JP2015205973A - 撥水撥油性組成物、及びそれを用いて形成した撥水膜 - Google Patents

撥水撥油性組成物、及びそれを用いて形成した撥水膜 Download PDF

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Abstract

【課題】生体蓄積性を示すパーフルオロオクタン酸(PFOA)を生成せず、C8以上のパーフルオロアルキル基(Rf基)を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いた場合と同等、又はそれ以上の撥水性を示す撥水膜を形成するためのコーティング剤の提供。【解決手段】式(1)で示される化合物αに由来するユニットaを含む不完全縮合物P1に対して、更に式(2)で示される化合物βを縮合させた不完全縮合物P2を含有し、不完全縮合物P1中に含まれるユニットaの含有率a1と、不完全縮合物P2中に含まれるユニットaの含有率a2が数式(1)の関係を満たす撥水撥油性組成物。式(1):Rf−Yq−Ap−Z−SiX3(RfはC1〜6Rf基;Yはアルカンジイル基;Aは連結基;Zはアルカンジイル基;Xはアルコキシ基)式(2):R−SiX3(Rはアルキル基)数式(1):a1/a2≧2【選択図】なし

Description

本発明は、物質表面を改質するコーティング剤として有用な撥水撥油性組成物、及び前記撥水撥油性組成物を用いて形成された撥水膜に関する。
パーフルオロアルキル基(以下、「Rf基」と記す場合がある)を有する含フッ素アルコキシシラン化合物は、フッ素原子に由来する撥水性及び撥油性を有することから、表面改質用のコーティング剤として広く用いられている。
従来、表面改質用途で使用される含フッ素アルコキシシラン化合物としては、テロメリゼーションによって合成された、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物が主流であった。しかし、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物は、生体で分解又は代謝されることによって、生体蓄積性を示すパーフルオロオクタン酸(以下、「PFOA」と記す場合がある)を生成することが報告されている(特許文献1)。このため、米国においては、PFOA、その類縁物質及びこれらの前駆体について、環境への排出量、並びに製品中の含有量を削減する計画が進められており、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を製造し、また、使用することを自粛せざるを得ない状況である。
炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物の代替物質としては、生体及び環境へのリスクが低い炭素数6以下のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物やパーフルオロオキシアルキレン基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物が提案されている。
具体的には、炭素数5以下のRf基を有し、前記Rf基が連結基を介してアルコキシシリル基に結合された含フッ素化合物を、交互ライン状パターン形成用の材料として用いることが提案されている(特許文献2)。
さらに、炭素数1〜6のRf基を有する含フッ素基を有し、前記含フッ素基が連結基を介してアルコキシシリル基に結合されたフッ素化合物を必須成分とする組成物を、フォトリソグラフィー用の撥液性表面処理剤として用いることが提案されている(特許文献3)。
さらにまた、炭素数1〜5のRf基を有し、前記Rf基が連結基を介してアルコキシシリル基に結合されたフッ素化合物を含んでなる組成物を、基板の表面処理剤として用いることが提案されている(特許文献4)。
特開2012−219217号公報 特許第4325555号公報 特開2008−15084号公報 特開2006−291266号公報
しかし、前記のような炭素数6以下のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を、撥水膜を形成するためのコーティング剤として用いた場合、形成された撥水膜の撥水性は十分に満足することができるレベルではなかった。
本発明は、前記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。則ち、本発明の目的とするところは、PFOAを生成せず、生体及び環境へのリスクが低いことに加えて、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いた場合と同等、又はそれ以上の撥水性を示す撥水膜を形成するためのコーティング剤を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、炭素数6以下のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物αをそのままコーティング剤として使用するのではなく、前記含フッ素アルコキシシラン化合物αを予め不完全縮合させて不完全縮合物P1とし、この不完全縮合物P1に対して、更にRf基を含まないアルコキシシラン化合物βを特定の割合で縮合させて不完全縮合物P2を得、この不完全縮合物P2を含む組成物をコーティング剤として撥水膜を形成することによって、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。則ち、本発明によれば、以下に示す撥水撥油性組成物、及び撥水膜が提供される。
[1]撥水撥油性組成物:
下記一般式(1)で示される含フッ素アルコキシシラン化合物αに由来する含フッ素アルコキシシランユニットaを含む不完全縮合物P1に対して、更に下記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物βを縮合させた不完全縮合物P2を含有し、
前記不完全縮合物P1中に含まれる含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1(モル%)と、前記不完全縮合物P2中に含まれる含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2(モル%)が下記数式(1)の関係を満たすことを特徴とする撥水撥油性組成物。
一般式(1): Rf−Yq−Ap−Z−SiX3
(前記一般式(1)中、
Rfは炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
Yは−(CH2m−で示されるアルカンジイル基、mは1以上4以下の整数、qは0または1を示す。
Aは−CO−O−、−O−CO−、−O−、−S−、−CO−S−、−CONH−、−NHCO−、−NHCO−O−、−O−CONH−、又は−NHCONH−で示される連結基、pは0または1を示す。ただし、pが0のときqは0である。
Zは−(CH2n−で示されるアルカンジイル基、nは1以上20以下の整数を示す。
Xは−OCr2r+1で示されるアルコキシ基、rは1以上4以下の整数を示す。3つのXは互いに同一の基でも異なる基でもよい。)
一般式(2): R−SiX3
(前記一般式(2)中、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。
Xは前記一般式(1)と同義である。)
数式(1): a1/a2≧2
本発明の撥水撥油性組成物は、前記不完全縮合物P1中に含まれる前記含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1(モル%)と、前記不完全縮合物P2中に含まれる前記含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2(モル%)が、下記数式(2)と下記数式(3)の関係を満たすこと;が好ましい。
数式(2): 20≦a1≦100
数式(3): 0.5≦a2≦20
更に、本発明の撥水撥油性組成物は、前記不完全縮合物P1が、前記含フッ素アルコキシシランユニットaと、前記アルコキシシラン化合物βに由来するアルコキシシランユニットbと、を含む不完全縮合物であること;が好ましい。
[2]撥水膜:
前記[1]に記載の撥水撥油性組成物を用いて形成された撥水膜。
本発明の撥水膜は、接触角が90°以上であること;が好ましい。
本発明の撥水撥油性組成物は、PFOAを生成せず、生体及び環境へのリスクが低いことに加えて、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いた場合と同等、又はそれ以上の撥水性を示す撥水膜を形成することができる。また、本発明の撥水膜は、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いた場合と同等、又はそれ以上の撥水性を示す。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は下記の実施形態に限定されず、その発明特定事項を有する全ての対象を含むものである。
[1]撥水撥油性組成物:
本発明の撥水撥油性組成物は、含フッ素アルコキシシラン化合物αに由来する含フッ素アルコキシシランユニットaを含む不完全縮合物P1に対して、更にフッ素を含まないアルコキシシラン化合物βを縮合させた不完全縮合物P2を含有する組成物である。
本発明の撥水撥油性組成物は、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基(Rf基)を有する含フッ素アルコキシシラン化合物αを用いて製造することができる。前記含フッ素アルコキシシラン化合物αは、PFOAを生成せず、生体及び環境へのリスクが低く、米国が進めているPFOA等の削減計画にも対応することが可能である。
また、本発明の撥水撥油性組成物は、撥水膜を形成する際のコーティング剤として用いることができる。本発明の撥水撥油性組成物は、炭素数6以下のRf基を有する不完全縮合物P2を構成成分とするにも拘らず、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いた場合と同等、又はそれ以上の撥水性を示す撥水膜を形成することができる。本発明者らは、炭素数6以下のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物αを、予め不完全縮合させて不完全縮合物P1とすることで、含フッ素アルコキシシランユニットaが局在化した部分が形成され、Rf基の多くが撥水膜の表面に配向するため、前記撥水膜が高い撥水性を示したものと推定している。
[1−1]含フッ素アルコキシシラン化合物α:
含フッ素アルコキシシラン化合物αは、下記一般式(1)で示される化合物であり、不完全縮合物P1の合成原料となる化合物である。
一般式(1): Rf−Yq−Ap−Z−SiX3
一般式(1)中のRfは、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基(Rf基)である。Rf基の前記以外の構成は特に限定されないが、直鎖状のRf基であることが好ましい。
一般式(1)中の−SiX3は、トリアルコキシシリル基である。Xは、−OCr2r+1で示されるアルコキシ基であり、アルコキシ基Xの炭素数rは1以上4以下の整数である。3つのアルコキシ基Xは、互いに同一の基でも異なる基でもよい。但し、3つのアルコキシ基Xが同一の基であることが好ましい。トリアルコキシシリル基の前記以外の構成は特に限定されないが、3つのアルコキシ基が、全て直鎖状で、かつ、炭素数も同一であることが好ましい。
一般式(1)中のZは連結基である。則ち、パーフルオロアルキル基(Rf)とトリアルコキシシリル基−SiX3は、連結基Zを介して結合されている。連結基Zは−(CH2n−で示されるアルカンジイル基である。メチレンユニットの繰り返し数nは1以上20以下の整数である。nを20以下とすることで、トリアルコキシシリル基(−SiX3)がシラノール基(−Si(OH)3)に加水分解され易くなり、縮合反応の反応性が向上する。
一般式(1)中のYは連結基であり、−(CH2m−で示されるアルカンジイル基である。メチレンユニットの繰り返し数mは、1以上4以下の整数である。mを4以下とすることで、撥水膜を形成した際にRf基を撥水膜の表面に配向させ易くなり、これにより、撥水膜の撥水性を向上させることができる。連結基Yの繰り返し数qは、0または1である。ただし、qは0であることが好ましい。連結基Yを導入するためには、後述する連結基Aを導入する必要がある。しかし、連結基Yが存在すると連結基Aが加水分解され易くなるため、連結基Yを導入しない(q=0)ことが好ましい。
一般式(1)中のAは連結基であり、−CO−O−、−O−CO−、−O−、−S−、−CO−S−、−CONH−、−NHCO−、−NHCO−O−、−O−CONH−、又は−NHCONH−のいずれかの官能基である。連結基Aの繰り返し数pは、0または1である。ただし、連結基Aの繰り返し数pが0のとき、連結基Yの繰り返し数qは0である。則ち、連結基Aの繰り返し数pが0のときは、含フッ素アルコキシシラン化合物αは、Rf基と−SiX3基とが連結基Zのみを介して相互に結合された構造を有する。
連結基Aの要否や分子構造は、合成の容易さや形成する撥水膜の耐久性を向上させるという観点から任意に設定することができる。前記の官能基の中でも、−CO−O−、−O−CO−、−O−、−S−、又は−CO−S−が好ましい。これらの官能基は加水分解を受け難いため、撥水膜の耐久性を向上させることができる。
[1−1−1]合成スキーム、反応溶媒:
前記一般式(1)で示される含フッ素アルコキシシラン化合物αは、公知の方法で合成することができる。含フッ素アルコキシシラン化合物αの合成は、溶媒中又は無溶媒下で実施することができる。溶媒中で合成する際の反応溶媒としては、反応に影響しにくく、原料の溶解性が良好なものを選択すればよく、反応溶媒の使用量も特に限定されない。また、含フッ素アルコキシシラン化合物αを合成する際には、従来公知の触媒を使用することができる。
[1−1−1A]連結基Aが−CO−O−または−O−CO−の化合物:
連結基Aが−CO−O−の含フッ素アルコキシシラン化合物αは、下記スキーム1に従って合成することができる。
(スキーム1)
Figure 2015205973
また、連結基Aが−O−CO−の含フッ素アルコキシシラン化合物αは、下記スキーム2に従って合成することができる。
(スキーム2)
Figure 2015205973
スキーム1または2に示す第1ステップ(エステル化反応)においては、反応溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等を使用することができる。また、原料のアルコールを反応系に過剰量添加し、これを反応溶媒として用いることもできる。
また、スキーム1または2に示す第2ステップ(ヒドロシリル化反応)においては、反応溶媒として、前記エーテル系溶媒、前記ケトン系溶媒、前記エステル系溶媒、前記炭化水素系溶媒、前記ハロゲン化炭化水素系溶媒に加えて、メタノール、エタノール等のアルコール等を使用することができる。さらに、前記ヒドロシリル化反応においては、Speier触媒、及びKarstedt触媒等を使用することができる。
[1−1−1B]連結基Aが−O−または−S−の化合物:
連結基Aが−O−の含フッ素アルコキシシラン化合物については、下記スキーム3に従って合成することができる。
(スキーム3)
Figure 2015205973
また、連結基Aが−S−の含フッ素アルコキシシラン化合物については、下記スキーム4に従って合成することができる。
(スキーム4)
Figure 2015205973
スキーム3または4に示す第1ステップ(エーテル化反応又はスルフィド化反応)においては、反応溶媒として、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等を使用することができる。また、スキーム3または4に示す第2ステップ(ヒドロシリル化反応)においては、前記スキーム1または2のヒドロシリル化反応と同様の溶媒、同様の触媒を使用することができる。
[1−1−1C]連結基Aが−CO−S−の化合物:
連結基Aが−CO−S−の含フッ素アルコキシシラン化合物については、下記スキーム5に従って合成することができる。
(スキーム5)
Figure 2015205973
スキーム5に示す第1ステップ(チオエステル化反応)においては、前記スキーム1または2のエステル化反応と同様の溶媒の他、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン系溶媒;等を使用することができる。また、原料のチオールを反応系に過剰量添加し、これを反応溶媒として用いることもできる。また、スキーム3または4に示す第2ステップ(ヒドロシリル化反応)においては、前記スキーム1または2のヒドロシリル化反応と同様の溶媒、同様の触媒を使用することができる。
[1−1−1E]連結基Aが−CONH−または−NHCO−の化合物:
連結基Aが−CONH−の含フッ素アルコキシシラン化合物αについては、下記スキーム6に従って合成することができる。
(スキーム6)
Figure 2015205973
また、連結基Aが−NHCO−の含フッ素アルコキシシラン化合物αは、下記スキーム7に従って合成することができる。
(スキーム7)
Figure 2015205973
スキーム6または7に示す第1ステップ(アミド化反応)においては、前記スキーム1または2のエステル化反応と同様の溶媒等を使用することができる。また、原料のアミンを反応系に過剰量添加し、これを反応溶媒として用いることもできる。また、スキーム6または7に示す第2ステップ(ヒドロシリル化反応)においては、前記スキーム1または2のヒドロシリル化反応と同様の溶媒、同様の触媒を使用することができる。
[1−1−1F]連結基Aが−NHCO−O−または−O−CONH−の化合物:
連結基Aが−NHCOO−の含フッ素アルコキシシラン化合物αについては、下記スキーム8に従って合成することができる。
(スキーム8)
Figure 2015205973
また、連結基Aが−O−CONH−の含フッ素アルコキシシラン化合物αについては、下記スキーム9に従って合成することができる。
(スキーム9)
Figure 2015205973
スキーム8または9に示す第1ステップ(ウレタン化反応)においては、前記スキーム1または2のエステル化反応と同様の溶媒等を使用することができる。また、原料のアルコールを反応系に過剰量添加し、これを反応溶媒として用いることもできる。また、スキーム8または9に示す第2ステップ(ヒドロシリル化反応)においては、前記スキーム1または2のヒドロシリル化反応と同様の溶媒、同様の触媒を使用することができる。
[1−1−1G]連結基Aが−NHCONH−の化合物:
連結基Aが−NHCONH−の含フッ素アルコキシシラン化合物については、下記スキーム10に従って合成することができる。
(スキーム10)
Figure 2015205973
スキーム10に示す第1ステップ(ウレア化反応)においては、前記スキーム1または2のエステル化反応と同様の溶媒等を使用することができる。また、原料のアミンを反応系に過剰量添加し、これを反応溶媒として用いることもできる。また、スキーム10に示す第2ステップ(ヒドロシリル化反応)においては、前記スキーム1または2のヒドロシリル化反応と同様の溶媒、同様の触媒を使用することができる。
[1−1−1H]連結基Aを有しない化合物:
連結基Aを有しない含フッ素アルコキシシラン化合物は、下記スキーム11に従って合成することができる。
(スキーム11)
Figure 2015205973
スキーム11に示す反応においては、前記スキーム1または2のヒドロシリル化反応と同様の溶媒、同様の触媒を使用することができる。
[1−1−2]その他の反応条件:
含フッ素アルコキシシラン化合物αを合成する際の反応条件、例えば反応温度、反応雰囲気等は特に限定されない。反応温度については、反応の進行具合、使用する試薬、又は反応溶媒の沸点等によって適宜設定すればよい。また、反応雰囲気としては、例えば窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、又は空気等の雰囲気等を挙げることができる。
[1−1−3]化合物の同定:
合成した含フッ素アルコキシシラン化合物αの分子構造は、NMR(核磁気共鳴装置)やIR(赤外分光光度計)等を用いて同定することができる。
[1−1−4]具体的な分子構造:
以下に、含フッ素アルコキシシラン化合物αの分子構造を例示する。但し、本発明において使用する含フッ素アルコキシシラン化合物αは、これらに限定されるものではない。
Figure 2015205973
Figure 2015205973
[1−2]アルコキシシラン化合物β:
アルコキシシラン化合物βは、下記一般式(2)で示される化合物であり、不完全縮合物P2の合成原料となる化合物である。また、前記含フッ素アルコキシシラン化合物αとともに、不完全縮合物P1の合成原料として用いることもできる。
一般式(2): R−SiX3
前記一般式(2)中のRは炭素数1以上6以下のアルキル基である。アルキル基Rの炭素数を6以下とすることで、生成する縮合物の溶媒に対する溶解度が向上し、その後の取り扱いが容易になる。アルキル基Rの前記以外の構成は特に限定されないが、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。なお、前記一般式(2)中のXは前記一般式(1)と同義である。
アルコキシシラン化合物βは、Rf基、及びアルコキシ基以外の反応性官能基(例えばビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、エポキシ基、スルフィド基等)を含まない化合物であり、市販されている従来公知のアルコキシシラン化合物を使用することができる。以下に、アルコキシシラン化合物βの代表的な分子構造を例示する。但し、本発明において使用するアルコキシシラン化合物βは、これらに限定されるものではない。
Figure 2015205973
[1−3]シラン化合物γ:
シラン化合物γは、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α、前記アルコキシシラン化合物β以外のシラン化合物である。例えば、アルコキシ基以外の反応性官能基(例えばビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、エポキシ基、スルフィド基等)を有するシラン化合物を挙げることができる。前記シラン化合物γは、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α、前記アルコキシシラン化合物βとともに、不完全縮合物P1または不完全縮合物P2の合成原料として用いることができる。
[1−4]不完全縮合物P1
不完全縮合物P1は、含フッ素アルコキシシラン化合物αに由来する含フッ素アルコキシシランユニットaを含む不完全縮合物であり、本発明の撥水撥油性組成物の主たる成分である不完全縮合物P2を合成するための中間体となる。前記不完全縮合物P1には、前記含フッ素アルコキシシランユニットaの他、前記アルコキシシラン化合物βに由来するアルコキシシランユニットb、前記シラン化合物γに由来するシランユニットgを含んでいてもよい。中でも、前記不完全縮合物P1が、前記含フッ素アルコキシシランユニットaと、前記アルコキシシランユニットbと、を含む不完全縮合物であることが好ましい。
[1−4−1]不完全縮合の定義:
本明細書にいう「不完全縮合」とは、未反応のアルコキシ基または水酸基が残存している状態で、前記含フッ素アルコキシシラン化合物αや前記アルコキシシラン化合物β(以下、含フッ素アルコキシシラン化合物α等と記す場合がある)が縮合されていることを意味する。
一般に、アルコキシシランは加水分解されてシラノール基を生じると、分子間で脱水縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成する。前記含フッ素アルコキシシラン化合物α等には3個のアルコキシ基があり、その全てがシロキサン結合を形成し得る。しかし、前記不完全縮合物P1は、部分的に未反応のアルコキシ基または水酸基(以下、アルコキシ基等と記す場合がある)が残存した状態で、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α等が縮合された縮合物である。
より具体的には、前記含フッ素アルコキシシランユニットaまたは前記アルコキシシランユニットb(以下、含フッ素アルコキシシランユニットa等と記す場合がある)において、未反応のアルコキシ基等が3個残された状態をT0、未反応のアルコキシ基等が2個残された状態をT1、未反応のアルコキシ基等が1個残された状態をT2、全てのアルコキシ基等が脱水縮合反応に利用され、未反応のアルコキシ基が残存していない状態をT3とすると、前記不完全縮合物P1は、前記含フッ素アルコキシシランユニットa等として、T1またはT2の状態のユニットを含む縮合物である。換言すれば、前記不完全縮合物P1は、前記含フッ素アルコキシシランユニットa等が全てT1〜T3の状態(主としてT1とT2の状態)にあり、T0の状態のユニットを含まない。なお、前記不完全縮合物P1中の含フッ素アルコキシシランユニットa等の状態(T0〜T3)は、Si−NMRを用いて確認することができる。
[1−4−2]合成法:
前記不完全縮合物P1は、前記含フッ素アルコキシシラン化合物αを加水分解し、重縮合することにより合成することができる。前記合成の際には、前記含フッ素アルコキシシラン化合物αの他、前記アルコキシシラン化合物βや前記シラン化合物γを添加して反応を行ってもよい。
[1−4−2A]反応溶媒:
前記不完全縮合物P1は、溶媒中又は無溶媒下で合成することができる。溶媒中で合成する際に用いる反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒が挙げられる。なお、反応溶媒の使用量は特に限定されない。
[1−4−2B]加水分解用の水:
前記不完全縮合物P1を合成する際には、前記不完全縮合物P1の原料となる前記含フッ素アルコキシシラン化合物α、前記アルコキシシラン化合物β、および前記シラン化合物γを加水分解するために水を加えることが好ましい。水の添加量は特に限定されないが、原料中の全アルコキシ基に対して0.5当量以上2当量以下の範囲で添加するのが好ましい。
[1−4−2C]触媒:
前記不完全縮合物P1を合成する際には触媒を用いることができる。具体的には、ギ酸、酢酸などの有機酸;塩酸、硫酸などの無機酸;ジブチル錫ジメトキシド、テトラ−n−ブチルチタネートなどの有機金属;等を使用することができる。
[1−4−2D]その他の反応条件:
前記不完全縮合物P1を合成する際の反応条件、例えば反応温度、反応雰囲気等は特に限定されない。反応温度については、使用する原料、または溶媒の沸点等によって適宜設定すればよい。また、反応雰囲気としては、例えば窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、又は空気等の雰囲気等を挙げることができる。
[1−4−2E]未反応物の除去:
前記不完全縮合物P1を合成した後には、残存する未反応物(アルコキシ基が全て未反応(則ち、T0の状態)の前記含フッ素アルコキシシラン化合物α等)を除去しておくことが好ましい。未反応物の除去方法としては、例えば透析や限外ろ過等、従来公知の方法を利用することができる。なお、不完全縮合物P1中の未反応物の有無は、Si−NMRを用いて確認することができる。
[1−4−3]含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1
前記不完全縮合物P1中に含まれる前記含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1(モル%)は、特に限定されないが、下記数式(2)の関係を満たすことが好ましい。本明細書において、「モル%」とはモル分率×100で表される値である。
数式(2): 20≦a1≦100
前記含有率a1を20以上とすることで、後に合成される前記不完全縮合物P2中において、前記含フッ素アルコキシシランユニットaを十分に局在化させることができ、形成される撥水膜の撥水性を向上させることができる。
なお、前記含有率a1は、下記数式(4)により算出することができる。なお、下記数式(4)中のxは、Si−NMRによる反応物(T1〜T3)と未反応物(T0)の積分比から求めることができる。
数式(4): a1(モル%)={αa−x×[αa/(αa+βa+γa)]}/(αa+βa+γa−x)×100
前記数式(4)中、
αaは前記不完全縮合物P1を合成する際の前記含フッ素アルコキシシラン化合物αの仕込量(モル数)、
βaは前記不完全縮合物P1を合成する際の前記アルコキシシラン化合物βの仕込量(モル数)、
γaは前記不完全縮合物P1を合成する際の前記シラン化合物βの仕込量(モル数)、
xは前記不完全縮合物P1を合成した後に除去した、未反応物(前記含フッ素アルコキシシラン化合物α、前記アルコキシシラン化合物β、前記シラン化合物γ)の量(モル数)を示す。
[1−4−4]分子量:
前記不完全縮合物P1の分子量は特に限定されない。但し、前記反応溶媒中に溶解または均一に分散することができる範囲の分子量(例えば、10万以下等)に調整することが好ましい。前記不完全縮合物P1の分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
[1−5]不完全縮合物P2
不完全縮合物P2は、前記不完全縮合物P1に対して、更に前記アルコキシシラン化合物βを縮合させた不完全縮合物であり、本発明の撥水撥油性組成物の主たる成分である。「不完全縮合」の定義は、前記不完全縮合物P1の場合と同義である。則ち、前記不完全縮合物P2は部分的に未反応のアルコキシ基等が残存した状態で、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α等が縮合された縮合物である。前記不完全縮合物P2には、前記含フッ素アルコキシシランユニットa、前記アルコキシシラン化合物βに由来するアルコキシシランユニットbの他、前記シラン化合物γに由来するシランユニットgを含んでいてもよい。
[1−5−1]合成法:
前記不完全縮合物P2は、前記不完全縮合物P1とアルコキシシラン化合物βの混合物を加水分解し、重縮合することにより合成することができる。前記合成の際には、前記アルコキシシラン化合物βの他、前記シラン化合物γを添加して反応を行ってもよい。
前記不完全縮合物P2を合成する際の反応溶媒、水、触媒、反応温度、反応雰囲気等の条件は、前記不完全縮合物P1と同様の条件を適用することができる。
[1−5−2]含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2
前記不完全縮合物P2中に含まれる前記含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2(モル%)は、特に限定されないが、下記数式(3)の関係を満たすことが好ましい。
数式(3): 0.5≦a2≦20
前記含有率a2を0.5以上とすることで、形成される撥水膜の撥水性を向上させることができる。また、前記含有率a2を20以下とすることで、前記不完全縮合物P2の溶媒に対する親和性(溶解性)が高くなり、前記不完全縮合物P2をコーティング剤とした際の取扱いが容易となる。なお、前記含有率a2を20より大きくしても、前記不完全縮合物P2の溶媒に対する親和性(溶解性)が低下するだけで、形成される撥水膜の撥水性は殆ど向上しない。
なお、前記含有率a2は、下記数式(5)により算出することができる。なお、下記数式(5)中のyは、Si−NMRによる反応物(T1〜T3)と未反応物(T0)の積分比から求めることができる。
数式(5): a2(モル%)={Pb×(α1/100)}/(Pb+βb+γb−y)×100
前記数式(5)中、
α1は前記不完全縮合物P1中の前記含フッ素アルコキシシラン化合物αの含有率(モル%)、
Pbは前記不完全縮合物P2を合成する際の前記不完全縮合物P1の仕込量(モル数)、
βbは前記不完全縮合物P2を合成する際の前記アルコキシシラン化合物βの仕込量(モル数)、
γbは前記不完全縮合物P2を合成する際の前記シラン化合物γの仕込量(モル数)、
yは前記不完全縮合物P2を合成した後に除去した、未反応物(前記含フッ素アルコキシシラン化合物α、前記アルコキシシラン化合物β、前記シラン化合物γ)の量(モル数)を示す。
[1−5−3]含有率a1と含有率a2の関係:
本発明の撥水撥油性組成物は、前記不完全縮合物P1中に含まれる含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1(モル%)と、前記不完全縮合物P2中に含まれる含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2(モル%)が下記数式(1)の関係を満たすものである。
数式(1): a1/a2≧2
前記含有率a2に対して前記含有率a1を2倍以上とすることで、本発明の撥水撥油性組成物をコーティング剤として使用した際に、撥水性に優れた撥水膜を形成することができる。撥水膜の撥水性が向上する理由は明らかではないが、恐らく、前記不完全縮合物P2中に前記含フッ素アルコキシシランユニットaが局在化した部分が形成され、Rf基の多くが撥水膜の表面に配向したため、前記撥水膜が高い撥水性を示したものと推定している。
[1−5−4]分子量:
前記不完全縮合物P2の分子量は特に限定されない。但し、前記反応溶媒中に溶解または均一に分散することができる範囲の分子量(例えば、10万以下等)に調整することが好ましい。前記不完全縮合物P2の分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
[1−6]撥水撥油性組成物:
本発明の撥水撥油性組成物は、前記不完全縮合物P2を含有する。但し、前記撥水撥油性組成物には、前記不完全縮合物P2を合成した際に残存する未反応物(前記含フッ素アルコキシシラン化合物α、前記アルコキシシラン化合物β、および前記シラン化合物γ等)が含まれていてもよい。
前記撥水撥油性組成物は、そのままで、または希釈溶媒により希釈して、撥水膜を形成するためのコーティング剤として用いることができる。
前記希釈溶媒としては、例えば、
1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、パーフルオロヘプタンなどの含フッ素脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゾトリフロライド、m−キシレンヘキサンフロライド等の含フッ素芳香族炭化水素系溶媒;
1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン(「HFE−347pc−f」とも称される)、1−エトキシ−1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン(「HFE−569sf」とも称される)などの含フッ素エーテル系溶媒;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;
アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;
ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;
ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;
メタノール、エタノールなどのアルコール;
等を使用することができる。中でも、含フッ素脂肪族炭化水素系溶媒、含フッ素芳香族炭化水素系溶媒、含フッ素エーテル系溶媒等のフッ素系溶媒や、前記フッ素系溶媒と他の希釈溶媒との混合溶媒は、本発明の撥水撥油性組成物を容易に溶解するので好ましい。なお、前記希釈溶媒の使用量は、使用状況に応じて適宜設定すればよい。
[2]撥水膜:
本発明の撥水膜は、前記撥水撥油性組成物を用いて形成された撥水膜である。
[2−1]形成方法:
本発明の撥水膜は、前記撥水撥油性組成物を単独で、または希釈溶媒により希釈してコーティング剤とし、前記コーティング剤を基材表面に付着させて成膜した後、室温条件下または加熱条件下で乾燥する等の方法で形成することができる。
[2−1−1]基材:
前記基材を構成する材料としては、例えば、ガラス、陶磁器、金属等の材料を挙げることができる。
[2−1−2]成膜方法:
成膜方法は特に限定されない。例えば、ディップ法、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、刷毛を用いた塗布などの従来公知の成膜方法により成膜することができる。
[2−1−3]乾燥条件:
乾燥温度は、前記コーティング剤に含まれる前記希釈溶媒の発火点や引火点、前記基材の耐熱温度等により適宜決定すればよい。具体的には、室温(25℃)以上300℃以下とすることが好ましく、40℃以上250℃以下とすることが更に好ましく、50℃以上150℃以下とすることが特に好ましい。また、乾燥時間は、前記希釈溶媒が十分に除去され、形成される撥水膜の表面が硬化する時間とすればよい。
[2−2]接触角:
本発明の撥水膜は、接触角が90°以上であることが好ましい。ここに言う「接触角」とは、撥水膜の撥水性の程度を示す指標である。接触角が90°以上であれば、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いた場合と同等、又はそれ以上の撥水性を示していると言える。また、ここに言う「接触角」は、自動接触角計を使用して測定した撥水膜表面の接触角を意味する。具体的には、形成した撥水膜上の異なる5箇所で水の静的接触角を測定し、最大値と最小値を切り捨てた3点の平均値(平均接触角)である。自動接接触角計の種類は特に限定されないが、例えば、協和界面化学製の「CA−VP型」等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(1)含フッ素アルコキシシラン化合物αの合成:
含フッ素アルコキシシラン化合物αとアルコキシシラン化合物βの一覧を表4に示す。含フッ素アルコキシシラン化合物α−1〜α−17は下記手順により合成した(合成例1〜17)。アルコキシシラン化合物β−1〜β−3は市販品を使用した(市販品1〜3)。
Figure 2015205973
[合成例1]
反応容器中に、パーフルオロヘキシルエチレン1.00部及びトリエトキシシラン0.47部を投入し、攪拌しながら80℃で2時間反応させて、含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を1H−NMR(商品名「ECA400」、日本電子製)により分析したところ、δ0.60ppm(2H,t)、δ1.15−1.30ppm(9H,m)、δ1.70ppm(2H、t)、δ3.75−3.90ppm(6H、m)に、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を19F−NMR(商品名「ECA400」、日本電子製)により分析したところ、フッ素の積分比は13であった。
[合成例2]
トリエトキシシラン0.47部をトリメトキシシラン0.35部に変更した以外は、前記合成例1と同様にしてアルコキシシラン化合物α−2を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−2を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。
[合成例3]
パーフルオロヘキシルエチレンをパーフルオロブチルエチレンに変更するとともに、トリエトキシシランを0.67部用いたこと以外は、前記合成例1と同様にして含フッ素アルコキシシラン化合物α−3を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−3を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は9であった。
[合成例4]
パーフルオロヘキシルエチレンをパーフルオロプロピルエチレンに変更するとともに、トリエトキシシランを0.84部用いたこと以外は、前記合成例1と同様にしてアルコキシシラン化合物α−4を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−4を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は7であった。
[合成例5]
反応容器中に、アリルアルコール1.00部及びトリデカフルオロヘプタン酸6.30部を投入し、撹拌しながら100℃で5時間加熱した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムで分液した後、有機層を回収して濃縮し、中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.41部を80℃で2時間反応させてアルコキシシラン化合物α−5を得た。
得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−5を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH23−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、含フッ素アルコキシシラン化合物α−5をFT−IR(商品名「Prestige21」、島津製作所製)により分析したところ、1780cm-1にエステル基に由来する吸収が、1080cm-1、1100cm-1にエトキシシリル基に由来する吸収が観測された。
[合成例6]
アリルアルコールを9−デセン−1−オールに変更するとともに、トリデカフルオロヘプタン酸を2.80部用いたこと以外は、前記合成例5と同様にしてアルコキシシラン化合物α−6を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−6を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH210−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−6を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、エステル基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例7]
エチレンオキシドと18−ブロモ−1−オクタデセンを使用し、Organic Syntheses,Coll.Vol.1,p.306(1941);Vol.6,p.54(1926)の記載を参考にして19−エイコセン−1−オールを合成した。次いで、9−デセン−1−オールを19−エイコセン−1−オールに変更するとともに、トリデカフルオロヘプタン酸を1.47部及びトリエトキシシランを0.31部用いたこと以外は、前記合成例6と同様にして含フッ素アルコキシシラン化合物α−7を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−7を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH220−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−7を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、エステル基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例8]
反応容器中に、エテン−1−アミン1.00部及びパーフルオロヘプタン酸クロリド9.25部を投入し、撹拌しながら100℃で5時間加熱した。反応液をフッ素系溶媒と水で分液した後、フッ素系溶媒層を回収して濃縮し、中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.43部を反応容器中で撹拌しながら80℃で2時間反応させて含フッ素アルコキシシラン化合物α−8を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−8を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−8を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、アミド基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例9]
反応容器中に、ジメチルスルホキシド、アリルアルコール1.00部、及び過剰量の水素化ナトリウムを投入し、撹拌しながら室温で1時間反応させた。反応液をろ過後、反応容器中に、ろ液と1−ブロモパーフルオロヘキサン6.88部を投入し、撹拌しながら室温で48時間反応させた。反応液をフッ素系溶媒と水で分液した後、フッ素系溶媒層を回収して濃縮し、中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.44部を反応容器中で撹拌しながら80℃で2時間反応させ、含フッ素アルコキシシラン化合物α−9を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−9を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−9を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、エーテル基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例10]
アリルアルコールをアリルメルカプタンに変更するとともに、1−ブロモパーフルオロヘキサンを5.38部用いたこと以外は、前記合成例9と同様にして中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.42部を80℃で2時間反応させてアルコキシシラン化合物α−10を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−10を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH23−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−10を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、チオエーテル基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例11]
反応容器中に、アリルメルカプタン1.00部、パーフルオロヘプタン酸クロリド5.38部、及びピリジンを投入し、攪拌しながら室温で3時間反応させた。反応液をフッ素系溶媒と水で分液した後、フッ素系溶媒層を回収して濃縮し、中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.40部を反応容器中で攪拌しながら80℃で2時間反応させ、含フッ素アルコキシシラン化合物α−11を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−11を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH23−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−11を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、チオエステル基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例12]
アリルアルコールをアクリル酸に変更するとともに、トリデカフルオロヘプタン酸6.50部をトリデカフルオロ−1−ヘプタノール4.88部に変更したこと以外は合成例5と同様にして中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.41部を80℃で2時間反応させてアルコキシシラン化合物α−12を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−12を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−12を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、エステル基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例13]
エテン−1−アミンをアクリル酸クロリドに変更するとともに、パーフルオロヘプタン酸クロリド9.25部をトリデカフルオロヘプチルアミン3.28部に変更したこと以外は合成例8と同様にして中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.41部を80℃で2時間反応させて含フッ素アルコキシシラン化合物α−13を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−13を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−13を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、アミド基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例14]
エテン−1−アミンをアリルアルコールに変更するとともに、パーフルオロヘプタン酸クロリド9.25部をパーフルオロヘキシルエチルイソシアナート6.70部に変更したこと以外は合成例8と同様にして中間体を得た。得られた中間体1.00部とトリエトキシシラン0.38部を80℃で2時間反応させて含フッ素アルコキシシラン化合物α−14を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−14を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH23−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−14を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、ウレタン基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例15]
アリルアルコールをアリルイソシアナートに変更するとともに、パーフルオロエチルイソシアネート6.70部をトリデカフルオロ−1−ヘプタノール4.25部に変更したこと以外は合成例14と同様にして、アルコキシシラン化合物α−15を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−15を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH23−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は5であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−15を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、ウレタン基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例16]
トリデカフルオロ−1−ヘプタノール4.25部をトリデカフルオロヘプチルアミン4.20部に変更したこと以外は合成例15と同様にして、アルコキシシラン化合物α−16を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−16を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH23−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は13であった。さらに、前記含フッ素アルコキシシラン化合物α−16を前記合成例5と同様にして、FT−IRにより分析したところ、ウレア基、エトキシシリル基由来の吸収が観測された。
[合成例17]
パーフルオロヘキシルエチレンをパーフルオロオクチルエチレンに変更するとともに、トリエトキシシランを0.40部用いたこと以外は、前記合成例1と同様にしてアルコキシシラン化合物α−17を得た。得られた含フッ素アルコキシシラン化合物α−17を前記合成例1と同様に分析したところ、−(CH22−Si−(OCH2CH33の構造に由来するスペクトルが観測された。また、フッ素の積分比は17であった。
(2)撥水撥油性組成物の調製:
[実施例1]
反応容器中に、含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を1.00部、アルコキシシラン化合物β−1を0.52部、水を0.13部、エタノールを6.10部投入し、攪拌しながら70℃で12時間加熱した。反応後、反応液を限外ろ過することにより、未反応の含フッ素アルコキシシラン化合物α−1、アルコキシシラン化合物β−1を除去し、不完全縮合物P1を得た。得られた不完全縮合物P1をSi−NMR(商品名「ECA400」、日本電子製)により分析したところ、δ−45〜−55ppmにT1に由来するスペクトル、δ−55〜−65ppmにT2に由来するスペクトルが観測され、前記不完全縮合物P1が不完全縮合物であることを確認した。反応容器中に、前記不完全縮合物P1を1.00部、アルコキシシラン化合物β−1を4.01部、水を0.61部、エタノールを20.0部投入し、攪拌しながら70℃で12時間加熱することにより、不完全縮合物P2を合成し、撥水撥油性組成物1を得た。使用した原料、前記不完全縮合物P1中の含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1、前記不完全縮合物P2中の含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2、およびa1/a2の値を表5に示す。なお、表中の「化合物α」は含フッ素アルコキシシラン化合物α、「化合物β」はアルコキシシラン化合物βを意味する。
Figure 2015205973
[実施例2]
不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を0.58部、水を0.09部、エタノールを6.30部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物2を得た。その結果を表5に示す。
[実施例3]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を1.39部、水を0.27部、エタノールを9.56部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を0.73部、水を0.11部、エタノールを6.92部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物3を得た。その結果を表5に示す。
[実施例4]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を0.09部、水を0.07部、エタノールを4.35部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を6.02部、水を0.91部、エタノールを28.09部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物4を得た。その結果を表5に示す。
[実施例5]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1をアルコキシシラン化合物β−2に変更し、アルコキシシラン化合物β−2を0.40部、水を0.13部、エタノールを5.60部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−2を3.34部、水を0.66部、エタノールを17.3部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物5を得た。その結果を表5に示す。
[実施例6]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1をアルコキシシラン化合物β−3に変更し、アルコキシシラン化合物β−3を0.73部、水を0.13部、エタノールを6.92部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1をアルコキシシラン化合物β−3に変更し、アルコキシシラン化合物β−3を4.92部、水を0.53部、エタノールを23.7部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物6を得た。その結果を表5に示す。
[実施例7]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−2に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.57部、水を0.14部、エタノールを6.28部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を4.24部、水を0.64部、エタノールを21.0部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物7を得た。その結果を表5に示す。
[実施例8]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−3に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.65部、水を0.17部、エタノールを6.60部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を4.60部、水を0.69部、エタノールを22.4部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物8を得た。その結果を表5に示す。
[実施例9]
反応容器中に、アルコキシシラン化合物α−3を1.00部、水を0.066部、エタノールを4.00部投入し、攪拌しながら70℃で12時間加熱した。反応後、反応液を限外ろ過することにより、未反応の含フッ素アルコキシシラン化合物α−3を除去し、不完全縮合物P1を得た。得られた不完全縮合物P1を前記実施例1と同様に分析したところ、T1およびT2に由来するスペクトルが観測され、前記不完全縮合物P1が不完全縮合物であることを確認した。反応容器中に、得られた不完全縮合物P1を1.00部、アルコキシシラン化合物β−1を3.91部、水を0.59部、エタノールを19.6部投入し、攪拌しながら70℃で12時間加熱することにより、不完全縮合物P2を合成し、撥水撥油性組成物9を得た。その結果を表5に示す。
[実施例10]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−4に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.74部、水を0.19部、エタノールを6.96部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を4.97部、水を0.75部、エタノールを23.8部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物10を得た。その結果を表5に示す。
[実施例11]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−5に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.48部、水を0.12部、エタノールを5.92部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.80部、水を0.58部、エタノールを19.2部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物11を得た。その結果を表5に示す。
[実施例12]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−6に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.43部、水を0.11部、エタノールを5.72部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.51部、水を0.53部、エタノールを18.0部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物12を得た。その結果を表5に示す。
[実施例13]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を1.14部、水を0.22部、エタノールを8.56部に変更した以外は、前記実施例12と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を26.0部、水を3.95部、エタノールを108部に変更した以外は、前記実施例12と同様にして撥水撥油性組成物13を得た。その結果を表5に示す。
[実施例14]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−7に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.35部、水を0.09部、エタノールを5.40部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.03部、水を0.45部、エタノールを16.2部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物14を得た。その結果を表5に示す。
[実施例15]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−8に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.48部、水を0.12部、エタノールを5.92部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.80部、水を0.58部、エタノールを19.2部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物15を得た。その結果を表5に示す。
[実施例16]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−9に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.51部、水を0.13部、エタノールを6.05部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.92部、水を0.60部、エタノールを19.7部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物16を得た。その結果を表5に示す。
[実施例17]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−10に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.48部、水を0.12部、エタノールを5.92部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.80部、水を0.58部、エタノールを19.2部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物17を得た。その結果を表5に示す。
[実施例18]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−11に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.47部、水を0.12部、エタノールを5.88部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.72部、水を0.56部、エタノールを18.9部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物18を得た。その結果を表5に示す。
[実施例19]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−12に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.47部、水を0.12部、エタノールを5.88部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.73部、水0.57部、エタノール18.9部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物19を得た。その結果を表5に示す。
[実施例20]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−13に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.47部、水を0.12部、エタノールを5.88部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.74部、水を0.57部、エタノールを18.9部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物20を得た。その結果を表5に示す。
[実施例21]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−14に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.44部、水を0.11部、エタノールを5.76部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.55部、水を0.54部、エタノールを18.9部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物21を得た。その結果を表5に示す。
[実施例22]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−15に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.45部、水を0.11部、エタノールを5.80部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.61部、水を0.55部、エタノールを18.4部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物22を得た。その結果を表5に示す。
[実施例23]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−16に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.45部、水を0.12部、エタノールを5.80部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を3.61部、水を0.55部、エタノールを18.4部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物23を得た。その結果を表5に示す。
[実施例24]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−3に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.19部、水を0.09部、エタノールを4.76部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を1.08部、水を0.16部、エタノールを8.31部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物24を得た。その結果を表5に示す。
[実施例25]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を1.98部、水を0.35部、エタノールを11.9部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を1.56部、水を0.23部、エタノールを10.3部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物25を得た。その結果を表5に示す。
[実施例26]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−6に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を0.67部、水を0.15部、エタノールを6.68部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を42.3部、水を6.41部、エタノールを175部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物26を得た。その結果を表5に示す。
[比較例1]
不完全縮合物P1を合成する際に使用する含フッ素アルコキシシラン化合物α−1を含フッ素アルコキシシラン化合物α−3に変更し、アルコキシシラン化合物β−1を3.91部、水を0.66部、エタノールを19.8部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を0.37部、水を0.06部、エタノールを5.50部に変更した以外は、前記実施例1と同様にして撥水撥油性組成物27を得た。その結果を表5に示す。
[比較例2]
不完全縮合物P1を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を1.74部、水を0.33部、エタノールを11.0部に変更した以外は、前記比較例1と同様にして不完全縮合物P1を合成した。さらに、不完全縮合物P2を合成する際に使用するアルコキシシラン化合物β−1を0.26部、水を0.04部、エタノールを5.06部に変更した以外は、前記比較例1と同様にして撥水撥油性組成物28を得た。その結果を表5に示す。
[比較例3]
反応容器中に、含フッ素アルコキシシラン化合物α−2を1.00部、アルコキシシラン化合物β−1を6.63部、水を1.06部、エタノールを30.5部投入し、攪拌しながら70℃で20時間加熱することにより、不完全縮合物P2を合成し、撥水撥油性組成物29を得た。その結果を表5に示す。
[比較例4]
反応容器中に、含フッ素アルコキシシラン化合物α−17を1.00部、アルコキシシラン化合物β−1を6.43部、水を1.00部、エタノールを29.7部投入し、攪拌しながら70℃で20時間加熱することにより、不完全縮合物P2を合成し、撥水撥油性組成物30を得た。その結果を表5に示す。
(3)撥水膜の形成:
[実施例27]
前記撥水撥油性組成物1の固形分濃度が5%となるように、エタノールで希釈し、コーティング液とした。スピンコーターを使用して前記コーティング液をスライドガラスの表面に塗布し、80℃で2時間乾燥させることにより、撥水膜1を形成した。
[実施例28〜52、比較例4〜7]
撥水撥油性組成物1を撥水撥油性組成物2〜30に変更したこと以外は、前記実施例27と同様にして撥水膜2〜30を形成した。
(4)撥水性の評価:
自動接触角計(CA−VP型、協和界面化学製)を使用し、形成した撥水膜表面の接触角を測定した。具体的には、形成した撥水膜上の異なる5箇所で水の静的接触角を測定し、最大値と最小値を切り捨てた3点の平均値(平均接触角)を算出し、以下に示す評価基準に従って撥水膜の撥水性を評価した。その結果を表6に示す。
[評価基準]
A:平均接触角が100°以上
B:平均接触角が90°以上100°未満
C:平均接触角が90°未満
Figure 2015205973
表6に示す結果から明らかなように、本発明の撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜は、十分な撥水性を示した(実施例27〜52)。中でも、前記含有率a1、a2が前記数式(2)、前記数式(3)の関係を満たす撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜は、特に優れた撥水性を示した(実施例27〜49)。
一方、前記含有率a1、a2が前記数式(1)の関係を満たさない撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜は、撥水性が不十分であった(比較例4および5)。
また、2段階反応により合成しなかった(不完全縮合物P1に対してアルコキシシラン化合物βを反応させていない)不完全縮合物を含む撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜も、撥水性が不十分であった(比較例6)。さらに、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いて合成した不完全縮合物を含む撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜は、優れた撥水性を示すものの、PFOAを生成する可能性が高く、生体及び環境へのリスクも高いものであった(比較例7)。
本発明の撥水撥油性組成物は撥水膜形成用のコーティング剤として利用することができる。本発明の撥水膜は、耐水性が要求される物質(表面改質を行なうため)の撥水膜として利用することができる。
[実施例28〜52、比較例
撥水撥油性組成物1を撥水撥油性組成物2〜30に変更したこと以外は、前記実施例27と同様にして撥水膜2〜30を形成した。
Figure 2015205973
一方、前記含有率a1、a2が前記数式(1)の関係を満たさない撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜は、撥水性が不十分であった(比較例および)。
また、2段階反応により合成しなかった(不完全縮合物P1に対してアルコキシシラン化合物βを反応させていない)不完全縮合物を含む撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜も、撥水性が不十分であった(比較例)。さらに、炭素数8以上のRf基を有する含フッ素アルコキシシラン化合物を用いて合成した不完全縮合物を含む撥水撥油性組成物を用いて形成した撥水膜は、優れた撥水性を示すものの、PFOAを生成する可能性が高く、生体及び環境へのリスクも高いものであった(比較例)。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示される含フッ素アルコキシシラン化合物αに由来する含フッ素アルコキシシランユニットaを含む不完全縮合物P1に対して、更に下記一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物βを縮合させた不完全縮合物P2を含有し、
    前記不完全縮合物P1中に含まれる含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1(モル%)と、前記不完全縮合物P2中に含まれる含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2(モル%)が下記数式(1)の関係を満たすことを特徴とする撥水撥油性組成物。
    一般式(1): Rf−Yq−Ap−Z−SiX3
    (前記一般式(1)中、
    Rfは炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を示す。
    Yは−(CH2m−で示されるアルカンジイル基、mは1以上4以下の整数、qは0または1を示す。
    Aは−CO−O−、−O−CO−、−O−、−S−、−CO−S−、−CONH−、−NHCO−、−NHCO−O−、−O−CONH−、又は−NHCONH−で示される連結基、pは0または1を示す。ただし、pが0のときqは0である。
    Zは−(CH2n−で示されるアルカンジイル基、nは1以上20以下の整数を示す。
    Xは−OCr2r+1で示されるアルコキシ基、rは1以上4以下の整数を示す。3つのXは互いに同一の基でも異なる基でもよい。)
    一般式(2): R−SiX3
    (前記一般式(2)中、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基を示す。
    Xは前記一般式(1)と同義である。)
    数式(1): a1/a2≧2
  2. 前記不完全縮合物P1中に含まれる前記含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a1(モル%)と、前記不完全縮合物P2中に含まれる前記含フッ素アルコキシシランユニットaの含有率a2(モル%)が、下記数式(2)と下記数式(3)の関係を満たす請求項1に記載の撥水撥油性組成物。
    数式(2): 20≦a1≦100
    数式(3): 0.5≦a2≦20
  3. 前記不完全縮合物P1が、前記含フッ素アルコキシシランユニットaと、前記アルコキシシラン化合物βに由来するアルコキシシランユニットbと、を含む不完全縮合物である請求項1または2に記載の撥水撥油性組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撥水撥油性組成物を用いて形成された撥水膜。
  5. 接触角が90°以上である請求項4に記載の撥水膜。
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