JP2018095720A - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切断面がほつれず、また、切断面の加工が容易な複合材料を提供する。【解決手段】連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料であって、この複合材料の切断面における熱可塑性樹脂の少なくとも1部が溶融固化してなり、この溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量が、熱可塑性樹脂そのものの分子量の20%以上であるものとする。【選択図】なし

Description

本発明は複合材料及びその製造方法に関するものである。
各種機械や自動車等の構造部品や圧力容器及び管状の構造物等に使用される複合材料成形体の強化材としてプリフォームが用いられている。
複合材料成形体の中間材料の一つであるプリフォームとして、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を用いた布帛が挙げられる。複合糸条を、単独又は他の繊維とともに編織して編物や織物にしたり、ランダムに積層し、ウェッブ作製後、エンボスロールを用いた熱融着やニードルパンチを用いた交絡によって一体化された不織布にしたりすることで得られる布帛は、中間材料として用いられる。得られた布帛状のプリフォームに圧縮加熱や内圧加熱を施して、布帛に含まれる複合糸条中の熱可塑性樹脂繊維を溶融させ、成形することによって複合材料成形体が得られる。また、得られたプリフォームに熱硬化性樹脂を含浸した後、加圧加熱することによって複合材料成形体を得ることもできる。
従来、複合材料の加工には、水に混ぜた研磨材を噴射して裁断する技術や、レーザを用いた技術(特許文献1及び2を参照)が知られている。
特開2011−56583号公報 国際公開第2010/119995号公報
しかし、水に混ぜた研磨材を噴射して裁断する技術では、研磨材が複合材料に付着したり、研磨材が内部に入ったりして複合材料の品質を低下させてしまうという問題がある。また、レーザを用いた技術では装置のコストが高い上、融点の高い強化繊維に合わせて切断すると、裁断端部の熱可塑性樹脂が焦げてしまい成形後の複合材料の物性低下が起こるといった問題がある。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、複合材料の切断面がほつれることがないことで、強度及び外観に優れた高品質な複合材料成形体が得られる複合材料を提供することを目的とするものである。また、複合材料の切断面がほつれることがなく、切断面の加工が可能であって、複合材料の品質を低下させることのない複合材料の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は鋭意検討した結果、連続強化繊維と熱可塑性樹脂からなる複合材料の裁断面を溶融固化させることにより、切断面がほつれず、切断面の加工が可能な複合材料の製造方法を見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料であって、複合材料の切断面における熱可塑性樹脂の少なくとも1部が溶融固化してなり、溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量が熱可塑性樹脂そのものの分子量の20%以上である。
複合材料は布帛状であることが好ましい。
連続強化繊維の融点は熱可塑性樹脂の融点よりも50℃以上高いことが好ましい。
連続強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は繊維状であってもよい。
連続強化繊維は熱可塑性樹脂で被覆されたものであってもよい。
本発明の複合材料の製造方法は、少なくとも1つの切断面を有する連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料の製造方法であって、切断面を、熱可塑性樹脂の融点以上の温度を有する刃により熱可塑性樹脂を溶融させながら複合材料を裁断し、溶融させた熱可塑性樹脂を固化して形成する。
連続強化繊維はガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、切断面がほつれず、また、切断面の加工が可能な複合材料を提供することができる。さらに切断面の熱可塑性樹脂の劣化が少なく、強度及び外観に極めて優れた複合材料を安価に提供できる。
切断面のサンプル採取場所を示す写真である。 実施例1の布帛の切断面を示す写真である。 比較例2の布帛の切断面を示す写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料であって、複合材料の切断面における熱可塑性樹脂の少なくとも1部が溶融固化してなり、溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量が複合材料を構成する熱可塑性樹脂そのものの分子量の20%以上である。
連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料としては、プリプレグ材料や布帛状のものが挙げられる。本発明の複合材料は切断面を有し、この切断面は、熱可塑性樹脂の少なくとも1部が溶融固化してなるものである。切断面における熱可塑性樹脂の少なくとも一部とは、好ましくは切断面における熱可塑性樹脂の50%以上、さらに好ましくは80%以上、もっとも好ましくは100%である。切断面における熱可塑性樹脂の溶融固化は、目視によっても確認することができるが、好ましくは、エネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて確認することができる。
溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量は、切断面から採取される複合材料(サンプル)から測定されるものである。具体的には切断面の中央部分(切断面の周縁から幅1mmを除いた部分)の任意の位置において、切断面の表面から500μmの厚さ領域内で切り出されるものをサンプルとする。このサンプルを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶かして、不溶の連続強化繊維を除去し、上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶けている状態の熱可塑性樹脂の分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置で測定したものが、溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量である。同様に複合材料を構成する熱可塑性樹脂そのものの分子量も1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶かし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置で測定することができる。
切断面における溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量は、複合材料を構成する熱可塑性樹脂そのものの分子量の20%以上である。20%以上であることにより複合材料の物性低下を抑制することができ、切断面の加工が可能となる。より好ましくは40%以上であり、さらには50%以上であることが好ましい。
本発明の複合材料は、連続強化繊維と熱可塑性樹脂により構成されている。
連続強化繊維と熱可塑性樹脂は連続して均一に混じり合い、連続強化繊維を熱可塑性樹脂に均一に固定させることが可能であることから、本発明の複合材料は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂の複合糸状を含むことが好ましい。
また、複合材料に、複合糸状を用いることにより、布帛化する編織等の工程における取扱い性に優れ、得られた布帛は短時間成形でも、充分な力学特性を発揮する複合材料成形体となすことが可能である。
〔連続強化繊維〕
本発明に用いる連続強化繊維の融点は後述する熱可塑性樹脂の融点よりも50℃以上高いことが好ましい。融点は、JIS K0064によって測定される融点である。連続強化繊維の融点が熱可塑性樹脂の融点よりも50℃以上高いことにより、強度及び外観に優れた高品質な複合材料成形体が得られる複合材料とすることができる。そのような連続強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。機械的物性、熱的物性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましく、価格の観点からガラス繊維がより好ましい。
連続強化繊維は複合材料、とりわけ複合材料が布帛状の場合においては均一に存在しており、熱可塑性樹脂の融点以上の温度を有する刃により裁断することで熱可塑性樹脂が溶融固化することにより、連続強化繊維が固定されて切断面のほぐれを改善することができる。
連続強化繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。
連続強化繊維は熱可塑性樹脂で被覆されたものであってもよい。
〔熱可塑性樹脂〕
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は通常、複合材料に用いるものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂が好ましく挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂がさらに好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がよりさらに好ましく、ポリアミド66を好適に用いることができる。
上記の熱可塑性樹脂は、溶融紡糸して得られる繊維状であってもよい。
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリエステル系樹脂としては、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
<ポリアミド系樹脂>
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリアミドとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ラクタムとしては、特に制限されないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカンラクタムやドデカラクタムが挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
ジアミン(単量体)としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸(単量体)としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
共重合ポリアミドとしては、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合物、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合物、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合物が挙げられる。
複合材料中の連続強化繊維の含有率は、好ましくは30〜85質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
複合材料に占める連続強化繊維の含有率が30質量%以上であれば、複合材料成形体の機械的強度が高く、充分な補強効果を発揮する。連続強化繊維の含有率が85質量%以下であれば、マトリックスが充分なので、複合材料成形体に空隙部が生じることを防止できる。
〔布帛及び複合糸条〕
複合材料としては布帛状が好ましく、布帛の形態としては、公知のものを用いることができ、特に限定されないが、例えば、編物や織物が例示される。布帛中の連続強化繊維の直線性を高くでき、布帛の見掛け密度を高くできることによって、優れた機械的特性の複合材料成形体が短時間成形で得られ易いため、経糸と緯糸から構成される織物が好ましい。
織物は経糸と緯糸から構成される。経糸を構成する繊維の50質量%以上に複合糸条を用いることが好ましい。複合糸条は好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%用いられる。強度、剛性等の機械的特性を高い水準で満足させる観点から、経糸を構成する繊維の50質量%以上が複合糸条であることが好ましい。
織物に用いられる経糸の種類としては、例えば、(イ)連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条のみからなるストランド、(ロ)連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条と複合糸条以外の繊維とを交撚又は引き揃えしたストランド、(ハ)連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条以外の繊維からなるストランド、等が挙げられる。ストランドとは、複合糸条の束を無撚あるいは100回/m以下の軽い撚りをかけた糸条であり、繊維の直線性を高くする観点からストランドを用いることが好ましく、より好ましくは撚り回数が50回/m以下、特に好ましくは30回/m以下のストランドを用いることが望ましい。
(ロ)の場合には、1本のストランド中に連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の複合糸条が50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含まれていることが望ましい。経糸は(イ)、(ロ)から選ばれた少なくとも一種、又は(イ)、(ロ)から選ばれた一種と(ハ)から選ばれた少なくとも一種から構成されていてもよい。いずれの場合も、複合糸条は、織物における全経糸中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%用いられる。複合糸条以外の繊維としては、全経糸中の割合が50質量%未満であれば特に制限はなく、用途及び目的に応じ、公知の繊維を用いることができ、例えば、上記の熱可塑性樹脂を用いた連続熱可塑性樹脂繊維が挙げられる。特に複合糸条に用いられる連続熱可塑性樹脂繊維と同種の繊維が成形時に熱可塑性樹脂の劣化を抑制でき、好ましい。
織物の組織は特に限定されず、公知の組織を用いることができるが、織物中での経糸、緯糸の直線性及び製織効率の観点から、また、経緯糸方向の同等性が高いことから、平織物及び変化平織物が好ましい。
平織物とは、経糸と緯糸が1本ずつ交互に交錯する組織であり、表裏がなく経緯糸方向の同等性が高い組織である。変化平織物としては、平織物の交錯点の上下又は左右に交錯点を添加して表面に畝を現した畦織物、2本以上の経糸が共通連動し、2本以上の緯糸が同一杼口に入る斜子織物等が例示される。さらに、織物に厚みを増すために、上記の平織物や斜文織物を複数枚重ねた構造となるように連結糸を経糸あるいは緯糸に用いた構造としてもよく、作業効率を向上させるものである。
平織物においては、経糸及び緯糸を構成するそれぞれの繊維において好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは100質量%を複合糸条とすることにより、複合材料成形体の力学特性を経緯糸方向ともに向上させることができる。また、経緯糸方向の力学特性を同等にする観点から経糸密度/緯糸密度の比は、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.7〜1.5である。
複合糸条は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混合され、連続強化繊維の間隙に連続熱可塑性樹脂繊維が連続して略均一に分散した状態であることが好ましい。
〔複合糸条の製造方法〕
複合糸条の製造方法は特に限定されるものではなく、、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維とを混繊する公知の方法を利用できる。例えば、静電気力や流体噴霧による圧力、ローラー等に押し付ける圧力等による外力によって開繊した後、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を開繊したままの状態で合糸・引き揃える開繊合糸法、流体交絡(インターレース)法が挙げられる。連続強化繊維の損傷が抑制でき、開繊性に優れ、均一に混合可能な観点からは流体交絡法が好ましく、流体交絡(インターレース)法としては、空気、窒素ガス及び水蒸気等の流体による渦流乱流帯域を糸軸とほぼ平行に2個又はそれ以上作り、この帯域に繊維を導いてループや捲縮を生じない程度の張力下で非嵩高性の糸条とする方法や、連続強化繊維のみ開繊した後、又は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維共に開繊した後に流体交絡させる方法(開繊後流体交絡法)等が挙げられる。特に、連続熱可塑性樹脂繊維に単独で熱加工を含む工程で仮撚加工を施した後、同一の装置で連続して、流体交絡法で混繊することが好ましい。
単独で熱加工を含む工程で加工した連続熱可塑性樹脂繊維を同一の装置で連続して、開繊又は開繊せずに、開繊した又は開繊していない連続強化繊維と合糸及び引き揃えて流体交絡ノズルに供給することは、連続強化繊維のみに集中的に流体による渦流乱流が作用することなく、連続強化繊維の損傷が抑制でき、好ましい。さらに、連続強化繊維単独又は上記引き揃えた繊維を、好ましくは引き揃えた繊維を流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直に供給することは、連続強化繊維に屈曲による伸長力及び圧縮力が過剰に作用することなく、連続強化繊維の損傷が抑制でき、好ましい。特に、脆性材料であるガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維を連続強化繊維として用いる場合に、引き揃えた繊維を流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直に供給することは損傷抑制効果が顕著で好ましい。また、圧縮力によって座屈破壊が生じ易いアラミド繊維を連続強化繊維として用いる場合に、引き揃えた繊維を流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直に供給することは座屈破壊を抑制でき、好ましい。ここで、流体交絡ノズルの糸条導入穴面に実質的に垂直とは、目視によって糸道が垂直であると確認できる状態を意味する。
<布帛化>
布帛を得る方法は特に限定されず、用途、目的に応じて選定した適切な布帛を作製する公知の方法を用いることができる。例えば、織物は、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機等の製織機を用い、少なくとも一部に複合糸条を含んでいればよい。好ましくは、複合糸条を含む繊維を配列させた経糸に、緯糸を打ち込むことによって、得てもよい。編物は、丸編み機、横編み機、トリコット編み機、ラッシェル編み機等の編み機を用い、少なくとも一部に複合糸条を含む繊維を編成することによって得られる。
〔複合材料の製造方法〕
本発明の複合材料の製造方法は、少なくとも1つの切断面を有する連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料の製造方法であって、切断面を、熱可塑性樹脂の融点以上の温度を有する刃により熱可塑性樹脂を溶融させながら複合材料を裁断し、溶融させた熱可塑性樹脂を固化して形成する。
裁断溶融する工程においては、熱可塑性樹脂の融点以上の温度を有する刃により、熱履歴を付すことにより、熱可塑性樹脂を溶融させながら複合材料を裁断する。
刃の温度は、熱可塑性樹脂の融点以上であり、融点よりも50℃高いことが好ましく、75℃高いことがより好ましい。なお、刃の温度は熱可塑性樹脂の劣化の観点からすれば、融点+150℃以下であることが好ましい。
刃はスェーデン鋼刃、トムソン刃、超鋼刃などが挙げられ、好ましくは硬度や剛性が高い材質が好ましい。
複合材料を熱可塑性樹脂の融点以上に熱された刃により、連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料を裁断することにより、熱可塑性樹脂を溶融させながら複合材料は裁断されて裁断面が発生し、裁断面は溶融させた熱可塑性樹脂が固化することで切断面となり、これによって、端面がほぐれない複合材料を製造することができる。
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ガラス繊維(繊度685dtex×単糸数400本、日本電気硝子(株)製))とポリアミド66繊維(繊度470dtex×単糸数144本、旭化成せんい(株)製レオナ(登録商標))を引き揃えた後、流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸条を得た。
・流体交絡ノズル 京セラ(株)製KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧 2.5kg/cm
・加工速度 100m/min又は40m/min
この複合糸条を経糸、ポリアミド66繊維(繊度470dtex×単糸数144本、旭化成せんい(株)製レオナ(登録商標))を緯糸として用い、経糸密度が16本/2.54cm、緯糸密度が18本/2.54cm、幅1000mmの布帛を製織した。
次いで、この布帛を8枚積層させて、装置(型式TCM550A、株式会社トーコー製)の盤面上に、スェーデン鋼刃(片刃45°、2mm厚)に340℃の熱をかけ、下支点停止時間0s、当て板としてベイク板を用い裁断した。
[実施例2]
実施例1で作製した布帛を8枚積層させて、装置(型式TCM550A、株式会社トーコー製)の盤面上に、スェーデン鋼刃(片刃45°、2mm厚)に320℃の熱をかけ、下支点停止時間0s、当て板としてベイク板を用い裁断した。
[実施例3]
実施例1で作製した布帛を8枚積層させて、装置(型式TCM550A、株式会社トーコー製)の盤面上に、トムソン刃(0.2mm厚)に320℃の熱をかけ、下支点停止時間8s、当て板としてベイク板を用い裁断した。
[比較例1]
実施例1で作製した布帛を8枚積層させて、装置(型式TCM550A、株式会社トーコー製)の盤面上に、スェーデン鋼刃(片刃45°、2mm厚)に熱をかけずに、下支点停止時間0s、当て板としてベイク板を用い裁断した。
[比較例2]
実施例1で作製した布帛を8枚積層させて、装置(株)ムサシノキカイ製SPL3905/SSL400で出力400Wで、裁断した。
実施例および比較例の切断面(比較例1の場合は裁断面)の図1に示す領域であって、表面から500μmの厚さ領域から切り出したサンプルを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶かして、不溶の連続強化繊維を除去し、上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶けている状態の熱可塑性樹脂の分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィーを使い測定を実施した。切断面部以外の分子量Mnを100%として切断面の分子量の低下率を測定した。裁断条件等とともに表1に示す。なお、表1の積層枚数は切断前に何枚積層したかを示し、積層固定枚数は切断前に積層した枚数のうち何枚が裁断により固定されたかを示すものである。
表1に示すように、本発明の製造方法により製造された布帛(複合材料)は、熱可塑性樹脂そのものの分子量に対する溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量(表1では分子量保持率として記載)が60%以上と高く、熱可塑性樹脂が溶融固化した状態であって、切断面近傍の布帛の物性低下が抑制された状態であった。なお、実施例2は刃温度が実施例1に比べて下がったために積層固定枚数が7枚となったが、実施例3に示すように、刃温度が下がっても下支点停止時間を長くすることで積層した全てが固定された。図2は実施例1の布帛の切断面を示す写真であるが、切断面がほつれることがなく、焼け焦げてもいないことがわかる。一方、熱可塑性樹脂が溶融固化していない比較例1では、切断面がほつれた。また、比較例2に示すようにレーザで切断したものは、分子量保持率が18%と低く、複合材料の物性低下が起こった状態であった。図3は、比較例2の布帛の切断面を示す写真であるが、切断面はほつれていないものの、焼け焦げていることがわかる。
本発明の複合材料は、各種機械や自動車等の構造部品、圧力容器及び管状の構造物等、高レベルでの機械的物性が要求される樹脂複合材料成形体の材料として用いることができる。

Claims (10)

  1. 連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料であって、該複合材料の切断面における熱可塑性樹脂の少なくとも1部が溶融固化してなり、該溶融固化している熱可塑性樹脂の分子量が前記熱可塑性樹脂の分子量の20%以上である複合材料。
  2. 前記複合材料が布帛状である請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記連続強化繊維の融点が前記熱可塑性樹脂の融点よりも50℃以上高い請求項1または2記載の複合材料。
  4. 前記連続強化繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の複合材料。
  5. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3又は4記載の複合材料。
  6. 前記熱可塑性樹脂が繊維状である請求項1〜5いずれか1項に記載の複合材料。
  7. 前記連続強化繊維が前記熱可塑性樹脂で被覆されたものである請求項1〜5いずれか1項に記載の複合材料。
  8. 少なくとも1つの切断面を有する連続強化繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合材料の製造方法であって、前記切断面を、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度を有する刃により前記熱可塑性樹脂を溶融させながら前記複合材料を裁断し、溶融させた前記熱可塑性樹脂を固化して形成する複合材料の製造方法。
  9. 前記連続強化繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項8記載の複合材料の製造方法。
  10. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項8又は9記載の複合材料の製造方法。
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