JPH11293232A - 撥液膜および撥液剤 - Google Patents

撥液膜および撥液剤

Info

Publication number
JPH11293232A
JPH11293232A JP10102936A JP10293698A JPH11293232A JP H11293232 A JPH11293232 A JP H11293232A JP 10102936 A JP10102936 A JP 10102936A JP 10293698 A JP10293698 A JP 10293698A JP H11293232 A JPH11293232 A JP H11293232A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
organic material
repellent film
repellent
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10102936A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Shirasawa
淳 白澤
Masaji Nakanishi
正次 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10102936A priority Critical patent/JPH11293232A/ja
Publication of JPH11293232A publication Critical patent/JPH11293232A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 300℃程度までの高温においても撥液性を
有する耐熱性撥液膜およびそれを形成するための撥液剤
を提供する。 【解決手段】 基材表面に一体的に被覆され、金属酸化
物を主成分とするセラミックスの非金属原子の一部がフ
ルオロアルキル基で置換されて成る母相中に、該母相を
構成しない有機材料が分子レベルで分散している撥液
膜。金属アルコキシドのアルコキシル基の一部がフルオ
ロアルキル基で置換されたフルオロアルキル基置換アル
コキシドから成る母相中に、該母相を構成しない有機材
料が分子レベルで分散している撥液剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥液膜および撥液
剤に関し、特に内燃機関の燃焼室内のように200〜3
00℃程度の高温においても撥液性を有する耐熱性撥液
膜およびそれを形成するための撥液剤に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジン等の内燃機関の燃焼室
では、その内壁の濡れ性が高いと、燃料の未気化分が付
着してピストンヘッド面等に煤が生成し易くなる。この
煤の発生を防止するには、燃焼室内壁の撥液性を高める
ことが必要である。一方、自動車のフロントガラス等と
して、雨天走行時の視界確保のために撥水性を高めた撥
水ガラスが従来から知られている。
【0003】例えば、本出願人は特開平4−33813
7号公報において、シリコンアルコキシドのアルコキシ
ル基の一部をフルオロアルキル基で置換したフルオロア
ルキル基置換シリコンアルコキシドを撥水剤として用
い、ガラス基板表面に一体的に被覆されたSiO2 を主
成分とするセラミックスの非金属原子の一部がフルオロ
アルキル基で置換されて成る撥水膜を形成する技術を開
示した。
【0004】燃焼室内壁の撥液性についても、フロント
ガラスの撥水性と同じ原理で解決できるはずである。し
かし、上記公報による撥液膜は燃焼室内の200〜30
0℃程度の高温では撥液性が低下してしまうという問題
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、300℃程
度までの高温においても撥液性を有する耐熱性撥液膜お
よびそれを形成するための撥液剤を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の撥液膜は、基材表面に一体的に被覆さ
れ、金属酸化物を主成分とするセラミックスの非金属原
子の一部がフルオロアルキル基で置換されて成る母相中
に、該母相を構成しない有機材料が分子レベルで分散し
ていることを特徴とする。
【0007】本発明の撥液膜を形成するための撥液剤
は、金属アルコキシドのアルコキシル基の一部がフルオ
ロアルキル基で置換されたフルオロアルキル基置換アル
コキシドから成る母相中に、該母相を構成しない有機材
料が分子レベルで分散していることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】前記公報による撥液膜の撥液性が
高温で低下する劣化機構には、(A)フルオロアルキル
基の熱分解、(B)フルオロアルキル基−母相間の結合
切断、(C)母相内部の結合切断、および(D)母相−
基材間の結合切断がある。ここで、母相は、上記公報で
はシリカ(SiO2 )を、本発明では金属酸化物を主成
分とする。
【0009】本発明の撥液膜の第一の態様においては、
母相中に分子レベルで分散させる有機材料として、上記
劣化機構の(A)(B)が起きるよりも低温で(1)低
分子に分解し、(2)ガスを発生し、(3)酸化する有
機材料を用いることにより、機構(A)(B)による劣
化を防止して耐熱性を向上させることができる。すなわ
ち、母材中に分子レベルで分散した有機材料が、低温で
分解・気化し、撥液膜表面近傍にガス層を形成し、この
ガス層が酸化(燃焼)することにより、撥液膜の温度上
昇および酸化を抑制する。いわば有機材料が母相に対し
て優先的に分解し酸化する犠牲材として作用し撥液膜母
相を保護する。
【0010】一般に、このような有機材料には下記の性
質が必要である。 撥液剤調整時に溶媒に対する溶解度が高いこと。 有機材料と溶媒ができるだけ近いSP(溶解度パラメー
タ)値を持つこと。望ましくは両者のSP値の比が2倍
以内であること。 熱分解温度が高いこと。
【0011】分子量がある程度以下であること。分子
量≦1000程度が望ましい。 化学的に安定であること。撥液剤(撥液膜)の母相と
反応し難いこと。 このような性質を備えるために、有機材料の分子構造中
にベンゼン環が存在することが望ましい。ベンゼン環は
400℃程度までの高温で熱分解し、この熱分解でエネ
ルギーが消費されることにより撥液膜の温度が低下する
ので、上記機構(A)(B)が起きない。
【0012】このような撥液膜を形成するための撥液剤
は、分子構造中にベンゼン環が存在する有機材料が母相
中に分子レベルで分散している。本発明の撥液膜の第二
の態様においては、母相中に分子レベルで分散した有機
材料が母相酸化物と加水分解による縮合反応により結合
されていることにより、母相酸化物のネットワークを強
化し、母相の構造中特に有機部位の熱運動を抑制し、高
温による母相ネットワークの崩壊すなわち上記劣化機構
(C)を防止する。
【0013】一般に、このような有機材料には下記の性
質が必要である。 第一態様と同じく、撥液剤調整時に溶媒に対する溶解
度が高いこと。有機材料と溶媒ができるだけ近いSP
(溶解度パラメータ)値を持つこと。望ましくは両者の
SP値の比が2倍以内であること。 低温で酸化・熱分解しないこと。
【0014】分子量がある程度以上であること。分子
量≧100程度が望ましい。 撥液剤(撥液膜)の母相と反応し易いこと。 このような撥液膜を形成するための撥液剤は、分子構造
の末端に加水分解性の官能基が存在する有機材料が母相
中に分子レベルで分散している。これにより、母相アル
コキシドのORと縮合反応が起こり、焼成により形成さ
れる酸化物母相の骨格に有機材料が固定されるため、酸
化物ネットワークが強化される。
【0015】また、劣化機構の(C)母相内部の結合切
断および(D)母相−基材間の結合切断は、基材から濃
度勾配等を駆動力として撥液膜中に拡散してくる物質に
より促進される。例えば、アルカリおよびアルカリ土類
金属イオン等は母相酸化物中の化学結合および母相−基
材間の化学結合を切断する作用があるし、また遷移金属
等は撥液母相中で化合物を形成して成長し物理的に母相
酸化物構造および母相−基材間結合構造を破壊する。
【0016】上記第二の態様においては、母相中に分子
レベルで分散した有機材料が母相酸化物と加水分解によ
る縮合反応により結合されていることにより、上記ネッ
トワーク強化作用に加えて、上記拡散物質をトラップし
て劣化機構(C)(D)を抑制する効果も得られる。本
発明の撥液膜の最も望ましい態様は、上記第一および第
二の態様を同時に含む。その際、有機材料の性質のう
ち、溶媒に対する溶解度が高いことは第一、第二態様
に共通しているのに対し、その他の性質熱安定性・燃
焼性、分子量、母相との反応性については第一、第
二態様について一見相反するが、例えば100≦分子量
≦1000のように第一、第二態様を同時に満たす有機
材料を用いればよい。
【0017】
【実施例】本発明によりJIS SUS440Cステン
レス鋼製基材表面に、シリカ構造の酸素(O)の一部が
フルオロアルキル基で置換された母相中に、有機材料と
してローダミン6Gが分子レベルで分散した耐熱性撥液
膜を形成した。形成は下記の手順で行った。
【0018】(1)撥液剤の作成 配合 容量110mlのガラス容器中で、下記の成分を混合し
た。 主有機溶媒:エタノール 48.75g 有機材料:ローダミン6G 0.048g(不揮発残分
の約100 分の1)、又は0.0048g(不揮発残部の約
1000の1) 金属アルコキシド:テトラエトキシシラン(TEOS: Si(O
C2H5)4) 5.1g 置換アルコキシド:フルオロアルキルシラン(FAS:CF
3(CH2)7CH2CH2Si(OMe)31.6g 触媒:0.05N塩酸水溶液 ここに、ローダミン6Gは蛍光性色素として知られてお
り、その構造は下記構造式に示したように、ベンゼン環
を有し、その末端に加水分解性の官能基(−OCH2
3 )がある。
【0019】
【化1】
【0020】なお、分子量は462であり、本発明の最
も望ましい態様の一つである。 攪拌 上記混合直後から攪拌子を用いて室温て10日間連続し
て攪拌した。 (2)基材への塗布 JIS SUS440Cステンレス鋼試料の表面を粗度
0.8s以下に研磨仕上げし、上記撥液剤をディッピン
グ法により引き上げ速度30mm/minにて塗布し
た。
【0021】(3)焼成 上記塗布後の試料を乾燥した後、大気中で200℃に1
時間保持する焼成を行い、本発明による撥液膜を得た。
比較のため、本発明による有機材料としてのローダミン
6Gを添加せず、他の条件および手順は上記と同様にし
て従来の撥液膜を形成した。
【0022】本発明の撥液膜2試料および上記従来の撥
液膜1試料について、370℃にて大気中に種々の時間
保持した後、室温での対水接触角により耐熱性を評価し
た。なお、上記370℃での加熱保持は、内燃機関の燃
焼室で想定される温度(通常300℃程度以下)より高
温における加速試験である。その結果、図1に示したよ
うに、ローダミン6G無添加の従来材は5時間の加熱保
持により対水接触角が110°から55°に大きく低下
しているのに対し、ローダミン6Gを添加した本発明材
は20時間の加熱によっても対水接触角は110°から
100°に僅かに低下するだけであり、耐熱性が著しく
向上していることが分かる。
【0023】また、本発明材のうちローダミン6Gの添
加量が多い方(不揮発残分の約100分の1 添加) がより
高い耐熱性を有する。これに比べて、ローダミン6Gの
添加量が少ない方(不揮発残分の約1000分の1 添加) は
加熱時間が20時間を超えると急激に対水接触角が低下
しているが、これは優先的に分解し酸化して犠牲材とし
て撥液膜母相を保護していたローダミン6Gが消耗し尽
くしたためである。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高温においても撥液性を有する耐熱性撥液膜およびそれ
を形成するための撥液剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明により母相中に有機材料を添加
した撥液膜の耐熱性を、従来の撥液膜と比較して示すグ
ラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に一体的に被覆され、金属酸化
    物を主成分とするセラミックスの非金属原子の一部がフ
    ルオロアルキル基で置換されて成る母相中に、該母相を
    構成しない有機材料が分子レベルで分散していることを
    特徴とする撥液膜。
  2. 【請求項2】 前記有機材料の分子構造中にベンゼン環
    が存在することを特徴とする請求項1記載の撥液膜。
  3. 【請求項3】 前記有機材料が前記母相酸化物と加水分
    解による縮合反応により結合されていることを特徴とす
    る請求項1または2記載の撥液膜。
  4. 【請求項4】 金属アルコキシドのアルコキシル基の一
    部がフルオロアルキル基で置換されたフルオロアルキル
    基置換アルコキシドから成る母相中に、該母相を構成し
    ない有機材料が分子レベルで分散していることを特徴と
    する撥液剤。
  5. 【請求項5】 前記有機材料の分子構造中にベンゼン環
    が存在することを特徴とする請求項4記載の撥液剤。
  6. 【請求項6】 前記有機材料の分子構造の末端に加水分
    解性の官能基が存在することを特徴とする請求項4また
    は5記載の撥液剤。
JP10102936A 1998-04-14 1998-04-14 撥液膜および撥液剤 Pending JPH11293232A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10102936A JPH11293232A (ja) 1998-04-14 1998-04-14 撥液膜および撥液剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10102936A JPH11293232A (ja) 1998-04-14 1998-04-14 撥液膜および撥液剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11293232A true JPH11293232A (ja) 1999-10-26

Family

ID=14340734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10102936A Pending JPH11293232A (ja) 1998-04-14 1998-04-14 撥液膜および撥液剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11293232A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03100184A (ja) * 1989-09-13 1991-04-25 Nippon Sheet Glass Co Ltd 着色処理を施した金属体の製造方法
JPH07207255A (ja) * 1994-01-11 1995-08-08 Nippon Sheet Glass Co Ltd 撥水被膜用組成物
JPH07246365A (ja) * 1994-03-11 1995-09-26 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃焼室内部に被膜を形成する方法
JPH0913018A (ja) * 1995-07-03 1997-01-14 Nippon Sheet Glass Co Ltd 撥水被膜用組成物および撥水ガラス
JPH0913017A (ja) * 1995-06-27 1997-01-14 Toshiba Silicone Co Ltd 撥水剤組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03100184A (ja) * 1989-09-13 1991-04-25 Nippon Sheet Glass Co Ltd 着色処理を施した金属体の製造方法
JPH07207255A (ja) * 1994-01-11 1995-08-08 Nippon Sheet Glass Co Ltd 撥水被膜用組成物
JPH07246365A (ja) * 1994-03-11 1995-09-26 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃焼室内部に被膜を形成する方法
JPH0913017A (ja) * 1995-06-27 1997-01-14 Toshiba Silicone Co Ltd 撥水剤組成物
JPH0913018A (ja) * 1995-07-03 1997-01-14 Nippon Sheet Glass Co Ltd 撥水被膜用組成物および撥水ガラス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2555797B2 (ja) 撥水ガラス及びその製造方法
CN106927866B (zh) 具有增强温度能力的制品
KR20000076520A (ko) 연소 가스 환경에서 실리카 및 규소 함유 물질의 감쇠손실을 방지하는 방법
KR20000047675A (ko) 피막의 형성 방법
CN110461799B (zh) 包含基材和环境阻隔件的部件
JPH07283212A (ja) Si−O含有皮膜の形成方法
EP0170295A2 (en) Precursor for carbon-containing monolithic glasses
JP2007144916A (ja) 超撥水性基体
JPH10194784A (ja) 撥水性ガラス
US20070100066A1 (en) Coated article, coating liquid composition, and method for producing coated article
JPH11293232A (ja) 撥液膜および撥液剤
JPH08225382A (ja) 複合エレクトロニクス被膜
JP3228085B2 (ja) 撥水処理剤
JP5343271B2 (ja) 撥水撥油防汚性ガラス板とその製造方法及びそれを用いた自動車と電磁調理器
JP2687060B2 (ja) 高耐久撥水皮膜の形成溶液
JPH11105185A (ja) 低誘電率シリカ質膜
JPH11105187A (ja) 高純度シリカ質膜の形成方法及び高純度シリカ質膜
JPH0524885A (ja) ガラスの撥水処理方法
JPH08325037A (ja) 撥水撥油防汚ガラス及びその製造方法
JP3444153B2 (ja) 撥水性ガラスコート膜及びその製造方法
JP2776190B2 (ja) 撥水処理剤組成物
JP3269314B2 (ja) 撥水処理剤
JP3889221B2 (ja) Ito透明導電膜形成用塗布液および透明導電膜の形成方法
JP3608030B2 (ja) 撥液膜の形成方法
JP6031653B2 (ja) 撥水撥油性複合膜形成溶液とそれを用いた撥水撥油性複合膜の製造方法とその方法を用いて製造した撥水撥油性複合膜

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040427

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040831