JP2018046816A - 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ - Google Patents
耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018046816A JP2018046816A JP2017177632A JP2017177632A JP2018046816A JP 2018046816 A JP2018046816 A JP 2018046816A JP 2017177632 A JP2017177632 A JP 2017177632A JP 2017177632 A JP2017177632 A JP 2017177632A JP 2018046816 A JP2018046816 A JP 2018046816A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- adenine dinucleotide
- glucose dehydrogenase
- fadgdh
- flavin adenine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
【解決手段】特定の配列からなる配列と60%以上の同一性を持つフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、特定の配列からなる配列のアミノ酸配列における60位、94位、182位、189位、228位、230位、317位、399位、411位、419位、439位、466位および619位からなる群から選ばれる1つ以上の位置、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有する、改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
【選択図】なし
Description
配列番号1に記載の配列と60%以上の同一性を持つフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、配列番号1のアミノ酸配列における60位、94位、182位、189位、228位、230位、317位、399位、411位、419位、439位、466位および619位からなる群から選ばれる1つ以上の位置、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有する、改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
項2
項1に記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼをコードするDNA。
項3
項2に記載のDNAを組み込んだベクター。
項4
項3に記載のベクターを含む形質転換体。
項5
項4に記載の形質転換体を培養することを含む、項1に記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法。
項6
項1に記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼをグルコースに作用させることを含む、グルコース濃度の測定方法。
項7
項1に記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースアッセイキット。
項8
項1に記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースセンサ。
1.熱安定性が向上した改変型FADGDH
本発明の改変型FADGDHは、配列番号1に記載の配列と60%以上の同一性を持つFADGDHにおいて、配列番号1のアミノ酸配列における60位、94位、182位、189位、228位、230位、317位、399位、411位、419位、439位、466位および619位からなる群から選ばれる1つ以上の位置、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を導入することで取得することができる。
本発明の改変型FADGDHは、野生型のFADGDHと比較して熱安定性が改良されている。
本明細書において、熱安定性は、50mMのリン酸カリウムバッファー(pH6.0)に2U/mlのGDHが含まれる状態で15分間の加温処理をした後も維持される活性で評価される。
本発明のFAD−GDHは、好ましくは55℃で15分加温した際の活性残存率が50%以上であり、さらに好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
また、本発明のFAD−GDHは、好ましくは55℃で30分の加温処理後の活性残存率が35%以上であり、さらに好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である
さらに、本発明のFAD−GDHは、好ましくは60℃で15分の加温処理後の活性残存率が25%以上であり、さらに好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である
本発明の改変型FADGDHの製造法は特に限定されないが、例えば、上記の1−1.で示した改変型FADGDHのアミノ酸配列をコードするDNAを組み込んだベクターを含む形質転換体を、栄養培地で培養し、得られた培養液を精製することにより製造することが可能である。
前記の製造方法に関係する、改変型FADGDHのアミノ酸配列をコードするDNA、前記DNAを組み込んだベクター、前記ベクターを含む形質転換体についても、それぞれ本発明の実施態様の一つである。
態にて宿主微生物に移入され、改変型FADGDHを生産する形質転換体となる。
ベクターの種類は、宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。ベクターの具体例としては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)等を挙げることができる。また、糸状菌を宿主とする場合に適したベクターや、セルフクローニングに適したベクターを使用することも可能である。
大腸菌を宿主とする場合は、例えば、M13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)など)を使用することができる。酵母を宿主とする場合は、pYepSec1、pMFa、pYES2等を使用することができる。昆虫細胞を宿主とする場合は、例えば、pAc、pVL等が使用でき、哺乳類細胞を宿主とする場合は、例えば、pCDM8、pMT2PC等を使用することができるが、これらに限定される訳ではない。
DNAのベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術を用いて行うことができる。
宿主が原核細胞の場合は、エシェリヒア属、バチルス属、ブレビバチルス属、コリネバクテリウム属などが例として挙げられ、それぞれ、エシェリヒア・コリC600、エシェリヒア・コリHB101、エシェリヒア・コリDH5α、バチルス・サブチリス、ブレビバチルス・チョウシネンシス、コリネバクテリウム・グルタミカムなどが例として挙げられる。また、ベクターとしてはpBR322、pUC19、pBluescriptなどが例として挙げられる。
宿主が酵母の場合は、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、キャンデイダ属、ピキア属、クリプトコッカス属などが例として挙げられ、それぞれ、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、キャンデイダ・ウチリス、ピキア・パストリス、クリプトコッカス・エスピーなどが例として挙げられる。ベクターとしてはpAUR101、pAUR224、pYE32などが挙げられる。
宿主が糸状菌細胞である場合は、アスペルギルス属、トリコデルマ属、ムコール属などが例として挙げられ、それぞれ、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー、トリコデルマ・レセイ、ムコール・ヒエマリス等を例示することができる。
本発明においては、FADGDHが単離されたムコール属に帰属する微生物を宿主とすることも好ましい。即ち、形質転換体では、通常、外来性のDNAが宿主細胞中に存在するが、DNAが由来する微生物を宿主とするいわゆるセルフクローニングによって得られる形質転換体も好適な実施形態である。
形質転換体は、好ましくは、上記の発現ベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって調製される。形質転換は、一過性であっても安定的な形質転換であってもよい。トランスフェクション及びトランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、Hanahanの方法、酢酸リチウム法、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法、等を利用して実施することができる。
本発明の別の実施形態は、上記の特性を有する本発明のFADGDHの用途である。用途としては、グルコースの測定方法が例示でき、血糖値の測定や食品(調味料や飲料など)中のグルコース濃度の測定などに好適に利用できる。
また、本発明のさらに別の実施形態は、グルコースアッセイキットやグルコースセンサなど、上記の特性を有する本発明のFADGDHを含む、グルコースを測定するための種々のプロダクトである。なお、本明細書において「プロダクト」とは、使用者が或る用途を実行する目的で用いる1セットのうち一部または全部を構成する製品であって、本発明のFADGDHを含むものを意味する。
本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従う改変型FADGDHを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、本発明のGDH、緩衝液、メディエーターなど測定に必要な試薬、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明のキットは、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。また、GDHを含む試薬中には、安定化剤及び/又は活性化剤としてウシ血清アルブミン、セリシン等のタンパク質、TritonX−100、Tween20、コール酸塩、デオキシコール酸塩などの界面活性剤、グリシン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、グリシルグリシン等のアミノ酸、トレハロース、イノシトール、ソルビトール、キシリトール、グリセロール、スクロース等の糖及び/又は糖アルコール類、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、さらにはプルラン、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリグルタミン酸などの親水性ポリマーを適宜添加してもよい。
なお、本発明の
本発明に従う改変型FADGDHを用いるグルコースセンサは、電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどを用いる方法があり、NADもしくはNADPといった補酵素、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。本発明のFADGDHは、熱安定性に優れるため、比較的高温度(例えば、50℃や55℃)の条件下で固定化を実施することができる。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のFADGDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングすることができる。使用する電子メディエーターとしては、GDHの補酵素であるFADから電子を受け取り、発色物質や電極に電子を供与しうるものが挙げられ、たとえばフェリシアン化物塩、フェナジンエトサルフェート、フェナジンメトサルフェート、フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルフェニレンジアミン、1−メトキシ−フェナジンメトサルフェート、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、2,5−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,5−ジクロロ−1,4−ベンゾキノン、ニトロソアニリン、フェロセン誘導体、オスミウム錯体、ルテニウム錯体等が例示されるが、これらに限定されない。また、電極上のGDH組成物中には、安定化剤及び/又は活性化剤としてウシ血清アルブミン、セリシン等のタンパク質、TritonX−100、Tween20、コール酸塩、デオキシコール酸塩などの界面活性剤、グリシン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、グリシルグリシン等のアミノ酸、トレハロース、イノシトール、ソルビトール、キシリトール、グリセロール、スクロース等の糖及び/又は糖アルコール類、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、さらにはプルラン、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリグルタミン酸などの親水性ポリマーを含んでもよい。
グルコース脱水素酵素(GDH)とは、電子受容体存在下でグルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する理化学的性質を有する酵素である。本書においては、この理化学的性質をグルコースデヒドロゲナーゼ活性といい、特に断りが無い限り、「酵素活性」又は「活性」とは、当該酵素活性を意味する。前記電子受容体は、GDHが触媒する反応において、電子の授受を担うことが可能である限り特に制限されないが、例えば、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)、フェナジンメトサルフェート(PMS)、1−メトキシ−5−メチルフェナジウムメチルサルフェート、及びフェリシアン化合物等を使用することができる。
0.3M D−グルコースを含む150mM リン酸緩衝液pH6.5(0.1% Triton X−100を含む)
1.64mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)溶液
上記D−グルコースを含むリン酸緩衝液20mL、DCPIP溶液10mL、を混合して反応試薬とする。
反応試薬3mLを37℃で5分間予備加温する。GDH溶液0.1mLを添加しゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で、600nmの吸光度変化を5分記録し、直線部分から(即ち、反応速度が一定になってから)1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検はGDH溶液の代わりにGDHを溶解する溶媒を試薬混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってGDH活性を求める。ここでGDH活性における1単位(U)とは、濃度1MのD−グルコース存在下で1分間に1マイクロモルのDCPIPを還元する酵素量である。
活性(U/mL)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.1×希釈倍率}/{16.3×0.1×1.0}
なお、式中の3.1は反応試薬+酵素溶液の液量(mL)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm2/マイクロモル)、0.1は酵素溶液の液量(mL)、1.0はセルの光路長(cm)を示す。本書においては、別段の表示しない限り、酵素活性は上記の測定方法に従って、測定される。
特許文献8の実施例には、pYESMh6754の記載がある。該プラスミドを用いて、エラープローンPCRにより、FADGDH遺伝子へのランダム変異の導入を実施した。pYESMh6754上にはFADGDH遺伝子を挟んで、GAL1プロモーターとCYC1ターミネーターが配置されている。GAL1プロモーターとCYC1ターミネーターに相補的に結合可能な、ユニバーサルプライマーを用い、Diversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech社)を用い、当製品に添付のプロトコールに従ってランダム変異の導入を実施した。これにより、一定の割合で変異が導入されたFADGDH遺伝子を含むDNA断片を取得した。
続いて、サッカロミセス・セレビシエINVSc1(インビトロジェン社)へ、ランダム変異プラスミドライブラリーの形質転換を行った。生育したコロニー約2000株をサッカロマイセスを宿主としたFADGDHランダム変異ライブラリーとした。
実施例2で構築したサッカロマイセスを宿主としたFADGDHランダム変異ライブラリーを、ScreenMates(マトリックス・テクノロジー社)の各培養セルに分注した、3% 酵母エキス、1% ポリペプトン、3% ガラクトースを含む培地に植菌し、25℃にて60時間の振とう培養を行った。次に、得られた培養液を、2000rpmにて15分間遠心し培養上清を得た。得られた培養上清を粗酵素液として、55℃30分の加温を行い、上記1−5.に示したFADGDH活性測定方法を用いてGDH活性を測定し、処理前のGDH活性と比較して残存率を測定した。
S182Aの変異が導入されたpYESMh6754―M3のプラスミドを鋳型として、399番目のGlyをAsnに置換するよう設計した配列番号2、3の合成オリゴヌクレオチドを基に、KOD−Plus−(東洋紡社)を用いて、当製品に添付のプロトコールに従ってPCR反応を行った。次に、得られた反応液を、エシェリヒア・コリDH5α株コンピテントセル(東洋紡績製コンピテントハイDH5α)に製品に添付のプロトコールに従ってそれぞれ形質転換し、該形質転換体を取得した。該形質転換体をLB培地で培養し、プラスミドpYESMh6754―M14を抽出した。次に、得られたプラスミドpYESMh6754―M14を鋳型として、439番目のAlaをSerに置換するよう設計した配列番号4、5の合成オリゴヌクレオチドを基に、KOD−Plus−(東洋紡社)を用いて、当製品に添付のプロトコールに従ってPCR反応を行った。次に、得られた反応液を、エシェリヒア・コリDH5α株コンピテントセル(東洋紡績製コンピテントハイDH5α)に当製品に添付のプロトコールに従ってそれぞれ形質転換し、該形質転換体を取得した。該形質転換体をLB培地で培養し、プラスミドpYESMh6754―M15を抽出した。
実施例3で最も耐熱性が向上した変異体であるpYESMh6754―M15が組み込まれたサッカロミセス・セレビシエINVSc1(インビトロジェン社)をトリプトファン要求培地を用いて、25℃20時間の培養を行い、種培養液とした。
次に、6.0Lの生産培地(ガラクトース3.0%、イーストイクストラクト3.0%、ペプトン1.0%、pH5.5)を10L容ジャーファーメンターに入れ、オートクレーブで滅菌し、本培養培地とした。50mLの種培養液を本培養培地に植菌し、培養温度25℃、攪拌速度380rpm、通気量2.0L/分、管内圧0.2MPaの条件で3日間培養した。その後、培養液を4500rpmにて遠心分離し、その上清を分画分子量30,000のUF膜(ミリポア(株))を用いて濃縮し、濃縮液に50mMリン酸緩衝液(pH6.0)を加えるという工程を繰り返し、低分子を取り除いた。
その後、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で平衡化したDEAEセファロースFast Flow(GEヘルスケア社)カラムにかけ、夾雑タンパクのみを吸着させた。その後、溶出液をCMセファロースFast Flow(GEヘルスケア社)カラムにかけタンパク質を吸着させた後、0.5M塩化ナトリウム 50mMリン酸緩衝液(pH6.0)のリニアグラジエントで溶出させた。さらに、溶出されたGDH画分を分画分子量10,000の中空糸膜(スペクトラムラボラトリーズ社)で濃縮後、Superdex S−200(GEヘルスケア社)カラムにかけ、精製酵素を得た。
ここで得られた精製酵素を改変型FADGDHと呼ぶ。
実施例4で得られた改変型FADGDH酵素液(2U/mL)を用いて、温度安定性を調べた。50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を用いて、改変型FADGDH酵素液を各温度(4℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃)で15分間処理した後、上記1−5.に示したFADGDH活性測定方法を用いてGDH活性を測定し、処理前のGDH活性と比較して残存率を測定した。結果を図1に示す。
実施例4で得られた改変型FADGDH酵素液(2.5μg/mL)を用いて、至適活性温度を調べた。30℃、37℃、40℃、45℃、52℃、60℃におけるGDH活性を求めた。結果を図2に示す。
実施例5で得られた改変型FADGDH酵素液(0.5U/mL)を用いて、至適pHを調べた。100mM酢酸カリウム緩衝液(pH5.0−5.5、図中■印でプロット)100mM MES−NaOH緩衝液(pH5.5−6.5、図1中□印でプロット)、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.3−7.7、図1中▲でプロット)、100mMTris−HCl緩衝液(pH7.0−8.9、図中△印でプロット)を用い、それぞれのpHにおいて、温度37℃にて酵素反応を行い、相対活性を比較した。結果を図3に示す。
実施例5で得られた改変型FADGDH酵素液(2U/mL)を用いて、pH安定性を調べた。100mMGlycine−NaOH緩衝液(pH2.5−3.5、図中■でプロット)、100mM 酢酸カリウム緩衝液(pH3.5−pH5.5:図3中□印でプロット)、100mM MES−NaOH緩衝液(pH5.5−pH6.5:図3中▲印でプロット)、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0−pH8.0:図3中△印でプロット)、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5−pH9.0:図3中●印でプロット)、100mM Glycine−NaOH緩衝液(pH9.0−pH10.5:図3中○印でプロット)を用い、25℃、16時間、各緩衝液中で酵素を維持した後のグルコースを基質とした場合の活性を測定した。処理後の活性値と処理前の活性値を比較し、残存活性率を求めた。結果を図3に示す。
上記1−5.に示したFADGDHの活性測定法に従い、D−グルコース、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースを基質とした場合の活性を測定した。D−グルコースを基質とした場合の活性を100%とし、それと比較した他の糖に対する活性を求めた。各糖の濃度は200mMとした。結果を表2に示す。なお、酵素濃度については、グルコースに対しては最終濃度2.7μg/mL、それ以外の糖については、最終濃度0.9mg/mLの濃度で反応を行った。結果を表3に示す。
絶縁性基板に作用電極、対向電極、および参照電極を配した電極センサを、有限会社バイオデバイステクノロジー社(石川県能美市)より入手した。本電極センサは、4.0mm×17mmの基板に電極が印刷されている。このセンサの作用電極(面積約1.3mm2)上に試薬層となる水溶液を3μL分注した。試薬層となる水溶液には、下記の組成が含まれる。
・FAD−GDH
・200mM フェリシアン化カリウム
・50mM リン酸カリウムバッファー (pH7.0)
ここで、FAD−GDHとしては、実施例4で精製した改変型FADGDHを用いた。これを50℃で15分加温することにより乾燥させ、グルコースセンサチップとした。
続いて、濃度10mM、20mM、35mMのグルコース溶液を作製した。ポテンショスタットに接続した上記チップに、これら試料溶液15μLをマイクロピペットで滴下し、滴下から35秒後に+300mVの電圧を印加、電流値を測定した。図5にはそれぞれの濃度のグルコース濃度における電流応答値の結果を示す。
実施例11で用いたものと同じ電極センサを用いて、下記組成からなる水溶液3μLから実施例11と同様の要領でグルコースセンサチップを作製した。
・FADGDH(実施例6で精製したもの)
・200mM フェリシアン化カリウム
・50mM リン酸カリウムバッファー (pH7.0)
上記のように作製したチップをそれぞれポテンショスタットに接続し、電極上に15μLのグルコース溶液(濃度10mM)をマイクロピペットを用いて滴下し、滴下から35秒後に+300mVの電圧を印加、電流値を測定した。つづいて濃度10mMのグルコースと、さらに濃度20mMマルトース・ガラクトース・キシロースのうちいずれか一種類の糖を含む液を作製し、同様に反応させた。表3に、グルコースのみを含む液を用いた場合と、グルコースにさらに他の糖を加えた液を用いた場合との応答シグナルを比較した結果を示す。なお、表3中の数値は、他の糖を加えない場合の電気化学シグナルの強度を100とした場合の相対値として示す。
Claims (12)
- 配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上の同一性を持つフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、配列番号1のアミノ酸配列における228位および230位からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有し、該アミノ酸置換が以下の(a)または(b)に示されるものであることを特徴とする改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
(a)228位のスレオニンをバリン
(b)230位のアルギニンをバリン - 配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を持つフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、配列番号1のアミノ酸配列における228位および230位からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有し、該アミノ酸置換が以下の(a)または(b)に示されるものであることを特徴とする改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
(a)228位のスレオニンをバリン
(b)230位のアルギニンをバリン - 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼにおいて、配列番号1のアミノ酸配列における228位および230位からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有し、該アミノ酸置換が以下の(a)または(b)に示されるものであることを特徴とする改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
(a)228位のスレオニンをバリン
(b)230位のアルギニンをバリン - 55℃で30分の加温処理後の残存活性率が60%以上である請求項1から3のいずれかに記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
- 55℃で30分の加温処理後の残存活性率が70%以上であるである請求項4に記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼをコードするDNA。
- 請求項6に記載のDNAを組み込んだベクター。
- 請求項7に記載のベクターを含む形質転換体。
- 請求項8に記載の形質転換体を培養することを含む、請求項1から5のいずれかに記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼをグルコースに作用させることを含むグルコース濃度の測定方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースアッセイキット。
- 請求項1から5のいずれかに記載の改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースセンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017177632A JP6390776B2 (ja) | 2017-09-15 | 2017-09-15 | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017177632A JP6390776B2 (ja) | 2017-09-15 | 2017-09-15 | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013224010A Division JP6311270B2 (ja) | 2013-10-29 | 2013-10-29 | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018046816A true JP2018046816A (ja) | 2018-03-29 |
JP6390776B2 JP6390776B2 (ja) | 2018-09-19 |
Family
ID=61765660
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017177632A Active JP6390776B2 (ja) | 2017-09-15 | 2017-09-15 | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6390776B2 (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008237210A (ja) * | 2006-11-14 | 2008-10-09 | Toyobo Co Ltd | 改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
WO2012001976A1 (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-05 | 有限会社アルティザイム・インターナショナル | グルコース脱水素酵素 |
WO2012169512A1 (ja) * | 2011-06-07 | 2012-12-13 | キッコーマン株式会社 | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法、およびそれを用いたグルコース測定方法 |
WO2013065770A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | キッコーマン株式会社 | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
JP2013116102A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-06-13 | Toyobo Co Ltd | 新規なグルコース脱水素酵素 |
WO2013118798A1 (ja) * | 2012-02-09 | 2013-08-15 | 東洋紡株式会社 | 新規なグルコース脱水素酵素 |
-
2017
- 2017-09-15 JP JP2017177632A patent/JP6390776B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008237210A (ja) * | 2006-11-14 | 2008-10-09 | Toyobo Co Ltd | 改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
WO2012001976A1 (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-05 | 有限会社アルティザイム・インターナショナル | グルコース脱水素酵素 |
WO2012169512A1 (ja) * | 2011-06-07 | 2012-12-13 | キッコーマン株式会社 | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法、およびそれを用いたグルコース測定方法 |
JP2013116102A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-06-13 | Toyobo Co Ltd | 新規なグルコース脱水素酵素 |
WO2013065770A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | キッコーマン株式会社 | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
WO2013118798A1 (ja) * | 2012-02-09 | 2013-08-15 | 東洋紡株式会社 | 新規なグルコース脱水素酵素 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6390776B2 (ja) | 2018-09-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6460152B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JP6311270B2 (ja) | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ | |
US9260699B2 (en) | Glucose dehydrogenase | |
JP6583503B2 (ja) | 新規なグルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6079038B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JP6526572B2 (ja) | 熱安定性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6465156B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JP5408125B2 (ja) | 糸状菌由来フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(fadgdh) | |
JP6264289B2 (ja) | 新規なグルコース脱水素酵素 | |
JP6455134B2 (ja) | 新規なグルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6460513B2 (ja) | フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質 | |
JPWO2015129475A1 (ja) | 比活性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6934720B2 (ja) | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6342174B2 (ja) | 新規なグルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6390776B2 (ja) | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6652756B2 (ja) | フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有する変異型タンパク質 | |
JP6619152B2 (ja) | フラビンアデニンジヌクレオチド依存型グルコース脱水素酵素活性を有するキメラタンパク質 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180703 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180712 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180724 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180806 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6390776 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |