JP2015195173A - 車両用標識灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】リヤウィンドウに沿った車室内に配設され、運転席からの車両後方の視認性を損なわない車両用標識灯を提供する。【解決手段】対向する一対の電極層12a,12b間に有機発光層14が積層する有機EL発光体10で構成し、自動車のリヤウィンドウ2に沿った車室内に配設する標識灯で、有機発光層14および前面側電極層12bを透明に構成し、背面側電極層12bを金属光沢面を備えたストライプ模様の反射層で構成した。標識灯を構成する発光体10の背面側電極層12a(ストライプ模様)非形成領域から車両後方が透けて見え、標識灯を通した車両後方の視界が幾分暗くなるが、標識灯によって車両後方の視界が遮られることはない。点灯時、車室側に発光せず、バックミラーを介したグレア光とはならず、車室内から車両前方に配光されても、対向車や歩行者への誤認情報とはならない。【選択図】図3

Description

本発明は、ストップランプなどの車両用標識灯に係り、特に、車両後部に設ける車両用標識灯に関する。
ストップランプ,ターンシグナルランプなどの車両用標識灯は、車両後部に左右一対設けられるが、最近の自動車業界では、後方視界を十分に確保するために、リヤウィンドウが大型化される傾向にあって、それだけ標識灯設置スペースが狭められるという問題がある。
ハイマウントストップランプのように、リヤウィンドウの内側に配置することも考えられるが、ランプによって車両後方の視界が遮られる分、後方視認性が低下する、という問題が発生する。
そこで、下記特許文献1では、リヤウィンドウの内側に配置するハイマウントストップランプを板状の有機EL発光パネルで構成することで、運転席からの後方視認性の低下を改善している。
即ち、有機EL発光パネルは、点灯時には赤く発光するが、非点灯時には透明であるため、運転席からの後方視認性がハイマウントストップランプによって遮られない。
特開平11−198720
しかし、前記した特許文献1では、例えば、ブレーキランプを踏んでいる間、有機EL発光パネルは該パネルの表裏両面が発光するため、即ち、車室側にも発光するため、有機EL発光パネルの発光がグレア光となって、運転席からの後方視認性がむしろ悪化する、という新たな問題がある。
また、有機EL発光パネルの赤い発光が車室内から車両前方に配光されことで、自車の進行方向を対向車等に誤って認識させてしまうという問題もある。
本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設されるが、運転席からの車両後方の視認性が損なわれず、ドライバーにはグレア光が、対向車や歩行者には自車の進行方向を誤って認識させるような誤認光が生しない車両用標識灯を提供することにある。
前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用標識灯においては、
対向する一対の電極層間に有機発光層が積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
前記発光体の有機発光層および前面側電極層をそれぞれ透明に構成するとともに、前記発光体の背面側電極層を、前記有機発光層との境界に金属光沢面を形成するストライプ模様の反射層で構成した。
(作用)標識灯のスイッチがオンとなって、有機EL発光体の電極層間に直流電圧が印加されると、有機発光層が所定の色(例えば、ストップランプでは、赤色)に発光し、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射した赤い発光が、リヤウィンドウを透過して車両後方に配光されて、標識灯として機能する。
詳しくは、有機EL発光体の有機発光層におけるストライプ模様の背面側電極層に対応する部位が発光し、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射するが、この出射光には、背面側電極層の有機発光層との境界に形成された金属光沢面で反射した光も含まれる。即ち、本来は車室側から出射する光も、背面側電極層の金属光沢面で反射してリヤウィンドウに正対する側から出射する。このため、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側がストライプ模様に明るく発光し、標識灯の被視認性が向上する。
一方、有機EL発光体の車室側では、有機発光層の発光がストライプ模様の背面側電極層で遮光され、また、有機発光層における背面側電極層が形成されていない部位はもともと発光しないので、有機EL発光体の車室側からは、有機発光層の発光がほとんど出射できない。
この結果、標識灯の車室側の発光はほとんど無視できる程度の極めて弱い光で、標識灯の車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、標識灯の車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウを透して見える車両後方の視界に標識灯が存在するが、標識灯を構成する有機EL発光体の背面側電極層(ストライプ模様)が形成されていない領域が透明に透けて見えるため、標識灯を透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、標識灯の点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
前記目的を達成するために、請求項2に係る車両用標識灯においては、
対向する一対の電極層間に有機発光層を積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
前記発光体の前面側電極層および背面側電極層をそれぞれ透明に構成し、前記有機発光層を、垂直または水平方向に直線偏光発光する透明な有機偏光発光層で構成するとともに、
前記発光体近傍の車室側に、該発光体の車室側への偏光発光を遮光する偏光板を配設するように構成した。
(作用)有機偏光発光層は、有機発光層を構成する分子鎖の方向が一方向に規則正しく揃うことで、垂直方向または水平方向の偏光光が出射するように構成されている。
そして、標識灯のスイッチがオンとなって、有機EL発光体の電極間に直流電圧が印加されると、有機偏光発光層が所定の色(例えば、ストップランプでは、赤色)に発光(垂直または水平方向に直線偏光発光)し、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射した赤い偏光発光が、リヤウィンドウを透過して車両後方に配光されて、標識灯として機能する。
一方、有機EL発光体の車室側から出射した偏光発光は、発光体近傍に配設された偏光板によって遮光される。詳しくは、有機偏光発光層の発光が垂直方向の偏光発光の場合は、水平方向偏光板(垂直方向の偏光光を遮光し、水平方向の偏光光を透過する偏光板)によって、確実に遮光される。また、有機偏光発光層の発光が水平方向の偏光発光の場合は、垂直方向偏光板(水平方向の偏光光を遮光し、垂直方向の偏光光を透過する偏光板)によって、確実に遮光される。
このように、有機EL発光体の車室側の偏光発光は、偏光板によって確実に遮光されるので、標識灯の発光がバックミラーを介して運転者に導かれることも、車室内から車両前方に配光されることもない。
また、運転席からリヤウィンドウを透して見える車両後方の視界に標識灯が存在し、有機EL発光体自体は透明で透けて見える(垂直方向の偏光光および水平方向の偏光光のいずれも透過する)が、偏光板は、水平方向の偏光光または垂直方向の偏光光のいずれか一方だけが透過できる。このため、標識灯を透して見える車両後方の視界は、偏光板の可視光透過率が低い分、暗くはなるものの、標識灯によって遮られてしまうことはない。これは、標識灯の点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
請求項3においては、請求項1に記載の車両用標識灯において、
前記有機発光層を垂直または水平方向に直線偏光発光する透明な有機偏光発光層で構成した。
(作用)請求項2と同様、有機発光層が垂直または水平方向に偏光発光する透明な有機偏光発光層で構成されているので、電極層間に直流電圧が印加されると、有機EL発光体の有機偏光発光層は、垂直または水平方向に偏光発光する。
特に、背面側電極層は、請求項1と同様、ストライプ模様の反射層で構成されているので、有機偏光発光層におけるストライプ模様の背面側電極層に対応する部位だけが偏光発光(背面側電極層非形成領域は発光しない)し、即ち、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側がストライプ模様に偏光発光し、リヤウィンドウを透過して車両後方に配光されて、標識灯として機能する。
また、有機偏光発光層の発光のうち、本来は車室側から出射する光も、背面側電極層の金属光沢面で反射して有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射する分、標識灯の車両後方における配光量が増え、被視認性が向上する。
一方、有機EL発光体の車室側では、有機偏光発光層の偏光発光がストライプ模様の背面側電極層で遮光され、また、有機偏光発光層における背面側電極層非形成領域はもともと発光しないので、有機EL発光体の車室側からは、有機偏光発光層の偏光発光がほとんど出射できない。
この結果、標識灯の車室側の発光はほとんど無視できる程度のきわめて弱い偏光光で、標識灯の車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、標識灯の車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウを透して見える車両後方の視界に標識灯が存在するが、標識灯を構成する有機EL発光体の背面側電極層(ストライプ模様)が形成されていない領域が透明に透けて見えるため、標識灯を透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、標識灯の点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
前記目的を達成するために、請求項4に係る車両用標識灯においては、
対向する一対の電極層間に有機発光層が積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
前記一対の電極層および前記有機発光層はそれぞれ透光性を有するとともに、前記背面側電極層を、入射光の一部を反射し一部を透過させる光反射・透過層で構成した。
なお、背面側電極層を構成する光反射・透過層としては、例えばアルミニウムの薄膜を蒸着等により成膜したハーフミラーで構成されている。ハーフミラーは、入射した光の一部を反射し、一部を透過させる特性を備え、その光線透過率(光反射率)は、膜厚を変えることで調整できる。
(作用)標識灯のスイッチがオンとなって、有機EL発光体の電極層間に直流電圧が印加されると、有機発光層が所定の色(例えば、ストップランプでは、赤色)に発光し、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射した赤い発光が、リヤウィンドウを透過して車両後方に配光されて、標識灯として機能する。
詳しくは、有機EL発光体の背面側電極層が、入射光の一部を反射し一部を透過させる光反射・透過層で構成されているので、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射する光には、有機発光層の発光のうち、直接、前面側電極層から出射する光に加えて、背面側電極層(光反射・透過層)で反射されて前面側電極層から出射する光も含まれる。即ち、本来は有機EL発光体の車室側から出射すべき光の一部がリヤウィンドウに正対する側から出射する。このため、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側が明るく発光し、標識灯の被視認性が向上する。
一方、有機EL発光体の車室側には、有機発光層の発光のうち、背面側電極層(光反射・透過層)を透過した一部の光だけが出射する。
この結果、標識灯の車室側の発光は、極めて弱い光で、標識灯の車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、標識灯の車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウを透して見える車両後方の視界に標識灯が存在するが、標識灯を構成する有機EL発光体は透光性を有する一方、有機EL発光体の背面側電極層(光反射・透過層)は入射光の一部だけを透過させるため、標識灯を透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、標識灯の点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
前記目的を達成するために、請求項5に係る車両用標識灯においては、
対向する一対の電極層間に有機発光層が積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
前記一対の電極層および前記有機発光層はそれぞれ透光性を有するとともに、前記発光体近傍の車室側に、入射光の一部を反射し一部を透過させる光反射・透過層を形成した透光性部材を配設した。
なお、有機EL発光体の構造としては、対向する一対の電極層間に有機発光層を積層した構造の有機EL発光素子が発光面を構成する透明基板に積層一体化されるとともに、有機EL発光素子全体が透光性樹脂カバーで覆われている構造が一般的であるので、請求項6に係る車両用標識灯の具体的構造としては、有機EL発光体の透光性樹脂カバーに光反射・透過層を直接形成する場合と、有機EL発光体の透光性樹脂カバーの車室側に、光反射・透過層を形成した透光性部材を配設する場合とが考えられる。
(作用)標識灯のスイッチがオンとなって、有機EL発光体の電極層間に直流電圧が印加されると、有機発光層が所定の色(例えば、ストップランプでは、赤色)に発光し、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射した赤い発光が、リヤウィンドウを透過して車両後方に配光されて、標識灯として機能する。
詳しくは、有機EL発光体近傍の車室側に、入射光の一部を反射し一部を透過させる光反射・透過層を形成した透光性部材が配設されているので、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側から出射する光には、有機発光層の発光のうち、直接、前面側電極層から出射する光に加えて、背面側電極層から出射するが、有機EL発光体近傍の透光性部材(の光反射・透過層)で反射されて、有機EL発光体に入射し透過して、有機EL発光体の前面側電極層から出射する光も含まれる。即ち、本来は有機EL発光体の車室側から出射し車室前方に向うべき光の一部がリヤウィンドウに正対する側から出射する。このため、有機EL発光体のリヤウィンドウに正対する側が明るく発光し、標識灯の被視認性が向上する。
一方、有機EL発光体の車室側から出射した発光は、有機EL発光体近傍の透光性部材に入射するが、その一部だけが光反射・透過層を透過して出射し、その一部は、前記したように光反射・透過層で反射される。
この結果、標識灯の車室側の発光は、極めて弱い光で、標識灯の車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、標識灯の車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウを透して見える車両後方の視界に標識灯が存在するが、標識灯を構成する有機EL発光体は透光性を有する一方、有機EL発光体近傍に配設された透光性部材の光反射・透過層は、入射光の一部だけを透過させるため、標識灯を透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、標識灯の点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
また、テールランプ,ストップランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプなどの標識灯は、車体後部に配設することが一般的であるが、運転席からの車両後方の視界を十分に確保するためには、リヤウィンドウを大型化することが望ましい。しかし、リヤウィンドウを大型化すると、車体後部における標識灯配置スペースが狭められて、標識灯を配置する自由度がなくなる。
然るに、請求項1,2,3,4,5では、車体後部に配設するこれらの標識灯の少なくとも一つ(例えば、テールランプやストップランプ)を、大型化したリヤウィンドウの内側に沿って配設することで、車体後部に配設すべき標識灯の数が減る分、車体後部における標識灯設置スペースを十分に確保できる。勿論、車室内に配設した標識灯は透けて後方の視界を遮らないため、リヤウィンドウ大型化の効果を享受できる。
以上の説明から明らかなように、請求項1,2,3,4,5に係る車両用標識灯によれば、点・消灯時に、リヤウィンドウを透して見える車両後方の視界が標識灯によって遮られることがないので、運転席からの車両後方の視認性が良好となる。
特に、リヤウィンドウを大きくすることで、運転席からの車両後方の視認性がより良好になることに加えて、標識灯の少なくとも一つをリヤウィンドウの内側に沿って配設することで、車体後部に配設すべき標識灯の数が減る分、車体後部における標識灯設置スペースが十分に確保されて、自動車後部における標識灯配置の自由度が大幅に改善される。
また、請求項1,3に係る車両用標識灯によれば、点灯時、標識灯の車室側への発光は無視できる程度のきわめて弱い光で、バックミラーを介して標識灯の発光が運転者に導かれたとしても、グレア光とならないし、車室内から車両前方に配光されたとしても、対向車や歩行者に自車の進行方向を誤って認識させるような誤認情報を与えることもない。
また、請求項2に係る車両用標識灯によれば、点灯時、有機EL発光体の車室側から出射した偏光発光は偏光板によって確実に遮光されるので、標識灯の発光が車室側に導かれず、標識灯の発光がバックミラーを介して運転者にグレア光として作用したり、車室内から車両前方に配光されて対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、請求項4,5に係る車両用標識灯によれば、点灯時、標識灯の車室側への発光は、きわめて弱い光で、バックミラーを介して標識灯の発光が運転者に導かれたとしても、グレア光とならないし、車室内から車両前方に配光されたとしても、対向車や歩行者に自車の進行方向を誤って認識させるような誤認情報を与えることもない。
また、請求項1,3,4,5に係る車両用標識灯によれば、標識灯のリヤウィンドウに正対する側から出射する光には、本来は車室側に向う光の一部も含まれるため、標識灯の被視認性がそれだけ向上する。
本発明に係る車両用標識灯をストップランプに適用した第1の実施例で、自動車後部の正面図である。 本発明の第1の実施例であるストップランプの背面図(車室側から見た図)である。 同ストップランプの縦断面図である。 本発明の第2の実施例であるストップランプの縦断面図である。 同ストップランプの構成を説明する説明図である。 同ストップランプの要部である有機EL発光体の分光分布を示し、(a)は垂直方向の偏光光の分光分布を示し、(b)は水平方向の偏光光の分光分布を示す。 同ストップランプの要部である偏光板の透過率分布を示し、(a)は垂直方向の偏光光の透過率分布を示し、(b)は水平方向の偏光光の透過率分布を示す。 同ストップランプの要部である偏光板の透過率分布を示し、(a)は垂直方向の偏光光の透過率分布を示し、(b)は水平方向の偏光光の透過率分布を示す。 本発明の第3の実施例であるストップランプの縦断面図である。 本発明の第4の実施例であるストップランプの縦断面図である。 本発明の第5の実施例であるストップランプの縦断面図である。 本発明の第6の実施例であるストップランプの縦断面図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図1,2,3は、本発明に係る車両用標識灯をストップランプに適用した第1の実施例である。
これらの図において、符号1は、正面視略L字形の薄い板状に形成されたストップランプで、自動車後部に設けられた大きな面積のリヤウィンドウ2の内側(車室側)には、公知の固定手段により、該リヤウィンドウ2に接近または密着するように配置されている。
なお、図1において、符号4は、テールアンドストップランプ、符号6は、ターンシグナルランプ、符号8は、バックアップランプで、これらのランプ4,6,8はいずれも車体外部に取り付けられている。
ストップランプ1は、図2,3に示すように、対向する一対の電極層12a,12b間に有機発光層14を積層した有機EL表示素子11を備えた板状の有機EL発光体10で構成されている。
詳しくは、有機EL表示素子11は、透明基板13の上に形成されたITO膜等の透明な前面側電極層12aと、その上に形成される透明な有機発光層14と、さらにその上に形成される金属膜等の不透明な横ストライプ模様の背面側電極層12bで構成され、背面側電極層12bを構成する横ストライプ部12b1同士は、互いに導通が確保(図示せず)されるとともに、前面側電極層12aとの絶縁が確保されている。そして、ストップランプ1を構成する有機EL発光体10は、発光面10aを構成する透明基板13と、透明基板13に積層一体化された有機EL表示素子11と、素子11全体を覆う容器状の透明樹脂カバー15で構成されている。
電極層12a,12bは、接続線16a,16bによって制御部18aに接続され、制御部18aは、フットブレーキに連動するランプスイッチ19に接続されている。ストライプ模様の背面側電極層12bは、有機発光層14との境界に金属光沢面を形成する反射層で構成されて、上下方向等間隔に配置された横ストライプ部12b1,12b1間には、有機発光層14の表面14aが左右に細長く帯状に露呈している。
そして、スイッチ19がオンされると、制御部18aを介して、有機EL表示素子11には、電極層12a側が陽極となるように、直流電圧が印加され、電極層12a側からは正孔が、電極層12b側からは電子がそれぞれ有機発光層14内に注入され、正孔と電子が結合する際に有機発光層14が赤色に発光する。即ち、ストップランプ1では、有機EL発光体10の発光面10aがストライプ状に赤く発光し、リヤウィンドウ2を透過して車両後方(図3右方向)に配光される。
詳しくは、有機EL発光体10の有機発光層14におけるストライプ模様の背面側電極層12bに対応する部位が発光し、有機EL発光体10のリヤウィンドウ2に正対する側から出射するが、この出射光には、背面側電極層12bの有機発光層14との境界に形成された金属光沢面で反射した光も含まれる。即ち、本来は車室側から出射する光も、背面側電極層12bの金属光沢面で反射してリヤウィンドウ2に正対する側から出射する。このため、有機EL発光体10のリヤウィンドウ2に正対する発光面10aがストライプ模様に明るく発光し、ストップランプ1の被視認性が向上する。
一方、有機EL発光体10の車室側では、有機発光層14の発光がストライプ模様の背面側電極層12bで遮光され、また、有機発光層14における背面側電極層12bが形成されていない部位(横ストライプ部12b1で挟まれた帯状の領域)14aはもともと発光しないので、有機EL発光体10の車室側からは、有機発光層14の発光がほとんど出射できない。
この結果、ストップランプ1の車室側の発光はほとんど無視できる程度の極めて弱い光で、ストップランプ1の車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、ストップランプ1の車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウ2を透して見える車両後方の視界にストップランプ1が存在するが、ストップランプ1を構成する有機EL発光体10の背面側電極層(ストライプ模様)12bが形成されていない領域が透明に透けて見えるため、ストップランプ1を透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、ストップランプ1の点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
なお、前記した実施例では、背面側電極層12bのストライプ模様が横縞で形成されているが、ストライプ模様は横縞に限るものではなく、縦縞や斜め縞であってもよい。
図4は、本発明の第2の実施例であるストップランプの縦断面図である。
この第2の実施例であるストップランプ1Aは、板状の有機EL発光体10Aと、該発光体10Aの車室側近傍に配設された水平方向偏光板20で構成されている。
有機EL発光体10Aは、前記した第1の実施例のストップランプ1を構成する有機EL発光体10とその基本的な構成は同じであるが、以下の点で相違している。
即ち、有機EL発光体10Aの有機発光層14A(有機EL表示素子11Aを構成する有機発光層14A)は、有機発光層を構成する分子鎖の方向が一方向に規則正しく揃うことで、垂直方向の偏光光を出射する有機偏光発光層として構成されるとともに、背面側電極層12cは、前面側電極層12aと同様、有機発光層14Aに積層するITO膜等の透明な導電膜で構成されている。
このため、ストップランプ1Aのスイッチがオンとなって、有機EL発光体10Aの電極層12a,12b間に直流電圧が印加されると、有機偏光発光層14A全体が赤色に発光(垂直方向に直線偏光発光)し、有機EL発光体10Aのリヤウィンドウ2に正対する側から出射した赤い偏光発光が、リヤウィンドウ2を透過して車両後方に配光されて、ストップランプ1Aとして機能する(図4,5参照)。
図6(a),(b)は、有機EL発光体10A(有機EL表示素子11A)の分光分布特性を示すが、この図に示すように、有機EL発光体10Aの発光は、波長620nm付近の赤色の光(垂直方向の偏光光)だけで構成され、水平方向の偏光光が全く含まれていない(図6(b)参照)。
また、水平方向偏光板20は、垂直方向の偏光光を遮光するが、水平方向の偏光光を透過させる特性をもち、有機EL発光体10Aの車室側への偏光発光(垂直方向の偏光光)を確実に遮光するようになっている(図5参照)。
図7(a),(b)は、水平方向偏光板20の透過率分布を示し、(a)は垂直方向の偏光光の透過率分布を、(b)は水平方向の偏光光の透過率分布を示すが、この図に示すように、偏光板20では、垂直方向の偏光光を100%遮光し、水平方向の偏光光を100%透過させる。
その他の構成は、前記した第1の実施例であるストップランプ1と同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
前記したように、有機EL発光体10Aの車室側の偏光発光は、水平方向偏光板20によって確実に遮光されるので、ストップランプ1Aの発光がバックミラーを介して運転者に導かれることも、車室内から車両前方に配光されることもない。
また、図5に示すように、運転席からリヤウィンドウ2を透して見える車両後方の視界にストップランプ1Aが存在し、有機EL発光体10A自体は透明で透けて見える(垂直方向の偏光光および水平方向の偏光光のいずれも透過する)が、水平方向偏光板20は、水平方向の偏光光だけが透過できる(垂直方向の偏光光は透過できない)。このため、ストップランプ1Aを透して見える車両後方の視界は、偏光板20の可視光透過率が低い分、暗くはなるものの、ストップランプ1Aによって遮られてしまうことはない。これは、ストップランプ1Aの点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
なお、前記した第2の実施例では、水平方向偏光板20の透過率分布は、図7(a)に示すように、垂直方向の偏光光が100%遮光されるため、偏光板20の可視光透過率が低く、ストップランプ1Aを透して見える車両後方の視界が暗くならざるを得ないが、偏光板20に代えて、図8(a),(b)に示すように、垂直方向の偏光光の赤色の波長域(620nm付近)だけを遮光し、水平方向の偏光光を100%透過させる透過率分布をもつ水平方向偏光板を用いた場合は、水平方向偏光板の可視光透過率が大幅に高くなるので、ストップランプ1Aを透して見える車両後方の視界が明るく見易くなる。
また、前記した第2の実施例では、有機発光層14Aが垂直方向に赤色に偏光発光する有機偏光発光層で構成され、発光体10A近傍の車室側に配設する偏光板20が水平方向偏光板で構成されているが、有機発光層14Aを水平方向に赤色に偏光発光する有機偏光発光層で構成し、発光体10A近傍の車室側に配設する偏光板20を垂直方向偏光板(水平方向の偏光光を遮光し、垂直方向の偏光光を透過する偏光板)で構成してもよい。
図9は、本発明の第3の実施例であるストップランプの断面図である。
この第3の実施例であるストップランプ1Bでは、有機EL発光体10Bの背面側電極層12b(透明基板13に一体化された有機EL表示素子11Bの背面側電極層12b)が、第1の実施例であるストップランプ1を構成する有機EL発光体10の背面側電極層12bと同様、有機発光層14Aとの境界に金属光沢面を形成する横ストライプ模様の反射層(ストライプ部)12b1で構成されている。
その他の構成は、前記した第2の実施例であるストップランプ1Aと同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
ストップランプ1Bでは、ストップランプ1Aと同様、有機発光層14Aが垂直方向に偏光発光する透明な有機偏光発光層で構成されているので、電極層12a,12b間に直流電圧が印加されると、有機EL発光体10Bの有機偏光発光層14Aが垂直方向に偏光発光する。
さらに、背面側電極層12bは、第1の実施例のストップランプ1と同様、ストライプ模様の反射層(ストライプ部)12b1で構成されているので、有機偏光発光層14Aにおけるストライプ模様の背面側電極層12bに対応する部位だけが偏光発光(背面側電極層非形成領域は発光しない)し、有機EL発光体10Bの発光面10aがストライプ状に発光(偏光発光)し、リヤウィンドウ2を透過して車両後方に配光されて、ストップランプ1Bとして機能する。
また、有機偏光発光層14Aの発光のうち、本来は車室側から出射する光も、背面側電極層12bの金属光沢面で反射して有機EL発光体の発光面10aから出射する分、ストップランプ1Bの車両後方における配光量が増え、被視認性が向上する。
一方、有機EL発光体10Bの車室側では、有機偏光発光層14Aの偏光発光がストライプ模様の背面側電極層12bで遮光され、また、有機偏光発光層14Aにおける背面側電極層非形成領域はもともと発光しないので、有機EL発光体10Bの車室側からは、有機偏光発光層14Aの偏光発光がほとんど出射できない。
また、たとえ、有機偏光発光層14Aの偏光発光が、背面側電極層12bの上下方向等間隔に延在する横ストライプ部12b1,12b1間の隙間から有機EL発光体10Bの車室側に漏れたとしても、水平方向偏光板20によって確実に遮光されるので、ストップランプ1Bの発光がバックミラーを介して運転者に導かれることも、車室内から車両前方に配光されることもない。
また、運転席からリヤウィンドウ2を透して見える車両後方の視界にストップランプ1Bが存在し、ストップランプ1Bを構成する有機EL発光体10Bの背面側電極層(ストライプ模様)12b非形成領域が透明に透けて見えるが、偏光板20の可視光透過率が低いため、ストップランプ1Bを透して見える車両後方の視界は、前記した第2のストップランプ1Aよりもいっそう暗くはなるものの、ストップランプ1Bによって遮られてしまうことはない。これは、ストップランプ1Bの点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
なお、前記した第3の実施例のストップランプ1Bでは、有機EL発光体10Bの車室側近傍に水平方向偏光板20が設けられているが、水平方向偏光板20は必ずしも設ける必要はない。
即ち、ストップランプ1Bの車室側の発光は、ストライプ状の背面側電極層12bから漏れた、ほとんど無視できる程度のきわめて弱い偏光光で、ストップランプ1Bの車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、ストップランプ1Bの車室側への発光が車室内
から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
そして、水平方向偏光板20を設けない構造では、ストップランプ1Bを透して見える車両後方の視界が、可視光透過率が低い偏光板20がない分、明るくなって、運転席からリヤウィンドウ2を透して見える車両後方の視認性が向上する。
図10は、本発明の第4の実施例であるストップランプの縦断面図である。
この第4の実施例であるストップランプ1Cを構成する有機EL発光体10Cは、発光面10aを構成する透明基板13と、透明基板13に積層一体化された有機EL表示素子11Cと、素子11C全体を覆う容器状の透明樹脂カバー15で構成されている。
有機EL表示素子11Cは、透明基板13の上に形成されたITO膜等の透明な前面側電極層12aと、その上に形成される透明な有機発光層14と、さらにその上に形成される背面側電極層12dで構成され、背面側電極層12dは、例えばアルミニウムの薄膜を蒸着等により成膜したハーフミラー30で構成されている。背面側電極層12dを構成するハーフミラー30は、入射した光の一部を反射し、一部を透過させる特性を備え、その光線透過率(光反射率)は、膜厚を変えることで調整できる。
また、ストップランプ1Cを構成する有機EL発光体10Cは、透光性の樹脂で構成されたリヤウィンドウ2Aに倣う板状に形成されるとともに、弾性接着剤または弾性両面テープ40によって、リヤウィンドウ2Aの内側(車室側)に固定されている。詳しくは、有機EL発光体10Cの透明基板13の周縁部とリヤウィンドウ2A間に介装された弾性接着剤または弾性両面テープ40によって、ストップランプ1Cの発光面10aの全域が密封されている。
このため、ストップランプ1Cの発光面10aは、ごみ等によって汚れるおそれが少ないので、ストップランプ1Cの被視認性が長期間にわたり保証されるし、ストップランプ1Cを透して見える車両後方の視界の視認性も長期間にわたり保証される。
また、リヤウィンドウ2Aからストップランプ1Cを構成する有機EL発光体10Cに伝達される振動や、リヤウィンドウ2Aと透明基板13間に発生する熱応力等の負荷は、弾性接着剤または弾性両面テープ40によって吸収されるので、有機EL発光体10Cに伝達される負荷が低減される分、ストップランプ1C(有機EL発光体10C)の耐久性が保証される。
その他の構成は、前記した第1の実施例であるストップランプ1Aと同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
次に、ストップランプ1Cの標識灯としての被視認性およびストップランプ1Cを透したドライバーからの車両後方の視認性について説明する。
ストップランプ1Cのスイッチがオンとなって、有機EL発光体10Cの電極層12a,12d間に直流電圧が印加されると、有機発光層14が赤色に発光し、ストップランプ1Cの発光面10a(有機EL発光体10Cのリヤウィンドウ2Aに正対する側)から出射した赤い発光が、リヤウィンドウ2Aを透過して車両後方(図10右側)に配光されて、ストップランプ1Cとして機能する。
詳しくは、有機EL発光体10Cの背面側電極層12dがハーフミラー30で構成されているので、ストップランプ1C(有機EL発光体10C)の発光面10aから出射する光には、有機発光層14の発光のうち、直接、前面側電極層12aから出射する光に加えて、背面側電極層12d(ハーフミラー30)で反射されて前面側電極層12aから出射する光も含まれる。
即ち、本来はストップランプ1C(有機EL発光体10C)の車室側から出射すべき光の一部もストップランプ1Cの発光面10aから出射するため、ストップランプ1Cの発光面10aがそれだけいっそう明るく発光し、ストップランプ1Cの被視認性が向上する。
一方、ストップランプ1C(有機EL発光体10C)の車室側には、有機発光層14の発光のうち、背面側電極層12d(ハーフミラー30)を透過した一部の光だけが出射する。
この結果、ストップランプ1Cの車室側の発光は、極めて弱い光で、ストップランプ1Cの車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、ストップランプ1Cの車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウ2Aを透して見える車両後方の視界にストップランプ1Cが存在するが、ストップランプ1Cを構成する有機EL発光体10Cは透光性を有する一方、有機EL発光体10Cの背面側電極層12d(ハーフミラー30)は入射光の一部だけを透過させるため、ストップランプ1Cを透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、ストップランプ1Cの点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
特に、昼間は、ストップランプ1Cを透して、暗い車室内から明るい車外を見ることになるため、車両後方を十分に視認できる。
図11は、本発明の第5の実施例であるストップランプの断面図である。
この第5の実施例であるストップランプ1Dを構成する有機EL発光体10Dは、発光面10aを構成する透明基板13と、透明基板13に積層一体化された有機EL表示素子11Dと、素子11D全体を覆う容器状の透明樹脂カバー15で構成され、透明樹脂カバー15には、ハーフミラー30が形成されている。
詳しくは、有機EL表示素子11Dは、透明基板13の上に形成されたITO膜等の透明な前面側電極層12aと、その上に形成される透明な有機発光層14と、さらにその上に形成されるITO膜等の透明な背面側電極層12eで構成されている。
また、透明樹脂カバー15の内側には、入射光の一部を反射し一部を透過させるハーフミラー30が形成されており、有機EL表示素子11Dの発光の一部がハーフミラー30で反射され、一部がハーフミラー30を透過し、さらに透明樹脂カバー15も透過する。
その他の構成は、前記した第1の実施例であるストップランプ1Aと同一であり、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
次に、ストップランプ1Dの標識灯としての被視認性およびストップランプ1Dを透したドライバーからの車両後方の視認性について説明する。
ストップランプ1Dのスイッチがオンとなって、有機EL発光体10Dの電極層12a,12e間に直流電圧が印加されると、有機発光層14が所定の色(例えば、ストップランプでは、赤色)に発光し、ストップランプ1Dの発光面10a(のリヤウィンドウ2Aに正対する側)から出射した赤い発光が、リヤウィンドウ2Aを透過して車両後方に配光されて、ストップランプ1Dとして機能する。
詳しくは、有機EL表示素子11D(の背面側電極層12e)を覆う透明樹脂カバー15の内側にハーフミラー30が形成されているので、ストップランプ1D(有機EL発光体10D)の発光面10aから出射する光には、有機発光層14の発光のうち、直接、前面側電極層12aから出射する光に加えて、背面側電極層12eから出射するが、透明樹脂カバー15のハーフミラー30で反射されて、有機EL表示素子11Dに入射し透過して、前面側電極層12aから出射する光も含まれる。
即ち、本来はストップランプ1D(有機EL発光体10D)の車室側から出射し車室前方に向うべき光の一部もストップランプ1Dの発光面10aから出射する。このため、ストップランプ1Dの発光面10aが明るく発光し、ストップランプ1Dの被視認性が向上する。
一方、ストップランプ1D(有機EL発光体10D)の車室側には、背面側電極層12eから出射する有機発光層14の発光のうち、透明樹脂カバー15のハーフミラー30を透過した一部の光だけが出射する。
この結果、ストップランプ1Dの車室側の発光は、極めて弱い光で、ストップランプ1Dの車室側への発光がバックミラーを介して運転者に導かれてグレア光となったり、また、ストップランプ1Dの車室側への発光が車室内から車両前方に配光されて、対向車や歩行者に誤認情報として作用することもない。
また、運転席からリヤウィンドウ2Aを透して見える車両後方の視界にストップランプ1Dが存在するが、ストップランプ1Dを構成する有機EL発光体10Dは透光性を有する一方、透明樹脂カバー15のハーフミラー30は、入射光の一部だけを透過させるため、ストップランプ1Dを透して見える車両後方の視界は、暗くはなるものの、遮られてしまうことはない。これは、ストップランプ1Dの点・消灯時のいずれの場合も、同じである。
特に、昼間は、ストップランプ1Cを透して、暗い車室内から明るい車外を見ることになるため、車両後方を十分に視認できる。
なお、前記した第5の実施例では、有機EL発光体10Dを構成する透明樹脂カバー15にハーフミラー30が形成されているが、透明樹脂カバー15にハーフミラー30を形成する代わりに、図12に示すように、板状の有機EL発光体10E近傍の車室側に配設した透光性樹脂板32にハーフミラー30を形成してもよい。
即ち、第6の実施例であるストップランプ1Eは、発光面10aを構成する透明基板13と、透明基板13に積層一体化された有機EL表示素子11Dと、素子11D全体を覆う容器状の透明樹脂カバー15で構成された有機EL発光体10Eと、ハーフミラー30が形成された透光性樹脂板32で構成されている。
その他の構成は、前記第5の実施例のストップランプ1Dと同一であるので、同一の符号を付すことで、その重複した説明は省略する。
1,1A,1B,1C,1D,1E 標識灯であるストップランプ
2,2A 自動車のリヤウィンドウ
10,10A,10B,10C,10D 有機EL発光体
10a 発光面
11,11A,11B,11C,11D 有機EL表示素子
12a,12b,12c,12d,12e 電極層
12b1 横ストライプ部
13 透明基板
14,14A 有機発光層
20 水平方向偏光板
30 ハーフミラー
32 透光性樹脂板

Claims (5)

  1. 対向する一対の電極層間に有機発光層が積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
    前記発光体の有機発光層および前面側電極層がそれぞれ透明に構成されるとともに、前記発光体の背面側電極層が前記有機発光層との境界に金属光沢面を形成するストライプ模様の反射層で構成されたことを特徴とする車両用標識灯。
  2. 対向する一対の電極層間に有機発光層を積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
    前記発光体の前面側電極層および背面側電極層がそれぞれ透明に構成され、前記有機発光層が垂直または水平方向に直線偏光発光する透明な有機偏光発光層で構成されるとともに、
    前記発光体近傍の車室側に、該発光体の車室側への偏光発光を遮光する偏光板が配設されたことを特徴とする車両用標識灯。
  3. 前記有機発光層が垂直または水平方向に直線偏光発光する透明な有機偏光発光層で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用標識灯。
  4. 対向する一対の電極層間に有機発光層が積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
    前記一対の電極層および前記有機発光層はそれぞれ透光性を有するとともに、前記背面側電極層は、入射光の一部を反射し一部を透過させる光反射・透過層で構成されたことを特徴とする車両用標識灯。
  5. 対向する一対の電極層間に有機発光層が積層する板状の有機EL発光体で構成され、自動車のリヤウィンドウに沿った車室内に配設される車両用標識灯において、
    前記一対の電極層および前記有機発光層はそれぞれ透光性を有するとともに、前記発光体近傍の車室側に、入射光の一部を反射し一部を透過させる光反射・透過層を形成した透光性部材が配設されたことを特徴とする車両用標識灯。
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