JP4369590B2 - 制電性に優れる弾性繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
制電性に優れる弾性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭58−180611号公報、特開平3−287816号公報に、ポリウレタン弾性繊維の溶融紡糸時に変性シリコーンを添加することが記載されている。
特開平8−269822号公報に、アミノ変性シリコーンを添加したポリウレタン弾性繊維が記載されている。
特開平3−146774号公報、特開平9−296377号公報には、末端封鎖型ポリエーテル変性シリコーンを用いたポリウレタン弾性繊維用油剤が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
末端封鎖型ポリエーテル変性シリコーンを弾性繊維に添加した場合、該変性シリコーンとポリマーとの相溶性が悪く、ポリマー中に均一に変性シリコーンが分散しないために制電性が思うように向上しないといった問題があった。また、末端封鎖型ポリエーテル変性シリコーンを油剤に用いた場合、弾性繊維表面に該変性シリコーンが固定されないためか思うように制電性が向上しないといった問題があった。
本発明の変性シリコーンを用いることにより、末端の反応基がポリウレタン原料と反応してポリウレタン中に均一に混合して、制電性が発現する。また本発明の変性シリコーンを油剤中に混合することにより、変性シリコーンが弾性繊維表面に反応して固定化するために、制電性が発現すると考えられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、▲1▼ 末端がOH基又はNH基であるポリオキシアルキレン基を1〜4個有する変性シリコーン(以下変性シリコーンAという)と、
▲2▼ 反応性OH基又はNH基を1〜4個有する変性シリコーンであってかつ末端封鎖ポリオキシアルキレン基によっても変性されている変性シリコーン(以下変性シリコーンBという)の少なくとも一方を0.001〜10重量%含有するポリウレタンである。
また本発明の弾性繊維は、▲1▼の変性シリコーンAと▲2▼の変性シリコーンBの少なくとも一方を含有する油剤が1〜10重量%付与されていることを特徴とする。
【0005】
本発明にいう末端がOH基又はNH基であるポリオキシアルキレン基を1〜4個有する変性シリコーンAは、主鎖であるポリシロキサンに両末端又は分岐の形でポリオキシアルキレン基が1〜4個結合しているものをいい、ポリオキシアルキレン基としてはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンプロピレン共重合体、ポリオキシブチレン等の基を言う。4個を越えると、ポリマーのゲル化が激しくなる。好ましくは1〜2個である。
【0006】
本発明にいう反応性OH基又はNH基を1〜4個有する変性シリコーンであってかつ末端封鎖ポリオキシアルキレン基によっても変性されている変性シリコーンBとは、主鎖であるポリシロキサンに−R−OH又は−R−NH(Rは有機基)が末端又は分岐の形で1〜4個結合し、かつ末端封鎖型のポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンブチレン共重合体、ポリオキシブチレン等のポリオキシアルキレン基で変性されているものをいう。4個を越えると、糸と糸の間に架橋が生じ好ましくない。好ましくは1〜2個である。
本発明のポリウレタンは、変性シリコーンA又はBを0.001〜10重量%好ましくは0.01〜5重量%含有する。
【0007】
本発明にいうポリウレタンとは、長鎖のポリエーテル、ポリエステルまたはポリエーテルエステルであるソフトセグメントと、有機ジイソシアネートとジアミンまたはジオール鎖伸長剤との反応により誘導された比較的短鎖のウレタンセグメントであるハードセグメントからなる。
【0008】
本発明に用いる弾性繊維用油剤の粘度は、25℃において100mm/s以下好ましくは50mm/s以下が望ましい。
油剤のベース成分としては、25℃における粘度が2〜100mm/sのジメチルポリシロキサン、鉱物油、エステル油等が用いられる。
また本発明の制電効果をそこなわない範囲内でタルク、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の固体微粒子や高級脂肪酸の金属塩、固体ワックス、各種変性シリコーン等の通常油剤に使用される成分を添加しても良い。
変性シリコーンA及びBは、油剤のベース成分に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%添加される。本発明の弾性繊維には、この油剤が1〜10重量%付与されている。
【0009】
本発明の変性シリコーンの例
変性シリコーン1:直鎖状両末端ポリエーテル変性シリコーン(EO/PO(3モル/7モル)のポリエーテル基で末端がOH基)、粘度1500mm/s(25℃)
変性シリコーン2:直鎖状両末端CNH変性シリコーン(EO(5モル)の分岐ポリエーテル基で末端メチルエーテル、粘度3000mm/s(25℃)
【0010】
比較例の変性シリコーン
変性シリコーン3:分岐状ポリエーテル変性シリコーン(5個以上のポリエーテル基EO/PO(5モル/5モル)で末端OH基)、粘度2000mm/s(25℃)
変性シリコーン4:分岐状ポリエーテル変性シリコーン(5個以上のポリエーテル基EO/PO(7モル/3モル)でメチル基封鎖型)、粘度1000mm/s(25℃)
【0011】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお実施例に於ける、各特性の評価は次の方法にしたがって行った。
〔油剤の作用効果の評価法〕
解舒速度比:
解舒速度比測定機の解舒側に改質剤を付与した繊維のチーズ(1)をセットし、巻取側紙管(2)をセットする(図1参照)。
巻取速度を一定速度にセットした後、ローラー(3)および(4)を同時に起動させる。この状態では糸(5)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れないため解舒点(6)は図1に示す状態にある。解舒速度を変えることによってチーズからの糸(5)の解舒点(6)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(7)と一致するように解舒速度を設定する。解舒速度比は次式によって求める。この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。
【0012】
【数1】
Figure 0004369590
【0013】
編成張力:
図2において、チーズ(8)から縦取りした弾性糸(9)をコンペンセーター(10)を経てローラー(11)、編み針(12)を介して、Uゲージ(13)に付したローラー(14)を経て速度計(15)、巻取ローラー(16)に連結する。速度計(15)での走行速度が定速(例えば、10m/分、100m/分)になるように巻取ローラーの回転速度を調整して、巻取ローラーに巻き取り、そのときの張力変動をUゲージ(13)で測定し、繊維/編み針間の摩擦(g)を計測する。走行糸条より1cmのところで春日式電位差測定装置(17)で発生静電気を測定する。
【0014】
〔紡糸原液の調製〕
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比率1:2で反応させ、次いで1,2−ジアミノプロパンのジメチルホルムアミド溶液を用いて鎖延長し、ポリマー濃度20重量%のジメチルホルムアミド溶液を得た。30℃での粘度は1700センチポイズであった。
【0015】
参考例1
調整した紡糸原液に対し本発明の変性シリコーン1を2重量%添加した後、このポリウレタン紡糸原液を190℃のN2気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に表面処理剤ジメチルシリコーン10mm2/s(25℃)をオイリングローラーにより繊維に対して5重量%付与した後、毎分400mの速度でボビンに巻き取り70dtexモノフィラメントチーズ(巻量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。評価結果を表1に示した。
【0016】
実施例2〜5
変性シリコーン2を0.01重量%、0.1重量%、0.5重量%、3重量%と添加量を変えて、参考例1と同様に乾式紡糸した。評価結果を表1に示す。
【0017】
比較例1、2
変性シリコーン3、4を1重量%添加する以外、参考例1と同様に乾式紡糸した。評価結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 0004369590
【0019】
参考例6〜8、実施例9、参考例10および比較例3、4
以下の組成(重量%)の油剤を調整した。
【表2】
Figure 0004369590
【0020】
先に調整した紡糸原液を200℃のN2気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に油剤a〜gを繊維に対して5重量%付与した後、毎分500mの速度で巻き取り70dtexモノフィラメントチーズ(巻量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RH雰囲気中に48時間放置して評価に供した。評価結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0004369590
【0021】
【発明の効果】
本発明の変性シリコーンA,Bの少なくとも一方を添加することにより、末端の反応基がポリウレタン原料と反応してポリウレタン中に均一に混合して、制電性が発現する。また本発明の変性シリコーンA,Bの少なくとも一方を油剤中に混合して弾性繊維に付与することにより、変性シリコーンが弾性繊維表面のイソシアネートとに反応して固定されるために、制電性が発現すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解舒速度比の測定方法を説明する模式図。
【図2】編成張力の測定方法を説明する模式図。
【符号の説明】
1 チーズ
2 巻取用紙管
3 ローラー
4 ローラー
5 走行糸条
6 解舒点
7 チーズとローラーの接点
8 チーズ
9 走行糸条
10 コンペンセーター
11 ローラー
12 編み針
13 Uゲージ
14 ローラー
15 速度計
16 巻取りローラー
17 春日式電位差測定装置

Claims (3)

  1. 変性シリコーンを含むポリウレタン紡糸原液を乾式紡糸して得られるポリウレタン弾性繊維であって、
    前記変性シリコーンが、主鎖であるポリシロキサンの両末端に反応性NH基を個有し、かつ末端封鎖ポリオキシアルキレン基によっても変性されており、
    前記ポリウレタン弾性繊維に対して前記変性シリコーンを0.001〜10重量%含有する、ポリウレタン弾性繊維。
  2. ポリウレタン紡糸原液を乾式紡糸する際に用いられるポリウレタン弾性繊維用油剤であって、
    ジメチルポリシロキサン、鉱物油およびエステル油から選ばれる少なくとも1種のベース成分と、前記ベース成分に対して0.01〜5重量%の変性シリコーンとを含有し、
    前記変性シリコーンが、主鎖であるポリシロキサンの両末端に反応性NH基を個有し、かつ末端封鎖ポリオキシアルキレン基によっても変性されている、ポリウレタン弾性繊維用油剤。
  3. 請求項2に記載のポリウレタン弾性繊維用油剤が1〜10重量%付与されているポリウレタン弾性繊維。
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