JP2978421B2 - 撥水剤組成物 - Google Patents

撥水剤組成物

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JP2978421B2 JP7160635A JP16063595A JP2978421B2 JP 2978421 B2 JP2978421 B2 JP 2978421B2 JP 7160635 A JP7160635 A JP 7160635A JP 16063595 A JP16063595 A JP 16063595A JP 2978421 B2 JP2978421 B2 JP 2978421B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は基材に処理することによ
り、良好な撥水性を有する被膜を形成する撥水剤組成物
に関し、さらに詳しくは自動車、船舶などの窓ガラスに
処理することにより、雨天時などの視界確保に有効な撥
水性を付与することができる撥水剤組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】従来、ガラスの撥水
処理剤としては、ポリジメチルシロキサンをアルコール
等の溶媒に分散した組成物が市販されている。しかしな
がら、これらの組成物は撥水性の持続性が十分でないと
いう問題があり、これに対してフルオロアルキルシラン
等を配合した撥水剤組成物が提案されている。例えば、
分子鎖長の異なるフルオロアルキル基含有アルコキシシ
ランを2種類以上使用してガラス等の基材上に撥水性被
膜を形成する方法(特開平5−96679号公報参照)、フ
ッ素原子を有するシラン化合物をガラス表面に被覆して
撥水性を付与する方法(特開平5−96681 号公報参
照)、フルオロアルキル基含有アルコキシシランなどの
撥水剤と二酸化ケイ素を飽和させた珪フッ化水素酸の水
溶液との混合物を基材表面に形成させて撥水性を付与す
る方法(特開平5−97474 号公報、同5−97477 号公
報、同5−97478 号公報参照)、パーフルオロアルキル
基を含有するオルガノシラザン共重合体と有機溶剤から
なる撥水性を付与する被膜形成剤組成物(特開平5−31
1121号公報参照)、フルオロアルキルシラン、酸触媒、
アルコールおよび水からなる撥水処理剤(特開平5−31
1156号公報参照)、フルオロアルキルシランと金属アル
コキシドとの部分加水分解物、水および酸触媒を含有す
る撥水処理剤(特開平5−319867号公報参照)などが知
られている。しかしながら、これらに示されるフルオロ
アルキル基含有シランを用いた撥水剤においては、特殊
な溶媒を使用する必要がある、加熱処理が必要である、
あるいは拭き取りなどの後処理が必要である、などの問
題があった。また得られる撥水処理ガラスは水を弾いて
水滴を形成するが、この場合の接触角から評価した撥水
性は良好であるが、水滴の処理ガラス面からの落下は必
ずしも十分なものではなく、処理ガラスを自動車の窓ガ
ラスとして使用する場合、良好な視界を得るためにはさ
らに改善が望まれていた。
【0003】
【発明の目的】本発明は加熱をすることなく室温で処理
ができ、持続性に優れた良好な撥水性を付与することが
でき、処理面からの水滴の落下が容易なために良好な視
界が確保できる撥水処理ガラスなどを得ることができる
撥水剤組成物を提供することを目的とする。本発明者ら
は上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、フルオロ
アルキル基含有アルコキシシランを主成分とし、これに
特定のアルコキシシランを配合し、さらに加水分解触媒
と有機溶媒を使用することにより、良好な特性を有する
撥水剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明の撥水剤組成物は (A) 一般式 CF3(CF2)m(CH2)nSiRpX3-p (1) (式中、 Rは置換あるいは非置換の1価の炭化水素基、
Xはアルコキシ基、mは0〜10の整数、nは2〜10の整
数、pは0〜2の整数を表す)で示される化合物0.05〜
10.0重量% (B) 一般式 R1 qSiY4-q (2) (式中、R1は同一あるいは相異なる非置換の1価の炭化
水素基、 Yはアルコキシ基、qは1〜3の整数を表す)
で示される化合物0.05〜10.0重量% (C) 加水分解触媒 0.001〜10.0重量% (D) 有機溶媒 2.0〜99.8重量% を含有することを特徴とする。
【0004】本発明の成分(A) は、一般式(1) で示され
るフルオロアルキル基含有アルコキシシランである。式
中、R は置換あるいは非置換の1価の炭化水素基を示
し、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基など
のアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロ
アルキル基、シクロヘキセニル基、シクロ−2,4−ヘ
キサジエニル基などのシクロアルケニル基、フェニル
基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェニル
エチル基、スチリル基などのアラルキル基、あるいはこ
れらの基の一部がハロゲン原子、アミノ基、水酸基、ア
ルコキシ基などで置換されたものなどが例示される。こ
れらの中でも、得られる被膜の撥水性が良好なことか
ら、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基が好まし
く、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また X
は良好なポットライフを有する組成物が得られることか
ら、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−
プロポキシ基、n−ブトキシ基などのアルコキシ基であ
り、組成物の硬化性、得られる被膜の撥水性が良好なこ
とから、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。成分
(A) のフルオロアルキル基において、mは0〜10の整数
であり、この範囲であることによって、良好な硬化性と
撥水性を有する組成物が得られ、好ましくは4〜8の整
数である。またnは2〜10の整数であり、得られる原料
の合成のし易さと良好な撥水性が得られることから、好
ましくは2である。また成分(A) において、pは0〜2
の整数であり、得られる被膜の撥水性が良好なことから
0または1であることが好ましい。成分(A) としては、
具体的には、 CF3CH2CH2Si(OCH3)3、 CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、 CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3、 CF3(CF2)7CH2CH2Si(OC2H5)3 、 CF3CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2 、 CF3(CF2)5CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2 、 CF3(CF2)7CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2 などが例示される。成分(A) の配合量は、本発明の組成
物中0.05〜10.0重量%であり、好ましくは0.2〜 5.0重
量%である。0.05重量%よりも少ないと良好な撥水性が
得られず、10.0重量%よりも多いと基材表面に均一に塗
布できないために、拭き取りなどの後処理が必要になり
好ましくない。
【0005】本発明の成分(B) は、一般式(2) で示され
る炭化水素基含有アルコキシシランである。式中、R1
同一あるいは相異なる非置換の1価の炭化水素基を示
し、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基など
のアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロ
アルキル基、シクロヘキセニル基、シクロ−2,4−ヘ
キサジエニル基などのシクロアルケニル基、フェニル
基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェニル
エチル基、スチリル基などのアラルキル基などが例示さ
れる。これらの中でも、得られる被膜の撥水性が良好で
水滴が容易に落下することから、炭素数1〜18のアルキ
ル基が好ましく、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ま
しい。また Yは良好なポットライフを有する組成物が得
られることから前記 Xと同様なアルコキシ基であり、
にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。また成分(B) に
おいて、qは1〜3の整数であり、得られる被膜の撥水
性が良好で水滴が容易に落下することから2または3で
あることが好ましく、特に2であることが好ましい。成
分(B) としては、具体的には CH3Si(OCH3)3、 (CH3)2Si(OCH3)2 、 (CH3)3Si(OCH3)、 (CH3)2Si(OC2H5)2、 (C4H9)(CH3)Si(OCH3)2、 (C4H9)(CH3)2Si(OCH3)、 (C6H13)Si(OCH3)3、 (C6H13)(CH3)Si(OCH3)2 、 (C6H13)(CH3)2Si(OCH3) 、 (C18H37)(CH3)Si(OCH3)2、 (C18H37)(CH3)2Si(OCH3)、 (CH3)3CSi(CH3)2(OCH3) などが例示される。成分(B) の配合量は、本発明の組成
物中0.05〜10.0重量%であり、好ましくは0.2〜 5.0重
量%である。0.05重量%よりも少ないと処理表面での水
滴の落下が不十分であり、10.0重量%よりも多いと基材
表面に均一に塗布できないために、拭き取りなどの後処
理が必要になり、好ましくない。
【0006】本発明の成分(C) は成分(A) と成分(B) の
加水分解触媒となるものであり、塩酸、硝酸、硫酸、燐
酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ
酸、スルホン酸、無水酢酸、安息香酸などの有機酸、ア
ンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無
機塩基、エチレンジアミン、トリエタノールアミンなど
の有機塩基などが例示され、良好なポットライフと撥水
性が得られることから、無機酸、有機酸が好ましく、特
に塩酸、硝酸が好ましい。成分(C) の配合量は、本発明
の組成物中 0.001〜10.0重量%であり、好ましくは0.01
〜 5.0重量%、特に好ましくは 0.2〜 2.0重量%であ
る。 0.001重量%よりも少ないと、成分(A) と成分(B)
の加水分解速度が不十分なために基材表面に良好な撥水
性の被膜が形成されず、10.0重量%よりも多いと、組成
物の良好なポットライフが得られにくくなり、さらには
臭気などの問題も発生する。
【0007】本発明の成分(D) は各成分を溶解・分散す
るものであり、メタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコール、メトキシプロパノール
などのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサンなどのエーテルアルコールおよびエー
テル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ンのようなケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n
−ブチルのようなエステル類、n−ヘキサン、ガソリ
ン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、灯油のような脂
肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのよう
な芳香族炭化水素類、オクタメチルシクロテトラシロキ
サン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチ
ルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンのような
揮発性シリコーンなどが例示され、中でも組成物のポッ
トライフと塗工性が良好なものとなることから、エーテ
ルアルコール類およびアルコール類が好ましく、特にイ
ソプロピルアルコールが好ましい。成分(D) の有機溶媒
は2種類以上を併用してもよく、速やかに揮発してさら
に塗りむらのない良好な塗工性が得られ、拭き取りなど
の後処理が不要となることから、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコールのような沸点が 100℃未満
のものと、プロピレングリコールモノメチルエーテル、
n−ブチルアルコールのような沸点が 100℃以上のもの
を併用することが好ましく、特に沸点が60〜98℃のもの
と 100〜 160℃のものを併用することが好ましい。併用
する場合の低沸点溶媒と高沸点溶媒の比率は、高沸点溶
媒が有機溶媒中に2〜50重量%、特に5〜20重量%とな
るように配合することが好ましい。成分(D) の配合量
は、本発明の組成物中 2.0〜99.8重量%であり、好まし
くは50.0〜98.0重量%である。 2.0重量%よりも少ない
と、組成物のポットライフと塗工性が不十分となり、9
9.8重量%よりも多いと、十分な撥水性を有する被膜が
得られにくくなる。
【0008】本発明の組成物にはさらに、アニオン系、
カチオン系、ノニオン系および両性系の各種界面活性
剤、各種金属防錆剤、不凍液、着色剤、紫外線吸収剤、
香料などを配合することができ、また水を溶媒として併
用することもできる。
【0009】本発明の組成物の調製方法は特に制限され
ず、各成分を室温で混合して均一な組成物とすることに
より得られるが、一般に成分(C) の加水分解触媒を最後
に添加する手順により組成物を調製する。本発明の組成
物の基材への処理方法も特に制限されず、スプレーコー
ト、ディッピング、ワイピング、刷毛塗り、布拭きなど
により均一に塗布すればよく、加熱などすることなく良
好な撥水処理ができる。
【0010】
【発明の効果】本発明の撥水剤組成物は、加熱をするこ
となく室温で処理ができ、拭き取りなどの後処理もする
必要がなく、持続性に優れた良好な撥水性を付与するこ
とができるという特徴を有する。本発明の撥水剤を用い
た処理したガラスは良好な撥水性を示し、さらに表面に
生じる水滴が容易に落下をするため、ガラスの視界が良
好に保たれ、特に自動車や船舶の窓ガラス用の撥水剤と
して有用である。
【0011】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお実施例において部は重量部を、%は重量%を示
す。 実施例1 イソプロピルアルコール85部にプロピレングリコールモ
ノメチルエーテル10部を添加して混合し均一にした。こ
の中にヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン[C
F3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3] 2.0部とジメチルジメトキシ
シラン 2.0部を添加して混合し、さらに加水分解触媒と
して硝酸(61%濃度)1.0部を添加して均一に混合して処
理剤を調製した。得られた処理剤をガラス基板にディッ
プコートし、さらに室温で15分間風乾を行い、撥水処理
ガラス板を作成した。この撥水処理ガラス板の外観を目
視にて観察し、塗りむらを以下の通り評価した。また、
撥水処理ガラス板上に水滴をのせ、その初期接触角と落
下傾斜角を測定装置(協和科学(株)製、CA−A型)
により測定し、撥水性を評価した。結果を表1に示す。 外 観 ○:均一に処理され、塗りむらは無い。 △:僅かに塗りむらによる霞みが見られる。 ×:塗りむらによる霞みが見られる。
【0012】実施例2〜8 表1に示す組成で実施例1と同様に処理剤を調製し、同
様に外観および撥水性を評価した。結果を表1に示す。
【0013】比較例1 ジメチルジメトキシシランを添加せず、イソプロピルア
ルコールを87部とした他は、実施例1と同様に処理剤を
調製し、同様に外観および撥水性を評価した。結果を表
1に示す。
【0014】比較例2 ジメチルジメトキシシランを15.0部、イソプロピルアル
コールを73部、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルを9部とした他は、実施例1と同様に処理剤を調製
し、同様に外観および撥水性を評価した。結果を表1に
示す。
【0015】
【表1】
【0016】表1の結果からわかる通り、実施例では良
好な外観、初期接触角、落下傾斜角を示したのに対し、
比較例1では落下傾斜角が不十分であり、また比較例2
では塗りむらによって外観が不良であった。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) 一般式 CF3(CF2)m(CH2)nSiRpX3-p (1) (式中、 Rは置換あるいは非置換の1価の炭化水素基、
    Xはアルコキシ基、mは0〜10の整数、nは2〜10の整
    数、pは0〜2の整数を表す)で示される化合物0.05〜
    10.0重量% (B) 一般式 R1 qSiY4-q (2) (式中、R1は同一あるいは相異なる非置換の1価の炭化
    水素基、 Yはアルコキシ基、qは1〜3の整数を表す)
    で示される化合物0.05〜10.0重量% (C) 加水分解触媒 0.001〜10.0重量% (D) 有機溶媒 2.0〜99.8重量% を含有する撥水剤組成物。
  2. 【請求項2】前記成分(D) の有機溶媒がアルコールであ
    る請求項1記載の撥水剤組成物。
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