JP2007241098A - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステルを有機溶剤を用いずに効率よく乳化させて、電子写真用トナーを製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】ポリエステルを含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A) グリコールエーテルとHLBが12以上の非イオン性界面活性剤とが存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させる工程
を含む電子写真用トナーの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルを含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A) グリコールエーテルとHLBが12以上の非イオン性界面活性剤とが存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させる工程
を含む電子写真用トナーの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真技術の市場には、高速化かつ高画質化の性能が要求され、高速化に対応するには耐久性と低温定着性が、高画質化に対応するためにはトナー粒子の小粒径化が望まれている。
現在、代表的なトナー粒子の製造方法には、粉砕法と重合法又は乳化分散法が挙げられる。粉砕法とは、機械的なエネルギーを与えることで小粒径の粒子を調製する方法である。しかしながら、この方法では、機械力に限界があるため小粒径化には限界がある。一方、重合法や乳化分散法は、小粒径の粒子を凝集させてトナー粒子を形成するため、目的とする小粒径トナーを容易に調製することができる。このような背景から、重合法や乳化分散法の開発が活発に行われてきた。
一方、低温定着性に関する研究としては、スチレンアクリル樹脂よりもポリエステルが好ましいことが分かってきており注目されている。
しかしながら、重合法では主成分がラジカル重合可能なビニル重合体に限定されることから、結着樹脂としてポリエステルを使用する場合には重合法の適用は困難である。
現在、ポリエステルを用いて乳化分散法を行っている例としては、有機溶剤を使用したものがほとんどである。しかしながら、この方法は、有機溶剤に溶解し難いポリエステルでは極端に収率が低くなることや、有機溶剤を用いることから揮発性有機化合物の低減が困難であるという欠点を有する(特許文献1参照)。
また、有機溶剤を用いない方法も検討されているが、特定の原料モノマーからなる結晶性ポリエステルに限定されるという欠点を有する(特許文献2参照)。
特開2003−122051号公報
特開2001−305796号公報
本発明の課題は、ポリエステルを有機溶剤を用いずに効率よく乳化させて、電子写真用トナーを製造することができる方法を提供することにある。
本発明は、ポリエステルを含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A) グリコールエーテルとHLBが12以上の非イオン性界面活性剤とが存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させる工程
を含む電子写真用トナーの製造方法に関する。
(A) グリコールエーテルとHLBが12以上の非イオン性界面活性剤とが存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させる工程
を含む電子写真用トナーの製造方法に関する。
本発明により、ポリエステルを効率よく乳化させて、電子写真用トナーを製造することができる。また、本発明の製造方法は、有機溶剤を用いなくともポリエステルを乳化させることができるため、環境面、省エネルギー面からも有用な方法である。
本発明により得られる電子写真用トナーは、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂としてポリエステルを含有するものである。ポリエステルのトナー中の含有量は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80〜95重量%がさらに好ましい。また、結着樹脂中のポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。ポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
ポリエステルの原料モノマーとしては、公知の2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。本発明に方法では、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステルのいずれを用いることもできる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール等の脂肪族ジオール;ポリオキシプロピレン(2.2モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の、式(I):
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール:グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アルコール成分において、ポリエステルの結晶性を促進するアルコールとしては、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及び1,8-オクタンジオール等の炭素数2〜8の脂肪族ジオール等が挙げられる。
一方、非晶質ポリエステルのアルコール成分としては、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、5モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
カルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、酸無水物、及び酸のアルキルエステルを本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。これらのカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記カルボン酸成分において、ポリエステルの結晶性を促進するカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸等の炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物等が挙げられる。
さらに、アルコール成分及びカルボン酸成分には、分子量調整等の観点から、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物が適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを、不活性ガス雰囲気中、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃程度の温度で縮重合することにより製造することができる。
ポリエステルは、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられ、樹脂の乳化性とそれを用いたトナーの耐環境特性との両立の観点からカルボキシル基が好ましい。ポリエステルの分子鎖末端の酸基の数量は、乳化粒子の安定性並びにトナーの粒度分布及び粒径を決める一つの重要な因子である。乳化粒子を安定にし、かつ小粒径のトナーをシャープな粒度分布で得るためには、該分子鎖末端の酸基の数量は、結晶性ポリエステル1g当たり、0.015〜0.9mmolが好ましく、0.08〜0.85mmolがより好ましく、0.15〜0.8mmolがさらに好ましく、0.25〜0.75mmolがさらに好ましい。
また、必要に応じて、カルボン酸成分としてトリメリット酸等の多価カルボン酸や、アルコール成分としてペンタエリスリトール等の多価アルコールを用いてポリエステルの分子主鎖中にカルボキシル基を導入することもできる。ポリエステルの分子主鎖中の酸基の数量は、結晶化阻害の観点から、ポリエステルを構成するカルボン酸成分全体のモル数に対して、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
また、ポリエステルにおける、分子主鎖中の酸基/分子鎖末端の酸基で表されるモル比は、同様の観点から、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、2モル%以下がさらに好ましい。
ポリエステルの分子主鎖中の酸基及び分子鎖末端の酸基の量は、ポリエステルの原料酸及び原料アルコールの構造と仕込み比率、ポリエステルの数平均分子量、及び酸価の測定から計算できる。また、核磁気共鳴分光法(NMR)や光電子分光法(XPS,ESCA等)等の分析手法を酸価の測定と組み合わせて求めることもできる。
ポリエステルの酸価は、乳化粒子を安定にし、かつ小粒径のトナーをシャープな粒度分布で得る観点から、例えば、1〜50mgKOH/gが好ましく、5〜48mgKOH/gがより好ましく、10〜45mgKOH/gがさらに好ましく、15〜40mgKOH/gがさらに好ましい。
トナーの保存性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。ポリエステルが非晶質ポリエステルである場合、ガラス転移点は50〜85℃が好ましい。軟化点、ガラス転移点及び酸価は、縮重合の温度、反応時間等により調整することができる。
ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び帯電性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000がさらに好ましい。ポリエステルの数平均分子量は、ポリスチレンを標準試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる。
なお、結着樹脂が2種以上の樹脂からなる場合は、各樹脂の重量分率と物性との積を総和して算出される平均値を、結着樹脂全体としての物性とする。例えば、軟化点の場合は、各樹脂の重量分率と軟化点との積を総和して算出される平均値を、結着樹脂全体としての軟化点とする。
さらに、本発明により得られるトナーには、着色剤、離型剤、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。
着色剤の配合量は、結着樹脂100重量部に対して、3〜25重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンラックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点は、耐ブロッキング性及び結着樹脂の低温定着性への影響を考慮すると、50〜120℃が好ましく、結着樹脂の融点以下であることがより好ましい。離型剤の配合量は、低温オフセットへの効果、帯電性への影響、及びトナー樹脂のキャリアへのスペント等の影響を考慮すると、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。
本発明においては、以下に説明する工程(A)〜(C)を含む方法により、電子写真用トナーを製造する。
工程(A)は、グリコールエーテルとHLBが12以上の非イオン性界面活性剤とが存在する条件下、水系媒体中でポリエステルを含む結着樹脂を含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程であり、前記のグリコールエーテルと非イオン性界面活性剤との併用により、結着樹脂を安定に乳化させることができる。これは、グリコールエーテルがポリエステルの粘度を低下させる剤として、非イオン性界面活性剤がポリエステルを安定に分散させる剤として作用し、ポリエステルをより効率よく乳化されるためと推定される。
グリコールエーテルは、式(II):
R−O−(AO)n−H (II)
(式中、Rは炭素数1〜8の脂肪族又は炭素数6〜8の芳香族炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜4の数を示す)
で表される化合物が好ましい。
R−O−(AO)n−H (II)
(式中、Rは炭素数1〜8の脂肪族又は炭素数6〜8の芳香族炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜4の数を示す)
で表される化合物が好ましい。
式中、Rで示される脂肪族炭化水素基の炭素数は2〜8が好ましく、4〜7がより好ましい。また、Rで示される芳香族炭化水素基の炭素数は7〜8が好ましい。また、AOはオキシエチレン基が好ましく、AOの平均付加モル数を示すnは、ポリエステルの粘度を低下させる観点から、2〜4が好ましい。
式(II)で表されるグリコールエーテルの具体的としては、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、イソプロピルグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、アリルグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコールなどが挙げられる。グリコールエーテルは2種以上を用いてもよいが、1種のみを用いることが好ましい。また、トナーの洗浄性の観点から、一般式(II)においてnが0の化合物、すなわちオキシアルキレン基が含まれないアルコールは使用しないことが好ましい。
工程(A)におけるグリコールエーテルの使用量は、製造安定性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましく、1〜10重量部がさらに好ましい。
非イオン性界面活性剤のHLBは、結着樹脂の微粒化・分散と最終的に得られるトナーの保存性の観点から、12以上であり、好ましくは12〜20、より好ましくは13〜20、さらに好ましくは14〜20である。ここで、HLBとは、界面活性剤の分子が有する、親水性と親油性の相対的なバランスを示す指標である。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体等が挙げられ、これらのなかでも乳化安定性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキル鎖長は、結着樹脂の微粒化のしやすさの観点から、炭素数6〜18が好ましく、炭素数6〜14がより好ましく、炭素数6〜12がさらに好ましい。また、オキシアルキレン基としてはオキシエチレン基が好ましく、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、結着樹脂の微粒化のしやすさの観点から、8〜50モルが好ましく、8〜30モルがより好ましく、8〜25モルがさらに好ましい。
工程(A)における非イオン性界面活性剤の使用量は、乳化安定性及び樹脂微粒子分散体の製造性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましく、1〜10重量部がさらに好ましい。
工程(A)におけるグリコールエーテルと非イオン性界面活性剤との総使用量は、結着樹脂100重量部に対して、2〜40重量部が好ましく、2〜20重量部がより好ましい。
本発明において、工程(A)は、ポリエステルの分散性を高める観点から、前記のグリコールエーテル及び非イオン性界面活性剤に加えて、さらにアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が存在する条件下で行うことが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩等が挙げられ、これらの中では乳化安定性の観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩のアルキル鎖長は、結着樹脂の微粒化のしやすさの観点から、炭素数10〜14が好ましく、炭素数11〜13がより好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
本発明に用いられるイオン性界面活性剤は、乳化安定性の観点から、アニオン性界面活性剤が好ましい。
工程(A)におけるイオン性界面活性剤の使用量は、乳化安定性及び樹脂微粒子分散体製造性の観点から、非イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤との総使用量が、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部となるように調整することが望ましい。
工程(A)は、具体的に、
工程(A1):結着樹脂、グリコールエーテル及びHLBが12以上の非イオン性界面活性剤を混合する工程、及び
工程(A2):工程(A1)で得られた混合物を水系媒体と混合することにより、樹脂含有微粒子を生成させる工程
を含むことが好ましい。前記イオン性界面活性剤は、工程(A1)において、結着樹脂、グリコールエーテル等を混合する際に、非イオン性界面活性剤とともに併用することが好ましい。
工程(A1):結着樹脂、グリコールエーテル及びHLBが12以上の非イオン性界面活性剤を混合する工程、及び
工程(A2):工程(A1)で得られた混合物を水系媒体と混合することにより、樹脂含有微粒子を生成させる工程
を含むことが好ましい。前記イオン性界面活性剤は、工程(A1)において、結着樹脂、グリコールエーテル等を混合する際に、非イオン性界面活性剤とともに併用することが好ましい。
工程(A1)において、結着樹脂、グリコールエーテル等を混合する際の温度は、均一混合を行う観点から、80〜170℃が好ましく、90〜160℃がより好ましく、90〜150℃がさらに好ましい。
混合方法は特に限定されず、ヘンシェルミキサー、ニーダー、カイ型等の攪拌機を用いることができる。
グリコールエーテルと非イオン性界面活性剤を混合する順序は特に限定されず、両者を同時に、結着樹脂に添加してもよく、予めグリコールエーテルを添加して結着樹脂を可塑化した後、非イオン性界面活性剤を添加してもよい。
結着樹脂、グリコールエーテル、非イオン性界面活性剤等は、そのまま混合してもよいが、少量の水等の溶媒の存在下に均一に混合した後、溶媒を除去して均一な混合物としてもよい。
工程(A2)において、工程(A1)で得られた混合物から樹脂含有微粒子を生成させるために用いる水系媒体は、脱イオン水又は蒸留水であることが好ましく、有機溶剤等の溶剤、アルカリ金属塩等の無機塩を含有していてもよいが、水を好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上含有するものであり、本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いても結着樹脂を微粒化させることができる。
水系媒体の使用量は、均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100重量部以上が好ましく200〜400重量部がより好ましい。
水系媒体を添加する時の系内の温度は、結着樹脂を効率的に分散させるために、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。
工程(A1)で得られた混合物と水系媒体を混合する方法は特に限定されないが、均一に攪拌した混合物に水系媒体を添加する態様が好ましい。水系媒体を添加する速度は、均一な樹脂含有微粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/minが好ましく、0.5〜40g/minがより好ましく、1〜30g/minがさらに好ましい。なお、この際、非イオン性界面活性剤に相溶した結着樹脂が水と分離しないように留意することが好ましい。
なお、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂を全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水を添加してもよい。中和により、樹脂の自己乳化性が向上し、微細で均一な一次粒子を得ることができる。
樹脂含有微粒子を生成させる系内の固形分濃度は、分散液の安定性と凝集工程での分散液取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、7〜40重量%がより好ましく、10〜30重量%がさらに好ましい。なお、固形分には、結着樹脂、着色剤、グリコールエーテル、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等の不揮発性成分が含まれる。
樹脂含有微粒子の体積中位粒径(D50)は、目的とするトナーの粒径に応じて適宜選択することができるが、0.05〜2μmであり、好ましくは0.05〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.5μmである。樹脂含有微粒子の粒径は、攪拌力、水の添加速度等により、また、グリコールエーテル、非イオン性界面活性剤やイオン性界面活性剤の添加量によって制御することができる。樹脂含有微粒子の体積中位粒径(D50)は、例えば、堀場製作所製の「LA-920」等のレーザー回折型粒径測定機により測定することができる。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
着色剤、離型剤、荷電制御剤等の添加剤は、工程(A)で結着樹脂と混合しても、続く工程(B)で樹脂含有微粒子を凝集させる際に混合してもよい。工程(A)において、これらの添加剤は、そのまま結着樹脂と混合して樹脂含有微粒子に含有させてもよく、予め結着樹脂の一部と混合して調製したマスターバッチの状態で樹脂含有微粒子に含有させてもよい。
工程(B)は、工程(A)で得られた樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程である。
凝集を効果的に行うために、凝集剤を添加してもよい。凝集剤としては、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等が、無機系では、無機金属塩、2価以上の金属錯体等が、それぞれ挙げられる。無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。これらのなかでも、3価のアルミニウム塩及びその重合体は凝集能力が高く、添加量が少なくても簡便に製造できるため好ましい。また、帯電特性制御の観点からは、金属錯体及び4級塩のカチオン性界面活性剤が好ましい。
凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、40重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には混合液を十分に攪拌することが好ましい。
工程(B)における系内の固形分濃度は、必要に応じて結着樹脂の分散液に水を添加して調整することができ、均一な凝集を起こさせるためには、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。
また、工程(B)における系内のpHは、混合液の分散安定性と、結着樹脂及び着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
同様な観点から、工程(B)における系内の温度は、結着樹脂の軟化点-80℃以上、軟化点-10℃以下が好ましく、軟化点-50℃以上、軟化点-10℃以下がより好ましい。
工程(C)は、工程(B)で得られた凝集粒子を合一させて電子写真用トナーを得る工程である。
工程(B)で得られた凝集粒子は、加熱することで合一させることができる。凝集粒子を合一させる際の加熱温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点-50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点-40℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましい。また、凝集粒子が沈降しない速度で系内を攪拌することが好ましい。
工程(C)で得られた合一粒子を、さらに、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程を供することにより、トナーを分取することができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、添加したグリコールエーテル、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、金属イオン等を洗浄により除去することが好ましく、かかる観点から、非イオン性界面活性剤の曇点以下の温度の水系溶液を洗浄液として用いることが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の乾燥手段を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明により、高精細、高画質に適した、球形で小粒径かつ粒度分布が狭い電子写真用トナーを得ることができる。
高画質化と生産性の観点から、トナーの体積中位粒径(D50)は1〜7μmが好ましく、2〜7μmがより好ましく、3〜6μmがさらに好ましい。トナーの粒径は、例えば、堀場製作所製の「LA-920」等を用いて、レーザー回折型粒径測定機により測定することができる。また、トナーの保存性の観点から、トナーのガラス転移点は、50〜80℃が好ましく、55℃〜70℃が好ましい。
さらに、本発明により得られた電子写真用トナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー粒子表面に添加してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔樹脂の軟化点及びガラス転移点〕
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
3.樹脂の数平均分子量
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、テトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
溶解液として、テトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、テトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
溶解液として、テトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO-8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
〔樹脂含有微粒子及びトナーの体積中位粒径(D50)〕
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA-920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を25℃にて測定する。
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機(堀場製作所製、LA-920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を25℃にて測定する。
〔トナーの水分含量〕
赤外線水分計(ケット科学研究所製、FD-230)により測定した。
赤外線水分計(ケット科学研究所製、FD-230)により測定した。
〔界面活性剤のHLB〕
GriffinによるHLB値の算出法を用いて測定する。
GriffinによるHLB値の算出法を用いて測定する。
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、さらに減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g及びハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、さらに減圧下で反応させて、ポリエステル(樹脂A)を得た。得られたポリエステルを冷却し、開口径5.6mmの篩いを通過するまで粉砕して、樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
ポリオキシプロピレン(2.2モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、さらに減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g及びハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、さらに減圧下で反応させて、ポリエステル(樹脂A)を得た。得られたポリエステルを冷却し、開口径5.6mmの篩いを通過するまで粉砕して、樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
樹脂製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36-86に準拠して測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル(樹脂B)を得た。得られたポリエステルを冷却し、開口径5.6mmの篩いを通過するまで粉砕して、樹脂Bを得た。樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3394であった。
ポリオキシプロピレン(2.2モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0モル付加)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36-86に準拠して測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル(樹脂B)を得た。得られたポリエステルを冷却し、開口径5.6mmの篩いを通過するまで粉砕して、樹脂Bを得た。樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃、酸価は18.5mgKOH/g、数平均分子量は3394であった。
マスターバッチの製造例1
樹脂B70重量部と、顔料分が30重量部になる分量の銅フタロシアニン顔料「ECB-301」(大日精化社製)の水性スラリー(固形(顔料)分:46.2重量%)を、ヘンシェルミキサーに仕込み、5分間混合し湿潤させた。次に、この混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃で樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら90〜110℃で20分間混練を続けた。
樹脂B70重量部と、顔料分が30重量部になる分量の銅フタロシアニン顔料「ECB-301」(大日精化社製)の水性スラリー(固形(顔料)分:46.2重量%)を、ヘンシェルミキサーに仕込み、5分間混合し湿潤させた。次に、この混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃で樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら90〜110℃で20分間混練を続けた。
120℃で混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させて、さらに120〜130℃で10分間混練を続けた。冷却後、加熱三本ロールにより混練し、冷却後、開口径5.6mmの篩いを通過するまで粉砕して、銅フタロシアニン顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチA)を得た。これをスライドガラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
実施例1
300ml容の三つ口セパラブルフラスコに、樹脂A 32.5g、樹脂B 11.7g及びマスターバッチA8.3gからなる混合物と、表1に示すグリコールエーテル、非イオン性界面活性剤とを仕込み、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、150℃で溶融させた。
300ml容の三つ口セパラブルフラスコに、樹脂A 32.5g、樹脂B 11.7g及びマスターバッチA8.3gからなる混合物と、表1に示すグリコールエーテル、非イオン性界面活性剤とを仕込み、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、150℃で溶融させた。
なお、本実施例では、結着樹脂として樹脂A及び樹脂Bの2種の樹脂を使用しており、樹脂Aの使用量は32.5g(結着樹脂中65重量%)、樹脂Bの使用量は、11.7g+8.3×0.7=17.5g(結着樹脂中35重量%)である。従って、これらの樹脂の重量分率と軟化点の積の和は110×0.65+121×0.35=113.85℃となり、結着樹脂全体としての軟化点は114℃とする。なお、樹脂A、樹脂B及びマスターバッチAからなる前記混合物の軟化点を測定したところ、114.1℃となり、求められた計算値ともほとんど差がなかった。
次に、内容物を95℃に降温し、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)23gを滴下した。続いて、95℃でカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、計122gの脱イオン水を5g/minの速度で滴下し、樹脂含有微粒子の分散液を得た。最後に、室温まで冷却し200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した樹脂微粒子の分散液を得た。金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
得られた樹脂含有微粒子の分散液の樹脂固形分濃度を20重量%に調整したものを100g採取し、300ml容の三つ口セパラブルフラスコで室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、この混合物に凝集剤として5%硫酸ナトリウム水溶液23.4gを添加し室温で10分攪拌した。その後、混合分散液を室温から75℃まで、0.1〜1℃/minの昇温速度で昇温し、凝集粒子を形成させ、さらに75℃で4時間保持し、凝集粒子を合一させた(体積中位粒径(D50):5.4μm)。溶液中のpHは7.8であった。
室温まで徐冷後、#2の濾紙を用いて吸引濾過を行った。濾紙上の粒子を2リットル容のポリ瓶に移し、続いて該粒子の表面が十分に湿るように1リットルのイオン交換水を添加し20分間室温で超音波洗浄を行い、#2の濾紙を用いて吸引濾過を行った。上記のイオン交換水添加、超音波洗浄、吸引濾過の操作を5回繰り返し、最終的に濾紙上の粒子を減圧乾燥機にて40℃、160mmHg下、24時間乾燥させ、着色微粒子粉末を得た。さらに、55℃下で1回、60℃下で1回、同様の操作で洗浄し乾燥させ、着色微粒子粉末(トナー)を得た。水分含量は0.98重量%であった。このように作製したトナー粒子のガラス転移点は56℃であった。50℃の恒温槽に48時間保存した結果、トナー物性としての保存性も良好であった。
実施例2〜7
表1に示すグリコールエーテル及び非イオン性界面活性剤、実施例6及び7ではさらにアニオン性界面活性剤を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂含有微粒子の分散液を調製した。
表1に示すグリコールエーテル及び非イオン性界面活性剤、実施例6及び7ではさらにアニオン性界面活性剤を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂含有微粒子の分散液を調製した。
得られた樹脂含有微粒子の分散液を用いて、実施例1と同様に、良好な保存性を有するトナーを製造することができる。
比較例1
グリコールエーテル、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の代わりに水7.5gを使用した以外は実施例1と同様にして樹脂微粒子の分散液の調製を試みた。しかしながら、グリコールエーテル及び界面活性剤の代わりに使用した水の添加及び水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)の添加により攪拌が困難となり、樹脂微粒子の分散液の調製をすることができなくなったため、操作を中止した。
グリコールエーテル、非イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の代わりに水7.5gを使用した以外は実施例1と同様にして樹脂微粒子の分散液の調製を試みた。しかしながら、グリコールエーテル及び界面活性剤の代わりに使用した水の添加及び水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)の添加により攪拌が困難となり、樹脂微粒子の分散液の調製をすることができなくなったため、操作を中止した。
以上の結果より、実施例の方法により、樹脂含有微粒子を凝集、合一させることにより、トナーとしての保存性を満足する粒子を調製できることが分かる。特に、実施例1と実施例7との対比より、同じグリコールエーテルと非イオン性界面活性剤を使用していても、さらにイオン性界面活性剤を併用することにより、ポリエステルの分散性が高まり、より微細な樹脂含有微粒子が形成されることが分かる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (4)
- ポリエステルを含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーの製造方法であって、工程(A)〜(C):
(A) グリコールエーテルとHLBが12以上の非イオン性界面活性剤とが存在する条件下、水系媒体中で結着樹脂を含有する体積中位粒径(D50)が0.05〜2μmの樹脂含有微粒子を生成させる工程、
(B) 該樹脂含有微粒子を凝集させ、凝集粒子を生成させる工程、及び
(C) 該凝集粒子を合一させる工程
を含む電子写真用トナーの製造方法。 - グリコールエーテルが、式(II):
R−O−(AO)n−H (II)
(式中、Rは炭素数1〜8の脂肪族又は炭素数6〜8の芳香族炭化水素基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜4の数を示す)
で表される化合物である請求項1記載の製造方法。 - 工程(A)におけるグリコールエーテルと非イオン性界面活性剤との総使用量が、結着樹脂100重量部に対して2〜40重量部である、請求項1又は2記載の製造方法。
- 工程(A)を、さらにイオン性界面活性剤が存在する条件下で行う請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
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JP2006066252A JP2007241098A (ja) | 2006-03-10 | 2006-03-10 | 電子写真用トナーの製造方法 |
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Cited By (2)
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WO2008099654A1 (ja) * | 2007-02-13 | 2008-08-21 | Kao Corporation | 樹脂乳化液の製造方法 |
JP2015111228A (ja) * | 2013-11-07 | 2015-06-18 | 三洋化成工業株式会社 | トナーバインダー及びトナー組成物 |
-
2006
- 2006-03-10 JP JP2006066252A patent/JP2007241098A/ja active Pending
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