JP2009273381A - 熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体 - Google Patents

熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体 Download PDF

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伊藤  潔
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【課題】公知の血糖センサ用酵素と比較して、さらに実用面において有利な血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供すること。
【解決手段】改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列のうち、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素残基から半径30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸であり、かつ、αへリックスを構成するアミノ酸及びまたはαへリックスの両端より2アミノ酸以内のアミノ酸において、1もしくは数個のアミノ酸を欠失、置換もしくは付加することにより、改変前と比較して、改変前と比較して熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体、該フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体をコードする遺伝子、該フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体の製造法及び該フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体のグルコース測定試薬への種々の適用に関する。
血糖自己測定は、糖尿病患者が通常の自分の血糖値を把握し治療に生かすために重要である。血糖自己測定に用いられるセンサにはグルコースを基質とする酵素が利用されている。そのような酵素の例としては例えばグルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)が挙げられる。グルコースオキシダーゼはグルコースに対する特異性が高く、熱安定性に優れているという利点を有していることから血糖センサ用酵素として古くから利用されており、その最初の発表は実に40年ほど前に遡る。グルコースオキシダーゼを利用した血糖センサにおいては、グルコースを酸化してD−グルコノ−δ−ラクトンに変換する過程で生じる電子がメディエーターを介して電極に渡されることで測定がなされるが、グルコースオキシダーゼは反応で生じたプロトンを酸素に渡しやすいため溶存酸素が測定値に影響してしまうという問題があった。
このような問題を回避するために、例えばNAD(P)依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.47)あるいはピロロキノリンキノン(本書ではピロロキノリンキノンをPQQとも記載する。)依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(EC1.1.5.2(旧EC1.1.99.17)が血糖センサ用酵素として用いられている。これらは溶存酸素の影響を受けない点で優位であるが、前者のNAD(P)依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(本書ではNAD(P)依存型グルコースデヒドロゲナーゼをNADGDHとも記載する。)は安定性の乏しさや補酵素の添加が必要という煩雑性がある。一方後者のPQQ依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(本書ではPQQ依存型グルコースデヒドロゲナーゼをPQQGDHとも記載する。)は、基質特異性に乏しく、マルトースやラクトースといったグルコース以外の糖類にも作用するため測定値の正確性を損ねてしまうという欠点がある。
Biochim Biophys Acta. 1967 ;139 (2):265−76 Biochim Biophys Acta. 1967 ;139 (2):277−93 Biochim Biophys Acta. 1967 ;146 (2):317−27 Biochim Biophys Acta. 1967 ;146 (2):328−35
本発明の目的は、上述のような公知の血糖センサ用酵素と比較して、さらに実用面において有利な血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供することである。
発明者らは、酵素の安定供給という観点から、該酵素を遺伝子組み換えにより生産することを視野に先行技術を再検討した。
その結果、意外にも、大腸菌で発現させて取得したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ組換え体は、熱安定性が野生株から培養・精製して得られた酵素と比べて大きく劣ることが判明した。例えば、発明者らが後述の方法によりアスペルギルス・オリゼから取得したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼは、50℃・15分処理において約77%の活性を維持していたが、大腸菌で発現させて取得したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ組換え体の熱安定性は、50℃・15分処理において約13%しか維持できない程度であった。
これは、遺伝子組み換えにより生産された酵素は、表面に多糖が付加されておらず、熱安定性が低下したからであると考えられた。
血糖センサ用チップの作製工程においては、加熱乾燥処理を施す場合があり、組換え体を利用する場合には、大幅な熱失活をおこす危険性があり、熱安定性を向上させる必要があった。
加熱乾燥可能なレベルとは、50℃、15分処理後の残存活性が20%以上存在する状態であり、好ましくは40%以上の残存活性が存在する状態であり、更に好ましくは、60%以上の残存活性が存在する状態である。
そこで我々は、遺伝子組み換えにより生産しても十分な熱安定性を有し、より実用面において有利な血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供することを目的にさらに検討を重ねた。
その結果、我々は、アスペルギルス・オリゼ株由来のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのX線結晶構造解析データを基にして活性中心のアミノ酸を標的として適宜改変することにより、上述のような公知の血糖センサ用酵素の熱安定性に関する欠点を克服して、より実用面において有利な血糖値測定用試薬に使用可能な酵素を提供することができた。
すなわち、本発明は、改変前のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼよりも熱安定性が向上したでフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体あって、好ましくは真核生物由来、さらに好ましくは糸状菌由来、さらに好ましくはAspergillus属菌由来のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼである。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[項1]
改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列のうち、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素原子から半径30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸であり、かつ、αへリックスを構成するアミノ酸、αへリックスを構成するアミノ酸の両端より2アミノ酸以内のアミノ酸、βシートを構成するアミノ酸の両端より4アミノ酸以内のアミノ酸を欠失、置換もしくは付加することにより、改変前と比較して熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項2]
改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列の少なくとも1個のアミノ酸が、改変前と比較して、他のアミノ酸に置換していることを特徴とする請求項1記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項3]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有する、請求項1、2のいずれかに記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項4]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有する、請求項1,2のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項5]
改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有する、請求項1、2のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項6]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の160位、162位、163位、167位、171位、551位またはそれらと同等の位置からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項7]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の160位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がG160Pに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項8]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の162位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS162Pに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項9]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の163位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がG163K、G163L、G163Rのいずれかに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項10]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の167位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS167A、S167P、S167R、S167Vのいずれかに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項11]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の171位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS171Pに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項12]
配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の551位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がV551A、V551C、V551T、V551Q、V551S及びV551Yからなる群のうちいずれか1つのアミノ酸置換を有する請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
[項13]
請求項1〜12のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体をコードする遺伝子。
[項14]
請求項1〜12のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体をコードする遺伝子を含むベクター。
[項15]
請求項14に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
[項16]
請求項15に記載の形質転換体を培養し、該培養物からフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼを採取することを特徴とするフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体の製造法。
[項17]
請求項1〜12項のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を含むグルコース測定用試薬。
[項18]
請求項1〜12項のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を含むグルコースセンサ。
[項19]
請求項1〜12項のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を用いるグルコース測定方法
本発明によるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼの熱安定性の向上は、グルコース測定試薬、グルコースアッセイキット及びグルコースセンサ作製時の酵素の熱失活を低減して、該酵素の使用量低減や測定精度の向上を可能にする。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明の一実施形態は、改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列のうち、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素原子から半径30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸であり、かつ、αへリックスを構成するアミノ酸、αへリックスを構成するアミノ酸の両端より2アミノ酸以内のアミノ酸、βシートを構成するアミノ酸の両端より4アミノ酸以内のアミノ酸を欠失、置換もしくは付加することにより、改変前と比較して熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体である。(以下、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼをFADGDHとも記載する。)
本発明において、改変前のFADGDHは、特に限定されるものではないが、自然界に存在する種々の公知のFADGDHが挙げられる。具体的には、アスペルギルス属、ペニシリウム属由来のものなどが挙げられ、好ましくはアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDH、さらに好ましくは配列番号2で示したアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHが挙げられる。配列番号2のFADGDHは特許文献1の方法により取得することが可能である。
特開2007−289148
本発明において、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素から30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸とは、改変前のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性デヒドロゲナーゼの活性中心近傍に位置するアミノ酸のことを指す。
活性中心とはdiscovery Studio visualizer 2.0(DS visualizer)(Accelrys社)を用いて、グルコースとグルコースデヒドロゲナーゼが結合した状態の立体構造により定義される部位である。フラビンアデニンジヌクレオチドからの距離も同ソフトを用いることで定義できる。
配列番号2のアミノ酸配列を有するFADGDHの立体構造を例示する。これによれば、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素は活性中心に位置しており、基質の出入り口を構成するアミノ酸の中心に位置する。フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素から30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸は、基質の出入り口を構成するアミノ酸と定義することができる。基質の出入り口はフレキシビリティーが高く、立体構造上不安定であると推測されることから、この部位を標的として新たな相互作用が生じるように置換を行うことで、安定性が向上すると考えられる。
このことから、活性中心近傍に位置し、基質の出入り口と考えられる部位を構成するアミノ酸の中でもαへリックスを構成するアミノ酸、αへリックスを構成するアミノ酸の両端より2アミノ酸以内のアミノ酸、及び/または、βシートを構成するアミノ酸の両端より4アミノ酸以内のアミノ酸を標的として欠失、置換もしくは付加することが熱安定性を向上させるのに効果的であると考えられる。
αへリックスを構成するアミノ酸とは具体的には171位のアミノ酸を示す。また、αへリックスを構成するアミノ酸の両端より2アミノ酸以内のアミノ酸とは167位のアミノ酸を示す。 また、βシートを構成するアミノ酸の両端より4アミノ酸以内のアミノ酸とは160位、162位、163位のアミノ酸を示す。
本発明において、熱安定性が向上したFADGDH改変体とは、50℃・15分間の熱処理後の残存活性が改変前のFADGDHより高いことを意味する。
好ましくは、改変前より相対的に2倍以上高い残存活性を有する状態である。
あるいは、好ましくは、50℃・15分間の熱処理後の残存活性が60%以上である。
本発明の一実施形態は、改変前のFADGDHのアミノ酸配列のうち、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素原子から半径30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸であり、かつ、αへリックスを構成するアミノ酸、αへリックスを構成するアミノ酸の両端より2アミノ酸以内のアミノ酸、βシートを構成するアミノ酸の両端より4アミノ酸以内のアミノ酸を欠失、置換もしくは付加することにより、改変前と比較して熱安定性が向上したFADGDH改変体であって、改変前のFADGDHのアミノ酸配列の少なくとも1個のアミノ酸が、改変前と比較して、他のアミノ酸に置換していることを特徴とするFADGDH改変体である。
上記で示される本発明のFADGDH改変体は、配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するものであっても良い。配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するものが、さらに好ましい。
また、改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有するものであっても良い。
本発明のFADGDHは、配列番号2に記載されたアミノ酸配列を有するFADGDHにおいて、少なくとも1つのアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加された一次構造を有するFADGDH改変体であり、例えば、配列番号2において、160位、162位、163位、167位、171位及び551位、からなる群のうち少なくとも1つの位置、または、それらと同等の位置、すなわち他の種における上記と同等の位置においてアミノ酸置換を有する熱安定性が向上したFADGDH改変体である。上記のうち、163位及び551位の少なくとも1つの位置においてアミノ酸置換を有するFADGDH改変体がさらに好ましいものとして例示できる。
より詳細には、160位、162位、163位、167位、171位及びまたはそれらと同等の位置からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸は、改変前のアミノ酸と比較して等電点が高いアミノ酸に置換することで、周辺のアミノ酸と電気的な相互作用が生じることより熱安定性を向上することが可能である。
具体的には160位のグリシンがアルギニンに置換したことで正に帯電した側鎖が、202位の負に帯電したセリンの側鎖とイオン結合を新たに形成することにより熱安定性が向上したFADGDH改変体。
具体的には162位のセリンがプロリンに置換したことで正に帯電した側鎖が、164位の負に帯電したセリンの側鎖とイオン結合を新たに形成することにより熱安定性が向上したFADGDH改変体。
具体的には163位のグリシンがリジン、ロイシン、アルギニンに置換したことで正に帯電した側鎖が、161位の負に帯電したトリプトファンの側鎖とイオン結合を新たに形成することにより熱安定性が向上したFADGDH改変体。
具体的には167位のセリンがプロリンに置換したことで正に帯電した側鎖が、169位の負に帯電したアスパラギンの側鎖とイオン結合を新たに形成することにより熱安定性が向上したFADGDH改変体。
具体的には171位のセリンがプロリンに置換したことで正に帯電した側鎖が、169位の負に帯電したアスパラギンの側鎖とイオン結合を新たに形成することにより熱安定性が向上したFADGDH改変体。
具体的には551位のバリンがアラニン、システイン、スレオニン、グルタミン、セリン及びチロシンに置換したことで側鎖の親水性が増大したことで、新たに水分子との水和が形成されたことにより熱安定性を向上したFADGDH改変体。
本発明のFADGDH改変体は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列における上記で示されるいずれかの位置においてアミノ酸置換を行うことにより得られる。
本発明において「配列番号2のアミノ酸配列と同等の位置」とは、配列番号2のアミノ酸配列と、配列番号2と高い相同性(好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上)のアミノ酸配列を有する他のアスペルギルス・オリゼ由来のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼとを、相同性分析においてアラインさせた場合に、そのアラインメントにおける同一の位置を意味する。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の160位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がG160Pに置換されているFADGDH改変体が例示できる。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の162位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS162Pに置換されているFADGDH改変体が例示できる。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の163位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がG163K、G163L、G163Rのいずれかに置換されているFADGDH改変体が例示できる。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の167位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS167A、S167P、S167R、S167Vのいずれかに置換されているFADGDH改変体が例示できる。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の171位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS171Pに置換されているFADGDH改変体が例示できる。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の551位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がV551A、V551C、V551T、V551Q、V551S及びV551Yからなる群のうちいずれか1つのアミノ酸置換を有するFADGDH改変体が例示できる。
あるいは、本発明のFADGDH改変体は、好ましくは配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の551位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換が(G160E+S167P)、(G160I+S167P)、(G160S+S167P)、(G160Q+S167P)、(S162A+S167P)、(S162C+S167P)、(S162D+S167P)、(S162D+S167P)、(S162E+S167P)、(S162F+S167P)、(S162H+S167P)、(S162L+S167P)、(G163D+S167P)、(S164F+S167P)、(S164T+S167P)、(S164Y+S167P)、(L165A+S167P)、(L165I+S167P)、(L165P+S171K)、(L165P+V551C)、(L165V+V551C)、(A166C+S167P)、( A166I+S167P)、(A166K+S167P)、(A166K+S167P) 、(A166M+S167P)、 (A166P+S167P)、(A166S+S167P)、(S167P+N169K)、(S167P+N169P)、(S167P+N169Y)、(S167P+N169W)、(S167P+L170C)、(S167P+L170F)、(S167P+S171I)、(S167P+S171K)、(S167P+S171M)、(S167P+S171Q)、(S167P+S171V)、(S167P+V172A)、(S167P+V172C)、(S167P+V172E)、(S167P+V172I)、(S167P+V172M)、(S167P+V172S)、(S167P+V172T)、(S167P+V172W)、(S167P+V172Y)、(S167P+V329Q)、(S167P+A331C)、(S167P+A331D)、(S167P+A331I)、(S167P+A331K)、(S167P+A331L)、(S167P+A331M)、(S167P+A331V)、(G163K+V551C)、(G163R+V551C)
及び(K120E+S167P+K369R)からなる群のうちいずれか1つのアミノ酸置換を有するFADGDH改変体が例示できる。
本願発明のFADGDH改変体は、種々の公知の手段で作製することが出来る。
以下に、配列番号2で示される野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHを改変したFADGDH改変体の製造法を例示する。製造法は、特に限定されないが、以下に示すような手順で製造することが可能である。
フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼを構成するアミノ酸配列を改変する方法としては、通常行われる遺伝情報を改変する手法が用いられる。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するDNAの特定の塩基を変換することにより、或いは特定の塩基を挿入または欠失させることにより、改変タンパク質の遺伝情報を有するDNAが作成される。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社, EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製, Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の使用、或いはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)の利用が挙げられる。
作製されたフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体の遺伝情報を有するDNAは、プラスミドと連結された状態にて宿主微生物に移入され、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を生産する形質転換体となる。この際のプラスミドとしては、例えば、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5・、エシェリヒア・コリーW3110、エシェリヒア・コリーC600などが利用できる。宿主微生物に組み換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主微生物がエシェリヒア・コリーに属する微生物の場合には、カルシウムイオンの存在下で組み換えDNAの移入を行う方法などを採用することができる、更にエレクトロポレーション法を用いても良い。更には市販のコンピテントセル(例えばコンピテントハイJM109;東洋紡績製)を用いても良い。
なお、これらの過程で得られた、FADGDH改変体をコードする遺伝子、該遺伝子を含むベクター、該ベクターで形質転換された形質転換体も、本発明の実施形態として含まれる。
配列番号1で示される塩基配列は、本願発明者が同定した、アスペルギルス・オリゼ由来のグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列の全配列を示す。また、
配列番号1で示される塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も適用できる。
配列番号41で示される塩基配列は、本願発明者が同定した、アスペルギルス・オリゼ由来のグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列の全配列にゲノム情報よりシグナルペプチドと推測される塩基配列を付加した配列を示す。また、
配列番号41で示される塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も適用できる。
配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列とは、本願発明者が同定した、アスペルギルス・オリゼ由来のグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列の全配列を示す。また、
配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も本発明に適用できる。
配列番号42で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列とは、本願発明者が同定した、アスペルギルス・オリゼ由来のグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列の全配列にゲノム情報よりシグナルペプチドと推測される塩基配列を付加した配列を示す。また、
配列番号42で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も本発明に適用できる。
本発明の塩基配列は本グルコースデヒドロゲナーゼの発現を向上させるように、コドンユーセージ(Codon usage)を変えたものを含まれる。
こうして得られた形質転換体である微生物は、栄養培地で培養されることにより、多量のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を安定して生産し得る。形質転換体である宿主微生物の培養形態は宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよく、通常多くの場合は液体培養で行うが、工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては微生物の培養に通常用いられるものが広く使用される。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。窒素減としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分怪物、大豆粕アルカリ分解物などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。培地温度は菌が発育し、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を生産する範囲で適日変更し得るが、エシェリヒア・コリーの場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養温度は条件によって多少異なるが、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体が最高収量に達する時期を見計らって適当時期に培養を終了すればよく、通常は6〜48時間程度である。培地pHは菌が発育し買い変体朴質を生産する範囲で適宜変更しうるが、特に好ましくはpH6.0〜9.0程度である。
培養物中のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を生産する菌体を含む培養液をそのまま採取し利用することもできるが、一般には常法に従って改変タンパク質が培養液中に存在する場合は、濾過、遠心分離などにより、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体の含有溶液と微生物菌体とを分離した後に利用される。改変タンパク質が菌体内に存在する場合には得られた培養物から濾過または遠心分離などの手法により菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊し、また必要に応じてEDTA等のキレート剤及びまたは界面活性剤を添加してフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を可溶化し、水溶液として分離採取する。
このようにして得られたフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体含有溶液を、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、さらに、硫酸アンモニム、硫酸ナトリウムなどの塩析処理、或いは親水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトンなどによる分別沈殿法により沈殿せしめればよい。また、加温処理や東電点処理も有効な生成手段である。吸着剤或いはゲル濾過剤などによるゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーにより、精製されたフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を得ることができる。
グルコースアッセイキット
本発明はまた、本発明に従うフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を含むグルコースアッセイキット(本発明で「グルコース測定用試薬」と「グルコースアッセイキット」は同義である。)、を特徴とする。本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従うフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体に加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明に従うフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体は種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。
グルコースセンサー
本発明はまた、本発明に従うフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を用いるグルコースセンサーを特徴とする。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体をカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
グルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として本発明のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
本発明において、FAD依存型GDHの活性測定は以下の条件で行う。
[試験例]
<試薬>
50mM PIPES緩衝液pH6.5(0.1%TritonX−100を含む)
163mM PMS溶液
6.8mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)溶液
1M D−グルコース溶液
上記PIPES緩衝液15.6ml、DCPIP溶液0.2ml、D―グルコース溶液4mlを混合して反応試薬とする。
<測定条件>
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。GDH溶液0.1mlを添加しゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で、600nmの吸光度変化を5分記録し、直線部分から1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検はGDH溶液の代わりにGDHを溶解する溶媒を試薬混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってGDH活性を求める。ここでGDH活性における1単位(U)とは、濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1マイクロモルのDCPIPを還元する酵素量として定義している。

活性(U/ml)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.0×希釈倍率}/{16.3×0.1×1.0}

なお、式中の3.0は反応試薬+酵素溶液の液量(ml)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm/マイクロモル)、0.1は酵素溶液の液量(ml)、1.0はセルの光路長(cm)を示す。
実施例1:グルコース測定系を用いたフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体熱安定性の検討
検討は、先述の試験例のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ活性の測定方法に準じて行った。
まず、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を約2U/mlになるように酵素希釈液(50mM リン酸カリウム緩衝液(pH5.5)、0.1% TritonX−100)にて溶解したものを50ml用意した。この酵素溶液を1.0mlとしたものを2本用意した。コントロールには、夫々のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体(各種化合物の代わりに蒸留水0.1mlを添加したものを2本用意した。
2本のうち、1本は4℃で保存し、もう1本は、50℃、15分間処理を施した。処理後、夫々のサンプルのフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。各々、4℃で保存したものの酵素活性を100として、50℃、15分間処理後の活性値を比較して活性残存率(%)として算出した。
実施例2:フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子の調整
野生型フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(配列番号1)を含む組み換えプラスミドpAOGDH−S2で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5α;TOYOBO社製)を形質転換した後、形質転換体をアンピシリン(50g/ml;ナカライテスク社製)を含んだ液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl;pH7.3)を摂取し、30℃で一晩振とう培養して得られた菌体から、常法によりプラスミドを調整した。
実施例3:フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を含む粗酵素液の調整
実施例2で調整したプラスミドpAOGDH−S2で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5α;TOYOBO社製)を形質転換した後、形質転換体をアンピシリンを含んだ寒天培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天;pH7.3)に塗布した後、30℃で一晩振とう培養して得られたコロニーをさらにアンピシリン(10μg/ml)を含んだLB液体培地に摂取し、30℃で一晩振とう培養した。その培養液の一部から遠心分離によって得られた菌体を回収し、50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中でガラスビーズで該菌体を破砕することにより粗酵素液を調整した。
実施例4:熱安定性が向上した変異体のスクリーニング
実施例3の粗酵素液を用いて、上述した活性測定法によりグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。また、同粗酵素液を50℃で15分間加熱処理した後、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定し、3種の熱安定性の向上した変異体を取得した。これら3種の改変体をコードするプラスミドをpAOGDH−M1、pAOGDH−M2、pAOGDH−M3、pAOGDH−M4と命名した。
pAOGDH−M1、pAOGDH−M2、pAOGDH−M3、pAOGDH−M4の変異箇所を同定するためにDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer;Perkin−Elmer製)でグルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、pAOGDH−M1で配列番号2記載の162番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M2では167番目のセリンがプロリンに471番目のリジンがアルギニン、pAOGDH−M3では180番目のアラニンがグリシンに551番目のバリンがアラニン、pAOGDH−M4では120番目のリジンがグルタミン酸に167番目のセリンがプロリンに369番目のリジンがアルギニンに置換されていることが確認された。結果を表1に示す。
Figure 2009273381
pAOGDH−S2のプラスミドを鋳型として、160番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号3の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、161番目のトリプトファンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号4の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、162番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号5の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、163番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号6の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、164番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号7の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、165番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号8の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、166番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号9の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、167番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号10の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、168番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号11の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、169番目のアスパラギンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号12の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、170番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号13の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、171番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号14の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、172番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号15の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、329番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号16の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、330番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号17の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、331番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号18の合成オリゴヌクレオチド、551番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号19の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って、変異操作を行い、 グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調整した。
実施例4で調整したプラスミドで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5α;TOYOBO社製)を形質転換した後、実施例3と同様に粗酵素液を調整した。
上記の粗酵素液を用いて、上述した活性測定法によりグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。また、同粗酵素液を50℃で15分間加熱処理した後、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定し、16種の熱安定性の向上した変異体を取得した。これら16種の改変体をコードするプラスミドを、pAOGDH−M4、pAOGDH−M5、pAOGDH−M6、pAOGDH−M7、pAOGDH−M8、pAOGDH−M9、pAOGDH−M10、pAOGDH−M11、pAOGDH−M12、pAOGDH−M13、pAOGDH−M14、pAOGDH−M15、pAOGDH−M16、pAOGDH−M17、pAOGDH−M18、pAOGDH−M19と命名した。
pAOGDH−M4、pAOGDH−M5、pAOGDH−M6、pAOGDH−M7、pAOGDH−M8、pAOGDH−M9、pAOGDH−M10、pAOGDH−M11、pAOGDH−M12、pAOGDH−M13、pAOGDH−M14、pAOGDH−M15、pAOGDH−M16 、pAOGDH−M17、pAOGDH−M18、pAOGDH−M19の変異箇所を同定するためにDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer;Perkin−Elmer製)でグルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、pAOGDH−M5で配列番号2記載の160番目のグリシンがプロリン、pAOGDH−M6では163番目のグリシンがリジン、pAOGDH−M7では163番目のグリシンがロイシン、pAOGDH−M8では163番目のグリシンがアルギニン、pAOGDH−M9では167番目のセリンがアラニン、pAOGDH−M10では167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M11では167番目のセリンがアルギニン、pAOGDH−M12では167番目のセリンがバリン、pAOGDH−M13では171番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M14では551番目のバリンがアラニン、pAOGDH−M15では551番目のバリンがシステイン、pAOGDH−M16では551番目のバリンがスレオニン、pAOGDH−M17では551番目のバリンがグルタミン、pAOGDH−M18では551番目のバリンがセリン、pAOGDH−M19では551番目のバリンがチロシンに置換されていることが確認された。結果を表2に示す。
Figure 2009273381
実施例5;多重変異体の作製と熱安定性
pAOGDH−M10のプラスミドを鋳型として、160番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号20の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、161番目のトリプトファンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号21の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、162番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号22の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、163番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号23の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、164番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号24の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、165番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号25の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、166番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号26の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、168番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号27の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、169番目のアスパラギンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号28の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、170番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号29の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、171番目のセリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号30の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、172番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号31の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、329番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号32の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、330番目のロイシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号33の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、331番目のアラニンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号34の合成オリゴヌクレオチド、551番目のバリンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号35の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って、変異操作を行い、 グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調整した。
pAOGDH−M15のプラスミドを鋳型として、163番目のグリシンを複数種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号36の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを基に、QuickChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って、変異操作を行い、 グルコースデヒドロゲナーゼの生産能を有する、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体変異プラスミドを作製し、上記方法により同様にプラスミドを調整した。
実施例4で調整したプラスミドで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5α;TOYOBO社製)を形質転換した後、実施例3と同様に粗酵素液を調整した。
上記の粗酵素液を用いて、上述した活性測定法によりグルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定した。また、同粗酵素液を50℃で15分間加熱処理した後、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を測定し、57種の熱安定性の向上した変異体を取得した。これら57種の改変体をコードするプラスミドを、pAOGDH−M20、pAOGDH−M21、pAOGDH−M22、pAOGDH−M23、pAOGDH−M24、pAOGDH−M25、pAOGDH−M26、pAOGDH−M27、pAOGDH−M28、pAOGDH−M29、pAOGDH−M30、pAOGDH−M31、pAOGDH−M32、pAOGDH−M33、pAOGDH−M34、pAOGDH−M35、pAOGDH−M36、pAOGDH−M37、pAOGDH−M38、pAOGDH−M39 pAOGDH−M40、pAOGDH−M41、pAOGDH−M42、pAOGDH−M43、pAOGDH−M44、pAOGDH−M45、pAOGDH−M46、pAOGDH−M47、pAOGDH−M48、pAOGDH−M49、pAOGDH−M50、pAOGDH−M51、pAOGDH−M52、pAOGDH−M53、pAOGDH−M54、pAOGDH−M55、pAOGDH−M56、pAOGDH−M57、pAOGDH−M58、pAOGDH−M59、pAOGDH−M60、pAOGDH−M61、pAOGDH−M62、pAOGDH−M63、pAOGDH−M64、pAOGDH−M65、pAOGDH−M66、pAOGDH−M67、pAOGDH−M68、pAOGDH−M69、pAOGDH−M70、pAOGDH−M71、pAOGDH−M72、pAOGDH−M73、pAOGDH−M74、pAOGDH−M75、pAOGDH−M76と命名した。
pAOGDH−M20、pAOGDH−M21、pAOGDH−M22、pAOGDH−M23、pAOGDH−M24、pAOGDH−M25、pAOGDH−M26、pAOGDH−M27、pAOGDH−M28、pAOGDH−M29、pAOGDH−M30、pAOGDH−M31、pAOGDH−M32、pAOGDH−M33、pAOGDH−M34、pAOGDH−M35、pAOGDH−M36、pAOGDH−M37、pAOGDH−M38、pAOGDH−M39 pAOGDH−M40、pAOGDH−M41、pAOGDH−M42、pAOGDH−M43、pAOGDH−M44、pAOGDH−M45、pAOGDH−M46、pAOGDH−M47、pAOGDH−M48、pAOGDH−M49、pAOGDH−M50、pAOGDH−M51、pAOGDH−M52、pAOGDH−M53、pAOGDH−M54、pAOGDH−M55、pAOGDH−M56、pAOGDH−M57、pAOGDH−M58、pAOGDH−M59、pAOGDH−M60、pAOGDH−M61、pAOGDH−M62、pAOGDH−M63、pAOGDH−M64、pAOGDH−M65、pAOGDH−M66、pAOGDH−M67、pAOGDH−M68、pAOGDH−M69、pAOGDH−M70、pAOGDH−M71、pAOGDH−M72、pAOGDH−M73、pAOGDH−M74、pAOGDH−M75、pAOGDH−M76の変異箇所を同定するためにDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer ; Perkin−Elmer製)でグルコースデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、pAOGDH−M20で配列番号2記載の160番目のグリシンがグルタミン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M21では160番目のグリシンがイソロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M22では160番目のグリシンがセリングルタミンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M23では160番目のグリシンがグルタミンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M24では162番目のセリンがアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M25では162番目のセリンがシステインに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M26では162番目のセリンがアスパラギン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M27では162番目のセリンがグルタミン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M28では162番目のセリンがフェニルアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M29では162番目のセリンがヒスチジンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M30では162番目のセリンがロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M31では163番目のグリシンがアスパラギン酸に167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M32では164番目のセリンがフェニルアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M33では164番目のセリンがスレオニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M34では164番目のセリンがチロシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M35では165番目のロイシンがアラニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M36では165番目のロイシンがイソロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M37では165番目のロイシンがアスパラギンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M38では165番目のロイシンがプロリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M39では165番目のロイシンがバリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M40では166番目のアラニンがシステインに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M41では166番目のアラニンがイソロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M42では166番目のアラニンがリジンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M43では166番目のアラニンがロイシンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M44では166番目のアラニンがメチオニンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M45では166番目のアラニンがプロリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M46では166番目のアラニンがセリンに167番目のセリンがプロリン、pAOGDH−M47では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがリジン、pAOGDH−M48では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがプロリン、pAOGDH−M49では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがチロシン、pAOGDH−M50では167番目のセリンがプロリンに169番目のアスパラギンがトリプトファン、pAOGDH−M51では167番目のセリンがプロリンに170番目のロイシンがシステイン、pAOGDH−M52では167番目のセリンがプロリンに170番目のロイシンがフェニルアラニン、pAOGDH−M53では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがイソロイシンに、pAOGDH−M54では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがリジン、pAOGDH−M55では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがメチオニン、pAOGDH−M56では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがグルタミン、pAOGDH−M57では167番目のセリンがプロリンに171番目のロイシンがバリン、pAOGDH−M58では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがアラニン、pAOGDH−M59では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがシステインに、pAOGDH−M60では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがグルタミン酸、pAOGDH−M61では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがイソロイシン、pAOGDH−M62では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがメチオニン、pAOGDH−M63では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがシステイン、pAOGDH−M64では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがグルタミン酸、pAOGDH−M65では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがトリプトファン、pAOGDH−M66では167番目のセリンがプロリンに172番目のバリンがにチロシン、pAOGDH−M67では167番目のセリンがプロリンに329番目のバリンがグルタミン、pAOGDH−M68では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがシステイン、pAOGDH−M69では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがアスパラギン酸、pAOGDH−M70では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがイソロイシン、pAOGDH−M71では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがリジンpAOGDH−M72では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがロイシン、AOGDH−M73では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがメチオニン、pAOGDH−M74では167番目のセリンがプロリンに331番目のアラニンがバリンに置換されていることが確認された。結果を表3に示す。
Figure 2009273381
実施例5:改変体の取得
フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体生産菌として、pAOGDH−M10、pAOGDH−M15、pAOGDH−M75、pAOGDH−M76で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5α;TOYOBO社製)を形質転換した。得られた形質転換体を10L容ジャーファーメンターを用いて、TB培地に培養温度25℃で24時間培養した。培養菌体を遠心分離で集めた後、50mMのリン酸バッファー(pH6.5)に懸濁し、除核酸処理後、遠心分離して上清を得た。これに硫酸アンモニウムを飽和量溶解させて目的タンパク質を沈殿させ、遠心分離で集めた沈殿を50mMのリン酸バッファー(pH6.5)に再溶解させた。そしてG−25セファロースカラムによるゲルろ過、Octyl−セファロースカラムおよびPhenyl−セファロースカラムによる疎水クロマト(溶出条件は共に25%飽和〜0%の硫酸アンモニウム濃度勾配をかけてピークフラクションを抽出)を実施し、さらにG−25セファロースカラムによるゲルろ過で硫酸アンモニウムを除去しフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体サンプルとした。表4に示すように精製標品においても熱安定性が向上していることが確認された。
Figure 2009273381
実施例6:pH安定性
実施例5で得た精製標品についてpH安定性を知るために、pH3.5〜8.5の範囲の緩衝液(pH3.5〜6.3:0.1M 酢酸バッファー、pH6.3〜7.3、0.1M PIPESバッファー、pH7.3〜8.5:0.1M トリス塩酸バッファー、pH6.0〜7.7:0.1M リン酸バッファー)を調製し、これらを用いて各GDHを酵素濃度1U/mlとなるよう希釈した。希釈液を25℃で16時間インキュベートしてインキュベート前後の活性を比較した。インキュベート前の活性に対するインキュベート後の活性残存率を示したグラフを図1に示す。図1に示すようにpH安定域の幅が広がっていることが確認された。
本発明によるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼの熱安定性の向上は、グルコース測定試薬、グルコースアッセイキット及びグルコースセンサ作製時の酵素の熱失活を低減して、該酵素の使用量低減や測定精度の向上を可能にし、医療関連分野などの産業に貢献するところ大である。
野生型、フラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体精製標品のpH安定性を示す。pH3.5〜6.3:酢酸バッファー、pH6.3〜7.3、PIPESバッファー、pH7.3〜8.8:トリス塩酸バッファー、pH6.0〜7.7:リン酸バッファーをそれぞれ用いた。

Claims (19)

  1. 改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列のうち、フラビンアデニンジヌクレオチドの5位の窒素原子から半径30オングストローム以内の距離にあるアミノ酸であり、かつ、αへリックスを構成するアミノ酸、αへリックスを構成するアミノ酸の両端より2アミノ酸以内のアミノ酸、βシートを構成するアミノ酸の両端より4アミノ酸以内のアミノ酸を欠失、置換もしくは付加することにより、改変前と比較して熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  2. 改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列の少なくとも1個のアミノ酸が、改変前と比較して、他のアミノ酸に置換していることを特徴とする請求項1記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  3. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有する、請求項1、2のいずれかに記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  4. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有する、請求項1,2のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  5. 改変前のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有する、請求項1、2のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  6. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の160位、162位、163位、167位、171位、551位またはそれらと同等の位置からなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  7. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の160位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がG160Pに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  8. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の162位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS162Pに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  9. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の163位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がG163K、G163L、G163Rのいずれかに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  10. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の167位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS167A、S167P、S167R、S167Vのいずれかに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  11. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の171位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がS171Pに置換されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  12. 配列表の配列番号2に記載されるアミノ酸配列の551位またはそれと同等の位置のアミノ酸置換がV551A、V551C、V551T、V551Q、V551S及びV551Yからなる群のうちいずれか1つのアミノ酸置換を有する請求項3〜5のいずれか1項に記載のフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体をコードする遺伝子。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体をコードする遺伝子を含むベクター。
  15. 請求項14に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
  16. 請求項15に記載の形質転換体を培養し、該培養物からフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼを採取することを特徴とするフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体の製造法。
  17. 請求項1〜12項のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を含むグルコース測定用試薬。
  18. 請求項1〜12項のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を含むグルコースセンサ。
  19. 請求項1〜12項のいずれか1項に記載されるフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体を用いるグルコース測定方法。
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