい。
【0035】本発明の処理剤をポリウレタン系弾性繊維
に付着させるには、処理剤を溶剤等で希釈することなく
そのまま給油する所謂ニート給油をすることが必要であ
る。その付着工程としては、紡糸後でパッケージに巻き
取るまでの間の工程、巻き取ったパッケージを巻き返す
工程、整経機で整経する工程等が挙げられるが、いずれ
の工程でもよく、また付着方法は、ローラー給油法、ガ
イド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用でき
る。処理剤の付着量は、ポリウレタン系弾性繊維に対し
1〜10重量%とするが、3〜7重量%とするのが好ま
しい。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明に係る処理剤の実施形態と
しては、次の1)〜8)が好適例として挙げられる。
【0037】1)分散媒体として25℃における粘度が
20×10-62 /Sであるシリコーンオイル(S−
1)94.3重量部と分散剤として化3中のaが18
0、bが0、cが1、X1 とX2 がメチル基、X3 がN
−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基である
アミノ変性シリコーン(A−1)0.7重量部とを混合
したシリコーン混合物にジステアリン酸マグネシウム塩
(F−1)5.0重量部を加えて20〜35℃で均一に
なるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕
してジステアリン酸マグネシウム塩(F−1)がコロイ
ド状に分散された分散液から成る処理剤。
【0038】2)分散媒体として25℃における粘度が
10×10-62 /Sであるシリコーンオイル(S−
2)95.3重量部と分散剤として化3中のaが11
0、bが0、cが4、X1 とX2 がメチル基、X3 がN
−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基である
アミノ変性シリコーン(A−2)1.2重量部とを混合
したシリコーン混合物にジステアリン酸マグネシウム塩
(F−1)3.5重量部を加えて20〜35℃で均一に
なるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕
してジステアリン酸マグネシウム塩(F−1)がコロイ
ド状に分散された分散液から成る処理剤。
【0039】3)分散媒体としてシリコーンオイル(S
−1)95.6重量部と分散剤として化3中のaが5
0、bが5、cが1、X1 とX2 がメチル基、X3 がN
−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、R1
がn−プロピル基であるアミノ変性シリコーン(A−
3)0.7重量部とを混合したシリコーン混合物にパル
ミチン酸/ステアリン酸=40/60(モル比)の混合
高級脂肪酸マグネシウム塩(F−2)3.7重量部を加
えて20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型ビ
ーズミルを用いて湿式粉砕してジステアリン酸マグネシ
ウム塩(F−1)がコロイド状に分散された分散液から
成る処理剤。
【0040】4)分散媒体としてシリコーンオイル(S
−1)94.3重量部と分散剤として化3中のaが36
0、bが0、cが3、X1 とX2 がメチル基、X3 が3
−アミノプロピル基であるアミノ変性シリコーン(A−
4)0.7重量部とを混合したシリコーン混合物にジス
テアリン酸マグネシウム塩(F−1)5.0重量部を加
えて20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型ビ
ーズミルを用いて湿式粉砕してジステアリン酸マグネシ
ウム塩(F−1)がコロイド状に分散された分散液から
成る処理剤。
【0041】5)分散媒体としてシリコーンオイル(S
−1)95.4重量部と分散剤として化3中のaが18
0、bが50、cが1、X1 とX2 とX3 が3−アミノ
プロピル基、R1 がフェニル基であるアミノ変性シリコ
ーン(A−5)0.7重量部とを混合したシリコーン混
合物にジステアリン酸マグネシウム塩(F−1)3.9
重量部を加えて20〜35℃で均一になるまで混合した
後、横型ビーズミルを用いて湿式粉砕してジステアリン
酸マグネシウム塩(F−1)がコロイド状に分散された
分散液から成る処理剤。
【0042】6)分散媒体としてシリコーンオイル(S
−1)95.4重量部と分散剤として化3中のaが3
0、bが0、cが0、X1 とX2 が3−アミノプロピル
基であるアミノ変性シリコーン(A−4)0.7重量部
とを混合したシリコーン混合物にジステアリン酸マグネ
シウム塩(F−1)3.9重量部を加えて20〜35℃
で均一になるまで混合した後、横型ビーズミルを用いて
湿式粉砕してジステアリン酸マグネシウム塩(F−1)
がコロイド状に分散された分散液から成る処理剤。
【0043】7)分散媒体としてシリコーンオイル(S
−1)94.4重量部と分散剤としてアミノ変性シリコ
ーン(A−1)1.2重量部とテトラメチルシラン/ト
リメチルメトキシシラン=50/50(モル比)でシラ
ノール形成反応と縮重合反応により得られるシラノール
基が残存しているポリオルガノシロキサン(PS−1)
0.9重量部とを混合したシリコーン混合物にジステア
リン酸マグネシウム塩(F−1)3.5重量部を加えて
20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型ビーズ
ミルを用いて湿式粉砕してジステアリン酸マグネシウム
塩(F−1)がコロイド状に分散された分散液から成る
処理剤。
【0044】8)分散媒体としてシリコーンオイル(S
−2)93.0重量部と分散剤としてアミノ変性シリコ
ーン(A−1)1.3重量部とテトラメチルシラン/ト
リプロピルメトキシシラン=65/35(モル比)でシ
ラノール形成反応と縮重合反応により得られるシラノー
ル基が残存しているポリオルガノシロキサン(PS−
2)2.0重量部とを混合したシリコーン混合物にパル
ミチン酸/ステアリン酸=40/60(モル比)の混合
高級脂肪酸マグネシウム塩(F−2)3.7重量部を加
えて20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型ビ
ーズミルを用いて湿式粉砕してパルミチン酸/ステアリ
ン酸=40/60(モル比)の混合高級脂肪酸マグネシ
ウム塩(F−2)がコロイド状に分散された分散液から
成る処理剤。
【0045】本発明に係る処理剤で処理されたポリウレ
タン系弾性繊維の実施形態としては、次の9)〜11)
が好適例として挙げられる。
【0046】9)付加比率が1.60になるように、分
子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール
2000gとビス−(p−イソシアナートフェニル)−
メタン(MDI)400gを窒素シールされた攪拌容器
中に投入し、90℃、3時間で反応させ、キャップドグ
リコールを得た。次に、このキャップドグリコール69
9gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)10
93gに溶解し、さらに室温において高速の攪拌装置で
鎖伸長剤エチレンジアミン11g、鎖停止剤ジエチルア
ミン1.6gとDMAC195gの混合物を添加し鎖伸
長させ固形分35.6重量%のポリマ溶液を得た。
【0047】このポリマ溶液に酸化チタン、ヒンダード
アミン系耐候剤、ヒンダードフェノ一ル系酸化防止剤を
4.7重量%、3.0重量%、1.2重量%となるよう
に添加し、混合して均一なポリマ混合溶液を得た。
【0048】ここで得られたポリマ混合溶液を用いて、
公知のスパンデックスで用いられる乾式紡糸方法によっ
て、単糸数4本からなる40デニールの弾性糸を紡糸し
て、巻き取り前のオイリングローラーによって前記1)
の処理剤をニート給油し、該処理剤の付着量がポリウレ
タン系弾性繊維に対して6.5重量%で処理されたポリ
ウレタン系弾性繊維。
【0049】10)前記9)と同様にして得た単糸数4
本からなる40デニールの弾性糸に前記9)と同様の方
法で前記2)の処理剤をニート給油して該処理剤の付着
量がポリウレタン系弾性繊維に対し3.5重量%で処理
されたポリウレタン系弾性繊維。
【0050】11)前記9)と同様にして得た単糸数4
本からなる40デニールの弾性糸に前記9)と同様の方
法で前記3)〜8)のいずれかの処理剤をニート給油し
て該処理剤の付着量がポリウレタン系弾性繊維に対しそ
れぞれ5.0重量%で処理されたポリウレタン系弾性繊
維。
【0051】
【実施例】以下、本発明の構成及び効果をより具体的に
するため実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定
されるというものではない。尚、以下の実施例等におい
て、別に記載しない限り、部は重量部を示し、%は重量
%を示す。
【0052】・試験区分1(処理剤の調製) 処理剤T−1の調製 分散媒体として25℃における粘度が20×10-62
/Sであるシリコーンオイル(S−1)94.3部と分
散剤として下記の表1に示したアミノ変性シリコーン
(A−1)0.7部とを混合したシリコーン混合物にジ
ステアリン酸マグネシウム塩(F−1)5.0部を加え
て20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型ビー
ズミルを用いて湿式粉砕してジステアリン酸マグネシウ
ム塩(F−1)がコロイド状に分散された分散液として
処理剤T−1を調製した。
【0053】処理剤T−2〜T−6及びt−1〜t−8
の調製 処理剤T−1の調製と同様にして、処理剤T−2〜T−
6及びt−1〜t−8を調製した。これらの処理剤の内
容を表2及び表3にまとめて示した。
【0054】処理剤T−7の調製 分散媒体としてのシリコーンオイル(S−1)94.4
部と分散剤としてアミノ変性シリコーン(A−1)1.
2部と下記の表2の下に示したポリオルガノシロキサン
(PS−1)0.9部とを混合したシリコーン混合物に
ジステアリン酸マグネシウム塩(F−1)3.5部を加
えて20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型ビ
ーズミルを用いて湿式粉砕してジステアリン酸マグネシ
ウム塩(F−1)がコロイド状に分散された処理剤T−
7を調製した。
【0055】処理剤T−8の調製 処理剤T−7の調製と同様にして、処理剤T−8を調製
した。この内容を表2に示した。
【0056】処理剤t−9の調製 分散媒体としてシリコーンオイル(S−1)98.5部
にジステアリン酸マグネシウム塩(F−1)1.5部を
加えて20〜35℃で均一になるまで混合した後、横型
ビーズミルを用いて湿式粉砕してジステアリン酸マグネ
シウム塩(F−1)がコロイド状に分散された処理剤t
−9を調製した。
【0057】
【表1】
【0058】表1において、 AM−1:−C3 6 NH−C2 4 −NH2 AM−2:−C3 6 −NH2
【0059】
【表2】
【0060】表2において、 S/A:シリコーンオイルとアミノ変性シリコーンとの
割合(重量比) S/F:シリコーンオイル100部当たりの高級脂肪酸
マグネシウム塩の部 S/PS:シリコーンオイル100部当たりのポリオル
ガノシロキサンの部 S−1:25℃における粘度が20×10-62 /Sであるポ
リジメチルシロキサン S−2:25℃における粘度が10×10-62 /Sであるポ
リジメチルシロキサン F−1:ジステアリン酸マグネシウム塩 F−2:パルミチン酸/ステアリン酸=40/60(モ
ル比)の混合高級脂肪酸のマグネシウム塩 PS−1:テトラメチルシラン/トリメチルメトキシシ
ラン=25/75(モル比)の割合でポリオルガノシロ
キサン生成反応させたものであって、シラノール基が残
存しているもの(FT−IRでシラノール基の特性吸収
帯3750cm-1が検出された) PS−2:テトラメチルシラン/トリプロピルメトキシ
シラン=35/65(モル比)の割合でポリオルガノシ
ロキサン生成反応させたものであって、シラノール基が
残存しているもの(FT−IRでシラノール基の特性吸
収帯3750cm-1が検出された)
【0061】
【表3】
【0062】表3において、 S−1〜S−3、F−1、F−2、A−1、A−2、P
S−1:表2と同じ f−1:ジカプリル酸マグネシウム塩
【0063】試験区分2(処理剤の評価乃至測定) ・試験区分1で調製した処理剤について、分散安定性、
平均粒子径及びゼータ電位を下記のように評価乃至測定
した。結果を表4に示した。
【0064】・分散安定性の評価 処理剤100mlを密栓付きガラス製100mlメスシ
リンダーに入れ、25℃にて1週間と1ケ月間放置し、
1週間後と1ケ月間後の処理剤の外観を観察し、下記の
基準で評価した。 ◎:均一な分散状態で外観に変化がない ○:5ml未満の透明層が発生した △:5ml以上の透明層が発生した ×:沈殿が発生した
【0065】・平均粒子径の測定 試験区分1で調製した処理剤を処理剤に供したと同一の
分散媒体を用いて、高級脂肪酸マグネシウム塩が100
0ppmの濃度となるように該処理剤を希釈して試料と
した。この試料を25℃で超遠心式自動粒度分布測定装
置(堀場製作所製CAPA−700)を用いて面積基準
の平均粒子径を測定した。
【0066】・ゼータ電位の測定 試験区分1で調製した処理剤を処理剤に供したと同一の
分散媒体を用いて、高級脂肪酸マグネシウム塩が80p
pmの濃度となるように該処理剤を希釈して、これを超
音波バスで30秒間分散処理して試料とした。この試料
を25℃でゼータ電位測定装置(PENKEM社製Mo
del501)を用いてゼータ電位を測定した。
【0067】
【表4】
【0068】試験区分3(ポリウレタン系弾性繊維への
処理剤の付与及びその評価) ・ポリウレタン系弾性繊維の製造と処理剤の付与方法 付加比率が1.60になるように、分子量2000のポ
リテトラメチレンエーテルグリコール2000gとビス
−(p−イソシアナートフェニル)−メタン(MDI)
400gを窒素シールされた攪拌容器に投入し、90
℃、3時間で反応させ、キャップドグリコールを得た。
次にこのキャップドグリコール699gをN,N−ジメ
チルアセトアミド(DMAC)1093gに溶解し、室
温において高速の撹拌装置で鎖伸長剤エチレンジアミン
11g、鎖停止剤ジエチルアミン1.6gとDMAC1
95gの混合物を添加し鎖伸長させ固形分35.6重量
%のポリマを得た。このポリマ溶液に酸化チタン、ヒン
ダードアミン系耐候剤、ヒンダードフェノ一ル系酸化防
止剤をポリマ固体成分に対しそれぞれ4.7重量%、
3.0重量%、1.2重量%になるように添加し、混合
して均一なポリマ混合溶液を得た。ここで得られたポリ
マ混合溶液を用いて、公知のスパンデックスで用いられ
る乾式紡糸方法によって単糸数4本からなる40デニー
ルの弾性糸を紡糸して、巻き取り前のオイリングローラ
ーによって処理剤をローラー給油し、巻き取り速度が約
600m/min.で長さ58mmの円筒状紙管に、巻
き幅38mmを与えるトラバースガイドを介して巻き取
った。処理剤付与量は糸に対して所定量になるようにオ
イリングローラーの回転数を調整することで行った。巻
き量は、解舒性を評価する場合は500グラム巻き、そ
の他の評価には100グラム巻きの試料を用いた。ま
た、処理剤の付与量は、JIS−L1073(合成繊維
フィラメント糸試験方法)に準拠して、抽出溶剤をn−
ヘキサンを用いて行った。
【0069】・評価及び測定 ・対繊維摩擦係数の評価 図1に示した測定装置を用い、フリーローラ−5、6、
7の間で糸に2回撚りを入れ、初期張力(T1 )2gを
かけ、糸速度0.25m/分の速度で低速走行した際の
2次張力(T2 )を測定し、摩擦係数を算出する。摩擦
係数は下記の式を用いる。 摩擦係数=(T2 −T1 )÷(T2 +T1
【0070】・捲形状の評価 図3はポリウレタン系弾性糸の巻き形状を示す説明図で
ある。一般に、円筒状紙管14に巻き取られたポリウレ
タン系弾性糸15は、引き伸ばされて巻かれているた
め、内層に近づくにつれて、糸同士が滑り易くなり、巻
き形状として巻き方向に対して直角方向に押し出すかた
ちになる。この傾向があまり強いと内層巻き幅Bが円筒
状紙管長さAに近づき、フリーボードと呼ばれる巻きし
ろ16が小さくなり、後工程でのハンドリングが困難に
なる。また、高次加工の際、加工装置にポリウレタン弾
性糸を装着する場合、装置に直接、糸部分が触れる可能
性が高くなる。このため図3に示すフリーボードが重要
な因子になる。このため、捲形状の評価として、下記の
ようにフリーボードの長さを測定し、下記の計算式によ
りフリーボード値を算出した。算出値を下記の基準で評
価した。 フリーボード=(A一B)/2 ○:フリーボードが4ミリ以上 △:フリーボードが2ミリ以上、4ミリ未満 ×:フリーボードが2ミリ未満
【0071】・解舒性の評価 図2に示した解舒性測定装置において、第1駆動ローラ
−11とこれに常時接する第1遊離ローラ−9とで送り
出し部を構成し、また、第2駆動ローラ−12と接する
第2遊離ローラ−10とで巻き取り部を構成して、該送
り出し部に対し巻き取り部を水平方向に20cm離して
設置した。第1駆動ローラ−11に処理済みポリウレタ
ン系弾性繊維を500g巻いたパッケージ13を装着
し、糸巻の厚さが2mmになるまで解舒して試料とし
た。この試料から処理済みポリウレタン系弾性繊維を第
2駆動ローラ−12に巻き取った。第1駆動ローラ−1
1からの処理済みポリウレタン系弾性繊維の送り出し速
度を50m/分で固定する一方、第2駆動ローラ−12
への該処理済みポリウレタン系弾性繊維の巻き取り速度
を50m/分より徐々に上げて、該処理済みポリウレタ
ン系弾性繊維をパッケージから強制解舒した。かかる強
制解舒時において、送り出し部分と巻き取り部分との間
で処理済みポリウレタン系弾性繊維の踊りがなくなる時
点での巻き取り速度V(m/分)を測定した。そして、
下記の式により解舒性(%)を求め、次の基準で評価し
た。結果を表5にまとめて示した。 解舒性(%)=(V−50)×2 ◎:解舒性125%未満(全く問題なく、安定に解舒で
きる) ○:解舒性125以上135%未満(糸の引き出しにや
や抵抗のあるものの、糸切れの発生は無く、安定に解舒
できる) △:解舒性135以上145%未満(糸の引き出しに抵
抗感があり、若干の糸切れもあって、操業にやや問題が
ある。) ×:解舒性145%以上(糸の引き出しに抵抗感が大き
く、糸切れが多発して、操業に大きな問題がある。)
【0072】・スカムの評価 処理済みポリウレタン系弾性繊維のパッケージをミニチ
ュア整経機に10本仕立て、25℃×65%RHの雰囲
気下で糸速度200m/分で3万m巻き取った。この
時、ミニチュア整経機のクシガイドに対するスカムの付
着および蓄積状態を肉眼観察し、次の基準で評価した。
結果を表5にまとめて示した。 ◎:スカムの付着がほとんどない ○:スカムがやや付着しているが、糸の安定走行に問題
はない ×:スカムの付着および蓄積が多く、糸の安定走行に大
きな問題がある
【0073】・制電性の評価 処理済みポリウレタン系弾性繊維のパッケージをミニチ
ュア整経機に10本仕立て、25℃×65%RHの雰囲
気下で糸速200m/分で走行させ、ミニチュア整経機
のクリールスタンドとフロントローラーの間を走行する
糸条の帯電圧を帯電圧測定器(春日製集電管KS−52
5)で測定し、測定値を次の基準で評価した。結果を表
5にまとめて示した。 ◎:帯電圧が1KV未満(全く問題なく、操業できる) ○:帯電圧が1KV以上2KV未満(問題なく、操業で
きる) △:帯電圧が2KV以上2.5KV未満(操業性にやや
問題あり) ×:帯電圧が2.5KV以上(操業できない)
【0074】
【表5】
【0075】
【発明の効果】以上説明した本発明には、ポリウレタン
系弾性繊維用処理剤に優れたハンドリング性を付与する
とともにポリウレタン系弾性繊維に優れた捲形状と解舒
性を付与し、加工工程においてもガイド類へのスカムの
付着および蓄積を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】対繊維摩擦係数測定装置の概略図である。
【図2】解舒性測定装置の概略図である。
【図3】巻き形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1:初期加重の分銅 2:走行糸 3:初期張力検出器 4:2次張力検出器 5:フリーローラー 6:フリーローラー 7:フリーローラー 8:フリーローラー 9:第1遊離ローラー 10:第2遊離ローラー 11:第1駆動ローラー 12:第2駆動ローラー 13:ポリウレタン系弾性繊維パッケージ 14:円筒状紙管 15:ポリウレタン系弾性糸 16:フリーボード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川西 英治 滋賀県大津市園山1丁目1番2号 東レ・ デュポン株式会社滋賀事業場内 (72)発明者 渡邉 昇 滋賀県大津市園山1丁目1番2号 東レ・ デュポン株式会社滋賀事業場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒体として25℃における粘度が5
    ×10-6〜50×10-62 /Sのシリコーンオイルと
    分散剤として下記の化1で示されるアミノ変性シリコー
    ンとが該シリコーンオイル/該アミノ変性シリコーン=
    100/3〜100/0.5(重量比)の割合から成る
    シリコーン混合物中に下記の化2で示される高級脂肪酸
    マグネシウム塩が該シリコーンオイル100重量部当た
    り1〜10重量部の割合でコロイド状に分散された分散
    液から成ることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維用
    処理剤。 【化1】 【化2】 (化1、化2において、 X1 、X2 、X3 :メチル基又は−R4 (NH−R5
    d−NH2 で示されるアミノ変性基であって、少なくと
    もいずれか1つが該アミノ変性基 R1 :炭素数2〜5のアルキル基またはフェニル基 R2 、R3 :炭素数11〜21のアルキル基 R4 、R5 :炭素数2〜5のアルキレン基 a、b:aが25〜400、bが0〜200の整数であ
    って、且つ25≦a+b≦400を満足するもの c:0〜10の整数 d:0または1)
  2. 【請求項2】 アミノ変性シリコーンが、化1において
    3 がアミノ変性基であって、且つcが1〜5で示され
    るものである請求項1記載のポリウレタン系弾性繊維用
    処理剤。
  3. 【請求項3】 アミノ変性シリコーンが、化1において
    aが100〜200であり且つbが0で示されるもので
    ある請求項2記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
  4. 【請求項4】 シリコーンオイルとアミノ変性シリコー
    ンとの割合が該シリコーンオイル/該アミノ変性シリコ
    ーン=100/1.6〜100/0.5(重量比)であ
    って、高級脂肪酸マグネシウム塩が該シリコーンオイル
    100重量部当たり2〜8重量部の割合である請求項
    1、2又は3記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の分散液が
    更にシリコーンオイル100重量部当たり、下記のポリ
    オルガノシロキサンを0.5〜6重量部の割合で含有す
    ることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
    [ここで、ポリオルガノシロキサン:それを構成する主
    たる繰返し単位として下記の式で示される無水ケイ酸
    単位及びシリル末端基として下記の式で示される1価
    のオルガノシロキサン単位とから構成された、分子中に
    シラノール残基を有するポリオルガノシロキサンであっ
    て、該ポリオルガノシロキサンを形成する反応におい
    て、該無水ケイ酸単位を形成することとなるシラノール
    形成性化合物(A)と該1価のシロキサン単位を形成す
    ることとなるシラノール形成性化合物(B)とを該シラ
    ノール形成性化合物(A)/該シラノール形成性化合物
    (B)=k/{8/5×(k+1)}〜k/{2/5×
    (k+1)}(モル比)の割合でシラノール形成反応及
    び該シラノール形成反応により生成したシラノールの縮
    重合反応をさせて得られるポリオルガノシロキサン、但
    し、kは1以上の整数。 (式):[SiO4/2 ] (式):[R6 7 8 SiO1/2 ] (式において、 R6 、R7 、R8 :同時に同一又は異なる、炭素数1〜
    3のアルキル基又はフェニル基)]
  6. 【請求項6】 コロイド状に分散された高級脂肪酸マグ
    ネシウム塩の平均粒子径が0.1〜0.5μmである請
    求項1、2、3、4又は5記載のポリウレタン系弾性繊
    維用処理剤。
  7. 【請求項7】 ポリウレタン系弾性繊維用処理剤に供し
    た分散媒体と同一の分散媒体を用いて、高級脂肪酸マグ
    ネシウム塩が80ppmの濃度となるように該ポリウレ
    タン系弾性繊維用処理剤を希釈して得られる分散液にお
    いて、該分散液が25℃において−30〜−100mV
    のゼータ電位を有するものである請求項1、2、3、
    4、5又は6記載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載のポリウレタン系弾性繊維用処理剤を希釈することな
    くニート給油法によって1〜10重量%の割合で付着さ
    れてなることを特徴とするポリウレタン系弾性繊維。
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