JP2015111228A - トナーバインダー及びトナー組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、低温定着性と保存安定性の両立を目的として、結晶性ポリエステルをトナー内部に導入することで、従来の保存安定性を維持しつつ、低温定着性を改善できるトナーバインダーが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、結晶性ポリエステルの添加量を増やすと低温定着性は改良されるものの、保存安定性は悪化し、添加量が制限される。
また、低温定着性と保存安定性の両立を目的として、非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルのブロックポリマーが提案されている(特許文献2)。
これにより、トナーの保存安定性は改良されるものの、低温定着性の改良効果は低く、また、トナーバインダーの有する酸性基が少ないため、トナーの帯電性が不十分であった。
すなわち、本発明は、結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜100℃、(A)の軟化点とTaの比(軟化点/Ta)が0.8〜1.55、(A)の溶融開始温度(X)が(Ta±30)℃の温度範囲内であり、かつ(A)が以下の条件1、2を満たし、(A)が分子鎖中に酸性基及び/又は酸性基の塩を有する結晶性樹脂であるトナーバインダー、及び該トナーバインダーと着色剤を含有するトナー組成物である。
〔条件1〕50≦G’(Ta+20)≦1×106[Pa]
〔条件2〕2.0<|logG”(X+20)−logG”(X)|
{G’(Ta+20):(Ta+20)℃における(A)の貯蔵弾性率[Pa]、G”(X):(X)℃における(A)の損失弾性率[Pa]、G”(X+20):(X+20)℃における(A)の損失弾性率[Pa]}
本発明のトナーバインダーは結晶性樹脂(A)を含有する。
本発明における「結晶性」とは、樹脂の軟化点(以下Tmと略記する)と融解熱の最大ピーク温度(以下Taと略記する)との比(Tm/Ta)が0.8〜1.55であり、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを意味する。また、「非結晶性」とは、樹脂の(Tm/Ta)が1.55より大きいものを意味する。
なお、樹脂が結晶性樹脂と非結晶性樹脂のブロック又はグラフト体であっても、DSCにおいて、明確な吸熱ピークを有し、(Tm/Ta)が0.8〜1.55である場合は、これも結晶性樹脂とする。
<Tmの測定方法>
高化式フローテスター{例えば「CFT−500D」[(株)島津製作所製]}を用いて、1gの樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をTmとする。
<Taの測定方法>
示差走査熱量計{例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]}を用いて
測定する。
Taの測定に供する樹脂は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20〜100℃にある吸熱ピーク温度をTa’とする。複数ある場合は最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。最後に試料を(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
次いで、前記樹脂を、DSCにより降温速度10℃/分で(Ta’−15)℃から0℃まで冷却した後、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の吸熱ピーク温度(Ta)とする。
なお、(A1)としては、上記の重縮合ポリエステル樹脂以外に、ラクトン開環重合物及びポリヒドロキシカルボン酸も同様に好ましい。
結晶性ポリウレタン樹脂(A2)には、アミン(ジアミン)成分を用いて伸長した結晶性ポリウレタン樹脂も含まれる。
分岐型脂肪族ジオールは、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が低下するため、保存安定性、画像保存性及び低温定着性が低下してしまう場合がある。また、炭素数が36を超えると、実用上の材料の入手が困難な場合がある。
これらのうち好ましいのは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール及び1,10−デカンジオールである。
カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[炭素数6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸等]が挙げられる。
スルホン酸基を有するジオールとしては、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸、3,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6−ジヒドロキシ−2−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
スルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)又はそのAO付加物(AOとしてはEO又はPO等、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
これらの中和塩基を構成する塩としては、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)塩及び/又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)塩等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルホン酸基のアルカリ金属塩を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用である。
脂肪族モノアルコールとしては、鎖式飽和モノアルコール及び鎖式不飽和モノアルコール等が挙げられる。
鎖式飽和モノアルコールとしては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐の鎖式飽和モノアルコール(メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、ヘプタノール、3−エチル−3−ペンタノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノナノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、及び炭素数1〜30の直鎖又は分岐の鎖式飽和モノアルコールに炭素数2〜4のAO(EO、PO及びBO)を付加したもの(付加モル数1〜20モル)等が挙げられる。
鎖式不飽和モノアルコールとしては、炭素数2〜30の直鎖又は分岐の鎖式不飽和モノアルコール(アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、2−ペンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプテン−1−オール、2−オクテン−1−オール、2−ノネン−1−オール、2−デセン−1−オール、2−ドデセノール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール及びリノレイルアルコール等)、及び炭素数1〜30の直鎖又は分岐の鎖式不飽和モノアルコールに炭素数2〜4のAO(EO、PO及びBO)を付加したもの(付加モル数1〜20モル)等が挙げられる。
芳香族モノアルコールとしては、炭素数6〜30の芳香族モノアルコール(フェノール、エチルフェノール、イソブチルフェノール、ペンチルフェノール、オクチルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール及びベンジルアルコール等)、及び炭素数6〜30の芳香族モノアルコールに炭素数2〜4のAO(EO、PO及びBO)を付加したもの(付加モル数1〜20モル)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、脂肪族モノアルコールであり、更に好ましいのは鎖式飽和モノアルコールである。
これらのうち好ましいのは、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、更に好ましいのはノボラック樹脂のAO付加物である。
更に必要に応じて使用されるその他のジカルボン酸としては、カルボキシル基以外の官能基を有するジカルボン酸が挙げられ、具体的には、スルホン酸基又はスルファミン酸基、及びこれらの塩を有するジカルボン酸、リン酸基及びリン酸基の塩を有するジカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸基及びスルホン酸基の塩を有するジカルボン酸としては、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸、スルホコハク酸、4−スルホイソフタル酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸ナトリウム及びスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。
スルファミン酸塩基及びスルファミン酸基の塩を有するジカルボン酸としては、ジカルボキシフェニルスルファミン酸、ジカルボキシフェニルスルファミン酸ナトリウム等が挙げられる。
リン酸基及びリン酸基の塩を有するジカルボン酸としては、水酸基を有するジカルボン酸とリン酸化合物とが反応したもの等が挙げられる。リン酸化合物としては、リン酸及び酸性リン酸エステル(炭素数1〜12のアルキル基を有するリン酸モノ又はジエステル)等が挙げられる。
3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数4〜20の脂肪族ポリカルボン酸(例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等)、及び炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えばトリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上記のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
これらジカルボン酸の中では、脂肪族ジカルボン酸(特に直鎖型のカルボン酸)を単独で用いるのが好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸及びこれらの低級アルキルエステル類が好ましい。)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の比率は、20モル%以下が好ましい。
ジカルボン酸のうち、結晶性の観点から好ましいのは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸である。
脂肪族モノカルボン酸としては、鎖式飽和モノカルボン酸、鎖式不飽和モノカルボン酸及び脂環式モノカルボン酸等が挙げられる。
鎖式飽和モノカルボン酸としては、炭素数2〜30の直鎖又は分岐の鎖式飽和モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸 、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸等)等が挙げられる。
鎖式不飽和モノカルボン酸としては、炭素数3〜30の直鎖又は分岐の鎖式不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エレオステアリン酸、8,11−エイコサジエン酸、5,8,11−エイコサトリエン酸、アラキドン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸及びネルボン酸等)等が挙げられる。
脂環式モノカルボン酸としては、炭素数4〜14の脂環式モノカルボン酸(シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸及びシクロヘプタンカルボン酸等)等が挙げられる。
芳香族モノカルボン酸としては、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸が挙げられ、具体的には、安息香酸、ビニル安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、t−ブチル安息香酸、クミン酸、ナフトエ酸、ビフェニルモノカルボン酸及びフロ酸等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、脂肪族モノカルボン酸であり、更に好ましいのは鎖式飽和モノカルボン酸である。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例(3価以上のポリイソシアネートを含む)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
上記脂環式ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
また、上記ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等が挙げられる。
具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のジイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
これらのうちで好ましいのは、6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ジイソシアネート及び炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネートであり、更に好ましいのは、TDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
炭素数3〜12のモノラクトンのうち、結晶性の観点から好ましいのは、ε−カプロラクトンである。
上記の炭素数3〜12のモノラクトンの開環重合に、開始剤としてジオールを使用すると、末端に水酸基を有するラクトン開環重合物が得られる。例えば、上記ラクトン類とエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。また、2,2−ジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を有するジオールを開始剤として使用すると、分子鎖末端以外の分子鎖中にカルボキシル基を有するラクトン開環重合物が得られる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、0.1〜5000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ラクトン開環重合物を得ることができる。ラクトン開環重合物は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。ラクトン開環重合物は、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル(株)製のPLACCELシリーズのH1P(融点60℃の高結晶性ポリカプロラクトン)等が挙げられる。
上記のヒドロキシカルボン酸の開環重合に、開始剤としてグリコールを用いると、末端にヒドロキシル基を有するポリヒドロキシカルボン酸骨格が得られる。例えば、上記環状エステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール等の前記ジオール成分を触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。触媒としては、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物等が一般的であり、0.1〜5,000ppm程度の割合で添加して、100〜230℃で、好ましくは不活性雰囲気下に重合させることによって、ポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。ポリヒドロキシカルボン酸は、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。
結晶性ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法としては特に限定されず、公知の方法で製造することができる。
例えば、キラル体のアルキレンオキサイドを、通常のポリオキシアルキレンポリオールの重合で使用される触媒で開環重合させる方法(Journal of the American Chemical Society、1956年、第78巻、第18号、p.4787−4792 に記載)や、安価なラセミ体のアルキレンオキサイドを、立体的に嵩高い特殊な化学構造の錯体を触媒として用いて、開環重合させる方法が挙げられる。
特殊な錯体を用いる方法としては、ランタノイド錯体と有機アルミニウムを接触させた化合物を触媒として用いる方法(特開平11−12353号公報に記載)やバイメタル−μ−オキソアルコキサイドとヒドロキシル化合物をあらかじめ反応させる方法(特表2001−521957号公報に記載)等が挙げられる。
また、非常にアイソタクティシティーの高いポリオキシアルキレンポリオールを得る方法として、サレン錯体を触媒として用いる方法(Journal of the American Chemical Society、2005年、第127巻、第33号、p.11566−11567 に記載)等が挙げられる。
グリコー又は水を用いると、末端にヒドロキシル基を有するアイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールが得られる。アイソタクティシティが50%以上であるポリオキシアルキレングリコールは、その末端を例えば、カルボキシル基になるように変性したものであってもよい。なお、アイソタクティシティが50%以上であると、通常ポリオキシアルキレンポリオールは結晶性を有する。
上記グリコールとしては、前記のジオール等が挙げられ、カルボキシ変性するのに用いるカルボン酸としては、前記のジカルボン酸等が挙げられる
これらの原料は、単独でも2種以上を併用してもよい。
これらのうち好ましいのは、EO、PO、BO、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド及びシクロへキセンオキサイドである。
(1−1)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
(1−1−1)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);炭素数4〜30のアルカジエン(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(1−1−2)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
(1−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];下記一般式(1)〜(3)で表される化合物;及びこれらの塩等が挙げられる。
なお、塩としては、(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
|
CH2=CHCH2OCH2CHCH2O−Ar−R2 (1)
CH=CH−CH3
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R3−Ar−O−(R1O)nSO3H (2)
CH2COOR4
|
HOSO2CHCOOCH2CH(OH)CH2OCH2CH=CH2 (3)
式中、R1は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1Oは単独でも2種以上を併用したものでもよく、2種以上を併用した場合は、結合形式はランダムでもブロックでもよい;R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基;m及びnは、それぞれ独立に1〜50の数;Arはベンゼン環;R4は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を表す。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
(6−1)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(6−2)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(6−3)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(6−4)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
グリシジル(メタ)アクリレート等。
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
(9−1)重合性二重結合を有する炭素数4〜30のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
(9−2)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(9−3)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(9−4)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、直鎖型脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を構成単位とするポリエステルジオール(C)が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、前述の結晶性ポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては、直鎖型脂肪族ジオールを構成単位とするポリカーボネートポリオールが好ましい。
ポリカーボネートポリオールの製造方法の具体例としては、直鎖型脂肪族ジオールとジメチルカーボネートを混和し、常圧または減圧下において100〜300℃で反応させ生成するメタノールを除去した後、減圧下において160〜250℃で更に加熱して縮合させて、ポリカーボネートポリオールを得る方法等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(A1)のうち、直鎖型脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を構成単位とするポリエステルジオール(C)及びテトラカルボン酸二無水物(E)を構成単位とする結晶性ポリエステル樹脂が更に好ましい。
(C)とテトラカルボン酸二無水物(E)を反応させることにより、結晶性樹脂(A)の分子鎖末端以外の分子鎖中に酸性基を容易に導入することができる。
テトラカルボン酸二無水物(E)としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのうち、(C)との反応速度が速いことから、ピロメリット酸二無水物及びベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
結晶性ポリウレタン樹脂(A2)のうち、カルボキシル基含有ポリオール(B)、直鎖型脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を構成単位とするポリエステルジオール(C)、及びジイソシアネート(D)を構成単位とする結晶性ポリウレタン樹脂が更に好ましい。
カルボキシル基含有ポリオール(B)としては、前述の2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
カルボキシル基含有ポリオール(B)を用いることで、結晶性樹脂(A)の分子鎖末端以外の分子鎖中に酸性基を容易に導入することができる。
(X)は、具体的には30〜100℃が好ましく、更に好ましくは40〜80℃である。
(A)の溶融開始温度(X)は、以下の方法で測定することができる。
<溶融開始温度>
高化式フローテスター{例えば「CFT−500D」[(株)島津製作所製]}を用いて、1gの(A)を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、試料の熱膨張によるピストンのわずかな上昇が行われた後、再びピストンが明らかに下降し始める点の温度をグラフから読み取り、この値を(A)の(X)とする。
〔条件1〕50≦G’(Ta+20)≦1×106[Pa]
〔条件1−1〕100≦G’(Ta+20)≦5×105[Pa]
{G’(Ta+20):(Ta+20)℃における(A)の貯蔵弾性率[Pa]}
G’(Ta+20)が50Pa未満であると、低温定着時でもホットオフセットが起き、定着温度領域が狭くなる。またG’(Ta+20)が1×106[Pa]を超えると低温側で定着可能な粘性になりにくく、低温定着性が低下する。
〔条件1〕を満たす結晶性樹脂(A)は、(A)中の結晶性成分の比率を調整することや重量平均分子量を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性成分の比率を増加させると、G’(Ta+20)の値は小さくなる。また、(A)の重量平均分子量を低下させることでG’(Ta+20)の値は小さくなる。
〔条件2〕2.0<|logG”(X+20)−logG”(X)|
[G’:貯蔵弾性率[Pa]、G”:損失弾性率[Pa]]
〔条件2−1〕2.5<|logG”(X+20)−logG”(X)|
〔条件2−2〕2.5<|logG”(X+15)−logG”(X)|
{G”(X):(X)℃における(A)の損失弾性率[Pa]、G”(X+15):(X+15)℃における(A)の損失弾性率[Pa]、G”(X+20):(X+20)℃における(A)の損失弾性率[Pa]}
結晶性樹脂(A)の溶融開始温度(X)が上記範囲内であり、かつ〔条件2〕を満たすと、(A)の低粘性化速度が速くなり、定着温度領域の低温側、高温側で同等の画質を得ることができる。また、溶融開始から定着可能粘性に至るまでが速くなり、優れた低温定着性を得るのに有利である。〔条件2〕は、どれだけ早く、少ない熱で定着できるかという、(A)のシャープメルト性の指標であり、実験的に求めたものである。
溶融開始温度(X)の範囲、及び〔条件2〕を満たす結晶性樹脂(A)は、(A)の構成成分中の結晶性成分の比率を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性成分の比率を大きくすると、(Ta)と(X)の温度差が小さくなる。
損失弾性率G”の比が上記の範囲で維持されることによって、定着温度領域でより安定した画質を得ることができる。
上記のG”の比の条件を満たす結晶性樹脂(A)は、(A)の構成成分中の結晶性成分の比率を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性成分の比率を増加させると、〔G”(Ta+30)/G”(Ta+70)〕の値は小さくなる。また結晶性成分の重量平均分子量を増加させると〔G”(Ta+30)/G”(Ta+70)〕の値は小さくなる。
(A)の粘弾性測定は、(A)を測定装置の冶具にセットした後、(A)の(Ta+30)℃まで昇温して冶具に密着させてから、(Ta+30)℃から(Ta−30)℃まで0.5℃/分の速度で降温し、(Ta−30)℃で1時間静置し、次いで(Ta−10)℃まで0.5℃/分の速度で降温し、更に(Ta−10)℃で1時間静置し、十分に結晶化を進行させたのち、これを用いて測定を行う。測定温度範囲は30℃〜200℃で、この温度間のバインダー溶融粘弾性を測定することによって、温度−G’、温度−G”の曲線として得ることができる。
なお、(A)の酸価は、JIS K0070(1992年版)に規定の方法で測定することができる。
(A)は、分子鎖中に酸性基及び/又は酸性基の塩を有していれば、分子鎖末端に酸性基及び/又は酸性基の塩を有していてもよく、有していなくてもよい。また、(A)は、酸性基及び/又は酸性基の塩を(A)の分子鎖末端の両方に有していてもよく、いずれか一方の分子鎖末端にのみ有していてもよい。
(A)が分子鎖末端に酸性基を有する場合、(A)の酸価は、分子鎖中の酸性基に由来するものと分子鎖末端の酸性基に由来するものの合計である。
酸性基のうち、前述のカルボキシル基含有ポリオール(B)によって容易に導入できることから、カルボキシル基が好ましい。
酸性基のアミン塩を構成するアミンとしては、炭素数1〜10の1級アミン(エチルアミン、ブチルアミン及びオクチルアミン等)、炭素数2〜20の2級アミン(ジエチルアミン及びジブチルアミン、エチルオクチルアミン、ジオクチルアミン等)、炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン及びトリデシルアミン等)等が挙げられる。
酸性基の塩としては、前述のスルホン酸基のアルカリ金属塩を有するジオール及びジカルボン酸よって容易に導入できることから、スルホン酸基のアルカリ金属塩が好ましい。
例えば、分子鎖中と分子鎖末端の両方にカルボキシル基を有する結晶性ポリウレタン樹脂は、末端に水酸基を有する結晶性ポリウレタン樹脂と酸無水物を反応させることで得られる。また、末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂を結晶性ポリウレタン樹脂の構成成分に加えることでも得られる。
これらのうち、酸性基導入の反応速度が速いことから、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましく、更に好ましくは、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸である。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、
18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、
1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
非結晶性樹脂としては、結晶性樹脂(A)として例示した結晶性ポリエステル樹脂(A1)、結晶性ポリウレタン樹脂(A2)、結晶性ポリウレア樹脂(A3)、結晶性ポリアミド樹脂(A4)、結晶性ポリエーテル樹脂(A5)及び結晶性ビニル樹脂(A6)と同様の組成であって、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きい樹脂が挙げられる。
トナーバインダー中の非結晶性樹脂の含有率は、低温定着性及び画像安定性の観点から、トナーバインダーの重量に基づいて、好ましくは30重量%以下であり、更に好ましくは25重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、ポリメチレン(例えばサゾールワックス等のフィシャートロプシュワックス等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸カルシウム等)及び脂肪酸エステル(ベヘニン酸ベヘニル等)等が挙げられる。
本発明のトナーバインダーの含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは30〜97重量%であり、更に好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜92重量%である。
着色剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜60重量%であり、更に好ましくは0.1〜55重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。
離型剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜30重量%であり、更に好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
荷電制御剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜7.5重量%である。
流動化剤の含有率は、トナーの重量に基づき、好ましくは0〜10重量%であり、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%である。
なお、トナーの体積平均粒径は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径が好ましくは1〜15μmの微粒子とした後、流動化剤を混合して製造することができる。乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散した後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。また、特開2002−284881号公報に記載の有機微粒子を用いる方法や、特開2007−277511号公報に記載の超臨界状態の二酸化炭素中で分散する方法により製造してもよい。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール435重量部、セバシン酸684重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.1[mgKOH/g]以下になった時点で取り出し、ポリエステルジオール(C−1)を得た。(C−1)のMwは6,500、水酸基価は35[mgKOH/g]であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,4−ブタンジオール328重量部、ドデカン二酸793重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.1[mgKOH/g]以下になった時点で取り出し、ポリエステルジオール(C−2)を得た。(C−2)のMwは10,000、水酸基価は23[mgKOH/g]であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール540重量部、アジピン酸607重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.1[mgKOH/g]以下になった時点で取り出し、ポリエステルジオール(C−3)を得た。(C−3)のMwは4,800、水酸基価は47[mgKOH/g]であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール418重量部、ドデカン二酸519重量部、テレフタル酸160重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.1[mgKOH/g]以下になった時点で取り出し、ポリエステルジオール(C−4)を得た。(C−4)のMwは6,200、水酸基価は37[mgKOH/g]であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール434重量部、セバシン酸636重量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム36重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水及びメタノールを留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水及びメタノールを留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水及びメタノールを留去しながら反応させ、酸価が0.1[mgKOH/g]以下になった時点で取り出し、ポリエステルジオール(C−5)を得た。(C−5)のMwは4,600、水酸基価は47[mgKOH/g]であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール415重量部、セバシン酸647重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水を留去しながら反応させ、酸価が0.1[mgKOH/g]以下になった時点で180℃に冷却し、無水フタル酸50重量部を加え常圧下で1時間反応させて取り出し、末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(E−1)を得た。(E−1)のMwは6,000、水酸基価は19[mgKOH/g]、酸価は19[mgKOH/g]であった。(E−1)は計算上、一方の末端にカルボキシル基、もう一方の末端に水酸基を有するポリエステル樹脂である。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸12重量部、ε−カプロラクトン488重量部、ジブチルチンオキサイド2重量部を投入し、常圧、窒素雰囲気下、180℃で10時間反応を行った。次いで、無水トリメリット酸9重量部を加え常圧下で1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A1−1)からなるトナーバインダー(T−1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、ピロメリット酸二無水物18重量部、ポリエステルジオール(C−1)482重量部を投入し、触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、常圧、窒素雰囲気下、180℃で3時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A1−2)からなるトナーバインダー(T−2)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール412重量部、セバシン酸641重量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム63重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、180℃に昇温し、同温度で窒素気流下に生成する水及びメタノールを留去しながら10時間反応させ、次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に生成する水及びメタノールを留去しながら4時間反応させ、更に0.007〜0.026MPaの減圧下で水及びメタノールを留去しながら反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A1−3)からなるトナーバインダー(T−3)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、ピロメリット酸二無水物31重量部、ポリエステルジオール(C−5)469重量部を投入し、触媒としてテトラブトキシチタネート2重量部を入れ、常圧、窒素雰囲気下、180℃で3時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A1−4)からなるトナーバインダー(T−4)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸18重量部、ポリエステルジオール(C−1)441重量部、及びメチルエチルケトン(以下MEKと略記する)500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート41重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−1)からなるトナーバインダー(T−5)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸10重量部、ポリエステルジオール(C−2)459重量部、及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にイソホロンジイソシアネート31重量部を投入し、80℃で12時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−2)からなるトナーバインダー(T−6)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールブタン酸48重量部、ポリエステルジオール(C−3)385重量部、及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート67重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−3)からなるトナーバインダー(T−7)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸22重量部、ポリエステルジオール(C−1)433重量部、及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート45重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後、無水フタル酸8重量部を投入し、150℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−4)からなるトナーバインダー(T−8)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸19重量部、ポリエステルジオール(C−1)229重量部、末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(E−1)210重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート42重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−5)からなるトナーバインダー(T−9)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸8重量部、ポリエステルジオール(C−2)416重量部、1,6−ヘキサンジオール13重量部、ステアリルアルコール15重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート48重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−6)からなるトナーバインダー(T−10)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸19重量部、ポリエステルジオール(C−1)219重量部、ポリエステルジオール(C−4)220重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート42重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−7)からなるトナーバインダー(T−11)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸13重量部、ポリエステルジオール(C−1)400重量部、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコール「PEG−2000」[三洋化成工業(株)製]、Mw3,800、水酸基価56[mgKOH/g])50重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート37重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−8)からなるトナーバインダー(T−12)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸9重量部、ポリエステルジオール(C−1)366重量部、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールを構成単位とするポリカーボネートジオール「デュラノールT6002」[旭化成ケミカルズ(株)製]、Mw4,200、水酸基価56[mgKOH/g])91重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート34重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−9)からなるトナーバインダー(T−13)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム10重量部、ポリエステルジオール(C−1)468重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート22重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−10)からなるトナーバインダー(T−14)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、ポリエステルジオール(C−5)476重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート24重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−11)からなるトナーバインダー(T−15)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸10重量部、トリレンジイソシアネート31重量部及びMEK41重量部を投入し、80℃で2時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性ポリウレタンブロック(X−1)のMEK溶液82重量部を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた別の反応容器に、ポリエステルジオール(C−1)459重量部及びMEK459重量部を投入し、撹拌して均一な溶液を得た。そこに、(X−1)のMEK溶液82重量部を投入し、80℃で5時間反応させた後MEKを留去して、ブロック体の結晶性ポリウレタン樹脂(A2−12)からなるトナーバインダー(T−16)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸5重量部、ポリエステルジオール(C−5)467重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート28重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−13)からなるトナーバインダー(T−17)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、2,2−ジメチロールプロピオン酸6重量部、ポリエステルジオール(C−5)460重量部及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート34重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後、無水トリメリット酸4重量部を投入し、150℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−14)からなるトナーバインダー(T−18)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、トルエン500重量部を投入した。
別の容器に、トルエン350重量部、ベヘニルアクリレート「ブレンマーVA」[日油(株)製]110重量部、スチレン20部、2−エチルヘキシルアクリレート15重量部、メタクリル酸5重量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)7.5重量部を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。反応容器の気相部の窒素置換を行った後、密閉下80℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、85℃に昇温後同温度で2時間熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧(0.007〜0.026MPa)留去して、結晶性ビニル樹脂(A6−1)からなるトナーバインダー(T−19)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、ビスフェノールAのPO2モル付加物462重量部、ビスフェノールAのEO2モル付加物315重量部、テレフタル酸250重量部及びテトラブトキシチタネート3重量部を投入し、窒素気流下に230℃に昇温し、同温度で生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで230℃、0.007〜0.026MPaの減圧下に反応させ、酸価が2[mgKOH/g]になった時点で取り出し、非結晶性ポリエステル樹脂(P−1)からなるトナーバインダー(T’−1)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール20重量部、ポリエステルジオール(C−1)440重量部、及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート40重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後MEKを留去して、分子鎖末端以外の分子鎖中に酸性基を有しない結晶性ポリウレタン樹脂(A2’−1)からなるトナーバインダー(T’−2)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、1,4−シクロヘキサンジメタノール20重量部、ポリエステルジオール(C−1)440重量部、及びMEK500重量部を投入し、60℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にヘキサメチレンジイソシアネート40重量部を投入し、80℃で7時間反応させた後、無水フタル酸10重量部を投入し、150℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、分子鎖末端以外の分子鎖中に酸性基を有しない結晶性ポリウレタン樹脂(A2’−2)からなるトナーバインダー(T’−3)を得た。
撹拌装置を備えた反応容器に、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−4)を50重量部、及び酢酸エチル50重量部を投入し、撹拌して樹脂を均一に溶解させ、結晶性ポリウレタン樹脂溶液(AS2−4)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、減圧装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、トルエン500重量部を投入し、別のガラス製ビーカーに、トルエン350重量部、ベヘニルアクリレート120重量部、メタクリル酸メチル22.5重量部、(2−パーフルオロデシル)エチルアクリレート7.5重量部、AIBN10重量部を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下80℃で2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、トルエンを130℃で3時間減圧除去して、有機微粒子用樹脂(f−1)を得た。(f−1)の融点は60℃、Mnは8,000であった。
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、水683重量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩[エレミノールRS−30、三洋化成工業(株)製]11重量部、スチレン139重量部、メタクリル酸メチル138重量部、アクリル酸ブチル184重量部、過硫酸アンモニウム1重量部を投入し、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成して、有機微粒子の水性分散液(F−1)(固形分濃度20重量%)を得た。(F−1)のLA−920(以下の有機微粒子についても同様)で測定した体積平均粒径は0.15μmであった。
撹拌装置を備えた反応容器中でノルマルヘキサン700重量部、有機微粒子用樹脂(f−1)300重量部を混合した後、ビーズミル(ダイノーミルマルチラボ:シンマルエンタープライゼス製)で粒径0.3mmのジルコニアビーズを用いて粉砕を行い、乳白色の有機微粒子の非水性分散液(F−2)(固形分濃度30重量%)を得た。(F−2)の体積平均粒径は0.4μmであった。
撹拌装置を備えた反応容器に、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]20重量部と着色剤分散剤BYK−9076[ビックケミー・ジャパン(株)製]4重量部、及び酢酸エチル24重量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって微分散して、着色剤分散液(CD−1)を得た。(CD−1)の「LA−920」で測定した体積平均粒径は0.2μmであった。また固形分濃度は50重量%であった。
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、カルナバワックス20重量部とエマルミン40[三洋化成工業(株)製]4重量部、及び酢酸エチル24重量部を投入し、撹拌下78℃に昇温し、同温度で30分間撹拌後、1時間かけて30℃まで冷却してカルナバワックスを微粒子状に晶析させ、更にウルトラビスコミル[アイメックス社製]で湿式粉砕し、離型剤分散液(WD−1)を得た。(WD−1)の体積平均粒径は0.25μm、固形分濃度は50重量%であった。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、結晶性ポリウレタン樹脂(A2−4)100重量部、酢酸エチル60重量部を投入し溶解した後、25℃で撹拌下イオン交換水380重量部を投入した。次いで酢酸エチルを留去した後、固形分濃度が40重量%になるようにイオン交換水で調整して、結晶性ポリウレタン樹脂エマルション(AE2−4)を得た。(AE2−4)の体積平均粒径は0.12μmであった。
撹拌装置を備えた反応容器に、反応槽中に、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]50重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5重量部、イオン交換水を混合し、ウルトラタラックスT50[IKA社製]により分散し、固形分濃度が20重量%になるようにイオン交換水を加えて、着色剤エマルション(CE−1)を得た。(CE−1)の体積平均粒径は0.15μmであった。
撹拌装置を備えた反応容器に、カルナバワックス50重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5重量部、イオン交換水を混合し、ウルトラタラックスT50[IKA社製]により分散し、固形分濃度が20重量%になるようにイオン交換水を加えて離型剤エマルション(WE−1)を得た。(WE−1)の体積平均粒径は0.20μmであった。
本発明のトナーバインダー(T−1)〜(T−19)、及び比較のトナーバインダー(T’−1)〜(T’−3)を用いて、下記の方法でそれぞれトナー組成物を得た。
まず、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8重量部、カルナバワックス5重量部、荷電制御剤T−77[保土谷化学工業(株)製]1重量部を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。次いで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル(株)製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナーバインダーを使用したトナー組成物(V−1)〜(V−19)、及び比較のトナー組成物(RV−1)〜(RV−3)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、イオン交換水120重量部、有機微粒子の水性分散液(F−1)4重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]22重量部及び酢酸エチル11重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで30℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、着色剤分散液(CD−1)3.2重量部、離型剤分散液(WD−1)2重量部、及び結晶性ポリウレタン樹脂溶液(AS2−4)を40重量部投入し2分間撹拌した。次いで、25℃で酢酸エチルを留去し、洗浄、濾別した後、40℃で18時間乾燥を行い、粒径D50が6μmのトナー用樹脂粒子(V’−20)を得た。(V’−20)100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル(株)製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、トナー組成物(V−20)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び減圧装置を備えた反応容器に、ノルマルデカン120重量部及び有機微粒子の非水性分散液(F−2)5重量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。次いで25℃に昇温し、同温度でTKオートホモミキサーを10,000rpmに撹拌しながら、着色剤分散液(CD−1)3.2重量部、離型剤分散液(WD−1)2重量部、及び結晶性ポリウレタン樹脂溶液(AS2−4)を40重量部投入し2分間撹拌した。次いで、40℃、0.01MPaで脱溶剤、洗浄、濾別した後、40℃で18時間乾燥を行い、粒径D50が7μmのトナー用樹脂粒子(V’−21)を得た。(V’−21)100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル(株)製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、トナー組成物(V−21)を得た。
図1の実験装置において、まずバルブV1、V2を閉じ、ボンベB2から、ポンプP4を用いて粒子回収槽T4に二酸化炭素(純度99.99%)を導入し、14MPa、40℃に調整した。また溶液タンクT1に、着色剤分散液(CD−1)16重量部、離型剤分散液(WD−1)10重量部、及び結晶性ポリウレタン樹脂溶液(AS2−4)200重量部を混合したものを、微粒子分散液タンクT2には有機微粒子の非水性分散液(F−2)15重量部を投入した。
次に、液状の二酸化炭素のボンベB1から、ポンプP3を用いて液状の二酸化炭素500重量部を分散槽T3に投入し、超臨界状態(9MPa、40℃)に調整し、更にタンクT2から、ポンプP2を用いて有機微粒子の非水性分散液(F−2)を導入した。
次に、分散槽T3の内部を2,000rpmで撹拌しながら、タンクT1から、ポンプP1を用いて、着色剤分散液(CD−1)、離型剤分散液(WD−1)、及び結晶性ポリウレタン樹脂溶液(AS2−4)の混合液を分散槽T3内に導入した。導入後T3の内部の圧力は14MPaとなった。
文献:Journal of Physical and Chemical Refarence data、vol.25、P.1509〜1596(1997年、American Institute of Physics発行)
次に、バルブV1を開き、B1からP3を用いてT3及びT4内に超臨界状態の二酸化炭素を導入することで、分散体をT3からT4内に移送した。分散体をT3からT4に移送する間、圧力が一定に保たれるように、V2の開度を調節した。この操作を30秒間行い、V1を閉めた。この操作によりT4内に移送された樹脂分散体からの溶剤の抽出を行った。更に15分間保持し、この操作により、微粒子分散液中の微粒子を樹脂溶液から形成された樹脂粒子の表面に固着させ、粒径D50が7μmのトナー用樹脂粒子(V’−22)を形成した。
次に、圧力ボンベB2から、ポンプP4を用いて粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入しつつ圧力調整バルブV2の開度を調整することで、圧力を14MPaに保持した。
この操作により、溶剤を含む二酸化炭素を溶剤トラップ槽T5に排出すると共に、(V’−22)をフィルターF1に捕捉した。圧力ボンベB2から、ポンプP4を用いて粒子回収槽T4に二酸化炭素を導入する操作は、上記の分散槽T3に導入した二酸化炭素重量の5倍量を粒子回収槽T4に導入した時点で停止した。この停止の時点で、溶剤を含む二酸化炭素を、溶剤を含まない二酸化炭素で置換すると共に(V’−22)をフィルターF1に捕捉する操作は完了した。更に、圧力調整バルブV2を少しずつ開き、粒子回収槽内を大気圧まで減圧することで、フィルターF1に捕捉されている(V’−22)を得た。(V’−22)100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル(株)製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、トナー組成物(V−22)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置及び温度計を備えた反応容器に、結晶性ポリウレタン樹脂エマルション(AE2−4)50重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部、着色剤エマルション(CE−1)8重量部、離型剤エマルション(WE−1)5重量部、ポリ塩化アルミニウム0.1重量部及びイオン交換水100重量部の混合物を投入した後、硝酸によってpHを3に調整し、ウルトラタラックスT50[IKA社製]で混合分散した後、加熱用オイルバスで反応槽中の内容物を撹拌しながら40℃まで加熱し、40℃で1時間保持した。
次いで、水酸化ナトリウムを添加してpHを9に調製した後、温度を上げて70℃に保ち、凝集体を融合した。撹拌を停止した後、15℃/分の速度で溶液を冷却した。冷却後の溶液を洗浄、濾別した後、40℃で18時間乾燥を行い、粒径D50が8μmのトナー用樹脂粒子(V’−23)を得た。(V’−23)100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル(株)製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、トナー組成物(V−23)を得た。
[評価方法]
〔1〕低温定着性
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度(MFT)とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
〔2〕保存安定性
トナー組成物を、45℃、85%R.H.の高温高湿環境下で、24時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察し、以下の判定基準で保存安定性を評価した。
[判定基準]
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察され
る。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔3〕帯電性(飽和帯電量、帯電安定性)
トナー組成物0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10及び60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。摩擦時間10分の帯電量をもって飽和帯電量とした。また、摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量を計算し、帯電安定性とした。
[飽和帯電量の評価基準]
◎:飽和帯電量の絶対値が20μC/g以上
○:飽和帯電量の絶対値が15μC/g以上、20μC/g未満
△:飽和帯電量の絶対値が10μC/g以上、15μC/g未満
×:飽和帯電量の絶対値が10μC/g未満
[帯電安定性の評価基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上、0.8未満
△:0.6以上、0.7未満
×:0.6未満
T2:微粒子分散液タンク
T3:分散槽(最高使用圧力:20MPa、最高使用温度:100℃、撹拌機つき)
T4:粒子回収槽(最高使用圧力:20MPa、最高使用温度:100℃)
F1:セラミックフィルター(メッシュ:0.5μm)
T5:溶剤トラップ
B1、B2:二酸化炭素ボンベ
P1、P2:溶液ポンプ
P3、P4:二酸化炭素ポンプ
V1、V3、V4、V5、V6、V7、V8:バルブ
V2:圧力調整バルブ
Claims (14)
- 結晶性樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、(A)の融解熱の最大ピーク温度(Ta)が40〜100℃、(A)の軟化点とTaの比(軟化点/Ta)が0.8〜1.55、(A)の溶融開始温度(X)が(Ta±30)℃の温度範囲内であり、かつ(A)が以下の条件1、2を満たし、(A)が分子鎖中に酸性基及び/又は酸性基の塩を有する結晶性樹脂であるトナーバインダー。
〔条件1〕50≦G’(Ta+20)≦1×106[Pa]
〔条件2〕2.0<|logG”(X+20)−logG”(X)|
{G’(Ta+20):(Ta+20)℃における(A)の貯蔵弾性率[Pa]、G”(X):(X)℃における(A)の損失弾性率[Pa]、G”(X+20):(X+20)℃における(A)の損失弾性率[Pa]} - (A)の(Ta+30)℃における損失弾性率G”(Ta+30)と(Ta+70)℃における損失弾性率G”(Ta+70)の比〔G”(Ta+30)/G”(Ta+70)〕が0.05〜50である請求項1に記載のトナーバインダー。
- (A)の含有率が、トナーバインダーの重量に基づき70重量%以上である請求項1又は2に記載のトナーバインダー。
- (A)が分子鎖中に酸性基を有する結晶性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のトナーバインダー。
- (A)の酸価が2〜40[mgKOH/g]である請求項4に記載のトナーバインダー。
- (A)が分子鎖中に酸性基の塩を有する結晶性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のトナーバインダー。
- (A)が分子鎖中に有する酸性基の塩が、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、スルファミン酸塩基及びリン酸塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のトナーバインダー。
- (A)が、結晶性ポリウレタン樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載のトナーバインダー。
- (A)が、カルボキシル基含有ポリオール(B)、直鎖型脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を構成単位とするポリエステルジオール(C)及びジイソシアネート(D)を構成単位とする結晶性ポリウレタン樹脂である請求項8に記載のトナーバインダー。
- カルボキシル基含有ポリオール(B)が、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、(A)の酸性基が、(B)が有するカルボキシル基である請求項9に記載のトナーバインダー。
- (A)が、結晶性ポリエステル樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載のトナーバインダー。
- (A)が、直鎖型脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を構成単位とするポリエステルジオール(C)とテトラカルボン酸二無水物(E)を構成単位とする結晶性ポリエステル樹脂である請求項11に記載のトナーバインダー。
- (A)の重量平均分子量が5,000〜100,000である請求項1〜12のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のトナーバインダーと着色剤を含有するトナー組成物。
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