JP2007529865A - 微小流体バイオ燃料電池 - Google Patents

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Abstract

バイオアノードおよび/またはバイオカソードを含む微小流体バイオ燃料電池は、微小流体原理とソフトリソグラフィーを使用して形成される。バイオアノードおよび/またはバイオカソードにおいて、レドックス反応で利用される酵素は、ミセルまたは逆ミセル構造中で安定化される。バイオ燃料電池は、高い電力密度を生成するために使用される。

Description

本発明は、一般に、燃料電池および電気を発生させる方法に関する。本発明は、特に、バイオ燃料電池で使用される微小電極と組み合わせられる微小流体原理の使用、および微小電極とバイオ燃料電池を製造する方法に関する。
バイオ燃料電池は、一般にある種のバリアまたは例えばポリマー電解質膜のような塩橋によって分離された、カソード(正極)とアノード(負極)とから成るという点で、従来のポリマー電解質膜(「PEM」)燃料電池と類似している。しかし、バイオ燃料電池は、電気化学反応を触媒するのに使用される物質が、従来の燃料電池とは異なる。触媒として貴金属を使用するのではなく、バイオ燃料電池は、反応を行うために酵素のような生物学的分子に依存する。初期のバイオ燃料電池技術は、全微生物の代謝経路を使用し、そのアプローチは全有機体の低い容量触媒作用に起因する非実用的な電力密度アウトプットしか提供しなかった。酵素分離法は、容量活性と触媒能力を増やすことによってバイオ燃料電池用途で進歩に拍車をかけた。分離酵素燃料電池は、細胞膜インピーダンスと関連する電子移動の障害および燃料消費微生物増殖の欠如を克服することによって、増加した電力密度アウトプットを生む。
酵素は、極めて有効な触媒であるが、それらを燃料電池に組み込むには、問題があった。初期の酵素に基づく燃料電池は、電極表面上に固定化するのではなく、溶液中に酵素を含有させていた。溶液中の酵素は、数日間安定であるにすぎないが、固定された酵素は、何ヶ月間安定であることができる。酵素に基づくバイオ燃料電池の主な障害のうちの1つは、電極表面の膜に酵素を固定化することであり、固定化は、酵素の寿命を延ばして、機械的、化学的に安定した層を形成するが、電極表面に容量領域を形成しない。殆どのH2/O2燃料電池において、電極表面で触媒を保持する結合剤は、Nafion(登録商標)である。Nafion(登録商標)は、イオン導体として優れた特性を有する酵素固定化物質である。しかし、Nafion(登録商標)は、酵素の寿命と活性を減少させるNafion(登録商標)が酸性の膜を作成するため、バイオ燃料電池電極の表面で酵素を固定することに成功していない。
これらの課題に加えて、バイオ燃料電池の幾何学的スケールを減少させるという要求もある。これらに沿って言えば、バイオ燃料電池は現在まで、アノードとカソードを分離するために、ある種の物理的バリアに依存していたが、燃料電池の寸法を小さくするために、そのような物質を用いずにバイオ燃料電池を構成することに対する持続した要求がある。そのような開発は、有利なことに、より小さなバイオ燃料電池を可能にし、原料コストを下げ、構成方法を単純化し、そして電極の汚れまたは損害に起因する問題を取り除く。バリアに加えて、バイオ燃料電池の寸法は、電極の形成方法によっても制限される。現在、電極は、代表的な寸法として、厚さ100μm、幅1mmのカーボン布またはカーボン紙を使用して形成されている。米国特許出願第10/617,452号明細書には、そのような電極が記述されている。より小さい電極を製造する方法は、種々のミクロスケールでの適用において、バイオ燃料電池の使用を可能にする。
バイオ燃料電池の性能を向上させる、さらなる挑戦として、バイオ燃料電池の電力密度を増やす方法の開発がある。現在、バイオ燃料電池の電流密度は、電極表面への燃料流体の拡散によって制限される。電極の輸送効率を増加させることによって、バイオ燃料電池の電流密度を改善することが望ましい。電力は、電流密度と電圧の積に等しいため、バイオ燃料電池の電流密度の増加によって、全体的な電力密度がかなり増加する。
さらに、バイオ燃料電池開発に関する重大なもう1つの問題として、容易に燃料電池スタックを形成する能力である。燃料電池スタックとは、電池の全体的な電圧を増加させるために、直列に接続された複数の独立した燃料電池である。特に従来の燃料電池スタックは、独立した燃料電池を分離するために双極式プレートを必要とするため、寸法的に限定される。これが、ミクロ用途の空間的制約に適応することを不可能にしていた。ミクロの寸法を持つ燃料電池スタックを形成する能力は、種々のミクロスケールの用途のために、より小さい源からより大きい電力密度を生む。
最後に、複雑なまたは不規則な形の電極を形成することができないことが、バイオ燃料電池開発を遅らせてきた。前記従来の電極物質を使用した、従来の電極形成技術では、平らな形状の電極を製造する。電流容量は、電極の表面積と比例しているため、平らな電極は、与えられた長さと幅寸法に対し最小の電流容量を生じる。しかし、不規則な形状の電極を製造する方法が存在すれば、従来の技術によって製造した、同じような寸法の電極と比較して、より高い電流容量を達成することができるであろう。
上記の懸案事項と課題を考慮して、微細加工流体的アプローチは、バイオ燃料電池技術の現状のそれぞれの欠点に対処するバイオ燃料電池を開発する可能な方法である。
本発明のいくつかの要旨の中の1つは、基材と、該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードと、該基材で支持され、該燃料流体を酸化する反応ができるアノードと、を含む燃料流体であって、前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、そのそれぞれの反応を行うために使用される酵素を含み、前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、電流発生に用いるための燃料流体がその内部を流れるように形成されている、燃料流体を使用する電気発生用の微小流体バイオ燃料電池を製造する方法を提供することである。
もう1つの要旨は、アノードが、電子導体と、還元形態が前記電子導体に電子を放出することができる電子メディエータと、該電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、該酵素を固定化し安定化することができ、前記燃料流体および電子メディエータに対して透過性である酵素固定化物質と、を含むバイオ燃料電池である。
さらに他の要旨は、アノードが、電子導体と、電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができ、電子メディエータの還元形態は電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素と、電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体に対して透過性である酵素固定化物質と、を含むバイオ燃料電池である。
さらなる要旨は、アノードが、電子導体と、電子メディエータと、電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、該酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、前記燃料流体および電子メディエータに対して透過性である酵素固定化物質と、電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒と、を含むバイオ燃料電池である。
さらに他の要旨は、アノードが、電子導体と、電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、該酵素を固定化し安定化することができ、燃料液体透過性である酵素固定化物質と、電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒と、を含むバイオ燃料電池である。
さらなる要旨は、カソードが、電子導体と、電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、電子メディエータおよび電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤透過性であり、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできる酵素固定化物質と、を含むバイオ燃料電池である。
他の要旨は、カソードが、電子導体と、電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤透過性である酵素固定化物質とを含み、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできる酵素固定化物質と、を含むバイオ燃料電池である。
さらに、他の要旨は、カソードが、電子導体と、電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質と、を含み、電子メディエータの酸化形態は、電子導体から電子を得て電子メディエータの還元形態を形成することができるバイオ燃料電池である。
さらに別の要旨は、カソードが、電子導体と、電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質と、を含み、電子メディエータの酸化形態は、電子導体から電子を得て電子メディエータの還元形態を形成することができるバイオ燃料電池である。
さらに、他の要旨は、燃料流体を使用する電気発生用のバイオ燃料電池であって、基材と、該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードと、該基材で支持され、該燃料流体を酸化する反応ができるアノードと、を含み、前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、その反応を行うために使用される酵素を含み、カソードは、ミセル構造または逆ミセル構造を含む酵素固定化物質を含むバイオ燃料電池である。
さらなる要旨は、電気発生用のバイオ燃料電池であって、基材と、該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードと、該基材で支持され、該燃料流体を酸化する反応ができるアノードと、を含む燃料流体であって、前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、その反応を行うために使用される酵素を含み、アノードおよびカソードの少なくとも1つの幅は約1mm未満であり、少なくとも1つの表面は、前記表面上に燃料流体の対流を誘発することができる不規則な三次元形状を有する燃料流体を使用するバイオ燃料電池である。
さらなる要旨は、燃料流体を使用する電気発生用のバイオ燃料電池であって、基材と、該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードであって、(a)電子導体と、(b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、(c)電子メディエータおよび電気触媒を含む酵素固定化物質であって、該酵素固定化物質は酵素を固定化し安定化することができ、該物質は、酸化剤透過性であり、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできる酵素固定化物質と、を含むカソードと、を含み、該バイオ燃料電池は、前記基材で支持され、燃料流体を酸化する反応ができるアノードであって、(a)電子導体と、(b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる、少なくとも1つの酵素と、(c)電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤透過性である酵素固定化物質と、(d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができる電気触媒とを含み、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができるアノードを含み、前記アノードおよびカソードの少なくとも1つは、電流発生に用いる燃料流体がその内部を流れるように形成されており、前記アノードおよびカソードの少なくとも1つの酵素固定化物質は、ミセル構造または逆ミセル構造を含み、前記アノードおよびカソードの少なくとも1つの幅が、約1mm未満である、バイオ燃料電池である。
他の要旨は、幅が約1mm未満の電子導体を含み、少なくとも1つの表面は、該表面上に燃料流体の対流を誘発することができる不規則な三次元形状を有する、バイオ燃料電池に用いられる電極である。
最後の要旨は、バイオ燃料電池に用いられる電極を形成する方法であって、基材上で少なくとも1つの電気コネクタを形成することと、電極を不動態化せず、基材に可逆的に封止されうる物質で構成されるキャスティング金型中に少なくとも1つのマイクロ管路を形成することと、キャスティング金型を基材に付着することと、マイクロ管路を介して電子導体溶液を流すことと、電子導体溶液を硬化させ、電極を形成すること、とを含む方法である。
本発明の他の要旨および特徴は、以下において部分的には明瞭になり、部分的に記載されている。
本発明の微小流体バイオ燃料電池は、有機燃料(たとえば、水素、アンモニア、炭化水素、アルコール、酸またはアルデヒドを含む燃料流体)を利用し、マイクロ成型されたバイオアノードおよびバイオカソード(本明細書では一括して微小電極と言う)で起こる、酵素介在レドックス(酸化/還元)反応によって電気を発生する燃料電池を包含する。図1および2を参照されたい。バイオアノードおよびバイオカソードは両方とも、それぞれ、燃料流体または酸化剤透過性の酵素固定化物質を含み、それぞれの酵素を固定化し安定化する働きをする。固定化物質は、微小電極中で酵素に機械的および化学的安定性を提供するバリアを形成し、従来可能であったより長い期間、バイオ燃料電池の酵素を安定化する働きをする。本発明の目的から、少なくとも約30日〜約730日の間、最初の触媒活性の少なくとも約75%を保持する場合、酵素は「安定化されている」。バイオアノードとバイオカソードとの両方で酵素を固定化することによって、本発明は、微小電極を分離するための物理的なバリアの必要性をなくする。
本発明の他の要旨は、微小流体バイオ燃料電池において使用される微小電極の製造方法である。本発明の主要な利点の1つは、単一のチップ上で、燃料タンクと電子コネクタとを含む、完全なバイオ燃料電池の作成を可能にする、微小流体原理の使用である。さらに、燃料が微小電極の表面にポンプ送りされる本発明の実施形態において、通常の拡散輸送を対流輸送と組み合わせることによって、燃料電池の物質移動効率が、従来の燃料電池と比較して最大になる。物質移動効率を増加させることによって、本発明は、公知のバイオ燃料電池より大きい電流密度を有する燃料電池を与える。また本発明は、不規則な形状の微小電極を作成するためにフォトリソグラフィー技術を使用することにより、バイオ燃料電池の電流密度を増加させる。そのような形状は、燃料流体と接触する表面積を増加させることによって微小電極の電流密度を有利に増加させる。
さらに、本発明の1つの実施形態において、微細加工のアプローチは、複数の微小流体バイオ燃料電池を含む小型の燃料電池スタックを開発するために使用される。さらに、本発明による微小流体燃料電池は、独立した燃料電池の輸送効率を増加させ、従前のバイオアノードおよびバイオカソードと比較して電流密度を増加させることになる。
I.微小流体バイオ燃料電池
本発明の種々の態様の1つは、燃料流体を利用し、中に固定化された酵素を含むマイクロ成型された微小電極で起こる酵素介在レドックス反応によって電気を発生する微小流体バイオ燃料電池である。標準的なバイオ燃料電池と同様に、バイオアノードは、電子の同時放出を伴う燃料流体の酸化反応の場所である。電子は、バイオアノードから電気コネクタを経てある電力消費装置に送られる。電子は、該装置を経て他の電気コネクタへ移動し、これにより、電子が酸化剤を還元するために使用されて水を生成するバイオ燃料電池のバイオカソードへ電子が輸送される。このようにして、本発明のバイオ燃料電池は、その外部の電気負荷用のエネルギー源(電気)として働く。燃料流体のレドックス反応を促進するために、微小電極は、電子導体と、電子メディエータと、電子メディエータ用の電気触媒と、酵素と、酵素固定化物質とを含む。
しかし標準的なバイオ燃料電池とは異なり、本発明のバイオ燃料電池は、少なくとも1つの微小成型された電極を利用する。1つの実施形態では、微小成型された電極は、燃料を微小電極内で流れさせる、貫流構造を有する。従来のバイオ燃料電池電極と比較した場合、この構造は、燃料と接触する微小電極表面積がより広いため、より高い電流密度を生じる。他の実施形態では、微小成型された電極は、不規則な形状を持つ。この場合も、燃料と接触する微小電極表面積がより広いため、微小電極の電流密度は、従来のバイオ燃料電池電極より大きい。これらの特徴を、本明細書に記載される他の特徴と組み合わせることによって、寸法的により小さい供給源から、従来のバイオ燃料電池を超えた高い電流密度を持つバイオ燃料電池を形成する。最後に、本発明の方法を有利に使用して、使い捨て燃料電池を経済的に製造することができる。
本発明によれば、電子メディエータは、電子を受容または供与することができる化合物である。バイオアノードにおいて、電子メディエータの酸化形態は、燃料流体および酵素と反応し、燃料流体の酸化形態と電子メディエータの還元形態を形成する。続いてまたは並行して、電子メディエータの還元形態は、電気触媒の酸化形態と反応し、電子メディエータの酸化形態と電気触媒の還元形態を形成する。電気触媒の還元形態は、次いでバイオアノードにおいて酸化され、電子を生成して電気を発生させる。バイオアノードでのレドックス反応は、燃料流体の酸化を除いて、可逆的でありえるので、酵素、電子メディエータおよび電気触媒は消費されない。場合によっては、電子メディエータおよび/または電気触媒が追加され、更なる反応体が提供される場合、これらのレドックス反応は、不可逆性でありえる。
代わりに、バイオアノードと接触する電子メディエータが変性されていない微小電極においてその酸化形態と還元形態との間で電子を移すことができる場合、電子導体および酵素を使用することができる。もし、電子メディエータが、変性されていないバイオアノードにおいてその酸化形態と還元形態との間で電子を移すことができるなら、電気触媒と電子メディエータとの間の後続の反応は必ずしも必要でなく、電子メディエータそれ自身がバイオアノードにおいて酸化され、電子すなわち電気を生成する。
バイオカソードでは、バイオアノードから生じた電子が、バイオカソードの電子導体に流れる。そこでは、電子は、電子導体と接触している電気触媒の酸化形態と結合する。この反応は電気媒の還元形態を形成し、次に、電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成する。次に、電子メディエータの還元形態は、酸化剤の酸化形態と反応し、電子メディエータの酸化形態および水を生成する。1つの実施形態では、酸化剤透過性の酵素固定化物質が存在し、酵素固定化物質は、電気触媒と、場合によっては電子メディエータとを含み、酵素を固定化し、安定化することができる。
バイオカソードの別の実施形態では、電気触媒が存在しない。この実施形態では、電子は、電子メディエータの酸化形態と結合し、電子メディエータの還元形態を形成する。次いで、電子メディエータの還元形態は、酸化剤の酸化形態と反応し、電子メディエータの酸化形態および水を生成する。1つの実施形態では、酸化剤透過性の酵素固定化物質が存在し、場合によっては電子メディエータを含み、酵素を固定化し、安定化することができる。
本発明のバイオ燃料電池は、バイオアノードおよび/またはバイオカソードを含む。一般に、バイオアノードは、燃料流体を酸化させる要素を含み、それによって電子は放出され、外部電気負荷に送られる。生じた電流は電気負荷に電力を供給し、と同時に電子は続けて酸化剤が還元され水が生成されるバイオカソードに送られる。バイオ燃料電池の構成要素とそれらの製造の詳細は、後記IIで詳述する。
A. バイオアノード
1つの実施形態で、バイオアノードは、電子導体と、酵素固定化物質に固定化された酵素とを含む。他の実施形態では、バイオアノードは、場合によっては、さらに、電子メディエータ用の電気触媒も含む。電気触媒は、バイオアノードが、電子導体において可逆的レドックス反応を受けることができる電子メディエータに接触する場合、バイオアノードには存在しないことがある。バイオアノードの前記成分は、互いに近接している;すなわち、それらは適切な手段で物理的または化学的に連結されていることを意味する。
1. 電子導体
電子導体は、電子を伝導する物質である。電子導体は、実際、(1)物質を通して電子を伝導することができ、(2)広い表面積を持ち、(3)微粒子として分散することができる限り、有機であっても無機であってもよい。電子導体は、炭素系物質または金属性導体、半導体、金属酸化物、変性導体であってよい。好ましい実施形態では、電子導体は、炭素系インクから形成される。
特に適切な電子導体は、炭素系物質である。炭素系物質の例として、カーボンブラック(Vulcan XC-72(E-tek))、炭素粉末、炭素繊維、ダイヤモンド被覆導体、グラファイト、非圧縮グラファイトワーム、離層精製フレークグラファイト(Superior(登録商標)グラファイト)、高性能グラファイト、炭素粉末(Formula BT(商標)、Superior(登録商標)グラファイト)、白金カーボン、金被覆カーボン、および炭素系インク(たとえば、ErconE978(I))が挙げられる。
更なる実施形態では、電子導体は、コロイド状金属性導体から製造することができる。適切な電子導体を、金、プラチナ、鉄、ニッケル、銅、銀、ステンレス鋼、水銀、タングステンおよびコロイド状分散に適切な他の金属から製造することができる。更に、金属性導体である電子導体を、コバルト、カーボンおよび他の適切な金属から製造したナノ粒子から構成することができる。
さらに、電子導体はコロイド状半導体であってもよい。適切な半導体物質として、シリコンおよびゲルマニウムが挙げられ、それらは、他の成分でドーピングされてもよい。半導体は、リンまたはホウ素、ガリウム、ヒ素、インジウム、アンチモン、それらの組合せをドーピングすることができる。
他の電子導体は、金属酸化物、金属硫化物、主族元素化合物(すなわち遷移金属化合物)、および電子導体で変性された物質であってもよい。この種の例示的な電子導体として、ナノポーラス酸化チタン、酸化セリウム粒子、硫化モリブデン、窒化ホウ素ナノチューブ、炭素のような導電性物質で変性されたエーロゲル、炭素のような導電性物質で変性されたゾルゲル、ルテニウム炭素エーロゲル、および炭素のような導電性物質で変性されたメソポーラスシリカが挙げられる。
2. 電子メディエータ
電子メディエータは、電子を受容または供与することができる化合物である。換言すれば、電子メディエータは、電子を受容して還元形態を形成することができる酸化形態を有し、還元形態は電子を供与して酸化形態を形成することができる。電子メディエータは、固定化物質に拡散することができおよび/または固定化物質に組み込むことができる化合物である。
1つの実施形態では、電子メディエータの拡散係数を最大化する。換言すれば、電子メディエータの還元形態の物質移動をできるだけ速くする。電子メディエータの物質移動が速いため、それが使用されるバイオ燃料電池では、より大きい電流および電力密度が可能になる。
電子メディエータの例として、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸塩(NADP)若しくはピロロキノリンキノン(PQQ)、またはそれぞれの等価物が挙げられる。他の電子メディエータの例として、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノン、フェリシアン化カリウム、タンパク質、金属タンパク質およびステラシアニンが挙げられる。好ましい1つの実施形態では、バイオアノードにおける電子メディエータはNAD+である。
1つの実施形態では、電子メディエータは、電子導体において、それ自体ではレドックス反応を行うことはできない。ここで、バイオアノードは、電子導体における電子の放出を促進する電子メディエータ用の電気触媒を含む。他の実施形態では、0.0V±0.5Vの標準還元電位を有する可逆性レドックスカップルを電子メディエータとして使用する。したがって、電子導体表面に可逆的電気化学性を与える電子メディエータを、使用することができる。電子メディエータは、該電子メディエータに依存する天然酵素、該電子メディエータに依存して変性された酵素、または該電子メディエータに依存する合成酵素と組み合わせる。電子導体表面に可逆的電気化学性を与える電子メディエータの例として、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンおよびフェリシアン化カリウムが挙げられる。この実施形態で、バイオアノードで利用される好ましい電子メディエータは、PQQである。この実施形態では、電子導体表面に可逆的電気化学性を与える電子メディエータ能力の故に、レドックス反応を触媒する電気触媒を必要としない。
3. 電子メディエータ用の電気触媒
一般に、電気触媒は、電子導体における電子の放出を促進する物質である。換言すれば、電気触媒は、電子メディエータの還元または酸化の反応速度を増加し、それによって、電子メディエータの還元または酸化をより低い標準還元電位で起こさせうる。電気触媒は、バイオアノードにおいて可逆的に酸化され、電子、すなわち電気を発生させることができる。電気触媒が電子導体に近接している場合、電気触媒と電子導体とは、互いに電気的接触しているが、必ずしも互いに物理的な接触はしていない。1つの実施形態では、電子導体は、部分的に、電子メディエータ用の電気触媒に結びついているかまたは近接している。
通常、電気触媒は、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーであってよい。例示的な電気触媒として、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5、6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3(PF62、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3、4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ポリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3、4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン)、ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン、(ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)、ポリ(ニュートラルブルー)、タンパク質、金属タンパク質またはステラシアニンが挙げられる。好ましい1つの実施形態では、電子メディエータ用の電気触媒は、ポリ(メチレングリーン)である。
4. 酵素
酵素は、バイオアノードにおいて燃料流体の酸化を触媒する。酵素はバイオカソードにおいて酸化剤も還元するため、下記I.B.5で一般に説明する。一般に、天然酵素、人工酵素および変性天然酵素を利用することができる。さらに、自然または指向性進化によって改変された改変酵素も使用することができる。換言すれば、酵素特性を模倣する有機または無機分子を本発明の実施形態で使用することができる。
具体的には、バイオアノードに用いられる例示的な酵素は、オキシドレダクターゼである。1つの好ましい実施形態では、オキシドレダクターゼは、燃料のCH-OH基またはCH-NH基に作用する。
他の好ましい実施形態では、酵素はデヒドロゲナーゼである。この実施形態での例示的な酵素として、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ブドウ糖デヒドロゲナーゼ、ブドウ糖オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼまたはピルビン酸デヒドロゲナーゼが挙げられる。好ましくは、酵素はアルコールデヒドロゲナーゼである。さらに別の実施形態では、酵素はPQQ依存性デヒドロゲナーゼである。
5. 酵素固定化物質
酵素固定化物質は、バイオ燃料電池中、バイオアノードおよび/またはバイオカソードにおいて利用される。1つの実施形態では、バイオアノードの酵素固定化物質は、燃料流体透過性であり、酵素を固定化し、安定化する。固定化物質は、燃料流体に対して透過性であるため、バイオアノードにおける燃料の酸化反応を、固定化酵素により触媒することができる。
一般に、酵素は、バイオアノードおよび/またはバイオカソードにおいてレドックス反応を触媒するために使用される。本発明による微小電極では、酵素は、該酵素を固定化し安定化させる酵素固定化物質に固定化される。典型的には、溶液中の遊離酵素は、その触媒活性を数時間〜数日以内で失うが、適切に固定化され安定化された酵素は、その触媒活性を少なくとも約30日〜約730日保持することができる。触媒活性の保持は、その最初の活性の少なくとも約75%を有している酵素と定義され、ケミルミネッセンス、電気化学的、UV-Vis、放射化学的または蛍光アッセイによって測定することができる。
固定化酵素は、その触媒活性を保持するが、酵素固定化物質の特定の領域で、物理的に制限された酵素である。担体結合、架橋およびエントラッピングを含め、酵素固定化のための種々の方法がある。担体結合は、水不溶性担体への酵素の結合である。架橋は、2官能性あるいは多官能性試薬による酵素の分子内架橋である。エントラッピングは、酵素を半透過性物質の格子に取り込むことである。酵素固定化の特定の方法は、酵素固定化物質が、(1)酵素を固定化し、(2)酵素を安定化し、(3)燃料流体または酸化剤に対して透過性である限り、それほど重要でない。
酵素固定化物質の燃料流体または酸化剤に対する透過性および酵素の固定化に関して、1つの実施形態では、該物質は酵素より小さい化合物に対して透過性である。換言すれば、酵素固定化物質は、燃料流体または酸化剤化合物がそれを通過して移動することを可能にし、それにより、該化合物は酵素と接触することができる。酵素固定化物質は、該物質が内部細孔、管路、開口、またはこれらの組合せを含むようにすることで製造でき、それらは、化合物の酵素固定化物質を通過して移動することを可能にするが、酵素は酵素固定化物質の範囲内の実質的に同じ空間に拘束される。そのような拘束により、酵素の触媒活性が保持される。好ましい1つの実施形態では、酵素は、その触媒活性の実質的に全てを保持する、酵素と同じサイズおよび形の空間の中に押し込められる。孔、管路または開口は、上記の必要条件を満たし、固定化すべき特定の酵素のサイズおよび形に依存する物理的な寸法を有する。
1つの実施形態では、酵素を酵素固定化物質の孔の範囲内に配置し、化合物が輸送管路を通って酵素固定化物質の内へあるいは外へ移動するのが好ましい。孔および輸送管路の相対サイズは、孔は酵素を固定化するのに充分大きいが、輸送管路は酵素がそれを通るには小さすぎるようにすることができる。さらに、輸送管路の直径は少なくとも約10nmであるのが好ましい。さらに別の実施形態では、輸送管路に対する孔直径の比率が、少なくとも約2:1または2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1、それ以上である。さらに他の実施形態では、輸送管路の直径は少なくとも約10nmであり、輸送管路に対する孔直径の比率が、少なくとも約2:1または2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、9.5:1、10:1、それ以上であるのが好ましい。
酵素の安定化に関して、酵素固定化物質は、酵素変性を防ぐあるいは妨げるために、化学的および機械的バリアを与える。この目的ため、酵素固定化物質は、物理的に酵素を閉じ込め、酵素の展開を防止する。折りたたまれた三次元構造から酵素を展開する過程は、酵素変性の1つのメカニズムである。1つの実施形態では、固定化物質は、酵素が少なくとも約3日〜約730日の間その触媒活性を保持するように、安定化するのが好ましい。触媒活性の保持は、酵素がその最初の活性の少なくとも約75%を保持する日数によって規定される。酵素活性は、ケミルミネッセンス、電気化学的、UV-Vis、放射化学的、蛍光アッセイによって測定することができ、特性強度は初期時に測定される。強度が初期強度の少なくとも約75%である場合、酵素は触媒活性を保持するとみなされる。典型的には、蛍光アッセイは、酵素活性を測るために使用される。溶液中の遊離酵素は、数時間〜数日以内にその触媒活性を失う。このように、酵素の固定化は、安定性においてかなりの利点を与える。他の実施形態では、固定化酵素は、その初期触媒活性の少なくとも約75%を、少なくとも約30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365、400、450、500、550、600、650、700、730日またはそれ以上にわたって保持するのが好ましく、好ましくは、その初期触媒活性の少なくとも約80%、85%、90%、95%またはそれ以上を、少なくとも30、45、60、75、90、105、120、150、180、210、240、270、300、330、365、400、450、500、550、600、650、700、730日、またはそれ以上にわたって保持する。
1つの実施形態では、酵素固定化物質は、非天然コロイド状物質である。他の実施形態では、酵素固定化物質は、リポソームのような無細胞コロイド状物質である。無細胞物質は、細胞で構成されず、細胞を含有しない。コロイド状物質は、他の物質に分散された粒子からなる物質であり、該粒子は、一般的な光学顕微鏡で解像するには小さすぎるが、半透性膜を通過することはできない。更なる実施形態では、コロイド状物質は、原子または一般的な分子より実質的に大きいが、裸眼で見るには小さすぎる粒子からなる物質である。それらは、約10−7〜10−3センチメートルの大きさであってよく、種々の方法で連結または結合される。
さらに他の実施形態で、酵素固定化物質は、ミセルまたは逆ミセル構造を有する。通常、ミセルを構成する分子は両親媒性であり、それらが極性親水性基および非極性疎水性基を有することを意味する。分子は、凝集してミセルを形成することができ、極性基は凝集物の表面および炭化水素上に存在し、非極性基は凝集物の内部に隔離される。逆ミセルは、極性基と非極性基の逆配置を有する。極性基が互いに近接し、非極性基が互いに近接している限り、凝集物を構成する両親媒性分子を種々の配置にすることができる。また、分子は互いに向き合った非極性基、互いから離れる極性基を有するに2分子層を形成することができる。あるいは、2分子層において、極性基が互いに向き合うことができ、非極性基が離れている2分子層を形成することもできる。
一般に、ミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質は、ポリマー、セラミック、リポソームミセル、若しくはミセルまたは逆ミセル構造を形成する分子から形成される任意の物質であってもよい。例示的なミセルまたは逆ミセル酵素固定化物質として、パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)(Nafion(登録商標)またはFlemion(登録商標))、変性パーフルオロスルホン酸−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性Nafion(登録商標)または変性Flemion(登録商標))、ポリスルホン、ミセルポリマー、ポリ(エチレンオキサイド)系ブロックコポリマー、マイクロエマルジョンおよび/またはミセル重合から精製されるポリマーおよびアルキルメタクリレートのコポリマー、アルキルアクリレート並びにスチレンが挙げられる。他の例示的なミセルまたは逆ミセル固定化物質としては、セラミック、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、脂質、リン脂質、ドデシル硫酸ナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルメチルアンモニウムブロミド、(4−[(2−ヒドロキシル−1−ナフタレニルl)アゾ]ベンゼンスルホン酸モノナトリウム塩)、リノール酸、リノレン酸、コロイド、リポソーム、およびミセルネットワークが挙げられる。
好ましい1つの実施形態では、ミセル酵素固定化物質は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(あるいは、変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性Nafion(登録商標)または変性Flemion(登録商標))膜である。パーフッ素化イオン交換ポリマー膜は、アンモニウム(NH4+)イオンより大きい疎水性陽イオンで変性される。水性陽イオンは、(1)膜の孔サイズを決定する、および(2)孔のpHレベルの維持を助けるためにケミカルバッファとしての働きをするという、二重機能を担い、両方ともさらに酵素を安定化する作用をする。
疎水性陽イオンの最初の機能に関して、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(Nafion(登録商標)またはFlemion(登録商標))膜を生成するために、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)と疎水性陽イオンとを混合流延して、孔サイズが疎水性陽イオンの大きさに依存する酵素固定化物質を得る。したがって、疎水性陽イオンが大きいほど、孔サイズは大きい。疎水性陽イオンのこの機能によって、疎水性陽イオンのサイズを変化させて、特定の酵素に適合するように孔の大きさをより大きくあるいは小さくできる。
疎水性陽イオンの第二の機能に関して、対イオンとして陽子用疎水性陽イオンを、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(あるいはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜上の-S03-基に交換することによって、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜の特性を変化させる。対イオンにおけるこの変化は、疎水性陽イオンが陽子よりかなり高い-SO3-部位への親和性を有するため、pHにおける緩衝作用を与える。膜のこの緩衝作用によって孔のpHを実質的に変化させず、溶液のpHに変化を起こす。さらに、膜は機械的バリアを与え、それはさらに固定化酵素を保護する。
以下の表は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜の緩衝作用を示す。数値は、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー膜1g当たりの使用可能な陽子交換部位の数を表し、陽子に使用可能な交換部位の数が減少するとともに、固定化酵素に対する膜の緩衝能力が増加する。膜の略語は、以下の膜を意味する。NH4Brは、アンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜であり、TMABrは、テトラメチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜であり、TEABrは、テトラメチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜であり、TpropABrは、テトラプロピルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜であり、TBABrは、テトラプロピルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜であり、TpentABrは、テトラペンチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜である。
Figure 2007529865
変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(あるいはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜を製造するために、第一段階において、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)、特にNafion(登録商標)と、疎水性陽イオンの溶液とを流延し、膜を形成する。過剰な疎水性陽イオンおよびそれらの塩を最初の膜から抽出した後に、膜を再流延する。再流延した際に、膜は、パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(またはパーフッ素化イオン交換ポリマー)膜の-SO3-部位に関連した疎水性陽イオンを含有している。
より安定かつ再現性のある第四級アンモニウム塩処理Nafion(登録商標)膜を製造するために、過剰な臭化物塩は、流延溶液から除去されなければならない。この塩抽出された膜は、過剰な第四級アンモニウムブロミドおよびHBr塩を最初の膜から抽出した後、混合流延膜を再流延することによって形成される。膜の塩抽出は、スルホン酸交換部位における第四級アンモニウム陽イオンの存在を保持するが、孔で捕捉されるかもしれないまたは平衡膜に空隙を生じるかもしれないという煩雑さを、過剰な塩から取り除く。塩抽出膜の化学的および物理的特性は、酵素固定化の前に、ボルタンメトリーおよびイオン交換容量寸法、蛍光顕微鏡検査法によって特性決定される。
例示的な疎水性陽イオンは、アンモニウム系陽イオン、第四級アンモニウム陽イオン、アルキルトリメチル陽イオン、アルキルトリエチル陽イオン、有機陽イオン、ホスホニウム陽イオン、トリフェニルホスホニウム、ピリジニウム陽イオン、イミダゾリウム陽イオン、ヘキサデシルピリジニウム、エチジウム、ビオロゲン、メチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン、ビス(トリフェニルホスフィン)イムニウム、金属複合体、ビピリジル金属錯体、フェナントロリン系金属錯体、[Ru(ビピリジン)32+、および[Fe(フェナントロリン)33+が挙げられる。
好ましい1つの実施形態では、疎水性陽イオンは、アンモニウム系陽イオンである。特に、疎水性陽イオンは、第四級アンモニウム陽イオンである。他の実施形態では、第四級アンモニウム陽イオンは、式(1)で示される。
Figure 2007529865
(式中、R1およびR2、R3、R4は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R1およびR2、R3、R4の少なくとも1つは水素以外のものである。)更なる他の実施形態では、R1およびR2、R3、R4は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルであり、R1およびR2、R3、R4の少なくとも1つは水素以外のものであるのが好ましい。さらに別の実施形態では、R1およびR2、R3、R4は同じであって、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。さらに他の実施形態では、R1およびR2、R3、R4がブチルであるのが好ましい。さらに別の実施形態では、R1およびR2、R3、R4の3つが同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルであり、R1およびR2、R3、R4の残りがペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、フェニル、トリルまたはキシリルである。更なる実施形態では、R1およびR2、R3、R4の3つが同じであり、メチルまたはエチルであり、R1およびR2、R3、R4の残りがヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルまたはフェニルであるのが好ましい。
第四級アンモニウム塩の混合−キャスト膜(たとえば、TBAB、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミド、トリメチルオクチルアンモニウムブロミドおよびフェニルトリメチルアンモニウムブロミド)と、Nafion(登録商標)とは、膜を通して小さい分析物の物質移動を増加させ、陰イオンに対する酵素固定化膜の選択性を減少させた。これらの酵素固定化膜は、非変性Nafionと非常に類似した伝導率を有するが、酵素固定化膜において、陽子に利用できる交換部位の数を滴定することによって示されるように、陽子に対してより、第四級アンモニウムブロミドに対して、非常に高い優先性を有する。したがって、これらの膜は、類似した電気特性を有するが、非常に異なる酸/塩基特性を有する。処理された酵素固定化膜は、広範囲にわたる緩衝pHにおいてそれらの中性pHを維持する。これらの利点を考慮して、好ましい酵素固定化物質は、第四級アンモニウム塩で処理されたパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性Nafion(登録商標)または変性Flemion(登録商標))膜である。より好ましくは、酵素固定化物質はTBAB−変性Nafion(登録商標)膜物質である。さらにより好ましくは、酵素固定化物質は、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜物質、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)膜物質またはトリメチルオクチルアンモニウムボロミド変性Nafion(登録商標)膜物質である。
6. バイオアノードの実施形態
更なる実施形態では、バイオアノードは、電気触媒を電子導体に吸着、重合または共有結合させることによって変性された電子導体から構成されるのが好ましい。この実施形態は、電子導体の表面積を増加させるという利点がある。構成の前に電子導体の表面に電気触媒を吸着させ、次に電気触媒を化学または電気化学的重合させることによる電子導体の処置は、非処理の電子導体と比較して、より高い触媒活性を与える。
更なる実施形態では、電子メディエータは、物理的に酵素に結合することができる。物理的な結合は、電子メディエータと酵素との共有またはイオン結合であってよい。さらに別の実施形態では、電子メディエータが電子導体において可逆的電気化学性である場合は、電子メディエータは、物理的に酵素に結合することができ、電子メディエータは、また、物理的に電子導体にも結合することができる。
さらに別の実施形態では、電子メディエータは、固定化物質に固定化される。好ましい実施形態では、電子メディエータは、陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(陽イオン変性Nafion(登録商標))膜で固定化された酸化NAD+である。この実施形態では、燃料流体が電池に添加された後、NAD+がNADHに還元され、該NADHは、陽イオン変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(陽イオン変性Nafion(登録商標))膜に拡散することができる。
他の実施形態では、本発明は、デヒドロゲナーゼ酵素を、塩抽出テトラブチルアンモニウム/パーフッ素化イオン交換ポリマー膜(たとえば、Nafion(登録商標)膜またはFlemion(登録商標)膜(旭ガラス株式会社(東京))に固定化することを含む。塩抽出ポリマー懸濁液は中性であり、緩衝酵素溶液はこの懸濁液に添加することができる。混合物をバイオアノードへ流延し、変性バイオアノードを形成することができ、その中で、酵素はバイオアノードの表面の近くに固定化される。
他の実施形態では、本発明は、物質のミセルの範囲内で中性pHを生じる変性酵素固定化物質および、変性酵素固定化物質のミセル内に組み込まれる一つ以上の酵素に関する。好ましい酵素固定化物質は、Nafion(登録商標)ポリマーである。好ましい酵素は、デヒドロゲナーゼのようなレドックス酵素であり、それは有機燃料の酸化および電子メディエータの還元を触媒する。
さらに他の実施形態では、本発明は、バイオアノードとカソードとを含み、該バイオアノードが電気触媒と酵素固定化物質と酵素とを含む燃料電池に関する。酵素は、酵素固定化物質のミセル区画内に組み込まれる。好ましくは、酵素固定化物質は、塩抽出第四級アンモニウム処理パーフッ素化イオン交換ポリマーである。市販のパーフッ素化イオン交換ポリマーとして、Nafion(登録商標)(デュポン)およびFlemion(登録商標)(旭ガラス)が挙げられる。好ましくは、パーフッ素化イオン交換ポリマーは、Nafion(登録商標)ポリマーまたはFlemion(登録商標)ポリマーである。好ましい第四級アンモニウム塩として、テトラブチルアンモニウムブロミドが挙げられる。好ましい電気触媒は、ポリエチレングリーンである。バイオアノードは、アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼのような異なる複数の酵素を含んでもよい。
好ましい実施形態において、バイオアノードで起こるレドックス反応の模式図については、図2を参照されたい。そこでは、エタノール(24)の燃料流体は、酵素(23)、NAD+−依存性アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって触媒されている。さらに、電子メディエータ(NAD)は、電気触媒(ポリ(メチレングリーン))(22)と反応し、次いで、カーボン布(21)電子導体と接触して、電子を放出する。
B. バイオカソード
本発明によるバイオカソードは、電子導体と、酵素固定化物質で固定化された酵素と、電子メディエータと、電気触媒とを含む。1つの実施形態では、これらの成分はお互いに近接しており、このことは、これらが適切な手段で物理的または化学的に連結されていることを意味する。他の実施形態については後述のI.B.6に詳述する。成分は一般にバイオアノード成分と同じであるため、以下の検討は、適切と思われる箇所の個々の要素の組成の違いおよび機能の違いについて述べる。
1. 電子導体
バイオアノードと同様に、電子導体は、実際、(1)物質を通して電子を伝導することができ、(2)広い表面積を持ち、(3)微粒子として分散することができる限り、有機であっても無機であってもよい。好ましい実施形態では、バイオカソード電子導体は、炭素系インクから形成される。
2. 電子メディエータ
バイオカソード電子メディエータは、電子を受容または供与し、容易に酸化形態から還元形態に変化するのに寄与する。電子メディエータは、固定化物質に拡散できおよび/または固定化物質に組み込まれうる化合物である。バイオアノードと同様に、1つの実施形態において、電子メディエータの拡散係数は最大化される。
バイオカソードの電子メディエータは、ステラシアニンのようなタンパク質またはビリルビンのようなタンパク質副生物、ブドウ糖のような糖、コレステロールのようなステロール、脂肪酸または金属タンパク質でもよい。電子メディエータは、また、オキシダーゼの補酵素または基質であってもよい。好ましい1つの実施形態では、バイオカソードにおける電子メディエータは、ビリルビンである。
3. 電子メディエータ用電気触媒
一般に、電気触媒は、電子導体において電子の放出を促進し、電子メディエータの標準還元電位を低くする物質である。
電気触媒は、電子の効果的な移動を促進する濃度で存在する。電気触媒の好ましい濃度は、約100mMと約3Mとの間であり、より好ましくは約250mMと約2.25Mとの間、さらにより好ましくは約500mMと約2Mとの間、そして、最も好ましくは約1.0Mと約1.5Mとの間である。
通常、本発明による電気触媒は、標準還元電位が+0.4ボルトを超える有機金属陽イオンである。例示的な電気触媒は、オスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム、レニウムおよびコバルト複合体のような遷移金属複合体である。これらの複合体を使用した好ましい有機金属陽イオンは、大きい有機芳香族リガンドを含む。大きな電子の自己交換速度を可能にする。リガンドが含む大きい有機芳香リガンドの例として、Ru(phen)3 +2、Fe(phen)3 +2、Ru(bpy)3 +2、Os(bpy)3 +2およびOs(terpy)3 +2のような1,10−フェナントロリン(phen)並びに2,2'−ビピリジン(bpy)、2,2',2''−ターピリジン(terpy)の誘導体が挙げられる。好ましい実施形態で、電気触媒はルテニウム化合物である。最も好ましくは、バイオカソードにおける電気触媒は、Ru(bpy)3 +2である。
4. 酵素
本発明によれば、酵素はバイオカソードで酸化剤を還元する。通常、天然酵素および合成酵素、人工酵素、変性天然発生の酵素を利用することができる。さらに、自然または指向進化によって改変された改変酵素も使用することができる。換言すれば、酵素特性を模倣した有機または無機分子を本発明の実施形態で使用することができる。
具体的には、バイオカソードに用いられる例示的な酵素は、オキシドレダクターゼである。使用可能なオキシドレダクターゼとしては、グルコースオキシダーゼ、アルコール系オキシダーゼおよびコレステロール系オキシダーゼのようなラッカーゼおよびオキシダーゼが挙げられる。好ましい実施形態では、酵素は酸素オキシドレダクターゼである。より好ましくは、酵素は、約6.5と約7.5との間のpHで最適活性を有する酸素オキシドレダクターゼである。最も好ましくは、酵素はビリルビンオキシダーゼである。
5. 酵素固定化物質
前記I.B.5.に記載したように、酵素固定化物質は、バイオ燃料電池中のバイオアノードおよび/またはバイオカソードにおいて利用される。酵素固定化物質と固定化メカニズムの構成に関する更なる詳細は、前記I.A.5にある。1つの実施形態では、バイオカソードの酵素固定化物質は、酸化剤に対して透過性で、酵素を固定化し、安定化する。固定化物質は燃料流体に対して透過性であるため、バイオカソードにおける酸化剤の還元は、固定化酵素によって触媒できる。好ましくは、酵素固定化物質は、第四級アンモニウム塩で処理されたパーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマー(または変性パーフッ素化イオン交換ポリマー)(変性Nafion(登録商標)または変性Flemion(登録商標))膜である。より好ましくは、酵素固定化物質は、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)で処理されたNafion(登録商標)膜物質である。さらにより好ましくは、酵素固定化物質は、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミドで処理されたNafion(登録商標)膜物質またはトリオクチルアンモニウムブロミドで処理されたNafion(登録商標)膜物質、フェニルトリメチルアンモニウムブロミドで処理されたNafion(登録商標)膜物質である。
6. バイオカソードの実施形態
1つの実施形態では、バイオカソードは、酵素固定化物質を含み、バイオカソードにおいて起こるレドックス反応を促進しながら、カソードの酵素を固定化するように作用する。酵素、電気触媒および電子メディエータは、酵素固定化物質のポケットまたはミセル内に配置されるのが好ましい。好ましい実施形態では、酵素固定化物質は、ミセルまたは逆ミセルを形成することができ、それにより酵素を組み込み、安定化することができる物質と、電気触媒と電子メディエータとを組み込むことができる孔または管路、開口、その組合せのような他の領域とを含む。ミセルも緩衝能を有する、すなわちミセル構造は緩衝成分も含むのが好ましい。酵素固定化物質の緩衝ミセル構造は、電極、および電気触媒または電子メディエータへのおよびからの電子の直接の移動を促進する。
さらに他の実施形態では、本発明は、バイオカソードとアノードを含む燃料電池であって、バイオカソードが、電気触媒と酵素固定化物質と酵素とを含む燃料電池に関する。酵素は、酵素固定化物質のミセル区画に組み込まれる。酵素固定化物質は、塩抽出第四級アンモニウム処理パーフッ素化イオン交換ポリマーであるのが好ましい。市販のパーフッ素化イオン交換ポリマーとして、Nafion(登録商標)(デュポン)およびFlemion(登録商標)(旭ガラス)が挙げられる。好ましいパーフッ素化イオン交換ポリマーは、Nafion(登録商標)ポリマーまたはFlemion(登録商標)ポリマーである。好ましい第四級アンモニウム塩として、テトラブチルアンモニウムブロミドが挙げられる。好ましい電気触媒は、ポリメチレングリーンである。バイオカソードは、異なる複数の酵素を含んでもよい。
好ましい実施形態において、バイオカソードで起こるレドックス反応の模式図については、図1を参照されたい。そこでは、電子導体(電極)(13)からの電子は、(15)に配置された電気触媒(Ru(ビピリジン)3 +2)と、電子メディエータ(ビリルビン)、酵素(ビリルビンオキシダーゼ)(14)と、酸化剤(11)との間のレドックス反応で使用され、水を副生物として生成する。酵素(14)は、酵素固定化物質(10)のミセル構造(12)で安定化される。
C. 微小流体管路
バイオアノードおよび/またはバイオカソードの他に、微小流体バイオ燃料電池は、稼働中、バイオアノードおよび/またはバイオカソード、燃料流体並びに酸化剤を収容する少なくとも1つの微小流体管路によって特徴づけられる。微小流体管路の構成は、用途に従い異なりうる。1つの実施形態では、微小流体管路は、単に、その中に含まれるバイオ燃料電池のバイオアノードおよび/またはバイオカソードをもつ、矩形のチャンバーであってよい。図4を参照されたい。他の実施形態では、微小流体管路の構成は、たとえば、バイオアノード溶液とバイオカソード溶液とは、お互いに物理的な接触をしないことを確実にするなど、任意の所望の要求のためにより精密であってもよい。図5を参照されたい。
図4および5を参照して説明すると、燃料流体および/または酸化剤は、微小流体管路(入口)(33)の一端から、微小流体管路(34)を通り、微小電極上または中を通って、対向端(出口)(35)へ流れる。図5で、バイオアノードは(41)で表され、バイオカソードは(40)で表される。微小流体管路は、微小電極の上で、微小流体管路(34)の外へこれらが漏れるのを防ぎながら、燃料流体および/または酸化剤の対流を促進すべきである。
E. 燃料流体および酸化剤
バイオアノードで酸化されて電子を生成することのできる燃料流体およびバイオカソードで還元されて水を生成することのできる酸化剤は、本発明の微小流体バイオ燃料電池の構成要素である。
バイオアノード用燃料流体は、電子メディエータと固定化酵素との酸化反応において消費される。燃料流体の分子サイズは十分に小さく、したがって、酵素固定化物質を通る拡散係数は大きい。例示的な燃料流体として、水素、アンモニア、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノールおよびイソプロパノール)、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパノール、マンニトール、グルクロネート、アルデヒド、炭水化物(例えば、グルコース、グルコース1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−リン酸、乳酸塩、ラクテート−6−リン酸塩、D−ラクテート、L−ラクテート、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボースおよびマンノース)、グルセレート、補酵素A、アセチル−Co−A、マレート、イソシトレート、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセテート、シトレート、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクトアルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェリルアルコール、シンナミルアルコール、ギ酸、長鎖アルデヒド、ピルベート、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2、炭化水素、アミンが挙げられる。好ましい実施形態では、燃料流体はアルコールであり、より好ましくはメタノールおよび/またはエタノールであり、最も好ましくはエタノールである。
バイオカソード用の酸化剤は、バイオアノードによって供給される電子を使用して、電子メディエータと固定化酵素との還元反応において消費される。酸化剤の分子サイズは十分に小さく、したがって、酵素固定化物質内での拡散係数は大きい。酸化剤源を供給する手段は任意のものを利用することができる。
好ましい実施形態では、酸化剤は気体状酸素であり、拡散によってバイオカソードへ輸送される。他の好ましい実施形態では、酸化剤は過酸化物化合物である。
電気泳動ポンピングまたは流体力学的ポンピングのいずれも使用することができ、微小流体管路を通して燃料流体と酸化剤とを輸送することができる。流体力学的ポンピングを利用する実施形態では、燃料流体流速は、約0.01μL/分と約10μL/分の間にあり、好ましくは約0.5μL/分と約10μL/分の間、さらに好ましくは約1μL/分と約5μL/分の間、最も好ましくは約1μL/分である。
F. 電気コネクタ
電気コネクタは、微小電極から微小流体バイオ燃料電池外部の電気負荷へ電気的な接触を提供する。最も一般的な意味では、電気コネクタは、バイオアノードから電気負荷へ、そしてバイオカソードへ帰る電子の移動を促進するいかなる物質および構造でもよい。好ましい1つの実施形態では、微小流体バイオ燃料電池の電気コネクタは、他の装置が物理的および電気的接触ができる配属リードを提供する。次いで、この他の装置、たとえば銅線は、輸送電子は、外部電気負荷へまたは該負荷から輸送される電子を輸送する。
好ましい1つの実施形態では、電気コネクタは、他の加工の前に微小流体バイオ燃料電池の基材の上に形成された、薄い層コネクタである。この実施形態では、その後形成された微小電極は、それぞれの電気コネクタを横切るように配置される。他の実施形態では、電気コネクタは、加工の後に微小電極に取り付けられる、電気的に導電性物質の円筒体である。
II. 微小流体バイオ燃料電池の製造
本発明による微小流体バイオ燃料電池の製造においては、その上にバイオ燃料電池の他の要素が構成される基材が使用される。好ましい実施形態では、第一段階で電気コネクタを形成し、次いで微小電極を製造し、場合によっては、バイオ燃料チャンバーを規定するステップがある。他の実施形態では、他の要素の後に電気コネクタが形成される。
A. 電気コネクタの製造
本発明の微小流体バイオ燃料電池は、その上に残りの部品を形成する為の基材を供給することによって形成される。基材は、非導電性で、微小電極の導電性物質を不活性化せず、加工の間中導電性物質が付着せず、型が可逆的に封止されうる物質で製造することができる。1つの実施形態では、基材はガラスである。好ましい実施形態では、基材は、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)である。好ましい他の実施形態で、基材はポリカーボネートである。1つの実施形態では、基材は平らである。他の実施形態で、基材は、特定の用途に都合よく合致する、任意の幾何学的形状をとることができる。
好ましい実施形態で、基材の上に形成される最初のバイオ燃料電池の機能は電気コネクタであり、コネクタは、完成したバイオ燃料電池中の微小電極と電気的接触し、外部電気負荷に接続するための手段を微小電極に与える。コネクタは、任意の導電性物質で製造することができる。該物質の例として、プラチナ、パラジウム、金、これら貴金属の合金、炭素、ニッケル、銅およびステンレス鋼が挙げられる。好ましい実施形態で、コネクタはプラチナで製造される。
コネクタは、シリコンウエハー産業で公知の常套のフォトリソグラフィー技術を使用することによって、基材の上に形成することができる。例えば、薄い層のプラチナ電気コネクタを形成するために、最初に、チタニウム接着層が基材の上へスパッタリングされる。この後に、チタニウム層の上にプラチナの層をスパッタリングする。例えば、両スパッタリング加工を、たとえば、アルゴンイオンスパッタリング系で行うことができる。次いで、コネクタは、プラチナ層に塗布されたフォトレジストを用い、フォトリソグラフィーによって規定され、所望のコネクタ位置を保護する。市販のエッチング剤による2枚の層の化学エッチングを行い、続いて、フォトレジストを剥ぎ取ることによって、最終プラチナ電気コネクタを得る。他の実施形態では、電気コネクタは、最後の機能として形成される。この実施形態は、下記のII.B.6で詳述する。
B. 微小電極の製造
バイオ燃料電池の基材上への電気コネクタの製造に続けて、次のステップは、バイオアノードとバイオカソードとの製造である。これらは、連続してまたは同時に形成することができる。
1. バイオアノードの製造
1つの実施形態では、バイオアノードとバイオカソードとを連続して基材の上に形成するが、その形成の順序は重要でない。説明のみの目的で、先ず、バイオアノードの製造を詳述する。ミクロスケールのバイオアノードを製造する第一ステップは、キャスティング金型の表面にミクロ管路パターンを造ることである。一般に、キャスティング金型は、非導電性物質で製造することができ、導電性物質を不活性化せず、基材に可逆的に封止することができる物質の例は、シリコン、ガラスおよびポリマーなどである。キャスティング金型は好ましくはポリマーで作られており、さらにより好ましくはPDMSで作られている。最も好ましくは、キャスティング金型はポリカーボネートで作られている。
キャスティング金型がポリマーである好ましい実施形態では、パターンは、公知のソフトリソグラフィー技術を使用することにより造られ、キャスティング金型中にマイクロ管路を製造し、バイオアノードの形と大きさとを規定する。ソフトリソグラフィー技術は、一般に、所望のデザインの突起した像を持つ、リソグラフにより規定されたマスターに対してプレポリマーを成形するプロセスを必要とする。使用されるソフトリソグラフィー技術は、約1μmと約1mmとの間で、約1μmと約200μmとの間、好ましくは約10μmと約200μmとの間、より好ましくは約10μmと約100μmとの間、最も好ましくは約10μm以下でキャスティング金型に、マイクロ管路を形成しなければならない。例示的なソフトリソグラフィー技術として、近接場フェーズシフトリソグラフィー、レプリカモールディング、マイクロトランスファーモールディング(μTM)、溶剤補助マイクロコンタクトモールディング(SAMIM)およびマイクロコンタクトプリンティング(μCP)が挙げられる。マイクロ管路は、レプリカモールディングを使用して形成されるのが好ましい。
マイクロ管路をキャスティング金型に形成した後、キャスティング金型のパターン化された側を基材に付着させ、微小電極の金型を完成する。図3(a)を参照されたい。電気コネクタ(31)が既に基材上に形成されている実施形態では、マイクロ管路を、完成した微小電極がコネクタと電気的接触するように、電気コネクタ上に整列させなければならない。さらに、管コネクタ(30)を基材に付着し、後に燃料溜となる位置を維持する。
次に、図3(b)を参照して、電子導体溶液を、キャスティング金型のマイクロ管路に流しこみ、マイクロ管路の一端においてキャスティング金型に造られている、入り口燃料溜(32)へ通す。この入り口燃料溜(32)は、金属鋳造物の従来技術における油だまりに類似している。過剰溶液は、入り口燃料溜の反対側のマイクロ管路の端に位置するベントからマイクロ管路を出る。
電子導体溶液は、硬化によって除去でき、固体の微小電極を得ることができ、電子導体源と液体担体を含む、いかなる溶液であってもよい。多くの使用可能な電子導体物質を前記I.A.1に列挙した。好ましい1つの実施形態では、電子導体源は炭素源である。より好ましい実施形態では、電子導体源は炭素系インクである。そのような実施形態の1つでは、液体担体は、炭素系インクシンナー(たとえばErcon N160ソルベントシンナー)である。本発明によれば、溶液中の液体担体の性質によって、2種類の微小電極構造、すなわち固体微小電極またはフロースロー微小電極を形成することができる。より低い粘度の液体担体に関しては、固体微小電極が製造される。これらの微小電極は、実質的に連続していて固く、燃料流体は、使用中、そのような微小電極上を流れる。より高い粘度の液体担体に関しては、使用中に燃料流体がその中を流れることができる構造を持つ、フロースルー微小電極が製造され、燃料流体と接触する微小電極の表面積を効果的に増加させる。
特定の構造に関係なく、本発明に従って形成される微小電極は、従来の方法を使用して形成される微小電極に勝るいくつかの利点を有し、それは必ず平らな形状を有する。このように、従来の微小電極上を流れるいかなる流体も、一般に規則的なフローパターンを有し、微小電極の表面積の一般に規定された量と接触する。この平らな幾何学的表面積は、平らな微小電極の上面の矩形面積に側面の面積を加えることによって計算される。微小電極の電流発生は、燃料流体と接触する表面積によってほとんど決定されるため、平らな微小電極の電流発生能は、その寸法を増加させることによってのみ増すことができる。対照的に、本発明に従って形成される微小電極は非常に不規則な三次元形状を有し、それが、少なくとも2つの異なる利点を生じる。まず、本発明の微小電極の実際の表面積は、フラットスクリーン印刷微小電極と比較して、実質的に増加している。本明細書で記載する微小電極の実際の表面積は、微小電極の形状を特徴づけている独立したピークと谷との表面積の合計である。この実際の表面積を計算する1つの正確な方法は、本発明によって形成された微小電極の電流出力を、同じ長さおよび幅、高さの寸法を持つ平らな微小電極と比較することである。例えば、微小電極のそのような分析によれば、本発明の微小電極は、9.85 x 10-4A/cm2の電流出力を示し、これと比べ、従来のガラス質炭素電極は2.06 x 10-4A/cm2を示す。さらに、微小電極の不規則な形状によって、流体に乱流を造り出すことができる。そのようなフローパターンは、微小電極上に流体の混合を誘発し、それによって微小電極への流体の輸送速度が増加するので、有利である。流体の輸送速度の増加によって、微小電極の範囲内で起こっている反応が促進され、それによって、微小電極の電流負荷容量を増加させる。
他の1つの実施形態では、プライマーがキャスティング金型のマイクロ管路に流され、電子導体溶液を導入する前に、素早く乾燥される。プライマーとしては、電子導体がキャスティング金型に半永久的に付着するのを防止する助けとなるいかなる物質も使用することができる。例えば、炭素系インクの実施形態では、所望により、プライマーとして炭素系インクシンナーを使用することができる。
溶液をキャスティング金型のマイクロ管路に充填した後、加熱して、電子導体溶液を硬化する。一般に、加熱は、溶液から液体担体を除去するのに十分であるが、得られる微小電極が損傷を受けないような低い温度で行う。好ましい1つの実施形態では、加熱は約75℃で行われる。また、加熱は、溶液から実質的に液体担体の全てを除去するのに十分な時間、行うべきである。好ましい1つの実施形態では、熱は少なくとも約1時間加えられる。好ましい他の実施形態では、加熱は約75℃で約1時間行われる。図3(c)を参照して、硬化プロセスにおいて、担体の蒸発により、キャスティング金型のマイクロ管路の本来の大きさよりおよそ20%小さい固形微小電極(36)を得る。
本発明による方法では、微小電極は、少なくとも4つの実施形態のうちの1つによって、電子メディエータ、電子メディエータ用の任意の電気触媒、酵素、および該酵素を酵素固定化する物質を付与するために処理され、バイオアノードを形成する。第一の実施形態では、酵素を含む酵素固定化物質が硬化微小電極に適用され、次いで、電子メディエータと、場合によっては、電気触媒とが導入される。バイオアノードを形成するために、微小電極を硬化した後、キャスティング金型を基材から外す。図3(c)を参照されたい。図3(d)においては、キャスティング金型の代わりに、キャスティング金型のマイクロ管路(34)の幅の約2倍のガス透過性金型が、微小電極の上に可逆的に封止される。ガス透過性金型は、非導電性であり、電子導体を不活性化せず、溶媒の蒸発を促進する任意の物質から、作成されていてよい。PDMSのようなシリコーンポリマーが、ガス透過性型物質として好ましく使用される。より好ましくは、例えばポリカーボネートのような熱可塑性樹脂がガス透過性の型物質である。また、ガス透過性金型を設置した後、バイオアノード酵素を含む酵素固定化物質を、硬化された微小電極に適用する。これは、流延溶液を、入り口燃料溜(33)から、ガス透過性金型を通り、出口ベント(35)へ、シリンジポンピングすることによって、達成される。ここで、所望により電気触媒を含む電子メディエータ溶液は、先に述べたように入り口燃料溜(33)とベント(35)を使用して、ガス透過性金型のマイクロ管路の中を流体力学的に流れる。マイクロ管路の幅のほぼ2倍の微小電極幅について、少量の電子メディエータ溶液を必然的に基材に被覆するが、これは、微小電極全体が適切に被覆されるのを確実にする。次いで、電子メディエータ溶液の溶媒を、ガス透過性型または該型の中の入り口燃料溜および/またはベントを通して蒸発させ、バイオアノードを残す。電子メディエータが重合される必要がある場合、電解重合方法を利用して、この目的を達する。この実施形態は、電子メディエータを電解重合する必要がある場合、あまり望ましくない。最終的に形成されたバイオアノードについては図3(d)を参照されたい。
したがって、より好ましい第二の実施形態では、電子メディエータおよび任意の電気触媒が、固体化された微小電極に適用され、必要なら、電子メディエータは電解重合され、次いで、酵素を含む酵素固定化物質が、微小電極に適用される。第二の実施形態では、微小電極を硬化した後、キャスティング金型を基材から取り除く。キャスティング金型の代わりに、先に詳述したガス透過性型を、微小電極に可逆的に封止する。ここで、場合によっては電気触媒を含む電子メディエータ溶液は、先に述べた入り口燃料溜とベントを使用して、流体力学的にガス透過性型のマイクロ管路を流れる。ここでも、少量の電子メディエータ溶液が、必然的に基材上へ被覆されるが、これは微小電極全体が適切に被覆されることを確実にする。次いで、電子メディエータ溶液の溶媒が、ガス透過性型を通して蒸発され、電子メディエータで被覆された微小電極が残る。電子メディエータが重合される必要がある場合は、電解重合プロセスを、その目的のために利用できる。次に、バイオアノード酵素を含む酵素固定化物質を適用し、バイオアノードを形成する。これは、酵素固定化物質とバイオアノード酵素とを含む溶液を、入り口燃料溜へシリンジポンピングし、ガス透過性型に通すことによって達成される。
さらに好ましい第三の実施形態では、キャスティング金型への注入の前に、電子メディエータと任意の電気触媒が電子導体溶液に導入され、硬化の後、酵素を含む酵素固定化物質が、硬化された微小電極に適用される。第三の実施形態では、電子メディエータおよび任意の電気触媒は、キャスティング金型のマイクロ管路への導入の前に、電子導体溶液中に懸濁される。次いで、II.Aに詳述したように、変性電子導体溶液をキャスティング金型のマイクロ管路に流し込み、硬化する。この実施形態は、有利なことに、バイオアノードの導電率を高くし、加工ステップを減らすことによって平易さを増し、電子メディエータの輸送効率を改善する。また、この実施形態によれば、ガス拡散型アノードの輸送効率を有しながら、独立した電子メディエータの選択性特性を持つ、高導電性合成バイオアノードが得られる。要望されるなら、電子メディエータの電解重合をこの時点で実施することができる。その後、バイオアノード酵素を含む酵素固定化物質を変性微小電極に適用し、バイオアノードを形成する。これは、酵素固定化物質とバイオアノード酵素とを含む溶液を、入り口燃料溜にシリンジポンピングし、ガス透過性型に通すことで達成される。
最も好ましい第4の実施形態では、キャスティング金型へ注入し、硬化して本発明の完成したバイオアノードを製造する前に、電子メディエータ、任意の電気触媒および酵素を含む酵素固定化物質は全て、電子導体溶液で組み合わせられる。最も好ましい第4の実施形態では、電子メディエータ、任意の電気触媒および酵素を含む酵素固定化物質が全て電子導体溶液中で組み合わされる。次いで、溶液は、上記したように、キャスティング金型に導入される。変性溶液の硬化によって、本発明の完全なバイオアノードが形成される。この実施形態は、最も単純なバイオアノード形成技術を示すもので、他の実施形態では要求される、過剰なステップと型とを排除できる。
全ての実施形態において、酵素固定化物質、酵素、電子メディエータおよび任意の電気触媒の具体的な組成は、上記I.A.2.−I.A.4に詳細に記載している。バイオアノード用の好ましい酵素固定化物質は、第四級アンモニウム塩で処理されたNafion(登録商標)膜物質(例えばTBAB−変性Nafion(登録商標)であり、好ましくは、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミドで変性されたNafion(登録商標)、トリメチルオクチルアンモニウムブロミドで変性したNafion(登録商標)膜物質、あるいはフェニル三メチルアンモニウムブロミドで変性されたNafion(登録商標)膜物質である。アノードにおいて好ましい酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼである。電子メディエータ/電気触媒の組合せを使用する場合、それぞれ、NADおよびポリ(メチレングリーン)が好ましい。可逆的電気化学性を与える電子メディエータを使用する場合、好ましい電子メディエータは、PQQである。また、キャスティング金型は、全ての実施形態において、複数のマイクロ管路を含むことができる。
2. バイオカソードの製造
本発明によるバイオカソードを形成するために、バイオアノードの製造で採用されるのと同じ一般的な加工工程を、バイオカソードを製造するために使用することができる。バイオカソードを酵素固定化物質、酵素、電子メディエータおよび電気触媒で処理する4つの一般的な実施形態は、バイオアノードの場合と同じである。ただし、電気触媒を省略するオプションは適用できない。酵素固定化物質、酵素、電子メディエータおよび電気触媒の具体的な構成は、前記I.B.2.−I.B.5に詳細に説明している。バイオカソード用の好ましい酵素固定化物質は、第四級アンモニウム塩で処理されたNafion(登録商標)膜物質(例えばTBAB変性Nafion(登録商標))であり、好ましくは、トリエチルヘキシルアンモニウムブロミドで変性されたNafion(登録商標)、トリメチルオクチルアンモニウムブロミドで変性されたNafion(登録商標)膜物質、またはフェニルトリメチルアンモニウムブロミドで変性されたNafion(登録商標)膜物質)である。さらにカソードに関し、好ましい酵素はビリルビンオキシダーゼであり、好ましい電子メディエータはビリルビンであり、好ましい電気触媒は変性膜中のRu(bpy)3 2+である。
3. 作動可能なバイオ燃料電池の形成
バイオアノードおよびバイオカソードを本発明に従って形成した後、キャスティング金型またはガス透過性型を場合によっては除去する。この任意の実施形態では、バイオアノードおよびバイオカソードが基材上に残る。キャスティング金型またはガス透過性型を除去した後、微小流体管路形体をバイオアノードおよびバイオカソード上に整列させる。少なくとも1つのバイオ燃料電池の燃料流体を流すことができる、微小流体管路を造るために、この形体は、マイクロパターン化される。形体は、導電性でない、導電性物質を不活性化せず、基材に付着する物質から製造することができる。好ましくは、該形体はPDMSである。より好ましくは、このオーバーレイは、ポリカーボネートである。形体中の微小流体管路のマイクロパターンは、任意の公知のソフトリソグラフィー技術を使用することにより、製造することができる。1つの実施形態では、微小流体管路は、微小電極の約2〜4倍の大きさである。他の実施形態では、微小流体管路は、微小電極とほぼ同じサイズである。該形体の微小流体管路が、本質的に、燃料流体が微小電極と相互作用することになる電気化学電池を規定する。ただ1つの微小流体管路を使用してバイオアノード、バイオカソード、燃料流体および酸化剤を収容する場合、同じ微小流体チャンバー中の燃料流体と酸化剤との混合物は、それらのレドックス反応が選択的であるため、本発明の微小電極の機能に影響しない。換言すれば、バイオアノードは燃料流体とだけ反応し、バイオカソードは酸化剤とだけで反応し、交差反応は起こらない。
他の実施形態では、キャスティング金型またはガス透過性型が、基材と接触したままであり、バイオ燃料電池の微小流体管路を規定するように働き、前記微小流体管路として作用する。この実施形態では、燃料流体は、型のマイクロ管路とバイオアノードまたはバイオカソードとの間の空間を移動する。この実施形態では、個々のバイオアノードとバイオカソード微小流体管路との間の接続を形成するために、後続の加工が実施されなければならない。接続を形成するために、個々の微小流体チャンバーをつなぐ通路が、たとえば、型の上部へ垂直な力を加える、あるいは型から十分な物質を除去するなど、適切な手段で型内に形成される。その後、通路は、作動中燃料流体または酸化剤の漏洩を防ぐために接続を封止する物質によって覆われる。物質は、型物質に結合し、適当なシールをつくることできなければならない。1つの実施形態では、被覆物質は、例えばPDMSまたはポリカーボネートのような単に型物質の平らなピースである。
4. 任意の形成態様
前記II.B.1に記載した微小電極の製造技術は、バイオアノードとバイオカソードとを連続して形成し、次いで、マイクロ管路を介してバイオアノードとバイオカソードとを繋ぎ、バイオ燃料電池を形成する例を参照している。他の実施形態では、バイオアノードとバイオカソードとを同時に形成することもできる。この実施形態では、単一のキャスティング金型をパターン化し、バイオアノードとバイオカソードとの両方を形成する。あるいは、キャスティング金型の組合せを使用して、独立したバイオアノードとバイオカソードを形成することもできる。いずれにせよ、前記II.B.3で詳述したように、バイオアノードとバイオカソードとを同時に形成した後、使用可能なバイオ燃料電池を、微小流体管路形体を適用するかまたはキャスティング金型を変更することによって形成する。
前記II.Aで記載した実施形態は、他の加工ステップの前に、基材上での電気コネクタの形成を記載する。他の実施形態では、電気コネクタは、最後の加工ステップとして、微小流体バイオ燃料電池に加えられる。ここで、孔を微小流体管路形体または変性キャスティング金型中に造り、バイオアノードおよびバイオカソードの一部を露出させる。次に、電気コネクタを、物理的にバイオアノードおよびバイオカソードの各露出した部分に連結する。この実施形態においては、電気コネクタは、外部電気負荷をバイオアノードおよびバイオカソードと電気的に接続できる、いかなる構造のいかなる物質でもよい。1つの好ましい実施形態で、電気コネクタは、円筒状銅製体である。更に、電気コネクタとバイオアノードとバイオカソードとの電気的な接触を維持することができるどのような接続技術も使用することができる。好ましい1つの実施形態では、電気コネクタとバイオアノードとバイオカソードとを電気的に接続するために、銀エポキシペーストを使用することができる。この実施形態は、これらの部品間の導電率を増加させるという長所がある。
上記の実施形態は、バイオアノードとバイオカソードとがバイオ燃料電池のマイクロ管路の中に収容されるバイオ燃料電池を記載している。これは好ましい実施形態であるが、本発明の他の実施形態として、アノードまたはカソードがバイオ燃料電池のマイクロ管路の外部に配置されるものがある。ここで、燃料電池は、微小流体バイオアノードまたはバイオカソードと適当な外部アノードまたはカソードとを組み合わせて形成される。
C. 微小流体バイオ燃料電池の用途
本発明の使用可能な微小流体バイオ燃料電池の製造が終了した後、該電池は、流体燃料源と酸化剤とをそれぞれバイオアノードとバイオカソードとで利用できる多数の用途に使用することができる。使用中、燃料流体および酸化剤は、微小流体管路中を移動して、バイオアノードおよびバイオカソードに接触する。そこで、前記Iに記載したレドックス反応が起こり、電流源が創生される。本発明の微小流体バイオ燃料電池は、電子装置、市販玩具、内蔵医療器具、電動乗物のような、電力供給を必要とするどのような用途にも使用することができる。さらに、本発明の微小流体バイオ燃料電池は生体内に埋め込まれてもよく、その場合、燃料流体は有機体に由来し、電流は生体内に埋め込まれた装置を動かすために使用される。
さらに、本発明の複数の微小流体バイオ燃料電池を、直列電気回路で接続して、バイオ燃料電池スタックを形成することができる。図6を参照されたい。シリーズスタックは、1個のバイオ燃料電池のバイオアノード(41)に他のバイオ燃料電池のバイオカソード(40)を電気的に接続することによって形成され、バイオカソードは所望のスタックが得られるまで、次々に他のバイオアノード(41)に接続される。燃料流体および/または酸化剤は、入り口燃料溜(33)中の、微小流体チャンバーに流れる。スタックを形成することによって、微小流体バイオ燃料電池回路の総電圧出力は、連続した独立微小流体バイオ燃料電池の電圧出力の理論的合計である。そのようなスタックのより大きな総電圧出力は、個々の微小流体バイオ燃料電池が供給できる出力より高い出力要件で、電子装置および玩具、医療装置、乗物に電気を供給することに役立つ。
定義
本明細書で使用する「燃料電池」は、アノードとカソードとを含み、それらは電気ショートを避けるために分離されている。バイオ燃料電池は、燃料流体と、該燃料流体の酸化を触媒する酵素とを利用する。1つの実施形態では、「バイオ燃料電池」は、エネルギー源としての有機燃料、および該有機燃料の酸化を触媒するためのレドックス酵素を利用する。用語「燃料電池」および「バイオ燃料電池」は、本発明の開示において互換的に使用される。1つの実施形態では、本発明の燃料電池は、電気供給を必要とする用途、たとえば、電子装置、器材、玩具、内蔵医療デバイスおよび電動乗物に使用しうるが、これらに限定されない。他の実施形態では、本発明の燃料電池は、生体に埋め込むことができ、その場合、有機燃料は生体から誘導され、燃料電池は生体に埋め込まれたデバイスに電力を供給する。
本明細書で使用される用語「微小流体」は、バイオ燃料電池の作動中、流れる燃料流体が流れるためのマイクロスケール管路、すなわちマイクロ管路の使用を言う。これらのマイクロ管路は、ソフトリソグラフィーを使用して、ポリマー基材中に形成することができる。
本明細書で使用される用語「ソフトリソグラフィー」は、基材上に所望のパターンを作成するための、成形された3次元構造を持つパターン転写要素、すなわち、スタンプを使用するための業界で一般に知られている任意の技術を言う。通常、ソフトリソグラフィーは、スタンプ材として、エラストマー(すなわち力が加わると変形し、力を取り除いた後は元の形を回復するポリマー)を利用する。PDMSは、好ましいスタンプ材である。例示的なソフトリソグラフィー技術が、たとえば、米国特許第6,645,432号明細書(Andersonら)、同第6,180,239号明細書(Whitesidesら)および同第6,143,412号明細書(Schuellerら)に記載されている。
本明細書で使用される用語「有機燃料」または「燃料流体」は、エネルギーを蓄えたあらゆる炭素系化合物を意味する。有機燃料には、核酸、炭水化物類(例えばグルコース)、アルコール類、脂肪酸および他の炭化水素類、ケトン類、アルデヒド類、アミノ酸並びにタンパク質が包含されるが、これらに限定されない。有機燃料は、有機体中の生物学的化合物であってもよい。好ましい燃料は、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノールを包含するアルコールおよび炭水化物、特にグルコースまたはそのポリマーを含む。好ましいアルコールは、エタノールおよびメタノールである。
本発明は、また、バイオアノードおよびバイオカソードにも関する。バイオアノードは、燃料流体の酸化を触媒する酵素を含むアノードである。1つの実施形態では、用語「バイオアノード」は、有機燃料の酸化を触媒するレドックス酵素を含むアノードを意味する。アノードは、電気回路または電位のために電子源を与える。1つの実施形態では、用語「バイオカソード」は、ラッカーゼまたはオキシダーゼのようなレドックス酵素を含み、酸化剤の還元を触媒するカソードを言う。
本明細書で使用される用語「電気触媒」は、化合物から電子を受容するまたは供与することができる物質を言う。好ましいアノード電気触媒は、Zhouら、"The Electrochemical Polymerization of Methylene Green and its Electrocatalysis for the Oxidation of NADH"、Analytica Chimica Acta 329(1996)41-48 に記載の、ポリ(メチレングリーン)である。レドックスポリマーによる電気触媒反応用の基質として好ましい化合物は、NADH、FADH2およびNADPHのような還元アデニンジヌクレオチドが含まれる。バイオカソードに有用なレドックスポリマー膜には、ポリ(N−ビニルイミダゾール)およびその誘導体が含まれる。
本明細書で使用される用語「酵素固定化物質」は、酵素を固定化し、安定化しながら、それを通してイオンの伝導を可能にすることができる物質を言う。好ましい酵素固定化物質は、パーフッ素化イオン交換ポリマー(例えばNafion(登録商標)(デュポン、ウィルミントン、DE)である。本発明はまた、変性酵素固定化物質にも関し、これはスルホン酸交換部位において第四級アンモニウムイオンを含む。変性により、酵素固定化物質のミセル内は中性pHとなる。本発明によれば、1つまたはそれ以上の酵素が塩抽出第四級アンモニウムで処理されたパーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル中に組み込まれるあるいは補足される。
本明細書で使用される用語「イオン交換ポリマー」または「イオン交換ポリマー膜」は、それを通るイオンの伝導を可能にしうるポリマーを意味する。好ましいイオン交換ポリマーは、パーフッ素化イオン交換ポリマー、Nafion(登録商標)(デュポン、ウィルミントン、DE)である。また本発明は、変性され、スルホン酸交換部位において第四級アンモニウムイオンを含むパーフッ素化イオン交換ポリマーにも関する。該変性は、イオン交換ポリマーのミセルに中性pHをもたらす。本発明によれば、1つまたはそれ以上のレドックス酵素が、塩抽出第四級アンモニウム処理パーフッ素化イオン交換ポリマーのミセル(または「ミセル区画」)に組み込まれるか、捕捉されている。
本明細書で使用される用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」は、元素炭素および水素のみから成る有機化合物または基を言う。これらには、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基が含まれる。またこれらの基は、他の脂肪族または環式炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール、例えば、アルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールも含む。特に明記しない限り、これらの基は、1〜20個の炭素原子を含むのが好ましい。
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」基は、炭素以外の少なくとも1つの原子で置換されたヒドロカルビル基であって、炭素鎖原子が、窒素、酸素、珪素、リン、ホウ素、硫黄、ハロゲン原子のようなヘテロ原子で置換された基が含まれる。これらの置換基として、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル、エーテルなどが挙げられる。
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を意味する。
本明細書において単独または他の基の一部として使用される用語「ヘテロシクロ」または「複素環式」は、場合によっては置換された、完全飽和または不飽和の、単環式または二環式の芳香族または非芳香族基であり、少なくとも1個の環に少なく1個のヘテロ原子を有し、各環は、好ましくは5個または6個の原子は有する。ヘテロシクロ基は、好ましくは、該環中に、1個または2個の酸素原子、1個または2個の硫黄原子および/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残部と結合してもよい。例示的なヘテロシクロとして、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニルまたはイソキノリニルのような複素芳香族、などを含む。例示的な置換基は、以下の基の1つまたはそれ以上を含む:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル、エーテルなど。
以下の実施例により、本発明を詳細に説明する。
実施例1 電極の形成
レプリカモールディングを使用して、PDMSキャスティング金型中に所望の電極寸法を持つマイクロ管路のパターンを形成した。ここで、パターンは、幅約10〜70μm、長さ約2〜4cm、深さ5〜75μmであった。また、2個の燃料溜をPDMSキャスティング金型に形成し、該燃料溜はそれぞれマイクロ管路パターンの長さ方向の各端部に置いた。図3Aを参照されたい。これらの燃料溜は、後の操作で、入り口燃料溜およびベントとして働いた。次いで、PDMSキャスティング金型を、基材に向き合ったマイクロ管路パターンを持つガラス基材に封止した。また、基材は、キャスティング金型の一端に近接して配置された管コネクタを含んでいた。この管コネクタは、後続の加工の間、マイクロ管路に電子導体溶液および他の溶液を配送するように作用した。次いで、マイクロ管路を、約0.5mLのErcon N160 Solvent Thinnerで下塗りし、約0.1gのErcon E-978(I)炭素系インクの炭素電極溶液により、溶液を燃料溜に流すことによって、充填した。図3Bを参照されたい。マイクロ管路が充填された後、75℃で1時間硬化し、その後、PDMSを除去した。燃料溜中の硬化インクも同様に除去し、残りの溶媒を蒸発し、インクを約120℃で約1時間加熱して、硬化した。図3Cを参照されたい。これらの加熱プロセスによって電極の電子導体を製造した。
電子導体を形成した後、PDMS微小流体管路形体を微小電極上に封止した。この形体は、その表面に、レプリカ金型を使用して作成したパターンを有していた。この形体のパターンは、幅約75〜250μm、長さ2〜5cmに、深さ50〜200μmであった。また、2個の燃料溜を、PDMSキャスティング金型に形成し、該燃料溜はそれぞれマイクロ管路パターンの長さ方向の各端部に置いた。これらの燃料溜は、後の操作で、電子導体上に他の電極成分を流すことを含み、入り口燃料溜およびベントとして働いた。図3dを参照されたい。電子導体を形成した後、酵素固定化物質を含む溶液を、微小流体管路形体を介してシリンジポンプ送りし、約8〜10時間硬化させた。
実施例1A 微小電極の作成
PDMS微小成型管路の製造用のマスターを、スピンコーター(Brewer Science、ローラ、MO)を使用して、管路を微小成型するために30秒間1000rpmの回転プログラムを行いながら、SU-8 10ネガ型フォトレジストを持つ4インチのシリコンウエハーに塗布することによって、製造した。フロー管路については、SU-8 50ネガ型フォトレジストを用い、30秒間1750rpmの回転プログラムを使用した。フォトレジストは、微小成型管路または管路デザイン構造を含むネガフィルム(Jostens、トピーカ、KS)を通して、近UVフラッドソース(Autoflood 1000、Optical Associates、ミルピタス、CA)を使用した4分間のUV露出の前に、90℃で5分間プリベークした。透明板(トランスパレンシー)は、Freehand(PC版8.0、マクロメディア社、サンフランシスコ、CA)で描かれたコンピュータデザインから造った。デザインは、印刷サービスによる解像度2400dpiのイメージセッター(Jostens、トピーカ、KS)を使用して、透明板に転写した。この露出の後、ウエハーを90℃5分間ポストベークし、Nano SU-8現像液中で現像した。所望のデザインを含むウエハーを、シリコンウエハー上に残っているかもしれない過剰な感光されていないフォトレジストを除去するために、アセトンとイソプロパノールで濯いだ。フォトレジストの厚みを、粗面計(Alpha Step-200、Tencor Instruments、マウンテンビュー、CA)で測定したところ、その厚みは、PDMS構造の管路深さと一致した。
次いで、Sylgard184および硬化剤の脱ガスした10:1混合物をシリコンウエハー上に流し込み、75℃で約2時間硬化した。PDMSを端の近くで切断し、ウエハーからPDMSを折り返して、マスターウエハーから取り除いた。PDMS管路の多数のコピーを製造するために、マスターを再利用することができた。得られたPDMSフロー管路は、幅200mm、深さ100mm、長さ3.0cmであった。
ソーダ石灰ガラス板を地元のガラスの店から購入した。ガラス板は、幅7cm、長さ10cm、厚さ1.54mmであった。有機不純物を除去するために、ガラス板をピラニア溶液(70%濃H2SO4/30%H202)に15分間浸漬して洗浄した。次いで、ガラスをNanopure(18MΩ-cm)水で完全に濯ぎ、窒素で乾燥した。従来のリソグラフおよびスパッタリング手順を使用して、パラジウム電極を特定のパターンでガラス上に製造した。各ガラス板は、電極付のフロー管路を保持できた。より具体的には、これは、接着特性用のチタニウム層、およびパラジウム層をアルゴンイオンスパッタリングして、仕上げた。これを仕上げるために、ガラスを、金属の析出のため、析出システム(Thin Film Deposition System、Kurt J.Lesker社)に配置した。金属の厚みは、水晶結晶堆積モニター(Inficon XTM/2、Leybold Inficon)を使用してモニターした。チタニウムは、Ti−ターゲットから約2.3オングストローム/秒の速度で深さ200オングストロームまで堆積した。パラジウムは、Pd−ターゲットから約1.9オングストローム/秒の速度で2000オングストロームの深さまで堆積した。AZ1518ポジ型フォトレジストを、パラジウムが被覆されたガラスの上に動的に配置した。95℃で1分間の前露光焼成後、ポジフィルムを通して紫外線露光を9秒間行った。フィルムを取り除き、ガラスを市販現像液(300MIF AZ現像液)中に45秒置いた。水で濯いで、窒素で乾燥させ、ガラスを95℃で1分間ポストベークした。ガラス板から不必要なパラジウムを除去するために王水(8:7:1、H20:HCI:HNO3)を用い、不必要なチタニウムを除去するためにチタニウムエッチング剤を用いて、ウエットエッチングを行った。完成した時点で、ガラス板をアセトンおよびイソプロパノールで濯ぎ、残っているフォトレジストを取り除き、窒素で乾燥した。
各ガラス板に、水中に浸漬しながら、1mmのダイヤモンドドリルビットとDremel回転バイト(Dremel)で、フローアクセス孔をあけた。leurアダプターのシリンジコネクタ部分をDremel回転バイトで取り除き、カッティングディスクを完成した。研磨ディスクで研磨した後、leurアダプターをガラス板にJ.B. Weldで固定した。使用の前に、エポキシをオーブン(75℃)中で2時間硬化した。パラジウム電極は、銅ワイヤおよびコロイド状銀で接続した。
カーボンインク微小電極を作成するために、先ず、PDMS微小成型管路を、パラジウムリードと接触している(leur取付金具で取り付けられた)、完全に洗浄したガラス板に封止した。最初にPDMS管路を溶剤シンナー(N-160)で処理した。燃料溜のうちの1つを真空にすることによって、シンナーを除去した。シンナーを除去してすぐに、市販カーボンインクと溶剤シンナーとの混合物を管路に加え、対向端を(水流吸引器によって)減圧にすることによって管路を通過させた。加えられたシンナーの量が最初のインク重量の0.2%(v/w)であるインク/シンナー混合物を調製した。管路をカーボンインクで充填した後、真空にした燃料溜をインク/シンナー溶液で充填し、チップ全体を、75℃のオーブンの中に1時間を置いた。この後、PDMSはガラスから取り除くことができ、ガラスの表面に付着した炭素微小電極が残った。チップを別のオーブンに12℃で1時間置くことによって、最後の硬化/状態調節ステップを行った。カーボンインクの微小成型に関係するステップを図3に示す。炭素微小電極の高さは粗面計で測定し、幅は顕微鏡観察で測定した。カーボンインク微小電極の顕微鏡写真を図8Aおよび8Bに示す。
さらにカーボンインク電極を特徴づけるために、サイクリック・ボルタンメタリーを使用し、CH Instruments 810バイポテンシオスタット(オースティン、TX)を使用して、3−電極フォーマットで行った。炭素微小電極が、銀/塩化銀参照電極付き作用電極で、白金ワイヤが補助電極であった。サイクリック・ボルタンメタリー実験用のスタティック電池は、PDMS片において、大きなPDMS片(2cmx3cm)から小さな片(1cm×2cm)を切り取ることによって造り、次いで、このPDMS片を炭素電極上に封止した。電極の全長が溶液にさらされた。フロー実験のために、PDMSマイクロ管路(幅約200mm、深さ100mm、長さ約2cm)を炭素電極の上に封止した。図8Bおよび図9に示すように、全ての電極がマイクロ管路中に封止された。補助電極および参照電極を、電気化学電池ホルダー(CH Instruments)を使用して、出口燃料溜内に収容した。
炭素作用電極は、メチレングリーンにより電解重合する。メチレングリーンは、周知のNADH用電気触媒である。ポリ(メチレングリーン)の薄膜は、CH Instruments 810型ポテンシオスタット(オースティン(TX))を使用し、-0.3V〜1.3V、7スキャンサイクル、スキャン速度0.05V/sで、0.4mMのメチレングリーンと0.1Mのナトリウム硝酸塩を含む10mMのホウ酸ナトリウム溶液の中で、サイクリック・ボルタンメタリーを行うことによって形成した。1片のPDMSを、全炭素電極上の電気化学電池を規定するために使用した。白金ワイヤ補助電極を持つカロメル参照電池により電気化学電池を完成した。電極を濯ぎ、ついで、更なる改良の前に一晩乾燥した。
ガラス板にあけたフローアクセス孔により、シリンジポンプ(ポンプ11、Harvard Apparatus、ホリストン、MA)からの流れにアクセスすることができた。シリンジを、選択した溶液で満し、シリンジポンプ内に置いた。高圧取付金具、leurアダプターおよびテフロンPEEK管を使用して、シリンジをガラスマイクロチップに接続した。流速は、フローアクセス孔に一端が整列されている幅200μmのPDMSフロー管路を通して、0μL/分〜15μL/分で変化させた。管路は、電極上に直接封止した。管路の他端に、ホールパンチによって燃料溜を形成し、そこに、カソードまたは参照電極および対極を置いた。
カーボンインク電極は、一般に、幅55μm、高さ87μmで、長さ2.5cmの電極であった。1mMトリス(2,2'−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)6水和物および0.1M硫酸ナトリウムの溶液を電解質として用い、サイクリック・ボルタンメタリーを使用して電極の応答を特徴づけた。静止溶液中のカーボンインク電極について、3.38×10-4±3.37×10-5A/cm2の電流密度を得た。これは、従来のガラス質炭素微小電極の2.06×10-4±1.11×10-5A/cm2と対比することができる。1mMトリス(2,2'−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)6水和物および0.1M硫酸ナトリウム溶液を用いて、200μm幅の管路に封止した微小電極を、種々の流速で検討した。電流密度を図10に記録する。流速が増加するにつれ、電流密度が増加した。これは、流速が増加するにつれ、測定物質が電極表面により速く到達するためと考えられる。最初に、電極を清浄にするために、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.4)中で、1.5Vを3分間印加する電気化学的予備処理を利用した。しかし、予備処理は、処理されていない電極と比較して、サイクリック・ボルタモグラムにほとんど影響しなかったので、更なる検討では採用しなかった。
メチレングリーンを、14スキャンセグメントを使用し、-0.3V〜1.3Vで、マクロスケール炭素電極で使用したのと同じ手順で、炭素微小電極上に首尾よく固定化した。重合ボルタモグラムは、マクロサイズの炭素電極を用いて得られるものと類似していた。NADHを使用して、ポリ(メチレングリーン)で被覆されたカーボンインク電極の電気触媒特性を測定した。静止状況下、1.29×10-4±4.62×10-5A/cm2の電流密度を得た。更なる検討では、種々の流速での流体力学的フロー状況を使用して、被検体溶液をポンプ送りし、PDMSフロー管路を通り電極表面へ流した。市販マイクロフィティングを使用し、20mL/分までの流速で、炭素微小電極上に可逆的に封止された、3cm×240mm×100mmのPDMS管路を通してポンプ送りされた。NADHを、PDMSフロー管路を通して0.5mL/分〜15.0mL/分の間の種々の流速で、ポンプ送りした。これらの条件での電流密度を、平面ディスクガラス炭素電池(直径=3mm)について表2に示すが、流速からは独立である。このゆな結果は、このシステムでは通常予想されることではない。NADHとポリ(メチレングリーン)で変性されたカーボンインク電極との間の電子移動が、流速の増加により電流密度が増加すると予想されることからの逸脱を引き起こした可能性がある。
Figure 2007529865
実施例2
電子導体溶液中でEIM付電極の製造
実施例1の手順を、電子導体と酵素固定化物質とを含む電極を形成するプロセスを単純化するためにわずかな変更を加えて、繰り返した。そのために、電子導体溶液を、酵素固定化物質が含まれるように変更した。追加物質は、秤量ボート中で、0.0003モルのTBABを1mLのNafionに加え、混合物を風乾して調製した。風乾の後、水を加えて混合物を濯ぎ、混合物を一晩風乾した。次に、混合物を水でさらに2回濯ぎ、風乾した。次に、材料を1mLのErcon N160 Solvent Thinner 中に懸濁し、十分にボルテックスした。最後に、この修正シンナー1mLを、0.5gのErcon E978(I)炭素系インクに加えた。次に、この修正電子導体溶液を、実施例1に記載した方法で、キャスティング金型と基材とによって形成した金型キャビティへ流し込み、硬化した。
実施例3
アノードの形成
本発明によるバイオアノードを形成するために、実施例1の一般的なステップを使用し、硬化および活性化段階の後に電子導体上に付加的な物質を流すことによってアノードを完成させた。最初に、メチレングリーンの溶液を、電子導体を横断してシリンジポンピングによって調製した。次いで、スキャン速度50mV/sで、-0.3V〜1.3Vの14スキャンセグメントで、溶液を電解重合した。
次に、残りのアノード成分の流延溶液を、低級脂肪族アルコール中で、約100mLのTBAB、約200mLのADHおよび約5mgのNAD+を組み合わせて作成した。次いで、この溶液を一緒に十分にボルテックスし、約1mL/分の流速で、約100mmのマイクロ管路を通してポンプ送りした。その後、電子導体および流延溶液を一晩乾燥させた。
実施例3A
微小バイオアノードの製造
マイクロチップおよび管路マスターを、フォトリソグラフィーを使用し、実施例1Aの記載と同様にして製造した。微小成型手順から製造されたカーボンインク微小電極を、明細書に記載のテトラブチルアンモニウムブロミド/Nafion(登録商標)膜混合物でさらに改変することができた。
炭素微小電極をバイオアノードとして作動させるために変更した。PDMSをパンチして孔をあけ、微小電極の周囲に置かれ、Ag/AgCl参照電極および補助電極としての白金ワイヤを含むバルク燃料溜を形成した。具体的には、これはスタティック電池であった。0.4mMのメチレングリーンと0.1Mのナトリウム硝酸塩との10mMのホウ酸ナトリウム溶液を、PDMS燃料溜へのピペットで添加した。サイクリック・ボルタンメタリーによるメチレングリーンの重合を、CH Instruments 650 ポテンシオスタット(オースティン、TX)を使用して、スキャン速度50mV/sで、-0.3V〜1.3V、14スキャンセグメントで行った。メチレングリーン溶液を燃料溜からピペットで採取し、PDMSを取り除いた。次いで、ポリ(メチレングリーン)で改変したカーボンインク微小電極を18MQ(Nanopure)水で濯ぎ、一晩乾燥した。
アルコールデヒドロゲナーゼ/Nafion(登録商標)混合物を、微小電極に可逆的に封止されたマイクロ管路および流体力学的流れを使用して、炭素微小電極上に固定化した。このフロー管路のサイズは、微小電極上への配置はできるが、電極よりそれほど広くないようなものであった。これを達成するために、全電極がマイクロ管路内に封止されるように、PDMSマイクロ管路(幅130mm、深さ100mm、長さ約2cm)を炭素電極(幅約40mm、長さ約2cm、高さ約100mm)上に封止した。テトラブチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)20mLごとに1mgのNADを含む2:1比のアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)とテトラブチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)との混合物を製造し、十分に混合するまでボルテックスした。混合物を、シリンジポンプ(Harvard Apparatus、ブルックフィールド、OH)を使用し、1.0mL/分でシリンジを通して管路に導入した。(視覚的にモニターして)混合物が管路の全長に移動した時、溶剤を室温で蒸発させた。これは、PDMSが気体に対して透過性であるため可能である。蒸発が完了した後、PDMSを取り除くと、被覆されたバイオアノードが残った。
実施例4
バイオカソードの形成
本発明によるバイオカソードを形成するために、実施例1の一般的なステップを使用し、硬化および活性化段階の後、付加的な物質を電子導体上に流すことによって、バイオカソードを完成させた。
電子導体を改変するために、約1mgのビリルビン、約1mgのビリルビンオキシダーゼおよび約100mLのTBABの流延溶液を、約20分間、一緒にボルテックスした。次に、溶液を約1mL/分の流速で、約100mmのマイクロ管路を通してポンプ送りした。次いで、電子導体および流延溶液を一晩乾燥した。乾燥の後、電極を、約1mMのRu(bpy)3 +2および約0.1Mの硫酸ナトリウムの溶液に約24時間浸漬した。
実施例4A
マイクロバイオカソード
バイオカソードを、実施例3Aのバイオアノードと類似した方法で製造した。PDMSマイクロ管路をカーボンインク微小電極上に封止した。テトラブチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)を、ビリルビンおよびビリルビンオキシダーゼと混合した。次いで、混合物を1.0mL/minで、管路を通して、管路の端部に達するまでポンプ送りし、その後、溶剤を蒸発させた。トリス(2,2'−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)6水和物を、その1.0mMの溶液を0.5mL/分の流速で5時間流すことによって、膜内で交換した。その後、PDMSフロー管路を取り除くと、バイオカソードとして使用される被覆電極が残った。
実施例5
バイオカソードと外部アノードとを有する燃料電池
本発明による機能性バイオ燃料電池を形成するために、実施例4で製造されたバイオカソードを外部アノードと組み合わせた。
実施例6
バイオアノードと外部カソードとを持つ燃料電池
本発明による機能性バイオ燃料電池を形成するために、実施例3で製造されたバイオアノードを外部カソードと組み合わせた。
実施例7
別個のマイクロ管路中にバイオカソードおよびバイオアノードを持つ燃料電池
本発明による機能性バイオ燃料電池を形成するために、実施例3で製造されたバイオアノードを、実施例4で製造されたバイオカソードと組み合わせた。そうするために、バイオアノードとバイオカソードとを同じ基材上に、典型的には、互いに平行し、約100μm〜1cm離して形成した。次いで、通路を、管路がお互いに露出するように物質を取り除くことによって、それぞれのPDMS微小流体管路形体の間に形成した。図5を参照されたい。バイオ燃料電池を再度シールし、燃料流体または酸化剤の漏洩も防ぐために、PDMSの薄層を、PDMS微小流体管路形体上に置いた。
実施例8
同じマイクロ管路内にあるバイオカソードとバイオアノードとを持つ燃料電池
図7を参照して、本発明による機能性バイオ燃料電池を形成するために、実施例3で製造されたバイオアノードを、実施例4で製造されたバイオカソードと組み合わせられた。そうするために、バイオアノードとバイオカソードとを同じ基材上に、典型的には、互いに平行し、約100μm〜1cm離して形成した。次いで、バイオアノードとバイオカソードとにかぶせた型を取り除いた。次いで、単一の管路(34)を有し、バイオアノード(41)とバイオカソード(40)とを囲む微小流体管路形体を、バイオアノードとバイオカソード上で基材に適用した。燃料流体および/または酸化剤は、入り口燃料溜(33)から、管路に入り、出口ベント(35)から管路を出る。
実施例9
燃料電池スタック
本発明によるバイオ燃料電池スタックを形成するために、実施例7に従って、典型的には互いに平行な、数個のバイオ燃料電池を同じ基材上で構成した。次いで、外部電気コネクタを使用し、電気的に最初のバイオ燃料電池のバイオカソードを第二のバイオ燃料電池のバイオアノードに接続した。次いで、第二のバイオ燃料電池のバイオカソードを、第3のバイオ燃料電池のバイオアノードに電気的に接続した。独立したバイオ燃料電池の全てを電気的に接続し、バイオ燃料電池スタックとするまで、このパターンを繰り返した。このバイオ燃料電池スタックは、独立したバイオ燃料電池能力の合計にほぼ等しい電流を発生した。
実施例10
バイオアノードおよびバイオカソードの形態
電気化学的測定を行う前に、全ての変性電極をpH7.15のリン酸緩衝液で平衡化した。作用電極は、バイオアノードまたはバイオカソードとして変性したカーボンインク微小電極であった。参照電極は、Ag/AgCl電極であり、白金ワイヤが補助または対向電極として作用した。バイオアノードは、リン酸緩衝液(pH7.15)中の1.0mMのエタノールと1.0mMのNAD溶液中で、−0.5V〜1.3Vのサイクリック・ボルタンメタリーにより検討した。バイオカソードは、サイクリック・ボルタンメタリーを使用して、pH7.15のリン酸緩衝液中で検討した。電位は、0.2Vから1.9Vまでスキャンした。ピーク電流を、静止システム(PDMSにおける燃料溜によって規定される)およびフローシステム(PDMSで規定される幅200mmの管路を使用して)の両方において、それぞれの電極で記録した。
先ず、スクリーン印刷プロセスで通常使用されている4種の市販のカーボンインクを、マイクロチップ系バイオ燃料電池において、それらの使用可能性について試験した。カーボンインク微小電極をメチレングリーンで重合した。アルコールデヒドロゲナーゼとテトラブチルアンモニウムブロミド変性Nafion(登録商標)との混合物を、幅100mmのPDMS管路を通して電極上に塗布した。全ての溶媒を蒸発させた後、管路を取り除き、幅200mmのPDMS管路と交換した。サイクリック・ボルタンメタリーを使用し、pH7.15のリン酸緩衝液中の1mMのエタノールと1mMのNAD燃料溶液を、管路を通して1.0mL/分で、ポンプ送りした。ピーク電流を記録し、使用した各インクについて電流密度を計算した。結果を、表3に示す。ErconE-978(I)カーボンインクは、最も高い電流密度を示し、更に検討するために使用した。バイオアノードの電流密度は、静止システムにおいて、種々の流速で測定した。電流密度は、流速によって異ならない。これは、膜を通る拡散が限定されるため、変性電極に、特に変性層が厚い膜である場合に特有のものである。静止システムで測定される電流密度は、フローシステムで得られる電流密度と統計学的には相違しない。微小電極バイオアノードで得られた最大電流密度は、3.26mA/cm2であった。これはマクロスケールのバイオアノードに相当する。
Figure 2007529865
バイオカソードは、燃料として酸素を使用する。アノードからの電子は、電極で反応し、Ru(bpy)3 +3をRu(bpy)3 +2に還元し、次いで、ビリベルジンと反応が進み、ビリルビンを生成し、Ru(bpy)3 +3を再生する。ビリルビンは、ビリルビンオキシダーゼおよび空気からの酸素と反応し、ビリベルジンを再生し、副生物である水を生成する。この過程を図1に示す。カソードを製造し、リン酸緩衝液(pH7.15)を流速1.0mL/分で幅200mmのPDMS管路に流すことによって、サイクリックボルタンメトリーで検討した。静止システムについて、50mV/sのスキャン速度で、100mA/cm2の電流密度が得られた。それらの数値の間に統計上の差異はないが、フローシステムを使用した場合、図11に示すように流速が増加するにつれ電流密度は増加する。微小流体システムで測定される電流密度は、静止システムより低い。おそらく膜からRu(bpy)3 +3が浸出するためであろう。酸素の拡散は、特に溶液中の他の検体より非常に速いため、バイオカソードの機能はバイオアノードより優れている。ミクロスケールのバイオカソードの最大電流密度は、101mA/cm2であった。比較として、マクロスケールのバイオカソードは5.82mA/cm2の電流密度しか発生しなかった。他の殆どの非気体被検体と比較すると、酸素拡散が非常に速いため、アノードはさらに最適化され、それらのパラメータは、同様にバイオカソードにも使用されるであろう。
一旦バイオアノードとバイオカソードとが、カーボンインク微小電極を変性し、PDMS管路内にそれらを封止することによって、チップの上で別々に導入されると、完全なバイオ燃料電池が試作できた。バイオ燃料電池の第一バージョンは、図5に示されるように、並行した2本の別個のカーボンインク電極から成り、PDMSの同じ片上の2つの管路内に封止され、管路の端部に接続燃料溜を有していた。この構成の1つのバージョンを図12に示す。ここでは、フロー出口がPDMS内にはなく、ガラスに開けられた孔にあり、溶液をチップの後方で燃料溜に導く。問題が両方の配置にあった。バイオカソードに含まれるRu(bpy)3 2+またはビリルビンは、外へ拡散するか、PDMSまたはガラスに吸着し始め、流れで洗い落とされた。これが膜を汚染し、アノードを被覆し、開回路電位を減少させていた。カーボンインク電極の高い抵抗値が、システムそれ自体に負荷を与え、低い開回路電位となっていた。最大開回路電位は、0.43Vであったが、すぐに減少した。安定した最大開回路電位は、0.21Vであり、比較としてのマクロスケールのバイオ燃料電池は開回路電位0.74Vを生成していた。電池は一定の開回路電位を達成しなかったため、電力カーブは、得られなかった。
微小流体系電池において、このような問題を軽減し、電力カーブを効果的に得るために、外部カソードを開発し、マイクロチップ上で微小流体バイオアノードと組み合わせた。ガラス管の一片を切り取り、Nafion(登録商標)117膜を、J.B.Weldを使用して、その一端でエポキシ化した。ガラス管は、リン酸緩衝液(pH7.15)で満たし、白金ワイヤの1片を挿入し、カソードとして作用させた。バイオアノードに基づくマイクロチップはフロー管路内に残り、1mmのエタノールおよびNAD+を、1.0mL/分でシステムにポンプ送りした。カソードを、図13で示すように、フロー管路の端部で燃料溜に配置した。このバイオ燃料電池で得られた代表的な電力カーブを図14に示す。アルコールデヒドロゲナーゼを使用した微小流体システムに関し、53.0±9.1μA/cm2の最大電流密度とともに、0.34Vの最大開回路電位が得られた。これらは、一部、電極表面上の厚い膜に起因して、マクロスケールのバイオ燃料電池よりかなり低い。マクロスケールのシステムでは、膜厚みの制御は、電極上で、より少ないあるいは多い容量をピペットで取ることによって得られる。微小電極は、流延溶液を管路に流すことで被覆される。膜の厚みは、電極のサイズおよび溶液中に存在する膜の割合に依存する。
本発明の要素・成分またはその好ましい態様を導入する場合、冠詞「a」および「an」、「the」、「said」は、1つまたはそれ以上の要素があることを意味するものである。用語「含む」および「含有する」、「有する」は包括的なものであって、列挙した要素・成分の他に付加的な要素・成分もあってもよいことを意味する。
前記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られるであろうことが理解される。
本発明の範囲を逸脱せずに、種々の変化を前記方法および生成物に加えることができるため、先の記述に含まれて、添付の図面に示される全ての内容は、例示と解すべきで、限定ではないと理解される。
ビリルビンオキシダーゼによって触媒されて場合のRu(ビピリジン)3 +2の水への還元の模式図である。ビリルビンは、バイオカソードにおいて酵素固定化物質中で電解される。 NAD依存性アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって触媒された場合の、エタノールのアルデヒドへの酸化の模式図である。NADHは、ポリ(メチレングリーン)変性バイオアノードードにおいて電気分解される。 図3A〜図3Dは、単一微小電極を形成する手順を示す模式図である。 単一の機能性バイオアノードまたはバイオカソードを示す模式図である。 微小流体バイオ燃料電池を示す模式図である。 微小流体バイオ燃料電池スタックを示す模式図である。 単一の微小流体管路を持つ微小流体バイオ燃料電池を示す模式図である。 図8A〜図8Bは、実施例1Aで製造したカーボンインク微小電極の顕微鏡写真である。 1端部と他端部でのPDMS中の出口とからのシリンジを介する流れにアクセスする、PDMS管路に封止されたカーボンインク微小電極の模式図である。 電解質として1mMのトリス(2,2'−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)6水和物と0.1Mの硫酸ナトリウムとの流速に応じたカーボンインク微小電極の電流密度のグラフである。 50mV/sのスキャン速度で、リン酸緩衝液(pH7.15)中のバイオカソードの流速に応じた電流密度のグラフである。 マイクロチップ上に完全に集積されたバイオ燃料電池の写真である。 外部カソードを持つ、集積された微小流体バイオアノードの写真である。カソードは、一端にNafion(登録商標)117の膜を持ち、リン酸緩衝液(pH7.15)中にあるガラスチューブ中の白金ワイヤから成る。 カソードとして外部白金ワイヤを持つ微小流体バイオアノードの代表的な電力カーブのグラフである。

Claims (71)

  1. 燃料流体を使用する電気発生用のバイオ燃料電池であって、
    基材と、
    該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードと、
    該基材で支持され、該燃料流体を酸化する反応ができるアノードと、
    を含み、
    前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、そのそれぞれの反応を行うために使用される酵素を含み、
    前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、電流発生に用いるための燃料流体がその内部を流れるように形成されている、バイオ燃料電池。
  2. アノードが、
    (a)電子導体と、
    (b)還元形態が前記電子導体に電子を放出することができる電子メディエータと、
    (c)該電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応して、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (d)該酵素を固定化し安定化することができ、前記燃料流体および電子メディエータに対して透過性である酵素固定化物質と、
    を含む請求項1に記載のバイオ燃料電池。
  3. アノードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができ、電子メディエータの還元形態は電子導体に電子を放出することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料流体に対して透過性である酵素固定化物質と、
    を含む請求項1に記載のバイオ燃料電池。
  4. アノードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータと、
    (c)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)該酵素を固定化し安定化することができる酵素固定化物質であって、前記燃料流体および電子メディエータに対して透過性である酵素固定化物質と、
    (d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒と、
    を含む請求項1に記載のバイオ燃料電池。
  5. アノードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、該酵素を固定化し安定化することができ、燃料液体に対して透過性である酵素固定化物質と、
    (d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができる電気触媒と、
    を含む請求項1に記載のバイオ燃料電池。
  6. アノードの電子メディエータが、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸塩(NADP)、タンパク質、金属タンパク質およびステラシアニンを含む請求項2〜5のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  7. アノードの電子メディエータが、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フェナジンメトスルフェート、ジクロロフェノールインドフェノール、短鎖ユビキノンまたはフェリシアン化カリウムを含む請求項2〜3のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  8. 電子メディエータ用のアノードの電気触媒が、アジン、導電性ポリマーまたは電気活性ポリマーを含む請求項2〜7のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  9. 電子メディエータ用のアノードの電気触媒が、メチレングリーン、メチレンブルー、ルミノール、ニトロ−フルオレノン誘導体、アジン、オスミウムフェナントロリンジオン、カテコール−ペンダントテルピリジン、トルエンブルー、クレシルブルー、ナイルブルー、ニュートラルレッド、フェナジン誘導体、チオニン、アズールA、アズールB、トルイジンブルーO、アセトフェノン、メタロフタロシアニン、ナイルブルーA、変性遷移金属リガンド、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン、1,10−フェナントロリン−5,6−ジオール、[Re(フェン−ジオン)(CO)3Cl]、[Re(フェン−ジオン)3](PF62、ポリ(メタロフタロシアニン)、ポリ(チオニン)、キノン、ジイミン、ジアミノベンゼン、ジアミノピリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、トルイジンブルー、ブリリアントクレシルブルー、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アズールI)、ポリ(ナイルブルーA)、ポリ(メチレングリーン)、ポリ(メチレンブルー)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(チエノ[3,4−b]チオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリ(イソチアナフテン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(ジフルオロアセチレン))ポリ(4−ジシアノメチレン−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b']ジチオフェン)、ポリ(3−(4−フルオロフェニル)チオフェン)、ポリ(ニュートラルレッド)、タンパク質、金属タンパク質またはステラシアニンを含む請求項8に記載のバイオ燃料電池。
  10. 酵素が、オキシドレダクターゼを含む請求項2〜9のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  11. オキシドレダクターゼが、CH-OH基またはCH-NH基に作用するオキシドレダクターゼまたはデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼまたはPQQ−依存性デヒドロゲナーゼを含む請求項10に記載のバイオ燃料電池。
  12. カソードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータおよび電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤透過性であり、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、該電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできる酵素固定化物質と、
    を含む請求項1〜11のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  13. カソードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤透過性である酵素固定化物質とを含み、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、該電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできる酵素固定化物質と、
    を含む請求項1〜11のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  14. カソードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質と、を含み、
    電子メディエータの酸化形態は、電子導体から電子を得て電子メディエータの還元形態を形成することができる請求項1〜11のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  15. カソードが、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質と、を含み、
    電子メディエータの酸化形態は、電子導体から電子を得て電子メディエータの還元形態を形成することができる請求項1〜11のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  16. カソードの酵素が、オキシドレダクターゼを含む請求項12〜15のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  17. オキシドレダクターゼが、ラッカーゼ、オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルコール系オキシダーゼ、コレステロール系オキシダーゼ、酸素オキシドレダクターゼまたはビリルビンオキシダーゼを含む請求項16に記載のバイオ燃料電池。
  18. カソードの酵素が、pH6.5とpH7.5の間で最適活性を有する請求項12〜17のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  19. カソードの電気触媒が、約+0.4ボルトを超える標準還元電位を有する有機金属陽イオンである請求項12、13または16〜18のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  20. 有機金属陽イオンが、遷移金属、オスミウム、ルテニウム、鉄、ニッケル、ロジウム、レニウムまたはコバルトを含む請求項19に記載のバイオ燃料電池。
  21. 有機金属陽イオンが、有機芳香族リガンドを含む請求項20に記載のバイオ燃料電池。
  22. 大きい有機芳香族リガンドが、1,10−フェナントロリンの誘導体、2,2−ビピリジンの誘導体または2,2',2''−ターピリジンの誘導体を含む請求項21に記載のバイオ燃料電池。
  23. 電気触媒の還元形態が、Ru(フェナントロリン)3 +2、Fe(フェナントロリン)3 +2、Ru(ビピリジン)3 +2、Os(ビピリジン)3 +2またはOs(ターピリジン)3 +2を含む請求項12、13または16〜22のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  24. 電気触媒の酸化形態が、Ru(フェナントロリン)3 +3、Fe(フェナントロリン)3 +3、Ru(ビピリジン)3 +3、Os(ビピリジン)3 +3またはOs(ターピリジン)3 +3を含む請求項12、13または16〜23のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  25. カソードの電気触媒が、約100mMと約3Mとの間の濃度において存在する請求項12、13または16〜24のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  26. カソードの電気触媒が、約250mMと約2.25Mとの間の濃度において存在する請求項12、13または16〜24のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  27. 電気触媒が、約500mMと約2Mとの間の濃度において存在する請求項12、13または16〜24のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  28. 電気触媒が、約1.0Mと約1.5Mとの間の濃度において存在する請求項12、13または16〜24のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  29. 電子メディエータの酸化形態が、ビリルビン、ステロール、糖または脂肪酸を含む請求項12〜28のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  30. 電子メディエータの酸化形態がビリルビンを含み、電子メディエータの還元形態がビリベルジンを含む請求項12〜28のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  31. 燃料流体が、水素、アンモニア、アルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、アリールアルコール、グリセロール、プロパンジオール、マンニトール、グルクロン酸塩、アルデヒド、炭水化物、グルコース、グルコース−1、D−グルコース、L−グルコース、グルコース−6−リン酸、乳酸塩、乳酸塩−6−リン酸塩、D−乳酸塩、L−乳酸塩、フルクトース、ガラクトース−1、ガラクトース、アルドース、ソルボース、マンノース、グリセリン酸塩、補酵素A、アセチルCo-A、リンゴ酸塩、イソクエン酸塩、ホルムアルデヒド、アセタルデヒド、アセテート、クエン酸塩、L−グルコネート、β−ヒドロキシステロイド、α−ヒドロキシステロイド、ラクダルデヒド、テストステロン、グルコネート、脂肪酸、脂質、ホスホグリセレート、レチナール、エストラジオール、シクロペンタノール、ヘキサデカノール、長鎖アルコール、コニフェニルアルコール、シンナミルアルコール、ギ酸、長い鎖アルデヒド、ピルビン酸塩、ブタナール、アシル−CoA、ステロイド、アミノ酸、フラビン、NADH、NADH2、NADPH、NADPH2、炭化水素、ケトンまたはアミンを含む請求項1〜30のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  32. 酸化剤が、気体状酸素または過酸化物化合物を含む請求項1〜31のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  33. 燃料流体と酸化剤とが、バイオ燃料電池中を、電気泳動ポンピングと流体力学的ポンピングのうちの少なくとも1つによって移動される請求項1〜32のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  34. 燃料流体と酸化剤とが、バイオ燃料電池中、約0.01μL/分と約10μL/分との間の流速で移動される請求項1〜32のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  35. 燃料流体と酸化剤とが、バイオ燃料電池中、約0.5μL/分と約10μL/分との間の流速で移動する請求項1〜32のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  36. 燃料流体と酸化剤とが、バイオ燃料電池中、約1μL/分と約5μL/分との間の流速で移動する請求項1〜32のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  37. 燃料流体が静止している請求項1〜32のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  38. 酵素固定化物質が、ミセルまたは逆ミセル構造を含む請求項2〜37のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  39. 酵素固定化物質が、変性パーフルオロスルホン酸−PTFEコポリマーを含み、燃料流体および/または酸化剤および電子メディエータに対して透過性である請求項2〜38のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  40. 電子導体が、炭素系物質または金属性導体、半導体、金属酸化物、変性導体を含む請求項2〜39のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  41. 電子導体が炭素系インクを含む請求項2〜40のいずれかに記載のバイオ燃料電池。
  42. 燃料流体を使用する電気発生用のバイオ燃料電池であって、
    基材と、
    該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードと、
    該基材で支持され、該燃料流体を酸化する反応ができるアノードと、を含み、
    前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、その反応を行うために使用される酵素を含み、
    カソードは、ミセル構造または逆ミセル構造を含む酵素固定化物質を含む、バイオ燃料電池。
  43. 燃料流体を使用する電気発生用のバイオ燃料電池であって、
    基材と、
    該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードと、
    該基材で支持され、該燃料流体を酸化する反応ができるアノードと、を含み、
    前記アノードとカソードのうちの少なくとも1つは、その反応を行うために使用される酵素とを含み、
    アノードおよびカソードの少なくとも1つのは約200μm未満の幅を有し、少なくとも1つの表面は、前記表面上に燃料流体および/または酸化剤の対流を誘発することができる不規則な三次元形状を有するバイオ燃料電池。
  44. 燃料流体を使用する電気発生用のバイオ燃料電池であって、
    基材と、
    該基材で支持され、電子の存在下に酸化剤を還元して水を生成する反応ができるカソードであって、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応し、該電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータおよび電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、酸化剤透過性である酵素固定化物質と、を含み、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、該電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできるカソードと、
    前記基材で支持され、燃料流体を酸化する反応ができるアノードであって、
    (a)電子導体と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料流体と反応し、該燃料流体の酸化形態および前記電子メディエータの還元形態を形成することができる、少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し安定化することができ、燃料液体透過性である酵素固定化物質と、
    (d)電子導体に近接する電気触媒であって、電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができる電気触媒と、を含み、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができるアノードと、を含み、
    前記アノードおよびカソードの少なくとも1つは、電流発生に用いる燃料流体がその内部を流れるように形成されており、
    前記アノードおよびカソードの少なくとも1つの酵素固定化物質は、ミセル構造または逆ミセル構造を含み、
    前記アノードおよびカソードの少なくとも1つのは、約200μm未満の幅を有する、バイオ燃料電池。
  45. 請求項1〜44のいずれかに記載のバイオ燃料電池に用いられる電極であって、該電極は、約200μm未満の幅を有する電子導体を含み、少なくとも1つの表面は、該表面上に燃料流体の対流を誘発することができる不規則な三次元形状を有する電極。
  46. 電極の幅が約1μmと200μmとの間である請求項45に記載の電極。
  47. 電極の幅が約10μmと200μmとの間である請求項45に記載の電極。
  48. 電極の幅が約10μmと50μmとの間である請求項45に記載の電極。
  49. 電極の幅が約10μmと20μmとの間である請求項45に記載の電極。
  50. 電極が炭素供給源を含む請求項45に記載の電極。
  51. 電極が炭素系インクを含む請求項45に記載の電極。
  52. 電極が、その中を燃料流体が流れるように形成されている請求項45に記載の電極。
  53. 幾何学的表面積より少なくとも1.5倍の有効表面積を有する電子導体を含む電極であって、電極の寸法が100μm未満である電極。
  54. 有効表面積が、幾何学的表面積の1.5倍と6倍との間である請求項53に記載の電極。
  55. (a)請求項45〜54のいずれかに記載の電極と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応して、電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータと電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し、安定化することができ、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質と、を含み、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、該電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできるバイオカソード。
  56. (a)請求項45〜54のいずれかに記載の電極と、
    (b)電子メディエータの還元形態および酸化剤と反応して、電子メディエータの酸化形態および水を生成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電気触媒を含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し、安定化することができ、酸化剤に対して透過性である酵素固定化物質と、を含み、電気触媒の酸化形態は、電子導体から電子を得て電気触媒を還元形態とすることができ、該電気触媒の還元形態は電子メディエータの酸化形態と反応し、電子メディエータの還元形態および電気触媒の酸化形態を形成することのできるバイオカソード。
  57. (a)請求項45〜54のいずれかに記載の電極と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料液体と反応して、燃料液体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を形成することができ、電子メディエータの還元形態は電子を電子導体へ放出することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)酵素を固定化し、安定化することができ、燃料液体および電子メディエータに対して透過性である酵素固定化物質と、
    を含むバイオアノード。
  58. (a)請求項45〜54のいずれかに記載の電極と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料液体に反応して、燃料液体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を形成することができ、電子メディエータの還元形態は電子を電子導体へ放出することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータを含む酵素固定化物質であって、酵素を固定化し、安定化することができ、燃料液体に対して透過性である酵素固定化物質と、
    を含むバイオアノード。
  59. (a)請求項45〜54のいずれかに記載の電極と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料液体と反応して、燃料液体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)酵素を固定化し、安定化することができ、燃料液体と電子メディエータとに対して透過性である酵素固定化物質と、
    (d)電子導体に近接する電気触媒と、を含み、
    電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができるバイオアノード。
  60. (a)請求項45〜54のいずれかに記載の電極と、
    (b)電子メディエータの酸化形態および燃料液体と反応して、燃料液体の酸化形態および電子メディエータの還元形態を形成することができる少なくとも1つの酵素と、
    (c)電子メディエータを含む酸素固定化物質であって、酵素を固定化し、安定化することができ、燃料液体に対して透過性である酵素固定化物質と、
    (d)電子導体に近接する電気触媒と、を含み、
    電気触媒の酸化形態が、電子メディエータの還元形態と反応して、電子メディエータの酸化形態および電気触媒の還元形態を形成することができ、電気触媒の還元形態が電子導体に電子を放出することができるバイオアノード。
  61. バイオ燃料電池に用いられる電極を形成する方法であって、
    基材上で少なくとも1つの電気コネクタを形成すること、
    電極を不動態化せず、基材に可逆的に封止されうる物質で構成される非導電性キャスティング金型中に少なくとも1つのマイクロ管路を形成すること、
    キャスティング金型を基材に付着することと、
    マイクロ管路を介して電子導体溶液を流し込むこと、
    電子導体溶液を硬化させ、電極を形成すること、
    を含む方法。
  62. キャスティング金型中のマイクロ管路がソフトリソグラフィーを使用して形成される請求項61に記載の方法。
  63. キャスティング金型が、シリコン、ガラス、ポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)またはポリカーボネートからなる群から選択される請求項61に記載の方法。
  64. 基材が平坦である請求項61に記載の方法。
  65. 基材がガラスである請求項61に記載の方法。
  66. さらに、キャスティング金型を取り除き、それを、大きなマイクロ管路を持つガス透過性型と交換することを含む請求項61に記載の方法。
  67. ガス透過性型が、シリコンまたはガラス、ポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリカーボネートを含む請求項66に記載の方法。
  68. ガス透過性型中のマイクロ管路がソフトリソグラフィーを使用して形成される請求項66に記載の方法。
  69. 電子導体溶液が、炭素供給源を含む請求項61に記載の方法。
  70. 電子導体溶液が、炭素系インクを含む請求項61に記載の方法。
  71. 電極が約75℃で約2時間加熱することによって硬化される請求項61に記載の方法。
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