JP4463031B2 - 弾性繊維用処理剤および弾性繊維 - Google Patents

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Description

本発明は制電性および解舒性に優れる弾性繊維の処理剤に関する。
特開平9−78450号公報には、イソステアリルエーテルカルボン酸マグネシウム塩を含有する弾性繊維用油剤が記載されている。特開平7−173770号公報には、アルキルホスフェートの金属塩とアルキルホスフェートのアミン塩を含有する弾性糸用油剤が記載されている。特開平10−298864号公報には、スルホコハク酸塩類を含有する弾性繊維用油剤が記載されている。
特開平9−78450号公報 特開平7−173770号公報 特開平10−298864号公報
弾性繊維用処理剤は、シリコーン油、鉱物油およびエステル油などの疎水性のベース成分を用いているため、制電性を付与する極性の強い成分を多量に溶解させることが出来ず、制電剤を少量用いて若干の制電性を付与しているに過ぎない。また、解舒性については、高分子量の極性の強い成分や金属石鹸等の分散物を用いて向上させているのが現状である。
本発明は、シリコーン油、鉱物油およびエステル油より選ばれる少なくとも一種類のベース成分100重量部に、Li 、Na 、K およびNH より選ばれる一価カチオンのアニオン系界面活性剤0.1〜10重量部と、Ca 2+ 、Mg 2+ 、Zn 2+ 、Ba 2+ およびPb 2+ より選ばれる二価カチオンのアニオン系界面活性剤0.1〜10重量部を混合したことを特徴とする弾性繊維用処理剤である。
また、本発明の弾性繊維は、上記処理剤が弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする。
本発明は、ベース成分がエステル油、鉱物油、シリコーン油より選ばれ、少なくとも一種類を使用する。
本発明に言う一価カチオンとは、例えばLi、Na、K、NH などであり、二価カチオンとはCa2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Pb2+などが挙げられる。
これらのカチオンで中和されたアニオン系界面活性剤は、ベース成分100重量部に対してそれぞれ0.1〜10重量部添加される。また、本発明は、カチオンが一価であるアニオン系界面活性剤とカチオンが二価であるアニオン系界面活性剤を併用して用いるが、一価のカチオンのものと二価のカチオンのものは1:2〜1:5の比で用いることが制電性の上で好ましい。
発明に用いるアニオン系界面活性剤は、ホスフェート塩系、スルホン酸塩系または硫酸塩系の界面活性剤が好ましい。一般には、スルホン酸塩系または硫酸塩系の界面活性剤が好ましく用いられる。例えば、炭素数6〜18のアルカンスルホン酸塩またはα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数4〜18のアルキルスルホコハク酸塩またはアルキルベンゼンスルホン酸塩などのスルホン酸塩類、炭素数6〜18のアルキル硫酸塩、炭素数4〜18のアルキルと付加モル数1〜10のアルキレンオキサイドを持ったアルキルポリオキシアルキレン硫酸塩などの硫酸塩類などが挙げられる。
本発明の処理剤は、30℃における粘度が3〜30mm/sであるものが好ましい。3mm/s未満では、処理剤の揮発が問題となり、30mm/sを超えると平滑性が低下する。
本発明の処理剤には、平滑性及び制電性の効果を高めるために高級脂肪酸の金属石鹸が0.01〜5重量部添加されていても良い。高級脂肪酸の金属石鹸としては、従来弾性繊維に用いられている公知のものを用いることができ、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al、ステアリン酸Ba、ステアリン酸Znが好ましい。
また、本発明の処理剤には従来公知の変性シリコーン(アルキル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、MQシリコーンレジン、MQTシリコーンレジン、Tシリコーンレジン、DTシリコーンレジン等)やつなぎ剤、制電剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等、通常弾性繊維の処理剤に用いられる成分を配合することができる。
本発明の処理剤は、通常、弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与される。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお具体例における、油剤特性の評価は次の方法に従って行った。
解舒速度比:
図1において、解舒速度比測定機の解舒側に処理剤を付与した繊維のチーズ(1)をセットし、巻き取り側紙管(2)をセットする。
巻き取り速度を一定速度にセットした後、ローラー(3)及び(4)を同時に起動させる。この状態では糸(5)に張力はほとんどかからないため、糸はチーズ上で膠着して離れないため解舒点(6)は図1に示す状態にある。解舒速度を変えることによって、チーズからの糸(5)の解舒点(6)が変わるので、この点がチーズとローラーとの接点(7)と一致するように解舒速度を設定する。解舒速度比は式1によって求める。この値が小さいほど、解舒性が良いことを示す。
解舒速度比(%)=(巻取速度−解舒速度比)/解舒速度×100 (式1)
編成張力:
図2において、チーズ(8)から縦取りした弾性糸(9)をコンペンセーター(10)を経てローラー(11)、編み針(12)を介して、Uゲージ(13)に付したローラー(14)を経て速度計(15)、巻き取りローラー(16)に連結する。速度計(15)での走行速度が定速(例えば、10m/分、100m/分)になるように巻き取りローラーの回転速度を調整して、巻き取りローラーに巻き取り、そのときの編成張力をUゲージ(13)で測定し、繊維/編み針間の摩擦(g)を計測する。走行糸条より1cmのところで春日式電位差測定装置(17)で発生静電気を測定する。
ローラー静電気:
解舒速度比測定機の解舒側にチーズをセットし、50m/分の周速で回転させ、チーズ上2cmのところにおいて、春日式電位差測定装置で、回転を始めて1時間後の発生静電気を測定する。
強度伸度:
JIS1013に準じて測定を行った。
ポリウレタン紡糸原液の調整:
数平均分子量1600のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比率1:2で反応させ、次いで1,2−ジアミノプロパンのジメチルホルムアミド溶液を用いて鎖延長し、ポリマー濃度33%のジメチルホルムアミド溶液を得た。30℃での濃度は1800mPaSであった。
実施例1〜6
ポリウレタン紡糸原液を185℃のN気流中に吐出して乾式紡糸した。紡糸中走行糸に表1に記載の処理剤(表中の配合量は重量部)をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分400mの速度でボビンに巻き取り77dtexモノフィラメントチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。
Figure 0004463031
実施例7〜11及び比較例1〜3
(実施例7、参考例8〜11及び比較例1〜3)
ポリウレタン紡糸原液の調整
数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール100重量部と4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート25重量部を80℃で反応させ、N,N’−ジメチルアセトアミド250重量部を加え冷却しながら反応混合物を溶解させた。1,2−ジアミノプロパン5重量部をN,N’−ジメチルアセトアミド184重量部に溶解させたものを添加し、ジメチルシリコーン100mm2/sを0.2重量%添加した。
この様にして得られたポリウレタン紡糸原液を4つの細孔を有する紡糸口金より185℃のN2気流中に吐出して乾式紡糸した。
紡糸中走行糸に表2に記載の処理剤をオイリングローラーにより繊維に対して6重量%付与した後、毎分400mの速度でボビンに巻き取り、44dtexマルチフィラメントのチーズ(巻き量400g)を得た。得られたチーズを35℃、50%RHの雰囲気中に48時間放置して評価に供した。
Figure 0004463031
発明の効果
本発明の処理剤を用いることにより安定した解舒性、及び、制電性を弾性繊維に与えることができる。
解舒速度比の測定方法を説明する模式図。 編成張力の測定方法を説明する模式図。
符号の説明
1 チーズ
2 巻き取り用紙管
3 ローラー
4 ローラー
5 走行糸条
6 解舒点
7 チーズとローラーの接点
8 チーズ
9 走行糸条
10 コンペンセーター
11 ローラー
12 編み針
13 Uゲージ
14 ローラー
15 速度計
16 巻き取りローラー
17 春日式電位差測定装置

Claims (3)

  1. ジメチルホルムアミドまたはN,N’−ジメチルアセトアミドを含む紡糸原液を吐出する乾式紡糸で用いられる弾性繊維用処理剤であって、
    シリコーン油、鉱物油およびエステル油より選ばれる少なくとも一種類のベース成分100重量部に、Li、Na、KおよびNH より選ばれる一価カチオンのスルホン酸塩系のアニオン系界面活性剤(A)0.1〜10重量部と、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+およびPb2+より選ばれる二価カチオンのスルホン酸塩系のアニオン系界面活性剤(B)0.1〜10重量部とを含み、
    前記アニオン系界面活性剤(A)と前記アニオン系界面活性剤(B)の重量比(A:B)が2.5:1〜1:6である、弾性繊維用処理剤。
  2. 前記アニオン系界面活性剤(A)および前記アニオン系界面活性剤(B)が、それぞれ、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸より選ばれる少なくとも一種類のスルホン酸塩系の界面活性剤である、請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
  3. 請求項1または2に記載の処理剤が弾性繊維に対して0.1〜15重量%付与されていることを特徴とする弾性繊維。
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