JP2015193899A - 電析用電解質および金属膜の製造方法 - Google Patents

電析用電解質および金属膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015193899A
JP2015193899A JP2014230911A JP2014230911A JP2015193899A JP 2015193899 A JP2015193899 A JP 2015193899A JP 2014230911 A JP2014230911 A JP 2014230911A JP 2014230911 A JP2014230911 A JP 2014230911A JP 2015193899 A JP2015193899 A JP 2015193899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrodeposition
electrolyte
metal film
experimental example
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014230911A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6405199B2 (ja
Inventor
新田 耕司
Koji Nitta
耕司 新田
安田 幸司
Koji Yasuda
幸司 安田
野平 俊之
Toshiyuki Nohira
俊之 野平
一真 前田
Kazuma Maeda
一真 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Kyoto University
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Kyoto University
Priority to JP2014230911A priority Critical patent/JP6405199B2/ja
Publication of JP2015193899A publication Critical patent/JP2015193899A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6405199B2 publication Critical patent/JP6405199B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には水洗除去が容易な電析用電解質および金属膜の製造方法を提供する。【解決手段】カリウムイオンと、フッ化物イオンと、塩化物イオンと、金属イオンとを含む電析用電解質である。【選択図】図1

Description

本発明は、電析用電解質および金属膜の製造方法に関する。
太陽電池として使用されるシリコン膜は、シーメンス法によってシリコンインゴットを作製し、シリコンインゴットを厚さ1mm程度にスライスすることによってシリコンウェハを作製し、シリコンウェハにpn接合を形成することによって作製されている(非特許文献1)。その際、シリコン膜中の金属不純物の含有量を0.1質量ppm以下に抑えるとともに、ホウ素の含有量を0.3質量ppm以下に抑えなければならない。
また、高硬度および耐摩耗性を有する、タングステン、モリブデンおよびチタンなどの高融点金属膜は、溶射法(特許文献1)または化学気相析出(CVD)法(特許文献2)により形成されている。しかしながら、溶射法によって高融点金属膜を形成した場合には、高融点金属膜が堆積する基板が大きな熱ダメージを受けるという欠点がある。また、CVD法によって高融点金属膜を形成する場合には、高融点金属膜の成膜速度が遅いという欠点がある。なお、シリサイド膜もCVD法により形成することができる(特許文献3)が、CVD法によって高融点金属膜を形成する場合と同様の欠点がある。
そこで、従来においては、溶融塩に電析対象物となる金属を含有させることにより電析用電解質を作製し、電析用電解質を電析することによって基板上に膜を形成する、若しくは電析した金属と基板に含まれる金属とを反応させて合金相を形成する電析法により、シリコン膜、高融点金属膜、シリサイド膜および合金膜などの膜を直接基板上に形成する方法が検討されてきた。
たとえば、非特許文献2および非特許文献3には、フッ化リチウム(LiF)−フッ化ナトリウム(NaF)−フッ化カリウム(KF)混合溶融塩(以下、「FLINAK」と言うこともある。)若しくはフッ化リチウム(LiF)−フッ化カリウム(KF)混合溶融塩を用いて作製された電析用電解質を用いた電析法によって、シリコン膜を形成することが提案されている。
しかしながら、非特許文献2および非特許文献3に記載の電析法によれば、比較的平滑な表面を有し、かつ高純度のシリコン膜を得ることができるものの、電析用電解質の水に対する溶解度が低いため、シリコン膜の表面に付着した電析用電解質を水洗除去することが困難であった。
また、電析法によってタングステンやモリブデンなどの高融点金属膜を形成する場合、FLINAKのような金属フッ化物からなる溶融塩を使用すれば、比較的平滑な表面を有し、かつ高純度の高融点金属膜を得ることができるものの、電析用電解質の水に対する溶解度が低いため、電析用電解質の水洗除去が困難であった(非特許文献4)。
一方、水洗除去が容易な金属塩化物からなる溶融塩を用いても高融点金属膜の電析を行なうことは可能であるが、この場合、表面が平滑でなく、不純物の含有量の多い高融点金属膜しか得られなかった(非特許文献5)。
特開2006−249578号公報 特開2001−011628号公報 特開2008−187190号公報
半導体基盤技術研究会編、シリコンの科学、リアライズ理工センター、1992年 Gopalakrishna M. Rao et al., "Electrowinning of Silicon from K2SiF6-Molten Fluoride Systems", Journal of The Electrochemical Society, 1980, Vol.127, No.9, pp.1940-1944 Geir Martin Haarberg et al., "Electrodeposition of silicon from fluoride melts", Electrochemica Acta, 100(2013), pp.226-228 S. Senderoff and G. W. Mellors et al., "Electrodeposition of Coherent Deposits of Refractory Metals", Journal of The Electrochemical Society, 1967, Vol.114, No.6, pp.586-587 M. Masuda et al., "Electrodeposition of Tungsten and Related Voltammetric Study in a Basic ZnCl2-NaCl (40-60 mol %) Melt",Journal of The Electrochemical Society, 2001, vol.148, No.1, pp.C59-C64
電析法によって、シリコン膜、高融点金属膜、シリサイド膜および合金膜を形成する場合には、電析用電解質の作製に用いられる溶融塩に金属フッ化物を添加しないと、表面が平滑な膜を形成することができなかった。その一方で、KF以外の金属フッ化物は水に対する溶解度が低いため、膜の形成後に電析用電解質を水洗除去することが困難であった。さらに、電析法においては、なるべく低温で電析して膜が形成される基板への熱ダメージを低減して、基板からの膜の剥離を抑制することが要望されている。
上記の事情に鑑みて、以下の態様は、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には水洗除去が容易な電析用電解質および金属膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、カリウムイオンと、フッ化物イオンと、塩化物イオンと、金属イオンとを含む、電析用電解質を提供することができる。
本発明の第2の態様によれば、フッ化カリウムと、塩化カリウムと、金属化合物および金属の少なくとも一方と、から電析用電解質を作製する工程と、前記電析用電解質に基板を浸漬させる工程と、前記基板を陰極として前記電析用電解質の電解を行なうことによって前記基板上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜の表面上に付着している前記電析用電解質を水洗により除去する工程とを含む、金属膜の製造方法を提供することができる。
上記の態様によれば、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には水洗除去が容易な電析用電解質および金属膜の製造方法を提供することができる。
実施の形態の金属膜の製造方法のフローチャートである。 実施の形態の金属膜の製造方法における電析用電解質に基板を浸漬させる工程の一例を図解する模式的な断面図である。 実施の形態の金属膜の製造方法における基板上に金属膜を形成する工程の一例を図解する模式的な断面図である。 実施の形態の金属膜の製造方法において、金属のアノード溶解によって電析用電解質を作製する工程の一例を図解する模式的な断面図である。 実験例1において形成されたSi膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実験例1において形成されたSi膜のX線回折(XRD)パターンである。 (a)〜(c)は、実験例21において形成されたFe−Ti膜のXRDパターンである。 実験例22において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例23において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例24において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例25において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例26において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例27において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例28において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例29において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例30において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例31において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例32において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例33において形成されたSi膜の断面のSEM像である。 実験例24において形成されたSi膜の断面のSEM像の拡大図である。 実験例25において形成されたSi膜の断面のSEM像の拡大図である。 実験例34の金属膜の表面のSEM写真である。 実験例36の金属膜の表面のSEM写真である。 実験例34の金属膜の断面の低加速走査型電子顕微鏡写真である。 実験例36の金属膜の断面の低加速走査型電子顕微鏡写真である。 図24に示す分析点のEDX分析結果である。 図25に示す分析点のEDX分析結果である。
[本発明の実施形態の説明]
(1)本発明の第1の態様によれば、カリウムイオンと、フッ化物イオンと、塩化物イオンと、金属イオンとを含む、電析用電解質を提供することができる。このような構成とすることにより、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には水洗除去が容易な電析用電解質とすることができる。
(2)本発明の第1の態様においては、前記金属イオンのカチオン分率が0.12以下であることが好ましい。この場合には、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が容易となる傾向にある。
(3)本発明の第1の態様においては、前記フッ化物イオンのアニオン分率が0.1以上0.9以下であることが好ましい。この場合には、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が容易となる傾向にある。
(4)本発明の第1の態様においては、前記金属イオンが、珪素イオン、タングステンイオン、モリブデンイオン、チタンイオン、ニッケルイオンおよびコバルトイオンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合には、金属膜を種々の用途に適した膜とすることができる。
(5)本発明の第2の態様によれば、フッ化カリウムと、塩化カリウムと、金属化合物および金属の少なくとも一方と、から電析用電解質を作製する工程と、前記電析用電解質に基板を浸漬させる工程と、前記基板を陰極として前記電析用電解質の電解を行なうことによって前記基板上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜の表面上に付着している前記電析用電解質を水洗により除去する工程とを含む、金属膜の製造方法を提供することができる。このような構成とすることにより、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には水洗除去が容易な電析用電解質とすることができる。なお、本明細書において、「金属膜」には、シリコン膜、高融点金属膜、シリサイド膜および合金膜などの金属膜が含まれる。
(6)本発明の第2の態様においては、前記電析用電解質を作製する工程において、前記フッ化カリウムと前記塩化カリウムとの合計質量を前記電析用電解質の70質量%以上とすることが好ましい。この場合には、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には電析用電解質を容易に水洗除去することができる。
(7)本発明の第2の態様において、前記電析用電解質を作製する工程は、フッ化カリウムと塩化カリウムとを混合させた後に溶融させることによって溶融塩を作製する工程と、前記溶融塩に前記金属化合物の少なくとも1種を添加する工程、および前記金属をアノード溶解する工程の少なくとも一方とを含んでいてもよい。この場合にも、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には電析用電解質を容易に水洗除去することができる。
(8)本発明の第2の態様において、前記金属化合物は、金属塩化物ガスを含んでいてもよい。この場合にも、比較的低温で、平滑な表面を有する金属膜を電析によって形成することができるとともに、金属膜の形成後には電析用電解質を容易に水洗除去することができる。
(9)本発明の第2の態様において、前記溶融塩における前記フッ化カリウムに対する前記塩化カリウムのモル比が0.2以上5以下であることが好ましい。この場合には、比較的低温で電析が可能となるため、金属膜が形成される基板への熱ダメージを抑えることができ、ひいては金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去時に金属膜が基板から剥離するのを抑えることができる。
(10)本発明の第2の態様において、前記基板上に金属膜を形成する工程において、電流密度の絶対値が1mA/cm2以上500mA/cm2以下の電流を流して前記電析用電解質の電解を行なうことが好ましい。この場合には、基板の表面上に金属膜をより短時間で形成することができるとともに、表面の平滑性を向上させた金属膜を形成することができる。
(11)本発明の第2の態様において、前記基板の表面が、鉄、銀、炭素、銅およびモリブデンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合には、基板と、基板の表面上に形成された金属膜との密着性を向上させることができる。
(12)本発明の第2の態様において、前記基板の形状が、柱状またはパイプ状であることが好ましい。この場合には、基板の表面上に形成したSi膜を用いて集光型太陽電池を作製したときに、全方向からの光入射を利用することができるため、単位面積当たりの光の利用効率を向上させることができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一例である実施の形態について説明する。なお、実施の形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<電析用電解質の構成>
実施の形態の電析用電解質は、カリウムイオン(K+)と、フッ化物イオン(F-)と、塩化物イオン(Cl-)と、金属イオン(Mn+;nは自然数)とを含んでいる。実施の形態の電析用電解質は、たとえば、フッ化カリウム(KF)と塩化カリウム(KCl)との溶融塩中に、電析される金属(M)を含む金属化合物を溶解することにより作製することができる。
KFとKClとの溶融塩中においては、KFおよびKClはそれぞれ電離して、K+、F-およびCl-の状態で存在しており、そこに電析されるMを含む金属化合物を溶解すると、Mを含む金属化合物が電離して、電析されるMは金属イオン(Mn+)として存在する。
すなわち、実施の形態の電析用電解質においては、KF、KCl、およびMを含む金属化合物はそれぞれ電離してイオンの状態で存在しているため、実施の形態の電析用電解質は、K+、F-、Cl-およびMn+を含んでいることになる。
なお、実施の形態の電析用電解質中のK+、F-、Cl-およびMn+については、たとえば、電析用電解質を硝酸とフッ酸との混合液に溶解させた後にICP発光分光分析(Inductively Coupled Plasma Spectrometry)により確認することができる。ICP発光分光分析装置としては、たとえば、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のiCAP6200などを用いることができる。
また、実施の形態の電析用電解質中のK+、F-、Cl-およびMn+については、たとえば、電析用電解質を多量の水に溶解させた後にイオンクロマトグラフィーによっても確認することができる。イオンクロマトグラフィー装置としては、たとえば、株式会社島津製作所製のHIC−SPなどを用いることができる。
実施の形態の電析用電解質におけるMn+のカチオン分率は0.12以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。Mn+のカチオン分率が0.12以下である場合、特に0.1以下である場合には、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が容易となる傾向にある。加えて、実施の形態の電析用電解質におけるMn+のカチオン分率は、0.05以下であることがさらに好ましく、0.01以上0.04以下であることが特に好ましい。Mn+のカチオン分率が0.05以下である場合、特に0.01以上0.04以下である場合には、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去がさらに容易となる傾向にある。
ここで、実施の形態の電析用電解質におけるMn+のカチオン分率は、以下の式(I)によって算出することができる。
n+のカチオン分率=(電析用電解質中におけるMn+の物質量)/(電析用電解質中におけるカチオンの総物質量) …(I)
実施の形態の電析用電解質におけるF-のアニオン分率は、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.25以上0.75以下であることがより好ましい。F-のアニオン分率が0.1以上0.9以下である場合、特に0.25以上0.75以下である場合には、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が容易となる傾向にある。
ここで、実施の形態の電析用電解質におけるF-のアニオン分率は、以下の式(II)によって算出することができる。
-のアニオン分率=(電析用電解質中におけるF-の物質量)/(電析用電解質中におけるアニオンの総物質量) …(II)
n+は、珪素(Si)イオン、タングステン(W)イオン、モリブデン(Mo)イオン、チタン(Ti)イオン、ニッケル(Ni)イオンおよびコバルト(Co)イオンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。たとえば、実施の形態の電析用電解質がSiイオンを含み、電析用電解質を電析することによって基板上にSiを析出させてSi膜を形成した場合には、当該Si膜は太陽電池として使用されるSi膜とすることができる。また、実施の形態の電析用電解質を電析することによって基板上にW、Mo、Tiおよびこれらの少なくとも2種の合金を含む膜を形成した場合には、その膜は、たとえば、高硬度かつ耐摩耗性の機能を有する保護膜として使用することができる。また、実施の形態の電析用電解質を電析することによって基板上にNi、CoおよびNiとCoとの合金を含む膜を形成した場合には、その膜は、たとえば、耐食性皮膜として使用することができる。また、実施の形態の電析用電解質を電析することによって基板上にW、Mo、Ti、NiおよびCoからなる群から選択された少なくとも1種のシリサイド(シリコンとの化合物)を含む膜を形成した場合には、その膜は、たとえば、半導体基板への低抵抗電極として使用することができ、半導体装置の低電圧作動を可能とする。さらに、実施の形態の電析用電解質から電析することによって、電析された金属と基板に含まれる金属とが合金化した合金膜を形成した場合には、合金膜は、たとえば、耐摩耗性保護膜または水素吸蔵合金膜などに使用することができる。
<金属膜の製造方法>
図1に、実施の形態の電析用電解質を用いた金属膜の製造方法の一例(実施の形態の金属膜の製造方法)のフローチャートを示す。実施の形態の金属膜の製造方法は、電析用電解質を作製する工程(S10)と、電析用電解質に基板を浸漬させる工程(S20)と、基板上に金属膜を形成する工程(S30)と、電析用電解質を水洗により除去する工程(S40)とを含んでいる。なお、実施の形態の金属膜の製造方法には、S10、S20、S30およびS40以外の工程が含まれていてもよいことは言うまでもなく、工程の順序も特に限定されないことは言うまでもない。
[電析用電解質を作製する工程]
電析用電解質を作製する工程(S10)は、KFと、KClと、Mを含む金属化合物とから電析用電解質を作製することにより行なわれる。電析用電解質を作製する工程(S10)は、たとえば、KFとKClとの混合物を溶融することによって溶融塩を作製する工程と、KFとKClとの溶融塩にMの化合物を添加することによって電析用電解質を作製する工程とを含んでいる。
KFとKClとの溶融塩におけるKFに対するKClのモル比((KFとKClとの溶融塩中のKClの物質量nKCl)/(KFとKClとの溶融塩中のKFの物質量nKF))は、0.2以上5以下であることが好ましく、0.5以上2以下であることがより好ましい。KFとKClとの溶融塩におけるKFに対するKClのモル比が1.2である場合には、当該溶融塩の融点は871Kとなって最も低くなるが、KFとKClとの溶融塩においてKFに対するKClのモル比が0.2以上5以下である場合、特に0.5以上2以下である場合にも、当該溶融塩の融点をKF単塩の融点(1133K)と比較して十分に低くすることができるため、比較的低温で電析が可能となる。これにより、金属膜が形成される基板への熱ダメージを抑えることができ、ひいては金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去時に金属膜が基板から剥離するのを抑えることができる。
KFとKClとの溶融塩に添加されるMの化合物としては、固体のMの化合物の少なくとも1種、気体のMの化合物の少なくとも1種、または固体のMの化合物の少なくとも1種と気体のMの化合物の少なくとも1種との双方を添加することができる。
固体のMの化合物としては、実施の形態の電析用電解質の電析により基板上にSi膜を形成する場合には、たとえば、K2SiF6などの珪素化合物を添加することができる。また、W膜を形成する場合には、たとえば、KWF6、WO2またはWO3などのタングステン化合物を添加することができる。また、Mo膜を形成する場合には、たとえば、KMoF6、MoO2またはMoO3などのモリブデン化合物を添加することができる。また、Ti膜を形成する場合には、たとえば、K2TiF6またはTiO2などのチタン化合物を添加することができる。また、Ni膜を形成する場合には、たとえば、NiCl2などのニッケル化合物を添加することができる。さらに、Co膜を形成する場合には、たとえば、CoCl2などのコバルト化合物を添加することができる。
気体のMの化合物としては、実施の形態の電析用電解質の電析により基板上にSi膜を形成する場合には、たとえば、SiCl4などの珪素化合物ガスをKFとKClとの溶融塩に吹き込むことによって添加することができる。また、W膜を形成する場合には、たとえば、WCl4、WCl5およびWCl6からなる群から選択された少なくとも1種などのタングステン化合物ガスをKFとKClとの溶融塩に吹き込むことによって添加することができる。また、Mo膜を形成する場合には、たとえば、MoF6、MoCl4、MoCl5およびMoCl6からなる群から選択された少なくとも1種などのモリブデン化合物ガスをKFとKClとの溶融塩に吹き込むことによって添加することができる。また、Ti膜を形成する場合には、たとえば、TiCl4などのチタン化合物ガスをKFとKClとの溶融塩に吹き込むことによって添加することができる。
なお、KFとKClとの溶融塩に気体のMの化合物を吹き込む方法は特に限定されないが、たとえばパイプを用いた吹き込み方法などを用いることができる。
また、上記の固体のMの化合物および気体のMの化合物は、それぞれ、1種類のみ添加してもよく、複数種類添加してもよい。
また、実施の形態の電析用電解質は、KFとKClとの合計質量が電析用電解質の70質量%以上となるように作製されることが好ましい。KFとKClとの合計質量が電析用電解質の70質量%以上である電析用電解質を用いて電析を行なうことによって金属膜を形成した場合には、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が容易となる傾向にある。すなわち、KFとKCl以外の溶融塩成分を電析用電解質の30質量%よりも多く含む溶融塩を用いた場合には、イオン交換によって、水への溶解度が低い金属塩が生成するため、電析用電解質の水洗除去が困難となる傾向にある(たとえば、KF+LiCl→LiF+KClの反応式により得られたLiFは水に難溶である)。また、電析対象物となる金属を電析用電解質の30質量%よりも多く含有させた場合にも、電析対象物となる金属は水に難溶であるため、金属膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が困難となる傾向にある。
[電析用電解質に基板を浸漬させる工程]
電析用電解質に基板を浸漬させる工程(S20)は、たとえば図2の模式的断面図に示すように、電析用電解質を作製する工程(S10)で作製した電析用電解質2を容器1中に収容し、電析用電解質2中に陽極3および陰極としての基板4を浸漬させることにより行なうことができる。
ここで、基板4としては、基板4の表面が、鉄(Fe)、銀(Ag)、炭素(C)、銅(Cu)およびMoからなる群から選択された少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。基板4の表面が、AgおよびCの少なくとも1種を含む場合には基板4の表面上に形成したSi膜と基板4との密着性を向上させることができる。また、基板4の表面が、CuおよびMoの少なくとも1種を含む場合には、基板4の表面上に形成したW膜と基板4との密着性を向上させることができる。
また、基板4の形状は、特に限定されないが、柱状またはパイプ状であることが好ましい。基板4の形状が柱状またはパイプ状である場合には、基板4の表面上に形成したSi膜を用いて集光型太陽電池を作製したときに、全方向からの光入射を基板4の表面に対して垂直に入射させて利用することができるため、単位面積当たりの光の利用効率を向上させることができる。
なお、本明細書において、「柱状」とは、任意の方向に延在する形状を意味しており、たとえば、円柱および角柱などの形状を挙げることができる。
また、本明細書において、「パイプ状」とは、任意の方向に延在する外殻部と外殻部の延在方向と同一の方向に延在するように外殻部の内側に設けられた中空部とを有する形状を意味しており、たとえば、円筒、および角柱の内部に角柱の延在方向と同一方向に延在する中空部を有する形状などを挙げることができる。
[基板上に金属膜を形成する工程]
基板上に金属膜を形成する工程(S30)は、電析用電解質2中に浸漬された陽極3および陰極としての基板4との間に電圧を印加し、電析用電解質2の電解を行なうことによって実施される。これにより、図3の模式的断面図に示すように、以下の式(III)にしたがって、基板4の表面上に金属Mが析出し、基板4の表面上に金属膜5が形成される。
n++ne-→M …(III)
ここで、陽極3と基板4との間に流れる電流の基板4上での電流密度の絶対値を1mA/cm2以上500mA/cm2以下として電析用電解質2の電解を行なうことが好ましく、1mA/cm2以上300mA/cm2以下として電析用電解質2の電解を行なうことがより好ましい。陽極3と基板4との間に流れる電流の電流密度の絶対値を1mA/cm2以上として電析用電解質2の電解を行なった場合には、基板4の表面上における金属膜5の形成をより短時間で行なうことができる。また、陽極3と基板4との間に流れる電流の電流密度の絶対値を500mA/cm2以下、特に300mA/cm2以下として電析用電解質2の電解を行なった場合には、表面の平滑性を向上させた金属膜5を形成することができる。加えて、陽極3と基板4との間に流れる電流の電流密度の絶対値を50mA/cm2以上250mA/cm2以下として電析用電解質2の電解を行なうことがさらに好ましい。陽極3と基板4との間に流れる電流の電流密度の絶対値を50mA/cm2以上として電析用電解質2の電解を行なった場合には、実用的な速度で電析用電解質2の電解を行なうことができるとともに、基板4の表面からの金属膜5の剥離がより起こりにくくなる。また、陽極3と基板4との間に流れる電流の電流密度の絶対値を250mA/cm2以下として電析用電解質2の電解を行った場合には、表面の平滑性がより向上した金属膜5を形成することができる。
[電析用電解質を水洗により除去する工程]
電析用電解質を水洗により除去する工程(S40)は、基板4上に金属膜5を析出させる工程(S30)後に、金属膜5の表面上に付着している電析用電解質2を水洗により除去することにより行なわれる。
本実施の形態においては、電析対象物となるMの化合物を溶解させる溶融塩として、KFとKClとから作製され、K+とF-とCl-とを含む溶融塩を用いており、従来のKF以外の金属フッ化物を用いて作製された溶融塩と比べて、水に対する溶解度を高めることができることから、基板4上へのMの電析によって形成された金属膜5の表面に付着した電析用電解質を水洗により容易に除去することができる。
[金属膜]
実施の形態の金属膜の製造方法により製造された金属膜5の平均厚さRに対する金属膜5の表面平均粗さRaの割合(100×(Ra/R))は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。この場合には、金属膜5の表面をより平滑なものとすることができる。
金属膜5の表面平均粗さRaおよび平均厚さRは、それぞれ、金属膜5を樹脂中に埋設し、樹脂を乾燥させた後に、回転研磨機に取り付けた研磨紙(粒度:240番、400番、600番、1000番および2000番)で樹脂を研磨していき、金属膜5の断面を露出させる。そして、金属膜5の露出した断面をSEM(たとえば株式会社キーエンス製のVE−8800)を用いて観察することにより、金属膜5の表面平均粗さRaおよび平均厚さRを測定することができる。
なお、金属膜5の厚みは、基板4と金属膜5とのSEM断面において、基板4の表面に対する垂線を引き、基板4の金属膜5側の表面から、金属膜5の基板4と反対側の表面までの当該垂線の長さを意味している。金属膜5の表面平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に規定された算術平均粗さRaを意味している。また、金属膜5の平均厚さRは、金属膜5の厚みの算術平均を意味している。
実施の形態の金属膜の製造方法により製造された金属膜5の純度は99.9質量%以上であることが好ましい。金属膜5の純度が99.9質量%以上である場合には、金属膜5としてシリコン膜を析出させ、これを太陽電池として用いたときの太陽電池の変換効率が向上する傾向にある。また、金属膜5としてW、Mo、Tiおよびこれらの少なくとも2種の合金を含む膜を析出させ、これを高硬度かつ耐摩耗性の機能を有する保護膜として用いたときの膜の機能を向上させることができる。
金属膜5の純度は、金属膜5の全質量に対する、金属膜5の全質量から不純物の全質量を引いた質量の割合であり、以下の式(IV)により算出することができる。
金属膜5の純度[%]=100×(金属膜5の全質量から不純物の全質量を引いた質量)/(金属膜5の全質量) …(IV)
なお、本明細書において、金属膜5の「不純物」は、たとえば、ホウ素、リン、鉄、アルミニウム、リチウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの中で電析対象物となるM以外の成分を意味する。
金属膜5の純度は、グロー放電質量分析(GD−MS)により測定することができ、測定装置としてはたとえばサーモエレクトロン株式会社製のVG9000などを用いることができる。グロー放電質量分析による金属膜5の純度は、たとえば、金属膜5を表面から1〜5μmの厚さスパッタリングして、当該スパッタリングされた金属膜5を構成するM成分以外の不純物成分の含有量を測定することにより行なうことができる。
また、金属膜5は、電析用電解質3から電析された金属と基板4に含有される金属との合金であってもよい。この場合にも、比較的低温で平滑な表面を有する金属膜5を形成することができる。
[金属膜の製造方法の好ましい形態]
実施の形態の電析用電解質2の電析により基板4上に金属膜5としてSi膜を形成する場合には、SiCl4をKFとKClとの溶融塩に吹き込むことによって、KFとKClとの溶融塩にSi化合物を添加して、実施の形態の電析用電解質2を作製することが好ましい。
すなわち、SiCl4をKFとKClとの溶融塩に吹き込むことによって、以下の式(V)で表わされるイオン交換反応を起こすことができる。
SiCl4+6F-→SiF6 2-+4Cl- …(V)
そして、図2に示すように、SiF6 2-を含む実施の形態の電析用電解質2に陽極3と陰極としての基板4とを浸漬させ、陽極3と基板4との間に電流を流すことにより、電析用電解質2の電解を行なった場合には、陽極3では以下の式(VI)で表わされる反応が起き、陰極としての基板4では以下の式(VII)で表わされる反応が起きる。
(陽極)4Cl-→2Cl2+4e- …(VI)
(陰極)SiF6 2-+4e-→Si+6F- …(VII)
したがって、上記の(V)〜(VII)の反応式をまとめると、以下の式(VIII)で表わされる反応式が得られる。
SiCl4→Si+2Cl2 …(VIII)
したがって、上述の金属膜の製造方法の好ましい形態においては、電析用電解質2の組成を変えることなく電析用電解質2の電解を行なうことが可能であるため、基板4上に金属膜5としてのSi膜を連続的かつ効率的に形成することができる。また、上述の金属膜の製造方法の好ましい形態において、金属膜5としてのSi膜の副生成物となる塩素ガス(Cl2)は、KFとKClとの溶融塩に吹き込まれるSiCl4を製造するのに再利用することができる。これらの観点から、SiCl4をKFとKClとの溶融塩に吹き込んだ後に、KFとKClとの溶融塩にSi成分を添加した電析用電解質2の電解を行なうことによって金属膜5としてのSi膜を形成することが好ましい。
[金属膜の製造方法のその他の形態]
上記においては、KFとKClとの溶融塩に電析対象物となるMの化合物を添加することによって電析用電解質2を作製する場合について説明したが、電析対象物となるMのアノード溶解によって電析用電解質2を作製することもできる。
図4に、Mのアノード溶解によって電析用電解質2を作製する工程の一例を図解する模式的な断面図を示す。図4に示すように、Mのアノード溶解によって電析用電解質2を作製する場合には、まず、陽極として電析対象物であるMの基板3aをKFとKClとの溶融塩2aに浸漬させる。そして、陽極としての基板3aと、陰極としての基板4との間に電流を流すことにより、基板3aからMが溶融塩2aに溶出して、電析用電解質2を作製することができる。
[作用効果]
金属塩化物からなる溶融塩を用いて電析用電解質を作製して電析を行なった場合には、表面が平滑である金属膜を形成することができない。その一方で、KF以外の金属フッ化物を用いて作製された溶融塩から電析用電解質を作製して電析を行なった場合には、表面が平滑な金属膜を形成することができるが、金属膜の表面に付着した電析用電解質を水洗除去することが困難である。さらに、KF単塩の溶融塩を用いて電析用電解質を作製して電析を行なった場合には、表面が平滑な金属膜を形成することができるが、KF単塩の融点が高いため、低温で電析を行なうことができず、金属膜が形成される基板に熱ダメージが与えられ、金属膜が基板から剥離してしまう。
そこで、本実施の形態においては、電析対象物となるMの化合物を溶解させる溶融塩として、KFとKClとから作製され、K+とF-とCl-とを含む溶融塩を用いているため、従来のKF以外の金属フッ化物を用いた場合と比べて水への溶解度を高めることができることから、基板4上へのMの電析によって形成された金属膜5の表面に付着した電析用電解質を水洗により容易に除去することができる。
また、本実施の形態においては、KFとKClとの二元系の溶融塩が用いられているため、KF単塩を用いた場合よりも低温で電析が可能であり、かつ平滑な表面を有する金属膜を形成することができる。
[実験例1〜21]
<電析用電解質の作製>
表1の溶融塩の欄に示す材質からなる溶融塩を作製し、表1の金属化合物の欄に示すK2SiF6粉末、SiCl4ガスまたはK2TiF6粉末を、溶融塩100molに対して0.5mol〜15molの割合で溶解することによって、表1に示すKFとKClとの合計質量割合、Si4+カチオン分率およびF-アニオン分率を有する実験例1〜実験例21の電析用電解質を作製した。なお、表1に示すSi4+カチオン分率は、以下の式(IX)により算出され、Ti4+カチオン分率は、以下の式(X)により算出され、F-アニオン分率は、以下の式(XI)により算出された。また、KFのモル質量は58.1とし、KClのモル質量は74.6とし、K2SiF6のモル質量は220.3とした。
Si4+カチオン分率=(電析用電解質中のSi4+の物質量)/((電析用電解質中のSi4+の物質量)+(電析用電解質中のK+の物質量)) …(IX)
Ti4+カチオン分率=(電析用電解質中のTi4+の物質量)/((電析用電解質中のTi4+の物質量)+(電析用電解質中のK+の物質量)) …(X)
-アニオン分率=(電析用電解質中のF-の物質量)/((電析用電解質中のF-の物質量)+(電析用電解質中のCl-の物質量)) …(XI)
具体的には、実験例1、実験例6〜実験例11および実験例16〜実験例20においては、KF(和光純薬工業株式会社製)とKCl(和光純薬工業株式会社製)とをKF:KCl=45:55のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(KFの物質量nKClに対するKClの物質量nKFの比(nKCl/nKF))が1.2であって、融点が871KであるKF−KCl溶融塩を作製した。その後、KF−KCl溶融塩100molに対して2molの割合となるように、K2SiF6粉末(和光純薬工業株式会社製)を添加(実験例1、実験例6〜実験例11および実験例17〜実験例20)すること、若しくはSiCl4ガスを吹き込む(実験例16)ことによって、実験例1、実験例6〜実験例11および実験例16〜実験例20の電析用電解質を作製した。なお、SiCl4ガスの吹き込みは、パイプを用いた方法に吹き込み方法により行なった。
また、実験例2においては、KFを溶融することによって、融点が1133KであるKF溶融塩を作製し、実験例3においては、KClを溶融することによって、融点が1043KであるKCl溶融塩を作製した。また、実験例4においては、LiF(フッ化リチウム)とNaF(フッ化ナトリウム)とKFとを、LiF:NaF:KF=46.5:11.5:42のモル比で混合した混合物を溶融することによって、融点が727KであるLiF−NaF−KF溶融塩を作製した。さらに、実験例5においては、LiFとKFとを、LiF:KF=50:50のモル比で混合した混合物を溶融することによって、融点が765KであるLiF−KF溶融塩を作製した。その後は、実験例1、実験例6〜実験例11および実験例17〜実験例20と同様にして、実験例2〜実験例5の電析用電解質を作製した。
また、実験例12においては、KFとKClとをKF:KCl=87:13のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(nKCl/nKF)が0.15であって、融点が1093KであるKF−KCl溶融塩を作製した。また、実験例13においては、KFとKClとをKF:KCl=62.5:37.5のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(nKCl/nKF)が0.6であって、融点が973KであるKF−KCl溶融塩を作製した。その後は、実験例1、実験例6〜実験例11および実験例17〜実験例20と同様にして、実験例12および実験例13の電析用電解質を作製した。
また、実験例14においては、KFとKClとをKF:KCl=29.4:70.6のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(nKCl/nKF)が2.4であって、融点が933KであるKF−KCl溶融塩を作製した。また、実験例15においては、KFとKClとをKF:KCl=15.4:84.6のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(nKCl/nKF)が5.5であって、融点が998KであるKF−KCl溶融塩を作製した。その後は、実験例1、実験例6〜実験例11および実験例17〜実験例20と同様にして、実験例14および実験例15の電析用電解質を作製した。
また、実験例21においては、K2SiF6粉末の代わりに、KF−KCl溶融塩100molに対して0.5molの割合でK2TiF6(和光純薬工業株式会社製)を添加したこと以外は実験例1、実験例6〜実験例11および実験例17〜実験例20と同様にして、実験例21の電析用電解質を作製した。
<電析用電解質の電析>
上述のようにして作製した実験例1〜実験例21の電析用電解質をグラッシーカーボンるつぼに充填し、カンタル製円筒容器とステンレス製蓋とからなる気密容器内に設置した石英インナーホルダーの底部に、実験例1〜実験例21の電析用電解質の充填後のグラッシーカーボンるつぼを静置した。そして、300ml/minの流量でAr(アルゴン)ガスを気密容器内に流すことで、気密容器内の雰囲気をAr雰囲気にした。そして、実験例1〜実験例21の電析用電解質のそれぞれに、陰極として表2に示す基板を浸漬させるとともに、対極である陽極として直径5mmの円形状の表面を有する円柱状のグラッシーカーボン棒(東海カーボン株式会社製)を浸漬させた。その後、電気化学測定装置(北斗電工株式会社製のHZ−3000)を用いて、表2に示す温度、電流密度および電析時間の条件で、実験例1〜実験例21の電析用電解質の定電流電解を行ない、陰極の表面上に金属膜を形成した。
具体的には、実験例1、実験例6〜実験例8および実験例16〜実験例20においては、電析用電解質の温度923K、電流密度−193mA/cm2、および電析時間15分間の条件で定電流電解を行なった。このとき、実験例1、実験例6〜実験例8および実験例16〜実験例20においては、陽極はグラッシーカーボン棒とした。しかしながら、実験例1、実験例6〜実験例8および実験例16においては陰極が直径1mmの円形状の表面を有する円柱状のAg線(株式会社ニラコ製)とし、実験例17〜実験例20においては、陰極は、それぞれ、炭素棒、直径1mmの円形状の表面を有する円柱状のMo線(株式会社ニラコ製)、W線およびAg板とした。
また、実験例2〜実験例5においては、電流密度を−193mA/cm2、電析時間を15分、陽極をグラッシーカーボン棒、陰極をAg線とした。また、実験例2〜実験例5の電析時の電析用電解質の温度は、それぞれ、1173K、1073K、873Kおよび873Kとした。
また、実験例6〜実験例8においては、電流密度を−193mA/cm2、電析時間を15分、陽極をグラッシーカーボン棒、陰極をAg線とした。電析用電解質へ添加したK2SiF6は、溶融塩100molに対してそれぞれ、5mol、10molおよび15molの割合で溶解させた。
また、実験例9〜実験例11においては、温度923Kで定電流電解が行なわれた。しかしながら、実験例9〜実験例11の電流密度は、それぞれ、−97mA/cm2、−386mA/cm2および−772mA/cm2とし、実験例9〜実験例11の電析時間は、それぞれ、30分、7.5分および3.75分とした。このとき、実験例9〜実験例11においては、陽極はグラッシーカーボン棒とし、陰極はAg線とした。
さらに、実験例12〜実験例15においては、電流密度を−193mA/cm2とし、電析時間を15分とし、陽極をグラッシーカーボン棒とし、陰極をAg線とした。また、実験例12〜実験例15の電析時の電析用電解質の温度は、それぞれ、1123K、1023K、973Kおよび1073Kとした。
また、実験例21においては、溶融塩100molに対して0.5molの割合でK2TiF6を添加した電析用電解質を用いた。陽極をグラッシーカーボン棒とし、陰極をFe線とし、擬似参照極を白金(Pt)線とし、温度923Kでカリウム析出に対して+0.25Vの電位で30分の定電位電解を行なった。電解中の電流密度は、平均−156mA/cm2であった。
<金属膜の評価>
上述のように、実験例1〜実験例21の電析用電解質の電析を行なうことにより、表2に示す陰極の表面上に表3に示す材質の実験例1〜実験例21の厚さ100μm程度の金属膜が形成された。具体的には、実験例1〜実験例17および実験例20においてはSi膜が形成され、実験例18においてはMoシリサイド膜が形成され、実験例19においてはWシリサイド膜が形成された。さらに、実験例21においては、FeとTiとの合金膜であるFe−Ti膜が形成された。
そして、上述のようにして形成された実験例1〜実験例21の金属膜について、以下のようにして、水洗除去、水洗時の剥離およびRa/Rの観点から評価を行ない、これらを総合した総合評価を行なった。その結果を表3に示す。なお、実験例1および実験例6〜実験例21は実施例であり、実験例2〜実験例5は比較例である。
[水洗除去の評価]
(水洗除去の評価方法)
実験例1〜実験例21の水洗除去の評価は、陰極上に形成された金属膜を333Kの蒸留水に20時間浸漬させた後に乾燥させ、XRD装置(株式会社リガク製のUltima IV;CuKα線、λ=0.15418nm、40kV、40mA)を用いて、乾燥後の金属膜の表面に残存する成分のXRD分析を行ない、以下の評価基準により評価を行なった。
(水洗除去の評価基準)
A…金属膜の表面に残存する電析用電解質成分に起因するX線回折ピークなし
B…金属膜の表面に残存する電析用電解質成分に起因するX線回折ピークがわずかにあり
C…金属膜の表面に残存する電析用電解質成分に起因するX線回折ピークが明確にあり
[水洗時の剥離の評価]
(水洗時の剥離の評価方法)
実験例1〜実験例21の金属膜の水洗時の剥離の評価は、上述のように、陰極上に形成された金属膜を333Kの蒸留水に20時間浸漬して陰極を引き上げたときの陰極からの金属膜の剥離の有無について、以下の評価基準により評価を行なった。
(水洗時の剥離の評価基準)
A…陰極からの金属膜の剥離なし
B…陰極からの金属膜の剥離がわずかにあり
C…陰極から金属膜が完全に剥離
[Ra/Rの評価]
実験例1〜実験例21の金属膜のRa/Rは、実験例1〜実験例21の金属膜を樹脂中に埋設し、樹脂を乾燥させた後に、回転研磨機に取り付けた研磨紙(粒度:240番、400番、600番、1000番および2000番)で樹脂を研磨していくことによって露出した金属膜の断面をSEMで観察することによって金属膜の表面平均粗さRaおよび平均厚さRを測定し、金属膜の表面平均粗さRaを平均厚さRで割った値を100倍することによって算出した。なお、表3におけるRa/Rの値が低いほど、金属膜の表面が平滑であることを意味している。
<評価結果>
(実験例1)
表3に示すように、実験例1においては、電析用電解質の作製に用いられた溶融塩がKFを用いて作製されているため、表面が平滑なSi膜を形成することができるとともに、Si膜の表面に付着した電析用電解質の水洗による除去も容易であった。さらに、実験例1においては、電析用電解質の作製に用いられた溶融塩がKFとKClとの双方を用いて作製されており、KF以外の金属フッ化物を用いて作製されていないため、比較的低温で電析を行なうことができ、陰極への熱ダメージを低く抑えることができたため、水洗時のSi膜の剥離の発生も抑えることができた。
図5に、実験例1において、Ag線11の表面上に形成されたSi膜12が樹脂13に埋め込まれた後に、回転研磨機に取り付けた研磨紙により研磨されて露出した断面のSEM像を示す。図5に示すように、実験例1で形成されたSi膜12は、緻密に形成されていることがわかる。
図6に、実験例1において、Ag線11の表面上に形成されたSi膜12のXRDパターンを示す。図6に示すように、実験例1において形成されたSi膜12のXRDパターンには、Siに対応するピークが確認された。
(実験例2)
表3に示すように、実験例2においては、電析用電解質の作製に用いられた溶融塩がKFを用いて作製されているため、表面が平滑で、かつ高純度のSi膜が形成されていた。しかしながら、実験例2においては、電析時の電析用電解質の温度が非常に高いため、陰極の熱ダメージが大きく、水洗時にSi膜が完全に剥離した。
(実験例3)
表3に示すように、実験例3においては、電析用電解質の作製に用いられた溶融塩がKFを用いて作製されていないため、表面が平滑でないSi膜が形成された。また、電析時の電析用電解質の温度が非常に高いため、陰極の熱ダメージが大きく、水洗時にSi膜が完全に剥離した。
(実験例4)
表3に示すように、実験例4においては、金属フッ化物の三元系溶融塩を用いて電析用電解質が作製されているため、表面が平滑なSi膜が形成された。しかしながら、KF以外の金属フッ化物を用いて電析用電解質が作製されているため水洗後のSi膜の表面に電析用電解質の残存物に起因するXRDパターンのピークが明確に確認された。
(実験例5)
表3に示すように、実験例5においては、金属フッ化物の二元系溶融塩を用いて電析用電解質が作製されているため、表面が平滑なSi膜が形成された。しかしながら、KF以外の金属フッ化物を用いて電析用電解質が作製されているため水洗後のSi膜の表面に電析用電解質の残存物に起因するXRDパターンのピークが明確に確認された。
(実験例1および実験例6〜8)
実験例1、実験例6および実験例7においては、KFとKClとからなる溶融塩を用いて電析用電解質が作製されているため、Si膜の表面に付着した電析用電解質の水洗による除去が確認できた。ただし、K2SiF6粉末の添加量が多い実験例8においては、水洗後のSi膜の表面に、わずかながら電析用電解質の残存物のXRDパターンのピークが確認された。
(実験例1および実験例9〜11)
実験例1、実験例9および実験例10においては、電析時の電流密度の絶対値が1mA/cm2以上500mA/cm2以下の範囲内にあるため、表面が平滑なSi膜が形成された。しかしながら、電析時の電流密度の絶対値がその範囲を超えている実験例11においては、実験例1、実験例9および実験例10と比べてSi膜の表面の平滑性が劣る傾向が確認された。
(実験例12〜15)
実験例12においては、KFに対するKClのモル比が0.2未満であるため平滑な表面を有するSi膜を得ることができるが、電析時の電析用電解質の温度が高いため、水洗時にSi膜がわずかに剥離した。
実験例13および実験例14においては、KFに対するKClのモル比が0.2以上5以下の範囲内に含まれているため、平滑な表面を有するSi膜を得ることができるとともに、水洗後におけるSi膜の剥離も生じなかったが、当該モル比の高い実験例14の方がRa/Rの値が高くなったため、Si膜の表面の平滑性に欠ける結果となった。
実験例15においては、KFに対するKClのモル比が0.5よりも大きいため、実験例12〜14と比べてSi膜の表面の平滑性に欠ける結果となるとともに、電析時の電析用電解質の温度が高いため、水洗後にSi膜がわずかに剥離した。
(実験例16〜20)
実験例16は、K2SiF6粉末を添加する代わりにSiCl4ガスを吹き込んだこと以外は実験例1と同様にしてSi膜の形成が行なわれたが、実験例1の場合と同様の良好な結果が得られた。
実験例17は、Ag線の代わりに炭素棒を用いたこと以外は実験例1と同様にしてSi膜の形成が行なわれたが、実験例1の場合と同様の良好な結果が得られた。
実験例18は、Ag線の代わりにMo線を用いたこと以外は実験例1と同様にして金属膜の形成が行なわれ、実験例19は、Ag線の代わりにW線を用いたこと以外は実験例1と同様にして金属膜の形成が行なわれたが、それぞれ、純金属ではなく、Moシリサイド膜と、Wシリサイド膜とが形成された。
実験例20は、Ag線の代わりにAg板を用いたこと以外は実験例1と同様にしてSi膜の形成が行なわれたが、実験例1の場合と同様の良好な結果が得られた。
実験例21は、K2SiF6の代わりにK2TiF6を用い、陰極としてAg線の代わりにFe線を用いて、平均電流密度−156mA/cm2で電解を行なった。電析用電解質の作製に用いられた溶融塩がKFとKClとの双方を用いて作製されており、KF以外の金属フッ化物を用いて作製されていないため、比較的低温で電析を行なうことができるとともに、Fe−Ti膜の剥離の発生を抑えることができ、水洗時の残留物もなかった。図7(a)〜図7(c)に、実験例21において、Fe線の表面に形成されたFe−Ti膜のXRDパターンを示す。図7(a)〜図7(c)に示すように、陰極であるFe線の表面には、電析物であるTiとFe線のFeとの合金であるFeTi相のXRDパターンが確認された。
[実験例22〜33]
<電析用電解質の作製>
表4の溶融塩の欄に示す材質からなる溶融塩を作製し、K2SiF6粉末を、溶融塩100molに対して0.5mol〜5molの割合で溶解することによって、表4に示すKFとKClとの合計質量割合、Si4+カチオン分率およびF-アニオン分率を有する実験例22〜実験例33の電析用電解質を作製した。なお、表4に示すSi4+カチオン分率は、上記の式(IX)により算出され、F-アニオン分率は、上記の式(XI)により算出された。
具体的には、実験例22〜実験例33においては、KF(和光純薬工業株式会社製)とKCl(和光純薬工業株式会社製)とをKF:KCl=45:55のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(KFの物質量nKClに対するKClの物質量nKFの比(nKCl/nKF))が1.2であって、融点が871KであるKF−KCl溶融塩を作製した。その後、KF−KCl溶融塩100molに対してそれぞれ0.5mol(実験例22)、2mol(実験例23〜実験例26)、3.5mol(実験例27〜実験例30)および5mol(実験例31〜実験例33)の割合となるように、K2SiF6粉末(和光純薬工業株式会社製)を添加することによって、実験例22〜実験例33の電析用電解質を作製した。
<電析用電解質の電析>
上述のようにして作製した実験例22〜実験例33の電析用電解質をグラッシーカーボンるつぼに充填し、カンタル製円筒容器とステンレス製蓋とからなる気密容器内に設置した石英インナーホルダーの底部に、実験例22〜実験例33の電析用電解質の充填後のグラッシーカーボンるつぼを静置した。そして、300ml/minの流量でArガスを気密容器内に流すことで、気密容器内の雰囲気をAr雰囲気にした。そして、実験例22〜実験例33の電析用電解質のそれぞれに、陰極としてAg線を浸漬させるとともに、対極である陽極として直径5mmの円形状の表面を有する円柱状のグラッシーカーボン棒(東海カーボン株式会社製)を浸漬させた。その後、電気化学測定装置(北斗電工株式会社製のHZ−3000)を用いて、表5に示す温度、電流密度および電析時間の条件で、実験例22〜実験例33の電析用電解質の定電流電解を行ない、陰極であるAg線の表面上にSi膜を形成した。
具体的には、実験例22、実験例23および実験例27においては、電析用電解質の温度923K、電流密度−39mA/cm2、および電析時間80分間の条件で定電流電解を行なった。
また、実験例24、実験例28および実験例31においては、電析用電解質の温度923K、電流密度−78mA/cm2、および電析時間40分間の条件で定電流電解を行なった。
また、実験例25、実験例29および実験例32においては、電析用電解質の温度923K、電流密度−155mA/cm2、および電析時間20分間の条件で定電流電解を行なった。
さらに、実験例26、実験例30および実験例33においては、電析用電解質の温度923K、電流密度−310mA/cm2、および電析時間10分間の条件で定電流電解を行なった。
<Si膜の評価>
上述のように、実験例22〜実験例33の電析用電解質の電析を行なうことにより、Ag線の表面上に、表6に示す材質の実験例22〜実験例33の厚さ60μm程度のSi膜が形成された。
そして、上述のようにして形成された実験例22〜実験例33のSi膜について、以下のようにして、水洗除去、水洗時の剥離およびRa/Rの観点から評価を行ない、これらを総合した総合評価を行なった。その結果を表6に示す。なお、実験例22〜実験例33は実施例である。
[水洗除去の評価]
(水洗除去の評価方法)
実験例22〜実験例33の水洗除去の評価は、Ag線上に形成されたSi膜を333Kの蒸留水に20時間浸漬させた後に乾燥させ、XRD装置(株式会社リガク製のUltima IV;CuKα線、λ=0.15418nm、40kV、40mA)を用いて、乾燥後のSi膜の表面に残存する成分のXRD分析を行ない、以下の評価基準により評価を行なった。
(水洗除去の評価基準)
A…Si膜の表面に残存する電析用電解質成分に起因するX線回折ピークなし
B…Si膜の表面に残存する電析用電解質成分に起因するX線回折ピークがわずかにあり
C…Si膜の表面に残存する電析用電解質成分に起因するX線回折ピークが明確にあり
[水洗時の剥離の評価]
(水洗時の剥離の評価方法)
実験例22〜実験例33のSi膜の水洗時の剥離の評価は、上述のように、Ag線上に形成されたSi膜を333Kの蒸留水に20時間浸漬してAg線を引き上げたときのAg線からのSi膜の剥離の有無について、以下の評価基準により評価を行なった。
(水洗時の剥離の評価基準)
A…Ag線からのSi膜の剥離なし
B…Ag線からのSi膜の剥離がわずかにあり
C…Ag線からSi膜が完全に剥離
[Ra/Rの評価]
実験例22〜実験例33のSi膜のRa/Rは、実験例22〜実験例33のSi膜を樹脂中に埋設し、樹脂を乾燥させた後に、回転研磨機に取り付けた研磨紙(粒度:240番、400番、600番、1000番および2000番)で樹脂を研磨していくことによって露出したSi膜の断面をSEMで観察することによってSi膜の表面平均粗さRaおよび平均厚さRを測定し、Si膜の表面平均粗さRaを平均厚さRで割った値を100倍することによって算出した。なお、表6におけるRa/Rの値が低いほど、Si膜の表面が平滑であることを意味している。また、図8〜図19に、それぞれ、実験例22〜実験例33において形成されたSi膜の断面のSEM像を示す。また、図20に、実験例24において形成されたSi膜の断面のSEM像の拡大図を示し、図21に、実験例25において形成されたSi膜の断面のSEM像の拡大図を示す。
<評価結果>
表6に示すように、Si4+カチオン分率が0.05以下である実験例22〜実験例33においては、Si膜の形成後の水洗による電析用電解質の除去が容易となり、Ag線からのSi膜の剥離が見られないという結果が見られた。
特に、KF−KCl溶融塩100molに対して2molおよび3.5molの割合となるようにK2SiF6粉末が添加されて作製された実験例24(Si4+カチオン分率:0.019)、実験例25(Si4+カチオン分率:0.019)、実験例28(Si4+カチオン分率:0.032)および実験例29(Si4+カチオン分率:0.032)の電析用電解質について、陽極であるグラッシーカーボン棒とAg線との間に流れる電流のAg線上での電流密度の絶対値を50mA/cm2以上250mA/cm2以下(実験例24および実験例28:78mA/cm2;実験例25および実験例29:155mA/cm2)として電解を行うことによって得られたSi膜は、Ag線からのSi膜の剥離がなく、Si膜の表面も平滑であるという結果が見られた。
[実験例34〜37]
<電析用電解質の作製>
表7の溶融塩の欄に示す材質からなる溶融塩を作製し、表7の溶融塩を100molとしたときの金属化合物の物質量の欄に示すWCl4粉末を溶融塩100molに対して0.1molの割合で溶解する(実験例34および実験例35)、またはWCl4粉末とWO3粉末とをそれぞれ溶融塩100molに対して0.1molずつの割合で溶解する(実験例36および実験例37)ことによって、実験例34〜実験例37の電析用電解質を作製した。
具体的には、KF(和光純薬工業株式会社製)とKCl(和光純薬工業株式会社製)とをKF:KCl=45:55のモル比で混合した混合物を溶融することによって、KFに対するKClのモル比(KFの物質量nKClに対するKClの物質量nKFの比(nKCl/nKF))が1.2であって、融点が871KであるKF−KCl溶融塩を作製した。その後、KF−KCl溶融塩100molに対して0.1molの割合となるようにWCl4粉末を添加する(実験例34および実験例35)、またはWCl4粉末およびWO3粉末をそれぞれ溶融塩100molに対して0.1molの割合となるように添加する(実験例36および実験例37)ことによって、実験例34〜実験例37の電析用電解質を作製した。
<電析用電解質の電析>
上述のようにして作製した実験例34〜実験例37の電析用電解質をグラッシーカーボンるつぼに充填し、カンタル製円筒容器とステンレス製蓋とからなる気密容器内に設置した石英インナーホルダーの底部に、実験例34〜実験例37の電析用電解質の充填後のグラッシーカーボンるつぼを静置した。そして、300ml/minの流量でAr(アルゴン)ガスを気密容器内に流すことで、気密容器内の雰囲気をAr雰囲気にした。そして、実験例34〜実験例37の電析用電解質のそれぞれに、陰極としてMo基板を浸漬させるとともに、対極である陽極として直径5mmの円形状の表面を有する円柱状のグラファイトを浸漬させた。その後、電気化学測定装置(北斗電工株式会社製のHZ−3000)を用いて、表7の電析条件の欄に示す温度、電位(K+/Kに対する電位)および時間(電析時間)の条件で、実験例34〜実験例37の電析用電解質の定電位電解を行ない、陰極の表面上に実験例34〜実験例37の金属膜を形成した。
<金属膜の表面の評価>
上述のように形成した実験例34〜実験例37のそれぞれの金属膜の表面を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社キーエンス製のVE−8800)を用いて、加速電圧20kVの条件で観察した。代表的に、図22に実験例34の金属膜の表面のSEM写真を示し、図23に実験例36の金属膜の表面のSEM写真を示す。
また、上述のように形成した実験例34〜実験例37のそれぞれの金属膜の表面についてエネルギー分散型X線(EDX)分析装置(EDAX Inc.製のGenesis)を用いて加速電圧20kVの条件でEDX分析を行った。その結果を表7の評価のWの析出の欄に示す。表7の評価のWの析出の欄に示すように、実験例34〜実験例37のすべての金属膜の表面において、Wの析出があることが確認された。また、EDX分析の結果から、代表的に、実験例34の金属膜の表面は、Mo(14.0原子%)、W(46.3原子%)、および酸素(39.7原子%)から構成され、実験例36の金属膜の表面は、Mo(19.5原子%)、W(63.0原子%)、および酸素(17.5原子%)から構成されていることが確認された。
<金属膜の断面の評価>
上述のように形成した実験例34〜実験例37のそれぞれの金属膜を集束イオンビーム(FIB)装置を用いて切断して断面を露出させ、実験例34〜実験例37のそれぞれの金属膜の断面を低加速走査型電子顕微鏡(ULTRA55)を用いて加速電圧2kVの条件で観察し、Mo基板上の金属膜の膜厚を測定した。その結果を表7の評価の膜厚の欄に示す。表7の評価の膜厚の欄に示すように、実験例34〜実験例37の金属膜の膜厚は、それぞれ、0.3μm、0.2μm、0.5μmおよび0.2μmであることが確認された。代表的に、図24に実験例34の金属膜の断面の低加速走査型電子顕微鏡写真を示し、図25に実験例36の金属膜の断面の低加速走査型電子顕微鏡写真を示す。図24および図25のW層と示されている箇所がWが析出した層に相当する。
また、図24に示す実験例34の金属膜の断面の低加速走査型電子顕微鏡写真の分析点について上記と同一のEDX分析装置を用いて加速電圧を30kVとした条件でEDX分析を行った。その結果を図26に示す。EDX分析の結果から、実験例34の上記分析点における金属膜の断面は、Mo(11.3原子%)、W(69.9原子%)、酸素(2.1原子%)および炭素(16.7原子%)から構成されることが確認された。
また、図25に示す実験例36の金属膜の断面の低加速走査型電子顕微鏡写真の分析点について上記と同一のEDX分析装置を用いて加速電圧を30kVとした条件でEDX分析を行った。その結果を図27に示す。EDX分析の結果から、実験例36の上記分析点における金属膜の断面は、Mo(13.4原子%)、W(77.9原子%)、酸素(2.1原子%)、炭素(3.7原子%)およびカルシウム(2.9原子%)から構成されることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施態様は、電析用電解質および金属膜の製造方法に利用することができ、特にシリコン太陽電池の製造プロセス、耐摩耗性表面加工プロセス、および半導体製造プロセスに好適に利用することができる。
1 容器
2 電析用電解質
2a 溶融塩
3 陽極
3a 基板
4 基板
5 金属膜
11 Ag線
12 Si膜
13 樹脂

Claims (12)

  1. カリウムイオンと、フッ化物イオンと、塩化物イオンと、金属イオンとを含む、電析用電解質。
  2. 前記金属イオンのカチオン分率が、0.12以下である、請求項1に記載の電析用電解質。
  3. 前記フッ化物イオンのアニオン分率が、0.1以上0.9以下である、請求項1または請求項2に記載の電析用電解質。
  4. 前記金属イオンは、珪素イオン、タングステンイオン、モリブデンイオン、チタンイオン、ニッケルイオンおよびコバルトイオンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電析用電解質。
  5. フッ化カリウムと、塩化カリウムと、金属化合物および金属の少なくとも一方と、から電析用電解質を作製する工程と、
    前記電析用電解質に基板を浸漬させる工程と、
    前記基板を陰極として前記電析用電解質の電解を行なうことによって前記基板上に金属膜を形成する工程と、
    前記金属膜の表面上に付着している前記電析用電解質を水洗により除去する工程とを含む、金属膜の製造方法。
  6. 前記電析用電解質を作製する工程において、前記フッ化カリウムと前記塩化カリウムとの合計質量を前記電析用電解質の70質量%以上とする、請求項5に記載の金属膜の製造方法。
  7. 前記電析用電解質を作製する工程は、
    フッ化カリウムと塩化カリウムとを混合させた後に溶融させることによって溶融塩を作製する工程と、
    前記溶融塩に前記金属化合物の少なくとも1種を添加する工程、および前記金属をアノード溶解する工程の少なくとも一方とを含む、請求項5または請求項6に記載の金属膜の製造方法。
  8. 前記金属化合物は、金属塩化物ガスを含む、請求項7に記載の金属膜の製造方法。
  9. 前記溶融塩における前記フッ化カリウムに対する前記塩化カリウムのモル比が、0.2以上5以下である、請求項7または請求項8に記載の金属膜の製造方法。
  10. 前記基板上に金属膜を形成する工程において、電流密度の絶対値が1mA/cm2以上500mA/cm2以下の電流を流して前記電析用電解質の電解を行なう、請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の金属膜の製造方法。
  11. 前記基板の表面が、鉄、銀、炭素、銅およびモリブデンからなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載の金属膜の製造方法。
  12. 前記基板の形状が、柱状またはパイプ状である、請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の金属膜の製造方法。
JP2014230911A 2013-11-19 2014-11-13 電析用電解質および金属膜の製造方法 Active JP6405199B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014230911A JP6405199B2 (ja) 2013-11-19 2014-11-13 電析用電解質および金属膜の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013239078 2013-11-19
JP2013239078 2013-11-19
JP2014060161 2014-03-24
JP2014060161 2014-03-24
JP2014230911A JP6405199B2 (ja) 2013-11-19 2014-11-13 電析用電解質および金属膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015193899A true JP2015193899A (ja) 2015-11-05
JP6405199B2 JP6405199B2 (ja) 2018-10-17

Family

ID=54433188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014230911A Active JP6405199B2 (ja) 2013-11-19 2014-11-13 電析用電解質および金属膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6405199B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017159324A1 (ja) 2016-03-18 2017-09-21 住友電気工業株式会社 導電性材料及びその製造方法
WO2018096769A1 (ja) 2016-11-22 2018-05-31 住友電気工業株式会社 チタンめっき液の製造方法及びチタンめっき製品の製造方法
WO2018216321A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 金属多孔体及び金属多孔体の製造方法
WO2018216322A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 複合金属多孔体及び複合金属多孔体の製造方法
WO2018216319A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法
WO2018216320A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 溶融塩チタンめっき液組成物およびチタンめっき部材の製造方法
WO2019171744A1 (ja) * 2018-03-08 2019-09-12 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材
WO2021176769A1 (ja) * 2020-03-04 2021-09-10 住友電気工業株式会社 チタンめっき用電解質及びチタンめっき用電解質を用いたチタンめっき部材の製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51138511A (en) * 1975-05-27 1976-11-30 Sony Corp Method for regulating the hardness of metallic tita nium
JPH0551784A (ja) * 1991-08-26 1993-03-02 Nippon Stainless Steel Co Ltd Ti−Al合金薄膜およびその製造方法
WO2005098095A1 (ja) * 2004-04-06 2005-10-20 Iox Co., Ltd. 溶融塩電解による基体への多元系合金の作製方法
WO2006038476A1 (ja) * 2004-10-01 2006-04-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 溶融塩浴、この溶融塩浴を用いて得られた析出物、金属製品の製造方法および金属製品
WO2006057102A1 (ja) * 2004-11-24 2006-06-01 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 構造体および構造体の製造方法
WO2007029663A1 (ja) * 2005-09-07 2007-03-15 Kyoto University 金属の電析方法
JP2008150655A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Kyoto Univ 金属の電析方法
JP2009235462A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩浴、溶融塩浴の製造方法およびタングステン析出物
JP2010229518A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩浴、溶融塩浴の製造方法およびタングステン膜

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51138511A (en) * 1975-05-27 1976-11-30 Sony Corp Method for regulating the hardness of metallic tita nium
JPH0551784A (ja) * 1991-08-26 1993-03-02 Nippon Stainless Steel Co Ltd Ti−Al合金薄膜およびその製造方法
WO2005098095A1 (ja) * 2004-04-06 2005-10-20 Iox Co., Ltd. 溶融塩電解による基体への多元系合金の作製方法
WO2006038476A1 (ja) * 2004-10-01 2006-04-13 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 溶融塩浴、この溶融塩浴を用いて得られた析出物、金属製品の製造方法および金属製品
WO2006057102A1 (ja) * 2004-11-24 2006-06-01 Sumitomo Electric Industries, Ltd. 構造体および構造体の製造方法
JP2006144107A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Sumitomo Electric Ind Ltd 構造体および構造体の製造方法
US20070160866A1 (en) * 2004-11-24 2007-07-12 Koji Nitta Structure and method of manufacturing the same
WO2007029663A1 (ja) * 2005-09-07 2007-03-15 Kyoto University 金属の電析方法
JP2008150655A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Kyoto Univ 金属の電析方法
JP2009235462A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩浴、溶融塩浴の製造方法およびタングステン析出物
JP2010229518A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Sumitomo Electric Ind Ltd 溶融塩浴、溶融塩浴の製造方法およびタングステン膜

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108884582A (zh) * 2016-03-18 2018-11-23 住友电气工业株式会社 导电材料及其制造方法
EP3431635A4 (en) * 2016-03-18 2019-08-07 Sumitomo Electric Industries, Ltd. CONDUCTIVE MATERIAL AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
WO2017159324A1 (ja) 2016-03-18 2017-09-21 住友電気工業株式会社 導電性材料及びその製造方法
KR20190082802A (ko) 2016-11-22 2019-07-10 스미토모덴키고교가부시키가이샤 티탄 도금액의 제조 방법 및 티탄 도금 제품의 제조 방법
WO2018096769A1 (ja) 2016-11-22 2018-05-31 住友電気工業株式会社 チタンめっき液の製造方法及びチタンめっき製品の製造方法
JPWO2018096769A1 (ja) * 2016-11-22 2019-10-17 住友電気工業株式会社 チタンめっき液の製造方法及びチタンめっき製品の製造方法
WO2018216319A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法
KR20200010199A (ko) 2017-05-22 2020-01-30 스미토모덴키고교가부시키가이샤 용융염 티탄 도금액 조성물 및 티탄 도금 부재의 제조 방법
WO2018216322A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 複合金属多孔体及び複合金属多孔体の製造方法
US11757101B2 (en) 2017-05-22 2023-09-12 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Metal porous body and method for producing metal porous body
WO2018216321A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 金属多孔体及び金属多孔体の製造方法
CN110475910A (zh) * 2017-05-22 2019-11-19 住友电气工业株式会社 镀钛部件的制造方法
CN110536979A (zh) * 2017-05-22 2019-12-03 住友电气工业株式会社 复合金属多孔体以及复合金属多孔体的制造方法
KR20200010200A (ko) 2017-05-22 2020-01-30 스미토모덴키고교가부시키가이샤 금속 다공체 및 금속 다공체의 제조 방법
KR20200010201A (ko) 2017-05-22 2020-01-30 스미토모덴키고교가부시키가이샤 복합 금속 다공체 및 복합 금속 다공체의 제조 방법
WO2018216320A1 (ja) 2017-05-22 2018-11-29 住友電気工業株式会社 溶融塩チタンめっき液組成物およびチタンめっき部材の製造方法
KR20200010182A (ko) 2017-05-22 2020-01-30 스미토모덴키고교가부시키가이샤 티탄 도금 부재의 제조 방법
JPWO2018216319A1 (ja) * 2017-05-22 2020-03-19 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法
EP3633078A4 (en) * 2017-05-22 2021-03-03 Sumitomo Electric Industries, Ltd. METHOD FOR MANUFACTURING A TITANIUM-COATED ELEMENT
JPWO2019171744A1 (ja) * 2018-03-08 2021-03-11 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材
JP7086172B2 (ja) 2018-03-08 2022-06-17 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材
WO2019171744A1 (ja) * 2018-03-08 2019-09-12 住友電気工業株式会社 チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材
WO2021176769A1 (ja) * 2020-03-04 2021-09-10 住友電気工業株式会社 チタンめっき用電解質及びチタンめっき用電解質を用いたチタンめっき部材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6405199B2 (ja) 2018-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6405199B2 (ja) 電析用電解質および金属膜の製造方法
Bieber et al. Silicon electrodeposition in molten fluorides
US8460535B2 (en) Primary production of elements
JP5772102B2 (ja) フッ素化合物の電解合成用電極
Norikawa et al. Electrodeposition of titanium in a water-soluble KF–KCl molten salt
Park et al. Purification of nuclear grade Zr scrap as the high purity dense Zr deposits from Zirlo scrap by electrorefining in LiF–KF–ZrF4 molten fluorides
Naor-Pomerantz et al. Electrodeposition of rhenium–tin nanowires
Ett et al. Pulse current plating of TiB2 in molten fluoride
JP6802255B2 (ja) 導電性材料及びその製造方法
Massot et al. Silicon recovery from silicon–iron alloys by electrorefining in molten fluorides
Zhuk et al. Silicon electrodeposition from chloride–fluoride melts containing K2SiF6 and SiO2
Yang et al. Single-step large-scale and template-free electrochemical growth of Ni–Zn alloy filament arrays from a zinc chloride based ionic liquid
Kuznetsov Influence of the second coordination sphere on the roughness of niobium and tantalum coatings obtained in chloride-fluoride melts
JP2009235462A (ja) 溶融塩浴、溶融塩浴の製造方法およびタングステン析出物
Hsieh et al. Electrochemical growth of hierarchical CuSn nanobrushes from an ionic liquid
RU2692759C1 (ru) Свинцово-углеродный металлический композиционный материал для электродов свинцово-кислотных аккумуляторов и способ его синтеза
ZHANG et al. Electrochemical behavior of Pb (II) in LiCl-KCl-MgCl2-PbCl2 melts on Mo electrode
Gussone et al. Deposition of titanium on SiC fibres from chloride melts
Ye et al. Preparation of Mg-Yb alloy film by electrolysis in the molten LiCl-KCl-YbCl3 system at low temperature
Massot et al. Preparation of tantalum carbide layers on carbon using the metalliding process
Kumamoto et al. Low temperature electrodeposition of titanium in fluoride-added LiCl–KCl–CsCl molten salt
Haarberg et al. Electrodeposition of silicon with a liquid gallium cathode in molten salts
Nitta et al. Electrodeposition of tungsten from Li2WO4-Na2WO4-K2WO4 based melts
Kuznetsov et al. Influence of electrolysis mode, complex formation and micropassivation on the roughness of niobium and tantalum coatings
JP2015098626A (ja) 精製金属の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170622

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180914

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6405199

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250