JPWO2019171744A1 - チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材 - Google Patents

チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材 Download PDF

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Abstract

導電性の表面を有する基材と上記基材に対応するアノードとを、溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程と、上記基材の上記導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程と、を含むチタンめっき部材の製造方法であって、上記チタンめっき膜を形成する工程は、上記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加することを含み、上記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化リチウム、塩化リチウム及びチタン(III)イオンを含む、製造方法。

Description

本開示は、チタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材に関する。本出願は、2018年3月8日に出願した日本特許出願である特願2018−041908号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
チタン(Ti)は、耐腐食性、耐熱性及び比強度に優れた特性を有する金属である。しかし、チタンは生産コストが高く、製錬及び加工が難しい。そのため、チタンの広範な利用が妨げられている。現在、チタン及びチタン化合物の高耐食性及び高強度等の特性を利用する方法のひとつとして、CVD(Chemical Vapor Deposition)又はPVD(Physical Vapor Deposition)等を用いた乾式成膜法が一部工業化されている。しかし、上記乾式成膜法は、複雑な形状の基板には成膜が難しい傾向がある。上記乾式成膜法に代わるチタン成膜法として、溶融塩中でチタンを電析させる方法が提案されている(例えば、特開2015−193899号公報(特許文献1))。
特開2015−193899号公報
本開示に係るチタンめっき部材の製造方法は、
導電性の表面を有する基材と上記基材に対応するアノードとを、溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程と、
上記基材の上記導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程と、を含むチタンめっき部材の製造方法であって、
上記チタンめっき膜を形成する工程は、上記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加することを含み、
上記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化リチウム、塩化リチウム及びチタン(III)イオンを含む。
本開示に係るチタンめっき部材は、基材と、上記基材を被覆するチタンめっき膜とを備え、上記チタンめっき膜の表面粗さが1μm未満である。
図1は、LiF−LiCl浴中におけるチタンの電析電位測定の結果を示すグラフである。
[本開示が解決しようとする課題]
溶融塩中でチタンを電析させる方法は、上記乾式成膜法と比較して、表面が平滑なチタンめっき膜を形成させることができるが、改良の余地がまだ残されている。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表面の平滑度が高いチタンめっき膜を有するチタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
上記によれば、表面の平滑度が高いチタンめっき膜を有するチタンめっき部材の製造方法及びチタンめっき部材を提供することが可能になる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示に係るチタンめっき部材の製造方法は、
導電性の表面を有する基材と上記基材に対応するアノードとを、溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程と、
上記基材の上記導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程と、を含むチタンめっき部材の製造方法であって、
上記チタンめっき膜を形成する工程は、上記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加することを含み、
上記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化リチウム、塩化リチウム及びチタン(III)イオンを含む。
本開示に係るチタンめっき部材の製造方法は、上述のような構成を備えることで、表面の平滑度が高いチタンめっき膜を有するチタンめっき部材を製造することができる。
[2]上記導電性の表面は、Ni、Fe、Cu、Mo、W、カーボン及びステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。このように規定することで、表面の平滑度が更に高いチタンめっき膜を有するチタンめっき部材を製造することができる。
[3]上記フッ化リチウムと上記塩化リチウムとのモル比LiF:LiClは、30:70〜50:50である。このように規定することで、上記溶融塩チタンめっき液組成物の融点を低下させることが可能になる。その結果、より低い温度でチタンめっき膜を形成することが可能になる。
[4]上記溶融塩チタンめっき液組成物におけるフッ化物イオンの割合は、上記溶融塩チタンめっき液組成物における全アニオンのモル数を基準として、10〜50mol%である。このように規定することで、表面の平滑度が更に高いチタンめっき膜を有するチタンめっき部材を製造することができる。
[5]本開示に係るチタンめっき部材は、基材と、上記基材を被覆するチタンめっき膜とを備え、上記チタンめっき膜の表面粗さが1μm未満である。
本開示に係るチタンめっき部材は上述のような構成を備えることで、表面の平滑度が高いチタンめっき膜を有するチタンめっき部材を提供することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」と記す。)について説明する。ただし、本実施形態はこれに限定されるものではない。本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
≪チタンめっき部材の製造方法≫
本実施形態に係るチタンめっき部材の製造方法は、
導電性の表面を有する基材と上記基材に対応するアノードとを、溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程と、
上記基材の上記導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程と、を含むチタンめっき部材の製造方法であって、
上記チタンめっき膜を形成する工程は、上記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加することを含み、
上記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化リチウム、塩化リチウム及びチタン(III)イオンを含む。
ここで、元素記号又は元素名と共にかっこ書きのローマ数字が示される場合、当該ローマ数字は、その直前の元素の価数を示す。例えば、チタン(III)イオンは、「Ti3+」を意味する。チタン(IV)イオンは、「Ti4+」を意味する。
本実施形態の一側面において、上記製造方法は、導電性の表面を有する基材と上記基材に対応するアノードとを、溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程の前に、導電性の表面を有する基材を準備する工程を更に含んでいてもよい。以下、各工程について説明する。
<導電性の表面を有する基材を準備する工程>
本工程では、導電性の表面を有する基材を準備する。「導電性の表面を有する基材」とは、電場の働きによって荷電粒子(電子、イオン等)がドリフトして電気を通すことが可能な表面を有する基材を意味する。本実施形態に係る導電性の表面は、上記溶融塩チタンめっき液組成物の温度より高い融点を有する物質を含んでいてもよい。上記導電性の表面は、上記溶融塩チタンめっき液組成物の温度より高い融点を有する物質からなっていてもよい。上記溶融塩チタンめっき液組成物の温度より低い融点を有する物質を上記導電性の表面として用いると、後述する「基材の導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程」において上記溶融塩チタンめっき液組成物中に溶け出してしまい、上記基材のカソードとしての機能が低下する傾向がある。
導電性の表面を有する基材は、例えば、その全体が導電性の物質からなる基材であってもよいし、絶縁体からなる基材前駆体の表面に導電性の物質が被覆されている基材であってもよい。
導電性の表面は、Ni、Fe、Cu、Mo、W、カーボン及びステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性の表面は、Ni、Fe、Cu、Mo、W、カーボン及びステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種からなることがより好ましい。カーボンとしては、例えばグラッシーカーボン、グラファイト等が挙げられる。ステンレス鋼としては、例えばSUS304、SUS310S、SUS430等が挙げられる。
また、上記基材の形状は特に限定されない。例えば、基材としては、板状、柱状、パイプ状、二次元網目状、三次元網目状等の種々の形状を有する基材を採用することができる。
<基材と基材に対応するアノードとを溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程>
本工程では、準備した上記基材と上記基材に対応するアノードとを溶融塩チタンめっき液組成物(以下、「めっき液組成物」という場合がある。)に浸漬する。「溶融塩チタンめっき液組成物」とは、チタンめっきを行う際にめっき浴として用いる溶融塩の組成物を意味する。上記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化リチウム、塩化リチウム及びチタン(III)イオンを含む。また、上記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化物イオン、塩化物イオン、リチウムイオン及びチタン(III)イオンを含むと把握することもできる。
チタン(III)イオンの供給源としては、特に制限されないが、例えば、三塩化チタン(III)、ヘキサフルオロチタン(III)酸リチウム(LiTiF)、ヘキサフルオロチタン(III)酸カリウム(KTiF)等が挙げられる。
また、チタン(III)イオンは、下記式(1)で示される均化反応によって上記めっき液組成物中においてチタン(IV)イオンを還元することによって得てもよい。
3Ti4+ +Ti金属 → 4Ti3+ 式(1)
上記チタン(IV)イオンの供給源としては、特に制限されないが、例えば、ヘキサフルオロチタン酸(HTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸カリウム(KTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸アンモニウム((NHTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸ナトリウム(NaTiF)、シュウ酸チタンカリウム2水和物(KTiO(C・2HO)、四塩化チタン(IV)(TiCl)等が挙げられる。
上記均化反応において用いられるチタン金属の形状としては、特に制限されないが、例えば、スポンジ状、粉末状等が挙げられる。
上記めっき液組成物中におけるチタン(III)イオンの含有割合は特に制限されず、めっきを行う条件によって適宜設定できる。チタン(III)イオンの含有割合は、例えば、めっき液組成物中の全カチオン100mol%に対して20mol%以下であってもよいし、12mol%以下であってもよい。またチタン(III)イオンの含有割合は、めっき液組成物中の全カチオン100mol%に対して、0.1mol%以上であってもよいし、0.5mol%以上であってもよい。
上記めっき液組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲において、リチウムイオン及びチタン(III)イオン以外のカチオンを含んでいてもよい。リチウムイオン及びチタン(III)イオン以外のカチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
上記フッ化リチウムと上記塩化リチウムとのモル比LiF:LiClは、30:70〜50:50であることが好ましく、30:70〜45:55であることがより好ましく、40:60〜45:55であることが更に好ましい。ここで、「30:70〜50:50」で表されるモル比の範囲には、その両端のモル比が含まれるものとする。すなわち、「30:70〜50:50」で表されるモル比の範囲には、30:70が含まれるし、50:50が含まれる。
上記溶融塩チタンめっき液組成物におけるフッ化物イオンの割合は、上記溶融塩チタンめっき液組成物における全アニオンのモル数を基準として、10〜50mol%であることが好ましく、30〜45mol%であることがより好ましく、40〜45mol%であることが更に好ましい。ここで、上記溶融塩チタンめっき液組成物におけるアニオンとしては、フッ化物イオン及び塩化物イオンの他に、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
上記めっき液組成物の温度は、上記めっき液組成物の融点以上であり、上記導電性の表面を構成する物質の融点以下であることが好ましい。より具体的には、上記めっき液組成物の温度は、500℃以上850℃以下であることがより好ましく、500℃以上750℃以下であることが更に好ましい。
上記アノードは、特に制限ないが例えば、金属チタン、グラッシーカーボン、白金等を含むアノードが挙げられる。
<基材の導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程>
本工程は、上記基材の上記導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する。また、上記チタンめっき膜を形成する工程(本工程)は、上記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加することを含む。
具体的には、基材及びアノードをめっき液組成物に浸漬した状態で、上記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加することによって通電し、めっき液組成物の電解を行なう。これにより、カソードである基材の導電性の表面においてチタン(III)イオンが金属チタンに還元され、当該表面が金属チタンで被覆されることにより、チタンめっき膜が形成される。
上記カソード電位の設定範囲としては、Li/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vであり、1V〜1.2Vであることが好ましく、1V〜1.1Vであることがより好ましい。上記カソード電位をこのように設定することで、平滑度が高いチタンめっきを施すことが可能になる。上記カソード電位のモニターは例えば、電気化学測定装置(北斗電工株式会社製、商品名:HZ−7000)を用いて行うことができる。
<その他の工程>
本実施形態に係るチタンめっき部材の製造方法は、上述した工程に加えてその他の工程を更に含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、めっき液組成物中の不純物を取り除く目的で行う予備電解を施す工程、チタンめっきが施された基板を洗浄する工程、洗浄後のチタンめっきが施された基板を乾燥する工程等が挙げられる。
≪チタンめっき部材≫
本実施形態に係るチタンめっき部材は、基材と、上記基材を被覆するチタンめっき膜とを備え、上記チタンめっき膜の表面粗さが1μm未満であり、0.6μm以上0.9μm以下であることが好ましい。上記表面粗さ(Ra)は、SEM(Scanning Electron Microscope)による断面観察又は表面粗さ計を用いて測定することができる。本実施形態では、表面粗さ計を用いて、上記表面粗さ(Ra)を測定することとする。上記表面粗さ計としては、例えば、キーエンス株式会社製のレーザー顕微鏡VK−X1000(商品名)が挙げられる。なお、めっき膜の表面粗さは、JIS B 0601(2001)に規定された算術平均粗さRaを意味している。本実施形態における表面粗さ(Ra)は、上記チタンめっき膜の任意の5か所それぞれにおいて測定した値の平均値である。本実施形態の一側面において、上記チタンめっき膜は、平均めっき膜厚が5μmであるとき、表面粗さが1μm未満であってもよい。
上記基材としては、上述した製造方法に用いられる基材として例示されたものを用いることができる。
上述のような構成を備えるチタンめっき部材は、上記製造方法によって製造することが可能である。このようにして製造されたチタンめっき部材は、高硬度を有し、表面の平滑性が高く、かつ耐腐食性、耐摩耗性に優れた保護膜を有する部材である。また、めっき膜上の残留不純物量が少ない高品質なチタンめっき部材である。そのため、電解、蓄電分野、医療分野等、種々の分野において使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[チタンの電析電位測定(サイクリックボルタンメトリー)]
LiFとLiClとの混合比率がモル比で45:55となり、KTiFの濃度が0.5mol%となるようにLiF、LiCl及びKTiFを混合した。その後、得られた混合物を650℃に加熱し、溶融塩のめっき浴(溶融塩チタンめっき液組成物前駆体)を作製した。得られた溶融塩のめっき浴に対して、チタン(III)イオンを生成するのに必要な量の2倍量のスポンジチタン(めっき浴1gあたりに対し4.4mg)を添加し、十分に溶解させた。めっき浴中には溶解しきらなかったスポンジチタンが沈殿した状態で確認された。このようにして、溶融塩チタンめっき液組成物(以下、「めっき液組成物」という場合がある。)を作製した。
次に得られためっき液組成物をめっき浴として用いて以下の条件にて、チタンの電析電位を測定した。結果を図1に示す。
(測定条件)
測定装置 :HZ−7000(北斗電工株式会社製)
作用電極(カソード):Mo板(株式会社ニラコ製)
アノード :Ti板(株式会社ニラコ製)
参照電極 :白金擬似参照電極(株式会社ニラコ製)
温度 :650℃
図1は、LiF−LiCl浴中におけるチタンの電析電位測定の結果を示すグラフである。図1の結果から、Li/Liの酸化還元電位を基準として1.23V付近からチタンイオンの還元電流を観測した。この結果からチタンの電析にはカソードを1.23Vよりも卑な電位にすることが必要であることが分かった。
[チタンめっきにおける電解電位とめっき表面の平滑度の相関分析]
LiFとLiClとの混合比率がモル比で45:55となり、KTiFの濃度が2mol%となるようにLiF、LiCl及びKTiFを混合した。その後、得られた混合物を650℃に加熱し、溶融塩のめっき浴(溶融塩チタンめっき液組成物前駆体)を作製した。得られた溶融塩のめっき浴に対して、チタン(III)イオンを生成するのに必要な量の2倍量のスポンジチタン(めっき浴1gあたりに対し16mg)を添加し、十分に溶解させた。めっき浴中には溶解しきらなかったスポンジチタンが沈殿した状態で確認された。このようにして、溶融塩チタンめっき液組成物を作製した。
次に、カソードとして株式会社ニラコ製のNi板である基材を準備した(導電性の表面を有する基材を準備する工程)。その後、上記基材とアノードであるTi板とを上述の溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬した(基材と上記基材に対応するアノードとを溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程)。最後に以下の条件にて、各実験ごとに異なるカソード電位となるように、カソードである基材とアノードとの間に電圧を印加して、上記基材の表面上にチタンめっき膜を形成した(基材の導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程)。このときカソード電位は、北斗電工株式会社製のHZ−7000装置を用いて測定を行った。
(測定条件)
測定装置:HZ−7000(北斗電工株式会社製)
カソード:Ni板(株式会社ニラコ製)
アノード:Ti板(株式会社ニラコ製)
参照電極:白金擬似参照電極(株式会社ニラコ製)
温度 :650℃
得られたチタンめっきの算術表面粗さ(Ra)をレーザー顕微鏡VK−X1000(キーエンス株式会社製)にて測定した。結果を表1に示す。ここで、表1中の「カソード電位」は、Li/Liの酸化還元電位を基準とした値である。
Figure 2019171744
上述の実験の結果、カソード電位が1.3Vである試験例A(比較例1)ではチタンめっき膜が形成されなかった。これは、チタンの析出に必要な電位がカソードに印加されていなかったためであると本発明者らは考えている(図1)。次に、カソード電位が0.85V〜1.2Vである試験例1〜4(実施例1〜4)では、表面粗さ(Ra)が1μm未満(0.62μm〜0.9μm)のチタンめっき膜がカソードに形成されていた。一方、カソード電位が0.7Vである試験例B(比較例2)では、表面粗さ(Ra)が2.6μmであり、1μmを超えていた。
表1の結果から、カソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、上記基材と上記アノードとの間に電圧を印加すると、表面の平滑度が高い(表面粗さが1μm未満である)チタンめっきを有するチタンめっき部材を製造できることが示された。
このように、本実施例に係るチタンめっき部材の製造方法によれば、平滑な表面を有するチタンめっき部材を製造することが可能になる。
以上のように本発明の実施形態及び実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態及び各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (5)

  1. 導電性の表面を有する基材と前記基材に対応するアノードとを、溶融塩チタンめっき液組成物に浸漬する工程と、
    前記基材の前記導電性の表面上にチタンめっき膜を形成する工程と、を含むチタンめっき部材の製造方法であって、
    前記チタンめっき膜を形成する工程は、前記基材におけるカソード電位がLi/Liの酸化還元電位を基準として0.85V〜1.2Vとなるように、前記基材と前記アノードとの間に電圧を印加することを含み、
    前記溶融塩チタンめっき液組成物は、フッ化リチウム、塩化リチウム及びチタン(III)イオンを含む、製造方法。
  2. 前記導電性の表面は、Ni、Fe、Cu、Mo、W、カーボン及びステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記フッ化リチウムと前記塩化リチウムとのモル比LiF:LiClは、30:70〜50:50である、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記溶融塩チタンめっき液組成物におけるフッ化物イオンの割合は、前記溶融塩チタンめっき液組成物における全アニオンのモル数を基準として、10〜50mol%である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 基材と、前記基材を被覆するチタンめっき膜とを備え、前記チタンめっき膜の表面粗さが1μm未満である、チタンめっき部材。
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