以下、各々の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各々の部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本明細書と各々の図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の記号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る窒化物半導体装置のパターンレイアウトの例を模式的に示したものである。
図2は、第1の実施の形態に係る窒化物半導体装置の構成を例示する回路図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体装置112は、nチャンネルの第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130を備える。第1トランジスタ110および第3トランジスタ130はエンハンスメント型トランジスタ(E型トランジスタ)であり、第2トランジスタ120はデプレッション型トランジスタ(D型トランジスタ)である。
第1トランジスタ110は、2本以上のフィンガー状に形成された第1ゲート電極110gと、第1ソース電極110sと、第1ドレイン電極110dと、を有する。
第2トランジスタ120は、各々の第1ゲート電極110gの根元に配置されており、第2ゲート電極120gと、第2ソース電極120sと、第2ドレイン電極120dと、を有する。第2ソース電極120sと第1ゲート電極110gとが電気的に接続されており、また第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sは、配線181で電気的に接続される。また、第2ソース電極120sは、第1ゲート電極110gと電気的に接続される。
第3トランジスタ130は、第1ゲート電極110gの根元に配置されており、第3ゲート電極130gと、第3ソース電極130sと、第3ドレイン電極130dと、を有する。第3ソース電極130sは、第1ソース電極110sと電気的に接続される。また、第3ドレイン電極130dは、第1ゲート電極110g及び第2ソース電極120sと電気的に接続されている。
ここで、第1ソース電極110sと第3ソース電極130sは、同一レイヤで接続されるよう形成することが好ましい。これにより、マスク数を削減し、コストを削減することができる。
この実施の形態においては、窒化物半導体装置112は、ドレイン電極パッド161と、ソース電極パッド162と、ゲート電極パッド163と、電源電極配線パッド164と、第1ソース配線180と、をさらに備える。
ドレイン電極パッド161は、第1ドレイン電極110dと電気的に接続される。ソース電極パッド162は、第1ソース電極110sと第3ソース電極130sと、第1ソース配線180で電気的に接続される。ゲート電極パッド163は、第3ゲート電極130gと電気的に接続される。電源電極配線パッド164は、第2ドレイン電極120dと電気的に接続される。
DCFL回路を構成する第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130が、スイッチ素子である第1トランジスタ110の第1ゲート電極110gのフィンガー1本ごとに隣接して配置されている。また、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130とにより第1トランジスタ110のゲートドライバを形成している。第2トランジスタ120と第3トランジスタ130とは後述するように同一のSi基板101の上に第2ソース電極120sと第3ドレイン電極130dとを共通に設けた構成となっている。これらにより、第1トランジスタ110のデバイスサイズが変わっても、第1トランジスタ110のフィンガー状の各々の第1ゲート電極110gと、各々の第2ソース電極120sと、各々の第3ドレイン電極130dとの配線距離を等しくすることができる。よって、デバイスサイズの増大で発生する、各々の第1ゲート電極110gでの各々のゲート信号の遅延量の差を小さくすることができ、高速なスイッチングを確保できる。
図3は、第1の実施の形態に係るD型のトランジスタおよびE型のトランジスタの製造方法を示した断面図である。
図3(a)では、導電性のSi基板101の(111)面上に有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)法により、厚さが100nmの窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層102と、厚さが2μmのアンドープの窒化ガリウム(GaN)からなる第1窒化物半導体層103と、厚さが20nmのアンドープの窒化アルミニウムガリウム(Al0.25Ga0.75N)からなる第2窒化物半導体層104と、厚さが100nmのAl0.05Ga0.95Nからなるp型の第3窒化物半導体層105とを順次に成長する。バッファ層102からp型の第3窒化物半導体層105までの各々の半導体層の組成と層厚について、表1に示す。
さらに、厚さが20nmのパラジウム(Pd)と厚さが100nmの金(Au)とからなる第3ゲート電極130gを蒸着法などによりリフトオフ形成する(図示しないが、第1ゲート電極110gも同時に形成する)。第1窒化物半導体層103と第2窒化物半導体層104とのヘテロ界面近傍には、自発分極及びピエゾ分極による電荷が生じる。これにより、シートキャリア濃度が1×1013cm-2以上でかつ移動度が1000cm2V/sec以上の2次元電子ガス(2−dimensional Electron Gas、2DEG)層であるチャネル領域が生成されている。p型の第3窒化物半導体層105は、マグネシウム(Mg)が約1×1019cm-3のドーズ量でドープされており、p型の第3窒化物半導体層105中のキャリア密度は約1×1018cm-3である。なお、第1窒化物半導体層103にインジウム(In)を添加して、電子の移動度を増加して大電流化することができる。また、Alを含む第2窒化物半導体層104にInを添加することで、第1窒化物半導体層103との格子不整合を緩和することができる。また、p型の第3窒化物半導体層105にInを添加すると、ピエゾ分極を打ち消す作用が働くため、E型のトランジスタである第1トランジスタ110と第3トランジスタ130のゲートしきい値電圧を正の方向にシフトすることができる。また、図示しないが、各々のトランジスタ間を分離するため、ボロン(B)などのイオン注入を行い不活性化する。
図3(b)では、第3ゲート電極130gをマスクとして、たとえば塩素ガスやSF6ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)を用いたドライエッチング等により、p型の第3窒化物半導体層105を選択的に除去する。このとき、p型の第3窒化物半導体層105と比べて第2窒化物半導体層104のほうがAl組成が高いことから、酸素ガスを添加することで酸化アルミニウムを生成させて、p型の第3窒化物半導体層105のエッチングレートよりも第2窒化物半導体層104のエッチングレートを小さくすることができる。これにより、容易に第3窒化物半導体層105を選択除去できる。酸素の代わりにSF6ガスなどを用いてフッ素を添加してもフッ化アルミニウムが生成されるため、同様にエッチング選択比をとることができる。
図3(c)では、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)からなる第2ドレイン電極120d及び第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130d及び第3ソース電極130sを蒸着法などにより形成する(図示しないが、第1ドレイン電極110d及び第1ソース電極110sも同時に形成する)。ここで、E型の第3トランジスタ130が完成する。第3トランジスタ130のゲート部には、p型の第3窒化物半導体層105と第2窒化物半導体層104とにPN接合が形成される。これにより、ゲート電極に印加する電圧が0Vの場合においても、p型の第3窒化物半導体層105から第2窒化物半導体層104及び第1窒化物半導体層103中に、Si基板101側及び第3ソース電極130sまたは第3ドレイン電極130dに向かって空乏層が広がる。したがって、第3ゲート電極130gに印加する電圧が0Vの場合においても、チャネル領域を流れる電流が遮断されるため、ノーマリオフ動作を行わせることが可能となり、E型トランジスタが実現する。また、第3ゲート電極130gにPN接合のビルトインポテンシャルを超える3V以上のゲート電圧が印加された場合に、チャネル領域に正孔を注入することが出来る。窒化物半導体において、正孔の移動度は、電子の移動度よりも低いため、チャネル領域に注入された正孔は電流を流す担体としてはあまり寄与しない。このため、注入された正孔は、同量の電子をチャネル領域内に発生させ、チャネル領域内に電子を発生させる効果を向上させる、ドナーイオンのような機能を発揮する。つまり、チャネル領域内においてキャリア濃度の変調を行うことが可能となるため、動作電流が大きく、低抵抗なノーマリオフ型のパワー半導体素子を実現することが可能となる。
なお、第1トランジスタ110も同様の理由により、E型のトランジスタとすることができる。
上記例実施の形態においては、p型の第3窒化物半導体層105上にPdとAuの積層体を形成してE型トランジスタのゲート電極としたが、ゲート電極の金属材料は、p型の第3窒化物半導体層105とオーミック接触するPd、Ni、Tiなどでもよいし、p型の第3窒化物半導体層105とショットキー接触するWSiやAlなどでもよい。オーミック接触する場合は、たとえば3V程度の低いゲート電圧でゲート電流が流れ始めるため、正孔の注入が起こりやすく、ドレイン・ソース間の電流を増大させやすいメリットがある。ショットキー接触する場合は、たとえば4V以上のゲート電圧を与えないとゲート電流が流れ始めないため、ゲート電流による消費電流ロスを低減したい場合に有用である。
図3(d)では、第2ソース電極120sと第2ドレイン電極120dとの間に、ニッケル(Ni)、白金(Pt)と金(Au)と、からなる第2ゲート電極120gを蒸着法などにより形成する。第2ゲート電極120gは、第2窒化物半導体層104とショットキー接触している。ここで、D型の第2トランジスタ120が完成する。E型の第3トランジスタ130と第2窒化物半導体層は共通であるが、p型の第3窒化物半導体層105が除去されているためPN接合が形成されず、D型トランジスタとなる。
D型トランジスタのゲート電極の金属材料は、第2窒化物半導体層104とショットキー接触する、Ni、Pd、Alなどを用いればよい。
以上から、p型の第3窒化物半導体層105によるpn接合と、p型の第3窒化物半導体層105と第2窒化物半導体層104のAl組成の差を利用することにより、同一基板上に容易にD型トランジスタとE型トランジスタを作製することができる。
なお、p型の第3窒化物半導体層105を用いずに同一基板上にD型トランジスタとE型トランジスタを製造しようとする場合は、ゲートしきい値電圧が0Vより小さいD型トランジスタになる程度に厚みをもった第2窒化物半導体層104の一部を、ドライエッチングによりE型トランジスタになる程度の厚みまで薄膜化したリセス構造を形成し、E型トランジスタを製造することができることが知られている。しかしながら、この方法では、第2窒化物半導体層104の厚みをウエハ間及びウエハ面内で歩留まりよく制御することは現実的に困難である。本実施例によれば、選択的にp型の第3窒化物半導体層105をドライエッチング除去できるため、p型の第3窒化物半導体層105がアンダーエッチングになることも、第2窒化物半導体層104がオーバーエッチングされることも起こりにくく、制御性よくD型トランジスタとE型トランジスタを実現できる。
また、同一基板上にD型トランジスタとE型トランジスタを製造しようとする他の方法として、E型トランジスタになる程度の厚みをもった第2窒化物半導体層104の上に、選択的に酸化シリコンや、酸化アルミニウムなどのゲート絶縁膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより形成し、MIS(Metal Insulator Semiconductor)構造をとることでD型トランジスタを作製する方法もある。しかしながら、第2窒化物半導体層104とゲート絶縁膜との界面に形成される欠陥及びゲート絶縁膜中の欠陥に起因した、ゲート電圧に対するドレイン電流のヒステリシス特性の発現が頻発するため、実用上で問題があった。本実施の形態によれば、第2窒化物半導体層104の上に、同じ窒化物半導体層であるp型の第3窒化物半導体層105を結晶成長するため、第2窒化物半導体層104とp型の第3窒化物半導体層105との界面にできる欠陥の数は、ゲート絶縁膜を用いた場合の欠陥の数より少なく、ヒステリシス特性の問題は発生しない。
図4(a)〜図4(d)はそれぞれ、図1の窒化物半導体装置のパターンレイアウトにおける断面1A、断面1B、断面1C、断面1Dで切った断面図を示す。なお、断面1A、断面1B、断面1C、断面1Dは、図1の紙面に対し垂直である。
図4(a)は、図1の断面1Aに関する断面図である。すなわち、同図は、第1トランジスタ110の構成の例を示している。
図4(b)は、図1の断面1Bに関する断面図である。すなわち、同図は、第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130の構成例に加え、第1ゲート電極110gと第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dとの電気的な接続状態を示した図である。第1ゲート電極110gを覆うようにして第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dを形成することにより、第1ゲート電極110gと第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dを電気的に接続し、かつ、第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dは、第2窒化物半導体層104と接している部分でチャネル領域とオーミック接触させる。これにより、第1ゲート電極110gと第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dとの配線を別途形成する必要がなくなり、コストを削減できる。
図4(c)は、図1の断面1Cに関する断面図である。すなわち、同図は、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sとを、配線181で電気的に接続していることを示している。
図4(d)は、図1の断面1Dに関する断面図である。すなわち、同図は、第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130の構成の例を示している。
以下、第1の実施の形態に係る窒化物半導体装置の動作の例について、図1及び図2を参照しつつ説明する。電源電極配線パッド164に電源電圧を供給している状態おいて、ゲート端子(ゲート電極パッド163)にローレベルの信号が入力された時には、各々の第3トランジスタ130がそれぞれオフ状態となる。このとき、各々の第2トランジスタ120に高電圧が印加される。第2トランジスタ120はD型トランジスタであり、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sは短絡されているため、各々の第2トランジスタ120はオン状態になる。その結果、第2トランジスタ120のオン抵抗程度の低インピーダンスで、電源と、第1トランジスタ110の第1ゲート110gと、が接続される。これにより、第1トランジスタ110の各々の第1ゲート110gは充電される。すなわち、第1トランジスタ110を高速にオン状態にすることができる。
一方、ハイレベルの信号がゲート端子に入力された時は、各々の第3トランジスタ130はオン状態となる。このとき、第2トランジスタ120の第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sとの間の電圧は0Vとなり、第2トランジスタ120はオフ状態となる。その結果、第1トランジスタ110の第1ゲート110gは、オン状態の第3トランジスタ130を介して放電される。これにより、第1トランジスタ110は高速にオフ状態にできる。
以下、第1の実施の形態に係る窒化物半導体装置112の動作の特性について説明する。図5は、第1の実施の形態に係るD型の第2トランジスタ120とE型の第3トランジスタ130のゲート幅1mm当たりのオン抵抗とゲート電圧の関係をプロットしたものである。図5(a)はD型である第2トランジスタ120に関する図であり、図5(b)はE型である第3トランジスタ130に関する図である。第2トランジスタ120のドレイン・ソース間距離を4μm、第3トランジスタ130のドレイン・ソース間距離を2μmとした。第1ゲート電極110gに与えられるローレベルの信号電圧は、第2トランジスタ120のオン抵抗と第3トランジスタ130のオン抵抗の比率で決定される。図5の例では、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130の各々のゲート幅を10μmに揃え、オン抵抗はそれぞれ250Ω、3.5kΩとした。電源電圧を5Vとすると、ローレベルの信号電圧は5Vの15分の1である、約0.3Vと見積もることができる。第3トランジスタ130と同構造の第1トランジスタ110のゲート電圧が0.3Vのとき、第1トランジスタ110はオフされる。ローレベルの信号電圧は0Vが好ましく、0.3Vからローレベルの信号電圧を小さくするためには、第2トランジスタ120のオン抵抗を増加したり、第3トランジスタ130のオン抵抗を低減したりすればよい。第2トランジスタ120と第3トランジスタ130のそれぞれのゲートしきい値電圧は、p型の第3窒化物半導体層105の正孔の量に依存して差が生じる。この例では、第2トランジスタ120のしきい値電圧を、第3トランジスタ130のしきい値電圧より約1.8V負側にシフトさせた。
図5から分かるように、第2トランジスタ120のしきい値電圧を調整することで、第2トランジスタ120のオン抵抗は容易に大きく変化することができる。また、第2トランジスタ120あるいは第3トランジスタ130のドレイン・ソース間距離を調整し、所望のオン抵抗比を得ることも容易に実現できる。
一方、第2トランジスタ120の代わりに抵抗素子を用いる場合、たとえば加工が容易なアルミニウム(抵抗率:0.03μΩm)を使用した場合、3.5kΩを得ようとすると、アルミニウムの高さを0.2μm、幅を10μmとすると、必要なアルミニウムの長さは約233mmと見積もることができる。図5のD型トランジスタのドレイン・ソース間距離は4μmであるから、233mmは非常に大きい値であることが分かる。窒化物トランジスタを用いた場合、12V入力のDC−DCコンバータ用途とし、耐圧を30V保証にするとしても、第1トランジスタ110のドレイン・ソース間距離は2μm〜10μmあれば十分であるから、抵抗の長さが233mmにわたると、デバイスサイズが無駄に大きくなり、コスト面で不利である。アルミニウムより高抵抗の金属を使用するにしても、4桁近く長さを短縮することは難しく、金属を使用した抵抗素子を、各々の第1ゲート110gの根元に配置することは高コストとなる。
他方、抵抗として2DEGを利用する場合は、第2トランジスタ120や第3トランジスタ130からゲート部を除去した形になるため、面積当たりの抵抗は、第3トランジスタ130と同等、あるいは小さい値となる。このため、第3トランジスタ130と抵抗比を20程度とろうとした場合、抵抗の長さは第3トランジスタ130の20倍以上となり、面積を大きく占有してしまうことになる。よって、2DEGを使用した抵抗素子を、各々の第1ゲート110gの根元に配置することは高コストとなる。
また、第2トランジスタ120の代わりに抵抗素子を用いた場合、電源電圧とゲートの信号電圧の差が小さくなるにしたがって第1ゲート110gへの出力電流が小さくなってしまうが、D型の第2トランジスタ120を用いた場合、動作の大半で定電流動作させることができるため、第1トランジスタ110を高速動作させてスイッチング損失を低減することができる。
そして、本実施の形態においては、pチャンネルを使用せずに、nチャンネルのトランジスタにより、上記のように、高速に動作する回路が得られる。ゲート駆動回路には、通常、pチャンネルのトランジスタが用いられる。しかしながら、窒化物半導体装置において、pチャンネルのトランジスタを形成することが実用上、困難である。本実施の形態においては、上記の構成を用いることで、pチャンネルのトランジスタを用いず、nチャンネルのトランジスタにより駆動回路を形成しており、実用性が高い。
よって、本実施の形態によれば、D型の第2トランジスタ120を用いるため、抵抗素子を用いる場合よりも小型で高速な低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第1の実施の形態の変形例1)
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。図6において、図1〜図4で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図1の第1の実施の形態とは、第3トランジスタ130の第3ゲート電極130g以外の構造は同じである。図6では、第3トランジスタ130の第3ゲート電極130gを、第1トランジスタ110の活性領域171まで延伸した、延伸部190を備えていることを特徴とする。また、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130にも活性領域172が存在する。
窒化物半導体では、スイッチング動作のような高周波動作をすることによりオン抵抗が増加し電流出力が低下する、電流コラプスという現象が知られている。電流コラプスは、高速動作させるほど顕著に発現する。電流コラプスが発生するとスイッチング損失が増加してしまうため、高速動作させることができなくなってしまう。トランジスタがオフ状態のときにドレイン・ソース電極間に高電圧を印加すると、電子が窒化物半導体層中の欠陥にトラップされてしまい、トラップされた電子は、トランジスタがオン状態に遷移しても欠陥中に留まり、2DEGの電子を狭窄する、といったメカニズムが電流コラプスの原因の1つである。
本変形例1によれば、第1トランジスタ110がオフ状態となりドレイン・ソース電極間に高電圧が印加されているとき、第3トランジスタ130の第3ゲート電極130gにはハイレベルの信号電圧が印加されているため、第3ゲート電極130gの延伸部190から正孔が第1トランジスタ110の活性領域171に注入される。この正孔が、トラップされた電子と再結合するため、第1トランジスタ110がオン状態に遷移しても2DEGの電子は狭窄されず、電流コラプスの発生を抑制することができる。よって、第3ゲート電極130gの延伸部190を備えることにより、オン抵抗の増加を発生させることなく高速動作させ、低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第1の実施の形態の変形例2)
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。図7において、図1〜図4で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図1に示す構造とは、ゲート電極パッド163と電源電極配線パッド164以外の構造は同じである。なお、図7においてゲート電極パッド163は一点鎖線にて囲まれた領域で示されており、電源電極配線パッド164は二点鎖線にて囲まれた領域で示されている。なお、図7において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。図では、第3ゲート電極130gの少なくとも一部の上に堆積した窒化シリコンや酸化シリコンゲートなどの絶縁膜(図示せず)に、少なくとも2箇所のゲート電極パッド用開口165を設け、各々のゲート電極パッド用開口165の上にゲート電極パッド163を形成している。これにより、図1における第1の実施の形態よりも、ゲート電極パッド163から第3ゲート電極までの配線の寄生抵抗及び寄生インダクタンスを低減することができるため、第3トランジスタ130をより高速動作することができ、すなわち第1トランジスタ110をより高速動作することができる。また、図7では、第2ドレイン電極120dの少なくとも一部の上に堆積した窒化シリコンや酸化シリコンゲートなどの絶縁膜に、少なくとも2箇所の電源電極パッド用開口166を設け、各々の電源電極パッド用開口166の上に電源電極配線パッド164を形成している。これにより、図1における第1の実施の形態よりも、電源電極配線パッド164から第2ドレイン電極120dまでの配線の寄生抵抗及び寄生インダクタンスを低減することができるため、第2トランジスタ120をより高速動作することができ、すなわち第1トランジスタ110を高速動作させて低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
なお、図7において、ゲート電極パッド用開口165および電源電極パッド用開口166は、点線にて表されている。
(第1の実施の形態の変形例3)
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。図8において、図1〜図4で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図1に示す構造とは、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130の配置以外の構造は同じである。なお、図8においてドレイン電極パッド161は一点鎖線にて囲まれた領域で示されている。なお、図8において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。図8では、図1のように第1トランジスタ110の各々の第1ゲート電極110gの片方の端部に第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130を配置するのではなく、第1トランジスタ110の各々の第1ゲート電極110gの両端に、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130とを備えることを特徴とする。これにより、フィンガー状の第1ゲート電極110gのもつ寄生抵抗及び寄生インダクタンスを半減することができ、すなわち第1トランジスタ110を高速動作することができるため、低消費電力の窒化物半導体装置を実現できる。
なお、図8の例では、各々の第1ドレイン電極110dの少なくとも一部の上に堆積した窒化シリコンに、ドレイン電極パッド用開口167を設け、その上にドレイン電極パッド161を形成している。図8の構成では、図1の構成よりも、第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130が占有する面積が大きくなってしまうため、コスト面で不利になる。コストの観点からは、図8のドレイン電極パッド161のように、活性領域171内に電極パッドを作製することが好ましい。
(第1の実施の形態の変形例4)
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例4に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。図9において、図1〜図4で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図1に示す構造とは、ドレイン電極パッド161、ソース電極パッド162、電源電極配線パッド164の作製方法以外、同じである。なお、図9においてドレイン電極パッド161は点線にて囲まれた領域で示されており、ソース電極パッド162は一点鎖線にて囲まれた領域で示されており、電源電極配線パッド164は二点鎖線にて囲まれた領域で示されている。なお、図9において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。図9では、ソース電極パッド162を、第1トランジスタ110活性領域上に設けることを特徴とする。第1トランジスタ110の第1ドレイン電極110dと第1ソース電極110sに流れる電流量は、ゲート駆動用回路を構成する第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130にそれぞれ流れる電流量よりも大きいことが一般的である。図1の構成によると、第1ドレイン電極110dから第1ソース電極110sに流れた電流は、第3ソース電極130sを介して、ソース電極パッド162へ流れていく。このとき、第3ソース電極130sでは、電流が流れる方向に沿って、第3ソース電極130sの抵抗と流れる電流とを乗じた大きさの電位差が生じる。この電位差分だけ、第3トランジスタ130に実質的に印加されるゲート電圧に電位差が生じる。この電位差により、第3トランジスタ130のゲートのオン・オフそれぞれに必要な時間が異なってしまったり、第3トランジスタ130のオン抵抗が異なったりしてしまうため、第1トランジスタ110の高速動作が妨げられてしまう。図9の構成では、第1トランジスタ110を大きな電流が流れる場合も、第3ソース電極130sを流れることなく、ソース電極パッド162へ流れこんでゆくため、第3ソース電極130s内で電位差はほとんど発生しない。よって、図9の構成によると、第1トランジスタ110を高速動作させることができ、低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第1の実施の形態の変形例5)
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例5に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。図10において、図1〜図4で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図1に示す構造とは、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sとの電気的な接続に、配線181を用いず、第2ゲート電極120gで直接に第2ソース電極120sと接続している部分以外、同じである。
図11は、図10の断面1Eでの断面図である。なお、断面1Eは、図10の紙面に対し垂直である。電極が形成された部分を除いて、第2窒化物半導体層104の表面は、窒化シリコンからなる絶縁層108に覆われている。第2ドレイン電極120dと第2ソース電極120sとに挟まれた部分に絶縁層108の開口部を形成し、また、第2ソース電極120sの上に形成された絶縁層108の一部に開口部を形成し、上記2箇所の開口部を覆うように第2ゲート電極120gを形成している。これにより、第2ゲート電極120gは、第2ソース電極120sと電気的に接続される。よって、図10及び図11の構成によれば、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sとの配線181を削減できるため、工程を簡略化し、低コストで、小型・高速動作の低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第2の実施の形態)
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る窒化物半導体装置のパターンレイアウトの例を模式的に示したものである。
図13は、第2の実施の形態に係る窒化物半導体装置の構成を例示する回路図である。
図12及び図13に表したように、本実施の形態に係る窒化物半導体装置113は、上記の第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130に加え、第4トランジスタ140と、第5トランジスタ150と、をさらに備える。第1トランジスタ110、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150はE型トランジスタであり、第2トランジスタ120はD型トランジスタである。
第2トランジスタ120、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140および第5トランジスタ150は、各々の第1ゲート110gの根元に配置されている。
第1トランジスタ110は、2本以上のフィンガー状に形成された第1ゲート電極110gと、第1ソース電極110sと、第1ドレイン電極110dと、を有する。
第2トランジスタ120は、第2ゲート電極120gと、第2ソース電極120sと、第2ドレイン電極120dと、を有する。第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sは、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sとの配線181で電気的に接続される。
第3トランジスタ130は、第3ゲート電極130gと、第3ソース電極130sと、第3ドレイン電極130dと、を有する。第3ソース電極130sは、第1ソース電極110sと電気的に接続される。第3ドレイン電極130dは、第2ソース電極120s及び第4ゲート電極140gと電気的に接続される。
第4トランジスタ140は、第4ゲート電極140gと、第4ソース電極140sと、第4ドレイン電極140dと、を有する。第4ゲート電極140gは、第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dと電気的に接続される。第4ソース電極140sは、第1ゲート電極110gと電気的に接続される。第4ドレイン電極140dは、第2ドレイン電極120dと電気的に接続される。
第5トランジスタ150は、第5ゲート電極150gと、第5ソース電極150sと、第5ドレイン電極150dと、を有する。第5ゲート電極150gは、第3ゲート電極130gと電気的に接続される。第5ソース電極150sは、第1ソース電極110s及び第3ソース電極130sと電気的に接続される。第5ドレイン電極150dは、第1ゲート電極110g及び第4ソース電極140sと電気的に接続される。
なお、図12において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
第1ソース電極110sと第3ソース電極130sと第4ソース電極140sは、同一レイヤで接続されるよう形成することが好ましい。これにより、マスク数を削減し、コストを削減することができる。また、第1トランジスタ110〜第5トランジスタ150の各々のドレイン電極及び各々のソース電極は同一レイヤで形成されることが好ましい。これにより、マスク数を削減し、コストを削減することができる。
この例では、窒化物半導体装置113は、ドレイン電極パッド161と、ソース電極パッド162と、ゲート電極パッド163と、電源電極配線パッド164と、第1ソース配線180と、をさらに備える。
ドレイン電極パッド161は、第1ドレイン電極110dと電気的に接続される。ソース電極パッド162は、第1ソース電極110s及び第3ソース電極130s及び第5ソース電極150sと、第1ソース配線180で電気的に接続される。ゲート電極パッド163は、第3ゲート電極130g及び第5ゲート電極150gと電気的に接続される。電源電極配線パッド164は、第2ドレイン電極120d及び第4ドレイン電極140dと電気的に接続される。
本実施の形態では、DCFL回路を構成する第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130と、DCFL回路のバッファアンプ回路を構成する第4トランジスタ及び第5トランジスタとが、スイッチ素子である第1トランジスタ110の第1ゲート電極110gのフィンガー1本ごとに隣接して配置されている。また、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130とにより第1トランジスタ110のゲートドライバを形成している。第4トランジスタ140と第5トランジスタ150とは後述するように同一のSi基板101の上に第4ソース電極140sと第5ドレイン電極150dとを共通に設けた構成となっている。これにより、第1トランジスタ110のデバイスサイズが変わっても、第1トランジスタ110のフィンガー状の各々の第1ゲート110gと、各々の第4ソース電極140s及び各々の第5ドレイン電極150dとの配線距離を常に等しくすることができる。よって、デバイスサイズの増大で発生する、各々の第1ゲート電極での各々のゲート信号の遅延量の差を小さくすることができ、高速なスイッチングを確保できる。
本実施の形態に係るD型のトランジスタとE型のトランジスタの製造方法は第1の実施の形態と同じであるので省略する。E型トランジスタである第1トランジスタ110、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150は、同時に形成される。
図14(a)および図14(b)は、図12に示す窒化物半導体装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。なお、断面2A、断面2Bは、図14の紙面に対し垂直である。
図14(a)は、図12の断面2Aの断面図である。すなわち、同図は、第4トランジスタ140及び第5トランジスタ150の構成例に加え、第1ゲート電極110gと第4ソース電極140s及び第5ドレイン電極150dとの電気的な接続状態を示した図である。の構成の例を示している。第1ゲート電極110gを覆うようにして第4ソース電極140s及び第5ドレイン電極150dを形成することにより、第1ゲート電極110gと第4ソース電極140s及び第5ドレイン電極150dを電気的に接続し、かつ、第4ソース電極140s及び第5ドレイン電極150dは、第2窒化物半導体層104と接している部分でチャネル領域とオーミック接触させる。これにより、第1ゲート電極110gと第4ソース電極140s及び第5ドレイン電極150dとの配線を別途形成する必要がなくなり、コストを削減できる。
図14(b)は、図12の断面2Bの断面図である。すなわち、同図は、第4トランジスタ140及び第5トランジスタ150の構成例を示している。
以下、第2の実施の形態に係る窒化物半導体装置の動作の例について、図12及び図13を参照しつつ説明する。電源電極配線パッド164に電源電圧を供給している状態おいて、ゲート端子(ゲート電極パッド163)にローレベルの信号が入力された時には、各々の第3トランジスタ130及び各々の第5トランジスタ150がそれぞれオフ状態となる。このとき、各々の第2トランジスタ120に高電圧が印加される。第2トランジスタ120はD型トランジスタであり、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sは短絡されているため、各々の第2トランジスタ120はオン状態になる。その結果、各々の第4トランジスタ140の第4ゲート電極140gが充電される。これにより、第4トランジスタ140がオン状態になる。よって、第4トランジスタ140のオン抵抗程度の低インピーダンスで、電源と、第1トランジスタ110の第1ゲート110gと、が接続される。これにより、第1トランジスタ110の各々の第1ゲート110gは充電される。すなわち、第1トランジスタ110を高速にオン状態にすることができる。
一方、ハイレベルの信号がゲート端子に入力された時は、各々の第3トランジスタ130及び各々の第5トランジスタ150はオン状態となる。このとき、第2トランジスタ120の第2ゲート120gと第2ソース電極120sとの間の電圧は0Vとなり、第2トランジスタ120はオフ状態となる。その結果、第1トランジスタ110の第1ゲート110gは、オン状態の第5トランジスタ150を介して放電される。これにより、第1トランジスタ110は高速にオフ状態にできる。
ところで、第1トランジスタ110を高速で動作するためには、第1ゲート110gのゲートチャージ容量を高速で充電すればよい。すなわち、大きな電流を第1ゲート110gに流せばよい。一方で、バッファアンプ回路のない第1の実施の形態のように、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130で構成されるDCFL回路のみで第1トランジスタ110を駆動する場合、ハイレベルの信号がゲート端子に入力されたときは、電源から、第2トランジスタ120を通じて、第3トランジスタ130のソースまで、第1トランジスタ110の駆動と関係のない電流が流れ、無駄な消費電力が発生する。よって、第1トランジスタ110の駆動を高速にしようと第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130の最大電流量を大きくすると消費電力が大きくなるデメリットがあった。しかしながら、本実施の形態では、第1トランジスタ110のゲートチャージ容量を充電する役割を、第4トランジスタ140及び第5トランジスタで構成されるバッファアンプ回路が担うため、第4トランジスタ140及び第5トランジスタ150の最大電流量を大きくしても消費電力はほとんど変わらない。よって、本実施例の構成によれば、低消費電力で高速動作する窒化物半導体装置を実現することができる。なお、上記理由により、低消費電力で高速動作させるため、第2トランジスタ120がオン状態で流すことができる電流量より、第4トランジスタ140がオン状態で流すことができる電流量が大きいことが好ましい。また、第3トランジスタ130がオン状態で流すことができる最大電流量より、第5トランジスタ150がオン状態で流すことができる最大電流量が大きいことが好ましい。ただし、電源が、第2トランジスタ120を通じて第4トランジスタ140のゲートチャージ容量を充電する時間は、電源が、第4トランジスタ140を通じて第1トランジスタ110のゲートチャージ容量を充電する時間の1/10以下が好ましい。それでないと、ゲート端子に信号が送られた瞬間からの第1トランジスタ110の動作に必要な時間が大きくなり、高速動作が損なわれてしまう。電流量の増減の調整は、ゲート幅を増減させて調整してもよいし、ドレイン・ソース間の距離を増減させて調整してもよい。また、今回の回路構成では、バッファアンプ回路は1段のみであるが、2段以上で構成されていても構わない。
本実施の形態ではD型の第2トランジスタ120を用いるため、抵抗素子を用いる場合よりも小型で高速な窒化物半導体装置を実現することができる理由は、実施の形態1と同様の理由であるため説明は省略する。
本実施の形態によれば、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第2の実施の形態の変形例1)
以下、本発明の第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。図15において、図12〜図14で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図12に示す構造とは、第4トランジスタ140の第4ゲート電極以外の構造は同じである。図15では、第4トランジスタ140の第4ゲート電極を、第1トランジスタ110の活性領域171まで延伸した、延伸部191を備えていることを特徴とする。
なお、図15において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
本変形例1によれば、第1トランジスタ110がオン状態となりドレイン・ソース電極間に電流が流れているとき、第4トランジスタ140の第4ゲート電極140gにはハイレベルの信号電圧が印加されているため、第4ゲート電極140gの延伸部191から正孔が第1トランジスタ110の活性領域に注入される。注入された正孔は、同量の電子をチャネル領域内に発生させる。その結果、オン抵抗を低減することができ、低消費電力を実現することができる。また、ドレイン・ソース間の電流量が増大することになるため、第1トランジスタ110が同じ電流量を流すために必要なゲート幅は小さくなり、デバイスサイズを小型化することもできる。
よって、第4ゲート電極140gの延伸部191を備えることにより、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第3の実施の形態)
図16は、本発明の第3の実施の形態に係る窒化物半導体装置114のパターンレイアウトの例を模式的に示したものである。図16において、図12〜図14で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。なお、図16において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
第3の実施の形態に係る窒化物半導体装置114の回路図は、図13の第2の実施の形態と同じである。
図16に表したように、本実施の形態に係る窒化物半導体装置114は、上記の第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140および第5トランジスタ150を備える。図16では、第1トランジスタ110と、第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150との間に、隙間なくゲート配線183を有している。さらに、ソース配線182と、ドレイン配線184と、を備える。これ以外の構成は、窒化物半導体装置113と同様とすることができるので説明を省略する。
ゲート配線183は、第4ソース電極140s及び第5ドレイン電極150dと、電気的に接続される。ゲート配線183は、第1ゲート電極110gと、電気的に接続される。
ゲート配線183は、第1ゲート電極110g、第3ゲート電極130g、第4ゲート電極140gおよび第5ゲート電極150gと同様、p型の第3窒化物半導体層105と、Pdなどの金属材料との積層体で構成される。
第1トランジスタ110と他のトランジスタとを分離するための不活性化を目的としたBなどをイオン注入する際、実施の形態1及び2の構成では、第1ゲート電極110gの上に、活性領域と不活性領域の境界、すなわちイオン注入端が存在した。イオン注入端では、注入されるイオンのばらつきにより、Si基板101と垂直な方向において、第1窒化物半導体層103及び第2窒化物半導体層104へはイオン注入されず、p型の第3窒化物半導体層105はイオン注入される、といった領域が存在することがある。p型の第3窒化物半導体層105が不活性化すると、pn接合が形成されなくなるため、2DEGにまで空乏層が伸びずチャネルが形成されてしまう。よって、第1トランジスタ110がオフ状態において、この領域のみドレイン・ソース間に大きなリーク電流が流れ、消費電力が増大してしまう。第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150に比べて大電流を扱う第1トランジスタ110は、通常、デバイスサイズを大きくするため、リーク電流が発生する領域が生じる可能性が高い。しかしながら、本実施の形態の構成によれば、第1トランジスタ110と他のトランジスタとの間に配置されたゲート配線183上の一部にイオン注入を施すため、第1ゲート電極110gにイオン注入端は存在せず、第1トランジスタ110のリーク電流を抑制することができる。すなわち、低消費電力を実現することができる。
なお、図16では、第1トランジスタ110の周囲をゲート配線183で囲む形としたが、イオン注入端による第1トランジスタ110リーク電流を抑制するためには、第1トランジスタ110と第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150との間にゲート配線183があればよく、囲む必要はない。ゲート配線183で第1トランジスタ110を囲んだ場合は、第1トランジスタ110のゲート抵抗を低減するこができ、より高速動作させることができる。
また、上記リーク電流の抑制は、第4トランジスタ及び第5トランジスタのバッファアンプ回路の有無に依らないため、実施の形態1のように第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130のDCFL回路で構成されるゲート駆動回路の場合もゲート配線183は有効である。
ゲート配線183の作製方法は、第1トランジスタ110、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150のゲート部と同じにすればよく、同時形成がコスト低減のためには好ましい。
本実施の形態によれば、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第3の実施の形態の変形例1)
以下、本発明の第3の実施の形態の変形例1に係る半導体装置について添付の図面を参照して説明する。
図17において、図16で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図16の第3の実施の形態とは、第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150で構成されるゲート駆動回路の数以外の構造は同じである。図17では、n本のフィンガー状のゲート電極をもつ第1トランジスタ110(n≧3)に対して、n―m個のゲート駆動回路(n>m≧1)をもつことを特徴とする。なお、図17において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
本変形例1によれば、第1トランジスタ110のゲート電極間隔に制限されずに、第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150のデバイスサイズを決定でき、たとえば各々のドレイン・ソース間距離を第1トランジスタ110のドレイン・ソース間距離より長く設計することができる。ゲート駆動回路では、第1トランジスタ110の単位デバイスあたり、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130がそれぞれ1つずつ並列に配置されるため、もしも、リソグラフィ装置などの設備スペックにより第2トランジスタ120と第3トランジスタ130を並列に配置した大きさが、第1トランジスタ110に必要な単位デバイスサイズより大きい場合は、第1トランジスタ110の単位デバイスサイズが無駄に大きくなり、第1トランジスタ110のオン抵抗が大きくなったり、第1トランジスタ110のゲート・ソース間容量やドレイン・ソース間容量が大きくなったりして、消費電力が無駄に大きくなってしまう。本変形例1では、ゲート駆動回路設計への要求が緩和されるため、第1トランジスタ110のデバイスサイズが無駄に大きくならず、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
本変形例では、ゲート配線183を配置しているが、必ずしも必要ではない。ただし、第1トランジスタ110のフィンガー状の第1ゲート電極110gの1本あたりのゲート駆動回路数が減ってしまうと、第1ゲート電極110gのゲートチャージ容量の充電時間が長くなってしまうため、ゲート抵抗低減を目的にゲート配線183が配置されることが望ましい。
(第4の実施の形態)
図18は、第4の実施の形態に係る窒化物半導体装置115のパターンレイアウトの例を模式的に示したものである。図18において、図1、図2で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。なお、図18において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
第4の実施の形態に係る窒化物半導体装置115の回路図は、第1の実施の形態に示す回路図(図2)と同じである。
図19(a)、(b)は、図18の窒化物半導体装置のパターンレイアウトにおける断面4A、断面4Bで切った断面図である。なお、断面4A、断面4Bは、図18の紙面に垂直である。
図19(a)は、図18の断面4Aでの断面図である。すなわち、同図は、第1トランジスタ110の構成例を示したものである。図19(b)は、図18の断面4Bでの断面図である。これらの図は、第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130の構成例に加え、第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dと、第1ゲート電極110gとが電気的に接続された構成例を示したものである。
図18、図19(a)、図19(b)に示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体装置115は、実施の形態1における上記の第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130に加え、InsAltGa1-s-tN(t>0、s+t<1)からなる再成長窒化物半導体層106と、p型のInxAlyGa1-x-yN(t>y、x+y≦1)からなる再成長p型窒化物半導体層107と、リセス部109と、をさらに備える。リセス部109は、第2窒化物半導体層104を貫通し、リセス底部109aは、第2窒化物半導体層104よりもSi基板101に近い側に位置する。再成長窒化物半導体層106は、第2窒化物半導体層104及びリセス部109の上に形成されている。再成長p型窒化物半導体層107は、リセス部109の一部または全部を覆う形で、再成長窒化物半導体層106の上に形成されている。
この実施の形態では、E型トランジスタのゲートしきい値電圧を、再成長窒化物半導体層106の膜厚と組成と、再成長p型窒化物半導体層107の膜厚と組成とホール濃度と、で決定している。ドライエッチングのように制御性が悪く、面内均一性などで問題が生じる方法でなく、制御性のよいエピタキシャル成長によりゲートしきい値電圧を決めることができるため、同一基板上にD型とE型のトランジスタを歩留まりよく製造することができる。
図20は、本実施の形態に係るD型のトランジスタとE型のトランジスタの製造方法を示した断面図である。
図20(a)では、導電性のSi基板101の(111)面上に有機金属気相成長(MOCVD)法により、厚さが100nmの窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層102と、厚さが2μmのアンドープの窒化ガリウム(GaN)からなる第1窒化物半導体層103と、厚さが40nmのアンドープの窒化アルミニウムガリウム(Al0.25Ga0.75N)からなる第2窒化物半導体層104とを順次に成長する。第1窒化物半導体層103と第2窒化物半導体層104とのヘテロ界面近傍には、自発分極及びピエゾ分極による電荷が生じる。これにより、シートキャリア濃度が1×1013cm-2以上でかつ移動度が1000cm2V/sec以上の2次元電子ガス(2DEG)層であるチャネル領域が生成されている。また、図示しないが、各々のトランジスタ間を分離するため、ボロン(B)などのイオン注入を行い不活性化する。
図20(b)では、レジストをマスクとして(図示せず)、たとえば塩素ガスやSF6ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)を用いたドライエッチング等により、リセス部109を形成する。このとき、前記のとおり、リセス底部109aが第2窒化物半導体層104よりも基板側に位置するようにエッチング処理を施す。第2窒化物半導体層104を貫通するようにリセス部109を形成すればよいので、エッチング量は数nmの精度が要求されることはなく、たとえば第2窒化物半導体層104よりさらに30nm程度基板側にエッチングしておけばよい。
図20(c)では、再度、有機金属気相成長(MOCVD)法により、厚さが20nmのAl0.25Ga0.75Nからなる再成長窒化物半導体p型の第3窒化物半導体層105と、厚さが100nmのGaNからなるp型の第3窒化物半導体層105とを順次に成長する。p型の第3窒化物半導体層105は、マグネシウム(Mg)が約1×1019cm-3のドーズ量でドープされており、p型の第3窒化物半導体層105中のキャリア密度は約1×1018cm-3である。なお、再成長窒化物半導体層106の膜厚と組成は、第2窒化物半導体層104の膜厚と組成によらず、再成長p型窒化物半導体層107の組成と膜厚とホール濃度との関係にのみ制限され、E型トランジスタが実現できる範囲であれば自由に設定できる。見方を変えれば、第2窒化物半導体層104の膜厚を厚くしたり、たとえばAl組成を大きくしたりしても、ゲートしきい値電圧は変化しないため、ゲート部以外のチャネル領域のシート抵抗を低減することができる。つまり、オン抵抗を低減することができる。また、ドレイン・ソース間の電流量を増大することができる。よって、第1トランジスタ110が同じ電流量を流すために必要なゲート幅は小さくなり、デバイスサイズを小型化することができる。
図20(d)では、レジストをマスクとして(図示せず)、たとえば塩素ガスやSF6ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)を用いたドライエッチング等により、再成長p型窒化物半導体層107を選択的に除去する。このとき、再成長p型窒化物半導体層107より再成長窒化物半導体層106のAl組成が高いことから、酸素ガスを添加することで酸化アルミニウムを生成し、再成長p型窒化物半導体層107のエッチングレートより再成長窒化物半導体層106のエッチングレートを小さくすることができる。これにより、容易に再成長p型窒化物半導体層107を選択除去できる。酸素の代わりにSF6ガスなどを用いてフッ素を添加してもフッ化アルミニウムが生成されるため、同様にエッチング選択比をとることができる。その後、レジストマスクを剥離して、厚さ20nmのパラジウム(Pd)と厚さ100nmの金(Au)とからなる第3ゲート電極130gを蒸着法などによりリフトオフ形成する(図示しないが、第1ゲート電極110gも同時に形成する)。
図20(e)では、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)からなる第2ドレイン電極120d及び第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130d及び第3ソース電極130sを、再成長窒化物半導体層106の上に蒸着法などにより形成する(図示しないが、第1ドレイン電極110d及び第1ソース電極110sも同時に形成する)。ここで、E型の第3トランジスタ130が完成する。第3トランジスタ130のゲート部には、再成長p型窒化物半導体層107と再成長窒化物半導体層106とにPN接合が形成される。これにより、第3ゲート電極130gに印加する電圧が0Vの場合においても、チャネル領域を流れる電流が遮断されるため、ノーマリオフ動作を行わせることが可能となり、E型トランジスタが実現する。なお、第1トランジスタ110も同様の理由により、E型のトランジスタとすることができる。
上記例では、p型の第3窒化物半導体層105上にPdとAuの積層体を形成してE型トランジスタのゲート電極としたが、ゲート金属材料は、p型の第3窒化物半導体層105とオーミック接触するPd、Ni、Tiなどでもよいし、p型の第3窒化物半導体層105とショットキー接触するタングステンシリサイド(WSi)、Alなどでもよい。オーミック接触する場合は、たとえば3V程度の低いゲート電圧でゲート電流が流れ始めるため、正孔の注入が起こりやすく、ドレイン・ソース間の電流を増大させやすいメリットがある。ショットキー接触する場合は、たとえば4V以上のゲート電圧を与えないとゲート電流が流れ始めないため、ゲート電流による消費電流ロスを低減したい場合に有用である。
図20(f)では、第2ソース電極120sと第2ドレイン電極120dの間に、ニッケル(Ni)、白金(Pt)と金(Au)と、からなる第2ゲート電極120gを蒸着法などにより形成する。第2ゲート電極120gは、再成長窒化物半導体層106とショットキー接触している。ここで、D型の第2トランジスタ120が完成する。E型の第3トランジスタ130と第2窒化物半導体層は共通であるが、p型の第3窒化物半導体層105が除去されているためPN接合が形成されず、D型トランジスタとなる。
D型トランジスタのゲート電極の金属材料は、第2窒化物半導体層とショットキー接触する、Ni、Pd、Alなどを用いればよい。
以上から、本実施の形態によれば、第1トランジスタ110のオン抵抗を低減できるため、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第5の実施の形態)
図21および図22は、本発明の第5の実施の形態に係る窒化物半導体装置のパターンレイアウトの例を模式的に示したものである。図21は本実施の形態に係る窒化物半導体装置の配線に関する図であり、図22は本実施の形態に係る半導体装置の電極パッドの配置に関する図である。図21、図22において、図16で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
なお、図21、図22において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
第5の実施の形態に係る窒化物半導体装置116の回路図は、第2の実施の形態に示した図(図13)と同じである。
図21、図22に示すように、本実施の形態に係る窒化物半導体装置116は、上記の第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150と、ゲート配線183と、を備える。第1トランジスタ110、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150はE型トランジスタであり、第2トランジスタ120はD型トランジスタである。
図21において第2トランジスタ120、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150は、点線の領域にて現されている。また、図22においてドレイン電極パッド161は点線にて囲まれた領域で示されており、ソース電極パッド162は一点鎖線にて囲まれた領域で示されており、電源電極配線パッド164は二点鎖線にて囲まれた領域で示されている。また、
図21、図22では、第1トランジスタ110と、第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150とが、デバイスの向きが90°回転した関係にあることを特徴としている。
第1トランジスタ110は、2本以上のフィンガー状に形成された第1ゲート電極110gと、第1ソース電極110sと、第1ドレイン電極110dと、を有する。
第2トランジスタ120は、第2ゲート電極120gと、第2ソース電極120sと、第2ドレイン電極120dと、を有する。第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sは、第2ゲート電極120gと第2ソース電極120sとの配線181で電気的に接続される。
第3トランジスタ130は、第3ゲート電極130gと、第3ソース電極130sと、第3ドレイン電極130dと、を有する。第3ソース電極130sは、第1ソース電極110sと電気的に接続される。第3ドレイン電極130dは、第2ソース電極120s及び第4ゲート電極140gと電気的に接続される。第2ソース電極120sと、第3ドレイン電極130dは同一レイヤで接続されることが好ましい。これにより、配線を省略でき、コストの観点上好ましい。
第4トランジスタ140は、第4ゲート電極140gと、第4ソース電極140sと、第4ドレイン電極140dと、を有する。第4ゲート140gは、第4ドレイン電極140dを囲んでおり、第4ソース電極と遠い側で、第2ソース電極120s及び第3ドレイン電極130dと電気的に接続される。第4ドレイン電極140dを、第4ゲート電極140gで囲むことにより、第4トランジスタ140がオフ状態においてドレイン電流が他の電極に流れることがなくなるため、イオン注入などで素子分離する必要がなくなり、素子分離に必要なパターンサイズによって他のパターンのサイズが影響を受けなくなり、小型化に有効である。第4ソース電極140sは、第1ゲート電極110gと電気的に接続される。第4ドレイン電極140dは、第2ドレイン電極120dと電気的に接続される。
第5トランジスタ150は、第5ゲート電極150gと、第5ソース電極150sと、第5ドレイン電極150dと、を有する。第5ゲート電極150gは、第5ソース電極150sを囲んでおり、第3ゲート電極130gと電気的に接続される。第5ゲート電極150gと、第3ゲート電極130gは同一レイヤで接続されることが好ましい。これにより、配線を省略でき、コストの観点上好ましい。第5ソース電極150sは、第1ソース電極110s及び第3ソース電極130sと電気的に接続される。第5ソース電極150sと、第3ソース電極130sは同一レイヤで接続されることが好ましい。これにより、配線を省略でき、コストの観点上好ましい。第5ドレイン電極150dは、第1ゲート電極110g及び第4ソース電極140sと電気的に接続される。第5ドレイン電極150dと、第4ソース電極140sは同一レイヤで接続されることが好ましい。これにより、配線を省略でき、コストの観点上好ましい。
また、第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150の各々のドレイン電極及び各々のソース電極は同一レイヤで形成されることが好ましい。これにより、マスク数を削減し、コストを削減することができる。
また、第2ソース電極120sと第3ドレイン電極130dの凸部185を、第2ゲート120gと、第3ゲート130gとの間に設けることにより、第2ゲート電極120gと、第3ゲート130gとの互いから流れる素子間でのゲートリーク電流を低減することができる。さらに、第3トランジスタ130がオン状態におけるドレイン電流を増加することができるため、第4トランジスタ140のゲートチャージ容量に溜まった電荷を高速で引き抜けるようになり、第4トランジスタ140を高速でオフすることができるため、結果、第1トランジスタ110を高速でオフすることができるようになる。
また、第4ソース電極140sと第5ドレイン電極150dの凸部186を、第4ゲート電極140gと第5ゲート電極150gとの間に設けることにより、第4ゲート電極140gと、第5ゲート電極150gとの互いから流れる素子間でのゲートリーク電流を低減することができる。さらに、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150それぞれのオン状態におけるドレイン電流を増加することができるため、第1トランジスタ110を高速で駆動できるようになる。
この例では、窒化物半導体装置116は、ドレイン電極パッド用開口167と、ドレイン電極パッド161と、ソース電極配線用開口168と、ソース電極パッド162と、電源電極配線用開口169と、電源電極配線パッド164と、ゲート電極パッド163と、をさらに備える。なお、図22において、ソース電極配線用開口168および電源電極配線用開口169とは、点線にて表されている。
ドレイン電極パッド161は、窒化シリコンなどの絶縁膜の電源電極配線用開口169を介して、第1ドレイン電極110dと電気的に接続される。ソース電極パッド162は、窒化シリコンなどの絶縁膜の電源電極配線用開口169を介して、第1ソース電極110s及び第3ソース電極130s及び第5ソース電極150sと電気的に接続される。電源電極配線パッド164は、窒化シリコンなどの絶縁膜の電源電極配線用開口169を介して、第2ドレイン電極120d及び第4ドレイン電極140dと電気的に接続される。ゲート電極パッド163は、第3ゲート電極130g及び第5ゲート電極150gと電気的に接続される。
図23(a)、図23(b)はそれぞれ図21の窒化物半導体装置のパターンレイアウトにおける断面5A、断面5B、断面5Cで切った断面図を示す。なお、断面5A、断面5B、断面5Cは、図21の紙面に対し垂直である。
図23(a)は、図21の断面5Aに係る断面図である。すなわち、同図は、第2トランジスタ120及び第4トランジスタ140の構成例に加え、第2ゲート電極120gと、第2ソース電極120sとの電気的な接続状態と、第2ソース電極120sと、第4ゲート電極140gとの電気的な接続状態と、第4ソース電極140sと、第1ゲート電極110gとの電気的な接続状態とを示した図である。
図23(b)は、図21の断面5Bに係る断面図である。すなわち、同図は、第3トランジスタ130及び第4トランジスタ140の構成例に加え、第3ドレイン電極130dと、第4ゲート電極140gとの電気的な接続状態と、第4ソース電極140sと、第1ゲート電極110gとの電気的な接続状態とを示した図である。
図23(c)は、図21の断面5Cに係る断面図である。すなわち、同図は、第5トランジスタ150の構成例を示した図である。
本実施の形態に係るD型のトランジスタとE型のトランジスタの製造方法は第1の実施の形態と同じであるので省略する。E型トランジスタである第1トランジスタ110、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150は、同時に形成される。
本実施の形態では、第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130とからなるDCFL回路のバッファアンプ回路を構成する第4トランジスタ140及び第5トランジスタ150と、スイッチ素子である第1トランジスタ110の第1ゲート電極110gのゲート配線183とが平行に隣接して配置されている。これにより、第1トランジスタ110のフィンガー状の各々の第1ゲート110gと、各々の第4ソース電極140s及び各々の第5ドレイン電極150dとの配線内に存在する寄生抵抗及び寄生インダクタンスを小さくすることができる。ゲート配線183と、第4ソース電極140sあるいは第5ドレイン電極150dとが直角に接続されている場合は、第4ソース電極140sあるいは第5ドレイン電極150dの電極長の分だけ寄生抵抗及び寄生インダクタンスが大きくなり、第1トランジスタ110の駆動を遅くする。よって、本実施の形態の構成によれば、第1トランジスタ110の高速なスイッチングを確保できる。
また、本実施の形態では、DCFL回路を構成する第2トランジスタ120及び第3トランジスタ130と、DCFL回路のバッファアンプ回路を構成する第4トランジスタ及び第5トランジスタとが、スイッチ素子である第1トランジスタ110に対して90°回転して配置されている。これにより、第1トランジスタ110のゲート電極間隔に制限されずに、第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150のデバイスサイズを決定でき、たとえば各々のドレイン・ソース間距離を第1トランジスタ110のドレイン・ソース間距離より長く設計することができる。たとえば、前記実施の形態2のゲート駆動回路では、第1トランジスタ110の単位デバイスあたり、第2トランジスタ120と第3トランジスタ130がそれぞれ1つずつ並列に配置されるため、もしも、リソグラフィ装置などの設備スペックにより第2トランジスタ120と第3トランジスタ130を並列に配置した大きさが、第1トランジスタ110に必要な単位デバイスサイズより大きい場合は、第1トランジスタ110の単位デバイスサイズが無駄に大きくなり、第1トランジスタ110のオン抵抗が大きくなったり、第1トランジスタ110のゲート・ソース間容量やドレイン・ソース間容量が大きくなったりして、消費電力が無駄に大きくなってしまう。本実施の形態では、ゲート駆動回路設計への要求が緩和されるため、第1トランジスタ110のデバイスサイズが無駄に大きくならず、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第5の実施の形態の変形例1)
以下、本発明の第5の実施の形態の変形例1に係る半導体装置について図24を参照して説明する。図24において、図21で示した構造と同じ構成要素には同一の符号を付すことにより、説明を省略する。図21に示す構造とは、第1トランジスタ110〜第5トランジスタ150を上下対称に折り返した構成になっていることに加え、各々の電極を電気的に接続するための、ドレイン電極パッド161と、ソース電極パッド162と、ゲート電極パッド163と、電源電極配線パッド164と、ドレイン配線用開口167Aと、ドレイン電極パッド用開口167Bと、ソース配線用開口168Aと、ソース電極パッド用開口168Bと、電源配線用開口169Aと、電源電極パッド用開口169Bと、ソース配線182と、ドレイン配線184と、電源配線187と、を備えることを特徴とする。それ以外の構造は同じである。なお、図24において電源電極パッド用開口169Bは点線にて示されており、電源電極配線パッド164は二点鎖線にて囲まれた領域で示されている。なお、図24において煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。なお、この半導体装置は、ゲートドライバ199が集積化されて配置されている。
ドレイン電極パッド161は、酸化シリコンなどの絶縁膜のドレイン電極パッド用開口167Bを介して、ドレイン配線184と電気的に接続される。ソース電極パッド162は、酸化シリコンなどの絶縁膜のソース電極パッド用開口168Bを介して、ソース配線182と電気的に接続される。ドレイン電極パッド161及びソース電極パッド162は、第1トランジスタ110の上に配置するため、第1トランジスタ110の横に配置する場合よりパッドの占有面積分だけ小型化できる。ゲート電極パッド163は、第3ゲート電極130g及び第5ゲート電極150gと電気的に接続される。電源電極配線パッド164は、酸化シリコンなどの絶縁膜の電源電極パッド用開口169Bを介して、電源配線187と電気的に接続される。ドレイン配線184は、窒化シリコンなどの絶縁膜のドレイン配線用開口167Aを介して、第1ドレイン電極110dと電気的に接続される。ソース配線182は、窒化シリコンなどの絶縁膜のソース配線用開口168Aを介して、第1ソース電極110s及び第3ソース電極130s及び第5ソース電極150sと電気的に接続される。ドレイン配線184及びソース配線182は、第1トランジスタ110の上に配置するため、第1トランジスタ110の横に配置する場合より配線の占有面積分だけ小型化できる。電源配線187は、窒化シリコンなどの絶縁膜の電源配線用開口169Aを介して、第2ドレイン電極120d及び第4ドレイン電極140dと電気的に接続される。
また、ドレイン配線184の上にはドレインパッド197が形成され、ソース配線182の上にはソースパッド198が形成されている。
図24では、図21、図22のようにゲート配線183の1辺に第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150を配置するのに加え、ゲート配線183の別の1辺に第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150を備えることを特徴とする。これにより、第4トランジスタ140、第5トランジスタ150が流すことができるドレイン電流を増加することができるため、第1トランジスタ110を高速動作することができる。なお、電源電極配線パッド164は、図24のように、第2トランジスタ120〜第5トランジスタ150が占有する面積と同じ程度の面積の幅で配置することが好ましい。これにより、窒化物半導体装置116の占有面積を大きくすることなく、各々の第2ドレイン電極120d及び各々の第4ドレイン電極140d間の配線の寄生抵抗及び寄生インダクタンスを低減することができ、第1トランジスタ110を高速動作することができる。
以上から、本実施の形態によれば、小型で高速動作する低消費電力の窒化物半導体装置を実現することができる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係る窒化物半導体装置について、図25〜図28を用いて説明する。なお、図25〜図28いて煩雑さをさけるため、適宜図番を省略している。
図25は、本発明の第6の実施の形態に係る窒化物半導体装置のパターンレイアウトの例を模式的に示したものである。
図25において、ゲートドライバ117は、第1トランジスタ110、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130、第4トランジスタ140はそれぞれ第1ソース電極110s、第1ドレイン電極110d、第1ゲート電極110g、第2ソース電極120s、第2ドレイン電極120d、第2ゲート電極120g、第3ソース電極130s、第3ドレイン電極130d、第3ゲート電極130g、第4ソース電極140s、第4ドレイン電極140d、第4ゲート電極140gが形成されている。また、第2トランジスタ120の第2ソース電極120sと第4トランジスタ140の第4ソース電極140sとは接続されている。第3ソース電極130sと第4ドレイン電極140dとはともに配線192に接続されている。第1ドレイン電極110dと第3ドレイン電極130dとは図示しないが接続されており、第1ドレイン電極110dには端子193より電圧Vddが印加される。また、第1ソース電極110sと第2ドレイン電極120dとは共通であり、第2ゲート電極120gと第4ゲート電極140gとは共通であり、入力信号パッド194に接続されている。また、第3トランジスタの第3ソース電極130sと第4ドレイン電極140dとが接続されている。配線192は電界効果トランジスタ(図示せず)が接続されている。
なお、第1トランジスタ110はデプレッション型のトランジスタであり、第2トランジスタ120、第3トランジスタ130および第4トランジスタ140はエンハンスメント型のトランジスタである。
なお、図25において、ゲートドライバ117の左端を117L、右端を117Rと表す。
本実施の形態において、ゲートドライバ117の大きさは配線192に沿った方向にて90μmであり、配線192に垂直な方向にて80μmである。
ここで、第3トランジスタ130および第4トランジスタ140は、いわゆるノコギリ型の配置をなしている。この構成により、配線192に沿って第3トランジスタ130および第4トランジスタ140よりなるバッファ段を最短距離に配置することができる。
また、このノコギリ型の効果として、チップの横幅を大きくせずにドライバの出力電流を大きくすることができる。具体的には、ゲートドライバ117の配線192に沿った方向の長さを保ったまま、図21に示すレイアウトの場合よりも大きな電流を流すことができる。
図26は、本実施の形態における、窒化物半導体よりなる電界効果トランジスタ119に対するゲートドライバ117の回路図である。第2トランジスタ120のゲート端子120gより入力信号が入力される。また、第1トランジスタ110の第1ドレイン電極110dよりVddが印加される。
ゲートドライバ117が複数用いられてできる半導体装置118の概略を表すブロック図を図27に示す。ゲートドライバ117について左端117L、右端117Rを入れ替えた配置すなわち左右対称となる素子および電極の配置は可能である。図27において、この左端117L、右端117Rを入れ替えたゲートドライバ117を117’と表す。
図27に示す半導体装置118は、ゲートドライバ117、117’が交互に配置された構成を有している。また、ゲートドライバ117、117’には電界効果トランジスタ119が接続され、電界効果トランジスタ119にはCuよりなる配線195が形成されている。
半導体装置118と電極との配置関係を図28に示す。図28において吹き出し図は部分拡大図を示す。半導体装置118を上下対称に設けることは可能であり、図28において半導体装置118を上下対称にひっくり返した装置を118’と表記する。
図28において、Cuよりなる配線195が半導体装置118、118’に接続されており、配線195の上にはパッド電極196が設けられている。
なお、上記実施の形態において、半導体装置118を構成する各々の素子や配線の寸法や材料等は、上記に限定されない。
以上、本発明における半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各々の種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。