JP6526572B2 - 熱安定性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、熱安定性に優れたフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ、それを用いたグルコース測定方法およびフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法に関する。
血中グルコース濃度(血糖値)は、糖尿病の重要なマーカーである。糖尿病患者が自己の血糖値を管理するための装置としては、電気化学的バイオセンサを用いた自己血糖測定(Self Monitoring of Blood Glucose:SMBG)機器が広く利用されている。SMBG機器に用いられるバイオセンサには、従来、グルコースオキシダーゼ(GOD)等のグルコースを基質とする酵素が利用されている。しかしながら、GODは酸素を電子受容体とするという特性を備えているため、GODを用いたSMBG機器では、測定サンプル中の溶存酸素が測定値に影響を与え、正確な測定値が得られない場合が起こりうる。
一方、グルコースを基質とするが、酸素を電子受容体としない別の酵素として、各種のグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)が知られている。具体的には、ニコチンアミドジヌクレオチド(NAD)やニコチンアミドジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素とするタイプのGDH(NAD(P)−GDH)や、ピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とするGDH(PQQ−GDH)が見出されており、SMBG機器のバイオセンサに使用されている。しかしながら、NAD(P)−GDHは、酵素の安定性が乏しく、かつ、補酵素の添加が必要という問題を有し、また、PQQ−GDHは基質特異性が低く、測定対象であるグルコース以外にも、マルトース、D−ガラクトースおよびD−キシロースなどの糖化合物に対して作用してしまうため、測定サンプル中のグルコース以外の糖化合物が測定値に影響し、正確な測定値が得られないという問題点が存在する。
近年、PQQ−GDHをバイオセンサとして用いたSMBG機器を用いて、輸液投与を受けていた糖尿病患者の血糖値を測定する際に、PQQ−GDHが輸液中に含まれるマルトースにも作用して、実際の血糖値よりも高い測定値が得られ、この値に基づく処置が原因となって患者が低血糖等を発症した例が報告されている。また、同様の事象はガラクトース負荷試験およびキシロース吸収試験を実施中の患者にも起こり得ることも判明している(例えば、非特許文献1参照)。これを受け、厚生労働省医薬食品局は、グルコース溶液に各糖類を添加した場合における血糖測定値への影響を調査する目的で交差反応性試験を行ったところ、600mg/dLのマルトース、300mg/dLのD−ガラクトース、あるいは、200mg/dLのD−キシロース添加を行った場合には、PQQ−GDH法を用いた血糖測定キットの測定値は、実際のグルコース濃度より2.5〜3倍ほど高い値を示した。すなわち、測定試料中に存在し得るマルトース、D−ガラクトース、D−キシロースにより測定値が不正確になることが判明し、このような測定誤差の原因となる糖化合物の影響を受けず、グルコースを特異的に測定可能な基質特異性の高いGDHの開発が切に望まれている。
上記のような背景の下、上記以外の補酵素を利用するタイプのGDHが着目されるようになってきている。例えば、基質特異性に関する詳細な記載はないが、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のGDHについての報告(例えば、非特許文献2〜5参照)が知られている。また、アスペルギルス(Aspergillus)属及びペニシリウム(Penicillium)属由来のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD−GDH)が開示されており(例えば、特許文献1〜3参照)、さらにD−キシロースに対する作用性を低減させたアスペルギルス属由来のFAD−GDHも開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、上記の酵素は、D−グルコースではない1種または数種の糖化合物に対して反応性が低いという特性を示すものの、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースのいずれに対しても反応性が十分に低いという特性を有してはいない。これらに対して、ケカビの一種であるムコール(Mucor)属から見出されたFAD−GDHは、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースのいずれに対しても反応性が十分に低いという優れた特性を有することが示されている(例えば、特許文献5参照)。このGDHを用いれば、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースが存在する条件下においても、それらの糖化合物による影響を受けることなくグルコース濃度を正確に測定することが可能であり(例えば、特許文献5参照)、このような優れた基質特異性は、ケカビ由来FAD−GDHの実用上の優位性を示す特徴のひとつである。さらに、特許文献5においては、ケカビ由来FAD−GDHの遺伝子配列、アミノ酸配列、ケカビ由来FAD−GDHの遺伝子配列を利用した大腸菌及び麹菌を宿主とする組換え発現についても開示されている。
FAD−GDHの血糖センサーへの用途を考慮すると、センサーチップ作製時には酵素の加熱乾燥処理工程を含む場合があるため、耐熱性の高いFAD−GDHが求められる。このような目的に関しては、特許文献6において、優れた基質特異性及び耐熱性を有するケカビ由来FAD−GDH(チゴサッカロマイセス属の酵母で発現)等が見出されている。また、特許文献7は、部位特異的変異を導入することにより、ケカビ由来FAD−GDHの耐熱性が向上することを開示している。
しかしながら、センサーチップの作製時における過酷な熱条件に供する可能性を想定すると、さらなる熱安定性を付与する試みが継続的に求められている。
特開2007−289148号公報 特許第4494978号公報 国際公開第07/139013号 特開2008−237210号公報 特許第4648993号公報 国際公開第12/073986号パンフレット 国際公開第12/169512号パンフレット
医薬品・医療用具等安全性情報206号(Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No.206)、2004年10月、厚生労働省医薬食品局 Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. I. Induction of its synthesis by p−benzoquinone and hydroquinone, T. C. Bak, and R. Sato, Biochim. Biophys. Acta, 139, 265−276 (1967). Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. II. Purification and physical and chemical properties, T.C. Bak, Biochim. Biophys. Acta, 139, 277−293 (1967). Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. III. General enzymatic properties, T.C. Bak, Biochim. Biophys. Acta, 146, 317−327 (1967). Studies on the glucose dehydrogenase of Aspergillus oryzae. IV. Histidyl residue as an active site, T.C. Bak, and R. Sato, Biochim. Biophys. Acta, 146, 328−335 (1967).
本発明は、熱安定性を有するFAD−GDHを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者は鋭意検討を重ね、熱安定性を有するFAD−GDHを探索した結果、公知のFAD−GDHに変異を導入することにより、熱安定性を有するFAD−GDHが得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)配列番号1で示されるアミノ酸配列、配列番号1で示されるアミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列、または該アミノ酸配列(配列番号1で示されるアミノ酸配列または配列番号1で示されるアミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列)において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、以下よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有し、前記置換を行う前と比較して、熱安定性が向上していることを特徴とするFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列における66位のアミノ酸
配列番号1記載のアミノ酸配列における68位のアミノ酸
配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のアミノ酸
配列番号1記載のアミノ酸配列における158のアミノ酸
配列番号1記載のアミノ酸配列における233位のアミノ酸、
配列番号1記載のアミノ酸配列における385位のアミノ酸、
配列番号1記載のアミノ酸配列における391位のアミノ酸、および
配列番号1記載のアミノ酸配列における557位のアミノ酸。
(2)配列番号1で示されるアミノ酸配列、配列番号1で示されるアミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列、または
配列番号1で示されるアミノ酸配列または配列番号1で示されるアミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、以下よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有することを特徴とするFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列における66位に対応する位置のアミノ酸がチロシンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における68位に対応する位置のアミノ酸がグリシンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における88位に対応する位置のアミノ酸がアラニンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における158位に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における233位に対応する位置のアミノ酸がアルギニンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における385位に対応する位置のアミノ酸がスレオニンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における391位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンである、および
配列番号1記載のアミノ酸配列における557位に対応する位置のアミノ酸がバリンである。
(3)以下に表されるFAD−GDH活性を有するタンパク質を構成するアミノ酸配列において66位のアスパラギン残基に対応する位置のアミノ酸がチロシンに置換された改変タンパク質であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、66位のアスパラギン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質。
(4)以下に表されるFAD−GDH活性を有する親タンパク質を構成するアミノ酸配列において68位のアスパラギン残基に対応する位置のアミノ酸がグリシンに置換された改変タンパク質であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、68位のアスパラギン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質。
(5)以下に表されるFAD−GDH活性を有する親タンパク質を構成するアミノ酸配列において88位のシステイン残基に対応する位置のアミノ酸がアラニンに置換された改変タンパク質であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、88位のシステイン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質。
(6)以下に表されるFAD−GDH活性を有する親タンパク質を構成するアミノ酸配列において158位のスレオニン残基に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンに置換された改変タンパク質であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、158位のスレオニン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質。
(7)以下に表されるFAD−GDH活性を有するタンパク質を構成するアミノ酸配列において233位のグルタミン残基に対応する位置のアミノ酸がアルギニンに置換された改変タンパク質であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、233位のグルタミン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質。
(8)以下に表されるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を構成するアミノ酸配列において385位のアラニン残基に対応する位置のアミノ酸がスレオニンに置換された改変タンパク質であるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、385位のアラニン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸からなり、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(9)以下に表されるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を構成するアミノ酸配列において391位のロイシン残基に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンに置換された改変タンパク質であるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、391位のロイシン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸からなり、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
(10)以下に表されるFAD−GDH活性を有するタンパク質を構成するアミノ酸配列において557位のロイシン残基に対応する位置のアミノ酸がバリンに置換された改変タンパク質であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質、または
配列番号1のアミノ酸配列において、557位のロイシン残基に対応する位置のアミノ酸残基以外のアミノ酸の1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸からなり、FAD−GDH活性を有するタンパク質。
(11)配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1で示されるアミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列、または
配列番号1で示されるアミノ酸配列または配列番号1で示されるアミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列において1もしくは数個アミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列に対応する位置のアミノ酸が、以下のいずれかに記載されるアミノ酸残基であるFAD−GDH:
配列番号1記載のアミノ酸配列における66位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がチロシンであり、かつ、68位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がグリシンである。
配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、66位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がチロシンであり、かつ、68位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がグリシンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、かつ、158位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである、
配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、かつ、233位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸がアルギニンである、または
配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、557位のロイシンに対応する位置のアミノ酸がバリンであし、かつ、559位のセリンに対応する位置のアミノ酸がリジンである。
(12)以下の(I)および/または(II)の性質を備え上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載のFAD−GDH:
(I)pH7.0、40℃、15分間の熱処理後に50%以上の残存活性率を有する。
(II)D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))が2%以下である。
(III)変異を導入した後の比活性が変異を導入する前の比活性と比べて60%以上である。
(13)上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のFAD−GDHをコードするFAD−GDH遺伝子。
(14)上記(13)に記載のFAD−GDH遺伝子をベクターDNAに挿入したことを特徴とする組換え体DNA。
(15)上記(14)記載の組換え体DNAが導入されている宿主細胞。
(16)FAD−GDHを製造する方法であり、以下の工程を含む方法:
上記(15)に記載の宿主細胞を培養する工程、
前記宿主細胞中に含まれるFAD−GDH遺伝子を発現させる工程、および
(a前記培養物からFAD−GDHを単離する工程。
(17)上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のFAD−GDHを用いるグルコース測定方法。
(18)上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のFAD−GDHを含むグルコースアッセイキット。
(19)上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載のFAD−GDHを含むグルコースセンサー。
本発明によれば、熱安定性を有するFAD−GDHを提供できる。
(本発明のFAD−GDHの作用原理および活性測定法)
本発明のFAD−GDHは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する。
本発明のFAD−GDHの活性は、この作用原理を利用し、例えば、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)および2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた以下の系を用いて測定することができる。
(反応1) D−グルコ−ス + PMS(酸化型)
→ D−グルコノ−δ−ラクトン + PMS(還元型)
(反応2) PMS(還元型) + DCIP(酸化型)
→ PMS(酸化型) + DCIP(還元型)
(反応1)において、グルコースの酸化に伴い、PMS(還元型)が生成する。続いて進行する(反応2)により、PMS(還元型)が酸化されるのに伴ってDCIPが還元される。この「DCIP(酸化型)」の消失度合を波長600nmにおける吸光度の変化量として検知し、この変化量に基づいて酵素活性を求めることができる。
本発明のFAD−GDHの活性は、以下の手順に従って測定する。100mM リン酸緩衝液(pH7.0) 2.05mL、1M D−グルコース溶液 0.6mLおよび2mM DCIP溶液 0.15mLを混合し、37℃で5分間保温する。次いで、15mM PMS溶液 0.1mLおよび酵素サンプル溶液0.1mLを添加し、反応を開始する。反応開始時、および経時的な吸光度を測定し、酵素反応の進行に伴う600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量(ΔA600)を求め、次式に従いGDH活性を算出する。この際、GDH活性は、37℃において濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1μmolのDCIPを還元する酵素量を1Uと定義する。
Figure 0006526572
なお、式中の3.0は反応試薬+酵素試薬の液量(mL)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm/μmol)、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)、ΔA600blankは酵素の希釈に用いた緩衝液を酵素サンプル溶液の代わりに添加して反応開始した場合の600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量、dfは希釈倍数を表す。
(本発明のFAD−GDHのアミノ酸配列)
本発明のFAD−GDHは、配列番号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列と同一性の高い、例えば、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上同一なアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号1記載のアミノ酸配列における66位、68位、88位、158位、233位、385位、391位および557位から選択されるアミノ酸に対応する位置で、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有することを特徴とする。
好ましくは、本発明のFAD−GDHにおける、上述の66位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の66位に対応する位置でのアミノ酸がチロシンに置換される置換であり、68位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の68位に対応する位置でのアミノ酸がグリシンに置換される置換であり、88位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の88位に対応する位置でのアミノ酸がアラニンに置換される置換であり、158位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の158位に対応する位置でのアミノ酸がヒスチジンに置換される置換であり、233位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の233位に対応する位置でのアミノ酸がアルギニンに置換される置換であり、385位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の385位に対応する位置でのアミノ酸がスレオニンに置換される置換であり、391位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の391位に対応する位置でのアミノ酸がイソロイシンに置換される置換であり、557位に対応する位置でのアミノ酸置換とは、上述の557位に対応する位置でのアミノ酸がバリンに置換される置換である。なお、配列番号1においては、本発明の置換を有さない66位のアミノ酸はアスパラギンであり、68位のアミノ酸はアスパラギンであり、88位のアミノ酸はシステインであり、158位のアミノ酸はスレオニンであり、233位のアミノ酸はグルタミンであり、557位のアミノ酸はロイシンである。
本発明のFAD−GDHの中で、さらに好ましいものの例として、上記のような置換を複数組み合わせて有する多重変異体が挙げられる。上記のような置換を2箇所組み合わせて有する2重変異体、3箇所組み合わせて有する3重変異体、さらに多数の変異を組み合わせて有する多重変異体等が本発明に包含される。このような変異の蓄積により、熱安定性がさらに向上したFAD−GDHを作出することができる。
また、上記のような多重変異体を作出するにあたっては、上述の各種の置換以外の位置における置換を組み合わせることもできる。このような置換の位置は、単独で置換を導入した場合には、上述の置換部位におけるもののように顕著な効果を奏さないものであっても、上述の置換部位と組み合わせて導入することによって、相乗的に効果を奏するものであり得る。
また、本発明のFAD−GDHには、上述のような、熱安定性を向上させる変異のほかに、基質特異性を向上させる変異や、pHや特定の物質などへの耐性を向上させる効果などのような、別種の効果を奏することを目的とした公知の変異を任意に組み合わせてもよい。このような別種の変異を組み合わせた場合であっても、本発明の効果を発揮し得るものである限り、それらのFAD−GDHは本発明に包含される。
後述のとおり、本発明のFAD−GDHは、例えば、まず任意の方法で、配列番号1のアミノ酸配列に近いアミノ酸配列をコードする遺伝子を入手し、配列番号1の所定の位置と同等の位置におけるいずれかの位置においてアミノ酸置換を導入することにより得ることもできる。
目的とするアミノ酸置換導入方法としては、例えばランダムに変異を導入する方法あるいは想定した位置に部位特異的変異を導入する方法が挙げられる。前者の方法としては、エラープローンPCR法(Techniques,1,11−15,(1989))や、増殖の際、プラスミドの複製にエラーを起こしやすく、改変を生じやすいXL1−Redコンピテントセル(STRATAGENE社製)を用いる方法等がある。また、後者の方法として、目的とするタンパク質の結晶構造解析により立体構造を構築し、その情報をもとに目的の効果を付与すると予想されるアミノ酸を選択し、市販のQuick Change Site Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)等により部位特異的変異を導入する方法がある。あるいは、後者の方法として、目的とするタンパク質と相同性の高い公知のタンパク質の立体構造を用いて、目的の効果を付与すると予想されるアミノ酸を選択し、部位特異的変異を導入する方法もある。
また、ここでいう、例えば、「配列番号1のアミノ酸配列に対応する位置」とは、配列番号1のアミノ酸配列と、配列番号1と同一性(好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)を持つアミノ酸配列を有する他のFAD−GDHとをアラインさせた場合に、そのアラインメントにおける同一の位置を意味する。なお、アミノ酸配列の同一性は、GENETYX−Mac(Software Development社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラム、又はDNASIS Pro(日立ソフト社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。
また、ここでいう、例えば、「配列番号1のアミノ酸配列に対応する位置」を特定する方法としては、例えば、リップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、FAD−GDHのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の同一性を与えることにより行うことができる。FAD−GDHのアミノ酸配列をこのような方法で整列させることにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、対応するアミノ酸残基の各FAD−GDH配列における配列中の位置を決めることが可能である。対応する位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象となるFAD−GDHの基質特異性に関して類似した効果を有することが推定できる。
本発明のFAD−GDHには、上記の同一性の範囲内で各種のバリエーションが想定されるが、各種FAD−GDHの酵素科学的性質が本明細書に記載する本発明のFAD―GDHと同様である限り、それらは全て本発明のFAG−GDHに含まれ得る。このようなアミノ酸配列を有するFAD−GDHは、基質特異性が高く、かつ、十分な熱安定性を有するFAD−GDHであり、産業上有用である。
また、本発明のFAD−GDHにおいては、上述の66位に対応する位置でのアミノ酸がチロシンであること、または、68位に対応する位置でのアミノ酸がグリシンであること、または、88位に対応する位置でのアミノ酸がアラニンであること、158位に対応する位置でのアミノ酸がヒスチジンであること、233位に対応する位置でのアミノ酸がアルギニンであること、385位に対応する位置でのアミノ酸がスレオニンであること、391位に対応する位置でのアミノ酸がイソロイシンであること、または557位に対応する位置でのアミノ酸がバリンであることが重要なのであって、それが人為的な置換操作によるものか否かは重要でない。例えば、配列番号1記載のタンパク質のように、上記の位置のアミノ酸が本発明で所望される残基とは元々異なっているタンパク質を出発物質として、そこに公知の技術を用いて所望の置換を導入していく場合であれば、これらの所望されるアミノ残基は置換により導入される。一方、公知のペプチド全合成により所望のタンパク質を入手する場合、または、所望のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするように遺伝子配列を全合成し、これに基づき所望のタンパク質を入手する場合、あるいは、天然型として見出されたものの中に元々そのような配列を有するものがあった場合等には、人為的な置換という工程を経ることなく、本発明のFAD−GDHを得ることができる。
(本発明のFAD−GDHにおける熱安定性の向上)
本発明における耐熱性の向上は、本明細書中に記載の活性測定方法及び熱安定性測定方法に記載した条件において評価される。なお、本明細書における熱処理時のpHは7.0であるが、これは本発明のFAD−GDHが血液中のグルコース(血糖値)を測定する目的で開発されたものであり、血液のpHが中性付近であることによる。このように実用になるべく近い条件で評価を行うことによって、より有用な酵素の取得が可能となる。
本発明のFAD−GDHは、本明細書中に記載の活性測定方法および熱安定性測定方法に記載した反応条件下で、pH7.0、40℃、15分間熱処理後の残存活性が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であることを特徴とする。
より好ましい本発明のFAD−GDHとしては、本明細書中に記載の活性測定方法及び熱安定性測定方法に記載した反応条件下で、pH7.0、45℃、15分間熱処理後の残存活性が10%以上、30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であることを特徴とする。
また、上述のように熱安定性が向上していることに加えて、その他の酵素諸性質に関しても、実用により適した性能を兼ね備えていることが好ましい。例えば、D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))、および/またはD−グルコースへの反応性に対するマルトースへの反応性の割合(Mal/Glc(%))が2%以下であることが好ましい。例えば、比活性は所定の変異を導入する前と比べて、60%以上、より好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上を維持していることが好ましい。例えば、Km値は100mM以下であり、より好ましくは90mM以下であることが好ましい。
(本発明のFAD−GDHをコードする遺伝子の取得)
本発明のFAD−GDHを効率よく取得するためには、遺伝子工学的手法を利用するのが好ましい。本発明のFAD−GDHをコードする遺伝子(以下、FAD−GDH遺伝子)を取得するには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法を用いればよい。例えば、公知のFAD−GDHを出発物質とし、それを改変することにより本発明のFAD−GDHを取得するには、FAD−GDH生産能を有する公知の微生物菌体や種々の細胞から、常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNA又はmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNA又はcDNAを用いて、染色体DNA又はcDNAのライブラリーを作製することができる。
ついで、公知のFAD−GDHのアミノ酸配列情報に基づき、適当なプローブDNAを合成して、これを用いて染色体DNA又はcDNAのライブラリーから基質特異性の高いFAD−GDH遺伝子を選抜する方法、あるいは、上記アミノ酸配列に基づき、適当なプライマーDNAを作製して、5’RACE法や3’RACE法などの適当なポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、基質特異性の高いFAD−GDHをコードする目的の遺伝子断片を含むDNAを増幅させ、これらのDNA断片を連結させて、目的のFAD−GDH遺伝子の全長を含むDNAを得ることができる。
公知のFAD−GDHを出発物質として、本発明の熱安定性に優れたFAD−GDHを取得する方法として、出発物質であるFAD−GDHをコードする遺伝子に変異を導入し、各種の変異遺伝子から発現されるFAD−GDHの酵素科学的性質を指標に選択を行う方法を採用し得る。
出発物質であるFAD−GDH遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、FAD−GDH遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;又は蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、若しくは5−ブロモウラシル等を挙げることができる。
この接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件を採ることが可能であり、現実に所望の変異をMucor属由来FAD−GDH遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃度において、20〜80℃の反応温度下で10分間以上、好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。紫外線照射を行う場合においても、上記の通り常法に従い行うことができる(現代化学、p24〜30、1989年6月号)。
蛋白質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、Site−Specific Mutagenesisとして知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法 (Nucleic Acids Res.,12,9441(1984):Methods Enzymol.,154,350(1987):Gene,37,73(1985))、Eckstein法(Nucleic Acids Res.,13,8749(1985):Nucleic Acids Res.,13,8765(1985):Nucleic Acids Res,14,9679(1986))、Kunkel法(Proc. Natl. Acid. Sci. U.S.A.,82,488(1985):Methods Enzymol.,154,367(1987))等が挙げられる。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社, EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製, Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の利用が挙げられる。
また、一般的なポリメラーゼチェインリアクション(Polymerase Chain Reaction)として知られる手法を用いることもできる(Technique,1,11(1989))。
なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法又は酵素合成法により、直接所望の熱安定性に優れた改変FAD−GDH遺伝子を合成することもできる。
上記のような任意の方法により選択された本発明のFAD−GDH遺伝子のDNA塩基配列の決定または確認を行う場合には、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いれば良い。
(本発明のFAD−GDHの由来となる天然型FAD−GDHの例)
本発明のFAD−GDHは、公知のFAD−GDHを改変することにより取得することもできる。公知のFAD−GDHの由来微生物の好適な例としては、ケカビ亜門、好ましくはケカビ綱、より好ましくはケカビ目、さらに好ましくはケカビ科に分類される微生物を挙げることができる。具体的には、ムコール(Mucor)属、アブシジア(Absidia)属、アクチノムコール(Actinomucor)属、シルシネラ(Circinella)属由来のFAD−GDH等が挙げられる。
Mucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii、Mucor hiemalis f. silvaticus、Mucor subtilissimus、Mucor dimorphosporus等が挙げられる。より具体的には、特許文献5に記載のMucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii NBRC9403、Mucor hiemalis f. silvaticus NBRC6754、Mucor subtilissimus NBRC6338、Mucor RD056860、Mucor dimorphosporus NBRC5395等が挙げられる。Absidia属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Absidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。より具体的には、特許文献5に記載のAbsidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。Actinomucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Actinomucor elegansを挙げることができる。より具体的には、特許文献5に記載のActinomucor elegansを挙げることができる。Circinella属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Circinella minor、Circinella mucoroides、Circinella muscae、Circinella rigida、Circinella simplex、Circinella umbellataを挙げることができる。より具体的には、Circinella minor NBRC6448、Circinella mucoroides NBRC4453、Circinella muscae NBRC6410、Circinella rigida NBRC6411、Circinella simplex NBRC6412、Circinella umbellata NBRC4452、Circinella umbellata NBRC5842、Circinella RD055423及びCircinella RD055422を挙げることができる。なお、NBRC菌株およびRD菌株はNBRC(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター)の保管菌株である。
(本発明のFAD−GDH遺伝子が挿入されたベクターおよび宿主細胞)
上述のように得られた本発明のFAD−GDH遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主細胞を常法により、形質転換又は形質導入をすることができる。
原核宿主細胞の一例としては、エシェリシア属に属する微生物、例えば大腸菌K−12株、エシェリヒア・コリーBL21(DE3)、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5α、エシェリヒア・コリーW3110、エシェリヒア・コリーC600等(いずれもタカラバイオ社製)が挙げられる。それらを形質転換し、または、それらに形質導入して、DNAが導入された宿主細胞(形質転換体)を得る。こうした宿主細胞に組み換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主細胞がエシェリヒア・コリーに属する微生物の場合には、カルシウムイオンの存在下で組み換えDNAの移入を行う方法などを採用することができる、更にエレクトロポレーション法を用いても良い。更には市販のコンピテントセル(例えばECOS Competent エシェリヒア・コリーBL21(DE3);ニッポンジーン製)を用いても良い。
真核宿主細胞の一例としては、酵母が挙げられる。酵母に分類される微生物としては、例えば、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属などに属する酵母が挙げられる。挿入遺伝子には、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子が含まれていてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、URA3、TRP1のような、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子等が挙げられる。また、挿入遺伝子は、宿主細胞中で本発明の遺伝子を発現することのできるプロモーター又はその他の制御配列(例えば、エンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等)を含むことが望ましい。プロモーターとしては、具体的には、例えば、GAL1プロモーター、ADH1プロモーター等が挙げられる。酵母への形質転換方法としては、公知の方法、例えば、酢酸リチウムを用いる方法(MethodsMol. Cell. Biol., 5, 255−269(1995))やエレクトロポレーション(J Microbiol Methods 55 (2003)481−484)等を好適に用いることができるが、これに限定されず、スフェロプラスト法やガラスビーズ法等を含む各種任意の手法を用いて形質転換を行えば良い。
真核宿主細胞の他の例としては、アスペルギルス(Aspergillus)属やトリコデルマ(Tricoderma)属のようなカビ細胞が挙げられる。挿入遺伝子は、宿主細胞中で本発明の遺伝子を発現することのできるプロモーター(例えばtef1プロモーター)及びその他の制御配列(例えば、分泌シグナル配列、エンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等)を含むことが望ましい。また、挿入遺伝子には、形質転換された細胞を選択することを可能にするためのマーカー遺伝子、例えばniaD、pyrGが含まれていても良い。さらに、挿入遺伝子には、任意の染色体部位へ挿入するための相同組換え領域が含まれていても良い。糸状菌への形質転換方法としては、公知の方法、例えば、プロトプラスト化した後ポリエチレングリコール及び塩化カルシウムを用いる方法(Mol. Gen. Genet., 218, 99−104(1989))を好適に用いることができる。
(本発明のFAD−GDHの製造)
本発明のFAD−GDHは、上述のように取得した本発明のFAD−GDHを生産する宿主細胞を培養し、前記宿主細胞中に含まれるFAD−GDH遺伝子を発現させ、次いで、前記培養物からFAD−GDHを単離することにより、製造すればよい。
上記宿主細胞を培養する培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーあるいは大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄あるいは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、さらに必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。
培地の初発pHは、限定されないが、例えば、pH6〜9に調整することができる。
培養は、10〜42℃の培養温度、好ましくは25℃前後の培養温度で4〜24時間、さらに好ましくは25℃前後の培養温度で4〜8時間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施すればよい。
培養終了後、該培養物より本発明のFAD−GDHを採取する。これには、通常の公知の酵素採取手段を用いればよい。例えば、常法により菌体を、超音波破壊処理、磨砕処理等するか、もしくはリゾチーム等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、またはトルエン等の存在下で振盪若しくは放置して溶菌を行わせ、本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離等して固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩、若しくは硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、本発明のFAD−GDHの粗酵素を得る。
本発明のFAD−GDHの粗酵素を、公知の任意の手段を用いてさらに精製することもできる。精製された酵素標品を得るには、例えば、セファデックス、ウルトロゲル若しくはバイオゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマトグラフィー法;分子ふるい膜若しくは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、又はこれらを組み合わせて実施することにより、精製された本発明のFAD−GDH酵素標品を得ることができる。
(本発明のFAD−GDHを用いたグルコース測定方法)
本発明はまた、本発明のFAD−GDHを含むグルコースアッセイキットを開示し、本発明のFAD−GDHを用いて血中のグルコース(血糖値)を測定することができる。
本発明のグルコースアッセイキットには、少なくとも1回のアッセイに十分な量の本発明に従う改変型FAD−GDHを含む。典型的には、本発明のグルコースアッセイキットは、本発明の改変型FAD−GDHに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液を含む。本発明のグルコース測定法やグルコースアッセイキットに用いる改変型FAD−GDHは、種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中に溶解されて提供することができる。
グルコース濃度の測定は、比色式グルコースアッセイキットの場合は、例えば、以下のよう行うことができる。グルコースアッセイキットの反応層にはFAD−GDH、電子受容体、そして反応促進剤としてN−(2−アセトアミド)イミド2酢酸(ADA)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、炭酸ナトリウムおよびイミダゾールからなる群より選ばれる1以上の物質を含む液状もしくは固体状の組成物を保持させておく。ここで、必要に応じてpH緩衝剤、発色試薬を添加する。ここにグルコースを含む試料を加え、一定時間反応させる。この間、還元により退色する電子受容体もしくは電子受容体より電子を受け取ることによって重合し生成する色素の最大吸収波長に相当する吸光度をモニタリングする。レート法であれば、吸光度の時間あたりの変化率から、エンドポイント法であれば、試料中のグルコースがすべて酸化された時点までの吸光度変化から、予め標準濃度のグルコース溶液を用いて作成したキャリブレーションカーブを元にして、試料中のグルコース濃度を算出することができる。
この方法において使用できるメディエーター及び発色試薬としては、例えば、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)を電子受容体として添加し、600nmにおける吸光度の減少をモニタリングすることでグルコースの定量が可能である。また、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)を、さらに発色試薬としてニトロテトラゾリウムブルー(NTB)を加え、570nm吸光度を測定することにより生成するジホルマザンの量を決定し、グルコース濃度を算出することが可能である。なお、いうまでもなく、使用する電子受容体および発色試薬はこれらに限定されない。
(本発明のFAD−GDHを含むグルコースセンサー)
本発明はまた、本発明のFAD−GDHを用いるグルコースセンサーを開示する。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明のFAD−GDHを固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のFAD−GDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
グルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として本発明の改変型FAD−GDHを固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作成したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
具体的な一例としては、グラッシーカーボン(GC)電極に本発明の1.5UのFAD−GDHを固定化し、グルコース濃度に対する応答電流値を測定する。電解セル中に、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)1.8ml、及び、1M ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(フェリシアン化カリウム)水溶液0.2mlを添加する。GC電極をポテンショスタットBAS100B/W(BAS製)に接続し、37℃で溶液を撹拌し、銀塩化銀参照電極に対して+500mVを印加する。これらの系に1M D−グルコース溶液を終濃度が5、10、20、30、40、50mMになるよう添加し、添加ごとに定常状態の電流値を測定する。この電流値を既知のグルコース濃度(5、10、20、30、40、50mM)に対してプロットし、検量線が作成する。これより本発明のFAD結合型グルコース脱水素酵素を使用した酵素固定化電極でグルコースの定量が可能となる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
本発明において、改変型FAD−GDHの熱安定性および基質特異性の評価は、特に記載がない限り、以下の試験例の方法に従い行った。
[試験例]
(1)各種の改変型FAD−GDHを発現する酵母形質転換体の作製
特許文献7に記載の方法に準じ、配列番号2のMucor prainii由来FAD−GDH遺伝子(野生型MpGDH遺伝子)をコードする組換え体プラスミド(pYES2C−Mp(野生型))を取得した。
得られた組換え体プラスミドpYE2C−Mpを鋳型として、各アミノ酸置換導入用の合成ヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO溶液を2μl、鋳型となるpYE2C−Mpを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとして「反応液」を調製した。サーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、調製した反応液を94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「55℃、30秒」−「68℃、8分」のサイクルを30回繰り返した。
上記処理後の反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約8kbpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。増幅されたDNAを、制限酵素DpnI(New England Biolabs社製)で処理後、添付のプロトコールに従って、大腸菌JM109株(ニッポンジーン社製)のコンピテントセルに混合することにより形質転換を行った。次いで、取得した形質転換体をそれぞれLB−amp寒天培地に塗布し、培養を行った。生育したコロニーをLB−amp液体培地に接種して振とう培養し、GenElute Plasmid Miniprep Kit(sigma社製)を用いて、添付のプロトコールに従って、約8kbpの増幅されたDNAを含む各種のプラスミドDNA(例えば、実施例1におけるpYE2C−Mp−N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A等)を単離した。次いで、これらの各種プラスミドDNA中のMpGDH遺伝子をコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定し、それぞれの配列において、配列番号1記載のアミノ酸配列における所定の位置のアミノ酸が置換されていることを確認した。このようにして、所定のアミノ酸が置換された改変型MpGDHをコードする酵母発現用ベクターpYE2C−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるpYE2C−Mp−N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A等)を取得した。
その後、S.cerevisiae用形質転換キット(Invitrogen社製)を用いて、pYE2C−Mp(野生型)、および各種変異が導入されたpYES2C−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるpYE2C−Mp−N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A等)をInv−Sc株(Invitrogen社製)に形質転換することにより、野生型MpGDHを発現する酵母形質転換体Sc−Mp(野生型)株、および各種の改変型MpGDHを発現する酵母形質転換株Sc−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるSc−Mp−N66Y/N68G、Sc−Mp−C88A等)株をそれぞれ取得した。
(2)酵母発現FAD−GDHの熱安定性評価
酵母形質転換体Sc−Mp(野生型)、および、各種の酵母形質転換体Sc−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるSc−Mp−N66Y/N68G、Sc−Mp−C88A等)を、各々、5mLの前培養用液体培地[0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース(BD)、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物(sigma社製)、2.0%(w/v)ラフィノース]中で、30℃にて24時間培養した。その後、前培養液1mLを4mLの本培養用液体培地[0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物、2.5%(w/v)D−ガラクトース、0.75%(w/v)ラフィノース]に加えて、30℃で16時間培養する。この培養液を遠心分離(10,000×g、4℃、3分間)により菌体と培養上清に分離し、培養上清液を熱安定性の評価に用いた。
FAD−GDHの熱安定性評価は、まず、上述のように回収した評価対象のFAD−GDHを含む培養上清液を約1U/mlになるように酵素希釈液(100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0))にて希釈する。そして、この酵素溶液(0.1ml)を2本用意し、そのうち1本は4℃で保存し、もう1本には、40℃、15分間の加温処理を施した。
加温処理後、各サンプルのFAD−GDH活性を測定し、4℃で保存したものの酵素活性を100としたときの、40℃、15分間処理後の活性値を「活性残存率(%)」として算出した。この活性残存率(%)を、各種FAD−GDHの耐熱性評価の指標とした。
野生型MpGDHを発現するSc−Mp(野生型)株の培養上清を用いて、野生型MpGDHの熱安定性を評価した結果、野生型MpGDHの40℃、15分熱処理後の残存活性率は42.4%であった。よって、各種改変型MpGDHの熱処理後の残存活性率が42.4%より高かった場合に、MpGDHの熱安定性が向上していると判断することができる。
(3)基質特異性評価
基質特異性についても、熱安定性と同様に、上記(2)の方法に従って回収した各種酵母培養上清液を用いて評価を行った。まず、上述の活性測定法の基質をD−グルコースから同モル濃度のマルトースまたはD−キシロースとした系に変えてそれぞれの基質に対する活性を測定した。そして、これらの値から、「D−グルコースへの反応性に対するマルトースへの反応性の割合(Mal/Glc(%))」および「D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))」を算出した。
Sc−Mp(野生型)株にて発現させた野生型MpGDHの(Mal/Glc(%))および(Xyl/Glc(%))は、それぞれ0.8%、1.4%であった。このような基質特異性は、従来知られたその他のFAD-GDHと比較しても非常に優れており、測定目的物質であるD−グルコースを精度よく測定できることが期待される。
(各種改変型MpGDHの調製と熱安定性評価)
上記試験例で記述した方法に従って、pYE2C−Mp(野生型)を鋳型プラスミドとして、表1に示した配列番号の合成ヌクレオチドの組み合わせでPCR反応を行った。次いで、増幅されたDNAを含むベクターを用いて大腸菌JM109株を形質転換し、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のMpGDHをコードするDNAの塩基配列決定を行うことにより、配列番号1に記載のアミノ酸配列の66位のアスパラギンがチロシン及び68位のアスパラギンがグリシンに、88位のシステインがアラニンに、158位のスレオニンがヒスチジンに、233位のグルタミンがアルギニンに、557位のロイシンがバリン及び559位のセリンがリジンに置換された組換え体プラスミドであるpYE2C−Mp−N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A、pYE2C−Mp−T158H、pYE2C−Mp−Q233R、pYE2C−Mp−L557V/S559Kをそれぞれ取得した。
次いで、部位特異的変異を導入した上述の各種改変型MpGDHをコードする組換え体プラスミドpYE2C−Mp−N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A、pYE2C−Mp−T158H、pYE2C−Mp−Q233R、pYE2C−Mp−L557V/S559Kを用いて、試験例(2)の項目に従って、Inv−Sc株の形質転換及び取得された形質転換株(Sc−Mp−N66Y/N68G株、Sc−Mp−C88A株、Sc−Mp−T158H株、Sc−Mp−Q233R株、Sc−Mp−L557V/S559K株)の培養を行い、培養上清中のGDH活性を測定した。
続いて、GDH活性が確認された上述の各種変異体の培養上清を用いて、上記の試験例(2)、(3)の項目の手順に基づき、40℃、15分間の加熱処理後の残存活性率(%)、D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))を測定した。
なお、例えば、表1において、「C88A」は88位のC(Cys)をA(Ala)に置換することを意味する。また、例えば、「N66Y/N68G」は、66位のN(Asn)をY(Tyr)、68位のN(Asn)をG(Gly)にそれぞれ置換すること、「/」はその両方の置換を有することを意味する。
Figure 0006526572
表1に示すとおり、配列番号1の野生型MpGDHに対する66位、68位、88位、158位、233位、557位、または559位への部位特異的変異導入、具体的には、N66Y/N68G、C88A、T158H、Q233R、またはL557V/S559Kの部位特異的変異を導入することにより、FAD−GDHの耐熱性が向上することが確認された。
さらに、これらの熱安定性が向上しているFAD−GDHは、高い基質特異性も維持されていることがわかった。すなわち、表1に記載するような本発明の熱安定性向上変異を有する改変型酵素は、野生型FAD-GDHが有する基質特異性に対し負の影響を与えることなく、場合によっては、野生型酵素の基質特異性を上回るようなものも含み得ることがわかった。
(変異の組み合わせ導入に関する検討)
次に、実施例2に示すような変異を多重的に有する変異体を作製し、それらにおける熱安定性向上効果を検証した。具体的には、上記試験例で記述した方法に従って、pYE2C−Mp−C88Aを鋳型プラスミドとし、表2に記載の配列番号の合成ヌクレオチドの組み合わせでPCR反応を行った。次いで、増幅されたDNAを含むベクターを用いて大腸菌JM109株を形質転換し、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のMpGDHをコードするDNAの塩基配列決定を行うことにより、88位のシステインがアラニンに置換されたことを特徴とし、さらに別のアミノ酸置換を兼ね備えた下記の多重変異体を作製した。具体的には、配列番号1に記載のアミノ酸配列の88位のシステインがアラニンに置換され、66位のアスパラギンがチロシンに置換され、かつ、68位のアスパラギンがグリシンに置換された3重変異体、88位のシステインがアラニンに置換され、かつ、158位のスレオニンがヒスチジンに置換された2重変異体、88位のシステインがアラニンに置換され、かつ、233位のグルタミンがアルギニンに置換された2重変異体、88位のシステインがアラニンに置換され、557位のロイシンがバリンに置換され、かつ、559位のセリンがリジンに置換された3重変異体をコードする組換え体プラスミドであるpYE2C−Mp−C88A/N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A/T158H、pYE2C−Mp−C88A/Q233R、pYE2C−Mp−C88A/L557V/S559Kを、それぞれ取得した。
次いで、部位特異的変異を導入した上述の各種改変型MpGDHをコードする組換え体プラスミド(pYE2C−Mp−C88A/N66Y/N68G、pYE2C−Mp−C88A/T158H、pYE2C−Mp−C88A/Q233R、pYE2C−Mp−C88A/L557V/S559K)を用いて、試験例(2)の項目に従って、Inv−Sc株の形質転換及び取得された形質転換株(Sc−Mp−C88A/N66Y/N68G株、Sc−Mp−C88A/T158H株、Sc−Mp−C88A/Q233R株、Sc−Mp−C88A/L557V/S559K株)の培養を行い、培養上清中のGDH活性を測定した。
続いて、GDH活性が確認された上述の各種変異体の培養上清を用いて、上記の試験例(2)、(3)の項目の手順に基づき、40℃、15分間の加熱処理後の残存活性率(%)、45℃、15分間の加熱処理後の残存活性率(%)、およびD−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))を測定した。
Figure 0006526572
表2に示すとおり、配列番号1のアミノ酸にC88Aを導入した上に、さらにN66Y/N68G、T158H、Q233R、L557V/S559Kのアミノ酸置換をそれぞれ組み合わせることで、耐熱性がより向上することが確認された。特に、C88A/N66Y/N68G変異体では45℃熱処理後の残存活性率が10%以上、C88A/T158H変異体、及び、C88A/Q233R変異体では45℃熱処理後の残存活性率が30%以上を保持しており、特に好ましい多重変異体であった。
さらに、該多重変異体では高い基質特異性も維持または向上されていることがわかり、特にC88A/N66Y/N68G及びC88A/T158Hにおいては、野生型の基質特異性を上回ることがわかった。
(単変異における検討)
次に、実施例3に示すような単変異を有する変異体を作製し、それらにおける熱安定性向上効果を検証した。具体的には、上記試験例で記述した方法に従って、pYE2C−Mp(野生型)を鋳型プラスミドとし、表3に記載の配列番号の合成ヌクレオチドの組み合わせでPCR反応を行った。次いで、増幅されたDNAを含むベクターを用いて大腸菌JM109株を形質転換し、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のMpGDHをコードするDNAの塩基配列決定を行うことにより、配列番号1に記載のアミノ酸配列の66位のアスパラギンがチロシンに、68位のアスパラギンがグリシンに、391位のロイシンがイソロイシンに、557位のロイシンがバリンに、559位のセリンがリジンに、385位のアラニンがスレオニンに置換された変異体をコードする組換え体プラスミドであるpYE2C−Mp−N66Y、pYE2C−Mp−N68G、pYE2C−Mp−L391I、pYE2C−Mp−L557V、pYE2C−Mp−S559K、pYE2C−Mp−A385Tをそれぞれ取得した。
次いで、部位特異的変異を導入した上述の各種改変型MpGDHをコードする組換え体プラスミド(YE2C−Mp−N66Y、pYE2C−Mp−N68G、pYE2C−Mp−L391I、pYE2C−Mp−L557V、pYE2C−Mp−S559K、pYE2C−Mp−A385T)を用いて、試験例(2)の項目に従って、Inv−Sc株の形質転換及び取得された形質転換株(Sc−Mp−N66Y、Sc−Mp−N68G、Sc−Mp−L391I、Sc−Mp−L557V、Sc−Mp−S559K、Sc−Mp−A385T株)の培養を行い、培養上清中のGDH活性を測定した。
続いて、GDH活性が確認された上述の各種変異体の培養上清を用いて、上記の試験例(2)、(3)の項目の手順に基づき、40℃、15分間の加熱処理後の残存活性率(%)、45℃、15分間の加熱処理後の残存活性率(%)、およびD−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))を測定した。
Figure 0006526572
表3に示すとおり、配列番号1のアミノ酸にN66Y、L391I、L557V、A385Tのアミノ酸置換をそれぞれ導入することで、耐熱性が向上することが確認された。また、単変異のN68Gは、単独の変異導入では耐熱性が低下したが、N66Yと組み合わせることで耐熱性効果を有することが確認された。
さらに、これら変異体ではXyl/Glc(%)がすべて2%以下であり、高い基質特異性も維持または向上されていることがわかった。
(各変異体における比活性U/A280の測定)
次に、実施例1及び3で取得した各変異体(N66Y/N68G、C88A、T158H、Q233R、L557V/S559K、L391I、A385T)のタンパク質量あたりの活性(比活性)を測定した。具体的には、以下の操作を行った。実施例1及び3と同様にして取得した各変異体の酵母培養上清液を遠心式フィルターユニット(Amicon Ultra 10K、MERCK MILLIPORE社製)により濃縮後、20mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に置換した。濃縮した酵母培養上清液をSDS−PAGEで確認すると、FAD−GDHに相当するバンド以外はほぼ見られないため、酵母培養上清液中にはほとんど夾雑タンパク質は存在していないことがわかった。よって、濃縮した該酵母培養上清液を用いて、GDH活性及び280nmの吸光度(A280)によりタンパク質濃度を測定し、それぞれの変異体における比活性(U/A280)を測定した。その後、同様にして測定した変異導入前(野生型)の比活性を100としたときの各変異体における比活性の割合を「相対比活性」として算出し、比活性の評価に用いた。つまり、相対比活性が100より大きいときは変異導入前より比活性が向上したとみなし、100より小さいときには変異導入前より比活性が低下したとみなすことができる。なお、変異体C88Aについて、本方法の粗酵素液を用いて測定した比活性より算出した相対比活性は125であったが、Superdex 200 10/300GL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)のカラムにより精製したC88Aの相対比活性は119であることから、本方法により算出した相対比活性の値は、精製酵素で測定した相対比活性の値と相関していると判断した。
また、特許文献7で記述されている、耐熱性が向上したケカビ由来FAD-GDHの変異体V232E、T387A、I545Tについても、上記と同様にして相対比活性を測定し、さらに試験例(2)、(3)に従って熱安定性及び基質特異性の評価を行った。
Figure 0006526572
表4に示すとおり、特許文献7に記載の耐熱性向上変異体であるT387A、I545TはXyl/Glc(%)が2%より低く、高い基質特異性は維持されているものの、相対比活性に関しては60%を下回っており、比活性が著しく低下していることがわかる。また、特許文献7に記載の耐熱性向上変異体であるV232Eは、比活性が100より高く維持されているもの、Xyl/Glc(%)が2%より高く、高い基質特異性が損なわれていることがわかる。
一方、本発明の耐熱性向上変異体であるN66Y/N68G、C88A、T158H、Q233R、L557V/S559K、L391IまたはA385Tでは、いずれも相対比活性が60%以上に保持されており、さらに、前述のとおり、該変異体はXyl/Glc(%)がすべて2%より低く、高い基質特異性も維持されていることがわかる。
上記の通り、本発明の変異体は、変異を導入する前の酵素と比較して熱安定性が向上し、十分な熱安定性を有することがわかった。このような特性を備えたFAD−GDHは、酵素の熱失活度合が少ないことにより、測定用試薬や測定用キットを製造する場合の酵素の使用量低減や保存期間の延長等を可能にし、公知のグルコース測定用酵素を用いた測定方法や測定試薬と比較して、より実用性の高い測定方法や測定試薬、測定キットやセンサの提供が可能となることが期待される。特に、加熱乾燥処理を施す場合が想定される血糖センサ用チップの作製工程等においては、熱安定性に優れた本発明のFAD−GDHは非常に有用と考えられる。
なお、本発明の熱安定性が向上した変異酵素の中には、本明細書中に開示するように、本発明者らが先に見出した特許第4648993号公報に記載のケカビ由来FAD−GDHと同様、グルコースへの高い基質特異性も兼ね備え、D−キシロース等の糖化合物が夾雑する条件下でも正確にD−グルコース値を測定できるものも含まれていることがわかった。
さらに、本発明の変異体は比活性も高く維持されていることがわかった。血糖センサへの用途においては、より比活性の高い酵素が望まれる。比活性の高い酵素を用いることで、センサ上での反応性が向上し、より短い時間での測定が可能になる。また、使用する酵素量の低減によるコストの削減や、夾雑物質によるノイズの低減等の利点も期待されることから、比活性の高い酵素の開発は、産業上非常に有用である。

Claims (10)

  1. 配列番号1で示されるアミノ酸配列、配列番号1で示されるアミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列、または
    配列番号1で示されるアミノ酸配列または配列番号1で示されるアミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列において、以下よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸を置換したタンパク質であることを特徴とする、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ:
    配列番号1記載のアミノ酸配列における66位に対応する位置のアミノ酸がチロシンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における88位に対応する位置のアミノ酸がアラニンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における158位に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における233位に対応する位置のアミノ酸がアルギニンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における385位に対応する位置のアミノ酸がスレオニンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における391位に対応する位置のアミノ酸がイソロイシンである、および
    配列番号1記載のアミノ酸配列における557位に対応する位置のアミノ酸がバリンである。
  2. 配列番号1で示されるアミノ酸配列、または配列番号1で示されるアミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列、または
    配列番号1で示されるアミノ酸配列または配列番号1で示されるアミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列において1もしくは数個アミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列において、以下よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置でアミノ酸を置換したタンパク質であることを特徴とするフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ:
    配列番号1記載のアミノ酸配列における66位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がチロシンであり、かつ、68位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がグリシンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、66位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がチロシンであり、かつ、68位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸がグリシンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、かつ、158位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである、
    配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、かつ、233位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸がアルギニンである、または
    配列番号1記載のアミノ酸配列における88位のシステインに対応する位置のアミノ酸がアラニンであり、557位のロイシンに対応する位置のアミノ酸がバリンであり、かつ、559位のセリンに対応する位置のアミノ酸がリジンである。
  3. 以下の(I)および/または(II)の性質を備える請求項1又は2に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ:
    (I)pH7.0、40℃、15分間の熱処理後に50%以上の残存活性率を有する、
    (II)D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))が2%以下である。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼをコードするフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子。
  5. 請求項に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子をベクターDNAに挿入した組換え体DNA。
  6. 請求項記載の組換え体DNAが導入されている宿主細胞。
  7. フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを製造する方法であり、以下の工程を含む方法:
    請求項に記載の宿主細胞を培養する工程、
    前記宿主細胞中に含まれるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を発現させる工程、および
    前記培養物からフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを単離する工程。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを用いるグルコース測定方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースアッセイキット。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースセンサー。
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