JP2015069720A - 酵素−電子メディエーター固定電極、当該電極の製造方法、及び当該電極を利用するバイオ燃料電池 - Google Patents

酵素−電子メディエーター固定電極、当該電極の製造方法、及び当該電極を利用するバイオ燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】酵素−電子メディエーター−電極材間を電子が円滑に伝達でき、かつ安定的にその機能を発揮しえるような酵素電極、製造方法、バイオ燃料電池の提供。
【解決手段】カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に、電子メディエーター及び酵素が固定された酵素−電子メディエーター固定電極であって、前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように構成され、前記電子メディエーターの一部又は全部が前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴内に、前記酵素が親水性ポリマー樹脂層上に固定され、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に配列する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酵素‐電子メディエーター固定電極、当該電極の製造方法、及び当該電極を利用するバイオ燃料電池に関する。詳細には、電極材であるカーボンクロス、電子メディエーター、酵素がバイオエレクトロカタリシス反応の進行に沿って適切に配置された酵素‐電子メディエーター固定電極、当該電極の製造方法、及び当該電極を利用するバイオ燃料電池に関する。
近年、酵素や微生物が持つエネルギー変換システムを利用したバイオ燃料電池の開発が進められている。バイオプロセスを利用するバイオ燃料電池は、緩和な条件かつ高い選択性を有し、燃料として糖やアルコール等の環境中に存在する多様な物質を利用できるという利点を有する。そのため、安全で環境負荷が小さいことから、携帯型機器や体内埋込型機器等の小型電子機器の電源等としての更なる発展が期待されている。近年、バイオ燃料電池の性能向上を目指し、安定性向上、電極素材の最適化、電極/酵素間の電子の移動の効率化等の観点からの研究開発が進められている。
そして、酵素を好適な環境下で安定的に働かせ、かつ電流密度を向上させて十分な出力電流を維持することを目的として、様々な酵素固定化電極の研究が行われている。例えば、多孔質材料等を利用した複雑な構造を有する電極は電極表面積が大きいことから、その電極表面積を十分に利用することができれば高効率の酵素固定化電極を構築できる。その反面、その複雑な構造に起因して電極内部に酵素や電子メディエーターを浸透させることは困難であるため電極表面積を十分に利用できないとの問題があった。そこで、電極に酵素を固定化する際に用いる溶液にエタノール等の有機溶媒を含ませる技術が検討されている(特許文献1)。特許文献1の技術によれば、ポーラスカーボン電極等の複雑な構造を有する電極の内部に酵素を容易に浸透させて固定化することが可能となり、電極の有効表面積を十分に利用することができ、ひいては高効率の酵素固定化電極を構築できることが報告されている。
また、電極上での酵素配置の最適化による酵素固定化電極の高効率化を図るための技術が報告されている(特許文献2等)。例えば、特許文献2には、電極上に形成したリン脂質層に酵素を固定化する技術や、電極上にタンパク質等の中間層を介して形成したリン脂質層やポリイオンコンプレックスに酵素を固定化する技術が開示されている。そして、このように構成することにより、一種又は複数の酵素を最適位置に安定的に固定できるようになったと報告されている。
更に、電極に固定化される酵素及び電子メディエーターの溶出を防止することで電流密度の向上を図るための研究も報告されている(特許文献3及び非特許文献1等)。例えば、特許文献3には、重量比を最適化したポリ-L-リシンとポリアクリル酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックスにより酵素や電子メディエーターを電極に固定化することで、これらの溶出を防止する技術が開示され、これにより、電流密度及び維持率の向上を図ることができる。そして、非特許文献1には、カーボン電極材上にカーボン微粒子を載置し、その表面上にグラフトさせたポリマー鎖に酵素や電子メディエーターを固定し、三次元構造の電極を構築する技術が開示されている。具体的には、ポリアクリル酸骨格固定化する直接固定の他、アルキル側鎖やジ(エチレンオキシド)側鎖等のスペーサを用いて固定することで、これらの溶出を防止する技術が開示されている。更に、非特許文献1には、カーボン電極材の表面の親水基を増やす処理を加えることができることが開示されている。
そして、耐久性及び酵素活性の再現性に優れた種々の酵素電極が報告されている。例えば、特許文献4には、導電性粉末から形成された導電性マトリックス中に酵素を閉じ込め、これを電極とすることが開示されている。そして、グルタルアルデヒド等の架橋剤を用いて、マトリクス内に酵素を固定化することも開示されている。特許文献5には、その内部に酵素を分散させた導電性ポリマーの電解重合によって酵素をポリマー内に内包した酵素固定化膜を電極表面に形成することが開示されている。一方、特許文献6には、その内部に酵素を分散させた感光性ポリマーを光硬化させることによって、酵素をポリマー内に包括した酵素固定化膜を電極材の表面に形成することが開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術は、電極材に酵素を固定化する際に有機溶媒を用いることから、有機溶媒により酵素が変性し活性を失うとの問題点があった。また、特許文献1〜3、及び非特許文献1の技術により構築された何れの酵素電極も、電極材、酵素、電子メディエーターの配置が最適化されていなかった。そのため、酵素電極上での円滑な電子伝達が進行するには至らず、得られる電流密度はいずれも10mA/cm2(例えば、特許文献1では2.5mA/cm2、特許文献2では3mA/cm2、特許文献3では2.5mA/cm2、非特許文献1では12mA/cm2)程度を超えることができないという問題もあった。また、引用文献4〜6の技術は血糖値センサーを想定して構築された技術であり、S/N比の改善や酵素電極の堅固性や保存安定性の観点からは優れた効果を発揮する。しかしながら、出力電流はμAオーダーと低く、mAオーダーの電流を安定的に出力できないという問題があった。したがって、電子メディエーターを介して酵素と電極材間の電子移動を行うタイプの酵素電極をバイオ燃料電池等の電極として実用化を進めるためには、酵素−電子メディエーター−電極材間を電子が円滑に伝達でき、かつ安定的にその機能を発揮しえるような技術の構築が求められていた。
特開2007−280944号 特開2008−243380号 特開2009−48846号 特表平3−503931号 特開平2−85754号 特開平2−240555号
Tamaki T., Ito T., Yamaguchi T.著、2007年、"Immobilization of Hydroquinone Through a Spacer to Polymer Grafted on Carbon Black for a High-Surface-Area Biofuel Cell Electrode."、Journal of Physical Chemistry B. 111(34)、10312〜10319.
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、電子メディエーターを介して酵素と電極材間の電子移動を行うタイプの酵素電極において、酵素−電子メディエーター−電極材間を電子が円滑に伝達でき、かつ安定的にその機能を発揮しえるような酵素−電子メディエーター固定電極、当該酵素電極の製造方法、及び当該酵素−電子メディエーター固定電極を利用したバイオ燃料電池を提供することを発明が解決しようとする課題とするものである。
そこで、本発明者らは上記課題を達成するべく、鋭意研究を行った結果、電極材としてカーボンクロスを選択し、かかるカーボンクロス上にその網目の穴のサイズを適切に制御した親水性ポリマー樹脂層を形成することで、電極材、電子メディエーター及び酵素を電子伝達反応順に配置することに成功した。これにより、酵素−電子メディエーター−電極材間を電子が円滑に伝達でき、かつ安定的にその機能を発揮しえるような酵素−電子メディエーター固定電極を構築できた。更に、かかる電極を利用することにより、出力及び耐久性等の面で優れた高性能のバイオ燃料電池を構築できた。これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、以下の〔1〕〜〔14〕に示す発明を提供する。
〔1〕カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に、電子メディエーター及び酵素が固定された酵素−電子メディエーター固定電極であって、
前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように構成され、
前記電子メディエーターの一部又は全部が前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴内に、前記酵素が親水性ポリマー樹脂層上に固定され、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に配列している酵素−電子メディエーター固定電極。
〔2〕前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が一辺1nm〜3nmの四角形若しくは直径1nm〜3nmの円形又は楕円形であり、前記電子メディエーターの直径が0.5nm〜0.9nm、前記酵素の直径が5nm〜10nmである。
〔3〕前記親水性ポリマー樹脂層が、前記カーボンクロス上に、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を、2〜4w/w%で、カーボンクロス1cm2当たり15〜30μl塗布して、これを硬化することにより形成される。
〔4〕前記親水性カーボン樹脂が、光硬化性樹脂である。
〔5〕前記光硬化性樹脂が、ビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物であるである。
〔6〕前記酵素がアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素ピロロキノリンキノン型グルコース脱水素酵素であり、前記電子メディエーターが1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファートである。
〔7〕カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に、酵素及び電子メディエーターが、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に配列するように固定された酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法であって、
前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴を、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように、前記カーボンクロス上に親水性ポリマー樹脂層を形成する工程と、
前記カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に対して、酵素及び電子メディエーター溶液を染み込ませることにより、前記親水性ポリマー樹脂層に酵素及び電子メディエーター固定する工程とを有する、酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
〔8〕前記親水性ポリマー樹脂層を形成する工程が、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を塗布して、これを硬化することにより親水性ポリマー樹脂層を形成する。
〔9〕前記親水性ポリマー樹脂層を形成する工程が、前記カーボンクロス上に、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を、2〜4w/w%で、カーボンクロス1cm2当たり15〜30μl塗布して、これを硬化することにより親水性ポリマー樹脂層を形成する。
〔10〕前記親水性カーボン樹脂が、光硬化性樹脂である。
〔11〕前記光硬化性樹脂が、ビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物である。
〔12〕前記酵素がアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素ピロロキノリンキノン型グルコース脱水素酵素であり、前記電子メディエーターが1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファートである。
〔13〕本発明の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法によって製造された酵素−電子メディエーター固定電極。
〔14〕本発明の酵素−電子メディエーター固定電極をアノード側電極として備えるバイオ燃料電池。
上記〔1〕〜〔6〕の構成によれば、電極材であるカーボンクロス側から、電子メディエーター、酵素の順に配列した酵素−電子メディエーター固定電極を提供することができる。つまり、カーボンクロス、電子メディエーター及び酵素を、酵素反応で得られた電子を電子メディエーターを介して電極に伝達するバイオエレクトロカタリシス反応の進行順に従って配置できることから、円滑に反応が進行し反応効率の向上を図ることができる。これにより、電極の高性能化が可能となり、30mA/cm2を超える電流密度を達成することが可能となる。また、電子メディエーターは網目の穴内を移動でき、カーボンクロス側に近接したり、また反対に酵素側に近接することができ、酵素から電極への電子の伝達を円滑に進行することを助長できる。特に、上記構成によれば、親水性ポリマー樹脂層を介して酵素及び電子メディエーターを固定するが、当該親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、小分子である電子メディエーターは通過させるが、大きな分子である酵素は通過させないサイズに設定されている。そのため、カーボンクロス上における酵素及び電子メディエーターの配置がバイオエレクトロカタリシス反応における電子伝達に適したものとできるとの効果を発揮できる。更に、親水性ポリマー樹脂層を形成することにより、カーボンクロス表面の親水及び疎水性の割合が最適化され、燃料となるグルコース等と電極の馴染みやすさが向上し、電子メディエーター、酵素、カーボンクロスとの相互作用に適した状態に変化するという利点もある。特には、酵素の失活を防ぐことができ、酵素のもつ触媒機能を有効に発揮しえることが可能となる。そして、酵素及び電子メディエーターの電極からの剥離を防止でき、電極の耐久性を向上できるとの利点がある。
特に、上記〔2〕の構成によれば、当該親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、小分子である電子メディエーターは通過させるが、大きな分子である酵素は通過させないサイズに最適化されることとなり、更なる酵素−電子メディエーター固定電極の高性能化が図れる。つまり、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に更に厳密に配列した電極を提供でき、更なる円滑なバイオエレクトロカタリシス反応の進行を実現が可能となる。
また、上記〔3〕の構成によれば、未硬化の親水性ポリマー樹脂溶液の濃度及び塗布量を最適化することにより、当該親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、小分子である電子メディエーターは通過させるが、大きな分子である酵素は通過させないサイズに調整した酵素−電子メディエーター固定電極を提供することができる。これにより、更なる酵素−電子メディエーター固定電極の高性能化が図れる。つまり、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に更に厳密に配列した電極を提供でき、更なる円滑なバイオエレクトロカタリシス反応の進行を実現が可能となる。
そして、上記〔4〕及び〔5〕の構成によれば、親水性ポリマー樹脂として光硬化性ポリマー、特にはビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物を利用した酵素−電子メディエーター固定電極を提供することができる。光硬化性樹脂を利用することにより、簡便な操作で酵素−電子メディエーター固定電極を提供することができる。そして、カーボンクロス上に当該樹脂層を形成することにより、当該親水性ポリマー樹脂層の網目の穴を、小分子である電子メディエーターは通過させるが、大きな分子である酵素は通過させないサイズに特に好適に調整することが可能となり、更なる酵素−電子メディエーター固定電極の高性能化が図れる。
また、上記〔6〕の構成によれば、アシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素ピロロキノリンキノン型グルコース脱水素酵素の触媒活性を利用した酵素−電子メディエーター固定電極を提供することができる。そして、当該酵素−電子メディエーター固定電極は、カーボンクロス側から、電子メディエーターである1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファート、グルコース脱水素酵素の順に配列しており、円滑なバイオエレクトロカタリシス反応の進行を実現が可能となる高性能な電極である。
上記〔7〕〜〔12〕の構成によれば、電極材であるカーボンクロス側から、電子メディエーター、酵素の順に配列した酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法を提供できる。かかる酵素−電子メディエーター固定電極は、カーボンクロス、電子メディエーター及び酵素を、酵素反応で得られた電子を電子メディエーターを介して電極に伝達するバイオエレクトロカタリシス反応の進行順に従って配置できることから、円滑に反応が進行し反応効率の向上を図ることができるとの利点を有する。そして、親水性ポリマー樹脂層を形成することにより、カーボンクロス表面の親水及び疎水性の割合が最適化され、燃料となるグルコース等と電極の馴染みやすさが向上し、電子メディエーター、酵素、カーボンクロスとの相互作用に適した状態に変化するという利点も有する。更に、酵素及び電子メディエーターの電極からの剥離を防止でき、電極の耐久性を向上できるとの利点がある。そして、上記構成によれば、かかる高性能な酵素−電子メディエーター固定電極を、カーボンクロス上に親水性ポリマー樹脂層を形成し、かかる樹脂層に対して、酵素及び電子メディエーター溶液を染み込ませるという簡便な操作で構築することができる。
特に上記〔8〕の構成によれば、前記親水性ポリマー樹脂層を、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を塗布し、これを硬化することによる酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法を提供することができる。つまり、親水性ポリマー樹脂層の形成を、塗布及び硬化という、簡便な操作で行うことができる。
上記〔9〕の構成によれば、未硬化の親水性ポリマー樹脂溶液の濃度及び塗布量を最適化することにより、当該親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、小分子である電子メディエーターは通過させるが、大きな分子である酵素は通過させないサイズに簡便に調整することができ、これにより高性能な電極を簡便に製造することができる。
上記〔11〕及び〔12〕の構成によれば、前記親水性ポリマー樹脂として、ビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物等の光硬化性樹脂を使用することにより、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を塗布して、これを紫外線光のような光を照射することで硬化させることにより前記親水性ポリマー樹脂層を形成でき、更なる操作の簡便化を図ることができる。つまり、グラフト共重合など手間と時間のかかる操作なしに、簡便に高性能な電極を作製できるという利点がある。
上記〔13〕の構成によれば、アシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素ピロロキノリンキノン型グルコース脱水素酵素の触媒活性を利用した酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法を提供することができる。そして、当該酵素−電子メディエーター固定電極は、カーボンクロス側から、電子メディエーターである1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファート、グルコース脱水素酵素の順に配列しており、円滑なバイオエレクトロカタリシス反応の進行を実現が可能となる高性能な電極であり、かかる電極の製造が可能となる。
上記〔14〕の構成によれば、本発明の高性能な酵素−電子メディエーター固定電極をアノード側電極として含んだバイオ燃料電池を提供することができる。これにより、バイオ燃料電池の出力向上を図ることができると共に、耐久性に優れた安定的な発電が可能となる。このように、高性能で実用性の高いバイオ電池の構築に貢献することができる。
本発明の酵素−電子メディエーター固定電極と従来型電極とを比較する図であり、本発明の酵素−電子メディエーター固定電極におけるカーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の配置を模式的に示したものである。 本発明の酵素−電子メディエーター固定電極と従来型電極とを比較する図であり、従来型のカーボンクロス上にカーボン微粒子を固定し、ここに酵素及び電子メディエーターを固定した電極を模式的に示す。 アノードでの触媒電流の測定方法を検討した実施例1の結果を示すグラフであり、グラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。そして、波形(1)は本実施例で構築した酵素電極、波形(2)は酵素を含まない電極の結果を示す。 親水性ポリマー樹脂の使用量(濃度)の最適化を検討した実施例2の結果を示すグラフであり、グラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線であり、親水性ポリマー樹脂の濃度を2〜6%の範囲内で1%間隔に設定して調製した場合の結果を示す。 親水性ポリマー樹脂の使用量(容量)の最適化を検討した実施例2の結果を示すグラフであり、グラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線であり、親水性ポリマー樹脂の容量を電極材1cm2当たり15〜60μlの範囲内で15μl間隔に設定して調製した場合の結果を示す。 カーボン電極材種を比較した実施例4の結果を示すグラフであり、グラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。そして、波形(1)はカーボンクロス、波形(2)はカーボンフェルトの結果を示す。 親水性ポリマー樹脂/酵素・電子メディエーター配置の最適化を検討した実施例5の結果を示すグラフであり、グラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。そして、波形(1)は滴下式電極、波形(2)は内包式電極の結果を示す。なお、波形(3)は滴下式電極に燃料としてグルコースを供給しなかった場合の結果を示す。 電極上の酵素安定性の比較を比較した実施例6の結果を示すグラフであり、グラフは、縦軸は相対酵素活性(%)であり、酵素電極の作製時(0日経過時)の酵素活性を100%とした各経過時の相対活性を示した棒グラフである。 電子メディエーターの固定化効果の検討を行った実施例7の結果を示すグラフであり、グラフは、縦軸は相対電子メディエーター固定量(%)であり、横軸は親水性ポリマー樹脂濃度(%)を示した棒グラフである。 酵素の固定化効果の検討を行った検討した実施例8の結果を示すグラフであり、グラフは、縦軸は相対酵素固定量(%)であり、横軸は親水性ポリマー樹脂濃度(%)を示した棒グラフである。 酵素の固定化効果の検討を行った実施例8の結果を示すグラフであり、各樹脂濃度における洗浄液のSDSポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す電気泳動図である。
1.本発明の酵素−電子メディエーター固定電極
本発明の酵素−電子メディエーター固定電極は、電極材であるカーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に酵素及び電子メディエーターが固定されている。そして、前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、前記電子メディエーターのサイズより大きく、かつ前記酵素のサイズよりも小さくなるように構成されている。
そして、本発明の電極は、電極材としてカーボンクロスを使用するものである。カーボンクロスは、炭素若しくは炭素化合物を含む導電性基材であるカーボン基材の一種である。カーボンクロスは、例えば、ポリアクリロニトリル等のアクリル繊維(PAN系)やコールタールピッチや石油ピッチ等のピッチ(ピッチ系)を高温で炭化することにより生成する繊維を紡織した織物である。ここでの使用においては、PAN系、ピッチ系他の原料は特に制限はなく、また紡織形態も平織及び綾織の他、特に制限はない。ここで、繊維の焼成温度は約600℃程度である。これによりカーボンクロス内部及び表面に多数の微小な凹凸が形成され、親水性ポリマー樹脂層の形成が容易になる共に、酵素及び電子メディエーターの固定に最適な環境を形成するためにも有用である。一方、同じカーボン基材の一種であるカーボンフェルトは、本発明の電極においては電極材として適当ではない。カーボンフェルトは、1000℃以上の温度で焼成することにより形成されることから、表面の微小な凹凸が減少する。つまり、カーボンクロスよりも表面の粗さの程度が低減し、その表面が略均一となる。また、フェルトは不織布でありその点でもクロスとは異なる。そのため、上記したカーボンクロスの利点を享受できない。
そして、カーボンクロスの大きさ、厚み及び形状等は特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜調整することができる。例えば、平板形状の他、球体形状、立方体等の立体形状であってもよい。
本発明における親水性ポリマー樹脂は、水に対する親和性を示すポリマー樹脂であって、好ましくはカーボン電極材上に親水性の被膜を形成できるものである。ここで、親水性ポリマー樹脂層は、その分子内に少なくとも1種類の親水性基を有するものである。親水性基とは、分子内にある原子団のうち水分子との間に水素結合を形成しやすいものを意味し、一般に、酸素、窒素、硫黄等の原子を含む基、具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。親水性基は、分子内に一種類のみであってもよいし、複数種類が組み合わされていてもよい。そして、親水性ポリマー樹脂は、電極材であるカーボンクロスとの接触面と反対側の表面が少なくとも親和性であればよく、カーボンクロスとの接触面や親水性ポリマー樹脂層の内部が疎水性であってよい。したがって、本願明細書において、親水性ポリマー樹脂としては、分子内に疎水性基と親水性基の双方を有する両親媒性のポリマー樹脂をも含むものとする。
カーボンクロス上で形成される親水性ポリマー樹脂層は、親水性ポリマー樹脂を構成するポリマー鎖間が架橋されて水を保持しているハイドロゲルの状態であることが好ましい。樹脂層の形成は、樹脂の硬化前のモノマーやプレポリマー等を適当な溶媒に溶解若しくは分散させ、これをカーボンクロス上に塗布する。溶媒は水性媒体であり、水の他、適当な緩衝成分を含めてもよい。緩衝成分としては、特に制限はなく、水性環境下において酸または塩基と反応する無機および有機化合物であってよい。例えば、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、4-(2-ヒドロキシエチル)−ピペラジン-1-エタン スルホン酸(HEPES)、3-モルフォリノプロパン スルホン酸(MOPS)等を例示することができる。これらは単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布方法は、公知の手段を利用することができ、スピンコート法、スプレー法、スクリーン法、ディップコート、ブレード法等を利用することができる。そして、これを適当な手段で重合させることによって親水性ポリマー樹脂層を形成することができる。このとき、必要に応じて重合開始剤、反応促進剤や架橋剤等の適当な試薬を添加してもよい。
また、親水性ポリマー樹脂として、可視光線、紫外線、電子線や放射線等の照射により光重合によって硬化する光硬化性ポリマー樹脂や、加熱により重合硬化する熱硬化性ポリマー樹脂等を利用してもよい。また、重合性の官能基を有するポリマー樹脂をも利用することができ、かかる官能基は適当な手段で活性化させて三次元的に架橋させることができるものである。重合性の官能基としては、アジド系官能基やジアゾ系官能基等、紫外線等の照射により架橋反応が引き起こされる感光基等が例示される。
親水性ポリマー樹脂として、例えば、アジド系感光基を有するビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物の利用が特に好ましい。これは、ポリマー鎖にアセタール結合により官能基及び親水基が連結した構造を持つ。そして、かかる親水性ポリマー樹脂は、BIOSURFINE(登録商標)−AWP、Azide-unit Pendant Water-soluble Photopolymer(東洋合成社)として市販されている。
このように親水性ポリマー樹脂層を疎水性のカーボンクロス上に形成することで、本発明において電極触媒として利用する酵素の失活を防ぐことができ、酵素のもつ触媒機能を有効に発揮しえることが可能となる。つまり、疎水性のカーボンクロスに直接酵素を固定するとタンパク質の変性を招き、これにより活性部位の立体構造が変化して、基質が酵素に結合できなくなるとの問題を引き起こす。これに対して親水性ポリマー樹脂を使用することによりカーボンクロス表面の親水性・疎水性の割合が好適化され、上記したような酵素の失活の問題を解消することができる。ここで、表面の過度の疎水性は酵素の変性を招くことから好ましくない。一方、過度の親水性も酵素がカーボンクロスから解離しなくなることから好ましくない。したがって、酵素の変性を生じさせない程度に疎水性であり、かつ酵素が疎水性相互作用でカーボンクロスに結合できる程度に親水性であるように好適化される。また、燃料と電極の馴染みやすさや、酵素、電子メディエーター及び酵素との相互関係に適した状態を保持することが可能となる。更に、親水性ポリマー樹脂層に酵素及び電子メディエーターを固定化することで、酵素や電子メディエーターの電極からの剥離を防止でき、電極の耐久性を向上できるとの利点がある。
そして、親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように構成されている。通常、酵素の直径は5nm〜10nm であり、一方、電子メディエーターの直径は0.5nm〜0.9nm である。したがって、親水性ポリマー樹脂層の網目の穴を一辺1nm〜3nmの四角形若しくは直径1nm〜3nmの円形又は楕円形に設定することが好ましい。
上記範囲に構成することで、酵素は、カーボンクロス上に塗布された親水性ポリマー樹脂層を透過できないため、親水性ポリマー樹脂上に固定される。一方、電子メディエーターは、少なくとも一部若しくは全部が親水性ポリマー樹脂内部に取り込まれ、酵素よりもカーボンクロスに接近した位置で固定される。こうして、カーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の順に配置した酵素−電子メディエーター固定電極を製造できる。図1は、かかる酵素−電子メディエーター固定電極におけるカーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の配置を模式的に示したものであり、図2は、従来型のカーボンクロス上にカーボン微粒子を固定し、ここに酵素及び電子メディエーターを固定した電極を示す。これにより、酵素反応で得られた電子を電子メディエーターを介して電極材に伝達するバイオエレクトロカタリシス反応の進行順に従って配置されることとなる。したがって、このように配置された酵素−電子メディエーター固定電極は、円滑にバイオエレクトロカタリシス反応が進行し反応効率の向上を図ることができ、電極の高性能化を図ることができる。
更に、電極の高性能化を図るため、カーボンクロスへの親水性ポリマー樹脂の塗布を最適化することが好ましい。例えば、未硬化の親水性ポリマー樹脂を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた溶液を、親水性ポリマー樹脂が2〜4w/w%になるように調製する。そして、この親水性ポリマー樹脂溶液は、カーボンクロス1cm2当たり15〜30μlとなるように塗布する。このように構成することにより、親水性ポリマー樹脂の網目の穴のサイズが適切に制御され、カーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の順に配置した酵素−電子メディエーター固定電極を作製できる。これより濃度が低くなっても高くなっても、また塗布量が少なくなっても多くなっても、電極材、電子メディエーター層及び酵素層がバイオエレクトロカタリシス反応の進行に沿って適切に配置されず、電極の出力低下を招く。
また、上記したように電極材としてカーボンクロスを使用することは、電極の高性能化を図る点で重要である。カーボンクロスはその内部及び表面に多数の微小な凹凸を有しており、これに親水性ポリマー樹脂層を形成することで、親水性ポリマー樹脂層にもカーボンクロスの凹凸を反映した微小な凹凸が形成される。そして、かかる微小な凹凸も、親水性ポリマー樹脂層自体の網目の穴と相俟って、カーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の配列に好適な影響を与える。
電子メディエーターは、酵素等の生体触媒の反応に応じて酸化又は還元される低分子の酸化還元物質であり、生体触媒とカーボン基材間の電子移動を媒介する。したがって、電子メディエーターは、酵素等の生体触媒と電子を授受することができる共に、カーボンクロスとも電子を授受することができる物質である限り何れも使用することができる。そして、電子メディエーターは、一重結合と二重結合が交互に並んだπ共役系化合物であることが好ましい。例えば、電子メディエーターは、特に限定されるものではないが、例えば、5-メチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンメトスルファート:PMS)、5-エチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンエトスルファート:PES)等、のフェナジン系化合物、フェノチアジン系化合物、フェリシアン化カリウム等のフェリシアン化物、フェロセンやジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸等のフェロセン系化合物、ナフトキノン、アントラキノン、ハイロドキノン、ピロロキノリンキノン等のキノン系化合物、シトクロム系化合物、ベンジルビオロゲンやメチルビオロゲン等のビオロゲン系化合物、ジクロロフェノールインドフェノール等のインドフェノール系化合物等が挙げられる。フェナジン系化合物の1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファート(以下、「mPMS」と称する場合がある)が特に好ましく例示できるが、電極触媒とする酵素の種類等に応じて最適な物質を選択すればよい。
酵素としては、例えば、基質を酸化する能力を有する酸化還元酵素を利用が好ましいが、これに限定されるものではなく、糖やアルコール等の基質を分解できる酵素であれば特に制限なく利用できる。具体的な酸化還元酵素としては、デヒドロゲナーゼやオキシダーゼ等を用いることができる。具体的には、アノード側として、グルコースデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、フルクトースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルタミン酸オキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼが例示される。
そして、酵素は一種類単独で、若しくは複数種の酵素を組み合わせて用いることができる。複数種の酵素を組み合わせる場合には、同一の反応を触媒する酵素であってもよいし、異なる反応を触媒する酵素を組み合わせてもよい。したがって、例えば、任意の酵素とその酵素共役して機能することができる他の種類の酵素とを組み合わせて用いてもよい。また、任意の酵素とその酵素による触媒反応の後段の反応を触媒する他の酵素と組み合わせて、多段階反応系を構築するように構成してもよい。
酵素は、例えば、動植物や微生物等から抽出した生体由来の分子であってもよいし、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。また、当該酵素の活性部位を含む断片であってよい。
補酵素や補因子を要求する酵素については、アポ形態、ホロ形態の別をも問わないが、電極反応に際しては活性を発揮できるように構成する。したがって、アポ形態として電極材上に保持された場合には、酵素−電子メディエーター固定電極の作動に際して補酵素及び補因子を固定酵素に供給する等、活性型のホロ形態に変換するための手段を設けることが必要となる。補酵素としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP+)、フラビンアデニンジヌクレオチド (FAD)、ピロロキノリンキノン(PQQ)等が例示され、補因子としては、銅、鉄、マンガン、セレン、マグネシウム、亜鉛、カルシウム等の金属イオンが例示される。ただし、これらに限定されるものではなく、酵素の種類に応じて触媒反応機能の発現に必要な物質が適宜選択される。
酵素としては、グルコース脱水素酵素が好ましく、例えば、実施例で使用した負極側触媒としてアシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)NBRC12552株由来のグルコース脱水素酵素等を挙げることができる。
具体的には、PQQ型グルコース脱水素酵素としては、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のPQQ型グルコース脱水素酵素が好ましい。特には、アシネトバクター カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のグルコース脱水素酵素(GENBANK ACCESSION No : X15871、Cleton-Jansen,A.M., Goosen,N., Vink,K. and van de Putte,P.他著、「Cloning, characterization and DNA sequencing of the gene encoding the Mr 50,000 quinoprotein glucose dehydrogenase from Acinetobacter calcoaceticus(アシネトバクター カルコアセティカス由来のMr 50,000のキノプロテイン グルコース脱水素酵素をコードする遺伝子のクローニング、特徴付け、及びDNAシークエンシング)」、JOURNAL Mol. Gen. Genet.、第217巻、第2〜3巻、第430〜436頁、1989年)が好ましく例示される。この酵素は、Acinetobacter細菌のペリプラズム画分に存在しており、酸化により得られた電子を呼吸鎖に渡すことでエネルギー生産に関与している。反応速度が非常に速く、また溶存酸素の影響を受けにくいという特徴があるため酵素電極の電極触媒として利用価値が非常に高い酵素である。ここでは、当該酵素のように、PQQを補酵素として要求するグルコース脱水素酵素を、補酵素要求性に従って補酵素PQQ型グルコース脱水素酵素と称する場合がある。
また、酵素の由来も特に限定されない。したがって、天然に存在する細菌、酵母、及び動植物等の任意の生物体から適当なタンパク質の単離精製技術により調製された天然由来のものであってもよく、遺伝子工学的手法により組換え体として製造されたもの、あるいは化学的に合成されたものであってもよい。また、当該酵素活性を有する生物体自体をも利用することができる。
遺伝子工学的手法により製造する場合には公知の方法を利用することができる。 具体的には、所望の酵素遺伝子の塩基配列を基にして作成したDNAをプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により、生物体由来のゲノムDNA、全RNAから逆転写反応によって合成したcDNA等から所望の酵素をコードする核酸分子を調製することができる。多くの酵素のアミノ酸配列及びそれをコードする遺伝子の塩基配列は公知であり、GenBank、EMBL、DDBJ等の遺伝子配列データベースから取得することができる。一例として、上述のアシネトバクター カルコアセティカス由来のグルコース脱水素酵素(GENBANK ACCESSION No : 15871)の配列情報を配列表の配列番号1(塩基配列)及び配列番号2(アミノ酸配列)に示す。また、ここで提示する配列番号3(塩基配列)及び配列番号4(アミノ酸配列)をも好ましく例示される。ここで用いられるプローブは、所望の酵素と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。このようなプローブとしては、所望の酵素をコードする核酸分子の塩基配列に基づき、この塩基配列の連続する10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。そして、プローブは必要に応じて適当な標識が付されていてよく、このような標識として放射線同位体、蛍光色素等が例示される。
また、所望の酵素遺伝子の塩基配列を基にして作成したプライマーとして用いるPCRによっても同様に、生物体由来のゲノムDNA、cDNAを鋳型として所望の酵素をコードする核酸分子を調製することができる。PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、所望の酵素をコードする核酸配列と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいてプライマーの設計を行う。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、所望の増幅領域を挟んで設計され、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
ここで、相補的とは、プローブ又はプライマーと標的核酸分子とが塩基対合則に従って特異的に結合し安定な二重鎖構造を形成できることを意味する。ここで、完全な相補性のみならず、プローブ又はプライマーと標的核酸分子が互いに安定な二重鎖構造を形成し得るのに十分である限り、いくつかの核酸塩基のみが塩基対合則に沿って適合する部分的な相補性であっても許容される。その塩基数は、標的核酸分子を特異的に認識するために十分に長くなければならないが、長すぎると逆に非特異的反応を誘発するので好ましくない。したがって、適当な長さはGC含量等の標的核酸の配列情報、並びに、反応温度、反応液中の塩濃度等のハイブリダイゼーション反応条件など多くの因子に依存して決定される。
更に、常法のホスホルアミダイト法等のDNA合成法を利用して、所望の酵素をコードする核酸分子を化学的に合成することができる。
そして、得られた核酸分子用いて、当業者に公知の遺伝子組換え技術により所望の酵素を製造することができる。
具体的には、所望の酵素をコードする核酸分子を適当な発現ベクター中に挿入し、これを宿主に導入することによって形質転換体を作製する。ここで、利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞中で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、外来遺伝子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pEX系、pUC系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。そして、ベクターは、外来遺伝子がその機能を発現できるように組み込まれ、機能発現に必要な他の既知の塩基配列が含まれていてもよい。例えば、プロモータ配列、リーダー配列、シグナル配列、並びにリボソーム結合配列等が挙げられる。プロモータ配列としては、例えば、宿主が大腸菌の場合にはlacプロモータ、trpプロモータ等が好適に例示される。しかしながら、これに限定するものではなく既知のプロモータ配列を利用できる。更に、宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等をも含ませることができる。このようなマーキング配列としては、薬剤耐性、栄養要求性などの遺伝子をコードする配列等が例示される。具体的には、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等が例示される。
ベクターへの外来遺伝子の挿入は、例えば、適当な制限酵素で所望の酵素をコードする核酸分子を切断し、適当なベクターの制限酵素部位、又はマルチクローニング部位に挿入して連結する方法などを用いることができるが、これに限定されない。連結に際しては、DNAリガーゼを用いる方法等、既知の方法を利用できる。また、DNA Ligation Kit(タカラバイオ社)等の市販のライゲーションキットを利用することもできる。
形質転換体の作製に際して宿主となる細胞としては、外来遺伝子を効率的に発現できる宿主細胞であれば、特に制限はない。原核生物細胞を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。大腸菌としては、例えば、E.coli DH5α、E.coli BL21、E.coli JM109等を利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソームフェクション法、マイクロインジェクション法等を既知の方法を利用することができる。
続いて、得られた形質転換体を、導入された核酸分子の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養し、所望の酵素を製造する。培養は、常法に準じて行うことができ、宿主細胞の栄養生理学的性質を勘案して、培養条件を選択すればよい。使用される培地としては、宿主細胞が資化し得る栄養素を含み、形質転換体におけるタンパク質の発現を効率的に行えるものであれば特に制限はない。したがって、宿主細胞の生育に必要な炭素源、窒素源その他必須の栄養素を含む培地であることが好ましく、天然培地、合成培地の別を問わない。例えば、炭素源として、グルコース、デキストラン、デンプン等が、また、窒素源としては、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、ペプトン、カゼイン等が挙げられる。他の栄養素としては、所望により、無機塩類、ビタミン類、抗生物質等とを含ませることができる。宿主細胞が大腸菌の場合には、LB培地、M9培地等が好適利用できる。また、培養形態についても特に制限はないが、大量培養の観点から液体培地が好適に利用できる。
所望の組換えベクターを保持する宿主細胞の選別は、例えば、マーキング配列の発現の有無により行なうことができる。例えば、マーキング配列として薬剤耐性遺伝子を利用する場合には、薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤含有培地で培養することによって行うことができる。
形質転換体の培養物から、所望の酵素を単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いることができる。精製は、上記形質転換体の培養物から、所望の酵素の存在する画分に応じて、一般的なタンパク質の単離精製方法に準じた手法を適用すればよい。具体的には、所望の酵素が宿主細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を除去して培養上清を得る。続いて、培養上清に、公知のタンパク質精製方法を適宜選択することにより、単離精製することができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、透析、SDS-PAGE電気泳動、ゲル濾過、疎水、陰イオン、陽イオン、アフィニティークロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー等の公知の単離精製技術を単独、又は適宜組み合わせて適用することができる。特にアフィニティークロマトグラフィーを利用する場合、所望の酵素をヒスチジンタグ(His Tag)等のタグペプチドとの融合タンパク質として発現させて、かかるタグペプチドに対する親和性を利用することが好ましい。また、所望の酵素が宿主細胞内で産生される場合には、培養物を遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を回収する。続いて、リゾチーム処理などの酵素的破砕方法、又は超音波処理、凍結融解、浸透圧ショック等の物理的破砕方法等により、宿主細胞を破砕する。破砕後、遠心分離、濾過等の手段により可溶化画分を収集する。得られた可溶化画分を、前述の細胞外に生産できる場合と同様に処理することにより単離精製することができる。
また、アミノ酸配列が公知である酵素については、化学的合成技術によっても製造することができる。例えば、所望の酵素のアミノ酸配列の全部、又は一部を、ペプチド合成機を用いて合成し、得られるポリペプチドを適当な条件の下で、再構築することにより調製することもできる。
本発明で使用する酵素はさらに、天然に存在する野生型の酵素の他、野生型の酵素のアミノ酸配列において、特定の位置のアミノ酸が、特定の他のアミノ酸に置換された改変体であってもよい。ただし、改変体酵素は、野生型と同等若しくは増強した基質反応性を有するものであることが好ましい。そして、改変体酵素の触媒反応は、電極材との間で、直接又は電子メディエーターを介した電子伝達を伴うことも必要となる。ここで、野生型とは、自然界より分離される標準的な補酵素PQQ型グルコース脱水素酵素のアミノ酸配列において、意図的若しくは非意図的に変異が生じていないものを意味する。したがって、変異部位を有しない限り、天然由来だけでなく、遺伝子組換え体のように人為的手段により生じたものを含める。
ここで、改変とは、改変の基礎となるタンパク質のアミノ酸配列のうち、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および付加の少なくとも1つからなる改変が生じていることを意味する。複数とは、好ましくは数個のアミノ酸である。そして、「1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び付加の少なくとも1つからなる改変」とは、改変の基礎となるタンパク質をコードする遺伝子に対する公知のDNA組換え技術、点変異導入方法等によって、欠失、置換、挿入又は付加することができる程度の数のアミノ酸が、欠失、置換、挿入又は付加されることを意味し、これらの組み合わせをも含む。例えば、このような改変体は、改変の基としたタンパク質のアミノ酸配列に対して、アミノ酸レベルで70%以上、好ましくは80% 以上、更に好ましくは90%以上の相同性を保持するものとすることができる。
このような改変体は自然又は人工の突然変異により生じた突然変異体の中から上記活性を有するタンパク質をスクリーニングすることにより取得できる。或いは、改変の基となる野生型酵素をコードする核酸分子に対して公知の方法で改変を施すことによっても取得できる。例えば、改変の基となるタンパク質をコードする核酸分子に変異部位を挿入する方法としては、部位特異的突然変異誘発法、PCR法等を利用して変異を導入するPCR突然誘発法、あるいは、トランスポゾン挿入突然変異誘発法などの公知の変異導入技術を利用することができる。また、市販の変異導入用キット(例えば、QuikChange(登録商標) Site-directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製))を利用してもよい。
具体的には、改変の基礎とする野生型酵素をコードする核酸分子を鋳型として、所望の改変(欠失又は置換)を施した配列を含むオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行うことによって取得することが、好ましく例示される。ここで、改変体の調製において、PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、改変の基礎とするタンパク質をコードする核酸分子と相補的な配列を含み、かつ所望の変異が挿入できるように設計されたものであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいて設計される。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
また、目的とする改変体のアミノ酸配列が定めれば、それをコードする適当な塩基配列を決定でき、常法のホスホルアミダイト法等の核酸合成技術を利用して目的とする改変体をコードする核酸分子を化学的に合成することができる。
また、このような改変体は自然又は人工の突然変異により生じた突然変異体の中から、理化学的性質をスクリーニングすることにより取得できる。さらには、化学的合成技術によっても製造することができる。例えば、改変体のアミノ酸配列の全部、又は一部を、ペプチド合成機を用いて合成し、得られるポリペプチドを適当な条件の下で、再構築することにより調製することができる
当業者は、アミノ酸配列の改変に際して、その酵素活性を保持する改変を容易に予測することができる。具体的には、例えばアミノ酸置換の場合には、タンパク質構造保持の観点から極性、電荷、親水性、若しくは疎水性等の点で置換前のアミノ酸と類似した性質を有するアミノ酸に置換することができる。このような置換は保守的置換として当業者には周知である。具体例を挙げると、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸置換は、タンパク質の機能が維持されるとして許容される。また、その後の精製、固相への固定化等の便宜のため、アミノ酸配列のN、又はC末端にヒスチジンタグ(His-tag)、FLAGタグ(FLAG-tag)等を付加したものも好適に例示される。このようなタグペプチドの導入は常法により行なうことができる。また、酵素活性の消失を引き起こさない範囲内で、C末端側若しくはN末端側のアミノ酸残基を切断した切断型でもよい。更に、グルコシル化等の化学修飾を付加してもよい。
そして、上記した補酵素PQQ型グルコース脱水素酵素の改変体としては、本発明者らが見出し特開2012-039949号に記載する高濃度基質条件下での反応性が改善されたPQQ型グルコースデヒドロゲナーゼ改変体等が例示される。かかる改変体の配列情報を配列表の配列番号5、6、7、及び8として開示する。更に、当該改変体の特定のアミノ酸に上記したような改変が生じている改変部位を有するものであっても、上記PQQ依存性グルコース脱水素酵素の性質を有する限り、本発明の酵素電極の電極触媒として利用することができる。
そして、酵素及び電子メディエーターは、カーボンクロス上の親水性ポリマー樹脂層に対して固定される。固定は、酵素及び電子メディエーターを適当な溶媒に溶解若しくは分散した溶液を、親水性ポリマー樹脂層のカーボンクロスとの接触面と反対側の表面に接触させることにより行うことができる。接触は噴霧、滴下、浸漬等の公知の方法で行うことができ、当該溶液が親水性ポリマー樹脂内部に浸透するように接触させることが好ましい。また、上記したような塗布方法を利用することができる。このとき、酵素と電子メディエーターは混合して固定してもよいし、別々の溶液として調製して別々に固定してもよい。溶媒は水性媒体であり、水の他、上記したような適当な緩衝成分を含めてもよい。酵素は、カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層を透過できないため、親水性ポリマー樹脂上に固定される。一方、電子メディエーターは、親水性ポリマー樹脂層を透過できるため、浸透圧により少なくとも一部若しくは全部が親水性ポリマー樹脂内部に浸透していき、酵素よりもカーボンクロスに接近した位置で固定される。こうして、カーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の順に配置した酵素−電子メディエーター固定電極を作製できる。
以上のように構成することで、電極材であるカーボンクロス側から、電子メディエーター、酵素の順に配列した酵素−電子メディエーター固定電極を提供することができる。つまり、カーボンクロス、電子メディエーター及び酵素を、酵素反応で得られた電子を電子メディエーターを介して電極に伝達するバイオエレクトロカタリシス反応の進行順に従って配置できることから、円滑に反応が進行し反応効率の向上を図ることができる。これにより、電極の高性能化が可能となり、30mA/cm2を超える電流密度を達成することが可能となる。特に、上記構成によれば、親水性ポリマー樹脂層を介して酵素及び電子メディエーターを固定するが、当該親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、小分子である電子メディエーターは通過させるが、大きな分子である酵素は通過させないサイズに設定されている。そのため、カーボンクロス上における酵素及び電子メディエーターの配置がバイオエレクトロカタリシス反応における電子伝達に適したものとできるとの効果を発揮できる。また、電子メディエーターは網目の穴内を移動でき、カーボンクロス側に近接したり、また反対に酵素側に近接することができ、酵素から電極への電子の伝達を円滑に進行することを助長できる。更に、親水性ポリマー樹脂層を形成することにより、カーボンクロス表面の親水及び疎水性の割合が最適化され、燃料となるグルコース等と電極の馴染みやすさが向上し、電子メディエーター、酵素、カーボンクロスとの相互作用に適した状態に変化するという利点もある。特には、酵素の失活を防ぐことができ、酵素のもつ触媒機能を有効に発揮しえることが可能となる。更に、酵素や電子メディエーターの電極からの剥離を防止でき、電極の耐久性を向上できるとの利点がある。
2.本発明の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法
本発明の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法は、
(a)カーボンクロス上に親水性ポリマー樹脂層を形成する工程、
(b)前記親水性ポリマーの樹脂層に対して、電子メディエーター及び酵素を固定する工程、を有する。
工程(a)のカーボンクロス上に親水性ポリマー樹脂層を形成する工程は、例えば、樹脂の硬化前のモノマーやプレポリマー等を適当な溶媒に溶解若しくは分散させ、これをカーボンクロス上の被固定化部位に塗布する。塗布は公知の手段を利用することができ、スピンコート法、スプレー法、スクリーン法、ディップコート、ブレード法等の公知の塗布方法を利用することもできる。そして、適当な手段により重合させることによって親水性ポリマー樹脂層を形成することができる。重合は、使用する親水性ポリマー樹脂の重合様式に応じて実施することができ、必要に応じて重合開始剤、反応促進剤や架橋剤等の適当な試薬を添加してもよい。例えば、親水性ポリマー樹脂として光硬化性ポリマー樹脂を利用する場合には、可視光線、紫外線、電子線や放射線等の照射により光重合させる。また、熱硬化性樹脂を利用する場合には加熱により重合させる。
また、光架橋する感光基を有する光硬化性ポリマー樹脂を利用する場合には、硬化前の光架橋性ポリマー樹脂を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた溶液を調製する。当該溶液をカーボンクロス上の被固定化部位に塗布し、続いて、これを乾燥させる。乾燥温度及び乾燥時間等は特に制限はなく、また、乾燥方法として、自然乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥等を例示できるが、特に制限はなく何れをも使用することもできる。なお、光架橋までの作業は、使用する光硬化性ポリマー樹脂の性質に従い、硬化条件となる光照射のない環境下で行うことが必要である。したがって、紫外線照射によって硬化する光硬化性樹脂を使用する場合には、例えば、紫外線カット等の処理を行った室内ランプ下で行なう。そして、乾燥後、光照射することにより、ポリマー樹脂中の感光基を介して、光架橋性ポリマー樹脂を硬化させる。
このとき、前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように構成されている。カーボンクロスと親水性ポリマー樹脂との組み合わせにより、親水性ポリマー樹脂の網目の穴のサイズを好適に制御することができる。好ましくは、親水性ポリマー樹脂を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた溶液を、親水性ポリマー樹脂が2〜4w/w%になるように調製する。そして、この親水性ポリマー樹脂溶液は、カーボンクロス1cm2当たり15〜30μlとなるように塗布することが好ましい。
工程(b)の前記親水性ポリマーの樹脂層に対して、電子メディエーター及び酵素を固定する工程は、例えば、酵素及び電子メディエーターを適当な溶媒に溶解若しくは分散した溶液を、親水性ポリマー樹脂層のカーボンクロスとの接触面と反対側の表面に接触させることにより行うことができる。接触は噴霧、滴下、浸漬等の公知の方法で行うことができ、当該溶液が親水性ポリマー樹脂層内部に浸透するように接触させることが好ましい。また、上記したような塗布方法を利用することができる。このとき、酵素と電子メディエーターは混合して固定してもよいし、別々の溶液として調製して別々に固定する方法により行ってもよい。このように、浸透させることで、酵素は、カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層を透過できないため親水性ポリマー樹脂上に固定される。一方、電子メディエーターは、親水性ポリマー樹脂層を透過できるため、浸透圧により少なくとも一部若しくは全部が親水性ポリマー樹脂内部に浸透していき、酵素よりもカーボンクロスに接近した位置で固定される。こうして、カーボン電極材、電子メディエーター層、酵素層の順に配置した酵素−電子メディエーター固定電極を作製できる。
このように構成することにより、電極材であるカーボンクロス側から、電子メディエーター、酵素の順に配列した酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法を提供できる。かかる酵素−電子メディエーター固定電極は、カーボンクロス、電子メディエーター及び酵素を、酵素反応で得られた電子を電子メディエーターを介して電極に伝達するバイオエレクトロカタリシス反応の進行順に従って配置できることから、円滑に反応が進行し反応効率の向上を図ることができるとの利点を有する。そして、親水性ポリマー樹脂層を形成することにより、カーボンクロス表面の親水及び疎水性の割合が最適化され、燃料となるグルコース等と電極の馴染みやすさが向上し、電子メディエーター、酵素、カーボンクロスとの相互作用に適した状態に変化するという利点も有する。酵素や電子メディエーターの電極からの剥離を防止でき、電極の耐久性を向上できるとの利点がある。そして、上記構成によれば、かかる高性能な酵素−電子メディエーター固定電極を、カーボンクロス上に樹脂層を形成し、かかる親水性ポリマー樹脂層に対して、酵素及び電子メディエーター溶液を染み込ませるという簡便な操作で構築することができる。
特に、前記親水性ポリマー樹脂として、ビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物等の光硬化性樹脂を使用することにより、前記親水性ポリマー樹脂層を、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を塗布して、これを紫外線光のような光を照射することにより硬化することにより形成でき、更なる操作の簡便化を図ることができる。つまり、グラフト共重合など手間と時間のかかる操作なしに、簡便に高性能な電極を作製できるという利点がある。
3.本発明のバイオ燃料電池
本発明のバイオ燃料電池は、上記した本発明の酵素−電子メディエーター固定電極を含んで構成される。そして、その構成としては、例えば、バイオ燃料電池は、酸化反応を行うアノード側電極と還元反応を行うカソード側電極を含み、アノード側電極とカソード側電極は外部回路で接続され、及び必要に応じてアノード側電極とカソード側電極を隔離する電解質層を含んで構成される。そして、本発明の酵素−電子メディエーター固定電極は、アノード側電極として備える。
発電機構を説明すると、燃料をアノード側電極側に供給することにより、酵素の触媒反応により燃料を順次酸化することによって電子が取り出されると共に、プロトンが発生する。そして、この電子は、酵素反応と電極間の電子伝達を仲介するための電子メディエーターを通してアノード側電極に受け渡たされる。そして、アノード側電極から外部回路を通ってカソード側電極に電子が受け渡されることによって電流が発生する。一方、アノード側電極側で発生したプロトンは電解質層を通って、カソード側電極側に移動し、外部回路を通してアノード電極側から移動してきた電子と反応し水を生成する。カソード側電極側は、酸素や過酸化水素等の酸化剤を還元して電子を伝達することのできる触媒を固定化して構成されることが好ましく、アノード側電極側で発生したプロトンが酸素と反応することによって水を生成するように構成される。また、カソード側電極としては、例えば、ピルビン酸オキシダーゼ、ラッカーゼ等のマルチ銅酵素等の酵素が固定化された電極を使用することもできる。
燃料としては、電極上で進められる酸化還元反応により電子を放出可能な物質であれば特に制限はない。したがって、燃料は、電極触媒と使用した酵素の種類に応じて適宜選択することができる。好ましくは、バイオマス燃料である。バイオマスとは生物由来の資源を意味し、これら自体でもよいが、これらを加工したものが好ましい。例えば、糖類としては、単糖類、二糖類、多糖類などを使用することができる。単糖類としては、炭素数4のエリトロース、トレオース、エリトルロース、炭素数5のアラビノース、キシロース、リボース、リキソース、リブロース、炭素数6のグルコース、ガラクトース、タロース、マンノース、ソルボース、フルクトース、タガソース、ソルボース等が挙げられる。二糖類としては、マルトース、ラクトース、スクロース等を、また、多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、セルロース等を例示できる。糖類以外にも、ピルビン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、フタル酸、乳酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、グルコース−6−リン酸、フルクトース-6-リン酸、フルクトース-1,6-ビスリン酸、グリセルアルデヒド−3−リン酸、1,3-ビスホスホグリセリン酸、3-ホスホグリセリン酸、2-ホスホグリセリン酸等の有機酸、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、脂肪類、ペプチド、タンパク質等のポリアミノ酸類、アミン類等を用いることができる。そして、燃料は、上記したような適当な緩衝液に溶解させた形態で供給する等、バイオ燃料電池の構造に応じてその供給形態は適宜選択される。
そして、酵素−電子メディエーター固定電極に補酵素や補因子を要求する酵素を固定した場合には、好ましくは、補酵素や補因子を含むホロ酵素の状態で固定される。しかしながら、アポ酵素の形態で固定した酵素−電子メディエーター固定電極を利用する場合には、補酵素や補因子を供給することが必要となる。このとき、補酵素や補因子は、上記したような適当な緩衝液に溶解させた形態で供給する等、バイオ燃料電池の構造に応じてその供給形態が適宜選択される。このとき、燃料と同時に供給してもよいし、別々に供給してもよく、酵素の触媒活性を発現できる限り供給のタイミング等に制限はない。
本発明の高性能な酵素−電子メディエーター固定電極をアノード側電極として含んだバイオ燃料電池を提供することができる。これにより、バイオ燃料電池の出力向上を図ることができると共に、耐久性に優れた安定的な発電が可能となる。このように、高性能で実用性の高いバイオ電池の構築に貢献することができる。
以下、実施例により、本願発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本願発明は以下の実施例に限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは明確に理解されるべきである。
実施例1.アノード側電極の触媒電流の測定方法
本実施例では、酵素電極をアノード側電極として構築し、かかる電極の触媒電流を測定した。
アノード側電極を酵素電極として構築した。酵素電極は、電極材としてカーボンクロスを使用した。ここで、使用したカーボンクロスは、日本カーボン製の商品名「カーボンクロス GF-20」、面積重量440g/m2、厚さ0.5mmである。そして、かかるカーボンクロスに酵素溶液をしみ込ませて作製した。酵素溶液は、50μlで50 mgのアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素PQQ型グルコース脱水素酵素、0.1 mM CaCl2、0.3 mM PQQ、 20 mM リン酸緩衝液 (pH7.4)を含んで調製した。なお、グルコース脱水素酵素は、特開2013−045647号の記載に基づいて調製した。詳細には、アシネトバクター・カルコアセティカスNBRC12552株由来のグルコース脱水素酵素遺伝子(GeneID:X15871)をベクターpET-22b(+)のマルチクローニング部位(NdeI/BamHI)に挿入した。酵素発現プラスミドを、大腸菌BL21(DE3)pLysS株に形質転換した大腸菌を培養(37℃)し、IPTG(isopropyl thio-β-galactoside) 添加して培養(27℃)することで、酵素を発現誘導した。具体的には、大腸菌を、吸光度OD600=0.2になるまで培養し、0.05 mM IPTGを加え20 h培養した。発現菌体を回収し、20 mM Tris-HCl pH7.4に懸濁、0.4% Brij-58を加え、氷中で30分間放置した。次に、菌体を超音波破砕し、遠心分離(42,000 x g)後の上澄み液を分取した。ヒスチジンタグ融合タンパク質精製用金属アフィニティー担体(クロンテック、TALON)による精製は、担体をオープンカラムに適当量充填し、50 mM リン酸ナトリウム、0.3 M NaCl溶液で前洗浄後、発現菌体破砕液に0.3 M NaClを加えた後にカラムにアプライした。50 mM リン酸ナトリウム、5 mMイミダゾール、0.3 M NaCl溶液で洗浄後、50 mM リン酸ナトリウム、150 mMイミダゾール、0.3 M NaCl溶液で酵素を溶出した。溶出に用いた塩類を除去するため、25 mM Tris-HCl pH7.4緩衝液に対して透析した。透析サンプルは4 ℃、15000 rpmで5分間遠心分離し、分取した上清を20 mg/mL以上になるように再度濃縮した。そして、作成した酵素電極をアノード側電極として使用した。
そして、作製した酵素電極のバイオエレクトロカタリシス反応による応答電流を、サイクリックボルタンメトリー測定(CV)により測定した。具体的には、参照極(水系Ag/AgCl参照電極、BAS社)、対極(白金メッシュ、20 mm x 20mm)を、電池セル(ケニス社、メタノール燃料電池Fan 2018)のアノード側の燃料液層に差し込み、隔膜(セルロース膜:フタムラ化学、乾電池用セルロース膜#300)とアノード集電板(SUSメッシュ)の間に酵素電極を配置した。そして、アノード集電板に作用極となる酵素電極を接続して、電気化学測定装置(BAS社、600C)を使い測定した。そして、アノード側の燃料層における測定液として、緩衝液(2Mイミダゾール pH7.0)、燃料液(1 Mグルコース)、電子メディエーター(3 mMの1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファート、mPMS)の混合液を用いた。測定パラメーターは、初期電位を0.7 V、高電位を0.7 V、低電位を0 V、電位走査速度を0.02 V/秒とした。
また、アノード側電極として、酵素を含まない点を除いては、上記と同様にして構築した電極についても、CV測定を行った。
結果を図3に示す。図3のグラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。そして、波形(1)は酵素電極、波形(2)は酵素を含まない電極の結果を示す。この結果から、ここで作成した酵素電極において、グルコースから酵素、電子メディエーター、カーボン電極材(作用極)への電子伝達反応であるグルコースの酸化電流が測定できることが確認された。また、使用している電子メディエーター(mPMS)は、-0.1V付近から酸化電流が発生することが確認された。かかる結果より、ここで構築した酵素電極がアノード側電極として機能することが確認できた。
以下の実施例では、ここで構築した酵素電極に基づいて、出力向上や耐久性向上等の酵素電極の高性能化のための検討を行った。
実施例2.親水性ポリマー樹脂の使用量の最適化‐1
本実施例では、酵素−電子メディエーター固定電極の高性能化を図るべく、親水性ポリマー樹脂層をカーボンクロス上に形成する際の、親水性ポリマーの最適塗布量の検討を行った。ここでは、特に、親水性ポリマー樹脂の濃度について検討を行った。
親水性ポリマー樹脂としては、水溶性感光性樹脂BIOSURFINE(登録商標)、AWP:Azide-unit Pendant Water-soluble Photopolymer(東洋合成社)を使用した。硬化前の親水性ポリマー樹脂溶液の濃度を0及び2〜6%の範囲内で1%間隔に設定してカーボンクロス電極材(電極面積1cm2)上に15μl塗布した。そして、製造業者の指示に従って親水性ポリマー樹脂を光架橋により硬化させた。続いて、親水性ポリマーを塗布したカーボンクロスに、実施例1と同様に酵素溶液及び電子メディエーターをしみ込ませた。このとき、電子メディエーター溶液は、酵素溶液と同時に30mMの濃度で染み込ませた。このようにして、酵素−電子メディエーター固定電極を作製し、CV測定を行った。また、親水性ポリマー樹脂を塗布しない(親水性ポリマー樹脂濃度0%)カーボンクロス電極材について、上記同様に酵素−電子メディエーター固定電極を作製し、CV測定を行った。
また、アノード側電極として、酵素及電子メディエーターを含まない点を除いては、上記と同様にして構築した電極についても、CV測定を行った。このとき、親水性ポリマー樹脂の濃度は3%とした。
結果を図4に示す。図4のグラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。この結果から、親水性ポリマー樹脂を塗布した電極は、塗布を行わなかった電極と比較して、グルコースの酸化電流(+電流値)が向上することが確認された。また親水性ポリマー樹脂濃度の触媒電流値への影響は、濃度6%よりも5%、4%、3%の順でグルコースの酸化電流が向上した。一方、濃度2%では3%よりも低下したことから、2%より濃度が低くなると酸化電流が徐々に低下する傾向があることが判明した。
かかる結果より、親水性ポリマー樹脂濃度が3%の場合に、電極の触媒電流値が最大になったことから、以下の実施例においては、カーボンクロスに塗布する親水性ポリマー樹脂濃度を3%に設定し、更なる電極の高性能化条件の検討を行った。
実施例3.親水性ポリマー樹脂使用量の最適化‐2
本実施例では、電極の高性能化を図るべく、親水性ポリマー樹脂層をカーボンクロス上に形成する際の、親水性ポリマーの最適塗布量の検討を行った。ここでは、特に、親水性ポリマー樹脂の容量について検討を行った。
硬化前の親水性ポリマー樹脂溶液(3%)を、0、及び15〜60μlの範囲内で15μl間隔に設定してカーボンクロス電極材(電極面積1cm2)上に塗布した。なお、親水性ポリマー樹脂は実施例2で使用したものと同じであり、実施例2と同様にして、酵素−電子メディエーター固定電極を作製し、CV測定を行った。また、親水性ポリマー樹脂を塗布しない(親水性ポリマー樹脂量0μl)カーボンクロス電極材について、上記同様に酵素−電子メディエーター固定電極を作製し、CV測定を行った。
また、アノード側電極として、酵素を含まない点を除いては、上記と同様にして構築した電極についても、CV測定を行った。このとき、親水性ポリマー樹脂の濃度は3%で塗布量は15μlとした。
結果を図5に示す。図5のグラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。この結果から、親水性ポリマー樹脂の塗布を行わなかった電極と比較して、グルコースの酸化電流(+電流値)は、塗布量が15〜30μlで最大となった。しかしながら、それ以上の塗布量では45〜60μlでは、塗布を行わなかった場合と同じ程度の触媒電流値まで低下することが判明した。
かかる結果より、親水性ポリマー樹脂濃度3%で15μl塗布した場合に、電極の触媒電流値が最大になったことから、以下の実施例においては、カーボンクロスに塗布する親水性ポリマー樹脂濃度3%で15μlと設定し、更なる電極の高性能化条件の検討を行った。
実施例4.カーボン電極材種の比較
本実施例では、電極の高性能化を図るべく、カーボン電極材種の比較を行った。ここでは、特に、繊維構造を有するカーボンクロスとカーボンフェルトについて比較検討を行った。
カーボン電極材として、カーボンクロスとカーボンフェルトについて比較検討を行った。両者は、繊維構造を有する点で共通するカーボン電極材であるが、製造の際の焼成温度やその結果生じる微細構造等の形態等の点で相違する。カーボンクロスは実施例1〜3と同じものを使用し、カーボンフェルトは、ROSA社から商品名「カーボンマット厚手、面積重量50g/m2、厚さ0.79mmを購入して使用した。そして、実施例2、3と同様に、親水性ポリマー樹脂(カーボン電極材1 cm2あたり、濃度3%、塗布量15μl)を塗布し、酵素及び電子メディエーター親水性をポリマー樹脂に染み込ませて酵素−電子メディエーター固定電極を作製し、CV測定を行った。
結果を図6に示す。図6のグラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。そして、波形(1)はカーボンクロス、波形(2)はカーボンフェルトの結果を示す。この結果から、カーボンクロス使用時と比較して、カーボンフェルト使用時のグルコースの酸化電流(+電流値)は、約1/2程度であった。かかる結果より、カーボンフェルトは、親水性ポリマー樹脂の塗布による触媒電流値の向上効果を発揮できない電極材であり、カーボンクロスと親水性ポリマー樹脂との組み合わせが最適であることが判明した。
実施例5.親水性ポリマー樹脂/酵素・電子メディエーター配置の最適化
本実施例では、電極の高性能化を図るべく、親水性ポリマー樹脂上に塗布したカーボン電極材上に酵素及び電子メディエーターを固定した酵素−電子メディエーター固定電極における、親水性ポリマー樹脂、酵素及び電子メディエーター配置について検討を行った。ここでは、特に、酵素及び電子メディエーターを親水性ポリマー樹脂内に内包して電極材に固定化して配置する場合と、電極材上に塗布した親水性ポリマー樹脂上への滴下により固定して配置する場合とを比較検討を行った。
酵素及び電子メディエーターを親水性ポリマー樹脂内に内包して電極材に固定化して配置した酵素−電子メディエーター固定電極と、電極材上を被覆した親水性ポリマー樹脂上への滴下により固定化して配置した酵素−電子メディエーター固定電極を調製した。なお、親水性ポリマー樹脂、酵素、及び電子メディエーターは、上記実施例と同じものを使用し、親水性ポリマー樹脂は、上記実施例にて最適条件とされる濃度3%にて15μl/1cm2をカーボンクロス上に塗布した。
酵素及び電子メディエーターを親水性ポリマー樹脂内に内包して電極材に固定化した電極(以下、「内包式電極」という)は、親水性ポリマー樹脂の製造業者のプロトコールに従って、酵素及び電子メディエーターをカーボンクロス電極材上で親水性ポリマー樹脂に内包した。なお、通常、分子量50,000以上有し、本実施例で使用した親水性ポリマー樹脂は、分子量500程度以上の分子をポリマー内に内包することができる。そのため、親水性ポリマーは、酵素の電極材表面への固定化試薬として汎用されており、上記プロトコールは製造業者によって推奨されている。このように固定化した場合には、酵素及び電子メディエーターは親水性ポリマー樹脂内に存在することなる。
そして、酵素及び電子メディエーターを電極材上に塗布した親水性ポリマー樹脂上への滴下によって固定した電極(以下、「滴下式電極」という)は、上記実施例で記載したように作製した。このように固定した場合には、親水性ポリマー樹脂は分子量500程度より小さい分子はその内部に浸透させることができるが、それ以上の分子量の分子はその内部に浸透させることができない。したがって、分子量の大きい酵素は親水性ポリマー内に浸透できなないことから滴下面の親水性ポリマー樹脂上に固定され、分子量の小さな電子メディエーターは親水性ポリマー樹脂内部に浸透した形で固定されることなる。なお、上記滴下式電極に燃料としてグルコースを供給しなかった場合についても同様に検討を行った。
結果を図7に示す。図7グラフは、印加した電位(V)を横軸、応答電流値(mM)を縦軸とする電流電圧曲線である。そして、波形(1)は滴下式電極、波形(2)は内包式電極の結果を示す。なお、波形(3)は滴下式電極に燃料としてグルコースを供給しなかった場合の結果を示す。この結果から、内包式電極では、グルコースの酸化電流(+電流値)は滴下式と比較して低く、親水性ポリマー樹脂内に内包すると、触媒電流の向上効果は認められないことが判明した。この理由としては、親水性ポリマー樹脂の網目の穴による基質(グルコース:分子量180)の酵素反応への供給阻害によるものと考えられる。
実施例6.電極上の酵素安定性の比較
本実施例は、カーボンクロス上に親水性ポリマー樹脂層を形成することによる酵素の安定化効果を、カーボンクロス上に酵素をそのまま固定した電極との比較により検討した。
カーボンクロス上に形成した親水性ポリマー樹脂層に酵素を滴下して作製した酵素電極について、時間経過に伴う酵素安定性への影響を酵素活性を指標に検討した。なお、酵素電極は、mPMSは滴下しない点を除いては、上記実施例に記載したように作製した。そして、作製時を0日として、2日経過時、10日経過時に、酵素電極を、酵素活性測定液2 mlに添加し攪拌後、DCIP の還元脱色反応に伴う600 nmの吸光度の減少を25℃で2分間分光光度法により測定し、直線部分からの1分当たりのΔOD計算した。なお、酵素活性測定液と
しては、7.5 mM リン酸緩衝液、 pH7.4、0〜600 mM グルコース、0.22 mM DCIP、1.3 mM mPMSを用いた。
そして、親水性ポリマー樹脂層を形成しないカーボンクロスに酵素を滴下して作製した酵素電極についても同様に酵素活性を測定した。
結果を図8に示す。図8の縦軸は相対酵素活性(%)であり、酵素電極の作製時(0日経過時)の酵素活性を100%とした各経過時の相対活性を示した棒グラフである。この結果から、親水性ポリマー樹脂層をカーボンクロス上に形成することにより、酵素の触媒活性の安定性が向上することが判明した。
実施例7.電子メディエーターの固定化効果の検討
本実施例では、電子メディエーターの固定化効果の検討を行った。詳細には、種々の親水性ポリマー樹脂濃度での電子メディエーターの固定化効果の検討を行った。
硬化前の親水性ポリマー樹脂溶液の濃度を0及び1〜6%の範囲内で1%間隔に設定してカーボンクロス電極材(電極面積0.5cm2)上に15μl塗布した。なお、親水性ポリマー樹脂は実施例2で使用したものと同じであり、実施例2と同様にして、光架橋により樹脂を硬化させた。続いて、親水性ポリマーを塗布したカーボンクロスに電子メディエーター(0.5 g/ml のmPMS)を2μl滴下し10分間放置した。その後、上記カーボンクロスを200μlのMilli-Q水に浸して洗浄し、その洗浄液を分取した。そして、その洗浄液に含まれるmPMS量を、吸光度(波長420 nm)で測定し、親水性ポリマー樹脂濃度1%での測定値を100%として、各樹脂濃度におけるmPMS量を相対値で比較した。
結果を図9に示す。図9の縦軸は相対電子メディエーター固定量(%)、横軸は親水性ポリマー樹脂濃度(%)を示した棒グラフである。ここで、縦軸の固定量は、吸光度を指標に測定した脱離量の値を、ポリマーなしの電極での脱離量の値から差し引くことで算出した値である。この結果から、樹脂濃度4%では電子メディエーター固定量が増加するが、それ以上の5%、6%では、逆に、メ電子ディエーターの固定化が阻害されることが確認できた。なお、親水性ポリマー樹脂を塗布しない場合であってもカーボンクロスには一定量の電子メディエーターが固定化されるため、そのときの固定化量をバックグラウンド値とした。そのため、5%、6%の高濃度の樹脂では、バックグラウンドになる電子メディエーターの固定化も抑制されるためマイナス値となっている。
実施例8.酵素の固定化効果の検討
本実施例では、酵素の固定化効果の検討を行った。詳細には、種々の親水性ポリマー樹脂濃度での酵素の固定化効果の検討を行った。
硬化前の親水性ポリマー樹脂溶液の濃度を0及び1〜6%の範囲内で1%間隔に設定してカーボンクロス電極材(電極面積0.5cm2)上に15μl塗布した。なお、親水性ポリマー樹脂は実施例2で使用したものと同じであり、実施例2と同様にして、光架橋により樹脂を硬化させた。続いて、親水性ポリマーを塗布したカーボンクロスに酵素(5mg/ml)を10μl滴下し10分間放置した。ここで、使用した酵素は実施例1等に記載のアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素PQQ型グルコース脱水素酵素である。その後、上記カーボンクロスを200μlのMilli-Q水に浸して洗浄し、その洗浄液を分取した。そして、その洗浄液に含まれる酵素量を、吸光度(波長280 nm)で測定し、親水性ポリマー樹脂濃度1%での測定値を100%として、各樹脂濃度における酵素量を相対値で比較した。また各樹脂濃度における洗浄液をそれぞれSDSポリアクリルアミド電気泳動で解析した。なお、酵素由来のシグナルが2つ観察されたが、何れもアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素PQQ型グルコース脱水素酵素由来のバンドシグナルであるとして、2つのシグナル強度の総和で比較した。
結果を図10及び図11に示す。図10の縦軸は相対酵素固定量(%)、横軸は親水性ポリマー樹脂濃度(%)を示した棒グラフである。ここで、縦軸の固定量は、吸光度を指標に測定した脱離量の値を、ポリマーなしの電極での脱離量の値から差し引くことで算出した値である。図11は、各樹脂濃度における洗浄液のSDSポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す電気泳動図である。これらの結果から、樹脂濃度1%、2%の低濃度では、酵素が樹脂内部に入ることでカーボンクロスに含浸固定化されているが、それ以上の3%では徐々に含浸固定量が阻害させることが理解できる。なお、親水性ポリマー樹脂を塗布しない場合であってもカーボンクロスには一定量の酵素が固定化されるため、そのときの固定化量をバックグラウンド値とした。そのため、5%、6%の高濃度の樹脂では、バックグラウンドになる酵素の固定化も抑制されるためマイナス値となっている。
本発明は、酵素−電子メディエーター固定電極に関し、電子メディエーターを介した電子伝達機能を利用した酵素電極が要求されるあらゆる分野、例えば、電子、医療、食品、環境分野等の産業分野において利用可能である。特にバイオ燃料電池の酵素電極としての利用価値が高い。

Claims (14)

  1. カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に、電子メディエーター及び酵素が固定された酵素−電子メディエーター固定電極であって、
    前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように構成され、
    前記電子メディエーターの一部又は全部が前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴内に、前記酵素が親水性ポリマー樹脂層上に固定され、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に配列している酵素−電子メディエーター固定電極。
  2. 前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴が一辺1nm〜3nmの四角形若しくは直径1nm〜3nmの円形又は楕円形であり、前記電子メディエーターの直径が0.5nm〜0.9nm、前記酵素の直径が5nm〜10nmである請求項1に記載の酵素−電子メディエーター固定電極。
  3. 前記親水性ポリマー樹脂層が、前記カーボンクロス上に、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を、2〜4w/w%で、カーボンクロス1cm2当たり15〜30μl塗布して、これを硬化することにより形成される請求項1又は2に記載の酵素−電子メディエーター固定電極。
  4. 前記親水性カーボン樹脂が、光硬化性樹脂である請求項1〜3の何れか一項に記載の酵素−電子メディエーター固定電極。
  5. 前記光硬化性樹脂が、ビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物である請求項4に記載の酵素−電子メディエーター固定電極。
  6. 前記酵素がアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素ピロロキノリンキノン型グルコース脱水素酵素であり、前記電子メディエーターが1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファートである請求項1〜5の何れか一項に記載の酵素−電子メディエーター固定電極。
  7. カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に、酵素及び電子メディエーターが、前記カーボンクロス側から、前記電子メディエーター、前記酵素の順に配列するように固定された酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法であって、
    前記親水性ポリマー樹脂層の網目の穴を、電子メディエーターのサイズより大きく、かつ酵素のサイズよりも小さくなるように、前記カーボンクロス上に親水性ポリマー樹脂層を形成する工程と、
    前記カーボンクロス上に形成された親水性ポリマー樹脂層に対して、酵素及び電子メディエーター溶液を染み込ませることにより、前記親水性ポリマー樹脂層に酵素及び電子メディエーター固定する工程とを有する、酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
  8. 前記親水性ポリマー樹脂層を形成する工程が、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を塗布して、これを硬化することにより親水性ポリマー樹脂層を形成する請求項7に記載の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
  9. 前記親水性ポリマー樹脂層を形成する工程が、前記カーボンクロス上に、未硬化の親水性カーボン樹脂溶液を、2〜4w/w%で、カーボンクロス1cm2当たり15〜30μl塗布して、これを硬化することにより親水性ポリマー樹脂層を形成する請求項7又は8に記載の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
  10. 前記親水性カーボン樹脂が、光硬化性樹脂である請求項7〜9の何れか一項に記載の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
  11. 前記光硬化性樹脂が、ビニルアルコール・酢酸ビニルの共重合物とN-(3-ホルミル)プロピル-2-[2-[3-(4-アジドフェニル)プロペノイルアミノ]-3-(3-ピリジル)]プロペンアミドとのアセタール化物である請求項10に記載の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
  12. 前記酵素がアシネトバクター カルコアセティカス由来の補酵素ピロロキノリンキノン型グルコース脱水素酵素であり、前記電子メディエーターが1-メトキシ-5-メチルフェナジニウムメチルスルファートである請求項7〜11の何れか一項に記載の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法。
  13. 請求項7〜12に記載の酵素−電子メディエーター固定電極の製造方法によって製造された酵素−電子メディエーター固定電極。
  14. 請求項1〜6、及び13の何れか一項に記載の酵素−電子メディエーター固定電極をアノード側電極として備えるバイオ燃料電池。
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