JP2015101794A - 複合材料成型体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複合材料成型体を得るための取扱い性に優れ、短時間の成形でも十分な機械的特性を発揮し、高低差のある部位を有していても成形することのできる、複合材料成型体を得るために最適な複合糸条を用いた布帛を用いた複合材料成型体の製造方法を提供すること。【解決手段】布帛を成形する工程を含み、前記布帛が連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を含む、複合材料成型体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は複合材料成型体の製造方法に関する。
各種機械や自動車等の構造部品や圧力容器及び管状の構造物等に使用される複合材料成型体の強化材としてプリフォームが用いられている。
複合材料成型体の中間材料の一つであるプリフォームとして、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を用いた布帛が挙げられる。複合糸条を、単独又は他の繊維とともに編織して編物や織物にしたり、ランダムに積層し、ウェッブ作成後、エンボスロールを用いた熱融着やニードルパンチを用いた交絡によって一体化された不織布にしたりすることで得られる布帛を、中間材料として用いる。得られた布帛状のプリフォームに圧縮加熱や内圧加熱を施して、布帛に含まれる複合糸条中の熱可塑性樹脂繊維を溶融させ、成形することによって複合材料成型体が得られる。また、得られたプリフォームに熱硬化性樹脂を含浸した後、加圧加熱することによって複合材料成型体を得ることもできる。
プリフォーム及び複合材料成型体を得る際、連続強化繊維が損傷を受け難いよう、複合糸条は取扱い性に優れることが重要となっており、そのためには、複合糸条中で均一に分散、混合させること、及び、その状態をプリフォーム作成工程や複合材料成型体を得る工程で維持することが重要である。また、複合材料成型体を得る際、短時間の成形によって十分な力学特性を発揮するには、布帛に含まれる複合糸条において、連続強化繊維が損傷を受けていないことと、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が均一に分散、混合していることとの双方が達成できることが大変重要である。
連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維とを均一に分散、混合する方法として、特許文献1には混繊糸にガス(空気)を衝突させて混合する方法が、特許文献2には捲縮性を有する熱可塑性樹脂繊維束と強化繊維とをタスラン混繊する方法が、特許文献3にはそれぞれの繊維束中への集束剤付与量を特定する方法が、そして、特許文献4には電気開繊法及びインターレース法で混繊させる方法が開示されている。
また、特許文献5及び6には単繊維切れの発生を抑制するために繊維束を液体中で混繊する方法が、特許文献7にはたわませた繊維束に吸引空気流を作用させ幅広く開繊させた後に当該繊維束を合わせることにより混繊させる方法が開示されている。
特許文献8には、繊維強化複合材料を用いて、板状に固化した部材を金型に入れる前にプレヒートして軟化した状態で金型内に設置した後にその後プレスして冷却固化することにより成形体を得る方法が開示されている。
特開昭60−209034号公報 特開平2−308824号公報 特開平3−33237号公報 特開平7−109640号公報 特開平2−28219号公報 特開平4−73227号公報 特開平9−324331号公報 国際公開第2012/117593号
しかしながら、特許文献1〜7のいずれの方法によっても、布帛に含まれる複合糸条において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が均一に分散、混合していることと、連続強化繊維が損傷を受けていないことと、の双方が十分に達成できておらず、また、複合糸条の取扱い性も十分なものではなかった。
具体的には、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を分散、混合させる、特許文献1〜4に開示される何れの方法においても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を均一に混繊することは難しく、また、十分な開繊状態、混繊状態を得ようとすると連続強化繊維の単糸切れが発生しやすく、連続強化繊維本来の力学特性を得られなくなる問題があった。そして、単糸切れを防止しようとすると、十分な混繊状態が得られず、複合材料の取扱い性として、複合糸条から布帛を作成する際の工程性が良好で、該工程で連続強化繊維が損傷し難いことが求められるものの、取扱性に劣る、すなわち、短時間の成形で複合材料成型体とした場合に空隙が発生する等により、十分な力学特性を得ることができず、十分な力学特性を得るためには、10分以上の長時間の成形を行う必要があるという問題があった。
また、特許文献4には、マトリックス繊維と強化繊維が単繊維レベルの混合状態にあり、マトリックス繊維が強化繊維間隙に均一に分散していることが肝要であり、かかる混合状態を達成する好ましい混繊方法として、所謂タスラン法、電気開繊法、インターレース法等が例示されている。しかしながら、かかる混合状態を達成するために強化繊維及びマトリックス繊維に要求される特性としては、わずかに、繊度と単糸繊度が記載されているのみで、その他の特性及び該特性の適正な範囲については一切記載されておらず、前記混繊方法を用いても、必ずしも、均一に分散した混合状態が達成できるとは保障され得ないという問題があった。
特許文献5及び6に開示される、液体中で混繊する方法は、液体を除去するという余分な工程を要する問題があり、特許文献7に開示される、幅広く開繊させた繊維束を合わせることにより混繊させる方法では、開繊繊維束を合わせただけでは、合わせ部分では均一な混繊が得られるものの全体的には十分な混繊状態を得ることはできない。
さらに、特許文献8に開示される技術では、板状に固化した部材が金型成形に用いられているため、プレヒートして軟化させているとはいえ、複合材料成型体の形状に対する自由度が低いものである。また、複合材料成型体において高低差がある場合には、強化繊維切れが発生するという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、複合材料成型体を得るための取扱い性に優れ、短時間の成形でも十分な機械的特性を発揮し、高低差のある部位を有していても成形することのできる、複合材料成型体を得るために最適な複合糸条を用いた布帛を用いた複合材料成型体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の特性を有する連続強化繊維と特定の特性を有する連続熱可塑性樹脂繊維を組み合わせて混繊することによって、極めて取扱い性に優れ、均一に両繊維が混じり合っている複合糸条が得られ、該複合糸条を用いることにより、短時間の成形で優れた力学特性を有する複合材料成型体となる布帛を用いることで、高低差のある部位を有していても複合材料成型体を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)
布帛を成形する工程を含み、
前記布帛が連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を含む、
複合材料成型体の製造方法。
(2)
前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率の差が0.5〜20%である、(1)に記載の製造方法。
(3)
前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜2.5%である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)
前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率が0.5〜20%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)
単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cm3である、(1)〜(4)のいずれかに記載の複合糸条。
(6)
連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力が連続強化繊維の引張り破断強力の50〜100%である、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)
連続強化繊維の単糸に連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度が9MPa以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)
連続強化繊維の単糸に連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度が9〜100MPaである、(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)
連続強化繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法。
(10)
単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の積RDの比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜5である、(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)
連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)の比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜2である、(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)
連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の総繊度が100〜20,000dtexである、(1)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)
連続熱可塑性樹脂繊維がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維である、(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)
連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が流体交絡法で混繊された、(1)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(15)
連続熱可塑性樹脂繊維が単独で、熱加工を含む工程で加工された後、同一の装置で連続して、熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維が引き揃えられて流体交絡ノズルに供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された、(14)に記載の製造方法。
(16)
連続強化繊維が単独で又は連続強化繊維と熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維が引き揃えられて、流体交絡ノズルの導入穴面に実質的に垂直に供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された、(14)に記載の製造方法。
(17)
前記複合糸条が前記布帛を構成する繊維の50質量%以上である、(1)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)
前記布帛が経糸と緯糸から構成される織物である、(1)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)
前記複合糸条が前記経糸を構成する繊維の50質量%以上である、(18)に記載の製造方法。
(20)
前記経糸と前記緯糸との繊維−繊維間静止摩擦係数が0.2〜3.0である、(18)又は(19)に記載の製造方法。
(21)
前記布帛が平織物または斜文織物である、(18)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
(22)
前記布帛がすだれ織物である、(18)〜(20)のいずれかに記載の製造方法。
(23)
前記複合糸条が前記緯糸を構成する繊維の50質量%以上である、(18)〜(22)のいずれかに記載の製造方法。
(24)
前記複合糸が前記経糸を構成する繊維の70質量%以上である、(23)に記載の製造方法。
(25)
経糸密度/緯糸密度の比が2〜10である、(23)又は(24)に記載の製造方法。
(26)
(1)〜(25)のいずれかに記載の製造方法により得られる複合材料成型体。
本発明によれば、連続強化繊維に損傷を与えることなく連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混じり合い、布帛を得るための取扱い性に優れる複合糸条が得られ、該複合糸条を用いることで、短時間成形でも十分な力学特性を発揮する複合材料成型体となる布帛を用いることで、高低差のある部位を有していても複合材料成型体を製造することができる。
流体交絡装置の一例を示す概略側面図である。 図1に示した流体交絡装置中の流体交絡ノズルへの引き揃え糸条の供給状態の一例(製造例1、2で使用)を示す概略図である。 図1に示した流体交絡装置中の流体交絡ノズルへの引き揃え糸条の供給状態の別の一例(製造例19で使用)を示す概略図である。 経糸と緯糸間の静止摩擦係数(μs)の測定装置の概略図である。 実施例と比較例で得られた複合材料成型体を示す。矢印により示される高低差は実施例では3.5mmであり、比較例では2.5mmである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細説明する。本発明は、以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態の複合材料成型体の製造方法は、布帛を成形する工程を含み、布帛が連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を含む、製造方法である。
本実施形態の複合材料成型体の製造方法においては、布帛を用いることにより、所望の複合材料成型体の形状に対応して、布帛をセットして成形することが容易であり、複合材料成型体において高低差がある場合でも、形状自由度を高く成形することができる方法である。
本実施形態において用いられる布帛は、複合糸条を含む布帛であって、複合糸条が、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条である。
本実施形態において用いる布帛は、複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率の差が0.5〜20%であることが好ましい。
沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、捲縮率の差が0.5〜20%であれば、複合糸条を製織、製編等によって布帛とした複合材料成型体用の中間材料を染色する際、また、複合材料成型体用の中間材料である布帛を圧縮成形するために連続熱可塑性樹脂繊維を溶融状態とする際、加熱を含む工程を行っても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離することがなく、混繊で得られた連続した均一な混合状態を維持することが可能である。さらに、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の両繊維の分離に伴い、連続強化繊維が屈曲し、機械的物性が低下することを抑制することが可能となる。
両繊維の分離の抑制及び混繊による連続した均一な混合の観点から、沸水収縮率の差は、より好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0〜5%、よりさらに好ましくは0〜2.5%である。両繊維の分離の抑制及び混繊による連続した均一な混合の観点から、捲縮率の差は、より好ましくは2〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。
沸水収縮率の差を所定の範囲とするには、市販の連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維から適宜選択して混繊した複合糸条とすればよいが、一般に沸水収縮率が小さい連続強化繊維に適合するよう、連続熱可塑性樹脂繊維に熱加工を含む工程を行って沸水収縮率を制御することが好ましい。熱加工を含む工程は、連続熱可塑性樹脂繊維の紡糸−延伸工程において行っても、紡糸−延伸後に巻き取った状態で行っても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の混繊の前工程で行ってもよい。混繊の前工程で熱加工を含む工程を行う場合は、仮撚加工工程と同時に行ってもよい。連続強化繊維の種類に応じて効率的に熱加工が可能な混繊の前工程で、単独又は仮撚加工と同時に熱加工を含む工程を行うことが好ましい。
熱加工温度は、好ましくは連続熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度(Tg)以上融点以下、より好ましくは(Tg+15℃)以上融点以下、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上(融点−10℃)以下である。熱加工時間は熱加工方法、熱加工温度に応じ、目的とする沸水収縮率となるよう適宜設定すればよいが、10秒〜60分が好ましい。
捲縮率の差を所定の範囲とするには、連続強化繊維には捲縮を与えず、連続熱可塑性樹脂繊維には捲縮を付与することが好ましい。
捲縮を付与するには、公知の方法が利用でき、例えば、異形断面、紡糸時の偏冷却、サイドバイサイド型複合紡糸、偏芯シースコア型複合紡糸、機械捲縮を付与する方法等が挙げられる。汎用性の観点から機械捲縮を付与する方法が好ましく、この場合の捲縮付与方法としては、例えば、仮撚加工法、ニットデニット法、エアースタッフィングボックス法、スチームスタッフィングボックス法等が挙げられる。仮撚加工から連続して混繊を行うこともでき、また仮撚加工機のヒーター部を利用して、収縮を押えるための熱付与を施し、次いで連続して混繊してもよい。仮撚加工機の場合、1ヒーター方式でも2ヒーター方式でもいずれでも構わない。なお、仮撚加工機を用いる場合には、仮撚ヒーター温度は、好ましくは(Tg+15℃)以上融点以下、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上(融点−10℃)以下であり、2ヒーターとする場合には、第一ヒーター温度を上記温度範囲とし、第二ヒーター温度は第一ヒーター温度に対して、−30℃〜+50℃の範囲とすることが好ましい。
本実施形態において、複合糸条から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率(本段落において、「沸水収縮率」という。)が0〜10%であり、かつ、複合糸条から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率(本段落において、「捲縮率」という。)が0.5〜20%であることが好ましい。
沸水収縮率が0〜10%であれば、布帛に加熱を含む工程を行っても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離することを抑制できる。
捲縮率が0.5〜20%であれば、連続熱可塑性樹脂繊維同志及び/又は連続熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維との接触が少なくなり、繊維間の見掛けの摩擦力が低下し、開繊、混繊し易い状態となるため、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混合し易くなる。さらに、連続熱可塑性樹脂繊維が捲縮を有しているために、複合糸条中で連続熱可塑性樹脂繊維が収縮しても、連続強化繊維と分離し難くなる効果も有する。
加熱を含む工程における複合糸条の寸法安定性の観点から、沸水収縮率は、より好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0〜5%、よりさらに好ましくは0〜2.5%である。捲縮によるクッション性により、複合糸条中の連続強化繊維の損傷を抑制する観点から、捲縮率は、より好ましくは2〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。
連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RDは、好ましくは5〜100μm・g/cm、より好ましくは10〜50μm・g/cm、さらに好ましくは15〜45μm・g/cm、よりさらに好ましくは20〜45μm・g/cmである。
連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cmであれば、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の両繊維を混繊する際に、連続強化繊維に損傷を与えることなく、連続強化繊維が開繊し易くなり、両繊維が連続して均一に混じり合うことが可能である。
連続強化繊維の積RDが5μm・g/cm以上であれば、混繊時に連続強化繊維が損傷を受けにくく、混繊の加工工程性に優れ、布帛より得られる複合材料成型体が十分な力学特性を発揮する。
連続強化繊維の積RDが100μm・g/cm以下であれば、連続強化繊維が開繊しやすく、両繊維が連続して均一に混じり合いやすい。そのため、短時間の成形で、十分な力学特性を発揮した複合材料成型体が得られる。
連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cmであれば、両繊維を混繊する際に、連続強化繊維に損傷を与えることなく、連続強化繊維が開繊し易くなり、両繊維が連続して均一に混じり合うことが可能である理由は必ずしも明確ではないが、以下の理由によると推量される。すなわち、連続強化繊維に混繊するための外力が作用した際、単糸1本には周径、つまり、単糸径に比例した外力が加わると推察される。一方、単糸1本当たりの単位長さあたりの慣性質量は単糸径の自乗と密度の積に比例する。運動方程式によれば、単糸に発生する加速度は外力を慣性質量で除した値に比例するため、混繊時の連続強化繊維の単糸に発生する加速度は単糸径と密度の積RDに反比例すると推量される。従って、積RDが一定範囲より過小になると、加速度が過大となるために、連続強化繊維が損傷を受けやすくなると推量される。一方、積RDが一定範囲より過大になると、加速度が過小となるために、連続強化繊維が開繊し難くなると推量される。
本実施形態において、連続強化繊維の密度はカタログ値を用い、単糸径R(μm)は連続強化繊維の繊度T(dtex)、単糸数F(本)、密度D(g/cm)を用い、下記式(1)で算出する。
R=20×(T/π・F・D)0.5 (1)
連続強化繊維の積RDを所定の範囲とするには、市販で入手可能な連続強化繊維について、連続強化繊維の有する密度に応じて、繊度T(dtex)及び単糸数F(本)を適宜選択すればよい。例えば、連続強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、密度が約2.5g/cmであるから、単糸径が2〜40μmのものを選べばよい。具体的には、ガラス繊維の単糸径が9μmである場合、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、23となる。また、ガラス繊維の単糸径が17μmである場合、繊度11,500dtexで単糸数2,000本のガラス繊維を選択することにより、積RDは、43となる。連続強化繊維として炭素繊維を用いる場合、密度が約1.8g/cmであるから、単糸径が2.8〜55μmのものを選べばよい。具体的には、炭素繊維の単糸径が7μmである場合、繊度2,000dtexで単糸数3,000本の炭素繊維を選択することにより、積RDは、13となる。連続強化繊維としてアラミド繊維を用いる場合、密度が約1.45g/cmであるから、単糸径が3.4〜68μmのものを選べばよい。具体的には、アラミド繊維の単糸径が12μmである場合、繊度1,670dtexで単糸数1,000本のアラミド繊維を選択することにより、積RDは、17となる。
積RDを好ましい範囲とするには、例えば、ガラス繊維の単糸径が9μmであり、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を用いればよい。
〔布帛の構成〕
本実施形態において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊されてなる複合糸条を布帛を構成する繊維の50質量%以上用いることが好適である。布帛を構成する繊維の50質量%以上が、連続強化繊維と連続熱可塑樹脂繊維が混繊されてなり、かつ、複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率の差が0.5〜20%であることが好適である。また、布帛を構成する繊維の50質量%以上が、連続強化繊維と連続熱可塑樹脂繊維が混繊されてなり、かつ、単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cm3であることが好適である。複合糸条が布帛を構成する繊維において、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のものが用いられる。
上記複合糸条を用いることにより、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混じり合うことが可能であり、布帛化する編織等の工程における取扱い性に優れ、得られた布帛は短時間成形でも、十分な力学特性を発揮する複合材料成型体となすことが可能である。
布帛の形態としては、公知のものを用いることができ、特に限定されないが、例えば、複合糸条を単独又は他の繊維とともに編織した編物や織物が例示され、また、連続したままの複合糸条及び/又は切断した複合糸条を単独又は他の繊維とともにランダムに積層し、ウェッブ作成後、エンボスロールを用いた熱融着やニードルパンチを用いた交絡によって一体化された不織布等が例示される。布帛中の複合糸条の直線性を高くでき、布帛の見掛け密度を高くできることによって、優れた機械的特性の複合材料成型体が短時間成形で得られ易いため、経糸と緯糸から構成される織物が好ましい。
〔織物〕
織物は経糸と緯糸から構成される。経糸を構成する繊維の50質量%以上に前記複合糸条を用いることが好ましい。複合糸条は好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%用いられる。強度、剛性等の機械的特性を高い水準で満足させる観点から、経糸を構成する繊維の50質量%以上が複合糸条であることが好ましい。
織物に用いられる経糸の種類としては、例えば、(イ)連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条のみからなるストランド、(ロ)連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条と複合糸条以外の繊維とを交撚又は引き揃えしたストランド、(ハ)連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条以外の繊維からなるストランド、等が挙げられる。ストランドとは、複合糸条の束を無撚あるいは100回/m以下の軽い撚りをかけた糸条であり、繊維の直線性を高くする観点からストランドを用いることが好ましく、より好ましくは撚り回数が50回/m以下、特に好ましくは30回/m以下のストランドを用いることが望ましい。以後、上記(イ)を「複合糸条ストランド」、(ロ)を「複合糸条からなるストランド」という。
(ロ)の場合には、1本のストランド中に連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条が50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含まれていることが望ましい。
経糸は(イ)、(ロ)から選ばれた少なくとも一種、又は(イ)、(ロ)から選ばれた一種と(ハ)から選ばれた少なくとも一種から構成されていてもよい。いずれの場合も、複合糸条は、織物における全経糸中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%用いられる。複合糸条以外の繊維としては、全経糸中の割合が50質量%未満であれば特に制限はなく、用途及び目的に応じ、公知の繊維を用いることができ、例えば、後述する連続熱可塑性樹脂繊維が挙げられる。特に複合糸条に用いられる連続熱可塑性樹脂繊維と同種の繊維が成形時に熱可塑性樹脂の劣化を抑制でき、好ましい。
織物は経糸と緯糸との繊維−繊維間静止摩擦係数(以下、「μs」と記載する場合がある)が0.2〜3.0であることが好ましく、より好ましくは0.25〜2.5、さらに好ましくは0.3〜2.0である。
μsが0.2以上であることにより、製織時の経糸にかかる張力の変動によって、あるいは、成形時や巻き取り後布帛としての保管時の経糸と緯糸の滑りによる、複合糸条中の連続強化繊維の直線性が損なわれるのを防止することができ、力学特性に優れる複合材料成型体とすることができる。また、μsが3以下であることにより、成形を行う際、織物のせん断変形による成形金型形状に適し、所望の複合材料成型体の形状を得ることができる。
μsは経糸を構成する繊維の組合せ、混繊方法・条件、単糸繊度、総繊度等の組合せによって変化するため、所望のμsが得られるように、これらの条件を調節すればよい。中でも、連続強化繊維の種類とそれに応じた集束剤の種類と付着率の調整により繊維−繊維間静止摩擦係数を調節することが好適である。
織物の組織は特に限定されず、公知の組織を用いることができる。例えば、平織物、斜文織物、朱子織物等の基本組織や基本組織を変化したり混合したりして作る変化組織が例示される。織物中での経糸、緯糸の直線性及び製織効率の観点から平織物、斜文織物及びそれらの変化組織である変化平織物、変化斜文織物が好ましく、経緯糸方向の同等性が高い平織物及び変化平織物がより好ましい。平織物とは、経糸と緯糸が1本ずつ交互に交錯する組織であり、表裏がなく経緯糸方向の同等性が高い組織である。変化平織物としては、平織物の交錯点の上下又は左右に交錯点を添加して表面に畝を現した畦織物、2本以上の経糸が共通連動し、2本以上の緯糸が同一杼口に入る斜子織物等が例示される。斜文織物とは、交錯点が斜めに走る斜文線を有する組織であり、変化斜文織物としては、斜文線が45°以上ある急斜文織物、山形となる山形斜文織物、一定間隔毎に反対方向に斜文線が現れる破れ斜文織物、傾斜角の異なる斜文を組合わせた曲り斜文織物等が例示される。
さらに、織物に厚みを増すために、上記の平織物や斜文織物を複数枚重ねた構造となるように連結糸を経糸あるいは緯糸に用いた構造としてもよく、作業効率を向上させるものである。
平織物、斜文織物においては、経糸及び緯糸を構成するそれぞれの繊維において好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは100質量%を本実施形態における複合糸条とすることにより、複合材料成型体の力学特性を経緯糸方向ともに向上させることができる。また、経緯糸方向の力学特性を同等にする観点から経糸密度/緯糸密度の比は、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.7〜1.5である。さらに、経糸、緯糸を構成する繊維における本実施形態における複合糸条の混合比率を同等とすることが好ましい。
織物の別例としてはすだれ織物が挙げられる。すだれ織物とは、繊維コード、ストランド等よりなる多数本の経糸に対し、その長手方向所要間隔毎につなぎの役割を果たす緯糸を打ち込んで製織したものである。すだれ織物は経糸密度が高いために、経糸方向を重点的に強化された複合材料成型体を得ることが可能となり、一方向補強に適しており好ましい。一方向補強を効率的に行うために、すだれ織物は少なくとも経糸を構成する繊維の70質量%以上が本実施形態における複合糸条であり、経糸密度/緯糸密度の比が2〜20であることが好ましい。より好ましくは経糸を構成する繊維の90質量%以上、さらに好ましくは100質量%が複合糸条である。経糸密度/緯糸密度の比が、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜8である。経糸密度/緯糸密度の比が2〜20であれば、緯糸打ち込みの効率が良く、さらに、経糸と緯糸の滑りが抑制され、経糸の直線性が維持可能である。
緯糸の種類、繊度については、特に制限はなく、用途及び目的に応じて選定することができるが、μsが0.2〜3.0となるよう選定することが好ましい。さらに複合材料成型体に未溶融物や熱可塑性樹脂の分解物等の不純物が混ざることを抑制する観点から、経糸と同種の繊維を用いることが好ましい。
〔連続強化繊維〕
<種類>
本実施形態に用いる連続強化繊維は、通常の繊維強化複合材料として使用されるものを用いることができ、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。機械的物性、熱的物性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましく、価格の観点からガラス繊維がより好ましい。
<形態>
連続強化繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。
<連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力>
本実施形態において、連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力は、連続強化繊維の引張り破断強力の50〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%、さらに好ましくは65〜100%である。エアスプライサーは空気噴射によって、糸端を開繊するとともに、糸端の単糸同士を絡ませることによって、糸端同士を繋ぐ装置である。従って、エアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力が前記範囲であれば、連続強化繊維の空気による開繊、混合が良好であり、損傷が少ないと判断でき、好ましい。
繋ぎ糸条は市販のエアスプライサーを用いて作製する。エアスプライサーとしては、例えば、(株)マシンテックス製ジョイントエアー110型を用いることができる。
連続強化繊維の繊度に応じて、エアスプライサーのチェンバー、チェンバーカバーを適宜選択して取り付け、好ましくは下記条件でエアスプライサー所定の手順で強化繊維を繋ぐ。
供給空気圧力 0.7MPa
空気噴射時間 調整ノブPT150の目盛4
糸はし長さ レギュレーターPT40の目盛4
得られた繋ぎ糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力をJIS L1013に記載の方法で測定する。
連続強化繊維のエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力を前記範囲とするためには、単糸径Rと密度Dの積RDを適切な範囲とするとともに、連続強化繊維の束表面に付着させる集束剤の種類、付着量を適宜選択する。集束剤は連続強化繊維が単糸にばらけることを防止し、加工工程において、連続強化繊維が損傷を受けることを防止するとともに、複合材料成型体となった後は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂の接着性を向上させる機能を果す。本実施形態において、単糸にばらけることを防止する集束効果は混繊工程まで、連続強化繊維が損傷を受けないために必要であるが、集束効果が過大であると混繊工程で開繊、混合し難くなるため、集束剤の種類、付着量を適宜選択することが好ましい。
集束剤の種類は公知の集束剤から、連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の種類に応じて適宜選択すればよい。
<マイクロドロップレット試験による界面接着強度>
集束剤は連続強化繊維と熱可塑性樹脂の接着性を向上させる機能を果すため、連続強化繊維の単糸に連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度は、好ましくは9MPa以上、より好ましくは13MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。界面接着強度は、集束剤の種類、付着量を適宜選択することにより調節できる。界面接着強度は大きいほど好ましいが、界面接着強度が大きくなりすぎると連続強化繊維の単糸が測定中に切断する等の問題が発生するので、100MPa以下とすることが好ましい。
界面接着強度は複合材料界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を使用し、マイクロドロップレット試験により測定する。連続強化繊維より単糸を取り出し、複合材料界面特性評価装置にセッティングする。装置上で連続熱可塑性樹脂繊維の原料となる熱可塑性樹脂を溶融させたドロップを連続強化繊維単糸上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得る。再度測定試料を装置にセッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、連続強化繊維単糸を装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、ドロップを引き抜く際の最大引抜荷重f(N)を測定し、下記式(2)により界面接着強度τを算出する。
界面接着強度τ=f/π・R・l (2)
(f:最大引抜荷重(N) R:連続強化繊維単糸径(m) l:ドロップの引抜方向の粒子径(m))
<ガラス繊維の集束剤>
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択した場合、集束剤はシランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤からなることが好ましい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。シランカップリング剤としては、特に制限されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類からなる群から選択される1種以上を用いることができ、中でも、アミノシラン類が好ましい。
(潤滑剤)
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。潤滑剤としては、目的に適した通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、特に制限されないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤から選択される1種以上を用いることができる。
(結束剤)
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。結束剤としては、目的に適したポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂も好適に使用される。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーとしては、重量平均分子量1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーを構成する共重合性モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。共重合性モノマーとして、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のホモポリマー及びコポリマーの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩としては、特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩やグリシン塩等が挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤等)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲が好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、複合材料成型体とした際の特性向上の観点から50,000以下が好ましい。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。連続熱可塑性樹脂繊維と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂が、複合材料成型体となった後ガラス繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し好ましい。
さらに、一層、両繊維の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
変性熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
オレフィン系モノマーとオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量としては、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。
ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
ポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、前記ポリマー、熱可塑性樹脂は単独でもよいし、2種類以上を併用してもよい。結束剤の全量を100質量%として、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩より選択された1種以上のポリマーを50質量%以上、60質量%以上用いることがより好ましい。
(組成)
ガラス繊維集束剤において、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整する。
シランカップリング剤の配合量は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上と複合材料成型体の機械的強度向上との観点から、0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%である。
潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点、及びエアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合材料成型体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合材料成型体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
(使用方法)
ガラス繊維集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液が好ましい。
本実施形態に用いるガラス繊維は、上述した集束剤を、公知のガラス繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、ガラス繊維に付与して製造したガラス繊維を乾燥することによって連続的に得られる。集束剤はガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%、さらに好ましくは0.2〜1質量%付与する。ガラス繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、ガラス繊維100質量%に対し、シランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤の合計質量として0.1質量%以上であることが好ましく、エアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から3質量%以下であることが好ましい。
<炭素繊維の集束剤>
連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合、集束剤は潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。
(潤滑剤)
潤滑剤は、炭素繊維集束剤の調整及び損傷防止性向上、開繊性向上に寄与する。潤滑剤としては、目的に適した通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、特に制限されないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤から選択される1種以上を用いることができる。
(結束剤)
結束剤は、炭素繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。結束剤としては、目的に適したポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;各種フェノール類とホルマリンを反応させて得られるフェノール樹脂;尿素とホルマリンを反応させて得られるユリア樹脂;メラミンとホルマリンを反応させて得られるメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートとポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂も好適に使用される。
結束剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂等が挙げられる。連続熱可塑性樹脂繊維と同種の熱可塑性樹脂及び/又は変性熱可塑性樹脂が、複合材料成型体となった後炭素繊維と熱可塑性樹脂の接着性が向上し好ましい。
さらに、一層、両繊維の接着性を向上させ、集束剤を水分散体として炭素繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、熱可塑性樹脂としては変性熱可塑性樹脂が好ましい。ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
変性熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、変性ポリアミド系樹脂、変性ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーと、不飽和カルボン酸等のオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であり、公知の方法で製造できる。オレフィン系モノマーと不飽和カルボン酸とを共重合させたランダム共重合体でもよいし、オレフィンに不飽和カルボン酸をグラフトしたグラフト共重合体でもよい。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
オレフィン系モノマーとオレフィン系モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合比率としては、共重合の合計質量を100質量%として、オレフィン系モノマー60〜95質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー5〜40質量%であることが好ましく、オレフィン系モノマー70〜85質量%、オレフィン系モノマーと共重合可能なモノマー15〜30質量%であることがより好ましい。オレフィン系モノマーのが60質量%以上であれば、マトリックスとの親和性が良好であり、また、オレフィン系モノマーの質量%が95質量%以下であれば、変性ポリオレフィン系樹脂の水分散性が良好で、連続強化繊維への均一付与が行いやすい。
変性ポリオレフィン系樹脂は、共重合により導入したカルボキシル基等の変性基が、塩基性化合物で中和されていてもよい。塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量としては、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。炭素繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
変性ポリアミド系樹脂とは、分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖や3級アミン成分等の親水基を導入した変性ポリアミド化合物であり、公知の方法で製造できる。分子鎖中にポリアルキレンオキサイド鎖を導入する場合は、例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の一部又は全部をジアミン又はジカルボン酸に変性したものを共重合して製造される。3級アミン成分を導入する場合は、例えばアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等を共重合して製造される。
変性ポリエステル系樹脂とは、ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法で製造できる。親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシル基、これらの中和塩等が挙げられる。
ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中で、変性ポリエステル系樹脂の耐熱性を向上させる観点から、全ポリカルボン酸成分の40〜99モル%が芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。また、変性ポリエステル系樹脂を水分散液とする場合の乳化安定性の観点から、全ポリカルボン酸成分の1〜10モル%がスルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。
ポリオールとしては、ジオール、3官能以上のポリオール等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリカルボン酸又はその無水物とポリオールとの共重合比率としては、共重合成分の合計質量を100質量%として、ポリカルボン酸又はその無水物40〜60質量%、ポリオール40〜60質量%であることが好ましく、ポリカルボン酸又はその無水物45〜55質量%、ポリオール45〜55質量%がより好ましい。
変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量としては、3,000〜100,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。炭素繊維の集束性向上の観点から3,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から100,000以下が好ましい。
結束剤として用いる、前記ポリマー、熱可塑性樹脂は単独でもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(組成)
炭素繊維集束剤において、それぞれ固形分として、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整する。
潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点、及びエアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合材料成型体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
結束剤の配合量は、炭素繊維の集束性制御、界面接着強度向上及び複合材料成型体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
(使用方法)
炭素繊維集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液が好ましい。
本実施形態に用いる炭素繊維は、上述した集束剤を、公知の炭素繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーター等の公知の方法を用いて、炭素繊維に付与して製造した炭素繊維を乾燥することによって連続的に得られる。集束剤は炭素繊維100質量%に対し、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜3質量%付与する。炭素繊維の集束性制御と界面接着強度向上の観点から、集束剤の付与量が、炭素繊維100質量%に対し、潤滑剤及び結束剤の合計質量として、0.1質量%以上であることが好ましく、エアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から8質量%以下であることが好ましい。
<その他の連続強化繊維の集束剤>
連続強化繊維として、ガラス繊維、炭素繊維以外の繊維を用いる場合は、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることがより好ましい。
〔連続熱可塑性樹脂繊維〕
<種類>
本実施形態に用いる連続熱可塑性樹脂繊維は通常、複合材料成型体用混繊糸に用いるものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維であることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂がさらに好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がよりさらに好ましく、ポリアミド66を好適に用いることができる。
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリエステル系樹脂としては、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
<ポリアミド系樹脂>
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリアミドとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、特に制限されないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合物、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合物、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合物が挙げられる。
<形態>
連続熱可塑性樹脂繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜20,000本であることが好ましい。
〔連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の積RDの比〕
本実施形態において、連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RD(連続強化繊維)と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm)の積RD(連続熱可塑性樹脂繊維)の比、RD(連続強化繊維)/RD(連続熱可塑性樹脂繊維)は、好ましくは0.3〜5、より好ましくは0.5〜4、さらに好ましくは0.6〜2である。
混繊工程において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維はお互いに開繊、混合することが好ましく、そのためには、混繊時に作用する外力により、両繊維に発生する加速度が略同等であることが好ましいと推量される。両繊維の積RDの比が前記範囲であれば、各繊維に発生する加速度が略同等になると推察され、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維がお互いに混合し易くなり好ましい。
〔連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径の比〕
本実施形態において、連続強化繊維の単糸径と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径の比は、好ましくは0.3〜2、より好ましくは0.5〜1.5、さらに好ましくは0.5〜1である。
混繊工程において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維はお互いに開繊、混合することが好ましく、そのためには、混繊時に作用する外力も略同等であることが好ましいと推量される。単糸径の比が前記範囲であれば、各繊維に作用する外力が略同等になると推察され、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維がお互いに混合し易くなり、好ましい。さらに、単糸径の比が前記範囲であれば、単糸径が略同等であるために、複合糸条内での両繊維の幾何学的な分布状態が均一になり易く、熱可塑性樹脂繊維を加圧、加熱により溶融させた場合、強化繊維内に熱可塑性樹脂が含浸し易くなり、成形時間を短くでき、好ましい。
本実施形態において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の総繊度は、好ましくは100〜20,000dtex、より好ましくは200〜10,000dtex、さらに好ましくは500〜5,000dtex、よりさらに好ましくは500〜3,000dtexである。
混繊工程における、両繊維の開繊性、均一混合性の観点、及び布帛を得る際の取扱い性の観点から前記範囲が好ましい。
連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維のそれぞれの含有率は、好ましくは30〜85質量%/70〜15質量%、より好ましくは40〜70質量%/60〜30質量%である。
複合糸条に占める連続強化繊維の含有率が30質量%以上であれば、複合材料成型体の機械的強度が高く、充分な補強効果が発揮する。連続強化繊維の含有率が85質量%以下であれば、マトリックスが十分なので、複合材料成型体に空隙部が生じることを防止できる。
〔複合糸条の製造方法〕
本実施形態における複合糸条を製造するために、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維とを混繊する方法は公知の方法を利用できる。例えば、静電気力や流体噴霧による圧力、ローラー等に押し付ける圧力等による外力によって開繊した後、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を開繊したままの状態で合糸・引き揃える開繊合糸法、流体交絡(インターレース)法が挙げられる。連続強化繊維の損傷が抑制でき、開繊性に優れ、均一に混合可能な流体交絡法が好ましく、流体交絡(インターレース)法としては、空気、窒素ガス及び水蒸気等の流体による渦流乱流帯域を糸軸とほぼ平行に2個又はそれ以上作り、該帯域に繊維を導いてループや捲縮を生じない程度の張力下で非嵩高性の糸条とする方法や、連続強化繊維のみ開繊した後、又は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維共に開繊した後に流体交絡させる方法(開繊後流体交絡法)等が挙げられる。特に、連続熱可塑性樹脂繊維に単独で熱加工を含む工程で仮撚加工を施した後、同一の装置で連続して、流体交絡法で混繊することが好ましい。
単独で熱加工を含む工程で加工した連続熱可塑性樹脂繊維を同一の装置で連続して、開繊又は開繊せずに、開繊した又は開繊していない連続強化繊維と合糸・引き揃えて流体交絡ノズルに供給することは、連続強化繊維のみに集中的に流体による渦流乱流が作用することなく、連続強化繊維の損傷が抑制でき、好ましい。さらに、連続強化繊維単独又は上記引き揃えた繊維を、好ましくは引き揃えた繊維を流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直に供給することは、連続強化繊維に屈曲による伸長力及び圧縮力が過剰に作用することなく、連続強化繊維の損傷が抑制でき、好ましい。特に、脆性材料であるガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維を連続強化繊維として用いる場合に、引き揃えた繊維を流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直に供給することは損傷抑制効果が顕著で好ましい。また、圧縮力によって座屈破壊が生じ易いアラミド繊維を連続強化繊維として用いる場合に、引き揃えた繊維を流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直に供給することは座屈破壊を抑制でき、好ましい。ここで、流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直とは、目視によって糸道が垂直であると確認できる状態を意味する。
本実施形態において、複合糸条の具体的な製造方法は、特に制限されないが、例えば、図1に概略側面図として例示する流体交絡装置を用いた流体交絡法が例示される。
図1において、11は連続強化繊維12aの回巻体、21は連続熱可塑性樹脂繊維22aの回巻体、13は連続強化繊維12a及び連続熱可塑性樹脂繊維22aを合糸・引き揃えながら、引き出すための駆動ロール、14は圧縮空気を使用した流体交絡ノズル、16は得られた複合糸条15bを巻き取るための巻き取り機、17は熱加工用ヒーター、18は仮撚ユニットであって、好ましくはニップベルトタイプの仮撚ユニットである。
本装置によれば、連続熱可塑性樹脂繊維の回巻体21を回転させつつ、連続熱可塑性樹脂繊維22aを引き出し、熱加工用ヒーター17でTg以上に加熱した後、ニップベルトタイプの仮撚ユニット18で仮撚加工を施す。一方、連続強化繊維の回巻体11を回転させつつ、連続強化繊維12aを引き出し、仮撚加工を施した連続熱可塑性樹脂繊維と、駆動ロール13の直前で合糸・引き揃えた後、駆動ロール13を経て、引き揃えた糸条15aを流体交絡ノズル14に供給する。連続強化繊維の損傷を抑制する観点から、図2aに示すとおり、引き揃えた糸条15aを流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直(90度)となるように供給することが好ましい。なお、連続強化繊維12a、連続熱可塑性樹脂繊維22aを、それぞれの回巻体11、21を回転させながら引き出すのは、連続強化繊維12a、連続熱可塑性樹脂繊維22aに撚りを与えないようにするためである。
流体交絡ノズル14は公知のものを使用することができ、例えば、京セラ(株)製KC−AJI−L、阿波スピンドル(株)製ASM−4522等が挙げられる。流体交絡ノズル14に、例えば、圧力1〜3kg/cmの圧縮空気を供給し、ノズル内で2個又はそれ以上の渦流乱流帯域を作る。該帯域に引き揃えた糸条15aを導き、渦流乱流の作用によって、連続強化繊維12a、連続熱可塑性樹脂繊維22aを開繊、混合することで、ループや捲縮を生じない非嵩高性の複合糸条15bとする。得られた複合糸条15bを巻き取り機16により、矢印イの方向に巻き取る。巻き取り速度で定義される加工速度は、連続強化繊維12aへの損傷抑制と生産性を考慮して適宜決定すればよいが、例えば、10〜500m/分であることが好ましい。
流体交絡ノズル14に供給する流体は安全な気体であれば、特に制限されないが、空気、窒素、水蒸気、ヘリウム、アルゴン等が挙げられ、安価、簡便に使用できる観点から空気が好ましい。流体の圧力は1〜3kg/cmが連続強化繊維12aに損傷を与えず、かつ、連続強化繊維12aと連続熱可塑性樹脂繊維22aが連続して均一に分散、混合する観点から好ましい。
〔複合糸条〕
複合糸条は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混合され、連続強化繊維の間隙に連続熱可塑性樹脂繊維が連続して略均一に分散した状態であることが好ましい。ここで、連続して略均一に分散しているとは、複合糸条の任意の横断面において、連続熱可塑性樹脂繊維の単糸と接触している連続強化繊維の単糸数をA(本)とし、また連続強化繊維の全単糸数をB(本)とし、(A/B)×100(%)で算出した連続強化繊維の分散率を、好ましくは30〜75%、より好ましくは40〜75%とすることである。
連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に分散、混合し、該複合糸条から短時間成形で得られる複合材料成型体が優れた力学特性を発揮する観点から、分散率は30%以上が好ましい。混繊時に連続強化繊維の損傷を抑制し、毛羽発生を防止する観点から分散率は75%以下が好ましい。
複合糸条は加熱しても連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しないことが好ましい。ここで、加熱とは、連続熱可塑性樹脂繊維の示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度(Tg)を超える温度に30秒以上、張力がかからない状態で曝すことである。例えば、染色工程における湿熱加熱、乾燥工程における乾式加熱、成形前の予備加熱工程における赤外線ヒーターによる加熱等が挙げられる。連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しないとは、染色や圧縮成形等するために加熱しても、分散率が30〜75%を維持する場合を意味する。また、分散率が加熱の前後で実質的に変化しないことも、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しない上で好適である。加熱しても連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しないことが、加熱後も連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に分散、混合し、該複合糸条から短時間成形で得られる複合材料成型体が優れた力学特性を発揮することから、好ましい。
本実施形態における複合糸条は、混繊時に連続強化繊維が損傷を受けていないことが好ましい。ここで、連続強化繊維が損傷を受けていないとは、複合糸条の引張り破断強力を連続強化繊維の引張り破断強力で除した引張り破断強力維持率が60%以上とすることである。連続強化繊維が損傷を受けておらず、毛羽発生が防止されているために、複合糸条から編織、組紐等によって、プリフォームを得るための取扱い性及び短時間成形で得られる複合材料成型体が優れた力学物性を発揮する観点から、引張り破断強力維持率は60%以上が好ましい。
<布帛化>
布帛を得る方法は特に限定されず、用途、目的に応じて選定した適切な布帛を作製する公知の方法を用いることができる。例えば、織物は、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用い、少なくとも一部に複合糸条を含んでいればよい。好ましくは、複合糸条を含む繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって、得てもよい。編物は、丸編み機、横編み機、トリコット編み機、ラッシェル編み機等の編み機を用い、少なくとも一部に複合糸条を含む繊維を編成することによって得られる。不織布は、少なくとも一部に複合糸条を含む繊維をウェブと呼ばれるシート状の繊維集合体とした後、ニードルパンチ機、ステッチボンド機、柱状流機等の物理作用やエンボスロール等による熱作用や接着剤によって繊維同士を結合させることによって、得られる。
本実施形態の複合材料成型体の製造方法における成形方法は、特に限定されず、用途、目的に応じて選定した適切な公知の方法を用いることができる。
所望の複合材料成型体に併せて、製品厚みを考慮して、布帛を必要枚数積層させ、金型形状にあわせて布帛をセットする。この時、布帛を用いることにより、強化繊維に対し樹脂が含浸された従来の複合材料板に比して、金型に対して自由度が高く、複合材料成型体において高低差がある場合でも、形状自由度を高く成形することができる。
本実施形態の複合材料成型体の製造方法により得られる複合材料成型体は、高低差がある場合でも、力学特性高く成形できるものであって、形状自由度も高く、複合材料成型体として所望の特性を有する。
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例で行った評価方法及び測定方法は以下のとおりである。
(複合糸条中から取り出した連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率)
複合糸条より連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ約600mm取り出し、沸水収縮率をJIS L1013 熱水寸法変化率B法に準拠して常圧下で測定して、n=10の平均値によって算出した。複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率から複合糸条中から取り出した連続強化繊維の沸水収縮率を差し引きいて、沸水収縮率の差を算出した。連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の分離が困難な場合は、複合糸条中の各々の繊維から単糸を取り出して、同様の手順で沸水収縮率を算出した。
(複合糸条中から取り出した連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率)
複合糸条より連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ約300mm取り出し、捲縮率をJIS L1013 伸縮性A法に準拠して測定して、n=20の平均値によって算出した。複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率から複合糸条中から取り出した連続強化繊維の捲縮率を差し引いて、捲縮率の差を算出した。連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の分離が困難な場合は、複合糸条中の各々の繊維から単糸を取り出して、同様の手順で捲縮率を算出した。
(連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径)
連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)は、カタログ値の密度D(g/cm3)、繊度T(dtex)、単糸数F(本)を用い、下記式(1)により算出した。
R=20×(T/π・F・D)0.5 (1)
なお、一般に、連続強化繊維には、集束剤が付着されており、カタログ値としての密度Dは、カタログにおいて集束剤を含まない密度である旨等の特段の記載がされていない限り、集束剤が付着された状態の連続強化繊維としての密度を意味する。すなわち、カタログ値をそのまま密度Dとして用い、仮に、集束剤を含まない状態の連続強化繊維の密度として記載されている場合には、その値を密度Dとし、集束剤を含む状態の連続強化繊維の密度として記載されている場合には、その値を密度Dとする。
また、本実施例において、連続強化繊維に関する評価方法及び測定方法については、集束剤が付着された状態の値であってよい。
(連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力)
(株)マシンテックス製ジョイントエアー110型を用い、取扱説明書に準じて、連続強化繊維の繊度に応じたエアスプライサーのチェンバー、チェンバーカバーを選択して取り付け、下記条件でエアスプライサー所定の手順で連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条を得た。
供給空気圧力 0.7MPa
空気噴射時間 調整ノブPT150の目盛4
糸はし長さ レギュレーターPT40の目盛4
得られた繋ぎ糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力をJIS L1013に準拠して(株)オリエンテック社製テンシロンにより、つかみ間隔20cm、引張り速度20cm/分で測定し、両測定値の比を算出した。
(マイクロドロップレット試験による界面接着強度)
界面接着強度は複合材料界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を使用し、マイクロドロップレット試験により測定した。
連続強化繊維より単糸を取り出し、複合材料界面特性評価装置にセッティングした。装置上で連続熱可塑性樹脂繊維の原料となる熱可塑性樹脂を溶融させたドロップを連続強化繊維単糸上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得た。測定試料を装置に再度セッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、連続強化繊維単糸を装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、ドロップを引き抜く際の最大引抜荷重f(N)を測定し、下記式(2)により界面接着強度τを算出した。
界面接着強度τ=f/π・R・l (2)
(f:最大引抜荷重(N)、R:連続強化繊維単糸径(m)、l:ドロップの引抜方向の粒子径(m))
(連続強化繊維の分散率)
複合糸条の長手方向の20mごとに長さ20cmを3点サンプリングし、採取した各試料ごとに横断面(糸条軸に対して垂直面)を鋭利な刃物で切断し、該切断面の全域を写真撮影する。該写真から連続熱可塑性樹脂繊維の単糸と接触若しくは連続熱可塑性樹脂繊維の単糸をその単糸径の10%だけ位置をずらせば接触するであろう連続強化繊維の単糸数を計測して、これをA(本)とする。該写真に撮影された複合糸条の横断面全域に存在する連続強化繊維の単糸数を計測し、これをB(本)とする。計測したA及びBから式(3)により、連続強化繊維の分散率%の平均値(n=3)を算出した。
分散率=(A/B)×100% (3)
(複合糸条の引張り破断強力維持率)
複合糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力をJIS L1013に準拠して(株)オリエンテック製テンシロンにより、つかみ間隔20cm、引張り速度20cm/分、n=10の測定を行い、測定値から算術平均値を求め、両算術平均値の比を算出し、複合糸条の引張り破断強力維持率とした。
(複合糸条の染色後の分散率)
複合糸条100mを周長1mの綛巻にした測定サンプルを加熱加圧が可能な密閉容器に浴比1:100となるようにイオン交換水とともに封入する。この密閉容器を110℃のオイルバスに30分浸漬して加熱後、室温まで冷却し、密閉容器から複合糸条を取り出し、無荷重で風乾する。風乾後、分散率を算出した。
(経糸と緯糸間の静止摩擦係数μs)
図3に示す装置を用いて測定を行う。長さ約690mの緯糸100を円筒200の周りに、綾角15°で約0.2cN/dtexの張力を掛けて巻き付ける。更に、長さ30.5cmの経糸300をこの円筒に掛ける。この時、経糸300は円筒200の上にあり、円筒の巻き付け方向と平行にする。円筒200に掛けた経糸300の片方の端に、荷重が0.1cN/dtex(対経糸)の重り400を結び、他方の端にはストレインゲージ500を連結させる。次に、円筒200を1mm/分の周速で回転させ、張力をストレインゲージ500で測定する。こうして測定した張力からμsを下記の式より求める。
μs=(1/π)×Ln(T2/T1)
式中、T1は経糸に掛けた重り400の重さ、T2はストレインゲージにて測定した張力、Lnは自然対数、πは円周率を示す。
(複合材料成型体の引張り特性)
長さ30cm、幅5cmの金枠に布帛を2.5cm幅となるように、ハンドにより、複合材料成型体にした際に厚さ1mmとなるように取り付けた後、真空乾燥機を用い、100℃24時間、真空乾燥した。乾燥後、熱可塑性樹脂繊維の融点+20℃にあらかじめ加熱した平板成形用の金型に、金枠とともに布帛を移した。金型を熱可塑性樹脂繊維の融点+20℃に加熱した熱盤を備えた卓上型プレスに移し、0.5MPa、1分間、加圧した後、25℃に水冷した冷却盤を備えた卓上型プレスに移し、0.5MPaで加圧し、熱可塑性樹脂繊維のガラス転移点以下に金型温度が達するまで冷却した。冷却後、除圧し、金型から複合材料成型体を取り出した。得られた複合材料成型体中の強化繊維の軸方向を試験片の引張り方向としてJIS K7054に準拠して引張り特性(引張り破断強度、引張り初期弾性率)を測定した。
〔製造例1〜3〕
下記集束剤Aを1.0質量%付着させた繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を連続強化繊維として用いた。
集束剤Aの組成:
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE−903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
ガラス繊維の繋ぎ糸条の引張り破断強力及び界面接着強度を測定した結果を表1に示す。
交絡処理を施していない沸水収縮率7%のポリアミド66繊維〔商品名:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本〕を連続熱可塑性樹脂繊維として用いた。該繊維に(株)石川製作所製IVF338を用いて、下記条件で熱加工及び仮撚加工を施した。
仮撚数 1050T/m(製造例1,2) 750T/m(製造例3)
ヒーター温度 240℃(製造例1) 200℃(製造例2、3)
糸速度 30m/min(製造例1〜3)
両繊維を合糸・引き揃えた後、図2aに示すように流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸条を得た。
・流体交絡ノズル 京セラ(株)製KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧 2kg/cm2
・加工速度 30m/min
得られた複合糸条の分散率及び引張り破断強力、抜き出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率、捲縮率を測定した結果を表1に示した。尚、ガラス繊維の沸水収縮率、捲縮率はともに0%であった。さらに、該複合糸条を用いた複合材料成型体を成形し、引張り特性を測定した結果も表1に示した。尚、成形に際し、加熱温度は280℃、冷却後取り出し時の金型温度は50℃とした。
〔比較製造例1〕
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)とポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))を合糸・引き揃えたのみで、特段の混繊を施さないこと以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
〔比較製造例2〜4〕
沸水収縮率7%(比較製造例2)、11%(比較製造例3)のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))をそのまま、沸水収縮率7%のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))をヒーター温度40℃で仮撚加工して(比較製造例4)用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果を表1に示した。
〔製造例4〕
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)の単糸数を100本にした以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
〔製造例5〕
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)の単糸数を60本にした以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
〔製造例6〕
上記集束剤Aを1.0質量%付着させた繊度470dtexで単糸数72本のステンレス繊維〔商品名:ナスロン(登録商標)(日本精線(株)製)〕を連続強化繊維として用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。尚、ステンレス繊維の沸水収縮率、捲縮率はともに0%であった。
〔製造例7〕
ステンレス繊維(日本精線(株)製)の単糸数を36本にした以外は製造例6と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
〔製造例8〕
集束剤Aの付着量を2.0質量%にしたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例9〕
集束剤Aの付着量を4.0質量%にしたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例10〕
結束剤を固形分換算で0.5質量%としたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例11〕
集束剤Aの付着量を4.0質量%としたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例10と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例12〕
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)に50回/mの撚りを施した以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例13〕
連続熱可塑性樹脂繊維として、交絡処理を施していない沸水収縮率7%のポリアミド66繊維〔商品名:レオナ(登録商標)470/72BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数72本〕を用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例14〕
連続熱可塑性樹脂繊維として、製造例1と同様のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製)を3本引き揃えて用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例15〕
連続熱可塑性樹脂繊維として用いられたポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製)には流体交絡法によって15個/mの交絡が施されていること以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例16〕
連続熱可塑性樹脂繊維として、沸水収縮率6%のポリエチレンテレフタレート繊維〔Hyousung社製Type556、繊度470dtex、単糸数96本〕を用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例17〕
連続強化繊維、連続熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ静電気力によって開繊した後、合糸・引き揃え、その後、再度静電気力によって開繊を施す開繊合糸法で混繊した(流体交絡は施さない)以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例18〕
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)の繊度及び単糸数を11,500dtex及び2,000本とし、連続続熱可塑性樹脂繊維としてポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製)を10本引き揃えて用いた以外は製造例17と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例19〕
図2bに示すように、流体交絡ノズルへ引き揃え糸条を実質的に45度で供給する以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
〔製造例20〕
連続強化繊維をアラミド繊維〔商品名:ケブラー(登録商標)29(東レ・デュポン(株)製)、繊度1670dtex、単糸数1000本〕を用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果を表2に示した。
〔実施例及び比較例〕
製造例1で得られた複合糸条を経/緯を3/4本の平織布帛に製織した。幅750mmから370×250mmにはさみで切り出した布帛を4枚積層させて、320℃のIRヒータ(日本ガイシ(株)製)内で10分加熱し、プレス機(川崎油工(株)製)に設置した140℃に加熱された金型内に配置して、300tの力でプレスし、10分間金型内で加圧した後に取り出して製品に必要ではないバリ部分を取り除き複合材料成型体を得た。
また、ガラス繊維の平織物にPA66樹脂を含浸させて固化させた連続繊維板(ランクセス(株)製TEPEX(R))を、320℃のIRヒータ(日本ガイシ(株)製)内で10分加熱し、プレス機(川崎油工(株)製)に設置した140℃に加熱された金型内に配置して、300tの力でプレスし、10分間金型内で加圧した後に取り出して製品に必要ではないバリ部分を取り除き複合材料成型体を得た。
得られた複合材料成型体を図4に示す。
〔実施例1、2〕
下記集束剤Aを1.0質量%付着させた繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を連続強化繊維として用いた。
集束剤Aの組成(固形分換算):
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE−903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
本ガラス繊維の繋ぎ糸条の引張り破断強度及び界面接着強度を測定した結果を表1に示す。
連続熱可塑性樹脂繊維として、交絡処理を施していないポリアミド66繊維〔商品名:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本〕を用いた。
両繊維を合糸・引き揃えた後、図2−aに示すように流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸条を得た。
・流体交絡ノズル:京セラ KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧:2kg/cm2(実施例1)、4kg/cm2(実施例2)
・加工速度:30m/分
得られた複合糸条の連続強化繊維の分散率及び引張り破断強力維持率を測定した結果を表1に示した。さらに、該複合糸条を経糸、緯糸として用い、経糸密度が40本/5cm、緯糸密度が8本/5cm、幅200mmのすだれ織物を製織した。製織時に毛羽やフィブリル状物の発生はなく、織機にも糸くずや毛玉の付着は観察されず製織性は良好であった。また、このすだれ織物は25mm幅に切断しても経糸がずれることなく安定しており、取扱い性が良好であった。すだれ織物を用いて複合材料成型体を成形し、引張り特性を測定した結果も表3に示した。尚、成形に際し、加熱温度は280℃、冷却後取り出し時の金型温度は50℃とした。
〔比較例1〕
ガラス繊維とポリアミド66繊維を合糸・引き揃えたのみで、特段の混繊を施さないこと以外は実施例1と同様にして複合材料成型体を得た。引き揃えたのみでは、製織時に毛羽が発生し、工程性に劣るものであった。
評価結果等を表3に示した。
〔実施例3〕
ガラス繊維の単糸数を100本にした以外は実施例1と同様にして、複合材料成型体を得た。
評価結果等を表3に示した。
〔実施例4〕
ガラス繊維の単糸数を60本にした以外は実施例1と同様にして、複合材料成型体を得た。
評価結果等を表3に示した。
〔実施例5〕
上記集束剤Aを1.0質量%付着させたステンレス繊維〔商品名:ナスロン(登録商標)(日本精線(株)製)、繊度470dtex、単糸数72本〕を連続強化繊維として用いた以外は実施例1と同様にして複合材料成型体を得た。
評価結果等を表3に示した。
〔比較例2〕
ステンレス繊維の単糸数を36本にした以外は実施例5と同様にして複合材料成型体を得た。
評価結果等を表3に示した。
上記表3より、実施例1と比較例1とを対比すると、単なる合糸・引き揃えのみでなく、流体交絡法等による混繊を施した場合、複合糸条は分散率が高く、均一に混合されており、引張り破断強力維持率も同等以上であり、製織における工程性も優れ、毛羽の発生が抑制されており、従って、複合材料成型体とした場合の機械的物性に優れることを確認した。
また、実施例3〜5と比較例2とを対比すると、連続強化繊維の単糸径(R)と密度(D)の積RDが特定範囲となる場合、連続強化繊維の繋ぎ糸破断強度が高く、開繊性・混繊性に優れており、複合糸条における連続強化繊維の分散率が高く、均一に混合されており、従って、複合材料成型体とした場合の機械的物性に優れることを確認した。
本発明によれば、各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器及び管状の構造物等、高レベルでの機械的物性が要求される複合材料成型体を形状自由度高く製造することができる。
11 連続強化繊維の回巻体
12a 連続強化繊維
21 連続熱可塑性樹脂繊維の回巻体
22a 連続熱可塑性樹脂繊維
13 駆動ロール
14 流体交絡ノズル
15a 引き揃え糸条
15b 複合糸条
16 巻き取りロール
17 熱加工用ヒーター
18 仮撚ユニット
100 緯糸
200 測定用円筒
300 経糸
400 重り
500 ストレインゲージ

Claims (26)

  1. 布帛を成形する工程を含み、
    前記布帛が連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を含む、
    複合材料成型体の製造方法。
  2. 前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率の差が0.5〜20%である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜2.5%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率が0.5〜20%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cm3である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合糸条。
  6. 連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力が連続強化繊維の引張り破断強力の50〜100%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 連続強化繊維の単糸に連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度が9MPa以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 連続強化繊維の単糸に連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度が9〜100MPaである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 連続強化繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の積RDの比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜5である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)の比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜2である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の総繊度が100〜20,000dtexである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 連続熱可塑性樹脂繊維がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が流体交絡法で混繊された、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 連続熱可塑性樹脂繊維が単独で、熱加工を含む工程で加工された後、同一の装置で連続して、熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維が引き揃えられて流体交絡ノズルに供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された、請求項14に記載の製造方法。
  16. 連続強化繊維が単独で又は連続強化繊維と熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維が引き揃えられて、流体交絡ノズルの導入穴面に実質的に垂直に供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された、請求項14に記載の製造方法。
  17. 前記複合糸条が前記布帛を構成する繊維の50質量%以上である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
  18. 前記布帛が経糸と緯糸から構成される織物である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
  19. 前記複合糸条が前記経糸を構成する繊維の50質量%以上である、請求項18に記載の製造方法。
  20. 前記経糸と前記緯糸との繊維−繊維間静止摩擦係数が0.2〜3.0である、請求項18又は19に記載の製造方法。
  21. 前記布帛が平織物または斜文織物である、請求項18〜20のいずれか一項に記載の製造方法。
  22. 前記布帛がすだれ織物である、請求項18〜20のいずれか1項に記載の製造方法。
  23. 前記複合糸条が前記緯糸を構成する繊維の50質量%以上である、請求項18〜22のいずれか一項に記載の製造方法。
  24. 前記複合糸が前記経糸を構成する繊維の70質量%以上である、請求項23に記載の製造方法。
  25. 経糸密度/緯糸密度の比が2〜10である、請求項23又は24に記載の製造方法。
  26. 請求項1〜25のいずれか一項に記載の製造方法により得られる複合材料成型体。
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