JP6295630B2 - バイオ燃料電池 - Google Patents
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Description
〔1〕電解質膜を介して対向する正極及び負極を有し、前記正極及び負極の少なくとも一方が酵素電極として構成されるバイオ燃料電池であって、
前記酵素電極と前記電解質膜との間に形成された保護膜と、
前記バイオ燃料電池の内部に連通し外気に開放される通気構造部に設けられ前記内部からの液体の蒸発を防ぐ防水膜と、を備える。
〔4〕前記防水膜は、空気を透過させるが水分を透過させない素材で形成されている。
〔7〕前記生化学的緩衝物質は、酵素変性作用を有しない物質である。
従来技術の項で特許文献2として説明した本願発明者らの先の発明である特開2013−45647号(以下、「先願発明」と称する)の図2に記載のバイオ燃料電池の耐久性評価を行った。
A.バイオ燃料電池の構成
先願発明の図2に記載のバイオ燃料電池の構成を簡単に説明する。正極と負極が固体電解質膜等の隔膜を挟んで対向するように構成され、正極と負極は外部回路によって接続されている。そして、負極の隔膜とは反対側に接触させてゲル燃料が配置されている。ここで、ゲル燃料とは、燃料を適当な支持体の三次元構造内に封入又は包埋して調製したものである。ゲル燃料には、燃料、及必要に応じてメディエーター、及び緩衝物質等を含ませて構成されている。発電機構は、負極において、燃料の酸化反応に伴い電子とイオンが生じ、生じたイオンが隔膜を介して正極側に移動する。一方、電子は外部回路を介して正極側に移動する。かかる構成を採用する場合、ゲル燃料は電子を伝導するものであってはならない。正極側では、空気中の酸素を取り込み、負極側から移動してきたイオンと電子による還元反応が行われる。そして一連の電子化学反応により、電子が外部回路を移動する際に電気エネルギーが取り出されるというものである。
a.正極用酵素(BOD)溶液の調製
正極用酵素溶液として、ビリルビンオキシダーゼ(Bilirubin Oxidase:天野エンザイム、BOアマノ3、以下「BOD」と略する。)を適当量の0.1 Mの Sodium phosphate Bufferに溶解し、280 nm吸光度測定から吸光度1=1.0 mg/mlと換算して20 mg/mlとなるように濃度調整した。ここで、水は全てミリポア社製超純水製造装置Direct-Q UVで精製したものを使用した。また、リン酸水素二ナトリウム(無水)(和光純薬197-02865)142 gを水に溶解、1 Lにメスアップして、1 M リン酸水素二ナトリウム水溶液とした。リン酸二水素ナトリウム二水和物(和光純薬192-02815)156 gを水に溶解、1 Lにメスアップして、1 Mリン酸二水素ナトリウム水溶液とした。これら水溶液を25 ℃でpH 7.0となるよう混合し、その後、蒸気加熱滅菌(121 ℃、20分)処理を行い、1 M Sodium phosphate Bufferとした。
なお、本実験では、先願発明で用いたカーボンペーパーに代えて、カーボンクロスを導電性基材として使用している。カーボンクロスを1.4 cm×1.4 cmにカッターで切断した。活性炭粉末、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)を乳鉢で混合の後、適当量をスパチュラでカーボンクロス両面に塗抹して60 ℃で8時間以上乾燥させた。続いて、カーボンクロス1枚毎に上記aで調製したBOD溶液0.1mlを加え、4 ℃で一晩静置して酵素を固定した。なお、BOD溶液は、BOD 15mg/ml、0.1M Sodium phosphate Bufferと0.5Mフェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)水溶液を9:1で混合したものを調製した。使用時には水で軽く洗浄して余分な酵素を落として使用した。
負極用酵素溶液として、グルコース脱水素酵素溶液を調製した。なお、グルコース脱水素酵素としてアシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)NBRC12552株由来のグルコース脱水素酵素を以下の通り調製した。アシネトバクター・カルコアセティカスNBRC12552株由来のグルコース脱水素酵素(以下、「AcGDH」と略する)遺伝子(GeneID:X15871)をベクターpET-22b(+)のマルチクローニング部位(NdeI/BamHI)に挿入した。AcGDH遺伝子を挿入したpET-22b(+)ベクターを用いて大腸菌BL21(DE3)株をトランスフォーメーションし、コロニーをLB/Amp(含アンピシリン50 μg/mL)培地300 mLに接種し、37 ℃で一晩培養した。つぎにジャーファーメンターにLB/Amp培地を20 L仕込み、前培養液200 mlを加え、37℃で約1時間(O.D.=0.1になるまで)培養し、0.01 mM IPTGを加えてタンパク発現誘導をかけ、28 ℃で一晩振盪培養した。ここで発現させたタンパク質の塩基配列を配列表の配列番号3に、また該塩基配列から推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号4に示す。培養液を遠心、上清を除去した沈殿を−80 ℃で凍結保存した。凍結保存されたタンパク質発現菌体5 gをPBSバッファー15 mLに懸濁した。氷上で、超音波破砕機XL2000(MISONIX)を用いて15 Wで15秒間破砕を10回行なった。破砕した液は4 ℃、5000 rpmで20分間遠心分離し、分取した上清をCellulose Acetate 0.45um filter (ADBANTEC)でフィルタリングしたものをサンプルとした。オープンカラム(Bio-Rad)にヒスチジンタグ精製用レジン:TALON(Clontech)を10 mL充填し、ベッドボリュームの5倍量の平衡化バッファー(PBS + 300 mM NaCl)で平衡化した。前処理を行なったサンプルをカラムにアプライし、ベッドボリュームの5倍量の洗浄バッファー(PBS + 300 mM NaCl + 10 mM imidazol)で洗浄後、ベッドボリュームの3倍量の溶出バッファー(PBS + 300 mM NaCl + 150 mM imidazol)で溶出した。回収した溶出液をAmicon Ultra-4 (Millipore)を用いて濃縮し、微量透析装置 低速タイプおよび透析カップMWCO1200(共にBio-Tec)を用いて、透析バッファー(10 mM Tris-HCl(pH 7.5)+ 0.1 mM CaCl2)を二時間ごとに交換し合計に時間透析した。透析サンプルは4 ℃、15000 rpmで5分間遠心分離し、分取した上清を20 mg/mL以上になるように再度濃縮した。
上記cで調製したAcGDH溶液に1 mM CaCl2、1 μM PQQとなるよう添加し4℃でインキュベートした。カーボンフェルト(カーボンマット50 g/m2のもの)を1.4 cm×1.4 cmにカッターで切断した。AcGDH 5.5mg/mlに0.1 M Sodium phosphate Buffer pH 7.0、5
mM mPMSとなるよう添加した溶液0.22 mlをカーボンフェルトに滴下、風乾して使用した。
1(w/v)% Agarose、60 mM D-Glucose、0.1 M Sodium phosphate Buffer pH 7.0に調製した溶液を電子レンジで溶解、アクリル製型枠に注いで固めた。
バイオ燃料電池セルは、アクリル製型枠に、正極|隔膜|負極|燃料保持部(ゲル燃料)の順番で重ね四方をネジ止めし組み立てた。正極及び負極は共に14mm×14mmとした。外枠はアクリル製型枠とし、厚さ1 mmのアクリル板、厚さ2 mmのアクリル板の中央部に1cm×1cmの角穴を開けたものを使用した。角穴の四辺にはネジ止め用に穴を開けた。ゲル燃料は、アクリル板の中央部に角穴を開けたアクリル製型枠に保持し装着した。アクリル板の厚さは、装着するゲル燃料の厚みに従って適宜変更した。隔膜は、電解質膜であるナフィオン膜(登録商標:Aldrich Nafion 115)を使用した。なお、集電板としてチタンメッシュ(Alfa Aesar 40921、10mm幅×40mm長に切断して使用)、スペーサーとして0.5 mm厚のシリコンシート(アズワン等)を使用し、正極及び負極と隔膜の間のシリコンシートの中央部には14 mmの角穴を開けたが、他のシリコンシートには角穴は開けずに構築した。
上記バイオ燃料電池に500kΩのカーボン抵抗(手帳電卓レベル負荷μA)を接続し、室温(20℃)で電圧の経時変化を記録した。
図2に結果を示す。図2は電圧の経時変化を示す。その結果、当初680mVであったが、8時間後には電圧が2割以上低下し、24時間後には7割程度低下した。水分の蒸発によりゲル燃料が収縮し、ゲル燃料と電極との間に隙間が発生していることが確認され、これが電圧低下の要因として考えられた。このように、先願発明のバイオ燃料電池は、耐久性の確保が実用化に向けた更なる課題であることが判明した。
上記比較例1の結果を受け、先願発明のバイオ燃料電池はその耐久性の改善という課題があることが判明した。そのため、本実施例では水分蒸発の抑制、及び加湿に焦点を当て、これらと耐久性との関係を評価した。
バイオ燃料電池内部、例えば燃料等の水分の蒸発を防ぐため、バイオ燃料電池表面を適当な防水膜で被覆することを検討した。防水膜として安価で入手可能なポリマー素材を調査し、正極反応に必要な酸素を透過し、水分蒸発を防ぐため水の透過性が低い素材の選定を行った。下記表1は、調査を行った各ポリマー素材の水蒸気透過率及び酸素ガス透過率を要約したものである。そして、水蒸気透過率と酸素透過率のデータは兵神装備株式会社の情報提供サイトである技術データ集「エンジニアズブック」http://ebw.eng-book.com/に記載の「各種プラスチックフィルムのガス透過性」を基とし、酸素/水蒸気透過率を計算した。
図3及び図4に結果を示す。図3及び図4は電圧の経時変化を示し、図3はポリエチレン袋のみの場合の結果であり、■は間欠負荷(1日3回各1分程度)、◆は連続負荷した場合の電圧の経時変化である。図4はポリエチレン袋と水を含ませたペーパータオルを設けた場合の結果である。その結果、水分蒸発を防ぐポリエチレン袋のみでは顕著な耐久性向上効果は認められなかったが、水を含ませたペーパータオルを加えることにより24時間後の電圧は15%低下に緩和した。
実施例1において、バイオ燃料電池の耐久性向上には、バイオ燃料電池内部からの水分の蒸発を抑えることが必要であることが判明した。本実施例では、更に、バイオ燃料電池の耐久性向上を図るべく、補酵素添加及び隔膜の種類の検討を行った。
1.従来条件に基づくバイオ燃料電池の構築(実施例2−1)
燃料保持部にゲル燃料ではなく液体燃料を担持させた点、及び負極及び正極の調製において酵素溶液の組成を変更した点を除いては、実施例1にて構築したバイオ燃料電池に従ってバイオ燃料電池を構築した。
カーボンクロスを1.4 cm×1.4 cmにカッターで切断した。活性炭粉末、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)を乳鉢で混合の後、適当量をスパチュラでカーボンクロス両面に塗抹して60 ℃で8時間以上乾燥させた。続いて、カーボンクロス1枚毎に比較例1で調製したBOD溶液0.1mlを加え、4 ℃で一晩静置して酵素を固定した。なお、BOD溶液は、BOD 20mg/ml、0.1M Sodium phosphate Bufferと0.5Mフェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)水溶液を9:1で混合したものを調製した。使用時には水で軽く洗浄して余分な酵素を落として使用した。
比較例1で調製したAcGDH溶液に1 mM CaCl2、0.8 mM PQQとなるよう添加し4℃で30分以上インキュベートした。カーボンフェルト(カーボンマット50 g/m2のもの)を1.4 cm×1.4 cmにカッターで切断した。AcGDH 1mg/mlに5 mM mPMS、0.1 M Sodium phosphate Buffer pH 7.0となるよう添加した溶液0.22 mlをカーボンフェルトに滴下、風乾して使用した。
60mM D-Glucose、0.1M Sodium Phosphate Bufferに調製した。
負極の電極触媒として用いたAcGDHは補酵素が脱離しやすいことから、液体燃料に補酵素を添加した。詳細には、上記実施例2−1のバイオ燃料電池の液体燃料に0.4mM PQQを添加した。
60mM D-Glucose、0.4mM PQQ 、0.1M Sodium Phosphate Bufferに調製した。
上記実施例2−2と同様に、液体燃料を60mM D-Glucose、0.4mM PQQ 、0.1M Sodium Phosphate Bufferとして調製したものを使用した。かかる条件に加えて、隔膜として電解質膜であるナフィオン(登録商標)115を用いた。実施例2−1のバイオ燃料電池で使用されているセルロース膜は500Da以下の分子を透過させるものであるが、ナフィオン膜は水素イオンのみしか通さないという性質を有する。
結果を図5に示す。図5は電圧の経時変化を示す。400mV以上の電圧を保持できる時間を耐久時間と定義すると、実施例2−1では耐久時間は約18時間であったが、実施例2−2では約75時間、実施例2−3では約270時間に向上した。かかる結果より、補酵素の添加によっても耐久時間は向上するが、補酵素添加に加えて隔膜として電解質膜を用いることにより飛躍的に耐久時間が向上することが確認された。
実施例2において、バイオ燃料電池の耐久性向上には、電解質膜の利用が効果的であることが判明した。本実施例では、電解質膜から酵素電極を保護し安定的かつ持続的にその触媒機能を発現し得る条件の検討を行った。
電解質膜は水素イオンの伝達のための酸性基を有しているが、かかる酸性基が酵素電極の酵素の変性を招き、安定的かつ持続的な触媒機能の発現を妨げる要因となる。したがって、本実施例では、かかる酸性基を不活性化させることによるバイオ燃料電池の耐久性に与える効果を検討する共に、電解質膜を保護膜としてセルロース膜で挟み込んだ場合の効果についても検討した。
電解質膜として、実施例2で使用したナフィオン膜を使用し、これを活性化させてバイオ燃料電池に組み込んだ。ナフィオン膜の活性化を行った点、負極、及び正極の調製において酵素溶液の組成並びに液体燃料の組成を変更した点を除いては、実施例2にて構築したバイオ燃料電池に従って構築した。
カーボンクロスを1.0 cm×1.0 cmにカッターで切断した。活性炭粉末、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)を乳鉢で混合の後、適当量をスパチュラでカーボンクロス両面に塗抹して60 ℃で8時間以上乾燥させた。続いて、カーボンクロス1枚毎に比較例1で調製したBOD溶液51μlを含浸させ、直ぐに使用した。なお、BOD溶液は、BOD 100mg/ml、1M Imidazole BufferpH7.0と0.5Mフェリシアン化カリウム(K3Fe(CN)6)水溶液を9:1で混合したものを調製した。
比較例1で調製したAcGDH溶液に1 mM CaCl2、0.8 mM PQQとなるよう添加し4℃でインキュベートした。カーボンクロスを1.0 cm×1.0 cmにカッターで切断した。AcGDH 10mg/ml、30mM mPMS、1 M Imidazole Buffer pH 7.0とした溶液51μlをカーボンクロスに含浸させ、直ぐに使用した。
1M D-Glucose、0.4mM PQQ、1M Imidazole Buffer pH7.0に調製した。
ナフィオン膜を適当な大きさに切断し、3%H2O2中で1時間煮沸、水中で1時間煮沸、1M硫酸中で1時間煮沸、水中で1時間煮沸することにより、ナフィオン膜のスルホン酸基を活性化した。ここで、使用した水は上述の通り超純水である。
電解質膜であるナフィオン膜を不活性化させ、バイオ燃料電池に組み込んだ。詳細には、上記3−1のバイオ燃料電池で使用されている活性化状態のナフィオン膜に代えて、不活性状態のナフィオン膜を組み込んで構築した。なお、不活性化状態のナフィオン膜は2重工程で作成し、それぞれを組み込み2個のバイオ燃料電池を構築した。なお、ナフィオン膜の不活性化は以下の通り行った。
ナフィオン膜を適当な大きさに切断し、3%H2O2中で1時間煮沸、水中で1時間煮沸、1M硫酸中で1時間煮沸、水中で1時間煮沸することにより、ナフィオン膜のスルホン酸基を活性化した。活性化処理後に、1M Imidazole Buffer pH7.0に数時間浸漬させて、スルホン酸基を不活性化した。
電解質膜であるナフィオン膜を不活性化させ、更に保護膜であるセルロース膜で挟み込んだ状態でバイオ燃料電池に組み込んだ。詳細には、上記3−2のバイオ燃料電池で使用されている不活性状態のナフィオン膜をセルロース膜で挟み込んで構築した。ナフィオン膜の不活性化は以下の通り行った。なお、ここで構築したバイオ燃料電池の構成の模式図を図6に示す。実施例3−1、3−2のバイオ燃料電池の基本構成も特記した以外は図6の通りである。
結果を図7に示す。図7は電圧の経時変化を示す。400mV以上の電圧を保持できる時間を耐久時間と定義すると、実施例3−3では耐久時間が飛躍的に延び600時間を超えることが確認された。かかる結果より、電解質膜の酸性基を不活性化し、更にセルロース膜で挟み込むことにより、耐久性が飛躍的に向上することが判明した。一方、電解質膜の酸性基の不活性化のみによっても耐久性は向上するが、不活性化状態によりその耐久性が大きく変動する。したがって、酸性基の不活性化状態を制御することが必要となる。
実施例2において、バイオ燃料電池の耐久性向上には、電解質膜の利用が効果的であることが判明し、実施例3において、電解質膜から酵素電極を保護することが効果的であることが判明した。本実施例では、緩衝液の種類の選択が酵素電極の触媒機能に与える影響について検討を行った。
実施例3においては、緩衝物質としてバイオ燃料電池の分野で汎用されるイミダゾールを使用したが、イミダゾールは酵素変性作用を有することが知られている。そのため、イミダゾールによる酵素電極の劣化が問題となり、特に長期使用した場合に問題が顕著となり、バイオ燃料電池の耐久性を損なう要因となる。そこで、本実施例では、生化学的実験において汎用されるリン酸を緩衝物質として、バイオ燃料電池の耐久性に与える効果を検討した。
結果を図8に示す。図8は電圧の経時変化を示す。400mV以上の電圧を保持できる時間を耐久時間と定義すると、リン酸を緩衝物質として使用した場合に耐久時間が飛躍的に延び、22℃の測定で約2500時間、4℃の測定では3500時間を超えることが確認された。かかる結果より、酵素変性作用のない緩衝物質を使用することにより、酵素電極の触媒能力が安定的かつ持続的に発現することができ、バイオ燃料電池の耐久性が飛躍的に向上することが判明した。
21 負極
22 正極
3 隔膜
31 電解質膜
32、32a、32b 保護膜
4 通気構造部
5 防水膜
Claims (8)
- 電解質膜を介して対向する正極及び負極を有し、前記正極及び負極の少なくとも一方が酵素電極として構成されるバイオ燃料電池であって、
前記酵素電極と前記電解質膜との間に形成された保護膜と、
前記バイオ燃料電池の内部に連通し外気に開放される通気構造部に設けられ前記内部からの液体の蒸発を防ぐ防水膜と、
加湿機構と、を備えるバイオ燃料電池。 - 前記電解質膜は、水素イオン伝達機能を有する酸性基を含み、前記酸性基に不活性化処理が施されている請求項1に記載のバイオ燃料電池。
- 前記防水膜は、空気を透過させるが水分を透過させない素材で形成されている請求項1又は2に記載のバイオ燃料電池。
- 前記保護膜は、水素イオンを透過させる細孔を有し、かつ酵素の失活を招かない緩和な化学的性質を有する素材で形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のバイオ燃料電池。
- 前記液体に含まれる緩衝物質は、生化学的緩衝物質である請求項1〜4の何れか一項に記載のバイオ燃料電池。
- 前記生化学的緩衝物質は、酵素変性作用を有しない物質である請求項5に記載のバイオ燃料電池。
- 前記酵素電極は、補酵素要求性酵素を電極触媒とする請求項1〜6の何れか一項に記載のバイオ燃料電池。
- 前記負極は、グルコース脱水素酵素を電極触媒とする請求項1〜7の何れか一項に記載のバイオ燃料電池。
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