JP6297310B2 - 組紐 - Google Patents
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Description
複合材料成型体の中間材料の一つであるプリフォームとして、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条を用いた組紐が挙げられる。組紐に圧縮加熱や内圧加熱を施して、組紐に含まれる複合糸条中の熱可塑性樹脂繊維を溶融させ、成形することによって複合材料成型体が得られる。また、組紐に熱硬化性樹脂を含浸した後、加圧加熱することによって複合材料成型体を得ることもできる。
また、特許文献5及び6には単繊維切れの発生を抑制するために繊維束を液体中で混繊する方法が、特許文献7にはたわませた繊維束に吸引空気流を作用させ幅広く開繊させた後に当該繊維束を合わせることにより混繊させる方法が開示されている。
具体的には、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を分散、混合させる、特許文献1〜4に開示される何れの方法においても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を均一に混繊することは難しく、また、十分な開繊状態、混繊状態を得ようとすると連続強化繊維の単糸切れが発生しやすく、連続強化繊維本来の力学特性を得られなくなる問題があった。そして、単糸切れを防止しようとすると、十分な混繊状態が得られず、複合材料の取扱い性として、複合糸条から組紐を作成する際の工程性が良好で、該工程で連続強化繊維が損傷し難いことが求められるものの、取扱性に劣る、すなわち、短時間の成形で複合材料成型体とした場合に空隙が発生する等により、十分な力学特性を得ることができず、十分な力学特性を得るためには、10分以上の長時間の成形を行う必要があるという問題があった。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
複合糸条を含む組紐であって、
前記複合糸条が、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条であり、前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率の差が0.5〜20%である、組紐。
〔2〕
前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜2.5%である、〔1〕に記載の組紐。
〔3〕
前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率が0.5〜20%である、〔1〕又は〔2〕に記載の組紐。
〔4〕
単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、前記連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cm3である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の組紐。
〔5〕
前記連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力が前記連続強化繊維の引張り破断強力の50〜100%である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の組紐。
〔6〕
前記連続強化繊維の単糸に前記連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度が9〜100MPaである、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の組紐。
〔7〕
前記連続強化繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の組紐。
〔8〕
単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、前記連続強化繊維と前記連続熱可塑性樹脂繊維の積RDの比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜5である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の組紐。
〔9〕
前記連続強化繊維と前記連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)の比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜2である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の組紐。
〔10〕
前記連続強化繊維及び前記連続熱可塑性樹脂繊維の総繊度が100〜20,000dtexである、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の組紐。
〔11〕
前記連続熱可塑性樹脂繊維がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維である、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の組紐。
〔12〕
前記複合糸条が連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が流体交絡法で混繊された複合糸条である、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の組紐。
〔13〕
前記複合糸条が連続熱可塑性樹脂繊維が単独で、熱加工を含む工程で加工された後、同一の装置で連続して、熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維が引き揃えられて流体交絡ノズルに供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条である、〔12〕に記載の組紐。
〔14〕
前記複合糸条が連続強化繊維が単独で又は連続強化繊維と熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維が引き揃えられて、流体交絡ノズルの導入穴面に実質的に垂直に供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条である、〔12〕に記載の組紐。
〔15〕
中心糸と、組糸とからなり、前記中心糸が前記複合糸条を含む、〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の組紐。
〔16〕
前記組糸が前記複合糸条を含む、〔15〕に記載の組紐。
〔17〕
前記複合糸条を含む組糸からなる、〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の組紐。
〔18〕
〔1〕〜〔17〕のいずれかに記載の組紐からなる複合材料成型体。
〔19〕
パイプ状である、〔18〕に記載の複合材料成型体。
沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、捲縮率の差が0.5〜20%であれば、複合糸条を製紐等によって組紐とした複合材料成型体用の中間材料を染色する際、また、複合材料成型体用の中間材料である組紐を圧縮成形するために連続熱可塑性樹脂繊維を溶融状態とする際、加熱を含む工程を行っても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離することがなく、混繊で得られた連続した均一な混合状態を維持することが可能である。さらに、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の両繊維の分離に伴い、連続強化繊維が屈曲し、機械的物性が低下することを抑制することが可能となる。
両繊維の分離の抑制及び混繊による連続した均一な混合の観点から、沸水収縮率の差は、好ましくは0〜7%、より好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜2.5%である。両繊維の分離の抑制及び混繊による連続した均一な混合の観点から、捲縮率の差は、好ましくは2〜20%、より好ましくは5〜15%である。
熱加工温度は、好ましくは連続熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度(Tg)以上融点以下、より好ましくは(Tg+15℃)以上融点以下、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上(融点−10℃)以下である。熱加工時間は熱加工方法、熱加工温度に応じ、目的とする沸水収縮率となるよう適宜設定すればよいが、10秒〜60分が好ましい。
捲縮を付与するには、公知の方法が利用でき、例えば、異形断面、紡糸時の偏冷却、サイドバイサイド型複合紡糸、偏芯シースコア型複合紡糸、機械捲縮を付与する方法等が挙げられる。汎用性の観点から機械捲縮を付与する方法が好ましく、この場合の捲縮付与方法としては、例えば、ニットデニット法、エアースタッフィングボックス法、スチームスタッフィングボックス法等が挙げられる。仮撚加工から連続して混繊を実施でき、効率が良好な観点から、仮撚加工法で捲縮を付与することが好ましい。
仮撚加工法としては、いかなる形式の仮撚装置を用いることができるが、一般に用いられているピンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等の仮撚装置を用いて加工することができる。
仮撚加工は熱加工を含む工程と同時に行うことが好ましく、熱加工を含む工程を効果的に行う点から、2ヒーター仮撚加工が好ましい。
仮撚ヒーター温度は、好ましくは連続熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度(Tg)以上融点以下、より好ましくは(Tg+15℃)以上融点以下、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上(融点−10℃)以下であり、2ヒーターとする場合は、第1ヒーター温度を上記温度範囲とし、第2ヒーター温度は第1ヒーター温度に対して、−30℃〜+50℃の範囲とすることが好ましい。
沸水収縮率が0〜10%であれば、組紐に加熱を含む工程を行っても、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離することを抑制できる。
捲縮率が0.5〜20%であれば、連続熱可塑性樹脂繊維同志及び/又は連続熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維との接触が少なくなり、繊維間の見掛けの摩擦力が低下し、開繊、混繊し易い状態となるため、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混合し易くなる。さらに、連続熱可塑性樹脂繊維が捲縮を有しているために、複合糸条中で連続熱可塑性樹脂繊維が収縮しても、連続強化繊維と分離し難くなる効果も有する。
加熱を含む工程における複合糸条の寸法安定性の観点から、沸水収縮率は、より好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0〜5%、よりさらに好ましくは0〜2.5%である。捲縮によるクッション性により、複合糸条中の連続強化繊維の損傷を抑制する観点から、捲縮率は、より好ましくは2〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。
連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cm3であれば、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の両繊維を混繊する際に、連続強化繊維に損傷を与えることなく、連続強化繊維が開繊し易くなり、両繊維が連続して均一に混じり合うことが可能である。
連続強化繊維の積RDが5μm・g/cm3以上であれば、混繊時に連続強化繊維が損傷を受けにくく、混繊の加工工程性に優れ、組紐より得られる複合材料成型体が十分な力学特性を発揮する。
連続強化繊維の積RDが100μm・g/cm3以下であれば、連続強化繊維が開繊しやすく、両繊維が連続して均一に混じり合いやすい。そのため、短時間の成形で、十分な力学特性を発揮した複合材料成型体が得られる。
R=20×(T/π・F・D)0.5 (1)
積RDを好ましい範囲とするには、例えば、ガラス繊維の単糸径が9μmであり、繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維を用いればよい。
<種類>
本実施形態に用いる連続強化繊維は、通常の繊維強化複合材料として使用されるものを用いることができ、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、セラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。機械的物性、熱的物性、汎用性の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましく、価格の観点からガラス繊維がより好ましい。
連続強化繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜15,000本であることが好ましい。
本実施形態において、連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力は、連続強化繊維の引張り破断強力の50〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%、さらに好ましくは65〜100%である。エアスプライサーは空気噴射によって、糸端を開繊するとともに、糸端の単糸同士を絡ませることによって、糸端同士を繋ぐ装置である。従って、エアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力が前記範囲であれば、連続強化繊維の空気による開繊、混合が良好であり、損傷が少ないと判断でき、好ましい。
連続強化繊維の繊度に応じて、エアスプライサーのチェンバー、チェンバーカバーを適宜選択して取り付け、好ましくは下記条件でエアスプライサー所定の手順で強化繊維を繋ぐ。
供給空気圧力 0.7MPa
空気噴射時間 調整ノブPT150の目盛4
糸はし長さ レギュレーターPT40の目盛4
得られた繋ぎ糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力をJIS L1013に記載の方法で測定する。
集束剤の種類は公知の集束剤から、連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の種類に応じて適宜選択すればよい。
集束剤は連続強化繊維と熱可塑性樹脂の接着性を向上させる機能を果すため、連続強化繊維の単糸に連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度は、好ましくは9MPa以上、より好ましくは13MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。界面接着強度は、集束剤の種類、付着量を適宜選択することにより調節できる。界面接着強度は大きいほど好ましいが、界面接着強度が大きくなりすぎると連続強化繊維の単糸が測定中に切断する等の問題が発生するので、100MPa以下とすることが好ましい。
界面接着強度τ=f/π・R・l (2)
(f:最大引抜荷重(N)、R:連続強化繊維単糸径(m)、l:ドロップの引抜方向の粒子径(m))
連続強化繊維として、ガラス繊維を選択した場合、集束剤はシランカップリング剤、潤滑剤及び結束剤からなることが好ましい。
シランカップリング剤は、通常、ガラス繊維の表面処理剤として用いられ、界面接着強度向上に寄与する。シランカップリング剤としては、特に制限されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類からなる群から選択される1種以上を用いることができ、中でも、アミノシラン類が好ましい。
潤滑剤は、ガラス繊維の開繊性向上に寄与する。潤滑剤としては、目的に適した通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、特に制限されないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤から選択される1種以上を用いることができる。
結束剤は、ガラス繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。結束剤としては、目的に適したポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂も好適に使用される。
さらに、一層、両繊維の接着性を向上させ、集束剤を水分散体としてガラス繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、熱可塑性樹脂としては、変性熱可塑性樹脂が好ましい。ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量としては、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。ガラス繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
ガラス繊維集束剤において、それぞれ、シランカップリング剤を0.1〜2質量%、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%を含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整する。
潤滑剤の配合量は、充分な潤滑性を与えるという観点、及びエアスプライサーによる繋ぎ糸の引張り破断強力向上と混繊工程における開繊性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上であり、界面接着強度向上と複合材料成型体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
結束剤の配合量は、ガラス繊維の集束性制御及び界面接着強度向上と複合材料成型体の機械的強度向上との観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
ガラス繊維集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液が好ましい。
連続強化繊維として、炭素繊維を選択した場合、集束剤は潤滑剤、結束剤からなることが好ましい。
潤滑剤は、炭素繊維集束剤の調整及び損傷防止性向上、開繊性向上に寄与する。潤滑剤としては、目的に適した通常の液体又は固体の任意の潤滑材料が使用可能であり、特に制限されないが、例えば、カルナウバワックスやラノリンワックス等の動植物系又は鉱物系のワックス;脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族系エステル、芳香族系エーテル等の界面活性剤から選択される1種以上を用いることができる。
結束剤は、炭素繊維の集束性向上及び界面接着強度向上に寄与する。結束剤としては、目的に適したポリマー、熱可塑性樹脂が使用可能である。
ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;各種フェノール類とホルマリンを反応させて得られるフェノール樹脂;尿素とホルマリンを反応させて得られるユリア樹脂;メラミンとホルマリンを反応させて得られるメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。また、例えば、m−キシリレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)及びイソホロンジイソシアナート等のイソシアネートとポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるポリウレタン樹脂も好適に使用される。
さらに、一層、両繊維の接着性を向上させ、集束剤を水分散体として炭素繊維に付着させる場合において、乳化剤成分の比率を低減、あるいは乳化剤不要とできる等の観点から、熱可塑性樹脂としては変性熱可塑性樹脂が好ましい。ここで、変性熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂の主鎖を形成し得るモノマー成分以外に、その熱可塑性樹脂の性状を変化させる目的で、異なるモノマー成分を共重合させ、親水性、結晶性、熱力学特性等を改質したものを意味する。
変性ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量としては、特に制限されないが、5,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。炭素繊維の集束性向上の観点から5,000以上が好ましく、水分散性とする場合の乳化安定性の観点から200,000以下が好ましい。
ポリカルボン酸又はその無水物としては、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸塩、5−スルホイソフタル酸塩、5−スルホオルトフタル酸塩等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
炭素繊維集束剤において、それぞれ固形分として、潤滑剤を0.01〜1質量%、結束剤を1〜25質量%含有することが好ましく、これらの成分を水で希釈し、全質量を100質量%に調整する。
結束剤の配合量は、炭素繊維の集束性制御、界面接着強度向上及び複合材料成型体の機械的強度向上の観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
炭素繊維集束剤は、使用態様に応じて、水溶液、コロイダルディスパージョンの形態、乳化剤を用いたエマルジョンの形態等、いずれの形態に調整してもよいが、集束剤の分散安定性向上、耐熱性向上の観点から、水溶液が好ましい。
連続強化繊維として、ガラス繊維、炭素繊維以外の繊維を用いる場合は、連続強化繊維の特性に応じ、ガラス繊維、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量を適宜選択すればよく、炭素繊維に用いる集束剤に準じた集束剤の種類、付与量とすることがより好ましい。
<種類>
本実施形態に用いる連続熱可塑性樹脂繊維は通常、複合材料成型体用混繊糸に用いるものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンサルファイド;熱可塑性ポリエーテルイミド;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等の熱可塑性フッ素系樹脂、及びこれらを変性させた変性熱可塑性樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維であることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が、機械的物性、汎用性の観点からより好ましく、熱的物性の観点を加えるとポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂がさらに好ましい。また、繰り返し荷重負荷に対する耐久性の観点からポリアミド系樹脂がよりさらに好ましく、ポリアミド66を好適に用いることができる。
ポリエステル系樹脂とは、主鎖に−CO−O−(エステル)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリエステル系樹脂としては、ホモポリエステルであってもよく、また、共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合、ホモポリエステルに適宜第3成分を共重合させたものが好ましく、第3成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分等が挙げられる。また、バイオマス資源由来の原料を用いたポリエステル系樹脂を用いることもでき、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリアミドとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
ω−アミノカルボン酸としては、例えば、ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。ラクタム又はω−アミノカルボン酸はそれぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
単量体としてのジアミン及びジカルボン酸はそれぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
連続熱可塑性樹脂繊維の単糸数は、混繊工程における開繊性、及び取扱い性の観点から30〜20,000本であることが好ましい。
本実施形態において、連続強化繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)の積RD(連続強化繊維)と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)の積RD(連続熱可塑性樹脂繊維)の比、RD(連続強化繊維)/RD(連続熱可塑性樹脂繊維)は、好ましくは0.3〜5、より好ましくは0.5〜4、さらに好ましくは0.6〜2である。
混繊工程において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維はお互いに開繊、混合することが好ましく、そのためには、混繊時に作用する外力により、両繊維に発生する加速度が略同等であることが好ましいと推量される。両繊維の積RDの比が前記範囲であれば、各繊維に発生する加速度が略同等になると推察され、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維がお互いに混合し易くなり好ましい。
本実施形態において、連続強化繊維の単糸径と連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径の比は、好ましくは0.3〜2、より好ましくは0.5〜1.5、さらに好ましくは0.5〜1である。
混繊工程において、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維はお互いに開繊、混合することが好ましく、そのためには、混繊時に作用する外力も略同等であることが好ましいと推量される。単糸径の比が前記範囲であれば、各繊維に作用する外力が略同等になると推察され、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維がお互いに混合し易くなり、好ましい。さらに、単糸径の比が前記範囲であれば、単糸径が略同等であるために、複合糸条内での両繊維の幾何学的な分布状態が均一になり易く、熱可塑性樹脂繊維を加圧、加熱により溶融させた場合、強化繊維内に熱可塑性樹脂が含浸し易くなり、成形時間を短くでき、好ましい。
混繊工程における、両繊維の開繊性、均一混合性の観点、及び組紐を得る際の取扱い性の観点から前記範囲が好ましい。
複合糸条に占める連続強化繊維の含有率が30質量%以上であれば、複合材料成型体の機械的強度が高く、充分な補強効果が発揮する。連続強化繊維の含有率が85質量%以下であれば、マトリックスが十分なので、複合材料成型体に空隙部が生じることを防止できる。
本実施形態における複合糸条を製造するために、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維とを混繊する方法は公知の方法を利用できる。例えば、静電気力や流体噴霧による圧力、ローラー等に押し付ける圧力等による外力によって開繊した後、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維を開繊したままの状態で合糸・引き揃える開繊合糸法、流体交絡(インターレース)法が挙げられる。連続強化繊維の損傷が抑制でき、開繊性に優れ、均一に混合可能な流体交絡法が好ましく、流体交絡(インターレース)法としては、空気、窒素ガス及び水蒸気等の流体による渦流乱流帯域を糸軸とほぼ平行に2個又はそれ以上作り、該帯域に繊維を導いてループや捲縮を生じない程度の張力下で非嵩高性の糸条とする方法や、連続強化繊維のみ開繊した後、又は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維共に開繊した後に流体交絡させる方法(開繊後流体交絡法)等が挙げられる。特に、連続熱可塑性樹脂繊維に単独で熱加工を含む工程で仮撚加工を施した後、同一の装置で連続して、流体交絡法で混繊することが好ましい。
図1において、11は連続強化繊維12aの回巻体、21は連続熱可塑性樹脂繊維22aの回巻体、13は連続強化繊維12a及び連続熱可塑性樹脂繊維22aを合糸・引き揃えながら、引き出すための駆動ロール、14は圧縮空気を使用した流体交絡ノズル、16は得られた複合糸条15bを巻き取るための巻き取り機、17は熱加工用ヒーター、18は仮撚ユニットであって、好ましくはニップベルトタイプの仮撚ユニットである。
複合糸条は連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に混合され、連続強化繊維の間隙に連続熱可塑性樹脂繊維が連続して略均一に分散した状態であることが好ましい。ここで、連続して略均一に分散しているとは、複合糸条の任意の横断面において、連続熱可塑性樹脂繊維の単糸と接触している連続強化繊維の単糸数をA(本)とし、また連続強化繊維の全単糸数をB(本)とし、(A/B)×100(%)で算出した連続強化繊維の分散率を、好ましくは30〜75%、より好ましくは40〜75%とすることである。
連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に分散、混合し、該複合糸条から短時間成形で得られる複合材料成型体が優れた力学特性を発揮する観点から、分散率は30%以上が好ましい。混繊時に連続強化繊維の損傷を抑制し、毛羽発生を防止する観点から分散率は75%以下が好ましい。
複合糸条は加熱しても連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しないことが好ましい。ここで、加熱とは、連続熱可塑性樹脂繊維の示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度(Tg)を超える温度に30秒以上、張力がかからない状態で曝すことである。例えば、染色工程における湿熱加熱、乾燥工程における乾式加熱、成形前の予備加熱工程における赤外線ヒーターによる加熱等が挙げられる。連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しないとは、染色や圧縮成形等するために加熱しても、分散率が30〜75%を維持する場合を意味する。また、分散率が加熱の前後で実質的に変化しないことも、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しない上で好適である。加熱しても連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が分離しないことが、加熱後も連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が連続して均一に分散、混合し、該複合糸条から短時間成形で得られる複合材料成型体が優れた力学特性を発揮することから、好ましい。
交差角度は、必要とする物性に応じて適宜、設定すれば良く、特に限定はされない。組紐の長手方向に高強度を要する場合は交差角度を小さく設定すれば良く、例えば、0〜60度、好ましくは10〜45度、さらに好ましくは10〜30度に設定すればよい。また、組紐の周方向に高強度を要する場合は交差角度を大きく設定すれば良く、例えば、15〜90度、好ましくは30〜80度、さらに好ましくは45〜80度に設定すればよい。
組紐を得る方法は特に限定されず、用途、目的に応じて選定した適切な組紐を作製する公知の方法を用いることができる。
本実施形態の組紐としては、本実施形態における複合糸条を含んでいれば特に限定されず、複合糸条の特性を有する組紐として有用である。
組紐として、中心糸と、その周りの組糸とからなる組紐や、中心糸を含まず、組糸からなる中空状の組紐等が挙げられる。
中心糸と組糸とからなる組紐においては、中心糸に本実施形態における複合糸条を含んでいることが好ましく、組糸には、本実施形態における複合糸条を用いてもよく、複合糸条を構成する連続熱可塑性樹脂繊維を用いてもよい。
また、組紐の形態は、製紐に用いる装置に由来するが、紐状であるだけではなく、H型やL型の構造であったり、多軸組物としての多軸な構造等が挙げられ、紐状の形態に限定されるものではない。
本実施形態においては、複合糸条を用いて組紐としているため、組紐において複合糸条が連続構造として存在する。そして、連続強化繊維が複合糸条として連続して存在する形態をとるため、成形した場合に、複合材料成型体として優れた力学特性を発揮する組紐である。
複合糸条より連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ約600mm取り出し、沸水収縮率をJIS L1013 熱水寸法変化率B法に準拠して常圧下で測定して、n=10の平均値によって算出した。複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率から複合糸条中から取り出した連続強化繊維の沸水収縮率を差し引きいて、沸水収縮率の差を算出した。連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の分離が困難な場合は、複合糸条中の各々の繊維から単糸を取り出して、同様の手順で沸水収縮率を算出した。
複合糸条より連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ約300mm取り出し、捲縮率をJIS L1013 伸縮性A法に準拠して測定して、n=20の平均値によって算出した。複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率から複合糸条中から取り出した連続強化繊維の捲縮率を差し引いて、捲縮率の差を算出した。連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の分離が困難な場合は、複合糸条中の各々の繊維から単糸を取り出して、同様の手順で捲縮率を算出した。
連続強化繊維及び連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)は、カタログ値の密度D(g/cm3)、繊度T(dtex)、単糸数F(本)を用い、下記式(1)により算出した。
R=20×(T/π・F・D)0.5 (1)
なお、一般に、連続強化繊維には、集束剤が付着されており、カタログ値としての密度Dは、カタログにおいて集束剤を含まない密度である旨等の特段の記載がされていない限り、集束剤が付着された状態の連続強化繊維としての密度を意味する。すなわち、カタログ値をそのまま密度Dとして用い、仮に、集束剤を含まない状態の連続強化繊維の密度として記載されている場合には、その値を密度Dとし、集束剤を含む状態の連続強化繊維の密度として記載されている場合には、その値を密度Dとする。
また、本実施例において、連続強化繊維に関する評価方法及び測定方法については、集束剤が付着された状態の値であってよい。
(株)マシンテックス製ジョイントエアー110型を用い、取扱説明書に準じて、連続強化繊維の繊度に応じたエアスプライサーのチェンバー、チェンバーカバーを選択して取り付け、下記条件でエアスプライサー所定の手順で連続強化繊維をエアスプライサーによってつないだ繋ぎ糸条を得た。
供給空気圧力 0.7MPa
空気噴射時間 調整ノブPT150の目盛4
糸はし長さ レギュレーターPT40の目盛4
得られた繋ぎ糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力をJIS L1013に準拠して(株)オリエンテック社製テンシロンにより、つかみ間隔20cm、引張り速度20cm/分で測定し、両測定値の比を算出した。
界面接着強度は複合材料界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を使用し、マイクロドロップレット試験により測定した。
連続強化繊維より単糸を取り出し、複合材料界面特性評価装置にセッティングした。装置上で連続熱可塑性樹脂繊維の原料となる熱可塑性樹脂を溶融させたドロップを連続強化繊維単糸上に形成させ、室温で十分に冷却し、測定用の試料を得た。測定試料を装置に再度セッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、連続強化繊維単糸を装置上で0.06mm/分の速度で走行させ、ドロップを引き抜く際の最大引抜荷重f(N)を測定し、下記式(2)により界面接着強度τを算出した。
界面接着強度τ=f/π・R・l (2)
(f:最大引抜荷重(N)、R:連続強化繊維単糸径(m)、l:ドロップの引抜方向の粒子径(m))
複合糸条の長手方向の20mごとに長さ20cmを3点サンプリングし、採取した各試料ごとに横断面(糸条軸に対して垂直面)を鋭利な刃物で切断し、該切断面の全域を写真撮影する。該写真から連続熱可塑性樹脂繊維の単糸と接触若しくは連続熱可塑性樹脂繊維の単糸をその単糸径の10%だけ位置をずらせば接触するであろう連続強化繊維の単糸数を計測して、これをA(本)とする。該写真に撮影された複合糸条の横断面全域に存在する連続強化繊維の単糸数を計測し、これをB(本)とする。計測したA及びBから式(3)により、連続強化繊維の分散率%の平均値(n=3)を算出した。
分散率=(A/B)×100% (3)
複合糸条及び連続強化繊維の引張り破断強力をJIS L1013に準拠して(株)オリエンテック製テンシロンにより、つかみ間隔20cm、引張り速度20cm/分、n=10の測定を行い、測定値から算術平均値を求め、両算術平均値の比を算出し、複合糸条の引張り破断強力維持率とした。
複合糸条100mを周長1mの綛巻にした測定サンプルを加熱加圧が可能な密閉容器に浴比1:100となるようにイオン交換水とともに封入する。この密閉容器を110℃のオイルバスに30分浸漬して加熱後、室温まで冷却し、密閉容器から複合糸条を取り出し、無荷重で風乾する。風乾後、分散率を算出した。
長さ30cm、幅5cmの金枠に複合糸条または組紐を2.5cm幅に一方向に揃えて、ハンドにより、複合材料成型体にした際に厚さ1mmとなるように巻いた後、真空乾燥機を用い、100℃24時間、真空乾燥した。乾燥後、熱可塑性樹脂繊維の融点+20℃にあらかじめ加熱した平板成形用の金型に、金枠とともに組紐を移した。金型を熱可塑性樹脂繊維の融点+20℃に加熱した熱盤を備えた卓上型プレスに移し、0.5MPa、5分間、加圧した後、25℃に水冷した冷却盤を備えた卓上型プレスに移し、0.5MPaで加圧し、熱可塑性樹脂繊維のガラス転移点以下に金型温度が達するまで冷却した。冷却後、除圧し、金型から複合材料成型体を取り出した。得られた複合材料成型体中の強化繊維の軸方向(組紐を用いた場合は、組紐の長手方向)を試験片の引張り方向としてJIS K7054に準拠して引張り特性(引張り破断強力、引張り初期弾性率)を測定した。
下記集束剤Aを1.0質量%付着させた繊度660dtexで単糸数400本のガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を連続強化繊維として用いた。
集束剤Aの組成:
・シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.6質量%〔商品名:KBE−903(信越化学工業(株)製)〕
・潤滑剤:ワックス0.1質量%〔商品名:カルナウバワックス((株)加藤洋行製)〕
・結束剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体塩5質量%〔商品名:アクアリックTL(日本触媒(株)製)〕
ガラス繊維の繋ぎ糸条の引張り破断強力及び界面接着強度を測定した結果を表1に示す。
交絡処理を施していない沸水収縮率7%のポリアミド66繊維〔商品名:レオナ(登録商標)470/144BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数144本〕を連続熱可塑性樹脂繊維として用いた。該繊維に(株)石川製作所製IVF338を用いて、下記条件で熱加工及び仮撚加工を施した。
仮撚数 1050T/m(製造例1,2) 750T/m(製造例3)
ヒーター温度 240℃(製造例1) 200℃(製造例2、3)
糸速度 30m/min(製造例1〜3)
両繊維を合糸・引き揃えた後、図2aに示すように流体交絡ノズルに実質的に垂直に供給し、下記条件で流体交絡させて、複合糸条を得た。
・流体交絡ノズル 京セラ(株)製KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)
・空気圧 2kg/cm2
・加工速度 30m/min
得られた複合糸条の分散率及び引張り破断強力、抜き出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率、捲縮率を測定した結果を表1に示した。尚、ガラス繊維の沸水収縮率、捲縮率はともに0%であった。さらに、該複合糸条を用いた複合材料成型体を成形し、引張り特性を測定した結果も表1に示した。尚、成形に際し、加熱温度は280℃、冷却後取り出し時の金型温度は50℃とした。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)とポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))を合糸・引き揃えたのみで、特段の混繊を施さないこと以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
沸水収縮率7%(比較製造例2)、11%(比較製造例3)のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))をそのまま、沸水収縮率7%のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))をヒーター温度40℃で仮撚加工して(比較製造例4)用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果を表1に示した。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)の単糸数を100本にした以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)の単糸数を60本にした以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
上記集束剤Aを1.0質量%付着させた繊度470dtexで単糸数72本のステンレス繊維〔商品名:ナスロン(登録商標)(日本精線(株)製)〕を連続強化繊維として用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。尚、ステンレス繊維の沸水収縮率、捲縮率はともに0%であった。
ステンレス繊維(日本精線(株)製)の単糸数を36本にした以外は製造例6と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表1に示した。
集束剤Aの付着量を2.0質量%にしたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
集束剤Aの付着量を4.0質量%にしたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
結束剤を固形分換算で0.5質量%としたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
集束剤Aの付着量を4.0質量%としたガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を用いた以外は製造例10と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)に50回/mの撚りを施した以外は製造例1と同様にして、複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
連続熱可塑性樹脂繊維として、交絡処理を施していない沸水収縮率7%のポリアミド66繊維〔商品名:レオナ(登録商標)470/72BAU(旭化成せんい(株)製)、繊度470dtex、単糸数72本〕を用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
連続熱可塑性樹脂繊維として、製造例1と同様のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製)を3本引き揃えて用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
連続熱可塑性樹脂繊維として用いられたポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製)には流体交絡法によって15個/mの交絡が施されていること以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
連続熱可塑性樹脂繊維として、沸水収縮率6%のポリエチレンテレフタレート繊維〔Hyousung社製Type556、繊度470dtex、単糸数96本〕を用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
連続強化繊維、連続熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ静電気力によって開繊した後、合糸・引き揃え、その後、再度静電気力によって開繊を施す開繊合糸法で混繊した(流体交絡は施さない)以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)の繊度及び単糸数を11,500dtex及び2,000本とし、連続続熱可塑性樹脂繊維としてポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製)を10本引き揃えて用いた以外は製造例17と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
図2bに示すように、流体交絡ノズルへ引き揃え糸条を実質的に45度で供給する以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果等を表2に示した。
連続強化繊維をアラミド繊維〔商品名:ケブラー(登録商標)29(東レ・デュポン(株)製)、繊度1670dtex、単糸数1000本〕を用いた以外は製造例1と同様にして複合糸条及び複合材料成型体を得た。
評価結果を表2に示した。
製造例1で得られた複合糸条を2本引き揃えて、中心糸に用い、その周りの組糸として製造例1で得られた複合糸条または製造例1で用いたのと同様のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))を用いて8打の管状の組紐機により製紐し、直径約0.7mmの組紐を得た。組糸の角度は30°とした。
得られた組紐から前記の方法で、加熱圧縮温度280℃の条件で成形し、複合材料成型体を得た。評価結果等を表3に示す。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)を3本引き揃えて、中心糸に用い、その周りの組糸としてポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))を用いた以外は実施例1と同様にして組紐を得た。
製紐の際、ガラス繊維を単独で組紐機に供給するため、ガラス繊維が組紐機との摩擦により単糸切れを起こし、毛羽が大量に発生した。評価結果等を表3に示した。
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製)と製造例1で用いたのと同様のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))を各2本引き揃えて、中心糸に用い、その周りの組糸として製造例1で用いたのと同様のポリアミド66繊維(旭化成せんい(株)製))を用いた以外は実施例1と同様にして組紐を得た。
製紐の際、ガラス繊維とポリアミド66繊維を単に引き揃えただけで組紐機に供給するため、ガラス繊維が組紐機との摩擦により単糸切れを起こし、毛羽が発生した。評価結果等を表3に示した。
製造例1で得られた複合糸条を3本引き揃えて、組糸として用いて8打の管状の組紐機により、内径10mm、組角度30°で製紐したところ、中空状の組紐を得た。得られた組紐を2層積層し、内側に外径10mmのシリコーンチューブを挿入し、内径12mmの外型内に配置し、280℃に加熱し、シリコーンチューブ内に15kg/cm2の空気を送り、チューブを膨張させて、組紐を外型に押し付け、5分間成形した。室温まで加圧状態で冷却後、成型品を取り出すと外径12mm、厚さ0.5mmの外観の優れた中空パイプが得られた。
得られた中空パイプの曲げ強度を支点間距離300mm、荷重点間距離100mm、曲げ速度5mm/minの条件による4点曲げ試験で求めた結果、450MPaであった。
実施例3と同様にして得られた組紐を2層積層した後、引抜成形によって、中空パイプを得た。引抜成形は、内径12mm、クリアランス1mm、温度280℃の予備加熱金型に組紐を引張りながら挿入し、金型内滞留時間が3分となるように引抜により組紐を移動させ、組紐中のポリアミド66繊維を溶融した後、連続して、内径10mm、クリアランス0.7mm、温度50℃の成型金型に挿入して、金型内滞留時間が2分となるように組紐を移動させ、冷却とクリアランスによる加圧を連続的に行い、外径10mm、厚さ0.7mmの外観の優れた中空パイプが得られた。
得られた中空パイプの曲げ強度を支点間距離300mm、荷重点間距離100mm、曲げ速度5mm/minの条件による4点曲げ試験で求めた結果、440MPaであった。
12a 連続強化繊維
21 連続熱可塑性樹脂繊維の回巻体
22a 連続熱可塑性樹脂繊維
13 駆動ロール
14 流体交絡ノズル
15a 引き揃え糸条
15b 複合糸条
16 巻き取りロール
17 熱加工用ヒーター
18 仮撚ユニット
Claims (19)
- 複合糸条を含む組紐であって、
前記複合糸条が、連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された複合糸条であり、前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率の差が0.5〜20%である、組紐。 - 前記複合糸条中から取り出した連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率の差が0〜2.5%である、請求項1に記載の組紐。
- 前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の沸水収縮率が0〜10%であり、かつ、前記複合糸条中から取り出した連続熱可塑性樹脂繊維の捲縮率が0.5〜20%である、請求項1又は2に記載の組紐。
- 単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、前記連続強化繊維の積RDが5〜100μm・g/cm3である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記連続強化繊維をエアスプライサー((株)マシンテックス製ジョイントエアー110型)によって下記条件でつないだ繋ぎ糸条の引張り破断強力が前記連続強化繊維の引張り破断強力の50〜100%である、
供給空気圧力 0.7MPa
空気噴射時間 調整ノブPT150の目盛4
糸はし長さ レギュレーターPT40の目盛4
請求項1〜4のいずれか一項に記載の組紐。 - 前記連続強化繊維の単糸に前記連続熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂を付着させて測定したマイクロドロップレット試験による界面接着強度が9〜100MPaである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記連続強化繊維がガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール系繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリケトン繊維、金属繊維、及びセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組紐。
- 単糸径R(μm)と密度D(g/cm3)とした場合に、前記連続強化繊維と前記連続熱可塑性樹脂繊維の積RDの比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜5である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記連続強化繊維と前記連続熱可塑性樹脂繊維の単糸径R(μm)の比(連続強化繊維/連続熱可塑性樹脂繊維)が0.3〜2である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記連続強化繊維及び前記連続熱可塑性樹脂繊維の総繊度が100〜20,000dtexである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記連続熱可塑性樹脂繊維がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリエーテルイミド、及び熱可塑性フッ素系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られた連続繊維である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記複合糸条が連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が流体交絡法で混繊された複合糸条である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組紐。
- 連続熱可塑性樹脂繊維が単独で、熱加工を含む工程で加工された後、同一の装置で連続して、熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維と連続強化繊維が引き揃えられて流体交絡ノズルに供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された、請求項12に記載の組紐の製造方法。
- 連続強化繊維が単独で又は連続強化繊維と熱加工を含む工程で加工された連続熱可塑性樹脂繊維が引き揃えられて、流体交絡ノズルの導入穴面に実質的に垂直に供給され連続強化繊維と連続熱可塑性樹脂繊維が混繊された、請求項12に記載の組紐の製造方法。
- 中心糸と、組糸とからなり、前記中心糸が前記複合糸条を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組紐。
- 前記組糸が前記複合糸条を含む、請求項15に記載の組紐。
- 前記複合糸条を含む組糸からなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組紐。
- 請求項1〜12及び15〜17のいずれか一項に記載の組紐からなる複合材料成型体。
- パイプ状である、請求項18に記載の複合材料成型体。
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