JP2015183101A - 繊維強化熱可塑性樹脂組成物、それを使用した複合成形体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体の前記樹脂成形体を製造するための繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、
(A)熱可塑性樹脂、
(B)強化用繊維(但し、ミルドファイバーを除く)、
(C)熱可塑性エラストマー、
(D)ミルドファイバー
を含有している繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
しかしながら、金属成形体と樹脂成形体を工業的に有利な方法で、かつ高い接合強度で接合一体化できる技術が求められている。
前記異種材料については段落番号0061に記載されており、熱可塑性樹脂にガラスファイバーを添加したものも記載されている。
特許文献4、5には、樹脂成形体の材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマーに対して、炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維を配合したものが記載されている(特許文献4の段落番号0090、0091、特許文献5の段落番号0051、0052)。
さらに本発明は、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物を使用した複合成形体と、その製造方法を提供することを他の課題とする。
金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体の前記樹脂成形体を製造するための繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、
(A)熱可塑性樹脂、
(B)強化用繊維(但し、ミルドファイバーを除く)、
(C)熱可塑性エラストマー、
(D)ミルドファイバー
を含有している繊維強化熱可塑性樹脂組成物を提供する。
金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体であって、
前記樹脂成形体が、請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるものであり、
前記金属成形体が、表面にレーザー光が照射されて形成された凹凸を有しており、
前記凹凸内に樹脂成形体が入り込むことで、前記金属成形体と前記樹脂成形体が接合一体化されている、複合成形体と、その製造方法を提供する。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、金属成形体と樹脂成形体からなる複合成形体の前記樹脂成形体の製造用材料として使用するものである。
前記複合成形体1は図1、図2に示すようなものであり、金属成形体10と樹脂成形体20が接触面(接合面)12において接合され、一体化されているものである。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、(A)〜(D)成分と、必要に応じて含有する他の成分を含んでいるものである。
(A)成分の熱可塑性樹脂は、用途に応じて公知の熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。
例えば、ポリアミド系樹脂(PA6、PA66などの脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド)、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂などのスチレン単位を含む共重合体、ポリエチレン、エチレン単位を含む共重合体、ポリプロピレン、プロピレン単位を含む共重合体、その他のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂を挙げることができる。
これらの中でも、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれるものが好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、マレイン酸変性ポリオレフィン(マレイン酸変性ポリプロピレン)、無水マレイン酸変性ポリオレフィン(無水マレイン酸変性ポリポリプロピレン)が好ましい。
(B)成分の強化用繊維(但し、ミルドファイバーを除く)は、公知の繊維強化樹脂において使用されているものを使用することができる。
(B)成分の強化用繊維としては、炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維などを挙げることができる。
炭素繊維は周知のものであり、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等のものを用いることができる。
無機繊維としては、ガラス繊維、玄武岩繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維などを挙げることができる。
金属繊維としては、ステンレス、アルミニウム、銅などからなる繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリアミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維、ジアミンとジカルボン酸のいずれか一方が芳香族化合物である半芳香族ポリアミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリエステル繊維(全芳香族ポリエステル繊維を含む)、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維などの合成繊維や天然繊維(セルロース系繊維など)や再生セルロース(レーヨン)繊維などを挙げることができる。
(B)成分が長繊維であるときは、長さは4〜30mmが好ましく、5〜25mmがより好ましく、6〜20mmがさらに好ましい。
(B)成分が短繊維であるときは、長さは0.1〜1.5mmが好ましく、0.2〜1.0mmがより好ましく、0.3〜0.8mmがさらに好ましい。
(B)成分の強化用繊維は、繊維径は3〜60μmが好ましく、5〜30μmがより好ましく、7〜20μmがさらに好ましい。
これらの中でもスチレン系エラストマー(スチレン単位を有する熱可塑性エラストマー)が好ましく、スチレン単位を有する水素添加した熱可塑性エラストマーがより好ましい。
(C)成分としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、これらの共重合体を不飽和カルボン酸(無水マレイン酸など)またはその無水物で変性させたものなどが好ましい。
(D)成分のミルドファイバー(milled fiber)は、(B)成分と同様に炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維などからなるものを挙げることができる。
(D)成分のミルドファイバーの繊維径は5〜23μmが好ましく、6〜17μmがより好ましく、7〜13μmがさらに好ましい。
(D)成分のミルドファイバーの平均繊維長(重量平均繊維長)は、30〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましく、50〜90μmがさらに好ましい。
重量平均繊維長は、例えば、特開2002−5924号公報の〔0016〕〜〔0017〕、特開2006−274061号公報の〔0044〕、〔0045〕などに記載されている周知の計算方法により求められるものである。
(B)成分の強化用繊維は、(A)成分100質量部に対して、8〜220質量部が好ましく、25〜150質量部がより好ましく、30〜100質量部がさらに好ましい。
(B)成分の組成物中の含有割合(質量%)は、20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜50質量%がさらに好ましい。
(C)成分の熱可塑性エラストマーは、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。
(D)成分のミルドファイバーは、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。
長さ方向に揃えた状態で束ねた(B)成分の強化用繊維束に対して、溶融状態の(A)成分を含有させ(含浸させ)一体化した後に切断した樹脂含有繊維束と、(C)成分および(D)成分を含む組成物。
樹脂含有繊維束は、(B)成分の繊維束内部に溶融状態の(A)成分が入り込んだ状態で固化したものである。
(C)成分と(D)成分は、樹脂含有繊維束内には含まれず、別途配合されるものである。
(C)成分と(D)成分はそのまま配合することもできるが、(A)成分の熱可塑性樹脂と(C)成分、(D)成分を混合したもの(マスターバッチ)、(A)成分の熱可塑性樹脂と(C)成分、(D)成分を溶融混練機で押出し、ペレット化したもの(マスターバッチのペレット)を配合することもできる。
(A)成分として使用した熱可塑性樹脂と前記マスターバッチとして使用した熱可塑性樹脂は、同一であるものが好ましいが、同一でないものでも互いに相溶性があるものであればよい。
なお、(C)成分と(D)成分を(A)成分を含むマスターバッチとして使用したときは、前記マスターバッチに含まれる(A)成分の量も、組成物中の(A)成分の量に含まれる。
長さ方向に揃えた状態で束ねた(B)成分の強化用繊維束に対して、(C)成分、(D)成分および溶融状態の(A)成分を含有させ一体化した後に切断した樹脂含有繊維束を含む組成物。
樹脂含有繊維束は、(B)成分の繊維束内部に溶融状態の(A)成分と共に、(C)成分と(D)成分が入り込んだ状態、または(C)成分と(D)成分の一部が繊維束の表面に付着している状態で固化したものである。
(C)成分の熱可塑性エラストマーは、(A)成分と同様に溶融状態となって、繊維束内に入り込んでいてもよい。
樹脂含有繊維束において、(B)成分の強化用繊維の長さと樹脂含浸繊維束の長さは同一である。
図1、図2により説明する。
本発明の複合成形体1は、金属成形体10と樹脂成形体20が接触面(接合面)12において接合され、一体化されているものである。樹脂成形体20は、上記した繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるものである。
金属成形体10は、接合前には、接合面12の表面に凹凸を有しており、接合後は、凹凸内に樹脂成形体20が入り込むことで、金属成形体10と樹脂成形体20が接合一体化されている。
本発明の複合成形体の製造方法を工程ごとに説明する。
用途に応じた所望形状の金属成形体10の接合面12に対してレーザー光を照射する。
図1では金属成形体10は平板であるが、立方体や直方体のようなものでもよいし、図2の丸棒のような曲面を有しているものでもよい。
パルス波レーザーを使用するときは、特許文献1(特許第4020957号公報)、特許文献2(特開2010−167475号公報)、特許文献3(特開平10−294024号公報)、特許文献4(特開2013−52669号公報)、特許文献5(特開2014−18995号公報)に記載の方法と同様にして照射することができる。
この工程では、接合面12に対して高い照射速度でレーザー光を連続照射することで、ごく短時間で接合面12を粗面にすることができる。図1の接合面12(部分拡大図)は、粗面にされた状態が誇張されて図示されている。
連続波レーザーの照射速度が前記範囲であると、加工速度を高めることができ(即ち、加工時間を短縮することができ)、接合強度も高いレベルに維持することができる。
(A)レーザー光の照射速度が2000〜15000mm/sec
(B)金属成形体の接合面の面積が100mm2
要件(A)、(B)であるときの加工時間を上記範囲内にするとき、接合面12の全面を粗面にする(粗面化する)ことができる。
(I)図3、図4に示すように、接合面(例えば長方形とする)12の一辺(短辺または長辺)側から反対側の辺に向かって1本の直線または曲線が形成されるように連続照射し、これを繰り返して複数本の直線または曲線を形成する方法。
(II)接合面の一辺側から反対側の辺に向かって連続的に直線または曲線が形成されるように連続照射し、今度は逆方向に間隔をおいての直線または曲線が形成されるように連続照射することを繰り返す方法。
(III)接合面の一辺側から反対側の辺に向かって連続照射し、今度は直交する方向に対して連続照射する方法。
(IV)接合面に対してランダムに連続照射する方法。
同じ連続照射条件であれば、1本の直線または1本の曲線を形成するための照射回数(繰り返し回数)が増加するほど接合面12に対する粗面化の程度が大きくなる。
このときの間隔は、レーザー光のビーム径(スポット径)よりも大きくなるようにする、また、このときの直線または曲線の本数は、金属成形体10の接合面の面積に応じて調整することができる。
そして、これらの複数本の直線または複数本の曲線を1群として、これを複数群形成することができる。
このときの各群の間隔は0.01〜1mmの範囲(図4に示すb2の間隔)で等間隔になるようにすることができる。
なお、図3、図4に示す連続照射方法に代えて、図5に示すように、連続照射開始から連続照射終了までの間、中断することなく連続照射する方法も実施することができる。
出力は4〜4000Wが好ましく、50〜2500Wがより好ましく、100〜2000Wがさらに好ましく、250〜2000Wがさらに好ましい。
ビーム径(スポット径)は5〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、11〜80μmがさらに好ましい。
エネルギー密度(W/μm2)は、0.1W/μm2以上が好ましく、0.2〜10W/μm2がより好ましく、0.2〜6.0W/μm2がさらに好ましい。
エネルギー密度(W/μm2)が同じであるとき、出力(W)が大きい方がより大きなスポット面積(μm2)に対してレーザー照射できることになるため、処理速度(1秒当たりのレーザー照射面積;mm2/sec)が大きくなり、加工時間も短くすることができる。
焦点位置は-10〜+10mmが好ましく、−6〜+6mmがより好ましい。
このときの金属成形体の接合面12の状態の一実施形態を図6〜図8により説明する。
図6に示すとおり、レーザー光(例えば、スポット径11μm)を連続照射して多数の線(図面では3本の線61〜63を示している。各線の間隔は50μm程度。)を形成することで粗面化することができる。1本の直線への照射回数は1〜10回が好ましい。
このとき、粗面化された接合面12を含む金属成形体10の表層部は、図7(a)、図8(a)〜(c)に示すようになっている。なお、「金属成形体10の表層部」は、表面から粗面化により形成された開放孔(幹孔または枝孔)の深さ程度までの部分である。
なお、1本の直線への照射回数が10回を超える回数である場合には、粗面化のレベルをより高めることができ、複合成形体1において金属成形体10と樹脂成形体20の接合強度を高めることができるが、合計照射時間が長くなる。このため、目的とする複合成形体1の接合強度と製造時間との関係を考慮して、1本の直線への照射回数を決めることが好ましい。1本の直線への照射回数が10回を超える回数であるとき、好ましくは10回超〜50回以下、より好ましくは15〜40回、さらに好ましくは20〜35回である。
開放孔30は、厚さ方向に形成された開口部31を有する幹孔32と、幹孔32の内壁面から幹孔32とは異なる方向に形成された枝孔33からなる。枝孔33は、1本または複数本形成されていてもよい。
なお、複合成形体1において金属成形体10と樹脂成形体20の接合強度が維持できるのであれば、開放孔30の一部が幹孔32のみからなり、枝孔33がないものでもよい。
内部空間40は、トンネル接続路50により開放孔30と接続されている。
なお、多数の開放孔30が一つになって溝状の開放空間45が形成されていてもよい。
また、同様に開放孔30の枝孔33やトンネル接続路50が形成される詳細も不明であるが、一旦形成された孔や溝の底部付近に滞留した熱によって、孔や溝の側壁部分が溶融する結果、幹孔32の内壁面が溶融して枝孔33が形成され、さらに枝孔33が延ばされてトンネル接続路50が形成されるものと考えられる。
なお、連続波レーザーに代えてパルスレーザーを使用したときには、金属成形体の接合面には開放孔や溝が形成されるが、開口部を有していない内部空間と、前記開放孔と前記内部空間を接続する接続通路は形成されない。
エッチング加工は、金属に応じた周知のエッチング液とマスキング部材を組み合わせて使用する方法を適用することができる。
プレス加工は、所定の大きさの凹部を形成できるような針状の加工具、または所定の大きさの溝を形成できるような刃を有する加工具を使用する方法を適用することができる。
ブラスト加工としては、ショットブラスト加工、サンドブラスト加工などを使用することができる。
この工程では、
前工程においてレーザー光が照射された金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる繊維強化熱可塑性樹脂組成物を射出成形する工程、または
前工程においてレーザー光が照射された金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、少なくとも前記接合面と前記樹脂成形体となる繊維強化熱可塑性樹脂組成物を接触させた状態で圧縮成形する工程、
のいずれかの方法を適用することができる。
その他、熱可塑性樹脂の成形方法として使用される公知の成形方法も適用することができる。
繊維強化熱可塑性樹脂組成物を使用した場合には、溶融した(A)成分の熱可塑性樹脂を含む組成物に圧力などをかけることで、金属成形体に形成された孔や溝やトンネル接続路内に(A)成分の熱可塑性樹脂、(C)成分の熱可塑性エラストマーおよび(D)成分のミルドファイバーを入り込ませた後、前記組成物を冷却固化させることで複合成形体を得られる方法であればよい。
射出成形や圧縮成形のほか、射出圧縮成形、トランスファー成形などの成形方法も使用することができる。
開放孔30と(幹孔32と枝孔33)開放空間45の内部には、それぞれの開口部分から樹脂が入り込んでおり、内部空間40の内部には、開放孔30や開放空間45の開口部から入り込んだ繊維強化熱可塑性樹脂組成物がトンネル接続路50を通って入り込んでいる。
(A)成分
PP:PMB60A(サンアロマー(株)製)
PA6:UBEナイロン1013B(宇部興産(株)製)
PA66:UBEナイロン2015B(宇部興産(株)製)
MXD6:レニー6002(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
(B)成分
GF1:RS240QR-489(日東紡製)(繊維径17.4μm)
GF2:RS240QR-483(日東紡製)(繊維径17.4μm)
(C)成分
ER1:タフテックH1041(SEBS)(旭化成ケミカル(株)製)
ER2:タフテックM1913(無水マレイン酸変性SEBS)(旭化成ケミカル(株)製)
(D)成分
MF1:PF50E-401(日東紡製)平均繊維長60μm,繊維径10.5μm
MF2:EPH80M-10A(日本電気硝子(株)製)平均繊維長80μm,繊維径10.5μm
(その他)
MAH-PP:無水マレイン酸変性PP,OREVAC CA100(アルケマ(株)製)
タルク:ミクロンホワイト5000S(林化成(株)製)
ウォラストナイト:KAP−170(関西マテック(株)製)
(B)成分(GF1)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PP(MAH−PP含有))を250℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長11mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER1)および(D)成分(MF1)は、溶融状態の熱可塑性樹脂と共に供給した。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER1またはER2)および(D)成分(MF1またはMF2)は、溶融状態の熱可塑性樹脂と共に供給した。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER2)および(D)成分(MF2)は、(A)成分(PA6)をベース樹脂としてマスターバッチペレットを作製してドライブレンドすることで繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得た。
マスターバッチペレットは(A)成分:(C)成分:(D)成分=4:3:3の配合比率で混合した後、240℃設定温度の単軸押出機で製造したものである。(A)成分の含有量には、マスターバッチペレット中の(A)成分も含まれる。
前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA66)を290℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長7mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER2)および(D)成分(MF2)は、溶融状態の熱可塑性樹脂と共に供給した。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(MXD6)を270℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER2)および(D)成分(MF2)は、溶融状態の熱可塑性樹脂と共に供給した。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF1)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PP(MAH−PP含有))を250℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長11mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA66)を290℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長7mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER2)および(D)成分(MF2)は、(A)成分(PA6)をベース樹脂としてマスターバッチペレットを作製してドライブレンドすることで繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得た。
マスターバッチペレットは(A)成分:(C)成分:(D)成分=4:3:3の配合比率で混合した後、240℃設定温度の単軸押出機で製造した。(A)成分の含有量には、マスターバッチペレット中の(A)成分も含まれる。
前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(MXD6)を270℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(C)成分(ER2)は、溶融状態の熱可塑性樹脂と共に供給した。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
(B)成分(GF2)となる連続繊維をクロスヘッドダイに通して引きながら、(A)成分(PA6)を260℃設定温度の押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して、前記連続繊維に含浸させ、腑形ダイを通してストランドとして引取った。
冷却後、引き抜き方向と直角に切断して、ペレット長9mmのペレット(円柱形状の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)を得た。
なお、(D)成分(MF2)は、溶融状態の熱可塑性樹脂と共に供給した。前記ペレット長さと(B)成分のガラス繊維長さは同一である。
実施例および比較例の組成物を使用して、表2、表3に示す評価1試験を実施した。
(ISO多目的試験片の作製方法)
下記の射出成形機を使用した。シリンダー温度と金型温度は、使用した(A)成分の種類に応じて調整した。
(射出成形機)
射出成形機:J150EII(日本製鋼所製)
スクリュー:長繊維専用スクリュー
(温度条件)
PP:シリンダー温度250℃、金型温度50℃
PA6:シリンダー温度260℃、金型温度100℃
PA66:シリンダー温度290℃、金型温度100℃
MXD6:シリンダー温度270℃、金型温度140℃
(測定方法)
引張試験:ISO 527に準拠
曲げ試験:ISO 178に準拠
シャルピー衝撃強度 ISO179/1eA(ノッチ付き)
実施例および比較例は、図9に示す金属成形体(ステンレス:SUS304)の接合面12の全面(90mm2の広さ範囲)に対して、表1に示す条件で、図3に示すようにレーザー光を連続照射した。
(射出成形機)
射出成形機:SE30S(住友重機械製)
上記したISO多目的試験片の作製方法と同様温度条件で実施した。
引張試験は、図11に示すように、金属成形体10側の治具70により固定した状態で、金属成形体10と樹脂成形体20が破断するまで図11のY方向(図1のY方向であり、接合面12に対して垂直方向)に引っ張った場合の接合面12が破壊されるまでの最大荷重を測定し、標準偏差(n=5)も求めた。
接合強度1(MPa)=最大荷重(N)/60(mm2[接合面積(樹脂部面積)])
<引張試験条件>
試験機:オリエンテック社製テンシロン(UCT−1T)
引張速度:5mm/min
チャック間距離:50mm
実施例および比較例は、図12に示す金属成形体(ステンレス:SUS304)の接合面12の全面(40mm2の広さ範囲)に対して、表1に示す条件でレーザーを連続照射した。
次に、処理後の金属成形体を使用して、下記の方法で圧縮成形して、実施例および比較例の複合成形体を得た。
金属成形体10を接合面12が上になるように型枠内(テフロン製)に配置し、接合面12上にISO多目的試験片の粉砕物を加えた。その後、型枠を鉄板で挟みこみ、下記条件で圧縮して、図13に示す複合成形体を得た。
温度:組成物に含まれる熱可塑性樹脂の種類により調整した。
PP:220℃
PA6:250℃
PA66:280℃
MXD6:260℃
圧力:1MPa(予熱時)、10MPa
時間:2分間(予熱時)、3分間
成形機:東洋精機製作所製圧縮機(mini test press-10)
実施例および比較例の複合成形体を用い、引張試験を行って引抜き接合強度(接合強度2)(表2、3の評価2)を評価した。結果を表2、3に示す。
引張試験は、次のようにして実施した。
図14に示すように、複合成形体の樹脂成形体20の露出面に対して、アルミニウム板72aとその面に対して垂直方向に固定された引張部73aからなる治具74aを接着剤71aにより固着した。
同様に図14に示すように、複合成形体の金属成形体10の露出面に対して、アルミニウム板72bとその面に対して垂直方向に固定された固定部73bからなる治具74bを接着剤71bにより固着した。
固定部73bを固定した状態で、下記条件にて引張部73aを引っ張った場合の接合面12が破壊されるまでの最大荷重を測定した。
接合強度2(MPa)=最大荷重(N)/40(mm2[処理面積])
<引張試験条件>
試験機:テンシロン
引張速度:5mm/min
チャック間距離:16mm
この結果は、レーザー光照射で金属成形体の接合面に形成された孔内部に(D)成分のミルドファイバーが入り込んだためであると考えられる。
Claims (11)
- 金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体の前記樹脂成形体を製造するための繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、
(A)熱可塑性樹脂、
(B)強化用繊維(但し、ミルドファイバーを除く)、
(C)熱可塑性エラストマー、
(D)ミルドファイバー
を含有している繊維強化熱可塑性樹脂組成物。 - (D)成分のミルドファイバーが、繊維径が5〜23μm、平均繊維長が30〜150μmのものである、請求項1記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分の熱可塑性エラストマーが、スチレン単位を有する水素添加した熱可塑性エラストマーである、請求項1または2記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分の熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれるものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- (A)および(B)成分が、長さ方向に揃えた状態で束ねた前記(B)成分の強化用繊維束に対して、溶融状態の(A)成分を含有させ一体化した後に切断した樹脂含有繊維束からなるものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- (A)〜(D)成分が、長さ方向に揃えた状態で束ねた前記(B)成分の強化用繊維束に対して、(C)成分、(D)成分および溶融状態の(A)成分を含有させ一体化した後に切断した樹脂含有繊維束からなるものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
- 金属成形体と樹脂成形体が接合された複合成形体であって、
前記樹脂成形体が、請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなるものであり、
前記金属成形体が、表面に凹凸を有しており、
前記凹凸内に樹脂成形体が入り込むことで、前記金属成形体と前記樹脂成形体が接合一体化されている、複合成形体。 - 前記金属成形体表面の凹凸が、前記金属成形体表面に連続波レーザー光またはパルス波レーザー光が照射されて形成されたものである、請求項7記載の複合成形体。
- 請求項7または8記載の複合成形体の製造方法であって、
前記金属成形体の接合面に対してレーザー光を照射する工程であり、前記レーザー光として連続波レーザー光またはパルス波レーザー光を使用する工程、
前工程においてレーザー光が照射された金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる繊維強化熱可塑性樹脂組成物を射出成形する工程を有している、複合成形体の製造方法。 - 請求項7または8記載の複合成形体の製造方法であって、
前記金属成形体の接合面に対してレーザー光を照射する工程であり、前記レーザー光として連続波レーザー光またはパルス波レーザー光を使用する工程、
前工程においてレーザー光が照射された金属成形体の接合面を含む部分を金型内に配置して、少なくとも前記接合面と前記樹脂成形体となる繊維強化熱可塑性樹脂組成物を接触させた状態で圧縮成形する工程を有している、複合成形体の製造方法。 - 前記レーザー光を照射する工程が、連続波レーザーを使用して2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射する工程である、請求項9または10記載の複合成形体の製造方法。
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