JP6460513B2 - フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質 - Google Patents

フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質 Download PDF

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Description

本発明は、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該遺伝子を含む形質転換体、上記遺伝子または上記形質転換体を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法、ならびに、上記タンパク質を用いたグルコースセンサ、グルコース濃度測定方法、2−デオキシ−D−グルコースセンサ、2−デオキシ−D−グルコース濃度測定方法、およびバイオ燃料電池に関する。
血糖自己測定は、糖尿病患者が通常の自分の血糖値を把握し治療に生かすために重要である。血糖自己測定に用いられるセンサには、グルコースを基質とする酵素が利用されている。
グルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)は、血糖センサ用の酵素として古くから利用されており、グルコースに対する特異性が高く、熱安定性に優れているという利点を有している。しかし、グルコースオキシダーゼを用いた測定では、血液中の溶存酸素が測定値に影響してしまうという問題があった。
一方、溶存酸素の影響を受けない酵素として、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)依存性のグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)(NAD(P)GDH:EC1.1.1.47)や、ピロロキノリンキノン(PQQ)依存性のGDH(PQQGDH:EC1.1.5.2)が、血糖センサ用の酵素として知られている。しかし、NAD(P)GDHは、安定性に乏しく、補酵素の添加が必要であるといった欠点があり、また、PQQGDHは、基質特異性に乏しく、グルコース以外の糖類にも作用するという欠点がある。
このため、溶存酸素の影響を受けず、補酵素の添加も必要なく、基質特異性にも優れた酵素として、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素(FADGDH:EC1.1.99.10)が注目されている。FADGDHは、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素としてグルコースからD−グルコノ−1,5−ラクトンへの酸化反応を触媒する酵素であり、Aspergillus oryzaeやAspergillus terreusといった常温性糸状菌から発見されている。
ただし、Aspergillus oryzae、または、Aspergillus terreusの野生株から培養・精製して得られたFADGDHは、ある程度の熱安定性を有している。しかし、グルコースセンサ用試薬の作製工程において、酵素に加熱乾燥処理を施す場合や、保管時の環境温度が高温になる場合が考えられるため、グルコースセンサに用いる酵素は高い熱安定性を有していることが望ましい。
このため、特許文献1では、FADGDHの熱安定性を向上させるために、特定の変異を加えたFADGDHの構造遺伝子を用いて大腸菌で組換えFADGDHを発現させることにより、野生株で産生されたFADGDHと同等程度の熱安定性を有するFADGDHが得られることが開示されている。また、特許文献2では、さらに熱安定性に優れたFADGDHとして、Talaromyces emersonii、Thermoascus crustaceusなどの好熱性糸状菌由来のFADGDHを用いることが開示されている。
国際公開第2009/119728号 国際公開第2014/045912号
しかし、FADGDHには、耐熱性だけでなく、グルコース濃度が特に低濃度である場合にも高感度な測定を可能とすることが求められる場合がある。
本発明は、溶存酸素の影響を受けず、補酵素の添加も必要ないというFADGDHの優れた特性を保ちつつ、熱安定性に優れ、かつ、グルコース濃度が特に低濃度である場合にも高感度な測定を可能とする、FADGDH活性を有するタンパク質を提供することを目的とする。
〔1〕
以下の(a)〜(d)のいずれかのタンパク質。
(a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質、および、
(d) 上記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質。
〔2〕
Aspergillus brunneo−uniseriatus(A.brunneo−uniseriatus)、Aspergillus malignus(A.malignus)、またはAspergillus carneus(A.carneus)由来である、〔1〕に記載のタンパク質。
〔3〕
糖鎖が付加された、〔1〕または〔2〕に記載のタンパク質。
〔4〕
前記フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性のKm値が2mM以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子。
〔6〕
以下の(A)〜(D)のいずれかのDNAからなる遺伝子。
(A) 配列番号4〜6のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA、
(B) 配列番号4〜6のいずれかに記載の塩基配列からシグナルペプチドをコードする塩基配列を除いた塩基配列からなるDNA、
(C) 上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、イントロンとを含むDNA、および、
(D) 上記(A)〜(C)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
〔7〕
〔5〕または〔6〕に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
〔8〕
〔5〕または〔6〕に記載の遺伝子を含む形質転換体。
〔9〕
〔5〕または〔6〕に記載の遺伝子を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法。
〔10〕
〔8〕に記載の形質転換体を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法。
〔11〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質を含むグルコース濃度測定試薬。
〔12〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のタンパク質を用いたグルコースセンサ。
〔13〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質を用いたグルコース濃度測定方法。
〔14〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質を含む2−デオキシ−D−グルコース濃度測定試薬。
〔15〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質を用いた2−デオキシ−D−グルコースセンサ。
〔16〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質を用いた2−デオキシ−D−グルコース濃度測定方法。
〔17〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のタンパク質を用いたバイオ燃料電池。
本発明によれば、溶存酸素の影響を受けず、補酵素の添加も必要ないというFADGDHの優れた特性を保ちつつ、熱安定性に優れ、かつ、グルコース濃度が特に低濃度である場合にも高感度な測定を可能とする、FADGDH活性を有するタンパク質を提供することができる。
実施例1での縮重PCR産物のアガロースゲル電気泳動の結果を示す写真である。(a)はA.brunneo−uniseriatusの場合、(b)はA.malignusの場合、(c)A.carneusの場合を示す。 A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を示す図である。 図2に示す塩基配列におけるエキソンの構成を示す模式図である。 A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子のORFの塩基配列と、その塩基配列から類推されるアミノ酸配列を示す図である。 A.malignus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を示す図である。 図5に示す塩基配列におけるエキソンの構成を示す模式図である。 A.malignus由来FADGDH遺伝子のORFの塩基配列と、その塩基配列から類推されるアミノ酸配列を示す図である。 A.carneus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を示す図である。 図8に示す塩基配列におけるエキソンの構成を示す模式図である。 A.carneus由来FADGDH遺伝子のORFの塩基配列と、その塩基配列から類推されるアミノ酸配列を示す図である。 実施例5のSDS−PAGEの結果を示す図である。(a)はCBB染色した場合、(b)はPAS染色した場合を示す。 実施例6のA.brunneo−uniseriatus由来FADGDHについての吸収スペクトルを示す図である。 実施例6のA.malignus由来FADGDHについての吸収スペクトルを示す図である。 実施例6のA.carneus由来FADGDHについての吸収スペクトルを示す図である。 実施例7の温度安定性評価におけるA.brunneo−uniseriatus由来FADGDHの残活性率を示すグラフである。 実施例7の温度安定性評価におけるA.malignus由来FADGDHの残活性率を示すグラフである。 実施例7の温度安定性評価におけるA.carneus由来FADGDHの残活性率を示すグラフである。 実施例7の温度依存性評価におけるA.brunneo−uniseriatus由来FADGDHの相対活性を示すグラフである。 実施例7の温度依存性評価におけるA.malignus由来FADGDHの相対活性を示すグラフである。 実施例7の温度依存性評価におけるA.carneus由来FADGDHの相対活性を示すグラフである。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHについてのグルコース濃度と活性との関係を示すグラフである。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、A.malignus由来FADGDHについてのグルコース濃度と活性との関係を示すグラフである。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、A.carneus由来FADGDHについてのグルコース濃度と活性との関係を示すグラフである。 図21〜図23の結果と、比較のためのThermoascus crustaceus由来のFADGDHについての同様の結果とをまとめたグラフである。 図24のグルコース濃度0〜10mMの範囲の部分を拡大したグラフである。 比較のために図25のグラフを補正したグラフである。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHについてのラインウィーバーバークプロットを示す図である。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、A.carneus由来FADGDHについてのラインウィーバーバークプロットを示す図である。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、A.malignus由来FADGDHについてのラインウィーバーバークプロットを示す図である。 実施例7の活性とグルコース濃度との関係の検討において、比較のためのThermoascus crustaceus由来のFADGDHについてのラインウィーバーバークプロットを示す図である。 実施例7の基質特異性評価における相対活性を示す図である。 実施例7のpH安定性評価におけるA.brunneo−uniseriatus由来FADGDHの残活性率を示すグラフである。 実施例7のpH安定性評価におけるA.malignus由来FADGDHの残活性率を示すグラフである。 実施例7のpH安定性評価におけるA.carneus由来FADGDHの残活性率を示すグラフである。 実施例7のpH依存性評価におけるA.brunneo−uniseriatus由来FADGDHの相対活性を示すグラフである。 実施例7のpH依存性評価におけるA.malignus由来FADGDHの相対活性を示すグラフである。 実施例7のpH依存性評価におけるA.carneus由来FADGDHの相対活性を示すグラフである。
(実施形態1)
本実施形態の発明は、以下の(a)〜(d)のいずれかのタンパク質である。
(a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質、および、
(d) 上記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質のアミノ酸配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上)の相同性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質。
なお、配列番号1は、「野生型のA.brunneo−uniseriatus由来のFADGDHのアミノ酸配列」であって、シグナルペプチドも含んでいる。
シグナルペプチドは、糸状菌等によるタンパク質分子の生合成の過程において、細胞内で生合成されたタンパク質を、適切な場所に輸送するために不可欠な構造である。シグナルペプチド部分は、例えば配列番号1のような「シグナルペプチドを含むアミノ酸配列」をコードする遺伝子の情報に基づいて、いったんは合成されるが、最終的にはその役割を終えたのち切除される。
本実施形態のタンパク質(FADGDH)は、溶存酸素の影響を受けず、補酵素の添加も必要ないというFADGDHの優れた特性を保ちつつ、熱安定性に優れ、かつ、グルコース濃度が特に低濃度である場合にも高い活性(反応速度)を有し、高感度な測定を可能とする。一方、上記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有さないタンパク質では、グルコース濃度が特に低濃度である場合の活性(反応速度)が低下する傾向がある。
本実施形態のタンパク質は、好ましくは、A.brunneo−uniseriatus、A.malignusまたはA.carneus由来のタンパク質である。これらのタンパク質については、上述の本発明の効果を奏することが実際に確認されている。
上記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質のアミノ酸配列と70%以上の相同性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質である、上記(d)のタンパク質の一例としては、
(a2) 配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b2) 配列番号2に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質、および、
(c2) 上記(a2)または(b2)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質
が挙げられる。
なお、配列番号2は、「野生型のA.malignus由来のFADGDHのアミノ酸配列」であって、シグナルペプチドも含んでいる。
また、上記(d)のタンパク質の別の例としては、
(a3) 配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b3) 配列番号3に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質、および、
(c3) 上記(a3)または(b3)のタンパク質のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、付加または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質
が挙げられる。
なお、配列番号3は、「野生型のA.carneus由来のFADGDHのアミノ酸配列」であって、シグナルペプチドも含んでいる。
本発明のタンパク質(酵素)は、糖鎖が付加されたものであることが好ましい。一般に糖鎖が付加されたタンパク質は糖鎖が付加されたタンパク質よりも熱安定性等に優れる場合が多いからである。なお、熱安定性は、所定の温度および時間の熱処理後に、酵素のFADGDH活性を測定し、その熱処理前のFADGDH活性値に対する比率を求めることにより判断される。FADGDH活性は、種々公知の方法で測定することができる。
また、本実施形態のタンパク質は、グルコースだけでなく、他の糖類も基質とする傾向があるため、グルコースだけでなく、他の糖類も基質とすることが求められる場合に有利である。例えば、本実施形態のFADGDHを燃料電池に用いた場合、糖類の混合物であることが多いバイオ燃料から効率よく電力を回収することが可能となる。
(実施形態2)
本実施形態の発明は、上記実施形態1のタンパク質をコードする遺伝子である。具体的には、以下の(A)〜(D)のいずれかのDNAからなる遺伝子が挙げられる。
(A) 配列番号4〜6のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA、
(B) 配列番号4〜6のいずれかに記載の塩基配列からシグナルペプチドをコードする塩基配列を除いた塩基配列からなるDNA、
(C) 上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、イントロンとを含むDNA、および、
(D) 上記(A)〜(C)のいずれかのDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
配列番号4は、「野生型のA.brunneo−uniseriatus由来のFADGDHをコードする遺伝子の塩基配列」であって、シグナルペプチドをコードする塩基配列を含んでいるが、終止コドンは含んでいない。配列番号5は、「野生型のA.malignus由来のFADGDHをコードする遺伝子の塩基配列」であって、シグナルペプチドをコードする塩基配列を含んでいるが、終止コドンは含んでいない。配列番号6は、「野生型のA.carneus由来のFADGDHをコードする遺伝子の塩基配列」であって、シグナルペプチドをコードする塩基配列を含んでいるが、終止コドンは含んでいない。
「上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、イントロンとを含むDNA」とは、上記(A)または(B)のDNAの塩基配列をエキソンとし、そのエキソン配列の途中にイントロン配列が介在しているDNAである。
また、本実施形態の遺伝子には、上記(A)または(B)のDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつFADGDH活性を有するタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子も含まれる。
ここで、ストリンジェントな条件とは、用いられるプローブ・標識方法によっても異なるが、例えば、ハイブリダイズの条件としては、「0.02%SDSを含む5×SSC中で40〜70℃」の条件が挙げられる。なお、ストリンジェントな条件は、結合する核酸の融解温度(Tm)に基づいて決定することができる。ハイブリダイズ後の洗浄条件としては、例えば、「2×SSC、0.1%SDS、室温(25℃)」の条件が挙げられる。ストリンジェントな条件では、配列番号4〜6のいずれかに示す塩基配列と90%以上の相同性、好ましくは95%以上の相同性、より好ましくは97%以上の相同性が配列間に存在するときにのみハイブリダイゼーションが起こることが好ましい。
本実施形態の遺伝子の塩基配列は、これらの具体例に限定されず、実施形態1のタンパク質をコードするものであればよく、FADGDHの発現を向上させるように、コドン出現頻度(Codon usage)を変えた塩基配列なども含まれる。
(実施形態3)
本実施形態の発明は、実施形態2の遺伝子を含む組換えベクターである。実施形態3の遺伝子は、例えば、プラスミドベクターと連結された状態にて宿主微生物に導入され、該宿主はFADGDHを生産する形質転換体となる。
(実施形態4)
本実施形態の発明は、実施形態2の遺伝子を含む形質転換体である。形質転換体の宿主としては、酵母、糸状菌、大腸菌、動物細胞、昆虫細胞など目的に応じて様々な宿主を用いることができるが、糖鎖が付加されたタンパク質を生産するためには、宿主として酵母、糸状菌等の微生物由来の真核生物を用いることが好ましい。真核生物の中でも酵母は産業上多くの利用実績があり、例えば、Pichia pastoris(P.pastoris)、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombeが使用できる。
本実施形態の具体例としては、例えば、実施形態3の組換えベクターで形質転換された酵母が挙げられる。
(実施形態5)
本実施形態の発明は、実施形態2の遺伝子を用いたFADGDHの製造方法である。本実施形態では、例えば、実施形態4の形質転換体を用いることにより、FADGDHを製造することができる。具体的には、例えば、以下に示すような手順で製造することが可能である。
所望のFADGDHの遺伝情報を有するDNA(実施形態2の遺伝子)は、プラスミドベクターと連結された状態にて宿主に導入される。宿主については、上記実施形態4で説明した宿主と同様である。
宿主に組換えベクターを導入する方法としては、例えば宿主が酵母の場合には、スフェロプラスト法や酢酸リチウム法などが用いられる。また、エレクトロポレーション法などを用いても良い。宿主が糸状菌の場合には、プロトプラスト化された細胞等が用いられる。宿主が大腸菌に属する微生物の場合には、カルシウムイオンの存在下で組換えDNAの導入を行う方法などを採用することができる。また、エレクトロポレーション法を用いても良い。さらに、市販のコンピテントセル(例えば、TaKaRa Competent Cell BL21;タカラバイオ株式会社)を用いても良い。
こうして得られた形質転換体である微生物は、栄養培地で培養されることにより、多量のFADGDHを安定して生産し得る。形質転換体である宿主微生物の培養形態は宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよく、通常多くの場合は液体培養で行うが、工業的には通気攪拌培養を行うのが有利である。
培地の栄養源としては微生物の培養に通常用いられるものが広く使用される。炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ分解物などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
培地温度は菌が発育し、FADGDHを生産する範囲で適宜変更し得るが、酵母の場合、好ましくは20〜35℃程度であり、大腸菌の場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養時間は培養条件によって異なるが、FADGDHが最高収量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を終了すればよく、通常は6〜72時間程度である。培地pHは菌が発育しFADGDHを生産する範囲で適宜変更しうるが、特に好ましくはpH5.0〜9.0程度である。
培養物中のFADGDHを生産する菌体を含む培養液をそのまま採取し利用することもできるが、一般にはFADGDHが培養液中に存在する場合は、濾過、遠心分離などにより、タンパク質の含有溶液と微生物菌体とを分離した後に利用される。一方、FADGDHが菌体内に存在する場合は、得られた培養物から濾過または遠心分離などの手法により菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊し、また必要に応じてEDTA等のキレート剤及びまたは界面活性剤を添加してFADGDHを可溶化し、水溶液として分離採取する。
このようにして得られたFADGDH含有溶液からFADGDHを回収する方法としては、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、硫酸アンモニムや硫酸ナトリウムなどを用いた塩析処理、または、親水性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン)による分別沈殿法が挙げられる。また、加温処理や等電点処理も有効な精製手段である。また、吸着剤或やゲル濾過剤などを用いたゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーにより、FADGDHを精製することもできる。
FADGDHの製造はこのような方法に限定されず、例えば、実施形態2の遺伝子を用いて無細胞タンパク質翻訳系によってFADGDHを製造することも可能である。
(実施形態6)
本実施形態の発明は、実施形態1のタンパク質を含むグルコース濃度測定試薬を用いたグルコースセンサである。
グルコース濃度測定試薬は、実施形態5の方法により製造されたFADGDHを少なくとも1回の測定に十分な量で含む。また、グルコース濃度測定試薬は、該FADGDH以外に、例えば、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液を含み得る。グルコース濃度測定試薬の形態は特に限定されないが、グルコースセンサ用に適した種々の形態(例えば、凍結乾燥された試薬や、適切な保存容器中の溶液)で提供され得る。
グルコースセンサに用いられる電極は、特に限定されないが、カーボン電極、金電極、白金電極などを用いることができる。例えば、この電極上には、本発明のタンパク質(酵素:FADGDH)が固定化される。
固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて、本発明のタンパク質(FADGDH)をカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドを架橋する方法が用いられる。
本実施形態では、実施形態1のタンパク質を含むグルコース濃度測定試薬を用いたグルコースセンサについて説明したが、実施形態1のタンパク質(FADGDH)はグルコース以外の糖類(例えば、癌の診断に使われる2−デオキシ−D−グルコース)も基質とするため、同様にして、実施形態1のタンパク質を含む2−デオキシ−D−グルコース濃度測定試薬を用いた2−デオキシ−D−グルコースセンサを提供することも可能である。
(実施形態7)
本実施形態の発明は、実施形態1のタンパク質を用いたグルコース濃度測定方法である。グルコース濃度の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として実施形態1のタンパク質(FADGDH)を固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
本実施形態では、実施形態1のタンパク質を用いたグルコース濃度測定方法について説明したが、実施形態1のタンパク質(FADGDH)はグルコース以外の糖類(例えば、2−デオキシ−D−グルコース)も基質とするため、同様にして、実施形態1のタンパク質を用いた2−デオキシ−D−グルコース濃度の測定を行うことも可能である。
(実施形態8)
本実施形態の発明は、実施形態1のタンパク質(FADGDH)を用いたバイオ燃料電池である。実施形態1のFADGDHは、グルコースだけでなく2−デオキシ−D−グルコース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−マンノース、D−ラフィノース、スクロースなどの脱水素反応を触媒し、この反応により生じた電子が電力として供給される。このため、本実施形態によれば、糖類の混合物であることが多いバイオ燃料から効率よく電力を回収することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部生物資源部門(NBRC)より購入した表1に示す糸状菌3種を対象として、糸状菌からのFADGDH遺伝子のスクリーニングを行った。
購入した糸状菌は、ポテトデキストロース培地(Difco Laboratories)または麦芽エキス培地(2%麦芽エキス、2%グルコース、0.1%ペプトン)を用いて好気的に培養した。培養後の糸状菌からWizard Genomic DNA Purification Kit(Promega)を用いてゲノムDNAを抽出した。
なお、糸状菌の産生するタンパク質を分析することにより、FADGDH活性を有するタンパク質を探索するのは、FADGDHの産生量がごく微量であるため、現実的には困難である。このため、本発明者らは、FADGDHを産生することが知られている常温性糸状菌(Aspergillus属糸状菌)に由来するFADGDHの一次構造(アミノ酸配列)の共通部分に着目し、該共通部分のうちの特定のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するプライマーを用いて、糸状菌ゲノムDNAを鋳型とする縮重PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を行ない、そのPCR産物を分析することにより、糸状菌がFADGDH活性を有するタンパク質を産生しているかどうかを判別することができた。
常温性糸状菌由来FADGDHのアミノ酸配列の共通部分のうちの特定のアミノ酸配列は、好ましくは、YDYIVVGGGTSGL、QVLRAGKALGGTSTINGMAYTRAEDVQID、RSNFHPVGTAAMM、または、NVRVVDASVLPFQVCGHLVSTLYAVAERAである。
本実施例では、縮重PCR用のプライマーとして、これらのアミノ酸配列の少なくとも一部をコードする塩基配列またはこれと相補的な塩基配列を含むプライマーである以下のプライマーを用いて、糸状菌ゲノムDNAを鋳型とする縮重PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を行なった。
縮重PCR用のセンスプライマーとしては、
プライマーA(5’−TAYGAYTAYATCGTTYTYGGAGGCGG−3’:配列番号7)、
プライマーB(5’−CAAGTKCTNCGTGCRGGRAAGGCCCTTGG−3’:配列番号8)、または、
プライマーC(5’−ACSCGCGCMGAGGATGTCCAGAT−3’:配列番号9)
を用いた。
アンチセンスプライマーとしては、
プライマーD(5’−CATCATGGCAGCMGTKCCGACGGGRTGGAAGTT−3’:配列番号10)、または、
プライマーE(5’−GTGCTMACCAARTGGCCGCARACCTGGAA−3’:配列番号11)
を用いた。
なお、上記プライマーA〜Eは配列中にミックス塩基(K、N、M、R、S、Y)を含んでいるが、プライマーA〜Eの各々は、ミックス塩基の箇所において塩基配列が異なる複数種のプライマーの混合物を意味する。
上記3種の糸状菌から得たゲノムDNAを鋳型として、上記3種のセンスプライマーのいずれかと上記2種のアンチセンスプライマーのいずれかとの組み合わせを用いた6通りの縮重PCRを行った。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動(1.2%アガロースゲル)に供し、泳動後のゲルについて臭化エチジウム染色を施すことによりPCR産物の存在を確認した。
その結果、A.brunneo−uniseriatus(NBRC6993)、A.malignus(NBRC8132)およびA.carneus(NBRC5861)の3種の糸状菌のゲノムを鋳型として得られたPCR産物について、複数のDNAバンドが検出された(図1(a)〜図1(c)中の*印)。A.brunneo−uniseriatusでは左のレーンから順に約1.7、1.9、1.5、1.6kbp、A.malignusでは左のレーンから順に約1.5、1.7kbp、A.carneusでは左のレーンから順に約1.6、1.8、1.6、1.8kbpのDNA断片が得られた。なお、図1において、レーンMはマーカーであり、レーン1はプライマーAとDの組合せを用いた場合、レーン2はプライマーAとEの組合せを用いた場合、レーン3はプライマーBとDの組合せを用いた場合、レーン4はプライマーBとEの組合せを用いた場合、レーン5はプライマーCとDの組合せを用いた場合、レーン6はプライマーCとEの組合せを用いた場合を示している。
縮重PCRで増幅されたDNA断片を、pCR−Blunt−II−TOPO(Life Technologies)に連結した後に、大腸菌DH5α(宝酒造)にサブクローニングした。挿入DNA断片の塩基配列解析を行った結果、既報のアスペルギルス属糸状菌由来FADGDH遺伝子と高い相同性を有する遺伝子断片の増幅が確認された。このことから、A.brunneo−uniseriatus、A.malignusおよびA.carneusのゲノムにFADGDH遺伝子が存在することが示唆された。
(実施例2)
本実施例では、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHをPichia pastoris(P.pastoris)酵母を用いて製造した。以下、詳細について説明する。
(1)A.brunneo−uniseriatus(NBRC6993)からのFADGDH遺伝子のクローニング
クローニングに先立ち、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子部分断片をプローブとするゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション解析を行なった。A.brunneo−uniseriatusゲノムDNAを各種制限酵素(New England BioLabs)で切断し、アガロースゲル電気泳動に供した。泳動後、ゲルに含まれているDNA断片を20×SSC(3M NaCl、0.3M クエン酸三ナトリウム、pH7.0)を用いたキャピラリー法によりナイロンメンブレン(Hybond−N+; GE Healthcare)に転写した。転写後のナイロンメンブレンとジゴキシゲニン標識プローブDNA(DIG DNA Labeling and Detection Kit; Roche)を混合し、65℃でハイブリダーゼーションを行なった。プローブとハイブリダイズしたDNA断片はアルカリホスファターゼ標識抗DIG抗体(DIG DNA Labeling and detection Kit; Roche)を用いて検出した。
その結果、BamHIのレーンから約3.5kbの位置にプローブとハイブリダイズするDNAバンドが検出された。既報のアスペルギルス属糸状菌由来FADGDH遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)が約1.8kbであることから、プローブとハイブリダイズするこの約3.5kBのBamHI断片が、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子の全領域を包括しているものと考えられた。
次に、Inverse PCRにより、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子の開始コドン近傍領域を含む5’−flanking領域と、終始コドン近傍領域を含む3’−flanking領域のクローニングを試みた。BamHIで切断したA.brunneo−uniseriatusのゲノムDNAを調製用アガロースゲルに供し、約3.5kbのDNA断片を回収した。このDNA断片をT4リガーゼ(宝酒造)により環状化し、Inverse PCRの鋳型とした。
A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子内部配列に基づいて設計したプライマー6993GSP3(5’−GCTGCTATTCTGCATGTTGTAGGTCCAGCC−3’)、および、プライマー6993GSP5(5’−CCTAGTGCATCCGACATCTTCGGAAGC−3’)を用いてInverse PCRを行なった結果、約2.5kbの位置に単一のDNA断片が検出された。
このDNA断片をサブクローニングし塩基配列解析を行なったところ、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子の5’−flanking領域と3’−flanking領域の増幅に成功したことがわかった。
次に、5’−flanking領域および3’−flanking領域の配列に基づいて設計したプライマー6993GSP9(5’−GTAGACTAGACACATTGAGATGCTTGGTGA−3’)と6993GSP10(5’−AAGCTTTAAATTAGACAAGGCACCTCCCTA−3’)を用いてA.brunneo−uniseriatus由来ゲノムDNAを鋳型とするPCRを行なった。その結果、単一の約2.8kbのDNA断片の増幅が確認され、このDNA断片がA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子全領域を含んでいることがわかった。
(2)A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子の塩基配列解析
A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列はプライマーウォーキング法により決定した。A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を図2に示す。
スプライシング部位をGT−AG則に基づいて予測することにより、この塩基配列中のエキソンとイントロンを特定した。A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子は、3つのエキソン(エキソン1;920bp、エキソン2;620bp、エキソン3;209bp)から構成される1749bpのORF(583アミノ酸をコード)を含んでいた(図2の下線部および図3参照)。
図4に、このようにして特定されたA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子のORF(FADGDHコーディング領域)の塩基配列と、その塩基配列から類推されるアミノ酸配列を示す。
図4に示すアミノ酸配列について、シグナルペプチドの存在の有無およびシグナルペプチド切断部位を、シグナルペプチド予測サーバーSignalP4.0(http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)により推測した。その結果、開始コドンに由来するメチオニン(Met1)から17番目のセリン(Ser17)までの配列がシグナルペプチドとして同定された。また、図4に示すアミノ酸配列において、FAD結合に重要なFAD結合モチーフ(Gly−Gly−Gly−Thr−Ser−Gly)は完全に保存されていた。
(3)A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子発現型プラスミドの作製
A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子のコーディング領域をOverlap extension PCRにより合成した。
まず、各エキソンをPCR増幅した。エキソン1のPCR増幅には、プライマーとして、6993GSP11(5’−ATCATGTTGATGATCTCTGTTCTCTCCCTC−3’)と6993E1A(5’−GAGGATAGCTGAATTACCAACACCCGAACG−3’)を用いた。エキソン2のPCR増幅には、プライマーとして、6993E2S(5’−AATTCAGCTATCCTCTCCCAATTCGACATA−3’)と6993E2A(5’−GGAGCGGAAAGCAGAGTTGGTCCAAGAAGC−3’)を用いた。エキソン3のPCR増幅には、プライマーとして、6993E3S(5’−TCTGCTTTCCGCTCCAACTTCCACGCCGTT−3’)と6993GSP12(5’−TACCTATTTGCTACCCGCCTTAATAAGGTC−3’)を用いた。
増幅したエキソン1とエキソン2とをOverlap−extension PCRにより連結した。さらに、連結したDNA断片とエキソン3とをOverlap extension PCRにより連結し、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子のコーディング領域を合成した。
次に、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子コーディング領域を鋳型として、分泌発現型プラスミド作製用プライマー6993Pic1(5’−AAAGAATTCTACGACTACATCGTCGTGGGA−3’)および6993Pic2(5’−TTTGCGGCCGCTCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGTTTGCTACCCGCCTTAATAAG−3’)を用いたPCRを行ない、成熟型FADGDHをコードする遺伝子を増幅した。なお、増幅したA.brunneo−uniseriatus成熟型FADGDHをコードする遺伝子のC末端側にはヒスチジンタグを融合するためのヒスチジンのコドン(CAC)が付加されている。
増幅したDNA断片をEcoRIおよびNotIで切断した後に、P.pastoris用分泌発現ベクターpPIC9(Life Technologies)の同一制限酵素サイトに連結することにより、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子分泌発現型プラスミドを作製した。成熟型FADGDHをコードする遺伝子をpPIC9に連結することにより、成熟型FADGDHをコードする遺伝子の上流には酵母用シグナル配列が融合されている。
(4)A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子の酵母における発現と組換え酵素の精製
A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH遺伝子分泌発現型プラスミドをP.pastoris GS115株(Life Technologies)に導入した。分泌発現型プラスミドを導入したGS115株をBMG培地(100mMリン酸カリウム緩衝液:pH6.0、1.34%酵母ニトロゲンベース、4×10−5%ビオチン、1%グリセロール)で2日間培養した(前培養)。前培養により取得した菌体をBMM培地(100mMリン酸カリウム緩衝液:pH6.0、1.34%酵母ニトロゲンベース、4×10−5%ビオチン、0.5%メタノール)に植菌し、5日間ほど30℃で好気的に培養した。
培養後の培養上清を回収し、PBS緩衝液に対して透析を行なった。透析後の培養上清をPBS緩衝液で平衡化したNi−NTA Agarose(QIAGEN)カラム(直径2.0cm、高さ2.0cm)に供した。カラムをPBS緩衝液で洗浄した後に、吸着したタンパク質を200mMイミダゾールを含む20mM Hepes−NaOH緩衝液(pH7.5)で溶出した。溶出画分をAmicon Ultra−4 MWCO10(Millipore)を用いて脱塩処理を施し、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH精製標品とした。
(実施例3)
本実施例では、A.malignus由来FADGDHをP.pastoris酵母を用いて製造した。以下、詳細について説明する。
(1)A.malignus(NBRC8132)からのFADGDH遺伝子のクローニング
クローニングに先立ち、A.malignus由来FADGDH遺伝子部分断片をプローブとするゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション解析を行なった。A.malignusゲノムDNAを各種制限酵素(New England BioLabs)で切断し、アガロースゲル電気泳動に供した。泳動後、ゲルに含まれているDNA断片を20×SSC(3M NaCl、0.3M クエン酸三ナトリウム、pH7.0)を用いたキャピラリー法によりナイロンメンブレン(Hybond−N+; GE Healthcare)に転写した。転写後のナイロンメンブレンとジゴキシゲニン標識プローブDNA(DIG DNA Labeling and Detection Kit; Roche)を混合し、65℃でハイブリダーゼーションを行なった。プローブとハイブリダイズしたDNA断片はアルカリホスファターゼ標識抗DIG抗体(DIG DNA Labeling and detection Kit; Roche)を用いて検出した。
その結果、XbaIのレーンから約3.5kbの位置にプローブとハイブリダイズするDNAバンドが検出された。既報のアスペルギルス属糸状菌由来FADGDH遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)が約1.8kbであることから、プローブとハイブリダイズするこの約3.5kBのXbaI断片が、A.malignus由来FADGDH遺伝子の全領域を包括しているものと考えられた。
次に、Inverse PCRにより、A.malignus由来FADGDH遺伝子の開始コドン近傍領域を含む5’−flanking領域と、終始コドン近傍領域を含む3’−flanking領域のクローニングを試みた。XbaIで切断したA.malignusのゲノムDNAを調製用アガロースゲルに供し、約3.5kbのDNA断片を回収した。このDNA断片をT4リガーゼ(宝酒造)により環状化し、Inverse PCRの鋳型とした。
A.malignus由来FADGDH遺伝子内部配列に基づいて設計したプライマー8132GSP3(5’−GCTGCTGTTCTGCATATCATAGGTCCAGCC−3’)、および、プライマー8132GSP5(5’−ACCTATCTCGGTCACCCAACCGCCTCTGAC−3’)を用いてInverse PCRを行なった結果、約2.5kbの位置に単一のDNA断片が検出された。
このDNA断片をサブクローニングし塩基配列解析を行なったところ、A.malignus由来FADGDH遺伝子の5’−flanking領域と3’−flanking領域の増幅に成功したことがわかった。
次に、5’−flanking領域および3’−flanking領域の配列に基づいて設計したプライマー8132GSP9(5’−CCCGGGGGCATCAGTTCGATTCTCAAACAC−3’)と8132GSP10(5’− CCATGGCGAGAGCCCTGTAGGGGTCAATTC−3’)を用いてA.malignus由来ゲノムDNAを鋳型とするPCRを行なった。その結果、単一の約2.8kbのDNA断片の増幅が確認され、このDNA断片がA.malignus由来FADGDH遺伝子全領域を含んでいることがわかった。
(2)A.malignus由来FADGDH遺伝子の塩基配列解析
A.malignus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列はプライマーウォーキング法により決定した。A.malignus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を図5に示す。
スプライシング部位をGT−AG則に基づいて予測することにより、この塩基配列中のエキソンとイントロンを特定した。A.malignus由来FADGDH遺伝子は、3つのエキソン(エキソン1;932bp、エキソン2;620bp、エキソン3;209bp)から構成される1761bpのORF(587アミノ酸をコード)を含んでいた(図5の下線部および図6参照)。
図7に、このようにして特定されたA.malignus由来FADGDH遺伝子のORF(FADGDHコーディング領域)の塩基配列と、その塩基配列から類推されるアミノ酸配列を示す。
図7に示すアミノ酸配列について、シグナルペプチドの存在の有無およびシグナルペプチド切断部位を、シグナルペプチド予測サーバーSignalP4.0(http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)により推測した。その結果、開始コドンに由来するメチオニン(Met1)から19番目のアラニン(Ala19)までの配列がシグナルペプチドとして同定された。また、図7に示すアミノ酸配列において、FAD結合に重要なFAD結合モチーフ(Gly−Gly−Gly−Thr−Ser−Gly)は完全に保存されていた。
(3)A.malignus由来FADGDH遺伝子発現型プラスミドの作製
A.malignus由来FADGDH遺伝子のコーディング領域をOverlap extension PCRにより合成した。
まず、各エキソンをPCR増幅した。エキソン1のPCR増幅には、プライマーとして、8132GSP11(5’−TCCATGCTAGCCATGCTGGCCAAAATCTCT−3’)と8132E1A(5’−GTGTTGAGCAAGGACAGCTGGGTTACCAAC−3’)を用いた。エキソン2のPCR増幅には、プライマーとして、8132E2S(5’−GTTGGTAACCCAGCTGTCCTTGCTCAACAC−3’)と8132E2A(5’−GTGGAAGTTGGAGCGAGAGACGGAGTTGAT−3’)を用いた。エキソン3のPCR増幅には、プライマーとして、8132E3S(5’−ATCAACTCCGTCTCTCGCTCCAACTTCCAC−3’)と8132GSP12(5’−ATCCTAAACATCCCCAGCCTTGATTAGGTC−3’)を用いた。
増幅したエキソン1とエキソン2とをOverlap−extension PCRにより連結した。さらに、連結したDNA断片とエキソン3とをOverlap extension PCRにより連結し、A.malignus由来FADGDH遺伝子のコーディング領域を合成した。
次に、A.malignus由来FADGDH遺伝子コーディング領域を鋳型として、分泌発現型プラスミド作製用プライマー8132Pic1(5’−AAAGAATTCACCTCGTACGACTACATTGTC−3’)および8132Pic2(5’−TTTGCGGCCGCTCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGAACATCCCCAGCCTTGATTAG−3’)を用いたPCRを行ない、成熟型FADGDHをコードする遺伝子を増幅した。なお、増幅したA.malignus成熟型FADGDHをコードする遺伝子のC末端側にはヒスチジンタグを融合するためのヒスチジンのコドン(CAC)が付加されている。
増幅したDNA断片をEcoRIおよびNotIで切断した後に、P.pastoris用分泌発現ベクターpPIC9(Life Technologies)の同一制限酵素サイトに連結することにより、A.malignus由来FADGDH遺伝子分泌発現型プラスミドを作製した。成熟型FADGDHをコードする遺伝子をpPIC9に連結することにより、成熟型FADGDHをコードする遺伝子の上流には酵母用シグナル配列が融合されている。
(4)A.malignus由来FADGDH遺伝子の酵母における発現と組換え酵素の精製
上記のようにして得られたA.malignus由来FADGDH遺伝子分泌発現型プラスミドを用いた以外は、実施例2と同様にして、P.pastorisでの発現を行い、A.malignus由来FADGDH精製標品を得た。
(実施例4)
本実施例では、A.carneus由来FADGDHをP.pastoris酵母を用いて製造した。以下、詳細について説明する。
(1)A.carneus(NBRC5861)からのFADGDH遺伝子のクローニング
クローニングに先立ち、A.carneus由来FADGDH遺伝子部分断片をプローブとするゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーション解析を行なった。A.carneusゲノムDNAを各種制限酵素(New England BioLabs)で切断し、アガロースゲル電気泳動に供した。泳動後、ゲルに含まれているDNA断片を20×SSC(3M NaCl、0.3M クエン酸三ナトリウム、pH7.0)を用いたキャピラリー法によりナイロンメンブレン(Hybond−N+; GE Healthcare)に転写した。転写後のナイロンメンブレンとジゴキシゲニン標識プローブDNA(DIG DNA Labeling and Detection Kit; Roche)を混合し、65℃でハイブリダーゼーションを行なった。プローブとハイブリダイズしたDNA断片はアルカリホスファターゼ標識抗DIG抗体(DIG DNA Labeling and detection Kit; Roche)を用いて検出した。
その結果、ApaIのレーンから約6.0kbの位置にプローブとハイブリダイズするDNAバンドが検出された。既報のアスペルギルス属糸状菌由来FADGDH遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)が約1.8kbであることから、プローブとハイブリダイズするこの約6.0kBのApaI断片が、A.carneus由来FADGDH遺伝子の全領域を包括しているものと考えられた。
次に、Inverse PCRにより、A.carneus由来FADGDH遺伝子の開始コドン近傍領域を含む5’−flanking領域と、終始コドン近傍領域を含む3’−flanking領域のクローニングを試みた。ApaIで切断したA.carneusのゲノムDNAを調製用アガロースゲルに供し、約6.0kbのDNA断片を回収した。このDNA断片をT4リガーゼ(宝酒造)により環状化し、Inverse PCRの鋳型とした。
A.carneus由来FADGDH遺伝子内部配列に基づいて設計したプライマー5861GSP3(5’−GCTGCTATTCTGCATATTGTAGGTCCAGCC−3’)、および、プライマー5861GSP5(5’−GACATCTTCGGTAGCAATACTACCAACGTT−3’)を用いてInverse PCRを行なった結果、約5.0kbの位置に単一のDNA断片が検出された。
このDNA断片をサブクローニングし塩基配列解析を行なったところ、A.carneus由来FADGDH遺伝子の5’−flanking領域と3’−flanking領域の増幅に成功したことがわかった。
次に、5’−flanking領域および3’−flanking領域の配列に基づいて設計したプライマー5861GSP9(5’−GAATTCCTTCAAGGAAACTAGGCCGCCCTT−3’)と5861GSP10(5’−GTCGACACAAGGCCATTTGGTCTATCGACC−3’)を用いてA.carneus由来ゲノムDNAを鋳型とするPCRを行なった。その結果、単一の約2.8kbのDNA断片の増幅が確認され、このDNA断片がA.carneus由来FADGDH遺伝子全領域を含んでいることがわかった。
(2)A.carneus由来FADGDH遺伝子の塩基配列解析
A.carneus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列はプライマーウォーキング法により決定した。A.carneus由来FADGDH遺伝子全領域を含むDNA断片の塩基配列を図8に示す。
スプライシング部位をGT−AG則に基づいて予測することにより、この塩基配列中のエキソンとイントロンを特定した。A.carneus由来FADGDH遺伝子は、3つのエキソン(エキソン1;926bp、エキソン2;620bp、エキソン3;209bp)から構成される1755bpのORF(585アミノ酸をコード)を含んでいた(図8の下線部および図9参照)。
図10に、このようにして特定されたA.carneus由来FADGDH遺伝子のORF(FADGDHコーディング領域)の塩基配列と、その塩基配列から類推されるアミノ酸配列を示す。
図10に示すアミノ酸配列について、シグナルペプチドの存在の有無およびシグナルペプチド切断部位を、シグナルペプチド予測サーバーSignalP4.0(http://www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/)により推測した。その結果、開始コドンに由来するメチオニン(Met1)から18番目のアラニン(Ala18)までの配列がシグナルペプチドとして同定された。また、図10に示すアミノ酸配列において、FAD結合に重要なFAD結合モチーフ(Gly−Gly−Gly−Thr−Ser−Gly)は完全に保存されていた。
(3)A.carneus由来FADGDH遺伝子発現型プラスミドの作製
A.carneus由来FADGDH遺伝子のコーディング領域をOverlap extension PCRにより合成した。
まず、各エキソンをPCR増幅した。エキソン1のPCR増幅には、プライマーとして、5861GSP11(5’−ACCATGTTCGTTCCCAAGACTCTCTCCTCC−3’)と5861E1A(5’−GAGAATGTCGGGGTTTCCAACACCGGAGCG−3’)を用いた。エキソン2のPCR増幅には、プライマーとして、5861E2S(5’−AACCCCGACATTCTCTCTAAGCATAACATC−3’)と5861E2A(5’−CGAGCGAGAGGCCTTGTTAATCCAGGCAGC−3’)を用いた。エキソン3のPCR増幅には、プライマーとして、5861E3S(5’−AAGGCCTCTCGCTCGAACTTCCACCCTGTT−3’)と5861GSP12(5’−GGTCTAGAGCTTGTCACCCTTGATCAGGTC−3’)を用いた。
増幅したエキソン1とエキソン2とをOverlap−extension PCRにより連結した。さらに、連結したDNA断片とエキソン3とをOverlap extension PCRにより連結し、A.carneus由来FADGDH遺伝子のコーディング領域を合成した。
次に、A.carneus由来FADGDH遺伝子コーディング領域を鋳型として、分泌発現型プラスミド作製用プライマー5861Pic1(5’−AAAGAATTCGCCTCCTACGACTACATCGTC−3’)および5861Pic2(5’−TTTGCGGCCGCTCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGAGCTTGTCACCCTTGATCAG−3’)を用いたPCRを行ない、成熟型FADGDHをコードする遺伝子を増幅した。なお、増幅したA.carneus成熟型FADGDHをコードする遺伝子のC末端側にはヒスチジンタグを融合するためのヒスチジンのコドン(CAC)が付加されている。
増幅したDNA断片をEcoRIおよびNotIで切断した後に、P.pastoris用分泌発現ベクターpPIC9(Life Technologies)の同一制限酵素サイトに連結することにより、A.carneus由来FADGDH遺伝子分泌発現型プラスミドを作製した。成熟型FADGDHをコードする遺伝子をpPIC9に連結することにより、成熟型FADGDHをコードする遺伝子の上流には酵母用シグナル配列が融合されている。
(4)A.carneus由来FADGDH遺伝子の酵母における発現と組換え酵素の精製
上記のようにして得られたA.carneus由来FADGDH遺伝子分泌発現型プラスミドを用いた以外は、実施例2と同様にして、P.pastorisでの発現を行い、A.carneus由来FADGDH精製標品を得た。
(実施例5)
<SDS−PAGE>
実施例2〜4で得られた3種のFADGDH精製標品(P.pastorisで発現し、精製されたA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHまたはA.carneus由来FADGDHを含む溶液)中のタンパク質濃度を測定した。タンパク質濃度は、市販のタンパク質定量キット(Pierce BCA Protein Assay Reagent; サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いたBCA法により測定した。なお、該キットでは、標準タンパク質としては牛血清アルブミンを使用している。得られた濃度測定値に基づいて、FADGDH5μgを含む精製標品を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した。
SDS−PAGEはLaemmliの方法に準じて行なった。SDS−ポリアクリルアミドゲルとしては、「e−PAGEL 10−20%」(アトー株式会社)を使用した。泳動後のゲルはCBB(Coomassie Brilliant Blue)ベースの染色液「GelCode Blue Safe Protein Stain」(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)により染色した。タンパク質マーカーには、「Prestained Protein Ladder Broad Range(10−230kDa)」(New England BioLabs)を使用した。
また、別途、染色液として、PAS(Periodic acid−Schiff stain)染色液を用いる以外は、同様にSDS−PAGEを行った。なお、PAS染色液は、糖を選択的に酸化してアルデヒドを生成し、シッフ試薬によって赤紫色に変色する。
SDS−PAGEの結果を図11に示す。レーン1がタンパク質マーカーであり、レーン2がA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH(実施例2)であり、レーン3がA.carneus由来FADGDH(実施例4)であり、レーン4がA.malignus由来FADGDH(実施例3)である。なお、(a)がCBBベースの染色液を用いた場合、(b)がPAS染色液を用いた場合の結果である。図11(a)に示されるように、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHおよびA.carneus由来FADGDHのいずれも、電気泳動的に単一な精製標品の取得に成功したことがわかった。また、図11(b)に示されるように、これらの精製標品は、いずれも糖鎖付加されたタンパク質(FADGDH)であることが分かった。
(実施例6)
<吸収スペクトル計測>
実施例2〜4で得られた3種のFADGDH精製標品(P.pastorisで発現し、精製されたA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHまたはA.carneus由来FADGDHを含む溶液)を実施例5での濃度測定値に基づいて希釈し、2mg/mLの酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。該FADGDH溶液の吸収スペクトルを、UV/可視分光光度計DU−800(Beckman Coulter)用いて計測した。また、上記FADGDH溶液にグルコースを終濃度150mMとなるように添加した溶液についても同様に吸収スペクトルを計測した。得られた吸収スペクトルを図12(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH)、図13(A.malignus由来FADGDH)および図14(A.carneus由来FADGDH)に示す。
図12〜図14に示されるように、FADGDH溶液の吸収スペクトルでは、典型的なFAD由来のピークが観察された(図12〜図14の「FADGDH」)。一方、グルコース添加後のFADGDH溶液の吸収スペクトルでは、FADに由来するピーク(350〜500nmの吸収ピーク)が消失した(図12〜図14の「FADGDH+グルコース」)。
これらの結果から、酵母(P.pastoris)にて発現し、精製されたFADGDH(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHおよびA.carneus由来FADGDH)は、いずれも補酵素として酸化型FADを含んだホロ型酵素として精製されたことが分かる。したがって、酵母によって生産された本発明のFADGDHは、補酵素の添加を必要とせずにグルコース濃度測定試薬などとして使用できるというFADGDHの利点を有している。
(実施例7)
本実施例では、実施例2〜4で得られた3種のFADGDH精製標品(酵母で発現し、精製されたA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHまたはA.carneus由来FADGDHを含む溶液)について、FADGDHの酵素活性に関する以下の各種特性(温度安定性、温度依存性、活性(反応速度)とグルコース濃度との関係、基質特異性、pH安定性およびpH依存性)に関する評価試験を行った。なお、本実施例における酵素活性測定原理、酵素活性の定義、活性測定方法は次のとおりである。
[酵素活性測定原理]
D−グルコース + 1−methoxyPMS + FADGDH
→ D−グルコノ−1,5−ラクトン + 1−methoxyPMS(還元型)
+ FADGDH(酸化型)
1−methoxyPMS(還元型) + DCPIP
→ 1−methoxyPMS + DCPIP(還元型)
還元型1−メトキシフェナジンメトサルフェート(1−methoxyPMS)による2,6−ジクロロフェノリンドフェノール(DCPIP)の還元により生じた還元型DCPIP量は、分光光度計を用いて600nmの吸光度を測定することにより計測した。また、基質特異性の検討においては、D−グルコースを他の糖類に変更し、それぞれの糖類(基質)に対する酵素活性を測定した。
[酵素活性の定義]
酵素の活性(FADGDH活性)は、37℃、pH7.0の条件下において還元型DCPIPを1分あたりに1マイクロモル形成させるFADGDH量を1ユニットとして定義する。
具体的に、FADGDH活性は、後述の吸光度変化(ΔODTEST、ΔODBLANK)から以下の式により求められる。

FADGDH活性(U/mL)
=[(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1]/(16.3×0.1×希釈率)

なお、式中の各定数は、
3.1 : FADGDH溶液混和後の反応液の容量(mL)
16.3 : DCPIPのミリモル分子吸光係数(mM−1・cm−1
0.1 : FADGDH溶液の容量(mL)
である。
[活性測定方法]
(1) キュベット内で以下の組成で反応液を混合する。
0.1M リン酸カリウムバッファー(pH7.0) 1.5mL
1M グルコース溶液 0.9mL
1.75mM 2,6-Dichlorophenolindophenol(DCPIP) 0.12mL
20mM 1-Methoxy-5-methylphenazium methylsulfate(1-mPMS) 0.021mL
10% TritonX−100 0.06mL
O 0.399mL
(2) 37℃で10分間プレインキュベートする。
(3) FADGDH溶液を0.1mL加えて転倒混和し、37℃で反応させる。この間、吸光光度計を用いて600nmでの吸光度を記録し、1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を算出する。
(4) 対照として、酵素液(上述の反応液にFADGDH溶液を加えた液)の代わりに等量の酵素希釈用液(50mMのリン酸バッファー(pH7.0)に0.01%のTritonX−100を添加した液)について、(3)と同様に吸光度変化を記録し、1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を算出する。
<温度安定性>
ここでは、酵素活性の温度安定性の評価を行った。まず、終濃度50mMクエン酸バッファーを含有し、pH5.0であり、1×10−3重量%TritonX−100を含有し、酵素活性が10U/mLとなるように、酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。これらのFADGDH溶液をマイクロチューブに分注し、PCRマシーンを用いて5℃〜80℃の範囲内の数種の温度で15分間加熱した。加熱前後の酵素活性を測定し、加熱前の酵素活性に対する加熱後の酵素活性の比率(残活性率)を求めた。結果を図15(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH)、図16(A.malignus由来FADGDH)および図17(A.carneus由来FADGDH)に示す。
図15において、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHは45℃でも約90%の活性を保持しており、熱安定性が極めて高いことが示された。また、図16において、A.malignus由来FADGDHは55℃でも100%近くの活性を保持しており、熱安定性が極めて高いことが示された。また、図17において、A.carneus由来FADGDHは50℃でも100%近くの活性を保持しており、熱安定性が極めて高いことが示された。なお、天然のA.brunneo−uniseriatus、A.malignusおよびA.carneusは糖鎖付加をする真核生物であるため、天然の酵素も高い熱安定性を示すことが推測される。
これらの結果から、本発明のFADGDH活性を有するタンパク質は、熱安定性に優れていることが分かる。なお、特許文献1におけるFADGDHについての50℃15分間の熱安定性試験の結果と、本発明の50℃での結果とを比べても、本発明のFADGDHは特許文献1と同等以上の高い熱安定性を有していることが分かる。
<温度依存性>
ここでは、酵素活性の温度依存性の評価を行った。まず、上記pH安定性の評価試験と同様にして、酵素活性が0.05〜0.2U/mLとなるように酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。これらのFADGDH溶液について、4℃〜60℃(または70℃)の範囲で酵素活性を測定し、37℃での活性を100(%)としたときの相対活性を求めた。結果を図18(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH)、図19(A.malignus由来FADGDH)および図20(A.carneus由来FADGDH)に示す。
図18に示されるように、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHの場合、50℃〜55℃で活性がピークとなっていた。また、図19に示されるように、A.malignus由来FADGDHの場合、50℃〜60℃で活性がピークとなっていた。また、図20に示されるように、A.carneus由来FADGDHの場合、50℃〜55℃で活性がピークとなっていた。
<活性(反応速度)とグルコース濃度との関係>
ここでは、活性(反応速度)とグルコース濃度との関係について検討した。具体的には、実施例2〜4で得られた3種のFADGDH精製標品について、上記活性測定方法のグルコース溶液の濃度を0、0.3、1.0、2.9、9.7、29.0および96.8mMに変化させた以外は、同様にして酵素活性[V(unit/FAD1μmol)]を測定した。なお、酵素活性を比較するために、濃縮、希釈によって値が変動する体積当たりの活性値(unit/mL)ではなく、酵素自身が含有しているFADの濃度を450nmの吸光スペクトルにより測定し、FAD当たりの活性値として酵素活性[V(unit/FAD1μmol)]を算出した。酵素活性とグルコース濃度との関係を図21(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH)、図22(A.malignus由来FADGDH)および図23(A.carneus由来FADGDH)に示す。
図24は、図21〜図23のグルコース濃度が0〜30mMの範囲結果と、比較として好熱性糸状菌であるThermoascus crustaceus由来のFADGDHについて同様に測定した酵素活性の結果と、をまとめたグラフである。ただし、図24では、全てのFADGDHについてグルース濃度が0mMである場合の活性値をグラフに追加している。
なお、比較のために用いたThermoascus crustaceus(Th.crustaceus)由来FADGDHは、特許文献2の実施例7と同様にしてP.pastorisを用いて製造した精製標品である。
また、図25は、図24のグルコース濃度0〜10mMの範囲の部分を拡大したグラフである。さらに、図25では、それぞれの酵素活性の最大値[Vmax]が異なるため、縦軸を最大値に対する酵素活性の比率[V/Vmax(%)]に補正したグラフを図26に示す。
主に図25および図26から、本発明のタンパク質(FADGDH)は、グルコース濃度が特に低濃度である場合にも高い活性(反応速度)を有することが分かる。
さらに、図27〜図30に、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.carneus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDH、および、Th.crustaceus由来のFADGDHのそれぞれについて得られたラインウィーバーバークプロット(Lineweaver-Burke plot)を示す。なお、Sはグルコース濃度を意味する。ラインウィーバーバークプロットにおいて、直線のX切片が−1/Km、Y切片が1/Vmaxとなるため、グラフからKm、Vmaxを求めることができる。これらのラインウィーバーバークプロットから求めた各FADGDHのKm値(mM)を表2に示す。
また、実施例1のA.brunneo−uniseriatus由来FADGDHのアミノ酸配列に対する各FADGDHのアミノ酸配列の相同性を求めた結果を併せて表2に示す。
表2に示されるように、Th.crustaceus由来FADGDH(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHに対するアミノ酸の相同性が70%未満)に対して、実施例2〜4のFADGDH(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDHに対するアミノ酸の相同性が70%以上)のKm値は、半分以下となっている。言い換えれば、Th.crustaceus由来FADGDHのKm値が2mMより大きいのに対して、実施例2〜4のFADGDHのKm値は2mM以下である。この結果からも、本発明のタンパク質(FADGDH)は、Kmが極めて低く、グルコース濃度が特に低濃度である場合にも高い活性(反応速度)を有することが分かる。なお、一般にKm値が小さい程、酵素−基質複合体の解離が起きにくい、つまり、酵素と基質が結合し易いと考えられている。特に、完全分解法によってグルコース濃度を測定する場合において、Km値が小さい程、高感度な測定が可能となる。
<基質特異性>
ここでは、FADGDHがグルコースおよびグルコース以外の糖類を基質とするかどうかを確認した。まず、グルコース濃度が40mMの場合に十分な酵素活性が得られる酵素濃度に、それぞれの酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。これらのFADGDH溶液について、上記活性測定方法を上記反応液中の糖類の濃度が40mMとなるように変更し、酵素活性を測定した。測定は、図31に示す15種類の糖類について行った。なお、酵素が含まれない場合を対照とし、それぞれの糖に対して対照をとった。グルコースについて酵素活性の測定値を100(%)としたときの他の各糖類の相対活性を算出し、図31にまとめた。なお、DCPIP吸光度の変化量が対照と比較して有意差がないものに関しては活性がないと判断し、0.0と表記した。
図31に示す結果において、調べた15種類の糖類のうちD−グルコース以外については、実施例2〜4のFADGDHの全てが2−デオキシ−D−グルコースを基質として認識することが分かった。また、実施例2〜4のFADGDHは、D−ガラクトース、D−マンノース、D−ラフィノース、スクロースおよびD−キシロースに対しても反応することが分かる。なお、D−フルクトースに対してもわずかに反応している。
したがって、本発明のタンパク質(FADGDH)はグルコース以外の糖類(例えば、癌のマーカーとなる2−デオキシ−D−グルコース)も基質とするため、グルコース以外の糖類の濃度測定試薬として使用することができ、それをグルコース以外の糖類の濃度を測定するためのセンサを提供することが可能である。
また、本発明のFADGDHは、グルコースに加えて2−デオキシ−D−グルコース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−マンノース、D−ラフィノース、スクロースなどの脱水素反応も触媒するため、燃料の脱水素反応により生じた電子を電力として供給するバイオ燃料電池に適用した場合、糖類の混合物であることが多いバイオ燃料から効率よく電力を回収できることが分かる。
<pH安定性>
ここでは、酵素活性のpH安定性の評価を行った。まず、実施例2〜4で得られた3種のFADGDH精製標品(酵母で発現し、精製されたA.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHまたはA.carneus由来FADGDHを含む溶液)について、上記活性測定方法により酵素活性を測定した。それらの測定値に基づいて各精製標品を水で希釈することで、酵素活性が14U/mLとなるような酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。
これらのFADGDH溶液に対して、所定のpHに調整された0.1MのBritton−Robinson広域緩衝液を等量混合し、pHを2.0〜11.0の範囲で変化させた複数の酵素溶液を調製し、各酵素溶液の調製直後の酵素活性を測定した。次に、各試料溶液を25℃で20時間インキュベートした後に酵素活性を測定して、インキュベート前の酵素活性に対するインキュベート後の酵素活性の割合(残活性率)を求めた。結果を図32(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH)、図33(A.malignus由来FADGDH)および図34(A.carneus由来FADGDH)に示す。
図32〜図34において、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHおよびA.carneus由来FADGDHの活性は、pH2.0〜8.0の広範囲にわたって安定であった。
<pH依存性>
ここでは、酵素活性のpH依存性の評価を行った。上記pH安定性の評価試験と同様にして、酵素活性が0.2U/mLとなるような酵素溶液(FADGDH溶液)を調製した。pHを4.0〜9.0の範囲で変化させた複数の酵素活性測定溶液を調製し、それぞれのpH条件における酵素活性を測定した。最も活性が高かったpH条件における酵素活性を100(%)とし、他の各pH条件における酵素活性の比率を相対活性として求めた。結果を図35(A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH)、図36(A.malignus由来FADGDH)および図37(A.carneus由来FADGDH)に示す。
図35〜図37において、A.brunneo−uniseriatus由来FADGDH、A.malignus由来FADGDHおよびA.carneus由来FADGDHの至適pHはpH4.0〜6.0であることが示された。

Claims (17)

  1. 以下の(a)〜()のいずれかのタンパク質。
    (a) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からシグナルペプチドを除いたアミノ酸配列からなるタンパク質、および、
    ) 上記(a)または(b)のタンパク質のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有し、かつ、フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質。
  2. Aspergillus brunneo−uniseriatus来である、請求項1に記載のタンパク質。
  3. 糖鎖が付加された、請求項1または2に記載のタンパク質。
  4. 前記フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性のKm値が2mM以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  6. 以下の(A)〜(D)のいずれかのDNAからなる遺伝子。
    (A) 配列番号4記載の塩基配列からなるDNA、
    (B) 配列番号4記載の塩基配列からシグナルペプチドをコードする塩基配列を除いた塩基配列からなるDNA、
    (C) 上記(A)または(B)のDNAの塩基配列と、
    配列番号4に記載の塩基配列の920番目と921番目の間に挿入されたGTAAGTCTCCCGATGGAGAATCCTAAAATGACAGATAGGTAATGATGCTATCACAGの塩基配列からなるイントロン、および、配列番号4に記載の塩基配列の1540番目と1541番目の間に挿入されたGTAAGCCCACTGACAAATTATATGAAATTATGTACTAATAAGATACTTAGの塩基配列からなるイントロンの少なくとも1つ
    を含むDNA、および、
    (D) 上記(A)〜(C)のいずれかのDNAと90%以上の同一性を有し、かつフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  7. 請求項5または6に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  8. 請求項5または6に記載の遺伝子を含む形質転換体。
  9. 請求項5または6に記載の遺伝子を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法。
  10. 請求項8に記載の形質転換体を用いたフラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素の製造方法。
  11. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を含むグルコース濃度測定試薬。
  12. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を用いたグルコースセンサ。
  13. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を用いたグルコース濃度測定方法。
  14. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を含む2−デオキシ−D−グルコース濃度測定試薬。
  15. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を用いた2−デオキシ−D−グルコースセンサ。
  16. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を用いた2−デオキシ−D−グルコース濃度測定方法。
  17. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質を用いたバイオ燃料電池。
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